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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009549
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/14 20060101AFI20240116BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240116BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H01L23/14 S
H01L23/12 J
H01L23/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111157
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(72)【発明者】
【氏名】増野 真也
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BB03
5F136DA14
5F136FA51
5F136FA63
(57)【要約】
【課題】半導体素子を含む高周波回路に生じる寄生容量の増大を抑制し、かつ半導体素子の温度上昇を抑制することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】デバイス層が、一部の領域に半導体素子を含む。デバイス層の一方の面に絶縁層が配置されている。絶縁層の、デバイス層が配置された側とは反対側の面に半導体からなる支持基板が配置されている。支持基板に、平面視において半導体素子が形成された半導体素子領域と重なりを有し、支持基板の、絶縁層が配置された側とは反対側の面である下面から絶縁層まで達する開口が設けられている。絶縁性の放熱層が、平面視において開口に包含される領域の絶縁層に接触する。放熱層は、絶縁層の熱伝導率より高い熱伝導率を有する。支持基板の下面及び開口の側面の少なくとも一部の領域は、放熱層で覆われていない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部の領域に半導体素子を含むデバイス層と、
前記デバイス層の一方の面に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の、前記デバイス層が配置された側とは反対側の面に配置された半導体からなる支持基板と
を備え、
前記支持基板に、平面視において前記半導体素子が形成された半導体素子領域と重なりを有し、前記支持基板の、前記絶縁層が配置された側とは反対側の面である下面から前記絶縁層まで達する開口が設けられており、
さらに、平面視において前記開口に包含される領域の前記絶縁層に接触し、前記絶縁層の熱伝導率より高い熱伝導率を有する放熱層を備えており、
前記支持基板の前記下面及び前記開口の側面の少なくとも一部の領域は、前記放熱層で覆われていない半導体装置。
【請求項2】
前記支持基板はSiを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記放熱層は、フィラーを含有する樹脂で形成されている請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
平面視において、前記半導体素子領域は前記開口に包含されている請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記支持基板の前記下面の全域が、前記放熱層で覆われていない請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記開口の側面のうち、前記下面の側の少なくとも一部の領域が、前記放熱層で覆われていない請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記放熱層は、前記開口の側面から間隔を隔てて配置されている請求項5に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン(Si)からなる支持基板の上に絶縁層及び半導体層が積層されたSOI基板に高周波回路を形成した半導体装置において、半導体層と支持基板との間の寄生容量に起因して高調波歪が発生する場合がある。高調波歪の発生を抑制する構造を有する半導体装置が、下記の特許文献1に開示されている。この半導体装置では、支持基板に開口が形成されており、この開口は、平面視において高周波回路が配置された領域と重なる。開口内及び支持基板の表面に絶縁性のポリマーが塗布されている。高周波回路の近傍のSiからなる支持基板が除去されているため、高周波回路と支持基板との間の寄生容量が低減され、高調波歪の発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9214337号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Siからなる支持基板に開口を形成しない構成では、高調波回路を構成するトランジスタで発生した熱が支持基板に伝導することにより、トランジスタの温度上昇が抑制される。支持基板に開口を形成した構成では、トランジスタで発生した熱が、開口内のポリマーに伝導し、ポリマーから支持基板に伝導する。支持基板の表面にポリマーが塗布されているため、支持基板に伝導した熱は、ポリマーを経由して周囲の空間に放射される。
