(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095553
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電力制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240703BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240703BHJP
H02H 7/122 20060101ALI20240703BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240703BHJP
【FI】
H02J1/00 309H
B60L3/00 J
H02H7/122
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023204845
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】63/433,097
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/496,847
(32)【優先日】2023-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/515,451
(32)【優先日】2023-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴドゥグラ,サイ クマール
(72)【発明者】
【氏名】チッティマラ,ラジェンドラ プラサド
(72)【発明者】
【氏名】ワーデン,ブレット
(72)【発明者】
【氏名】ラタディヤ,サリット
(72)【発明者】
【氏名】ラバーチェック,グレン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマ,ラジーヴ
(72)【発明者】
【氏名】クマール,アジス クッタネイル
(72)【発明者】
【氏名】ニコロフ,エミール
【テーマコード(参考)】
5G053
5G165
5H125
5H770
【Fターム(参考)】
5G053AA09
5G053BA01
5G053BA04
5G053BA06
5G053CA04
5G053EA01
5G053EB01
5G053EB08
5G053EC03
5G053FA05
5G165AA05
5G165BB01
5G165CA01
5G165CA02
5G165DA08
5G165EA02
5G165EA04
5G165GA01
5G165GA04
5G165GA09
5G165HA01
5G165HA07
5G165HA17
5G165JA07
5G165JA09
5G165LA01
5G165LA02
5G165MA10
5G165NA01
5G165NA02
5G165NA05
5G165PA01
5H125AA01
5H125AA05
5H125AA12
5H125AC07
5H125AC12
5H125AC14
5H125BB00
5H125EE13
5H125EE15
5H770BA02
5H770CA04
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770HA03W
5H770HA06Z
5H770KA05W
5H770LA01W
5H770LA04Z
5H770LB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電源から負荷に電力を供給する回路の動作を制御するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】電力制御システムは、電源と負荷との間に、電源および負荷と導電的に結合されたスナバアセンブリ832、834並びにクリッパアセンブリ822、824と、1つ以上の電源から伝導される電圧過渡の検出に応じて、クリッパアセンブリを作動させ、電圧過渡が指定の閾値を超えることに応じて、電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、電圧過渡の残りを接地基準に導くように、クリッパアセンブリを作動させるコントローラと、を含む。スナバアセンブリは、電圧過渡が指定の閾値を超えないことに応じて、電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、電圧過渡の残りを接地基準に導くことができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
1つ以上の電源と1つ以上の負荷との間の位置において、前記1つ以上の電源および前記1つ以上の負荷と導電的に結合されるように構成されたスナバアセンブリと、
前記1つ以上の電源と前記1つ以上の負荷との間の位置において、前記1つ以上の電源および前記1つ以上の負荷と導電的に結合されるように構成されたクリッパアセンブリと、
前記1つ以上の電源から伝導される電圧過渡の検出に応じて、前記クリッパアセンブリを作動させるように構成されたコントローラであって、前記電圧過渡が指定の閾値を超えることに応じて、前記電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、前記電圧過渡の残りを接地基準に導くように前記クリッパアセンブリを作動させるように構成されたコントローラと、
を備え、
前記スナバアセンブリは、前記電圧過渡が前記指定の閾値を超えないことに応じて、前記電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、前記電圧過渡の残りを前記接地基準に導くように構成されている、システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記クリッパアセンブリの温度に基づいて、前記クリッパアセンブリを作動停止するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、スイッチング周波数で前記クリッパアセンブリを繰り返し作動および作動停止させるように構成されており、前記コントローラは、前記クリッパアセンブリの温度に基づいて前記スイッチング周波数を変更するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記クリッパアセンブリは、過渡電圧が正電圧過渡である間、前記過渡電圧を放散させ、前記接地基準に導くように構成された正クリッパアセンブリであり、前記スナバアセンブリは、前記過渡電圧が前記正電圧過渡である間、前記過渡電圧を放散させ、前記接地基準に導くように構成された正スナバアセンブリである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記過渡電圧が負電圧過渡である間、前記過渡電圧を放散させ、前記接地基準に導くように構成された負クリッパアセンブリと、
前記過渡電圧が前記負電圧過渡である間、前記過渡電圧を放散させ、前記接地基準に導くように構成された負スナバアセンブリと、
をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、負電圧過渡および正電圧過渡の両方を含む前記電圧過渡に応じて、前記正クリッパアセンブリの代わりに前記負クリッパアセンブリを作動させるように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記正クリッパアセンブリ、前記正スナバアセンブリ、前記負クリッパアセンブリ、および前記負スナバアセンブリは、前記接地基準と接続されており、前記接地基準は、(a)前記正クリッパアセンブリおよび前記正スナバアセンブリと(b)前記負クリッパアセンブリおよび前記負スナバアセンブリとの間にある、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記クリッパアセンブリは、起動スイッチおよびクリッパ抵抗を含み、前記コントローラは、前記起動スイッチを閉じて、過渡電圧を、前記クリッパ抵抗と、前記クリッパアセンブリと前記接地基準との間の接地抵抗とに導くように構成されており、前記スナバアセンブリは、互いに直列に配置されたコンデンサと前記接地抵抗とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ以上の電源と結合され、前記1つ以上の電源から電位を受け取るように構成されたインバータであって、前記電位を、導電経路を介して前記1つ以上の負荷に供給される交流電流に変換するように構成されたインバータと、
正リンクと負リンクとを導電的に結合する第1のレグであって、前記正リンクおよび前記負リンクは、前記インバータと導電的に結合されており、第1のレグは、互いに直列に配置され、前記接地基準と接続された複数のコンデンサを含む第1のレグと、
前記正リンクと前記負リンクとを導電的に結合する第2のレグであって、互いに直列に配置され、前記接地基準と接続された複数の抵抗を含む第2のレグと、
をさらに備え、
前記複数の抵抗と前記複数のコンデンサは、前記1つ以上の負荷のコンデンサと抵抗、および前記インバータと前記1つ以上の負荷とを結合する導電経路のコンデンサと抵抗と並列に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2のレグの前記複数の抵抗は、前記複数の抵抗間の中点で前記接地基準と接続されるように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の抵抗および前記複数のコンデンサは、前記接地基準に対するインピーダンスを低減させ、前記第1のレグを有するが前記第2のレグを有しない前記正リンクおよび前記負リンクと比較して、前記1つ以上の電源と前記インバータとの間に伝導される電位の変動を減少させる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
システムであって、
1つ以上の電源によって給電される1つ以上の負荷を有する動力システムの回路における電圧過渡を監視するように構成されたコントローラであって、1つ以上の前記電圧過渡が閾値を超えるか否かを判断するように構成され、前記1つ以上の電圧過渡が前記閾値を超えることに応じて、前記1つ以上の電源と前記1つ以上の負荷との間の位置において、前記1つ以上の電源および前記1つ以上の負荷と導電的に結合されるように構成されたクリッパアセンブリを作動させ、前記閾値を超える前記1つ以上の電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、前記閾値を超える前記1つ以上の電圧過渡の残りを接地基準に導くように構成されたコントローラと、
前記閾値を超えない前記電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、前記閾値を超えない前記電圧過渡の残りを前記接地基準に導くように構成されたスナバアセンブリと、
