(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095562
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】判定装置、コンテナ用冷凍装置、コンテナ、判定システム、判定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01P 15/00 20060101AFI20240703BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240703BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20240703BHJP
B65D 90/48 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01P15/00 F
F25D11/00 101D
F25D29/00 Z
B65D90/48 Z
G01P15/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209963
(22)【出願日】2023-12-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2022211370
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 航太
(72)【発明者】
【氏名】池宮 完
【テーマコード(参考)】
3E170
3L045
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170CA10
3E170CB10
3E170EA06
3E170EB02
3E170VA17
3L045AA04
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA01
3L045LA15
3L045LA17
3L045LA18
3L045MA00
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
(57)【要約】
【課題】対象部品とセンサとがコンテナにおいて異なる位置に配置されている場合に、対象部品に作用する衝撃度合いを精度よく求めることができる判定装置を提供する。
【解決手段】判定装置(80)は、対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶部(81)と、前記センサ(65)の検出値と、前記記憶部(81)に記憶される前記データとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める処理部(82)とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶部(81)と、
前記センサ(65)の検出値と、前記記憶部(81)に記憶されるデータとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める処理部(82)と
を備えている判定装置。
【請求項2】
前記処理部(82)は、前記推定値が第1閾値を越えると、前記対象部品(T)が異常状態であると判定する
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記処理部(82)は、前記推定値が第2閾値を越えた回数が、所定回数を越えると、前記対象部品(T)が異常状態であると判定する
請求項1に記載の判定装置。
【請求項4】
前記記憶部(81)は、前記推定値を記憶し、
前記処理部(82)は、前記記憶部(81)に記憶された前記推定値に基づいて、前記対象部品(T)の異常状態を判定する。
請求項1~3のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項5】
前記処理部(82)は、前記推定値に基づいて前記対象部品(T)の疲労破壊を異常状態として判定する
請求項4に記載の判定装置。
【請求項6】
前記推定値に関する履歴データを対象者に知らせる通知部(83)を備える
請求項1~3のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1つに記載の前記対象部品(T)、前記センサ(65)、および前記判定装置(80)を備え、
前記コンテナ(10)のコンテナ本体(11)の内部を冷却するコンテナ用冷凍装置。
【請求項8】
電装品(63)を収容する電装品箱(60)を備え、
前記センサ(65)は、前記電装品箱(60)の内部に配置される
請求項7に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項9】
前記電装品は、制御基板(63)を含み、
前記センサ(65)は、前記制御基板(63)上に配置される
請求項8に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項10】
他の機器と通信を行うための通信装置(62)を備え、
前記センサ(65)は、前記通信装置(62)に設けられる
請求項7に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項11】
前記対象部品(T)は、前記コンテナ用冷凍装置(20)のケーシング(21)、電装品箱(60)、圧縮機(40)、熱交換器(41,44)、ファン(42,45)、冷媒配管(52,53,55,57)、弁(51,58,59)、およびケーシング本体(22)の少なくとも1つである
請求項7に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか1つに記載の前記対象部品(T)、前記センサ(65)、および前記判定装置(80)を備えたコンテナ。
【請求項13】
対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶部(81)を有するサーバ装置(91)と、
前記センサ(65)の検出値と、前記記憶部(81)に記憶されるデータとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める処理部(82)を有する処理装置(70)とを備えた判定システム。
【請求項14】
前記処理装置(70)は、前記サーバ装置(91)に対して前記記憶部(81)に記憶される前記データの送信要求を、通信装置(62)を介して前記サーバ装置(91)に送信し、
前記サーバ装置(91)は、前記送信要求に基づいて、前記記憶部(81)に記憶される前記データを、前記通信装置(62)を介して前記処理装置(70)に送信する
請求項13に記載の判定システム。
【請求項15】
対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶ステップと、
前記センサ(65)の検出値と、前記記憶ステップで記憶したデータとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める推定ステップとを含む
判定方法。
【請求項16】
コンピュータに、
対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶ステップと、
前記センサ(65)の検出値と、前記記憶ステップで記憶したデータとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める推定ステップとを実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判定装置、コンテナ用冷凍装置、コンテナ、判定システム、判定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
海上輸送や陸上輸送用のコンテナ本体と、該コンテナ本体の内部を冷却するコンテナ用冷凍装置とを備えたコンテナが知られている。特許文献1に開示されたコンテナ用冷凍装置は、コンテナに強く衝撃が作用したか否かを判定するための物理量を検出する検出部と、この物理量に基づきコンテナ用冷凍装置の異常状態を判定する異常診断部とを備える。特許文献1には、検出部として、コンテナ用冷凍装置に設けられて加速度を検出する衝撃センサを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、センサが設けられる位置と、コンテナの対象部品の位置の違いの影響により、対象部品に作用する衝撃度合いを精度良く検出することができない、という問題があった。
【0005】
本開示は、対象部品とセンサとがコンテナにおいて異なる位置に配置されている場合に、対象部品に作用する衝撃度合いを精度よく求めることができる判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、判定装置を対象とし、対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶部(81)と、前記センサ(65)の検出値と、前記記憶部(81)に記憶される前記データとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める処理部(82)とを備えている。
【0007】
