IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コーセーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095537
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】水中油型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240703BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/45 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20240703BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240703BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/04
A61K8/86
A61K8/45
A61K8/37
A61K8/41
A61K8/49
A61K8/891
A61K8/31
A61K8/85
A61K8/27
A61Q17/04
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194642
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2022211052
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 阿美
(72)【発明者】
【氏名】板谷 かえで
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD261
4C083AD332
4C083BB04
4C083BB13
4C083BB25
4C083BB36
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】セルロースナノファイバー、油溶性紫外線吸収剤を含む液状油、疎水化処理微粒子金属酸化物、非イオン性界面活性剤、特定の耐塩性水溶性高分子を含有し、非イオン性界面活性剤の含有量を特定の範囲とする水中油型乳化組成物において、高い紫外線防御効果及び耐水性を有しながらも、経時安定性に優れ、さらに、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりに優れる水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】次の成分(A)~(E);
(A)セルロースナノファイバー
(B)油溶性紫外線吸収剤を含む液状油
(C)疎水化処理微粒子金属酸化物
(D)非イオン性界面活性剤 0.2~2.5質量%
(E)ポリアクリルアミド系化合物並びに(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)のエステル共重合体から選択される1種又は2種以上の耐塩性水溶性高分子
を含有する水中油型乳化組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(E);
(A)セルロースナノファイバー
(B)油溶性紫外線吸収剤を含む液状油
(C)疎水化処理微粒子金属酸化物
(D)非イオン性界面活性剤 0.2~2.5質量%
(E)ポリアクリルアミド系化合物並びに(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)のエステル共重合体から選択される1種又は2種以上の耐塩性水溶性高分子
を含有する水中油型乳化組成物。
【請求項2】
前記成分(A)の含有量が、0.05~1質量%である、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
前記成分(D)が少なくともポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、成分(D)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、50質量%以上である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項4】
前記成分(A)に対する前記成分(E)の含有質量割合(E)/(A)が、0.1~8である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項5】
実質的に直鎖状飽和アルコールを含有しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項6】
前記成分(D)がHLBの異なる少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を含有し、前記非イオン性界面活性剤のHLB加重平均値が、10~15である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項7】
さらに、成分(F)イヌリン脂肪酸エステルを含有する、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項8】
さらに、成分(G)シリカを含有する、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項9】
前記水中油型乳化組成物が日焼け止め用途に用いる化粧料である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な機能や使用性(使用感)を有する組成物の開発が行われており、中でも、水中油型乳化組成物は、うるおい感が高く、みずみずしい感触を有するといった使用感に優れることから、クリームや乳液に広く用いられている。また、これまでに、様々な機能を有する水中油型乳化組成物の開発が進められており、例えば、UVA(波長320~400nmの長波長紫外線)、UVB(波長290~320nmの中波長紫外線)から肌を守るような高い紫外線防御効果を有する水中油型乳化組成物や、紫外線防御効果を有しつつ、様々な使用シーンを想定し、化粧膜が水や汗等によって流れ落とされないよう、耐水性にも優れる水中油型乳化組成物等が報告されている。
しかしながら、満足のいく紫外線防御効果及び耐水性を達成するためには、紫外線防御剤、高分子及び油剤の適切な選択が求められるが、その種類や含有量によっては、経時での乳化状態の不安定化、伸び広がりの悪さやべたつきといった使用感の低下が懸念される。これまでに、紫外線防御効果を有しつつ、使用感に優れる技術として、例えば、(メタ)アルキル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸POEモノアルキルアーテルエステル共重合体、紫外線防御剤、非イオン性界面活性剤、高級アルコールを含有した水中油型乳化組成物(例えば、特許文献1参照)等が提案されている。また、紫外線防御効果を有しつつ、耐水性に優れる技術として、例えば、油溶性有機紫外線吸収剤を含む液状油剤、耐塩性水溶性高分子、疎水化処理微粒子金属酸化物粉体を含有し、特定成分の含有量及び比率を制御した水中油型乳化組成物(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。さらに、紫外線防御効果を有しつつ、かさつきやべたつきを抑える技術としては、例えば、特定の条件を満たすセルロースナノファイバー、紫外線散乱剤、および水混和性有機溶剤を含有することを特徴とする日焼け止め化粧料(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/221606号
【特許文献2】特開2019-94280号公報
【特許文献3】特開2017-109986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された技術においては、長期の高温安定性が十分でない場合があり、耐水性については検討されていなかった。
特許文献2に開示された技術においては、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりが十分でない場合があった。
特許文献3に開示された技術においては、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりや経時安定性が十分でない場合があった。また、耐水性については検討されていなかった。
【0005】
紫外線防御効果を有する水中油型乳化組成物は、日焼け止め料やファンデーションなどの日焼け止め用途の化粧料に用いられ、これら化粧料は、体のみではなく顔へも使用されることから、軽い仕上がりを求めるお客様が多い。このような背景から、肌への負担感がなく、繰り返し使用したいと感じるような良好な使用感が好まれており、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりが強く求められている。
従って本発明は、高い紫外線防御効果及び耐水性を有しながらも、経時安定性に優れ、さらに、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりに優れる水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
高い紫外線防御効果を発揮するためには、多量の紫外線防御因子を配合する必要がある。これら紫外線防御因子を含有する水中油型乳化組成物において、安定性を確保するために耐塩性水溶性高分子が用いられる。しかしながら、従来の耐塩性水溶性高分子を用いた技術では、満足のいく塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりを具現化できなかった。そこで、本発明者らは鋭意検討する中で、セルロースナノファイバーを含有することで良好な使用性の具現化が達成できることを見出した。しかし、セルロースナノファイバーを含有した水中油型乳化組成物では、経時安定性が悪化し、安定性の担保が困難であった。
【0007】
本発明者らは、さらに鋭意検討を行ったところ、特定量の非イオン性界面活性剤及びポリアクリルアミド系化合物並びに(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)のエステル共重合体から選択される1種又は2種以上の耐塩性水溶性高分子を含有することで、高温での安定性を保ちながらも、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりに優れ、良好な使用感が得られることを見出した。さらに、本発明の水中油型乳化組成物は、耐水性低下の要因となる界面活性剤を含みながらも、高い耐水性を発揮した。これはセルロースナノファイバーの被膜性の高さから、塗布時に相分離が起こり、均一性の高い塗膜が形成されるためであると考えられる。
