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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095464
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】屋根構造物の雨樋構造及び屋根構造物
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/068 20060101AFI20240703BHJP
   E04D 13/072 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E04D13/068 503A
E04D13/068 501A
E04D13/072 501F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212770
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】柴田 航輔
(72)【発明者】
【氏名】市川 聖士
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 慎也
(57)【要約】
【課題】デザイン性を損なうことなく、横樋と竪樋との間を連結することができる屋根構造物の雨樋構造を提供すること。
【解決手段】上下方向に延びる複数の支柱と、複数の支柱に亘って架け渡される横材と、横材の間に配置されて横材に向けて下り傾斜するように設けられる屋根材と、屋根材の傾斜方向の下流側の端部に沿って横材に取り付けられる第1横樋と、複数の支柱のうちの屋根材から離隔して配置されるいずれかの支柱に沿って取り付けられる竪樋と、横材に沿って取り付けられ、第1横樋を流れる水を竪樋に向けて排水する第2横樋と、を備える、屋根構造物の雨樋構造である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる複数の支柱と、
前記複数の支柱に亘って架け渡される横材と、
前記横材の間に配置されて前記横材に向けて下り傾斜するように設けられる屋根材と、
前記屋根材の傾斜方向の下流側の端部に沿って前記横材に取り付けられる第1横樋と、
前記複数の支柱のうちの前記屋根材から離隔して配置されるいずれかの前記支柱に沿って取り付けられる竪樋と、
前記横材に沿って取り付けられ、前記第1横樋を流れる水を前記竪樋に向けて排水する第2横樋と、
を備える、屋根構造物の雨樋構造。
【請求項2】
前記第2横樋を前記横材に取り付ける複数の取付部材を有する、請求項1に記載の屋根構造物の雨樋構造。
【請求項3】
前記取付部材は、前記横材に対して固定される取付板部と、前記取付板部の下端に接続されて前記第2横樋の幅方向に延びる樋支持板部と、前記樋支持板部の先端に配置されて前記第2横樋の前記横材から遠い側を係止する第1係止部と、前記樋支持板部の基端に配置されて前記第2横樋の前記横材に近い側を係止する第2係止部と、を有する、請求項2に記載の屋根構造物の雨樋構造。
【請求項4】
前記第2横樋は、前記取付部材を含む前記第2横樋の上面を覆うカバー材を有する、請求項2又3に記載の屋根構造物の雨樋構造。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の屋根構造物の雨樋構造を備える、屋根構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、屋根構造物の雨樋構造及び屋根構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の支柱に亘って桁及び梁を接続し、屋根材を支持する屋根構造物が知られている(例えば、特許文献1参照)。屋根材の傾斜方向の下流側の端部には、桁に沿って横樋が取り付けられる。屋根材で受けた雨水は横樋に集められ、横樋の端部に配置される竪樋に排水される。竪樋は、横樋の端部に配置される支柱に沿って取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-240299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デザイン性に優れる様々な構造の屋根構造物が要望されている。このような屋根構造物では、竪樋が取り付けられる支柱を屋根材から離隔して配置する場合がある。この場合では、一般に、横樋の端部にドレンエルボを取り付け、ドレンエルボと竪樋とに亘って円管パイプを掛け渡すことによって、横樋と竪樋とを繋ぐことが行われる。
