(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095560
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】多層型メイクアップ保護化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20240703BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240703BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/00
A61K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209040
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2022211616
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 郁
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB051
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB282
4C083AB322
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB352
4C083AB362
4C083AB382
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC532
4C083AC552
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD332
4C083AD432
4C083AD532
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB14
4C083BB21
4C083BB23
4C083CC04
4C083CC11
4C083DD05
4C083DD08
4C083EE03
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】 さらさらとした使用感、及び、テカリ防止効果が良好な、多層型メイクアップ保護化粧料を提供すること。
【解決手段】 本技術は、成分(A)親油性樹脂、成分(B)粘土鉱物、及び水を含有する、多層型メイクアップ保護化粧料を提供することができる。さらに、本技術は、より好適な態様として、成分(A)親油性樹脂、成分(B)粘土鉱物、及び水、並びに、成分(C)親水性粉体及び/又は成分(D)金属塩を含有する多層型メイクアップ保護化粧料を提供することもできる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、及び、水を含有する、多層型メイクアップ保護化粧料。
(A)親油性樹脂
(B)粘土鉱物
【請求項2】
噴霧して使用する、請求項1に記載の多層型メイクアップ保護化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(A)が、0.01~30である、請求項1又は2に記載の多層型メイクアップ保護化粧料。
【請求項4】
さらに、揮発性油剤を含有する、請求項1又は2に記載の多層型メイクアップ保護化粧料。
【請求項5】
さらに、成分(C)前記成分(B)以外の親水性粉体、及び/又は、成分(D)金属塩を含有する、請求項1又は2に記載の多層型メイクアップ保護化粧料。
【請求項6】
前記成分(A)が、シリコーン系樹脂である、請求項1又は2に記載の多層型メイクアップ保護化粧料。
【請求項7】
前記成分(C)が、親水性無機粉体である、請求項5に記載の多層型メイクアップ保護化粧料。
【請求項8】
前記成分(D)が、アルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩である、請求項5に記載の多層型メイクアップ保護化粧料。
【請求項9】
さらに、一価低級アルコールを含有する、請求項1又は2に記載の多層型メイクアップ保護化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、多層型メイクアップ保護化粧料等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ後、汗や衣服とのこすれ等によって生じるメイクアップの化粧崩れを防ぎたい等の要望が消費者のニーズとしてある。
【0003】
例えば、特許文献1には、アイメイクアップ化粧料の中でも、主にアイライナー、マスカラ、アイブロウなどの目の際、睫毛、眉毛に主に用いられる眉目化粧料に対して二次的な化粧を施すことによって、化粧持続性、二次付着性の格段の向上を実現する化粧崩れ防止用オーバーコート剤を提供する方法が開示されている(請求項1)。
【0004】
また、特許文献2には、(A)特定の水溶性増粘剤を含有し、口径がΦ0.25~Φ0.55であるポンプ式スプレー容器に充填されていることを特徴とする、水系又は水中油型のミスト化粧料が提案されている(請求項1、請求項3、段落〔0024〕、〔表1〕)。
【0005】
例えば、特許文献3には、特にローション又はクリームの形態で、メーキャップを施したファンデーションの上から使用して肌に潤いを与える皮膚化粧料であって、長期安定性に優れ、メーキャップを施した顔の上から塗布してもファンデーションのよれを生じず、かつ経時でのうるおい感の優れた皮膚化粧料を提供することが開示されている(段落〔0001〕、〔0002〕)。
【0006】
例えば、特許文献4には、その請求項1として、成分(A)~(C);(A)油溶性皮膜形成剤、(B)水 40~95質量%、(C)揮発性油剤、を含有し、メイクアップの上に噴霧して使用する、多層型メイクアップ保護化粧料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-320905号公報
【特許文献2】特開2014-237615号公報
【特許文献3】特開2002-138030号公報
【特許文献4】WO2020/175398
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、さらさらとした使用感、及び、テカリ防止効果が良好な、多層型メイクアップ保護化粧料を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討した結果、親油性樹脂、粘土鉱物及び水を含む組成物にすることで、さらさらとした使用感、及び、テカリ防止効果が良好な、多層型メイクアップ保護化粧料を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。本発明は以下のとおりである。
【0010】
本発明は、成分(A)親油性樹脂、成分(B)粘土鉱物、及び水を含有する、多層型メイクアップ保護化粧料を提供することができる。
【0011】
前記化粧料は、噴霧して使用してもよい。
前記化粧料は、さらに、成分(C)前記成分(B)以外の親水性粉体、及び/又は、成分(D)金属塩を含有してもよい。
前記化粧料は、さらに揮発性油剤を含有してもよい。
前記化粧料は、さらに一価低級アルコールを含有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、さらさらとした使用感、及び、テカリ防止効果が良好な多層型メイクアップ化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を実施するための好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である(質量/質量%)。また、各数値範囲(~)の上限値(以下)と下限値(以上)は、所望により、任意に組み合わせることができる。
【0014】
1.本技術について
【0015】
本発明者は、メイクアップ保護効果を期待する多層型の保護組成物について、鋭意検討を行った。本技術は、多層型の組成物であるため、特許文献1~3のような化粧料とは組成物の外観の状態が異なり、自ずと組成の組み合わせの概念又は方向性が大きくかけ離れている。
【0016】
本発明者は、油溶性皮膜形成性のシリコーン系樹脂を用いる多層型のメイクアップ保護化粧料に関し、油溶性皮膜形成性のシリコーン系樹脂に、さらに水40~95%及び揮発性油剤を配合した多層型の組成物は、霧の細かさ及びメイクアップ保護効果は良好であるものの、さらさらとした使用感及びテカリ防止効果を良好に得ることができないことを、新たに見出し、これを検討することにした。
【0017】
そこで、本技術は、さらさらとした使用感及びテカリ防止効果が良好な多層型メイクアップ保護化粧料を提供することを主な目的とする。
【0018】
そして、本発明者は、鋭意検討した結果、親油性樹脂、粘土鉱物及び水を含む組成物にすることにより、さらさらした使用感及びテカリ防止効果を有する、多層型のメイクアップ保護化粧料を提供できることに至った。
【0019】
さらに、本発明者は、親油性樹脂、粘土鉱物及び水を含む多層型のメイクアップ保護用の組成物において、後記〔実施例〕に示すように、さらに、粘土鉱物以外の親水性粉体又は金属塩を更に含むことで、さらさらした使用感、テカリ防止効果又は層分離性の少なくとも何れかが、より改善又はより向上できることも見出した(実施例1、実施例17、実施例24等)。さらに、粘土鉱物以外の親水性粉体及び金属塩の両方を含むことで、さらさらした使用感、テカリ防止効果、層分離性、メイクアップ保護効果及び霧の細かさが、非常に優れた多層型のメイクアップ保護用の組成物にできることも見出した(実施例1、実施例17、実施例24、実施例29等)。層分離性が良好であることで、さらさらとした使用感がより良好になるという利点や外観の審美性が保持されるという利点がある。なお、本技術の組成物は、化粧料又は皮膚外用剤としてもよく、以下に詳述する成分、構成及び含有量等を適宜採用してもよい。
【0020】
また、本技術は、メイクアップ保護効果を有する多層型の化粧料を提供することができ、当該化粧料は皮膚外用剤であってもよい。そして、本技術は、使用者が普段行っているようなメイクアップの上又はメイクアップを施す前の肌やメイクアップ途中にも使用することができるという利点もあり、普段のメイクアップの化粧崩れを防止又は抑制することができ、メイクアップの保護効果を有する。さらに、ファンデーションやチーク、アイシャドウ等の化粧料と混合して塗布、ブラシやスポンジ等の化粧料塗布体に振りかけてから化粧料を塗布する方法でも、普段のメイクアップの化粧崩れを防止又は抑制することができ、メイクアップの保護効果を有する。このため、本技術は、自身の手持ちの化粧料を使用して肌又は顔に施した個別具体的なメイクアップの化粧もちを向上させたいという消費者の要望にも応えることができる。また、本技術は、使用者が所望のメイクアップに対して、又は、所望のメイクアップをする際に又はメイクアップ後に、メイクアップの状況、仕方、直し(化粧直し)、手順、技法、又は技術等に応じて、適宜、適用したり使用したりすることもできる。なお、本技術は、化粧を施す肌に触れる衣類やマスク等に直接吹きかけ、衣類やマスク等へのメイクアップの二次付着を防ぐことでメイクアップ保護効果を得ても良い。様々な使用形態をとり得るが、メイクアップ保護効果の観点からはメイクアップの上又はメイクアップを施す前の肌やメイクアップ途中に使用することが好ましい。
【0021】
また、本発明者は、親油性樹脂を用いることで、花粉やPM2.5、黄砂などのような大気汚染の大気中の粒子に対して優れたバリア効果を有する皮膜を形成しやすい知見を得ている(特許文献4:WO2020/175398)。後記〔実施例〕に示すように、親油性樹脂を少なくとも含む多層型の組成物を、メイクアップに対して使用することで化粧崩れを長時間防いでいることから、本技術は、メイクアップを施す前の肌又は施した後の肌に対して使用することで、メイクアップ保護用の他、大気汚染ブロック用、花粉対策用やPM2.5対策用、大気粒子対策用などの肌保護用の組成物としても使用することができる。また、本技術は、本技術に関する肌保護用組成物を使用した肌の表面又はメイクアップの表面には様々な粒子が付着しにくくなるという利点も有する。
【0022】
以下、本技術について、詳述する。
【0023】
2.本実施形態に係る多層型のメイクアップ保護化粧料
本実施形態は、成分(A)親油性樹脂、成分(B)粘土鉱物、及び水を含有する、多層型メイクアップ保護化粧料を提供することが好適である。これにより、さらさらした使用感及びテカリ防止効果を発揮することができる。また、メイクアップ保護化粧料を、肌保護用の組成物又は肌保護用の化粧料として使用することもできる。また、メイクアップ保護化粧料を、PM2.5や花粉などの大気中の粒子に対する保護対策又は付着防止用として、使用してもよい。
【0024】
本実施形態は、顔に対して噴霧して使用することが好ましい。本実施形態は、細かい霧状を噴霧できることから、顔又はメイクアップの上に均一な膜を形成しやすいという利点があり、このことはメイクアップ保護の観点からも良好である。
【0025】