【0008】
また、水中油型乳化組成物において、安定性の向上等の目的でしばしば直鎖状飽和アルコールが用いられる。しかしながら、驚くべきことに本発明においては、直鎖状飽和アルコールを一定量以上配合すると、乳化状態が不安定化し、経時安定性を担保できない場合があった。これは、従来知られていない新たな課題であった。かかる実情に鑑み、本発明者らはさらに鋭意検討を行ったところ、セルロースナノファイバー、油溶性紫外線吸収剤を含む液状油、疎水化処理微粒子金属酸化物、特定量の非イオン性界面活性剤及びポリアクリルアミド系化合物並びに(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)のエステル共重合体から選択される1種又は2種以上の耐塩性水溶性高分子を含有する水中油型乳化組成物において、紫外線防御効果及び経時安定性に優れつつ、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり、耐水性にも優れることを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下を提供する。
[1]
次の成分(A)~(E);
(A)セルロースナノファイバー
(B)油溶性紫外線吸収剤を含む液状油
(C)疎水化処理微粒子金属酸化物
(D)非イオン性界面活性剤 0.2~2.5質量%
(E)ポリアクリルアミド系化合物並びに(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)のエステル共重合体から選択される1種又は2種以上の耐塩性水溶性高分子
を含有する水中油型乳化組成物である。
[2]
前記成分(A)の含有量が、0.05~1質量%である、[1]に記載の水中油型乳化組成物である。
[3]
前記成分(D)が少なくともポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、成分(D)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、50質量%以上である、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物である。
[4]
前記成分(A)に対する前記成分(E)の含有質量割合(E)/(A)が、0.1~8である、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物である。
[5]
実質的に直鎖状飽和アルコールを含有しないことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物である。
[6]
前記成分(D)がHLBの異なる少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を含有し、前記非イオン性界面活性剤のHLB加重平均値が、10~15である、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物である。
[7]
さらに、成分(F)イヌリン脂肪酸エステルを含有する、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物である。
[8]
さらに、成分(G)シリカを含有する、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物である。
[9]
前記水中油型乳化組成物が日焼け止め用途に用いる化粧料である、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水中油型乳化組成物によれば、高い紫外線防御効果及び耐水性に優れるものである。さらに、本発明の水中油型乳化組成物は、経時安定性に優れ、さらに塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにも優れるものである。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。また、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、各数値範囲(~)の上限値(以下)と下限値(以上)は、所望により、任意に組み合わせることができる。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。
【0012】
<成分(A)セルロースナノファイバー>
本発明に用いられる成分(A)セルロースナノファイバーは、繊維状のセルロースまたはその誘導体を3~1000nmに微細化したものである。本発明において成分(A)は、平均繊維径が3~1000nmであれば特に限定されず、平均繊維径は3~500nmが好ましく、3~250nmがより好ましく、3~150nmがさらにより好ましい。尚、平均繊維径は、電子顕微鏡画像を用い、水に分散させたセルロースまたはその誘導体の20本の繊維径及び繊維長を測定し、得られた測定値の算術平均値として求められる。
【0013】
成分(A)を微細化する方法は特に限定されないが、高圧ホモジナイザーやボールミルを使用する機械的解砕による方法や、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TEMPO)等のN-オキシル化合物を用いてセルロースを酸化して微細化する化学的解砕による方法、セルラーゼ等の酵素を使用する生物的解砕による方法等が挙げられる。中でも、酸化反応の際にセルロースの水酸基が酸化されて生成したカルボキシル基が耐衝撃性の向上に寄与することから、化学的解砕による方法が好ましい。天然セルロースの由来としては特に限定されず、植物、動物、微生物の産生によって生合成されるもの等が挙げられる。
【0014】
セルロース誘導体としては、TEMPO酸化セルロース、カルボキシメチル化セルロース、リン酸エステル化セルロース、亜リン酸エステル化セルロース、スルホン化セルロース、硫酸エステル化セルロース等が挙げられる。
【0015】
本発明においては、経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりの観点から、TEMPO酸化セルロース、カルボキシメチル化セルロースが好ましい。
【0016】
成分(A)において、TEMPO酸化セルロースの市販品としては、レオリスタC-2SP(第一工業製薬社製)、レオリスタC-2EP(第一工業製薬社製)、セレンピアTC-01A(王子製紙社製)、カルボキシメチル化セルロースの市販品としては、セレンピアCS-01C(王子製紙社製)、リン酸エステル化セルロースの市販品としては、AUROVISCO(王子ホールディングス社製)、亜リン酸エステル化セルロースの市販品としては、ELLEX-☆(大王製紙)、未変性セルロースとしては、ELLEX-S(大王製紙)等が挙げられる。
【0017】
本発明において成分(A)の含有量は、経時安定性等の観点から、下限として、0.05質量%(以下、「%」と略す)以上が好ましく、0.1%以上がより好ましい。また、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等の観点から、1%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.5%以下がさらにより好ましい。また、0.05~1%が好ましく、0.1~0.8%がより好ましく、0.1~0.5%がさらにより好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0018】
<成分(B):油溶性紫外線吸収剤を含む液状油>
本発明に用いられる成分(B)油溶性紫外線吸収剤を含む液状油は、液状油中に油溶性紫外線吸収剤を含むものであり、油溶性紫外線吸収剤は、水に不溶な紫外線吸収剤であれば特に制限されるものではない。ここで、液状とは、25℃、1気圧下において、B型粘度計(ローターNo.2)で測定した時の粘度値が7000mPa・s以下のものを指す。
【0019】
成分(B)の液状油は、化粧料等に一般に用いられるものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン(ミネラルオイル)、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン等の炭化水素類;アブラナ種子油、アボカド油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、オリーブ油、キウイ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、セージ油、大豆油、チャ種子油、トウモロコシ油、ナタネ油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ブドウ種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油等の動植物油;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、コハク酸ジエチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット、炭酸ジアルキル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、安息香酸アルキル(C12-15)等のエステル類;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類;ポリヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸の重合物類;オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール、2-デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール等の高級アルコール類;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン等のシリコーン油類;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類;酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
