(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095463
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】折り畳み式屋根
(51)【国際特許分類】
E04F 10/02 20060101AFI20240703BHJP
E04B 7/16 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E04F10/02
E04B7/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212769
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】柴田 航輔
(72)【発明者】
【氏名】市川 聖士
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 慎也
(72)【発明者】
【氏名】川崎 凌汰
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA00
2E105BB01
2E105CC03
2E105DD02
2E105DD14
2E105DD26
2E105EE11
2E105EE13
2E105FF34
2E105FF41
2E105FF45
2E105GG11
2E105GG13
2E105GG21
(57)【要約】
【課題】意匠性を損ねることなく、折り畳まれた屋根材の汚れを防止できる折り畳み式屋根を提供すること。
【解決手段】2本の支持フレームと、2本の支持フレームに架け渡されるとともに、支持フレームの長さ方向に沿って互いに離隔する方向及び互いに近接する方向に相対的に移動可能に支持される複数のシートフレームと、隣り合うシートフレームの間に亘って設けられ、複数のシートフレームが互いに離隔する方向に移動したときに展張され、複数のシートフレームが互いに近接する方向に移動したときに、隣り合うシートフレームの間に折り畳まれる屋根材と、隣り合うシートフレームの対向面における少なくともいずれか一方のシートフレームの対向面に設けられ、隣り合うシートフレームの間の折り畳まれた屋根材の上方を覆うカバー部材と、を備える、折り畳み式屋根。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の支持フレームと、
前記2本の支持フレームに架け渡されるとともに、前記支持フレームの長さ方向に沿って互いに離隔する方向及び互いに近接する方向に相対的に移動可能に支持される複数のシートフレームと、
隣り合う前記シートフレームの間に亘って設けられ、前記複数のシートフレームが互いに離隔する方向に移動したときに展張され、前記複数のシートフレームが互いに近接する方向に移動したときに、隣り合う前記シートフレームの間に折り畳まれる屋根材と、
隣り合う前記シートフレームの対向面における少なくともいずれか一方の前記シートフレームの前記対向面に設けられ、隣り合う前記シートフレームの間の折り畳まれた前記屋根材の上方を覆うカバー部材と、
を備える、折り畳み式屋根。
【請求項2】
前記カバー部材は、隣り合う前記シートフレームの前記対向面に弾性的に当接可能な先端部材を有する、請求項1に記載の折り畳み式屋根。
【請求項3】
前記シートフレームは、前記対向面に、前記シートフレームの長さ方向に延びる凹部を有し、
前記カバー部材は、前記凹部に挿入される突片を有する、請求項1又は2に記載の折り畳み式屋根。
【請求項4】
前記カバー部材は、中空形状を有する、請求項1又は2に記載の折り畳み式屋根。
【請求項5】
前記屋根材は、可撓性を有するシート材である、請求項1又は2に記載の折り畳み式屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、折り畳み式屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2本の支持フレームに架け渡された複数のシートフレーム間に可撓性のシート材を張り渡した折り畳み式屋根が知られている。支持フレームに沿ってシートフレームが互いに離隔する方向に移動すると、シート材は展張される。支持フレームに沿ってシートフレームが互いに近接する方向に移動すると、シート材は折り畳まれる。このような折り畳み式屋根は、日射遮蔽を主目的とするため、屋外に設置されて主に夏場に使用される。使用しない期間は、シート材は折り畳まれてコンパクトに収納される。このような折り畳み式屋根としては、一般に、オーニングと呼ばれる製品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
