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特開2024-955ATM内におけるメディアアイテムの移送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000955
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ATM内におけるメディアアイテムの移送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20231226BHJP
   B65H 31/22 20060101ALI20231226BHJP
   G07D 11/40 20190101ALI20231226BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20231226BHJP
【FI】
B65H5/36
B65H31/22
G07D11/40
G07D11/16
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008575
(22)【出願日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】17/845,450
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391007161
【氏名又は名称】エヌ・シー・アール・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】スコット ウイニング
【テーマコード(参考)】
3E141
3F054
3F101
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141FG01
3E141FG08
3F054AA03
3F054AC06
3F054BA11
3F054BC02
3F054BC11
3F054BJ01
3F054DA16
3F054DA22
3F101FB12
3F101FE02
3F101FE08
3F101FE11
3F101FE15
3F101FE20
3F101LA08
3F101LB04
(57)【要約】
【課題】ATM(現金自動預け払い機)を含むSST(セルフサービス端末)内におけるメディアアイテムの移送経路を決定するための装置を提供する。
【解決手段】メディアアイテム経路の少なくとも一部分を決定するための方法及び装置が開示されている。装置は、回転可能であり、かつ実質的に平行な関係で離隔したシャフトを備える、移送モジュールを含む。取り外し可能なモジュールは、アーム要素に対して突出ガイド要素の離隔した列を選択的に位置付けるために、移送モジュールに対して位置付けられる。少なくとも1つのアーム要素は、アーム要素とともに移動し、かつそれぞれのシャフト要素が回転したときに少なくとも1つのガイド要素の当接領域と当接する、当接部材を備える。メディアアイテム経路の一部分は、ガイド要素及びアーム要素の対向するガイド表面を介して少なくとも部分的に決定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアアイテム経路の少なくとも一部分を決定するための装置であって、
実質的に平行な離隔した関係で第1の及び更なる回転可能なシャフト要素を備える、移送モジュールと、
取り外し可能なモジュールであって、前記第1の及び更なるシャフト要素上に離隔した関係で担持されたアーム要素に対して、前記取り外し可能なモジュールの突出ガイド要素の2つの離隔した列を選択的に位置付けるために、前記移送モジュールに対して位置付け可能である、取り外し可能なモジュールと、を備え、
少なくとも1つのアーム要素が、前記アーム要素とともに移動し、かつそれぞれのシャフト要素が回転して、前記アーム要素を収縮位置から動作位置に移動させるときに、少なくとも1つのガイド要素の当接領域と当接する、当接部材を備え、前記動作位置では、メディアアイテム経路が、前記ガイド要素及び前記アーム要素の対向するガイド表面を介して少なくとも部分的に決定される、装置。
【請求項2】
前記収縮位置では、前記移送モジュール及び取り外し可能なモジュールが、互いに対して横方向に位置付け可能であり、動作位置では、前記移送モジュール及び前記取り外し可能なモジュールが互いに対して固定されたそれぞれの場所にあるときに、各アーム要素のガイド表面の先端領域が、前記取り外し可能なモジュールの隣接する少なくとも1つのガイド要素によって提供されるガイド表面から少なくとも所定の閾値距離だけ離隔していることを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各アーム要素の前記先端領域が、前記アーム要素の最末端端部から離れて、それぞれのアーム要素の縁部に沿って少なくとも5mmの距離にわたって延在しており、前記先端領域全体が、端で見たときに隣接するガイド要素のガイド表面から少なくとも1.5mmセットバックされた所定の閾値距離にあることを更に含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
それぞれの第1のシャフト要素によって担持された第1の複数のアーム要素が、それぞれの第1の及び/又は更なる回転可能なシャフト要素を独立して回転させることによって、前記更なるシャフト要素によって担持された更なる複数のアーム要素に対して独立して位置付け可能であることを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
各々がそれぞれのシャフト要素の付勢された端部領域に配置されており、かつ前記それぞれのシャフト要素を好適である回転方向に付勢するように配置されている、第1の及び更なる付勢要素を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
各当接部材が、ロッド要素を備え、前記ロッド要素が、アーム要素の縁部から離れて延在しており、かつ前記縁部で少なくとも1つのアーム要素に接続された円筒形の外表面領域を有し、前記アーム要素が、前記アーム要素の残りの縁部の領域によって提供されるガイド表面に対して遠位に配置され、任意選択的に、前記縁部は、前記アーム要素が収縮位置から動作位置へと移動するにつれて、その移動をたどる縁部を含むことを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
各複数のアーム要素の少なくとも1つのアーム要素が、それぞれの所望の回転位置でそれぞれのシャフト要素によって担持されたアーム要素の回転移動を各々が停止し、それによって、前記アーム要素をそれぞれの動作位置に設定する、それぞれの当接部材を備えることを更に含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のシャフト要素のそれぞれの長手方向軸の周りの前記第1のシャフト要素のそれぞれの所望の回転位置が、前記更なるシャフト要素のそれぞれの長手方向軸の周りの前記更なるシャフト要素のそれぞれの所望の回転位置から独立していることを更に含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
第1の及び更なるピニオン要素を更に備え、前記第1の及び更なるピニオン要素が各々、第1の及び更なるラック要素のうちのそれぞれの1つのラック歯に係合し、かつ前記ラック要素が移動するにつれて回るように配置されたそれぞれのピニオン歯を備え、前記第1のピニオン要素が、前記第1のシャフト要素とともに移動し、かつ前記第1のシャフト要素のピニオン端部領域上に配置されており、前記更なるピニオン要素が、前記更なるシャフト要素とともに移動し、かつ前記更なるシャフト要素のピニオン端部領域上に配置されており、前記第1のピニオン要素のピニオン歯が、前記更なるピニオン要素のピニオン歯と噛み合わない、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記移送モジュールが、プッシャープレート部材を備えることと、
前記取り外し可能なモジュールが、駆動要素を備え、
前記駆動要素は、前記取り外し可能なモジュールが前記移送モジュールに向かって、かつ前記移送モジュールに近接して移動するときに、前記プッシャープレート部材のプッシャープレートプッシュ表面に係合するように配置されていることと、を更に含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プッシャープレート部材が、第1のラック要素の本体に向かって延在している、上部ラック接触アームと、更なるラック要素の本体に向かって延在している、下部ラック接触アームと、を備えることを更に含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
メディアアイテム経路の少なくとも一部分を決定するための方法であって、