本発明において、成分(B)の液状油は、油溶性紫外線吸収剤の溶解性に優れ、紫外線防御効果や経時安定性等が好適に発揮されるという観点から、炭化水素油及び/又はエステル油であることが好ましく、炭化水素油及びエステル油であることがより好ましい。中でも、炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン(ミネラルオイル)、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテンからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましく、イソドデカンがより好ましい。また、エステル油としては、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、ジカプリン酸プロピレングリコール、安息香酸アルキル(C12-15)、アジピン酸イソプロピル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)PG、アジピン酸ジブチル、コハク酸ジエチルヘキシルからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましく、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、安息香酸アルキル(C12-15)からなる群から選択される1種又は2種以上であることがより好ましい。
【0021】
成分(B)に含まれる油溶性紫外線吸収剤は、化粧料等に一般に用いられるものであれば、特に制限されず、固形状、ペースト状、液状のいずれの性状のものでもよい。具体的には、例えば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エトキシエチル、メトキシケイヒ酸イソプロピル・ジイソプロピルケイヒ酸エステル混合物、トリメトキシケイヒ酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラジメチルアミノ酸安息香酸アミル、パラジメチルアミノ酸安息香酸2-エチルヘキシル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、オクトクリレン、ジメチルジエチルベンザルマロネート、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらのうち、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサンから選択される1種又は2種以上であることが好ましく、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンから選択される1種又は2種以上であることがより好ましい。
【0022】
さらに、成分(B)の油溶性紫外線吸収剤は、紫外線防御効果等の観点から、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンから選択される3種以上であることがさらに好ましく、4種以上であることがさらにより好ましい。ここで、3種類又は4種類の組合せは特に限定されるものではないが、例えば、3種類の場合、〔1〕メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネートの組合せ、〔2〕メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの組合せ、〔3〕メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの組合せ、〔4〕サリチル酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネートの組合せ、〔5〕サリチル酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの組合せ、〔6〕ジメチルジエチルベンザルマロネート、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、〔7〕メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの組合せ等が挙げられ、好ましくは、前記〔7〕メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの組合せである。また、4種類の場合、〔1〕’メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの組合せ、〔2〕’サリチル酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの組合せ、〔3〕’メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの組合せ等が挙げられ、好ましくは、前記〔1〕’又は〔2〕’の組合せである。
【0023】
本発明における成分(B)の含有量は、紫外線防御効果等の観点から、下限として、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、12%以上がさらに好ましい。また、経時安定性等の観点から、上限としては、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、23%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、5~30%が好ましく、10~25%がより好ましく、12~23%がさらに好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0024】
また、本発明において成分(B)中の油溶性紫外線吸収剤の含有量は、紫外線防御効果等の観点から、下限として、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、50%以上がさらにより好ましい。また、経時安定性等の観点から、上限として、100%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。また、成分(B)中の油溶性紫外線吸収剤の含有量は、20~100%が好ましく、30~80%がより好ましく、40~60%がさらに好ましく、50~60%がさらにより好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0025】
<成分(C):疎水化処理微粒子金属酸化物>
本発明に用いられる成分(C)疎水化処理微粒子金属酸化物は、疎水化処理剤を用いて微粒子金属酸化物の表面を被覆処理することにより、油相中への分散性を向上させるものである。
【0026】
本発明の微粒子金属酸化物は、UVBからUVA(290~400nm)の広範囲の紫外線を吸収、散乱、反射、消光等することにより紫外線を遮断する金属酸化物である。特に、紫外線を遮断する効果が高いという観点から、前記金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムから選択される1種又は2種以上であることが好ましく、酸化亜鉛及び/又は酸化チタンであることがより好ましく、酸化亜鉛であることがさらに好ましい。
【0027】
前記金属酸化物の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、粒状、球状、紡錘状、板状、樹枝状、バルーン状等が挙げられ、製剤中での分散性向上による白浮きの低減、紫外線防御効果や耐水性の観点から、粒状、球状、紡錘状、板状であることが好ましい。
【0028】
前記金属酸化物は、特に限定されないが、紫外線防御効果や耐水性の観点から、平均粒子径が500nm以下であることが好ましく、3nm~100nmであることがより好ましく、5nm~50nmであることがさらに好ましい。なお、本発明において、平均粒子径は透過型電子顕微鏡画像の画像解析法による平均粒子として測定することができる。
スライド硝子上で試料約10mgを1-プロパノールで練りよく分散させ、分散物を得る。分散物を引き延ばし薄膜状の試料を得る。試料の薄膜を、支持膜をはった透過型電子顕微鏡(TEM)測定用メッシュにのせる。メッシュ(乾燥塗膜)を透過型電子顕微鏡装置(S-4800、株式会社日立ハイテクノロジーズ)にセットし観察し、個々の粒子が映る乾燥塗布膜の画像を得る。この乾燥塗膜面像の画像を画像解析式粒度分布測定装置(Mac-View、株式会社マウンテック)にて測定粒子数各1000個画像処理を行い粒子径の測定を行う。
これにより、透過型電子顕微鏡(TEM)画像の画像解析により、試料(粉体)の平均粒子径D50を得ることができる。
【0029】
成分(C)の疎水化処理剤としては、化粧料、医薬部外品、医薬品等に通常用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、シリコーン処理剤、フッ素処理剤、有機チタネート処理剤、脂肪酸処理剤、レシチン処理剤、アミノ酸処理剤、アシルアミノ酸処理剤などが挙げられる。これらの中でも、耐水性や経時安定性の観点から、シリコーン処理剤、有機チタネート処理剤から選択される1種以上であることが好ましく、トリアルコキシアルキルシラン、アルキルチタネート、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンから選択される1種又は2種以上であることがより好ましく、トリエトキシカプリリルシラン、トリイソステアリン酸イソプロピルチタン、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンから選択される1種又は2種以上であることがより好ましい。
【0030】