本実施形態は、成分(A)、成分(B)及び水を含む組成物に、成分(C)前記成分(B)以外の親水性粉体、及び/又は、成分(D)金属塩を更に含有することが好ましい。これにより、さらさらした使用感、テカリ防止効果、又は層分離性が、より改善又はより向上できる。成分(C)及び成分(D)の両方を更に含有させることで、さらさらした使用感、テカリ防止効果、良好な層分離性、メイクアップ保護効果及び霧の細かさが、非常に優れたメイクアップ保護化粧料を提供することもできる。
【0026】
また、本実施形態は、さらに揮発性油剤を含有することが好ましい。また、本実施形態は、さらに一価低級アルコールを含有することが好ましい。揮発性油剤及び一価低級アルコールを用いることにより、さらさらした使用感及びテカリ防止効果を発揮しやすい利点があり、及び、層分離性がよくなるという利点がある。
【0027】
以下、本実施形態に係る多層型のメイクアップ保護化粧料について、詳述する。なお、本実施形態に用いられる各成分は、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば、特に限定されない。
【0028】
<2-1.親油性樹脂>
本実施形態に用いられる親油性樹脂(以下、「成分(A)親油性樹脂」又は「成分(A)」ともいう)は、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されないが、油剤に溶解し得る又は油剤で膨潤し均一に分散する性質を有し、通常の化粧料又は皮膚外用等に使用できる親油性樹脂が、メイクアップ保護効果の観点から好ましい。当該親油性樹脂は、油溶性皮膜形成性親油性樹脂がより好ましく、当該油溶性皮膜形成性親油性樹脂は、揮発性油等の油剤に可溶で、皮膜を形成できるものであり、通常の化粧料又は皮膚外用剤に使用できる樹脂がさらに好ましい。
【0029】
本明細書における「親油性樹脂」の「樹脂」とは、樹皮から得られる粘着性物質、及び高分子化合物を包含した意味を持ち、天然樹脂、半合成樹脂、合成樹脂等、その起源を問わず、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものが挙げられる。本明細書における「親油性樹脂」の「親油性」とは、油剤に溶解し得る、又は油剤で膨潤し均一に分散する性質を指す。
【0030】
成分(A)親油性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリプロピルシルセスキオキサン、トリメチルシロキシケイ酸、トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸、(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシケイ酸)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸ステアリルジメチコン)クロスポリマー等のシリコーン系樹脂;(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、(メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸エチルヘキシル)コポリマー等の(メタ)アクリル酸系樹脂;(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー等の(メタ)アクリル-シリコーングラフト重合体;イソステアリン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル;(VP/エイコセン)コポリマー等のα-オレフィン/ビニルピロリドン共重合体;トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン等のシリコーン化多糖化合物;ミリストイル化プルラン、パルミトイル化プルラン等のプルラン脂肪酸エステル;ロジン変性フェノール樹脂、ロジンエステル等のロジン酸系樹脂;キャンデリラ樹脂;酢酸ビニル系樹脂;ポリブテン樹脂、ポリイソプレン樹脂、これらの水素添加樹脂等のブテン系樹脂等の飽和又は不飽和の炭化水素樹脂;ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これら成分(A)は後述する成分を組み合わせることで、さらさらとした使用感及びテカリ防止効果を発揮しやすく、層分離性も良好になりやすい。これら成分(A)から、1種又は2種以上を選択することができ、複数を組み合わせることが好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び/又は「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0031】
成分(A)親油性樹脂として、メイクアップ保護効果、及び使用時の霧の細かさの観点から、シリコーン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、(メタ)アクリル-シリコーングラフト重合体、及びデキストリン脂肪酸エステルよりなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、シリコーン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、及び(メタ)アクリル-シリコーングラフト重合体よりなる群から選択される1種又は2種以上がより好ましく、このなかでもシリコーン系樹脂が好適である。本実施形態では、親油性樹脂の例から選択される1種を単独で用いても良いが、2種以上を組み合わせて用いると、メイクアップ保護効果、及び使用時の霧の細かさにより優れるため、より好ましい。また、さらさらとした使用感及びメイクアップ保護効果をより良好にするために、上述したポリメチルシルセスキオキサン等のシリコーン系樹脂からなる群から選択される2種以上を組み合わせて使用してもよく、例えば、ポリメチルシルセスキオキサン及びトリメチルシロキシケイ酸を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
成分(A)親油性樹脂のうち、ポリメチルシルセスキオキサン、トリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸、(ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシケイ酸)クロスポリマー、(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、(メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸エチルヘキシル)コポリマー、イソステアリン酸デキストリンからなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、ポリメチルシルセスキオキサン、トリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸、(ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシケイ酸)クロスポリマー、(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマー、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、(メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸エチルヘキシル)コポリマー、イソステアリン酸デキストリンからなる群から選択される1種又は2種以上がより好ましく、ポリメチルシルセスキオキサン、トリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸、(ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシケイ酸)クロスポリマー、(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマーからなる群から選択される1種又は2種以上がさらにより好ましい。これにより、メイクアップ保護効果、及び使用時の霧の細かさがより良好であり、さらさらとした使用感を得やすい。
なお、成分(A)親油性樹脂に、トリメチルシロキシケイ酸が少なくとも含まれることがより好ましく、このときトリメチルシロキシケイ酸と、これ以外の親油性樹脂又はこれとは異なるシリコーン系樹脂とを組み合わせてもよい。
【0033】
さらに、成分(A)親油性樹脂の中でも、メイクアップ保護効果の観点から、皮膜形成性の親油性樹脂が好ましい。皮膜形成とは親油性樹脂を揮発性油剤に溶かした樹脂液をガラス板に一定の厚さ(例えば400μm等)で均一に塗布し、揮発性油剤を揮発させた後、皮膜が形成されるものを指す。
【0034】
本実施形態に用いる皮膜形成性の親油性樹脂の例としては、上述した「成分(A)親油性樹脂」で説明した親油性樹脂及び化合物の例のうち、皮膜形成可能な樹脂を適宜採用することができ、このうち、皮膜形成性のシリコーン系樹脂、皮膜形成性の(メタ)アクリル酸系樹脂、皮膜形成性の(メタ)アクリル-シリコーングラフト重合体、及び皮膜形成性のデキストリン脂肪酸エステルが好適であり、さらに皮膜形成性のシリコーン系樹脂、皮膜形成性の(メタ)アクリル酸系樹脂、皮膜形成性の(メタ)アクリル-シリコーングラフト重合体がより好適である。このうち、汗や皮脂に強くべたつきのない膜をより良好に形成できる観点から、皮膜形成性のシリコーン系樹脂が好適である。これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
本実施形態において、前記成分(A)として、市販品を用いることができる。例えば、KF7312J(固形分50%、溶媒:シクロペンタシロキサン、信越化学工業社製)、KF-9021(固形分50%、溶媒:シクロペンタシロキサン、信越化学工業社製)、BY11-018(固形分30%、溶媒:シクロペンタシロキサン、東レ・ダウコーニング社製)、KP541(固形分60%、溶媒:イソプロパノール、信越化学工業社製)、SR-1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、KP545(固形分30%、溶媒:シクロペンタシロキサン、信越化学工業社製)、KP575(固形分30%、溶媒:シクロペンタシロキサン、信越化学工業社製)、BELSIL TMS 803(旭化成ワッカーシリコーン社製)、BELSIL RG 90(固形分20%、溶媒:イソドデカン、旭化成ワッカーシリコーン社製)、BELSIL RG 100(固形分20%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン、旭化成ワッカーシリコーン社製)、DOWSIL FC-5004DM(1.5cSt) Silicone Resin Gum(固形分40%、溶媒:ジメチコン、東レ・ダウコーニング社製)、SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、XS66-B8226(固形分50%、溶媒:シクロペンタシロキサン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、オパノールB-100(BASF社製)、ユニフィルマHVY(千葉製粉社製)等が挙げられる。これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0036】
前記成分(A)親油性樹脂(好適には皮膜形成性の親油性樹脂)の含有量は、組成物(好適には化粧料)全質量中、特に限定されないが、その好適な下限値として、メイクアップ保護効果の観点から、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.1%以上、よりさらに好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上であり、また、その好適な上限値として、さらさらとした使用感の観点から、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下、よりさらに好ましくは5%以下である。さらに、前記成分(A)親油性樹脂の含有量の好適な数値範囲として、組成物全質量中、好ましくは0.01~10%、より好ましくは0.05~8%である。この範囲にすることにより、より良好なメイクアップ保護効果又は肌保護効果、及び霧の細かさを有しながら、さらに後述する成分との組み合わせにより、さらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることもでき、また、より良好な層分離性も得やすい。
【0037】
また、異なる2種以上の親油性樹脂を組み合わせて使用する場合には、上述した、前記成分(A)の含有量は、前記成分(A)全体の含有量であってもよい。異なる2種の親油性樹脂の組み合わせの場合には、その含有質量比((a):(b))は、好ましくは10~1:1~10、より好ましくは5~1:1~5、さらに好ましくは2~1:1~2である。前記(a)はトリメチルシロキシケイ酸であり、前記(b)はこれ以外の親油性樹脂又はこれとは異なるシリコーン系樹脂であることが好ましい。
【0038】