取り外し可能なモジュールに対して、実質的に離隔した平行な関係で第1の及び更なる回転可能なシャフト要素を備える移送モジュールを位置付け、それによって、前記第1の及び更なるシャフト要素上に離隔した関係で担持されたアーム要素に対して、前記取り外し可能なモジュールの突出ガイド要素の2つの離隔した列を位置付けるステップと、
前記移送モジュール及び前記取り外し可能なモジュールが相互に位置付けられるときに、前記第1の及び更なるシャフト要素を回転させ、それによって、前記それぞれのシャフト要素上に担持されたアーム要素を収縮位置から動作位置に移動させるステップと、
少なくとも1つのアーム要素とともに移動される当接部材が少なくとも1つのガイド要素の当接領域と当接したときに、前記アーム要素を担持するシャフト要素の更なる回転を停止し、それによって、前記アーム要素を動作位置に設定し、それによって、前記ガイド要素の対向するガイド表面及び前記アーム要素のガイド表面を介して、メディアアイテム経路を少なくとも部分的に決定するステップと、を含む、方法。
【請求項13】
前記アーム要素が両方のシャフト要素をそれらの収縮位置に担持した状態で、下部モジュールを備える前記取り外し可能なモジュールを、メディアアイテム開口を備えるATMの金庫ハウジング内に付勢し、それによって、摺動させることによって、前記移送モジュールに対して横方向に前記取り外し可能なモジュールを位置付けることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各アーム要素がそれぞれの動作位置に適合するときに、前記取り外し可能なモジュールの隣接する少なくとも1つのガイド要素によって提供されるガイド表面から、少なくとも所定の閾値距離だけ各アーム要素のガイド表面の先端領域を位置付けることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
各シャフト要素を独立して回転させることによって、前記更なるシャフト要素上に担持されるアーム要素に対して、前記第1のシャフト要素上に担持されるアーム要素を独立して位置付けることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記取り外し可能なモジュールが前記移送モジュールに向かって、かつ前記移送モジュールに近接して移動するときに、前記第1の及び更なるシャフト要素を自動的に回転させて、アーム要素をそれぞれの動作位置に移動させることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記取り外し可能なモジュールが前記移送モジュールから離れて近接位置から移動するときに、前記第1の及び更なるシャフト要素を自動的に回転させて、アーム要素をそれぞれの収縮位置に移動させることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記取り外し可能なモジュールが前記移送モジュールに向かって移動するときに、前記取り外し可能なモジュールの駆動要素をプッシャープレート部材に係合させることと、
前記プッシャープレート部材が前記駆動要素によって付勢されるときに、少なくとも1つのラック要素を引き、それによって、それぞれのシャフト要素に装着され、かつ前記ラック要素のラック歯と噛み合っているピニオン歯を有する、ピニオン要素を回転させることと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
現金自動預け払い機(ATM)であって、
少なくとも1つの通貨カセットを受容するための金庫チャンバーを備え、かつ上面に少なくとも1つのメディアアクセス開口を備える、金庫ハウジングと、
それぞれのメディアアクセス開口に近接して固定された中間モジュールとして提供される、少なくとも1つの移送モジュールと、
少なくとも1つの通貨カセットを支持するために前記金庫ハウジングの中へと摺動可能な下部モジュール、又は前記金庫ハウジングに対して摺動可能な上部モジュールを含む、少なくとも1つの取り外し可能なモジュールと、を備え、
前記開口を通過するメディアアイテムについて決定されるメディアアイテム経路が、前記取り外し可能なモジュールのガイド要素のガイド表面と、前記取り外し可能なモジュールが前記第1の移送モジュールに対して位置付けられるときに相互位置に応答して互いに対して同じ場所に位置付けられる、前記移送モジュールのアーム要素のガイド表面とによって決定される、現金自動預け払い機。
【請求項20】
前記下部モジュールが前記金庫ハウジング内に収納されるときに、前記下部モジュールのガイド要素と関連付けられ、かつ前記移送モジュールと関連付けられた固定点ではない、参照点が、前記中間モジュールのアーム要素の動作位置の回転の向きを決定するために使用され、前記アーム要素のガイド表面が、前記メディアアクセス開口を通過するメディアアイテムの前縁部が妨害することを防止する、少なくとも所定の距離だけメディアアイテム経路から離れた方向に、前記ガイド要素のガイド表面からセットバックされる、請求項19に記載の現金自動預け払い機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフサービス端末(SST)を介したメディアアイテム移送の効率を改善するための方法及び装置に関する。特に、本発明は、保守/補充中に、取り外し可能なモジュールが現金自動預け払い機(以下、適宜「ATM」という)フレームに出し入れされるときのATM内部の異なるゾーン内のモジュール間のミスアライメントに起因する問題を回避するのに役立つことに関する。
【背景技術】
【0002】
異なるタイプのセルフサービス端末(SST)が知られている。SSTの例は、現金自動預け払い機(ATM)である。他のタイプのSSTには、小売環境でよく使用されるチェックアウト端末などのPOS端末が含まれる。従来、ATMは、多くの様々なタイプのメディアアイテムが機械に預け入れられてもよく、又は機械から引き出されてもよい、
幅広いサービスを顧客に提供するために、銀行業務分野内で使用される。例えば、顧客は、ATM内の金庫から払い出される紙幣を引き出すことを望む場合がある。紙幣の代わりに、メディアアイテムは、預け入れられている小切手、又は他のトークンなどであってもよい。こうした機能を容易にするためのATMを介したメディアアイテムの物理的移送は、いわゆるメディア取り扱いシステムによって提供される。
【0003】
メディア取り扱いシステムは、必要とされるものに応じて、ATM内の様々な場所へ、又はそれらからメディアアイテムを物理的に移送するために使用される、ベルト及びその他の機械デバイスの物理的システムである。
【0004】
ATM及びATM自体のメディア取り扱いシステムは、概念的にいくつかの主要サブシステムに分解され得る。例えば、ATMの下部ゾーンは、メディアアイテムの保管場所を含み、強力な金庫壁から形成された金庫ハウジングを含む。保管場所には、複数の紙幣や小切手の保管箱が含まれ、これらは金庫ハウジングに収まっている。金庫ハウジングは、オペレータが補充又は除去の目的で金庫にアクセスすることができるようにする、金庫ドアを含む。
【0005】
ATMの下部ゾーンの周りの金庫ハウジングは、1つ以上の開口部を含み、それを通してメディアアイテムが下部ゾーンに堆積され得るか、又は下部ゾーンから引き出され得る。これらの開口は、多くの場合、金庫ハウジングの上面に位置し、かつスリットとして形成され得る。ATM内の各ゾーンは、指定の場所へ、又は指定場所から、メディアのアイテムを移動させる、それぞれのメディア取り扱いサブシステムを有する。
【0006】
ATMの上部ゾーンは、顧客からメディアを分注及び/又は受け取る目的で、現金認識、メディアアイテムの積み重ね、及び入口/出口オリフィスなどのATMの多くの残りの機能を提供する。移送ゾーンは、上部ゾーンと下部ゾーンとの間のインターフェース領域である。
【0007】
移送ゾーンは従来、金庫ハウジングを通してアクセスを提供する各開口に機構を含む。これは、ATMの下部ゾーンと上部ゾーンとの間の双方向又は一方向のメディアアイテム移送のためのインターフェースを提供する、固定位置機構である。ATMの上部及び下部の両方のゾーンには、クレードル及びラックに装着された取り外し可能なモジュールが含まれ、これらは、メンテナンス若しくは点検、又は補充若しくはメモの取りはずしのために、人のオペレータによってATMに出し入れされてもよい。移送ゾーンと関連付けられたメディアアイテム移送機構は、ATMの剛直な金庫ハウジング又はフレームに少なくとも部分的に固定された位置に固定されたままである。
【0008】
ATM輸送のメディア取り扱いシステムが共通するアイテムには、紙幣、小切手、及びその他の薄くて柔軟性のある紙のようなアイテムが含まれる。これらのメディアアイテムは、概して、2つの離隔した長い縁部及び2つの短い縁部を有する、長方形の形状である。メディアアイテムは各々、輸送中、その長さにわたって物理的支持を必要とするか、又は意図される経路からの逸脱など、意図しない結果で変形する傾向がある。
