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特開2024-95450仮想実績作成装置、仮想実績作成方法、及び、仮想実績作成プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095450
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】仮想実績作成装置、仮想実績作成方法、及び、仮想実績作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0637 20230101AFI20240703BHJP
【FI】
G06Q10/0637
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212748
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎
(72)【発明者】
【氏名】折登 博行
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA09
5L049AA09
(57)【要約】
【課題】組織変更が多い場合でも根拠のある予算作成を可能とする。
【解決手段】取得部が、少なくとも会計年月、得意先、組織変更により得意先を担当することとなった新担当者の新担当者情報、新担当者の組織情報、及び、新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が関連付けされて記憶された記憶部を、会計年月、得意先、新担当者情報及び組織情報に基づいて参照することで、得意先を担当する新担当者の前期の会計年月毎の売上金額を取得する。算出部は、取得された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を算出する。そして、データ生成部が、算出された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を、新担当者の得意先に対する来期の仮想実績として会計年月毎に表示した予算表の表示データを生成する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも会計年月、得意先、組織変更により前記得意先を担当することとなった新担当者の新担当者情報、前記新担当者の組織情報、及び、前記新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が関連付けされて記憶された記憶部を、会計年月、得意先、新担当者情報及び組織情報に基づいて参照することで、前記得意先を担当する前記新担当者の前期の会計年月毎の前記売上金額を取得する取得部と、
取得された前期の会計年月毎の前記売上金額の合計金額を算出する算出部と、
算出された前期の会計年月毎の前記売上金額の合計金額を、前記新担当者の前記得意先に対する来期の仮想実績として会計年月毎に表示した予算表の表示データを生成するデータ生成部と、
を有する仮想実績作成装置。
【請求項2】
前記データ生成部は、前記取得部で、前記得意先を担当する前記新担当者の前期の会計年月毎の前記売上金額が取得できない前記新担当者の前記仮想実績の金額を0円として前記予算表に表示する表示データを生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の仮想実績作成装置。
【請求項3】
前記記憶部には、前記得意先を担当した旧担当者の旧担当者情報、及び、前記旧担当者の前期における会計年月毎の売上金額が記憶されており、
前記取得部は、会計年月及び旧担当者情報に基づいて前記記憶部を参照することで、前記旧担当者の会計年月毎の前期の売上金額を取得し、
前記算出部は、取得された前記旧担当者の会計年月毎の前期の売上金額の合計金額を算出し、
前記データ生成部は、前記旧担当者の会計年月毎の前期の売上金額の合計金額である前期実績を、前記旧担当者における来期の会計年月毎の実績として、前記仮想実績と共に前記予算表に表示する表示データを生成すること、
を特徴とする請求項2に記載の仮想実績作成装置。
【請求項4】
前記データ生成部は、前記合計金額の前記会計年月の年度に1年を加算処理することで、前期の前記合計金額を来期の合計金額に変更して前記予算表に表示する前記表示データを生成すること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の仮想実績作成装置。
【請求項5】
取得部が、少なくとも会計年月、得意先、組織変更により前記得意先を担当することとなった新担当者の新担当者情報、前記新担当者の組織情報、及び、前記新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が関連付けされて記憶された記憶部を、会計年月、得意先、新担当者情報及び組織情報に基づいて参照することで、前記得意先を担当する前記新担当者の前期の会計年月毎の前記売上金額を取得する取得ステップと、
算出部が、取得された前期の会計年月毎の前記売上金額の合計金額を算出する算出ステップと、
データ生成部が、算出された前期の会計年月毎の前記売上金額の合計金額を、前記新担当者の前記得意先に対する来期の仮想実績として会計年月毎に表示した予算表の表示データを生成するデータ生成ステップと、
