(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095467
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
E02F9/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212777
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】若田 健眞
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015CA00
(57)【要約】
【課題】運転席側からも作動油タンクのレベルゲージを容易に視認することができ、作動油タンク内の油量の確認がしやすく、良好な作業性を得ることができる建設機械を提供すること。
【解決手段】タンク室20内に設けられ、油圧アクチュエータを作動させる作動油を収容する作動油タンク15と、タンク室20の側方に設けられた運転席と、タンク室20の運転席側に設けられ、作動油タンク15内の作動油の量を表示するレベルゲージ70と、を備えた掘削作業機。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク室内に設けられ、油圧アクチュエータを作動させる作動油を収容する作動油タンクと、
前記タンク室の側方に設けられた運転席と、
前記タンク室の前記運転席側に設けられ、前記作動油タンク内の作動油の量を表示するレベルゲージと、を備えた
建設機械。
【請求項2】
前記タンク室および前記運転席を設けた旋回フレームを備え、
前記レベルゲージは、前記旋回フレームの前部上方に配置されている
請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記レベルゲージは、接続ホースを介して前記作動油タンクに連通接続されている
請求項1または請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記作動油タンクの前方に配置された燃料タンクを備え、
前記レベルゲージは、前記燃料タンクの側方に配置されている
請求項1に記載の建設機械。
【請求項5】
前記タンク室は、開閉可能に設けられたカバー部材により覆われており、
前記タンク室内に設けられ、前記作動油タンク内の作動油の量を表示する他のレベルゲージを備え、
前記他のレベルゲージは、前記カバー部材を開いた状態で目視可能な位置に配置されている
請求項1に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧アクチュエータを作動させる作動油を収容する作動油タンクを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掘削作業機等の建設機械において、油圧シリンダ等の油圧アクチュエータを作動させる作動油を収容する作動油タンクが備えられている。作動油タンクには、タンク内の油量を把握するためのレベルゲージ(液面計)が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。作動油タンクのレベルゲージによれば、例えば建設機械による作業開始前の点検作業として、レベルゲージを目視することにより作動油タンク内の油量の確認が行われる。
【0003】
特許文献1には、油圧ショベルにおいて、作動油タンクの側面にレベルゲージを設けるとともに、そのレベルゲージを、作動油タンクを側方から覆う横化粧カバーとポンプ室ドアとの間の隙間に位置する箇所に配置した構成が開示されている。特許文献1に開示された構成によれば、横化粧カバーとポンプ室ドアとの間の隙間からレベルゲージを目視することができるので、ポンプ室ドアを開くことなく、レベルゲージによって作動油タンク内の油量を確認することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたような構成によれば、次のような問題がある。作動油タンクのレベルゲージを目視するための隙間は、油圧ショベルにおいて走行体の上方に搭載された旋回体の側方に設けられた外装部材である横化粧カバーとポンプ室ドアとの間の隙間であり、旋回体の外側の側方からのレベルゲージの目視を可能とするものである。横化粧カバーは、左右方向について、運転室に対して掘削作業機を間に挟んで反対側に設けられている。このような構成においては、旋回体に設けられた運転室からは、レベルゲージを視認することができない。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、運転席側からも作動油タンクのレベルゲージを容易に視認することができ、作動油タンク内の油量の確認がしやすく、良好な作業性を得ることができる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る建設機械は、タンク室内に設けられ、油圧アクチュエータを作動させる作動油を収容する作動油タンクと、前記タンク室の側方に設けられた運転席と、前記タンク室の前記運転席側に設けられ、前記作動油タンク内の作動油の量を表示するレベルゲージと、を備えたものである。
【0008】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記タンク室および前記運転席を設けた旋回フレームを備え、前記レベルゲージは、前記旋回フレームの前部上方に配置されているものである。
【0009】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記レベルゲージは、接続ホースを介して前記作動油タンクに連通接続されているものである。
【0010】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記作動油タンクの前方に配置された燃料タンクを備え、前記レベルゲージは、前記燃料タンクの側方に配置されているものである。
【0011】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記タンク室は、開閉可能に設けられたカバー部材により覆われており、前記タンク室内に設けられ、前記作動油タンク内の作動油の量を表示する他のレベルゲージを備え、前記他のレベルゲージは、前記カバー部材を開いた状態で目視可能な位置に配置されているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運転席側からも作動油タンクのレベルゲージを容易に視認することができ、作動油タンク内の油量の確認がしやすく、良好な作業性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の左前方斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の左側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る掘削作業機のベースプレート上の装置の配置構成を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る掘削作業機のベースプレート上の装置の配置構成を示す右上方斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る掘削作業機のタンク収容部の上カバーを開いた状態を示す右前方斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るタンク室内の配置構成を示す左前方斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るタンク室内の配置構成を示す左後方斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るタンク室内の配置構成を示す右側面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るタンク室内の配置構成を示す左側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るレベルゲージおよびその近傍の構成を示す左後方斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るレベルゲージおよびその近傍の構成を示す左側面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る燃料タンクおよびその周辺の構成を示す右前方斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る燃料タンクおよびその周辺の構成を示す右前方分解斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る燃料タンクおよびその周辺の構成を示す平面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る燃料供給ポンプおよび支持部材を示す右前方斜視図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る燃料ゲージの構成を示す右側面図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る固定保持板の後側の固定部の構成を示す右前方斜視図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係る固定保持板の後側の固定部の構成を示す右側面断面図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る固定保持板の前側の固定部の構成を示す右前方斜視図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係る他の機能部品の配置例を示す右前方斜視図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る他の機能部品の配置例を示す右側面図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係る他の機能部品の配置例を示す平面図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係るマルチバルブおよび支持部材を示す右前方斜視図である。
【
図25】本発明の一実施形態に係る電気制御型油圧システムの構成を示すブロック図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係る作動油タンク、コントロールバルブおよびその周辺の構成を示す右後方斜視図である。
【
図27】本発明の一実施形態に係る作動油タンク、コントロールバルブおよびその周辺の構成を示す右側面図である。
【
図28】本発明の一実施形態に係る作動油タンク、コントロールバルブおよびその周辺の構成を示す平面図である。
【
図29】本発明の一実施形態に係る作動油タンクおよびコントロールバルブを示す右後方斜視図である。
【
図30】本発明の一実施形態に係る作動油タンク、コントロールバルブおよびその周辺の構成を模式的に示す平面図である。
【
図31】本発明の一実施形態に係るホースクランプの構成を示す右側面図である。
【
図32】本発明の一実施形態に係る油圧機器用支持ステーの構成を示す右後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態では、本発明に係る建設機械として、旋回作業車である掘削作業機(ショベル)を例にとって説明する。ただし、本発明に係る建設機械は、掘削作業機に限らず、例えば、ブルドーザ、クレーン作業機、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用可能である。
【0015】
本実施形態に係る掘削作業機1の全体構成について、
図1から
図3を用いて説明する。
図1から
図3に示すように、掘削作業機1は、自走可能な走行車体としての走行装置2と、走行装置2に取り付けられた作業部としての掘削装置3および排土装置4とを備える。
【0016】
走行装置2は、掘削作業機1の本機をなす部分であり、左右一対のクローラ式の走行部5,5と、左右の走行部5,5間に介設された基台としての機体フレーム6と、機体フレーム6上に設けられた旋回フレーム7とを有する。
【0017】
走行部5は、機体フレーム6に支持されたスプロケットやローラ等の複数の回転体に履帯を巻回した構成を有する。走行部5は、その後端部に駆動輪である駆動スプロケット5aを有する。機体フレーム6は、左右の走行部5,5間の中央部に位置するセンターフレーム部6aと、センターフレーム部6aの左右両側に設けられたサイドフレーム部6bとを有する。
【0018】
各走行部5においては、走行用油圧モータ11が設けられている。走行用油圧モータ11は、各走行部5において、機体フレーム6のサイドフレーム部6b等の所定の部位に取り付けられた状態で、駆動スプロケット5aを回転駆動させるように設けられている。左右の走行用油圧モータ11,11がそれぞれ走行部5を駆動させることで、走行装置2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。
【0019】
旋回フレーム7は、機体フレーム6に対して、センターフレーム部6aの上側に設けられた旋回ベアリングを含む旋回支持部8を介して接続されており、上下方向の軸線回りに左右いずれの方向にも旋回可能に設けられている。旋回フレーム7は、旋回用の油圧モータである旋回モータ(図示せず)の駆動によって旋回する。
【0020】
旋回フレーム7上には、運転部10が設けられている。また、旋回フレーム7上の後部には、駆動源としてのエンジン12等を含む原動機部が設けられている。運転部10の右側には、燃料タンク14および作動油タンク15を収容したタンク室20を構成するタンク収容部13が設けられている(
図3参照)。
【0021】
運転部10は、走行装置2、掘削装置3および排土装置4を運転・操作するためのものであり、旋回フレーム7に対して設けられたキャビン16内に設けられている。キャビン16は、その外形をなすフレームと、ガラス等の透明部材によって構成された複数の窓部とを有し、全体として略箱状に構成されている。キャビン16は、左側の側面部に、運転部10に対するオペレータの乗降口を開閉させる開閉扉16aを有する。
【0022】
キャビン16内においては、床部上に設けられた運転席支持台上に運転席17が設けられている。運転席17の周囲には、走行レバー等の走行操作部や、掘削装置3や排土装置4等の作業部を操作するための作業操作レバー等の作業操作部や、スイッチ等の各種操作部を有する操作パネル部等が設けられている。
【0023】
作業操作部に関し、運転席17の左側には左側作業操作レバー18が設けられており、運転席17の右側には右側作業操作レバー19が設けられている(
図3参照)。これらの左右の作用操作レバーにより、掘削装置3の操作が行われる。左側作業操作レバー18および右側作業操作レバー19は、いずれも基部側を蛇腹状のレバーブーツにより被覆させており、少なくとも前後左右に傾動操作可能に構成されている。
【0024】
旋回フレーム7の前側に、掘削装置3が取り付けられている。掘削装置3は、その基端部を構成するブーム21と、ブーム21の先端側に連結されたアーム22と、アーム22の先端部に取り付けられたバケット23とを有する。また、掘削装置3は、ブーム21を回動動作させるブームシリンダ24と、アーム22を回動動作させるアームシリンダ25と、バケット23を回動動作させるバケットシリンダ26とを有する。
【0025】
ブーム21の基端部は、ブーム支持ブラケット27により支持されている。ブーム支持ブラケット27は、旋回フレーム7の前端の左右中央部に突設されたブラケット取付部28に、上下方向を回動軸方向とするスイング軸を介して支持されている。掘削装置3は、ブーム支持ブラケット27と旋回フレーム7との間に設けられたスイングシリンダ29の伸縮動作により、旋回フレーム7に対してスイング軸回りに左右にスイングするように設けられている。ブーム支持ブラケット27は、ブーム21の基端部を左右方向を回動軸方向として回動可能に支持する部分と、ブームシリンダ24の下端部を支持する部分と、スイングシリンダ29の前端部であるロッドの先端部の連結を受ける部分とを有する。
【0026】
掘削装置3を構成するブームシリンダ24、アームシリンダ25およびバケットシリンダ26、並びに掘削装置3をスイングさせるスイングシリンダ29は、いずれも油圧ポンプ58(