第1の態様では、センサ(65)がコンテナ(10)に配置される。センサ(65)は、衝撃度合いに関する指標を検出する。記憶部(81)は、センサ(65)と対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する。処理部(82)は、センサ(65)の検出値と、記憶部(81)に記憶される前記データとに基づいて対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定する。このため、処理部(82)は、センサ(65)と対象部品の位置の違いによる影響に起因する誤差を小さくするように、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求めることができる。その結果、対象部品(T)とセンサ(65)とが異なる位置にあっても、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを精度よく求めることができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記処理部(82)は、前記推定値が第1閾値を越えると、前記対象部品(T)が異常状態であると判定する。
【0009】
第2の態様では、処理部(82)は、推定値が第1閾値を越えると、対象部品(T)が異常状態であると判定する。これにより、コンテナ(10)に比較的大きな衝撃が作用したことに起因する異常状態を判定できる。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記処理部(82)は、前記推定値が第2閾値を越えた回数が、所定回数を越えると、前記対象部品(T)が異常状態であると判定する。
【0011】
第3の態様では、処理部(82)は、推定値が第2閾値を超えた回数が、所定回数を越えると、対象部品(T)が異常状態であると判定する。これにより、コンテナ(10)にある程度の衝撃が繰り返し作用したことに起因する異常状態を判定できる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記記憶部(81)は、前記推定値を記憶し、前記処理部(82)は、前記記憶部(81)に記憶された前記推定値に基づいて、前記対象部品(T)の異常状態を判定する。
【0013】
第4の態様では、処理部(82)は、過去の推定値を用いて対象部品(T)の異常状態を判定できる。
【0014】
第5の態様は、第4の態様において、前記処理部(82)は、前記推定値に基づいて前記対象部品(T)の疲労破壊を異常状態として判定する。
【0015】
対象部品(T)に対して細かい衝撃が繰り返し作用すると、対象部品(T)が疲労破壊する。そこで、第4の態様の処理部(82)は、対象部品(T)に作用する衝撃度合いである推定値を用いて対象部品(T)の疲労破壊を、異常状態として判定する。
【0016】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記推定値に関する履歴データを対象者に知らせる通知部(83)を備える。
【0017】
第6の態様では、対象者が、推定値に関する履歴データを知ることができる。このため、対象者は、この履歴データに基づき、コンテナ(10)の状態を把握したり、コンテナ(10)がどのように用いられたかを評価したり、コンテナ(10)を今後どのように用いればよいかを提案したりできる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様における、前記対象部品(T)、前記センサ(65)、および判定装置(80)を備え、前記コンテナ(10)のコンテナ本体(11)の内部を冷却するコンテナ用冷凍装置である。
【0019】
第8の態様は、第7の態様において、電装品(63)を収容する電装品箱(60)を備え、前記センサ(65)は、前記電装品箱(60)の内部に配置される。
【0020】
第8の態様では、センサ(65)が電装品(63)とともに電装品箱(60)の内部に収容される。このため、電装品箱(60)は、降雨などに起因する水、空気中の塵埃や腐食成分が、センサ(65)に接触することを抑制できる。
【0021】
第9の態様は、第8の態様において、前記電装品は、制御基板(63)を含み、前記センサ(65)は、前記制御基板(63)上に配置される。
【0022】
第9の態様では、センサ(65)が制御基板(63)上に配置される。制御基板(63)にある給電部からセンサ(65)に駆動電力を容易に供給できる。
【0023】
第10の態様は、第7の態様において、他の機器と通信を行うための通信装置(62)を備え、前記センサ(65)は、前記通信装置(62)に設けられる。
【0024】
第11の態様は、第7~第10のいずれか1つの態様において、前記対象部品(T)は、前記コンテナ用冷凍装置(20)のケーシング(21)、電装品箱(60)、圧縮機(40)、熱交換器(41,44)、ファン(42,45)、冷媒配管(52,53,55,57)、弁(51,58,59)、およびコンテナ本体(11)の少なくとも1つである。
【0025】
第11の態様では、処理部(82)は、コンテナ用冷凍装置(20)のケーシング(21)、電装品箱(60)、圧縮機(40)、熱交換器(41,44)、ファン(42,45)、冷媒配管(52,53,55,57)、弁(51,58,59)、およびコンテナ本体(11)の少なくとも1つに作用する衝撃度合いを推定する。
【0026】
第12の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様における前記対象部品(T)、前記センサ(65)、および前記判定装置(80)を備えたコンテナである。
【0027】
第13の態様は、判定システムを対象とし、対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、センサ(65)と対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶部(81)を有するサーバ装置(91)と、センサ(65)の検出値と、記憶部(81)に記憶されるデータとに基づいて、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める処理部(82)を有する処理装置(70)とを備える。
【0028】
第13の態様では、サーバ装置(91)の記憶部(81)が、センサ(65)と対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する。処理装置(70)の処理部(82)は、センサ(65)の検出値と、サーバ装置(91)の記憶部(81)に記憶される前記データとに基づいて対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定する。このため、処理部(82)は、センサ(65)と対象部品の位置の違いによる影響に起因する誤差を小さくするように、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求めることができる。その結果、対象部品(T)とセンサ(65)とが異なる位置にあっても、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを精度よく求めることができる。
【0029】
第14の態様は、第13の態様において、処理装置(70)は、サーバ装置(91)に対して記憶部(81)に記憶されるデータの送信要求を、通信装置(62)を介してサーバ装置(91)に送信する。サーバ装置(91)は、送信要求に基づいて、記憶部(81)に記憶されるデータを、通信装置(62)を介して処理装置(70)に送信する。
【0030】
第14の態様では、処理装置(70)からの送信要求に応じて、サーバ装置(91)の記憶部(81)に記憶されたデータを処理装置(70)に送ることができる。
【0031】
第15の態様は、対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、センサ(65)と対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶ステップと、センサ(65)の検出値と、記憶ステップで記憶したデータとに基づいて、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める推定ステップとを含む判定方法である。
【0032】
第16の態様は、コンピュータに、 対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、センサ(65)と対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶ステップと、センサ(65)の検出値と、記憶ステップで記憶したデータとに基づいて、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める推定ステップとを実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の前後方向に沿った縦断面図である。
【
図2】
図2は、コンテナ用冷凍装置を前側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、コンテナ用冷凍装置の配管系統図である。
【
図4】
図4は、コンテナ用冷凍装置の主な構成機器を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、記憶部に記憶されるデータの一例である。
【
図6】
図6は、判定装置の動作のフローチャートである。
【
図7】
図7は、変形例1に係る判定装置で用いられるS-N線図の一例である。
【
図8】
図8は、変形例1に係る判定装置の動作のフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例5に係るコンテナ用冷凍装置を前側から見た斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例7に係る判定システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、変形例7の判定システムの動作のシーケンスチャートである。