を有する仮想実績作成方法。
【請求項6】
コンピュータを、
少なくとも会計年月、得意先、組織変更により前記得意先を担当することとなった新担当者の新担当者情報、前記新担当者の組織情報、及び、前記新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が関連付けされて記憶された記憶部を、会計年月、得意先、新担当者情報及び組織情報に基づいて参照することで、前記得意先を担当する前記新担当者の前期の会計年月毎の前記売上金額を取得する取得部と、
取得された前期の会計年月毎の前記売上金額の合計金額を算出する算出部と、
算出された前期の会計年月毎の前記売上金額の合計金額を、前記新担当者の前記得意先に対する来期の仮想実績として会計年月毎に表示した予算表の表示データを生成するデータ生成部と、
を有する仮想実績作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想実績作成装置、仮想実績作成方法、及び、仮想実績作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日における企業等の予算作成は、部門別でも作成方法が異なる。例えば、担当者予算からボトムアップして事業所又はグループの予算を作成するケース、事業所又はグループの予算からトップダウンで担当者別予算作成をするケース等がある。
【0003】
本願発明の出願人は、予算作成に関する技術として、特許文献1(特許第6280268号公報)にデータ集計装置を開示している。この特許文献1のデータ集計装置は、最下位層の対象と上位層の対象とが階層を成すことにより形成される階層構造を識別するための階層構造識別データと最下位層の対象を識別するための最下位層識別データとを含む対象管理データを参照して、入力された階層構造識別データと紐付く最下位層識別データを取得し、最下位層識別データと数値とを含む集計対象データを参照して、当該取得した最下位層識別データと紐付く数値を抽出し、抽出した数値を集計する。
【0004】
これにより、対象同士が階層構造を有する場合においても、対象についての数値を効率よく集計可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6280268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、多角的な予算作成を行う際に、組織変更が多い場合、部門毎に過去実績を自身の部署が欲しい情報で取得するため、予算作成の根拠の可視化が困難となり、根拠のある予算作成が困難となっていた。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、組織変更が多い場合でも根拠のある予算作成を可能とした仮想実績作成装置、仮想実績作成方法、及び、仮想実績作成プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る仮想実績作成装置は、少なくとも会計年月、得意先、組織変更により得意先を担当することとなった新担当者の新担当者情報、新担当者の組織情報、及び、新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が関連付けされて記憶された記憶部を、会計年月、得意先、新担当者情報及び組織情報に基づいて参照することで、得意先を担当する新担当者の前期の会計年月毎の売上金額を取得する取得部と、取得された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を算出する算出部と、算出された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を、新担当者の得意先に対する来期の仮想実績として会計年月毎に表示した予算表の表示データを生成するデータ生成部と、を有する。
【0009】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る仮想実績作成方法は、取得部が、少なくとも会計年月、得意先、組織変更により得意先を担当することとなった新担当者の新担当者情報、新担当者の組織情報、及び、新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が関連付けされて記憶された記憶部を、会計年月、得意先、新担当者情報及び組織情報に基づいて参照することで、得意先を担当する新担当者の前期の会計年月毎の売上金額を取得する取得ステップと、算出部が、取得された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を算出する算出ステップと、データ生成部が、算出された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を、新担当者の得意先に対する来期の仮想実績として会計年月毎に表示した予算表の表示データを生成するデータ生成ステップと、を有する。