【0005】
一般的にポリマーの熱伝導率は支持基板の熱伝導率より低いため、支持基板に開口を形成すると、支持基板に開口を形成しない構成と比べてトランジスタからの放熱効率が低くなる。このため、高周波回路の動作時にトランジスタの温度が上昇しやすい。本発明の目的は、トランジスタを含む高周波回路に生じる寄生容量の増大を抑制し、かつトランジスタ等の半導体素子の温度上昇を抑制することが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
一部の領域に半導体素子を含むデバイス層と、
前記デバイス層の一方の面に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の、前記デバイス層が配置された側とは反対側の面に配置された半導体からなる支持基板と
を備え、
前記支持基板に、平面視において前記半導体素子が形成された半導体素子領域と重なりを有し、前記支持基板の、前記絶縁層が配置された側とは反対側の面である下面から前記絶縁層まで達する開口が設けられており、
さらに、平面視において前記開口に包含される領域の前記絶縁層に接触し、前記絶縁層の熱伝導率より高い熱伝導率を有する絶縁性の放熱層を備えており、
前記支持基板の前記下面及び前記開口の側面の少なくとも一部の領域は、前記放熱層で覆われていない半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
平面視において半導体素子領域と重なる開口が設けられており、開口に包含される領域の絶縁層に接する放熱層が絶縁性であるため、半導体素子領域に生じる寄生容量を低減させることができる。また、半導体素子領域で発生した熱は、絶縁層及び放熱層を経由して放熱層の表面から放射されるとともに、支持基板まで伝導した熱が、支持基板の表面から放射される。支持基板の下面及び開口の側面の少なくとも一部の領域が放熱層で覆われていないため、支持基板の表面からの高い放熱効率を維持することができる。これにより、半導体素子領域の温度上昇を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施例による半導体装置の断面図である。
図2図2は、第1実施例による半導体装置の底面図である。
図3図3は、第1実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その1)である。
図4図4は、第1実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その2)である。
図5図5は、第1実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その3)である。
図6図6は、第1実施例による半導体装置における放熱経路を模式的に示す断面図である。
図7図7は、比較例による半導体装置における放熱経路を模式的に示す断面図である。
図8図8は、第1実施例の変形例による半導体装置の断面図である。
図9図9は、第1実施例の他の変形例による半導体装置の断面図である。
図10図10は、第2実施例による半導体装置の断面図である。
図11図11は、第2実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その1)である。
図12図12は、第2実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その2)である。
図13図13は、第2実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その3)である。
図14図14は、第2実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その4)である。
図15図15は、第2実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その5)である。
図16図16は、第2実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その6)である。
図17図17は、第2実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その7)である。
図18図18は、第2実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図(その8)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施例]
図1から図7までの図面を参照して、第1実施例による半導体装置について説明する。
【0010】
図1は、第1実施例による半導体装置の断面図である。第1実施例による半導体装置は、デバイス層30、絶縁層20、支持基板50、複数のバンプ40、及び放熱層60を含む。絶縁層20の一方の面にデバイス層30が配置されており、他方の面に支持基板50が配置されている。複数のバンプ40は、デバイス層30の、絶縁層20が配置された面とは反対側の面から突出する。支持基板50からデバイス層30を向く方向を上方向と定義する。なお、絶縁層20は、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。例えば、絶縁層20を単層構造とする場合は、絶縁層20として酸化シリコン層を用いるとよい。絶縁層20を複層構造とする場合は、絶縁層20を酸化シリコン層と窒化シリコン層との2層を含む構造とするとよい。