【
図13】
図13は、変形例7の状態判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表す場合がある。
【0035】
(1)コンテナの全体構成
本実施形態のコンテナ(10)について
図1~
図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」に関する語句は、
図2の矢印で示す方向を基準とする。
【0036】
コンテナ(10)は、海上輸送に用いられる。コンテナ(10)は、その内部の空気を冷却する機能を有する冷凍コンテナである。コンテナ(10)は、コンテナ本体(11)と、コンテナ用冷凍装置(20)とを有する。コンテナ本体(11)は、食品や植物などの生鮮品を貯蔵する。コンテナ用冷凍装置(20)は、コンテナ本体(11)の庫内空間(12)を冷却する。以下では、庫内空間(12)を庫内と、コンテナ本体(11)の外部の空間を庫外と呼ぶことがある。
図2に示すように、コンテナ本体(11)の前面には、開口(13)が形成される。コンテナ用冷凍装置(20)は、コンテナ本体(11)の開口(13)を塞ぐように、コンテナ本体(11)に取り付けられる。
【0037】
(2)コンテナ用冷凍装置
コンテナ用冷凍装置(20)は、ケーシング(21)を有する。ケーシング(21)は、コンテナ本体(11)の開口(13)の蓋を構成する。ケーシング(21)は、ケーシング本体(22)と仕切板(23)とを有する。ケーシング本体(22)は、コンテナ本体(11)の庫内と庫外とを仕切る。仕切板(23)は、ケーシング(21)の背面側(後側)において庫内空間(12)に位置するように配置される。
【0038】
コンテナ用冷凍装置(20)は、庫外に配置される要素として、圧縮機(40)、庫外熱交換器(41)、および庫外ファン(42)を有する。コンテナ用冷凍装置(20)は、庫内に配置される要素として、庫内熱交換器(44)および庫内ファン(45)を有する。
【0039】
(2-1)ケーシング本体
図1に示すように、ケーシング本体(22)は、平板部(22a)と凹部(22b)とを有する。平板部(22a)は、ケーシング(21)の開口(13)と略面一になるようにケーシング本体(22)の上部に形成される。
図2に示すように、平板部(22a)における左右方向の中間部には2つの点検窓(24)が形成される。点検窓(24)は、ケーシング本体(22)の内部を確認するための透明の窓である。点検窓(24)の左方には、ベンチレータ(25)が設けられる。ベンチレータ(25)は、庫内の換気を行う。
【0040】
凹部(22b)は、ケーシング(21)の下部に形成される。凹部(22b)は、平板部(22a)の下端から後方に向かって凹んでいる。凹部(22b)の前側には、庫外収容空間(26)が形成される。凹部(22b)の上方であって平板部(22a)と仕切板(23)の間には、庫内収容空間(27)が形成される。凹部(22b)の下端は、底板(22c)を構成する。底板(22c)は、ケーシング本体(22)の左右の両端に亘って延びている。
【0041】
ケーシング本体(22)は、庫外ケーシング(28)と、断熱層(29)と、庫内ケーシング(30)とが厚さ方向(前後方向)に積層されて構成される。庫外ケーシング(28)は、庫外に面している。庫内ケーシング(30)は、庫内に面している。断熱層(29)は、庫外ケーシング(28)と庫内ケーシング(30)との間に設けられる。庫外ケーシング(28)は、アルミニウム材料によって構成される。庫内ケーシング(30)は、強化繊維プラスチック(FRP)によって構成される。断熱層(29)は、発泡樹脂によって構成される。
【0042】
(2-2)仕切板および空気通路
仕切板(23)は、凹部(22b)の後側に位置する板状の部材である。仕切板(23)は、凹部(22b)の後面と所定の間隔を置くように上下方向に延びている。ケーシング本体(22)と仕切板(23)との間には、庫内空気が流れる内部通路(31)が形成される。仕切板(23)の上端とコンテナ本体(11)の上壁(11a)との間には、流入口(32)が形成される。流入口(32)は、庫内空間(12)と内部通路(31)の流入端とを連通する。仕切板(23)の下端とコンテナ本体(11)の下壁(11b)との間には、流出口(33)が形成される。流出口(33)は、庫内空間(12)と内部通路(31)の流出端とを連通する。
【0043】
(2-3)庫外の要素部品
庫外収容空間(26)には、圧縮機(40)と、庫外熱交換器(41)と、庫外ファン(42)とが設けられる。圧縮機(40)は、ケーシング(21)の底板(22c)の上に設置される。圧縮機(40)は、庫外収容空間(26)の下部寄りに配置される。圧縮機(40)は、庫外収容空間(26)の右寄りに配置される。底板(22c)には、
図2において図示を省略したアキュムレータ(54)も設置される。
【0044】
庫外ファン(42)は、庫外収容空間(26)における上部寄りに位置する。庫外ファン(42)は、プロペラファンによって構成される。庫外ファン(42)は、羽根車と、羽根車を回転駆動するモータとを有する。
図2に示すように、庫外ファン(42)の裏側には、庫外空気が流れる外部通路(43)が形成される。
【0045】
庫外熱交換器(41)は、庫外収容空間(26)において、庫外ファン(42)と圧縮機(40)の間の高さ位置に設けられる。庫外熱交換器(41)は、外部通路(43)に位置する。庫外熱交換器(41)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。
【0046】
(2-4)庫内の要素部品
庫内収容空間(27)には、庫内熱交換器(44)と、庫内ファン(45)とが設けられる。庫外熱交換器(41)は、ケーシング本体(22)と仕切板(23)とに亘るようにケーシング(21)に支持される。庫内熱交換器(44)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。
【0047】
庫内ファン(45)は、内部通路(31)における庫内熱交換器(44)の上流側に配置される。庫内ファン(45)は、庫内熱交換器(44)の上方に位置する。庫内ファン(45)は、プロペラファンによって構成される。庫内ファン(45)は、羽根車と、羽根車を回転駆動するモータとを有する。
【0048】
(2-5)冷媒回路の構成
図3に示すように、コンテナ用冷凍装置(20)は、冷媒回路(50)を有する。冷媒回路(50)には、冷媒が充填される。冷媒回路(50)は、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0049】
冷媒回路(50)は、主として、圧縮機(40)と、庫外熱交換器(41)と、膨張弁(51)と、庫内熱交換器(44)とを有する。
【0050】
圧縮機(40)は、吸入した冷媒を圧縮する。圧縮機(40)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(40)の吐出部には、吐出管(52)が接続される。圧縮機(40)の吸入部には、吸入管(53)が接続される。吸入管(53)には、アキュムレータ(54)が設けられる。アキュムレータ(54)は、液冷媒を貯める容器である。
【0051】
庫外熱交換器(41)は、その内部を流れる冷媒と、庫外空気とを熱交換させる。庫外熱交換器(41)のガス端は、吐出管(52)と連通する。庫外熱交換器(41)の液端は、液管(55)を介して庫内熱交換器(44)の液端と接続する。庫外熱交換器(41)は、冷媒が空気へ放熱する放熱器(凝縮器)として機能する。
【0052】
膨張弁(51)は、液管(55)に設けられる。膨張弁(51)は、高圧冷媒を低圧冷媒まで減圧する。膨張弁(51)は、開度が調整可能な電子膨張弁である。液管(55)における庫外熱交換器(41)と膨張弁(51)との間には、レシーバ(56)が設けられる。レシーバ(56)は、冷媒回路(50)の余剰の冷媒を貯める容器である。
【0053】
庫内熱交換器(44)は、その内部を流れる冷媒と、庫内空気とを熱交換させる。庫内熱交換器(44)のガス端は、吸入管(53)と連通する。庫内熱交換器(44)は、冷媒が空気から吸熱する蒸発器として機能する。
【0054】
冷媒回路(50)は、バイパス管(57)を有する。バイパス管(57)の流入端は、吐出管(52)と連通し、バイパス管(57)の流出端は、液管(55)と連通する。バイパス管(57)は、圧縮機(40)から吐出された冷媒を、庫外熱交換器(41)をバイパスして庫内熱交換器(44)に送る。
【0055】
冷媒回路(50)には、第1弁(58)と第2弁(59)とが設けられる。第1弁(58)は、圧縮機(40)の吐出側と庫外熱交換器(41)のガス端との間で、且つバイパス管(57)の接続部よりも下流側に設けられる。第2弁(59)は、バイパス管(57)に設けられる。第1弁(58)および第2弁(59)は、電磁開閉弁で構成される。第1弁(58)や第2弁(59)は、開度が調節可能な流量調節弁であってもよい。
【0056】
(2-6)電装品箱
図2に示すように、ケーシング(21)には、電装品箱(60)が設けられる。電装品箱(60)は、制御基板(63)、電源回路基板、電源端子、その他の電子機器などの電装品を収容する。電装品箱(60)は、ケーシング(21)における上下方向の中間部に設けられる。電装品箱(60)は、前側が開放される箱本体(60a)と、箱本体(60a)の開放部を塞ぐ蓋(60b)とを有する。箱本体(60a)は中空の略直方体状に形成される。蓋(60b)は、ヒンジ(図示省略)を介して箱本体(60a)に固定される。蓋(60b)は、箱本体(60a)の前側の開口面を開閉可能に構成される。電装品箱(60)と蓋(60b)との間には、水や空気の侵入を防止するためのシール部材が設けられる。電装品箱(60)は、樹脂材料によって構成される。