【0010】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る仮想実績作成プログラムは、コンピュータを、少なくとも会計年月、得意先、組織変更により得意先を担当することとなった新担当者の新担当者情報、新担当者の組織情報、及び、新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が関連付けされて記憶された記憶部を、会計年月、得意先、新担当者情報及び組織情報に基づいて参照することで、得意先を担当する新担当者の前期の会計年月毎の売上金額を取得する取得部と、取得された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を算出する算出部と、算出された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を、新担当者の得意先に対する来期の仮想実績として会計年月毎に表示した予算表の表示データを生成するデータ生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、組織変更が多い場合でも根拠のある予算作成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態の仮想実績作成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態の仮想実績作成装置の概要を説明するための図である。
図3図3は、組織変更の一例を示す図である。
図4図4は、事業所マスタの変更を示す図である。
図5図5は、部門マスタの変更を示す図である。
図6図6は、会計月度マスタの一例を示す図である。
図7図7は、担当者マスタの一例を示す図である。
図8図8は、得意先マスタの一例を示す図である。
図9図9は、得意先別目標マスタの一例を示す図である。
図10図10は、担当者マスタ及び得意先マスタの変更を示す図である。
図11図11は、得意先マスタに対する担当者の変更設定を示す図である。
図12図12は、前期実績の集計の仕方を説明するための図である。
図13図13は、前期仮想実績の集計の仕方を説明するための図である。
図14図14は、得意先別目標マスタの再作成を説明するための図である。
図15図15は、組織分割+担当者組織異動の例を示す図である。
図16図16は、得意先別目標マスタの一例を示す図である。
図17図17は、担当者マスタの変更を説明するための図である。
図18図18は、変更された担当者マスタの設定で前期仮想実績が集計される様子を示す図である。
図19図19は、得意先別目標マスタの再作成を説明するための図である。
図20図20は、担当者の組織異動を説明するための図である。
図21図21は、当期下期時点で来期予算作成のために旧組織に基づいて作成される得意先別目標マスタを示す図である。
図22図22は、担当者マスタの変更を説明するための図である。
図23図23は、変更された担当者マスタの設定で前期仮想実績が集計される様子を示す図である。
図24図24は、得意先別目標マスタの再作成を説明するための図である。
図25図25は、得意先に対する担当者の変更を説明するための図である。
図26図26は、当期下期時点で来期予算作成のために旧組織に基づいて作成される得意先別目標マスタを示す図である。
図27図27は、担当者マスタの変更を説明するための図である。
図28図28は、変更された担当者マスタの設定で前期仮想実績が集計される様子を示す図である。
図29図29は、得意先別目標マスタの再作成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した実施の形態となる仮想実績作成装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
(ハードウェア構成)
図1に示すように、実施の形態の仮想実績作成装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部、スピーカ装置等が相当する。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網等のネットワークに接続される。
【0015】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、組織変更が多い場合でも根拠のある予算作成を可能とする仮想実績作成プログラムが記憶されている。また、記憶部2には、事業所マスタ11、部門マスタ12、会計月度マスタ13、担当者マスタ14、得意先マスタ15、得意先別目標マスタ16、及び、売上データが記憶されている。
【0016】
売上データとしては、事業所毎、部門毎、得意先毎、会計年月毎、及び、担当者毎(旧担当者毎)の、少なくとも前期の売上金額が記憶されている。
【0017】
(仮想実績作成装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている仮想実績作成プログラムを実行することで、図1に示すように、取得部21、算出部22、データ生成部23、及び、表示制御部24として機能する。
【0018】
取得部21は、少なくとも会計年月、得意先、組織変更により得意先を担当することとなった新担当者の新担当者情報、新担当者の組織情報、及び、新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が関連付けされて記憶された記憶部2を、会計年月、得意先、新担当者情報及び組織情報に基づいて参照することで、得意先を担当する新担当者の前期の会計年月毎の売上金額を取得する。
