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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095518
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】シャワー装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023162466
(22)【出願日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2022211338
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】八板 遼平
(72)【発明者】
【氏名】中島 平裕
(72)【発明者】
【氏名】関 大輝
(72)【発明者】
【氏名】陳 祖河
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132FA03
2D132FB01
2D132FC02
2D132FD01
2D132FJ01
2D132FJ07
2D132FJ17
2D132FJ22
2D132FJ23
(57)【要約】
【課題】節水を可能にしながら、使用者に十分な水量感を与えることができるシャワー装置を提供する。
【解決手段】本発明は、使用者に上方からシャワー吐水を浴びせるように構成されたシャワー装置(1)であって、シャワーヘッド本体(4)と、このシャワーヘッド本体に設けられ、シャワーヘッド本体の下方に立っている使用者を取り囲むように、使用者に向けて斜め下方にシャワー吐水を行う複数の散水部(10)と、を有し、複数の散水部のうちの、第1の散水部及び第2の散水部は、シャワーヘッド本体の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面(P) の同一面に対し、線状に延びる着水領域を夫々形成するように湯水を吐出し、第1の散水部により形成された第1の着水領域(A1)と、第2の散水部により形成された第2の着水領域(A2)は、少なくとも一部が同一面において鉛直方向に互いに重なっていることを特徴としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に上方からシャワー吐水を浴びせるように固定されたシャワー装置であって、
シャワーヘッド本体と、
このシャワーヘッド本体に設けられ、上記シャワーヘッド本体の下方に立っている使用者を取り囲むように、使用者に向けて斜め下方にシャワー吐水を行う複数の散水部と、を有し、
上記複数の散水部のうちの、第1の散水部及び第2の散水部は、上記シャワーヘッド本体の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面の同一面に対し、線状に延びる着水領域を夫々形成するように湯水を吐出し、
上記第1の散水部により形成された第1の着水領域と、上記第2の散水部により形成された第2の着水領域は、少なくとも一部が上記同一面において鉛直方向に互いに重なっていることを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
上記第1の着水領域は、上記第2の着水領域よりも上方に形成され、上記第2の散水部は、吐出された湯水が水平方向に広がりながら落下するように構成され、上記第1の着水領域に当たって落下する湯水は、上記第2の着水領域に着水した湯水と合流して水平方向に広がる請求項1記載のシャワー装置。
【請求項3】
使用者に上方からシャワー吐水を浴びせるように固定されたシャワー装置であって、
シャワーヘッド本体と、
このシャワーヘッド本体に設けられ、上記シャワーヘッド本体の下方に立っている使用者を取り囲むように、使用者に向けて斜め下方にシャワー吐水を行う複数の散水部と、を有し、
上記複数の散水部のうちの、第1の散水部及び第2の散水部は、上記シャワーヘッド本体の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面の同一面に対し、線状に延びる着水領域を夫々形成するように湯水を吐出し、
上記第1の散水部により形成された第1の着水領域は、上記同一面において上記第2の散水部により形成された第2の着水領域と交差することを特徴とするシャワー装置。
【請求項4】
上記第1の着水領域と、上記第2の着水領域は、上記仮想的な着水平面上において、上記シャワーヘッド本体の左右方向略中央の下方の所定の高さで、V字形状に交差する請求項3記載のシャワー装置。
【請求項5】
上記シャワーヘッド本体は、環状に構成され、内部に環状通路が設けられた環状部と、この環状部に連結され、内部に複数の分配通路が設けられた湯水供給部と、を有し、上記環状通路には、上記各分配通路を介して複数箇所から湯水が流入する請求項1又は3に記載のシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関し、特に、使用者に上方からシャワー吐水を浴びせるように構成されたシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-15192号公報(特許文献1)には、シャワー装置が記載されている。このシャワー装置は、円盤状に構成され、天井に取り付けて使用される。円盤状のシャワー装置の周縁部には多数の散水孔が円周上に並べて設けられており、各散水孔から線状に湯水が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-15192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件発明者は、単に洗体を行うだけでなく、使用者が上方から落下するシャワー吐水を比較的長い時間、リラックスした状態で浴びることができ、シャワーを浴びている時間を楽しむことにより、疲労回復や、ストレス解消効果を得ることができるシャワー装置の開発を行っている。特許文献1記載のシャワー装置においては、円盤状に構成されたシャワーヘッドの周縁部に散水孔が並べて配置されているため、シャワーヘッドの中央下方に立っている使用者の顔には、直接シャワー吐水が掛かりにくい。このため、シャワーを浴びている使用者は、息苦しさを感じることが比較的少なく、長時間シャワーを浴び続けることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のシャワー装置においては、シャワーを浴びている使用者に、十分な水量感を与えることができないという問題がある。使用者に与える水量感が十分でない場合には、使用者は十分なリラックス効果を得ることができない。また、使用者に十分な水量感を与えるために、湯水の吐出量を増加させると、長時間シャワーを浴びるためには多量の湯水が必要となり、節水の要請を満たすことができない。
【0006】
