特開 2024-95466 面材構造体

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024095466

(43)【公開日】2024-07-10

(54)【発明の名称】面材構造体

(51)【国際特許分類】

   E04H 17/16 20060101AFI20240703BHJP

   E04H 17/14 20060101ALI20240703BHJP

【ＦＩ】

E04H17/16 101

E04H17/14 102

【審査請求】未請求

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022212772

(22)【出願日】2022-12-28

(71)【出願人】

【識別番号】504163612

【氏名又は名称】株式会社ＬＩＸＩＬ

(74)【代理人】

【識別番号】100106002

【弁理士】

【氏名又は名称】正林 真之

(74)【代理人】

【識別番号】100165157

【弁理士】

【氏名又は名称】芝 哲央

(74)【代理人】

【識別番号】100126000

【弁理士】

【氏名又は名称】岩池 満

(74)【代理人】

【識別番号】100160794

【弁理士】

【氏名又は名称】星野 寛明

(72)【発明者】

【氏名】柴田 航輔

(72)【発明者】

【氏名】市川 聖士

(72)【発明者】

【氏名】宮▲崎▼ 慎也

【テーマコード（参考）】

2E142

【Ｆターム（参考）】

2E142AA01

2E142AA03

2E142DD01

2E142DD06

2E142DD10

2E142DD17

2E142DD23

2E142DD32

2E142HH01

2E142HH13

2E142HH22

2E142LL02

(57)【要約】

【課題】柱材を挟んで配置される面材同士の角度を変更可能とし、施工性を向上させることができる面材構造体を提供することる。
【解決手段】柱材と、柱材の一つの面材取付面に取り付けられる第１の面材と、柱材の他の一つの面材取付面に取り付けられる第２の面材と、を備え、柱材は、第１の面材が取り付けられる第１の分割柱材と、第２の面材が取り付けられる第２の分割柱材と、に分割され、第１の分割柱材と第２の分割柱材とは、それぞれの延び方向に沿ういずれか１つの角部同士において、延び方向に沿う回転軸を有する回転連結部によって回転可能に連結され、第１の面材と第２の面材とが成す角度を変更可能に構成される、面材構造体である。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

柱材と、
前記柱材の一つの面材取付面に取り付けられる第１の面材と、
前記柱材の他の一つの面材取付面に取り付けられる第２の面材と、
を備え、
前記柱材は、前記第１の面材が取り付けられる第１の分割柱材と、前記第２の面材が取り付けられる第２の分割柱材と、に分割され、
前記第１の分割柱材と前記第２の分割柱材とは、それぞれの延び方向に沿ういずれか１つの角部同士において、前記延び方向に沿う回転軸を有する回転連結部によって回転可能に連結され、前記第１の面材と前記第２の面材とが成す角度を変更可能に構成される、面材構造体。

【請求項2】

前記回転連結部の前記回転軸は、前記第１の面材の面方向に沿う延長線と前記第２の面材の面方向に沿う延長線とが交差する位置に配置される、請求項１に記載の面材構造体。

【請求項3】

前記第１の分割柱材及び前記第２の分割柱材の横断面形状は、前記回転連結部を挟む２つの側面が互いに傾斜する傾斜面である多角形である、請求項１又は２に記載の面材構造体。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、面材構造体に関する。

【背景技術】

【0002】

一対の柱材の間に面材を取り付けることによって、空間を一方側と他方側とに仕切る面材構造体が知られている（例えば、特許文献１参照）。このような面材構造体は、敷地の境界等に設置されるフェンス、バルコニー等に設置される柵等として使用される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開平１１－１３３１６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

例えば、敷地のコーナー部のように、柱材を挟んで面材が角度を成すよう面材構造体を設置する必要がある場合がある。このような場合、敷地のコーナー部の角度に応じて、形状の異なる柱材に変更したり、柱材に対する面材の取り付け位置を変更したりする必要があり、施工性が悪い。そのため、面材構造体の施工性を向上させる観点で課題を有する。