図4参照)が吐出する圧油によって動作する油圧シリンダである。なお、掘削装置3において、バケット23は、作業用のアタッチメントとしてアーム22の先端部に対して着脱可能に連結されており、作業内容に応じてバケット23に替えてグラップルやブレーカ等の他のアタッチメントが装着される。
【0027】
機体フレーム6の前側には、排土装置4が取り付けられている。排土装置4は、左右の走行部5,5間において前後方向に伸延する左右一対のアームを含む支持フレーム31と、支持フレーム31の先端側に設けられた排土板であるブレード32と、支持フレーム31を介してブレード32を昇降させるブレードシリンダ33とを有する。ブレードシリンダ33は、油圧ポンプ58が吐出する圧油によって動作する油圧シリンダである。
【0028】
支持フレーム31は、左右のアームの後端部を、機体フレーム6の前部に設けられた支持ブラケットに対して左右方向を回動軸方向として回動可能に支持させ、機体フレーム6に対して昇降回動可能に取り付けられている。ブレード32は、支持フレーム31の前端部に支持された状態で設けられている。ブレードシリンダ33は、後端部を機体フレーム6の前部に設けられた支持ブラケットに、前端部をブレード32の裏側に設けられた支持ブラケットに、それぞれ左右方向を回動軸方向として回動可能に支持させ、機体フレーム6とブレード32との間に架設されている。ブレードシリンダ33の伸縮動作により、支持フレーム31およびブレード32が一体的に上下回動する。
【0029】
掘削作業機1は、機体フレーム6およびその左右両側に支持された走行部5,5を含む構成を下部走行体とし、下部走行体に対して旋回可能に搭載された上部旋回体を備える。上部旋回体は、旋回フレーム7と、旋回フレーム7上に設けられた運転部10やエンジン12やタンク収容部13等を含んで構成されている。
【0030】
以上のような構成を備えた掘削作業機1においては、運転席17に着座したオペレータにより走行レバーや作業操作レバー等が適宜操作されることで、所望の動作・作業が行われる。具体的には、例えば、走行レバーの操作により、左右の走行部5の操作による走行装置2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。また、作業操作レバーの操作により、掘削装置3による掘削作業、あるいは排土装置4による排土作業や整地作業が行われる。
【0031】
[タンク収容部の構成]
タンク収容部13の構成について、
図4から
図10を用いて説明する。タンク収容部13は、旋回フレーム7を構成するベースプレート40上において、ベースプレート40上の領域を左右方向に略三等分したうちの右側の領域部分に設けられている。ベースプレート40は、水平状に配された板状のフレーム部材であり、旋回フレーム7の底面部を形成している。ベースプレート40は、平坦な上面40aを有する。
【0032】
タンク収容部13は、ベースプレート40上に区画されたタンク室20内に燃料タンク14や作動油タンク15等を収容した部分である。タンク室20は、その後側を、ベースプレート40上における後部に配置されたエンジン12を収容した機関室30に対して空間的に連続させている。
【0033】
旋回フレーム7上において、タンク室20の左側方には、内部に運転席17(
図3参照)を配置したキャビン16が設けられている。つまり、旋回フレーム7上において、作動油タンク15を収容するタンク室20と運転席17とが横並びに配置されている。
【0034】
タンク室20は、ベースプレート40上に設けられた縦板41の一部を含む隔壁部42により、ベースプレート40上における左右中央側の部分に対して区画されている。隔壁部42は、タンク室20を形成する側面部分のうち運転部10側(左側)の側面部分をなしている。また、隔壁部42は、旋回フレーム7上におけるブラケット取付部28の後方の空間部36を介して、キャビン16の右側の壁部16bに対向している。空間部36は、キャビン16とタンク収容部13との間において、掘削装置3の後方への動作範囲を確保するための凹状の空間部分である。
【0035】
縦板41は、ベースプレート40に固定された状態で設けられ、旋回フレーム7の一部を構成している。縦板41は、ベースプレート40上における左右中央部より右側寄りの位置に、左右方向を板厚方向とする向きで、ベースプレート40の前後方向の略全体にわたる範囲に設けられている。縦板41は、その前部41aにおいて前側から後側にかけて徐々に高さを低くした形状を有する。
【0036】
縦板41は、前部41aにより、隔壁部42の下部を形成している。縦板41の前部41aの上側には、隔壁部42の縁部をなす上前フレーム44が設けられている。上前フレーム44は、前下がりの傾斜状をなし、前端部を縦板41の前端部の上側に対して固定支持させている。上前フレーム44の前端部には、縦板41に対する支持部をなす板状のフランジ部44aが設けられている。上前フレーム44は、フランジ部44aを、縦板41の前端部の上側に設けられた支持板部41bに対して上側から重ね、フランジ部44aを貫通する固定ボルト45等によって支持板部41bに固定されている。
【0037】
上前フレーム44の後部は、ベースプレート40の上面40aに対して垂直状に立設したフレーム部分である後フレーム43の上端部に連結され支持されている。後フレーム43は、下端部に板状のフランジ部43aを有し、フランジ部43aを貫通するボルト46等によってベースプレート40に固定されている。
【0038】
上前フレーム44は、上前フレーム44の後側の大部分をなす第1傾斜フレーム部44bと、第1傾斜フレーム部44bの前側の部分であって第1傾斜フレーム部44bよりも傾斜が急な第2傾斜フレーム部44cとを有する。第2傾斜フレーム部44cの下端部にフランジ部44aが設けられている。
【0039】
隔壁部42をなす縦板41の前部41aおよび上前フレーム44は、後フレーム43とともに枠状の部分を形成し、この枠状の部分に囲まれた領域のうち前側の大部分が、仕切板47により塞がれる(
図10参照)。なお、
図7、
図8においては仕切板47の図示を省略している。仕切板47は、縦板41、上前フレーム44および後フレーム43により囲まれた領域に対して、キャビン16とタンク収容部13との間の空間部36の底部の一部をなす前下がりの傾斜面部35(
図6参照)よりも前側の部分を塞ぐように設けられている。
【0040】
図10に示すように、仕切板47は、左右方向を板厚方向とし、上側および前側において上前フレーム44の屈曲形態に沿わせた屈曲形状を有する。また、仕切板47は、前部の下縁部において、縦板41の前端側に形成された水平状の上面部41cに沿わせた水平形状を有する。仕切板47は、燃料タンク14の上部の後側の大部分、および作動油タンク15の上部の前側の大部分を左側から覆っている。
【0041】
仕切板47は、上前フレーム44の屈曲形状における内側、つまり第1傾斜フレーム部44bの下側および第2傾斜フレーム部44cの後側に突設されたリブ状の支持突面部44dに対して、上側および前側の縁部を左側から接触支持させた状態で、締結部材であるボルト48、および支持突面部44dの右側に設けられボルト48の螺挿を受けるナット状の締結部49によって複数箇所で固定されている(
図10および
図11参照)。支持突面部44dには、ボルト48を貫通させる孔部44eが形成されている。
【0042】
タンク収容部13においては、ベースプレート40上の隔壁部42より右側の部分が、被覆部材である複数の外装カバーにより覆われることで、収容空間をなすタンク室20が形成されている。複数の外装カバーは、それぞれ旋回フレーム7の形状および旋回フレーム7上の構成の配置に応じた形状および大きさを有する。
【0043】
図3および
図6に示すように、タンク収容部13は、外装カバーとして、タンク室20の右側の側方後部を覆う右後カバー51と、タンク室20の右側の側方前部を覆う右前カバー52と、タンク室20の右側の下部を覆う右下カバー53と、タンク室20の前方を覆う前カバー54とを有する。これらのカバーは、例えば金属製のカバーである。また、タンク収容部13は、外装カバーとして、タンク室20の上側を覆うカバー部材であるボンネット55を有する。ボンネット55は、例えば樹脂製のカバーである。
【0044】
右後カバー51および右前カバー52は、タンク収容部13の右側において、平面視でベースプレート40の右側の円弧状の湾曲形状に沿った連続的な湾曲状の周壁部を構成している。右後カバー51および右前カバー52は、上縁部について、右側面視で上縁部が上前フレーム44の前下がりの傾斜形状に沿うように傾斜した形状を有する。つまり、右後カバー51および右前カバー52からなる周壁部は、後側から前側にかけて徐々に高さを低くしている。
【0045】
右下カバー53は、右後カバー51および右前カバー52によるカバー部分の下縁部に沿って同カバー部分の下側に設けられた幅狭のカバーであり、平面視でベースプレート40の右側の円弧状の湾曲形状に沿った湾曲形状を有する。前カバー54は、右前カバー52および右下カバー53の前側の縁部と、隔壁部42の前側の縁部との間に設けられ、右前カバー52の前縁部と略同じ高さで、タンク室20の前側を被覆している。
【0046】
タンク収容部13においては、右後カバー51、右前カバー52および前カバー54、並びに隔壁部42により、前上側に開口した開口部50が形成されている(
図6参照)。開口部50は、タンク室20の上側の開口部分であり、右後カバー51、右前カバー52および前カバー54、並びに隔壁部42それぞれの上縁部により、前下がりの傾斜状に沿う開口縁部をなし、平面視で前後方向を長手方向とした開口形状を有する。開口部50は、概略的には、平面視において、左側の縁部を隔壁部42によって前後方向に沿う略直線形状とし、右側の縁部を、右後カバー51および右前カバー52によって右側に凸の湾曲形状とし、前側の縁部を、前カバー54によって左右方向に沿う略直線形状とした開口形状を有する。
【0047】
ボンネット55は、開口部50を上側から覆うことで、タンク室20を上側から覆う上カバーである。ボンネット55は、開口部50の開口形状に合致した形状を有し、開口部50の全体を塞ぐように設けられている。ボンネット55は、開口部50の形状に沿って、前下がりの傾斜状の面部をなしている。
【0048】
ボンネット55は、上前フレーム44の第1傾斜フレーム部44bに対して設けられた前後2箇所のヒンジ部57により、開閉可能に設けられている。ボンネット55は、左側の前後のヒンジ部57により、右側を上昇させるように回動することで、タンク室20の開口部50を開放させた開状態となる(
図6参照)。このように、タンク室20は、開閉可能に設けられたボンネット55により覆われている。
【0049】
タンク室20内においては、前部に燃料タンク14が設けられており、燃料タンク14の後側に作動油タンク15が設けられている。燃料タンク14は、エンジン12に供給される燃料油を収容する燃料油タンクであり、本発明に係るタンクに相当する構成である。作動油タンク15は、掘削作業機1が備える各種の油圧アクチュエータを作動させる作動油を収容するタンクであり、本発明に係る他のタンクに相当する構成である。作動油による圧油の供給を受けて作動する各種の油圧アクチュエータには、ブームシリンダ24、アームシリンダ25、バケットシリンダ26およびスイングシリンダ29等の油圧シリンダ、並びに走行用油圧モータ11および旋回モータが含まれる(
図1参照)。
【0050】
作動油タンク15は、燃料タンク14の後方に配置されており、タンク室20内において前後方向について略中央部に位置している。燃料タンク14および作動油タンク15は、ベースプレート40の上面40a上に載置支持された状態で設けられている。燃料タンク14および作動油タンク15は、左右方向について互いに略同じ寸法を有するとともに、前後に隣接配置されており、左側面視で隔壁部42の外形の範囲内に大部分を位置させるように設けられている。また、燃料タンク14および作動油タンク15は、互いに略同じ高さを有する。
【0051】
タンク室20内において、作動油タンク15の右側には、コントロールバルブ60が、作動油タンク15に対して隣接配置されている。コントロールバルブ60は、作動油タンク15から複数の油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れを制御するための装置である。
【0052】
コントロールバルブ60は、各油圧アクチュエータへの圧油の流れを制御する。コントロールバルブ60は、各油圧アクチュエータに対応した複数の方向切換バルブを含んだバルブユニットとして構成されており、方向切換バルブの動作制御等により、油圧ポンプ58の駆動によって作動油タンク15内から供給される圧油の流量と供給先(流れ方向)を制御する。各油圧アクチュエータへの圧油の供給制御により、掘削装置3の動作や走行装置2の走行動作等が行われる。
【0053】
ベースプレート40上において、タンク室20の後側につながった機関室30内には、熱交換部61およびエンジン12が設けられている(
図4参照)。熱交換部61は、エンジン12を冷却するための熱交換機能を有する装置構成であり、ラジエータ、オイルクーラ、およびエンジン12に連動して回転する排気ファン等を含む。排気ファンにより、右後カバー51に形成された開口51a(
図6参照)を通して機関室30内の熱気が排出される。
【0054】
エンジン12は、ベースプレート40上における後部において、出力軸の軸方向を略左右方向とした向きで設置されている。エンジン12は、燃料タンク14から燃料の供給を受けるディーゼルエンジンである。エンジン12の燃焼室で発生した燃焼ガスは排気装置62およびマフラー63を介して機関室30外に排出される。エンジン12の左側に、油圧ポンプ58が設けられている。
【0055】
油圧ポンプ58は、その回転軸を、カップリングを介してエンジン12の駆動軸に連結させている。油圧ポンプ58は、エンジン12の駆動軸の回転にともなって駆動し、作動油タンク15内の作動油を、コントロールバルブ60を介して各種の油圧アクチュエータに対して送り出す。
【0056】
[レベルゲージに関する構成]
本実施形態に係る掘削作業機1は、作動油タンク15について、タンク内の油量を把握するための液面計であるレベルゲージ70を備えている(
図7参照)。レベルゲージ70は、作動油タンク15内の作動油の量を表示する。レベルゲージ70の配置に関し、タンク室20内に設けられた作動油タンク15と、タンク室20の左側方に設けられた運転席17とを備えた構成において、レベルゲージ70は、タンク室20の運転席17側、つまり左側に設けられている。以下、作動油タンク15およびレベルゲージ70の配置構成について、
図7から
図12を用いて詳細に説明する。
【0057】
作動油タンク15は、そのタンク本体部において、平面視で矩形状をなす四角柱状の外形を有し、タンク本体部の外形をなす面部として、前面部15a、後面部15b、左側面部15c、右側面部15d、上面部15eおよび下面部15fを有する。作動油タンク15は、平面視において、前面部15aおよび後面部15bを左右方向に沿わせるとともに、左側面部15cおよび右側面部15dを前後方向に沿わせるようにベースプレート40上に設置されている。
【0058】
作動油タンク15は、タンク本体部の下側に設けられた固定板部71を介してベースプレート40に固定されている。固定板部71は、作動油タンク15のタンク本体部の平面視外形から外側に突出した突片部71aを複数有する。作動油タンク15は、各突片部71aを貫通する固定ボルト72等によってベースプレート40に固定されている。
【0059】
作動油タンク15は、前面部15aを燃料タンク14の後面部14aに対してわずかな隙間を隔てて対向させ、燃料タンク14の直後方に配置されている。また、作動油タンク15は、左側面部15cを隔壁部42の右側に対してわずかな隙間を隔てて対向させ、隔壁部42に近接配置されている。
【0060】
作動油タンク15は、左側面部15cの下部を、隔壁部42を構成する縦板41に対して近接させており、左側面部15cの上部を、隔壁部42を構成する仕切板47に対して近接させている。また、燃料タンク14の左側面部14bは、作動油タンク15の左側面部15cよりもわずかに左側に位置しており、縦板41および仕切板47それぞれに対して左側面部15cよりも近接している。
【0061】
レベルゲージ70の配置に関し、作動油タンク15の前方に配置された燃料タンク14を備えた構成において、レベルゲージ70は、燃料タンク14の側方に配置されている。本実施形態では、レベルゲージ70は、タンク室20の側面部のうち運転席17に近い側(左側)の側面部である隔壁部42の前部に対して支持固定された状態で、燃料タンク14の左側方に配置されている。