シリコーン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、メイクアップ保護効果の観点から、成分(A)親油性樹脂の含有量中、その好適な下限値として、50%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、よりさらに好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、より好ましくは実質100%である。
また、シリコーン系樹脂の含有量は、組成物全質量中、特に限定されないが、上述した親油性樹脂の含有量の好適な下限値及び上限値を適宜採用することができるが、より好適な数値範囲として、好ましくは0.01~10%、より好ましくは0.05~8%である。
【0039】
また、トリメチルシロキシケイ酸及び/又はポリメチルシルセスキオキサンの含有量は、組成物全質量中、特に限定されないが、上述した油溶性樹脂の含有量の好適な下限値及び上限値を適宜採用することができるが、より好適な数値範囲として、好ましくは0.01~10%、より好ましくは0.05~8%である。トリメチルシロキシケイ酸及びポリメチルシルセスキオキサンの両方を組み合わせることにより、さらさらとした使用感及びメイクアップ保護効果をより良好にすることができる。
【0040】
<2-2.粘土鉱物>
本実施形態に用いられる粘土鉱物(以下、「成分(B)粘土鉱物」又は「成分(B)ともいう」は、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されない。粘土鉱物として、水膨潤性粘土鉱物が好ましく、水膨潤性粘土鉱物は、水に膨潤するものであれば特に限定されない。水膨潤性粘土鉱物は、層間に陽イオンを有しており、水と陽イオンの相互作用により、粘土鉱物の底面間隔を広げることで水に対して膨潤性を有する性質を持つ粘土鉱物のことであり、水膨潤力が10ml/g以上のものが好適である。
【0041】
成分(B)粘土鉱物として、特に限定されないが、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、ハイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト型の粘土鉱物;カオリン;フッ素雲母;合成スメクタイト;複合ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム)を主成分とする粘土鉱物;等が挙げられ、これらの例は水膨潤性粘土鉱物であることが好適である。これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。これら粘土鉱物は、天然由来、合成品のいずれでもよい。なお、「スメクタイト型の粘土鉱物」は、以下、「スメクタイト」ともいう。「複合ケイ酸塩を主成分とする粘土鉱物」は、以下、「複合ケイ酸塩」又は「複合ケイ酸塩の粘土鉱物」ともいう。これにより、使用時の霧の細かさ及び/又はメイクアップ保護効果を得ることができるとともに、さらにさらさらとした使用感及び/又はテカリ防止効果を得ることもできる。
【0042】
前記成分(B)は市販品を使用することができ、当該市販品としては、例えば、クニピアG-4、スメクトンSA-2(クニミネ工業社製)、ルーセンタイトSWN(コープケミカル社製)、BENTONE MA、EW、LT、RV(Elementis社製)、SUBMICA E(大東化成工業社製)、ベンゲル(ホージュン社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。なお、原材料(乾燥状態)として使用する粘土鉱物の平均粒子径(D50)は、例えば10μm未満又は5μm未満を使用することが、使用時の霧の細かさ及び/又はメイクアップ保護効果等の観点から、好適である。
【0043】
前記成分(B)粘土鉱物のなかでも、使用時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果、さらさらとした使用感及びテカリ防止効果が得られる観点から、スメクタイト及び/又は複合ケイ酸塩が好適に用いられる。このうち、ベントナイト及び/又はケイ酸(Al/Mg)が、より好適である。これらスメクタイト及び/又は複合ケイ酸塩は、後述する成分(C)成分親水性粉体及び(D)金属塩との組み合わせも良好であり期待し得る効果を発揮しやすい。
【0044】
前記成分(B)粘土鉱物の含有量は、組成物(好適には化粧料)全質量中、特に限定されないが、その好適な下限値として、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上、さらに好ましくは0.05%以上、よりさらに好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.3%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、よりさらに好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。これにより、より良好なメイクアップ保護効果とより良好な霧の細かさとともに、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることができ、また、より良好な層分離性も得やすい。
【0045】
さらに、当該成分(B)の好適な数値範囲として、組成物全質量中、より好ましくは0.01~5%、よりさらに好ましくは0.05~3%である。この範囲にすることにより、より良好なメイクアップ保護効果とより良好な霧の細かさとともに、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることができ、また、より良好な層分離性も得やすい。
【0046】
なお、スメクタイト及び/又は複合ケイ酸塩の含有量は、組成物全質量中、特に限定されないが、上述した粘土鉱物の含有量の好適な下限値及び上限値を適宜採用することができるが、より好適な数値範囲として、より好ましくは0.01~5%、よりさらに好ましくは0.05~3%である。
【0047】
また、ベントナイト及び/又はケイ酸(Al/Mg)の含有量は、組成物全質量中、特に限定されないが、上述した粘土鉱物の含有量の好適な下限値及び上限値を適宜採用することができるが、より好適な数値範囲として、より好ましくは0.01~5%、よりさらに好ましくは0.05~3%である。
【0048】
さらに、本実施形態における前記成分(A)に対する前記成分(B)について、組成物(好適には化粧料)全質量中の含有質量割合(B)/(A)は、特に限定されないが、その好適な下限値として、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.02以上、よりさらに好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下、よりさらに好ましくは15以下、より好ましくは10以下、より好ましくは5以下、より好ましくは3以下、より好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下であり、より好適な数値範囲として、好ましくは0.01~30であり、さらに好ましくは0.02~10である。これにより、より良好なメイクアップ保護効果とより良好な霧の細かさとともに、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることができ、また、より良好な層分離性も得やすい。なお、前記成分(A)及び前記成分(B)は、それぞれ好適な成分の例の組み合わせであってもよく、例えば「親油性樹脂(例えばシリコーン系樹脂)に対するベントナイト及び/又はケイ酸(Al/Mg)」などであってもよい。また、「含有質量割合(B)/(A)」は、「使用質量割合(B)/(A)」であってもよい。
【0049】
<2-3.水>
本実施形態には、水を含有することが好適である。水は、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されないが、精製水のほか、イオン交換水、海水や海洋深層水、植物の水蒸気蒸留水も用いることができ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0050】
本実施形態における水の含有量は、特に限定されないが、組成物(好適には化粧料)全質量中、その好適な下限値として、好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上、よりさらに好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは98%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは93%以下、よりさらに好ましくは90%以下、より好ましくは87%以下、より好ましくは85%以下である。これにより、より良好なメイクアップ保護効果とより良好な霧の細かさとともに、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることができる。
【0051】
さらに、水の好適な数値範囲として、組成物全質量中の、好ましくは50~95%であるが、60~90%がより好ましく、65~85%がさらに好ましい。この範囲にすることにより、より良好なメイクアップ保護効果を有しながら、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることもでき、また、より良好な層分離性も得やすい。
【0052】
<2-4.親水性粉体>
本実施形態は、さらに、成分(C)前記成分(B)以外の親水性粉体(以下、「成分(C)親水性粉体」又は「成分(C)」ともいう」)を含有させることが好ましい。当該成分(C)親水性粉体及び/又は後述する成分(D)金属塩により、さらさらとした使用感、テカリ防止効果又は層分離性を改善又は向上させることができる。
【0053】
本実施形態に用いられる成分(C)親水性粉体は、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されず、親水性無機粉体(例えば、硫酸塩、シリカ等)及び親水性有機粉体(例えば、樹脂粉末、デンプン粉末、セルロース粉末等)から選択される1種又は2種以上を用いることができる。さらに、成分(C)親水性粉体は、必要に応じて、本技術の効果を妨げない範囲で、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素、水溶性高分子、樹脂、ポリエチレングリコール等から選択される1種又は2種以上を用いて表面処理(好適には親水化表面処理)を施したものを用いることもでき、表面処理粉体を市販品として入手してもよいし、粉体に表面処理剤を用いて表面処理粉体を得てもよく、例えば、疎水性粉体に、親水性化の表面処理を施すことで、得られた親水性粉体を使用することもできる。
【0054】
本明細書において、親水性粉体とは、「ヘキサン10g/水10gに粉体を1g添加し、超音波で分散させたときに、水相に分散される粉体」をいう。
【0055】
本実施形態に用いる粉体は、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されず、球状、板状、針状、不定形等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により、特に限定されない。
【0056】
さらに、成分(C)親水性粉体は、球状粉体又は板状粉体が好ましい。これにより、より良好なさらさらとした使用感及び/又はより良好なメイクアップ保護効果が得られる。なお、球状とは、真球状のみを意味するものではなく、楕円や略球状、表面に微細な穴や凹凸があるものでもよい。楕円状、略球状の場合は短径と長径の比率が1:1~1:2であれば球状として好ましい。また、板状とは、板のような性状を満たしていればよく、表面が平滑のものでも、微細な穴や凹凸があるものでもよく、短径と長径の比率は、短径1に対して長径5以上が好ましい。
【0057】
前記親水性無機粉体として、上述した成分(B)粘土鉱物以外のものであれば特に限定されないが、例えば、硫酸塩(好適には硫酸バリウム(硫酸Ba))、シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、マイカ、合成マイカ、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、チッ化硼素、酸化クロム、コンジョウ、群青、酸化鉄雲母、酸化鉄雲母チタン、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。この親水性無機粉体は、球状粉体又は板状粉体の何れでもよい。これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
この親水性無機粉体うち、より良好なさらさらとした使用感、より良好な層分離性の観点から、硫酸バリウム(硫酸Ba)、及び/又はシリカ(無水ケイ酸)が好ましい。硫酸バリウムは板状が好ましく、シリカは球状又は板状の何れでもよい。
【0058】
前記親水性有機粉体として、特に限定されないが、例えば、セルロース、結晶セルロース、デンプン粉末、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、シリコーン粉末、ポリメチルメタクリレート粉末、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、タール系色素及びそのレーキ色素等、又はこれらの粉体を複合化したものが挙げられ、この親水性有機粉体は、球状粉体が好ましい。これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