【0009】
従来、紙のような特性を有するメディアアイテムが、メディアアイテムが金庫ハウジングの中又は外を通過する際に、ATMの移送ゾーンを通って移動するときに、材料の前長縁部が、閉塞をもたらす代替的な望ましくない経路を下りてもよい。これは、移送機構の指のようなガイドが、上部又は下部ゾーンと関連付けられた上部又は下部の取り外し可能なモジュール内の協働指部と正確に整列しない場合に起こり得る。
【0010】
これにより、ジャムと呼ばれる事象が生じる場合がある。これにより、ATMが非稼働となり、顧客の不満や、ATMを正常に維持する責任者の過剰コストにつながる可能性がある。
【0011】
ATMオペレータが、ATM内のラックシステム上の下部モジュールを摺動させることによって、通貨カセットを含む下部モジュールなどの取り外し可能なモジュールをATMの下部ゾーンに設置する場合、奥行きのミスアライメントが特に起こり得る。ATMのいくつかのその他の構成要素部分を含む上部モジュールがATMの上部ゾーンから滑り出され、その後再び滑り出したときに、同様のミスアライメント問題が発生する可能性がある。
【0012】
これは、取り外し可能なモジュールが、関連するクレードルのラック取り付け部上で、わずかに後方又は十分に後方に離れて摺動することが原因である可能性がある。例えば、これは、ラッキング及び動作停止部品の製造公差に起因する場合がある。これにより、移送ゾーン及び上部ゾーン並びに/又は移送ゾーン及び下部ゾーンのインターフェースにおけるアライメントの問題が生じ得る。このインターフェースは、コームインターフェースと呼ばれることもある。
【0013】
ATMの異なるゾーン間で移送される場合、ATMの下部又は上部ゾーンの個々のモジュールのサイズと比較して、メディア移送経路の幅間の大きさの差の順序に起因して、紙のようなメディアのアライメント問題に対する感度が高い。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、上述の問題のうちの1つ以上を少なくとも部分的に軽減することである。
【0015】
本発明の特定の実施形態の目的は、SSTにおけるメディアアイテム経路の少なくとも一部分を決定するための装置及び方法を提供することである。
【0016】
本発明の特定の実施形態の目的は、ATMなどのSSTにおける全メディアアイテム経路の一部分を決定するのを助けるための装置を提供することであり、それによって、経路部分は、ATM内のメディア取り扱いシステムの一部を含むモジュール間で銀行券又は小切手などのメディアアイテムが妨害されるリスクを回避するのを助けるように決定される。
【0017】
本発明の特定の実施形態の目的は、全メディアアイテム経路の少なくとも一部分を決定するための方法を提供することであり、ここで、メディアアイテム経路の他の部分を決定するために使用される取り外し可能なモジュールは、選択的にATM内に収納され、かつATMからラックアウトされ、次に移動可能なモジュール間の移送ゾーンでの性能は、メディアアイテム妨害アイテムのリスクが完全に又は部分的に除去されるように制御される。
【0018】
本発明の特定の実施形態の目的は、ATM内の金庫モジュールクレードルと上部モジュールクレードルとの間のインターフェースゾーンで固定され得、かつメディアアイテムが中間移送モジュールを通過するときに妨害するリスクを低減又は除去するタイプの中間移送モジュールを提供することである。
【0019】
SSTにおいて、ガイドアーム及び対向モジュールの協働ガイド突出部を整列するのを助けることは、本発明の特定の実施形態の目的であり、ここで、下部のメディア取り扱いサブシステムを含む下部モジュール、並びにATMの通貨カセット及び中間移送モジュールなどのATMの部品が、互いに対して位置付けるときに、製造公差及びラック公差から独立した方法で整列が行われる。
【0020】
本発明の特定の実施形態の目的は、ATMにおける下部ゾーンと移送ゾーンとの間、及び上部ゾーンと移送ゾーンとの間におけるコームインターフェースでのメディア経路の偏差の問題に対処することである。メディア経路の偏差の結果は、閉塞であることが多く、したがって、閉塞が対処されるまで更にメディアが移動されることを防止する。
【0021】
本発明の特定の実施形態の目的は、経路指示要素自体上に参照点を使用することによって、移送ゾーンの指令要素を、下部ゾーンの指令要素と一貫して整列させるか、又は移送ゾーンの指令要素を、上部ゾーンの指令要素と整列させる方法を提供することである。
【0022】
本発明の特定の実施形態の目的は、下部ゾーンと移送ゾーン、又は上部ゾーンと移送ゾーンのモジュールと間のミスアライメントのため、ATMなどのSSTの下部ゾーンと移送ゾーン、又は上部ゾーンと移送ゾーンとの間の意図/望ましい経路から逸脱するメディアアイテムの問題に時折対処することである。
【0023】
本発明の第1の態様によれば、メディアアイテム経路の少なくとも一部分を決定するための装置が提供されており、装置は、
実質的に平行な離隔した関係で第1の及び更なる回転可能なシャフト要素を備える、移送モジュールと、
【0024】
取り外し可能なモジュールであって、第1の及び更なるシャフト要素上に離隔した関係で担持されたアーム要素に対して、取り外し可能なモジュールの突出ガイド要素の2つの離隔した列を選択的に位置付けるために、移送モジュールに対して位置付け可能である、取り外し可能なモジュールと、を備え、
【0025】
少なくとも1つのアーム要素は、アーム要素とともに移動し、かつそれぞれのシャフト要素が回転して、アーム要素を収縮位置から動作位置に移動させるときに、少なくとも1つのガイド要素の当接領域と当接する、当接部材を備え、動作位置では、メディアアイテム経路は、ガイド要素及びアーム要素の対向するガイド表面を介して少なくとも部分的に決定される。
【0026】
好適には、収縮位置では、移送モジュール及び取り外し可能なモジュールは、互いに対して横方向に位置付け可能であり、動作位置では、移送モジュール及び取り外し可能なモジュールが互いに対して固定されたそれぞれの場所にあるときに、各アーム要素のガイド表面の先端領域は、取り外し可能なモジュールの隣接する少なくとも1つのガイド要素によって提供されるガイド表面から少なくとも所定の閾値距離だけ離隔している。
【0027】
好適には、各アーム要素の先端領域は、アーム要素の最末端端部から離れて、それぞれのアーム要素の縁部に沿って少なくとも5mmの距離にわたって延在しており、先端領域全体は、端で見たときに隣接するガイド要素のガイド表面から少なくとも1.5mmセットバックされた所定の閾値距離にある。
【0028】
好適には、それぞれの第1のシャフト要素によって担持された第1の複数のアーム要素は、それぞれの第1の及び/又は更なる回転可能なシャフト要素を独立して回転させることによって、更なるシャフト要素によって担持された更なる複数のアーム要素に対して独立して位置付け可能である。
【0029】
好適には、装置は、各々がそれぞれのシャフト要素の付勢された端部領域に配置されており、かつそれぞれのシャフト要素を好適である回転方向に付勢するように配置されている、第1の及び更なる付勢要素を更に備える。
【0030】
好適には、各付勢要素は、1つのばね端部で、移送モジュールの領域に固定され、かつ残りのばね端部で、それぞれのシャフト要素に固定される、ねじりばねを備え、ここで、各ねじりばねは、回転方向にそれぞれのシャフト要素に付勢し、それによって、動作位置内にそのシャフト要素に沿って延在するアーム要素を付勢する、それぞれのシャフト要素を回転方向に付勢する。
【0031】
好適には、各当接部材は、ロッド要素を備え、ロッド要素は、アーム要素の縁部から離れて延在しており、かつ縁部で少なくとも1つのアーム要素に接続された円筒形の外表面領域を有し、アーム要素は、アーム要素の残りの縁部の領域によって提供されるガイド表面に対して遠位に配置され、任意選択的に、上記縁部は、アーム要素が収縮位置から動作位置へと移動するにつれて、その移動をたどる縁部を含む。
【0032】
好適には、各複数のアーム要素の少なくとも1つのアーム要素は、それぞれの所望の回転位置でそれぞれのシャフト要素によって担持されたアーム要素の回転移動を各々が停止し、それによって、アーム要素をそれぞれの動作位置に設定する、それぞれの当接部材を備える。
【0033】
好適には、第1のシャフト要素のそれぞれの長手方向軸の周りの第1のシャフト要素のそれぞれの所望の回転位置は、更なるシャフト要素のそれぞれの長手方向軸の周りの更なるシャフト要素のそれぞれの所望の回転位置から独立している。
【0034】
好適には、装置は、第1の及び更なるピニオン要素を更に備え、第1の及び更なるピニオン要素は各々、第1の及び更なるラック要素のうちのそれぞれの1つのラック歯に係合し、かつラック要素が移動するにつれて回るように配置されたそれぞれのピニオン歯を備え、第1のピニオン要素は、第1のシャフト要素とともに移動し、かつ第1のシャフト要素のピニオン端部領域上に配置されており、更なるピニオン要素は、更なるシャフト要素とともに移動し、かつ更なるシャフト要素のピニオン端部領域上に配置されており、第1のピニオン要素のピニオン歯は、更なるピニオン要素のピニオン歯と噛み合わない。
