(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095456
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20240703BHJP
F16H 57/04 20100101ALI20240703BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H57/04 G
B60K11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212759
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻本 健斗
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】和田 直大
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 晃弘
【テーマコード(参考)】
3D038
3J063
5H607
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3J063AA02
3J063AB01
3J063AC01
3J063CA05
3J063CD41
3J063XH02
3J063XH13
3J063XH23
3J063XH42
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB05
5H607CC03
5H607CC07
5H607DD03
5H607EE34
5H607EE36
(57)【要約】
【課題】差動軸と、冷媒が流入する流入部および流入部に連結される管状部材との干渉を抑制できる駆動装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る駆動装置は、モータと、モータハウジングと、インバータと、インバータハウジングと、ギヤとを有する。インバータハウジングは、モータハウジングと径方向に重なる。インバータハウジングには、冷媒が流れる第1流路が設けられる。モータハウジングには、冷媒が流れる第2流路が設けられる。第1流路と第2流路とを連結する第3流路が設けられる。第2流路は、第2流入部と、第2流出部とを有する。第2流入部は、冷媒が第2流路に流入する。第2流出部は、冷媒が第2流路から流出する。第2流入部は、モータハウジングにおけるモータ軸を挟んで差動軸とは反対側の領域のうち、モータハウジングにおけるモータ軸を挟んで差動軸とは反対側の端部よりもモータ軸に近い位置に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータを収容するモータハウジングと、
前記モータと電気的に接続されるインバータと、前記インバータを収容するインバータハウジングと、
前記モータの軸方向他方側に位置し、モータ軸の回転に連動して差動軸を回転させるギヤと、
を有し、
前記インバータハウジングは、前記モータハウジングと径方向に重なり、
前記インバータハウジングには、冷媒が流れる第1流路が設けられ、
前記モータハウジングには、前記冷媒が流れる第2流路が設けられ、
前記第1流路と前記第2流路とを連結する第3流路が設けられ、
前記第2流路は、
前記冷媒が前記第2流路に流入する第2流入部と、
前記冷媒が前記第2流路から流出する第2流出部と、
を有し、
前記第2流入部は、前記モータハウジングにおける前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の領域のうち、前記モータハウジングにおける前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の端部よりも前記モータ軸に近い位置に設けられる、
駆動装置。
【請求項2】
前記第2流入部は、前記モータハウジングの外側面において、前記モータ軸を挟んで前記インバータハウジングとは反対側の領域に設けられる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第2流路は、前記第2流路の外部へと前記冷媒が流出する第2流出部、を有し、
前記第2流出部は、前記モータハウジングの外側面において、前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側であり、かつ前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の端部よりも前記モータ軸に近い位置に設けられる、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第2流出部は、前記モータハウジングの外側面において、前記モータ軸を挟んで前記インバータハウジングとは反対側の領域に設けられる、