この親水性有機粉体のうち、より良好なさらさらとした使用感、より良好なメイクアップ保護効果等の観点から、セルロース、結晶セルロース、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーから選択される1種又は2種以上が好ましい。これらは、球状が好ましい。
【0059】
前記成分(C)親水性粉体のなかでも、硫酸Ba、セルロース、結晶セルロース、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、シリカ、メタクリル酸メチルクロスポリマー、から選択される1種又は2種以上が好ましい。このうち、硫酸Ba、シリカがより好ましく、また前記成分(C)中に少なくとも硫酸Baを含むことがより好ましい。これにより、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果、さらさらとした使用感及びテカリ防止効果を有しながら、更により良好な層分離性を得ることができる。
【0060】
前記成分(C)親水性粉体の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、その好適な下限値として、さらさらとした使用感の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、また、その好適な上限値として、霧の細かさの観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下であり、当該好適な数値範囲として、より好ましくは3~40μm、さらに好ましくは5~30μmである。当該平均粒子径(D50)は、前記(C)として使用する化合物ごとの平均粒子径であることが好ましい。これにより、より良好なメイクアップ保護効果とより良好な霧の細かさとともに、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることができ、さらに、より良好な層分離性が得やすい。
【0061】
なお、本明細書における「平均粒子径(D50)」とは、画像解析法を用いて評価したD50である。具体的には、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM-7800prime)を用いて、表面状態を観察し、画像解析装置(ルーゼックスAP、ニレコ社製)による測定により求めた値(D50)を用いる。
【0062】
前記成分(C)親水性粉体の含有量は、組成物(好適には化粧料)全質量中、特に限定されないが、より良好なさらさらとした使用感及びテカリ防止効果、より良好な層分離性の観点から、その好適な下限値として、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上、さらに好ましくは0.05%以上、よりさらに好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.3%以上であり、また、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、メイクアップ保護効果の観点から、その好適な上限値として、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下、よりさらに好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下である。さらに、当該成分(C)の好適な数値範囲として、組成物全質量中、より好ましくは0.01~10%、よりさらに好ましくは0.1~7%である。この範囲にすることにより、より良好なメイクアップ保護効果とより良好な霧の細かさとともに、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることができ、また、より良好な層分離性が得やすい。
【0063】
また、シリカ及び/又は硫酸塩の含有量は、組成物全質量中、特に限定されないが、上述した親水性粉体の含有量の好適な下限値及び上限値を適宜採用することができるが、より好適な数値範囲として、より好ましくは0.01~7%、よりさらに好ましくは0.1~5%である。
硫酸塩(好適には硫酸Ba)の含有量は、組成物全質量中、特に限定されないが、上述した親水性粉体の含有量の好適な下限値及び上限値を適宜採用することができるが、より好適な数値範囲として、より好ましくは0.01~7%、よりさらに好ましくは0.1~5%である。
【0064】
<2-5.金属塩>
本実施形態は、さらに、(D)金属塩(以下、「成分(D)金属塩」又は「成分(D)」ともいう」)を含有させることが好ましい。当該成分(D)金属塩及び/又は上述した成分(C)親水性粉体により、さらさらとした使用感、テカリ防止効果又は層分離性を改善又は向上させることができる。
【0065】
本明細書における「金属塩」とは、金属イオンである陽イオンと陰イオンから構成される化合物であり、陰イオンの供給源を水中で電離する酸を、無機酸又は有機酸と例示することができる。当該金属塩は、イオン性化合物が好ましい。当該酸は、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されず、無機酸及び/又は有機酸であってもよい。また、当該金属は、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されず、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属;バリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属;などから選択される1種又は2種以上が好ましい。(D)金属塩のうち、好ましくはアルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩、より好ましくはアルカリ金属の塩である。
【0066】
本実施形態に用いられる成分(D)金属塩は、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されず、例えば、無機酸金属塩及び有機酸金属塩が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。このうち、好ましくはアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であり、より好ましくはアルカリ金属塩である。このうち、無機酸金属塩が好ましい。
【0067】
無機酸金属塩のうち、さらさらとした使用感および層分離性の観点から、好ましくは塩化金属塩、亜硫酸金属塩(例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、リン酸金属塩(例えば、メタリン酸ナトリウム等)などから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくは塩化アルカリ金属塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等)であり、このうち、塩化ナトリウムがより好適である。
【0068】
有機酸金属塩のうち、さらさらとした使用感および層分離性の観点から、好ましくは、クエン酸金属塩、ビタミンC類(アスコルビン酸及びその誘導体(例えば、リン酸アスコルビン酸等)等)の金属塩、安息香酸の金属塩などから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくは、クエン酸アルカリ金属塩、及びリン酸アスコルビン酸アルカリ金属塩であり、このうち、クエン酸ナトリウム、リン酸アスコルビン酸マグネシウムがより好適である。
【0069】
前記成分(D)金属塩のうちでも、さらさらとした使用感および層分離性の観点から、塩化金属塩、クエン酸金属塩、及びビタミンC類金属塩から選択される1種又は2種以上が好ましく、このうち塩化金属塩がより好ましい。より好適な具体的な化合物としては、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸アスコルビン酸マグネシウムから選択される1種又は2種以上であり、このうちで、層分離性の観点から、より好ましくは塩化ナトリウムである。
【0070】
前記成分(D)金属塩の含有量は、組成物(好適には化粧料)全質量中、特に限定されないが、その好適な下限値として、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上、さらに好ましくは0.05%以上、よりさらに好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.3%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、よりさらに好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。これにより、より良好なメイクアップ保護効果とより良好な霧の細かさとともに、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることができ、また、より良好な層分離性が得やすい。
【0071】
さらに、当該成分(D)の好適な数値範囲として、組成物全質量中、より好ましくは0.01~5%、よりさらに好ましくは0.05~3%である。この範囲にすることにより、より良好なメイクアップ保護効果とより良好な霧の細かさとともに、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることができ、また、より良好な層分離性が得やすい。
【0072】
さらに、本実施形態における前記成分(A)に対する前記成分(D)として、組成物(好適には化粧料)中の含有質量割合(D)/(A)は、特に限定されないが、その好適な下限値として、さらさらとした使用感および層分離性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上、よりさらに好ましくは0.1以上であり、また、その好適な上限値として、さらさらとした使用感およびメイクアップ保護効果の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下、よりさらに好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.3以下であり、より好適な数値範囲として、好ましくは0.03~1である。これにより、より良好なメイクアップ保護効果とより良好な霧の細かさとともに、さらにさらさらとした使用感及びテカリ防止効果を得ることができ、また、より良好な層分離性が得やすい。なお、前記成分(D)及び前記成分(A)は、それぞれ好適な成分の例であってもよく、例えば「親油性樹脂(例えばシリコーン系樹脂)に対する塩化ナトリウム」などであってもよい。また、「含有質量割合(D)/(A)」は、「使用質量割合(D)/(A)」であってもよい。
【0073】
<2-6.任意成分>
本実施形態の多層型メイクアップ保護化粧料には、上記(A)~(D)、水や上記成分の他に、通常の化粧料又は皮膚外用剤に使用する成分を、本技術の効果を損なわない範囲であれば必要に応じて含有することができる。例えば、揮発性油剤、一価低級アルコール、界面活性剤(乳化剤)、油性成分、水性成分、粉体、ワックス、保湿剤、増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、香料、薬効成分等を挙げることができる。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
【0074】
<2-6-1.揮発性油剤>
本実施形態は、さらに、揮発性油剤を含有させることが好ましい。「揮発性油剤」とは、20℃、常圧において液状であり揮発性を有するものであれば特に限定されず、粘度、起源を問わない。
揮発性油剤を用いることで、成分(A)親油性樹脂を溶解し組成物中に安定に含有させることがより良好にできる。
揮発性油剤として、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、シリコーン系油、炭化水素系油、エステル系油等のいずれのものも使用することができ、これらからなる1種又は2種以上を選択して用いることができる。このうち、シリコーン系油及び/又は炭化水素系油が好ましい。
揮発性油剤として、より具体的には、例えば、低分子量メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサンなどのシリコーン系油;軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカンなどの炭化水素系油;などが挙げられるが、これらに限定されない。これらからなる1種又は2種以上用いることができる。
【0075】