折り畳み式屋根は、屋外に設置されるため、折り畳まれて使用しない期間中であっても、常に風雨に晒される。そのため、経年によってシート材に落ち葉等のゴミが溜まり、シート材の汚れが進行する。特許文献1に記載の技術では、折り畳まれたシート材の上方を覆うように、劣化及び汚れ防止用の天板カバーを設けているが、常に天板カバーが目立つため、意匠性を損ねる。そのため、意匠性を損ねることなく、折り畳まれたシート材の汚れを防止できるようにすることが望まれる。
【0005】
本開示は、意匠性を損ねることなく、折り畳まれたシート材の汚れを防止できる折り畳み式屋根を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、2本の支持フレームと、前記2本の支持フレームに架け渡されるとともに、前記支持フレームの長さ方向に沿って互いに離隔する方向及び互いに近接する方向に相対的に移動可能に支持される複数のシートフレームと、隣り合う前記シートフレームの間に渡って設けられ、前記複数のシートフレームが互いに離隔する方向に移動したときに展張され、前記複数のシートフレームが互いに近接する方向に移動したときに、隣り合う前記シートフレームの間に折り畳まれる屋根材と、隣り合う前記シートフレームの対向面における少なくともいずれか一方の前記シートフレームの前記対向面に設けられ、隣り合う前記シートフレームの間の折り畳まれた前記屋根材の上方を覆うカバー部材と、を備える、折り畳み式屋根に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る折り畳み式屋根の展張時の斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る折り畳み式屋根の展張時の平面図である。
【
図3】本実施形態に係る折り畳み式屋根の折り畳み時の斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る折り畳み式屋根の折り畳み時の平面図である。
【
図6】本実施形態に係る折り畳み式屋根の先導シートフレームの部分を示す斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る折り畳み式屋根の従動シートフレームの部分を示す斜視図である。
【
図8】本実施形態に係る折り畳み式屋根の固定シートフレームの部分を示す斜視図である。
【
図9】本実施形態に係る折り畳み式屋根の展張時の正面図である。
【
図10】本実施形態に係る折り畳み式屋根の展張時の従動シートフレームを示す断面図である。
【
図11】本実施形態に係る折り畳み式屋根のカバー部材の分解斜視図である。
【
図12】本実施形態に係る折り畳み式屋根の折り畳み時の従動シートフレームを示す断面図である。
【
図13】
図4中のB部を一部破断して拡大して示す斜視図である。
【
図14】
図4中のC部を拡大して示す斜視図である。
【
図15】
図4中のD部を拡大して示す斜視図である。
【
図16】
図4中のE部を一部破断して拡大して示す斜視図である。
【
図17】他の実施形態に係るカバー部材を有する折り畳み時のシートフレームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の折り畳み式屋根の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本開示の折り畳み式屋根1は、屋外に設置されて主に日射遮蔽を目的として使用される。
【0009】
各図中の方向について、次のとおり定義する。D1-D2方向は、折り畳み式屋根1の前後方向である。D1方向は、折り畳み式屋根1の「前」と定義する。D2方向は、折り畳み式屋根1の「後」と定義する。D3-D4方向は、折り畳み式屋根1の幅方向である。D3方向は、折り畳み式屋根1の「左」と定義する。D2方向は、折り畳み式屋根1の「右」と定義する。
【0010】
図1~
図4に示すように、折り畳み式屋根1は、4本の支柱11と、2本の支持フレーム12と、2本の梁フレーム13と、を有する。4本の支柱11は、折り畳み式屋根1の四隅に立設される。支持フレーム12は、2本の支柱11の上端部に亘って前後に平行に架設される。梁フレーム13は、2本の支柱11の上端部に亘って、支持フレーム12と直交するように設けられる。
【0011】