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1流路は、前記インバータハウジングの側面のうち前記モータの軸方向一方側を向く面に、前記冷媒が前記第1流路から流出する第1流出部が設けられ、
前記第1流出部は、前記モータの軸方向一方側に向かって開口し、
前記第2流入部は、前記モータの軸方向一方側に向かって開口する、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第2流入部は、前記モータハウジングの外側面のうち、軸方向一方側に位置する、
請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第3流路と前記第1流路とを連結する第1連結部、および、前記第3流路と前記第2流路とを連結する第2連結部は、それぞれ、シール部材によって封止される、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記モータハウジングは、前記モータの軸方向一端にモータ蓋部を有し、
前記第3流路の少なくとも一部は、前記モータ蓋部の軸方向一方側に設けられる、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記モータは、前記モータハウジングの内側面に固定される筒状のステータコアを有し、
前記第2流路は、前記モータの軸方向からみて、前記ステータコアの外側面の接線方向に沿って、前記差動軸と前記モータ軸との間を通る方向に延伸する、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記モータの軸方向からみて、前記第2流入部から前記モータハウジングの内部へ向かう前記冷媒の流入方向と、前記第2流出部から前記モータハウジングの外部へ向かう前記冷媒の流出方向とのなす角度は鋭角であり、
前記第2流出部は、前記モータハウジングの外側面のうち前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の端部と、前記モータとの間に向かって延伸する、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記インバータハウジングは、前記インバータを収容し、前記インバータを挟んで前記モータとは反対側に開口部を有する収容部と、前記収容部における開口部を閉塞するインバータ蓋部とを含み、
前記第1流路は、前記インバータ蓋部と一体に設けられる、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記モータと前記インバータとを電気的に接続する接続部をさらに有し、
前記モータハウジングの外側面には、前記接続部と径方向に重なる位置において、前記モータハウジングの内部と外部とを連通させる圧力調整機構が設けられる、
請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータと、モータを収容するモータハウジングとを有する駆動装置がある。駆動装置には、モータハウジングの内部に冷媒が流れる流路が設けられる(例えば、特許文献1参照)。モータハウジングには、外部から冷媒が流入する流入部が設けられる。流入部には、モータハウジングへ冷媒を供給するホースなどの管状部材が連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、駆動装置が、モータ軸の回転に連動して差動軸を回転させるギヤを備える場合、モータハウジングにおける流入部の位置によって、差動軸と、流入部および流入部に連結される管状部材とが干渉するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、差動軸と、冷媒が流入する流入部および流入部に連結される管状部材との干渉を抑制できる駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る駆動装置は、モータと、モータハウジングと、インバータと、インバータハウジングと、ギヤとを有する。前記モータハウジングは、前記モータを収容する。前記インバータは、前記モータと電気的に接続される。前記インバータハウジングは、前記インバータを収容する。前記ギヤは、前記モータの軸方向他方側に位置する。前記ギヤは、モータ軸の回転に連動して差動軸を回転させる。