従って、本発明は、節水を可能にしながら、使用者に十分な水量感を与えることができるシャワー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、使用者に上方からシャワー吐水を浴びせるように固定されたシャワー装置であって、シャワーヘッド本体と、このシャワーヘッド本体に設けられ、シャワーヘッド本体の下方に立っている使用者を取り囲むように、使用者に向けて斜め下方にシャワー吐水を行う複数の散水部と、を有し、複数の散水部のうちの、第1の散水部及び第2の散水部は、シャワーヘッド本体の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面の同一面に対し、線状に延びる着水領域を夫々形成するように湯水を吐出し、第1の散水部により形成された第1の着水領域と、第2の散水部により形成された第2の着水領域は、少なくとも一部が同一面において鉛直方向に互いに重なっていることを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明によれば、第1の着水領域と、第2の着水領域の少なくとも一部が鉛直方向に互いに重なっている。このため、使用者の身体表面において第1の着水領域に着水し、流下する湯水と、第2の着水領域に着水し、流下する湯水が、使用者の身体表面上で互いに干渉して、身体表面上に滞留しやすくなる。このため、シャワーヘッド本体から吐出される水量に対し、シャワーを浴びている使用者の身体表面上に滞留する湯水の量が多くなり、シャワーヘッド本体から吐出される水量が比較的少ない場合でも、使用者に十分な水量感を与えることができる。また、使用者の身体表面上に湯水が滞留する時間が長くなるため、湯水から多くの熱量が使用者に与えられ、使用者の身体を十分に温めることが可能になる。この結果、節水を可能にしながら、使用者に十分な水量感及び暖かさを与えることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、第1の着水領域は、第2の着水領域よりも上方に形成され、第2の散水部は、吐出された湯水が水平方向に広がりながら落下するように構成され、第1の着水領域に当たって落下する湯水は、第2の着水領域に着水した湯水と合流して水平方向に広がる。
【0010】
このように構成された本発明によれば、第1の着水領域が第2の着水領域よりも上方に形成され、第2の散水部は湯水が水平方向に広がりながら落下するように構成されている。このため、第1の着水領域に着水して流下している湯水は、第2の散水部から吐出され、水平方向に広がりながら第2の着水領域に着水した湯水により水平方向に広げられる。このため、使用者の身体表面に着水した湯水は、身体表面上で大きく広がりながら流下し、湯水が身体表面に滞留する時間を、より長くすることができ、使用者に十分な水量感を与えることができる。
【0011】
また、本発明は、使用者に上方からシャワー吐水を浴びせるように固定されたシャワー装置であって、シャワーヘッド本体と、このシャワーヘッド本体に設けられ、シャワーヘッド本体の下方に立っている使用者を取り囲むように、使用者に向けて斜め下方にシャワー吐水を行う複数の散水部と、を有し、複数の散水部のうちの、第1の散水部及び第2の散水部は、シャワーヘッド本体の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面の同一面に対し、線状に延びる着水領域を夫々形成するように湯水を吐出し、第1の散水部により形成された第1の着水領域は、同一面において第2の散水部により形成された第2の着水領域と交差することを特徴としている。
【0012】
このように構成された本発明においては、シャワーヘッド本体の複数の散水部から、使用者に向けて斜め下方にシャワー吐水が行われる。第1の散水部及び第2の散水部は、鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面に対し、線状に延びる着水領域を夫々形成し、第1の散水部により形成された第1の着水領域は、第2の散水部により形成された第2の着水領域と交差している。
【0013】
このように構成された本発明によれば、第1の着水領域と、第2の着水領域が交差している。このため、使用者の身体表面において第1の着水領域に着水した湯水と、第2の着水領域に着水した湯水が、着水領域の交差点において互いに干渉して、使用者の身体表面上に滞留しやすくなる。このため、シャワーヘッド本体から吐出される水量に対し、シャワーを浴びている使用者の身体表面上に滞留する湯水の量が多くなり、シャワーヘッド本体から吐出される水量が比較的少ない場合でも、使用者に十分な水量感を与えることができる。また、使用者の身体表面上に湯水が滞留する時間が長くなるため、湯水から多くの熱量が使用者に与えられ、使用者の身体を十分に温めることが可能になる。この結果、節水を可能にしながら、使用者に十分な水量感及び暖かさを与えることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、第1の着水領域と、第2の着水領域は、仮想的な着水平面上において、シャワーヘッド本体の左右方向略中央の下方の所定の高さで、V字形状に交差する。
【0015】
このように構成された本発明によれば、第1の着水領域と第2の着水領域が、シャワーヘッド本体の左右方向略中央の下方の所定の高さで、V字形状に交差している。このため、使用者の顔付近にシャワー吐水が直接着水するのを避けながら、使用者の上半身の比較的高い位置に第1、第2の着水領域を形成することが可能になり、着水した湯水が使用者の身体表面上を流下する時間を長くすることができ、使用者を十分に温めることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、シャワーヘッド本体は、環状に構成され、内部に環状通路が設けられた環状部と、この環状部に連結され、内部に複数の分配通路が設けられた湯水供給部と、を有し、環状通路には、各分配通路を介して複数箇所から湯水が流入する。
【0017】
このように構成された本発明によれば、各分配通路を介して複数箇所から環状通路に湯水が流入するので、給水源から各散水部に至るまでに通過する給水通路の距離が均一化され、各散水部には、比較的均一な給水圧で湯水が供給される。この結果、各散水部から吐出される湯水の流量がより均一になり、使用者によるシャワーの浴び感が、より均一になる。また、各散水部に均一に湯水が供給されるので、第1の着水領域と第2の着水領域の関係を、シャワーヘッド本体への給水圧が低い場合でも設計値通りに維持することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシャワー装置によれば、節水を可能にしながら、使用者に十分な水量感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態によるシャワー装置をシャワー室に設置した状態を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態によるシャワー装置のシャワーヘッド本体を拡大して示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態によるシャワー装置に備えられている流体素子の斜視図である。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図3のV-V線に沿う断面図である。
図6】本発明の第1実施形態によるシャワー装置のシャワーヘッド本体から吐出されるシャワーを浴びている使用者を模式的に示す図である。
図7】本発明の第1実施形態によるシャワー装置において、鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面に着水するシャワー吐水を模式的に示す側面図である。
図8】本発明の第1実施形態によるシャワー装置において、鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面に着水した湯水の状態を模式的に示す拡大図である。
図9】本発明の第1実施形態によるシャワー装置に備えられている散水部の変形例によるノズル全体を示す斜視図である。
図10図9のX-X線に沿う部分拡大断面図である。
図11図9のXI-XI線に沿う部分拡大断面図である。
図12】本発明の第2実施形態によるシャワー装置からのシャワー吐水を、使用者が浴びている状態を示す斜視図である。
