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特開2024-95564車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095564
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20240703BHJP
   G01L 3/00 20060101ALI20240703BHJP
   B62M 25/08 20060101ALI20240703BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240703BHJP
   B62J 45/411 20200101ALI20240703BHJP
   B62J 45/413 20200101ALI20240703BHJP
   B62J 45/421 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
B62M6/45
G01L3/00 Z
B62M25/08
B62J45/00
B62J45/411
B62J45/413
B62J45/421
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211772
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】10 2022 214 173.3
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シュテグマイヤー ユルゲン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法であって、トルク値を複数の時点で確認し、確認したトルク値の極値を各時点で特定し、極値が特定された時点からの経過した時間および/または車両のペダルが経た角度を測定し、トルク推移の周期時間を確認し、かつ確認した周期時間ならびに測定した時間および/または経た角度を基に将来の極値の少なくとも1つの時点を予測する、ステップを含む、車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)、特にeバイク等のシングルトラックの車両(1)のトルク推移(201)中の将来の極値(205)の時点を予測する方法であって、
トルク値を複数の時点で確認(S1)し、
確認した前記トルク値の極値(204)を各時点で特定(S2)し、
前記極値(204)が特定された前記時点からの経過した時間および/または前記車両のペダルが経た角度を測定(S3)し、
前記トルク推移(201)の周期時間(207)を確認(S4)し、かつ
確認した前記周期時間(207)ならびに測定した前記時間および/または経た前記角度を基に将来の極値(205)の少なくとも1つの時点を予測(S5)する、
ステップを含む、
車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法。
【請求項2】
前記車両の前記ペダルが経た前記角度の前記測定(S3)および/または前記周期時間(207)の前記確認(S4)を回転数センサにより実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
経過した前記時間の前記測定(S3)を時間測定器を基に実施し、新たな極値(204)が特定されると、前記時間測定器をリセットする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記周期時間(207)を、特定した2つの極値(204)の前記時点の比較を基に確認する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記将来の極値(205)の少なくとも1つの前記時点の前記予測を、測定した前記時間が閾値(208)より大きいときだけ実施する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記極値(204)を特定(S2)すべく、目下確認したトルク値が、目下の極値より大きいか、または小さいか、チェックする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
次の前記極値(205)および次の次の前記極値(206)の前記時点を予測する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
車両(1)、特にeバイク等のシングルトラックの車両(1)の変速機(3)をシフトする方法であって、
前記車両にかかっているトルクが最小である時点を、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法を基に予測し、かつ
予測した前記時点で前記車両(1)の前記変速機(3)をシフトする、
ステップを含む
車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両の変速機をシフトする方法。
【請求項9】
車両(1)、特にeバイク等のシングルトラックの車両(1)であって、前記車両(1)には、運転者がトルクを加えることが可能であり、その結果、規則的なトルク推移(201)が生じ、
トルク値を複数の時点で確認すべく形成されているトルクセンサ(4)と、
確認した前記トルク値の極値(204)を特定すべく形成されている特定装置(5)と、
前記極値(204)が特定された前記時点からの経過した時間および/または前記車両(1)のペダル(7)が経た角度を測定すべく形成されている測定装置(6)と、