前記インバータハウジングは、前記モータハウジングと径方向に重なる。前記インバータハウジングには、冷媒が流れる第1流路が設けられる。前記モータハウジングには、前記冷媒が流れる第2流路が設けられる。前記第1流路と前記第2流路とを連結する第3流路が設けられる。前記第2流路は、第2流入部と、第2流出部とを有する。前記第2流入部は、前記冷媒が前記第2流路に流入する。第2流出部は、前記冷媒が前記第2流路から流出する。前記第2流入部は、前記モータハウジングにおける前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の領域のうち、前記モータハウジングにおける前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の端部よりも前記モータ軸に近い位置に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る駆動装置は、差動軸と、冷媒が流入する流入部および流入部に連結される管状部材との干渉を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る駆動装置の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、駆動装置をX-Z平面と平行な面で切断した断面説明図である。
【
図3】
図3は、駆動装置をX軸負方向からX軸正方向にみた側面説明図である。
【
図4】
図4は、第2流路における冷媒の流入方向および冷媒の流出方向の説明図である。
【
図5】
図5は、駆動装置をY-Z平面と平行な面で切断した断面説明図である。
【
図6】
図6は、インバータハウジング内の配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示による駆動装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。以下の各実施形態において、同一の機能を担う構成要素については、同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。
【0010】
以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0011】
以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0012】
図1は、実施形態に係る駆動装置1の模式的な斜視図である。実施形態に係る駆動装置1は、車両に搭載される。駆動装置1は、車両を走行させる車両駆動用の装置である。
図1に示すように、駆動装置1は、モータハウジング2と、インバータハウジング3とを含む。
【0013】
モータハウジング2は、モータ、減速機、および差動装置などを収容する。モータは、モータ軸を中心に回転する。減速機は、減速用のギヤを含む。減速用のギヤは、モータ軸の回転に連動して差動軸を回転させる。減速用のギヤは、モータ軸の回転速度よりも低い回転速度で差動軸を回転させる。
【0014】
差動軸は、車両の左右両輪を回転させる。差動装置は、デファレンシャルギヤを含む。デファレンシャルギヤは、車両の左右両輪の回転差を吸収する。減速用のギヤおよびデファレンシャルギヤは、モータの軸方向他方側に位置する。
図1に示す例では、モータの軸方向は、Y軸と平行な方向である。
【0015】
図1に示す例では、減速用のギヤおよびデファレンシャルギヤは、モータハウジング2の内部において、Y軸正方向側に配置される。モータは、モータハウジング2の内部において、減速用のギヤおよびデファレンシャルギヤよりもY軸負方向側に配置される。
【0016】
モータハウジング2における一部の側面は、筒状モータのステータの外側面に沿って、周方向に延びている。
図1に示す例では、モータハウジング2においてX軸負方向の側面がモータの周面に沿って略弧状に湾曲している。
【0017】
インバータハウジング3は、モータハウジング2と径方向に重なるように設けられる。
図1に示す例では、インバータハウジング3は、モータハウジング2におけるZ軸正方向の端部に配置される。
【0018】
インバータハウジング3は、インバータ、コンデンサ、およびバスバーなどを収納する。インバータは、モータの回転速度制御などを行う。コンデンサは、例えば、直流電源からインバータに入力される電源電圧を平滑化する。バスバーは、モータとインバータとを電気的に接続する接続部である。
【0019】
