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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095567
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】冷凍コンテナ
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20240703BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
F25D17/08 302
F25D11/00 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212162
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2022211782
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和貴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045PA04
3L345AA05
3L345AA14
3L345CC01
3L345DD18
3L345DD19
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】冷凍空間の断熱性能を高くすることができる冷凍コンテナを提供する。
【解決手段】冷凍コンテナは、冷却対象である冷凍空間を内部に有するコンテナ本体と、冷凍空間から吸引された循環気体を冷却可能に構成された冷凍機と、コンテナ本体の内部に配置され、冷凍機が収容される冷凍機収容空間を内部に有する冷凍機ケーシングと、冷凍機ケーシングの外壁面に積層された断熱材と、を備える。断熱材の内部に、冷凍機収容空間と冷凍空間とを接続し、冷凍機において冷却された循環気体を吹出口を介して冷凍空間に導くための出口流路が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象である冷凍空間を内部に有するコンテナ本体と、
前記冷凍空間から吸引された循環気体を冷却可能に構成された冷凍機と、
前記コンテナ本体の内部に配置され、前記冷凍機が収容される冷凍機収容空間を内部に有する冷凍機ケーシングと、
前記冷凍機ケーシングの外壁面に積層された断熱材と、を備え、
前記断熱材の内部には、前記冷凍機収容空間と前記冷凍空間とを接続し、前記冷凍機において冷却された前記循環気体を吹出口を介して前記冷凍空間に導くための出口流路が形成された、
冷凍コンテナ。
【請求項2】
前記断熱材の内部には、前記冷凍機収容空間と前記冷凍空間とを接続し、吸込口を介して前記冷凍空間から吸引された前記循環気体を前記冷凍機に導くための入口流路が形成された、
請求項1に記載の冷凍コンテナ。
【請求項3】
前記出口流路は、前記冷凍空間側に向かうにつれて流路面積が大きくなる流路面積拡大部を少なくとも一部に含む、
請求項1に記載の冷凍コンテナ。
【請求項4】
前記出口流路の前記流路面積拡大部は、前記出口流路の前記冷凍機収容空間に接続される出口開口から前記吹出口までに亘って設けられる、
請求項3に記載の冷凍コンテナ。
【請求項5】
前記冷凍機ケーシングは、
前記冷凍機よりも前記冷凍空間側において前記コンテナ本体の長手方向に直交する方向に沿って延在する背板部と、
前記背板部の上端部から前記コンテナ本体の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機の上方を覆う天井板部と、
前記背板部の下端部から前記コンテナ本体の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機の下方を覆う底板部と、を含み、
前記出口流路は、前記背板部に形成された出口側連通孔を介して前記冷凍機収容空間に接続された、
請求項1に記載の冷凍コンテナ。
【請求項6】
前記断熱材の内部には、前記冷凍機収容空間と前記冷凍空間とを接続し、吸込口を介して前記冷凍空間から吸引された前記循環気体を前記冷凍機収容空間に導くための入口流路が形成され、
前記入口流路は、前記背板部の前記出口側連通孔よりも上方に形成された入口側連通孔を介して前記冷凍機収容空間に接続された、
請求項5に記載の冷凍コンテナ。
【請求項7】
前記冷凍機ケーシングは、
前記冷凍機よりも前記冷凍空間側において前記コンテナ本体の長手方向に直交する方向に沿って延在する背板部と、
前記背板部の上端部から前記コンテナ本体の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機の上方を覆う天井板部と、
前記背板部の下端部から前記コンテナ本体の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機の下方を覆う底板部と、を含み、
前記出口流路は、前記底板部に形成された出口側連通孔を介して前記冷凍機収容空間に接続された、
請求項1に記載の冷凍コンテナ。
【請求項8】
前記断熱材の内部には、前記冷凍機収容空間と前記冷凍空間とを接続し、吸込口を介して前記冷凍空間から吸引された前記循環気体を前記冷凍機収容空間に導くための入口流路が形成され、
前記入口流路は、前記天井板部に形成された入口側連通孔を介して前記冷凍機収容空間に接続された、
請求項7に記載の冷凍コンテナ。
【請求項9】
前記コンテナ本体の前記冷凍空間の床面に敷設される少なくとも1つの敷設部材であって、前記少なくとも1つの敷設部材の上面よりも下方に気体が流れる気体流路を形成する少なくとも1つの敷設部材をさらに備え、
前記吹出口は、前記気体流路に連通するように構成された、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項10】
前記吹出口は、
前記コンテナ本体の幅方向に沿って長手方向を有する第1開口部と、