【0005】
しかしながら、円管パイプは見栄えが悪く、屋根構造物のデザイン性を損ねるおそれがある。
【0006】
本開示は、デザイン性を損なうことなく、横樋と竪樋との間を連結することができる屋根構造物の雨樋構造及び屋根構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の屋根構造物の雨樋構造は、上下方向に延びる複数の支柱と、前記複数の支柱に亘って架け渡される横材と、前記横材の間に配置されて前記横材に向けて下り傾斜するように設けられる屋根材と、前記屋根材の傾斜方向の下流側の端部に沿って前記横材に取り付けられる第1横樋と、前記複数の支柱のうちの前記屋根材から離隔して配置されるいずれかの前記支柱に沿って取り付けられる竪樋と、前記横材に沿って取り付けられ、前記第1横樋を流れる水を前記竪樋に向けて排水する第2横樋と、を備える、屋根構造物の雨樋構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の屋根構造物の平面図である。
図2】本実施形態の屋根構造物の側面図である。
図3図1中のA部を上方から見た斜視図である。
図4図2中のB-B線に沿う縦断面図である。
図5】第1横樋の下流側の端部を下方から見た分解斜視図である。
図6図1中のA部を下方から見た斜視図である。
図7図2中のC-C線に沿う縦断面図である。
図8】第2横樋の分割斜視図である。
図9】第2横樋の取付部材の斜視図である。
図10】第2横樋の下流側の端部を下方から見た分解斜視図である。
図11】竪樋の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の屋根構造物の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本開示の屋根構造物1は、屋外に設置されてカーポート、テラス等として使用される屋根付きの構造物である。屋根構造物1は、図1及び図2に示すように、上下方向に延びる支柱11a~11dと、支柱11a,11c及び支柱11b,11dにそれぞれ掛け渡される桁12a,12bと、桁12a,12bに掛け渡される梁13a,13bと、によって基本フレームが構成される。
【0010】
桁12a,12bは、後述の屋根材16の傾斜方向に交差する方向に沿って延びる構造体である。梁13a,13bは、後述の屋根材16の傾斜方向に沿って延びる構造体である。桁12a,12b及び梁13a,13bは、複数の支柱11a~11dに亘って架け渡される横材である。支柱11a~11d、桁12a,12b及び梁13a,13bは、いずれもアルミニウム等の金属材によって形成される押出型材からなる。
【0011】
図1に示すように屋根構造物1を平面視したときに、4本の支柱11a~11dのうちの3本の支柱11a~11cは、桁12a,12b及び梁13a,13bによって形成される矩形の3つの角部に配置される。残りの1本の支柱11dは、一方の桁12bが、桁12aよりも延長されることによって、矩形の残りの角部から離れた位置に配置される。
【0012】
梁13a,13bのそれぞれの中央部に亘って、1本の棟木14が桁12a,12bと平行に掛け渡される。桁12a,12bに亘って、複数の中間フレーム15が掛け渡される。本実施形態では、4本の中間フレーム15が、桁12a,12b及び棟木14の長さ方向に沿って、梁13a,13b間を均等間隔で分割するように配置されている。これによって、桁12a,12b及び梁13a,13bによって形成される矩形領域は、棟木14及び中間フレーム15によって、10個の小矩形領域に分割される。棟木14及び中間フレーム15は、アルミニウム等の金属材によって形成される押出型材からなる。
【0013】
梁13a,13bの間には、複数の屋根材16が配置される。屋根材16は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂板からなる。屋根材16は、桁12a,12b及び梁13a,13bの内側に形成される10個の小矩形領域に、棟木14側が高く、桁12a,12b側が低くなるようにそれぞれ取り付けられる。屋根材16は、棟木14側を頂点として、図1に示すX1及びX2方向にそれぞれ下り傾斜している。