【0062】
レベルゲージ70は、接続管部をなす2本の接続ホース(74,75)を介して作動油タンク15に連通接続されている。レベルゲージ70に対しては、2本の接続ホースとして、第1の接続ホースである上接続ホース74と、上接続ホース74よりも下側に設けられた第2の接続ホースである下接続ホース75とが設けられている。このように、レベルゲージ70は、作動油タンク15のタンク内に連通した配管部材である上接続ホース74および下接続ホース75によって作動油タンク15に接続されている。
【0063】
レベルゲージ70は、四角柱状の外形を有する支持ブロック部76と、支持ブロック部76の一側面側に設けられたゲージ部77とを有する。支持ブロック部76は、側面部として、前側面部、後側面部、左側面部および右側面部を有する。ゲージ部77は、支持ブロック部76と略同じ長さを有する四角柱状の外形を有し、右側の側面を、支持ブロック部76の左側面部に合わせた状態で支持ブロック部76に固定されている。レベルゲージ70は、支持ブロック部76およびゲージ部77により全体として略四角柱状の外形を有する。
【0064】
ゲージ部77は、球状のフロート78を移動可能に内蔵したゲージ通路77aを有する。ゲージ通路77aは、ゲージ部77の長手方向に沿って直線状に形成されている。ゲージ部77は、透明な部材により構成されており、ゲージ通路77a内におけるフロート78の位置を外部から視認可能としている。
【0065】
上接続ホース74および下接続ホース75は、それぞれ、一端側を作動油タンク15に接続させており、他端側をレベルゲージ70の支持ブロック部76に接続させている。上接続ホース74および下接続ホース75は、作動油タンク15の左側面部15cから前方に向けて延出するように配され、レベルゲージ70に接続されている。上接続ホース74および下接続ホース75の作動油タンク15に対する接続部は、左側面部15cの上部の前側の縁部近傍に位置している。
【0066】
上接続ホース74は、一端側を、作動油タンク15の左側面部15cに対してL字状の継手81を介して、作動油タンク15の収容空間に連通するように接続させている。作動油タンク15における上接続ホース74の接続部の高さ位置、つまり継手81の高さ位置は、作動油タンク15の上部にある第1の高さ位置H1である(
図10参照)。
【0067】
上接続ホース74は、他端側を、支持ブロック部76の後側面部76aの上端部に突設された筒状の上接続口部82に対して連通接続させている。上接続ホース74は、他端側の端部に上接続口部82を挿入させた状態で、ホースバンド91によって上接続口部82に固定されている。上接続ホース74の他端側は、上接続口部82から、支持ブロック部76およびゲージ部77それぞれの上端部の内部に設けられた上側内部通路を介して、ゲージ通路77aの上端部に連通している。上側内部通路は、上流路形成ボルト83により形成された通路部分を含む。上流路形成ボルト83は、その軸部において流路を有し、ゲージ部77の左側面側からゲージ部77を貫通するとともに支持ブロック部76に螺挿されている。
【0068】
下接続ホース75は、一端側を、作動油タンク15の左側面部15cに対してL字状の継手84を介して、作動油タンク15の収容空間に連通するように接続させている。作動油タンク15における下接続ホース75の接続部の高さ位置、つまり継手84の高さ位置は、作動油タンク15の上部にある第2の高さ位置H2である(
図10参照)。
【0069】
下接続ホース75は、他端側を、支持ブロック部76の後側面部76aの下端部に突設された筒状の下接続口部85に対して連通接続させている。下接続ホース75は、他端側の端部に下接続口部85を挿入させた状態で、ホースバンド92によって下接続口部85に固定されている。下接続ホース75の他端側は、下接続口部85から、支持ブロック部76およびゲージ部77のそれぞれの下端部の内部に設けられた下側内部通路を介して、ゲージ通路77aの下端部に連通している。下側内部通路は、下流路形成ボルト86により形成された通路部分を含む。下流路形成ボルト86は、その軸部において流路を有し、ゲージ部77の左側面側からゲージ部77を貫通するとともに支持ブロック部76に螺挿されている。
【0070】
レベルゲージ70は、上前フレーム44の第2傾斜フレーム部44cの後側に取り付けられている。第2傾斜フレーム部44cは、後側に、側面視で第2傾斜フレーム部44cの傾斜に沿った平面部分である取付面88を有する。取付面88は、側面視で直線状をなすとともに後下側を向く面である。
【0071】
レベルゲージ70は、支持ブロック部76の前側面部を取付面88に接触させた状態で、固定ボルト89により2箇所で第2傾斜フレーム部44cに固定されている。2本の固定ボルト89による固定部は、支持ブロック部76の長手方向の上接続口部82と下接続口部85との間の中間部に設けられている。固定ボルト89は、支持ブロック部76を後側面部76a側から貫通し、第2傾斜フレーム部44cに螺挿されている。
【0072】
このように、レベルゲージ70は、四角柱状の外形における長手方向、つまりフロート78の移動方向となるゲージ通路77aの延伸方向を、第2傾斜フレーム部44cの前下がりの傾斜に沿わせた状態で設けられている。あくまでも一例であるが、レベルゲージ70の長手方向の上下方向(鉛直方向)に対する傾斜角度θ1(
図12参照)は、約25°である。
【0073】
図10から
図12に示すように、レベルゲージ70は、左右方向について、隔壁部42を構成する仕切板47と重なる位置に設けられるとともに、ゲージ部77を仕切板47から左側に露出させた状態で設けられている。仕切板47は、レベルゲージ70に対応する位置に、レベルゲージ70との干渉を避けるための切欠部47aを有し、切欠部47aによってゲージ部77を左側に露出させている。なお、左側から仕切板47の取付けを受ける上前フレーム44の支持突面部44dは、左右方向の位置についてゲージ部77と重なる位置に設けられており(
図11参照)、仕切板47は、左右方向の位置についてゲージ部77と重なる位置に設けられている。
【0074】
そして、レベルゲージ70は、隔壁部42を構成する仕切板47からゲージ部77を左側に露出させた状態で設けられることで、ゲージ部77を外部に露出させた状態となる。つまり、レベルゲージ70は、キャビン16と隔壁部42との間の空間部36にゲージ部77を臨ませた状態で設けられている。
【0075】
また、仕切板47は、上接続ホース74および下接続ホース75並びにこれらのホースのレベルゲージ70および作動油タンク15それぞれに対する接続部を左方から覆っている。つまり、上接続ホース74および下接続ホース75は、燃料タンク14および作動油タンク15と、仕切板47との間の隙間を配管スペースとして設けられている。
【0076】
以上のようなレベルゲージ70の配置構成によれば、タンク室20および運転席17を設けた旋回フレーム7を備えた構成において、レベルゲージ70は、旋回フレーム7の前部上方に配置されている。レベルゲージ70は、上接続ホース74および下接続ホース75と左右方向の位置を共通または略共通とし、ベースプレート40の前部の上方に配置されている。
【0077】
特に、本実施形態では、レベルゲージ70は、ベースプレート40の前端部上方に配置されている。詳細には、レベルゲージ70は、ベースプレート40の左右中心より右側寄りの位置であって、ベースプレート40の前端部の上方に位置している。レベルゲージ70は、切欠部47aによってゲージ部77を仕切板47から左側に露出させており、基本的には仕切板47の左側からのみ、フロート78の位置が視認され得る。
【0078】
レベルゲージ70によれば、上接続ホース74および下接続ホース75等によって作動油タンク15の収容空間と連通したゲージ通路77a内の液面の高さが、作動油タンク15内の作動油の液面の高さと等しくなる。したがって、レベルゲージ70により、作動油タンク15内の作動油の液面の高さについて、第1の高さ位置H1と第2の高さ位置H2(
図10参照)との間に位置する液面の高さが、ゲージ通路77a内のフロート78の位置(高さ)として表示される。なお、作動油タンク15内の作動油の液面の高さが第1の高さ位置H1より高い場合は、フロート78は上昇端に位置し、同液面の高さが第2の高さ位置H2より低い場合は、フロート78は下降端に位置することになる。
【0079】
レベルゲージ70により、作動油タンク15内に規定量の作動油が入っていることの確認が行われる。また、レベルゲージ70により、作動油タンク15のタンク内の油量の減り具合から、作動油の漏れを生じさせるホースの破損等の不具合の発生の有無の確認が行われる。
【0080】
また、本実施形態に係る掘削作業機1は、作動油タンク15のタンク内の油量を把握するための液面計として、レベルゲージ70に加え、タンク本体部に対して設けられた他のレベルゲージ100を備えている(
図9参照)。つまり、作動油タンク15においては、レベルゲージ70を第1のレベルゲージとした場合、第2のレベルゲージとしてレベルゲージ100が設けられている。
【0081】
レベルゲージ100は、レベルゲージ70と同様に、作動油タンク15内の作動油の量を表示する。レベルゲージ100は、作動油タンク15の側面部に対して設けられることで、タンク室20内に設けられている。レベルゲージ100は、作動油タンク15における運転席17側(隔壁部42側)と反対側の側面に設置されている。
【0082】
図9に示すように、レベルゲージ100は、作動油タンク15の右側面部15dの上部の後側寄りの位置に設けられている。レベルゲージ100は、レベルゲージ70と同様の構成を有し、長手方向を上下方向として、レベルゲージ70と同一または略同一の高さ位置に設けられている。
【0083】
レベルゲージ100は、レベルゲージ70の支持ブロック部76に相当する支持ブロック部101と、支持ブロック部101の一側面側に設けられたゲージ部102とを有する。レベルゲージ100は、支持ブロック部101とゲージ部102とにより、作動油タンク15の右側面部15dをなす壁部を挟持することで、支持ブロック部101を作動油タンク15のタンク内部に位置させるとともに、ゲージ部102をタンク外部に位置させている。
【0084】
ゲージ部102は、球状のフロート103を移動可能に内蔵したゲージ通路102aを有する。ゲージ通路102aは、ゲージ部102の長手方向に沿って直線状に形成されている。ゲージ部102は、透明な部材により構成されており、ゲージ通路102a内におけるフロート103の位置を外部から視認可能としている。
【0085】
ゲージ通路102aの上端部は、ゲージ部102および支持ブロック部101それぞれの上端部の内部に設けられた上側内部通路を介して、作動油タンク15のタンク内部に連通している。上側内部通路は、上流路形成ボルト104により形成された通路部分を含む。上流路形成ボルト104は、その軸部において流路を有し、ゲージ部102および作動油タンク15の壁部を貫通するとともに支持ブロック部101に螺挿されている。上流路形成ボルト104の高さ位置H3は、レベルゲージ70についての第1の高さ位置H1(
図10参照)と同一または略同一の高さである。
【0086】
ゲージ通路102aの下端部は、ゲージ部102および支持ブロック部101それぞれの下端部の内部に設けられた下側内部通路を介して、作動油タンク15のタンク内部に連通している。下側内部通路は、下流路形成ボルト105により形成された通路部分を含む。下流路形成ボルト105は、その軸部において流路を有し、ゲージ部102および作動油タンク15の壁部を貫通するとともに支持ブロック部101に螺挿されている。下流路形成ボルト105の高さ位置H4は、レベルゲージ70についての第2の高さ位置H2(
図10参照)と同一または略同一の高さである。
【0087】
作動油タンク15のタンク本体部に付設されたレベルゲージ100によれば、作動油タンク15の収容空間と連通したゲージ通路102aの液面の高さが、作動油タンク15内の作動油の液面の高さと等しくなる。したがって、レベルゲージ100により、作動油タンク15内の作動油の液面の高さについて、第3の高さ位置H3と第4の高さ位置H4(
図9参照)との間に位置する液面の高さが、ゲージ通路102a内のフロート103の位置(高さ)として表示される。なお、作動油タンク15内の作動油の液面の高さが第3の高さ位置H3より高い場合は、フロート103は上昇端に位置し、同液面の高さが第4の高さ位置H4より低い場合は、フロート103は下降端に位置することになる。
【0088】
以上のようなレベルゲージ100の配置構成によれば、レベルゲージ100は、タンク室20のボンネット55を開いた状態で目視可能な位置に配置されている。すなわち、
図6に示すように、ボンネット55を開いた状態において、作動油タンク15の右側面部15dの上部は露出した状態となっており、右側面部15dの上部に設けられたレベルゲージ100は、ボンネット55を開けることで視認可能となる。
【0089】
以上のような本実施形態に係る掘削作業機1におけるレベルゲージ70の配置構成によれば、運転席17側からも作動油タンク15のレベルゲージ70を容易に視認することができ、作動油タンク15内の油量の確認がしやすく、良好な作業性を得ることができる。
【0090】
レベルゲージ70によれば、オペレータは、例えば掘削作業機1による作業開始前の点検作業として、レベルゲージ70を目視することにより、作動油タンク15内の油量の確認を行うことができる。ここで、オペレータは、キャビン16内の運転席17に着席した状態で、キャビン16の右側の壁部をなす窓部16c(
図6参照)から、レベルゲージ70を目視することができる。また、ボンネット55の開閉状態にかかわらず、つまりボンネット55が閉じた状態であっても、レベルゲージ70を視認することができる。したがって、キャビン16から外に出たりボンネット55を開けたりすることなく、作動油タンク15内の油量を確認することができ、良好な作業性およびメンテナンス性を得ることができる。
【0091】
また、レベルゲージ70は、タンク室20の外部に露出した状態で設けられていることから、レベルゲージ70からある程度離れた位置でもレベルゲージ70を容易に視認することができる。このため、例えば作動油タンク15に対する給油等の他の作業を行いながらレベルゲージ70を確認することが可能となる。
【0092】
また、レベルゲージ70は、旋回フレーム7の前部上方に配置されている。このような構成によれば、レベルゲージ70が、キャビン16内において運転席17に着座したオペレータの視界に入りやすくなり、キャビン16内からレベルゲージ70を容易に視認することが可能となる。
【0093】
また、レベルゲージ70は、上接続ホース74および下接続ホース75を介することで、作動油タンク15と離間した位置に配置されている。このような構成によれば、レベルゲージ70の配置位置について高い自由度を得ることができる。これにより、レベルゲージ70を運転席17側から見やすい位置に配置することが容易となる。
【0094】
また、レベルゲージ70は、燃料タンク14の左側方に配置されている。特に、本実施形態では、レベルゲージ70は、燃料タンク14の左側面部14bの上前部の直左方に近接配置されている。このような構成によれば、タンク室20内において作動油タンク15の前方に燃料タンク14を配置した構成において、隔壁部42に対して設けられるレベルゲージ70を、運転席17から見やすい位置に配置することができ、レベルゲージ70について良好な視認性を得ることができる。
【0095】
また、作動油タンク15に対する作動油の交換・補給頻度に比べて燃料の補給頻度が高い燃料タンク14を作動油タンク15の前方に配置することができるとともに、作動油タンク15のレベルゲージ70を、前後方向について燃料タンク14と同様に作動油タンク15より前方に配置することができる。これにより、燃料タンク14に対する燃料の補給作用や運転席17からのレベルゲージ70の確認作業等について良好な作業性を得ることができ、メンテナンス性の良い構成を実現することができる。
【0096】
また、掘削作業機1は、レベルゲージ70の配置に関し、仕切板47によりゲージ部77のみをタンク室20の外部に露出させ、上接続ホース74および下接続ホース75並びにこれらの接続部を仕切板47により被覆した構成を有する。このような構成によれば、キャビン16内のオペレータからレベルゲージ70に対して視線を集中させやすくなり、レベルゲージ70について良好な視認性を得ることができるとともに、良好な外観意匠性を得ることができる。
【0097】