前記トルク推移の周期時間(207)を確認すべく形成されている確認装置(8)と、
確認した前記周期時間(207)ならびに測定した前記時間および/または経た前記角度を基に将来の極値(205)の少なくとも1つの時点を予測すべく形成されている予測装置(9)と、
を備える、
車両(1)、特にeバイク等のシングルトラックの車両(1)。
【請求項10】
前記予測装置(9)が最小値を予測した時点で前記車両(1)の変速機(3)をシフトすべく形成されているシフト装置を備える、請求項9に記載の車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特にeバイク(eBike)等のシングルトラックの車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両の変速機をシフトする方法に関する。
【0003】
さらに本発明は、車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両に関する。
【0004】
広く信号推移に応用可能ではあるが、以下の発明は、eバイクにおけるトルク推移を基に説明する。
【背景技術】
【0005】
eバイクは、補助駆動部を備え、補助駆動部は、運転者によりeバイクに及ぼされるトルクを強め、こうして運転者を走行時に補助する。
【0006】
eバイクには、この場合、変速機、特に電気式の変速機または自動変速機が設けられていることがある。この場合、自動変速機は、自動で変速機のギヤ段を、かかっているトルクあるいは回転数に応じてチェンジする。運転者が、シフトプロセス中に、駆動ユニットによりまださらに強められる高いトルクを発生させるとき、結果として生じるトルクは、変速機における悪影響または摩擦に至らしめることがある。同じことは、手動変速機でも、運転者がシフトプロセス中に高いトルクを発生させるとき、当てはまる。
【発明の概要】
【0007】
一実施の形態において、本発明は、車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法であって、
トルク値を複数の時点で確認し、
確認したトルク値の極値を各時点で特定し、
極値が特定された時点からの経過した時間および/または車両のペダルが経た角度を測定し、
トルク推移の周期時間を確認し、かつ
確認した周期時間ならびに測定した時間および/または経た角度を基に将来の極値の少なくとも1つの時点を予測する、
ステップを含む、
車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法を提供する。
【0008】
一実施の形態において、本発明は、車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両の変速機をシフトする方法であって、
車両にかかっているトルクが最小である時点を、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法を基に予測し、かつ
予測した時点で車両の変速機をシフトする、
ステップを含む、
車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両の変速機をシフトする方法を提供する。
【0009】
一実施の形態において、本発明は、車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両であって、車両には、運転者がトルクを加えることが可能であり、その結果、規則的なトルク推移が生じ、
トルク値を複数の時点で確認すべく形成されているトルクセンサと、
確認したトルク値の極値を特定すべく形成されている特定装置と、
極値が特定された時点からの経過した時間および/または車両のペダルが経た角度を測定すべく形成されている測定装置と、
トルク推移の周期時間を確認すべく形成されている確認装置と、
確認した周期時間ならびに測定した時間および/または経た角度を基に将来の極値の少なくとも1つの時点を予測すべく形成されている予測装置と、
を備える、
車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両を提供する。
【発明の効果】
【0010】
これにより達成可能な利点の1つは、運転者により発生されるトルクが最小となることが次に出現する可能性がある時点を簡単に算出し得ることである。さらなる利点は、この算出を迅速かつ効率的に実施し得ることである。さらなる利点は、トルクの最大値も最小値も予測し得ることである。
【0011】
「極値」なる概念は、最も広義に解すべきであり、特に特許請求の範囲において、好ましくは明細書において、推移、例えばトルク推移中の、ある特定の時間窓内で最小または最大の値である値に関する。特に極値は、正弦形の推移の最大値および最小値、つまり、推移の変化率が略ゼロである山および谷である。
【0012】
「周期時間」なる概念は、最も広義に解すべきであり、特に特許請求の範囲において、好ましくは明細書において、車両のペダルが完全な一回転を実施するまでに必要とされる時間に関する。特に周期時間中のペダルのトルク推移は、2つの山と2つの谷とを有する。それというのも、それぞれペダルの上死点および下死点で最小のトルクが発生されるからである。
【0013】
本発明のさらなる特徴、利点およびさらなる実施の形態については、以下に説明してある、またはこれにより明らかとなる。
【0014】