前記第1開口部の前記幅方向における一方側の端部から上方に向かって長手方向を有する第1上方開口部と、を含み、
前記吸込口は、
前記コンテナ本体の幅方向に沿って長手方向を有する第2開口部と、
前記第2開口部の前記幅方向における他方側の端部から下方に向かって長手方向を有する第1下方開口部と、を含む、
請求項2、6又は8の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項11】
前記吹出口は、
前記第1開口部の前記幅方向における前記他方側の端部から上方に向かって長手方向を有する第2上方開口部をさらに含み、
前記吸込口は、
前記第2開口部の前記幅方向における前記一方側の端部から下方に向かって長手方向を有する第2下方開口部をさらに含む、
請求項10に記載の冷凍コンテナ。
【請求項12】
前記断熱材は、
前記背板部の前記冷凍空間側の面である背面に積層された背面側断熱材と、
前記天井板部の上面に積層された上面側断熱材と、
前記底板部の下面に積層された下面側断熱材と、を含む、
請求項5乃至8の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項13】
前記断熱材は、前記背面側断熱材、前記上面側断熱材及び前記下面側断熱材の夫々が別体に構成された、
請求項12に記載の冷凍コンテナ。
【請求項14】
前記断熱材の前記冷凍空間側の面に積層された金属板をさらに備える、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項15】
前記断熱材と前記金属板との間に形成される撥水層又は防水層をさらに備える、
請求項14に記載の冷凍コンテナ。
【請求項16】
前記出口流路の内面に積層された出口流路側金属板をさらに備える、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項17】
前記出口流路の前記内面と前記出口流路側金属板との間に形成される出口流路側撥水層又は出口流路側防水層をさらに備える、
請求項16に記載の冷凍コンテナ。
【請求項18】
前記コンテナ本体の前記冷凍空間の床面に敷設される少なくとも1つの敷設部材であって、前記少なくとも1つの敷設部材の上面よりも下方に気体が流れる気体流路を形成する少なくとも1つの敷設部材をさらに備え、
前記冷凍機ケーシングは、
前記冷凍機よりも前記冷凍空間側において前記コンテナ本体の長手方向に直交する方向に沿って延在する背板部と、
前記背板部の下端部から前記コンテナ本体の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機の下方を覆う底板部と、を含み、
前記出口流路は、
一端に前記気体流路に連通するように構成される前記吹出口が形成され、
他端に前記底板部に形成された出口側連通孔と連通するように構成される出口開口が形成されている、
請求項1に記載の冷凍コンテナ。
【請求項19】
前記出口流路の上面の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの敷設部材の上面に当接している、
請求項18に記載の冷凍コンテナ。
【請求項20】
前記少なくとも1つの敷設部材は、前記コンテナ本体の幅方向に沿って互いに隙間をあけて並んで配置され、前記コンテナ本体の長手方向に沿って延在し断面形状がT字状に形成された複数のレール部材を含み、
前記出口流路の上面は、前記冷凍空間側に向かうにつれて下方に傾斜する上面傾斜部を含み、
前記上面傾斜部の前記冷凍空間側の一端は、前記コンテナ本体の長手方向において前記レール部材の前記出口流路側の一端よりも前記冷凍空間側に位置するとともに、前記レール部材の上面に当接している、
請求項19に記載の冷凍コンテナ。
【請求項21】
前記出口流路の下面は、前記冷凍空間側に向かうにつれて下方に傾斜する下面傾斜部を含む、
請求項18乃至20の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項22】
前記下面傾斜部は、前記コンテナ本体の長手方向において前記冷凍空間側の先端が前記少なくとも1つの敷設部材と離間しており、
前記床面は、前記下面傾斜部の前記先端と前記少なくとも1つの敷設部材との間において前記出口流路に面している、
請求項21に記載の冷凍コンテナ。
【請求項23】
前記少なくとも1つの敷設部材の高さをhとし、前記少なくとも1つの敷設部材と前記下面傾斜部の前記先端との間の距離をdとすると、
h/2≦d≦2hを満たす、
請求項22に記載の冷凍コンテナ。
【請求項24】
前記断熱材は、複数の断熱材ブロックを含み、
前記複数の断熱材ブロックの1つに、前記出口流路が形成されている
請求項18乃至20の何れか一項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項25】
前記冷凍機ケーシングは、
前記冷凍機よりも前記冷凍空間側において前記コンテナ本体の長手方向に直交する方向に沿って延在する背板部を含み、
前記背板部の前記冷凍空間側の面である背面に設けられた入口流路形成部であって、前記冷凍機収容空間と前記冷凍空間とを接続し吸込口を介して前記冷凍空間から吸引された前記循環気体を前記冷凍機に導くための入口流路が形成されている入口流路形成部をさらに備える、
請求項18乃至20の何れか一項に記載の冷凍コンテナ。
【請求項26】
前記吸込口は、前記コンテナ本体の幅方向に沿って長手方向を有し、
前記入口流路は、前記背板部に形成された入口側連通孔を介して前記冷凍機収容空間に連通されており、
前記入口側連通孔は、前記入口流路の下面よりも上方に位置し、
前記入口流路の前記下面には、前記冷凍空間に連通されるドレン孔の入口が形成されている、
請求項25に記載の冷凍コンテナ。
【請求項27】
前記入口流路の断面の一部を塞ぐように前記入口流路に設けられる少なくとも一つの捕集板をさらに備える、
請求項25に記載の冷凍コンテナ。
【請求項28】
前記少なくとも1つの捕集板は、前記入口流路の下面から突出する第1の捕集板と、前記入口流路の上面から突出する第2の捕集板を含み、