【0035】
好適には、移送モジュールは、プッシャープレート部材を備え、取り外し可能なモジュールは、駆動要素を備え、駆動要素は、取り外し可能なモジュールが移送モジュールに向かって、かつ移送モジュールに近接して移動するときに、プッシャープレート部材のプッシャープレートプッシュ表面に係合するように配置されている。
【0036】
好適には、プッシャープレート部材は、第1のラック要素の本体に向かって延在している、上部ラック接触アームと、更なるラック要素の本体に向かって延在している、下部ラック接触アームと、を備える。
【0037】
好適には、第1のラック要素の本体は、使用中に下向きに延在するそれぞれのラック歯を有し、更なるラック要素の本体は、使用中に上向きに延在するそれぞれのラック歯を有する。
【0038】
好適には、装置は、プッシャープレート部材を駆動要素に向かってある方向に付勢する、プッシャープレート付勢要素を更に備え、任意選択で、プッシャープレート付勢要素は、延長ばね又は圧縮ばねである。
【0039】
好適には、各アーム要素は、単一のそれぞれのシャフト要素と一体的に形成されるか、又はアーム要素の根元領域でそれぞれのシャフト要素に固定される、細長い本体からなる。
【0040】
好適には、各細長い本体は、第1の縁部及び残りの縁部を備え、第1の縁部は、アーム要素の最末端端部とそれぞれのシャフト要素に近接する根元領域との間に延在しており、残りの縁部は、残りの縁部が最末端端部から根元領域まで延在するときに、湾曲しているか、又は角度付けられ、それによって、本体は、最末端端部でよりも根元領域により近接する断面の厚さを有する。
【0041】
好適には、移送モジュールは、離隔した側壁及び離隔した端壁と、開いた底部及び開いた上部と、を有する、剛直な立方体形状のハウジング、並びに第1のアイテムガイド本体、及び離隔した関係に配置され、かつ開いた底部と開いた上部との間に少なくとも部分的に延在する、更なるアイテムガイド本体を備える。
【0042】
好適には、移送モジュールは、現金自動預け払い機(ATM)の金庫ハウジングの上部領域内のメディアアクセス開口上に固定された中間モジュールを備え、取り外し可能なモジュールは、セキュリティオペレータによってATMの金庫ハウジング内に選択的に摺動可能である、下部モジュールを備え、ここで、取り外し可能なモジュール内のスリットは、メディアアイテムがATMの金庫ハウジング内に通過することを可能にするために突出ガイド要素の列の間に位置するか、又は取り外し可能なモジュールは、ATM内で選択的に摺動可能である、上部モジュールを備える。
【0043】
本発明の第2の態様によれば、メディアアイテム経路の少なくとも一部分を決定するための方法が提供されており、方法は、
【0044】
取り外し可能なモジュールに対して、実質的に離隔した平行な関係で第1の及び更なる回転可能なシャフト要素を備える移送モジュールを位置付け、それによって、第1の及び更なるシャフト要素上に離隔した関係で担持されたアーム要素に対して、取り外し可能なモジュールの突出ガイド要素の2つの離隔した列を位置付けるステップと、
【0045】
移送モジュール及び取り外し可能なモジュールが相互に位置付けられるときに、第1の及び更なるシャフト要素を回転させ、それによって、それぞれのシャフト要素上に担持されたアーム要素を収縮位置から動作位置に移動させるステップと、
【0046】
少なくとも1つのアーム要素とともに移動される当接部材が少なくとも1つのガイド要素の当接領域と当接したときに、そのアーム要素を担持するシャフト要素の更なる回転を停止し、それによって、アーム要素を動作位置に設定し、それによって、ガイド要素の対向するガイド表面及びアーム要素のガイド表面を介して、メディアアイテム経路を少なくとも部分的に決定するステップと、を含む。
【0047】
好適には、方法は、アーム要素が両方のシャフト要素をそれらの収縮位置に担持した状態で、下部モジュールを備える取り外し可能なモジュールを、メディアアイテム開口を備えるATMの金庫ハウジング内に付勢し、それによって、摺動させることによって、移送モジュールに対して横方向に取り外し可能なモジュールを位置付けることを更に含む。
【0048】
好適には、方法は、各アーム要素がそれぞれの動作位置に適合するときに、取り外し可能なモジュールの隣接する少なくとも1つのガイド要素によって提供されるガイド表面から、少なくとも所定の閾値距離だけ各アーム要素のガイド表面の先端領域を位置付けることを更に含む。
【0049】
好適には、各アーム要素の先端領域は、アーム要素の最末端端部から離れて、それぞれのアーム要素の縁部に沿って少なくとも5mmの距離にわたって延在しており、各アームを動作位置に回転させることは、2つの離隔した列の間のスロットから離れた方向において隣接するガイド要素のガイド表面から少なくとも1.5mmセットバックされた所定の閾値距離に、各アーム要素の先端領域全体を位置付けることを含む。
【0050】
好適には、方法は、各シャフト要素を独立して回転させることによって、更なるシャフト要素上に担持されるアーム要素に対して、第1のシャフト要素上に担持されるアーム要素を独立して位置付けることを更に含む。
【0051】
好適には、方法は、取り外し可能なモジュールが移送モジュールに向かって、かつ移送モジュールに近接して移動するときに、第1の及び更なるシャフト要素を自動的に回転させて、アーム要素をそれぞれの動作位置に移動させることを更に含む。
【0052】
好適には、方法は、取り外し可能なモジュールが移送モジュールから離れて近接位置から移動するときに、第1の及び更なるシャフト要素を自動的に回転させて、アーム要素をそれぞれの収縮位置に移動させることを更に含む。
【0053】
好適には、方法は、取り外し可能なモジュールが移送モジュールに向かって移動するときに、取り外し可能なモジュールの駆動要素をプッシャープレート部材に係合させることと、プッシャープレート部材が駆動要素によって付勢されるときに、少なくとも1つのラック要素を引き、それによって、それぞれのシャフト要素に装着され、かつラック要素のラック歯と噛み合っているピニオン歯を有する、ピニオン要素を回転させることと、を更に含む。
【0054】
好適には、プッシャープレート部材を介して、それぞれのシャフト要素の端部領域にあり、かつそれらとともに移動するそれぞれのピニオン要素と各々が関連する2つのラック要素を選択的に引き、それによって、取り外し可能なモジュールが移送モジュールに対して移動するときに、各シャフト要素を所望の回転位置に独立して回転させる。
【0055】
本発明の第3の態様によれば、現金自動預け払い機(ATM)が提供されており、現金自動預け払い機は、
【0056】
少なくとも1つの通貨カセットを受容するための金庫チャンバーを備え、かつ上面に少なくとも1つのメディアアクセス開口を備える、金庫ハウジングと、
【0057】
それぞれのメディアアクセス開口に近接して固定された中間モジュールとして提供される、少なくとも1つの移送モジュールと、
【0058】
少なくとも1つの通貨カセットを支持するために金庫ハウジングの中へと摺動可能な下部モジュール、又は金庫ハウジングに対して摺動可能な上部モジュールを含む、少なくとも1つの取り外し可能なモジュールと、を備え、
【0059】
開口を通過するメディアアイテムについて決定されるメディアアイテム経路は、取り外し可能なモジュールのガイド要素のガイド表面と、取り外し可能なモジュールが第1の移送モジュールに対して位置付けられるときに相互位置に応答して互いに対して同じ場所に位置付けられる、移送モジュールのアーム要素のガイド表面とによって決定される。
【0060】
好適には、下部のモジュールが金庫ハウジング内に収納されるときに、下部モジュールのガイド要素と関連付けられ、かつ移送モジュールと関連付けられた固定点ではない、参照点は、中間モジュールのアーム要素の動作位置の回転の向きを決定するために使用され、アーム要素のガイド表面は、メディアアクセス開口を通過するメディアアイテムの前縁部が妨害することを防止する、少なくとも所定の距離だけメディアアイテム経路から離れた方向に、ガイド要素のガイド表面からセットバックされる。
【0061】
本発明の特定の実施形態は、メディアアイテム経路の少なくとも一部分を決定するための装置及び方法を提供しており、ここで、経路に沿ってメディアアイテムをガイドするのを助けるために使用される要素の対向するガイド表面は、妨害のリスクを完全に回避又は低減するのに役立つように、互いに対して正確に整列している。
【0062】
本発明の特定の実施形態は、金庫と、現金自動預け払い機(ATM)の金庫ハウジングのそれぞれの開口の周りに位置する1つ以上の中間移送モジュールを有する、それぞれのメディア取り扱い移送モジュールを各々が含む、取り外し可能な下部及び/又は上部モジュールと、を含む、ATMを提供する。
【0063】