インバータハウジング3には、冷媒が流れる第1流路4が設けられる。第1流路4は、インバータハウジング3の内部から外部へ冷媒が流出する第1流出部41を含む。第1流路4は、インバータハウジング3の外部から内部へ冷媒が流入する第1流入部42を含む。
【0020】
モータハウジング2には、冷媒が流れる第2流路5が設けられる。第2流路5は、モータハウジング2の外部から内部へ冷媒が流入する第2流入部51を含む。第2流路5は、モータハウジング2の内部から外部へ冷媒が流出する第2流出部52を含む。
【0021】
駆動装置1は、第1流路4と第2流路5とを連結する第3流路6が設けられる。
図1に示すように、例えば、第3流路6は、ホースである。第3流路6は、一端が第1流路4の第1流出部41に連結される。第3流路6は、他端が第2流路5の第2流入部51に連結される。なお、第3流路6の少なくとも一部は、モータハウジングを構成する壁の内部や後述するモータ蓋部に直接設けられるなど他の構造であってもよい。
【0022】
第3流路6と第1流路4とを連結する第1連結部61は、シール部材によって封止される。第3流路6と第2流路5とを連結する第2連結部62は、シール部材によって封止される。
【0023】
本実施形態において、シール部材は、例えば、Oリングである。なお、シール部材は、Oリングに限られず、接着剤などであってもよい。これにより、シール部材は、第1連結部61および第2連結部62から冷媒が漏れ出すことを防止することができる。
【0024】
図2は、駆動装置1をX-Z平面と平行な面で切断した断面説明図である。
図2に示すように、モータ20は、モータハウジング2において、モータ軸21の軸方向が差動軸71の軸方向と平行になるように配置される。
図2に示す例では、モータ軸21および差動軸71は、Y軸と平行になるように配置される。
【0025】
モータ20は、ステータコア22と、ロータ23と、を含む。ステータコア22は、筒状であり、モータハウジング2の内側面に固定される。ロータ23は、ステータコア22の内部においてモータ軸21と一体に回転する。第2流路5は、モータハウジング2を構成する側壁に、ステータコア22の外側面に沿って、冷媒が螺旋状に流れるように設けられる。第2流路5は、ステータコア22の外側面に沿って、冷媒が蛇行して流れるように設けられてもよい。また、モータハウジング2の側壁は、二重円構造として構成されてもよい。この場合、ステータコア22を保持する内筒部と内筒部を周方向に囲う外筒部との径方向の間に、第2流路部5が形成される。
【0026】
第2流路5は、冷媒が第2流路5に流入する第2流入部51を含む。第2流入部51は、モータハウジング2において、モータ軸21を挟んで差動軸71とは反対側の領域24に設けられる。第2流入部51は、モータ軸21よりもX軸負方向に位置する。
【0027】
第2流入部51は、領域24のうちモータハウジング2におけるモータ軸21を挟んで差動軸71とは反対側の端部よりもモータ軸21に近い位置に設けられる。第2流入部51は、モータハウジング2の外側面において、モータ軸21を挟んでインバータハウジング3とは反対側の領域に設けられる。第2流入部51は、インバータハウジング3のZ軸負方向側に位置する。
【0028】
このように、第2流入部51は、領域24におけるX軸負方向の端面と、領域24におけるZ軸負方向の端面と、モータハウジング2の外側面とによって囲まれるデッドスペースに設けられる。これにより、駆動装置が大型化することを抑制できる。
【0029】
駆動装置1では、第2流入部51が、モータハウジング2においてモータ軸21を挟んで差動軸71とは反対側に設けられるので、差動軸71と第2流入部51および第2流入部51に連結される第3流路6であるホースとの干渉を抑制できる。
【0030】
第2流路5は、冷媒が第2流路5から流出する第2流出部52を含む。第2流出部52は、モータハウジング2において、モータ軸21を挟んで差動軸71とは反対側の領域24に設けられる。第2流出部52は、モータ軸21よりもX軸負方向側に位置する。第2流出部52は、第1流出部51よりも軸方向他方側(Y軸正方向側)に位置する。第2流出部52は、第1流出部51と周方向に並ぶ。第2流出部52は、第1流出部51よりもZ軸正方向側に位置する。
【0031】
第2流出部52は、領域24のうちモータハウジング2におけるモータ軸21を挟んで差動軸71とは反対側の端部よりもモータ軸21に近い位置に設けられる。第2流出部52は、モータハウジング2の外側面において、モータ軸21を挟んでインバータハウジング3とは反対側の領域に設けられる。
【0032】
このように、第2流出部52は、領域24におけるX軸負方向の端面と、領域24におけるZ軸負方向の端面と、モータハウジング2の外側面とによって囲まれるデッドスペースに設けられる。これにより、駆動装置が大型化することを抑制できる。