シリコーン処理剤としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のハイドロジェン変性シリコーン類、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン類、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン等の変性シリコーン類、トリメチルシロキシケイ酸やアクリル-シリコーングラフト共重合体等のシリコーン樹脂類、シリコーンゴム類、部分又は全架橋オルガノポリシロキサン類、シリル化剤類、シランカップリング剤類等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種以上を用いることができる。中でも、紫外線防御効果や経時安定性の観点から、ハイドロジェン変性シリコーン類、鎖状シリコーン類及びシランカップリング剤からなる群から選択される1種以上であることがより好ましく、ハイドロジェン変性シリコーン類としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、鎖状シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサンであることがより好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、トリアルコキシアルキルシランが好ましい。トリアルコキシアルキルシランは、ケイ素原子に三つのアルコキシ基と一つのアルキル基が結合した化合物であり、該アルコキシ基が粉体表面の水酸基等と反応することにより、粉体表面を化学的に修飾する化合物である。該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルコキシ基は、炭素数1~3のアルコキシ基であるメトキシ、エトキシ、プロポキシ等が好ましい。また、該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルキル基は、炭素数6~18のアルキル基であるヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が好ましい。このようなトリアルコキシアルキルシランは、例えば、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキオクチルシラン、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン等が挙げられる。これらの中でも、紫外線防御効果や経時安定性、耐水性の観点から、トリメトキシオクチルシラン、トリエトキシオクチルシランからなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。
【0031】
有機チタネート処理剤としては、長鎖カルボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネート等が挙げられ、炭素数8~24のアルキル基を有するアルキルチタネートが好ましい。前記アルキルチタネートは、具体的には、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートとして、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、ピロリン酸型アルキルチタネートとして、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、亜リン酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ、アミノ酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(N-アミドエチル・アミノエチル)チタネート等が挙げられる。本発明においては、これらアルキルチタネートの中でも、紫外線防御効果や経時安定性、耐水性の観点から、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートが好ましく、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートがより好ましい。
【0032】
成分(C)における疎水化処理の方法は特に制限はなく、通常公知の方法で製造できる。例えば、溶媒に疎水化処理剤と処理を施される粉体粒子を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の疎水化処理粉体を得ることができる。また、表面処理剤である数種類の化合物を同時に表面処理することもでき、何れか一つの化合物で予め表面処理をしてから、更に他の化合物を表面処理することもできる。
【0033】
成分(C)における疎水化処理剤の質量は、特に限定されるものではないが、紫外線防御効果や耐水性、経時安定性の観点から、処理前の粉体質量に対して、上限として、60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらにより好ましく、下限として、10%以上であることが好ましく、12%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらにより好ましい。
【0034】
本発明における成分(C)の含有量は、紫外線防御効果等の観点から、下限として、5%以上が好ましく、8%以上がより好ましい。また、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等の観点から、上限として、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、12%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、5~20%が好ましく、5~15%がより好ましく、8~12%がさらに好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0035】
<成分(D)非イオン性界面活性剤>
本発明に用いられる成分(D)非イオン性界面活性剤は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エタノールアミド、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等が挙げられる。本発明において、十分な耐水性を担保するという観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0036】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(10E.O.)(HLB:6.5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)(HLB:12.5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)(HLB:14.0)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.)(HLB:15.0)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.)(HLB:12.0)等が挙げられ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(10E.O.)(HLB:6.5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.)(HLB:15.0)が好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等のポリグリセリンの水酸基の少なくとも一部が脂肪酸によりエステル化されている化合物である。成分(D)のポリグリセリン脂肪酸エステルにおける、エステル化する脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレン酸、ポリリシノレイン酸等が挙げられ、例えば、ステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB:5.0)、オレイン酸ポリグリセリル-2(HLB:5.5)、イソステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB:5.5)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB:3)、ステアリン酸ポリグリセリル-4(HLB:6)、オレイン酸ポリグリセリル-4(HLB:6.0)、トリステアリン酸ポリグリセリル-6(HLB:2.5)、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:3.5)、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:3.5)、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:3.5)、オレイン酸ポリグリセリル-10(HLB:14.0)、ラウリン酸ポリグリセリル-10(HLB:16.0)、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10(HLB:3.5)、デカステアリン酸デカグリセリル(HLB:3.0)、モノステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12.0)、トリステアリン酸ヘキサグリセリル(HLB:7)、モノステアリン酸テトラグリセリル(HLB:6)、モノステアリン酸ヘキサグリセリル(HLB:10.5)、ジステアリン酸デカグリセリル(HLB:11.0)、モノミリスチン酸トリグリセリル(HLB:12.0)、モノラウリン酸ポリグリセリル(HLB:16.0)等が挙げられ、モノステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12.0)、オレイン酸ポリグリセリル-10(HLB:14.0)、ラウリン酸ポリグリセリル-10(HLB:16.0)が好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸ソルビタン(HLB:8.6)、モノパルミチン酸ソルビタン(HLB:6.7)、モノステアリン酸ソルビタン(HLB:4.7)、セスキステアリン酸ソルビタン(HLB:4.2)、トリステアリン酸ソルビタン(HLB:2.1)、モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB:5.0)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB:4.5)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB:4.3)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB:3.7)、トリオレイン酸ソルビタン(HLB:1.7)等が挙げられ、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB:3.7)が好ましい。
【0037】