【0019】
算出部22は、取得された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を算出する。そして、データ生成部23は、算出された前期の会計年月毎の売上金額の合計金額を、新担当者の得意先に対する来期の仮想実績として会計年月毎に表示した予算表の表示データを生成する。
【0020】
また、データ生成部23は、取得部21で、得意先を担当する新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が取得できない新担当者の仮想実績の金額を0円として予算表に表示する表示データを生成する。
【0021】
また、記憶部2は、得意先を担当した旧担当者の旧担当者情報、及び、旧担当者の前期における会計年月毎の売上金額が記憶されている。取得部21は、会計年月及び旧担当者情報に基づいて記憶部2を参照することで、旧担当者の会計年月毎の前期の売上金額を取得し、算出部22は、取得された旧担当者の会計年月毎の前期の売上金額の合計金額を算出する。
【0022】
データ生成部23は、旧担当者の会計年月毎の前期の売上金額の合計金額である前期実績を、旧担当者における来期の会計年月毎の実績として、仮想実績と共に予算表に表示する表示データを生成する。
【0023】
また、データ生成部23は、合計金額の会計年月の年度に1年を加算処理することで、前期の合計金額を来期の合計金額に変更して予算表に表示する表示データを生成する。
【0024】
(概要)
実施の形態の仮想実績作成装置1は、来期組織変更後の予算作成に伴い、変更後のセグメント別(最小単位は担当者別)に、前期実績を来期組織変更後の情報として再集計して仮想実績を計算している。「仮想実績」は、来期の組織で予測される売上を、前期実績に基づいて再計算した金額である。実施の形態の仮想実績作成装置1は、販売情報に基づいて担当者別又は取引先別等の細かい粒度で情報の取得を行うことができる。
【0025】
図2は、実施の形態の仮想実績作成装置1の動作概要を示す図である。この図2に示すように、実施の形態の仮想実績作成装置1は、売上データ、事業所マスタ11、部門マスタ12、会計月度マスタ13、担当者マスタ14、得意先マスタ15、及び、得意先別目標マスタ16を備えている。
【0026】
事業所マスタ11、部門マスタ12、会計月度マスタ13、担当者マスタ14、得意先マスタ15には、組織に関する情報が記憶されている。また、得意先別目標マスタ16には、得意先別の予算情報が記憶されている。また、売上データとしては、各担当者の前期の実績となる売上金額を示す売上データが記憶されている。
【0027】
実施の形態の仮想実績作成装置1は、事業所マスタ11~得意先マスタ15に記憶されている組織に関する情報、得意先別目標マスタ16に記憶されている得意先別の予算情報、及び、各担当者の前期の実績となる売上金額を示す売上データ等に基づいて、組織変更後において担当者毎に予測される「仮想実績」を含む得意先別予算表を生成して出力する。これにより、組織変更が多い場合でも根拠のある予算作成を行い提示することができる。また、この得意先別予算表により、事業所別、部門別、得意先別、会計年月別、旧担当者別、新担当者別等の観点から予算を確認することができる。
【0028】
(得意先別予算表の生成動作)
(登録・活用背景)
一般的には、組織変更がある場合、決算期直前に発表されることが多い。このため、来期予算は、当期下期に作成され、組織変更内容に応じて最終的な調整が施されて作成される。
【0029】
(想定される組織変更内容)
図3は、想定される組織の変更の内容を示す図である。図3(a)の例は、旧A組織が新たに新組織A及び新組織Bに組織分割された例である。図3(b)の例は、旧組織A及び旧組織Bが、新たに新組織Cとして組織統合された例である。図3(c)は、組織Aに所属していた担当者Aが、組織Bに組織異動となった例である。この組織異動は、上述の組織分割(図3(a))及び組織統合(図3(b))と並行して行われることもある。図3(d)は、T001の得意先を担当する担当者が、担当者Aから担当者Bに担当者変更された例である。この得意先を担当する担当者の変更は、組織異動(図3(c))に伴って行われることが多い。
【0030】
(登録動作)
システム部門は、当期下期時点で受け取った変更後組織情報に基づいて、来期組織変更設定を行う。一例として、図4に示すように、2022年3月31日に、組織統合により「J1020 横浜」が廃止され、2022年4月1日より、「J1010 東京」が、「J1010 首都圏」となったとする。この組織統合に伴い、「J1020 横浜」に所属していた担当者の組織異動先を検討している状況とする。
【0031】
このような組織統合等の組織変更により、各マスタ11~16に記憶されている各種データを変更する必要があるが、実施の形態の仮想実績作成装置1は、事業所マスタ11、部門マスタ12、組織マスタを、改定日管理で管理可能となっている。すなわち、実施の形態の仮想実績作成装置1は、組織統合等の組織変更があった場合でも、事業所の事業所コードを変更することなく、改定日を加味してキー情報とすることができる。このため、組織変更が発生する期首にマスタの変更を行うのではなく、事前に設定を準備することで、この例の場合「2022年4月1日」となった際に、各マスタ11~16が新たな設定に切り替わり、管理を継続できる。