本発明の特定の実施形態は、中間移送モジュールのガイドアームについて、ATM内のいくつかの任意の固定点ではなく、移動可能なモジュールとともに移動する、それらのガイドアーム要素及び協働ガイド突出部の相互位置に関連する参照点を提供する。これにより、各々がガイド表面を含む、ガイド突出部及びアーム要素の位置が同一になることを助け、それにより、より優れた整列が達成され、かつ移送製造公差に関連する問題が軽減される。
【0064】
本発明の特定の実施形態は、ATMの中間モジュールであってもよい、移送モジュールと、ATMの下部モジュール又は上部モジュールであってもよい更なる取り外し可能なモジュールと、を提供し、ここで、移送モジュール及び取り外し可能なモジュールの構成要素部分は、ATMの金庫フレーム又は外部フレームと関連付けられた固定点ではなく、相互位置に対して協働し、その結果、移送されるメディアアイテムに提示されるガイド表面は、相互協力的な様式で配設されて、それにより、移送モジュールが出入りするメディアアイテムの経路を決定するのに役立つ。
【0065】
本発明の特定の実施形態は、所望の/意図する経路から逸脱し、したがって、ATMで妨害するメディアアイテムの問題に対処する。これは、隣接するガイドアーム/突出部によって提供されるガイド表面の間に浸潤するメディアアイテムの縁部をリスクにさらさないそれぞれの場所にガイド表面を設定する方法で、固定移送モジュールと移動可能モジュールとの間のメディアアイテム経路の少なくとも一部分を決定することによって達成される。
【0066】
本発明の特定の実施形態は、オペレータがモジュールをSSTの内外に収納する際に、下部ゾーンのモジュールと移送ゾーン又は移送ゾーンと移送ゾーンとの間のミスアライメントにより、メディアアイテムが、時として、SSTの下部ゾーンと移送ゾーン、又は上部ゾーンと移送ゾーンとの間の意図された経路から逸脱する問題を克服する。
【0067】
本発明の実施形態について、以下の添付図面を参照して、例証としてのみ、以降で説明する。
【0068】
図面では、同様の参照番号は同様の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】現金自動預け払い機(ATM)として示されるセルフサービス端末(SST)、及びメディアアイテムをSSTの異なる領域に移送するために使用される経路の図解を示している。
図2】オペレータがアクセスすることができるように「ラックアウトされた」上部モジュールを示している。
図3】移送モジュールと取り外し可能な下部モジュールとの間の移送ゾーンの等角図を示している。
図4】移送モジュールと下部モジュールとの間の区域の下側等角図を示している。
図5】いくつかの離隔したシャフト、シャフトのアーム、並びに協働運転者及びプッシャープレートを更に詳述する、等角図を示している。
図6】離隔したシャフトを付勢する、当接部材及びねじりばねを示している。
図7】シャフト上のアームと突出ガイド要素との間の接触点を、整列の一方の極端にあるモジュールと識別する、移送モジュール及び取り外し可能なモジュールの部分の側面図を示している。
図8】代替的な整列の極端を示している。
図9】上面図から離隔したシャフトを示すのに役立つ。
図10】プッシャープレートを示している。
図11】シャフト上の下部ラック及び関連するピニオンを示している。
図12】シャフト上の上部ラック及び関連するピニオンを示している。
図13】取り外し可能なモジュールと関連付けられたラックアウトプロセス中のステップを示している。
図14】取り外し可能なモジュールがSST内の後方に位置するラックプロセスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、セルフサービス端末(SST)100の説明に役立つ。図示のSSTは、現金自動預け払い機(ATM)である。
【0071】
ATM100は、ATMの外先端を画定する、フレーム105を含む。ATM内のフレーム及び部品は、ATMの下部領域又はゾーン110及び上部領域又はゾーン115を画定するのに役立つ。下部領域110は、剛直の金属壁119によって形成される金庫117を含み、これらは、金庫の中央チャンバー、及びチャンバー、したがって金庫内に選択的に位置付け可能である、別個の通貨カセット又は類似のものを収容するために使用され得る、下部の取り外し可能なモジュール120を画定する。
【0072】
下部の取り外し可能なモジュール120は、テレスコピックマウント122上を摺動するように配設される。すなわち、金庫の対向面に取り付け部がある。マウント122の一部は、金庫の壁の内表面の近くで下部クレードル124に対して固定され、マウントの更なる部分は、下部の摺動可能なモジュール上に担持される。
【0073】
ATMの前面(図1の左側に示す)で金庫ドア126を開くことによって、オペレータは、拡張可能マウント122を使用して、ドアを通じて金庫ハウジングからモジュールを引き出すことによって、中央チャンバーに選択的にアクセスし、かつ下部モジュール120を選択的に取り外すことができる。代替として、金庫ドアはATMの前面又は側面で開き得ることが理解されよう。クレードルは金庫に固定されており、「ラック」プロセス中に金庫に出し入れする下部モジュールのスムーズな走行を促進するのに役立つ。
【0074】
金庫ハウジングの上面は、第1の開口128を含む。金庫ハウジングの各開口は、銀行券又は小切手などのメディアアイテムが、通貨カセットなどを含むことができる下部の固定モジュールに出し入れすることを可能にする、貫通開口部である。示される開口はスリットであるが、当然のことながら、開口の他の形状が使用され得る。金庫壁の貫通孔として形成される1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の開口を使用してもよい。
【0075】
図1は、上部の取り外し可能なモジュール130がATM100内にどのように装着されて、その結果、それがオペレータによってATM内に選択的にラックに出し入れされることができるかを例示するのに役立つ。
【0076】
それぞれのテレスコピック取付システム132は、ATMの上部クレードル134と、ATM内及び外に移動/摺動できる取り外し可能なモジュールとの間で相互作用する。上部モジュールを出入りさせることにより、オペレータは上部容器要素の保守及び/又は部品交換を行うことができる。
【0077】
図1に示すように、上部可動モジュールは、ATMを通して入力ポケット140からメディアを取り出す関連するメディア取り扱いサブシステムを含む。別の方法として、スリットをポケットの代替として使用してもよい。同様に、メディアアイテムは、ATMを通過し、引き出し中に出口ポケットとして使用されるのと同じポケット140を介してユーザに渡すことができる。
【0078】
図1は、全メディアアイテム経路150が、通貨又は小切手を識別し、それらのメディアアイテムを処理する要素を含む、実質的に水平の(図1の左から右)経路部分151を含む方法を例示するのに役立つ。
【0079】
次に、メディアアイテム経路は、対向するローラ156、157につながる垂直下向きであるが傾斜した部分155を含み、これは、図1でメディアアイテムを左へ移動するように選択的に駆動することができる。
【0080】
メディアアイテムが回転要素156、157によって左に移動される場合、そのアイテムは、メディアアイテム経路部分160を介して中間移送モジュール170に向かって最終的に下向きに移動され得る。従って、メディアアイテムは、メディアアイテム経路の一部分に沿って、上部モジュール130から下部モジュール120へ略垂直方向に移動する。
【0081】
図1は、全メディアアイテム経路150の代替的なセクション(又は一部分)を図示し、かつ図1に示すATM100がどのように開口128を有し、この開口128が、預け入れ又は引き出し操作が行われているかどうかに応じて、メディアアイテムを金庫内又は金庫から選択的に通過させることができるどうかを図示するのに役立つ。
【0082】
それぞれの移送モジュール170が、各開口に使用される。金庫の中/外へのメディアアイテムの移動を制御するそれぞれの中間移送モジュール170は、紙幣がATMの上部領域から金庫内、又は金庫から上部領域内へと移動するなどのメディアアイテムとして、全メディアアイテム経路の一部分を画定するのを助けるために使用される。移動は、ATM100によって任意の時点で実行される動作に依存する。
【0083】
図1は、ATM100の概略側面図を示しており、120の上部モジュール130及び下部モジュールを「ラック」位置に示すのに役立つ。すなわち、マウントは非拡張であり、ATMは顧客の使用に適した配置で示されている。
【0084】
図2は、テレスコピックマウントである上部マウント132が、オペレータによって最大限に引き出された、「ラックアウト」状態の上部モジュール130を示している。これにより、オペレータは、メンテナンスを行うことができる。下部のモジュールは、同様に、メンテナンス又は補充の目的で、金庫から取り外す(又は「ラックアウトする」)ことができる。