図13】本発明の第3実施形態によるシャワー装置からのシャワー吐水を、使用者が浴びている状態を示す斜視図である。
図14】本発明の第4実施形態によるシャワー装置からのシャワー吐水を、使用者が浴びている状態を示す斜視図である。
図15】本発明の第5実施形態によるシャワー装置からのシャワー吐水を、使用者が浴びている状態を示す斜視図である。
図16】本発明の第6実施形態によるシャワー装置を示す斜視図である。
図17】本発明の第6実施形態によるシャワー装置において、シャワーヘッド本体の上部材を取りはずした状態を示す斜視図である。
図18】本発明の第6実施形態によるシャワー装置に備えられているシャワーヘッド本体の断面図である。
図19】本発明の第6実施形態によるシャワー装置における散水部の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるシャワー装置を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置をシャワー室に設置した状態を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置のシャワーヘッド本体を拡大して示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のシャワー装置1は、シャワー室2の側壁面2aに対して固定されている。また、シャワー装置1は、シャワーヘッド本体4と、このシャワーヘッド本体4を側壁面2aに対して取り付けるための支持部材6と、を有する。
【0022】
シャワーヘッド本体4は、全体として楕円形の環状の部材であり、この楕円形の環に沿って、複数の散水部が間隔を空けて設けられている。
また、支持部材6は、側壁面2aの上部から概ね水平方向に延びるように取り付けられた部材であり、シャワーヘッド本体4を所定の高さに支持するように構成されている。さらに、支持部材6の内部には給水路(図示せず)が設けられており、この給水路を通って供給された湯水がシャワーヘッド本体4内に流入し、各散水部から吐出される。
【0023】
なお、本実施形態において、シャワーヘッド本体4は、側壁面2aから延びる支持部材6を介して側壁面2aに固定されているが、天井面から延びる支持部材を介してシャワーヘッド本体を天井面に固定しても良い。或いは、シャワー室等の床面から柱状の構造物を立ち上げておき、この構造物により、使用者の上方の比較的高い位置にシャワーヘッド本体4を固定しても良い。また、シャワーヘッド本体は、支持部材を介さず、側壁面又は天井面に直接固定されていても良い。本明細書において、「側壁面又は天井壁面に対して固定されるシャワーヘッド本体」には、シャワーヘッド本体を支持部材を介して固定する態様、及びシャワーヘッド本体を側壁面又は天井面に直接固定する態様が含まれるものとする。
【0024】
なお、シャワー装置1は、使用時においては各散水部から吐水が為され、シャワーヘッド本体4の下方に立っている使用者に上方からシャワー吐水を浴びせるように構成されている。また、環状のシャワーヘッド本体4に沿って散水部が設けられているため、各散水部により、シャワーヘッド本体4の下方に立っている使用者の頭部を取り囲むようにシャワー吐水が形成される。即ち、シャワーヘッド本体4の下方に立っている使用者から見て、吐水が使用者の身体に前面、背面、左右側面から着水し、シャワー吐水により使用者の頭部が取り囲まれる。
【0025】
次に、図2を参照して、シャワーヘッド本体4の内部構造を説明する。
上述したように、シャワーヘッド本体4は、全体として楕円形の環状に構成されている。このシャワーヘッド本体4の内部には、環状の形態に沿って延びる給水通路4aが設けられている。支持部材6の内部に形成された給水路(図示せず)を通って供給された湯水は、シャワーヘッド本体4内の給水通路4aに流入し、シャワーヘッド本体4全体に供給される。
【0026】
さらに、シャワーヘッド本体4には、給水通路4aに沿って、所定の間隔で散水部取付凹部4bが複数設けられている。これらの散水部取付凹部4bは鉛直方向に延びる円筒形の窪みであり、給水通路4aと連通するように形成されると共に、シャワーヘッド本体4の下面に向けて開口している。即ち、シャワーヘッド本体4の給水通路4a内を流れる湯水は、散水部取付凹部4bに流入する。
【0027】
また、各散水部取付凹部4bには、散水部保持部材8が夫々嵌め込まれている。散水部保持部材8は円柱形の部材であり、各散水部取付凹部4bの中に水密的に取り付けられている。さらに、各散水部保持部材8の中には、散水部である流体素子10が保持されている。この流体素子10は、散水部保持部材8の下面から湯水を吐出するように、散水部保持部材8によって保持されている。また、流体素子10は散水部保持部材8によって斜め下方に向けて保持されており、流体素子10は、楕円形のシャワーヘッド本体4の中心に向かって、斜め下方に向けて湯水を吐出する。なお、散水部保持部材8は、散水部取付凹部4bに対し着脱自在に構成されている。
【0028】
次に、図3乃至図5を参照して、シャワー装置1に備えられている散水部である流体素子10の構成を説明する。
図3は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置に備えられている流体素子の斜視図である。図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図であり、図5は、図3のV-V線に沿う断面図である。
【0029】
図3に示すように、流体素子10は概ね薄い直方体状の部材であり、その正面側の端面には長方形の吐水口10aが設けられ、背面側の端部には鍔部10bが形成されている。さらに、流体素子10の周囲を一周するように、鍔部10bと平行に溝10cが設けられている。この溝10cにはOリング(図示せず)が嵌め込まれ、散水部保持部材8との間の水密性が確保される。
【0030】
図4に示すように、流体素子10の内部には、長手方向に貫通するように長方形断面の通路が形成されている。この通路は、上流側から順に、給水通路12a、渦列通路12b、整流通路12cとして形成されている。
給水通路12aは、流体素子10背面側の流入口10dから延びる断面積一定の長方形断面の直線状の通路である。
渦列通路12bは、給水通路12aの下流側に、給水通路12aに連なるように(段差なく)設けられた長方形断面の通路である。即ち、給水通路12aの下流端と、渦列通路12bの上流端は、同一の寸法形状を有している。渦列通路12bの対向する一対の壁面(両側壁面)は、下流側に向けて流路断面積が渦列通路12b全体に亘って縮小するようにテーパして構成されている。即ち、渦列通路12bは下流側に向けて細く、次第に幅が狭くなるように構成されている。
【0031】
整流通路12cは、渦列通路12bと連通するように下流側に設けられた長方形断面の通路であり、断面積一定で直線状に形成されている。この整流通路12cにより、渦列通路12bによって導かれた渦列を含む湯水が整流され、吐水口10aから吐出される。この整流通路12cの流路断面積は、渦列通路12bの下流側端部の流路断面積よりも小さく構成されており、渦列通路12bと整流通路12cの間には段部14が形成されている。この段部14の表面である段部壁面は、渦列通路12bの中心軸線に対して直交する方向に向けられている。
【0032】
一方、図5に示すように、給水通路12a、渦列通路12b、及び整流通路12cの高さ方向に対向する壁面(天井面及び床面)は、全て同一平面上に設けられている。即ち、給水通路12a、渦列通路12b、及び整流通路12cの高さは全て同一で、一定である。
【0033】
