(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095550
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】燃料コンディショニングシステム
(51)【国際特許分類】
F02C 3/28 20060101AFI20240703BHJP
F02C 3/22 20060101ALI20240703BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240703BHJP
F02C 7/224 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
F02C3/28
F02C3/22
F02C7/00 A
F02C7/224
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203048
(22)【出願日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】22383300.5
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521548777
【氏名又は名称】エアバス、オペレーションズ、ソシエダッド、リミターダ、ウニペルソナル
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS, S.L.U.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】カルロス、カサド、モンテロ
(72)【発明者】
【氏名】パブロ、マヌエル、カルデロン、ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】マリア、クルス、サマロ、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】アグスティン、ゴメス、フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ダビド、カスターニョ、デ、ラ、モタ
(57)【要約】
【課題】 燃料コンディショニングシステムを提供する。
【解決手段】 本発明は、航空機のためのコンディショニングシステムに関する。詳細には、本発明は、動力ユニット及び熱回収回路を含む、新しい構造を有するコンディショニングシステムに属する。本発明は、前記コンディショニングシステムを含む航空機及び本発明のコンディショニングシステムによって燃料を調整する方法にも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力ユニット(1)を含む、航空機のためのコンディショニングシステム(100)であって、前記動力ユニット(1)は、
- 燃料導管(3)に液体燃料を供給するように構成された燃料入口(2)、
- 前記燃料導管(3)に接続された入口(4.1)及び動力ユニット出口(5)に接続された出口(4.2)を含むエンジン(4)であって、前記動力ユニット出口(5)は、前記エンジン(4)からガスを排出するように構成される、エンジン(4)、
- 燃料入口(6.1)及び燃料出口(6.2)を含む蒸発手段(6)であって、前記燃料導管(3)の前記燃料に熱を供給し、且つ前記燃料出口(6.2)で前記燃料導管(3)の前記燃料を液体形態又は超臨界流体形態(SCF)から低温気体形態に変換するように構成される蒸発手段(6)、
- 燃料入口(7.1)及び燃料出口(7.2)を含む加熱手段(7)であって、前記蒸発手段(6)に接続され、前記燃料導管(3)の前記燃料に熱を供給するように構成される加熱手段(7)
を含み、
前記コンディショニングシステム(100)は、前記蒸発手段(6)と流体連通する熱交換器(9)を含む熱回収回路(8)及び作動流体を含み、
前記熱交換器(9)は、前記動力ユニット出口(5)に接続され、入口(9.1)及び出口(9.2)を含み、且つ前記動力ユニット出口(5)の前記排ガスから前記作動流体に熱を伝達するように構成され、
前記熱回収回路(8)は、前記熱交換器(9)から前記作動流体を介して/通して前記蒸発手段(6)に熱を供給するように構成され、及び
前記蒸発手段(6)は、前記熱回収回路(8)の前記作動流体から前記燃料導管(3)の前記燃料に熱を供給するように構成される、コンディショニングシステム(100)。
【請求項2】
前記熱回収回路(8)は、
- 第1のポンプ手段(12)、
- 前記作動流体の圧力を調節するように構成された圧力調節手段(13)
を更に含む、請求項1に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項3】
前記作動流体の前記圧力は、前記燃料導管(3)の前記燃料の圧力より高い、請求項1又は2に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項4】
前記熱回収回路(8)は、前記熱回収回路の第1の部分と、前記熱回収回路の第2の部分とを接続するように構成された第1のバイパス導管(14)を更に含み、前記第1の部分は、前記熱交換器(9)の前記入口(9.1)の上流に位置し、及び前記第2の導管の前記第2の部分は、前記熱交換器(9)の前記出口(9.2)の下流に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項5】
前記熱交換器(9)は、前記動力ユニット出口(5)の垂直断面全体を囲むように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項6】
前記加熱手段(7)は、前記蒸発手段(6)の下流及び前記エンジン(4)の上流に位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項7】
前記加熱手段(7)は、前記蒸発手段(6)の上流に位置し、及び前記エンジン(4)は、前記蒸発手段(6)の下流に位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項8】