前記揮発性油剤の市販品としては、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTSF405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF-995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーン TMF-1.5(信越化学工業社製)、低分子量メチルポリシロキサンとしてはKF-96L-2CS(信越化学工業社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF-96L-1.5CS(信越化学工業社製)、エチルトリシロキサンとしてはSILSOFT ETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。これらからなる1種又は2種以上を選択して用いることができる。
【0076】
前記揮発性油剤の中でも、べたつきのなさ、さらさらとした使用感、層分離性をより良好にする観点から、揮発性シリコーン油(好適には、25℃での動粘度が2mm2/s以下)が好ましく、より具体的には、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、低分子量メチルポリシロキサン(好適には、25℃での動粘度が2mm2/s以下のジメチルポリシロキサン)などから選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0077】
なお、本明細書における25℃での動粘度(mm2/s)は、以下に示したB型粘度計及びその測定条件にて測定できる。25℃での動粘度(mm2/s)は、粘度(mPa・s)/密度(g/cm3)にて算出できる。本明細書における粘度(mPa・s)は、25℃において、B型粘度計、ローター2号、6rpm、1分間平均値の測定で求めることができる。
【0078】
本実施形態における揮発性油剤の含有量は、特に限定されないが、組成物(好適には化粧料)全質量中、その好適な下限値として、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、よりさらに好ましくは5%以上であり、その好適な上限値として、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、よりさらに好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下である。これにより、噴霧使用時の霧の細かさ及び/又は優れたメイクアップ保護効果を得ることができる。当該揮発性油剤の好適な数値範囲として、組成物全質量中、5~40%が好ましく、5~20%がより好ましい。この範囲にすることにより、乾きがより早く、よりベタつきがなく、よりさらさらとした使用感という良好な使用感の多層型メイクアップ保護化粧料を得ることができる。
【0079】
<2-6-2.一価低級アルコール>
本実施形態は、さらに一価低級アルコールを含有させることが好ましい。「一価低級アルコール」としては、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されないが、好ましくは炭素数1~4(好適には炭素数1~3)のものであり、例えば、エタノール等の低級アルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。これにより、噴霧使用時に清涼感が得られるほかに、乾きの早さをより向上させ、よりべたつきがなく、よりさらさらとした使用感という良好な使用感を得ることができる。
本実施形態における一価低級アルコール(好適にはエタノール)の含有量は、特に限定されないが、組成物(好適には化粧料)全質量中、その好適な下限値として、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下である。
【0080】
<2-6-3.その他の成分>
水溶性高分子としては、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されず、例えば、グアーガム、スクレロチウムガム、ジェランガム、ペクチン、寒天、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)共重合体、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0081】
水性成分としては、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されず、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類;ソルビトール、マルチトール、グルコースなどの糖アルコール類;1,3-ブチレングリコール等の多価低級アルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。また、水性成分は、溶剤としても機能しうるものが好適であり、水に可溶で水層となるものがより好適である。
【0082】
油性成分としては、化粧料又は皮膚外用剤に通常使用できるものであれば特に限定されず、例えば、動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、例えば、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、不揮発性シリコーン油類等が挙げられる。より具体的には、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の不揮発性シリコーン油類、精油、香料等が挙げられる。これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0083】
粉体としては、前記成分(B)粘土鉱物及び(C)親水性粉体以外の粉体であり、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、コンジョウ、群青、酸化鉄、雲母、合成金雲母、セリサイト、タルク、カオリン、硫酸バリウム、窒化ホウ素等の無機粉体類や、カーボンブラック、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、シリコーン樹脂粉体、ウレタン、シルク末、N-アシルリジン等、赤色201号、赤色202号、赤色228号、橙色203号、青色404号、黄色401号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、紫401号、紫201号等の有機タール系顔料やこれらのレーキ顔料等の色素粉体類や、雲母チタン、酸化チタン被覆雲母チタン、酸化亜鉛被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、カルミン被覆雲母チタン等の複合粉体類や、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末等の積層フィルム末類、アルミニウム末、金、銀等の金属末等が挙げられる。これらの粉体をフッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、アミノ酸、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあってもよい。これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。当該粉体を含むことで、メイクアップ保護化粧料の多層型を、本技術の効果を損なわない範囲で、3層以上にすることも可能である。
【0084】
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、α-トコフェロール、アスコルビン酸等;美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等;防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、アルカンジオール、クロルフェネシン等が挙げられるが、これらに限定されず、これらより1種又は2種以上用いることができる。
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸水素アンモニウム、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、塩基性アミノ酸等;清涼剤としては、特に限定されないが、例えば、L-メントール、カンファー等が挙げられるが、これらに限定されず、これらの1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0085】
乳化剤としては、通常、化粧料又は皮膚外用剤に使用されているものであれば特に限定されない。本実施形態における多層型メイクアップ保護化粧料は、実質的に乳化剤を含有しないものが、噴霧時の良好な霧の細かさ及び多層型の審美性が良好な観点から、好ましい。また、乳化剤を含有するとしても、化粧持ち向上の観点から、乳化剤量は少量が好ましい。ここで実質的に乳化剤を含有しないとは、乳化剤の含有量が、組成物(好適には化粧料)全量中、0.25%未満、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満であり、最も好ましくは含有しないものである。言い換えると、組成物全量中、乳化剤を0.25%以上、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.05%以上含まないことが、良好な層分離性の観点から好ましく、さらに乳化剤フリーや乳化剤低減の観点からも、好ましい。
【0086】
本実施形態は、エアゾール型のメイクアップ保護化粧料等であってもよく、上述したメイクアップ保護化粧料で使用した成分又は組成物等を原液とし、当該原液と噴射剤とから構成されるエアゾール型化粧料を提供してもよい。本実施形態は、公知のエアゾール製品の製造方法やエアゾール用容器(例えば、蓄圧式噴霧用容器、エアゾール用金属容器等)への公知のエアゾール充填方法等を採用してエアゾール製品として得ることができる。前記原液と噴射剤との質量比は、特に限定されないが、例えば、原液 10~50:噴射剤 90~50が挙げられる。噴射剤として、通常、化粧料又は皮膚外用剤に使用されているものであれば特に限定されず、液化ガス、二酸化炭素、窒素、及びアルゴン等から選択される1種又は2種以上を含有することができる。噴射剤として、液化ガスを少なくとも用いることが好ましい。液化ガスとしては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数2~5の炭化水素及びエーテル類等が挙げられる。炭素数2~5の炭化水素として、例えば、エタン、プロパン(以下、[LPG」ともいう)、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等が挙げられる。エーテル類として、例えば、ジメチルエーテル(以下、「DME」ともいう)、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0087】
<本実施形態の多層型メイクアップ保護化粧料及びその製造方法>
本実施形態の多層型メイクアップ保護化粧料の製造方法は、特に限定されず、公知の方法で製造可能であり、例えば成分(A)~(B)及び水、適宜その他の成分を、容器(例えば、ディスペンサー付き容器、スプレーノズル付き容器、スプレー用容器、フィンガースプレー用容器、ミスト噴霧用容器などのノンエアゾール用容器;エアゾール用容器;等)に充填し、得ることができる。本実施形態に用いる成分を混合した後に充填してもよく、このとき適宜加熱(例えば80~95℃等)下で混合してもよい。また、本実施形態に用いる成分を、水層用容器、油層用容器や粉体用容器など複数の容器に充填し、二液型や三液型など多液型の組合せ製品としてもよい。また、本実施形態は、容器、塗布用具等の道具との組合せでもよい。当該組合せは、セット又はキットであってもよい。多液型製品の場合、使用時にユーザが水層成分や油層成分、粉体成分などを所望の割合で混合した後に、噴霧することもできる。また、本実施形態は、噴射剤を使用するエアゾール形態にして用いることもできるが、顔に噴霧しやすいという使用性から、噴射剤を使用しないスプレー容器を用いることが好適である。
【0088】
本実施形態の多層型メイクアップ保護化粧料は、ファンデーション等のベースメイクや、アイシャドウ、チーク等のメイクアップを施した顔面に噴霧して使用するものが好適であり、スプレーノズル付き容器などを用いることができる。噴霧する口径(直径)が概ねφ0.1~0.6mm(好適にはφ0.2~0.5mm)の噴霧用容器を使用してもよく、化粧料等で一般的に用いられる粉体も目詰まりなく噴霧することができる。噴霧評価の際にφ0.3mmの口径を用いることができる。噴霧して使用することから、液状化粧料であることが好ましい。
【0089】