図5に示すように、2本の支持フレーム12の対向する内側面12aに、後述のシートフレーム2の前後方向の移動を案内するガイドレール121がそれぞれ取り付けられる。ガイドレール121は、支持フレーム12の長さ方向に沿って延びている。ガイドレール121は、支持フレーム12の内側面12aに沿って取り付けられる取付板121aと、取付板121aの上端から対向する支持フレーム12に向けて延びる上側板121bと、取付板121aの下端から対向する支持フレーム12に向けて上側板121bと平行に延びる下側板121cと、上側板121b及び下側板121cから上下に対向するようにそれぞれ突出する一対のレール部121d,121dと、上側板121bに取り付けられて一対のレール部121d,121dを内側から覆うレールカバー部121eと、を有する。
【0012】
矩形に枠組みされた支持フレーム12及び梁フレーム13の内側に、屋根材である可撓性のシート材3を張り渡す複数のシートフレーム2が設けられる。複数のシートフレーム2は、2本の支持フレーム12に互いに平行に架け渡される。複数のシートフレーム2は、シートフレーム2の両端部に設けられる吊下げ部材4によって、支持フレーム12の長さ方向に沿って互いに離隔する方向及び互いに近接する方向に相対的に移動可能に吊下げ支持される。シート材3は、複数のシートフレーム2が、後述の移動機構5の操作によって、支持フレーム12の長さ方向に沿って前後に相対的に移動することによって、折り畳み式屋根1の前後方向に展張及び折り畳み可能に構成される。
【0013】
シートフレーム2の本数は2本以上であればよく、特に制限はない。本実施形態の折り畳み式屋根1には、2本の支持フレーム12間に6本のシートフレーム2が架け渡されている。6本のシートフレーム2は、先導シートフレーム2A、従動シートフレーム2B及び固定シートフレーム2Cの3種類に分けられる。
【0014】
先導シートフレーム2Aは、折り畳み式屋根1の最も前方に配置されるシートフレームである。先導シートフレーム2Aは、後述する移動機構5によって前後に移動するシートフレームである。
図5及び
図6に示すように、先導シートフレーム2Aの両端部には、支持フレーム12に吊り下げるための吊下げ部材4A,4Aがそれぞれ取り付けられる。
【0015】
吊下げ部材4Aは、支持フレーム12に設けられるガイドレール121の上下一対のレール部121d,121d間に緩く係合してレール部121d,121dに沿って転動する一対のローラ41,41と、一対のローラ41,41を回転可能に支持する支持板42と、先導シートフレーム2Aと支持板42とを連結する一対の連結板43,43と、を有する。一対の連結板43,43は、先導シートフレーム2Aを前後から挟むように配置され、ねじ43aによって先導シートフレーム2Aに固定される。一対の連結板43,43の上下方向の長さは、左右の吊下げ部材4で相違している。
図5に示すように、先導シートフレーム2Aの右端部(D4方向の端部)に取り付けられる連結板43の上下方向の長さは、先導シートフレーム2Aの左端部(D3方向の端部)に取り付けられる連結板43の上下方向の長さに比べて長い。
【0016】
先導シートフレーム2Aの左右の吊下げ部材4A,4Aに亘って、矩形箱状の操作フレーム20が設けられる。左右の吊下げ部材4A,4Aの支持板42,42には、ブラケット44,44がそれぞれ取り付けられている。操作フレーム20の両端部は、左右の吊下げ部材4A,4Aのブラケット44,44の上面44a,44aにそれぞれ固定されている。操作フレーム20の両端部は、後述する移動機構5の操作ロープ51に固定される。ガイドレール121に転動可能に吊下げされる先導シートフレーム2Aは、操作ロープ51が操作されることによって、操作フレーム20を介してガイドレール121に沿って前後方向に移動する。
【0017】
従動シートフレーム2Bは、先導シートフレーム2Aと固定シートフレーム2Cとの間に配置される4本のシートフレームである。
図7では、従動シートフレーム2Bの右端部の吊下げ部材4Bのみが示されている。従動シートフレーム2Bの左端部にも、先導シートフレーム2Aの左端部の吊下げ部材4Aと同様の吊下げ部材4Bが取り付けられる。従動シートフレーム2Bの両端部に取り付けられる吊下げ部材4B,4Bは、ブラケット44を有していないこと以外は、先導シートフレーム2Aの左右に取り付けられる吊下げ部材4A,4Aと同一のものである。従動シートフレーム2Bは、先導シートフレーム2Aが前方に移動した際に、先導シートフレーム2Aに係止されるシート材3に引っ張られて前方に向けて順次移動し、先導シートフレーム2Aが後方に移動した際に、先導シートフレーム2Aに押されて後方に向けて順次移動する。