【0033】
駆動装置1では、第2流出部52が、モータハウジング2においてモータ軸21を挟んで差動軸71とは反対側に設けられるので、差動軸71と第2流出部52および第2流出部52に連結される第3流路6であるホースとの干渉を抑制できる。
【0034】
図3は、駆動装置1をX軸負方向からX軸正方向にみた側面説明図である。
図3に示すように、第1流路4は、インバータハウジング3の側面のうちモータ20の軸方向一方側を向く面に、冷媒が第1流路4から流出する第1流出部41が設けられる。
図3に示す例では、モータ20の軸方向一方側は、Y軸負方向側である。
【0035】
ここで、例えば、第3流路6は、第1流出部41がモータ20の軸方向一方側に向かって開口され、第2流入部51がモータ20の軸方向他方側に向かって開口する場合、略S字状に屈曲されて第1流路4と第2流路5とを接続する。
【0036】
これに対して、実施形態に係る第1流出部41は、モータ20の軸方向一方側に向かって開口する。実施形態に係る第2流入部51は、モータ20の軸方向一方側に向かって開口する。これにより、実施形態に第3流路6は、略C字状に屈曲することによって、第1流路4と第2流路5とを接続できる。
【0037】
このように、実施形態に係る第3流路6は、略C字状に屈曲することによって、第1流路4と第2流路5とを接続するので、略S字状に屈曲して第1流路4と第2流路5とを接続する場合に比べて、第3流路6の内部を流れる冷媒の圧損を低減できる。
【0038】
第1流出部41は、モータハウジング2の外側面のうち、モータ20の軸方向一方側に位置する。第2流入部51は、モータハウジング2の外側面のうち、モータ20の軸方向一方側に位置する。これにより、第3流路6の長さを短くできるため、冷媒の圧損を低減できる。
【0039】
モータハウジング2は、モータ20の軸方向一端にモータ蓋部25を備える。第3流路6の少なくとも一部は、モータ蓋部の軸方向一方側に設けられる。
図3に示す例では、第3流路6は、モータハウジング2のY軸負方向の端部側に設けられる。第3流路部6は、モータ蓋部25と、軸方向(Y軸方向)において、対向する。これにより、例えば、駆動装置1は、X軸方向が車両の前後方向となるように搭載される場合に、車両の前後方向における大型化が抑制される。なお、第3流路部6の一部は、モータ蓋部25に保持されてもよい。これによっても、第3流路部6がホースである場合に、第3流路6が略S字状に屈曲することを抑制することができる。
【0040】
駆動装置1は、モータハウジング2の内部に、モータ20とインバータ30とを電気的に接続する接続部32を備える。例えば、接続部32は、前述したバスバーを含む。バスバーなどの接続部32は、モータ20の駆動時に発熱する。モータハウジング2の内部には、第2流入部51から冷媒が流入する。
【0041】
このため、接続部32に面するモータハウジング2の内側面には、モータハウジング2の内部と外部との温度差によって結露が生じやすくなる。そこで、モータハウジング2の外側面には、接続部32と径方向に重なる位置において、モータハウジング2の内部と外部とを連通し、ハウジングの内部と外部の圧力差を調整する圧力調整機構33が設けられる。
【0042】
例えば、圧力調整機構33は、例えば、ベントフィルタである。これにより、圧力調整機構33は、モータハウジング2の内部で発生する湿気をモータハウジング2の外部へ放出することによって、モータハウジング2の内側面に結露が発生することを防止できる。
【0043】
図4は、第2流路5における冷媒の流入方向および冷媒の流出方向の説明図である。
図4に示すように、第2流路5は、モータ20の軸方向からみて、ステータコア22の外側面の接線方向に沿って、差動軸71とモータ軸21との間を通る太線矢印53の方向に延伸する。
【0044】
これにより、冷媒が、第2流入部51から、第2流路の径方向内側面に接するまで、第2流路5内において屈曲せずに流れることから、ステータコア22の外側面上を周回するように、第2流路5に冷媒を流すことができる。したがって、第2流路を流れる冷媒の圧損を低減できる。
【0045】
また、
図4に示す例では、駆動装置をY軸負方向からY軸正方向に見たときの右下部分、つまり、領域24におけるX軸負方向側の端面と、領域24におけるZ軸負方向の端面とによって囲まれる角部の領域の一部を流路形成用として有効活用できる。
【0046】