【0057】
電装品箱(60)の内部の第1空間(61)には、通信装置(62)と、制御基板(63)とが収容される。
【0058】
通信装置(62)は、コンテナ用冷凍装置(20)と、外部の他の機器(端末装置)と通信を行うための通信インターフェースである。通信装置(62)は、モデムによって構成される。通信装置(62)は、コンテナ用冷凍装置(20)の情報を端末装置に送信する。通信装置(62)は、端末装置からの情報を受信する。通信装置(62)は、第1空間(61)における左右方向の略中間部に配置される。通信装置(62)の外形は、左右方向が厚さ方向となる略直方体状である。
【0059】
制御基板(63)は、コンテナ用冷凍装置(20)の各機器を制御するため制御回路が実装されたプリント基板である。制御基板(63)は、給電用、あるいはアース用の配線も実装される。制御基板(63)は、第1空間(61)における、いわゆる弱電空間に配置される。本例の制御基板(63)は、基板の厚さ方向が前後方向となるように電装品箱(60)に支持される。制御基板(63)は、上下に縦長に形成される。
【0060】
(2-7)加速度センサ
図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(20)は、加速度センサ(65)を有する。加速度センサ(65)は、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを検出するためのセンサである。加速度センサ(65)は、対象部品(T)の衝撃度合いに関する指標(物理量)として、加速度[G]を検出する。
【0061】
本実施形態の加速度センサ(65)は、3軸型の加速度センサで構成される。この3軸のうち、X軸は
図2の前後方向に対応し、Y軸は
図2の左右方向に対応し、Z軸は上下方向に対応する。
【0062】
加速度センサ(65)は、電装品箱(60)の内部の第1空間(61)に配置される。具体的には、加速度センサ(65)は、制御基板(63)に設けられる。厳密には、加速度センサ(65)は、他の電子部品とともに制御基板(63)上に実装される。加速度センサ(65)は、例えば制御基板(63)の長手方向(上下方向)の中間部に配置される。加速度センサ(65)の検出信号は制御基板(63)に入力される。
【0063】
(2-8)コントローラ
図4に示すように、コンテナ用冷凍装置(20)は、コントローラ(70)を備える。コントローラ(70)は、コンテナ用冷凍装置(20)を制御する。コントローラ(70)は、上述した制御基板(63)を含み、電装品箱(60)の内部の第1空間(61)に配置される。コントローラ(70)は、マイクロプロセッサ(Micro Processor)、電気回路、電子回路を含む。マイクロプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信インターフェース、アナログ入出力、および接点入出力インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラム、およびプログラムが使用するデータが記憶されている。
【0064】
コントローラ(70)は、圧縮機(40)のON/OFFの切り換え、および圧縮機(40)のモータの回転数を制御する。コントローラ(70)は、庫外ファン(42)のON/OFFの切り換え、および庫外ファン(42)のモータの回転数を制御する。コントローラ(70)は、庫内ファン(45)のON/OFFの切り換え、および庫内ファン(45)のモータの回転数を制御する。コントローラ(70)は、膨張弁(51)の開度を制御する。コントローラ(70)は、第1弁(58)および第2弁(59)の開閉状態を制御する。
【0065】
コントローラ(70)は、複数のセンサからの検出信号を受信する。複数のセンサは、冷媒温度センサ、冷媒圧力センサ、空気温度センサを含む。冷媒温度センサは、圧縮機(40)から吐出される冷媒の温度を検出するセンサ、および圧縮機(40)に吸入される冷媒の温度を検出するセンサを含む。冷媒圧力センサは、冷媒回路(50)の高圧を検出するセンサ、および冷媒回路(50)の低圧を検出するセンサを含む。空気温度センサは、庫内熱交換器(44)の吸込側の空気の温度を検出するセンサ、および庫内熱交換器(44)の吹出側の空気の温度を検出するセンサを含む。
【0066】
(2-9)主電源
図4に示すように、コンテナ用冷凍装置(20)は、主電源(71)を有する。主電源(71)は、コンテナ用冷凍装置(20)を運転させるための電源である。コンテナ用冷凍装置(20)の各機器に電力を供給する。具体的に、主電源(71)は、電源回路を介して圧縮機(40)、庫外ファン(42)、庫内ファン(45)に電力を供給する。主電源(71)は、第1弁(58)および第2弁(59)を含む冷媒回路(50)の弁に電力を供給する。主電源(71)は、コントローラ(70)に電力を供給する。
【0067】
(3)判定装置
図4に示すように、コントローラ(70)は、判定装置(80)を含む。判定装置(80)は、コンテナ(10)の対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定するために用いられる。判定装置(80)は、衝撃度合いの推定値に基づき、対象部品(T)の異常判定を行う。判定装置(80)は、記憶部(81)と、処理部(82)と、通知部(83)と、補助電源(84)とを含む。
【0068】
(3-1)記憶部
記憶部(81)は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)などを含む。記憶部(81)は、対象部品(T)の衝撃度合いを推定するためのデータ(第1データ)を記憶する。第1データは、加速度センサ(65)の位置と、対象部品(T)の位置の違いよる影響に関するデータである。
【0069】
図5は、第1データの一例である。第1データは、対象部品(T)と、対象部品(T)に対応する補正係数とが関連付けられたデータテーブルである。記憶部(81)は、
図5に記載の実測値を記憶していなくてよい。本例の対象部品(T)は、電装品箱(60)、ケーシング(21)の底板(22c)、庫外熱交換器(41)、圧縮機(40)、庫外ファン(42)、弁、庫内熱交換器(44)、庫内ファン(45)、及び冷媒配管である。電装品箱(60)は、加速度センサ(65)と同じ位置に配置される。電装品箱(60)以外の対象部品(T)は、加速度センサ(65)と異なる位置に配置される。
【0070】
弁は、冷媒回路(50)に設けられる弁であって、膨張弁(51)、第1弁(58)、第2弁(59)を含む。弁は、四方切換弁、逆止弁、ロータリ弁などであってもよい。冷媒配管は、冷媒回路を構成するための配管である。冷媒配管は、吐出管(52)、吸入管(53)、液管(55)、バイパス管(57)を含む。冷媒配管は、圧縮機(40)の圧縮途中に繋がるインジェクション管や、ドレンパンの内部に配置される加熱用の配管であってもよい。
【0071】
本実施形態の第1データは、試験によって予め取得される。試験では、コンテナ(10)に実際に衝撃を与えた際に、対象部品(T)毎に作用する衝撃度合い(加速度)を計測する。例えば電装品箱(60)の加速度が25[G]であり、ケーシング(21)の底板(22c)の加速度が45[G]であった場合、底板(22c)には、電装品箱(60)の1.8倍の加速度が作用することになる。この場合、加速度センサ(65)と同じ位置にある電装品箱(60)を基準とし、電装品箱(60)の補正係数を1.0とすると、底板(22c)の補正係数は1.8となる。つまり、補正係数は、電装品箱(60)に作用する加速度の実測値に対する、対象部品(T)毎に作用する加速度の実測値の割合である。
【0072】
補正係数は、加速度センサ(65)と対象部品(T)の位置の違いによる影響に起因する衝撃度合いの誤差を小さくするために用いられる。ここで、加速度センサ(65)と対象部品(T)の位置の違いによる影響は、具体的には、加速度センサ(65)から対象部品(T)までの間の経路の距離の違い、この経路の材質の違い、加速度センサ(65)の固定方法の違い、などに起因する衝撃の伝搬のしやすさの影響を意味する。補正係数は、これらの影響を考慮した指標といえる。
【0073】
このようにして試験的に得られた補正係数は、対象部品(T)の識別情報と関連付けられて、記憶部(81)に記憶される。
【0074】
加速度センサ(65)と対象部品(T)の位置の違いの影響に関するデータは、必ずしもデータテーブルでなくてもよく、シミュレーションなどにより得た関数や、機械学習により得た学習済みモデルであってもよい。
【0075】
(3-2)処理部
処理部(82)は、マイクロプロセッサ(Micro Processor)、電気回路、電子回路を含む。マイクロプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信インターフェース、アナログ入出力、および接点入出力インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラム、およびプログラムが使用するデータが記憶されている。
処理部(82)は、加速度センサ(65)の検出値である加速度と、記憶部(81)に記憶された第1データとに基づき、対象部品(T)に作用する加速度を推定値として求める。具体的には、処理部(82)は、加速度センサ(65)で検出した加速度に対して、対象部品(T)毎の補正係数をそれぞれ乗算することで、対象部品(T)毎の加速度を推定値としてそれぞれ求める。
【0076】