前記第1の捕集板および前記第2の捕集板は、前記コンテナ本体の幅方向に沿って並んで配置されている、
請求項27に記載の冷凍コンテナ。
【請求項29】
前記吸込口には、吸込口フィルタが設けられており、
前記入口流路の入口開口には、前記吸込口フィルタよりも目開きの小さい入口開口フィルタが設けられている、
請求項25に記載の冷凍コンテナ。
【請求項30】
前記入口流路形成部は、前記吸込口が形成されている吸込面を含み、
前記吸込面は、上方に向かうにつれて前記冷凍空間に近接するように傾斜している、
請求項29に記載の冷凍コンテナ。
【請求項31】
前記吸込口には、目開きが1.0mm以下である吸込口フィルタが設けられており、
前記入口流路の入口開口には、フィルタが非設置である、
請求項25に記載の冷凍コンテナ。
【請求項32】
前記背板部の前記冷凍機収容空間側の面である対向面のうち、前記入口流路形成部に面する前記背板部の前記背面と反対側の部分に積層された少なくとも2つの対向面断熱材をさらに備え、
前記少なくとも2つの対向面断熱材は、前記コンテナ本体の幅方向に沿って並んで配置されている、請求項25に記載の冷凍コンテナ。
【請求項33】
前記断熱材は、
前記背板部の前記冷凍空間側の面である背面に積層された背面側断熱材を含み、
前記入口流路形成部は、前記背面側断熱材の上側に配置されており、
前記2つの対向面断熱材のそれぞれは、前記コンテナ本体の高さ方向において、下端部が前記背面側断熱材の上端部と互いに重なり合っている、
請求項32に記載の冷凍コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍コンテナは、庫内に収容される貨物等の物品を冷凍又は冷蔵する冷凍機能を備えたコンテナである。
【0003】
特許文献1には、冷凍空間を形成する冷凍室と、該冷凍室の空気を吸引して断熱圧縮する圧縮機と、圧縮空気を冷却用流体との熱交換により冷却する一次冷却器と、冷却圧縮空気を断熱膨張する膨張機とを有する空気冷媒冷凍装置が開示されております。この空気冷媒冷凍装置は、冷凍空間を断熱材を介して2つの連通する空間に仕切り、一方の空間は被冷却物を冷却する作用空間とし、他方の空間は冷却に使用された空気を排出する排出空間とし、膨張機により得られた低温空気を冷凍室に供給して冷凍空間を形成するようになっております。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-180449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、冷凍空間の内部に熱源となり得る熱交換器が配置されているため、冷凍室の断熱性能が低下している虞がある。冷凍室の断熱性能が低いと、冷凍室の内面に設けられる断熱材の厚さを大きくする必要があるため、冷凍空間が小さくなるという問題がある。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、冷凍空間の断熱性能を高くすることができる冷凍コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係る冷凍コンテナは、
冷却対象である冷凍空間を内部に有するコンテナ本体と、
前記冷凍空間から吸引された循環気体を冷却可能に構成された冷凍機と、
前記コンテナ本体の内部に配置され、前記冷凍機が収容される冷凍機収容空間を内部に有する冷凍機ケーシングと、
前記冷凍機ケーシングの外壁面に積層された断熱材と、を備え、
前記断熱材の内部には、前記冷凍機収容空間と前記冷凍空間とを接続し、前記冷凍機において冷却された前記循環気体を吹出口を介して前記冷凍空間に導くための出口流路が形成された。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、冷凍空間の断熱性能を高くすることができる冷凍コンテナが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの概略的な斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナのコンテナ本体の長手方向に沿った概略断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナのコンテナ本体の長手方向に沿った概略断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
図5】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機ケーシングを図1中の矢印Aで示す方向から視た図である。
図6】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機ケーシング及び断熱材の概略斜視図である。
図7】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機ケーシング及び断熱材の概略斜視図である。
図8】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機ケーシング及び断熱材の概略斜視図である。
図9】本開示の一実施形態における金属フィルタの概略図である。
図10】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナに敷設される敷設部材のコンテナ本体の長手方向に直交する方向に沿った概略断面図である。
図11】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの吹出口及び吸込口を説明するための説明図である。
図12】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの吹出口及び吸込口を説明するための説明図である。
図13】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの吹出口及び吸込口を説明するための説明図である。