を備える、システム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記クリッパアセンブリの温度が指定の温度閾値を超えることに応じて、前記クリッパアセンブリを作動停止するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、スイッチング周波数で前記クリッパアセンブリを繰り返し作動および作動停止するように構成されており、前記コントローラは、前記クリッパアセンブリの温度に基づいて、前記スイッチング周波数を変更するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記クリッパアセンブリは、過渡電圧が正電圧過渡である間、前記過渡電圧を放散させ、前記接地基準に導くように構成された正クリッパアセンブリであり、前記スナバアセンブリは、前記過渡電圧が前記正電圧過渡である間、前記過渡電圧を放散させ、前記接地基準に導くように構成された正スナバアセンブリであり、
前記過渡電圧が負電圧過渡である間、前記過渡電圧を放散させ、前記接地基準に導くように構成された負スナバアセンブリをさらに備え、
前記コントローラは、前記過渡電圧が前記負電圧過渡である間、前記過渡電圧を放散させ、前記接地基準に導くように構成された負クリッパアセンブリを作動させるように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、負電圧過渡および正電圧過渡の両方を含む前記電圧過渡に応じて、前記正クリッパアセンブリの代わりに前記負クリッパアセンブリを作動させるように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラは、前記クリッパアセンブリの温度に基づいて、前記1つ以上の電源の故障を特定するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の電源と結合され、前記1つ以上の電源から電位を受け取るように構成されたインバータであって、前記電位を、1つ以上のケーブルを介して前記1つ以上の負荷に供給される交流(AC)に変換するように構成されたインバータと、
前記インバータと接続され、前記1つ以上の電源と接続されて、前記1つ以上の電源から前記インバータに前記電位を伝導するように構成された正直流(DC)リンクおよび負直流(DC)リンクを含む回路であって、前記正直流リンクと前記負直流リンクとを伝導的に結合する第1のレグを含み、前記正直流リンクと前記負直流リンクとを伝導的に結合する第2のレグを含む回路と、
前記インバータと前記1つ以上の電源とを接続する前記回路に浮遊容量と浮遊抵抗を導入する前記1つ以上の負荷および前記1つ以上のケーブルと、
前記1つ以上の負荷および前記1つ以上のケーブルの前記浮遊容量および前記浮遊抵抗と並列に配置された複数の接地抵抗および複数のコンデンサであって、前記第1のレグを有するが前記第2のレグを有しない前記正直流リンクおよび前記負直流リンクと比較して、前記接地基準に対するインピーダンスを低減する、複数の接地抵抗および複数のコンデンサと、
をさらに備え、
前記第1のレグは、互いに直列に配置され、前記接地基準と接続された前記複数のコンデンサを含み、前記第2のレグは、互いに直列に配置され、前記接地基準と接続された前記複数の接地抵抗を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
方法であって、
車両の回路における電圧過渡が指定の閾値を超えるか否かを判断することと、
前記車両の前記回路における前記電圧過渡が正電圧過渡であるか負電圧過渡であるかを判断することと、
前記電圧過渡が前記閾値を超え、かつ前記負電圧過渡であると判断することに応じて、前記電圧過渡を低減するために負クリッパアセンブリを作動させることと、
前記電圧過渡が前記閾値を超え、かつ前記負電圧過渡ではないと判断することに応じて、前記電圧過渡を低減するために正クリッパアセンブリを作動させることと、
前記電圧過渡が前記閾値を超えないと判断することに応じて、スナバアセンブリを介して前記電圧過渡の少なくとも一部を放散させることと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記正クリッパアセンブリまたは前記負クリッパアセンブリの温度を測定することと、
測定された前記温度に基づいて、前記正クリッパアセンブリまたは前記負クリッパアセンブリのスイッチング周波数を変更することと、
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年12月16日に出願された米国仮出願第63/433,097号および2023年4月18日に出願された米国仮出願第63/496,847号の優先権を主張する。これらの出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載される主題は、電源から負荷に電力を供給する回路の動作を制御するシステムおよび方法に関する。
【0003】
様々な動力システムには、電気で作動し得る部品が含まれる。例えば、一部の車両または複数車両システムには、車両または車両システムを推進するために動作するトラクションモータなどの負荷が含まれる。これらの負荷は、電池セル、蓄電池群、オルタネータ、発電機などの電力源によって給電される場合がある。電流または電位を負荷に伝導する回路は、リップル電流を低減するように設計された部品、および/または電源と負荷との間の回路を接地基準に対して中心に保つように設計された部品を含むことができる。この回路は、直流(DC)正リンクおよび直流負リンクを含むことができる。接地基準は、車両のシャーシであってもよい。コンデンサ、誘導リアクトルなどを使用して、直流正リンクに伝導される正電位を、直流負リンクに伝導される負電位と同じ大きさに保つことができる。
【0004】
浮遊インダクタンスは、部品の動作に悪影響を及ぼす可能性がある。これらの浮遊インダクタンスは、ケーブル、他の導電性部品、車両のシャーシ、トラクションモータフレームなどのインダクタンスであり得る。電池と接地基準との間の電位が安全動作限界値または指定の閾値を超える時間が長くなると、電池の耐用年数、残りの充電サイクル数、および/または充電容量が低下する可能性がある。
【0005】
さらに、電源によって給電される負荷は、産業用機器に電力を供給し得る低電圧システムまたは高電圧システムである場合がある。この産業用機器には、機関車やオフハイウェイ鉱山車などの大型車両のトラクションモータが含まれる場合がある。低電圧システムは、特に過渡現象または故障モード中に、比較的高感度の低電圧負荷および/または電源の損傷を避けるために、接地基準に対する電圧を制限する必要がある場合がある。
【0006】
浮遊インダクタンスおよび/または浮遊容量は、電池と接地基準との間の電位を上昇させる可能性がある。これにより、電池の動作は低下し得る。低下し得る動作には、耐用年数、残りの充電サイクル数、および/または充電容量が含まれ得る。
【0007】
現在利用可能なものとは異なるシステムおよび方法があることが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0008】
一実施形態において、電力制御システムは、電源と結合され、電源から電位を受け取るインバータを含むことができる。インバータは、電位を、導電経路を介して負荷に供給される交流電流に変換することができる。正リンクおよび負リンクは、インバータと連結され、電源と連結されて、電源からインバータに電位を伝導することができる。第1のレグは、正リンクと負リンクとを導電的に結合することができる。第1のレグは、互いに直列に配置され、接地基準に接続された複数の抵抗を含むことができる。第2のレグは、正リンクと負リンクとを導電的に結合することができる。第2のレグは、互いに直列に配置され、接地基準に接続された複数のコンデンサを含むことができる。複数の抵抗と複数のコンデンサは、負荷の静電容量と抵抗、およびインバータを負荷と結合する導電経路の静電容量と抵抗と並列に配置されていてもよい。複数の抵抗と複数のコンデンサは、第1のレグを有するが第2のレグを有しない正リンクおよび負リンクと比較して、接地基準に対するインピーダンスを低減することができる。
【0009】
別の実施形態では、電力制御システムは、電池と結合され、電池から電位を受け取るインバータを含むことができる。インバータは、電位を、1つ以上のケーブルを介してトラクションモータに供給される交流(AC)に変換することができる。正直流リンクおよび負直流リンクは、インバータに接続され、電池に接続されて、電池からインバータに電位を伝導することができる。第1のレグは、正直流リンクと負直流リンクとを導電的に結合することができる。第1のレグは、互いに直列に配置され、車両の接地基準と接続された複数の接地抵抗を含むことができる。第2のレグは、正リンクと負リンクとを導電的に結合することができる。第2のレグは、互いに直列に配置され、車両の接地基準に接続された複数のコンデンサを含むことができる。複数の抵抗および複数のコンデンサは、トラクションモータおよび1つ以上のケーブルの浮遊容量および浮遊抵抗と並列に配置されていてもよい。複数の接地抵抗および複数のコンデンサは、第1のレグを有するが第2のレグを有しない正リンクおよび負リンクと比較して、車両の接地基準に対するインピーダンスを低減することができる。
【0010】
別の実施形態では、電力制御システムは、電源と結合され、電源から電位を受け取るインバータを含んでもよい。インバータは、電位を、1つ以上のケーブルを介して負荷に供給される交流に変換することができる。回路は、インバータと接続された正直流リンクおよび負直流リンクを含むことができ、電源と接続されて電源からインバータに電位を伝導することができる。回路は、正直流リンクと負直流リンクとを導電的に結合する第1のレグを含むことができる。第1のレグは、互いに直列に配置され、車両の接地基準に接続された複数の接地抵抗を含むことができる。回路は、正リンクと負リンクとを導電的に結合する第2のレグを含むことができる。第2のレグは、互いに直列に配置され、車両の接地基準に接続された複数のコンデンサを含むことができる。負荷と1つ以上のケーブルは、インバータを電源と接続する回路に浮遊容量と浮遊抵抗を導入する場合がある。複数の抵抗と複数のコンデンサは、負荷の浮遊容量と浮遊抵抗、および1つ以上のケーブルの浮遊容量と浮遊抵抗と並列に配置されていてもよい。複数の接地抵抗と複数のコンデンサは、第1のレグを有するが第2のレグを有しない正直流リンクおよび負直流リンクと比較して、車両の接地基準に対するインピーダンスを低減することができる。
【0011】
別の実施形態では、電力制御システムは、1つ以上の電源と1つ以上の負荷との間の位置において、1つ以上の電源および1つ以上の負荷と導電的に結合され得るスナバアセンブリを含むことができる。電力制御システムはまた、1つ以上の電源と1つ以上の負荷との間の位置において、1つ以上の電源および1つ以上の負荷と導電的に結合され得るクリッパアセンブリを含むことができる。電力制御システムは、1つ以上の電源から伝導される電圧過渡の検出に応じて、クリッパアセンブリを作動させることができるコントローラを含むことができる。コントローラは、電圧過渡が指定の閾値を超えることに応じて、電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、電圧過渡の残りを接地基準に導くために、クリッパアセンブリを作動させることができる。スナバアセンブリは、電圧過渡が指定の閾値を超えないことに応じて、電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、電圧過渡の残りを接地基準に導くことができる。