処理部(82)は、対象部品(T)の衝撃度合いの推定値に基づき、対象部品(T)が異常状態である否か判定する。処理部(82)は、対象部品(T)の推定値が第1閾値を越える場合、この対象部品(T)が異常状態であると判定する。ここでいう異常状態は、1回の比較的大きな衝撃に伴って対象部品(T)が塑性破壊した状態を意味する。第1閾値は、予め試験的に、あるいはシミュレーションにより求められる。第1閾値は、記憶部(81)に記憶される。第1閾値は、対象部品(T)の種類によらない1種の値であるが、対象部品(T)の種類に応じて異なる複数種の値であってもよい。
【0077】
処理部(82)は、対象部品(T)の推定値が第2閾値を越えた回数が所定回数を越えると、この対象部品(T)が異常状態であると判定する。第2閾値は、第1閾値より小さい。ここでいう異常状態は、複数回の衝撃に伴って対象部品(T)が塑性破壊した状態を意味する。第2閾値は、予め試験的に、あるいはシミュレーションにより求められる。第2閾値は、記憶部(81)に記憶される。第2閾値は、対象部品(T)の種類によらない1種の値であるが、対象部品(T)の種類に応じて異なる複数種の値であってもよい。
【0078】
上記所定回数は、予め試験的に、あるいはシミュレーションにより求められる。所定回数は、記憶部(81)に記憶される。所定回数は、対象部品(T)の種類によらない1種の値であるが、対象部品(T)の種類に応じて異なる複数種の値であってもよい。
【0079】
(3-3)通知部
通知部(83)は、記憶部(81)に記憶された推定値に関する履歴データを対象者に知らせる。履歴データは、対象部品(T)毎の衝撃度合いの推定値の時系列データ、および対象部品(T)が異常状態であることを示す情報を含む。対象者は、コンテナ(10)のユーザ、メンテナンス業者、サービス業者、販売業者、管理業者などを含む。通知部(83)は、例えば文字、図形、グラフ、音声などを用いて対象者に時系列データを知らせる。通知部(83)は、この時系列データを所定の端末に出力する発信部を含む。また、通知部(83)は、例えば、文字、図形、記号、アイコン、音声、光などを用いて、対象部品(T)が異常状態であることを対象者に知らせる報知部を含む。
【0080】
(3-4)補助電源
補助電源(84)は、主電源(71)がOFF状態であるときに、判定装置(80)を動作させるための電源である。例えばコンテナ用冷凍装置(20)が停止状態であるときに、補助電源(84)は、判定装置(80)の電源として機能する。コンテナ用冷凍装置が運転状態であるときに、補助電源(84)が判定装置(80)の電源として機能してもよい。コンテナ用冷凍装置が運転状態であるときに、主電源(71)が判定装置(80)の電源として機能してもよい。補助電源(84)は、例えば乾電池や蓄電池で構成される。
【0081】
(4)運転動作
コンテナ用冷凍装置(20)は、冷却運転とデフロスト運転とを行う。
【0082】
冷却運転時には、圧縮機(40)で圧縮された冷媒が、庫外熱交換器(41)で凝縮し、膨張弁(51)で減圧され、庫内熱交換器(44)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。庫内空間(12)から内部通路(31)に流出した空気は、蒸発器として機能する庫内熱交換器(44)で冷却される。冷却された空気は、庫内空間(12)に送られる。
【0083】
デフロスト運転時には、圧縮機(40)で圧縮された冷媒が、バイパス管(57)を流れて、庫内熱交換器(44)を流れる。庫内熱交換器(44)の表面の霜は、庫内熱交換器(44)の内部を流れる冷媒の熱によって融ける。
【0084】
(5)判定装置の動作
判定装置(80)の動作について、
図6のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0085】
ステップS11では、加速度センサ(65)は衝撃度合いである加速度を検出する。加速度センサ(65)は、電装品箱(60)の内部に設けられる。このため、加速度センサ(65)は、実質的には、電装品箱(60)に作用する加速度を検出する。
【0086】
ステップS12では、記憶部(81)は、加速度センサ(65)の検出値を記憶する。記憶部(81)は、加速度センサ(65)による検出が行われるたびに、検出値を記憶する。ステップS13では、処理部(82)は、ステップS11における加速度センサ(65)の検出値と、記憶部(81)に記憶された第1データとに基づき、対象部品(T)毎の加速度の推定値を求める。なお、加速度センサ(65)の検出値は、記憶部(81)から読み出されてもよい。処理部(82)は、加速度の検出値に対して、対象部品(T)毎の補正係数を乗算する。具体的には、例えば加速度センサ(65)の検出値が10[G]である場合、処理部(82)は、この検出値10[G]に、
図5のケーシング(21)の底板(22c)の補正係数1.8を乗算することで、底板(22c)の推定値(=18[G])を求める。
【0087】
ステップS14では、記憶部(81)は、ステップS13で求めた対象部品(T)毎の推定値を記憶する。記憶部(81)は、ステップS13で推定値が求められるたびに、対象部品(T)毎の推定値を記憶する。
【0088】
ステップS15では、処理部(82)は、ステップS13で求めた推定値と第1閾値との大小比較を行う。ステップS15において、推定値が第1閾値以上である場合、処理はステップS18に移行する。ステップS18では、処理部(82)は、判定対象となる対象部品(T)が異常状態であると判定する。例えば底板(22c)の推定値が第1閾値以上である場合、処理部(82)は、底板(22c)が異常状態であると判定する。
【0089】
処理部(82)は、対象部品(T)が異常状態であると判定すると、対象部品(T)が異常状態であることを示す第1信号を出力する。
【0090】
ステップS19では、通知部(83)は、対象部品(T)が異常状態であること示す情報を対象者に通知する。通知部(83)は、処理部(82)が出力した第1信号を入力すると、対象部品(T)が異常状態であること示す情報を対象者に通知する。この情報は、対象部品(T)の種類を含む。これにより、対象者は、対象部品(T)が異常状態であることを速やかに把握でき、何らかの対策を講じることができる。
【0091】
ステップS15において、推定値が第1閾値より小さい場合、処理はステップS16に移行する。ステップS16では、処理部(82)は、推定値と第2閾値との大小比較を行う。推定値が第2閾値より小さい場合、処理はステップS11に戻る。推定値が第2閾値以上である場合、処理はステップS17に移行する。
【0092】
ステップS17では、処理部(82)が、推定値が第2閾値を越えた回数と、所定回数の大小比較を行う。ここで、推定値が第2閾値を越えた回数は、判定装置(80)が動作してから適宜カウントされる累積の回数である。なお、累積の回数は、記憶部(81)に記憶された推定値に基づいて判断してもよいし、記憶部(81)に第2閾値を超えた累積の回数のカウント値が記憶されていてもよい。ステップS17において、推定値が第2閾値を越えた回数が、所定回数より小さい場合、処理はステップS11に戻る。推定値が第2閾値を越えた回数が、所定回数以上である場合、処理はステップS18に移行する。ステップS18では、処理部(82)が、対象部品(T)が異常状態であると判定し、ステップS19では、通知部(83)が、そのことを対象者に通知する。
【0093】
(6)実施形態の効果
実施形態では、記憶部(81)は、加速度センサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、加速度センサ(65)と対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する。処理部(82)は、センサ(65)の検出値と、記憶部(81)に記憶されるデータとに基づいて、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める。
【0094】
コンテナの対象部品に作用する衝撃度合いに関する物理量をセンサによって検出し、このセンサの検出値に基づいて対象部品に作用する衝撃度合いを求めることが考えられる。しかし、センサが設けられる位置と、対象部品の位置が異なる場合には、両者の位置の違いによる影響により、対象部品の衝撃度合いを正確に求めることができないことがある。
【0095】
具体的には、例えば両者の位置の経路の長さや、センサの固定方法によってセンサから対象部品までの衝撃の伝搬のしやすさが変化するので、センサで検出した衝撃度合いと、対象部品に作用する衝撃度合いとの間に誤差が生じる。このようなセンサと対象部品の位置の違いの影響により誤差が生じると、対象部品に作用する衝撃度合いを精度よく求めることができない、という問題がある。
【0096】
本実施形の制御により、対象部品(T)が加速度センサ(65)とコンテナの異なる位置に配置されている場合に、位置の違いの影響に起因する誤差を小さくするように、対象部品(T)の衝撃度合いを推定できる。この結果、対象部品(T)の衝撃度合いを精度よく推定できる。
【0097】
複数の対象部品(T)の数は、加速度センサ(65)の数よりも多い。このため、加速度センサ(65)の数を減らしながら、複数の対象部品(T)の衝撃度合いを推定でき、部品点数を削減できる。加速度センサ(65)は1つであることが好ましい。
【0098】
処理部(82)は、推定値が第1閾値を越えると、対象部品(T)が異常状態であると判定する。これにより、例えばクレーンなどで吊り上げたコンテナ(10)が落下して、コンテナ(10)に比較的大きな衝撃が作用した場合などに、対象部品(T)が異常状態であることを速やかに判定できる。
【0099】
処理部(82)は、推定値が第2閾値を超えた回数が、所定回数を超えると、対象部品(T)が異常状態であると判定する。これにより、第1閾値より小さい衝撃が対象部品(T)に複数回作用し、対象部品(T)が塑性破壊するような場合に、対象部品(T)が異常状態であることを速やかに判定できる。
【0100】