【0018】
固定シートフレーム2Cは、折り畳み式屋根1の最も後方に配置されるシートフレームである。
図8では、固定シートフレーム2Cの右端部の吊下げ部材4Cのみが示されている。固定シートフレーム2Cの左端部にも、先導シートフレーム2Aの左端部の吊下げ部材4Aと同様の吊下げ部材4Bが取り付けられる。固定シートフレーム2Cの両端部に取り付けられる吊下げ部材4C,4Cは、一対のローラ41,41及びブラケット44を有していないこと以外は、先導シートフレーム2Aの左右に取り付けられる吊下げ部材4A,4Aと同一のものである。但し、吊下げ部材4Bの支持板42にはストッパゴム45が設けられている。ストッパゴム45は、支持板42における支持フレーム12に対向する外面42aに取り付けられている。ストッパゴム45は、ガイドレール121に対して、取付板121aと上下一対のレール部121d,121dとの間に嵌合するように弾性的に圧入される。これによって、吊下げ部材4Cは、ストッパゴム45の弾性反発力によって、ガイドレール121,121内に保持されて位置不動に固定される。
【0019】
折り畳み式屋根1は、
図1及び
図2に示すように、先導シートフレーム2Aがガイドレール121に沿って最も前方に移動して、隣り合うシートフレーム2,2の間隔が最大になった際に、先導シートフレーム2Aと固定シートフレーム2Cとの間でシート材3が広げられて屋根を形成する。左右の吊下げ部材4,4は、連結板43,43の上下方向の長さが異なるため、
図9に示すように、シートフレーム2は、右端部(D4方向の端部)が左端部(D3方向の端部)よりも下方に配置され、屋根は右側に下り傾斜するように形成される。折り畳み式屋根1は、
図3及び
図4に示すように、先導シートフレーム2Aがガイドレール121に沿って最も後方に移動して、隣り合うシートフレーム2,2の間隔が最小になった際に、シート材3が下方に垂れ下がるように折り畳まれて収納される。
【0020】
次に、シートフレーム2の構成について説明する。先導シートフレーム2A、従動シートフレーム2B及び固定シートフレーム2Cは、折り畳み式屋根1の前後方向の取り付け位置が異なる以外、実質的に同一の構成を有する。そのため、
図7及び
図10を参照して、1本のシートフレーム2の構成について説明する。
図10は、ガイドレール121に吊下げ支持された、シート材3を展張させた状態の従動シートフレーム2Bを示している。
【0021】
シートフレーム2は、フレーム本体21と、一対の係止溝22と、フレームキャップ23と、を有する。フレーム本体21は、断面略矩形状の中空のアルミ型材からなり、2本の支持フレーム12,12に亘って直線状に延びている。フレーム本体21の前側面21a及び後側面21bには、凹部211がそれぞれ1本ずつ設けられている。凹部211は、フレーム本体21の長さ方向の全長に亘って延びている、前側面21a及び後側面21bの各凹部211は、フレーム本体21の上下方向の同一高さに配置されている。やうぶ211は、フレーム本体21の強度を保持し、シートフレーム2が長さ方向に撓むことを抑制する。
【0022】
一対の係止溝22,22は、フレーム本体21の下端部21cに、前後方向に並んで設けられる。係止溝22は、断面円形状に形成され、フレーム本体21の長さ方向の全長に亘って延びている。係止溝22は、下方に向けてスリット状に開口している。係止溝22には、シート材3をシートフレーム2に取り付けるための丸棒221が、係止溝22の長さ方向に挿入される。丸棒221は、シート材3の端部を巻き付けた状態で、係止溝22内に挿入される。これによって、シート材3は、シートフレーム2に係止される。
【0023】
本実施形態の折り畳み式屋根1は、5枚に分割されたシート材3を、隣り合うシートフレーム2,2の間にそれぞれ個別に張り渡して構成される。図示しないが、折り畳み式屋根1は、1枚のシート材を、全てのシートフレーム2に亘って張り渡すことによって構成されてもよい。
【0024】
フレームキャップ23は、アルミニウム等の金属材もしくは樹脂材によって形成される。フレームキャップ23は、シート材3を係止した後の一対の係止溝22,22の両端面を含むシートフレーム2の両端面にそれぞれ取り付けられる。
【0025】
6本のシートフレーム2のうちの少なくとも5本のシートフレーム2には、カバー部材24が取り付けられる。カバー部材24は、シートフレーム2の側面に取り付けられて、隣りのシートフレーム2に向けて突出する。本実施形態のカバー部材24は、先導シートフレーム2Aを除く5本のシートフレーム2、すなわち、従動シートフレーム2B及び固定シートフレーム2Cの前側面21aにそれぞれ取り付けられている。