【0005】

本開示は、柱材を挟んで配置される面材同士の角度を変更可能とし、施工性を向上させることができる面材構造体を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示は、柱材と、前記柱材の一つの面材取付面に取り付けられる第１の面材と、前記柱材の他の一つの面材取付面に取り付けられる第２の面材と、を備え、前記柱材は、前記第１の面材が取り付けられる第１の分割柱材と、前記第２の面材が取り付けられる第２の分割柱材と、に分割され、前記第１の分割柱材と前記第２の分割柱材とは、それぞれの延び方向に沿ういずれか１つの角部同士において、前記延び方向に沿う回転軸を有する回転連結部によって回転可能に連結され、前記第１の面材と前記第２の面材とが成す角度を変更可能に構成される、面材構造体に関する。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本実施形態に係る面材構造体の正面図である。

【図2】図１中のＡ－Ａ線に沿う断面図である。

【図3】本実施形態に係る面材構造体の角度を変更した状態を示す断面図である。

【図4】本実施形態に係る面材構造体の角度を変更した状態を示す断面図である。

【図5】図１中のＢ－Ｂ線に沿う断面図である。

【図6】本実施形態に係る面材構造体における横桟側取付部材の部分を示す斜視図である。

【図7】本実施形態に係る面材構造体における柱材側取付部材の部分を示す斜視図である。

【図8】本実施形態に係る面材と横桟側取付部材との分解斜視図である。

【図9】本実施形態に係る面材の取り付け方法を説明する図である。

【図10】本実施形態に係る面材の取り付け方法を説明する図である。

【図11】本実施形態に係る面材の取り付け方法を説明する図である。

【図12】本実施形態に係る面材の部分を敷地内から見た図である。

【図13】本実施形態に係る面材の部分を敷地外から見た図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。本開示の面材構造体は、代表的には、敷地の境界等に設置されるフェンス、バルコニー等に設置される柵、等が挙げられる。本開示の面材構造体は、これらに限定されず、面材によって空間を一方側と他方側とに仕切る構造体に広く適用できる。

【0009】

本実施形態の面材構造体は、面材として細幅状の複数の横桟４を使用し、複数の横桟４を柱材２，３間に平行に架け渡すことによって構成されるフェンス１を例示している。各図中におけるＸ１、Ｘ２は、フェンス１によって一方側と他方側とに仕切られる空間及びフェンス１から見たときの空間が配置される方向を示す。本明細書では、Ｘ１は敷地内と定義し、Ｘ２は敷地外と定義する。

【0010】

図１は、フェンス１を、敷地外である空間Ｘ２側から見た正面図である。フェンス１は、柱材２，３と、隣り合う柱材２，３に亘って架け渡される複数の横桟４と、複数の横桟４を柱材２，２にそれぞれ取り付けるための取付部材５と、を有する。フェンス１は、中央に配置される柱材３の左右両側にそれぞれ複数の横桟４，４を有する。本実施形態では、柱材３を挟んで一方側に配置される複数の横桟４を第１の面材４Ａと定義し、柱材３を挟んで他側に配置される複数の横桟４を第２の面材４Ｂと定義する。

【0011】

柱材２，３は、それぞれアルミニウム等の金属材からなる押出型材である。柱材２，３は、横桟４を配置可能な距離をおいて設置面から平行に立設される。柱材２は、図５に示すように、断面矩形状の角柱からなる。柱材２は、内部に矩形の中空部２０を有する。柱材３は、図２に示すように、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との２つの柱材に分割されている。柱材３の詳細については後述する。

【0012】

横桟４は、アルミニウム等の金属材からなる押出型材である。横桟４は、図８に示すように、断面矩形状の角柱状に形成される。横桟４は、内部に矩形の中空部４０を有する。本実施形態では、図１に示すように、柱材２，３間に横方向に架設される１８本ずつの横桟４によって、空間Ｘ１，Ｘ２を仕切る第１の面材及び第２の面材をそれぞれ構成する。第１の面材及び第２の面材の複数の横桟４は、上下に隣り合う横桟４，４間に僅かな隙間をあけて、１列に平行に配列される。

