(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095465
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】天井構造
(51)【国際特許分類】
E04B 9/22 20060101AFI20240703BHJP
E04B 9/04 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E04B9/22 C
E04B9/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212771
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 慎也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 航輔
(72)【発明者】
【氏名】市川 聖士
(57)【要約】
【課題】天井材のピッチ調整が可能であり、施工性に優れる天井構造を提供すること。
【解決手段】互いに平行に配置される一対のフレーム材と、一対のフレーム材の間に配置されて一対のフレーム材の延び方向と交差する方向に延びる吊部材と、一方のフレーム材から他方のフレーム材に亘って張り渡されて吊部材に固定される複数の天井材と、を備え、複数の天井材のうちの隣接する天井材は、張り渡し方向の端部に互いに係合可能な係合部をそれぞれ有し、係合部同士が互いに係合しており、複数の天井材は、隣接する天井材の係合部同士が係合する複数の係合部位のうち、天井材の張り渡し方向の位置を調整可能な係合部位を少なくとも一つ有する、天井構造である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配置される一対のフレーム材と、
前記一対のフレーム材の間に配置されて前記一対のフレーム材の延び方向と交差する方向に延びる吊部材と、
一方の前記フレーム材から他方の前記フレーム材に亘って張り渡されて前記吊部材に固定される複数の天井材と、
を備え、
前記複数の天井材のうちの隣接する前記天井材は、張り渡し方向の端部に互いに係合可能な係合部をそれぞれ有し、前記係合部同士が互いに係合しており、
前記複数の天井材は、隣接する前記天井材の前記係合部同士が係合する複数の係合部位のうち、前記天井材の張り渡し方向の位置を調整可能な係合部位を少なくとも一つ有する、天井構造。
【請求項2】
前記天井材の張り渡し方向の位置を調整可能な前記係合部位は、隣接する前記天井材のうちの一方の前記天井材の端部に設けられる第1調整係合部の内部に、隣接する前記天井材のうちの他方の前記天井材の端部に設けられる第2調整係合部を、張り渡し方向に移動可能に嵌合している、請求項1に記載の天井構造。
【請求項3】
前記第1調整係合部は、上方に膨出する形状のカバー部を有し、
前記第2調整係合部は、前記天井材の端部から前記第1調整係合部を有する前記天井材に向けて所定幅で延出する係合板部を有し、
前記カバー部は、前記係合板部の前記所定幅よりも張り渡し方向に大きな幅を有して前記係合板部を嵌合する、請求項2に記載の天井構造。
【請求項4】
前記第1調整係合部は、前記カバー部を貫通するねじによって、前記吊部材に固定される、請求項3に記載の天井構造。
【請求項5】
前記第1調整係合部は、前記カバー部に収容された前記第2調整係合部の前記係合板部を、下方から摺動可能に当接して支持する支持部を有する、請求項4に記載の天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、天井構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井材を固定する吊部材に、複数の天井材吊部品を着脱可能に取り付け、この天井材吊部品に天井材を取り付けるように構成される天井構造が知られている。この天井構造によれば、吊部材に対する天井材吊部品の位置を調整することによって、天井材の位置調整が可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の天井構造では、隣接する天井材間のピッチを調整することができない。天井材に寸法誤差、天井材を張り渡すフレーム材間に寸法誤差等があると、天井材とフレーム材との間に隙間が発生したり、天井材の取り付けができなくなったりする場合がある。そのため、従来の天井構造は、施工性の観点で改善すべき課題を有する。
【0005】