【0011】
図1において、各構成要素の高さ方向および面内方向の寸法の比は、実際の半導体装置における各構成要素の寸法の比を表しているわけではない。例えば、図1では、デバイス層30の高さ方向の寸法(厚さ)が、バンプ40の高さより大きく表されているが、実際には、デバイス層30の厚さは100nm以下であり、バンプ40の高さは、約160μmである。また、支持基板50の高さ方向の寸法は、約100μmである。
【0012】
デバイス層30は、素子形成層31、及び素子形成層31の上に配置された多層配線層35を含む。素子形成層31は、絶縁性の素子分離領域31I、及び素子分離領域31Iで囲まれた複数の半導体素子領域31S(活性領域)を含む。複数の半導体素子領域31Sのそれぞれに、MOSトランジスタ等の半導体素子が形成されている。半導体素子領域31Sは、例えばSiで形成されている。
【0013】
多層配線層35内に複数の配線35W及び複数のビア35Vが配置されている。多層配線層35の最上層に複数のパッド35Pが配置されている。複数のパッド35Pの上に、それぞれバンプ40が配置されている。
【0014】
支持基板50は、シリコン等の半導体で形成されている。支持基板50に、絶縁層20が配置された側とは反対側の面である下面から絶縁層20まで達する開口50Bが設けられている。開口50Bは、デバイス層30を、デバイス層30と絶縁層20との積層方向から平面視したとき(以下、単に「平面視において」という。)、半導体素子領域31Sと重なりを有する。例えば、開口50Bは、平面視において半導体素子領域31Sを包含する。なお、開口50Bは、平面視において半導体素子領域31Sの一部のみと重なっていてもよい。
【0015】
開口50B内に放熱層60が充填されている。具体的には、平面視において開口50Bに包含される領域の絶縁層20に放熱層60が接触し、開口50Bの側面の全域に放熱層60が接触している。放熱層60には、例えばフィラーを含有する樹脂、セラミックス等が用いられる。放熱層60の熱伝導率は、絶縁層20の熱伝導率より高い。
【0016】
図2は、第1実施例による半導体装置の底面図である。環状の支持基板50の内側に放熱層60が配置されている。放熱層60は、平面視において、複数の半導体素子領域31Sを包含している。半導体素子領域31Sのそれぞれに、MOSトランジスタTr等の半導体素子が配置されている。
【0017】
次に、図3図4、及び図5を参照して、第1実施例による半導体装置の製造方法について説明する。図3図4、及び図5は、第1実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図である。
【0018】
図3に示すように、支持基板50、絶縁層20、及び素子形成層31からなるSOI基板を準備する。素子形成層31に素子分離領域31Iを形成し、素子分離領域31Iで囲まれた半導体素子領域31Sにトランジスタ等の半導体素子を形成する。素子形成層31の上に多層配線層35を形成する。ここまでの工程で、素子形成層31及び多層配線層35を含むデバイス層30が形成される。さらに、複数のバンプ40を形成する。ここまでの工程には、公知の半導体プロセスを適用することができる。
【0019】
図4に示すように、支持基板50に開口50Bを形成する。開口50Bは、例えば支持基板50の底面にフォトリソグラフィによりマスクパターンを形成し、このマスクパターンをエッチングマスクとして支持基板50をエッチングすることにより形成することができる。開口50Bの底面に絶縁層20が露出する。
【0020】
図5に示すように、支持基板50の底面及び開口50Bの側面及び底面に、フィラーを含有する感光性のポリマーを塗布することにより、樹脂層60Aを形成する。その後、露光及び現像を行うことにより、支持基板50の底面に形成されている樹脂層60Aを除去する。開口50B内に残った樹脂層60Aの表面を研磨することにより、支持基板50の底面と樹脂層60Aの表面との高さを揃える。開口50B内に残った樹脂層60Aが、放熱層60(図1)を構成する。その後、支持基板50をダイシングすることにより、個片化する。なお、放熱層60の表面が支持基板50の底面から突出していても実装上問題ない場合は、支持基板50の底面から突出している樹脂層60Aの研磨を行う必要はない。
【0021】
次に、図6及び図7を参照して第1実施例の優れた効果について説明する。図6及び図7は、それぞれ第1実施例及び比較例による半導体装置における放熱経路を模式的に示す断面図である。第1実施例による半導体装置(図6)においては、支持基板50の底面が放熱層60で覆われておらず露出しているが、比較例による半導体装置(図7)においては、支持基板50の底面の全域が放熱層60で覆われている。
【0022】