【0013】

取付部材５は、横桟４を柱材２に取り付けるための部材であり、柱材２と横桟４との間に配置される。取付部材５の詳細については後述する。

【0014】

次に、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとをそれぞれ接続する柱材３について、図２を参照し、説明する。

【0015】

柱材３は、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との２つの柱材に分割される。第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とは、並列して設置面に対して上下方向に延びるように立設される。第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とは、実質的に左右対称の同一形状を有する。第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とは、回転連結部３３によって、回転可能に連結されている。第１の分割柱材３１及びと第２の分割柱材３２の横断面は、いずれも多角形状であり、内部に中空部３１０，３２０を有する。

【0016】

第１の分割柱材３１は、外周方向に沿って配置される５つの側面３１ａ～３１ｄを有する。側面３１ａは、取付部材５を介して、第１の面材４Ａを構成する複数の横桟４を取り付ける面材取付面となる面である。側面３１ｂは、側面３１ａに直交して隣接する面である。側面３１ｃは、側面３１ｂに直交して隣接し、側面３１ａに平行に配置される面である。側面３１ｄは、回転連結部３３を挟んで、側面３１ｃに対して約４５°の角度で交差するように配置される面である。側面３１ｄは傾斜面である。側面３１ｅは、側面３１ｄと側面３１ａとの間を連結する面である。側面３１ｅは、側面３１ａに直交して隣接する面でもあり、側面３１ｂに平行に配置され面でもある。

【0017】

第２の分割柱材３２は、外周方向に沿って配置される５つの側面３２ａ～３２ｄを有する。側面３２ａは、取付部材５を介して、第２の面材４Ｂを構成する複数の横桟４を取り付ける面材取付面となる面である。側面３２ｂは、側面３２ａに直交して隣接する面である。側面３２ｃは、側面３２ｂに直交して隣接し、側面３２ａに平行に配置される面である。側面３２ｄは、回転連結部３３を挟んで、側面３２ｃに対して斜めに交差するように配置される面である。側面３２ｄは傾斜面である。側面３２ｅは、側面３２ｄと側面３２ａとの間を連結する面である。側面３２ｅは、側面３２ａに直交して隣接する面でもあり、側面３２ｂに平行に配置され面でもある。

【0018】

このように、第１の分割柱材３１及び第２の分割柱材３２の横断面形状は、回転連結部３３を挟む２つの側面３１ｃ，３１ｄ、３２ｃ，３２ｄが互いに傾斜する傾斜面である五角形である。

【0019】

図２は、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とが、側面３１ｃ，３２ｃ同士を当接させた状態を示す。この状態において、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との側面３１ａ，３２ａは、互いに平行に配置される。第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との側面３１ｂ，３２ｂは、面一状に配置される。第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との側面３１ｄ，３２ｄは、回転連結部３３を中心として、空間Ｘ１に向けてＶ字状に拡がるように配置される。第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との側面３１ｅ，３２ｅは、側面３１ｄ，３２ｄを挟んで離隔して平行に配置される。このとき、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとは、面一状に一列に並ぶように配置される。

【0020】

回転連結部３３は、第１の分割柱材３１の側面３１ｃ，３１ｄが交差する角部３１１、且つ第２の分割柱材３２の側面３２ｃ，３２ｄが交差する角部３２１に沿って配置される。回転連結部３３は、柱材３の延び方向（図１の上下方向、図２の紙面に対する垂直方向）に沿って延びる略円柱状の回転軸３３１を有する。回転軸３３１は、第１の分割柱材３１の角部３１１に一体に設けられている。図２において、回転軸３３１は、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との側面３１ｃ，３２ｃ、及び側面３１ｄ，３２ｄを回転連結部３３に向けて延長したときの交点の位置に配置される。