第2のポンプ手段(10)及び第1の弁(11)を更に含み、前記第2のポンプ手段(10)及び前記第1の弁(11)は、前記動力ユニット(1)に燃料を供給するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項9】
前記蒸発手段(6)の前記燃料導管(3)及び前記熱回収回路(8)は、向流に取り付けられる、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項10】
前記蒸発手段(6)は、第2の熱交換器及び第3の熱交換器を含む、請求項1に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項11】
前記熱回収回路(8)は、少なくとも1つの温度センサ及び/又は少なくとも1つの圧力センサを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項12】
前記流体導管(3)の前記流体は、水素(H2)であり、且つ/又は前記熱回収回路(8)の前記作動流体は、窒素(N2)、ヘリウム(He)若しくは窒素(N2)とヘリウム(He)との混合物及び/又はエチレングリコール水(EGW)である、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項13】
前記蒸発手段(6)及び前記加熱手段(7)の両方は、封入され、且つ/又は前記第2のポンプ手段(10)及び前記第1の弁(11)の両方は、封入される、請求項1~12のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)を含む航空機(200)。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載のコンディショニングシステム(100)の燃料を調整する方法であって、前記航空機が地上にあるか又は飛行しているとき、
a)前記燃料導管(3)の前記燃料に追加の熱を燃料温度参照値TFHまで供給するように構成された前記加熱手段(7)を作動させるステップ、
b)前記動力ユニット(1)を稼働させるステップ、
c)前記熱回収回路(8)から前記蒸発手段(6)に熱を供給するステップ、
d)前記蒸発手段(6)から前記燃料導管(3)に熱を燃料温度参照値TFLまで供給するステップ、
e)前記加熱手段(7)によって供給される前記追加の熱を低減するステップ、
f)前記熱回収回路(8)から前記蒸発手段(6)に、前記燃料が前記燃料温度参照値TFHに到達するまで熱を供給し続けるステップ、
g)前記燃料温度参照値TFHに到達するとき、前記加熱手段(7)を停止させるステップ
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のためのコンディショニングシステムに関する。詳細には、本発明は、動力ユニット及び熱回収回路を含む、新しい構造を有するコンディショニングシステムに属する。本発明は、前記コンディショニングシステムを含む航空機及び本発明のコンディショニングシステムによって燃料を調整する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
補助動力ユニット、すなわちAPUは、推進機能と考えられない、航空機の機能にエネルギーを供給することができるエンジンであることが飛行技術分野で周知である。APUは、概して、大型航空機内に見出され、これらの航空機のテールコーン部及び/又はテールコーン部付近に位置する。
【0003】
典型的なAPUは、概して、APUの発電部である電力部、航空機のための空気圧電力を提供する負荷圧縮部及びエンジンの主軸から電力発生器に電力を伝達することを担う変速機部を含む。APUは、航空機が地上において及び飛行中に外部電力及び空気圧電力源から自律的であることを可能にすることも公知である。
【0004】
加えて、航空機内の補助動力ユニットは、前記航空機が地上にある場合、プライマリエンジンが稼働していないときにプライマリエンジンを代替するために使用され得る。APUは、通常運航中にプライマリエンジンを始動するために一時的な電力も継続し、APUは、ディスパッチ状態で故障するか、又は航空機が着陸するまで非常用電力を供給するために継続的に実施するとき、プライマリエンジンによって発生する電力を代替するために使用され得る。
【0005】
先行技術は、自動車分野で適用される水素燃焼を実施するエンジンを開示している。
【0006】
航空機のためのガスタービンの分野では、排ガスの熱回収を提供する技術も周知である。しかし、今日使用されているこれらの技法及び技術は、化石燃料エンジンに適用可能である。
【0007】
水素エンジンの公知の課題は、適切な状態でAPUのエンジンに燃料を供給するために、周囲温度及び適正な圧力まで水素燃料を調整し、且つ前記補助動力ユニットの異なる構成要素及び導管の損傷を避ける安全な燃焼を確保することに基づく。水素は、その貯蔵状態が航空分野の技法で約20Kであることに起因して、この種の燃料を消費するシステムの特定のサイズ設定及び特定の運転状態を必要とする燃料である。
【0008】
航空機内のエンジンに水素を使用する追加の公知の問題は、エンジンに燃料を供給する前に航空機内に貯蔵されたときに水素が液相であるため、相転移にも起因する。しかし、APUのエンジンが最適な手法で機能するために、液体水素は、液体から気体への相転移を通して運ばなければならない。これらの相変化は、水素が補助動力システム全体を通してその状態(温度、圧力、位相など)を変更している間、水素を安定したままに留めるような方法で設計し、サイズ設定する必要もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、コンディショニングシステムであって、航空機に実装されたとき、水素エンジンによって生成された熱、より詳細には排ガスから生成された熱を再生利用することを可能にし、航空機の特定の事例に前記システムをサイズ設定するコンディショニングシステム並びに航空機のあらゆる飛行又は地上運航において、その最適な状態で水素を維持できるコンディショニングシステムが当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、請求項1に記載のコンディショニングシステム、請求項14に記載の航空機及び請求項15に記載のコンディショニングシステムの燃料を調整する方法を提供する。従属請求項は、本発明の具体的な実施形態を開示する。