本発明において成分(D)は、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等の観点から、少なくともポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することが好ましい。さらに本発明において、成分(D)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上がさらにより好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0038】
本発明においては、経時安定性や耐水性の観点から、成分(D)はHLBの異なる少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を含有し、前記非イオン性界面活性剤のHLB加重平均値が、10~15であることが好ましい。
【0039】
本発明における成分(D)のHLB加重平均値は、下限として、10以上が好ましく、10.5以上がより好ましく、11以上がさらに好ましい。また、上限として、15以下が好ましく、14.5以下がより好ましく、14以下がさらに好ましく、13以下がさらにより好ましい。また、成分(D)のHLB加重平均値は、10~15が好ましく、10.5~14.5がより好ましく、10.5~14がさらに好ましく、11~13がさらにより好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0040】
ここで、本発明におけるHLB(Hydphile-Lipophile Balance)とは、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、小田・寺村らによる下記(式1)で計算されるものである。
HLB=「無機性値(IV)/有機性値(OV)」×10・・・(式1)
(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、11~17頁、三共出版、1984年発行参照)
【0041】
前述したように成分(D)は、HLBの異なる少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。ここで、2種類の組合せは特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルから選択される少なくとも2種がより好ましく、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を2種、ポリグリセリン脂肪酸エステルを2種、ソルビタン脂肪酸エステルを2種、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリグリセリン脂肪酸エステルの組合せ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びソルビタン脂肪酸エステルの組合せ、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルの組合せ等が挙げられる。本発明においては、経時安定性や耐水性の観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を2種、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリグリセリン脂肪酸エステルの組合せ、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルの組合せが好ましく、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等の観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリグリセリン脂肪酸エステルの組合せ、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルの組合せがより好ましい。
【0042】
本発明における成分(D)の含有量は、経時安定性等観点から、下限として、0.2%以上であり、0.3%以上が好ましく、0.4%以上がより好ましい。また、耐水性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりの観点から、上限として、2.5%以下であり、2%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.8%以下がさらにより好ましい。また、成分(D)の含有量は、0.2~2.5%であり、0.2~2%が好ましく、0.2~1.5%がより好ましく、0.3~1%がさらに好ましく、0.3~0.8%がさらにより好ましく、0.4~0.8%が特に好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0043】
<成分(E)ポリアクリルアミド系化合物並びに(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)のエステル共重合体から選択される1種又は2種以上の耐塩性水溶性高分子>
本発明に用いられる成分(E)は、ポリアクリルアミド系化合物並びに(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)のエステル共重合体から選択される1種又は2種以上の耐塩性水溶性高分子である。
【0044】
成分(E)のポリアクリルアミド系化合物としては、ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマーが含まれ、アクリルアミドコポリマーとしては、アクリルアミド及び/又はアクリロイルジメチルタウリンを構成単位として含むコポリマーが挙げられる。アクリルアミドコポリマーとしては、アクリルアミドとアクリル酸(塩)との共重合体、アクリル酸(塩)とアクリロイルジメチルタウリン(塩)との共重合体、アクリル酸ヒドロキシアルキルとアクリロイルジメチルタウリン(塩)との共重合体等が挙げられる。
【0045】
成分(E)のポリアクリルアミド系化合物としては、経時安定性等の観点から、アクリル酸(塩)とアクリロイルジメチルタウリン(塩)との共重合体、アクリル酸ヒドロキシアルキルとアクリロイルジメチルタウリン(塩)との共重合体が好ましく、アクリル酸(塩)とアクリロイルジメチルタウリン(塩)との共重合体がより好ましい。
【0046】
成分(E)のポリアクリルアミド系化合物のうち、ポリアクリルアミドの市販品としては、例えば、SEPIGEL 305(SEPPIC社製)等が挙げられ、アクリル酸(塩)とアクリロイルジメチルタウリン(塩)との共重合体としては、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが挙げられ、市販品としては、例えば、SIMULGEL EG(SEPPIC社製)等が挙げられ、アクリル酸ヒドロキシアルキルとアクリロイルジメチルタウリン(塩)との共重合体として、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが挙げられ、市販品としては、例えば、SIMULGEL FL(SEPPIC社製)等が挙げられる。これらは、必要に応じて1種または2種以上を用いることができる。
【0047】
成分(E)の(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)のエステル共重合体(以下、『エステル共重合体』と略す)は、(メタ)アクリル酸とポリオキシエチレンアルキルエーテルのエステル、及び(メタ)アクリル酸またはそれらの単純エステルの中から選ばれた1種以上のモノマーからなる共重合体である。
【0048】
前記成分(E)のエステル共重合体は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選択される単量体(a)と、(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる単量体(b)と、を共重合することにより得られる。結合様式としては、特に制限されず、ブロック結合、ランダム結合等、いずれであってもよい。また、他の単量体を含有していても良く、架橋構造を有していても良い。他の単量体を含む場合は、他の単量体は、全単量体に対して10モル%未満(下限0モル%)が好ましく、5モル%以下(下限0モル%)がより好ましく、1モル%以下(下限0モル%)がさらに好ましい。ここで、構成単位(a)、構成単位(b)の含有量は、製造段階の単量体(a)、単量体(b)の添加量と一致する。
【0049】
構成単位(a)と、構成単位(b)との含有比は特に限定されず、例えば、モル比で、構成単位(a):構成単位(b)=1:100~100:1である。
【0050】
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
【0051】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおいて、アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1~22であり、より好ましくは炭素数1~18であり、更に好ましくは1~8である。(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなどが挙げられる。
【0052】
(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルにおける、ポリオキシエチレンの付加モル数は、好ましくは10~30であり、より好ましくは12~25であり、さらに好ましくは20~25である。
【0053】
(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルにおける、アルキルエーテルのアルキル基は、好ましくは炭素数12~24であり、更に好ましくは炭素数16~22である。(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとしては、具体的には、アクリル酸とポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルとのエステル、メタクリル酸とポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルとのエステル、アクリル酸とポリオキシエチレン(25)ベヘニルエーテルとのエステル、メタクリル酸とポリオキシエチレン(25)ベヘニルエーテルとのエステルがより好ましく、メタクリル酸とポリオキシエチレン(25)ベヘニルエーテルとのエステルがさらに好ましい。なお、括弧内の数値は、酸化エチレンの付加モル数を表す。
【0054】