【0026】
カバー部材24について、さらに
図11~
図14を参照して説明する。
図11に示すように、カバー部材24は、カバー材本体241と、先端部材242と、カバー材キャップ243と、によって構成される。
【0027】
カバー材本体241は、アルミニウム等の金属材からなる断面略横長矩形の中空形状の押出型材からなる。カバー材本体241は、シートフレーム2の長さ方向の全長に亘って延びている。カバー材本体241が中空形状であることによって、カバー部材24は、積雪等に対する耐荷重性に優れるとともに、断熱性に優れる。
【0028】
シートフレーム2の前側面21aに当接するカバー材本体241の後端面241aには、取付板部2411が一体に設けられている。取付板部2411は、カバー材本体241から後端面241aと面一状に上方に延出している。カバー材本体241の後端面241aには、突片2412が設けられている。取付板部2411及び突片2412は、カバー材本体241の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0029】
先端部材242は、ゴム、樹脂等の弾性部材からなり、カバー材本体241の前端に形成された取り付け溝2413に着脱可能に取り付けられている。先端部材242は、カバー材本体241から隣りのシートフレーム2に向けてヒレ状に張り出している。先端部材242は、カバー材本体241の長さ方向の全長に亘って延びている。先端部材242は、折り畳み時に、隣り合うシートフレーム2の後側面21bに当接した際に、弾性的に当接する。そのため、仮に、カバー部材24がシートフレーム2に強く当接しても、シートフレーム2を損傷するおそれはない。先端部材242は弾性部材からなるため、カバー部材24がシートフレーム2に当接した際の異音の発生も抑えられる。
【0030】
カバー部材24は、取付板部2411を貫通するねじ24aによって前側面21aに固定される。このとき、突片2412が凹部211に挿入されることによって、カバー部材24が適正位置に位置決めされる。シートフレーム2の前側面21aに取り付けられたカバー部材24は、
図12に示すように、折り畳み時の隣り合うシートフレーム2,2の隙間を遮蔽するように、シートフレーム2の前側面21aから、この前側面21aとの対向面である隣りのシートフレーム2の後側面21bに向けて突出する。カバー部材24の先端部材242は、隣りのシートフレーム2の後側面21bに当接もしくは近接する。
【0031】
これによって、
図4、
図12~
図14に示すように、全てのシートフレーム2が近接した折り畳み時、隣り合うシートフレーム2,2の隙間は、それぞれカバー部材24で覆われる。そのため、長期使用によってシート材3がゴミ等によって汚れることは防止される。カバー部材24は、シートフレーム2に取り付けられて隣り合うシートフレーム2,2間に配置される小部品からなるため、展開時及び折り畳み時のいずれにおいても目立つことはなく、折り畳み式屋根1の意匠性を損なうおそれはない。先端部材242が隣りのシートフレーム2の後側面21bに当接する場合では、シート材3を雨水から防ぐことができ、シート材3の保護効果がさらに向上する。
【0032】
次に、シートフレーム2の移動機構5について、
図13~
図16を参照して説明する。移動機構5は、先導シートフレーム2Aを移動操作する操作ロープ51と、矩形に枠組みされた支持フレーム12及び梁フレーム13の四隅に配置される複数のプーリ52~56と、によって構成される。
【0033】
操作ロープ51は、環状に形成される。操作ロープ51は、第1プーリ52~第5プーリ56に掛け渡されている。
【0034】
第1プーリ52は、
図13に示すように、固定シートフレーム2Cが配置される後方の梁フレーム13の左端部と支持フレーム12の後端部との隅角部に取り付けられる。第1プーリ52は、横方向に並んで配置されて一対のプーリ52a,52bを有する。プーリ52a,52bの回転軸は、内側面13aに垂直方向に配置される。第1プーリ52は、プーリ52a,52bに掛けられた環状の操作ロープ51の移動方向を、下方と第2プール53に向かう方向との間で変更する。
【0035】
第2プーリ53は、
図13に示すように、固定シートフレーム2Cが配置される後方の梁フレーム13の左端部と支持フレーム12の後端部との隅角部に、第1プーリ52に隣接して取り付けられる。第2プーリ53は、上下方向に並んで配置される一対のプーリ53a,53bを有する。プーリ53a,53bの回転軸は、上下方向に配置される。第2プーリ53は、プーリ53a,53bに掛けられた環状の操作ロープ51の移動方向を、第1プーリ52に向かう方向と第3プーリ54に向かう方向との間で変更する。