【0014】
屋根構造物1は、屋根材16で受けた雨水を集めて排水するための第1横樋2と、第2横樋3と、竪樋4と、を有する。第1横樋2は、桁12a,12bに沿ってそれぞれ配置され、屋根材16で受けた雨水を集めて排水する。第2横樋3は、桁12bに沿って配置され、桁12bに配置される第1横樋2内の雨水を、支柱11dに沿って設けられる竪樋4に向けて排水する。桁12aに沿って配置される第1横樋2内の雨水は、支柱11a,11cのいずれかに沿って配置される竪樋によって排水されるが、この竪樋は従来同様の構成であるため図示されていない。
【0015】
第1横樋2は、桁12a,12bにおける屋根材16が配置される内側面にそれぞれ取り付けられる。第1横樋2は、図3及び図4に示すように、屋根材の傾斜方向の下流側の端部に沿って配置され、桁12a,12bに沿って直線状に延びている。第1横樋2は、桁12a,12bのうちの長さの短い桁12aの長さに略等しい長さを有する。全ての屋根材16の下流側の端部16aは、第1横樋2内に排水可能となるように、第1横樋2上に配置される。
【0016】
桁12a,12bにそれぞれ設けられる第1横樋2は、取り付けられている桁12a,12bが異なる以外は同一構成である。図3図5は、2つの第1横樋2のうちの桁12bに取り付けられる第1横樋2を示している。以下において、図3図5に示す桁12bに取り付けられる第1横樋2を参照して、第1横樋2の構成について説明する。
【0017】
第1横樋2は、底板21と、第1側板22と、第2側板23と、端部キャップ24と、アタッチメント25と、を有する。第1横樋2は、底板21、第1側板22及び第2側板23をアルミニウム等の金属材によって一体に形成した押出型材からなる。第1側板22は、底板21の幅方向の一端に立設される。第2側板23は、底板21の幅方向の他端に立設される。第1側板22と第2側板23とは同一高さを有する。
【0018】
第1横樋2は、第2側板23を桁12bの内側面12b1に当接するように配置させた状態で、取付部材26,27によって、桁12bの内側面12b1に固定される。取付部材26は、中間フレーム15に対応する位置に配置され、取付部材27は、第1横樋2の端部に配置される。
【0019】
底板21の一端部には、図5に示すように、第1横樋2に集められた雨水を排水するための円形の開口部211が形成されている。
【0020】
第1側板22は、図4に示すように、第1側板22の長さ方向に沿って、上端を第2側板23に向けて屈曲させた形状の第1係止片221を有する。第1係止片221の上面における第2側板23から遠い側の縁部には、第1係止片221の長さ方向に沿って、ゴムもしくは樹脂からなるクッション部材222が取り付けられている。クッション部材222は、屋根材16の傾斜方向の下流側の端部を下から支持している。クッション部材222は、積雪等の荷重によって屋根材16と第1横樋2との接触部位に応力集中することを抑制する。
【0021】
第2側板23は、図4に示すように、第2側板23の長さ方向に沿って、上端を第1側板22に向けて屈曲させた形状の第2係止片231を有する。
【0022】
端部キャップ24は、図5に示すように、第1横樋2の両端をそれぞれ閉塞する部材である。端部キャップ24は、アルミニウム等の金属材もしくは樹脂材によって矩形板状に形成される。端部キャップ24は、ねじ24aによって、第1横樋2の両端にそれぞれ固定される。端部キャップ24と底板21、第1側板22及び第2側板23との隙間は、図示しないパッキン、シーリンク材等の封止材によって封止される。
【0023】
アタッチメント25は、第1横樋2を流れる雨水を、開口部211を通して後述の第2横樋3に導水するための部材である。アタッチメント25は、アルミニウム等の金属材によって円筒形に形成された押出型材からなる。アタッチメント25は樹脂材によって形成されてもよい。アタッチメント25は、底板21の開口部211に合致する開口径を有する。図5に示すように、アタッチメント25は、開口部211に連通するように配置され、パッキン251を挟んで、ねじ252によって底板21に固定される。
【0024】