【0032】
具体的には、図4の事業者マスタ11は、No.1の「J1010 東京」が、NO5の「J1010 首都圏」となったことで、No.1~No.5に変更がある例である。この場合、No.5の「J1010 東京」を、2022年4月1日より、「J1010 首都圏」に名称変更することを、事業者マスタ11に事前に設定する。また、No.6の「J1020 横浜」に対しては、「2022年3月31日」の廃止日を事業者マスタ11に事前に登録することで、組織廃止に伴い、2022年4月1日以降は使用不可に設定する。
【0033】
図5に示す部門マスタ12は、No.7~No.9が旧東京の部門を、No.13~No.16に示すように、「首都圏」の部門として設定し、「首都圏」の部門を新たに一つ増設した例である。また、「J1020 横浜」の事業所が廃止となったため、部門マスタ12においても、No.17の「B0201 横浜支店」に「2022年3月31日」の廃止日を入力して廃止を設定した例である。
【0034】
会計月度マスタ13は、図6に示すように、会計期、会計年月、各会計年月の開始日及び終了日を含んで構成されている。この会計月度マスタ13は、指定された会計年月で売上データを集計する際等に用いられる。
【0035】
図7に示す担当者マスタ14は、担当者毎に改定日、及び、所属する部門が設定されている。担当者の異動に関しては、改定日に基づいて管理される。例えば、No.20の「TA003」の担当者であるが、部門の移動がないため、「2022年4月1日」の改定日に対応するNo.23~No.27の中には入っていない。
【0036】
図8は、得意先マスタ15は、「改定日」を保持していないため、「担当者」の情報と共に、「新担当者」の情報を保持しておき、この「新担当者」の情報を、組織変更に応じて書き換えて用いるようになっている。この「新担当者」の情報は、後述する仮想実績の集計に用いられる。
【0037】
また、このような各マスタの設定変更と並行して、現場の担当者は、この時点では組織変更の情報を取得していないため、当期下期時点において、来期予算作成に向けて旧組織で、図9に示す得意先別目標マスタ16を作成する。この例の場合、横浜事業所の担当者が来年の予算に対応する得意先別目標マスタ16を作成するイメージである。
【0038】
(前期実績の集計方法)
次に、前期実績の集計方法を説明する。前期実績の集計を行う場合、取得部21が、得意先別目標マスタ16に設定された「事業所」、「部門」、「得意先」及び「会計年月」をキーとして、売上データを参照して売上金額を集計する。これにより、会計年月単位で売上金額が集計され、データ生成部23により、図12に示す予算表のデータが生成される。
【0039】
なお、取得部21は、会計年月のキー突合について「YYYY(年)/MM(月)/DD(日)」としたとき、キー突合時には、売上データの会計年月を「YYYY+1」として突合する。すなわち、売上データを前期実績として用いるために、2022年の予算表を作成するにあたり、売上データの2021年に1年を加算して2022年の売上データとして集計して、得意先別目標マスタ16の2022年の会計年月と突合している。
【0040】
また、取得部21は、得意先別目標マスタ16の「得意先」をキーとして図8に示す得意先マスタ15を参照し、「担当者」及び「新担当者」を取得している。データ生成部23は、取得された「担当者」及び「新担当者」の各データを含めて、図12に示す予算表のデータを生成する。
【0041】
ここで、組織変更が発生しないのであれば、このような前期実績が、来期の予算作成の参考情報として十分に機能する。しかし、実際には、下記のような組織変更が発生するため、上述の前期実績を、そのまま来期の予算作成に用いることはできない。
【0042】
すなわち、組織変更の発表があると、現場組織長及び部門長は、予算最終調整に伴い、例えば図10に示すように、担当者マスタ14及び(又は)得意先マスタ15の変更を行い、予算表の前期仮想実績を確認し、得意先別目標マスタ16の最終調整を行う。
【0043】
また、例えば「T003」の担当者が「J1030大阪」へ異動となる場合、現担当の得意先を別担当者へ引き継ぎする必要がある。このため、図11に示すように、得意先に対する担当者の変更を想定して、得意先マスタ15の新担当者として、別担当者を新たに設定する。
【0044】
(前期仮想実績の集計方法)
このように組織変更に応じて各マスタの設定が修正されると、変更された組織に対して予測される売上金額である仮想実績(この場合は前期仮想実績)を予算表に含めて表示可能となる。
【0045】
すなわち、前期仮想実績を集計する場合、取得部21は、図13に示すように、得意先別目標マスタ16で設定した「事業所」、「部門」、「得意先」及び「会計年月」をキーに得意先マスタ15を参照し、売上データの得意先に対して得意先マスタ15で設定されている新担当者の新担当者コードを取得する。
【0046】