本発明の有利な一発展形によれば、車両のペダルが経た角度の測定および/または周期時間の確認を回転数センサにより実施する。規則的なトルク推移の場合、連続する極値は、それぞれ、推移の周期時間の半分あるいはペダルの半回転分だけオフセットされている。これにより周期時間は、次の極値の特定のために利用され得る。周期時間および/または経た角度は、回転数センサにより特定され得る。それというのも、周期時間は、回転数の逆数に相当し、かつ経た角度は、回転数を時間で積分したものに相当するからである。このことに由来する1つの利点は、周期時間および経た角度を簡単に特定し得ることである。
【0015】
本発明の有利な一発展形によれば、経過した時間の測定を時間測定器を基に実施し、新たな極値が特定されると、時間測定器をリセットする。最後の極値からの時間を測定すべく、時間測定器、例えばタイマが使用され得る。時間測定器は、新たな極値が特定されるたびに、リセットされる。これにより時間測定器は、常に、最後の特定した極値からの時間を表示している。このことに由来する1つの利点は、時間を効率的に特定し得ることである。
【0016】
本発明の有利な一発展形によれば、周期時間を、特定した2つの極値の時点の比較を基に確認する。既に2つ以上の極値が特定されていれば、これらの極値を基に、周期時間を特定し得る。それというのも、2つの同じ極値、すなわち、2つの最小値または2つの最大値が、周期的な信号の場合、それぞれ周期時間の半分だけオフセットされて出現するからである。このことに由来する1つの利点は、周期時間を回転数センサなしに特定し得ることである。
【0017】
本発明の有利な一発展形によれば、将来の極値の少なくとも1つの時点の予測を、測定した時間が閾値より大きいときだけ実施する。トルクは、連続的に上昇または下降するため、極値を特定する際に、短い時間間隔内で複数の新たな極値を確認することが可能である。さらに、走行経過中の不規則性に基づき、局所的な極値がトルク推移中に出現することがある。この場合、ある特定の期間、置き換えられず、ひいては高い蓋然性をもって真の最小値または最大値である極値が特定されるまで、予測を休止してもよい。このことに由来する1つの利点は、次の時点を予測する不必要な算出を減免し得ることである。さらに、極値の測定からの過ぎ去った時間が、閾値より大きくなると、可能性の段階であった極値が、一意的に極値であると見なされ得る。これにより、この時点から時間カウンタがリセットされ、次の極値が探索され得る。
【0018】
本発明の有利な一発展形によれば、極値を特定すべく、目下確認したトルク値が、目下の極値より大きいか、または小さいか、チェックする。かかっているトルクを連続的に測定してもよい。例えばトルクの最小値を確認することが所望されるとき、目下の最小値を記憶し得る。続いて、新たに確認した各トルク値を目下の最小値と比較する。トルク値が目下の最小値より小さいとき、このトルク値を新たな最小値としてセットする。こうして極値を迅速に特定することができる。
【0019】
本発明の有利な一発展形によれば、次の極値および次の次の極値の時点を予測する。このことに由来する1つの利点は、存在する時間が少なすぎるために、ある動作、例えば変速機のシフトを、次に出現する可能性がある極値までに実施することができない場合に、次の次の時点を利用し得ることである。
【0020】
本発明の有利な一発展形によれば、車両は、予測装置が最小値を予測した時点で車両の変速機をシフトすべく形成されているシフト装置を備えている。このことに由来する1つの利点は、運転者により発生されるトルクが最小である時点で車両がシフトされることである。
【0021】
本発明のさらなる重要な特徴および利点は、従属請求項、図面およびこれに対応する図面の説明とから看取可能である。
【0022】
前述した特徴と、これから後述する特徴とが、本発明の範囲を逸脱することなく、それぞれ明示の組み合わせに限らず、別の組み合わせまたは単独でも使用可能であることは、自明である。
【0023】
本発明の好ましい構成および実施の形態を図面に示し、以下の説明の中で詳しく説明する。
【0024】
図面は、それぞれ概略的な形態で示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施の形態による方法のステップを含むフローチャートである。
図2】本発明の一実施の形態によるトルクの推移を示す図である。
図3】本発明の一実施の形態による方法のステップを示す図である。
図4】本発明の一実施の形態による車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、概略的な形態で、本発明の一実施の形態による方法のステップを含むフローチャートを示している。
【0027】
第1のステップS1において、トルク値を複数の時点で確認する。例えばこれらのトルク値は、トルクセンサにより確認し得る。トルク値は、運転者が車両のペダルに加えるトルクに相当する。トルクを複数の時点で測定することで、トルク値の推移を形成することができる。
【0028】
さらなるステップS2において、確認したトルク値の極値を各時点で特定する。例えばこれらのトルク値の最小値を特定する。このために、最後に確認したトルク値を目下の最小値と比較し、最後に確認したトルク値が目下の最小値より小さければ、このトルク値を新たな最小値とする。運転者のペダリング力は、ペダル運動に起因して略正弦形であるので、こうしてトルク推移内の極値を特定することができる。
【0029】
さらなるステップS3において、極値が特定された時点からの経過した時間および/または車両のペダルが経た角度を測定する。例えばこのために、継続的に秒数をカウントする時間測定器を使用する。ステップS2において、このために決定101を下す。ステップS2において、新たな極値が特定されると常に、時間測定器をリセット102する。こうして常に、最後に確認した極値からの経過した時間を特定する。代替的または付加的に、ステップS3において、車両のペダルが経た角度を回転数センサにより特定してもよい。このために、ペダルの目下の回転数を測定し、測定した値を時間で積分する。経た角度を特定することは、特に、ペダルの回転数が一定でなく、非定常であるときに、有利である。経た角度は、経過した時間と同様に、新たな極値が特定されると常に、リセットされ得る。