【0021】

第２の分割柱材３２の角部３２１には、略管状の嵌合片３３２が一体に設けられている。嵌合片３３２の先端部は、角部３２１から相手の第１の分割柱材３１の角部３１１に向けて突出している。嵌合片３３２は、回転軸３３１に対して外嵌合することによって、回転軸３３１を内部に回転可能に収容する。第１の分割柱材３１の角部３１１には、嵌合片３３２を収容可能な断面円弧状の溝部３３３が、回転軸３３１の外周に沿って設けられている。

【0022】

回転連結部３３の回転軸３３１は、第１の面材４Ａの面方向に沿う延長線４Ａ１と、第２の面材４Ｂの面方向に沿う延長線４Ｂ１とが交差する位置に配置される。延長線４Ａ１，４Ｂ１は、面材である横桟４の空間Ｘ１－Ｘ２に沿う厚みの中心線を、横桟４の延び方向に沿って延長させた線である。そのため、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とが回転軸３３１を中心に回転しても、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとの間の離隔距離は変わらない。

【0023】

次に、このように構成されるフェンス１の作用について説明する。

【0024】

フェンス１が、例えば、敷地のコーナー部に設置される場合、図３に示すように、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とを、回転軸３３１を中心にして回転させ、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとが成す角度θを調整する。この角度θは、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとが、回転軸３３１に対して傾斜面である側面３１ｄ，３２ｄ側の空間に対して成す角度と定義する。

【0025】

図３は、柱材３において、角度θが、図２に示す１８０°よりも小さくなった状態を示す。このとき、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との側面３１ｃ，３２ｃは、図２に示す状態に対して、回転軸３３１を中心に開いて離隔する。第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との側面３１ｄ，３２ｄは、図２に示す状態に対して、回転軸３３１を中心に閉じて近接する。

【0026】

図４は、柱材３において、角度θが最も小さくなった状態を示す。このとき、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との側面３１ｄ，３２ｄ同士が当接する。第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２との側面３１ｃ，３２ｃは、回転軸３３１を中心に最大に開いて離隔する。

【0027】

第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とが回転軸３３１を中心にして回転したときの第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとが成す角度θは、第１の分割柱材３１及び第２の分割柱材３２を製造する際に、回転時の当接面となる側面３１ｃ，３２ｃと側面３１ｄ，３２ｄとが角部３１１，３２１を挟んで交差する角度を調整することによって、適宜に設定可能である。この角度θは、特に限定されないが、例えば、９０°以上１８０°以下の範囲とすることができる。

【0028】

このフェンス１によれば、例えば、敷地のコーナー部に設置する場合でも、そのコーナー部の角度に応じて、現場において、柱材３の第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とを回転軸３３１を中心に回転させることで、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとを、コーナー部を挟んで配置させることができる。柱材を形状の異なる別の柱材に変更したり、面材の取り付け位置を変更したりする必要がないため、施工性が向上する。

【0029】

次に、第１の面材４Ａ及び第２の面材４Ｂを構成する横桟４を、柱材２，３に取り付ける取付部材５につい、図５～図８を参照して説明する。取付部材５は、横桟４を柱材２，３に取り付けるための部材であり、柱材２，３と横桟４との間に配置される。取付部材５は、柱材２，３で共通であるため、以下の説明では、柱材２に横桟４を取り付ける取付部材５について説明する。

【0030】

取付部材５は、柱材２の横桟４に対向する側面２ａと、横桟４の柱材２に対向する端面４ａと、の間に配置され、柱材２と横桟４とを接続する。取付部材５は、全ての横桟４の端面４ａに亘って上下方向に延びている。取付部材５は、一対の柱材２，２の各側面２ａ，２ａと、横桟４の両端面４ａと、の間にそれぞれ配置される。

【0031】

詳しくは、取付部材５は、柱材２の横桟４に対向する側面２ａと、横桟４の柱材２に対向する端面４ａと、の間に配置され、柱材２と横桟４とを接続する。取付部材５は、全ての横桟４の端面４ａに亘って上下方向に延びている。取付部材５は、一対の柱材２，２の各側面２ａ，２ａと、横桟４の両端面４ａと、の間にそれぞれ配置される。