また、掘削作業機1は、作動油タンク15のタンク内の油量を表示するレベルゲージとして、タンク室20内においてボンネット55を開いた状態で目視可能な位置に配置された他のレベルゲージ100を備えている。このような構成によれば、レベルゲージ100を確認しながら作動油タンク15に作動油を供給することができるので、良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0098】
特に、レベルゲージ100は、作動油タンク15において左右方向についてレベルゲージ70の配置側と反対側(右側)である右側面部15dに配置されている。つまり、レベルゲージ100は、作動油タンク15において、運転席17側と反対側の側面部に設けられている。
【0099】
このような構成によれば、ボンネット55を開いた状態において、レベルゲージ70およびレベルゲージ100のいずれかにより作動油タンク15内の油量を確認することができるので、作動油タンク15内の油量の確認が可能な位置範囲を広げることができる。これにより、良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0100】
[燃料タンクおよびその周辺の構成]
燃料タンク14およびその周辺の構成について、
図4から
図10、
図13から
図18を用いて説明する。燃料タンク14は、その外形をなす面部として、概略的に、作動油タンク15の前面部15aに対向した後面部14aと、作動油タンク15の左側面部15cと略面一状をなす左側面部14bと、右側面部14cと、上面部14dと、下面部14eとを有する。また、燃料タンク14は、前側において、前面部14fと、斜面部14gと、右前面部14hとを有する。
【0101】
また、燃料タンク14は、前部に段部110を有する。段部110は、燃料タンク14の左右外側となる右側の上部において、凹状の部分として形成されている。段部110は、上側、前側および右側を開放側とした空間部111をなす凹部である。段部110は、燃料タンク14の前部の右上側の角部を切り欠いた態様で形成されている。段部110は、概略的に、段部110の後側の面部であって前側を向く後側面部110aと、段部110の左方の側面部であって右側を向く左側面部110bと、段部110の底部をなす面部であって上側を向く底面部110cとを有し、これらの面部によって空間部111を形成する切欠き状の部分である。
【0102】
燃料タンク14において、斜面部14gは、前下がりの傾斜部分であり、左右方向について燃料タンク14の左側の略半分の部分かつ略上半部に形成されている。あくまでも一例であるが、斜面部14gの鉛直方向に対する傾斜角度は約30°である。
【0103】
段部110において、後側面部110aは、上面部14dおよび右側面部14cそれぞれとともに稜線部を形成している。また、左側面部110bは、斜面部14gとともに稜線部を形成している。また、底面部110cは、前面部14fおよび右前面部14hそれぞれとともに稜線部を形成している。
【0104】
以上のように燃料タンク14が段部110を有する構成において、タンク室20内の段部110の上方に形成された空間部111内に機能部品が設けられている。機能部品は、タンク室20内において、少なくとも一部を段部110により形成された空間部111内に位置させるように配置されている。本実施形態では、機能部品の一例として、段部110内に、燃料タンク14に燃料を供給するための燃料供給ポンプ120が設けられている。燃料供給ポンプ120は、段部110内に配置されることで、タンク室20内における燃料タンク14の前側に設けられている。
【0105】
燃料供給ポンプ120は、電動式の吸引ポンプであり、例えばポリタンクやドラム缶等の容器から燃料を吸い上げ、燃料タンク14に供給する。燃料供給ポンプ120は、略円筒状の外形を有するポンプ本体部120aを有し、ポンプ本体部120aの略円筒状の外形における筒軸方向を左右方向とした向きで、燃料タンク14の段部110内に設置されている。燃料供給ポンプ120からは、燃料供給ポンプ120による燃料吸引用のサクションホース121および燃料タンク14に対する供給ホース122が延出している。
【0106】
サクションホース121の下流側となる基端側は、燃料供給ポンプ120の吸引ポート120bに連通接続されている。サクションホース121の上流側の端部となる先端部には、フィルタ121aが設けられている。供給ホース122の上流側となる基端側は、燃料供給ポンプ120の送出ポート120cに連通接続されている。供給ホース122の下流側となる先端側は、燃料タンク14の上面部14dに設けられた供給口部123に連通接続されている。供給口部123は、上面部14dのうち、段部110の後側となる右側の部分に設けられている。
【0107】
燃料供給ポンプ120は、全体を燃料タンク14の段部110内に位置させるように設けられている。すなわち、燃料供給ポンプ120は、正面視で、段部110の後側面部110aの外形の範囲内に全体を位置させており、右側面視で、段部110の左側面部110bの外形の範囲内に全体を位置させており、平面視で、段部110の底面部110cの外形の範囲内に全体を位置させている。
【0108】
燃料供給ポンプ120は、燃料タンク14を設置させた旋回フレーム7を備えた構成において、旋回フレーム7に取り付けられた支持部材としての支持ブラケット130により支持された状態で設けられている。支持ブラケット130は、金属製の板状部材を所定の形状に屈曲させた態様の屈曲板状の取付け部材である。
【0109】
支持ブラケット130は、旋回フレーム7を構成するベースプレート40上に設置された燃料タンク14に対して、右前側の下部にあてがわれるように設けられている。支持ブラケット130は、
図14および
図15に示すように、燃料タンク14の前面部14fに沿う面部であって前面部14fを覆う前面部131と、燃料タンク14の右前面部14hに沿う面部であって右前面部14hを覆う斜面部132と、燃料タンク14の底面部110cに沿う面部であって底面部110cを覆う上面部133とを有する。
【0110】
支持ブラケット130のうち、前面部131および斜面部132は、それぞれ燃料タンク14の前面部14fおよび右前面部14hに対して接触またはわずかな隙間を隔てて(略接触して)いる。また、支持ブラケット130の上面部133は、燃料タンク14の底面部110cに対して間隔をあけており、底面部110cの上方に位置している。
【0111】
支持ブラケット130は、ベースプレート40に固定された状態で設けられている。支持ブラケット130は、ベースプレート40に対する固定部分として、前面部131および斜面部132の各面部に対して内側に直角状に屈曲形成された固定面部134を有する。支持ブラケット130は、固定面部134をベースプレート40の上面40aに対する接触面部として、ベースプレート40および固定面部134を下側から貫通するボルト136、および固定面部134上に位置しボルト136の螺合を受けるナット部137により2箇所でベースプレート40に対して締結固定されている。
【0112】
支持ブラケット130に対して、燃料供給ポンプ120は、取付板140を介して固定支持されている。取付板140は、平板状の部材であり、支持ブラケット130の上面部133上に重なった状態で、取付板140および上面部133を貫通するボルト141等によって前後2箇所で支持ブラケット130に締結固定されている。
【0113】
燃料供給ポンプ120は、取付板140上に載置された状態で、取付板140に固定されている。燃料供給ポンプ120は、ポンプ本体部120aの下側に取付ブラケット部120dを有し、取付ブラケット部120dを取付板140に対する固定支持部分として、ボルト142およびナット143によって前後2箇所で取付板140に締結固定されている(
図15、
図16参照)。
【0114】
燃料供給ポンプ120から延出したサクションホース121について、
図6および
図15に示すように、タンク室20内には、サクションホース121を収容するホース収容部145が設けられている。ホース収容部145は、燃料タンク14の周囲において、燃料タンク14と、タンク室20をなす外装カバーとの間の隙間部分として設けられている。
【0115】
本実施形態では、ホース収容部145は、燃料タンク14の下部の前側において、外装カバーとの間に形成されている。すなわち、ホース収容部145は、燃料タンク14の前面部14fと、外装カバーである右前カバー52の前縁部および前カバー54との間の空間部分を収容空間としている。したがって、ホース収容部145内に収容されたサクションホース121は、タンク室20内において、前カバー54の後側であって、支持ブラケット130の前面部131の前側に位置している。
【0116】
ホース収容部145は、前後方向に狭い扁平状の空間部であり、サクションホース121は、扁平な形態となるように巻回されたり曲げられたりして、ホース収容部145内に収容される。
図6および
図15に示す例では、基端側を燃料供給ポンプ120の吸引ポート120bに接続させた状態のサクションホース121が、先端側の大部分を渦巻き状とした状態でホース収容部145内に収容されている。また、ボンネット55が開いた状態において、ホース収容部145内に収容されたサクションホース121の渦巻き状の部分は、その上部を前カバー54の上縁部よりも上方に露出させた状態となっている(
図6参照)。
【0117】
ただし、ホース収容部145に対するサクションホース121の収納形態は特に限定されるものではない。ホース収容部145内にサクションホース121を収容した状態において、ボンネット55が閉じられることにより、サクションホース121は、タンク室20内に収納された状態となる。
【0118】
以上のように燃料タンク14の段部110内に燃料供給ポンプ120を配置した構成において、燃料タンク14における燃料供給ポンプ120の近傍の部位に、燃料供給ポンプ120の作動を入り切りするための操作スイッチ150が設けられている。操作スイッチ150は、空間部111に臨む位置として、タンク室20内における燃料タンク14の段部110の後側面部110aに設けられている。
【0119】
操作スイッチ150は、燃料タンク14の段部110をなす後側面部110aの上部の右側に形成されたスイッチ設置用凹部112内に設置されている。スイッチ設置用凹部112は、後側面部110aの上部右側の部分を他の部分に対して部分的に後側に位置させるように比較的浅く凹ませた部分である。
【0120】
操作スイッチ150は、扁平な箱状の外形を有し、後側面部110aに沿うようにスイッチ設置用凹部112内に設置されている。操作スイッチ150は、周縁部に形成されたフランジ部151を貫通するボルト等の固定具152(
図15参照)によって燃料タンク14に対して固定された状態で取り付けられている。
【0121】
操作スイッチ150は、その右面部から延出した信号線154を、燃料供給ポンプ120のポンプ本体部120aの上側から延出した信号線124に接続させることで、燃料供給ポンプ120に対して電気的に接続されている。なお、信号線124,154同士は、それぞれの先端部に設けられた図示せぬコネクタにより接続される。操作スイッチ150の前面部には、操作ボタン155が設けられている。操作ボタン155の押圧操作により、燃料供給ポンプ120の入り/切り操作が行われる。燃料供給ポンプ120および操作スイッチ150により、ポリタンク等から燃料タンク14に対して燃料油を自動的に供給する自動給油装置が構成されている。
【0122】
また、燃料タンク14においては、空間部111に臨む位置として、タンク室20内における段部110の後側面部110aに、燃料タンク14内の燃料の量を表示する燃料ゲージ160が設けられている。燃料ゲージ160は、燃料タンク14の後側面部110aの上部の左側の鉛直状の平面部113に設けられている。つまり、燃料ゲージ160は、後側面部110aにおいてスイッチ設置用凹部112の左方の部位である平面部113に対して設けられている。したがって、燃料ゲージ160は、操作スイッチ150の左方に位置している。
【0123】
燃料ゲージ160は、燃料タンク14のタンク内の油量を把握するための液面計である。燃料ゲージ160は、
図17に示すように、燃料タンク14の平面部113において燃料タンク14の収容空間に連通するように設けられた上接続口部161および下接続口部162と、これらの接続口部同士を連通接続させる本体パイプ部163とを有する。
【0124】
上接続口部161は、燃料タンク14の平面部113の上端部近傍の第1の高さ位置に前方に向けて突設された筒状の開口部分である。下接続口部162は、上接続口部161の鉛直下方の位置であって平面部113の上部における第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置に前方に向けて突設された筒状の開口部分である。
【0125】
本体パイプ部163は、略「U」字状の屈曲形態を有する管状の部材であり、一端側に上接続口部161を挿入させるとともに、他端側に下接続口部162を挿入させた状態で、上接続口部161および下接続口部162を互いに連通接続させ、これらの接続口部とともにタンク内に連通したゲージ通路を形成している。なお、本体パイプ部163は、上接続口部161および下接続口部162それぞれに対して図示せぬホースバンド等によって固定される。
【0126】
本体パイプ部163は、上接続口部161および下接続口部162それぞれに対する接続部の間の中間部を、上下方向に沿う直線状の部分としており、内部通路163aに球状のフロート164を移動可能に内蔵している。本体パイプ部163は、透明な部材により構成されており、内部通路163a内におけるフロート164の位置を外部から視認可能としている。
【0127】
燃料ゲージ160によれば、ゲージ通路内の液面の高さが、燃料タンク14内の作動油の液面の高さと等しくなる。したがって、燃料ゲージ160により、燃料タンク14内の液体燃料の液面の高さについて、上接続口部161と下接続口部162との間に位置する液面の高さが、ゲージ通路内のフロート164の位置(高さ)として表示される。
【0128】
燃料ゲージ160により、燃料タンク14内に規定量の燃料が入っていることの確認が行われる。また、燃料ゲージ160により、燃料タンク14のタンク内の油量の減り具合から、燃料の漏れを生じさせるホースの破損等の不具合の発生の有無の確認が行われる。
【0129】
続いて、ベースプレート40上における燃料タンク14の固定構造について説明する。掘削作業機1は、燃料タンク14を旋回フレームのベースプレート40に対して固定するための固定部材として、固定保持板170と、支持ブラケット130とを備える。すなわち、掘削作業機1は、固定部材として、第1の固定部材である固定保持板170と、支持部材を兼ねた第2の固定部材である支持ブラケット130とを有する。
【0130】
燃料タンク14は、ベースプレート40上に載置された状態で設けられている。燃料タンク14とベースプレート40との間には、前後2箇所に配置された支持金具165が介装されている(
図9、
図10参照)。支持金具165は、左右方向を長手方向とするとともに正面視で扁平な門状をなす屈曲板状の部材であり、ベースプレート40の上面40aに対して高い位置に水平な支持面165aを形成している。燃料タンク14は、下面部14eを支持面165aに支持させた状態で、ベースプレート40上に載置されている。なお、支持面165aと下面部14eとの間には、ゴムシート等の緩衝材が介装されている。
【0131】
固定保持板170は、全体として略一定の幅を有するとともに側面視で所定の屈曲形状を有する帯状の屈曲部材である。固定保持板170は、幅方向を左右方向とするとともに平面視で長手方向を前後方向に沿わせた向きで、燃料タンク14に対して上前側からあてがわれた状態で、作動油タンク15および支持ブラケット130それぞれに対して固定される。
【0132】
固定保持板170は、後端部を、ベースプレート40上に固定された作動油タンク15に対して固定させるとともに、前端部を、ベースプレート40上に固定された支持ブラケット130に対して固定させる。つまり、固定保持板170は、後端部については、作動油タンク15を介してベースプレート40に固定され、前端部については、支持ブラケット130を介してベースプレート40に固定される。固定保持板170は、作動油タンク15および支持ブラケット130に固定された状態で、燃料タンク14を上側から押さえ付けることで、燃料タンク14をベースプレート40に対して間接的に固定させる。作動油タンク15に対する固定保持板170の固定部を後側固定部180とし、支持ブラケット130に対する固定保持板170の固定部を前側固定部190とする。
【0133】