【0030】
さらなるステップS4において、トルク推移の周期時間を確認する。この周期時間は、例えば回転数センサにより特定し得る。それというのも、周期時間は、回転数の逆数に相当するからである。確認した極値を基に周期時間を特定することも、同じく可能である。ペダルにより発生される正弦形のトルク推移は、ペダルの一回転毎に2つの最大値と2つの最小値とを有し、つまり、それぞれ2つの上側の極値と下側の極値とを有している。これにより周期長さは、連続する2つの最大値または最小値の間の2倍の時間に相当する。
【0031】
さらなるステップS5において、確認した周期時間ならびに測定した時間および/または経た角度を基に将来の極値の少なくとも1つの時点を予測する。周期時間毎に、トルク推移は、2つの最小値と2つの最大値とを有している。これにより、トルク推移の次の最小値あるいは次の最大値が生じるであろう時点を、次式により推定することが可能である。
【0032】
【数1】
【0033】
ここで、
dtmin:次の極値(例えば最小値)までの時間
T:周期時間
dt:最後の極値からの経過した時間
である。
【0034】
より多くの時間が必要とされる場合は、次の次の極値を推定することも、同じく可能である。
【0035】
【数2】
【0036】
ここで、
dtmin2:次の次の極値(例えば最小値)までの時間
である。
【0037】
次の極値の時点をペダルの経た角度を基に、次式を基に算出することも、同じく可能である。
【0038】
【数3】
【0039】
ここで、
φ:最後の極値からのペダルの経た角度
である。
【0040】
最後の極値からの経過した時間が、閾値よりも小さい間は、次に出現する可能性がある極値の時点の算出を休止することができる。これにより、局所的な極値が時間算出のために利用されてしまうことを防止する。例えば、経過した時間が、少なくとも50ms、好ましくは、少なくとも100ms、特に、少なくとも200msでなければならないことを要求してもよい。経過した時間が、少なくとも周期時間の6分の1、好ましくは、周期時間の4分の1、特に、少なくとも周期時間の3分の1に達していなければならないとすることも、同じく可能である。
【0041】
図2は、概略的な形態で、本発明の一実施の形態によるトルクの推移を示している。
【0042】
シングルトラックの車両の、運転者により発生されるトルクの推移201を示してある。X軸202は、時間(秒)を示し、Y軸203は、トルク(Nm)を示している。まずトルク201は、時点T_0で最小値204を取るまで低下する。次の最小値205は、これにより周期時間207の半分の後、時点T_minで予想され、そして次の次の最小値206は、完全な周期時間207の後、時点T_min2で予想される。
【0043】
しかし、最小値204の時点T_0では、この最小値204が、実際に大域的な最小値であり、局所的な最小値ではないことは、まだ一意的ではない。それゆえ、タイマをスタートさせる。タイマは、新たな最小値が見出されるたびに、リセットされる。最小値204の時点T_0で、タイマをしたがって最後にリセットし、時点T_0からの秒数をカウントする。時間の閾値208が超過されると直ちに、最小値204が実際に大域的な最小値であることが、一意的となる。閾値208は、ここでは周期時間207の4分の1に相当する。
【0044】
これにより、任意の時点T_1(図2では、T_1は、例示的に、閾値208が超過される時点である)で、次の最小値205の時点T_minを特定することが可能である。この時点T_minは、周期長さ207の半分から、最小値204の時点T_0からの既に経過した時間dtを差し引いた時間後に予想される。経過した時間dtは、差T_1-T_0に相当する。同様に、次の次の最小値206は、完全な周期時間207から、既に経過した時間dtを差し引いた時間後に予想される。これにより、次の最小のトルク205までは、時間dt_minが残っており、次の次の最小値206までは、時間dt_min2が残っている。
【0045】
図3は、概略的な形態で、本発明の一実施の形態による方法のステップを示している。
【0046】
図2に示した方法により、車両の変速機を最適にシフトすることができる。
【0047】
このために、ステップS6において、車両にかかっているトルクが最小である時点を予測する。この時点は、特に図1に示したステップS1ないしS5により確認し得る。
【0048】
さらなるステップS7において、車両の変速機をこの予測した時点でシフトする。
【0049】
最大値を予測し、かつ車両をこの予測した時点でシフトするのではなく、この予測した時点の後および/または前の、その結果、かかっているトルクがより低い時点でシフトすることも、同じく可能である。
【0050】
図4は、概略的な形態で、本発明の一実施の形態による車両を示している。
【0051】
図示してあるのは、車両1、ここではeバイクの形態の車両1であり、車両1は、駆動装置2と変速機3とを備えている。変速機3は、自動変速機および/または電気式にシフト可能な変速機であってもよい。車両1により、最小のトルクがかかっていると見込まれ、それゆえ変速機3がシフトされ得る時点が特定され得る。このために車両1は、
トルク値を複数の時点で確認すべく形成されているトルクセンサ4と、
確認したトルク値の極値を特定すべく形成されている特定装置5と、
極値が特定された時点からの経過した時間および/または車両1のペダル7が経た角度を測定すべく形成されている測定装置6と、