【0036】
第3プーリ54は、
図14に示すように、前方に配置される梁フレーム13の左端部と支持フレーム12の前端部との隅角部に取り付けられる。第3プーリ54は、上下方向に並んで配置される一対のプーリ54a,54bを有する。プーリ54a,54bの回転軸は、上下方向に配置される。第3プーリ54は、プーリ54a,54bに掛けられた環状の操作ロープ51の移動方向を、第2プーリ53に向かう方向と第4プーリ55に向かう方向との間で変更する。
【0037】
第4プーリ55は、
図15に示すように、前方に配置される梁フレーム13の右端部と支持フレーム12の前端部との隅角部に取り付けられる。第4プーリ55は、上下方向に並んで配置される一対のプーリ55a,55bを有する。プーリ55a,55bの回転軸は、上下方向に配置される。第4プーリ55は、プーリ55a,55bに掛けられた環状の操作ロープ51の移動方向を、第3プーリ54に向かう方向と第5プーリ56に向かう方向との間で変更する。
【0038】
第5プーリ56は、
図16に示すように、前方に配置される梁フレーム13の左端部と支持フレーム12の前端部との隅角部に取り付けられる。第5プーリ56は、少なくとも1つのプーリ56aを有する。プーリ56aの回転軸は、上下方向に配置される。第5プーリ56は、環状の操作ロープ51の端部が掛けられることによって、操作ロープ51を第4プーリ55との間で往復させる。
【0039】
操作ロープ51は環状であるため、
図13~
図16において、操作ロープ51が、第2プーリ53、第3プーリ54、第4プーリ55及び第5プーリ56の順に移動した場合の進行方向に移動する操作ロープ51を往きロープ51aと定義し、進行方向と反対方向に移動する操作ロープ51を戻りロープ51bと定義する。
【0040】
図13及び
図16に示すように、操作ロープ51の往きロープ51a及び戻りロープ51bは、先導シートフレーム2Aに設けられる操作フレーム20の内部を貫通している。操作フレーム20の内部には、操作ロープ51を固定するロープ固定部201が設けられている。
図13に示すように、操作フレーム20の左端部のロープ固定部201は、往きロープ51aを固定し、戻りロープ51bを固定しない。一方、
図16に示すように、操作フレーム20の右端部のロープ固定部201は、戻りロープ51bを固定し、往きロープ51aを固定しない。
【0041】
シート材3が折り畳まれた状態の折り畳み式屋根1において、使用者が、第1プーリ52から下方に垂れ下がる操作ロープ51を、往きロープ51aが折り畳み式屋根1の前方に向かうように回転移動させると、操作フレーム20の両端部がそれぞれ操作ロープ51によって前方に向けて引っ張られる。これに伴って、先導シートフレーム2Aが前方に移動し、
図1及び
図2に示すようにシート材3が展開し、屋根が形成される。これとは反対に、使用者が、第1プーリ52から下方に垂れ下がる操作ロープ51を、往きロープ51aが折り畳み式屋根1の後方に向かうように回転移動させると、操作フレーム20の両端部がそれぞれ操作ロープ51によって後方に向けて引っ張られる。これに伴って、先導シートフレーム2Aが後方に移動し、
図2及び
図3に示すようにシート材3が折り畳まれ、屋根は収納される。このとき、隣接するシートフレーム2,2間に折り畳まれたシート材3は、カバー部材24によって覆われる。
【0042】
本実施形態に係る折り畳み式屋根1によれば、以下の効果を奏する。
【0043】
(1) 折り畳み式屋根1は、2本の支持フレーム12,12と、2本の支持フレーム12,12に架け渡されるとともに、支持フレーム12,12の長さ方向に沿って互いに離隔する方向及び互いに近接する方向に相対的に移動可能に支持される複数のシートフレーム2と、隣り合うシートフレーム2,2の間に亘って設けられ、複数のシートフレーム2が互いに離隔する方向に移動したときに展張され、複数のシートフレーム2が互いに近接する方向に移動したときに、隣り合うシートフレーム2,2の間に折り畳まれる可撓性のシート材3と、隣り合うシートフレーム2,2の対向面する前側面21a,後側面21bにおける少なくともいずれか一方のシートフレームの前側面21aに設けられ、隣り合うシートフレーム2,2の間の折り畳まれたシート材3の上方を覆うカバー部材24と、を備える、折り畳み式屋根1である。
【0044】