固定保持板170は、金属製の板状部材により形成された保持板本体171と、保持板本体171の裏側(下側)に貼り付けられたゴムシート等の弾性材料により形成された緩衝部材としての弾性シート172とを有する。保持板本体171および弾性シート172は、互いに略同じ形状・寸法を有し、固定保持板170としての一体的な屈曲形状をなしている。なお、弾性シート172は、燃料タンク14と保持板本体171との間に介在すればよい。このため、弾性シート172は、例えば燃料タンク14側に貼り付けられてもよい。この場合、保持板本体171自体が固定保持板170となる。
【0134】
固定保持板170は、側面視での屈曲形状をなす部分として、燃料タンク14の上面部14dに沿う水平状の水平面部173と、燃料タンク14の斜面部14gに沿う前下がりの傾斜状の傾斜面部174と、燃料タンク14の前面部14fに沿う鉛直状の鉛直面部175とを有する。固定保持板170において、水平面部173、傾斜面部174および鉛直面部175は、略同じ長さを有する。固定保持板170は、保持板本体171および弾性シート172による二重構造を有し、保持板本体171および弾性シート172は、水平面部173、傾斜面部174および鉛直面部175の各部に対応する部分を有する。
【0135】
燃料タンク14においては、固定保持板170の取付けを受ける部分として、固定保持板170の外形形状に対応した凹状の溝部114が形成されている(
図14参照)。燃料タンク14において、溝部114は、左右方向の中間部に形成されている。詳細には、溝部114は、燃料タンク14において、左右方向について、段部110よりも左側の部分のうちの中央側の部分に形成されている。
【0136】
溝部114は、固定保持板170の幅と略同じまたは固定保持板170の幅よりもわずかに広い幅を有する。なお、固定保持板170は、例えば、燃料タンク14の左右方向の寸法の1/7~1/5程度の幅寸法を有する。また、溝部114は、固定保持板170の厚さと略同じまたは固定保持板170の厚さよりもわずかに浅い深さを有する。
【0137】
溝部114は、上面部14dに形成され水平面部173の接触を受ける水平状の第1面部114aと、斜面部14gに形成され傾斜面部174の接触を受ける傾斜状の第2面部114bと、前面部14fに形成され鉛直面部175の接触を受ける鉛直状の第3面部114cとを有する(
図14参照)。固定保持板170は、弾性シート172を溝部114の各面部に接触させた状態で取り付けられ、溝部114に嵌ることにより主に左右方向についての位置決めの作用を受ける。
【0138】
図18および
図19に示すように、後側固定部180において、固定保持板170は、その後端部を、作動油タンク15の前面部15aに設けられた支持ステー181に固定させている。支持ステー181は、前面部15aの左右中間部の上端部近傍に設けられている。支持ステー181は、L字状の金具を前面部15aに固定することで設けられたものであり、前面部15aに沿う固定面部181aと、前面部15aから水平状に前方に突出した面部をなす支持面部181bとを有し、これらの面部によって側面視でL字状をなす。支持ステー181において、固定面部181aは、前面部15aに対して溶接等により固定されている。
【0139】
固定保持板170の後端部には、水平面部173に対して傾斜面部176を介して段下がり状に形成された後固定面部177が設けられている。傾斜面部176は、水平面部173の後縁部から後下がりの傾斜面をなすように水平面部173に対して屈曲形成されている。後固定面部177は、傾斜面部176の下縁部から後方に向けて水平状に傾斜面部176に対して屈曲形成されている。なお、水平面部173から傾斜面部176までは、保持板本体171および弾性シート172の二重構造部分となっており、後固定面部177は、保持板本体171のみにより形成されている。
【0140】
固定保持板170は、後固定面部177を支持ステー181の支持面部181bに対して上側から重ねた状態で、ボルト182およびナット183によって左右2箇所で支持ステー181に締結固定されている。ボルト182は、上側から後固定面部177および支持面部181bを貫通し、支持面部181bの下側においてナット183に螺合している。後固定面部177および支持面部181bには、それぞれボルト182を貫通させる孔部177c,181cが形成されている。以上のように、後側固定部180において、固定保持板170は、支持ステー181を介して、作動油タンク15の本体部に固定されている。
【0141】
図20に示すように、前側固定部190において、固定保持板170は、その前端部(下端部)を、支持ブラケット130の一部である保持板支持面部191に対してネジ棒192を介して固定させている。保持板支持面部191は、支持ブラケット130の前面部131において、下部を左方に向けて延出させた延出部131aの上縁部から前方に向けて水平状に屈曲形成されている。保持板支持面部191は、平面視で矩形状の外形を有する。
【0142】
ネジ棒192は、外周面にネジ部を有する直線棒状の部材であり、軸方向を上下方向とする向きで支持ブラケット130に固定されている。支持ブラケット130においては、ネジ棒192を貫通させる部分として、延出部131aと保持板支持面部191の角部に、平面視で円弧状に沿うような形状を有する切欠状の開口部193が形成されている。ネジ棒192は、開口部193に嵌合することで保持板支持面部191を貫通した態様で、溶接等によって支持ブラケット130に固定されている。ネジ棒192は、保持板支持面部191から上方に延出している。ネジ棒192においては、少なくとも保持板支持面部191よりも上側の部分が、外周面にネジ部を形成した雄ネジ部となっている。
【0143】
固定保持板170の下端部には、鉛直面部175に対して直角状をなすように形成された前固定面部178が設けられている。前固定面部178は、鉛直面部175の下縁部から前方に向けて水平状に屈曲形成されている。なお、鉛直面部175の下端部までは、保持板本体171および弾性シート172の二重構造部分となっており、前固定面部178は、保持板本体171のみにより形成されている。
【0144】
固定保持板170は、前固定面部178を保持板支持面部191に対して上方から対向させるとともに、前固定面部178にネジ棒192を貫通させた状態で、前固定面部178の上下に位置する上ナット194および下ナット195によりネジ棒192に締結固定されている。上ナット194および下ナット195は、ネジ棒192に螺合しており、前固定面部178を挟持することで固定保持板170をネジ棒192に固定させる。前固定面部178には、ネジ棒192を貫通させる孔部178aが形成されている(
図14参照)。以上のように、前側固定部190において、固定保持板170は、ネジ棒192を介して、支持ブラケット130に固定されている。
【0145】
前側固定部190においては、ネジ棒192上における上ナット194および下ナット195の位置により、ネジ棒192の軸方向について固定保持板170の固定位置が調整される。したがって、下ナット195に対して、前固定面部178が保持板支持面部191に近付くように上ナット194を締め付けることにより、燃料タンク14に対する下方への押圧力として、固定保持板170とベースプレート40との間の挟持力を作用させることができる。これにより、燃料タンク14がベースプレート40に対して固定された状態となる。固定保持板170による燃料タンク14の固定に関しては、燃料タンク14の溝部114に対する固定保持板170の嵌合作用により、ベースプレート40上における燃料タンク14の左右方向の移動が規制される。
【0146】
また、燃料タンク14は、ベースプレート40上に固定された支持ブラケット130により、ベースプレート40上における前方および右方への移動について制限を受ける。なお、ベースプレート40上の燃料タンク14の左方および後方については、それぞれ燃料タンク14に対して近接配置された縦板41および作動油タンク15により燃料タンク14の移動が制限される。
【0147】
以上のようなベースプレート40に対する燃料タンク14の固定構造により、燃料タンク14は、固定保持板170および支持ブラケット130による固定を解除することで、旋回フレーム7のベースプレート40に対して移動可能に設けられている。つまり、固定保持板170および支持ブラケット130を取り外すことにより、燃料タンク14をベースプレート40上から取り出すことができる。
【0148】
具体的には、固定保持板170は、後側固定部180におけるボルト182およびナット183を取り外して後側固定部180による固定を解除するとともに、前側固定部190における上ナット194を取り外して前側固定部190による固定を解除することで、燃料タンク14に対する作用状態から取り外される(
図14、矢印D1参照)。また、支持ブラケット130は、ナット部137に螺合したボルト136を取り外すことにより、ベースプレート40から取り外される(
図14、矢印D2参照)。
【0149】
支持ブラケット130の取外しに関しては、支持ブラケット130上に固定された燃料供給ポンプ120ごと支持ブラケット130を取り外すことができる。なお、支持ブラケット130に固定された状態での燃料供給ポンプ120の取外しに際しては、燃料タンク14の供給口部123に対する供給ホース122の接続、および燃料供給ポンプ120の操作スイッチ150に対する信号線124,154による電気的な接続が解除される。
【0150】
以上のように、固定保持板170および支持ブラケット130を取り外すことにより、燃料タンク14は、ベースプレート40上において、前側および右側について移動可能な状態となる。この状態で、例えば、ベースプレート40上において燃料タンク14を前方にスライド移動させることで(
図14、矢印D3参照)、旋回フレーム7から燃料タンク14を取り外すことができる。また、燃料タンク14は、例えば上方に吊り上げることによっても旋回フレーム7から取り外すことができる。なお、燃料タンク14の取外しに際しては、タンク室20を形成する外装カバーを開いたり取り外したりすることで、燃料タンク14が外装カバーから開放された状態となる。
【0151】
以上のような本実施形態に係る掘削作業機1における燃料タンク14およびその周辺の構成によれば、燃料供給ポンプ120について良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0152】
タンク室20内に設けられた燃料タンク14は、段部110を有し、段部110により形成された空間部111内に、燃料供給ポンプ120が設けられている。このような構成によれば、タンク室20のボンネット55を開くことにより、燃料供給ポンプ120が開口部50に臨んで露出した状態となるため、燃料供給ポンプ120を容易に視認することができる。これにより、燃料供給ポンプ120に対する良好なアクセス性を得ることができ、燃料供給ポンプ120のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0153】
なお、燃料供給ポンプ120を配置するための燃料タンク14の段部110は、少なくとも上側を開放側とした空間部をなすように形成された部分であればよい。したがって、段部110は、例えば、上側および前側を開放側とした空間部をなす切欠き状の部分であってもよく、上側のみを開放側とした空間部をなす穴状の部分であってもよい。
【0154】
また、燃料タンク14の段部110は、後側面部110a、左側面部110bおよび底面部110cによって空間部111を形成する切欠き状の部分として形成されている。つまり、段部110は、上側、前側および側方(右側)の三方側を開放側とした空間部111をなす部分として設けられている。このような構成によれば、ボンネット55を開けた状態での燃料タンク14に対する良好なアクセス性およびメンテナンス性を得ることができる。
【0155】
また、燃料供給ポンプ120は、ベースプレート40に取り付けられた支持ブラケット130により支持された状態で設けられている。このような構成によれば、燃料タンク14に対して直接的に燃料供給ポンプ120を取り付ける必要がないため、燃料タンク14として、例えば樹脂製のタンク等、段部110等の形成に適した材料からなるタンクを適宜採用することが可能となる。また、ベースプレート40に固定された支持ブラケット130上に燃料供給ポンプ120を固定支持することにより、例えば燃料タンク14に対して直接的に燃料供給ポンプ120を取り付けた構成と比べて、燃料供給ポンプ120について高い防振性を得ることができる。
【0156】
また、燃料タンク14は、固定保持板170および支持ブラケット130による固定を解除することで、ベースプレート40に対して移動可能に設けられている。このような構成によれば、固定保持板170および支持ブラケット130を取り外すという簡単な作業により、旋回フレーム7から燃料タンク14を容易に取り外すことができる。これにより、例えば不適正な燃料が入れられた場合等における燃料タンク14の洗浄や、燃料タンク14のメンテナンス等を行うに際し、旋回フレーム7からの燃料タンク14の取外しを容易に行うことができるので、良好な作業性を得ることができる。
【0157】
また、燃料タンク14の固定部材として、固定保持板170と支持ブラケット130とが備えられている。このような構成によれば、ベースプレート40上に固設された作動油タンク15および支持ブラケット130を利用して簡単な構成により固定保持板170を支持固定することができる。また、ベースプレート40上における燃料タンク14の固定について、固定保持板170によって主な固定作用が得られるとともに、支持ブラケット130により燃料タンク14の所定の方向についての移動を規制することができ、ベースプレート40上における安定した固定状態を得ることができる。
【0158】
また、燃料タンク14が固定保持板170を嵌合させる溝部114を有することにより、ベースプレート40上における燃料タンク14の左右方向の位置ずれを抑制することができるので、より安定した固定状態を得ることができる。また、固定保持板170は、保持板本体171の裏側に弾性シート172を貼り付けた構成を有する。このような構成によれば、燃料タンク14において固定保持板170を取り付けることによる傷跡等を抑制することができるとともに、固定保持板170を燃料タンク14に密着させることができ、固定保持板170による良好な保持性を得ることができる。
【0159】
また、燃料タンク14の段部110には、燃料供給ポンプ120をオン/オフするための操作スイッチ150が設けられている。このような構成によれば、タンク室20のボンネット55を開くことにより、操作スイッチ150が燃料供給ポンプ120とともに開口部50に臨んで露出した状態となるため、燃料供給ポンプ120および操作スイッチ150を同時に視認することができる。これにより、燃料供給ポンプ120および操作スイッチ150に対する良好なアクセス性を得ることができ、これらの装置のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0160】
また、操作スイッチ150について良好な操作性を得ることができるので、燃料供給ポンプ120による燃料タンク14に対する燃料の供給を容易に行うことができる。特に、燃料タンク14の段部110において底面部110cの上方に燃料供給ポンプ120を配置するとともに、後側面部110a等の側面部に操作スイッチ150を配置した構成によれば、燃料供給ポンプ120および操作スイッチ150を互いに近傍に配置することができ、操作スイッチ150の操作性を向上させることができ、燃料タンク14に対する給油作業について良好な作業性を得ることができる。
【0161】
また、燃料タンク14の段部110には、燃料タンク14についての燃料ゲージ160が設けられている。このような構成によれば、タンク室20のボンネット55を開くことにより、燃料ゲージ160が操作スイッチ150等とともに開口部50に臨んで露出した状態となるため、燃料供給ポンプ120、操作スイッチ150および燃料ゲージ160を同時に視認することができる。これにより、操作スイッチ150を操作しながらの燃料ゲージ160の確認を容易に行うことができるので、燃料タンク14に対する給油作業について良好な作業性を得ることができる。
【0162】
特に、本実施形態のように燃料タンク14の段部110の後側面部110a等の側面部において操作スイッチ150および燃料ゲージ160を互いに隣接配置した構成によれば、操作スイッチ150を操作しながらの燃料ゲージ160の確認を容易に行うことができ、燃料タンク14に対する給油作業について良好な作業性を得ることができる。
【0163】