本開示は、天井材のピッチ調整が可能であり、施工性に優れる天井構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、互いに平行に配置される一対のフレーム材と、前記一対のフレーム材の間に配置されて前記一対のフレーム材の延び方向と交差する方向に延びる吊部材と、一方の前記フレーム材から他方の前記フレーム材に亘って張り渡されて前記吊部材に固定される複数の天井材と、を備え、前記複数の天井材のうちの隣接する前記天井材は、張り渡し方向の端部に互いに係合可能な係合部をそれぞれ有し、前記係合部同士が互いに係合しており、前記複数の天井材は、隣接する前記天井材の前記係合部同士が係合する複数の係合部位のうち、前記天井材の張り渡し方向の位置を調整可能な係合部位を少なくとも一つ有する、天井構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の天井構造を備える屋根構造体の斜視図である。
【
図2】本実施形態の天井構造を備える屋根構造体の部分を下方から斜視図である。
【
図4】本実施形態の天井構造に使用される第1端部屋根材の断面図である。
【
図5】本実施形態の天井構造に使用される中間屋根材の断面図である。
【
図6】本実施形態の天井構造に使用される第1調整屋根材の断面図である。
【
図7】本実施形態の天井構造に使用される第2調整屋根材の断面図である。
【
図8】本実施形態の天井構造に使用される第2端部屋根材の断面図である。
【
図13】係合部位において隣接する天井材のピッチが小さくなる方向に位置調整した状態を示す断面図である。
【
図14】係合部位において隣接する天井材のピッチが大きくなる方向に位置調整した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
図1~
図3は、本開示の天井構造が適用された屋根構造体1を示している。屋根構造体1は、例えば、カーポート、テラス等の屋根として使用されるものであり、4本の支柱11の上端部に設けられる。この屋根構造体1において、短辺方向に沿う方向をX方向といい、長辺方向に沿う方向をY方向という。X方向とY方向は直交している。本明細書では、X方向は、屋根構造体1の前後方向と定義し、Y方向は、屋根構造体1の幅方向と定義する。
【0009】
屋根構造体1は、一対の桁フレーム12,12と一対の梁フレーム13,13とを、それぞれ支柱11の上端部間に架け渡すことによって平面視矩形に形成される。屋根構造体1の内側の領域は、一対の桁フレーム12,12に亘って設けられる2本の中間フレーム14と、一対の梁フレーム13,13に亘って設けられる1本の棟木15と、によって、6つの領域に分割されている。6つの領域には、それぞれ屋根材16が取り付けられる。屋根材16は、棟木15を頂点として、幅方向の両側の桁フレーム12,12に向けて下り傾斜するように取り付けられる。屋根材16は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂製の板材からなる。屋根材16の傾斜方向に沿う両側縁は、中間フレーム14及び梁フレーム13上に配置され、それぞれカバー材17によって覆われている。屋根材16の傾斜方向の下流側の端部には、桁フレーム12に沿って、横樋18が取り付けられる。
【0010】
屋根構造体1における屋根材16の下面側に、本開示の天井構造が適用された天井構成体2が配置される。天井構成体2は、
図3に示すように、桁フレーム12と、棟木15の下方に棟木15に沿って配置される天井支持フレーム21と、の間に、屋根構造体1の幅方向Yに沿って複数の天井材3を張り渡すことによって構成される。桁フレーム12及び天井支持フレーム21は、互いに平行に配置される。本実施形態の桁フレーム12及び天井支持フレーム21は、本開示のフレーム材に対応する。
【0011】
図3は、屋根構造体1における棟木15と一方の桁フレーム12との間に設けられる天井構成体2を示す。屋根構造体1における棟木15と他方の桁フレーム12との天井構成体は、上記天井構成体2と幅方向Yに左右対称である以外は同一構成であるため、天井構成体2の構成の説明を援用できる。
【0012】
天井構成体2は、
図2に示すように、屋根構造体1の前後方向Xに沿って長尺な板材からなる天井材3を、幅方向Yに沿って張り渡し、吊部材22に固定することによって構成される。吊部材22は、桁フレーム12と天井支持フレーム21との間に配置され、桁フレーム12及び天井支持フレーム21の延び方向と交差する方向に延びている。
【0013】
天井材3は、金属材もしくは樹脂材によって形成される。隣接する天井材は、
図3に示すように、張り渡し方向である幅方向Yの端部に形成される係合部同士を互いに係合させた2種類の係合部位P1,P2を形成する。係合部位P1は位置調整機能を有しない係合部位であり、係合部位P2は位置調整機能を有する係合部位である。位置調整機能を有する係合部位P2は、天井構成体2に設けられる複数の係合部位のうちに少なくとも1つ設けられる。