また、取得部21は、新担当者コードに基づいて、図7に示す担当者マスタ14を参照し、新担当者コードが一致し、かつ、一番大きいレコードの改定日に関連付けされている部門コードを取得する。なお、「一番大きいレコードの改定日に関連付けされている部門コードを取得する」とは、同じ新担当者コードに対して2つの部門コードが関連付けされている場合、担当者マスタ14を参照した日付に近い方の改定日に関連付けされている部門コードを取得する、との意味である。
【0047】
また、取得部21は、取得した部門コードに基づいて図5に示す部門マスタ12を参照し、部門コードが一致し、かつ、部門マスタ15の改定日で一番大きいレコードの事業所コードを取得する。なお、「部門マスタ15の改定日で一番大きいレコードの事業所コードを取得する」とは、同じ部門コードに対して2つの事業所が関連付けされている場合、部門マスタ15を参照した日付に近い方の改定日に関連付けされている事業所コードを取得する、との意味である。また、部門コード及び事業所コード等は、組織情報の一例である。
【0048】
そして、取得部21は、得意先(得意先コード)、この得意先を担当する新担当者(担当者コード)、新担当者の所属する部門(部門コード)、及び、新担当者の事業所(事業所コード)をキーとし、これらに対応する売上データを、図13に示すように取得する。これにより、会計年月毎の新担当者の売上金額を取得できる。
【0049】
なお、取得部21は、会計年月のキー突合について「YYYY(年)/MM(月)/DD(日)」としたとき、キー突合時には、売上データの会計年月を YYYY+1として処理する事で突合する。
【0050】
算出部22は、取得された会計年月毎の新担当者の売上金額の合計金額を算出する。データ生成部23は、図13に示すように、取得された会計年月毎の新担当者の売上金額の合計金額を、新担当者の得意先に対する来期の仮想実績として会計年月毎に表示した予算表の表示データを生成する。
【0051】
表示制御部24は、図13に示すように、新担当者の得意先に対する来期の仮想実績(図13では前期仮想実績)、及び、旧担当者の得意先に対する売上実績(図13では前期実績)を並べて予算表に表示する。
【0052】
これにより、来期に組織変更等を行った場合に予測される売上金額を、各担当者の前期の売上金額という、確かな根拠に基づいて表示することができる。また、予算表に基づいて、新担当者を、コードを基に担当者別の前期仮想実績を集計、又は、部門、事業所別で前期仮想実績を集計することができる。
【0053】
なお、データ生成部23は、取得部21で、得意先を担当する新担当者の前期の会計年月毎の売上金額が取得できない新担当者の仮想実績は、金額を0円として予算表に表示する表示データを生成する。これにより、売上データの得意先の得意先マスタ15に紐づく新担当者コードから、組織情報を取得した結果が突合できない場合には、図13に示すように仮想実績が「0円」の金額で予定表に表示される。
【0054】
次に、組織変更発表後、予算最終調整に伴い、現場組織長又は部門長は、担当者マスタ14及び得意先マスタ15等の変更を行い、予算表の前期仮想実績を確認し、図14に示すように得意先別目標マスタ16の最終調整を行う。なお、この図14の例は、No.67~No.72で出力された前期仮想実績が「0円」ではないレコードに基づいて再作成された得意先別目標マスタ16の例である。
【0055】
(登録イメージ)
以下に、他組織変更発生ケースに応じたマスタ修正・得意先別予算表データ出力イメージを示す。図15(a)~図15(d)は、組織分割+担当者組織異動の例である。組織変更イメージとしては、図15(a)に示すように、2022年4月度の組織変更として、組織分割により「J1010 東京」が「J1010 東東京」と「J1015 西東京」となる。この組織分割に伴い、「J1010 東京」に所属していた担当者の「J1015 西東京」への異動メンバーを検討する状況となる。
【0056】
当期下期時点、来期予算作成に向けて現場の担当者は、図16に示すように、旧組織で得意先別目標マスタ16を作成する。
【0057】
組織変更発表後、予算最終調整に伴い、現場組織長又は部門長は、図17に示すように担当者マスタ14の変更を行い、予算表の前期仮想実績を確認し、得意先別目標マスタ16の最終調整を行う。
【0058】
これにより、図18に示すように、変更された担当者マスタの設定で前期仮想実績が集計される。
【0059】
目標マスタ調整方法としては、上述の前期仮想実績が0円ではないレコードに基づいて、図19に示すように得意先別目標マスタ16を再作成する。
【0060】
予算表をベースに新担当者を、コードを基に担当者別の前期仮想実績を集計し、又は、は部門、事業所別で前期仮想実績を集計することもできる。なお、この得意先別目標マスタ16の再作成マスタイメージでは、No.37~No.40で出力された前期仮想実績が0円でないレコードを基に目標マスタを再作成している。
【0061】
次に、担当者の組織異動が発生した場合、組織変更イメージとしては、2022年4月度の組織変更に向けて、組織分割及び担当者の組織異動の変更はないため、図20(a)~図20(d)に示すように、システム部でのマスタ変更は行われない。この場合、現場の担当者は、図21に示すように、当期下期時点、来期予算作成に向けて、旧組織で得意先別目標マスタ16を作成する。
【0062】