次に、給水通路12aの下流側端部(給水通路12aと渦列通路12bの接続部近傍)には湯水衝突部16が形成されており、この湯水衝突部16は給水通路12aの流路断面の一部を閉塞するように設けられている。この湯水衝突部16は、給水通路12aの高さ方向に対向する壁面(天井面及び床面)を連結するように延びる三角柱状の部分であり、給水通路12aの幅方向の中央に、島状に配置されている。湯水衝突部16の断面は、二等辺三角形状に形成されており、その斜辺が給水通路12aの中心軸線と直交するように配置され、また、二等辺三角形の頂角の部分は下流側に向くように配置されている。
【0034】
この湯水衝突部16を設けることにより、その下流側にカルマン渦が生成され、吐水口10aから吐出される湯水が往復振動される。即ち、支持部材6の給水路(図示せず)から供給された湯水は、シャワーヘッド本体4内の給水通路4a(図2)に流入し、さらに、散水部保持部材8に保持された各流体素子10の流入口10dに流入する。各流体素子10の流入口10dから給水通路12aに流入した湯水は、その流路の一部を閉塞するように設けられた湯水衝突部16に衝突する。これにより、湯水衝突部16の下流側には、交互に反対回りのカルマン渦の渦列が形成される。この湯水衝突部16により形成されたカルマン渦は、テーパ状に先が細くなった渦列通路12bによって導かれながら成長し、整流通路12cに至る。
【0035】
渦列通路12bの下流側の整流通路12cに流入した湯水は、ここで整流される。この整流通路12cを経て吐水口10aから吐出される湯水は、吐水口10aにおける流速分布に基づいて曲げられ、流速の高い部分が図4における上下方向に移動するに従って、吐出方向が変化する。即ち、湯水の流速の高い部分が図4における吐水口10aの上端に位置する状態では、湯水は下方に向けて噴射され、流速の高い部分が吐水口10aの下端に位置する状態では、湯水は上方に向けて噴射される。このように、湯水衝突部16の下流側に交互にカルマン渦を発生させることにより、吐水口10aにおいて流速分布が発生して、噴流が偏向する。また、渦列の進行により流速の速い部分の位置が往復運動するため、噴射される湯水も概ね所定の振動平面(図4の紙面に平行な平面)内で正弦波状に往復振動する。
【0036】
ここで、図2に示すように、本実施形態において、各流体素子10は斜め下方に向けて取り付けられているため、流体素子10の吐水口10aから吐出された湯水は、概ね所定の振動平面内で扇状に広がりながら落下する。即ち、流体素子10の吐水口10aから吐出された湯水が正弦波状に往復振動することにより、一定時間当たりの吐水の軌跡が扇状に広がる。また、本実施形態において、各流体素子10は、その振動平面が、楕円形のシャワーヘッド本体4の接線方向(周方向)に向くように、シャワーヘッド本体4に取り付けられている。これにより、シャワーヘッド本体4の下方には、全体として、楕円形断面の筒状のシャワー吐水が形成され、シャワーヘッド本体4の下方に立っている使用者の頭部が、シャワー吐水によって取り囲まれる。
【0037】
なお、流体素子10の吐水口10aから吐出された湯水は、下方に向かって約10°以上の角度で広がることが好ましい。この吐水の広がりが大きすぎる場合には、シャワーヘッド本体4の下方に立っている使用者の身体に着水せずに落下して無駄になる水量が増加し、節水性が低下する。一方、吐水の広がりが小さすぎる場合には、使用者の身体に着水する面積が小さくなり、使用者の身体を包み込むために必要な流体素子10の数が多くなり、節水性が低下する。従って、流体素子10の吐水口10aから吐出される湯水の広がり角α(図4)は、約10°~約45°、より好ましくは約20°~約30°に設定する。また、流体素子10を設ける間隔は、吐水が扇状に広がりながら落下するものであるため約30~約200mm程度、好ましくは、約43~約167mmに設定する。
【0038】
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の第1実施形態によるシャワー装置1の作用を説明する。
図6は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置1のシャワーヘッド本体4から吐出されるシャワーを浴びている使用者を模式的に示す正面図である。図7は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置1において、鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面に着水するシャワー吐水を模式的に示す側面図である。図8は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置1において、鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面に着水した湯水の状態を模式的に示す拡大図である。
【0039】
上述したように、シャワーヘッド本体4に設けられた流体素子10から吐出される湯水は、正弦波状に往復振動しながら吐出される。このため、図6に示すように、各流体素子10から吐出された湯水は、概ね扇形に広がりながら落下する。また、上述したように、各流体素子10は、シャワーヘッド本体4の中心に向かって斜め下方に傾斜するように取り付けられているため(図2)、各流体素子10から吐出されたシャワー吐水は、シャワーヘッド本体4の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面Pに着水する。また、各流体素子10は、その振動平面が楕円形のシャワーヘッド本体4の接線方向に向けられているので、各流体素子10から吐出されたシャワー吐水は、仮想的な着水平面P上に、概ね水平方向に向けられた線状に延びる着水領域を形成する。なお、本実施形態のシャワー装置1では、シャワーヘッド本体4に設けられた流体素子10から湯水が正弦波状に往復振動しながら吐出されるため、流体素子10を設ける間隔を広く設定した場合でも、使用者の身体を包み込むことができ、吐水の勢いを維持しつつ節水効果を得ることができる。
【0040】
図6及び図7に示すように、本実施形態においては、複数の流体素子10のうちの第1の散水部である流体素子10Aから吐出されたシャワー吐水W1は、仮想的な着水平面Pの一方の面(図7における左側の面)上に、概ね水平方向に向けられた直線状に延びる第1の着水領域A1を形成する。同様に、複数の流体素子10のうちの第2の散水部である流体素子10Bから吐出されたシャワー吐水W2は、仮想的な着水平面Pの同一面上に、概ね水平方向に向けられた直線状に延びる第2の着水領域A2を形成する。図6及び図7に示す例においては、仮想的な着水平面Pは楕円形のシャワーヘッド本体4の長軸を含むように設定されている。さらに、図7に示すように、第1の散水部である流体素子10A及び第2の散水部である流体素子10Bは、着水平面Pの一方の側に配置されており、着水平面Pの同一面上に、流体素子10Aは第1の着水領域A1を形成し、流体素子10Bは第2の着水領域A2を形成する。
【0041】
ここで、図7に示すように、第1の散水部である流体素子10Aが着水平面Pに対して湯水を吐出する角度は、第2の散水部である流体素子10Bが着水平面Pに対して湯水を吐出する角度よりも大きいため、第1の着水領域A1は第2の着水領域A2よりも上方に形成される。即ち、着水平面P上の第1の着水領域A1と第2の着水領域A2は、上下方向に所定距離離間している。さらに、図6に示すように、流体素子10Aにより形成された第1の着水領域A1と、流体素子10Bにより形成された第2の着水領域A2は、一部が鉛直方向に互いに重なっている。即ち、着水平面P上に形成された第1の着水領域A1の鉛直方向の投影が、着水平面P上に形成された第2の着水領域A2の少なくとも一部と重なっている。