また、燃料タンク14の前側には、燃料供給ポンプ120のサクションホース121を収容するホース収容部145が設けられている。このような構成によれば、サクションホース121を燃料供給ポンプ120に接続したままの状態でタンク室20内に収容することができるので、ボンネット55を開けることによって容易にサクションホース121を使用することができる。これにより、例えばタンク室20の外部にサクションホース121の収容部を設けることなく、燃料タンク14に対する給油作業について良好な作業性を得ることができる。
【0164】
上述した実施形態では、燃料タンク14の段部110内に燃料供給ポンプ120が配置されているが、段部110内に配置される機能部品は、燃料供給ポンプ120に限定されるものではない。燃料タンク14の段部110内には、機能部品として、例えばマルチバルブ等の作業機用補機を配置することができる。
【0165】
図21から
図24に、燃料タンク14の段部110内に対する他の機能部品の配置例として、掘削作業機1が備える機能部品の一例であるマルチバルブ200を配置した構成を示す。マルチバルブ200は、段部110内に配置されることで、タンク室20内における燃料タンク14の前側に設けられている。
【0166】
マルチバルブ200は、左右のパイロットバルブ(図示略)からコントロールバルブ60の切換バルブ(方向切換バルブ)に至る圧油の経路(パイロット回路)中に設けられており、コントロールバルブ60(
図5参照)に至るパイロット圧の経路を変更するための切換バルブ装置である。パイロットバルブは、運転席17の左側作業操作レバー18および右側作業操作レバー19(
図3参照)の各レバーに対して設けられており、各レバーによって操作される。各パイロットバルブは、左右の操作レバー18,19の各レバーを突出させた操作ボックス内に配置される。
【0167】
左右の操作レバー18,19を操作することにより、パイロット圧によって、ブームシリンダ24、アームシリンダ25、バケットシリンダ26、および旋回モータ(図示略)を制御するコントロールバルブ60が操作される。これにより、掘削装置3の各部の動作および旋回フレーム7の旋回動作が行われる。
【0168】
そして、マルチバルブ200の操作により、左右の操作レバー18,19による操作パターンが切り換えられる。マルチバルブ200は、左右の操作レバー18,19の操作パターンを、複数の(例えば4つの)操作パターンのいずれかに切り換えるように構成されている。このように、マルチバルブ200は、操作パターン切換装置として、運転席17の近傍に設けられた操作部である左右の操作レバー18,19の操作に応じてコントロールバルブ60に入力される油圧のパターンを切り換えることで左右の操作レバー18,19の操作パターンを切り換える。
【0169】
マルチバルブ200は、略円筒状の外形を有するバルブ本体部201を有し、バルブ本体部201の略円筒状の外形における筒軸方向を上下方向とした向きで、燃料タンク14の段部110内に設置されている。バルブ本体部201の周囲には、バルブ本体部201が有する複数のポートのそれぞれに連通した継手202が設けられており、各継手202から、パイロット回路を構成する油圧ホース203が延出している。
【0170】
バルブ本体部201の上面部201aには、マルチバルブ200の切換え操作を行うためのハンドル204が設けられている。ハンドル204は、バルブ本体部201の上面部201aの平面視形状である円形状における中心部を回動支持部として径方向外側に延出しており、バルブ本体部201の筒軸方向を回動軸方向として回動操作可能に設けられている。
【0171】
ハンドル204の回動操作によってハンドル204を各操作パターンに対応した切換え操作位置に位置させることで、左側作業操作レバー18および右側作業操作レバー19の操作パターンの切換えが行われる。ハンドル204の回動操作により、左右のパイロットバルブからコントロールバルブ60の切換バルブに至る圧油(パイロット圧)の経路が変更され、左右の操作レバー18,19の操作パターンが切り換えられる。
【0172】
具体的には、例えば、第1の操作パターンにおいては、左側作業操作レバー18について、前後の操作でアーム22の操作が行われ、左右の操作で旋回フレーム7の左右の旋回が行われ、右側作業操作レバー19について、前後の操作でブーム21の操作が行われ、左右の操作でバケット23の操作が行われる。また、例えば、第2の操作パターンにおいては、左側作業操作レバー18について、前後の操作でブーム21の操作が行われ、左右の操作でバケットの操作が行われ、右側作業操作レバー19について、前後の操作でアーム22の操作が行われ、左右の操作で旋回フレーム7の左右の旋回が行われる。
【0173】
ハンドル204には、ハンドル204を各切換え操作位置でロックするためのロックノブ205が設けられている。ロックノブ205は、ハンドル204上に把持部分となるノブ本体部を位置させるとともに、ノブ本体部の下側に、ハンドル204を上下方向に貫通するネジ部205aを有する(
図22参照)。ロックノブ205は、ハンドル204が各切換え操作位置にある状態で、ネジ部205aをバルブ本体部201の上面部201aに形成されたネジ穴201b(
図23参照)に螺挿させることで、ハンドル204をバルブ本体部201に対してロックする。切換え可能な操作パターンが4つの場合、上面部201aにおいて、ハンドル204の各切換え操作位置に対応して4つのネジ穴201bが形成されることになる。
【0174】
マルチバルブ200は、全体または略全体を燃料タンク14の段部110内に位置させるように設けられている。すなわち、マルチバルブ200は、正面視で、段部110の後側面部110aの外形の範囲内に全体を位置させており、右側面視で、段部110の左側面部110bの外形の範囲内に略全体を位置させており、平面視で、段部110の底面部110cの外形の範囲内に全体を位置させている。
【0175】
マルチバルブ200は、燃料供給ポンプ120と同様に、支持ブラケット130により支持された状態で設けられている。支持ブラケット130に対して、マルチバルブ200は、取付板210を介して固定支持されている。
【0176】
取付板210は、略L字状をなす屈曲板状の部材であり、水平板状の部分である固定面部211と、鉛直板状の部分である支持面部212とを有し、これらの面部によって側面視でL字状をなす。取付板210は、固定面部211を支持ブラケット130の上面部133上に重ねた状態で、固定面部211および上面部133を貫通するボルト215等によって前後2箇所で支持ブラケット130に締結固定されている。
【0177】
取付板210は、支持面部212を固定面部211の後側に位置させ、燃料タンク14の段部110の後側面部110aの前方に支持面部212を対向させている。支持面部212の前側に、マルチバルブ200が、支持面部212に支持された状態で設けられている。マルチバルブ200は、バルブ本体部201を支持面部212に対してボルト217により3箇所で固定させた状態で支持面部212に支持されている。ボルト217は、後側から支持面部212を貫通するとともに、バルブ本体部201の後面に臨んで開口したネジ穴に螺挿されている。なお、マルチバルブ200は、取付板210の支持面部212に対して、固定面部211からバルブ本体部201を浮かせた状態で支持されている。
【0178】
以上のように、マルチバルブ200は、燃料タンク14の段部110内に配置されており、ボンネット55を開いた状態で切換え操作可能な位置に配置されている。燃料タンク14の段部110内にマルチバルブ200を配置した構成によれば、マルチバルブ200について良好なメンテナンス性および操作性を得ることができる。すなわち、タンク室20のボンネット55を開くことにより、マルチバルブ200が開口部50に臨んで露出した状態となるため、マルチバルブ200を容易に視認することができ、マルチバルブ200のメンテナンスおよび操作パターンの切換え操作を容易に行うことができる。
【0179】
特に、段部110を形成することで燃料タンク14の前側の位置にマルチバルブ200を配置した構成によれば、タンク室20内における燃料タンク14の設置スペースおよび燃料タンク14の高さを利用してマルチバルブ200を設置することができる。これにより、タンク室20内において比較的アクセス性の良い位置にマルチバルブ200を配置することができ、良好なメンテナンス性および操作性を得ることができる。
【0180】
また、燃料タンク14の段部110を本実施形態のように上側、前側および側方(右側)の三方側を開放側とした構成によれば、ハンドル204やロックノブ205の操作スペースを確保しやすくなり、マルチバルブ200の切換え操作について良好な操作性を得ることができる。なお、燃料タンク14からの支持ブラケット130の取外しに関しては、燃料供給ポンプ120の場合と同様に、支持ブラケット130上に固定されたマルチバルブ200ごと支持ブラケット130を取り外すことができる。
【0181】
[コントロールバルブに関する構成]
コントロールバルブ60に関する構成について、
図25から
図32を用いて説明する。
【0182】
まず、
図25を用いて、掘削作業機1が有する油圧システムについて説明する。掘削作業機1は、複数の油圧アクチュエータの動作制御を電気制御により行う。
図25において、油圧アクチュエータ220は、ブームシリンダ24、アームシリンダ25、バケットシリンダ26およびスイングシリンダ29、走行用油圧モータ11、および旋回モータ等の各種の油圧アクチュエータのいずれかである。
【0183】
図25に示すように、エンジン12には、油圧ポンプ58に加えて、パイロットポンプ221が連結されている。パイロットポンプ221は、油圧ポンプ58と同様にエンジン12に連結されており、エンジン12の駆動軸の回転にともなって駆動する。
【0184】
油圧ポンプ58は、作動油タンク15内の作動油を、コントロールバルブ60の方向切換バルブ222を介して油圧アクチュエータ220に供給するためのものである。油圧ポンプ58は、作動油タンク15に対して所定の配管を介して接続されている。油圧ポンプ58と方向切換バルブ222とは、供給用配管223により互いに接続されている。供給用配管223には、油圧ポンプ58から吐出される作動油の吐出圧を検出するための圧力センサ224が設けられている。圧力センサ224の検出信号は、掘削作業機1が備えるコントローラ225に図示せぬ信号線を介して入力される。
【0185】
パイロットポンプ221は、コントロールバルブ60の電磁比例弁226を介して方向切換バルブ222にパイロット圧を供給するためのものである。パイロットポンプ221は、作動油タンク15に対して所定の配管を介して接続されている。パイロットポンプ221と電磁比例弁226とは、パイロット圧供給用配管227により互いに接続されている。
【0186】
コントロールバルブ60は、油圧システムにおける作動油の流量および流れ方向を制御し、油圧ポンプ58から吐出された作動油を、複数の油圧アクチュエータ220に対して選択的に供給する。コントロールバルブ60は、複数の油圧アクチュエータ220のそれぞれに対応した複数の方向切換バルブ222および電磁比例弁226を含む。
【0187】
方向切換バルブ222は、パイロット操作式の方向制御弁であり、例えば、4ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。各方向切換バルブ222には、チューブ等からなる油圧配管が接続される複数の接続ポートが設けられている。方向切換バルブ222の各接続ポートには、油圧ポンプ58の吐出ラインである供給用配管223、作動油タンク15への戻りラインである戻り用配管228、油圧アクチュエータ220への供給ラインまたは油圧アクチュエータ220からの排出ラインである給排用配管300が接続されている。また、電磁比例弁226の接続ポートには、パイロットポンプ221の吐出ラインであるパイロット圧供給用配管227が接続されている。
【0188】
コントロールバルブ60の動作は、コントローラ225によって制御される。コントローラ225は、ECU(Electronic Control Unit)とも称され、演算装置とメモリを含むコンピュータ装置と通信モジュール等から構成される。コントローラ225は、運転部10に設けられた操作装置229の操作に応じた電気信号を受信し、受信した信号に基づく指令信号を電磁比例弁226に対して出力する。ここで、コントローラ225は、操作装置229の操作量に応じた電流を電磁比例弁226に対して出力する。電磁比例弁226は、入力された電流に比例したパイロット圧を、方向切換バルブ222の入力ポートに対して出力し、方向切換バルブ222のスプールを摺動させる。
【0189】
このようにして、電磁比例弁226から方向切換バルブ222に与えられるパイロット圧が調整され、方向切換バルブ222による作動油の流量と流れ方向が制御される。なお、操作装置229は、運転部10に設けられたレバーやペダル等の各種操作装置のうち、各油圧アクチュエータ220に対応した操作装置である。
【0190】
以上のような構成を備えた油圧システムにより、コントロールバルブ60を介した各種の油圧アクチュエータ220への作動油の供給制御が行われ、掘削作業機1の各部の動作が制御される。
【0191】
次に、ベースプレート40上におけるコントロールバルブ60の固定構造について説明する。コントロールバルブ60は、概略的に所定の方向を長手方向としたブロック状の外形を有し、長手方向を上下方向とした向きで、作動油タンク15の右側に設置されている。つまり、コントロールバルブ60は、ベースプレート40上における作動油タンク15の右側の位置に縦置きされた状態で設けられている。コントロールバルブ60は、その上端部を、作動油タンク15のタンク本体部の上面部15eよりもわずかに低い高さに位置させている。
【0192】
コントロールバルブ60の周囲には、各方向切換バルブ222が有する複数の接続ポートのそれぞれに連通した継手部材301,302が設けられており、各継手部材301,302には、コントロールバルブ60に接続される各種配管の一端側が接続されている。
【0193】
複数の継手部材301,302は、コントロールバルブ60の前側、右側および後面側の各側において上下方向の略全体にわたって所定の配列で多数設けられている。各継手部材301,302は、コントロールバルブ60に対する各種配管の接続部を構成している。なお、継手部材301,302の配設部位により、コントロールバルブ60の右側に設けられたものを継手部材301とし、コントロールバルブ60の前側および後側に設けられたものを継手部材302とする。
【0194】
コントロールバルブ60は、ベースプレート40上において、バルブ支持台310を介して立設状態で支持されている。つまり、コントロールバルブ60は、ベースプレート40に対して、バルブ支持台310を介して固定支持されている。
【0195】
バルブ支持台310は、略L字状をなす屈曲板状の部材であり、水平板状の部分である固定面部311と、鉛直板状の部分である支持面部312とを有し、これらの面部によって後面視でL字状をなす。バルブ支持台310は、固定面部311をベースプレート40の上方に位置させた状態で、固定部材であるボルト315等によって前後2箇所でベースプレート40に対して締結固定されている。
【0196】
ボルト315は、上側から固定面部311を貫通するとともに、ベースプレート40に形成されたネジ孔に螺合している。ボルト315による固定部においては、ベースプレート40と固定面部311との間に防振ゴム316が介装されている。
【0197】
防振ゴム316は、略円筒状の外形を有するとともに、中心部にボルト315を貫通させる孔部を有する。防振ゴム316は、上部に縮径部分である外周溝部を有し、この外周溝部に、固定面部311に形成された孔部の縁端部を嵌合させた状態で、上端部を固定面部311の上側に突出させている。なお、ボルト315の頭部と防振ゴム316の上端部との間にはワッシャが介装されている。
【0198】
また、バルブ支持台310は、支持面部312を、作動油タンク15に対して固定支持させている。具体的には、バルブ支持台310は、支持面部312の上端部を、作動油タンク15に対して支持ブラケット320を介して、ボルト319等によって締結固定されている。
【0199】
支持ブラケット320は、
図29および
図30に示すように、平面視で左側を開放側とした略U字状をなす屈曲板状の部材であり、略U字状をなす面部として、固定面部321と、固定面部321の前後両側に直角状をなすように形成された支持面部322とを有する。支持ブラケット320は、上面部15eの右後側の角部近傍において溶接等によって上面部15eに固定されている。
【0200】