【0012】
別の実施形態では、電力制御システムは、1つ以上の電源によって給電される1つ以上の負荷を有する動力システムの回路内の電圧過渡を監視することができるコントローラを含むことができる。コントローラは、1つ以上の電圧過渡が閾値を超えるか否かを判定することができ、1つ以上の電圧過渡が閾値を超えることに応じて、コントローラは、1つ以上の電源と1つ以上の負荷との間の位置において、1つ以上の電源と1つ以上の負荷とを導電的に結合するように構成されたクリッパアセンブリを作動させて、閾値を超える1つ以上の電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、閾値を超える1つ以上の電圧過渡の残りを接地基準に導くことができる。電力制御システムはまた、閾値を超えない電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、閾値を超えない電圧過渡の残りを接地基準に導くことができるスナバアセンブリを含むことができる。
【0013】
別の実施形態では、方法は、車両の回路内の電圧過渡が指定の閾値を超えるか否かを判断することと、車両の回路内の電圧過渡が正電圧過渡であるか負電圧過渡であるかを判断することと、電圧過渡が閾値を超え、かつ負電圧過渡であると判断することに応じて、電圧過渡を低減するために負クリッパアセンブリを作動させることと、電圧過渡が閾値を超え、かつ負電圧過渡ではないと判断することに応じて、電圧過渡を低減するために正クリッパアセンブリを作動させることと、電圧過渡が閾値を超えないと判断することに応じて、スナバアセンブリを介して電圧過渡の少なくとも一部を放散させることを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
主題は、添付図面を参照しながら、以下の非限定的な実施形態の説明を読むことにより理解され得る。
【0015】
【
図2】
図1の電力制御システムの回路に示される浮遊パラメータを有する、
図1に示す電力制御システムの別の例を示す。
【
図3】
図2に示す電力制御システムにおける時間に対する電位の一例を示す。
【
図4】
図2に示す電力制御システムにおける時間に対する電位の別の例を示す。
【
図5】
図1に示す電力制御システムに対する変更部分の一例を示す。
【
図6】
図1に示す電力制御システムにおける電位の別の例を示す。
【
図9】動力システムの電力供給回路を制御するための方法の一例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で説明する主題の実施形態は、動力システム内の回路の動作を制御することができる電力制御システムおよび方法に関する。これらのシステムは、回路内の対地電圧の大きさを制御または制限することができる。これは、過渡現象中および/または故障モードによって引き起こされる場合に使用され得る。
【0017】
任意選択で、これらのシステムは、電源と接地基準との間の電位差を、動力システムの動作中に指定時間よりも長い間、指定の差分閾値未満に維持しながら、動力システム内で電源から負荷への電気エネルギーの伝導を制御することができる。差分閾値および指定時間は、電源が損傷したり、電源の動作が経時的に悪化したりするのを防止する値に設定することができる。例えば、電源の耐用年数、残りの充電サイクル数、充電容量または貯蔵容量などは、本明細書に記載される電力制御システムに関連して使用される電源の場合、減少しないか、または急速には減少しない可能性がある。
【0018】
図1は、電力制御システム100の一例を示す。
図1に示す電力制御システムは、1つ以上の電源102を含むことができる。好適な電源は、電池、電池セル、蓄電池群、燃料電池、コンデンサなどのうちの1つ以上を含むことができる。電力制御システムは、回路を形成する導電経路104を含むことができる。好適な導電回路は、電源と1つ以上の負荷106とを導電的に結合する導電バス、ケーブル、ワイヤなどによって形成することができ、電力制御システムの1つ以上の構成要素は、電源(複数可)と負荷(複数可)との間の導電経路と接続される。好適なバスは、積層バスバーであってもよい。単一の電源および単一の負荷のみが示されているが、電力制御システムは、複数の電源および複数の負荷を含んでもよい。負荷は、三相交流トラクションモータとして示されているが、他の実施形態では、別の負荷があってもよいし、別のタイプのトラクションモータがあってもよい。1つ以上の例では、負荷は、動力システムを表す車両または車両システムのトラクションモータを表す場合がある。車両システムは、単一車両システムでもよいし、複数車両システムでもよい。
【0019】
車両に関して、好適な車両は、鉄道車両、鉱山車、セミトラクタートレーラー、農業機器などから選ぶことができる。あるいは、車両は、自動車、トラックなど、モータに給電するために必要な電圧が少ない、より軽量な車両であってもよい。別の例では、動力システムは、負荷に給電する据置型のシステムであってもよい。電源は、電池セル、電池スタック、電池モジュール、燃料電池、電気二重層コンデンサなどを表すことができる。好適な燃料電池は、固体酸化物燃料電池(SOFC)、プロトン交換膜(PEM)燃料電池、アルカリ燃料電池、直接メタノール、燃料電池、溶融炭酸塩燃料電池、および酸型燃料電池を含むことができる。好適な酸型燃料電池は、固体酸型燃料電池およびリン酸型燃料電池を含むことができる。好適な燃料電池電極の例には、白金とルテニウムを含む触媒、または白金層でコーティングされた酸化チタンタングステンナノ粒子を含む触媒が含まれ得る。好適な高分子膜は、デュポン社から市販されているナフィオンや、延伸多孔性ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)であってもよい。
【0020】
導電経路は、電源と負荷との間に互いに並列に配置された直流正リンク経路108(正直流リンクまたは直流リンク正とも呼ばれる)および直流負リンク経路110(負直流リンクまたは直流リンク負とも呼ばれる)を含む。直流リンク電圧または直流リンク電位(
図1の「DCLV」)は、直流正リンクと直流負リンクとの間の電圧または電位の差を表すことができる。直流リンク経路は、インバータ112によって負荷と接続される。好適なインバータには、三相トラクションインバータを挙げることができ、三相トラクションインバータは、インバータのスイッチを使用して、これらの経路で伝導される直流電位を三相交流に変換する。インバータは、異なる導電経路134、136、138によって負荷とそれぞれ接続されるスイッチ128、130、132を含むことができる。スイッチは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)または他のタイプの半導体スイッチもしくは機械的スイッチであってもよいし、それらのスイッチを含んでもよい。導電経路は、ケーブル、ワイヤなどを表すことができる。各スイッチは、直流を、負荷に送られる異なる位相の交流に変換するために、開状態と閉状態を交互に切り替えることができる。任意選択で、インバータは、スイッチの数が少なくても多くてもよい。
【0021】
回路の第1のレグ116のリンクコンデンサ114は、電源、負荷、およびインバータと並列に直流正リンクおよび直流負リンクと接続されていてもよい。回路の第2のレグ118は、第1のレグ、電源、負荷、およびインバータと並列に直流正リンクおよび直流負リンクと接続されていてもよく、第2のレグ内で互いに直列に配置された複数の抵抗120、122を含んでいてもよい。抵抗120は、正直流リンクと接地基準との間にあるため、正抵抗と呼ばれることがある。抵抗122は、負直流リンクと接地基準との間にあるため、負抵抗と呼ばれることがある。
【0022】
接地基準124は、これらの抵抗間の中点位置140で第2のレグと接続されていてもよい。この接地基準は、車両のシャーシまたは回路の他の電気的接地を表すことができる。回路の正電位VGAは、正直流リンクと接地基準との間の電位差(例えば、正抵抗をまたいで)を表すことができ、回路の負電位VGNは、負直流リンクと接地基準との間の電位差を表すことができる。
図1に示す電力制御システムの回路はまた、電源と第1のレグとの間の正直流リンクおよび負直流リンクのそれぞれに誘導リアクタンス126を含むことができる。
【0023】
正電位VGAまたは負電位VGNが、長すぎる期間にわたって大きすぎる場合、電源の1つ以上の動作パラメータが悪影響を受ける可能性がある。正電位VGAまたは負電位VGNの絶対値が、指定の電位閾値よりも大きい場合、VGNは大きすぎる可能性がある。正電位VGAまたは負電位VGNの絶対値が、指定の時間閾値よりも長い間、指定の電位閾値よりも大きい場合、VGNは長すぎる間にわたって大きすぎる可能性がある。これらの動作パラメータには、残りの耐用年数、残りの充放電サイクル数またはデューティサイクル、充電容量または蓄電容量などが含まれる場合がある。VGAまたはVGNが、時間閾値よりも長い間電位閾値よりも大きい場合、これらの動作パラメータは低減する可能性がある。
【0024】
電力制御システムによって表される回路には、浮遊容量、浮遊インダクタンス、および/または浮遊抵抗が存在する場合がある。これらの浮遊容量、浮遊インダクタンス、および/または浮遊抵抗は、回路、電源、負荷、接地基準などと接続されたケーブル、負荷自体、インバータのスイッチなどに導入されたか、もしくはそれらの一部の容量、インダクタンス、または抵抗であってもよい。浮遊容量、浮遊インダクタンス、および/または浮遊抵抗は、回路における不要な、望ましくない、および/もしくは意図しない容量、インダクタンス、ならびに/または抵抗であり得るので、非浮遊容量、非浮遊インダクタンス、および/または非浮遊抵抗とは異なる場合がある。その一方で、
図1に示すリンクコンデンサ、誘導リアクタンス、および抵抗は、これらの構成要素が回路に含まれることが必要とされ、望まれ、かつ意図されているという点で、非浮遊容量、非浮遊インダクタンス、および/または非浮遊抵抗であってもよい。
【0025】
図2は、
図1の電力制御システムの回路に示す浮遊パラメータを有する
図1に示す電力制御システムの別の例を示す。これらの浮遊パラメータは、
図2に示すように、互いに直列および/または並列に配置された浮遊容量、浮遊インダクタンス、および/または浮遊抵抗を含み得る。コンデンサの記号は浮遊容量を表し、インダクタンスの記号は浮遊インダクタンスを表し、抵抗の記号は浮遊抵抗を表すことができる。
【0026】
浮遊パラメータの第1の組み合わせ200および第2の組み合わせ202はそれぞれ、電池の各端子と車両のシャーシとの間で互いに直列の浮遊容量と浮遊抵抗など、電源と接地基準との間の浮遊容量と浮遊抵抗を含む。浮遊パラメータの第3の組み合わせ204および第4の組み合わせ206はそれぞれ、互いに直列であって浮遊容量と並列である、浮遊抵抗と浮遊インダクタンスを表すことができる。浮遊パラメータの第3および第4の組み合わせは、電源の電池内部の浮遊パラメータを表すことができる。正直流リンクおよび負直流リンクのそれぞれにおける浮遊抵抗208、210は、これらの直流リンクを形成する導電体の浮遊抵抗を表すことができる。浮遊パラメータの第5の組み合わせ212および第6の組み合わせ214はそれぞれ、互いに直列の浮遊容量と浮遊抵抗を表すことができ、これらの組み合わせのそれぞれは、リンクコンデンサの端子と直流リンクとの接続によって生じる。