【0042】
このため、図8に示すように、流体素子10Aから吐出され、第1の着水領域A1に当たって落下する湯水は、流体素子10Bから吐出され、広がりながら落下して第2の着水領域A2に着水した湯水と合流する。このように、第1の着水領域A1に当たって落下する湯水が、第2の着水領域A2に着水した湯水と合流することにより、第1の着水領域A1から落下する湯水が一時的に塞き止められ、湯水が着水平面P(使用者の身体表面)上に滞留する時間が長くなる。
【0043】
これにより、シャワーヘッド本体4から吐出される水量が比較的少ない場合でも、使用者に十分な水量感を与えることができる。また、使用者の身体表面上に湯水が滞留する時間が長くなるため、湯水から多くの熱量が使用者に与えられ、使用者の身体を十分に温めることができる。また、第2の散水部である流体素子10Bから吐出されるシャワー吐水は、水平方向に広がりながら第2の着水領域A2に着水する。このため、第1の着水領域に着水して流下している湯水は、第2の着水領域A2に着水した湯水により水平方向に広げられ、使用者の身体表面上に湯水が滞留しやすくなる。
【0044】
なお、本実施形態においては、シャワーヘッド本体4の下方に立つ使用者の正面側に配置された2つの流体素子10A、10Bが、第1、第2の散水部とされているが、シャワーヘッド本体4に設けられている複数の散水部のうちの任意の2つを、第1、第2の散水部とすることができる。
【0045】
本発明の第1実施形態のシャワー装置1によれば、第1の着水領域A1と、第2の着水領域A2の少なくとも一部が鉛直方向に互いに重なっている(図2)。このため、使用者の身体表面において第1の着水領域A1に着水し、流下する湯水と、第2の着水領域A2に着水し、流下する湯水が、使用者の身体表面上で互いに干渉して、身体表面上に滞留しやすくなる。このため、シャワーヘッド本体4から吐出される水量に対し、シャワーを浴びている使用者の身体表面上に滞留する湯水の量が多くなり、シャワーヘッド本体4から吐出される水量が比較的少ない場合でも、使用者に十分な水量感を与えることができる。また、使用者の身体表面上に湯水が滞留する時間が長くなるため、湯水から多くの熱量が使用者に与えられ、使用者の身体を十分に温めることが可能になる。この結果、節水を可能にしながら、使用者に十分な水量感及び暖かさを与えることができる。
【0046】
また、本実施形態のシャワー装置1によれば、第1の着水領域A1が第2の着水領域A2よりも上方に形成され、第2の散水部である流体素子10Bは湯水が水平方向に広がりながら落下するように構成されている。このため、第1の着水領域A1に着水して流下している湯水は、流体素子10Bから吐出され、水平方向に広がりながら第2の着水領域A2に着水した湯水により水平方向に広げられる。このため、使用者の身体表面に着水した湯水は、身体表面上で大きく広がりながら流下し、湯水が身体表面に滞留する時間を、より長くすることができ、使用者に十分な水量感を与えることができる。
【0047】
なお、上述した実施形態においては、散水部が流体素子10により構成され、この流体素子10により、湯水が広がりながら落下し、着水平面上に線状に延びる着水領域を形成していた。これに対して変形例として、湯水を吐出するノズルの構成により、湯水を広がりながら落下させる散水部を実現することもできる。
【0048】
図9乃至図11は、湯水が広がりながら落下するシャワー吐水を実現するためのノズルの一例を示す図である。図9は、ノズル全体を示す斜視図である。図10は、図9のX-X線に沿う部分拡大断面図であり、図11は、図9のXI-XI線に沿う部分拡大断面図である。
【0049】
図9に示すように、散水部であるノズル18は、全体として円柱形に形成されており、シャワーヘッド本体4の各散水部取付凹部4bに嵌め込んで使用することができる。図9乃至図11に示すように、円柱形のノズル18の中心軸線に沿って、円形断面の通路18aが形成されている。また、この円形断面の通路18aの先端には、ドーム形状(半球形状)の内壁面18bが形成されている。さらに、ノズル18の先端面にはV字型断面の溝18cが設けられており、この溝18cの最深部が、ドーム形状の内壁面18bの一部を切り欠いている。
【0050】
この構成により、シャワーヘッド本体4内の給水通路4aによって導かれた湯水はノズル18の通路18aに流入し、通路18aによって導かれた湯水は、内壁面18bに設けられた切欠から、V字型断面の溝18cの底に流出し、下方(図9乃至図11における上方)に向けて吐出される。これにより、図10に示すように、ノズル18から吐出される湯水Wは、円錐又は楕円錐状に広がりながら落下する。なお、本変形例においては、楕円錐の長軸が、楕円形のシャワーヘッド本体4の接線方向に向くように、各ノズル18がシャワーヘッド本体4に取り付けられている。また、本変形例においては、シャワーヘッド本体4にノズル18を取り付けることによりシャワーヘッド本体4に散水部を設けているが、シャワーヘッド本体4を構成する部材に直接ノズル孔を形成して散水部を設けることもできる。
【0051】
次に、図12を参照して、本発明の第2実施形態によるシャワー装置を説明する。
本実施形態のシャワー装置は、シャワーヘッド本体に設けられている流体素子から吐出されるシャワー吐水の方向が、上述した第1実施形態とは異なっている。従って、ここでは、本発明の第2実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。図12は、本発明の第2実施形態によるシャワー装置からのシャワー吐水を、使用者が浴びている状態を示す正面図である。
【0052】
本実施形態のシャワー装置に備えられているシャワーヘッド本体20も、第1実施形態と同様に、全体として楕円形の環状に形成されており、散水部として複数の流体素子10が設けられている。上述したように、流体素子10から吐出される湯水は、正弦波状に往復振動しながら吐出され、概ね扇形に広がりながら落下する。また、各流体素子10は、シャワーヘッド本体20の中心に向かって斜め下方に傾斜するように取り付けられており、各流体素子10から吐出されたシャワー吐水は、シャワーヘッド本体20の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面Pに着水する。さらに、上述した第1実施形態においては、各流体素子10は、その振動平面が楕円形のシャワーヘッド本体4の接線方向に向けられ、着水平面P上に、概ね水平方向に向けられた線状に延びる着水領域を形成していた。これに対して、本実施形態においては、流体素子10の振動平面が楕円形のシャワーヘッド本体4の接線に対して所定角度傾斜しており、着水平面P上には傾斜した着水領域が形成される。
【0053】
即ち、図12に示すように、本実施形態においては、シャワーヘッド本体20に設けられた複数の流体素子10のうちの第1の散水部である流体素子10Aから吐出されたシャワー吐水W1は、仮想的な着水平面P上に、シャワーヘッド本体20の中央側が低く、端部に向かって高くなるように傾斜した直線状に延びる第1の着水領域A1を形成する。一方、複数の流体素子10のうちの第2の散水部である流体素子10Bから吐出されたシャワー吐水W2も、仮想的な着水平面Pの同一面上に、シャワーヘッド本体20の中央側が低く、端部に向かって高くなるように傾斜した直線状に延びる第2の着水領域A2を形成する。図12に示す例においても、仮想的な着水平面Pは楕円形のシャワーヘッド本体20の長軸を含むように設定されている。さらに、第1の散水部である流体素子10A及び第2の散水部である流体素子10Bは、着水平面Pの一方の側に配置されており、着水平面Pの同一面上に、流体素子10Aは第1の着水領域A1を形成し、流体素子10Bは第2の着水領域A2を形成する。