取付部材26は、図4に示すように、取付板部261と、中間フレーム支持板部262と、樋支持板部263と、係止板部264と、を一体に有し、アルミニウム等の金属材からなる押出型材を短尺に切断することによって形成される。
【0025】
取付板部261は、桁12bの内側面に沿って当接する板状に形成される。中間フレーム支持板部262は、取付板部261の上端を、それが取り付けられる桁12bから離れる方向に屈曲させた形状を有する。
【0026】
中間フレーム支持板部262は、図3及び図4に示されていない中間フレーム15の端部を載置して支持する。
【0027】
樋支持板部263は、取付板部261の下端を、それが取り付けられる桁12bから離れる方向に屈曲させた形状を有する。樋支持板部263は、取付板部261から第1横樋2を幅方向に横断するように延びている。樋支持板部263における取付板部261に近い端部には、下方に向けて突出するとともに桁12bの内側面12b1に向けて開口する係止部263aが設けられている。
【0028】
係止板部264は、樋支持板部263における取付板部261から遠い端部に設けられている。係止板部264は、図4に示すように、側面視で、樋支持板部263の端部からクランク状に下方に屈曲した形状を有する。係止板部264には、第1横樋2の第1係止片221を挟持するための係止突起264aが設けられている。
【0029】
取付部材26は、第1横樋2の端部から長さ方向にスライドさせて第1横樋2に複数装着される。取付板部261は、第2側板23上に、第2側板23と平行に配置されて桁12bの内側面12b1に当接する。係止板部264は、第1横樋2の第1係止片221の下面側に配置され、第1係止片221を下から支持するとともに、係止突起264aによって第1係止片221を挟持する。係止板部264と第1係止片221とは、ねじ26bによって固定される。ねじ26bは必ずしも設けられなくてもよい。取付部材26の樋支持板部263の係止部263aは、第1横樋2の第2係止片231に係合している。取付部材26は、第1横樋2を支持した状態で、取付板部261を貫通するねじ26aによって、桁12bの内側面12b1に固定される。中間フレーム支持板部262は、図4に示すように、桁12bの上端面12b3と面一状に配置されている。
【0030】
取付部材27は、桁12bの内側面12b1に当接可能な板状に形成される。取付部材27は、第1横樋2の第2側板23を桁12bの内側面12b1に取り付ける部材であり、桁12bの内側面12b1にねじによって固定される。取付部材27は、アルミニウム等の金属材からなる押出型材を短尺に切断することによって形成される。
【0031】
第1横樋2は、梁13a,13bの間に配置される。第1横樋2の両端は、梁13a,13bの内側面13a1,13b1に当接もしくは近接している。第1横樋2は、桁12bの内側面12b1に取り付けられた状態で、桁12bの下端面12b2及び梁13bの下端面13b2に対して、鉛直方向の同一位置もしくは上方に配置されている。詳しくは、第1横樋2の下端面21aは、桁12bの下端面12b2及び梁13bの下端面13b2に対して鉛直方向の同一位置もしくは上方に配置されている。本実施形態では、図4に示すように、第1横樋2の下端面21aは、桁12bの下端面12b2及び梁13bの下端面13b2よりも鉛直方向の上方に配置されている。第1横樋2のアタッチメント25は、桁12bの下端面12b2及び梁13bの下端面13b2よりも下方に突出している。本実施形態において、桁12bの下端面12b2及び梁13bの下端面13b2は、鉛直方向の同一高さに配置されている。
【0032】
第2横樋3は、図1図3図6及び図7に示すように、桁12a,12bのうちの桁12bに沿って取り付けられる。詳しくは、第2横樋3は、第1横樋2のアタッチメント25の付近から、桁12bに沿って梁13bの下方を横断し、支柱11dまで直線状に延びている。第1横樋2の端部と第2横樋3の端部とは、アタッチメント25を介して上下に重なっている。第2横樋3は、第1横樋2による排水機能を支柱11dまで延長する延長横樋として機能する。
【0033】