【0014】
図3に示す天井構成体2には、9枚の天井材3が使用される。9枚の天井材3は、第1端部天井材3A、中間天井材3B、第1調整天井材3C、第2調整天井材3D、及び第2端部天井材3Eによって構成される。これらの各天井材3について、
図4~
図8を用いて説明する。
【0015】
以下の天井材3の説明において、同一符号の部位は同一機能を有する部位を示し、それらの重複する説明は省略する。図中の幅方向Yにおいて、Y1方向は、天井支持フレーム21が配置される方向を示し、Y2方向は、桁フレーム12が配置される方向を示す。
【0016】
図4は、第1端部天井材3Aを示す。第1端部天井材3Aは、天井支持フレーム21に接続される天井材3である。第1端部天井材3Aは、天井材本体31と、フレーム係止部32と、第1係合部33と、を有する。
【0017】
天井材本体31は、平板状に形成され、前後方向Xに一定幅で延びている。天井材本体31のY1方向側の端部にフレーム係止部32が配置され、天井材本体31のY2方向側の端部に第1係合部33が配置される。
【0018】
フレーム係止部32は、天井支持フレーム21に係止される部位である。フレーム係止部32は、天井材本体31に一体に形成され、天井材本体31の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0019】
フレーム係止部32は、天井材本体31の端部から上方に立上がる立上がり部321と、立上がり部321の上端において天井材本体31から遠ざかるY1方向に一定幅で延出する延出部322と、延出部322の上面に突設される一対の係止部323,323と、を有する。一対の係止部323,323は、同一形状であり、天井支持フレーム21が配置されるY1方向に向けて屈曲する逆L型に形成されている。第1端部天井材3Aは、一対の係止部323,323において、天井支持フレーム21に設けられる天井係止部材211(
図9参照)に係止される。
【0020】
第1係合部33は、Y2方向側に隣接する他の天井材3の第2係合部34と係合して係合部位P1を形成する部位である。第1係合部33は、天井材本体31に一体に形成され、天井材本体31の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0021】
第1係合部33は、天井材本体31に対して上方に膨出した形状のカバー部330を有する。カバー部330は、内部に第2係合部34を嵌合させて収容する。第1係合部33のカバー部330は、天井材本体31の側端から上方に立上がる立上がり部331と、立上がり部331の上端においてフレーム係止部32から離れるY2方向に一定幅で延出する固定部332と、固定部332のY2方向側の側端から下方に向けて垂れ下がる垂下部333と、を有して構成される。立上がり部331の途中には、フレーム係止部32が配置されるY1方向に向けて凹んだ凹部334が形成されている。垂下部333の下端の位置と凹部334の下端の位置とは、上下方向の同一位置に配置される。固定部332は、天井材3をねじ3aによって吊部材22の下面22aに固定する部位である。
【0022】
図5は、中間天井材3Bを示す。中間天井材3Bは、第1端部天井材3Aと第2端部天井材3Eとの間に配置され、天井構成体2の大部分を構成する天井材3である。中間天井材3Bは、天井材本体31のY1方向側の端部に第2係合部34を有し、天井材本体31のY2方向側の端部に第1係合部33を有する。
【0023】
第2係合部34は、Y1方向側に隣接する他の天井材3の第1係合部33と係合して係合部位P1を形成する部位である。第2係合部34は、天井材本体31に一体に形成され、天井材本体31の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0024】
第2係合部34は、天井材本体31の側端から上方に立上がる立上がり部341と、立上がり部341の上端において天井材本体31から遠ざかるY1方向に所定の幅W10で延出する係合板部342と、を有する。係合板部342の幅W10は、第1係合部33における垂下部333と凹部334の内底面との間の幅W20に略等しい。立上がり部341の途中には、第1係合部33が配置されるY2方向に向けて突出する突出片343が設けられる。係合板部342の上面には、一対の突部344,344が突出している。一対の突部344,344は、係合板部342の上面におけるY1方向の側端及びY2方向の側端にそれぞれ配置される。第2係合部34の係合板部342第1係合部33の凹部334とは、天井材本体31に対して略同一の高さに配置される。
【0025】
図6は、第1調整天井材3Cを示す。第1調整天井材3Cは、天井材本体31と、第2係合部34と、第1調整係合部35と、を有する。
【0026】