【0011】
第1の発明の態様では、本発明は、動力ユニットを含む、航空機のためのコンディショニングシステムを提供し、動力ユニットは、
- 燃料導管に液体燃料を供給するように構成された燃料入口、
- 燃料導管に接続された入口及び動力ユニット出口に接続された出口を含むエンジンであって、動力ユニット出口は、エンジンからガスを排出するように構成される、エンジン、
- 燃料入口及び燃料出口を含む蒸発手段であって、燃料導管の燃料に熱を供給し、且つ燃料出口で燃料導管の燃料を液体形態又は超臨界流体形態(SCF)から低温気体形態に変換するように構成される蒸発手段、
- 燃料入口及び燃料出口を含む加熱手段であって、蒸発手段に接続され、燃料導管の燃料に熱を供給するように構成される加熱手段
を含み、
コンディショニングシステムは、蒸発手段と流体連通する熱交換器を含む熱回収回路及び作動流体を含み、
熱交換器は、動力ユニット出口に接続され、入口及び出口を含み、且つ動力ユニット出口の排ガスから作動流体に熱を伝達するように構成され、
熱回収回路は、熱交換器から作動流体を介して/通して蒸発手段に熱を供給するように構成され、及び
蒸発手段は、熱回収回路の作動流体から燃料導管の燃料に熱を供給するように構成される。
【0012】
本発明のコンディショニングシステムは、動力ユニットを含む。一部の実施形態では、動力ユニットは、APUとも呼ばれる補助動力ユニット又は航空機に電力を送達するように構成された任意の推進システムである。APUである動力ユニットの具体的な実施形態では、前記補助動力ユニットは、地上運航及び飛行運航のために電力及び空気圧電力を送達する標準のAPU機能を提供するように構成される。コンディショニングシステムは、航空機内に設置するのにも適している。
【0013】
動力ユニットは、液体燃料を燃料導管に供給するように構成された燃料導管を含む。燃料導管は、燃料入口を用いて動力ユニットに燃料を供給し、動力ユニット出口でその他端に更に接続される。
【0014】
燃料入口に提供された燃料は、液相であり、特定の温度及び圧力状態で事前に貯蔵される。好ましい実施形態では、燃料は、20K~30Kの範囲内の一定温度で貯蔵される。燃料入口では、前記燃料は、前記温度範囲に含まれる一定温度で注入される。
【0015】
動力ユニットは、燃料入口及び燃料出口を含む蒸発手段も含む。蒸発手段は、燃料導管の燃料に熱を供給し、液体形態から気体形態に燃料導管の燃料を変換するように構成される。蒸発手段の主要機能の1つは、前記蒸発手段に入る燃料を入口温度から出口温度に調整することであり、この場合、出口温度は、入口温度より非常に高い一方、前記燃料は、液体形態又は超臨界流体形態(SCF)から低温気体形態にも燃料を変換する。
【0016】
一部の実施形態では、蒸発手段は、20K~30Kの極低温などからの温度の高勾配に対して一貫した挙動を提供することができる。好ましい実施形態では、蒸発手段の燃料入口における燃料は、超臨界流体形態(SCF)であるか又は低温気体形態になり、蒸発手段の燃料出口では、気体燃料は、周囲温度、好ましくは225K~330Kに調整される。
【0017】
動力ユニットは、蒸発手段に接続され、燃料導管の燃料に熱を供給するように構成された加熱手段を更に含む。加熱手段は、燃料入口及び燃料出口も含む。
【0018】
航空機が依然として地上にあり、動力ユニットのエンジンが依然として稼働していないとき、エンジン及び概して動力ユニット内に注入された燃料の温度は、システムが安全に作動するために、且つ温度、圧力及び位相などのその動作状態でエンジンに提供される燃料に対して低過ぎる。燃料温度が低いとき、すなわち低温で始動するこれらの状態では、エンジンは、より多くの燃料を消費し、動作状態で燃料を提供するためにより多くの熱を必要とする。従って、加熱手段は、燃料導管の燃料がこれらの動作状態の全てに達するように、必要なエネルギー及び熱を提供することを担う。
【0019】
加熱手段は、本発明のコンディショニングシステムへの支援として考えられ、これは、完全動作モードでオフにされ、コンディショニングシステムは、蒸発手段のみを用いて必要なエネルギー/熱を燃料導管の燃料に提供する。燃料導管に提供された加熱手段のエネルギーが低減し、同時に蒸発手段によって燃料導管に提供されたエネルギーが増加する。すなわち、加熱手段と蒸発手段との間の均衡は、コンディショニングシステムの能動制御、より具体的には動力ユニットの燃料と考えられる。
【0020】
有利には、加熱手段を用いて燃料を加熱することにより、補助動力ユニット又はプロペラなどの動力ユニットのあらゆる実施形態に対する最悪の始動状態と考えられるエンジンの低温始動の状態を回避する。具体的には、エンジンの低温始動は、エンジンを始動するためにより多くの燃料が必要であると同時に、このときに加熱手段からより多くの熱を必要とするため、動力ユニットに対して最悪の始動状態である。
【0021】
一部の実施形態では、加熱手段は、加熱手段を用いて燃料導管の燃料に熱が提供される一方、動力ユニットの発生した電力と無関係であるように加熱手段にエネルギーを確実に提供する専用の外部電池を含む。加えて、専用の外部電池を有することにより、航空機は、自律型であると考えられる。
【0022】
動力ユニットは、燃料導管に接続された入口及び動力ユニット出口に接続された出口を含むエンジンも含む。動力ユニット出口は、エンジンからガスを排出するように構成される。
【0023】
一部の実施形態では、本発明のエンジンは、ガスタービンである。
【0024】
一部の実施形態では、動力ユニット出口は、消音装置又はマフラを含む。
【0025】