半導体装置を動作させると、主として半導体素子領域31Sで発熱が生じる。半導体素子領域31Sで発生した熱は、絶縁層20を経由して放熱層60に伝導する。放熱層60まで伝導した熱の一部は、矢印H0で示すように、放熱層60内を厚さ方向に伝導し、中空の矢印H5で示すように放熱層60の下面から外部に放射される。また、放熱層60まで伝導した熱の他の一部は、矢印H1で示すように、放熱層60内を面内方向に伝導し、支持基板50まで達する。放熱層60は、デバイス層30及び絶縁層20と比べて十分厚く、放熱層60の熱伝導率は絶縁層20の熱伝導率より高いため、放熱層60を配置することにより、半導体素子領域31Sで発生した熱が面内方向に拡散しやすくなる。支持基板50まで伝導した熱は、矢印H2で示すように、支持基板50内を厚さ方向に伝導する。
【0023】
図6に示した第1実施例による半導体装置においては、支持基板50内を厚さ方向に伝導した熱は、中空の矢印H6で示すように支持基板50の底面から外部に放射される。これに対して図7に示した比較例による半導体装置においては、支持基板50の底面の全域が放熱層60で覆われているため、支持基板50の底面まで達した熱は、再度放熱層60に伝導し、その後、矢印H3で示すように放熱層60内を厚さ方向に伝導し、矢印H7で示すように、放熱層60の底面から外部に放射される。
【0024】
このように、比較例(図7)では第1実施例(図6)と比べて、矢印H3で示した伝熱経路が余分に発生する。放熱層60の熱伝導率は支持基板50の熱伝導率より低いため、比較例による半導体装置の放熱効率が低下してしまう。第1実施例では、支持基板50の下面から熱が直接放射されるため、比較例と比べて放熱効率が高い。
【0025】
また、第1実施例では、平面視において半導体素子領域31Sと重なる部分の支持基板50が除去され、開口50Bが設けられている。このため、半導体素子領域31Sと支持基板50との間の寄生容量を低減させることができる。また、開口50B内に充填された放熱層60は絶縁性であるため、半導体素子領域31Sに発生する寄生容量は増大しない。これにより、半導体装置の高周波特性の低下が抑制される。
【0026】
次に、図8及び図9を参照して、第1実施例の変形例による半導体装置について説明する。図8及び図9は、第1実施例の変形例による半導体装置の断面図である。
【0027】
第1実施例による半導体装置(図1)では、放熱層60が開口50B内に充填されており、支持基板50の底面までは広がっていない。すなわち、支持基板50の底面の全域が露出している。これに対して図8に示した変形例による半導体装置では、放熱層60が、支持基板50の底面のうち開口50Bの周辺の領域まで広がっている。支持基板50の底面の残りの領域は露出している。支持基板50まで伝導した熱は、支持基板50の露出した底面から外部に放射される。
【0028】
図8に示した変形例による半導体装置は、図5に示した感光性ポリマーからなる樹脂層60Aを露光するとき、開口50Bの縁よりやや外側までの樹脂層60Aが残るように露光することにより作製することができる。
【0029】
第1実施例による半導体装置(図1)では、放熱層60の表面が、支持基板50の底面とほぼ同じ高さに位置しており、開口50Bの側面の全域に放熱層60が接触している。これに対して図9に示した変形例では、放熱層60の厚さが、支持基板50の厚さより薄い。すなわち、開口50Bの側面のうち支持基板50の底面側の一部の領域が露出している。本変形例では、支持基板50まで伝導した熱は、開口50Bの露出した側面からも放射される。
【0030】
図9に示した変形例による半導体装置は、図5に示した樹脂層60Aの下面の全域から支持基板50の底面が露出するまで樹脂層60Aをエッチング除去し、さらに開口50Bに充填されている樹脂層60Aの一部分をエッチング除去することにより作製することができる。本変形例では、樹脂層60Aの露光及び現像を行う必要がないため、感光性ポリマーではないポリマーを用いることができる。さらに、樹脂層60Aに代えて、無機絶縁材料からなる層を用いることができる。例えば、セラミックス等を用いることができる。セラミックスからなる層は、例えば化学気相堆積(CVD)、スパッタリング等により成膜することができる。
【0031】
次に、第1実施例のさらに他の変形例について説明する。第1実施例(図2)では、平面視において、1つの開口50Bに複数の半導体素子領域31Sが包含されているが、半導体素子領域31Sごとに開口50Bを設けてもよい。その他に、複数の開口50Bを配置し、開口50Bのそれぞれに一部の複数の半導体素子領域31Sが包含される構成としてもよい。
【0032】
[第2実施例]
次に、図10から図18までの図面を参照して第2実施例による半導体装置について説明する。以下、図1から図6までの図面を参照して説明した第1実施例による半導体装置と共通の構成については説明を省略する。
【0033】
図10は、第2実施例による半導体装置の断面図である。第1実施例による半導体装置(図1)では、開口50B内の絶縁層20の表面の全域が放熱層60で覆われており、放熱層60が開口50Bの側面に接触している。これに対して第2実施例による半導体装置では、放熱層60は、開口50Bの側面から間隔を隔てて配置されている。このため、開口50Bの側面の全域が露出している。
【0034】
次に、図11から図18までの図面を参照して第2実施例による半導体装置の製造方法について説明する。図11から図18までの図面は、第2実施例による半導体装置の製造途中段階における断面図である。図11に示すように、支持基板50(図10)の元となる半導体基板、例えばSiからなる基板50Cを準備する。図12に示すように、基板50Cの一方の面に凹部50Dを形成する。凹部50Dは、開口50B(図10)が配置される領域に形成する。