【0032】

取付部材５は、図５～図８に示すように、横桟側取付部材５１と、柱材側取付部材５２と、を含んで構成される。横桟側取付部材５１は、複数の横桟４の端面４ａに亘って取り付けられる縦枠部材である。柱材側取付部材５２は、柱材２の側面２ａに取り付けられる枠部材である。横桟側取付部材５１及び柱材側取付部材５２は、いずれもアルミニウム等の金属材からなる押出型材である。

【0033】

横桟側取付部材５１は、複数の横桟４の端面４ａに亘って取り付けられる。本実施形態の横桟側取付部材５１は、図８に示すように、上下に配列される４本の横桟４の各端面４ａに対して１つずつの横桟側取付部材５１が配置される。

【0034】

横桟側取付部材５１は、図６に示すように、基板部５１１と、第１取付片５１２と、一対の係止片５１３ａ，５１３ｂと、を一体に有する。

【0035】

基板部５１１は、複数の横桟４の端面４ａに亘って当接して当該端面４ａに取り付けられる部位である。基板部５１１は、取付け対象となる上下方向に配列される複数の横桟４の全ての端面４ａに亘る上下方向の長さを有する。基板部５１１には、横桟４の端面４ａに開口するタッピングホール４１の位置に対応して、基板部５１１を横桟４の端面４ａに取り付けるためのねじ５１０を貫通させる複数のねじ孔５１１２が設けられている。

【0036】

第１取付片５１２は、後述の柱材側取付部材５２に対して取り付ける板状の部位である。第１取付片５１２は、基板部５１１の幅方向（空間Ｘ１－Ｘ２方向）における空間Ｘ１寄りの位置から、横桟４の端面４ａと対向する柱材２の側面２ａに向けて突出している。第１取付片５１２の両面５１２ａ，５１２ｂは、空間Ｘ１，Ｘ２に面している。第１取付片５１２は、基板部５１１の上下の長さ方向の全長に亘って一定幅で延びている。第１取付片５１２には、柱材側取付部材５２に対して取り付けるためのねじ５０を貫通させる複数のねじ孔５１２１が設けられている。第１取付片５１２は、ねじ５０をねじ込むのに必要十分な突出方向の幅を有する。

【0037】

一対の係止片５１３ａ，５１３ｂは、後述のカバー部材５３を着脱可能に係止する板状の部位である。一対の係止片５１３ａ，５１３ｂは、基板部５１１の上下の長さ方向の全長に亘って延びている。一対の係止片５１３ａ，５１３ｂは、空間Ｘ１に向けて平行に突出している。一方の係止片５１３ａは、第１取付片５１２よりも空間Ｘ１側に配置される基板部５１１の端縁部によって形成される。他方の係止片５１３ｂは、第１取付片５１２における基板部５１１から遠い側の端縁に配置され、空間Ｘ１に向けて突出している。空間Ｘ１－Ｘ２方向に沿う係止片５１３ａ，５１３ｂの先端位置は、同一位置に配置されている。横桟側取付部材５１において、係止片５１３ａを含む基板部５１１の空間Ｘ１－Ｘ２方向に沿う幅は、空間Ｘ１－Ｘ２方向に沿う横桟４の厚み以上である。

【0038】

柱材側取付部材５２は、図７に示すように、基板部５２１と、第２取付片５２２と、カバー片５２３と、を一体に有する。

【0039】

基板部５２１は、柱材２の側面２ａに当接して当該側面２ａに取り付けられる部位である。基板部５２１は、面材を構成する２０本の横桟４の配列方向の長さに対応する上下方向の長さを有する。すなわち、横桟側取付部材５１は、上下方向に５本に分割されているのに対し、柱材側取付部材５２は、柱材２の側面２ａに、５本の横桟側取付部材５１に対して１本設けられる。基板部５２１には、柱材２の側面２ａに取り付けるためのねじ５２０を貫通させる複数のねじ孔５２１１が設けられている。