【0027】
浮遊インダクタンス216、218はそれぞれ、正抵抗および負抵抗と直列に回路の第2のレグに配置され得る。これらの浮遊インダクタンスは、正抵抗および負抵抗と正直流リンクおよび負直流リンクとの接続によって生じ得る。さらに、浮遊パラメータの第7の組み合わせ220は、正抵抗と負抵抗との間の中点で第2のレグを接地基準に結合するケーブルまたは他の導電体の浮遊抵抗と浮遊インダクタンスを表すことができる。
【0028】
浮遊パラメータの第8の組み合わせ222、第9の組み合わせ224、および第10の組み合わせ226は、インバータ内の各スイッチを負荷と結合するケーブルまたは他の導電体の、互いに直列の浮遊抵抗と浮遊インダクタンスを表すことができる。浮遊パラメータの第11の組み合わせ228、第12の組み合わせ230、および第13の組み合わせ232はそれぞれ、トラクションモータと接地基準とを接続するケーブルまたは他の導電体によって生じる直列の浮遊抵抗と浮遊容量を表すことができる。第11の組み合わせは、インバータの第1の、すなわち上部のスイッチと負荷とを結合するケーブルまたは導電体に関連する、またはそれに起因する浮遊パラメータを表し、第12の組み合わせは、インバータの第2の、すなわち中間のスイッチと負荷とを結合するケーブルまたは導電体に関連する、またはそれに起因する浮遊パラメータを表し、第13の組み合わせは、インバータの第3の、すなわち下部のスイッチと負荷とを結合するケーブルまたは導電体に関連する、またはそれに起因する浮遊パラメータを表すことができる。浮遊パラメータの第14の組み合わせ234、第15の組み合わせ236、および第16の組み合わせ238はそれぞれ、負荷自体の直列の浮遊抵抗と浮遊容量を表すことができる。
【0029】
回路内にこれらの浮遊パラメータが存在するため、インバータスイッチが開状態と閉状態の間で切り替わっているとき、電源と接地基準との間の電位が上昇する場合がある。例えば、この電位の大きさまたは絶対値が上昇する場合がある。正直流リンクと接地基準との間の電位差は、負直流リンクと接地基準との間の電位差とは異なる場合がある。正直流リンクと接地基準との間の電位差、または負直流リンクと接地基準との間の電位差は、正直流リンクと負直流リンクとの間の電位差の半分よりも大きい場合がある。
【0030】
例えば、インバータの第1の、すなわち上部のスイッチがオンにされ、インバータの第2の、すなわち中間のスイッチ、および第3の、すなわち下部のスイッチがオフにされている間、トラクションモータの浮遊容量、およびスイッチとトラクションモータとを接続するケーブルの浮遊容量は、正抵抗と並列の場合がある。これにより、正直流リンクと接地基準との間の実効インピーダンスが低下し、負直流リンクと接地基準との間のインピーダンスよりも小さくなる可能性がある。その結果、接地基準は、正バスの方向にシフトする可能性がある。例えば、正直流リンクと接地基準との間の電位の大きさ(すなわち、VGA)は、負直流リンクと接地基準との間の電位の大きさ(すなわち、VGN)よりも小さい可能性がある。インバータの第3の、すなわち下部のスイッチがオンにされている間にも同様の反応が生じることがあり、これにより接地基準が負直流リンクに向かってシフトする可能性がある。この結果、VGNがVGAよりも小さくなる可能性がある。VGAとVGNの間のこの不均衡は、本明細書で説明するように、電源の動作を低下させたり、電源を劣化させたりする可能性がある。
【0031】
図3は、インバータがいずれのスイッチもオンまたはオフに切り替えていない間の、
図2に示す電力制御システムにおけるVGA300の一例を時間に対して示している。
図4は、インバータへの直流入力を負荷に供給される交流に変換するために、インバータのスイッチがオン状態とオフ状態の間で切り替わっている間の、
図2に示す電力制御システムにおけるVGAの一例を時間に対して示している。VGAは、電圧または電位を表す縦軸302と、時間を表す横軸304に沿って示されている。
図3に示すように、VGAは時間に対して変化しない。VGNも同様に時間に対して変化しないことがあり、それにより、インバータが交流を出力するためのスイッチングをしていない間、回路内のVGAとVGNとの間のバランスがとられる。
【0032】
しかし、
図4に示すように、インバータが交流を出力するためにスイッチングしている間、VGAは時間に対して変化する。インバータがスイッチングしている間、VGAは、
図3に示すベースライン値から大きく変化する場合がある。ベースライン値は、
図3のVGAの不変値または静止値であり得る。これにより、電源は損傷するか、または劣化する可能性がある。インバータがスイッチングしている間とスイッチングしていない間のVGNに関しても、同様または同一の動きが見られる場合がある。
【0033】
図5は、
図1に示す電力制御システムの回路に対する変更部分500の一例を示している。
図1に示す回路の枠囲み部分502は、
図5に示す変更部分によって置き換えることができる電力制御システムの回路の部分を表している。変更部分は、電源、直流リンク、第1のレグ、第2のレグ、およびインバータと並列に第3のレグ504を回路に追加することによって、
図1に示す回路を変更することができる。
【0034】
第3のレグは、(a)第2のレグと正直流リンクおよび負直流リンクとの間の接続部と、(b)接地基準およびインバータと、の間の位置において、正直流リンクおよび負直流リンクと接続されていてもよい。第3のレグは、互いに直列に接続されたコンデンサまたは容量性素子506、508を含むことができる。容量性素子間の第3のレグの中点510は、接地基準と、第2のレグの中点と接続することができる。容量性素子の各々は、第2のレグの抵抗の1つと並列に配置されていてもよい。容量性素子506は、正コンデンサまたは正容量性素子と呼ばれることがあり、第2のレグの正抵抗と並列に配置されていてもよい。容量性素子508は、負コンデンサまたは負容量性素子と呼ばれることがあり、第2のレグの負抵抗と並列に配置されていてもよい。
【0035】
インバータのスイッチのスイッチング中に浮遊容量が並列に生成されるが、第2のレグの抵抗をまたぐ第3のレグの追加された容量性素子は、接地基準への接続部のインピーダンスを大きく変化させないか、または変化させない可能性がある。インバータの上部の、すなわち第1のスイッチが、上部の、すなわち第1のスイッチを介して電位が伝導される状態にオンされると、第11の組み合わせ228および第14の組み合わせ234における浮遊容量および浮遊抵抗は、第2および第3のレグにおける正抵抗および正コンデンサの組み合わせのインダクタンスと並列に配置される。この正抵抗および正コンデンサの組み合わせのインピーダンスは、正抵抗単独のインピーダンスよりも低いか、著しく低い場合がある。その結果、正直流リンクと接地基準との間の実効インピーダンスは低下する可能性があるが、第3のレグを含まない
図2に示す回路ほどには低下しない。
【0036】
これにより、接地基準を正直流リンクに向かってシフトさせることができる。例えば、VGAの値は、VGNの大きさまたは絶対値に近づく場合がある。別の言い方をすれば、
図2に示す回路と比較した場合、VGAとVGNの大きさまたは絶対値の差は、より近くなるか、または同等になる場合がある。同様のことが、インバータの下部スイッチがオンになっている間に生じる場合があり、それにより、接地基準を負直流リンクに向かってシフトさせることができる。
図2に示す回路と比較した場合、VGAとVGNの大きさまたは絶対値の差がより近くなるか同等になるように、VGNの大きさまたは絶対値がVGAの値により近くなる場合がある。
【0037】
図6は、
図1に示す電力制御システムにおけるVGAの別の例を示しているが、
図5に示す変更部分によって第3のレグが追加されている。インバータへの直流入力を負荷に供給される交流に変換するために、インバータのスイッチがオン状態とオフ状態の間で切り替わっている間の、電力制御システムにおけるVGAが時間に対して
図6に示されている。VGAは、電圧または電位を表す縦軸と、時間を表す横軸に沿って示されている。
図3に示すように、VGAは時間に対して変化しない。VGNも同様に時間に対して変化しない場合があり、それにより、インバータが交流を出力するためのスイッチングをしていない間、回路内のVGAとVGNの間のバランスがとられる。
【0038】
図6に示すように、インバータが交流を出力するためにスイッチングしている間、VGAは時間に対して変化する。
図4と
図6において、電源は回路に同じ電位を供給していてもよく、インバータは、同じ周波数で同じスイッチを切り替えている等であってもよく、
図6のVGAに影響を与える
図4に示すコンデンサを備える第3のレグの存在だけが異なる。
【0039】
図1に示す回路の第3のレグにコンデンサが無い場合の
図4のVGAの変動とは対照的に、
図5に示す回路の第3のレグにあるコンデンサは、VGAの変動または変化(例えば、VGAの最低値または低い値と、VGAの最大値または大きい値との間のピーク間変化)の大きさを大幅に低減することができる。インバータのスイッチのスイッチング中に浮遊容量が並列に生じるが、第2のレグの抵抗をまたぐ第3のレグのコンデンサは、接地基準との接続部のインピーダンスを大きく変化させないか、または変化させない場合がある。上述したように、正直流リンクと接地基準との間のインピーダンスは、第3のレグのコンデンサがない
図1または
図2に示す回路と比べて低くなる場合がある。
【0040】
これにより、接地基準を正直流リンクに向かってシフトさせて、VGAおよび/またはVGNの変動を低減することができる。VGAおよび/またはVGNは、インバータがスイッチングしている間、第3のレグのコンデンサによりベースライン値からあまり大きく変動しない場合がある。これにより、電源の損傷を低減もしくは回避したり、または劣化を低減もしくは回避したりすることができる。例えば、変更部分のない
図1および
図2に示す回路における電源は、同じ電源であるが
図5に示す変更部分を有する場合の
図1に示す回路における電源と比較した場合、より短い耐用年数、より少ない充放電サイクル、および/または減少した蓄電容量もしくは充電容量を有するかもしれない。VGAおよび/またはVGNの変動が減少することにより、電源の動作を向上させ、および/または電源の耐用年数を長くすることができる。
【0041】
別の実施例では、電源から負荷への電力供給を制御する方法が提供される。この方法は、
図1および
図5に示す電力制御システムによって実行される動作を表すことができる。この方法は、正直流リンクおよび負直流リンクに直流を供給するために、電源を起動するステップを含むことができる。この電位は、
図5によって変更された
図1の回路を通ってインバータに伝導される。別のステップでは、インバータがスイッチを制御して直流電流を交流電流に変える。上述したように、インバータのスイッチのスイッチング中に浮遊容量が並列に生成されるが、第2のレグの抵抗をまたいで第3のレグに追加された容量性素子は、接地基準との接続部のインピーダンスを大きく変化させないか、変化させない場合がある。負荷に接続されたケーブルの浮遊容量と浮遊抵抗、および負荷自体の浮遊容量と浮遊抵抗は、第2および第3のレグの抵抗(複数可)とコンデンサ(複数可)の組み合わせのインダクタンスと並列に配置される場合がある。この抵抗(複数可)とコンデンサ(複数可)の組み合わせのインピーダンスは、抵抗(複数可)単独のインピーダンスよりも低いか、著しく低い場合がある。その結果、直流リンクと接地基準との間の実効インピーダンスは低下するかもしれないが、第3のレグを含まない