【0035】
図13に示すように、素子形成層31(図10)となるSiからなる原基板31Aの一方の面に酸化シリコンからなる絶縁層20を形成する。絶縁層20の形成には、熱酸化等を用いることができる。図14に示すように、絶縁層20の表面に放熱層60を形成する。放熱層60は、例えば感光性ポリマーを塗布し、その後露光及び現像を行うことにより形成することができる。
【0036】
図15に示すように、基板50Cの、凹部50Dが形成された面を絶縁層20に対向させて、基板50Cを絶縁層20に接合する。このとき、放熱層60が凹部50D内に収容されるように、両者の位置合わせを行う。ここまでの工程で、原基板31A、絶縁層20、及び基板50Cで構成され、内部にキャビティを有するキャビティSOI基板が作製される。キャビティ内には、放熱層60が収容されている。
【0037】
図16に示すように、原基板31Aを研削または研磨して薄層化し、原基板31Aの一部からなる素子形成層31を残す。図17に示すように、素子形成層31に素子分離領域31Iを形成することにより、半導体素子領域31Sを画定し、半導体素子領域31SにMOSトランジスタ等の半導体素子を形成する。さらに、素子形成層31の上に多層配線層35及び複数のバンプ40を形成する。
【0038】
図18に示すように、基板50Cを、キャビティに達するまで研削し、基板50Cの一部からなる支持基板50を残す。キャビティであった部分が、開口50Bに相当する。これにより、放熱層60が露出する。その後、支持基板50をダイシングすることにより個片化する。
【0039】
次に、第2実施例の優れた効果について説明する。
第2実施例では、半導体素子領域31Sのうち、平面視において放熱層60と重なっている半導体素子領域31Sで発生した熱は、絶縁層20及び放熱層60を経由して外部に放射される。半導体素子領域31Sのうち、支持基板50の近傍の領域で発生した熱は、デバイス層30及び絶縁層20を経由して支持基板50まで伝導する。放熱層60は、半導体素子領域31Sで発生した熱を面内方向に拡散させる熱経路としても機能するため、半導体素子領域31Sの中央近傍で発生した熱も、支持基板50まで伝導しやすくなる。支持基板50まで伝導した熱は、支持基板50の底面及び開口50Bの側面から外部に放射される。
【0040】
相対的に熱伝導率が高い支持基板50の底面及び開口50Bの側面が外部に露出しているため、開口50Bの側面が、相対的に熱伝導率が低い放熱層60で覆われている構成と比べて、半導体素子領域31Sからの放熱効率が高くなる。
【0041】
上述の各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0042】
本明細書に記載した上記実施例に基づき、以下の発明を開示する。
<1>
一部の領域に半導体素子を含むデバイス層と、
前記デバイス層の一方の面に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の、前記デバイス層が配置された側とは反対側の面に配置された半導体からなる支持基板と
を備え、
前記支持基板に、平面視において前記半導体素子が形成された半導体素子領域と重なりを有し、前記支持基板の、前記絶縁層が配置された側とは反対側の面である下面から前記絶縁層まで達する開口が設けられており、
さらに、平面視において前記開口に包含される領域の前記絶縁層に接触し、前記絶縁層の熱伝導率より高い熱伝導率を有する放熱層を備えており、
前記支持基板の前記下面及び前記開口の側面の少なくとも一部の領域は、前記放熱層で覆われていない半導体装置。
【0043】
<2>
前記支持基板はSiを含む<1>に記載の半導体装置。
【0044】
<3>
前記放熱層は、フィラーを含有する樹脂で形成されている<1>または<2>に記載の半導体装置。
【0045】
<4>
平面視において、前記半導体素子領域は前記開口に包含されている<1>乃至<3>のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0046】
<5>
前記支持基板の前記下面の全域が、前記放熱層で覆われていない<1>乃至<4>のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0047】
<6>
前記開口の側面のうち、前記下面の側の少なくとも一部の領域が、前記放熱層で覆われていない<5>に記載の半導体装置。
【0048】
<7>
前記放熱層は、前記開口の側面から間隔を隔てて配置されている<5>に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0049】
20 絶縁層
30 デバイス層
31 素子形成層
31A 素子形成層の原基板
31I 素子分離領域
31S 半導体素子が配置された領域(半導体素子領域)
35 多層配線層
35P パッド
35V ビア
35W 配線
40 バンプ
50 支持基板
50 支持基板
50B 凹部
50C 基板
50D 凹部
60 放熱層
60A 樹脂層
図1
図2
図3
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図5
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