【0085】
図3は、移送モジュール170の図を示している。
【0086】
図3に示す移送モジュール170は、上側モジュールから金庫の下部の取り外し可能なモジュール120にメディアアイテムを移送するのに使用可能な中間移送モジュールである。あるいは、中間モジュールは、顧客に提示するために、金庫上方から上部モジュールへのメディアアイテムの移送を助けることができる。
【0087】
図3に示すように、移送モジュールは、定位置に固定されたモジュールである。すなわち、モジュールのハウジングは、金庫の上面に固定され、設置されると動かなくなる。対照的に、下部の取り外し可能なユニットは、金庫の内外に収納され得る。下部の取り外し可能なユニットがオペレータによって引き出されて、アクセスを提供すると、メンテナンス又は補充のために、それぞれのシャフト(更なる図で以下に示す)に担持されるアーム300が収縮位置(以下を参照)に移動する。
【0088】
このようにして、各シャフトに沿って離隔した関係に配置されるアームは、それが取り除かれる際に隣接するモジュールの動きを阻害しない。図3に示すように、ガイド要素を提供する突出ガイドの2つの離隔した列310、320は、取り外し可能なモジュールから上方に延在している。
【0089】
上向きに突出するガイド要素の2つの離隔した列は、アーム要素が図3に示すような動作位置にあるときに、アーム要素と協働し、それにより、それらが移送モジュールを通して金庫から、かつ上部モジュール内に、又は上部モジュールから金庫内へと下向きに移送される際に、メディアアイテムを誘導するのに役立つ。
【0090】
図3に示すように、移送モジュール170は、同様に離隔した関係にある、端壁328によって分離された2つの離隔した長い側面326を含む、剛直な立方体形状のハウジング325を含む。
【0091】
ハウジングは、上部開口部330及び下部開口部335を有する。図3はまた、駆動ポスト360が、取り外し可能なモジュール上でどのように直立関係で提供されているかを示すのに役立つ。
【0092】
駆動ポスト360は、駆動要素の一例である。駆動要素は、オペレータがユニットを取り外し、その後金庫内で交換する際に、取り外し可能なモジュール120とともに移動する。取り外し可能なモジュールが金庫内に戻ると、駆動ポスト上の当接表面365は、プッシャープレート370と当接する。プッシャープレート370(以下でより詳細に説明される)は、移送モジュールのシャフト上に装着されたアームが収縮位置に配置される偏位位置から離れて移動する。
【0093】
プッシャープレートが動くと、駆動ポストがプッシャープレートを左側に向かって横方向に押し、図3におけるページ内へと押し込む際に、アームが装着されたシャフトを回転させる。したがって、駆動要素は、取り外し可能なモジュールと移動して、取り外し可能なモジュールが移送モジュールに向かってかつ近位に移動するときに、プッシャープレートのプッシュ表面でプッシャープレートに係合するように配置される。代替として、駆動要素は、取り外し可能なモジュール内の陥凹壁であってもよく、プッシャープレートは、陥凹内で移動し、かつ陥凹壁によって駆動される脚部を含み得る。
【0094】
図4は、移送モジュールをより詳細に示すのに役立つ。特に、図4は、離隔した長い側壁325、326によってハウジングがどのように提供されるかを示すのに役立ち、これはハウジング内に空間を作り出す。
【0095】
空間内で、第1のシャフト400及び更なるシャフト410は、実質的に平行な離隔した関係で支持される。各シャフトは、回転することができる細長い本体である。観察者により近いものとして図4に示された第1のシャフト400は、それぞれの複数の離隔したアーム300を担持する。図4の第1のシャフト400上に、包含的に8つのアーム3001~3008が示されている。当然のことながら、シャフトの長さ及び各シャフトによって担持されるアームの数は、移送されるメディアアイテムのサイズ、及びそれゆえ金庫内の開口の幅に従って選択され得る。示されるアームは、それぞれのシャフトに固定された別個の要素である。
【0096】
あるいは、各シャフト及びそのそれぞれの複数の離隔したアームが一体的に形成されてもよい。アームは各々、単一のそれぞれのシャフト要素と一体的に形成される細長い本体からなるか、又は代替的にアーム要素の根元領域でそれぞれのシャフト要素に固定される細長い本体である。アームを備える各細長い本体は、第1の縁部及び残りの縁部を含む。
【0097】
アームは全て、類似の一般形状を有してもよく(以下に説明するように、一部の部品が当接要素に含んでもよいことを除く)、また全体的な構成、又は代替的に、アームのほとんどが所与の形状を有してもよく、それぞれの当接部材を担持する他のアームは、当接特徴に対する支持を提供するために、変更された一般形状を有してもよい。これは、以下でより詳細に記述される。
【0098】
図4は、シャフト400のピニオン端部416上に固定された第1のピニオン415を示すのに役立つ。ピニオンは、それぞれのピニオン歯417を有する要素であり、これらの歯は、下部ラックのそれぞれの下部ラック歯420に係合する。下部ラック425は、移動可能であり、かつシャフト支持体430に対して摺動する要素である。シャフト支持体430は、移送モジュールハウジング325が定位置に固定される方法と同様に、金庫に固定されて、それらの構成要素を金庫に対して固定位置に効果的に係止してもよい。
【0099】
図4は、どのようにプッシャープレート370が下部ラック接触アーム375を含むかを示すのに役立つ。プッシャープレートは、下部の取り外し可能なモジュールとともに移動する駆動ポスト360によって駆動されるので、プッシャープレートは、図4のページにおける一方向に押される。これにより、下部ラック425と遠位端で係合する、関連する下部ラック接触アーム375が駆動される。これにより、ピニオン415上に回転運動が生じ、それによって、シャフト400の関連する回転が生じる。
【0100】
このようにして、図4の動作の向きで示されるガイドアーム300は、収縮位置から動作位置へと回転され得る(これは、図5により明確に示される)。図4はまた、それぞれの複数の離隔したアーム3009~30016を担持する残りのシャフト410が、それぞれのピニオン歯445を有するそれぞれのピニオン440をどのように有するかを示すのに役立つ。上部ラックは、プッシャープレートの更なる上部ラック接触アームによって移動されて、そのシャフトを回転させる。
【0101】
図5は、それぞれの複数のガイドアームをより詳細に有する、それぞれ離隔したシャフト400、410を示している。
【0102】
図5に示す向きでは、アームは収縮位置にある。収縮位置で、隣接する下部(又は代替的に上部)モジュールは、さもなければ下向きに延在するアームが下部モジュールの一部に影響を与えることを心配することなく、金庫から容易にラックアウトされ得る。シャフトは、以下でより詳細に説明するように、それぞれの付勢要素によって収縮位置に付勢される。
【0103】
図5は、当接表面365を有する駆動ポスト360として形成された駆動要素が、プッシャープレート370のプッシャー表面500とどのように当接することができるかを示すのに役立つ。プッシャープレートが移動すると、それぞれの下部及び上部のラック接触アームによって、それぞれのラックが横方向に移動して、2つのシャフトの関連する回転運動を引き起こす。
【0104】
ラックの動きによって形成される駆動力は、各シャフトを付勢して関連するアームを収縮位置に位置付ける付勢力を克服する。このように、収縮位置で、移送モジュール及び取り外し可能なモジュールは、互いに対して横方向に位置付け可能である。移送モジュール及び取り外し可能なモジュールが、互いに対して固定されたそれぞれの位置にある動作位置で、各アームのガイド表面510の先端領域505は、所望の位置に位置する。各アームのガイド表面の先端領域は、以下により詳細に説明される、取り外し可能なモジュールの隣接するガイド要素によって提供されるガイド表面から少なくとも所定の閾値距離だけ離隔している。
【0105】
図5は、各アームがどのように細長い本体を備える要素であるかを示すのに役立つ。各細長い本体は、第1の縁部515及び残りの縁部520を備える。第1の縁部510は、それぞれのアームの末端端部525とアームの根元領域530との間に延在している。
【0106】
根元領域は、それぞれのアームが延在しているシャフトに近接した領域である。各アームの残りの縁部520は、湾曲しているか、又は傾斜している(図5では、残りの縁部は、残りの縁部が最末端端部525から根元領域まで延在する際に傾斜していることが示されている)。したがって、各アームの本体は、最末端端部よりも根元領域により近接した断面の厚さを有する。
【0107】
図5は、第1のシャフト400によって担持される少なくとも1つのアーム3002が、どのようにロッドのような当接部材550を含むかどうかを示すのに役立つ。
【0108】