図14】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの金属板、撥水層及び防水層を説明するための説明図である。
図15】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの出口流路側金属板、出口流路側撥水層及び出口流路側防水層を説明するための説明図である。
図16】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの入口流路側金属板、入口流路側撥水層及び入口流路側防水層を説明するための説明図である。
図17】別の一実施形態に係る冷凍コンテナのコンテナ本体の長手方向に沿った概略断面図である。
図18】別の一実施形態に係る出口流路の周辺構造を説明するための図
図19】別の一実施形態に係る冷凍コンテナに敷設される敷設部材のコンテナ本体の長手方向に直交する方向に沿った概略断面図である。
図20】別の一実施形態に係る入口流路形成部の構成を示す概略図(正面から視ている)である。
図21】別の一実施形態に係る入口流路形成部の構成を示す概略図(側面から視ている)である。
図22】別の一実施形態の変形例に係る入口流路形成部の構成を示す概略図(側面から視ている)である。
図23】別の一実施形態に係る2つの対向面断熱材98の配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0011】
(冷凍コンテナ)
図1は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1の概略的な斜視図である。冷凍コンテナ1は、図1に示されるように、冷却対象である冷凍空間20を内部に有するコンテナ本体2を備える。冷凍空間20には、貨物等の物品を収容可能である。冷凍コンテナ1は、冷凍空間20に存在する空気などの気体を冷却可能に構成されている。具体的には、冷凍コンテナ1は、冷凍空間20内の気体を冷却するための冷凍機3をさらに備える。
【0012】
(コンテナ本体)
コンテナ本体2は、図1に示されるように、複数の壁21~24を有し、コンテナ本体2の長手方向に沿って延在する矩形筒状に形成されている。以下、コンテナ本体2の長手方向に直交する水平方向をコンテナ本体2の幅方向と定義する。複数の壁21~24は、コンテナ本体2の高さ方向に直交する方向に沿って延在する天井壁21と、天井壁21よりも下方においてコンテナ本体2の高さ方向に直交する方向に沿って延在する底壁22と、互いに間隔をあけて配置され、各々が天井壁21と底壁22とを接続する一対の長側壁23、24と、を含む。
【0013】
コンテナ本体2は、貨物などの輸送に用いられる輸送用コンテナであってもよい。コンテナ本体2は、10ftコンテナ、20ftコンテナ又は40ftコンテナなどの標準的な輸送コンテナであってもよい。
【0014】
(冷凍機ケーシング)
図2及び図3は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1のコンテナ本体2の長手方向に沿った概略断面図である。図4は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1の冷凍機3の回路を模式的に示す図である。図5は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1の冷凍機ケーシング4を図1中の矢印Aで示す方向から視た図である。冷凍コンテナ1は、図1図3に示されるように、冷凍機3と、コンテナ本体2の内部に配置され、冷凍機3が収容される冷凍機収容空間40を内部に有する冷凍機ケーシング4と、をさらに備える。
【0015】
図2及び図3に示される実施形態では、冷凍機ケーシング4は、コンテナ本体2の長手方向の一方側(図2図3中左側)に形成された開口部に配置されている。冷凍コンテナ1は、コンテナ本体2の長手方向の他方側(図2図3中右側)に形成された開口部に配置された開閉可能に構成された扉25をさらに備える。扉25を開くことで、コンテナ本体2の外部と冷凍空間20との間で貨物等の物品や人の移動が可能となる。
【0016】
(冷凍機)
冷凍機3は、冷凍空間20内の空気などの気体を吸い込むための吸込口27(開口)を介して冷凍空間20から吸引された気体である循環気体を冷却可能に構成されている。冷凍機3により冷却された気体(循環気体)は、空気などの気体を冷凍空間20に吹き出すための吹出口26(開口)を介して冷凍空間20に戻されるようになっている。冷凍機3は、図4及び図5に示されるように、圧縮機31と、熱交換器32と、膨張機33と、を含む。図2図5に示されるように、冷凍コンテナ1は、上述した吹出口26及び吸込口27を有する循環ライン28を備える。圧縮機31、熱交換器32及び膨張機33の各々は、循環ライン28に設けられる。循環ライン28、圧縮機31、熱交換器32及び膨張機33は、冷凍空間20の内部に気体である庫内気体を取り出して熱媒体として使用する冷凍サイクルを構成する。冷凍コンテナ1は、冷凍機3により庫内気体の温度を調整可能である。図示される実施形態では、冷凍機3は、庫内気体の温度を超低温(-40℃以下-120℃以上、好ましくは-80℃以下)とすることが可能である。
【0017】
(圧縮機)
循環ライン28は、吸込口27から吹出口26まで延びる通路であり、吸込口27を介して冷凍空間20から吸引された循環気体が流れるようになっている。圧縮機31は、吸込口27を介して冷凍空間20から吸引された気体(循環気体)を圧縮するように構成される。圧縮機31を駆動させることで、冷凍空間20の内部の気体(庫内気体)が吸込口27を介して循環ライン28に吸引される。圧縮機31において圧縮された循環気体は、圧縮機31に導入される前よりも昇温昇圧され、高温高圧の気体となる。
【0018】