図2に示す回路ほどには低下しない。これにより、回路内の電位の変動を抑えることができるが、その変動が大きすぎるおよび/または長く続きすぎると、電源が損傷する場合がある。本方法の別のステップでは、交流が負荷に供給され、負荷によって作業(例えば、車両の推進)が実行される。
【0042】
図7は、動力システム700の別の例を示す。動力システムは、1つ以上の電源704によって供電される1つ以上の負荷702を含み得る。単一の負荷および4つの電源が示されているが、動力システムは、より多くの負荷またはより少ない電源を含んでもよい。一例では、負荷は、数百ボルトを超える電圧(例えば、約1500ボルト)などの高電圧で給電される高電圧負荷であってもよい。
図7に示す負荷は、動力システムを表す車両または車両システムのトラクションモータを表す場合がある。車両システムは、単一車両システムであってもよいし、複数車両システムであってもよい。
【0043】
動力システムは、正および負の直流導電バス708、710および本明細書に記載される他の構成要素を介して電源と負荷とを相互接続する動力システム回路706を含む。制御システム712は、動力システム回路と接続されている。制御システムは、本明細書で説明するように、動力システム回路で伝導される電圧の過渡変化が電源および/または負荷に損傷を与えるのを防止するように動作することができる。
【0044】
電源の正電圧端子、すなわち正電圧接続部は、正直流バスを介して、ダイオード716、スイッチまたは接触器718、およびコンバータ装置720を介して負荷と接続される場合がある。電源の負電圧端子、すなわち負電圧接続部は、負直流バスを介して負荷と接続される場合がある。
図7に示すように、電源と負直流バスとの間にダイオードは無くてもよい。あるいは、電源と負直流バスとの間にダイオードがあってもよい。
【0045】
コンバータ装置は、電源によって出力される直流を交流などの別の種類のエネルギーに変更する1つ以上の部品を表し得る。例えば、コンバータ装置は、電源によって出力される直流を負荷(複数可)に電力を供給するための多相または単相交流に変換するように動作する複数のコンバータスイッチ722を有するインバータを表し得る。
【0046】
動作時、電源からの電圧は、電力システム回路のバスを介してコンバータ装置に伝導される場合がある。コンバータ装置は、負荷(複数可)に電力を供給するため、コンバータ装置内のスイッチを交互に閉じたり開いたりして、電圧を負荷(複数可)に供給される交流に変えることができる。電源からの電圧が閾値レートを越えて突然変化すると、過渡電圧によりアーク放電の危険が生じる可能性がある。接地に対する電圧変化は、電源、負荷、近くの人などにダメージを与える可能性がある。
【0047】
制御システムは、電圧過渡の大きさを低減するように動作することができる。制御システムは、過渡電圧が生じる速度を抑えるか、または遅くすることができる。電圧過渡が大きすぎる場合、制御システムは接触器を開くことができる。電圧過渡を抑えるために、制御システムの動作時間が長すぎる場合。制御システムは、制御システムの構成要素などの構成要素の過熱を低減または防止することができる。一実施形態では、制御システムは、電圧過渡が生じるタイミングを、1つ以上の他の既知のシステムよりも早く検出することができる。一実施形態では、制御システムは、電圧過渡がいつ生じるかを予測し、制御システムまたはオペレータが、電圧過渡を分路、停止または減衰させるなどの予測行動をとることを可能にする。これにより、動力システム回路の構成要素の損傷を回避または低減することができる。
【0048】
図7に示す動力システム回路を引き続き参照すると、
図8は、
図7に示す制御システムの一例を示す。制御システムは、
図8に示すように、制御システムは、互いに導電的に結合され、動力システム回路の正直流バスおよび負直流バスと導電的に結合された複数の構成要素を含み得る。制御システムは、動力システムスイッチ、すなわち接触器718と、コンバータ装置との間で、動力システムの正直流バスと接続することができる。制御システムは、電源とコンバータ装置との間で、動力システムの負直流バスと接続することができる。任意選択で、制御システムは、他の位置で、正直流バスおよび/または負直流バスと接続することができる。
【0049】
制御システムは、正クリッパアセンブリ822および負クリッパアセンブリ824を含み得る。正クリッパアセンブリは、正直流バスと導電的に結合され、負クリッパアセンブリは、負直流バスと導電的に結合される。
図8に示すように、クリッパアセンブリの各々は、互いに直列に配置されたスイッチ826、828と、スイッチ828と並列に配置されたクリッパ抵抗830とを含む。このクリッパ抵抗は、クリッパアセンブリ内の他のスイッチ826と並列でなくてもよい。クリッパ抵抗は、互いに直列または並列に配置された複数の抵抗を表してもよい。クリッパ抵抗と並列でないスイッチ826は、起動スイッチと呼ぶことができ、クリッパ抵抗と並列であるスイッチ828は、並列スイッチと呼ぶことができる。好適なクリッパは、1つ以上のダイオードクリッパ、ツェナーダイオードクリッパ、オペアンプ精密クリッパ(OP-amp precision clippers)を含み得る。他の好適なクリッパは、直列クリッパおよび/またはシャントクリッパ(shunt clippers)であってもよい。クリッパの種類および機能は、最終用途の要件を参照して選択することができる。いくつかの実施形態では、好適なクリッパの代替手段は、クランパ回路を含むことができる。いくつかの実施形態において、クリッパは、アナログ波形と共に使用するために選択されてもよく、他の実施形態において、クリッパは、デジタル波形と共に使用するために選択されてもよい。クリッパは、ある実施形態ではバイアスクリッパとして選択されてもよく、別の実施形態では非バイアスクリッパとして選択されてもよい。
【0050】
制御システムは、正スナバアセンブリ832および負スナバアセンブリ834を含み得る。正スナバアセンブリは、正直流バスと導電的に結合され、負スナバアセンブリは、負直流バスと導電的に結合される。スナバアセンブリの各々は、接地抵抗838と直列に配置されたコンデンサ836を含む。図に示すように、スナバアセンブリの接地抵抗は、クリッパアセンブリのクリッパ抵抗とは異なる抵抗であってもよい。正クリッパアセンブリは、正スナバアセンブリのコンデンサとは並列であるが、正スナバアセンブリの接地抵抗とは直列であってもよい。負クリッパアセンブリは、負スナバアセンブリのコンデンサとは並列であるが、負スナバアセンブリの接地抵抗とは直列であってもよい。好適なスナバは、抵抗/コンデンサRCスナバ、整流器/ダイオードRDスナバ、およびバリスタVスナバから選択することができる。スナバの種類は、最終用途の要件を参照して選択し得る。
【0051】
スナバアセンブリおよびクリッパアセンブリは、接地基準840と接続されていてもよい。この接地基準は、車両のシャーシ、接地アース基準などであってもよい。接地基準への接続は、正クリッパアセンブリおよび正スナバアセンブリが接地基準の一方の側にあり、負クリッパアセンブリおよび負スナバアセンブリが接地基準の他方の側にある状態で、クリッパアセンブリとスナバアセンブリとの間にある場合がある。スナバアセンブリの抵抗は、クリッパアセンブリと接地基準との間にある場合がある。任意選択で、スナバアセンブリは、同じ接地抵抗を含み、使用し、または共有することができる。例えば、同じ接地抵抗は、スナバアセンブリのコンデンサと接地基準との間にあってもよい。
【0052】
制御システムは、本明細書で説明する動作を実行する1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、集積回路など)を含む、および/またはそれらと接続されるハードウェア回路を表すコントローラ842を含み得る。コントローラは、単一の場所に配置された単一のコンバータ装置に統合されてもよく、または、コントローラの機能を実行するために協働する、異なる場所に配置された複数のコンバータ装置を表し得る。コントローラは、本明細書に記載されるように、これらのスイッチを開閉するなどにより、クリッパアセンブリのスイッチの動作を制御し得る。制御システムは、動力システムまたは制御システムの特性を測定、感知、または検出する1つ以上のセンサ844を含み得る。例えば、センサは、本明細書に記載されるように、接地抵抗の温度を測定する温度センサを含み得る。
【0053】
動作中、電源は、コンバータ装置に電圧を供給し、コンバータ装置は、電圧を、動作させるために負荷(複数可)に供給される交流に変換する。動力システムの回路には、電源によって動力システムの正直流バスおよび/または負直流バスに出力される電圧が突然上昇する過渡電圧現象が生じる場合がある。例えば、電源がバスに定量の電圧を供給する代わりに、回路または電源の故障、外部要因または外部の電源からの電子電荷、スイッチの開閉、接点不良などが原因で、正バスの正電位または負バスの負電位が突然上昇する場合がある。過渡電圧変化の他の想定される原因には、他の動力回路の結合/切り離し、高調波、電磁パルスなどをもたらす電流の位相シフトが含まれる。結合/切り離し事象の1つは、カテナリー/パンタグラフの動作から生じる場合がある。パンタグラフがあるカテナリーから別のカテナリーに移行したり、カテナリーライン上にゴミがあったり、パンタグラフが調整できるよりも早く車両がカテナリーに対して相対的に移動したりする等の場合がある。一実施形態では、電気的に結合された負荷は、システムに結合されている間に起動または停止する。落雷は、通電中のシステムに電流や電圧のサージを引き起こす場合がある。また、電気的に結合された機器の通常運転は、過渡的な電圧差を引き起こす場合があり、車両の急加速や急減速などの緊急タイプの運転は、電気推進システムに大きな要求を引き起こす場合があるため、なおさらそうである。
【0054】
過渡電圧は、比較的短い期間(例えば、1ミリ秒など)にわたって、またはその間に生じる場合があり、この期間中に電圧が望ましくない大きさまたはレベルまで上昇する可能性がある。これらの過渡現象を放置すると、動力システムの構成要素を損傷する可能性があり、近くにいる人に安全上のリスクを与えたりするなどの場合がある。動作中、スナバアセンブリのそれぞれは、正バスまたは負バスで伝導される余分な電圧を接地基準に導くことにより、電圧の過渡変化を吸収することができる。スナバアセンブリのコンデンサは、過剰電圧の少なくとも一部で充電することができ、スナバアセンブリのコンデンサと接地抵抗の組み合わせは、過渡現象による増加速度を抑えるか遅くする共振回路を形成し得る。例えば、過剰電圧は、コンデンサと接地抵抗との間で共振し、コンデンサが電圧の少なくとも一部を吸収する一方で、電圧の残りは、接地抵抗を介して接地基準に伝導され得る。コンデンサを充電する電圧も接地抵抗に伝導され、少なくとも一部は熱として放散され、その後接地基準に伝導される。正スナバアセンブリのコンデンサと接地抵抗は、このようにして正直流バス上の正電圧の急激な上昇を遅くするか停止させることができる。同様に、負スナバアセンブリのコンデンサと接地抵抗は、このようにして負直流バス上の負電圧の急激な上昇を遅くするか停止させることができる。これにより、電圧の急激な上昇が負荷または電源に到達するのを防止できる。