【0054】
ここで、第1の散水部である流体素子10A及び第2の散水部である流体素子10Bの振動平面は、所定の角度でシャワーヘッド本体20に取り付けられているため、着水平面P上に所定の角度で傾斜した着水領域を夫々形成する。本実施形態においては、流体素子10Aにより形成される第1の着水領域A1、流体素子10Bにより形成される第2の着水領域A2とも、シャワーヘッド本体20の中央側が低く、両端部に向かって高くなるように形成される。この結果、図12に示すように、第1の着水領域A1と第2の着水領域A2は、シャワーヘッド本体20の左右方向の略中央の下方の所定の高さでV字形状に交差する。
【0055】
このため、図12に示すように、流体素子10Aから吐出され、第1の着水領域A1に着水した湯水と、流体素子10Bから吐出され、第2の着水領域A2に着水した湯水は、それらがV字形に交差する点において合流する。このように、第1の着水領域A1に当たった湯水と、第2の着水領域A2に当たった湯水が合流することにより、湯水が一時的に塞き止められ、湯水が着水平面P(使用者の身体表面)上に滞留する時間が長くなる。
【0056】
これにより、シャワーヘッド本体20から吐出される水量が比較的少ない場合でも、使用者に十分な水量感を与えることができる。また、使用者の身体表面上に湯水が滞留する時間が長くなるため、湯水から多くの熱量が使用者に与えられ、使用者の身体を十分に温めることができる。さらに、第1の着水領域A1、第2の着水領域A2は、シャワーヘッド本体20の中央において低くなるように傾斜されているため、流体素子10A及び10Bから吐出された湯水が使用者の顔に当たりにくい。一方、シャワーヘッド本体20の両端部において、第1の着水領域A1、第2の着水領域A2は高い位置にあるため、使用者の両肩付近には湯水が当たり、使用者を効果的に温めることができる。
【0057】
本発明の第2実施形態のシャワー装置によれば、第1の着水領域A1と、第2の着水領域A2が交差している。このため、使用者の身体表面において第1の着水領域A1に着水した湯水と、第2の着水領域A2に着水した湯水が、着水領域の交差点において互いに干渉して、使用者の身体表面上に滞留しやすくなる。このため、シャワーヘッド本体20から吐出される水量に対し、シャワーを浴びている使用者の身体表面上に滞留する湯水の量が多くなり、シャワーヘッド本体20から吐出される水量が比較的少ない場合でも、使用者に十分な水量感を与えることができる。また、使用者の身体表面上に湯水が滞留する時間が長くなるため、湯水から多くの熱量が使用者に与えられ、使用者の身体を十分に温めることが可能になる。この結果、節水を可能にしながら、使用者に十分な水量感及び暖かさを与えることができる。
【0058】
また、本実施形態のシャワー装置によれば、第1の着水領域A1と第2の着水領域A2が、シャワーヘッド本体20の左右方向略中央の下方の所定の高さで、V字形状に交差している。このため、使用者の顔付近にシャワー吐水が直接着水するのを避けながら、使用者の上半身の比較的高い位置に第1、第2の着水領域を形成することが可能になり、着水した湯水が使用者の身体表面上を流下する時間を長くすることができ、使用者を十分に温めることができる。
【0059】
次に、図13を参照して、本発明の第3実施形態によるシャワー装置を説明する。
本実施形態のシャワー装置は、シャワーヘッド本体の形状が、上述した第1実施形態とは異なっている。従って、ここでは、本発明の第3実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。図13は、本発明の第3実施形態によるシャワー装置からのシャワー吐水を、使用者が浴びている状態を示す斜視図である。
【0060】
図13に示すように、本発明の第3実施形態によるシャワー装置に備えられたシャワーヘッド本体30は、長方形の環状に構成されている。この環状に構成されたシャワーヘッド本体30に沿って、複数の散水部が設けられており、使用者の頭部を取り囲むシャワー吐水が形成される。各散水部から吐出される湯水は、扁平な扇形形状に広がりながら落下するように構成されている。さらに、吐出される各シャワー吐水がシャワーヘッド本体30の中心へ向かうように、各散水部は斜め下方に向けて取り付けられており、吐出された湯水は、シャワーヘッド本体の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面に着水する。また、扇形形状に広がる各シャワー吐水は、シャワーヘッド本体30の各辺と夫々平行に向けられる一方、複数の散水部のうちの、第1の散水部及び第2の散水部により形成された各着水領域は、少なくとも一部が鉛直方向に互いに重なっている。なお、シャワーヘッド本体30に設ける複数の散水部として、図3に例示した流体素子や、図9に例示したノズル等、任意の構成を採用することができる。
【0061】
次に、図14を参照して、本発明の第4実施形態によるシャワー装置を説明する。
本実施形態のシャワー装置は、シャワーヘッド本体の形状が、上述した第1実施形態とは異なっている。従って、ここでは、本発明の第4実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。図14は、本発明の第4実施形態によるシャワー装置からのシャワー吐水を、使用者が浴びている状態を示す斜視図である。
【0062】
図14に示すように、本発明の第4実施形態によるシャワー装置に備えられたシャワーヘッド本体40は、2つの直線状のシャワーヘッド本体40a、40bから構成されている。この直線状に構成された各シャワーヘッド本体40a、40bに沿って、複数の散水部が設けられており、使用者の頭部を取り囲むシャワー吐水が形成される。ここで、各散水部から吐出される湯水は、扁平な扇形形状に広がりながら落下するように構成されている。さらに、各シャワーヘッド本体40a、40bの中央部に設けられている散水部は、各シャワーヘッド本体40a、40bが延びる方向と平行な扇形形状のシャワー吐水を吐出する。これに対し、各シャワーヘッド本体40a、40bの端部付近に設けられた散水部は、各シャワーヘッド本体40a、40bが延びる方向に対して、ほぼ直角に向けられた扇形形状のシャワー吐水を吐出する。
【0063】
さらに、各シャワーヘッド本体40a、40bに設けられた散水部は、吐出されたシャワー吐水が互いに近づく方向に、斜め下方に向けられており、吐出された湯水は、シャワーヘッド本体の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面に着水する。また、各シャワーヘッド本体40a、40bの中央部から吐出される各シャワー吐水は、シャワーヘッド本体40a、40bと夫々平行に扇形形状に広がり、複数の散水部のうちの、第1の散水部及び第2の散水部により形成された各着水領域は、少なくとも一部が鉛直方向に互いに重なっている。なお、シャワーヘッド本体40に設ける複数の散水部として、図3に例示した流体素子や、図9に例示したノズル等、任意の構成を採用することができる。
【0064】
次に、図15を参照して、本発明の第5実施形態によるシャワー装置を説明する。
本実施形態のシャワー装置は、シャワーヘッド本体の形状が、上述した第2実施形態とは異なっている。従って、ここでは、本発明の第5実施形態の、第2実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。図15は、本発明の第5実施形態によるシャワー装置からのシャワー吐水を、使用者が浴びている状態を示す斜視図である。