バルブ支持台310は、支持面部312の上縁部を作動油タンク15の上面部15eよりも上方に延出させており、支持面部312の上縁部の後端部に、ボルト319を貫通させている。ボルト319は、支持面部312および支持ブラケット320の固定面部321を貫通するとともに、固定面部321の左側に設けられたナット324に螺合している。ボルト319による固定部においては、支持ブラケット320と支持面部312との間に防振ゴム326が介装されている(
図30参照)。
【0201】
防振ゴム326は、略円筒状の外形を有するとともに、中心部にボルト319のネジ部を貫通させる孔部を有する。防振ゴム326は、右側の部分に縮径部分である外周溝部を有し、この外周溝部に、支持面部312に形成された孔部の縁端部を嵌合させた状態で、右側の端部を支持面部312の右側に突出させている。なお、ボルト319の頭部と防振ゴム326の右側の端部との間にはワッシャが介装されている。
【0202】
バルブ支持台310は、支持面部312を作動油タンク15の右側面部15dの右側に所定の隙間を隔てて位置させ、右側面部15dの大部分を右方から覆っている。支持面部312の右側に、コントロールバルブ60が、支持面部312に支持された状態で設けられている。コントロールバルブ60は、支持面部312に対してボルト317により複数箇所で固定されている(
図30参照)。ボルト317は、左側から支持面部312を貫通するとともに、コントロールバルブ60の左側面に臨んで開口したネジ穴に螺挿されている。なお、コントロールバルブ60は、バルブ支持台310に対して、固定面部311からわずかに浮いた状態で支持面部312に支持されている。
【0203】
以上のように、コントロールバルブ60は、バルブ支持台310に対して支持されており、バルブ支持台310は、ベースプレート40に対して2箇所、作動油タンク15に対して1箇所、計3箇所の固定部で防振支持されている。
【0204】
以上のようなコントロールバルブ60の配置構成によれば、タンク室20の側方に設けられた運転席17を備えた構成において、コントロールバルブ60は、作動油タンク15に対して運転席17側と反対側に配置されている。すなわち、ベースプレート40上において、左右中央部より左側の位置に運転席17が配置され、左右中央部より右側の位置に作動油タンク15が配置され、作動油タンク15の右側にコントロールバルブ60が配置されている(
図3参照)。したがって、コントロールバルブ60は、運転席17との関係において、作動油タンク15に対して、左右方向について、運転席17側(左側)と反対側である右側に配置されている。
【0205】
続いて、コントロールバルブ60から延出した配管のレイアウト構成について説明する。上述のとおり、コントロールバルブ60には、供給用配管223、パイロット圧供給用配管227、および給排用配管300の一端側が接続されており、これらの配管が、コントロールバルブ60から延出した配管に含まれる。
【0206】
コントロールバルブ60から延出した配管は、一端側を継手部材301,302を介して各接続ポートに連通接続させた油圧ホース330により構成されている。つまり、コントロールバルブ60からは、供給用配管223、パイロット圧供給用配管227、および給排用配管300のいずれかの配管を構成する複数の油圧ホース330が延出している。
【0207】
このように、掘削作業機1においては、複数の油圧ホース330として、コントロールバルブ60から延出され各油圧アクチュエータ220に連通接続された複数の油圧ホース330Aと、コントロールバルブ60から延出され油圧ポンプ58またはパイロットポンプ221に連通接続された複数の油圧ホース330Bとが備えられている。そして、これらの複数の油圧ホース330は、作動油タンク15の側面部に沿って配されている。
【0208】
本実施形態では、複数の油圧ホース330は、作動油タンク15の後側の側面部である後面部15bに沿って配されている。以下では、作動油タンク15の後面部15bを「タンク後面部15b」とする。
【0209】
また、複数の油圧ホース330のそれぞれは、一端側をコントロールバルブ60の左右外側の側面部である右側面部60aに対して接続部材である継手部材301を介して接続させている。コントロールバルブ60においては、右側面部60aに臨む各方向切換バルブ222の接続ポートに対して、継手部材301が連通接続されている。つまり、継手部材301は、コントロールバルブ60の右側面部60aにおいて、コントロールバルブ60に対する油圧ホース330の接続部を構成している。
【0210】
継手部材301は、油圧ホース330をコントロールバルブ60の右側面部60aから後方に向けて延出させるように構成されている。継手部材301は、コントロールバルブ60の右側面部60aから右方に突出するとともに後方に向けて屈曲したL字形の形態を有するエルボ状の配管部材として構成されている。
【0211】
したがって、継手部材301は、左右方向を管軸方向としてコントロールバルブ60の右側面部60aから右方に突出した第1管部301aと、前後方向を管軸方向として第1管部301aに対して直角状をなすように後方に向けて屈曲した第2管部301bと、これらの管部の間の部分であって継手部材301の角部をなす湾曲状の角管部とを有する(
図29、
図30参照)。継手部材301は、第2管部301bを後方に向け、平面視でL字状をなすように、コントロールバルブ60に取り付けられている。継手部材301の第2管部301bの後側に、油圧ホース330の一側の端部が接続されている。
【0212】
コントロールバルブ60の右側面部60aに配置された複数の継手部材301のうちの全部または略全部の継手部材301が、油圧ホース330を後方に向けて延出させるようにL字形の形態を有する。そして、コントロールバルブ60の右側面部60aから後方に向けて延出した油圧ホース330群は、作動油タンク15の右側から後側に回り込み、タンク後面部15bに沿うように配され、作動油タンク15の後左側の角部近傍から、各油圧ホース330の他端側の接続先に応じて、複数本ずつ分岐させている。
【0213】
以上のようにコントロールバルブ60の右側面部60aから延出した油圧ホース330群は、作動油タンク15およびコントロールバルブ60回りの配索経路部として、次のような経路部を有する。すなわち、
図30に示すように、油圧ホース330群は、コントロールバルブ60の右側において後方に向けて延出した右側経路部331と、右側経路部331の後側から左方に向かうように湾曲した湾曲経路部332と、湾曲経路部332の左側から左方に向けて延伸してタンク後面部15bに沿うように配された後側経路部333とを有する。油圧ホース330群は、後側経路部333において、タンク後面部15bに隣接して配索されている。
【0214】
このような経路部を有する油圧ホース330群は、
図28に示すように、作動油タンク15の後左側の角部近傍に位置する後側経路部333の終端部分(左端部分)から、各油圧ホース330の他端側の接続先に応じて、主に第1の油圧ホース群341、第2の油圧ホース群342、および第3の油圧ホース群343に分岐して配されている。
【0215】
第1の油圧ホース群341は、掘削装置3を構成するブームシリンダ24等の各油圧シリンダに接続されるものである。第1の油圧ホース群341の各油圧ホース330は、
図25に示す給排用配管300に相当する。第1の油圧ホース群341は、作動油タンク15の左後側の角部近傍から、縦板41の左方を通って掘削装置3が位置する前方に向けて延出している。
【0216】
第2の油圧ホース群342は、旋回フレーム7の中心部に設けられた略円筒状のスイベルジョイント335に接続されるものである。第2の油圧ホース群342の各油圧ホース330は、スイベルジョイント335の所定の部位に設けられた接続ポートに対して継手部材を介して連通接続されている。第2の油圧ホース群342は、作動油タンク15の左後側の角部近傍から、第1の油圧ホース群341に対して左後側に分岐するとともに、作動油タンク15の左方に位置するスイベルジョイント335に向けて延出している。
【0217】
第3の油圧ホース群343は、ベースプレート40上における左後部に設けられた油圧ポンプ58またはパイロットポンプ221に接続されるものである。第3の油圧ホース群343の各油圧ホース330は、
図25に示す供給用配管223またはパイロット圧供給用配管227に相当する。第3の油圧ホース群343は、作動油タンク15の左後側から、第1の油圧ホース群341および第2の油圧ホース群342に対して後側に分岐するとともに左方に向けて延設され、ベースプレート40上における後部において、油圧ポンプ58およびパイロットポンプ221が位置する左方に向けて延出している。
【0218】
油圧ホース330群を沿わせるタンク後面部15bには、油圧ホース330の中途部をタンク後面部15bに対して保持する保持部としてホースクランプ350が設けられている。ホースクランプ350は、作動油タンク15の後側において左右方向に配される油圧ホース330に対し、タンク後面部15bとともに油圧ホース330を所定の場所に保持し、作動油タンク15の後側における油圧ホース330の配索位置をガイドする。
【0219】
ホースクランプ350は、上下に複数箇所に設けられている。具体的には、
図29に示すように、タンク後面部15bにおいて、ホースクランプ350は、上下方向に沿って並ぶように3箇所に設けられている。すなわち、ホースクランプ350として、上段ホースクランプ350A、中段ホースクランプ350Bおよび下段ホースクランプ350Cが設けられている。これら3つのホースクランプ350は、略共通の構成を備えている。
【0220】
ホースクランプ350は、タンク後面部15bとの間に油圧ホース330を保持する左右一対の保持棒部351を、タンク後面部15bに対して支持した構成を有する。保持棒部351は、タンク後面部15bに固定された支持板352により支持された状態で設けられている。なお、中段ホースクランプ350Bおよび下段ホースクランプ350Cは、支持板352を共通としている。
【0221】
図29および
図31に示すように、支持板352は、前後方向を板厚方向とした矩形板状の部材であり、タンク後面部15bに固設された取付座部353に対してボルト354により固定されている。取付座部353は、タンク後面部15bに対して所定の厚さで突出した部分であり、鉛直状の面である取付面353aを形成している。取付座部353は、左右方向を長手方向とした長手状の形状を有し、左右両側にボルト354を螺挿させるネジ穴を有する。
【0222】
支持板352は、取付座部353の取付面353aに接触した状態で、支持板352を貫通するとともに取付座部353のネジ穴に螺挿されるボルト354により取付座部353に対して締結固定されている。タンク後面部15bと支持板352との間には、取付座部353の厚さ(後面部15bからの突出寸法)分、隙間355が形成されている。
【0223】
左右の各保持棒部351は、支持板352から後方に向けて突出した下棒部351aと、下棒部351aの後側から上方に向けて直角状をなすように屈曲形成され上下方向に延伸した縦棒部351bとを有し、これらの棒部によって側面視で略L字状をなしている(
図31参照)。左右の保持棒部351は、1本の棒状部材を所定の形状をなすように屈曲または湾曲させることで形成されている。つまり、左右の保持棒部351は、支持板352の後側から支持板352を貫通し、支持板352の前側の隙間355に位置する湾曲部351cを介して互いにつながっている。なお、左右の保持棒部351は、互いに別体の棒材を支持板352に固定させることで設けられてもよい。
【0224】
左右の保持棒部351の上端部には、屋根板357が設けられている。屋根板357は、上下方向を板厚方向とした矩形板状の部材であり、左右の保持棒部351の上端部を貫通させた状態で、保持棒部351に対して、保持棒部351に螺合したナット358や溶接等によって固定されている。屋根板357は、後面部15bに対してわずかな隙間を隔てるとともに、保持棒部351の下棒部351aの上方に位置する部分を有するように設けられている。屋根板357は、平面視で左右の保持棒部351の配設範囲の全体を覆うように設けられている。
【0225】
以上のような構成を備えたホースクランプ350においては、支持板352、左右の保持棒部351および屋根板357により、タンク後面部15bとの間に、油圧ホース330を保持する空間部として、側面視で略矩形状をなすホース保持空間359が形成される(
図31参照)。油圧ホース330は、ホース保持空間359を左右方向に貫通することで、作動油タンク15の後側に位置する部分をホースクランプ350に保持させた状態となる。ホースクランプ350は、ホース保持空間359を側面視で四方が囲まれた空間とすることで、機体の振動等によって油圧ホース330がホースクランプ350から外れなように構成されている。
【0226】
支持板352は、上縁部を前側に傾斜状に屈曲させた傾斜面部352aを有する。傾斜面部352aは、ホース保持空間359の下端部の前側に位置しており、縦棒部351bとの間の前後の間隔を下側から上側にかけて徐々に広げ、下棒部351a上に支持される油圧ホース330に対してガイド部として機能する。なお、中段ホースクランプ350Bおよび下段ホースクランプ350Cで共用される支持板352について、傾斜面部352aは、中段ホースクランプ350Bに対してのみ設けられている。また、屋根板357は、左右の両縁部を上側に傾斜状に屈曲させた傾斜面部357aを有する。傾斜面部357aは、ホース保持空間359の左右両側の上縁部に位置し、ホース保持空間359内に配される油圧ホース330に対してガイド部として機能する。
【0227】
上下3段のホースクランプ350のタンク後面部15bにおける配置に関し、上段ホースクランプ350Aおよび中段ホースクランプ350Bは、左右方向について中央から右側寄りの位置に設けられており、下段ホースクランプ350Cは、左右方向について中央部に設けられている。また、下段ホースクランプ350Cは、上段ホースクランプ350Aおよび中段ホースクランプ350Bと比べて、保持棒部351の縦棒部351bの長さが短くなっている。したがって、下段ホースクランプ350Cにおけるホース保持空間359は、他の2つのホースクランプ350と比べて上下方向の寸法が狭くなっている。
【0228】
本実施形態において、上段ホースクランプ350Aおよび中段ホースクランプ350Bに保持される油圧ホース330には、第1の油圧ホース群341および第2の油圧ホース群342それぞれの一部の油圧ホース330が含まれる。また、下段ホースクランプ350Cに保持される油圧ホース330には、供給用配管223およびパイロット圧供給用配管227を構成する油圧ホース330が含まれる。ただし、各ホースクランプ350に保持される油圧ホース330の種類(接続先)は特に限定されない。
【0229】
また、作動油タンク15の前方に燃料タンク14を配置した構成において、燃料タンク14の左右外側である右側には、掘削作業機1が備える油圧機器を取り付けるための機器取付部としての油圧機器用支持ステー370が設けられている。油圧機器用支持ステー370に取り付けられる油圧機器は、作動油タンク15に収容される作動油の経路または燃料タンク14に収容される燃料の経路に対して設けられたものである。
【0230】
図30および
図32に示すように、油圧機器用支持ステー370は、屈曲板状の部材であり、第1の支持面部である横面部371と、第2の支持面部である縦面部372とを有し、これらの面部によって正面視で略L字状をなす。横面部371は、水平板状の部分であり、縦面部372の前部に対して屈曲状の部分として設けられている。縦面部372は、鉛直板状の部分であり、前後方向について横面部371よりも後側に延出している。
【0231】
油圧機器用支持ステー370は、縦面部372を、燃料タンク14の右側面部14cに沿わせるとともに、右側面部14cから横面部371を右方に向けて突出させた態様となるように設けられている。油圧機器用支持ステー370は、燃料タンク14に対して上下方向の中間部に設けられている。油圧機器用支持ステー370は、コントロールバルブ60を支持するバルブ支持台310の支持面部312に対して、取付板380を介して固定支持された状態で設けられている。
【0232】
図30および
図32に示すように、取付板380は、所定の屈曲形状を有する屈曲板状の部材であり、左右方向を板厚方向とする固定面部381と、固定面部381の前側から鈍角状をなすように右前方に向けて屈曲したアーム面部382と、アーム面部382の右側から鈍角状をなすように前方に向けて屈曲し左右方向を板厚方向とする支持面部383とを有する。取付板380は、これらの面部によって上面視で略クランク形状をなす。
【0233】