本発明のコンディショニングシステムは、熱回収回路も含む。熱回収回路は、動力ユニットの蒸発手段と流体連通する、動力ユニットの排ガスから熱を回収する熱交換器を含む。熱回収回路は、流体が熱回収回路内で再循環すると理解される作動流体も含む。熱回収回路は、燃料及び作動流体が決して直接接触しないか又は混ざらない独立した閉回路とも考えられる。
【0026】
熱交換器の長さにより、圧力降下が確実に最小になる。一部の実施形態では、熱交換器は、ピロープレート熱交換器、すなわちPPHEである。
【0027】
加えて、熱交換器は、動力ユニットの始動段階において無効の又は低い性能稼働率を有するが、熱回収回路性能、従って動力ユニット性能全体を最適化するために、その作動状態にできる限り迅速に達することが依然として必要である。
【0028】
熱回収回路は、動力ユニットの排ガスから蒸発手段を用いて燃料導管の燃料に作動流体熱を供給するように構成される。すなわち、蒸発手段の燃料導管及び熱回収回路は、熱回収回路から再循環された前記熱を伝達するために共通の表面を共有する。
【0029】
有利には、共通の表面を有する蒸発手段及び熱回収回路の一部は、本発明のコンディショニングシステムのサイズ設定全体の利益を得る小型形状を有する。好ましい実施形態では、蒸発手段内の燃料導管と接触する熱回収回路の前記一部は、複数のS字カーブ形状を有する。
【0030】
コンディショニングシステムの動力ユニットが、作動状態、すなわち稼働している間又は蒸発手段の燃料入口付近に位置する動力ユニットの燃料導管と作動流体が接触する第1の点である、この特定の場所における作動流体の温度より、燃料が実質的に低い温度である燃料導管と接触したとき、前記作動流体が凍結することを回避するために、コンディショニングシステムの動力ユニットが稼働していない間、熱回収回路の作動流体は、常に再生利用されて動く。
【0031】
熱回収回路の熱交換器は、動力ユニット出口に接続され、動力ユニット出口の排ガスから熱回収回路内の作動流体に熱を伝達するように構成される。有利には、熱交換器は、動力ユニットの機能が発生した排ガスからのほとんどの熱を利用するために、動力ユニット出口の垂直断面全体を網羅する。
【0032】
熱回収回路は、作動流体から蒸発手段を用いて流体導管の流体に熱を伝達するようにも構成されるが、前記熱回収回路は、閉回路であるため、燃料導管から物理的に分離され、従ってエンジンから分離される。従って、動力ユニットの燃料導管又は熱回収回路のいずれかが損傷した場合、動力ユニットの要素のいずれか1つ又は熱回収回路の要素のいずれか1つの維持管理又は修理を行うために、一方を他方から分離する必要はない。その上、熱回収回路は、エンジン回転と無関係に作動可能であり、動力ユニットのエンジンを作動する前又は後にも必要に応じて作動可能である。
【0033】
有利には、熱回収回路は、動力ユニット、より具体的には燃料導管への熱支援である。
【0034】
熱交換器は、動力ユニット出口の排ガスから最も早い時期又はエンジンが稼働する前に熱を得るために、動力ユニットが稼働すると直ちに始動するため、熱回収回路は、作動流体及び蒸発手段を用いて、できる限り速く燃料導管の燃料に熱を提供し、こうして加熱手段から支援されずに作動状態を達成するために、蒸発手段が、動力ユニットのエンジンに必要な燃料導管の燃料に独立して熱を提供することができると、可能な最短時間で加熱手段を止めることを目指す。それは、燃料が225K~330Kの温度に達するときである。
【0035】
一部の実施形態では、燃料入口、並びに/又は蒸発手段の入口及び出口、並びに/又は加熱手段の入口及び出口、並びに/又はエンジンの入口、並びに/又は熱交換器の入口及び出口は、不活性手段を含む。
【0036】
不活性手段は、封入領域内に注入される不活性ガスを生成することができるシステムであるため、前記領域は、例えば、これらの封入領域に位置する要素の最終的な漏れについて又は前記封入領域内に火が存在しても安全性を高める。
【0037】
有利には、本発明のコンディショニングシステムは、225K~330Kにおいて、動力ユニットが機能するときに常に要求温度で動力ユニットのエンジンに燃料を提供する。従って、本発明のコンディショニングシステムは、圧力及び温度などの燃料状態を常に正確に制御することができる。
【0038】
具体的な実施形態では、熱回収回路は、
- 第1のポンプ手段、
- 作動流体の圧力を調節するように構成された圧力調節手段
を更に含む。
【0039】
第1のポンプ手段は、熱回収回路内の作動流体の循環流にわたって作動することができ、前記作動流体は、熱回収回路内で常に流れる。
【0040】
一部の実施形態では、第1のポンプ手段は、圧力調節手段の下流に位置する。一部の他の実施形態では、第1のポンプ手段は、圧力調節手段の上流に位置する。
【0041】
一部の実施形態では、熱回収回路内の作動流体の圧力は、第1のポンプ手段のエネルギー消費を最小にするため、熱回収システムが管理できる範囲で高い値に設定される。第1のポンプ手段の機能及び制御は、エンジン機能と無関係である。
【0042】
一部の実施形態では、作動流体の圧力は、常に1.5MPa~6MPaの範囲内、好ましくは2.2MPaである。
【0043】
一部の実施形態では、第1のポンプ手段は、動力ユニットのエンジンに機械的に接続される。
【0044】
有利には、第1のポンプ手段は、作動流体が熱回収回路内で循環するように、前記作動流体に圧力の少なくとも最小デルタを提供する。一部の実施形態では、圧力の最小デルタは、0.2MPa以上であり、前記デルタは、好ましくは、できるだけ低い。
【0045】
具体的な実施形態では、作動流体の圧力は、流体導管の流体の圧力より高い。
【0046】
具体的な実施形態では、熱回収回路(8)は、熱回収回路の第1の部分と、熱回収回路の第2の部分とを接続するように構成された第1のバイパス導管を更に含み、第1の部分は、熱交換器の入口の上流に位置し、及び第2の導管の第2の部分は、熱交換器の出口の下流に位置する。
【0047】
有利には、第1のバイパスは、熱交換器のちょうど入口及び出口における作動流体の温度の制御及び活性システムとして作動する。
【0048】