第2横樋3は、底板31と、第1側板32と、第2側板33と、端部キャップ34,35と、アタッチメント36と、カバー材37と、を有する。第2横樋3は、底板31、第1側板32及び第2側板33をアルミニウム等の金属材によって一体に形成した押出型材からなる。第1側板32は、底板31の幅方向の一端に立設される。第2側板33は、底板31の幅方向の他端に立設される。第1側板32と第2側板33とは同一高さを有する。第2横樋3は、第2側板33を桁12bの内側面12b1に当接させた状態で、複数の取付部材38及びねじ38aによって、桁12bの内側面12b1に固定される。
【0034】
底板31の一端部には、図8及び図10に示すように、第2横樋3を流れる雨水を、後述の竪樋4に排水するための円形の開口部311が形成されている。開口部311が形成される底板31の一端部は、第1横樋2から遠い側の端部であり、支柱11dに近い側の端部である。
【0035】
第1側板32は、図7に示すように、第1側板32の長さ方向に沿って、第1係止片321を有する。第1係止片321は、第1側板32の高さ方向の中間部位よりも上端寄りの位置から第2側板33に向けて突出している。詳しくは、第1係止片321は、第1側板32から第2側板33に向けて底板31と平行に突出して直ぐに斜め下方に傾斜し、再び第2側板33に向けて底板31と平行に延びている。第1側板32の上端には、第2側板33に向けて屈曲して底板31と平行に延びるカバー係止片322が形成されている。
【0036】
第2側板33は、図7に示すように、第2側板33の長さ方向に沿って、上端を第1側板22に向けて斜め下方に屈曲させた形状の第2係止片331を有する。
【0037】
端部キャップ34は、第2横樋3における開口部311が形成される端部とは反対側の端部を閉塞する部材である。端部キャップ34は、矩形板状に形成される。
【0038】
端部キャップ35は、第2横樋3における開口部311が形成される側の端部を閉塞する部材であり、端部キャップ34とは異なる形状を有する。端部キャップ35は、後述のカバー材37が取り付けられた状態の第2横樋3の端面形状に合致した形状を有する。詳しくは、端部キャップ35は、図8及び図10に示すように、矩形板部351と、突板部352と、を有する。矩形板部351は、端部キャップ34と同一の矩形板状に形成される。突板部352は、矩形板部351における第2側板33側の端部を上方に突出させることによって形成される。
【0039】
端部キャップ34,35は、いずれもアルミニウム等の金属材もしくは樹脂材によって形成される。端部キャップ34,35は、第2横樋3の両側端にそれぞれ嵌合することによって取り付けられる。端部キャップ34,35は、第1横樋2の端部キャップ24と同様に、ねじによって第2横樋3の両側端にそれぞれ固定されてもよい。端部キャップ34,35と底板31、第1側板32及び第2側板33との隙間は、図示しないパッキン、シーリンク材等の封止材によって封止されてもよい。
【0040】
アタッチメント36は、第2横樋3を流れる雨水を、開口部311を通して後述の竪樋4に導水するための部材である。アタッチメント36は、アルミニウム等の金属材もしくは樹脂材によって形成される。アタッチメント36は、図10に示すように、円筒部361と、フランジ部362と、を有する。円筒部361は、底板21の開口部211に合致する開口径を有する。フランジ部362は、円筒部361の一端から径方向外側に矩形状に張り出している。アタッチメント36は、開口部311に連通するように配置され、フランジ部362と同一形状のパッキン363を挟んで、ねじ364によって底板31に固定される。
【0041】
カバー材37は、第2横樋3内へのごみ等の侵入を防止するために、第2横樋3の上面を覆う部材である。カバー材37は、図8に示すように、第2横樋3の全長よりも短い。詳しくは、カバー材37は、図3及び図6に示すように、梁13bと支柱11dとの間に露出する第2横樋3の上面を覆うように形成される。カバー材37は、第1カバー部371と、第2カバー部372と、第3カバー部373と、によって構成される。
【0042】
第1カバー部371は、第1側板32の上端から第2側板33の近傍に亘って、底板31と略平行に延びている。第1カバー部371は、下方に向けて突出する第1係止部371aを有する。第1係止部371aは、第1カバー部371における第1側板32側の端部が下方に屈曲するとともに第2側板33に向けて屈曲し、さらに第2側板33から離れる方向に再度屈曲するように形成されている。これによって、第1係止部371aは、第1側板32のカバー係止片322に対して、第2側板33側から係合可能に設けられる。第1カバー部371の裏面における第2カバー部372寄りの位置には、複数の突条371bが突設されている。複数の突条371bは、カバー材37の長さ方向の全長に亘って延びている。複数の突条371bは、第1カバー部371の裏面から同一の高さで平行に配置されている。