取付板380は、固定面部381を、バルブ支持台310の支持面部312の前縁部の右面312aに対して溶接等により固定させることで、バルブ支持台310に固設されている。取付板380の支持面部383に対して、油圧機器用支持ステー370が固定されている。
【0234】
油圧機器用支持ステー370は、縦面部372の後縁部を取付板380の支持面部383に対して右側から重ねた状態で、ボルト385およびナット386により上下2箇所で取付板380に締結固定されている。ボルト385は、右側から縦面部372および支持面部383を貫通し、支持面部383の左側においてナット386に螺挿されている。
【0235】
以上のようにバルブ支持台310に取付板380を介して支持された油圧機器用支持ステー370に対して、油圧機器として、油水分離器400と、2つの電磁比例弁401,402が取り付けられている。
【0236】
油水分離器400は、燃料タンク14内の燃料から水分を分離させるための装置である。油水分離器400は、燃料タンク14からエンジン12に対する燃料の供給経路に設けられている。燃料タンク14内の燃料は、油水分離器400によって水分の除去作用を受けた後、エンジン12に供給される。
【0237】
油水分離器400は、略円筒状の外形を有し、その筒軸方向を上下方向とした向きで、油圧機器用支持ステー370の縦面部372に対して固定支持されている。油水分離器400は、縦面部372の右方かつ横面部371の下方の位置に配置され、縦面部372に対してボルト等の固定具によって複数箇所で固定された状態で設けられている。油水分離器400においては、固定具を貫通させるボス部400aが複数箇所に設けられている(
図27参照)。
【0238】
電磁比例弁401,402は、それぞれ上述した電磁比例弁226(
図25参照)に相当するものであり、複数の油圧アクチュエータ220のいずれかに対応して設けられている。
【0239】
電磁比例弁401,402は、油圧機器用支持ステー370の横面部371に対して固定支持されている。電磁比例弁401,402は、横面部371の上側に載置された状態で、横面部371に対してボルト等の固定具によって複数箇所で固定された状態で設けられている。一方の電磁比例弁401は、横面部371の前部上に配置されており、他方の電磁比例弁402は、横面部371の後部上に配置されている。
【0240】
以上のような本実施形態に係る掘削作業機1におけるコントロールバルブ60の油圧ホース330の配管構成によれば、コントロールバルブ60から延出される複数の油圧ホース330について良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0241】
コントロールバルブ60から延出される油圧ホース330群は、作動油タンク15の側面部の一つであるタンク後面部15bに沿って配されている。このような構成によれば、油圧ホース330群を作動油タンク15の周囲において集約させることができるため、油圧ホース330の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。なお、コントロールバルブ60および油圧ホース330群のメンテナンスに際しては、タンク室20を形成する外装カバーを開いたり取り外したりすることで、コントロールバルブ60および油圧ホース330群が外装カバーから開放された状態となる。
【0242】
油圧ホース330群の配管態様に関し、作動油タンク15の側面部は、作動油タンク15のタンク本体部における鉛直状の縦面部のいずれかであればよい。本実施形態のように作動油タンク15の直前方に燃料タンク14を配置した構成においては、油圧ホース330群を沿わせる作動油タンク15の側面部として、タンク後面部15b、左側面部15cおよび右側面部15dの少なくともいずれかが用いられる。このような構成によれば、油圧ホース330の周囲に作業スペースを確保することが容易となり、良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0243】
特に、本実施形態では、油圧ホース330群は、作動油タンク15の側面部のうちタンク後面部15bに沿って配されている。このような構成によれば、燃料タンク14が配置された作動油タンク15の前側と比べて、油圧ホース330の周囲に作業スペースを確保することが容易となり、良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0244】
また、コントロールバルブ60の配置に関し、コントロールバルブ60は、作動油タンク15に対して運転席17側と反対側である右側に配置されている。このような構成によれば、コントロールバルブ60および油圧ホース330群を機体の外部からアクセスしやすい位置に配置することができるので、コントロールバルブ60および油圧ホース330群のメンテナンス性を向上させることができる。
【0245】
また、コントロールバルブ60の左右外側である右側において油圧ホース330を接続させる継手部材301は、油圧ホース330を後方に向けて延出させるように後方を向いた構成を有する。このような構成によれば、油圧ホース330群をコントロールバルブ60の右側から後方に向けてまっすぐ配索することができるため、油圧ホース330群を比較的アクセスしやすい位置に配置することができ、油圧ホース330群について良好なメンテナンス性を得ることができる。また、例えば油圧ホース330群をコントロールバルブ60から前方に向けて延出した構成の場合、作動油タンク15の前側に燃料タンク14が存在することから、油圧ホース330群の周囲に作業スペースを確保することが困難となるが、油圧ホース330群をコントロールバルブ60の右側から後方に向けて延出した構成によれば、油圧ホース330群の周囲に作業スペースを確保することが比較的容易となり、良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0246】
また、作動油タンク15の前方に燃料タンク14を配置した構成においては、例えば油圧ホース330群をコントロールバルブ60から燃料タンク14側である前方に向けて延出した構成の場合、燃料タンク14の周辺において、燃料タンク14に対して設けられる油水分離器400等の油圧機器の配置空間を確保することや、油圧機器についてメンテナンスしやすい位置に配置することが困難となる。そこで、コントロールバルブ60の右側から後方に向けて油圧ホース330群を延ばした構成によれば、作動油タンク15の前方における例えば燃料タンク14の周囲に、油水分離器400等の比較的メンテナンスの頻度が高い機器の配置空間を、メンテナンスしやすい位置に容易に確保することができ、タンク室20内の装置についてのメンテナンス性を向上させることができる。
【0247】
また、作動油タンク15のタンク後面部15bには、複数の油圧ホース330を保持するホースクランプ350が設けられている。このような構成によれば、複数の油圧ホース330をタンク後面部15bに対して確実に沿わせることができるとともに、機体の振動等による油圧ホース330の揺れを抑制することができ、油圧ホース330を保護することができる。
【0248】
また、ホースクランプ350により、掘削作業機1において様々な位置に配置されている各油圧アクチュエータ220に向けて配索される油圧ホース330群を、基端側の部分でタンク後面部15bに対してまとめることができる。これにより、油圧ホース330のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0249】
また、ホースクランプ350は、上下に複数箇所(3箇所)に設けられている。このような構成によれば、油圧ホース330群を例えば接続先等によって各ホースクランプ350に対してグループごとにまとめることができるので、油圧ホース330群について良好なメンテナンス性を得ることができる。特に、上下方向に複数のホースクランプ350を配置した構成によれば、タンク後面部15bに沿って左右方向に配される油圧ホース330群を各ホースクランプ350に対してまとめやすくなり、油圧ホース330群について良好な配索性を得ることができる。
【0250】
また、燃料タンク14の右外側には、油水分離器400等の油圧機器を取り付けるための油圧機器用支持ステー370が設けられている。このような構成によれば、作動油タンク15の前方の比較的アクセス性が良い位置に、メンテナンスの頻度が比較的高い油圧機器を配置することができる。これにより、作動油タンク15や燃料タンク14に対して設けられる油圧機器について良好なメンテナンス性を得ることができる。また、油圧機器用支持ステー370は、燃料タンク14の左右外側の露出した位置に設けられているため、油圧機器用支持ステー370に支持される油圧機器について良好な取付け性を得ることができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0251】
特に、油圧機器用支持ステー370を、バルブ支持台310の支持面部312に対して取付板380を介して支持させた構成によれば、ベースプレート40上に固設されたバルブ支持台310を利用して油圧機器用支持ステー370を支持することができるので、簡単な構成によりしっかりと油圧機器用支持ステー370を支持することができ、油圧機器を安定した状態で設けることができる。
【0252】
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係る建設機械は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
【0253】
本技術は、以下のような構成を取ることができる。なお、以下に記載の構成は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0254】
(A1)
タンク室内に設けられ、油圧アクチュエータを作動させる作動油を収容する作動油タンクと、
前記タンク室の側方に設けられた運転席と、
前記タンク室の前記運転席側に設けられ、前記作動油タンク内の作動油の量を表示するレベルゲージと、を備えた
建設機械。
(A2)
前記タンク室および前記運転席を設けた旋回フレームを備え、
前記レベルゲージは、前記旋回フレームの前部上方に配置されている
前記(A1)に記載の建設機械。
(A3)
前記レベルゲージは、接続ホースを介して前記作動油タンクに連通接続されている
前記(A1)または前記(A2)に記載の建設機械。
(A4)
前記作動油タンクの前方に配置された燃料タンクを備え、
前記レベルゲージは、前記燃料タンクの側方に配置されている
前記(A1)~(A3)のいずれか1つに記載の建設機械。
(A5)
前記タンク室は、開閉可能に設けられたカバー部材により覆われており、
前記タンク室内に設けられ、前記作動油タンク内の作動油の量を表示する他のレベルゲージを備え、
前記他のレベルゲージは、前記カバー部材を開いた状態で目視可能な位置に配置されている
前記(A1)~(A4)のいずれか1つに記載の建設機械。
【0255】
(B1)
開閉可能に設けられたカバー部材により覆われたタンク室内の前部に設けられたタンクを備えた建設機械であって、
前記タンクは、前部に段部を有し、
前記タンク室内の前記段部の上方に形成された空間部内に機能部品が設けられている
建設機械。
(B2)
前記段部は、後側面部、側面部および底面部を有し、これらの面部によって前記空間部を形成する切欠き状の部分である
前記(B1)に記載の建設機械。
(B3)
前記タンクを設置させた旋回フレームを備え、
前記機能部品は、前記旋回フレームに取り付けられた支持部材により支持された状態で設けられている
前記(B1)または前記(B2)に記載の建設機械。
(B4)
前記タンクを前記旋回フレームに対して固定するための固定部材を備え、
前記タンクは、前記固定部材による固定を解除することで、前記旋回フレームに対して移動可能に設けられている
前記(B3)に記載の建設機械。
(B5)
前記タンク室内に設けられ、前記タンクの後方に配置された他のタンクを備え、
前記固定部材として、
前記他のタンクおよび前記支持部材にそれぞれに対して固定される第1の固定部材と、
前記支持部材を兼ねた第2の固定部材と、を有する
前記(B4)に記載の建設機械。
(B6)
前記タンクは、駆動源に供給される燃料を収容する燃料タンクであり、
前記機能部品は、前記燃料タンクに燃料を供給するための燃料供給ポンプであり、
前記段部の前記後側面部に、前記燃料供給ポンプの作動を入り切りするための操作スイッチが設けられている
前記(B2)に記載の建設機械。
(B7)
前記段部の前記後側面部に、前記燃料タンク内の燃料の量を表示する燃料ゲージが設けられている
前記(B6)に記載の建設機械。
(B8)
前記タンク室内には、燃料供給ポンプによる燃料吸引用のサクションホースを収容するホース収容部が設けられている
前記(B6)または前記(B7)に記載の建設機械。
【0256】
(C1)
タンク室内に設けられ、複数の油圧アクチュエータを作動させる作動油を収容する作動油タンクと、
前記作動油タンクから各前記油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れを制御するためのコントロールバルブと、
前記コントロールバルブから延出され各前記油圧アクチュエータに連通接続された複数の油圧ホースと、を備え、
前記複数の油圧ホースは、前記作動油タンクの側面部に沿って配されている
建設機械。
(C2)
前記タンク室の側方に設けられた運転席を備え、
前記コントロールバルブは、前記作動油タンクに対して前記運転席側と反対側に配置されている
前記(C1)に記載の建設機械。
(C3)
前記作動油タンクの側面部は、後側の側面部である
前記(C1)または前記(C2)に記載の建設機械。
(C4)
各前記油圧ホースは、一端側を前記コントロールバルブの左右外側の側面部に対して接続部材を介して接続させており、
前記接続部材は、前記油圧ホースを前記左右外側の側面部から後方に向けて延出させるように構成されている
前記(C1)~(C3)のいずれか1つに記載の建設機械。
(C5)
前記作動油タンクの側面部には、前記油圧ホースの中途部を前記作動油タンクの側面部に対して保持する保持部が設けられている
前記(C1)~(C4)のいずれか1つに記載の建設機械。
(C6)
前記保持部は、上下に複数箇所に設けられている
前記(C5)に記載の建設機械。
(C7)
前記作動油タンクの前方に配置された燃料タンクを備え、
前記燃料タンクの左右外側には、前記作動油タンクに収容される作動油の経路または前記燃料タンクに収容される燃料の経路に対して設けられた油圧機器を取り付けるための機器取付部が設けられている
前記(C1)~(C6)のいずれか1つに記載の建設機械。
(C8)
前記タンク室は、開閉可能に設けられたカバー部材により覆われており、
前記タンク室内における前記燃料タンクの前側に設けられ、前記運転席の近傍に設けられた操作部の操作に応じて前記コントロールバルブに入力される油圧のパターンを切り換えることで前記操作部の操作パターンを切り換える操作パターン切換装置を備え、
前記操作パターン切換装置は、前記カバー部材を開いた状態で切換え操作可能な位置に配置されている
前記(2)に記載の建設機械。
【符号の説明】
【0257】
1 掘削作業機(建設機械)
7 旋回フレーム
11 走行用油圧モータ
12 エンジン(駆動源)
14 燃料タンク(タンク)
15 作動油タンク(他のタンク)
15b 後面部(側面部)
16 キャビン
17 運転席
18 左側作業操作レバー(操作部)
19 右側作業操作レバー(操作部)
20 タンク室
24 ブームシリンダ
25 アームシリンダ
26 バケットシリンダ
29 スイングシリンダ
40 ベースプレート
42 隔壁部
44 上前フレーム
47 仕切板
50 開口部
55 ボンネット(カバー部材)
60 コントロールバルブ
60a 右側面部
70 レベルゲージ
74 上接続ホース
75 下接続ホース
100 他のレベルゲージ
110 段部
110a 後側面部
110b 左側面部(側面部)
110c 底面部
111 空間部
120 燃料供給ポンプ(機能部品)
121 サクションホース
130 支持ブラケット(支持部材、固定部材、第2の固定部材)
145 ホース収容部
150 操作スイッチ
160 燃料ゲージ
170 固定保持板(固定部材、第1の固定部材)
200 マルチバルブ(機能部品、操作パターン切換装置)
220 油圧アクチュエータ
301 継手部材(接続部材)
310 バルブ支持台
330 油圧ホース
350 ホースクランプ(保持部)
370 油圧機器用支持ステー(機器取付部)
400 油水分離器(油圧機器)
401 電磁比例弁(油圧機器)
402 電磁比例弁(油圧機器)