モータ20の軸方向からみて、第2流入部51からモータハウジング2の内部へ向かう太線矢印53で示す冷媒の流入方向と、第2流出部52からモータハウジング2の外部へ向かう太線矢印54で示す冷媒の流出方向とのなす角度は鋭角である。第2流出部52は、モータハウジング2の外側面のうちモータ軸21を挟んで差動軸71とは反対側の端部と、モータとの間に向かって延伸する。
【0047】
このように、第2流入部51および第2流出部は、領域24におけるX軸負方向の端面と、領域24におけるZ軸負方向の端面と、モータハウジング2の外側面とによって囲まれるデッドスペースに設けられる。これにより、モータハウジング2の外側面から第2流入部および第2流出部が突出することを抑制でき、駆動装置1全体の大きさを小型化することができる。また、例えば、第2流出部52が上方に設けられる場合と比較して、第2流路5の長さを長くすることができ、ステータコア22をより冷却することができる。また、駆動装置1が、X軸方向が車両の前後方向となるように搭載される場合に、車両の前後方向における大型化を抑制できる。
【0048】
図5は、駆動装置をY-Z平面と平行な面で切断した断面説明図である。
図5に示すように、インバータハウジング3は、収容部43と、インバータ蓋部44とを含む。収容部43は、インバータ30を収容し、インバータ30を挟んでモータ20とは反対側に開口する。すなわち、収容部43は、Z軸正方向側に開口する。モータ20は、収容部43のZ軸負方向側に位置する。
【0049】
インバータ蓋部44は、収容部43における開口部を覆う。本実施形態では、第1流路4は、インバータ蓋部44と一体に設けられる。これにより、第1流路4と第2流路5とによってインバータ30を挟むことにより、インバータ30を効率的に冷却することができる。なお、第1流路部4は、収容部43に設けられてもよい。
【0050】
本実施形態では、インバータ30は、インバータ蓋部44の内側面に組付けられる。これにより、モータとは別に、インバータ30を組付けることができる。また、インバータ30を組み付ける工程では、まず、収容部43に取り付けられる前のインバータ蓋部44にインバータ30を取り付ける。そして、インバータ30が取り付けられたインバータ蓋部44によって収容部43の開口を塞ぎ、インバータ蓋部44を収容部43に固定する。
【0051】
これにより、インバータ30の組み付けを容易に行うことができ、インバータ30の組み付けと、第1流路4の形成とを同時に行うことができる。また、インバータ30とインバータ蓋部44に一体に設けられる第1流路との距離を近くすることができるため、インバータ30を効率的に冷却できる。なお、インバータ30は、収容部43の内部に組付けられてもよい。
【0052】
図6は、インバータハウジング3内の配置を示す説明図である。
図6に示すように、第1流路4の第1流入部42は、モータ20の径方向において第2流路5と重なる位置に設けられる。第1流路4の第1流出部41は、モータ20の径方向において第2流路5と重なる位置に設けられる。これにより、第1流路4から第2流路5までの距離が短縮されることで、冷媒の圧損を低減できる。
【0053】
インバータハウジング3には、コンデンサ81が収容される。コンデンサ81は、モータ20の駆動時に発熱する場合がある。コンデンサ81は、モータ20の径方向において第2流路5と重なる位置に設けられる。コンデンサ81は、第1流路4の一部と、第2流路5との間に位置する。これにより、コンデンサ81の冷却効率が向上する。
【0054】
インバータ30は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワーデバイスを含む。パワーデバイスは、モータ20の駆動時に発熱する場合がある。パワーデバイスは、モータ20の径方向において第2流路5と重なる位置に設けられる。パワーデバイスは、モータ20の径方向において第1流路4の一部と重なる位置に設けられる。これにより、パワーデバイスの冷却効率が向上する。
【0055】
インバータハウジング3とモータハウジング2との間には、インバータ30とモータ20とを接続するバスバー82が設けられる。バスバー82は、モータ20の駆動時に発熱する場合がある。バスバー82は、モータ20の径方向において第2流路5と重なる位置に設けられる。これにより、バスバー82の冷却効率が向上する。
【0056】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1)
モータと、前記モータを収容するモータハウジングと、
前記モータと電気的に接続されるインバータと、前記インバータを収容するインバータハウジングと、
前記モータの軸方向他方側に位置し、モータ軸の回転に連動して差動軸を回転させるギヤと、
を有し、
前記インバータハウジングは、前記モータハウジングと径方向に重なり、