成分(E)のエステル共重合体としては、より具体的には、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル共重合体、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(25)べへニルエーテル共重合体などの(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体などを例示することができる。なお、括弧内の数値は、酸化エチレンの付加モル数を表す。
【0055】
中でも、成分(E)のエステル共重合体としては、経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりの観点から、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレル)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマーであることが好ましく、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマーであることがより好ましく、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマーであることがさらに好ましい。これらの市販品としては、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー)は、例えば、商品名:アキュリン(登録商標)22(ローム・アンド・ハース社製)、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(25)べへニルエーテル共重合体((アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー)は、例えば、商品名:アキュリン28(ローム・アンド・ハース社製)、商品名:NOVETHIX(登録商標) L-10(ルーブリゾール社製))などを例示することができる。
【0056】
成分(E)のエステル共重合体は、通常塩基性物質で中和して用いることができる。この際、用いられる塩基性物質としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどの無機塩基;L-アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。これらの塩基性物質は、成分(E)のエステル共重合体を中和するのに十分な量を添加すればよいが、塩基性物質の添加量は、成分(E)のエステル共重合体に対して、例えば、20~150質量%であることが好ましい。
【0057】
本発明における成分(E)の含有量は、経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりの観点から、下限として、0.01%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましい。また、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等の観点から、上限として、1%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。また、成分(E)の含有量は、0.01~1%が好ましく、0.05~0.8%がより好ましく、0.1~0.5%がさらに好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0058】
また、本発明において成分(E)のポリアクリルアミド系化合物の含有量は、経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりの観点から、下限として、0.05%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.2%以上がさらに好ましい。また、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等の観点から、上限として、1%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。また、成分(E)のポリアクリルアミド系化合物の含有量は、0.05~1%が好ましく、0.1~0.8%がより好ましく、0.2~0.5%がさらに好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0059】
本発明において成分(E)のエステル共重合体の含有量は、経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりの観点から、下限として、0.01%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましい。また、耐水性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりの観点から、上限として、0.5%以下が好ましく、0.4%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましい。また、成分(E)のエステル共重合体の含有量は、0.01~0.5%が好ましく、0.05~0.4%がより好ましく、0.1~0.3%がさらに好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0060】
本発明において、前記成分(A)及び前記成分(E)を適宜含有することで効果が得られるものではあるものの、前記成分(A)と前記成分(E)の含有質量割合を特定することにより、経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等により優れるため、より好ましい。このような成分(A)に対する成分(E)の含有質量割合(E)/(A)は、下限として、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、0.7以上がさらにより好ましい。また、上限として、8以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。また、含有質量割合(E)/(A)は、0.1~8が好ましく、0.3~5がより好ましく、0.5~4がさらに好ましく、0.7~4がさらにより好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や耐水性、さらには経時安定性や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0061】
<成分(F):イヌリン脂肪酸エステル>
【0062】
本発明においては、成分(F)イヌリン脂肪酸エステルをさらに含有することで、耐水性や経時安定性等を向上させることが可能となるためより好ましい。イヌリン脂肪酸エステルは、イヌリンと炭素数8~32の直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和脂肪酸とのエステルであり、イヌリンの平均分子量は300~10,000の範囲が好ましく、ステアリン酸イヌリンであることがより好ましい。市販品としては、レオパールISK2(千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0063】
本発明における成分(F)の含有量は、耐水性等の観点から、下限として、0.1%以上が好ましく、0.3%以上がより好ましく、0.5%以上がさらに好ましい。また、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等の観点から、上限として、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。また、成分(F)の含有量は、0.1~5%が好ましく、0.3~3%がより好ましく、0.5~2%がさらに好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりといった本願効果を発揮しつつ、経時安定性や耐水性により優れるためより好ましい。
【0064】
<成分(G):シリカ>
本発明においては、成分(G)シリカをさらに含有することで、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等を向上させることが可能となるためより好ましい。シリカとしては、通常の化粧料に用いられるものであれば球状・不定形などの形状によらず、また細孔の有無、表面処理の有無等に関わらずいずれも使用することができる。例えば無水シリカ、含水シリカ、シリル化シリカ、ジメチルシリル化シリカなどが挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。市販品としては、サイリシア770(平均粒子径6.9μm、不定形、多孔質)、550(平均粒子径3.9μm、不定形、多孔質)、320(平均粒子径3.2μm、不定形、多孔質)(以上、富士シリシア化学社製)、AEROSIL 200(平均粒子径12nm、不定形煙霧状、無孔質)、300(平均粒子径7nm、不定形煙霧状、無孔質)、380S(平均粒子径6nm、不定形煙霧状、無孔質)、R972(平均粒子径16nm、不定形煙霧状、無孔質)、R974(平均粒子径12nm、不定形煙霧状、無孔質)、R976S(平均粒子径7nm、不定形煙霧状、無孔質)、RX300(平均粒子径7nm、不定形煙霧状、無孔質)(以上、日本アエロジル社製)、サンスフェアNP-30(平均粒子径4μm、球状、無孔質)、NP-100(平均粒子径10μm、球状、無孔質)、NP-200(平均粒子径20μm、球状、無孔質)(以上、AGCエスアイテック社製)、ゴッドボール D11-796C(平均粒子径3.5μm、球状、多孔質)、E2-824C(平均粒子径1μm、球状、多孔質)(以上、鈴木油脂工業社製)等が挙げられる。
【0065】
本発明における成分(G)の形状は、特に限定されないが、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等の観点から、球状が好ましい。また、成分(G)の平均粒子径は、特に限定されないが、下限値は、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。また、上限値としては、50μm以下が好ましく、25μm以下が好ましく、15μm以下がさらに好ましい。
【0066】