本実施形態のメイクアップ保護化粧料は、後記〔実施例〕に示すように、液体層と粉体層を含む2層以上、又は、上が油層かつ下が水層を含む少なくとも2層以上の多層型でありさらに粉体などを含むことで3層以上にすることもできるが、各層に含まれる成分とその比重により、各層の上下の位置関係が変わり得るため、各層の上下の位置関係は特に限定されない。本実施形態の組成物は、使用する前に、上から油層、水層、粉体層の順に配置される状態であることが好ましく、粘土鉱物が水層に分散状態で存在していてもよい。そして、本実施形態の多層型メイクアップ保護化粧料は、噴霧使用直前に混合することで、各成分が良好に分散でき、一定期間、この分散状態を維持することができる一方で、一定期間放置すると多層型に戻る又は層分離することが望ましい形態である。当該多層型メイクアップ保護化粧料は、混合することで液体中に各成分が分散状態になることが好適であり、組成物中の水分含有量を高くして水中に分散状態になることがより好適である。本実施形態において、前記成分(A)及び前記成分(B)の場合に、さらに前記成分(C)及び/又は前記成分(D)を含ませることで、より良好な層分離性を得ることができる。
【0090】
本実施形態の多層型メイクアップ保護化粧料は、混合後一定期間、良好な分散状態にあるため、霧のような細かい粒子を噴霧できる。さらに、本実施形態は、多層型の形態であっても、噴霧性や化粧膜保護性に優れており、これは、親油性樹脂を配合し、前記成分(A)~(B)及び水の組み合わせにしたことに起因する。さらに、本実施形態は、乳化剤を配合しなくとも噴霧粒子が細かいので、乳化剤フリーや乳化剤低減のメイクアップ保護化粧料としても提供できる利点がある。
【0091】
しかも、本実施形態は、前記成分(A)~(B)及び水を少なくとも組み合わせたことで、親油性樹脂に起因する高い耐水性及び耐皮脂性を有する皮膜を、施されたメイクアップ上に形成でき、持続性に優れたメイクアップ保護効果を有することも可能である。さらに、本実施形態は、霧のような細かい粒子で全顔に噴霧でき、高い耐水性及び撥水性を有する皮膜を全顔に形成できるという利点も有する。なお、本実施形態における使用の対象箇所は、全顔に限るものではなく、任意の肌又はメイクアップの範囲であってもよい。
【0092】
また、本実施形態の組成物(好適には化粧料)の粘度(mPa・s)は、25℃において、B型粘度計、ローター2号、6rpm、1分間平均値測定で1500mPa・s以下であることが好ましく、さらには1000mPa・s以下であると霧の細かさに優れるため、より好ましい。
【0093】
なお、上述した本実施形態に係る多層型の肌保護用組成物、メイクアップ保護化粧料等の例の説明において、上述の内容(例えば「1.」等)、後述の内容(例えば「3.」~「4.」等)等と同じ又は重複する、成分(A)親油性樹脂、成分(B)粘土鉱物、成分(C)親水性粉体、及び、成分(D)金属塩、水、揮発性油剤、低級アルコール等の成分、及び、これらの化合物の例、これらの含有量や含有質量割合、使用量や使用質量割合などの各技術的特徴、各構成、各定義、各用語、各処理方法、各種手段などの説明については適宜省略するが、「1.」~「4.」等の説明が、各実施形態の何れにも当てはまり、各実施形態に適宜採用することができる。
【0094】
3.本実施形態の別の側面
本実施形態の別の側面に係る多層型の肌保護用組成物、メイクアップ保護化粧料等の例の説明において、上述の内容(例えば「1.」~「2.」等)、後述の内容(例えば「4.」等)等と同じ又は重複する、成分(A)親油性樹脂、成分(B)粘土鉱物、成分(C)親水性粉体、及び、成分(D)金属塩、水、揮発性油剤、低級アルコール等の成分、及び、これらの化合物の例、これらの含有量や含有質量割合、使用量や使用質量割合などの各技術的特徴、各構成、各定義、各用語、各処理方法、各種手段などの説明については適宜省略するが、「1.」~「4.」等の説明が、各実施形態の何れにも当てはまり、各実施形態に適宜採用することができる。
【0095】
3-1.第2実施形態
本実施形態の別の側面(以下、「本第2実施形態」ともいう)は、成分(A)親油性樹脂、成分(B)粘土鉱物、及び水、並びに、成分(C)前記成分(B)以外の親水性粉体、及び/又は、成分(D)金属塩を含有する、多層型の肌保護用組成物(好適には、多層型メイクアップ保護化粧料)を提供することができ、好適には噴霧して使用すること、より具体的には顔に対して噴霧して使用することが好適である。
さらに、本第2実施形態は、揮発性油剤を更に含有することが好適である。当該組成物は、前記成分(A)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(A)が、0.01~30であることが好適である。
また、本第2実施形態は、前記成分(A)親油性樹脂が、シリコーン系樹脂であることが好適である。本第2実施形態は、前記成分(C)が、球状粉体又は板状粉体であることが好適である。本第2実施形態は、前記成分(C)が、親水性無機粉体であることが好適である。本第2実施形態は、前記成分(D)が、アルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩であることが好適である。本第2実施形態は、さらに、一価低級アルコールを含有することが好適である。
【0096】
本第2実施形態は、成分(A)、成分(B)及び水を含む多層型の肌保護用組成物と比較し、前記成分(C)又は前記成分(D)を含ませることで、より好適には前記成分(C)及び前記成分(D)の両方を含ませることで、さらさらした使用感、テカリ防止効果、良好な層分離性、メイクアップ保護効果及び霧の細かさが、より優れた肌保護用組成物を提供することができる。
【0097】
3-2.第3実施形態
また、本実施形態の別の側面(以下、「本第3実施形態」ともいう)として、成分(A)親油性樹脂及び水を含む、多層型の肌保護用組成物(好適には、多層型メイクアップ保護化粧料)に対して、成分(B)粘土鉱物を使用することにより、前記組成物に対して、さらさらとした使用感及びテカリ防止効果を付与する方法を提供することができる。
また、本第3実施形態は、成分(A)~(B)及び水を含む多層型の肌保護用組成物に対して、成分(C)前記成分(B)以外の親水性粉体、及び/又は、成分(D)金属塩を使用する、前記組成物と比較して、さらさらした使用感、テカリ防止効果、良好な層分離性、メイクアップ保護効果及び霧の細かさから選択される1種又は2種以上を付与する方法を提供することができ、より好適には、さらさらした使用感、テカリ防止効果及び良好な層分離性を付与するができる。
本第3実施形態において、前記付与する方法は、前記組成物と比較して、さらさらとした使用感及びテカリ防止効果を向上させる方法又は改善する方法であってもよい。なお、「2.」で述べた成分(A)~成分(D)、水及び任意成分等での「組成物全質量中の含有量」及び「含有質量割合」は、「使用量」及び「使用質量割合」としてもよい。
【0098】
4.本技術は、以下の技術的特徴、構成又は別の側面を採用することもできる。
・〔1〕 成分(A)親油性樹脂、成分(B)粘土鉱物、及び水を含有する、多層型肌保護用組成物又は多層型メイクアップ保護化粧料。
・〔2〕 噴霧して使用する、前記〔1〕に記載の組成物又は化粧料であり、より好適には顔に対して噴霧することである。
・〔3〕 前記成分(A)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(A)が、0.01~30である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物又は化粧料。
・〔4〕 さらに、揮発性油剤を含有する、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の組成物又は化粧料。
・〔5〕 さらに、成分(C)前記成分(B)以外の親水性粉体、及び/又は、成分(D)金属塩を含有する、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の組成物又は化粧料。前記成分(C)が、球状粉体又は板状粉体であることが好適である。前記成分(C)が、親水性無機粉体であることが好適である。前記成分(D)が、アルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩であることが好適である。
・〔6〕 前記成分(A)親油性樹脂が、シリコーン系樹脂である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の組成物又は化粧料。
・〔7〕 さらに、一価低級アルコールを含有する、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の組成物又は化粧料。
・〔8〕 成分(A)親油性樹脂、成分(B)粘土鉱物、及び水、並びに、(C)前記成分(B)以外の親水性粉体、及び/又は、(D)金属塩を含有する、多層型肌保護用組成物又は多層型メイクアップ保護化粧料。
・〔9〕 成分(A)親油性樹脂及び水を含む、多層型肌保護用組成物又は多層型メイクアップ保護化粧料に対して、成分(B)粘土鉱物を使用することにより、前記組成物又は前記化粧料に対して、さらさらとした使用感及びテカリ防止効果を付与する方法。
・〔10〕 前記〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の多層型肌保護用組成物又は多層型メイクアップ保護化粧料を、メイクアップをする際(メイクアップ工程の前、途中又は後)に又はメイクアップ後所定期間(数時間(a few又はseveral:2~6、2~3、4~6)経過後に使用する、肌保護方法又はメイクアップ方法、再メイクアップ方法、メイクアップ保護方法。
・〔11〕 前記〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の多層型肌保護用組成物又は多層型メイクアップ保護化粧料を、メイクアップ及び/又は肌及び/又はマスク等に対して、又は、メイクアップをする際に又はメイクアップ後に使用する、肌保護方法又はメイクアップ方法。
【実施例0099】
以下、実施例等に基づいて本技術をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例等は、本技術の代表的な実施例等の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0100】
〔多層型メイクアップ保護化粧料:実施例1~29、比較例1~2、参考例1〕
表1~3に示す組成の多層型メイクアップ保護料を下記の製造方法により調製し、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表中に示した。
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
表1~3で使用した化合物を以下に示す。
<親油性樹脂>
表1~3に記載の親油性樹脂の含有量は、固形分の量である。各組成物には、下記の市販品を配合し、そのときの固形分量である。
また、油剤にて溶解又は膨潤し均一分散した状態で市販されている市販品の場合には、親油性樹脂とした。また、揮発性油剤等の油剤(温度10~20℃)100mLに対し、固形分を濃度10%になるように添加して撹拌したところ、溶解できたものは、親油性樹脂とした。例えば、上述した成分(A)の市販品の溶媒として用いられている何れかの油剤(例えばジメチルポリシロキサン等)を用いて溶解できるものを、親油性樹脂とすることができる。以下の化合物は、親油性樹脂に該当した。また、上記と同様の油剤で溶解でしたときの樹脂液又は市販の樹脂液を用いて、上記<2-1.親油性樹脂>で説明した皮膜形成性の判定を行ったところ、以下の全ての化合物について、皮膜形成が認められ、これらは皮膜形成性を有する親油性樹脂であることが確認できた。なお、以下の化合物は、親油性樹脂として、実施例31~35に使用することができ、実施例31~35の親油性樹脂の含有量は、固形分の量である。
【0105】
〔親油性樹脂〕
・1)ポリメチルシルセスキオキサン:SILFORM FLEXIBLE RESIN、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製(固形分100%)
・2)トリメチルシロキシケイ酸:KF-9021、信越化学工業社製(固形分50%、溶媒:シクロペンタシロキサン)
・3)(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー:KP545、信越化学工業社製(固形分30%、溶媒:シクロペンタシロキサン)
・4)トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸:XS66-B8226、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製(固形分50%、溶媒:シクロペンタシロキサン)
・5)(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマー:DOWSIL FC-5004DM(1.5cSt) Silicone Resin Gum、東レ・ダウコーニング社製(固形分40%、溶媒:ジメチルポリシロキサン)
・6)(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー:KSG-16、信越化学工業社製(固形分25%、溶媒:ジメチルポリシロキサン)
・7)(スチレン/アクリレーツ)コポリマー:ニッセツ U-3710A(日本カーバイド工業社製)
・8)(メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸エチルヘキシル)コポリマー:プラスサイズL-250、互応化学工業社製(固形分40%、溶媒:軽質流動イソパラフィン)