処理部(82)は、記憶部(81)に記憶された推定値に基づいて、対象部品(T)の異常状態を判定する。これにより、蓄積された過去のデータに基づき対象部品(T)の異常状態を精度よく判定できる。
【0101】
通知部(83)は、異常状態に加えて、推定値に関する時系列データを対象者に知らせる。対象者が推定値の時系列データを確認することで、対象者は、どの対象部品(T)にどのような衝撃が作用していたかを、時系列的に知ることができる。このため、対象者は、この時系列データに基づき、コンテナ(10)の状態を把握したり、コンテナ(10)の輸送、積み卸しなどにおいて、どのように用いられたかを評価したり、コンテナ(10)を今後どのように用いればよいかを提案したりできる。通知部(83)は、加速度センサ(65)の検出値に関する時系列データを対象者に知らせてもよい。
【0102】
加速度センサ(65)は、電装品箱(60)の内部に配置される。電装品箱(60)には、降雨の影響による水や、結露水、海水などが侵入しにくい。電装品箱(60)には、空気中の塵埃や、空気中の腐食成分などが侵入しにくい。このため、加速度センサ(65)の劣化を抑制できる。
【0103】
加速度センサ(65)は、制御基板(63)上に配置される。これにより、制御基板(63)上から加速度センサ(65)に電力を供給したり、制御基板(63)上から加速度センサ(65)を制御したり、加速度センサ(65)の検出信号を制御基板(63)に出力したりできる。この結果、加速度センサ(65)の電気配線を短く、あるいは実質的に省略できる。加速度センサ(65)の検出信号にノイズが重畳することを抑制できるので、ノイズの影響により衝撃度合いの推定の精度が低下することを抑制できる。
【0104】
加えて、制御基板(63)は板状の樹脂材料で構成されるので、加速度センサ(65)に作用する衝撃の減衰も緩和できる。
【0105】
判定装置(80)は補助電源(84)を有するので、コンテナ用冷凍装置(20)を停止状態とするときにも、コンテナ(10)に作用する衝撃度合いを連続的に推定値として求めることができる。さらに、この推定値を連続的に記憶部(81)に記憶させ、履歴データを取得できる。
【0106】
加速度センサ(65)が3軸式である。このため、コンテナ(10)の積み卸しなどで生じる上下方向の衝撃に加えて、コンテナ(10)の輸送時おける前後方向や左右方向の衝撃も評価できる。特に、鉄道や車両などの輸送体にコンテナ(10)が搭載される場合、ブレーキに起因する前後方向の衝撃や、カーブを曲がるときに生じる左右方向の衝撃を評価できる。
【0107】
(7)変形例
上述した実施形態については、以下のような変形例の構成としてもよい。
【0108】
(7-1)変形例1:疲労破壊の判定
処理部(82)は、対象部品(T)の推定値に基づいて、対象部品(T)の疲労破壊を異常状態として判定してもよい。処理部(82)は、対象部品(T)の応力振幅σと、応力振幅σが作用する繰り返し回数とに基づいて、対象部品(T)の疲労破壊を異常状態として判定する。
【0109】
対象部品(T)の疲労破壊は、対象部品(T)に作用する応力振幅σと、破断繰り返し数Nとの関係からなるS-N線図(
図7を参照)に関するデータ(第2データ)を用いて判定できる。第2データは、対象部品(T)毎に予め試験的に求められ、記憶部(81)に記憶される。破断繰り返し数Nは、ある応力振幅σが繰り返し作用した場合に、対象部品(T)が破断するまでに要した回数である。応力振幅σが大きくなるほど破断繰り返し数Nは少なくなり、応力振幅σが小さくなるほど破断繰り返し数Nは多くなる。
【0110】
変形例1の異常判定の動作について、
図8を参照しながら説明する。ステップS21では、加速度センサ(65)は衝撃度合いである加速度を検出する。
【0111】
ステップS22では、記憶部(81)は、加速度センサ(65)の検出値を記憶する。ステップS22では、記憶部(81)は、加速度センサ(65)による検出が行われるたびに、検出値を記憶する。
【0112】
ステップS23では、処理部(82)は、加速度センサ(65)の検出値と、記憶部(81)に記憶された第1データとに基づき、対象部品(T)毎の加速度の推定値を求める。ステップS23の処理の詳細は、上述したステップS13の処理と同じである。
【0113】
ステップS24では、記憶部(81)は、ステップS23で求めた対象部品(T)毎の推定値を記憶する。記憶部(81)は、ステップS23で推定値が求められるたびに、対象部品(T)毎の推定値を記憶する。
【0114】
ステップS25では、処理部(82)が対象部品(T)毎の損傷度Dを算出する。損傷度Dは、以下の式で表すことができる。
【0115】
損傷度D=(n1/N1)+(n2/N2)…+(ni/Ni)、(i=1、2、3)・・・(1)
ここで、n1は、対象部品(T)にσ1の応力振幅が作用した回数、n2は、対象部品(T)にσ2の応力振幅が作用した回数、niは、対象部品(T)にσiの応力振幅が作用した回数を意味する。N1は、対象部品(T)にσ1の応力振幅が作用した場合の破断繰り返し数、n2は、対象部品(T)にσ2の応力振幅が作用した場合の破断繰り返し数、niは、対象部品(T)にσiの応力振幅が作用した場合の破断繰り返し数を意味する。
【0116】
対象部品(T)の応力振幅σは、対象部品(T)に作用する衝撃度合い(加速度)と相関がある。このため、予め得た相関式などを用いることで、対象部品(T)の推定値から、σ1、σ2、…σiを求めることができる。また、記憶部(81)に記憶された推定値の時系列データに基づき、n1、n2、…niを求めることができる。以上により、処理部(82)は、上記(1)式を用いて対象部品(T)毎の損傷度Dを算出する。
【0117】
ステップS26では、処理部(82)は、対象部品(T)の損傷度Dが、1以上であるか否かを判定する。処理部(82)は、対象部品(T)毎にこの判定を行う。ステップS26において損傷度Dが1より小さい場合、処理はステップS21に戻る。ステップS26において損傷度Dが1以上である場合、処理はステップS27に移行する。
【0118】
ステップS27では、処理部(82)は、判定対象となる対象部品(T)の疲労破壊を、異常状態として判定する。例えば冷媒配管の推定値に基づき、冷媒配管の損傷度Dが1以上である場合、処理部(82)は、冷媒配管が疲労破壊したことを異常状態として判定する。
【0119】
ステップS28では、通知部(83)が、対象者に対象部品(T)が疲労破壊したことを知らせる。通知部(83)が出力する情報は、対象部品(T)の種類を含む。これにより、対象者は、対象部品(T)が疲労破壊した、あるいは疲労破壊する可能性が高いことを速やかに把握でき、何らかの対策を講じることができる。
【0120】
(7-2)変形例2:第1データの変形例
上述した実施形態の第1データでは、衝撃度合い(加速度)の大小に拘わらず、対象部品(T)の補正係数は固有の値を用いている。しかし、記憶部(81)は、衝撃度合い(加速度)に応じて異なる補正係数を記憶していてもよい。この場合、処理部(82)は、センサ(65)の検出値と、この検出値の加速度の値に対応する補正係数とを用いて、対象部品(T)の衝撃度合いを推定値として求める。
【0121】
(7-3)変形例3:対象部品の変形例
上述した実施形態の対象部品(T)は、電装品箱(60)、ケーシング(21)の底板(22c)、庫外熱交換器(41)、圧縮機(40)、庫外ファン(42)、弁、庫内熱交換器(44)、庫内ファン(45)、及び冷媒配管である。対象部品(T)は、これ以外の構成部品であってもよい。
【0122】
例えば対象部品(T)は、コンテナ本体(11)であってもよい。コンテナ本体(11)に衝撃が作用すると、コンテナ本体(11)の断熱性や気密性が損なわれる可能性がある。コンテナ本体(11)に作用する衝撃度合いを推定値として求めることで、コンテナ本体(11)の断熱性や気密性の悪化を異常状態として判定できる。
【0123】
対象部品(T)は、アキュムレータ(54)、レシーバ(56)、ケーシング(21)の平板部(22a)、ケーシング(21)の凹部(22b)、点検窓(24)、仕切板(23)、ベンチレータ(25)、または点検窓(24)であってもよい。対象部品(T)は、他の熱交換器であるプレート式の熱交換器や、デフロストなどに用いられるヒータであってもよい。対象部品(T)は、他の弁である四方切換弁、三方弁、ロータリ弁、あるいは逆止弁であってもよい。対象部品(T)は、ドレンパンや、ドレンパンに溜まった水を排出する排水管であってもよい。
【0124】
対象部品(T)は、上述した各構成部品を支持する支持体であってもよい。
【0125】
対象部品(T)は、空気調節装置の構成部品であってもよい。空気調節装置は、コンテナ用冷凍装置(20)に設けられ、庫内空間(12)の空気の組成を調節する。空気調節装置は、吸着塔、ガス分離膜、ポンプ、空気配管などの構成部品を有する。
【0126】
対象部品(T)は、1つであってもよい。この場合、1つの対象部品(T)は、センサ(65)と異なる位置に配置される。
【0127】
(7-4)変形例4:センサの変形例
加速度センサ(65)は、1軸型の加速度センサであってもよい。この場合、加速度センサ(65)は、特にZ軸(上下方向)の加速度を検出するのが好ましい。
【0128】
加速度センサ(65)は、6軸型の加速度センサであってもよい。この場合、加速度センサ(65)は、X軸、Y軸、Z軸に加えて、これらの3つの軸を中心とする回転方向の加速度を検出できる。特に、コンテナ(10)が車両に設けられる場合、6軸型の加速度センサ(65)を用いるのが好ましい。
【0129】
衝撃度合いを検出するためのセンサは、周波数変化式、圧電式、電動式、サーボ式などの接触型の振動センサであってもよいし、渦電流式、静電容量式、光学式などの非接触型の振動センサであってもよい。
【0130】
衝撃度合いを検出するためのセンサは、加速度ではなく、速度や、センサの位置の変位量を検出するものであってもよい。