【0065】
図15に示すように、本発明の第5実施形態によるシャワー装置に備えられたシャワーヘッド本体50は、湾曲して延びる2つのシャワーヘッド本体50a、50bから構成されている。これらのシャワーヘッド本体50a、50bは両端部が互いに近づくように湾曲して延びており、これに沿って、複数の散水部が設けられている。これにより、使用者の頭部を取り囲むシャワー吐水が形成される。ここで、各散水部から吐出される湯水は、扁平な扇形形状に広がりながら落下するように構成されている。さらに、各シャワーヘッド本体50a、50bの中央部に設けられている散水部は、各シャワーヘッド本体50a、50bが延びる方向の概ね接線方向に広がる扇形形状のシャワー吐水を吐出する。これに対し、各シャワーヘッド本体50a、50bの端部付近に設けられた散水部は、各シャワーヘッド本体50a、50bが延びる方向に対して、直角に近い角度で扇形形状のシャワー吐水を吐出する。
【0066】
さらに、各シャワーヘッド本体50a、50bに設けられた散水部は、吐出されたシャワー吐水が互いに近づく方向に、斜め下方に向けて湯水を吐出し、吐出された湯水は、シャワーヘッド本体の下方で鉛直方向に向けられた仮想的な着水平面に着水する。また、各シャワーヘッド本体50a、50bの中央部から吐出される各シャワー吐水は、所定の角度で扇形形状に広がり、複数の散水部のうちの、第1の散水部及び第2の散水部により形成された各着水領域は、シャワーヘッド本体の左右方向略中央の下方の所定の高さで、V字形状に交差している。なお、シャワーヘッド本体50に設ける複数の散水部として、図3に例示した流体素子や、図9に例示したノズル等、任意の構成を採用することができる。
【0067】
次に、図16乃至図19を参照して、本発明の第6実施形態によるシャワー装置を説明する。
本実施形態のシャワー装置は、シャワーヘッド本体の各散水部に湯水を供給する構造が上述した第1実施形態とは異なっている。従って、以下では、本発明の第6実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同一の構成、作用、効果については説明を省略する。
【0068】
図16は、本発明の第6実施形態によるシャワー装置を示す斜視図である。図17は、本発明の第6実施形態によるシャワー装置に備えられているシャワーヘッド本体の上カバーを取りはずした状態を示す斜視図である。図18は、本発明の第6実施形態によるシャワー装置に備えられているシャワーヘッド本体の断面図である。図19は、本発明の第6実施形態によるシャワー装置における散水部の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【0069】
図16に示すように、本実施形態のシャワー装置61は、シャワー室の側壁面2aに対して固定されている。また、シャワー装置61は、シャワーヘッド本体62と、このシャワーヘッド本体62を側壁面2aに対して取り付けるための支持部材66と、を有する。
【0070】
シャワーヘッド本体62は、全体として楕円形の環状の部材であり、この楕円形の環に沿って、複数の散水部が間隔を空けて設けられている。また、シャワーヘッド本体62は、楕円環状の環状部62aと、この環状部62aの中心から放射状に延びる3本の湯水供給部62bから構成されている。
【0071】
環状部62aは楕円環状の部分であり、その下面には、間隔を空けて複数の散水部が設けられている。また、後述するように、環状部62aの内部には、各散水部に湯水を供給するための給水通路が設けられている。一方、各湯水供給部62bは、環状部62aの中心から放射状に延び、それらの先端が環状部62aに夫々接続されている。具体的には、1本の湯水供給部62bが環状部62aの中心から側壁面2aの方向に延び、側壁面2aの反対の方向には2本の湯水供給部62bが延びており、各湯水供給部62bの先端が環状部62aと夫々接続されている。また、各湯水供給部62bの先端と環状部62aが夫々接続される3つの点の間の長さは、ほぼ同一になるように構成されている。
【0072】
次に、支持部材66は、側壁面2aの上部から概ね水平方向に延びるように取り付けられた部材であり、シャワーヘッド本体62を所定の高さに支持するように構成されている。さらに、支持部材66はシャワーヘッド本体62の上面に接続されており、支持部材66の先端は、シャワーヘッド本体62中心の、3本の湯水供給部62bの結合部に連結されている。また、支持部材66の内部には給水路(図示せず)が設けられており、この給水路を通って供給された湯水がシャワーヘッド本体62の各湯水供給部52bに流入し、環状部62aの下面に設けられた各散水部から吐出される。
【0073】
なお、本実施形態においては、支持部材66の先端部にシャワーヘッド本体62が剛接されているが、変形例として、支持部材66とシャワーヘッド本体62の間にボールジョイント(図示せず)を設けておき、シャワーヘッド本体62を支持部材66に対して角度調整可能に固定することもできる。この場合、ボールジョイント(図示せず)は、支持部材66の先端と3本の湯水供給部62bの結合部の間に設けられ、ボールジョイントはシャワーヘッド本体62の重心の近傍に位置することになる。このため、シャワーヘッド本体62に作用する重力に基づきボールジョイントの回転中心に対して作用する力のモーメントは比較的小さくなり、ボールジョイントにより、シャワーヘッド本体62を容易に任意の角度位置に固定することができる。
【0074】
さらに、シャワーヘッド本体62は、上カバー63と、流路形成部材64と、下カバー65から構成されており、これらの上カバー63と流路形成部材64を結合することにより、シャワーヘッド本体62の各散水部に湯水を供給するための給水通路が形成される。
【0075】
図17に示すように、流路形成部材64は、環状の部分と、この環状の部分の中心から放射状に延びる3本の直線状の部分から構成されている。この環状の部分はシャワーヘッド本体62の環状部62aの一部を構成し、各直線状の部分は湯水供給部62bの一部を構成している。さらに、環状の部分には、環状に延びる環状通路64aが環状部62a内を一周するように形成され、各直線状の部分には分配通路64bが夫々形成されている。即ち、3本の分配通路64bは、シャワーヘッド本体62の中央から放射状に延び、それらの先端が環状通路64aに連通されている。このように、環状通路64aには、各分配通路64bを介して複数箇所から湯水が流入する。
【0076】
一方、環状通路64aに沿って、複数の連通孔64cが設けられており、これらの連通孔64cは、流路形成部材64の下面側に設けられた散水部取付凹部64d(図18)の中に連通している。これにより、シャワーヘッド本体62の環状部62aの中に形成された環状通路64aと、各散水部取付凹部64dが連通し、それらの中に取り付けられた流体素子10(図18)に湯水が供給される。
【0077】
次に、図18及び図19に示すように、流路形成部材64の下面側には、環状通路64aに沿って複数の散水部取付凹部64dが設けられている。そして、上述した第1実施形態と同様に、各散水部取付凹部64dは略円筒形に形成され、散水部である流体素子10を保持した散水部保持部材68が着脱自在に嵌め込まれている。流体素子10の構造は、上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0078】