熱交換器32は、圧縮機31において圧縮された高温高圧の循環気体を冷却するように構成される。膨張機33は、熱交換器32において冷却された循環気体を膨張させるように構成される。膨張機33において膨張された低温の循環気体は、循環ライン28により吹出口26に導かれ、吹出口26を介して循環ライン28から冷凍空間20に吹き出されるようになっている。
【0019】
循環ライン28は、吸込口27から吸引された循環気体を圧縮機31に導くための吸引気体ライン28Aと、圧縮機31において圧縮された循環気体を膨張機33に導くための圧縮気体ライン28Bと、膨張機33において膨張された循環気体を吹出口26に導くための膨張気体ライン28Cと、を含む。
【0020】
(熱交換器)
熱交換器32は、吸引気体ライン28Aを流れる循環気体と圧縮気体ライン28Bを流れる循環気体との間で熱交換を行うように構成される。圧縮気体ライン28Bを流れる循環気体は、圧縮機31において圧縮されることで、吸引気体ライン28Aを流れる循環気体よりも高温となっている。熱交換器32における熱交換により、圧縮気体ライン28Bを流れる循環気体が、吸引気体ライン28Aを流れる循環気体により冷却されるとともに、吸引気体ライン28Aを流れる循環気体が、圧縮気体ライン28Bを流れる循環気体により加熱される。
【0021】
(冷却器)
冷凍機3は、図4及び図5に示されるように、圧縮気体ライン28Bの圧縮機31と熱交換器32との間に設けられた冷却器34をさらに含んでいてもよい。冷却器34は、圧縮気体ライン28B(循環ライン28)を流れる循環気体と、該循環気体よりも低温の冷却液(例えば、水)との間で熱交換を行うように構成される。冷却器34における熱交換により、圧縮気体ライン28Bを熱交換器32に向かって流れる循環気体が、冷却液により冷却される。
【0022】
図4及び図5に示される実施形態では、冷凍機3は、冷却液を循環させるための冷却液循環ライン35をさらに含む。冷却器34には、冷却液循環ライン35を介して冷却液が供給されるようになっている。具体的には、冷却液循環ライン35には、冷却液を冷却するための冷却装置36を構成するラジエータ361と、冷却液循環ライン35において冷却液を送るためのポンプ37と、が設けられている。冷却装置36は、ラジエータ361と、ラジエータ361を空冷するためのファン362と、を含む。
【0023】
冷却器34において圧縮気体ライン28Bを流れる循環気体との熱交換により温度が上昇した冷却液は、ポンプ37により冷却液循環ライン35に送られて、ラジエータ361を含む冷却装置36により冷却されるようになっている。冷却装置36により冷却された冷却液は、冷却液循環ライン35を介して冷却器34に供給される。なお、冷却液循環ライン35を循環する冷媒は、液状に限定されずにガス状であってもよい。冷却液循環ライン35を循環する冷媒は、グリコール水などの不凍液であってもよい。冷却液循環ライン35を循環する冷媒は、水よりも凝固点が低い方が好ましい。
【0024】
(膨張機、電動モータ)
幾つかの実施形態では、膨張機33は、回転シャフト38を介して圧縮機31に連結されていてもよい。図4及び図5に示される実施形態では、冷凍機3は、圧縮機31を駆動させる駆動力を発生させるように構成された電動モータ39をさらに含む。圧縮機31は、電動モータ39により駆動されて循環気体を圧縮するように構成された電動圧縮機を含む。圧縮機31及び膨張機33は、圧縮機31を駆動させるための電動モータ39の出力シャフトである回転シャフト38を介して互いに同軸上に配置され、回転シャフト38にそれぞれ接続されている。電動モータ39は、図示しない電源(発電機等)から電流が供給されるようになっており、電源から供給された電流により駆動して回転シャフト38、圧縮機31及び膨張機33を駆動させるようになっている。膨張機33では、気体が膨張する際に発生する膨張エネルギの一部が回収され、回収された膨張エネルギによって圧縮機31の駆動が補助されるようになっている。
【0025】
図5に示されるように、吸引気体ライン28A、圧縮気体ライン28B及び膨張気体ライン28Cの各々は、冷凍機ケーシング4の内部(冷凍機収容空間40)に配置された配管により少なくとも一部が形成される。なお、循環ライン28を形成する各配管は、複数の配管部分がフランジ等を介して接続されたものであってもよい。
【0026】
図5に示される実施形態では、吸引気体ライン28Aを形成する配管は、冷凍機ケーシング4に形成された出口側連通孔47と熱交換器32の入口との間に設けられる配管281と、熱交換器32の出口と圧縮機31との間に設けられる配管282と、を含む。圧縮気体ライン28Bを形成する配管は、圧縮機31の出口と冷却器34の入口との間に設けられる配管283と、冷却器34の出口と熱交換器32の入口との間に設けられる配管284と、熱交換器32の出口と膨張機33の入口との間に設けられる配管285と、を含む。膨張気体ライン28Cを形成する配管は、膨張機33の出口と冷凍機ケーシング4に形成された入口側連通孔48との間に設けられる配管286と、を含む。
【0027】
冷凍空間20内の空気などの気体(冷気)の流れを考慮して、吹出口26は、吸込口27よりも下方に形成されることが好ましい。出口側連通孔47は、入口側連通孔48よりも下方に形成されることが好ましい
【0028】
(断熱材)
冷凍コンテナ1は、図2及び図3に示されるように、冷凍機ケーシング4の外壁面41に積層された断熱材5をさらに備える。断熱材5は、コンテナ本体2の長手方向における冷凍空間20側の面(端面)51が、コンテナ本体2の長手方向に直交する方向に沿って延在して、冷凍空間20と冷凍機ケーシング4(冷凍機収容空間40)とを仕切るようになっている。なお、図2及び図3に示される実施形態では、断熱材5の上記面51に積層された金属板9の冷凍空間20側の面91が冷凍空間20に面するようになっているが、断熱材5の上記面51が、冷凍空間20に面するようになっていてもよい。冷凍空間20は、断熱材5の上記面51と、上述したコンテナ本体2を構成する複数の壁21~24の各々の内面と、扉25の内面と、により画定される。断熱材5の上記面51に上述した吹出口26及び吸込口27が形成されている。