・9)イソステアリン酸デキストリン:ユニフィルマHVY、千葉製粉社製(固形分100%)
【0106】
<水溶性高分子>
・PVP(ポリビニルピロリドン)LUVISLOL K90 POWDER、日光ケミカルズ社製
<揮発性油剤>
・ジメチルポリシロキサン(25℃、1.5mm2/s)KF-96L-1.5CS、信越化学工業社製
<金属塩>
・塩化Na塩化ナトリウム、イワキ社製
・クエン酸Na(pKa1=3.09,pKa2=4.75,pKa3=6.41)クエン酸ナトリウム、日本アルコール販売株式会社製
・リン酸アスコルビルMg C-MATE、和光純薬工業社製
【0107】
<粘土鉱物>
・ベントナイト クニピアG-4、クニミネ工業社製
・ケイ酸(Al/Mg)スメクトンSA―2、クニミネ工業社製
【0108】
<親水性粉体>
平均粒子径(D50)は、画像解析法にて、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM-7800prime)装置を用いて、表面状態を観察し、画像解析装置(ルーゼックスAP、ニレコ社製)による測定により求めた値(D50)を用いることにより測定できる。親水性粉体の「親水性」は、ヘキサン10g/水10gに粉体を1g添加し、超音波で分散させたときに、水相に分散されるか否かを確認し、これらは、親水性であった。
・硫酸Ba:板状:板状硫酸バリウム・H、堺化学社製。平均粒子径(D50)7μm
・結晶セルロース:板状:セオラスPH101、旭化成社製。平均粒子径(D50)50μm
・(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー:D400、根上工業社製。平均粒子径(D50)15μm
・メタクリル酸メチルクロスポリマー:球状:MX3000C、綜研化学社製。平均粒子径(D50)30μm
・シリカ:球状:NP-100、AGCエスアイテック社製。平均粒子径(D50)10μm
・(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー:球状:KSP―101、信越化学工業社製。平均粒子径(D50)12μm
【0109】
(製造方法)
(A)(1)~(10)、(12)を均一に加熱(90~95℃)混合する。
(B)(15)の一部に(19)~(20)を加え、膨潤する。
(C)(B)に(11)、(13)~(14)、(15)の残部、(16)~(18)、(21)~(26)を加え均一に混合する。
(D)プッシュ式のスプレーノズル付き容器(噴霧口径φ0.3mm:ノンエアゾール用容器80mL)に、(C)層、(A)層の順に充填し、組成物(多層型メイクアップ保護化粧料)を得た。
なお、(1)~(26)を順不同に、スプレーノズル付き容器に充填し、強く振とうして、組成物(多層型メイクアップ保護化粧料)を得ることもできる。
【0110】
<組成物の使用方法について>
本試験で用いる組成物は、ファンデーション等のベースメイクや、アイシャドウ、チーク等のメイクアップを施した顔面に噴霧して使用する。本試験で用いる組成物を10回振とう後に、メイクアップを施した全顔に対して10回噴霧し、顔に塗布する。本試験で用いる組成物を評価する場合は、下記の評価方法、例えば「(イ)さらさらとした使用感」の評価方法の場合には、噴霧後、5分経過(乾いた)後に評価を行う。
【0111】
(評価方法)
化粧品評価専門パネル10名が、試験例の各多層型メイクアップ保護料をファンデーションとアイメイクのメイクアップを施した全顔に本品を10回噴霧し、「(イ)さらさらとした使用感」、「(ロ)テカリ防止効果」、「(ハ)層分離性」、「(ニ)メイクアップ保護効果」、「(ホ)霧の細かさ」について、下記の評価基準に従って5段階評価を行い、評点を付けた。(イ)及び(ホ)、(ロ)の項目については、使用中及び直後に、(ニ)については、使用後通常の生活を送ってもらい8時間後にメイクアップの化粧もちについて評価を行った。(ハ)の項目については、密閉式の透明な容器に本試験で用いる各組成物を充填し、それぞれの容器を振とうし、一定期間放置後に、側方から界面の状態を観察した。その後、全パネルの評点の平均点を算出し、下記の判定基準に従って判定した。
【0112】
[評価基準]
(イ)さらさらとした使用感:塗布後5分後に、塗布面の触り心地がさらさらとした使用感を感じるかどうか。
(評点) : (評価結果)
4点 :非常にさらさらと感じる
3点 :ややさらさらと感じる
2点 :わずかにさらさらと感じる
1点 :ややさらさらと感じない
0点 :全くさらさらと感じない
(ロ)テカリ防止効果:塗布後8時間後にテカリを感じるどうか
(評点) : (評価結果)
4点 :全くテカリを感じない
3点 :ほとんどテカリを感じない
2点 :わずかにテカリを感じる
1点 :ややテカリを感じる
0点 :非常にテカリを感じる
(ハ)層分離性:10回振とう、1時間静置後界面の分離状態を評価
(評点) : (評価結果)
4点 :界面がはっきりと分離していることが分かる
3点 :界面がややぼやけているが分離していることが分かる
2点 :界面がかなりぼやけているが分離していることが分かる
1点 :界面がぼやけて分離がはっきりと分からない
0点 :分離しない
(ニ)メイクアップ保護効果:塗布後8時間後にメイクアップが崩れていないかどうか
(評点) : (評価結果)
4点 :塗布後8時間後に全く化粧の崩れがみられない
3点 :塗布後8時間後にほとんど化粧の崩れがみられない
2点 :塗布後8時間後にやや化粧の崩れがみられる
1点 :塗布後8時間後に化粧の崩れがみられる
0点 :塗布後8時間後に非常に化粧の崩れがみられる
(ホ)霧の細かさ:塗布時に霧の細かさを感じるどうか
(評点) : (評価結果)
4点 :非常に霧の粒子が細かい
3点 :適度に霧の粒子が細かい
2点 :やや霧の粒子が大きい
1点 :霧の粒子が大きく肌上で水滴になる
0点 :霧状に吐出しない
【0113】
[判定基準]
(評点の平均点) : (判定)
3.5点以上 : ◎(優)
2.5点以上3.5点未満: ○(良)
1.5点以上2.5点未満: △(やや不可)
1.5点未満 : ×(不可)
【0114】
実施例1~30の組成物は、上に油層、下が水層の2層に分かれた多層型の多層型メイクアップ保護料であり、粘土鉱物は水層に均一に分散していた。実施例17~24、30のように、親水性粉体を含ませた場合には、下の層の底に親水性粉体の層が存在していた。実施例1~30の組成物は、10回振とう後、静置した後に、上記「本実施形態の組成物の粘度(mPa・s)」で記載したB型粘度計にて粘度を測定したときに、25℃での粘度が1000mPa・s以下であった。なお、これら実施例1~30以降の組成物(実施例31以降)の粘度測定については、これと同様の手順にて行った。
【0115】
表1~3の結果から明らかなように、本技術の組成物(実施例1~30)は、霧が細かく顔全体にふんわりと噴霧できるため、施されたメイクアップを損なうものではなく、一般的なユーザであっても、全顔に適度な膜厚でむらなく化粧膜を形成させやすい利点がある。また、本技術の組成物は、顔に塗布後8時間もの長時間において化粧崩れがみられないことから、高い耐汗皮脂性を有するという利点があり、肌保護効果も高いと考える。また、これら組成物の水分含有量は、約65~80質量%であり、40~95質量%になるような調整は可能と考える。
【0116】
そして、本技術の組成物(例えば、実施例1)は、参考例1の組成物と比較し、成分(B)を含めることで、さらさらした使用感及びテカリ防止効果が、「×(不可)」から「○(良)」にと、急激に優れた効果を発揮するようになった。すなわち、本技術の組成物は、成分(A)親油性樹脂(皮膜形成樹脂)、成分(B)粘土鉱物及び水を含むことで、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果、及びさらさらとした使用感、テカリ防止効果のこれらの項目に関して優れたものであった。
【0117】
そして、本技術の保護組成物は、成分(A)、成分(B)及び水に、さらに、(C)親水性粉体及び/又は(D)金属塩を更に含むことで、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、又は層分離性がより向上する傾向にあった(実施例17~24、実施例25~29、実施例30)。そして、本技術の保護組成物は、成分(A)~(D)及び水を含むことで、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、及び層分離性の全てにおいて優れた多層型の保護組成物を得ることができた(実施例30)。
【0118】
一方、成分(A)を含まない比較例1は、テカリ防止効果、メイクアップ保護効果に満足のいくものが得られず、成分(A)をPVP(ポリビニルピロリドン)に置き換えた比較例2は、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、層分離性に満足のいくものが得られず、さらにメイクアップ保護効果、霧の細かさも不十分な品質であった。
【0119】
実施例31:多層型メイクアップ保護化粧水
(成分) (質量%)
1.ジメチルポリシロキサン(*1) 10
2.(ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシケイ酸)
クロスポリマー 1
3.ポリメチルシルセスキオキサン(*2) 1
4.メチルトリメチコン(*3) 5
5.メチルフェニルポリシロキサン(*4) 1.5
6.ジメチルポリシロキサン(*5) 2
7.トコフェロール 0.006
8.香料 0.15
9.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1
10.エタノール 7
11.トリプロプレングリコール(*6) 3
12.ベントナイト(*7) 0.5
13.ヒアルロン酸ナトリウム(*8) 0.1
14.コラーゲン(*9) 0.1
15.塩化ナトリウム 1
16.リン酸一水素ナトリウム 0.07
17.リン酸二水素ナトリウム 0.07
18.精製水 残量
19.硫酸バリウム(*10) 3
20.メタクリル酸メチルクロスポリマー(*11) 1
【0120】
実施例31:
*1:KF-96L-2CS(25℃:2mm2/s、信越化学工業社製)
*2:BELSIL PMS MK Powder(旭化成ワッカーシリコーン社製)
*3:TMF-1.5(信越化学工業社製)
*4:KF-56(信越化学工業社製)
*5:KF-96L-6CS(25℃:6mm2/s、信越化学工業社製)
*6:TPG(ADEKA社製)
*7:クニピアGー4(クニミネ工業社製)
*8:ヒアルロン酸 FCH201(キッコーマンバイオケミファ社製)
*9:PANCOGEN MARINE(GATTEFOSSE社製)
*10:板状硫酸バリウム・H(堺化学社製)
*11:MX-3000C(綜研化学社製)
【0121】
(製造方法)
(A)成分(1)~(9)を95℃に加熱し、均一に混合する。
(B)成分(10)~(20)を均一に混合する。
(C)フィンガースプレー用容器(φ0.3mm:ノンエアゾール用容器)に(B)層及び(A)層の順に充填し、多層型メイクアップ保護化粧水を得た。
【0122】
実施例31は、成分(A)~(D)及び水を含む多層型の組成物であり、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果(肌保護効果)、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、及び層分離性の全てにおいて良好であった。当該組成物を使用する際に、当該組成物を含む容器を振り混合させて噴霧した。当該組成物は、静置すると、上に油層、下が水層の2層に分かれた多層型の多層型メイクアップ保護料であり、粘土鉱物は水層に均一に分散し、親水性粉体は下の層の底に親水性粉体の層が存在していた。実施例31の組成物は、25℃での粘度が1000mPa・s以下であった。
【0123】
実施例32:多層型メイクアップ保護化粧水
(成分) (質量%)
1.シクロメチコン 5
2.(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)
クロスポリマー(*1) 3
3.トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸(*2)
2
4.ジメチルポリシロキサン(*3) 7
5.ジメチルポリシロキサン(*4) 1.5
6.水添ポリデセン(*5) 2
7.メントール 0.02
8.香料 0.15
9.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1
10.紫色201号 0.01
11.赤色218号 0.01
12.エタノール 15
13.グリセリン 3
14.ベントナイト(*6) 0.2
15.ケイ酸アルミニウムマグネシウム(*7) 0.1
16.ローズマリー葉エキス 0.1
17.塩化ナトリウム 0.5
18.乳酸ナトリウム 0.07
19.乳酸 0.07
20.青色1号 0.02
21.紫色401号 0.007
22.ピロ亜硫酸ナトリウム 0.05
23.エデト酸二ナトリウム 0.02
24.精製水 残量
25.結晶セルロース(*8) 3
26.(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)
クロスポリマー(*9) 1
【0124】