【0043】
第2カバー部372は、第1カバー部371に連続して形成され、第2側板33に向かうに従って上方に斜めに立ち上げられている。
【0044】
第3カバー部373は、第2カバー部372の上端に連続して形成され、桁12bに向けて底板31と略平行に延びている。第3カバー部373の先端は、下方に屈曲した形状の第2係止部373aが設けられている。
【0045】
取付部材38は、図9に示すように、取付板部381と、樋支持板部382と、第1係止部383と、第2係止部384と、を一体に有する。取付部材38は、アルミニウム等の金属材によって短尺に形成された押出型材からなる。
【0046】
取付板部381は、桁12bの内側面12b1に沿って当接する板状に形成される。取付板部381の上下方向の高さは、第2横樋3を桁12bの内側面12b1に固定可能な必要最低限の高さであり、第1横樋2の取付部材26における取付板部261の上下方向の高さよりも低い。図9に示すように、取付板部381の上端には、カバー材37における第3カバー部373の第2係止部373aを上方から受け入れる溝部381aが設けられている。取付板部381には、複数のねじ孔381bが設けられている。ねじ孔381bの上部には、ねじ孔381bよりも小径の係止孔381b1が、ねじ孔381bに連通して形成されている。係止孔381b1は、ねじ孔381bに挿入されたねじ38aの軸部を引っ掛けて係止する。
【0047】
樋支持板部382は、取付板部381の下端部に接続される。樋支持板板部382は、取付板部381の下端部から、それが取り付けられる桁12bから離れる方向に屈曲した形状を有する。樋支持板部382は、取付板部381から第2横樋3を幅方向に横断するように延びている。
【0048】
第1係止部383は、樋支持板部382における取付板部381から遠い先端に設けられている。第1係止部383は、図7及び図9に示すように、側面視で、樋支持板部382の端部からクランク状に下方に屈曲した形状を有する。第1係止部383は、第2横樋3における桁12bから遠い側に配置される第1側板32の第1係止片321を係止する。第1係止部383には、第2横樋3の第1係止片321を挟持するための係止突起383aが設けられている。
【0049】
第2係止部384は、樋支持板部382における取付板部381に近い基端に設けられている。第2係止部384は、樋支持板部382から下方に向けて突出するとともに、桁12bの内側面12b1に向けて開口する形状を有する。第2係止部384は、第2横樋3における桁12bに高い側に配置される第2側板33の第2係止片331を係止する。
【0050】
取付部材38は、カバー材37が取り付けられていない状態の第2横樋3の端部から長さ方向にスライドさせて第2横樋3に複数装着される。取付板部381は、第2側板33上に第2側板33と平行に配置されて桁12bの内側面12b1の下端部に当接する。第1係止部383は、第2横樋3の第1係止片321の下面側に配置され、第1係止片321を下から支持するとともに、係止突起383aによって第1係止片321を挟持する。第1係止部383と第1係止片321とは、ねじ38bによって固定される。ねじ38bは必ずしも設けられなくてもよい。取付部材38の第2係止部384は、第2横樋3の第2係止片331に係合している。取付部材38は、第2横樋3を支持した状態で、取付板部381を貫通するねじ38aによって、桁12bの内側面12b1の下端部に固定される。
【0051】
カバー材37は、桁12bに固定された後の第2横樋3の上面に装着される。詳しくは、まず、第1カバー部371の第1係止部371aが、第2横樋3の第1側板32のカバー係止片322に係止する。その後、第3カバー部373の第2係止部373aが、取付部材38における取付板部381の溝部381aに上方から挿入される。これによって、梁13bと支柱11dとの間に露出する第2横樋3の上面がカバー材37によって覆われる。図7に示すように、カバー材37は、取付部材38を含む第2横樋3の上面を覆う。取付部材38の取付板部381は、カバー材37の第2カバー部372と第3カバー部373とによって覆われる。第1カバー部371に設けられる複数の突条371bは、取付部材38の樋支持板部382の上面に当接している。そのため、カバー材37が下方へ撓んでも、取付部材38の樋支持板部382によって支持され、過度の撓みは抑制される。