散水部保持部材68は、全体として略円柱状の部材であり、散水部である流体素子10を保持するように構成されている。散水部保持部材68は、中心軸線に対して所定角度傾斜するように、流体素子10を保持している。これにより、湯水はシャワーヘッド本体62から斜め下方に向けて吐出される。また、散水部保持部材68の外周には溝68aが設けられており、この溝68aにOリング(図示せず)を配置することにより、散水部保持部材68と散水部取付凹部64dの間の水密性が確保されている。
【0079】
さらに、図19に示すように、散水部保持部材68の外周面の2箇所には、装着用溝68bが設けられている(図19には1つのみ図示)。各装着用溝68bは鈎形に形成され、散水部保持部材68の上端から軸線方向に延びる軸線方向部と、この軸線方向部の下端から散水部保持部材68の円周方向に延びる円周方向部から構成されている。一方、散水部取付凹部64dの内壁面には、各装着用溝68bの軸線方向部に対応する位置に、2つの係合突起64eが設けられている(図19には1つのみ図示)。
【0080】
散水部保持部材68を装着する際には、まず、各係合突起64eが各装着用溝68bの軸線方向部の中に受け入れられるように、散水部保持部材68を散水部取付凹部64dに嵌め込む。次いで、散水部保持部材68を回動させることにより、各係合突起64eが各装着用溝68bの円周方向部に受け入れられ、散水部保持部材68を流路形成部材64に固定することができる。なお、本実施形態においては、各係合突起64eが各装着用溝68bの円周方向部の端に当接するまで散水部保持部材68を回動させることにより、散水部保持部材68に保持された流体素子10が適正な方向に向くように構成されている。
【0081】
なお、上述した第1実施形態と同様に、シャワーヘッド本体62に設けられた各流体素子10は、噴射される湯水の振動平面(図4の紙面に平行な平面)が楕円形の環状部62aの接線方向に向くように夫々取り付けられている。また、各流体素子10を設ける間隔は一定ではなく、各流体素子10から噴射される湯水により使用者が心地よく包み込まれるように、それらの間隔が調整されている。本実施形態においては、隣り合う流体素子10の間隔は、約43mm~約167mmに設定されている。好ましくは、各流体素子10の間隔は、約30mm~約200mmに設定する。これに対し、従来の典型的な円板状のオーバーヘッドシャワーでは、シャワーヘッド全体に、散水孔が約10mm~約30mm程度の間隔で均一に設けられている。
【0082】
次に、本発明の第6実施形態によるシャワー装置61の作用を説明する。
まず、使用者がシャワー装置61からの吐水を開始させる操作を行うと、シャワー装置61への湯水の供給が開始される。供給された湯水は支持部材66の内部に形成された給水通路(図示せず)を通って、シャワーヘッド本体62の中に流入する。シャワーヘッド本体62の中に流入した湯水は、3本の湯水供給部62bの結合部において3つに分岐される。即ち、シャワーヘッド本体62に供給された湯水は、図17に矢印で示すように、湯水供給部62bの中で3つの分配通路64bに分配され、各分配通路64bの先端から環状通路64aに流入する。
【0083】
各分配通路64bの先端から環状通路64aに入った湯水は、図17に矢印で示すように、2つに分岐して環状通路64aの中に両方向に流れ込み、環状通路64a全体に行き渡る。これにより、湯水は、環状通路64aに沿って設けられた各連通孔64cを通って各散水部取付凹部64dに流入する。散水部取付凹部64dに流入した湯水は、散水部取付凹部64dに嵌め込まれている散水部保持部材68で保持された流体素子10に流入する。各流体素子10に供給された湯水は、往復振動しながら吐出される。シャワーヘッド本体62から吐出される湯水の態様は、上述した第1実施形態(図6)と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
ここで、本実施形態においては、シャワーヘッド本体62に供給された湯水が3つの分配通路64bに分配された後、環状通路64aに流入する。このため、給水源から各流体素子に至るまでに通過する給水通路の距離が均一化され、各流体素子10には、比較的均一な給水圧で湯水が供給される。この結果、各流体素子10から吐出される湯水の流量がより均一になり、使用者によるシャワーの浴び感が、より均一になる。
【0085】
また、例えば、複数の流体素子10のうちの一部の流体素子10に供給される湯水の圧力が低い場合には、噴射される湯水が設計値通りの振幅で往復振動せず、隣り合う流体素子10からの吐水が十分に重なり合わない虞がある。また、流体素子10に供給される湯水の圧力が低い場合には、吐出される湯水の水勢が弱く、湯水が設計値通りの角度で使用者に着水できなくなる虞もある。本実施形態のシャワー装置61によれば、分配通路64bによって湯水を分配することにより、各流体素子10に比較的均一な給水圧で湯水を供給することができ、給水圧が低い場合でも、ほぼ設計値通りのシャワー吐水を行うことができる。
【0086】
なお、本実施形態のシャワーヘッド本体62から、上述した第2実施形態(図12)と同様の着水領域が形成されるように、各流体素子を方向付けることもできる。また、上述した本発明の第3乃至第5実施形態を示す図13乃至図15には、供給された湯水をシャワーヘッド本体に流入させる供給経路が図示されていないが、上記の第6実施形態のように、分配通路を使用してシャワーヘッド本体に湯水を供給することもできる。
【0087】
例えば、図13に示す第3実施形態においては、シャワーヘッド本体30の長辺の中点同士、短辺の中点同士を接続するように十字の分配通路(図示せず)を設けることができる。この場合には、支持部材から供給された湯水を十字の交点から流入させ、分配通路を通って矩形環状のシャワーヘッド本体30の4箇所から湯水を流入させるように本発明を構成するのが良い。これにより、給水源から各流体素子に至るまでに通過する給水通路の距離が均一化され、シャワーヘッド本体30に設けられた各散水部に比較的均一な給水圧で湯水を供給することができる。
【0088】
また、図14図15に示す第4、第5実施形態においては、前後2つに分離された各シャワーヘッド本体の中点同士を接続するように、前後方向に延びる分配通路(図示せず)を設けることができる。この場合には、支持部材から供給された湯水を分配通路の中点から流入させ、分配通路を通って各シャワーヘッド本体の中央から湯水を流入させるように本発明を構成するのが良い。これにより、給水源から各流体素子に至るまでに通過する給水通路の距離が均一化され、シャワーヘッド本体に設けられた各散水部に比較的均一な給水圧で湯水を供給することができる。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0090】
1 シャワー装置
2 シャワー室
2a 側壁面
4 シャワーヘッド本体
4a 給水通路
4b 散水部取付凹部
6 支持部材
8 散水部保持部材
10 流体素子(散水部)
10A 流体素子(第1の散水部)
10B 流体素子(第2の散水部)
10a 吐水口
10b 鍔部
10c 溝
10d 流入口
12a 給水通路
12b 渦列通路
12c 整流通路
14 段部
16 湯水衝突部
18 ノズル
18a 通路
18b 内壁面
18c 溝
20 シャワーヘッド本体
30 シャワーヘッド本体
40 シャワーヘッド本体
40a、40b シャワーヘッド本体
50 シャワーヘッド本体
50a、50b シャワーヘッド本体
61 シャワー装置
62 シャワーヘッド本体
62a 環状部
62b 湯水供給部
63 上カバー
64 流路形成部材
64a 環状通路
64b 分配通路
64c 連通孔
64d 散水部取付凹部
64e 係合突起
65 下カバー
66 支持部材
68 散水部保持部材
68a 溝
68b 装着用溝
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