【0040】

第２取付片５２２は、横桟側取付部材５１に対して取り付ける板状の部位である。詳しくは、第２取付片５２２は、柱材２に横桟４を取り付けるために、横桟側取付部材５１の第１取付片５１２と重ねられる部位である。第２取付片５２２は、基板部５２１の幅方向（空間Ｘ１－Ｘ２方向）における空間Ｘ１側の端縁から、柱材２の側面２ａと対向する横桟４の端面４ａに向けて突出している。第２取付片５２２の両面５２２ａ，５２２ｂは、空間Ｘ１，Ｘ２に面している。第２取付片５２２は、基板部５２１の上下の長さ方向の全長に亘って一定幅で延びている。第２取付片５２２には、ねじ孔の代わりに、空間Ｘ１に面する面５２２ａに、ねじ５０のねじ込み位置を指示する断面Ｖ形状の切欠き溝５２２１が、第２取付片５２２の全長に亘って設けられている。第２取付片５２２の突出方向の幅は、横桟側取付部材５１の第１取付片５２２の突出方向の幅と略同一である。

【0041】

カバー片５２３は、柱材側取付部材５２の最も空間Ｘ２側に配置される部位である。カバー片５２３は、基板部５２１の幅方向（空間Ｘ１－Ｘ２方向）における空間Ｘ２側の端縁から、横桟４の端面４ａに向けて突出している。カバー片５２３は、基板部５２１の上下の長さ方向の全長に亘って一定幅で延びている。横桟４の端面４ａに向けたカバー片５２３の突出方向の幅は、横桟側取付部材５１の一対の係止片５１３ａ，５１３ｂの幅に略等しい。詳しくは、カバー片５２３の突出方向の幅は、一対の係止片５１３ａ，５１３ｂの相反する側面間の距離に略等しい。カバー片５２３は、空間Ｘ２側から第２取付片５２２の全体を覆い隠すように設けられる。カバー片５２３は、柱材側取付部材５２の空間Ｘ２側の化粧面を構成する。

【0042】

カバー片５２３における基板部５２１から遠い側の端縁には、空間Ｘ１に向けて基板部５２１と略平行に延びる端縁部５２３１が一体に設けられる。さらに、端縁部５２３１の空間Ｘ１側の端縁には、横桟側取付部材５１の基板部５１１の空間Ｘ２側の端縁を当接させる当接片５２３２が一体に設けられる。当接片５２３２は、端縁部５２３１の空間Ｘ１側の端縁から、端縁部５２３１を基板部５２１側に向けて屈曲するように形成される。当接片５２３２の先端は、基板部５２１側且つ空間Ｘ１に向けて僅かに屈曲している。端縁部５２３１及び当接片５２３２は、基板部５２１の上下の長さ方向の全長に亘って一定幅で延びている。

【0043】

複数の横桟４に亘って取り付けられた横桟側取付部材５１は、柱材２の側面２ａに取り付けられた柱材側取付部材５２に対して、図５に示すように、第１取付片５１２が第２取付片５２２の空間Ｘ１側に重なるように装着されている。第１取付片５１２と第２取付片５２２とが重なった状態において、柱材側取付部材５２のカバー片５２３は、横桟側取付部材５１の基板部５１１よりも空間Ｘ２側にはみ出している。カバー片５２３の端縁部５２３１は、横桟側取付部材５１の基板部５１１の空間Ｘ２側に、基板部５１１に対して略面一状に配置される。カバー片５２３の当接片５２３２は、横桟側取付部材５１の基板部５１１の空間Ｘ２側の端縁に対して、空間Ｘ２側から当接している。重なった第１取付片５１２及び第２取付片５２２は、空間Ｘ１側からねじ込まれるねじ５０によって固定される。

【0044】

取付部材５は、図５に示すように、さらにカバー部材５３を有する。カバー部材５３は、アルミニウム等の金属材もしくは樹脂材によって形成される。カバー部材５３は、横桟側取付部材５１及び柱材側取付部材５２とは別体の部品である。カバー部材５３は、柱材側取付部材５２の上下方向の長さと同一長さを有する。すなわち、カバー部材５３は、横桟側取付部材５１の５本分の長さを有する。