図5に示される他のシャフト410によって担持される残りの複数のアーム上の更なるアーム30010は、同様にそれぞれの当接部材550を有する。各当接部材は、外側の実質的に円筒形の接触面を提示する、概してロッドのような要素である。
【0109】
基礎にある下部モジュールの下部ガイド要素(又は上部モジュールのガイド要素)と当接する当接部材、及びアームによって担持される当接部材及び取り外し可能なモジュールのガイド要素の衝撃は、それぞれの参照点として作用し、その結果、固定された移送モジュールと取り外し可能なモジュールとの間の正確な向きにかかわらず、アーム及びガイド要素は、妨害の危険性が完全に又は少なくとも部分的に軽減されるような方法で、メディアアイテムの経路の一部分を決定するのを助ける所望の向きで同じ場所に位置付けられる。
【0110】
図6は、突出ガイドのような歯の2つの離隔した列を示すのに役立つ。これらは、コーム要素と呼ばれ得る。図6に示すように、第1の列310は、離隔して上方に延在する突出部によって提供され、これらは、類似の直立突出部の更なる列320から分離される。
【0111】
直立した突出部は、歯に類似し、歯は、取り外し可能な下部モジュールのガイド要素を提供する。2つの列は、メディアアイテムがそれを通過できるように、金庫の開口と整列する下部ガイド本体のスリットの周りに離隔している。
【0112】
図6は、2つの隣接するガイド要素の間に延在しているバー550を示すのに役立つ。バー550は、シャフト上のアームによって担持され、かつ実質的に円筒形の外面610を有する。図6に示したバー550は、当接要素の一例である。
【0113】
図6に示したバー550は、隣接する突出歯に固定され、かつそれを横切って伸びることが示されているが、当然のことながら、単一のガイド要素又は複数のガイド要素を一方の側に当接するように、シャフト400上に担持されるアームに対してのみ単一の端部で固定され得る。あるいは、バーは、複数のガイド要素にわたって伸び得る。
【0114】
ロッドは、当接ロッドを担持するアームが、シャフトによって担持された各アームが実質的に水平である収縮位置から、アームが概して直立する動作モードに移動するときに、ロッドの円筒形外面が、少なくとも1つの直立する(又は上側のモジュールを指す場合、下方に延在する)ガイド要素の接触面620と当接するように、当接要素を提供する。図6に示すように、当接要素を担持するアームにすぐ隣接する下部モジュール内の列の突出するコーム要素は、当接部材に当接するようには計画されていないコーム要素に対して変更された断面を有する。
【0115】
ロッドのような当接部材によって影響されるコーム要素によってもたらされるガイド表面620は、実質的に垂直の当接表面を呈する。当接要素の略円筒形の外面と、当接要素を担持するアームに隣接するコーム要素の略垂直な当接表面を有することにより、シャフトによって担持されるアームと取り外し可能なモジュールのガイド歯の列との間の相互関係の正確な定義がもたらされる。
【0116】
当然のことながら、他の形状及びサイズの当接要素を想定することができる。例えば、当接部材の端部は、コーム要素を提供する突出ガイドの側壁上の協力的な陥凹内を走ることができる。あるいは、アームから少なくとも1つの端部から延在する細長い本体である当接要素は、その長さの一部又は全体に沿って楕円形又は六角形又は正方形若しくは長方形の断面を有してもよい。
【0117】
図6は、当接要素を担持するアームが、シャフトによって担持される残りのアームとわずかに異なる形状及び構成を有することができる方法を示すのに役立つ。当接要素を担持するアームの本体は、シャフトによって担持されるアームを所望の場所に設定するために、当接要素がコーム要素上の当接表面と協働する所望の向きに保持されるように、形状及び構成を有する。
【0118】
コーム要素の1つ以上のそれぞれの突出ガイド歯上の部品に係合する各々のシャフトによって担持される各複数のアーム上の1つ以上のアームの部品を提供することは、モジュールがATMに交換されたときのアーム及びコーム歯の相対的な場所が、ATM内の固定部品と可動部品との間の相互関係によって設定されることを意味する。これは、そうでなければ、アームの位置を設定するために、移送モジュール上の固定位置を利用する従来的な技術と比較して有利である。
【0119】
図6はまた、各シャフトのばね端部領域640におけるそれぞれのねじりばね630が、どのように第1のばね端部でハウジングに固定されているかを示すのに役立つ。他方のばね端部は、シャフトに固定されている。ばねは、第1の回転方向でシャフトを付勢する付勢要素であり、この付勢により、アームが収縮位置に付勢される。
【0120】
図7及び図8は、シャフト上の1つ以上のアームによって担持される協働的当接部材、及び取り外し可能なモジュールのコーム要素などの突出ガイド歯が、どのように協働して、下部の取り外し可能なモジュールと移送モジュールの一部との間のメディアアイテム経路の一部分を決定することができるかを示している。
【0121】
図7では、下部モジュールの部品の横方向(図7の左から右)の極端な位置は、可能な限り右側の位置で示されている。この位置的効果は、ラック機構の部品の製造公差により生じる可能性がある。
【0122】
対照的に、図8は、固定移送モジュールに対して、最も左側の横方向位置にある下部の取り外し可能なモジュールの部分を示すのに役立つ。両方の実例において、下部モジュール(上部の取り外し可能なモジュールに適用される類似の論拠)のそれぞれの結果として生じる横方向位置、及び取り外し可能なモジュールが収納されたときの移送モジュールの一部に関係なく、シャフト上に担持されるアームによって提供されるガイド表面は常に、下部(又は上部)移送モジュールのガイド要素のガイド表面に対して所望の同じ場所で提供されていることが分かる。
【0123】
このようにして、メディアアイテム経路の一部分が決定される。図7及び図8は、各アームのガイド表面の先端領域700が、それぞれのアーム要素の縁部に沿って最末端端部から離れて少なくとも5mmの距離にわたってどのように延在しているかを示すのに役立つ。好適には、代替として、距離は、およそ3mm又は4mm又は6mmである。
【0124】
その先端領域全体、すなわち、最先端から5mmの全体は、端で見たときに隣接するガイド要素のガイド表面から少なくとも所定の閾値距離Xだけセットバックしている。すなわち、任意のアームの先端の少なくとも所定の距離は、常に、視界上の側面の隣接するガイド要素のガイド表面からある距離だけ戻って設定される。
【0125】
好適には、セットバック距離は、およそ1mm又は2mm又は3mm又は4mmである。この最小のセットバック距離は、全メディアアイテム経路の一部分710に沿って移送されるメディアアイテムが、対向するガイド表面の間でその経路を浸潤するメディアアイテムの縁部を決して偶然に見つけることができないことを確実にするのに役立つ。
【0126】
図9は、関連する駆動面365を有する駆動ポスト360の上方からの図、及びこれがプッシャープレート370のプッシャー表面500に対してどのように押すかを示している。図示するように、上部ラック接触アーム900は、プッシャープレート370上に提供され、これは、上部ラック部材の上部920上に接触面910と当接して示されている。また、図9では、剛直なシャフト支持体430が示されている。
【0127】
図9は、駆動ポスト360がプッシャープレートに衝突し始める前の位置を示すのに役立つ。ばね930は、この位置でプッシャープレートを所定の位置(図9の下方)に付勢し、上部ラック接触アーム900は、上部ラックを同様に下向きの動作に位置付ける。効果的に、プッシャープレートは、ラックの自然な傾向(シャフトに作用するねじりばねによって引き起こされる)を克服して、より高い(図9の)位置にラックを引き抜く。この位置では、下部ラック接触アーム375は、同様に下部ラックを位置付けるので、2つのシャフト400、410は、アームを収縮位置に置く位置に回転する。
【0128】
図10は、プッシャープレートをより詳細に示すのに役立ち、下部ラック接触アーム375及び上部ラック接触アーム900を示すのに役立つ。駆動ポスト360がプッシャープレート接触面500に対して押されたときに、ラック接触アームは、プレートとともに移動し、この移動は、ラック上の圧力を解放し、かつこれらのラックに歯が噛み合ったそれぞれのピニオンがねじりばねで駆動され、それぞれ独立して動くため、それぞれのラックを移動させる。図10は、プッシャープレートの摺動運動を可能にするが、プッシャープレートを移送モジュール内に効果的に装着されることを可能にする、ガイドスロットを示すのに役立つ。
【0129】
図11は、より詳細に関連する歯420を有する下部ラック425を示しており、図11の矢印Y-Yによって示された横方向の動きが、プッシャープレートが移動されるのにつれて移動するので、ピニオン415がどのように回転するかを示すのに役立つ。ラック歯がY-Yの方向に移動すると、ピニオン歯が回転し、これにより、シャフト400がそれぞれのシャフト長手方向軸A-Bの周りを回転する。プッシャープレートが押されると、ラックは、シャフトで移動するため、移動する。プッシャープレートが押されていない状態でプッシャープレートのばねが押されると、ラックが引っ張られる。