これによれば、折り畳み時に隣り合うシートフレーム2,2の隙間は、それぞれカバー部材24で覆われる。そのため、長期使用によってシート材3がゴミ等によって汚れることが防止される。カバー部材24は、シートフレーム2に取り付けられて隣り合うシートフレーム2,2間に配置される小部品からなるため、展開時及び折り畳み時のいずれにおいても目立つことはなく、折り畳み式屋根1の意匠性を損なうおそれはない。
【0045】
(2) 上記(1)に記載の折り畳み式屋根1において、カバー部材24は、隣り合うシートフレーム2,2の対向面である後側面21bに弾性的に当接可能な先端部材242を有する。
【0046】
これによれば、折り畳み時に、カバー部材24がシートフレーム2に強く当接した際に、シートフレーム2を損傷するおそれはない。カバー部材24がシートフレーム2に当接した際の異音の発生も抑えられる。
【0047】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の折り畳み式屋根1において、シートフレーム2は、対向面である前側面21aに、シートフレーム2の長さ方向に延びる凹部211を有し、カバー部材24は、凹部211に挿入される突片2412を有する。
【0048】
これによれば、カバー部材24がシートフレーム2の前側面21aの適正位置に位置決めされる。そのため、カバー部材24をシートフレーム2に対して直線状に延びるように容易に取り付けることができる。
【0049】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかに記載の折り畳み式屋根1において、カバー部材24は、中空形状を有する。
【0050】
これによれば、カバー部材24は、積雪等に対する耐荷重性に優れる。カバー部材24は、断熱性に優れるため、その下方のシート材3の保護効果も向上する。
【0051】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかに記載の折り畳み式屋根1において、屋根材は、可撓性を有するシート材である。
【0052】
これによれば、折り畳み式屋根1を容易に展開及び折り畳みすることができる。
【0053】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示の折り畳み式屋根1は、以上の実施形態に限定されない。本開示の折り畳み式屋根1において、カバー部材24の先端部材242は、
図17に示すように中空形状であってもよい。中空形状の先端部材242は、隣りのシートフレーム2の後側面21bに対して当接した際の衝撃をさらに緩和することができる。
【0054】
カバー部材24の先端部材242は、折り畳み時に、隣りのシートフレーム2の後側面21bに設けられる凹部211に嵌合してもよい。これによって、カバー部材24の耐荷重性がさらに向上するとともに、雨水の浸入防止効果も向上し、シート材3の保護効果がさらに向上する。
【0055】
カバー部材24は、固定シートフレーム2C以外の先導シートフレーム2A及び従動シートフレーム2Bの後側面21bに取り付けられ、隣りのシートフレーム2の前側面21aに当接もしくは近接するように設けられてもよい。
【0056】
カバー部材24は、隣り合うシートフレーム2,2の互いに対向する前側面21aと後側面21bとにそれぞれ設けられてもよい。この場合、対向するカバー部材24は、隣り合うシートフレーム2,2の間で、上下に重なるように配置されてもよいし、隣り合うシートフレーム2,2の中央で互いに突き合わされるように配置されてもよい。
【0057】
折り畳み式屋根1において、先導シートフレーム2Aは、使用者が操作ロープ51を手動操作して移動させるものに限定されない。折り畳み式屋根1は、モータ等の駆動源の動作によって、先導シートフレーム2Aを自動で移動させるように構成されてもよい。
【0058】
折り畳み式屋根1は、少なくとも2本の支持フレーム12,12の間に複数のシートフレーム2を移動可能に支持するように構成されるものであればよく、支柱11及び梁フレーム13は必ずしも設けられなくてもよい。
【0059】
折り畳み式屋根1において、屋根材は、隣り合うシートフレーム2,2間に、シートフレーム2の移動に伴って展張及び折り畳み可能に構成されるものであればよく、以上説明したシート材3に限定されない。
【符号の説明】
【0060】
1 折り畳み式屋根、 12 支持フレーム、 2 シートフレーム、 21a 前側面(対向面)、 21b 後側面(対向面)、 211 凹部、 24 カバー部材、 2412 突片、 242 先端部材、 3 シート材