【0055】
スナバアセンブリは、より小さいまたはより短い過渡電圧が負荷および/または電源に到達するのを防止することができる。より大きいまたはより長い過渡電圧に対しては、コントローラは、クリッパアセンブリの少なくとも1つを使って、上昇した電圧が負荷および/または電源に到達するのを遮断することができる。例えば、過渡電圧が、指定期間よりも短い期間にわたって閾値電圧以下の電圧の増加または減少である場合、対応するスナバアセンブリは、過剰電圧を吸収し、対応する正直流バスまたは負直流バス上の電圧の変化を弱めて、動力システムの回路の構成要素を保護することができる。過渡電圧が、指定期間よりも短い期間にわたって少なくとも閾値電圧の電圧の上昇または減少である場合、対応するクリッパアセンブリは、過剰電圧を吸収し、対応する正直流バスまたは負直流バス上の電圧の変化を弱めて、動力システムの回路の構成要素を保護することができる。閾値電圧および/または指定期間は、オペレータまたはコントローラによって変更または設定され得る。一例では、閾値電圧は725ボルトであり、指定期間は1ミリ秒とすることができる。代替的に、閾値電圧および/または指定期間は、より高い動力システムに対しては閾値電圧を上昇させるか、またはより低い動力システムに対しては閾値電圧を減少させるなど、変更することができる。
【0056】
過渡電圧が大きい場合、コントローラは、対応するクリッパアセンブリをオン、すなわち作動させることができる。例えば、過渡電圧が予め定めた閾値電圧を超える、および/または、閾値電圧を閾値時間よりも長く超える場合、コントローラは、クリッパアセンブリを作動させることができる。正直流バスに大きい正の過渡電圧がある場合、コントローラは、正クリッパアセンブリの起動スイッチを閉じることができる。任意選択で、コントローラは、正クリッパアセンブリの並列スイッチを開くことができる。一実施形態では、コントローラは、正クリッパアセンブリの起動スイッチが閉じている間は、負クリッパアセンブリの起動スイッチを閉じない。これにより、正クリッパアセンブリおよび/または負クリッパアセンブリの1つ以上のクリッパ抵抗の過熱または損傷を防止することができる。
【0057】
その後、より大きい正の過渡電圧は、正クリッパアセンブリの閉じた起動スイッチを介してクリッパ抵抗に伝導され得る。クリッパ抵抗は、より大きい正の過渡電圧の少なくとも一部を熱として放散することができる。より大きい正の過渡電圧の残りは、接地抵抗を通して伝導され、少なくとも一部は熱として放散され、接地基準に伝導され得る。コントローラは、起動スイッチがより大きい正の過渡電圧を伝導する閉状態と、起動スイッチがより大きい正の過渡電圧を伝導しない開状態との間で起動スイッチを交互に切り替えることによって、正クリッパアセンブリ内の起動スイッチの状態を交互に切り替え、クリッパ抵抗および接地抵抗へのより大きい正の電圧の突入を制御することができる。そうしなければ、これらの抵抗の1つ以上が過熱したり、損傷したりする場合がある。
【0058】
より大きい負の過渡電圧に関して、負直流バス上に大きい負の過渡電圧がある場合、コントローラは、負クリッパアセンブリ内の起動スイッチを閉じることができる。任意選択で、コントローラは、負クリッパアセンブリの並列スイッチを開くことができる。上記のように、負クリッパアセンブリの起動スイッチが閉じている間、コントローラは、正クリッパアセンブリの起動スイッチを閉じない場合がある。
【0059】
その後、より大きい負の過渡電圧は、負クリッパアセンブリの閉じた起動スイッチを介してクリッパ抵抗に伝導され得る。クリッパ抵抗は、より大きい負の過渡電圧の少なくとも一部を熱として放散することができる。より大きい負の過渡電圧の残りは、接地抵抗を介して伝導され、少なくとも一部は熱として放散され、接地基準に伝導され得る。コントローラは、上述のように、閉状態と開状態との間で起動スイッチを交互に切り替えることによって、負クリッパアセンブリの起動スイッチの状態を交互に切り替え、クリッパ抵抗および接地抵抗へのより大きい負の電圧の突入を制御することができる。
【0060】
クリッパアセンブリでは、クリッパアセンブリが作動していない間、コントローラによって並列スイッチが閉じられ、クリッパアセンブリが作動している間、コントローラによって並列スイッチが開かれる場合がある。
【0061】
コントローラは、1つ以上の抵抗の温度を監視して、温度に基づいて制御システムの動作方法を変更するかどうかを決定してもよい。いくつかの実施形態において、コントローラまたは制御システムは、応答的にまたは積極的に熱管理機器を動作させてもよい。これにより、制御システムの損傷を低減または回避することができる。例えば、センサ(複数可)は、クリッパアセンブリのクリッパ抵抗および/またはスナバアセンブリの接地抵抗の温度を測定することができる。センサ(複数可)は、測定した温度をコントローラに伝達することができる。測定した温度が温度閾値を超えるか、閾値加熱速度を超える速度で上昇しているか、または単に上昇している場合、コントローラは、対応するクリッパアセンブリを作動停止させるか、またはクリッパスイッチが閉状態と開状態との間で交互に切り替わる頻度を遅くすることができる。例えば、正クリッパ抵抗または正接地抵抗の温度が閾値温度を超えるか、または閾値加熱速度よりも速い速度で上昇している場合、コントローラは、正クリッパ抵抗の起動スイッチを開いて正クリッパアセンブリを作動停止させることができる。任意選択で、コントローラは、起動スイッチが繰り返し切り替わる間、正クリッパ抵抗の起動スイッチが開いている期間を長くすることができる。これらのステップにより、クリッパ抵抗を冷却する時間が得られ、クリッパ抵抗の損傷を回避することができる。コントローラは、同様に、負クリッパアセンブリのクリッパ抵抗の温度を監視し、負クリッパアセンブリの起動スイッチを停止、すなわち開くことができる。抵抗(複数可)の温度が上昇し続ける場合、コントローラは、動力システムの構成要素および/または近くの人を保護するために、接触器を開くことによって、動力システムの回路の他の部分から電源を切り離すことができる。あるいは、クリッパ抵抗の温度が低下しているか、または上昇していない場合、コントローラは、そのクリッパ抵抗を有するクリッパアセンブリが開状態と閉状態を交互に繰り返すスイッチング周波数を増加、すなわち高くすることができる。
【0062】
一実施形態では、上述したように、コントローラは、正クリッパアセンブリまたは負クリッパアセンブリの一方のみを一度に作動させることができる。コントローラは、正クリッパアセンブリの上、すなわち前にある負クリッパアセンブリを作動させることを優先してもよい。例えば、コントローラは、正直流バスおよび負直流バスの両方で電圧過渡を検出する場合がある。しかし、コントローラは、負の電圧過渡を最初に低減するために、正クリッパアセンブリより前に、すなわち正クリッパアセンブリの代わりに、負クリッパアセンブリを作動させてもよい。その後、負の電圧過渡が解消、すなわち取り除かれた後に、コントローラは、正クリッパアセンブリを作動させてもよい。電源と正直流バスとの間のダイオードによって電源が保護されるため、コントローラは、正クリッパアセンブリよりも負クリッパアセンブリを優先してもよい。
【0063】
任意選択で、コントローラは、センサ(複数可)によって測定された温度を監視することによって、過渡的な正電圧または負電圧、または過渡電圧の増加傾向を検出することができる。例えば、過渡電圧が生じると、接地抵抗(複数可)は、1つのスナバアセンブリまたは複数のスナバアセンブリを介して伝導される過渡電圧を放散するために加熱される場合がある。コントローラは、センサによって測定された温度を経時的に調べ、接地抵抗の温度が頻繁に上昇するかどうかを判断することができる。接地抵抗の温度が頻繁に上昇するかどうかは、電源、電源の絶縁などの潜在的な、すなわち近い将来の故障または不具合を示す可能性がある。接地抵抗の温度は、測定された温度が閾値頻度よりも高い頻度で温度閾値を超える場合に、頻繁に上昇するかもしれない。コントローラは、故障または不具合を予測し、1つ以上の接触器を開いて電源を停止、すなわち切断し、動力システムの構成要素および/または近くの人を保護することができる。
【0064】
図9は、動力システムの電力供給回路を制御するための方法900の一例のフローチャートを示す。この方法は、本明細書に記載の制御システムによって実行される動作を表し得る。ステップ902において、電圧が電源から回路を介して負荷(複数可)に伝導される。ステップ904において、電圧過渡が発生する。ステップ906において、電圧過渡の大きさが閾値を超えるかどうかの判断を行う。例えば、過渡現象における正電圧の増加または負電圧の減少が閾値を超えるとコントローラが判断すると、コントローラは、過渡現象がより大きい過渡現象であると判断し、本方法のフローはステップ910に向かって進むことができる。そうでない場合、本方法のフローは、ステップ908に進むことができる。
【0065】
ステップ908では、過渡電圧の少なくとも一部がスナバアセンブリ(例えば、上述したように、過渡現象が正電圧であるか負電圧であるかに応じた正スナバアセンブリまたは負スナバアセンブリ)に伝導される。上述したように、スナバアセンブリは、共振回路を使用して過渡電圧を接地基準へと放散および/または導くことができる。これにより、回路の残りの部分から過渡電圧を除去し、負荷(複数可)や電源などを保護することができる。その後、本方法のフローは終了するか、またはステップ902(次の電圧過渡が生じるとき)などの別の動作に戻ることができる。
【0066】
ステップ910では、クリッパアセンブリを作動させる。コントローラは、より大きい電圧過渡の検出に応じてクリッパアセンブリを作動させることができる。クリッパアセンブリは、正クリッパアセンブリの起動スイッチを閉じること(より大きい正の電圧過渡の検出に応じて)、または負クリッパアセンブリの起動スイッチを閉じること(より大きい負の電圧過渡の検出に応じて)によって作動する場合がある。クリッパアセンブリは、インバータのスイッチが繰り返し作動および作動停止する周波数を超える(例えば、それより速い)周波数で、繰り返し作動および作動停止することができる。上述のように、過渡電圧の少なくとも一部は、作動したクリッパアセンブリによって放散され、および/または接地基準に導かれる。
【0067】
ステップ912では、クリッパアセンブリおよび/またはスナバアセンブリの1つ以上の抵抗(例えば、接地抵抗)の温度を閾値温度と比較する。上述したように、コントローラは、センサ(複数可)から温度測定値を受け取り、その温度が、過渡電圧が接地抵抗またはクリッパ抵抗を過熱するほど大きいことを示しているかどうかを判定することができる。温度が閾値を超えた場合、本方法のフローはステップ914に進むことができる。そうでない場合、方法のフローは、別の動作(次の過渡電圧が生じるときのステップ902など)に戻るか、終了することができる。
【0068】
ステップ914において、電源を動力システムの回路から切り離す。例えば、コントローラは、電源と負荷(複数可)との間の接触器を開いて、電源を切断することができる。これにより、クリッパ抵抗を過熱している可能性のある著しい過渡電圧が動力システムの構成要素を損傷することを防止できる。その後、本方法のフローは終了する。