本発明における成分(G)の含有量は、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり等の観点から、下限として、0.3%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、0.8%以上がさらに好ましい。また、経時安定性等の観点から、上限として、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。また、成分(G)の含有量は、0.3~5%が好ましく、0.5~3%がより好ましく、0.8~2%がさらに好ましい。この範囲とすることで、紫外線防御効果や経時安定性、耐水性といった本願効果を発揮しつつ、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにより優れるためより好ましい。
【0067】
さらに、本発明においては、経時安定性や塗布時の伸びのなめらかさの観点から、直鎖状飽和アルコールを実質的に含まないことが好ましい。直鎖状飽和アルコールとしては、化粧料一般に用いられている直鎖状の飽和高級アルコールであればよく、例えば、セチルアルコ-ル、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコ-ル、ベヘニルアルコール等が挙げられる。ここで、本発明において直鎖状飽和アルコールを実質的に含まないとは、水中油型乳化組成物中に、0.5%未満を意味しており、0.3%以下が好ましく、0.2%以下がより好ましく、0.1%以下さらに好ましく、0%(含有しないこと)がさらに好ましい。
【0068】
本発明の水中油型乳化組成物には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料、医薬部外品、医薬品等の使用される成分、水、成分(D)以外の界面活性剤、成分(B)以外の油剤、成分(F)以外のゲル化剤、成分(A)、成分(C)及び成分(G)以外の粉体、アルコール類、成分(E)以外の水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、保湿剤、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、キレート剤、成分(B)以外の紫外線吸収剤、pH調整剤、清涼剤、植物抽出物、ビタミン類、アミノ酸等の美容成分等を含有できる。
【0069】
本発明における水中油型乳化組成物は、水を含有し得るが、化粧料、医薬部外品、医薬品等に含有され得るものであれば良く、特に制限されない。水としては、精製水、温泉水、深層水、あるいは植物の水蒸気蒸留水でもよく、必要に応じて1種以上を適宜選択して用いることができる。また含有量は、特に限定されず、適宜、他の成分量に応じて含有することができるが、水中油型乳化組成物中の概ね40~85%で含有することができる。
【0070】
本発明の水中油型乳化組成物の性状としては、液状、ゲル状、乳液状、クリーム状、半固形状、固形状、ムース状等の種々の形態にて実施することが可能であり、中でもクリーム状とすることが本発明の効果を得る上で好ましい。ここで、クリーム状とは、25℃においてブルックフィールド型回転粘度計を用いて測定された粘度が50,000mPa・s以下であるものであり、好ましくは40,000mPa・s以下、より好ましくは35,000mPa・s以下、さらにより好ましくは30,000mPa・s以下である。下限として、5,000mPa・s以上であるものであり、好ましくは、10,000mPa・s以上、より好ましくは、15,000mPa・s以上、さらに好ましくは20,000mPa・s以上である。
【0071】
本発明の水中油型乳化組成物は、最終形態の製剤としてそのまま用いてもよいし、当該組成物を一部とし、さらに他の成分と混合した最終形態の製剤としてもよい。ここで、最終形態の製剤としては、化粧料が挙げられ、具体的には、乳液、クリーム、美容液、リップクリーム、日焼け止め料などのスキンケア化粧料、ファンデーション、メイクアップ下地、ほほ紅、アイシャドウ、口紅、リップグロス等のメイクアップ化粧料、ヘアリンス、ヘアクリーム、整髪料等の頭皮又は毛髪用の化粧料等、種々の化粧料にて実施することができる。本発明においては、本発明の効果をより効果的に実感できるという観点から、日焼け止め用途に用いる化粧料であることが好ましい。ここで、日焼け止め用途として、日焼け止め料(化粧水、クリーム、乳液、美容液等)、下地、ファンデーション等の紫外線防御効果を発揮するものであれば適用可能である。また、その使用方法は、手や指、コットンで使用する方法、不織布等に含浸させて使用する方法、噴霧剤、エアゾール剤として使用する方法等が挙げられる。
【0072】
前記化粧料中に含まれる本発明の水中油型乳化組成物の含有量は、特に限定されるものではないが、20~100%であることが好ましく、30~90%であることがより好ましい。
【0073】
(製造方法)
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法としては、通常公知の方法で製造可能であり、製造機器としては、一般のディスパーションのような分散・乳化機器であればいずれでもよい。例えば、成分(A)、成分(D)、成分(E)をディスパーションにて均一に混合し、そこに成分(B)、成分(C)、成分(F)を加熱溶解及び分散したものを添加混合した後に、冷却し、成分(G)を添加混合することで得ることができる。
【0074】
また、本発明は、以下の構成を採用することも可能である。
〈1〉
次の成分(A)~(E);
(A)セルロースナノファイバー
(B)油溶性紫外線吸収剤を含む液状油
(C)疎水化処理微粒子金属酸化物
(D)非イオン性界面活性剤 0.2~2.5質量%
(E)ポリアクリルアミド系化合物並びに(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)のエステル共重合体から選択される1種又は2種以上の耐塩性水溶性高分子
を含有する水中油型乳化組成物である。
〈2〉
前記成分(A)の含有量が、0.05~1質量%である、〈1〉に記載の水中油型乳化組成物である。
〈3〉
前記成分(D)が少なくともポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、成分(D)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、50質量%以上である、〈1〉又は〈2〉に記載の水中油型乳化組成物である。
〈4〉
前記成分(A)に対する前記成分(E)の含有質量割合(E)/(A)が、0.1~8である、〈1〉~〈3〉のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物である。
〈5〉
実質的に直鎖状飽和アルコールを含有しないことを特徴とする、〈1〉~〈4〉のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物である。
〈6〉
前記成分(D)がHLBの異なる少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を含有し、前記非イオン性界面活性剤のHLB加重平均値が、10~15である、〈1〉~〈5〉のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物である。
〈7〉
さらに、成分(F)イヌリン脂肪酸エステルを含有する、〈1〉~〈6〉のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物である。
〈8〉
さらに、成分(G)シリカを含有する、〈1〉~〈7〉のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物である。
〈9〉
前記水中油型乳化組成物が日焼け止め用途に用いる化粧料である、〈1〉~〈8〉のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物である。
【実施例0075】
本発明の効果を、以下の実施例及び比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0076】
実施例1~22及び比較例1~7:日焼け止め料(水中油型)
下記表1~2に示す組成の日焼け止め料(水中油型)を下記製造方法により調製し、(a)紫外線防御効果、(b)耐水性、(c)経時安定性(50℃/1M)、(d)塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり、について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1~2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
(注1)レオクリスタC-2EP(第一工業製薬社製)
(注2)セレンピアCS-01C(日本製紙社製)
(注3)CMCダイセル1390(ダイセルミライズ社製)
(注4)UVINUL MC80 (BASF社製)
(注5)ユビナール A PLUS GRANULAR (BASF社製)
(注6)TINOSORB S (BASF社製)
(注7)PARSOL SLX(DSM社製)
(注8)酸化亜鉛はMZ-500(テイカ社製)を用い、OTS・ジメチコン処理量は酸化亜鉛の質量に対して15%とした。
(注9)MZX-304OTS(テイカ社製)(平均粒子径:35nm)
(注10)MZ-500(平均粒子径:25nm)(テイカ社製)
(注11)ニッコールHCO-80(日光ケミカルズ社製)
(注12)ニッコールHCO-10(日光ケミカルズ社製)
(注13)NIKKOL Decaglyn 1-SV(日光ケミカルズ社製)
(注14)レオドール AO-15V(花王社製)
(注15)SIMULGEL EG(SEPPIC社製)
(注16)NOVETHIX(登録商標) L-10(ルーブリゾール社製))
(注17)Avalure(登録商標)Flex-6 CC Polymer(ルーブリゾール社製)
(注18)レオパール ISK2(千葉製粉社製)
(注19)ゴッドボール D11-796C(鈴木油脂工業社製)
【0079】
(製造方法)
A:成分9~12の内の20%分および成分13~15を混合し、3本ロールミルで分散処理する。
B:成分4~8、24、26を成分9~12の残りと混合し70℃で均一に溶解する。
C:成分1~3、成分17~23および成分27の一部を70℃で均一に分散する。
D:BにAを入れ、均一に分散する。
E:CにDを入れ、均一に分散する。
F:Eを室温に冷却して、成分27の残り及び成分16及び成分25を添加し、日焼け止め料(水中油型)を得た。
【0080】
(評価方法1:(a)紫外線防御効果)