【0029】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示されるように、上述した断熱材5の内部には、冷凍機収容空間40と冷凍空間20とを接続し、冷凍機3において冷却された循環気体を吹出口26を介して冷凍空間20に導くための出口流路6が形成されている。出口流路6は、上述した膨張気体ライン28Cの一部を構成する。出口流路6の一端に吹出口26が形成され、冷凍機収容空間40に接続される出口開口61が出口流路6の他端に形成されている。出口開口61は、上述した出口側連通孔47を介して配管286の出口に接続されている。上述した膨張気体ライン28Cは、冷凍機ケーシング4及び断熱材5の内部に形成されている。
【0030】
上記の構成によれば、冷凍機ケーシング4と冷凍空間20の間に断熱材5を配置し、熱源になり得る冷凍機3を冷凍機ケーシング4の内部に配置することで、冷凍空間20の断熱性能を比較的高くすることができる。冷凍空間20の断熱性能が高い場合にはその分だけコンテナ本体2の内面(複数の壁21~24の各々の内面)に取り付けられる(積層される)断熱材の厚さを低減できるので、これにより冷凍コンテナ1の庫内スペースである冷凍空間20を拡大できる。
【0031】
また、上記の構成によれば、断熱材5の内部に出口流路6を形成することで、出口流路6に別途断熱施工を施さなくても、出口流路6を流れる循環気体(冷気)の放熱を抑制できる。出口流路6を流れる循環気体の放熱を抑制することで、吹出口26を介して冷凍空間20に導かれる循環気体の温度分布に斑が生じることを抑制できる。また、出口流路6における循環気体の放熱を抑制することで、冷凍機3において冷却された循環気体を効果的に冷凍空間20に導くことが可能となる。
【0032】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示されるように、上述した断熱材5の内部には、冷凍機収容空間40と冷凍空間20とを接続し、吸込口27を介して冷凍空間20から吸引された循環気体を冷凍機3に導くための入口流路7が形成されている。入口流路7は、上述した吸引気体ライン28Aの一部を構成する。入口流路7の一端に吸込口27が形成され、冷凍機収容空間40に接続される入口開口71が入口流路7の他端に形成されている。上述した吸引気体ライン28Aは、冷凍機ケーシング4及び断熱材5の内部に形成されている。また、上述した圧縮気体ライン28Bは、冷凍機ケーシング4の内部に形成されている。
【0033】
上記の構成によれば、断熱材5の内部に入口流路7を形成することで、入口流路7を流れる循環気体の放熱を抑制できる。入口流路7を流れる循環気体の放熱を抑制することで、入口流路7を介して冷凍機3に導かれた循環気体の熱エネルギを冷凍機3(熱交換器32)の加熱源として効果的に利用できる。
【0034】
(出口流路の形状)
図6図8の各々は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1の冷凍機ケーシング4及び断熱材5の概略斜視図である。幾つかの実施形態では、図7図8に示されるように、上述した出口流路6の断面形状は四角形状(矩形状又は台形形状)に形成されている。出口流路6の断面は、出口流路6の出口開口61から吹出口26に向かう循環気体の流れ方向に直交する断面を意味する。この場合には、出口流路6の製作性が良好であり、出口流路6の断面形状が円形又は楕円形状である場合に比べて、断面積(流路面積)を大きなものとすることができる。なお、他の幾つかの実施形態では、出口流路6の断面形状は、図6に示されるように、円形又は楕円形状に形成されていてもよい。また、出口開口61の開口形状は、出口側連通孔47の開口形状とは異なる形状になっていてもよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、図8に示されるように、上述した出口流路6は、冷凍空間20側に向かうにつれて流路面積が大きくなる流路面積拡大部62を少なくとも一部に含む。流路面積拡大部62は、出口流路6の一端に形成された吹出口26を含むことが好ましい。流路面積拡大部62は、吹出口26がコンテナ本体2の幅方向に沿って長手方向を有する場合には、冷凍空間20側に向かうにつれてコンテナ本体2の幅方向に沿って流路面積が大きくなることが好ましい。流路面積拡大部62は、コンテナ本体2の長手方向において冷凍空間20側に向かうにつれて断面積(流路面積)が大きくなっていてもよいし、出口流路6の出口開口61から吹出口26(冷凍空間20側)に向かう循環気体の流れ方向の下流側に向かうにつれて断面積(流路面積)が大きくなっていてもよい。上記の構成によれば、出口流路6に流路面積拡大部62を設けることで、出口流路6における圧力損失を抑制しつつ、吹出口26において必要とする開口面積を確保できる。
【0036】
幾つかの実施形態では、図8に示されるように、上述した出口流路6の流路面積拡大部62は、出口流路6の冷凍機収容空間40に接続される出口開口61から吹出口26までに亘って設けられる。上記の構成によれば、出口流路6の出口開口61から吹出口26までに亘り流路面積拡大部62を設けることで、吹出口26において必要とする開口面積を確保するために必要な断熱材5の厚さが小さくなる。断熱材5の厚さを必要最低限にすることで、冷凍空間20を拡大できる。また、上記の構成によれば、出口流路6に不必要な曲がり等が形成されないため、出口流路6における圧力損失を低減することが可能となる。
【0037】
(入口流路の形状)
幾つかの実施形態では、図7図8に示されるように、上述した入口流路7の断面形状は四角形状(矩形状又は台形形状)に形成されている。入口流路7の断面は、入口流路7の吸込口27から入口開口71に向かう循環気体の流れ方向に直交する断面を意味する。この場合には、入口流路7の製作性が良好であり、入口流路7の断面形状が円形又は楕円形状である場合に比べて、断面積(流路面積)を大きなものとすることができる。なお、他の幾つかの実施形態では、入口流路7の断面形状は、図6に示されるように、円形又は楕円形状に形成されていてもよい。また、入口開口71の開口形状は、入口側連通孔48の開口形状とは異なる形状になっていてもよい。