【0045】

カバー部材５３は、カバー部材本体５３１と、一対の係止爪５３２，５３２と、を有する。カバー部材本体５３１は、カバー部材５３の上下の長さ方向の全長に亘って一定幅で延びている。カバー部材本体５３１は、カバー部材５３の空間Ｘ１に面する化粧面を構成する。一対の係止爪５３２，５３２は、カバー部材本体５３１の幅方向の両端縁から空間Ｘ２に向けてそれぞれ同一高さで突出している。一対の係止爪５３２，５３２は、横桟側取付部材５１の一対の係止片５３１ａ，５３１ｂの内側に対して、空間Ｘ１側から着脱可能に取り付けられる。これによって、カバー部材５３は、ねじ５０によって固定された第１取付片５１２を空間Ｘ１側から覆い隠す。カバー部材本体５３１の幅は、柱材側取付部材５２のカバー片５２３の幅と同一幅である。そのため、カバー部材５３が取り付けられた状態の空間Ｘ１側から見たときの取付部材５と、空間Ｘ２側から見たときの取付部材５とは、同一意匠である。

【0046】

次に、一対の柱材２，２の間に複数の横桟４を取り付ける方法について、図８～図１１を参照して説明する。

【0047】

図８に示すように、複数の横桟４を一列に配列し、複数の横桟４の端面４ａに横桟側取付部材５１を取り付ける。詳しくは、横桟側取付部材５１の基板部５１１を、複数の横桟４の端面４ａに亘って当接し、ねじ孔５１１２を通してタッピングホール４１にねじ５１０をねじ込むことによって固定する。本実施形態では４本の横桟４ずつ同様の作業を繰り返し、４本の横桟４の両端面４ａ，４ａに横桟側取付部材５１，５１が取り付けられた５組の横桟組立体４００を形成する。このとき、横桟４の両端面４ａ，４ａの横桟側取付部材５１，５１は、同一の向きに取り付けられる。すなわち、横桟側取付部材５１，５１は、一対の係止片５１３ａ，５１３ｂが同一方向に突出するように、横桟４の両端面４ａ，４ａに取り付けられる。

【0048】

図９に示すように、柱材２の側面２ａに、柱材側取付部材５２を取り付ける。詳しくは、柱材側取付部材５２の基板部５２１を、柱材２の上下の長さ方向に沿って柱材２の側面２ａの所定位置に当接し、ねじ孔５２１１を通して側面２ａにねじ５２０をねじ込むことによって固定する。

【0049】

次に、図１０に示すように、柱材側取付部材５２が取り付けられた柱材２に対して、横桟組立体４００を装着する。詳しくは、横桟組立体４００の両端から張り出している横桟側取付部材５１の第１取付片５１２を、空間Ｘ１側から、一対の柱材２，２の柱材側取付部材５２，５２から内方に向けて張り出している第２取付片５２２に当接させて重ね合わせる。その後、第１取付片５１２から第２取付片５２２に亘って、空間Ｘ１側からねじ５０をねじ込むことによって、横桟組立体４００を一対の柱材２，２の間に固定する。同様にして、柱材２，２の上下方向に全ての横桟組立体４００を固定する。これによって、全ての横桟組立体４００が、柱材２，２に支持される。

【0050】

その後、図１１に示すように、横桟側取付部材５１に、空間Ｘ１側からカバー部材５３を取り付ける。詳しくは、カバー部材５３の一対の係止爪５３２，５３２を、空間Ｘ１側から、横桟側取付部材５１の一対の係止片５１３ａ，５１３ｂの内側に嵌合して取り付ける。これによって、図５に示すように、柱材２と横桟４との間に、横桟側取付部材５１と柱材側取付部材５２とが一体に組み合わされた取付部材５が構成される。