具体的な実施形態では、熱回収回路は、熱回収回路の第3の部分と、熱回収回路の第4の部分とを接続するように構成された第2のバイパス導管を更に含み、第3の部分は、蒸発手段と熱回収回路の第1の部分との間に位置し、及び熱回収回路の第4の部分は、熱回収回路の第2の部分と蒸発手段との間に位置する。
【0049】
具体的な実施形態では、第1のバイパス導管は、第1のバイパス弁を含み、第2のバイパス導管は、第2のバイパス弁を含む。
【0050】
具体的な実施形態では、熱交換器は、動力ユニット出口の垂直断面全体を囲むように構成される。
【0051】
動力ユニット出口の領域を熱交換器で完全に囲むことにより、動力ユニット出口によって生成された熱に対して作動流体に伝達されたほとんどの熱を確実に利用する。
【0052】
具体的な実施形態では、加熱手段は、蒸発手段の下流及びエンジンの上流に位置する。
【0053】
有利には、蒸発手段の下流に加熱手段を配置することにより、加熱手段の入口に提供された燃料は、蒸発手段の入口における燃料より高温で注入される。従って、必要な高温の加熱性能による加熱手段の損傷の可能性及び燃料が低温であることに起因する燃料導管の最終的な損傷を回避する。
【0054】
より具体的な実施形態では、加熱手段とエンジンとの間の導管は、可撓性ホースである。
【0055】
具体的な実施形態では、加熱手段は、蒸発手段の上流に位置し、及びエンジンは、蒸発手段の下流に位置する。
【0056】
より具体的な実施形態では、蒸発手段とエンジンとの間の導管は、可撓性ホースである。
【0057】
有利には、この特定の配置により、燃料は、始動工程中にコンディショニングシステムが低温であるときでも加熱され、こうして熱回収回路、具体的には作動流体が凍結することを防ぐ。
【0058】
具体的な実施形態では、コンディショニングシステムは、第2のポンプ手段及び弁を更に含み、第2のポンプ手段及び弁は、動力ユニットに燃料を供給するように構成される。
【0059】
ポンプ手段は、動力ユニットに入る前に液体形態で燃料の圧力を上昇させる。弁は、燃料入口から動力ユニットへの燃料の経路を開閉する機能をシステムに提供する。
【0060】
好ましくは、第2のポンプ手段は、弁の上流に位置し、弁は、動力ユニットの燃料入口の上流に位置する。また、好ましくは、第2のポンプ手段及び弁は、両方とも機械式である。
【0061】
具体的な実施形態では、蒸発手段の燃料導管及び熱回収回路は、向流に取り付けられる。
【0062】
蒸発手段の燃料導管を熱回収回路に向流に取り付けることにより、熱回復回路の作動流体によって提供されたほとんどの熱を、燃料導管の燃料がより低温である蒸発手段の入口に供給することができる。作動流体の温度は、熱回収回路内で低減するが、熱を燃料導管の燃料に伝達するため、その温度が上がり、液体形態から気体形態への燃料の相変化を促進する。熱回収回路は、蒸発手段の出口まで燃料導管に接続されたままであり、この場合、燃料導管の燃料の温度は、入口におけるその温度より高く、その位相が変化し、更に作動流体の温度は、蒸発手段の入口と接触するときより蒸発手段の出口と接触する点で低い。
【0063】
有利には、蒸発手段の燃料導管及び熱回収回路は、作動流体と燃料との間に最適化された熱伝達を提供するために向流に取り付けられる。
【0064】
具体的な実施形態では、蒸発手段は、第2の熱交換器及び第3の熱交換器を含む。
【0065】
本明細書全体において、熱回収回路の熱交換器は、第1の熱交換器と考えられる。
【0066】
この具体的な実施形態では、第2の熱交換器は、作動流体がその最高温度にある点である、第1の熱交換器の下流に位置する。他端では、第2の熱交換器は、燃料が本発明のコンディショニングシステム内のその最低温度にある点である、燃料入口の下流にも位置する。こうして第2の熱交換器は、作動流体と燃料との間に温度デルタを提供し、これは、相変化、すなわち液体形態又は超臨界流体形態(SCF)から低温気体形態に変化を開始するために、燃料導管のこの特定の場所で燃料の特定の容量を変化させる。
【0067】
同じ具体的な実施形態では、第3の熱交換器は、第2の熱交換器の下流に位置し、作動流体と燃料導管の燃料との間の残余の温度デルタが、その相変化後に燃料を過熱させることができるように、熱回収システムと燃料導管との間に別の接触点を提供する。
【0068】
具体的な実施形態では、熱回収回路は、少なくとも1つの温度センサ及び/又は少なくとも1つの圧力センサを含む。
【0069】
熱回収回路に沿って圧力を制御することにより、熱回収回路に沿って作動流体の圧力を確実に正確に監視し、こうして燃料導管の燃料の調整を最適化することにより、本発明のコンディショニングシステムによって提供された能動制御を確実にする。
【0070】
具体的な実施形態では、流体導管の流体は、水素(H2)であり、且つ/又は熱回収回路の作動流体は、窒素(N2)、ヘリウム(He)若しくは窒素(N2)とヘリウム(He)との混合物及び/又はエチレングリコール水(EGW)である。
【0071】
一部の実施形態では、流体導管の流体は、純水素である。
【0072】
一部の他の実施形態では、流体導管の流体は、水素と、メタン、プロパン、ブタンなどの燃料との混合物である。混合物である流体導管の流体の具体的な場合、水素は、混合物の大半である。
【0073】
具体的な実施形態では、蒸発手段及び加熱手段の両方は、封入され、且つ/又は第2のポンプ手段及び弁の両方は、封入される。
【0074】
有利には、蒸発手段及び加熱手段又は第2のポンプ手段及び弁などのコンディショニングシステムの一部の特定の要素を封入することにより、これらの重要な要素が配置されている燃料導管から燃料が漏れた場合にコンディショニングシステムの残余を保護する。
【0075】
第2の発明の態様では、本発明は、本発明の第1の発明の態様によるコンディショニングシステムを含む航空機を提供する。
【0076】
第3の発明の態様では、本発明は、本発明の第1の発明の態様によるコンディショニングシステムの燃料を調整する方法を提供し、方法は、航空機が地上にあるか又は飛行しているとき、
a)燃料導管の燃料に追加の熱を燃料温度参照値TFHまで供給するように構成された加熱手段を作動させるステップ、