【0038】
幾つかの実施形態では、図8に示されるように、上述した入口流路7は、冷凍空間20側に向かうにつれて流路面積が大きくなる流路面積拡大部72を少なくとも一部に含む。流路面積拡大部72は、入口流路7の一端に形成された吸込口27を含むことが好ましい。流路面積拡大部72は、吸込口27がコンテナ本体2の幅方向に沿って長手方向を有する場合には、冷凍空間20側に向かうにつれてコンテナ本体2の幅方向に沿って流路面積が大きくなることが好ましい。流路面積拡大部72は、コンテナ本体2の長手方向において冷凍空間20側に向かうにつれて断面積(流路面積)が大きくなっていてもよいし、入口流路7の吸込口27(冷凍空間20側)から入口開口71に向かう循環気体の流れ方向の上流側に向かうにつれて断面積(流路面積)が大きくなっていてもよい。上記の構成によれば、入口流路7に流路面積拡大部72を設けることで、入口流路7における圧力損失を抑制しつつ、吸込口27において必要とする開口面積を確保できる。
【0039】
幾つかの実施形態では、図8に示されるように、上述した入口流路7の流路面積拡大部72は、入口流路7の冷凍機収容空間40に接続される入口開口71から吸込口27までに亘って設けられる。上記の構成によれば、入口流路7の入口開口71から吸込口27までに亘り流路面積拡大部72を設けることで、吸込口27において必要とする開口面積を確保するために必要な断熱材5の厚さが小さくなる。断熱材5の厚さを必要最低限にすることで、冷凍空間20を拡大できる。また、上記の構成によれば、入口流路7に不必要な曲がり等が形成されないため、入口流路7における圧力損失を低減することが可能となる。
【0040】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示されるように、上述した吸込口27には、異物を除去するための金属フィルタ15が設けられる。図9は、本開示の一実施形態における金属フィルタ15の概略図である。金属フィルタ15は、複数の孔又はメッシュを有し、これらの孔やメッシュ等により形成される複数の開口を有する。金属フィルタ15は、ろ過粒度が5mm以下であることが好ましい。図9に示される実施形態では、金属フィルタ15は、第1方向に沿って延在する複数の金属繊維151に、第1方向に直交する第2方向に沿って延在する複数の金属繊維152が編み込まれることにより、複数の開口が形成されている。金属フィルタ15は、金属板9の冷凍空間20側の面91に取り付けられてもよいし、断熱材5の冷凍空間20側の面51に取り付けられてもよい。金属フィルタ15により、入口流路7内に異物や空気中の水分が混入することを抑制できる。
【0041】
(冷凍機ケーシング、断熱材の具体例)
幾つかの実施形態では、図1図3に示されるように、上述した冷凍機ケーシング4は、背板部42と、天井板部43と、底板部44と、を含む。背板部42、天井板部43及び底板部44の各々は、平板状に形成されている。背板部42は、冷凍機3よりもコンテナ本体2の長手方向における冷凍空間20側においてコンテナ本体2の長手方向に直交する方向に沿って延在する。
【0042】
天井板部43は、背板部42の上端部からコンテナ本体2の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、冷凍機3の上方を覆うようになっている。天井板部43の外壁面は、隙間を介して天井壁21の内面に対向している。底板部44は、背板部42の下端部からコンテナ本体2の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、冷凍機3の下方を覆うようになっている。底板部44の外壁面は、隙間を介して底壁22の内面(床面221)に対向している。
【0043】
上述した冷凍機ケーシング4は、図1に示されるように、コンテナ本体2の幅方向に直交する方向に沿って延在し、冷凍機3の側方を覆う一対の側板部45、46をさらに含んでいてもよい。側板部45は、背板部42、天井板部43及び底板部44の各々のコンテナ本体2の幅方向における一方側の端部に接続されている。側板部45の外壁面は、隙間を介して長側壁23の内面に対向している。側板部46は、背板部42、天井板部43及び底板部44の各々のコンテナ本体2の幅方向における他方側の端部に接続されている。側板部46の外壁面は、隙間を介して長側壁24の内面に対向している。
【0044】
幾つかの実施形態では、図1図3に示されるように、上述した断熱材5は、背面側断熱材5Aと、上面側断熱材5Bと、下面側断熱材5Cと、を含む。背面側断熱材5Aは、背板部42の冷凍空間20側の面である背面421に積層されている。上面側断熱材5Bは、天井板部43の外壁面(上面)に積層されている。上面側断熱材5Bは、天井板部43の外壁面及び天井壁21の内面の夫々に当接するようになっていることが好ましい。下面側断熱材5Cは、底板部44の外壁面(下面)に積層されている。下面側断熱材5Cは、底板部44の外壁面及び底壁22の内面の夫々に当接するようになっていることが好ましい。
【0045】
図示される実施形態では、背面側断熱材5Aは、背板部42の背面421よりも冷凍空間20側、且つ天井板部43の外壁面よりも上側に位置する上方部と、背板部42の背面421よりも冷凍空間20側、且つ底板部44の外壁面よりも下側に位置する下方部と、を含んでいる。他の幾つかの実施形態では、上面側断熱材5Bが上記上方部を含んでいてもよく、また、下面側断熱材5Cが上記下方部を含んでいてもよい。上記上方部は、天井壁21の内面に当接するようになっていることが好ましい。上記下方部は、底壁22の内面に当接するようになっていることが好ましい。
【0046】
