(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095478
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】反射鏡
(51)【国際特許分類】
H01Q 19/13 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
H01Q19/13
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022212955
(22)【出願日】2022-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】503217808
【氏名又は名称】アルモテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前田 崇
(72)【発明者】
【氏名】田村 禎啓
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA08
5J020BA10
5J020BD04
5J020DA03
5J020DA08
(57)【要約】
【課題】反射鏡を使用したアンテナの例として、パラボラアンテナやオフセットアンテナなどいろいろ有るが、これらのアンテナは広帯域で使用する場合、周波数が高くなるにつれてゲインが上がり、ビーム幅は狭くなる欠点がある。これら欠点を無くす反射鏡を提供する。
【解決手段】今F1~F2の間で使用するアンテナを考えた時、反射鏡の面に、F2で電気特性を得るのに必要な直径から、F2で散乱の影響を与え始める粗さの凹凸を開始し、そこから外周に向かって少しずつ大きく各周波数に影響を与え始める粗さの凹凸をF1まで設け、各周波数で必要な反射鏡の実効径となる様にして特性をフラットにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射鏡(2)の反射面に、電波を散乱させる凹凸を設けた事を特徴とする反射鏡。
【請求項2】
反射鏡(2)の反射面に、中央に集める電波の電気特性を改善する為特定の箇所に凹凸を設けた事を特徴とする反射鏡。
【請求項3】
反射鏡(2)の反射面に、反射させる全周波数のビーム幅が同じになる様に、内周から外周に向かって少しずつ大きさを変えた凹凸を設けた事を特徴とする反射鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射鏡を使用したアンテナにおいて、使用する帯域が広い場合、反射鏡の特性によりアンテナのゲインや指向特性に周波数依存性が生じる事を解消する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
反射鏡を使用したアンテナの例として、パラボラアンテナやオフセットアンテナなどが有るが、広帯域で使用する場合周波数が高くなるにつれてゲインが上がり、ビーム幅が狭くなると言う周波数依存性がある。ゲインについては、一例として送受の電子回路でイコライザー等を使用してゲイン差を小さくする事が出来るが、ビーム幅は調整が出来ず、各周波数に対応した複数のアンテナを使用して合成するなどで対策を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
反射鏡を使用するアンテナのビーム幅やゲインは、反射鏡の直径と周波数で以下の計算式の様に決まってしまう為、周波数差が大きいとその値に大きな差が出てしまう。
ビーム幅=(1.1×波長×180)/(反射鏡直径×π)
ゲイン=開口効率(π×直径/波長)2
例えば直径30cmの反射鏡の場合、20GHzではビーム幅は3.2°でゲインは33.7dBだが、30GHzではビーム幅は2.1°でゲインは37.2dBとなる。
この様に同じ反射鏡で周波数が変わると、電気特性に差が生じ問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、電波が光と同じ様に反射面に凹凸があると散乱して集光が悪くなる性質を利用している。
この凹凸は一般的に波長の1/50程度から散乱が大きくなってくると言われている。
反射鏡によるビーム幅は、同じ直径では周波数が倍になるとビーム幅は半分に、更に倍になると更に半分になり、周波数に反比例する。
また、同じ周波数では直径が倍になるとビーム幅は半分に、更に倍になると更に半分になり、直径に反比例する。
なおゲインは、同じ直径では周波数が倍になるとゲインは倍に、更に倍になると更に倍になり、周波数に比例する。
また、同じ周波数では直径が倍になるとゲインは倍に、更に倍になると更に倍になり、直径に比例する。
このように、反射鏡の大きさでビーム幅やゲインが変わるので、例えばビーム幅(ゲインでも同じ)を一定にする場合は、各周波数で必要なビーム幅が取れる反射鏡の大きさを計算し、その周波数の波長の1/50の大きさの凹凸を反射鏡の面に1周(効果が薄い場合は増やす)作る。
これを高い周波数より順に、反射鏡(2)の表面に(3)の様に低い周波数分を順次外周に向かって大きくなる凹凸を作る。
これらの凹凸により、外周近くで入射した波長の短い高い周波数の電波(5)は、光が摺りガラスでは散乱するように散乱して、中央の一次放射器(1)に到達しない。しかし、中央付近で入射した波長の短い電波6は、散乱することなく中央の一次放射器(1)に到達する。
波長の長い低い周波数の電波(4)では、表面の凹凸が波長に対して十分小さい為散乱することなく反射し、中央の一次放射器(1)に到達する。
この凹凸は、40GHzで0.15mm程度、10GHzで0.6mm程度の凹凸となる。
凹凸の形状は、(7)の様な先端が尖った四角錐が一番良いが、(8)のような先端がお椀型の丸でも良く、また個々が独立した突起でなく、(9)のような三角形や(10)の様な、お椀形が帯状に連なったものを1周させても良いし、大きさが徐々に大きく変化する、一本の三角棒状のものやかまぼこ状の連続した突起を内周から外周に向かって渦巻状に構成したものでも良い。
これらの加工は、レーザー加工やNC旋盤などで十分加工可能である。
【発明の効果】
【0006】
パラボラアンテナを広帯域で使用する時に問題となっていた、ビーム幅やゲインの周波数特性をなくすことにより、従来電子回路での補正や複数のアンテナを設けて合成したりする必要がなく、広帯域のパラボラアンテナを1個のアンテナで構成出来、コスト的にも構造的にも簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施をする為の形態について説明する。
今仮に直径30cmのパラボラ反射鏡で、20GHzから40GHzのビーム幅を一定にするためには、まず20GHzでのビーム幅3.2mmを求め、このビーム幅となる各周波数での反射鏡の直径と散乱が始まる粗さ限界を求める。
この値はおおむね次の表のようになる。
この表の値に基づいて、反射鏡の内周15cmから17cmの間は0.15mmから0.17mmに変化する凹凸を設ける。
内周17cmから20cmの間は、0.17mmから0.2mmに変化する凹凸を設ける。
内周20cmから24cmの間は、0.2mmから0.24mmに変化する凹凸を設ける。
内周24cmから30cmの間は、0.24mmから0.3mmに変化する凹凸を設ける。
この値に基づいて反射鏡の反射面を、レーザー加工機やベット型NC立てフライス盤やマシニングセンターなどで加工する。
【符号の説明】
【0009】
1 一次放射器
2 反射鏡
3 反射鏡表面の凹凸
4 低い周波数の入射電波
5 高い周波数の凹凸が大きい部分での入射電波
6 高い周波数の凹凸が小さい部分での入射電波
7 四角推の形状例
8 おわん型の形状例
9 三角棒状の形状例
10 かまぼこ状の形状例