b)動力ユニットを稼働させるステップ、
c)熱回収回路から蒸発手段に熱を供給するステップ、
d)蒸発手段から燃料導管に熱を燃料温度参照値TFLまで供給するステップ、
e)加熱手段によって供給される追加の熱を低減するステップ、
f)熱回収回路から蒸発手段に、燃料が燃料温度参照値TFHに到達するまで熱を供給し続けるステップ、
g)燃料温度参照値TFHに到達するとき、加熱手段を停止させるステップ
を含む。
【0077】
好ましい実施形態では、加熱手段は、蒸発手段の下流に位置する。
【0078】
一部の実施形態では、温度参照値TFHは、燃料温度参照値TFL以下である。
【0079】
ステップa)では、加熱手段は、加熱手段の下流に位置する燃料導管及びコンディショニングシステムのエンジンを損傷することを回避するために、燃料の温度が温度参照値TFHに達するように、燃料導管の燃料に追加の熱を供給するように作動される。
【0080】
一部の実施形態では、温度参照値TFHは、225K~330K、好ましくは約288Kである。
【0081】
ステップc)及びd)では、動力ユニットが稼働し、排ガスがAPUのエンジンによって発生された後、熱回収回路は、作動流体及び蒸発手段を介して燃料導管の燃料に熱を供給する。方法のこのステップでは、燃料導管の燃料の温度は、燃料温度参照値TFLに到達するまで上昇される。
【0082】
一部の実施形態では、燃料温度参照値TFLは、225Kである。
【0083】
本発明の第1の発明の態様の方法のステップe)では、加熱手段及び熱回収回路の両方は、燃料導管の燃料に熱を提供する。具体的には、加熱手段の出口では、燃料温度参照値TFLは、本発明のコンディショニングシステムにより燃料温度参照値TFL、好ましくは288Kに常に正確に維持される。
【0084】
更にステップe)では、熱回収回路及び加熱手段の両方は、燃料導管の燃料に熱を供給するが、熱回収回路によって供給される熱が増加する一方、加熱手段によって供給される熱は、それに対応して低減もする。具体的には、蒸発手段の出口における燃料導管の燃料の温度が燃料温度参照値TFL以上であるが、依然として温度参照値TFHより低いとき、加熱手段によって供給される追加の熱は、低減する。具体的な実施形態では、蒸発手段の出口における燃料導管の燃料の温度が225K~330Kの範囲、好ましくは約288Kであるとき、加熱手段が作動され、燃料導管に供給された追加の熱が低減する。
【0085】
本方法のステップg)では、加熱手段は、熱回収回路がそれ自体により燃料導管の燃料の温度を温度参照値TFHに維持することができると停止される。具体的な実施形態では、蒸発手段の出口における温度参照値TFHが288Kであるときである。
【0086】
有利には、本発明の方法は、エンジンが最適な手法で機能するように、コンディショニングシステムの燃料に必要な温度を常に正確に維持させる。
【0087】
第3の発明の態様の具体的な実施形態では、第2のポンプ手段は、燃料圧力参照値PFにおける燃料を動力ユニットに供給するように構成され、第1のポンプ手段及び圧力調節手段は、作動流体を作動流体圧力参照値PWFに維持するように構成される。
【0088】
一部の実施形態では、燃料圧力参照値PFは、1.25MPaである。
【0089】
一部の実施形態では、作動流体圧力参照値PWFは、常に1.5MPa~6MPaの範囲、好ましくは2.2MPaである。
【0090】
有利には、本発明の方法は、エンジンが最適な手法で機能するように、コンディショニングシステムの燃料に必要な圧力も常に正確に維持させる。
【0091】
本明細書(特許請求の範囲、明細書及び図面を含む)に記載された全ての特徴及び/又は記載された方法の全てのステップは、そのような互いに相容れない特徴及び/又はステップの組合せを除いて、あらゆる組合せで組み合わされ得る。
【0092】
本発明のこれら及び他の特性及び利点は、図面を参照して本発明の好ましい実施形態から明らかになり、単に例として与えられ、それに限定されない本発明の詳述に鑑みて明瞭に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】本発明によるコンディショニングシステムの一実施形態を示す。
【
図2】本発明の回収回路などの回収回路なしに、加熱手段によって供給される電力及びシステムの加熱手段の電力を表すグラフを示し、全ては、本発明の一実施形態によるエンジンの軸速度に関する。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図1は、本発明の一実施形態による航空機のためのコンディショニングシステム(100)の概略図を示す。
【0095】
図1の実施形態では、コンディショニングシステム(100)は、燃料入口(2)と、燃料導管(3)と、エンジン(4)と、動力ユニット出口(5)と、蒸発手段(6)と、加熱手段(7)とを含む動力ユニット(1)を含む。一部の実施形態では、動力ユニット(1)は、補助動力ユニット、すなわちAPUである。一部の他の実施形態では、動力ユニット(1)は、プロペラである。
【0096】
一部の実施形態では、燃料は、水素である。好ましい実施形態では、水素は、動力ユニット(1)内に注入される前に20Kで貯蔵され、本発明のコンディショニングシステム(100)は、エンジン(4)に入る前の水素の温度が常に288Kであるように、水素に熱を提供する。これも好ましい実施形態であるが、燃料、好ましくは水素は、1.25MPaでコンディショニングシステム(100)に注入される。
【0097】
燃料入口(2)は、燃料導管(3)に液体燃料を供給し、燃料導管(3)は、燃料入口(2)をエンジン(4)に接続するように構成される。エンジン(4)は、動力ユニット出口(5)に接続された入口(4.1)及び出口(4.2)を含む。動力ユニット出口(5)は、エンジン(4)から出るガスを排出するように構成される。具体的な実施形態では、エンジン(4)は、ガスタービンである。
【0098】
次いで、