【0052】
第2横樋3は、図1図3図6に示すように、梁13bから延出した桁12bの延長部分に沿って配置される。第2横樋3においてアタッチメント36が設けられている側の端部は、支柱11dの位置まで延び、支柱11dの側面11d1に当接している。第2横樋3においてアタッチメント36が設けられていない側の端部は、梁13bの下方を横断して、第1横樋2のアタッチメント25の下方に配置される。この端部はカバー材37によって覆われておらず、第1横樋2の下面に直接対面している。図4に示すように、第1横樋2のアタッチメント25の下端25aは、第2横樋3の内部に挿入された状態で配置される。
【0053】
第2横樋3は、桁12bの内側面12b1に取り付けられた状態で、桁12bの下端面12b2及び梁13bの下端面13b2に対して鉛直方向の同一位置もしくは下方に配置される。詳しくは、第2横樋3の第1側板32及び第2側板33の上端によって形成される面の位置Pは、桁12bの下端面12b2及び梁13bの下端面13b2に対して鉛直方向の同一位置もしくは下方に配置される。本実施形態では、図7に示すように、第2横樋3の第1側板32及び第2側板33の上端によって形成される面の位置Pは、桁12bの下端面12b2及び梁13bの下端面13b2に対して鉛直方向の同一位置に配置されている。
【0054】
竪樋4は、支柱11dに沿って取り付けられ、第2横樋3を流れる雨水を地面に向けて排水する。詳しくは、図6及び図11に示すように、竪樋4は、支柱11dの側面11d1に配置される第2横樋3の端部から、支柱11dに沿って地面付近まで上下方向に延びている。竪樋4の上端は、第2横樋3に当接もしくは近接している。竪樋4の下端は地面に近接し、図示しない排水桝等に排水可能に配置される。
【0055】
竪樋4は、図11に示すように、竪樋本体41と、ジョイント部材42と、竪樋カバー受け43と、竪樋受けキャップ44と、竪樋カバー45と、を有する。
【0056】
竪樋本体41は、樹脂製の円管パイプからなり、支柱11dの長さ方向に沿って延びている。
【0057】
ジョイント部材42は、竪樋本体41の上端部に装着される樹脂製の円筒状部品である。ジョイント部材42は、第2横樋3の端部から下方に突出するアタッチメント36の円筒部361に対して外嵌合し、竪樋本体41の上端部に対して内嵌合する。これによって、竪樋本体41は第2横樋3と連通し、第2横樋3を流れる雨水を受け入れる。
【0058】
竪樋カバー受け43は、アルミニウム等の金属材もしくは樹脂材からなり、支柱11dの側面11d1に固定されている。竪樋本体41は、上端、下端及び前端が開放している。竪樋本体41は、竪樋カバー受け43内において、ジョイント部材42によって第2横樋3のアタッチメント36と接続される。
【0059】
竪樋受けキャップ44は、竪樋カバー受け43の下端に取り付けられる。竪樋受けキャップ44は、竪樋本体41の下端部に対して外嵌合する円筒部441と、円筒部441の外周と竪樋カバー受け43との間を閉塞する矩形の閉塞板部442と、によって構成される。竪樋受けキャップ44は、アルミニウム等の金属材もしくは樹脂材からなる。竪樋本体41は、竪樋カバー受け43内において、竪樋受けキャップ44の円筒部441と接続される。
【0060】
竪樋カバー45は、アルミニウム等の金属材もしくは樹脂材からなり、竪樋カバー受け43の前端に着脱可能に取り付けられる。竪樋本体41は、竪樋カバー受け43、竪樋受けキャップ44及び竪樋カバー45によって完全に覆われる。
【0061】
以上のように構成される屋根構造物1において、屋根材16で受けた雨水は、屋根材16の傾斜に沿って流れ、第1横樋2に集められる。桁12aに取り付けられる第1横樋2内の雨水は、支柱11a,11cのいずれかに取り付けられる竪樋によって地面に向けて排水される。一方、桁12bに取り付けられる第1横樋2内の雨水は、第1横樋2を流れて、アタッチメント25を通って第2横樋3に排水される。第2横樋3内の雨水は、第2横樋3を流れて、アタッチメント36を通って竪樋4に排水される。