【0131】
衝撃度合いを検出するためのセンサ(65)は、GPS受信機であってもよい。GPS受信機を用いることで、ある時間あたりのGPS受信機の位置の変化を求めることができる。この変化と時間とに基づき、GPS受信機の加速度を求めることで、衝撃度合いを検出できる。
【0132】
(7-5)変形例5:センサの配置
図9に示すように、センサ(65)は、通信装置(62)に設けられてもよい。具体的には、センサ(65)は、電装品箱(60)の内部の第1空間(61)において通信装置(62)の前面に固定される。
【0133】
電装品箱(60)の外部に配置されてもよい。センサ(65)は、例えば圧縮機(40)や庫外ファン(42)のモータなどに設けられてもよい。
【0134】
(7-6)変形例6:判定装置の適用箇所
上述した実施形態の判定装置(80)は、コンテナ用冷凍装置(20)のコントローラ(70)に設けられる。しかし、判定装置(80)は、コントローラ(70)とは別体で構成されてもよい。判定装置(80)は、センサ(65)、記憶部(81)、および処理部(82)を有し、コンテナ用冷凍装置(20)に付加できる付加ユニットであってもよい。付加ユニットは、さらに通知部(83)や補助電源(84)を有するのが好ましい。
【0135】
判定装置(80)は、ネットワーク上のサーバ装置に設けられてもよいし、スマートフォンなどの通信端末に設けられてもよい。判定装置(80)は、センサ(65)の検出信号を有線または無線を介して入力可能に構成される。判定装置(80)は、記憶部(81)に記憶された履歴データや異常状態の判定結果を所定の端末や表示装置などに出力可能に構成される。
【0136】
判定装置(80)は、コンテナ用冷凍装置(20)を有しないコンテナ(10)に設けられてよい。コンテナ(10)は、コンテナ本体(11)と、コンテナ本体(11)の開口(13)を塞ぐ開閉扉を有する。センサ(65)は、コンテナ本体(11)や開閉窓に設けられる。判定装置(80)は、センサ(65)と異なる位置の対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定する。
【0137】
(7-7)変形例7
変形例7は、記憶部(81)を有するサーバ装置(91)と、処理部(82)を有するコントローラ(70)とを有する判定システム(90)である。
【0138】
図10に示すように、コンテナ用冷凍装置(20)は、通信装置(62)と、処理装置であるコントローラ(70)とを有する。コントローラ(70)は、処理部(82)、通知部(83)、および補助電源(84)を有する。コントローラ(70)は、通信装置(62)およびネットワーク(N)を介してサーバ装置(91)と接続する。
【0139】
図11に示すように、サーバ装置(91)は、ハードウェア要素として、CPU(92)、記憶部(81)、補助記憶装置(93)、I/F装置(94)、サーバ側通信装置(95)、およびドライブ装置(96)を有する。
【0140】
CPU(92)(Central Processing Unit)は、各種プログラムを実行する演算デバイスである。記憶部(81)は、CPUが実行するために必要なプログラムや、データ等を格納する記憶デバイスである。記憶部(81)は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)などを含む。補助記憶装置(93)は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。I/F装置(94)は、外部機器と接続し、外部機器との交信や制御を行うためのデバイスである。本例では、操作装置(111)および表示装置(112)がI/F装置(94)を介してサーバ装置(91)に接続される。操作装置(111)は、各種の操作を受け付けるための操作デバイスであり、表示装置(112)は、各種の情報を表示する表示デバイスである。サーバ側通信装置(95)は、サーバ装置(91)と、外部の機器との通信を行うための通信デバイスである。ドライブ装置(96)は、記録媒体(113)のデータを読み込むためのデバイスである。記録媒体(113)には、CD-ROM,光磁ディスク、ROM、フラッシュメモリ、SSDなどがある。
【0141】
記憶部(81)は、上述した実施形態と同様にして、対象部品(T)の衝撃度合いを推定するための第1データを記憶する。サーバ側通信装置(95)は、対象者の通信端末と接続する。サーバ側通信装置(95)は、サーバ装置(91)の履歴データを対象者に知らせるサーバ側通知部である。履歴データは、加速度センサ(65)の検出値、対象部品(T)毎の衝撃度合いの推定値の時系列データ、および対象部品(T)が異常状態であることを示す情報を含む。
【0142】
判定システム(90)の動作について、
図12のシーケンスチャート、および
図13のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0143】
図12のステップS31において、加速度センサ(65)は衝撃度合いである加速度を検出する。ステップS32において、加速度センサ(65)は、検出値をコントローラ(70)に送信する。ステップS33において、コントローラ(70)は、第1データの送信要求を示す信号を通信装置(62)に送信する。ステップS34において、通信装置(62)は、第1データの送信要求を示す信号をネットワーク(N)を介してサーバ装置(91)に送信する。
【0144】
ステップS35において、サーバ装置(91)は、記憶部(81)から第1データを読み出す。第1データは、上述した実施形態と同様、対象部品(T)と、対象部品(T)に対応する補正係数とが関連付けられたデータである。ステップS36において、サーバ装置(91)は、第1データをネットワーク(N)を介して通信装置(62)に送信する。ステップS37において、通信装置(62)は、受信した第1データをコントローラ(70)に送信する。このように、サーバ装置(91)は、コントローラ(70)からの送信要求に基づき、第1データを、通信装置(62)を介してコントローラ(70)に送信する。
【0145】
ステップS50において、コントローラ(70)の処理部(82)は、上述した実施形態と同様の判定処理(以下、状態判定処理という)を行う。
【0146】
図13に示す状態判定処理では、ステップS51において、処理部(82)は、ステップS31における加速度センサ(65)の検出値と、記憶部(81)に記憶された第1データとに基づき、対象部品(T)毎の加速度の推定値を求める。言い換えると、処理部(82)は、ステップS31における加速度センサ(65)の検出値と、サーバ装置(91)から送信された第1データとに基づき、対象部品(T)毎の加速度の推定値を求める。具体的には、処理部(82)は、加速度の検出値に対して、対象部品(T)毎の補正係数を乗算することで推定値を求める。
【0147】
次いで、ステップS52では、処理部(82)は、ステップS51で求めた推定値と第1閾値との大小比較を行う。ステップS52において、推定値が第1閾値以上である場合、処理はステップS53に移行する。ステップS53では、処理部(82)は、判定対象となる対象部品(T)が異常状態であると判定する。
【0148】
ステップS52において、推定値が第1閾値より小さい場合、処理はステップS54に移行する。ステップS54では、処理部(82)は、推定値と第2閾値との大小比較を行う。推定値が第2閾値以上である場合、処理はステップS55に移行する。
【0149】
ステップS55では、処理部(82)が、推定値が第2閾値を越えた回数と、所定回数の大小比較を行う。推定値が第2閾値を越えた回数が、所定回数以上である場合、処理はステップS53に移行する。ステップS53では、処理部(82)は、判定対象となる対象部品(T)が異常状態であると判定する。
【0150】
図12に示すように、ステップS50の状態判定処理の後には、コントローラ(70)は、ステップS38において、状態判定データを通信装置(62)に送信する。通信装置(62)は、ステップS39において、受信した状態判定データをネットワーク(N)を介してサーバ装置(91)に送信する。ここで、状態判定データは、加速度センサ(65)で検出した検出値、処理部(82)が求めた推定値、および対象部品(T)の異常状態の判定結果を含む。ステップS40において、サーバ装置(91)の記憶部(81)は、状態判定データを履歴データとして記憶する。これにより、サーバ装置(91)の記憶部(81)に、検出値、推定値、および異常状態の判定結果を履歴データとして蓄えることができる。
【0151】
ステップS41において、ステップS50の状態判定処理で異常状態と判定された場合、サーバ装置(91)のサーバ側通信装置(95)は、対象部品(T)が異常状態であること示す情報を対象者に通知する。具体的には、サーバ側通信装置(62)は、対象者の所有する通信端末に、異常状態であることを示すデータを送信する。これにより、対象者は、対象部品(T)が異常状態であることを速やかに把握でき、何らかの対策を講じることができる。
【0152】
ステップS50の状態判定処理の後には、コントローラ(70)は、ステップS43の処理が実行される。ステップS43において、状態判定処理で異常状態ありと判定された場合、ステップS44において、コントローラ(70)の通知部(83)は、対象部品(T)が異常状態であること示す情報を対象者に通知する。これにより、対象者は、対象部品(T)が異常状態であることを速やかに把握でき、何らかの対策を講じることができる。
【0153】
変形例7において、対象部品(T)の異常が判定されると、コントローラ(70)の通知部(83)と、サーバ側通信装置(95)のいずれか一方だけが、異常状態であること対象者に通知してもよい。
【0154】