第1調整係合部35は、Y2方向側に隣接する後述の第2調整天井材3Dの第2調整係合部36を上方から覆うように係合して係合部位P2を形成する部位である。第1調整係合部35は、天井材本体31に一体に形成され、天井材本体31の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0027】
第1調整係合部35は、天井材本体31に対して上方に膨出した形状のカバー部350を有する。第1調整係合部35は、カバー部350の内部に後述の第2調整天井材3Dの第2調整係合部36を嵌合させて収容する。第1調整係合部35のカバー部350は、天井材本体31の側端よりも中央寄りの位置から上方に立上がる立上がり部351と、立上がり部351の上端において第2係合部34から遠ざかるY2方向に所定の幅W21で延出する固定部352と、固定部352のY2方向側の側端から下方に向けて垂れ下がる垂下部353と、を有して構成される。垂下部353の下端の位置は、天井材本体31の上面31aの位置と上下方向の略同一位置に配置される。
【0028】
天井材本体31のY2方向の側端は、第1調整係合部35の立上がり部351よりも第2係合部34から遠ざかるY1方向に突出し、固定部352の幅方向Yの略中央部の下方に配置される。天井材本体31のY2方向の側端には、支持部354が設けられる。支持部354は、天井材本体31のY2方向の側端から上方に立ち上がり、後述する第2調整天井材3Dの第2調整係合部36に設けられる係合板部362を下方から摺動可能に当接して支持する。垂下部353と支持部354とは、幅W22で離隔している。第1調整天井材3Cは、固定部352において、ねじ3aによって吊部材22の下面22aに固定される。
【0029】
図7は、第2調整天井材3Dを示す。第2調整天井材3Dは、天井材本体31と、第2調整係合部36と、第1係合部33と、を有する。
【0030】
第2調整係合部36は、Y1方向側に隣接する第1調整天井材3Cの第1調整係合部35と係合して係合部位P2を形成する部位である。第2調整係合部36は、天井材本体31に一体に形成され、天井材本体31の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0031】
第2調整係合部36は、天井材本体31の側端から上方に立上がる立上がり部361と、立上がり部361の上端において第1係合部33から遠ざかるY1方向に所定の幅W11で延出する係合板部362と、を有する。係合板部362の幅W11は、
図6に示す第1調整天井材3Cの第1調整係合部35における幅W21よりも小さく、幅W22よりも大きい。この係合板部362の幅W11は、他の天井材3の第2係合部34の係合板部342の幅W10よりも大きい。
【0032】
図8は、第2端部天井材3Eを示す。第2端部天井材3Eは、桁フレーム12に接続される天井材3である。第2端部天井材3Eは、天井材本体31と、第2係合部34と、フレーム係止部37と、を有する。
【0033】
フレーム係止部37は、桁フレーム12に係止される部位である。フレーム係止部37は、天井材本体31に一体に形成され、天井材本体31の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0034】
フレーム係止部37は、天井材本体31の側端から上方に立上がる立上がり部371と、立上がり部371の上端に、凹部373を挟んで立ち上がる係止片372と、を有する。凹部373は、第2係合部34が配置されるY1方向に向けて凹んでいる。係止片372は、凹部373から上方に遠ざかるに従って、Y1方向に向けて湾曲するように形成されている。第2端部天井材3Eは、フレーム係止部37において、桁フレーム12に設けられる天井係止部材121(
図12参照)に係止される。
【0035】
本実施形態において、天井材3は、
図3に示す第1端部天井材3Aから第2端部天井材3Eに向けて順次張り渡すように施工される。
図9は、第1端部天井材3Aと天井支持フレーム21との接続部位を示している。天井支持フレーム21の側面21aには、天井係止部材211が取り付けられている。天井係止部材211は、天井支持フレーム21の側面21aに当接してねじ211aによって固定される基板部2111と、基板部2111の下端に設けられ、側面21aから遠ざかる方向に延びる係止板2112と、を有する。係止板2112の下面には、第1端部天井材3Aのフレーム係止部32に設けられる一対の係止部323,323を係止する一対の係止片2113,2113が設けられている。一対の係止片2113,2113は、天井材3が張り渡されるY2方向に向けて屈曲するL型に形成されている。
【0036】