図1の実施形態では、蒸発手段(6)は、燃料導管(3)により燃料入口(2)に接続され、燃料入口(6.1)及び燃料出口(6.2)を含む。蒸発手段(6)は、燃料導管(3)の燃料に熱を供給し、且つ燃料導管(3)の燃料を液体形態から気体形態に変換するように構成される。一部の実施形態では、蒸発手段(6)内に注入された燃料は、蒸発手段(6)の燃料出口(6.2)で気体形態に完全に変換される。
【0099】
図1に示されていない一部の実施形態では、蒸発手段(6)は、第2の熱交換器及び第3の熱交換器を含む。
【0100】
図1では、コンディショニングシステム(100)の動力ユニット(1)は、蒸発手段(6)の下流に位置する加熱手段(7)も含む。加熱手段(7)は、燃料導管(3)により蒸発手段(6)の燃料出口(6.2)に接続された燃料入口(7.1)を含み、加熱手段(7)は、燃料出口(7.2)も含む。加熱手段(7)は、燃料導管(3)の燃料に熱を供給するように構成される。具体的には、加熱手段(7)は、燃料導管(3)の燃料に追加の熱を提供する。加熱手段(7)は、エンジンが依然として稼働していないとき、燃料導管(3)の燃料に提供された熱が、加熱手段(7)に由来するような方法でコンディショニングシステム(100)への支援と考えられ、後にコンディショニングシステム(100)が完全な作動モードになったとき、熱回収回路(8)の作動流体から燃料導管(3)の燃料に伝達された熱は、加熱手段(7)が提供した熱が加熱手段(7)を停止することができるまで低減するような方法において、燃料導管(3)の燃料を加熱するために必要な総熱を網羅する。
【0101】
一部の他の実施形態では、加熱手段(7)は、蒸発手段(6)の上流に位置する。
【0102】
一部の実施形態では、加熱手段(7)は、加熱手段(7)の機能がコンディショニングシステム(100)の要素の残余と無関係であるように専用電池を備える。
【0103】
一部の実施形態では、蒸発手段(6)及び加熱手段(7)は、コンディショニングシステム(100)の残余を損傷するはずである、蒸発手段(6)及び/又は加熱手段(7)の封入の外側に漏れることを回避するためにも封入される。
【0104】
図1の実施形態に戻ると、燃料導管(3)は、加熱手段(7)の燃料出口(7.2)をエンジン(4)の入口(4.1)に接続する。
【0105】
一部の実施形態では、加熱手段(7)とエンジン(4)との間の燃料導管(3)は、可撓性ホースである。
【0106】
図1に描かれたコンディショニングシステム(100)は、熱回収回路(8)も含む。熱回収回路(8)は、蒸発手段(6)と流体連通する熱交換器(9)及び作動流体を含む。作動流体は、作動流体圧力参照値P
WFで熱回収回路(8)全体に沿って流れている。
【0107】
熱交換器(9)は、動力ユニット出口(5)に接続され、入口(9.1)及び出口(9.2)を含む。熱交換器(9)は、動力ユニット出口(5)の排ガスから熱回収回路(8)内に位置する作動流体に熱を伝達するように構成される。熱交換器(9)は、熱交換器(9)から蒸発手段(6)に作動流体も供給するように構成され、蒸発手段(6)は、熱回収回路(8)の作動流体から燃料導管(3)の燃料に作動流体熱を供給するように構成される。
【0108】
好ましくは、熱交換器(9)は、最高熱がエンジン(4)の排ガスから発生され、熱回収回路(8)の作動流体に伝達されるように、動力ユニット出口(5)の全領域を網羅するように構成される。
【0109】
好ましくは、熱回収回路(8)の作動流体は、窒素(N2)、若しくはヘリウム(He)、若しくは窒素(N2)とヘリウム(He)との混合物及び/又はエチレングリコール水(EGW)でもある。
【0110】
図1にも描かれた実施形態では、熱回収回路(8)は、熱回収回路(8)内で作動流体の循環流にわたって作動する、蒸発手段(6)の下流に位置する第1のポンプ手段(12)を含む。第1のポンプ手段(12)の機能及び制御は、エンジン(4)と無関係である。同じ実施形態では、熱回収回路(8)は、第1のポンプ手段(12)の下流に位置し、熱回収回路(8)内の作動流体の圧力を調節するように構成された圧力調節手段(13)を示す。第1のポンプ手段(12)は、作動流体が熱回収回路(8)内で流れるのに必要な圧力の最小デルタを提供する役割も果たす。
【0111】
一部の実施形態では、作動流体の圧力は、流体導管(3)の流体の圧力より高い。
【0112】
図1にも描かれた実施形態では、熱回収回路(8)は、熱回収回路の第1の部分と、熱回収回路の第2の部分とを接続するように構成された第1のバイパス導管(14)を含む。第1の部分は、熱交換器(9)の入口(9.1)の上流に位置し、及び第2の導管の第2の部分は、熱交換器(9)の出口(9.2)の下流に位置する。
【0113】
好ましい実施形態では、熱交換器(9)は、ピロープレート熱交換器型である。ピロープレート熱交換器は、共通の熱交換器より小型の構造及び低い重量で高性能を提供する一方、良好な構造の安定性を提供する。
【0114】
一部の他の実施形態では、熱回収回路(8)は、熱回収回路(8)の第3の部分と、熱回収回路(8)の第4の部分とを接続するように構成された第2のバイパス導管を含む。第3の部分は、蒸発手段(6)と熱回収回路(8)の第1の部分との間に位置し、及び熱回収回路(8)の第4の部分は、熱回収回路(8)の第2の部分と蒸発手段(6)との間に位置する。
【0115】
図1の実施形態では、コンディショニングシステム(100)は、両方とも動力ユニット(1)に燃料を供給するように構成された第2のポンプ手段(10)及び弁(11)を更に含む。具体的には、第2のポンプ手段(10)は、入口(2)において動力ユニット(1)内に燃料注入の圧力を維持する役割を果たす。弁(11)は、維持管理を行う場合又は動力ユニット(1)内の燃料の入口を閉じる必要があるいかなる場合でもコンディショニングシステム(100)を開閉することができる。
【0116】
図1にも描かれた実施形態では、第2のポンプ手段(10)及び弁(11)は、封入され、それにより、第2のポンプ手段(10)及び弁(11)の両方が、漏れの高い危険性をもつ重大な要素と考えられるとき、封入領域の外側への燃料のいかなる漏れも回避される。
【0117】