【0069】
制御システムは、例えばシステムの動作環境に関連する外部入力と連動することができる。外部動作データは、今後の過渡現象の可能性および/または大きさを予測するために使用することができる。その後、制御システムは、一実施形態において、第1の動作モード、すなわち通常の動作モードから、第2の動作モードにモードを切り替えることができる。第2の動作モードでは、制御システムは、例えば、その保護動作においてより積極的であってもよく、検出された過渡現象に対処するためにより早く動作してもよく、保護動作による温度上昇を見越してシステムの構成要素を冷却するなどしてもよい。場合によっては、予測される過渡現象が、過渡現象を処理する保護回路の能力を超えるなど、決められた閾値を超える場合、制御システムは、感度の高い回路を完全に切断することができる。
【0070】
一実施形態では、制御システムは、導出ベースの学習結果を可能にするために機械学習を使用することができるローカルデータ収集システムを配置することができる。コントローラは、データ駆動型の予測を行い、データの集合に従って適応することによって、データの集合(様々なセンサによって提供されるデータを含む)から学習し、データの集合に対する決定を行うことができる。実施形態において、機械学習は、教師あり学習、教師なし学習、強化学習などの機械学習システムによる複数の機械学習タスクの実行を含む場合がある。教師あり学習は、機械学習システムに入力例と所望の出力のセットを提示することを含み得る。教師なし学習は、パターン検出および/または特徴学習などの方法によって、学習アルゴリズムがその入力を構造化することを含む場合がある。強化学習は、機械学習システムが動的環境で実行し、その後、正しい決定と誤った決定に関するフィードバックを提供することを含む場合がある。例として、機械学習は、機械学習システムの出力に基づく複数の他のタスクを含んでもよい。例として、タスクは、分類、回帰、クラスタリング、密度推定、次元削減、異常検出などの機械学習問題であってもよい。例として、機械学習は、複数の数学的および統計的技法を含み得る。例として、多くの種類の機械学習アルゴリズムは、決定木ベースの学習、アソシエーションルール学習、深層学習、人工ニューラルネットワーク、遺伝的学習アルゴリズム、帰納論理プログラミング、サポートベクターマシン(SVM)、ベイジアンネットワーク、強化学習、表現学習、ルールベースの機械学習、スパース辞書学習、類似度学習および距離学習、学習分類子システム(LCS)、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、K-Means、勾配ブースト、K近傍法(KNN)、アプリオリアルゴリズムなどを含み得る。実施形態において、特定の機械学習アルゴリズムが使用されてもよい(例えば、自然選択に基づく可能性のある制約付き最適化問題および制約なし最適化問題の両方を解くために)。一例において、アルゴリズムは、いくつかの構成要素が整数値に制限された混合整数計画法の問題に対処するために使用されてもよい。アルゴリズムおよび機械学習の技術およびシステムは、計算知能システム、コンピュータビジョン、自然言語処理(NLP)、レコメンダシステム、強化学習、グラフィカルモデルの構築などに使用することができる。一例として、機械学習は、車両性能および挙動分析などに使用することができる。
【0071】
一実施形態では、制御システムは、1つ以上のポリシーを適用し得るポリシーエンジンを含み得る。これらのポリシーは、機器の所与のアイテムまたは環境の特性に少なくとも部分的に基づき得る。制御ポリシーに関して、ニューラルネットワークは、多数の環境およびタスク関連パラメータの入力を受け取ることができる。これらのパラメータには、電圧測定値、電圧の変化率、抵抗または他の構成要素の温度、クリッパアセンブリの起動スイッチがオンおよびオフに切り替えられる周波数などが含まれ得る。ニューラルネットワークは、これらの入力に基づいて出力を生成するように訓練されることができ、出力は、コントローラがとるべき1つのアクションまたは一連のアクション(例えば、クリッパアセンブリの作動または作動停止、作動するクリッパアセンブリの選択、本明細書に記載される1つ以上の閾値の変更など)を表す。一実施形態の動作中、ニューラルネットワークのパラメータを介して入力を処理して、そのアクションを所望のアクションとして指定する、出力ノードでの値を生成することによって、規定が起こり得る。このアクションは、車両を動作させる信号に変換することができる。これは、バックプロパゲーション、フィードフォワード処理、閉ループフィードバック、または開ループフィードバックを介して達成することができる。あるいは、バックプロパゲーションを使用するのではなく、コントローラの機械学習システムは、進化戦略技術を使用して、人工ニューラルネットワークの様々なパラメータを調整することができる。コントローラは、例えば非凸関数など、バックプロパゲーションを使用して常に解けるとは限らない関数を持つニューラルネットワークアーキテクチャを使用することができる。一実施形態では、ニューラルネットワークは、そのノード接続の重みを表すパラメータの集合を有する。このネットワークの複製がいくつか生成され、パラメータにさまざまな調整が加えられ、シミュレーションが行われる。様々なモデルからの出力が得られたら、決められた成功指標を使用して、その性能を評価することができる。最良のモデルが選択され、制御システムは、予測された最良の結果シナリオを反映するために、所望の入力データを達成するためのその計画を実行する。さらに、成功指標は、最適化された結果の組み合わせであってもよく、それらは互いに相対的に重み付けされてもよい。
【0072】
コントローラは、この人工知能または機械学習を使用して、入力を受け取り、場所を異なる動作モードと関連付けるモデルを使用してアクションを選択し、選択したアクションを示す出力を提供することができる(上述)。コントローラは、機械が選択したアクションが望ましい結果をもたらしたかどうかを示す追加入力を受け取ることができる。この追加入力に基づいて、コントローラは、次回または反復時に、類似または同一の入力を受け取った場合に、どのアクションが選択されるかを変更するなどによって、モデルを変更することができる。その後、コントローラは、変更または更新されたモデルを再度使用して、アクションを選択し、選択したアクションに関するフィードバックを受信し、モデルを再度変更または更新するなど、追加の反復で、人工知能または機械学習を使用してモデルを繰り返し改善または変更することができる。
【0073】
一例または一態様に従って、電力制御システムは、電源と結合され、電源から電位を受け取り得るインバータを含んでもよい。インバータは、電位を、導電経路を介して負荷に供給される交流電流に変換することができる。正リンクおよび負リンクがインバータと連結され、電源と連結されて、電源からインバータに電位を伝導することができる。第1のレグは、正リンクと負リンクを導電的に結合することができる。第1のレグは、互いに直列に配置され、接地基準に接続された抵抗を含むことができる。第2のレグは、正リンクと負リンクを導電的に結合することができる。第2のレグは、互いに直列に配置され、接地基準に接続されたコンデンサを含むことができる。抵抗とコンデンサは、負荷、およびインバータを負荷と結合する導電経路のコンデンサンならびに抵抗と並列に配置されてもよい。抵抗とコンデンサは、第1のレグを備えるが第2のレグを備えない正リンクおよび負リンクと比較して、接地基準に対するインピーダンスを低減することができる。
【0074】
任意選択で、第1のレグの抵抗は、抵抗間の第1の中点で接地基準と接続され得る。第2のレグのコンデンサは、コンデンサ間の第2の中点で接地基準と接続され得る。抵抗は、正リンクと第1の中点との間で第1のレグに配置された正抵抗を含んでもよく、コンデンサは、正リンクと第2の中点との間で第2のレグに配置された正コンデンサを含んでもよい。正抵抗と正コンデンサは、互いに並列に配置されてもよい。抵抗は、負リンクと第1の中点との間で第1のレグに配置された負抵抗を含んでもよく、コンデンサは、負リンクと第2の中点との間で第2のレグに配置された負コンデンサを含んでもよい。負抵抗と負コンデンサは、互いに並列に配置されてもよい。抵抗とコンデンサは、接地基準に対するインピーダンスを低減し、第1のレグを備えるが第2のレグを備えない正リンクおよび負リンクと比較して、電源とインバータとの間に伝導される電位の変動を低減することができる。
【0075】
一例または一態様に従って、電力制御システムは、電池と結合され、電池から電位を受け取り得るインバータを含むことができる。インバータは、電位を、1つ以上のケーブルを介してトラクションモータに供給される交流に変換することができる。正直流リンクおよび負直流リンクは、インバータと接続され、電池と接続されて、電池からインバータに電位を伝導することができる。第1のレグは、正直流リンクおよび負直流リンクを導電的に結合することができる。第1のレグは、互いに直列に配置され、車両の接地基準に接続された接地抵抗を含むことができる。第2のレグは、正リンクと負リンクを導電的に結合することができる。第2のレグは、互いに直列に配置され、車両の接地基準に接続されたコンデンサを含むことができる。抵抗とコンデンサは、トラクションモータおよび1つ以上のケーブルの浮遊容量および浮遊抵抗と並列に配置されてもよい。接地抵抗およびコンデンサは、第1のレグを備えるが第2のレグを備えない正リンクおよび負リンクと比較して、車両の接地基準に対するインピーダンスを低減することができる。
【0076】
第1のレグの接地抵抗は、接地抵抗間の第1の中点で車両の接地基準と接続されてもよく、第2のレグのコンデンサは、コンデンサ間の第2の中点で車両の接地基準と接続されてもよい。第1のレグの第1の中点は、第2のレグの第2の中点と接続されてもよい。接地抵抗は、正直流リンクと第1の中点との間で第1のレグに配置された正抵抗を含んでもよく、コンデンサは、正直流リンクと第2の中点との間で第2のレグに配置された正コンデンサを含んでもよい。正抵抗および正コンデンサは、互いに並列に配置されてもよい。接地抵抗は、負リンクと第1の中点との間で第1のレグに配置された負抵抗を含んでもよく、コンデンサは、負リンクと第2の中点との間で第2のレグに配置された負コンデンサを含んでもよい。負抵抗と負コンデンサは、互いに並列に配置されてもよい。接地抵抗とコンデンサは、車両の接地基準に対するインピーダンスを低減し、第1のレグを備えるが第2のレグを備えない正直流リンクおよび負直流リンクと比較して、電池とインバータ間に伝導される電位の変動を低減することができる。
【0077】