第1端部天井材3Aは、フレーム係止部32の一対の係止部323,323を、天井係止部材211の一対の係止片2113,2113に係止することによって、天井支持フレーム21に吊下げ状に係止される。
【0037】
図10は、互いに位置調整機能を有していない第2係合部34と第1係合部33との中間天井材3B,3B同士の係合部位P1を示している。
【0038】
係合部位P1において、第1係合部33の固定部332は、ねじ3aによって吊部材22の下面22aに固定される。係合部位P1では、吊部材22に固定された第1係合部33のカバー部330の内部に、Y2方向側に隣接する天井材3(中間天井材3B)の第2係合部34の係合板部342が斜め下方から挿入されて嵌合する。係合板部342の先端及び先端側の突部344は、第1係合部33の凹部334に収容されて係合する。第2係合部34の突出片343は、第1係合部33の垂下部333の下端に当接し、垂下部333を下から支持する。
【0039】
係合部位P1において、第2係合部34と第1係合部33とは、張り渡し方向に実質的に位置ずれすることなく嵌合する。他の係合部位P1を形成する天井材3,3同士も、上記と同様にして張り渡されて、幅方向Yに実質的に位置ずれすることなく嵌合する。
【0040】
図11は、第1調整天井材3Cと第2調整天井材3Dとの係合部位P2を示している。係合部位P2におけるY1方向側に配置される第1調整天井材3Cは、第1調整係合部35の固定部352において、ねじ3aによって吊部材22の下面22aに固定される。この第1調整係合部35のカバー部350の内部に、Y2方向側に隣接する第2調整天井材3Dの第2調整係合部36の係合板部362が斜め下方から挿入される。係合板部362は、固定部352と支持部354との間に挿入されて嵌合する。係合板部362の下面362aは、支持部354に載置される。第1調整天井材3Cの第2調整係合部335の垂下部353は、第2調整天井材3Dの立上がり部361よりもY2方向側の天井材本体31の上面31aに載置される。この係合部位P2における位置調整の詳細については後述する。
【0041】
図12は、第2端部天井材3Eと桁フレーム12との接続部位を示している。桁フレーム12の側面12aには、天井係止部材121が取り付けられている。天井係止部材121は、桁フレーム12の側面12aに当接してねじ121aによって固定される基板部1211と、基板部1211の下端に設けられ、側面12aから遠ざかる方向に延びる係止板1212と、を有する。
【0042】
第2端部天井材3Eは、第2調整天井材3Dの第1係合部33に係合する第2係合部34を支点として、フレーム係止部37側を係止板1212の下方から回転させて装着する。フレーム係止部37は、係止板1212に当接する係止片372の湾曲面に案内されて徐々に弾性的変形し、係止板1212を凹部373に収容する。これによって、第2端部天井材3Eのフレーム係止部37は、桁フレーム12に吊下げ状に係止される。
【0043】
次に、係合部位P2における位置調整機能について、
図13及び
図14を用いて説明する。
図13は、例えば、天井構成体2の幅方向Yの寸法が、桁フレーム12と天井支持フレーム21との間の寸法よりも大きい場合を示している。この場合、第1調整天井材3Cをねじ3aで吊部材22の下面2aに固定した後、第2調整天井材3Dの第2調整係合部36を第1調整天井材3Cの第1調整係合部35と係合させる際に、第2調整天井材3DをY1方向側に移動させる位置調整を行う。
【0044】
詳しくは、第2調整係合部36の係合板部362を、第1調整係合部35のカバー部350内に挿入した後、係合板部362を支持部254に対して摺動させながら、第2調整天井材3DをY1方向に移動させる。これによって、第1調整天井材3Cと第2調整天井材3Dとの間のピッチが小さくなるように調整される。
図13は、第2調整係合部36の係合板部362を、第1調整係合部35の立上がり部351に内側から当接させて、第2調整天井材3Dを最もY1方向に移動させてピッチを小さくした状態を示す。
【0045】
位置調整後、第2調整天井材3Dの第1係合部33の固定部332を、ねじ3aによって吊部材22の下面2aに固定する。第1調整天井材3Cと第2調整天井材3Dとの間でピッチが調整されたことによって、第2調整天井材3Dの第1係合部33に係合する第2端部天井材3Eのフレーム係止部37は、桁フレーム12の天井係止部材121に適正位置で係止することができる。
【0046】
図14は、例えば、天井構成体2の幅方向Yの寸法が、桁フレーム12と天井支持フレーム21との間の寸法よりも小さい場合を示している。この場合、第1調整天井材3Cをねじ3aで吊部材22の下面2aに固定した後、第2調整天井材3Dの第2調整係合部36を第1調整天井材3Cの第1調整係合部35と係合させる際に、第2調整天井材3DをY2方向側に移動させる位置調整を行う。