【0130】
図12は、実質的に平行なシャフトに離隔した一対の代替シャフト410を示している。これは、シャフト410のピニオン端部でそれぞれのピニオン440に装着される。ピニオンは、上部ラックが図12の矢印X-Xによって示された横方向に移動させられる際に、ラック要素の歯1200と噛み合う歯445を有する。
【0131】
この動きは、プッシャープレートが駆動ポスト及びプッシャープレートばねによって駆動されているか、又は駆動されていないことに起因する。上部ラック本体は、ラックの摺動運動を可能にしつつ、依然として、ラックを移送モジュール内の場所に保持又は支持することができる、細長いスロット1210を有する。
【0132】
図13は、取り外し可能なモジュールをATMからアンラックする方法を示している。最初のステップS1305では、下部のモジュールは、完全に収納されている。すなわち、テレスコピックマウントは拡張されておらず、下部の取り外し可能なモジュールは金庫内にある。次のステップS1310で、以前に稼働状態であったATMが、メンテナンスのためにオフになる。
【0133】
次のステップS1315では、セキュリティ担当者がATM金庫ドアを開く。次のステップS1320では、下部モジュールを支持する下部モジュールクレードルは、テレスコピックスライダ上の金庫ハウジングから外され始めるが、これは、下部の取り外し可能なモジュール上のハンドルを引くオペレータによって達成され得る。
【0134】
次のステップS1325では、下部モジュールクレードルに取り付けられた駆動プレートは、ATMから外へ摺動し続ける。駆動ポストの移動は、プッシャープレートが駆動ポストによってもはや駆動されないことを意味する。
【0135】
次のステップS1330では、駆動ポストによって、及び付勢ばねによってもはや拘束されていない/位置付けられていないプッシャープレートは、その静止位置に向かって自由に摺動し始める。プッシャープレートは、上部及び下部ラックの本体のそれぞれの突出した壁の形態で協働する当接要素と当接するアームを有し、アームは、プッシャーブロックと同じ方向にそれらを移動させる。
【0136】
これは、図13のステップS1335として示されている。ステップS1338を介して、ピニオンが時計回り方向に回転している上部ラックと噛み合っている様子を示されている。ピニオンとともに移動する回転可能なシャフトは、同様にステップS1339を介して時計回り方向に回転されているものとして示されている。
【0137】
上部ラック及びその関連するシャフトの動きと同時に、ステップS1335で示したプッシャープレートの移動により、シャフトのプッシャープレート端部から見た場合に、下部ラックと噛み合うピニオンが反時計回り方向に回転する。これは、ステップS1341によって示されている。下部ピニオンに取り付けられた回転可能なシャフト要素は、同様に反時計回り方向に回転する。これは、ステップS1343によって示されている。
【0138】
回転可能なシャフトに取り付けられた回転可能なアームは、低い動作位置から収縮位置に向かって上昇する。各シャフトのばね端部に取り付けられたねじりばねは、その張力を増加させるそのバイアスに対して回転する。これは、ステップS1345で示されている。ここで、プッシャーブロック/プレートは、プッシャーブロックを付勢する直線ばねに張力がない状態で、静止位置に到達する。
【0139】
これは、ステップS1350で示されている。ステップS1355を介して、プッシャープレートが上部及び下部ラックの駆動を停止することが示されている。上部及び下部ラックと噛み合うピニオンは回転を停止し、ピニオンに取り付けられた回転可能なシャフトは、同様に回転を停止する。この時点で、ガイドアームは、それらの収縮位置に達したため、上昇を停止する。
【0140】
これは、ステップS1360で示されている。ここで、下部の取り外し可能なモジュールクレードルは、このステップS1365で示されるように、人間のオペレータによるテレスコピックスライダ上の完全拡張まで摺動され得る。この時点で、下部モジュールは、完全にラックアウトされ得、ステップS1370として示される、メンテナンス又は補充を行うことができる。
【0141】
図14は、処理中のラック設置における特定のステップを示している。金庫ドアが開いた状態で、ATMは、メンテナンス状態S1405で始まり、下部モジュールクレードルは、完全に外に摺動される。ステップS1410を介して、テレスコピックマウント上の金庫ハウジング内に摺動され始めるか、又は「収納され始める」下部モジュールを含む、下部モジュールクレードルが示されている。
【0142】
これは、オペレータが取り外し可能なモジュールを金庫に押し込むことによって達成される。次に、ステップS1415で、下部モジュールクレードルに取り付けられた駆動ポストが、ATMの中へと摺動する。ステップS1420で示される一部の段階では、駆動ポストは、プッシャープレートのプッシャー表面内に走り、かつプッシャープレートのプッシャー表面と当接して、プッシャープレートを駆動ポストと同じ方向に駆動し始める。上部及び下部ラックは、それらへの付勢力を失い、もはやプッシャーブロックによって完全に拘束されなくなる。これは、ステップS1425によって示されている。
【0143】
図14の左側のステップS1430及びその下のステップは、上部ラックの作用及び経験に関する。ステップS1430では、回転可能シャフトの一端に取り付けられたねじりばねは、回転可能シャフトを反時計回りに回転させる。
【0144】
その回転可能シャフトに取り付けられたアーム要素は、収縮位置から降下し始める。ステップS1431を介して、回転可能なシャフト要素に取り付けられたピニオンが、反時計回り方向に駆動されることが示されている。
【0145】
ステップS1432は、そのピニオンと噛み合った上部ラックがプッシャープレートの方向にどのように駆動されるかを示している。ステップS1433は、そのシャフト上の1つ以上のアーム要素の後部に取り付けられた当接部材が、突出ガイド上の非移動バック当接表面と最終的にどのように当接するかを示している。これにより、そのシャフト上の全てのアーム要素の下降動作が停止する。
【0146】
この時点で、この回転可能なシャフトに取り付けられたアームのセットは、動作可能な場所に正しく整列している。アーム要素のガイド表面及び取り外し可能なモジュールの突出ガイド要素のガイド表面は、メディアアイテムでそれらの間に浸潤する可能性を最小化するために離隔している。次のステップS1434は、どのように回転可能なシャフト要素に取り付けられたピニオンが静止して保持されているかを示している。
【0147】
ピニオンと噛み合った上部ラックがまた静止して保持されている。これは、ステップS1435に示されている。ステップS1436は、上部ラックが、プッシャープレートと接触しておらず、なおも移動していることを示している。
【0148】
ステップS1440~S1446は、残りのシャフト及び関連するアーム並びに関連するピニオン及びラックに関して、ステップS1430~S1436を反映している。
【0149】
ステップS1450は、下部の取り外し可能なモジュールクレードルが、静止(収納)位置に到達していることを表す。このステップは、同様に静止位置に到達している、下部の取り外し可能なモジュールに取り付けられる駆動ポストと関連付けられる。
【0150】
駆動ポストと当接するプッシャープレートは、駆動ポストによって所定の位置に保持される。これは、図14のステップS1455を介して示されている。
【0151】
図14に示した最終ステップS1460は、収納された下部モジュール、及び下部モジュールの類似のガイド表面と正しく整列された中間移送モジュールガイド表面を表している。ATMは、スイッチを入れられ得、かつ下部モジュール(又は上部モジュール)と移送モジュールとの間のメディアアイテム経路の一部分が完全に又は少なくとも部分的に妨害のリスクを軽減する方法で決定された状態で、金庫の内外にメディアアイテムを移動し始めることができる。
【0152】
本開示は、好ましい実施形態及びその様々な態様を参照して特に示され、説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正がなされ得ることは、当業者によって理解されるであろう。添付の特許請求の範囲は、本明細書に記載される実施形態、上述の代替案、及びそれら全ての等価物を含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
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図9
図10
図11
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図14