【0051】

このように構成されるフェンス１において、柱材２に横桟４を装着方向は、空間Ｘ１から空間Ｘ２に向かう方向である。一方、横桟４を柱材２に固定するねじ５０のねじ込み方向も、空間Ｘ１から空間Ｘ２に向かう方向である。両方向は一致するため、フェンス１の組立てを、同一の空間Ｘ１側から行うことができる。そのため、フェンス１は、横桟４の施工性に優れる。柱材２及び横桟４には、特別な加工を施す必要はなく、支持部材として通常の柱材２を使用することができ、面材として通常に横桟４を使用することができる。

【0052】

取付部材５は、空間Ｘ１側と空間Ｘ２側とで同一意匠であるため、図１２に示すように、フェンス１を空間Ｘ１側から見たときの意匠と、図１３に示すように、フェンス１の図１２と同一の部位を空間Ｘ２側から見たときの意匠との間に差は見られない。そのため、フェンス１は意匠性に優れる。

【0053】

本実施形態に係る面材構造体によれば、以下の効果を奏する。

【0054】

（１） 柱材３と、柱材３の一つの面材取付面３１ａに取り付けられる第１の面材４Ａと、柱材３の他の一つの面材取付面３２ａに取り付けられる第２の面材４Ｂと、を備え、柱材３は、第１の面材４Ａが取り付けられる第１の分割柱材３１と、第２の面材４Ｂが取り付けられる第２の分割柱材３２と、に分割され、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とは、それぞれの延び方向に沿ういずれか１つの角部３１１，３２１同士において、延び方向に沿う回転軸３３１を有する回転連結部３３によって回転可能に連結され、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとが成す角度θを変更可能に構成される、面材構造体１である。

【0055】

これによれば、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとの成す角度θを、現場で容易に変更可能である。そのため、面材構造体１の施工性を向上させることができる。

【0056】

（２） 上記（１）に記載の面材構造体１において、回転連結部３３の回転軸３３１は、第１の面材４Ａの面方向に沿う延長線４Ａ１と第２の面材４Ｂの面方向に沿う延長線４Ｂ１とが交差する位置に配置される。

【0057】

これによれば、第１の分割柱材３１と第２の分割柱材３２とが回転軸３３１を中心に回転しても、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとの間の離隔距離は変わらない。そのため、設置する敷地のコーナー部に応じて、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとが成す角度θの調整作業を容易に行うことができる。

【0058】

（３） 上記（１）又は（２）に記載の面材構造体１において、第１の分割柱材３１及び第２の分割柱材３２の横断面形状は、回転連結部３３を挟む２つの側面３１ｃ，３１ｄ、３２ｃ，３２ｄが互いに傾斜する傾斜面である多角形である。

【0059】

これによれば、第１の面材４Ａと第２の面材４Ｂとの成す角度θを、２つの側面３１ｃ，３１ｄ、３２ｃ，３２ｄによって容易に現場で規制することができる。

【0060】

以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示の面材取付構造は上記実施形態に限定されない。面材は、複数の横桟４によって構成されるもの限定されない。図示しないが、面材は、柱材の上下にそれぞれ配置され桁材に亘って上下方向に延びる複数の縦桟によって構成されてもよい。この場合、取付部材５は、上下の桁材と縦桟との間に配置される。面材は、上下左右に交差する格子であってもよい。この場合、取付部材５は、上下の桁材と左右の柱材の両方に配置されてもよい。面材は、横桟４のように複数のパーツを組み合わせて構成されるものに限定されない。面材は、平板状のパネル板、多数の開孔を有するメッシュ板等であってもよい。

【符号の説明】

【0061】

１ フェンス（面材構造体）、 ３ 柱材、 ３１ 第１の分割柱材、 ３２ 第２の分割柱材、 ３１ａ，３２ａ 面材取付面、 ３１１，３２１ 角部、 ３３ 回転連結部、 ３３１ 回転軸、 ４Ａ 第１の面材、 ４Ｂ 第２の面材、 ４Ａ１，４Ｂ１ 延長線

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】