【0047】
詳しくは、第2調整係合部36の係合板部362を、第1調整係合部35のカバー部350内に挿入した後、係合板部362を支持部254に対して摺動させながら、第2調整天井材3DをY2方向に移動させる。これによって、第1調整天井材3Cと第2調整天井材3Dとの間のピッチが大きくなるように調整される。
図14は、第2調整係合部36の立上がり部361を、第1調整係合部35の垂下部353に内側から当接させて、第2調整天井材3Dを最もY2方向に移動させてピッチを大きくした状態を示す。
【0048】
位置調整後、第2調整天井材3Dの第1係合部33の固定部332を、ねじ3aによって吊部材22の下面2aに固定する。第1調整天井材3Cと第2調整天井材3Dとの間でピッチが調整されたことによって、第2調整天井材3Dの第1係合部33に係合する第2端部天井材3Eのフレーム係止部37は、桁フレーム12の天井係止部材121に適正位置で係止することができる。
【0049】
位置調整機能を有する係合部位P2は、天井構成体2における天井材3の張り渡し方向の少なくとも1つの係合部位に設けることができる。位置調整機能を有する係合部位P2は、天井構成体2のいずれの位置に配置されてもよいが、張り渡す順番の最後の天井材3の1つ手前に配置される天井材3と、その天井材3のさらに1つ手前に配置される天井材3と、の間の係合部位に配置されることが好ましい。天井材3の張り渡し方向の誤差の有無及び誤差の程度を確認し易いためである。
【0050】
本実施形態に係る天井構造によれば、以下の効果を奏する。
【0051】
(1) 互いに平行に配置される一対のフレーム材12,21と、一対のフレーム材12,21の間に配置されて一対のフレーム材12,21の延び方向と交差する方向に延びる吊部材22と、一方のフレーム材21から他方のフレーム材12に亘って張り渡されて吊部材22に固定される複数の天井材3と、を備え、複数の天井材3のうちの隣接する天井材3,3は、張り渡し方向の端部に互いに係合可能な係合部33,34,35,36をそれぞれ有し、係合部33,34,35,36同士が互いに係合しており、複数の天井材3は、隣接する天井材3,3の係合部33,34,35,36同士が係合する複数の係合部位P1,P2のうち、天井材3の張り渡し方向の位置を調整可能な係合部位P2を少なくとも一つ有する、天井構造である。
【0052】
これによれば、天井材3を張り渡す際のピッチ調整が可能である。そのため、施工性に優れる天井構造を提供することができる。
【0053】
(2) 上記(1)に記載の天井構造において、天井材3の張り渡し方向の位置を調整可能な係合部位P2は、隣接する天井材3C,3Dのうちの一方の天井材3Cの端部に設けられる第1調整係合部35の内部に、隣接する天井材3C,3Dのうちの他方の天井材3Dの端部に設けられる第2調整係合部36を、張り渡し方向に移動可能に嵌合している。
【0054】
これによれば、天井材3C,3Dを相対的に移動可能であり、天井材3C,3Dのピッチ調整が容易に可能である。
【0055】
(3) 上記(2)に記載の天井構造において、第1調整係合部35は、上方に膨出する形状のカバー部350を有し、第2調整係合部36は、天井材3Dの端部から第1調整係合部35を有する天井材3Cに向けて所定幅W11で延出する係合板部362を有し、カバー部350は、係合板部362の所定幅W11よりも張り渡し方向に大きな幅W21を有して係合板部362を嵌合する。
【0056】
これによれば、天井材3Dの第1調整係合部35のカバー部350に、天井材3Dの第2調整係合部36の係合板部362を嵌合させた状態で、天井材3C,3Dを相対的に移動可能であり、天井材3C,3Dのピッチ調整が容易に可能である。
【0057】
(4) 上記(3)に記載の天井構造において、第1調整係合部35は、カバー部350を貫通するねじ3aによって、吊部材22に固定される。
【0058】
これによれば、天井材3を吊部材22にねじ固定しても、天井材3を張り渡す際のピッチ調整が可能である。
【0059】
(5) 上記(4)に記載の天井構造において、第1調整係合部35は、前記カバー部350に収容された前記第2調整係合部36の係合板部362を、下方から摺動可能に当接して支持する支持部354を有する。
【0060】
これによれば、天井材3のピッチ調整の際に、天井材3C,3Dを安定して相対的に移動可能である。
【符号の説明】
【0061】
12 桁フレーム、 21 天井支持フレーム、 22 吊部材、 3 天井材、 3a ねじ、 33 第2係合部、 34 第1係合部、 35 第1調整係合部、 350 カバー部、 354 支持部、 36 第2調整係合部、 362 係合板部、 P1 係合部位、 P2 天井材の張り渡し方向の位置を調整可能な係合部位、