組織変更発表後、予算最終調整に伴い、現場組織長又は部門長は、図22に示すように、担当者の組織異動を検討する。そして、予算表の前期仮想実績を確認し、得意先別目標マスタ16の最終調整を行う。
【0063】
これにより、図23に示すように、変更された担当者マスタの設定で前期仮想実績が集計される。
【0064】
次に、目標マスタ調整方法であるが、まず、図24に示すように、前期仮想実績が0円でないレコードを基に得意先別目標マスタ16を再作成する。予算表をベースに新担当者を、コードを基に担当者別の前期仮想実績を集計し、又は、部門、事業所別で前期仮想実績を集計することができる。得意先別目標マスタ16の再作成マスタイメージでは、図23に示すNo.33~No.36で出力された前期仮想実績が0円でないレコードを基に得意先別目標マスタ16を再作成している。
【0065】
次に、得意先に対する担当者変更であるが、組織変更イメージとしては、2022年4月度の組織変更に向けて、組織分割及び担当者の組織異動の変更はないため、図25(a)~図25(d)に示すように、システム部でのマスタ変更は行われない。この場合、現場の担当者は、図26に示すように、当期下期時点、来期予算作成に向けて、旧組織で得意先別目標マスタ16を作成する。
【0066】
組織変更発表後、予算最終調整に伴い、現場組織長又は部門長は、図27に示すように、担当者の組織異動を検討する。そして、予算表の前期仮想実績を確認し、得意先別目標マスタ16の最終調整を行う。
【0067】
これにより、図28に示すように、変更された新担当者の前期仮想実績を集計することができる。
【0068】
次に、得意先別目標マスタの調整方法であるが、まず、図29に示すように、前期仮想実績が0円ではないレコードを基に得意先別目標マスタ16を再作成する。予算表をベースに新担当者を、コードを基に担当者別の前期仮想実績を集計し、又は、部門、事業所別で前期仮想実績を集計することもできる。得意先別目標マスタ16は、図28に示すNo.34及びNo.35で出力された前期仮想実績が0円でないレコードを基に再作成される。
【0069】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の仮想実績作成装置1は、多角的な予算作成でも、最小単位として担当者別の仮想実績を取得して表示することができる。
【0070】
また、集計キーとなるセグメントを保持することができる。このため、組織変更が多い場合でも根拠のある予算作成を可能とすることができる。従って、部門別の予算作情報の効率化及び経営層による経営判断の早期化を可能とすることができる。
【0071】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0074】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0075】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0076】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0077】
また、仮想実績作成装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0078】
例えば、仮想実績作成装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて仮想実績作成装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0079】
また、この仮想実績作成装置1の仮想実績作成プログラムは、仮想実績作成装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0080】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための仮想実績作成プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0081】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した仮想実績作成装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0082】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0083】
また、仮想実績作成装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0084】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、予算作成を行う業界全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 仮想実績作成装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 事業所マスタ
12 部門マスタ
13 会計月度マスタ
14 担当者マスタ
15 得意先マスタ
16 得意先別目標マスタ
21 取得部
22 算出部
23 データ生成部
24 表示制御部
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