各試料を、PMMA板(Labsphere社製 HELIOPLATE HD6)に2mg/cmとなるように指で塗り広げて塗布した後、20分静置したサンプルについて、SPFアナライザー(Labsphere社製 UV-2000S)を用いたSPF測定を行い、前記PMMA板上を10点測定し、得た平均値から紫外線防御効果を下記3段階判定基準にて判定した。
<3段階判定基準>
[評点の平均点] :[判定]
25以上 : ◎ (優)
10以上25未満 : 〇 (良)
10未満 : × (不可)
【0081】
(評価方法2:(b)耐水性)
各試料を、PMMA板(Labsphere社製 HELIOPLATE HD6)に2mg/cmとなるように指で塗り広げて塗布した後、20分静置したサンプルについて、SPFアナライザー(Labsphere社製 UV-2000S)を用いたSPF測定を行い、水浴前SPF値を測定した。その後、試料を塗布した基盤ごと塗布面が上に来るように25℃の水浴に浸し、水温を保ちながら15分軽く水を攪拌し続けた。その後、基盤をゆっくり取り出し、30分以上放置して乾燥させた。この作業を2回繰り返した後、再度、前記SPFアナライザーを用いて、水浴後SPF値を測定した。得られた水浴前後でのSPF値の割合(水浴後SPF測定値)/(水浴前SPF測定値)を元に、耐水性を下記3段階判定基準にて判定した。
<3段階判定基準>
[割合(水浴後SPF測定値)/(水浴前SPF測定値)] :[判定]
0.8以上 : ◎ (優)
0.6以上0.8未満 : 〇 (良)
0.6未満 : × (不可)
【0082】
(評価方法3:(c)経時安定性(50℃/1M))
各試料を、ガラス製の6号規格瓶(川口薬品工業社製)に30g入れ、50℃の恒温槽に1ヶ月間(1M)保管し、1ヵ月後の状態を観察した。その結果をもとに、経時安定性を下記3段階判定基準にて判定した。
<3段階判定基準>
[評価] :[判定]
外観の変化はほとんどみられない : ◎ (優)
分離は観察されないが、 : 〇 (可)
キメの悪化及びブツの発生のいずれか1つが観察される
分離が観察され、キメが非常に悪く、ブツがみられる : × (不可)
【0083】
(評価方法4:(d)塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がり)
各試料を、人工皮革の3×4cmの範囲に100mgを指で60秒間塗り広げ、摩擦感テスター(KES-SE)を用いて平均摩擦係数を測定した。測定条件は移動速度0.5mm/sec、測定距離20mm、加重25gとした。得られた平均摩擦係数が低いものの方が抵抗を感じることなく伸び広げられることから、なめらかな伸び広がりが得られる。各試料の平均摩擦係数(MIU)を以下の基準により判定し、塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりを下記3段階判定基準にて判定した。
<3段階判定基準>
[平均摩擦係数] :[判定]
4.0未満 : ◎ (優)
4.0以上、4.5未満 : 〇 (良)
4.5以上 : × (不可)
【0084】
表1~2の結果から明らかなように、実施例1~22の日焼け止め料(水中油型)は、比較例1~7に比べ、高い紫外線防御効果及び耐水性を有し、また経時安定性に優れ、さらには塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにも優れたものであった。また、ベヘニルアルコールを含有する実施例22の結果から、直鎖状飽和アルコールを実質的に含まないことが好ましいことが示唆された。
【0085】
一方で、成分(A)を含有しない比較例1では、経時安定性が担保できず、満足のいくものが得られなかった。
成分(A)の代わりに、ナノファイバーではない水溶性高分子のセルロースガムを用いた比較例2では、経時安定性が担保できず、満足のいくものが得られなかった。
成分(C)の代わりに、未処理の微粒子酸化亜鉛を用いた比較例3では、耐水性及び塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにおいて満足のいくものが得られなかった。
成分(D)の含有量が0.2%未満である比較例4では、経時安定性が担保できず、満足のいくものが得られなかった。
成分(D)の含有量が2.5%を超える比較例5では、耐水性及び塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにおいて満足のいくものが得られなかった。
成分(E)を含有しない比較例6では、経時安定性が担保できず、満足のいくものが得られなかった。
成分(E)の代わりに耐塩性水溶性高分子である(PEGー240/デシルテトラデセスー20/HDI)コポリマーを用いた比較例7では、経時安定性及び塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにおいて満足のいくものが得られなかった。
【0086】
実施例23:日焼け止めジェル(水中油型)
(成分) (質量%)
1.結晶セルロース 成分(A) 注1 0.2
2.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 成分(B) 注4 7
3.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル
成分(B) 注5 2
4.2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン
成分(B) 注6 2
5.ポリシリコーン-15 成分(B) 注7 1
6.イソノナン酸イソトリデシル 成分(B) 2
7.イソドデカン 成分(B) 3
8.2-エチルヘキサン酸セチル 成分(B) 5
9.ポリヒドロキシステアリン酸 成分(B) 0.25
10.トリエトキシオクチルシラン処理酸化亜鉛 成分(C) 注9 10
11.PEG-10水添ヒマシ油(HLB:6.5) 成分(D) 注12
0.05
12.ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12.0)
成分(D) 注13 0.5
13.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
成分(E) 注15 0.4
14.ステアリン酸イヌリン 成分(F) 注18 1
15.ポリメチルシルセスキオキサン 2
16.シリカ 成分(G) 注19 1
17.オリーブ油 成分(B) 0.1
18.コハク酸ジエチルヘキシル 成分(B) 注20 1
19.精製水 残量
20.エタノール 10
21.ヒアルロン酸 0.15
22.トレハロース 0.05
23.カワラヨモギエキス 0.01
(注20)CRODAMOL OSU (クローダ社製)
【0087】
(製造方法)
A:成分6~8の内の20%分および成分9、10を混合し、3本ロールミルで分散処理する。
B:成分2~5、11、12、14、17、18を成分6~8の残りと混合し、70℃で均一に溶解する。
C:成分1、13、20~23および成分19の一部を70℃で均一に分散する。
D:BにAを入れ、均一に分散する。
E:CにDを入れ、均一に分散する。
F:Eを室温に冷却して、成分19の残り及び成分15、16を添加し、日焼け止めジェル(水中油型)を得た。
【0088】
実施例23の日焼け止めジェル(水中油型)は、高い紫外線防御効果及び耐水性を有し、また経時安定性に優れ、さらには塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにも優れたものであった。
【0089】
実施例24:ファンデーション(水中油型)
(成分) (質量%)
1.結晶セルロース 成分(A) 注1 0.2
2.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 成分(B) 注4 7
3.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル
成分(B) 注5 2
4.2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン
成分(B) 注6 2
5.ポリシリコーン-15 成分(B) 注7 1
6.イソノナン酸イソトリデシル 成分(B) 2
7.イソドデカン 成分(B) 3
8.2-エチルヘキサン酸セチル 成分(B) 5
9.ポリヒドロキシステアリン酸 成分(B) 0.25
10.トリエトキシオクチルシラン処理酸化亜鉛 成分(C) 注9 10
11.PEG-10水添ヒマシ油(HLB:6.5)
成分(D) 注12 0.15
12.ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB:12.0)
成分(D) 注13 0.5
13.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
成分(E) 注15 0.5
14.セスキオレイン酸ソルビタン(HLB:3.7)
成分(D) 注12 0.05
15.シリカ処理赤酸化鉄 注21 2
16.シリカ処理黄酸化鉄 注22 2
17.シリカ処理黒酸化鉄 注23 1
18.シリカ処理セリサイト 2
19.シリカ処理酸化チタン 注24 3
20.ステアリン酸イヌリン 成分(F) 注18 1
21.タルク 2
22.シリカ 成分(G) 注19 1
23.オリーブ油 成分(B) 0.1
24.コハク酸ジエチルヘキシル 成分(B) 注20 1
25.精製水 残量
26.1,3-ブチレングリコール 2
27.エタノール 10
28.ヒアルロン酸 0.15
29.トレハロース 0.05
30.カワラヨモギエキス 0.01
(注21)シンフォライトRW-TE(日輝触媒化成社製、シリカ10%)
(注22)シンフォライトYW-TE(日輝触媒化成社製、シリカ10%)
(注23)シンフォライトBW-TE(日輝触媒化成社製、シリカ10%)
(注24)TiO MP-1133(テイカ社製)のシリカ処理(表面処理3.0%)
【0090】
(製造方法)
A:成分6~8の内の20%分および成分9、10を混合し、3本ロールミルで分散処理する。
B:成分2~5、11の一部、12、20、23、24を成分6~8の残りと混合し、70℃で均一に溶解する。
C:成分11の残り及び成分14~19、26を混合し、3本ロールミルで分散処理する。
D:成分1、13、27~30および成分25の一部を70℃で均一に分散する。
E:BにAを入れ、均一に分散する。
F:DにCを加え、さらにEを加えて乳化する。
G:Fを室温に冷却して、成25の残り及び成分21、22を添加し、ファンデーション(水中油型)を得た。
【0091】
実施例24のファンデーション(水中油型)は、高い紫外線防御効果及び耐水性を有し、また経時安定性に優れ、さらには塗布時のみずみずしくなめらかな伸び広がりにも優れたものであった。