前記インバータハウジングには、冷媒が流れる第1流路が設けられ、
前記モータハウジングには、前記冷媒が流れる第2流路が設けられ、
前記第1流路と前記第2流路とを連結する第3流路が設けられ、
前記第2流路は、
前記冷媒が前記第2流路に流入する第2流入部と、
前記冷媒が前記第2流路から流出する第2流出部と、
を有し、
前記第2流入部は、前記モータハウジングにおける前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の領域のうち、前記モータハウジングにおける前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の端部よりも前記モータ軸に近い位置に設けられる、
駆動装置。
(2)
前記第2流入部は、前記モータハウジングの外側面において、前記モータ軸を挟んで前記インバータハウジングとは反対側の領域に設けられる、
(1)に記載の駆動装置。
(3)
前記第2流路は、前記第2流路の外部へと前記冷媒が流出する第2流出部、を有し、
前記第2流出部は、前記モータハウジングの外側面において、前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側であり、かつ前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の端部よりも前記モータ軸に近い位置に設けられる、
(1)または(2)に記載の駆動装置。
(4)
前記第2流出部は、前記モータハウジングの外側面において、前記モータ軸を挟んで前記インバータハウジングとは反対側の領域に設けられる、
(3)に記載の駆動装置。
(5)
前記第1流路は、前記インバータハウジングの側面のうち前記モータの軸方向一方側を向く面に、前記冷媒が前記第1流路から流出する第1流出部が設けられ、
前記第1流出部は、前記モータの軸方向一方側に向かって開口し、
前記第2流入部は、前記モータの軸方向一方側に向かって開口する、
(1)~(4)のいずれか一つに記載の駆動装置。
(6)
前記第2流入部は、前記モータハウジングの外側面のうち、軸方向一方側に位置する、
(5)に記載の駆動装置。
(7)
前記第3流路と前記第1流路とを連結する第1連結部、および、前記第3流路と前記第2流路とを連結する第2連結部は、それぞれ、シール部材によって封止される、
(1)~(6)のいずれか一つに記載の駆動装置。
(8)
前記モータハウジングは、前記モータの軸方向一端にモータ蓋部を有し、
前記第3流路の少なくとも一部は、前記モータ蓋部の軸方向一方側に設けられる、
(1)~(7)のいずれか一つに記載の駆動装置。
(9)
前記モータは、前記モータハウジングの内側面に固定される筒状のステータコアを有し、
前記第2流路は、前記モータの軸方向からみて、前記ステータコアの外側面の接線方向に沿って、前記差動軸と前記モータ軸との間を通る方向に延伸する、
(1)~(8)のいずれか一つに記載の駆動装置。
(10)
前記モータの軸方向からみて、前記第2流入部から前記モータハウジングの内部へ向かう前記冷媒の流入方向と、前記第2流出部から前記モータハウジングの外部へ向かう前記冷媒の流出方向とのなす角度は鋭角であり、
前記第2流出部は、前記モータハウジングの外側面のうち前記モータ軸を挟んで前記差動軸とは反対側の端部と、前記モータとの間に向かって延伸する、
(1)~(9)のいずれか一つに記載の駆動装置。
(11)
前記インバータハウジングは、前記インバータを収容し、前記インバータを挟んで前記モータとは反対側に開口部を有する収容部と、前記収容部における開口部を閉塞するインバータ蓋部とを含み、
前記第1流路は、前記インバータ蓋部と一体に設けられる、
(1)~(10)のいずれか一つに記載の駆動装置。
(12)
前記モータと前記インバータとを電気的に接続する接続部をさらに有し、
前記モータハウジングの外側面には、前記接続部と径方向に重なる位置において、前記モータハウジングの内部と外部とを連通させる圧力調整機構が設けられる、
(1)~(11)のいずれか一つに記載の駆動装置。
【符号の説明】
【0057】
1 駆動装置
2 モータハウジング
3 インバータハウジング
4 第1流路
5 第2流路
6 第3流路
20 モータ
21 モータ軸
22 ステータコア
23 ロータ
24 領域
25 モータ蓋部
30 インバータ
32 接続部
33 圧力調整機構
41 第1流出部
42 第1流入部
43 収容部
44 インバータ蓋部
51 第2流入部
52 第2流出部
53 太線矢印
54 太線矢印
61 第1連結部
62 第2連結部
71 差動軸
81 コンデンサ
82 バスバー