【0062】
本実施形態に係る屋根構造物1の雨樋構造によれば、以下の効果を奏する。
【0063】
(1) 上下方向に延びる複数の支柱11a~11dと、複数の支柱11a~11dに亘って架け渡される横材である桁12a,12b、梁13a,13bと、桁12a,12bに向けて下り傾斜するように設けられる屋根材16と、屋根材16の傾斜方向の下流側の端部に沿って桁12bに取り付けられる第1横樋2と、複数の支柱11a~11dのうちの屋根材16から離隔して配置されるいずれかの支柱11dに沿って取り付けられる竪樋4と、桁12bに沿って取り付けられ、第1横樋2を流れる水を竪樋4に向けて排水する第2横樋3と、を備える、屋根構造物1の雨樋構造である。
【0064】
これによれば、竪樋4が第1横樋2から離れて配置されていても、第1横樋2に集められた雨水を、第2横樋3を通って竪樋4に排水することができる。第2横樋は、横材の一つである桁12bに沿って取り付けられ、屋根構造物1とデザイン的に統一されるため、屋根構造物1のデザイン性が損なわれるおそれはない。したがって、本実施形態によれば、デザイン性を損なうことなく、第2横樋3によって、第1横樋2と竪樋4との間を連結することができる屋根構造物1の雨樋構造を提供することができる。
【0065】
(2) 上記(1)に記載の屋根構造物1の雨樋構造において、第2横樋3を桁12bに取り付ける複数の取付部材38を有する。
【0066】
これによれば、第2横樋3の距離が長くなっても、下方に撓むおそれがない。そのため、長期使用によって水勾配が緩くなり、排水性が低下するおそれがない。
【0067】
(3) 上記(2)に記載の屋根構造物1の雨樋構造において、取付部材38は、桁12bに対して固定される取付板部381と、取付板部381の下端に接続されて第2横樋3の幅方向に延びる樋支持板部382と、樋支持板部382の先端に配置されて第2横樋3の桁12bから遠い側を係止する第1係止部383と、樋支持板部382の基端に配置されて第2横樋3の桁12bに近い側を係止する第2係止部384と、を有する。
【0068】
これによれば、第2横樋3は、取付部材38によって、幅方向に亘って係止され、桁12bに取り付けられるため、桁12bに対する取り付け状態が安定する。
【0069】
(4) 上記(2)又は(3)に記載の屋根構造物の雨樋構造において、第2横樋3は、取付部材38を含む第2横樋3の上面を覆うカバー材37を有する。
【0070】
これによれば、第2横樋3を桁12bに取り付ける取付部材38もカバー材37によって覆い隠されるため、屋根構造物1のデザイン性がさらに向上する。
【0071】
(5) 屋根構造物は、上記(1)~(4)のいずれかに記載の屋根構造物の雨樋構造を備える、屋根構造物1である。
【0072】
これによれば、竪樋4が第1横樋2から離れて配置されていても、第1横樋2に集められた雨水を、第2横樋3を通って竪樋4に排水することができる。第2横樋は、横材の一つである桁12bに沿って取り付けられるため、屋根構造物1の全体がデザイン的に統一される。そのため、屋根構造物1のデザイン性が損なわれるおそれはない。
【0073】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示の屋根構造物の雨樋構造は、以上の実施形態に限定されない。本開示の屋根構造物の雨樋構造は、例えば、屋根材が桁12b側のみに傾斜するように設けられる屋根構造物に適用されてもよい。本開示の屋根構造物の雨樋構造における第2横樋は、梁に沿って取り付けられてもよい。本開示の屋根構造物の雨樋構造には、複数の第1横樋にそれぞれ連絡する複数の第2横樋が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 屋根構造物、 2 第1横樋、 3 第2横樋、 4 竪樋、 11a~11d 支柱、 12a,12b 桁(横材)、 13a,13b 梁(横材)、 16 屋根材、 37 カバー材、 38 取付部材、 381 取付板部、 382 樋支持板部、 383 第1係止部、 384 第2係止部
図1
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図11