トルク推移の周期時間を確認すべく形成されている確認装置8と、
確認した周期時間ならびに測定した時間および/または経た角度を基に将来の極値の少なくとも1つの時点を予測すべく形成されている予測装置9と、
を備えている。
【0052】
車両は、特に、図1に示したステップS1ないしS5を実施すべく形成されている。さらに車両は、図2に示したステップS6ないしS7を実施すべく形成されている。
【0053】
総合すると、本発明の実施の形態の少なくとも1つは、以下の利点の少なくとも1つおよび/または以下の特徴の少なくとも1つを有している:
かかっているトルクが最小であろう時点の特定、
簡単かつ効率的な時点算出、
車両の摩耗が減じられたシフト。
【0054】
本発明について、好ましい実施例を基に説明してきたが、本発明は、好ましい実施例に限定されるものではなく、多様な形式で改変可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 車両
2 駆動装置
3 変速機
4 トルクセンサ
5 特定装置
6 測定装置
7 ペダル
8 確認装置
9 予測装置
101 決定
102 リセット
201 トルクの推移
202 X軸
203 Y軸
204 最小値
205 次の最小値
206 次の次の最小値
207 周期時間
208 閾値
dt 最小値の時点からの既に経過した時間
dt_min 次の最小のトルクまでの時間
dt_min2 次の次の最小値までの時間
S1 第1のステップ
S2 さらなるステップ
S3 さらなるステップ
S4 さらなるステップ
S5 さらなるステップ
S6 ステップ
S7 さらなるステップ
T_0 時点
T_1 時点
T_min 時点
T_min2 時点
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)、特にeバイク等のシングルトラックの車両(1)のトルク推移(201)中の将来の極値(205)の時点を予測する方法であって、
トルク値を複数の時点で確認(S1)し、
確認した前記トルク値の極値(204)を各時点で特定(S2)し、
前記極値(204)が特定された前記時点からの経過した時間および/または前記車両のペダルが経た角度を測定(S3)し、
前記トルク推移(201)の周期時間(207)を確認(S4)し、かつ
確認した前記周期時間(207)ならびに測定した前記時間および/または経た前記角度を基に将来の極値(205)の少なくとも1つの時点を予測(S5)する、
ステップを含む、
車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両のトルク推移中の将来の極値の時点を予測する方法。
【請求項2】
前記車両の前記ペダルが経た前記角度の前記測定(S3)および/または前記周期時間(207)の前記確認(S4)を回転数センサにより実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
経過した前記時間の前記測定(S3)を時間測定器を基に実施し、新たな極値(204)が特定されると、前記時間測定器をリセットする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記周期時間(207)を、特定した2つの極値(204)の前記時点の比較を基に確認する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記将来の極値(205)の少なくとも1つの前記時点の前記予測を、測定した前記時間が閾値(208)より大きいときだけ実施する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記極値(204)を特定(S2)すべく、目下確認したトルク値が、目下の極値より大きいか、または小さいか、チェックする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
次の前記極値(205)および次の次の前記極値(206)の前記時点を予測する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
車両(1)、特にeバイク等のシングルトラックの車両(1)の変速機(3)をシフトする方法であって、
前記車両にかかっているトルクが最小である時点を、請求項1または2に記載の方法を基に予測し、かつ
予測した前記時点で前記車両(1)の前記変速機(3)をシフトする、
ステップを含む
車両、特にeバイク等のシングルトラックの車両の変速機をシフトする方法。
【請求項9】
車両(1)、特にeバイク等のシングルトラックの車両(1)であって、前記車両(1)には、運転者がトルクを加えることが可能であり、その結果、規則的なトルク推移(201)が生じ、
トルク値を複数の時点で確認すべく形成されているトルクセンサ(4)と、
確認した前記トルク値の極値(204)を特定すべく形成されている特定装置(5)と、
前記極値(204)が特定された前記時点からの経過した時間および/または前記車両(1)のペダル(7)が経た角度を測定すべく形成されている測定装置(6)と、
前記トルク推移の周期時間(207)を確認すべく形成されている確認装置(8)と、
確認した前記周期時間(207)ならびに測定した前記時間および/または経た前記角度を基に将来の極値(205)の少なくとも1つの時点を予測すべく形成されている予測装置(9)と、
を備える、
車両(1)、特にeバイク等のシングルトラックの車両(1)。
【請求項10】
前記予測装置(9)が最小値を予測した時点で前記車両(1)の変速機(3)をシフトすべく形成されているシフト装置を備える、請求項9に記載の車両(1)。
【外国語明細書】