変形例7のステップS33およびS34の第1データの送信要求のタイミングは、加速度センサ(65)で検出値を受信したタイミングであってもよいし、他の所定のタイミングであってもよい。他の所定のタイミングは、例えばコンテナ(10)が陸上に位置するタイミングである。コンテナ(10)が陸上に位置するタイミングでは、通知を受けた対象者が、点検、修理、およびコンテナ(10)の選定をすぐに対応できるからである。
【0155】
コンテナ(10)が陸上に位置するか否かは、GPSセンサによる位置情報の特定、対象者の入力、または対象者が所有する通信端末の通信可否によって判断できる。
【0156】
以上の変形例7の構成は、上述した変形例1~6のいずれにおいても適用できる。例えば変形例7の判定システム(90)において、変形例1の判定処理を行う場合、サーバ装置(91)の記憶部(81)は、第1データおよび第2データを記憶する。コントローラ(70)は、サーバ装置(91)に対して記憶部(81)に記憶される第1データおよび第2データの送信要求を、通信装置(62)を介してサーバ装置(91)に送信する。サーバ装置(91)は、送信要求に基づいて、記憶部(81)に記憶される第1データおよび第2データを、通信装置(62)を介してコントローラ(70)に送信する。コントローラ(70)は、
図8の処理と同様にして、加速度センサ(65)の検出値と、第1データと、第2データとに基づき対象部品(T)の疲労破壊を判定する。
【0157】
(8)判定方法およびプログラム
本開示の判定方法は、対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、センサ(65)と対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶ステップと、センサ(65)の検出値と、記憶ステップで記憶したデータとに基づいて、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める推定ステップとを含む。ここで、判定方法は、
図6、
図8、
図12、および
図13に示すいずれのステップを含んでいてもよい。
【0158】
本開示のプログラムは、コンピュータに、対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、センサ(65)と対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶ステップと、センサ(65)の検出値と、記憶ステップで記憶したデータとに基づいて、対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める推定ステップとを実行させる。ここで、プログラムは、
図6、
図8、
図12、および
図13に示すいずれのステップをコンピュータに実行させてもよい。プログラムは、上述したコントローラ(70)、通信端末、サーバ装置、および記憶媒体のいずれか1つのみに記憶されてもよいし、これらの2つ以上に分離されて記憶されてもよい。
【0159】
(9)参考形態
参考形態の判定装置(80)の処理部(82)は、センサ(65)の検出値が第1閾値を越えると、前記対象部品(T)が異常状態であると判定する。
【0160】
参考形態の判定装置(80)の処理部(82)は、センサ(65)の検出値が第2閾値を越えた回数が、所定回数を越えると、対象部品(T)が異常状態であると判定する。
【0161】
参考形態の判定装置(80)の処理部(82)は、センサ(65)の検出値に基づいて前記対象部品(T)の疲労破壊を異常状態として判定する。具体的には、処理部(82)は、センサ(65)の検出値により求められる対象部品(T)の応力振幅σと、応力振幅σが作用する繰り返し回数とに基づいて、対象部品(T)の疲労破壊を異常状態として判定する。
【0162】
これらの参考形態における判定装置(80)の動作の詳細は、上述した実施形態および各変形例と同じである。
【0163】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0164】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0165】
以上に説明したように、本開示は、判定装置について有用である。
【符号の説明】
【0166】
10 コンテナ
11 コンテナ本体
20 コンテナ用冷凍装置
21 ケーシング
22 ケーシング本体
40 圧縮機
41 庫外熱交換器(熱交換器)
42 庫外ファン(ファン)
44 庫内熱交換器(熱交換器)
45 庫内ファン(ファン)
51 膨張弁(弁)
52 吐出管(冷媒配管)
53 吸入管(冷媒配管)
55 液管(冷媒配管)
57 バイパス管(冷媒配管)
58 第1弁(弁)
59 第2弁(弁)
60 電装品箱
62 通信装置
63 制御基板
65 加速度センサ(センサ)
70 コントローラ(処理装置)
80 判定装置
81 記憶部
82 処理部
83 通知部
91 サーバ装置
T 対象部品
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶部(81)と、
前記センサ(65)の検出値と、前記記憶部(81)に記憶されるデータとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める処理部(82)と
を備えている判定装置。
【請求項2】
前記処理部(82)は、前記推定値が第1閾値を越えると、前記対象部品(T)が異常状態であると判定する
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記処理部(82)は、前記推定値が第2閾値を越えた回数が、所定回数を越えると、前記対象部品(T)が異常状態であると判定する
請求項1に記載の判定装置。
【請求項4】
前記記憶部(81)は、前記推定値を記憶し、
前記処理部(82)は、前記記憶部(81)に記憶された前記推定値に基づいて、前記対象部品(T)の異常状態を判定する。
請求項1~3のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項5】
前記処理部(82)は、前記推定値に基づいて前記対象部品(T)の疲労破壊を異常状態として判定する
請求項4に記載の判定装置。
【請求項6】
前記推定値に関する履歴データを対象者に知らせる通知部(83)を備える
請求項1~3のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1つに記載の前記対象部品(T)、前記センサ(65)、および前記判定装置(80)を備え、
前記コンテナ(10)のコンテナ本体(11)の内部を冷却するコンテナ用冷凍装置。
【請求項8】
電装品(63)を収容する電装品箱(60)を備え、
前記センサ(65)は、前記電装品箱(60)の内部に配置される
請求項7に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項9】
前記電装品は、制御基板(63)を含み、
前記センサ(65)は、前記制御基板(63)上に配置される
請求項8に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項10】
他の機器と通信を行うための通信装置(62)を備え、
前記センサ(65)は、前記通信装置(62)に設けられる
請求項7に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項11】
前記対象部品(T)は、前記コンテナ用冷凍装置(20)のケーシング(21)、電装品箱(60)、圧縮機(40)、熱交換器(41,44)、ファン(42,45)、冷媒配管(52,53,55,57)、弁(51,58,59)、および前記コンテナ本体(11)の少なくとも1つである
請求項7に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか1つに記載の前記対象部品(T)、前記センサ(65)、および前記判定装置(80)を備えたコンテナ。
【請求項13】
対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶部(81)を有するサーバ装置(91)と、
前記センサ(65)の検出値と、前記記憶部(81)に記憶されるデータとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める処理部(82)を有する処理装置(70)とを備えた判定システム。
【請求項14】
前記処理装置(70)は、前記サーバ装置(91)に対して前記記憶部(81)に記憶される前記データの送信要求を、通信装置(62)を介して前記サーバ装置(91)に送信し、
前記サーバ装置(91)は、前記送信要求に基づいて、前記記憶部(81)に記憶される前記データを、前記通信装置(62)を介して前記処理装置(70)に送信する
請求項13に記載の判定システム。
【請求項15】
対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶ステップと、
前記センサ(65)の検出値と、前記記憶ステップで記憶したデータとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める推定ステップとを含む
判定方法。
【請求項16】
コンピュータに、
対象部品(T)を有するコンテナ(10)に配置されるセンサ(65)によって検出される衝撃度合いに関する検出値に対する、前記センサ(65)と前記対象部品(T)との位置の違いによる影響に関するデータを記憶する記憶ステップと、
前記センサ(65)の検出値と、前記記憶ステップで記憶したデータとに基づいて、前記対象部品(T)に作用する衝撃度合いを推定値として求める推定ステップとを実行させる
プログラム。