一例または一態様に従って、電力制御システムは、電源と結合され、電源から電位を受け取り得るインバータを含んでもよい。インバータは、電位を、1つ以上のケーブルを介して負荷に供給される交流に変換することができる。回路は、インバータと接続された正直流リンクおよび負直流リンクを含み、電源と接続されて電源からインバータに電位を伝導することができる。回路は、正直流リンクと負直流リンクを導電的に結合する第1のレグを含んでもよい。第1のレグは、互いに直列に配置され、車両の接地基準に接続された接地抵抗を含んでもよい。回路は、正リンクと負リンクを導電的に結合する第2のレグを含んでもよい。第2のレグは、互いに直列に配置され、車両の接地基準に接続されたコンデンサを含んでもよい。負荷と1つ以上のケーブルは、インバータと電源を接続する回路に浮遊容量と浮遊抵抗を導入する可能性がある。抵抗とコンデンサは、負荷と1つ以上のケーブルの浮遊容量および浮遊抵抗と並列に配置することができる。接地抵抗とコンデンサは、第1のレグを備えるが第2のレグを備えない正直流リンクおよび負直流リンクと比較して、車両の接地基準に対するインピーダンスを低減することができる。
【0078】
第1のレグの抵抗は、抵抗間の第1の中点で接地基準と接続されてもよく、第2のレグのコンデンサは、コンデンサ間の第2の中点で接地基準と接続されてもよい。第1のレグの第1の中点は、第2のレグの第2の中点と接続されてもよい。抵抗は、正直流リンクと第1の中点との間で第1のレグに配置された正抵抗を含んでもよく、コンデンサは、正直流リンクと第2の中点との間で第2のレグに配置された正コンデンサを含んでもよい。抵抗は、負リンクと第1の中点との間で第1のレグに配置された負抵抗を含んでもよく、コンデンサは、負リンクと第2の中点との間で第2のレグに配置された負コンデンサを含んでもよい。
【0079】
一例において、電力制御システムは、1つ以上の電源と1つ以上の負荷との間の位置において、1つ以上の電源および1つ以上の負荷と導電的に結合され得るスナバアセンブリを含み得る。電力制御システムはまた、1つ以上の電源と1つ以上の負荷との間の位置において、1つ以上の電源および1つ以上の負荷と導電的に結合され得るクリッパアセンブリを含み得る。電力制御システムは、1つ以上の電源から伝導される電圧過渡の検出に応じてクリッパアセンブリを作動させることができるコントローラを含むことができる。コントローラは、電圧過渡が指定の閾値を超えることに応じてクリッパアセンブリを作動させて、電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、電圧過渡の残りを接地基準に導くことができる。スナバアセンブリは、電圧過渡が指定の閾値を超えないことに応じて、電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、電圧過渡の残りを接地基準に導くことができる。
【0080】
コントローラは、クリッパアセンブリの温度に基づいてクリッパアセンブリを作動停止させることができる。コントローラは、スイッチング周波数でクリッパアセンブリを繰り返し作動および作動停止させることができ、コントローラは、クリッパアセンブリの温度に基づいてスイッチング周波数を変更するように構成されている。クリッパアセンブリは、過渡電圧が正電圧過渡である間、過渡電圧を放散させ、接地基準に導くことができる正クリッパアセンブリとすることができ、スナバアセンブリは、過渡電圧が正電圧過渡である間、過渡電圧を放散させ、接地基準に導くことができる正スナバアセンブリとすることができる。
【0081】
電力制御システムはまた、過渡電圧が負電圧過渡である間、過渡電圧を放散させ、接地基準に導くことができる負クリッパアセンブリと、過渡電圧が負電圧過渡である間、過渡電圧を放散させ、接地基準に導くことができる負スナバアセンブリとを含むことができる。コントローラは、負電圧過渡および正電圧過渡の両方を含む電圧過渡に応じて、正クリッパアセンブリの代わりに負クリッパアセンブリを作動させることができる。
【0082】
正クリッパアセンブリ、正スナバアセンブリ、負クリッパアセンブリ、および負スナバアセンブリは、接地基準に接続されることができ、接地基準は、(a)正クリッパアセンブリおよび正スナバアセンブリと(b)負クリッパアセンブリおよび負スナバアセンブリとの間にある。コントローラは、クリッパアセンブリの温度に基づいて、1つ以上の電源の故障を特定することができる。
【0083】
クリッパアセンブリは、起動スイッチおよびクリッパ抵抗を含むことができる。コントローラは、起動スイッチを閉じて、過渡電圧をクリッパ抵抗と、クリッパアセンブリと接地基準との間の接地抵抗とに導くことができる。スナバアセンブリは、互いに直列に配置されたコンデンサおよび接地抵抗を含むことができる。スナバアセンブリのコンデンサは、起動スイッチおよびクリッパ抵抗と並列であってもよい。
【0084】
電力制御システムの別の例は、1つ以上の電源によって給電される1つ以上の負荷を有する動力システムの回路内の電圧過渡を監視することができるコントローラを含むことができる。コントローラは、電圧過渡の1つ以上が閾値を超えるかどうかを判定することができ、電圧過渡の1つ以上が閾値を超えることに応じて、コントローラは、1つ以上の電源と1つ以上の負荷との間の位置において、1つ以上の電源および1つ以上の負荷と導電的に結合されるように構成されたクリッパアセンブリを作動させて、閾値を超える電圧過渡の1つ以上の少なくとも一部を放散させ、閾値を超える電圧過渡の1つ以上の残りを接地基準に導くことができる。電力制御システムはまた、閾値を超えない電圧過渡の少なくとも一部を放散させ、閾値を超えない電圧過渡の残りを接地基準に導くことができるスナバアセンブリを含むことができる。
【0085】
コントローラは、クリッパアセンブリの温度が指定の温度閾値を超えることに応じて、クリッパアセンブリを作動停止させてもよい。コントローラは、スイッチング周波数でクリッパアセンブリを繰り返し作動および作動停止させることができ、コントローラは、クリッパアセンブリの温度に基づいてスイッチング周波数を変更することができる。クリッパアセンブリは、過渡電圧が正電圧過渡である間、過渡電圧を放散させ、接地基準に導くことができる正クリッパアセンブリであってもよく、スナバアセンブリは、過渡電圧が正電圧過渡である間、過渡電圧を放散させ、接地基準に導くことができる正スナバアセンブリであってもよい。電力制御システムはまた、過渡電圧が負電圧過渡である間、過渡電圧を放散させ、接地基準に導くことができる負スナバアセンブリを含むことができる。コントローラは、過渡電圧が負電圧過渡である間、過渡電圧を放散させ、接地基準に導くことができる負クリッパアセンブリを作動させることができる。
【0086】
コントローラは、負電圧過渡および正電圧過渡の両方を含む電圧過渡に応じて、正クリッパアセンブリの代わりに負クリッパアセンブリを作動させてもよい。コントローラは、クリッパアセンブリの温度に基づいて、1つ以上の電源の故障を特定することができる。
【0087】
方法は、車両の回路内の電圧過渡が指定の閾値を超えるか否かを判断することと、車両の回路内の電圧過渡が正電圧過渡であるか負電圧過渡であるかを判断することと、電圧過渡が閾値を超え、かつ、負電圧過渡であると判断することに応じて、電圧過渡を低減するために負クリッパアセンブリを作動させることと、電圧過渡が閾値を超え、かつ、負電圧過渡ではないと判断することに応じて、電圧過渡を低減するために正クリッパアセンブリを作動させることと、電圧過渡が閾値を超えないと判断することに応じて、電圧過渡の少なくとも一部を、スナバアセンブリを介して放散させることとを含むことができる。
【0088】
任意選択で、本方法は、正クリッパアセンブリまたは負クリッパアセンブリの温度を測定することと、測定された温度に基づいて正クリッパアセンブリまたは負クリッパアセンブリのスイッチング周波数を変更することとを含み得る。スイッチング周波数は、温度が閾値を超えることに応じて低減され得る。本方法は、正クリッパアセンブリまたは負クリッパアセンブリの温度を経時的に監視することにより、車両の回路における故障を特定することを含んでもよい。
【0089】
「1つ以上の・・・および」、「1つ以上の・・・または」、「・・・のうちの少なくとも1つおよび」および「・・・のうちの少なくとも1つまたは」などの語句の使用は、その語句に関連して使用される項目のうちの単一のもののみを含むこと、その語句に関連して使用される項目それぞれのうちの少なくとも1つを含むこと、またはその語句に関連して使用される項目の任意またはそれぞれのうちの複数を含むことを意味する。例えば、「A、B、およびCのうちの1つ以上」、「A、B、またはCのうちの1つ以上」、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、ならびに「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」はそれぞれ、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、(3)少なくとも1つのC、(4)少なくとも1つのAと少なくとも1つのB、(5)少なくとも1つのAと少なくとも1つのBと少なくとも1つのC、(6)少なくとも1つのBと少なくとも1つのC、または(7)少なくとも1つのAと少なくとも1つのC、を意味し得る。
【0090】
本明細書で使用される場合、単数形で記載され、「a」または「an」の単語が先行する要素またはステップは、そのような除外が明示的に記載されない限り、当該要素または動作の複数形を除外するものではない。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、記載された特徴を組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するものではない。さらに、反対のことが明示的に記載されない限り、特定の特性を有する1つの要素または複数の要素を「備える(comprising)」、「備える(comprises)」、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、または「有する(has)」実施形態は、その特性を有さない追加のそのような要素を含み得る。添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「おいて(in which)」の用語は、「含む(comprising)」および「おいて(wherein)」のそれぞれの用語の平易な英語における同等のものとして使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」および「第3」等の用語は、単にラベルとして使用され、その対象に数値要件を課すものではない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で記載されておらず、そのような特許請求の範囲の限定が明示的に「手段」の用語を使用し、その後にさらなる構造を伴わない機能の記載が続く場合を除いて、35U.S.C.§112(f)に基づいて解釈されることは意図されていない。
【0091】
本明細書は、最良の態様を含む主題のいくつかの実施形態を開示し、任意の装置またはシステムを製造および使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含む、主題の実施形態を当業者が実施できるようにするために、例を用いる。主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に着想される他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構成要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【外国語明細書】