実施例32:
*1:DOWSIL FC-5004DM(1.5cSt) Silicone Resin Gum(東レ・ダウコーニング社製、固形分40%、溶媒:ジメチルポリシロキサン)
*2:XS66-B8226(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製(固形分50%、溶媒:シクロペンタシロキサン)
*3:KF-96L-2CS(25℃:2mm2/s、信越化学工業社製)
*4:KF-96L-20CS(25℃:20mm2/s、信越化学工業社製)
*5:SILKFRO 364(LIPO CHEMICALS社製)
*6:クニピアGー4(クニミネ工業社製)
*7:スメクトンSA―2(クニミネ工業社製)
*8:セオラスPH102(旭化成社製)
*9:D-400(根上工業社製)
【0125】
(製造方法)
(A)成分(1)~(11)を95℃に加熱し、均一に混合する。
(B)成分(12)~(26)を均一に混合する。
(C)スプレーノズル付き容器(φ0.3mm:ノンエアゾール用容器)に(B)層及び(A)層の順に充填し、多層型メイクアップ保護化粧水を得た。
【0126】
実施例32は、成分(A)~(D)及び水を含む多層型の組成物であり、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果(肌保護効果)、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、及び層分離性の全てにおいて良好であった。当該組成物を使用する際に、当該組成物を含む容器を振り混合させて噴霧した。当該組成物は、静置すると、上に油層、下が水層の2層に分かれた多層型の多層型メイクアップ保護料であり、粘土鉱物は水層に均一に分散し、親水性粉体は下の層の底に親水性粉体の層が存在していた。実施例32の組成物は、25℃での粘度が940mPa・s以下であった。
【0127】
実施例33:メイクキープスプレー
(成分) (質量%)
1.(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)
コポリマー(*1) 0.3
2.ジメチルポリシロキサン(*2) 20
3.ジカプリン酸プロピレングリコール 3
4.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7
5.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.5
6.香料 0.3
7.炭酸カルシウム(*3) 2
8.シリカ(*4) 1
9.ダイズエキス 0.005
10.1,3-ブチレングリコール 3.5
11.精製水 残量
12.エタノール 15
13.塩化ナトリウム 1
14.ベントナイト(*5) 0.8
【0128】
実施例33:
*1:KP-562P(融点:45~55℃、信越化学工業社製)
*2:KF-96L-2CS(25℃:2mm2/s、信越化学工業社製)
*3:かるまる SCS-M5(堺化学工業社製)
*4:SILNOS 350(ABCナノテック社製)
*5:クニピアGー4(クニミネ工業社製)
【0129】
(製造方法)
(A)油層:成分(1)~(7)を加熱し、均一混合する。
(B)水層:成分(8)~(14)を均一に混合する。
(C)(A)層と(B)層を混合し、原液を得る。
(D)(C)の原液45部に対し、噴射剤(ジメチルエーテル)55部を加え、エアゾール容器に充填し、メイクキープスプレーを得た。
【0130】
実施例33は、成分(A)~(D)及び水を含む多層型の組成物であり、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果(肌保護効果)、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、及び層分離性の全てにおいて良好であった。当該組成物を使用する際に、当該組成物を含む容器を振り混合させて噴霧した。当該組成物は、静置すると、上に油層、下が水層の2層に分かれた多層型の多層型メイクアップ保護料であり、粘土鉱物は水層に均一に分散し、親水性粉体は下の層の底に親水性粉体の層が存在していた。実施例33の組成物は、25℃での粘度が1420mPa・s以下であり、当該多層型の組成物を、実施例1で使用したノンエアゾール用容器に充填して使用しても、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果(肌保護効果)、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、及び層分離性の全てにおいて良好であった。
【0131】
実施例34:多層型メイクアップ保護化粧料(オーバーコートミスト)
(成分) (質量%)
1.トリメチルシロキシケイ酸 4
2.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
3.イソドデカン(*) 5
4.ジメチルポリシロキサン(*1) 10
5.ジメチルポリシロキサン(*2) 5
6.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 3
7.香料 0.15
8.塩化ナトリウム 1
9.メントール 0.5
10.1,3-ブチレングリコール 5
11.精製水 残量
12.エタノール 10
13.ケイ酸アルミニウムマグネシウム(*3) 0.5
14.酸化チタン(平均粒子径:0.035μm)(*4) 1
15.酸化チタン(平均粒子径:0.25μm) 2
16.酸化亜鉛(平均粒子径:0.025μm)(*5) 2
17.シリカ(*6) 1
【0132】
実施例34:
*1:KF-96A-2CS(25℃:6mm2/s、信越化学工業社製)
*2:KF-96A-6CS(25℃:6mm2/s、信越化学工業社製)
*3:スメクトンSA―2(クニミネ工業社製)
*4:SMT-500SAS(平均粒子径:0.035μm、テイカ社製)
*5:MZ-500(平均粒子径:0.025μm、テイカ社製)
*6:シリカマイクロビードP-1505(日輝触媒化学社製)
【0133】
(製造方法)
(A)油層:成分(1)~(7)を加熱し均一に混合する。
(B)水層:成分(8)~(13)を均一に混合する。
(C)粉体層:成分(14)~(17)を均一に混合する。
(D)スプレーノズル付き容器(φ0.3mm:ノンエアゾール用容器)に(A)層及び(B)層及び(C)層を充填し、多層型メイクアップ保護化粧料(オーバーコートミスト)を得た。
【0134】
実施例34は、成分(A)~(D)及び水を含む多層型の組成物であり、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果(肌保護効果)、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、及び層分離性の全てにおいて良好であった。当該組成物を使用する際に、当該組成物を含む容器を振り混合させて噴霧した。当該組成物は、静置すると、上に油層、下が水層の2層に分かれた多層型の多層型メイクアップ保護料であり、粘土鉱物は水層に均一に分散し、親水性粉体は下の層の底に親水性粉体の層が存在していた。実施例34の組成物は、25℃での粘度が1530mPa・s以下であった。
【0135】
実施例35:多層型メイクアップ保護化粧水
(成分) (質量%)
1.テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(*1) 2
2.ジメチルポリシロキサン(*2) 10
3.トリメチルシロキシケイ酸(*3) 1.5
4.(ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシケイ酸)クロスポリマー 2
5.イソドデカン 5
6.メチルフェニルポリシロキサン(*4) 2
7.香料 0.1
8.フェノキシエタノール 0.3
9.ジプロピレングリコール 5
10.1,3-ブチレングリコール 8
11.グリセリン 1
12.エデト酸二ナトリウム 0.1
13.塩酸ピリドキシン 0.05
14.PEG―8(*5) 2
15.塩化ナトリウム 1
16.クエン酸 0.01
17.クエン酸ナトリウム 0.04
18.精製水 残量
19.ベントナイト(*6) 0.5
20.硫酸バリウム(*7) 2
21.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(*8) 0.5
【0136】
実施例35:
*1:CETIOL PEEH4(BASF社製)
*2:KF-96L-2CS(25℃:2mm2/s、信越化学工業社製)
*3:BELSIL TMS 803(旭化成ワッカーシリコーン社製)
*4:SH556 FLUID(東レ・ダウコーニング社製)
*5:PEG―400(東邦化学工業社製)
*6:クニピアGー4(クニミネ工業社製)
*7: 板状硫酸バリウム・H(堺化学社製)
*8:ガンツパールSIF-070(アイカ工業社製)
【0137】
(製造方法)
(A)成分(1)~(7)を95℃に加熱し、均一に混合する。
(B)成分(8)~(21)を均一に混合する。
(C)フィンガースプレー用容器(φ0.20mm:ノンエアゾール用容器)に(B)層及び(A)層の順に充填し、多層型メイクアップ保護化粧水を得た。
【0138】
実施例35は、成分(A)~(D)及び水を含む多層型の組成物であり、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果(肌保護効果)、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、及び層分離性の全てにおいて良好であった。当該組成物を使用する際に、当該組成物を含む容器を振り混合させて噴霧した。当該組成物は、静置すると、上に油層、下が水層の2層に分かれた多層型の多層型メイクアップ保護料であり、粘土鉱物は水層に均一に分散し、親水性粉体は下の層の底に親水性粉体の層が存在していた。実施例35の組成物は、25℃での粘度が1000mPa・s以下であった。
【0139】
実施例36:多層型メイクアップ保護化粧水
(成分) (質量%)
1.イソドデカン 7
2.(ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシケイ酸)クロスポリマー 2
3.(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー(*1) 0.5
4.水添ポリイソブテン (*2) 7
5.水添ポリイソブテン(*3) 1
6.コハク酸ジエチルヘキシル 0.5
7.トコフェロール 0.01
8.香料 0.02
9.フェノキシエタノール 0.1
10.エタノール 15
11.1,3-ブチレングリコール 10
12.ベントナイト(*4) 0.5
13.ツボクサ葉エキス 0.1
14.ジプロピレングリコール 5
15.塩化ナトリウム 1
16.クエン酸 0.02
17.クエン酸ナトリウム 0.04
18.精製水 残量
19.硫酸バリウム(*5) 0.5
20.セルロース(*6) 0.5
21.シリカ(*7) 0.3
【0140】
実施例36:
*1:OILKEMIA 5S CC POLYMER(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製(固形分5%、溶媒:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル70%、水添ポリ(C6―20オレフィン)25%)
*2:DEDRAFLOW5(CIT SARI社製)
*3:パールリーム6(日油社製)
*4:クニピアG-4(クニミネ工業社製)
*5:板状硫酸バリウム・H(堺化学社製)
*6:CELLULOBEADS D-5(大東化成工業社製)
*7:サンスフェアNP-30(AGCエスアイテック社製)
【0141】
(製造方法)
(A)成分(1)~(8)を95℃に加熱し、均一に混合する。
(B)成分(9)~(21)を均一に混合する。
(C)フィンガースプレー用容器(φ0.15mm:ノンエアゾール用容器)に(B)層及び(A)層の順に充填し、多層型メイクアップ保護化粧水を得た。
【0142】
実施例36は、成分(A)~(D)及び水を含む多層型の組成物であり、噴霧時の霧の細かさ、メイクアップ保護効果(肌保護効果)、さらさらとした使用感、テカリ防止効果、及び層分離性の全てにおいて良好であった。当該組成物を使用する際に、当該組成物を含む容器を振り混合させて噴霧した。当該組成物は、静置すると、上に油層、下が水層の2層に分かれた多層型の多層型メイクアップ保護料であり、粘土鉱物は水層に均一に分散し、親水性粉体は下の層の底に親水性粉体の層が存在していた。実施例36の組成物は、25℃での粘度が1000mPa・s以下であった。
【0143】
なお、本明細書において、「第1、第2、第3…」、「A、B、C…」、「1次、2次、3次…」などと数字やアルファベット等を付して、便宜上説明することがあるが、これにより、本発明が、順序など狭義に限定解釈されることはなく、任意に順序を変更してもよい。また、本明細書において、例えば「調整する(こと)」等の「する(こと)」を、方法、工程、手段又はステップなどとしてもよく、これら用語を適宜置き換えてもよく、例えば、工程を、「する(こと)」、方法又は手段などにしたり、方法を、工程、「する(こと)」又は手段などにしてもよい。