一部の実施形態では、蒸発手段(6)の燃料導管(3)及び熱回収回路(8)は、向流に取り付けられる。燃料導管(3)及び熱回収回路(8)を向流に取り付けることにより、コンディショニングシステム(100)は、作動流体の温度では蒸発手段(6)の燃料出口(6.2)と接触したときより高く、作動流体の温度が蒸発手段(6)の燃料入口(6.1)と接触した熱回収回路(8)の部分より低いように、燃料導管(3)の燃料と熱回収回路(8)の作動流体との間の熱交換を向上させる。有利には、向流では、作動流体の温度と、蒸発手段(6)内の燃料の温度との間の2つの対応する点に対する温度のデルタは、正であり、これにより作動流体から燃料に確実に最適な熱伝達をする。
【0118】
図1に示されていない一部の実施形態では、熱回収回路(8)は、少なくとも1つの温度センサ及び/又は少なくとも1つの圧力センサを含む。好ましくは、蒸発手段(6)に熱を供給する前後且つ熱交換器(9)の前後である。
【0119】
燃料を調整する方法
図1の実施形態では、燃料は、好ましくは、1.25MPaの燃料圧力参照値P
Fにおいて液体形態で動力ユニット(1)の入口(2)を通して注入される。第2のポンプ手段(10)は、燃料を供給し、コンディショニングシステム(100)の作動モード中、燃料導管(3)内の燃料が燃料圧力参照値P
Fであるように常に維持するように構成される。
【0120】
平行して、動力ユニットが稼働すると、第1のポンプ手段(12)及び熱回収回路(8)の圧力調節手段(13)は、作動流体を好ましくは2.2MPaの圧力参照値PWFに維持するように構成される。
【0121】
本発明のコンディショニングシステム(100)は、本明細書で以前に記載された方法を通して、燃料導管(3)の燃料の温度及び圧力状態を常に正確な手法で維持できる。
【0122】
その意味において、熱回収回路(8)は、この段階で排ガスがないため、コンディショニングシステム(100)の動力ユニット(1)の開始で直ちに排ガスから熱を発生することができないため、加熱手段(7)は、燃料が燃料温度参照値TFHに達するまで、燃料導管(3)の燃料に追加の熱を供給するために作動される。具体的には、加熱手段(7)は、こうして燃料が好ましくは288Kの燃料温度参照値TFHに達するまで、燃料導管(3)の燃料に必要な熱の全てを供給することを担う。
【0123】
概して、熱回収回路(8)は、エンジン(4)によって発生され、熱交換器(9)を用いて作動流体に前記熱を伝達された排ガスにより、一層多くの熱を提供することができる。この段階では、作動流体により燃料導管(3)の燃料に提供された熱は、燃料温度参照値TFHに達成するほど十分ではない。すなわち、加熱手段(7)は、好ましくは、288Kの前記燃料温度参照値TFHに達するのに必要な熱エネルギーを完全に補充する一方、熱回収回路(8)は、依然として完全に作動可能ではない。
【0124】
蒸発手段(6)の出口における温度が好ましくは225Kの燃料温度参照値TFL以上になると、加熱手段(7)によって提供された追加の熱は、徐々に低減する。換言すると、排ガスによって発生された熱は、増加し、熱交換器(9)は、熱回収回路(8)の作動流体により多くの熱を伝達することができ、その結果、前記熱回収回路(8)は、燃料導管の燃料により多くの熱を常に提供することができる。
【0125】
最後に、蒸発手段(6)の出口における温度が好ましくは288Kの燃料温度参照値TFHに等しいとき、加熱手段(7)は、停止され、それにより、燃料導管(3)の燃料の温度は、熱回収回路(8)自体によって提供され、ある程度、動力ユニット(1)のエンジン(4)によって発生された排ガスによって提供された熱に完全に依存する。
【0126】
図2は、2本の線を描くグラフである。第1の線、底部の線は、エンジン軸速度に対して加熱手段によって提供された電力を表す。第2の線、上部の線は、好ましくは最適な状態で稼働するまで作動する軸速度に対して必要な電力を表す。
【0127】
図2に示されたように、動力ユニットを稼働させる点と考えられる0%の近くでは、加熱手段は、エンジンが始動できるように、エンジンが必要とする総電力又はほぼ総電力を提供することができ、それにより、エンジンは、熱回収回路に十分な電力を提供するために、十分な排ガスを生成しないときを除いて始動し得る。エンジンから必要な電力が軸速度の50%を超えると、エンジン動力ユニットから必要な電力は、顕著に増加する。エンジン軸速度の0%~50%では、加熱手段は、燃料がその最適な状態になり、動力ユニットのエンジン内に注入されるために必要な追加の電力/熱を提供することにより補充し、支援として作用する。
【0128】
本発明の特定の場合、
図2に示されたように、第1の線と第2の線との間のデルタは、熱回収回路によって発生され、排ガスの熱から回復し/再生利用した蒸発手段によって生成された電力である。エンジンが、
図2のグラフに示されたように軸速度の50%を過ぎて十分な排ガスを生成すると、本発明のコンディショニングシステムは、熱回収システムによって提供された電力により多く依存し、加熱手段にあまり依存しない段階に入る。それは、
図2の軸速度の50~100%で表しているものである。
【0129】
具体的には、エンジン軸速度の50%に達した後、加熱手段の電力は、0になる傾向がある。それは、本発明のコンディショニングシステムの熱回収回路が、加熱手段の補助なしに機能するためにエンジンに必要とされる総電力を提供することができるときである。従って、加熱手段は、エンジンがその最適な稼働状態に達成すると停止され、熱回収システムは、十分な熱を発生し、エンジン軸速度に必要な総電力が100%であるように、排ガスから十分な熱を再生利用することを担う。
【符号の説明】
【0130】
1 動力ユニット
2 燃料入口
3 燃料導管
4 エンジン
4.1 入口
4.2 出口
5 動力ユニット出口
6 蒸発手段
6.1 燃料入口
6.2 燃料出口
7 加熱手段
7.1 燃料入口
7.2 燃料出口
8 熱回収回路
9 熱交換器
9.1 入口
9.2 出口
10 第2のポンプ手段
11 弁
12 第1のポンプ手段
13 圧力調節手段
14 第1のバイパス導管
100 コンディショニングシステム
200 航空機