上述した断熱材5は、図1に示されるように、上述した側板部45の外壁面に積層される側面側断熱材5Dと、上述した側板部46の外壁面に積層される側面側断熱材5Eと、をさらに含んでいてもよい。側面側断熱材5D、5Eは、側板部45、46の外壁面及び該外壁面に隙間を介して対向する長側壁23、24の内面の夫々に当接するようになっていることが好ましい。背面側断熱材5A、上面側断熱材5B、下面側断熱材5C及び一対の側面側断熱材5D、5Eの各々は、複数個の断熱材により構成されていてもよい。
【0047】
上記の構成によれば、断熱材5は、背面側断熱材5A、上面側断熱材5B及び下面側断熱材5Cを含むので、冷凍機収容空間40への入熱や冷凍機収容空間40からの放熱を抑制できる。背面側断熱材5A、上面側断熱材5B及び下面側断熱材5Cを含む断熱材5は、出口側連通孔47(47A、47B)や吹出口26に位置に応じて断熱材5の内部に形成される出口流路6の形状を適切なものとすることができる。また、背面側断熱材5A、上面側断熱材5B及び下面側断熱材5Cを含む断熱材5は、入口側連通孔48(48A、48B)や吸込口27に位置に応じて断熱材5の内部に形成される入口流路7の形状を適切なものとすることができる。背面側断熱材5A、上面側断熱材5B及び下面側断熱材5Cを含む断熱材5は、断熱材の各部5A、5B、5C、5D、5Eの厚さを変更することで、冷凍機3や冷凍機ケーシング4を変更しなくても、規格サイズの異なるコンテナ本体2に流用可能となる。
【0048】
幾つかの実施形態では、上述した断熱材5は、背面側断熱材5A、上面側断熱材5B及び下面側断熱材5Cの夫々が別体に構成されている。
【0049】
上記の構成によれば、背面側断熱材5A、上面側断熱材5B及び下面側断熱材5Cの夫々を別体に構成することで、断熱材の各部5A、5B、5Cを冷凍機ケーシング4に密着させることができるため、断熱材5と冷凍機ケーシング4の間の隙間を介した流体の漏れを効果的に抑制できる。また、断熱材の各部5B、5Cをコンテナ本体2の内面に密着させることができるため、断熱材5とコンテナ本体2の間の隙間を介した流体の漏れを効果的に抑制できる。また、背面側断熱材5A、上面側断熱材5B及び下面側断熱材5Cの夫々を別体に構成することで、損傷や劣化が激しい断熱材の各部5A、5B、5Cを単独で交換可能になるため、断熱材のメンテナンス性の向上が図れる。なお、断熱材5は、一対の側面側断熱材5D、5Eの夫々も背面側断熱材5A、上面側断熱材5B及び下面側断熱材5Cの夫々に対して別体に構成されていてもよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、図2に示されるように、上述した出口流路6は、上述した背板部42に形成された出口側連通孔47A(47)を介して冷凍機収容空間40に接続されている。図2に示される実施形態では、吹出口26は、底板部44の外壁面よりも下方に形成されており、出口流路6は、背面側断熱材5Aに形成されている。この出口流路6は、背面側断熱材5Aの上記下方部に吹出口26を含む一部が形成されている。
【0051】
上記の構成によれば、出口流路6は、背板部42に形成された出口側連通孔47Aを介して冷凍機収容空間40に接続されている。この場合には、冷凍機3から出口流路6に循環気体を導くための冷凍機収容空間40内の配管の長さを短いものとすることができるので、該配管における放熱を抑制できる。また、該配管の長さが短い場合には、その分だけ該配管に対する断熱施工が容易となる。また、上記の構成によれば、冷凍機ケーシング4の下方を覆う断熱材の厚さが比較的小さい場合でも、断熱材の内部に出口流路6を形成可能である。
【0052】
幾つかの実施形態では、図2に示されるように、上述した入口流路7は、背板部42の出口側連通孔47A(47)よりも上方に形成された入口側連通孔48A(48)を介して冷凍機収容空間40に接続されている。図2に示される実施形態では、吸込口27は、コンテナ本体2の長手方向における一方側から視た場合において、背板部42に重なり合う位置に形成されており、入口流路7は、背面側断熱材5Aに形成されている。この入口流路7は、背面側断熱材5Aの上記上方部や上記下方部には形成されていない。
【0053】
上記の構成によれば、入口流路7は、背板部42の出口側連通孔47Aよりも上方に形成された入口側連通孔48Aを介して冷凍機収容空間40に接続されている。この場合には、入口流路7から冷凍機3に循環気体を導くための冷凍機収容空間40内の配管の長さを短いものとすることができるので、該配管における放熱を抑制できる。また、上記の構成によれば、冷凍機ケーシング4の上方を覆う断熱材の厚さが比較的小さい場合でも、断熱材の内部に入口流路7を形成可能である。
【0054】
幾つかの実施形態では、図3に示されるように、上述した出口流路6は、底板部44に形成された出口側連通孔47B(47)を介して冷凍機収容空間40に接続されている。図3に示される実施形態では、吹出口26は、底板部44の外壁面よりも下方に形成されており、出口流路6は、下面側断熱材5C及び背面側断熱材5Aの上記下方部に形成されている。
【0055】
上記の構成によれば、出口流路6は、底板部44に形成された出口側連通孔47Bを介して冷凍機収容空間40に接続されている。この場合には、吹出口26をコンテナ本体2の高さ方向における下方側(床面側)に設置することが容易となる。コンテナ本体2の高さ方向における吹出口26と吸込口27との間の差を大きなものとすることで、冷凍空間20内のコンテナ本体2の高さ方向における温度分布に斑が生じることを効果的に抑制できる。
【0056】
幾つかの実施形態では、図3に示されるように、上述した入口流路7は、天井板部43に形成された入口側連通孔48B(48)を介して冷凍機収容空間40に接続されている。図3に示される実施形態では、吸込口27は、天井板部43の外壁面よりも上方に形成されており、入口流路7は、上面側断熱材5B及び背面側断熱材5Aの上記上方部に形成されている。
【0057】
上記の構成によれば、入口流路7は、天井板部43に形成された入口側連通孔48Bを介して冷凍機収容空間40に接続されている。この場合には、吸込口27をコンテナ本体2の高さ方向における上方側(天井面側)に設置することが容易となる。
【0058】
出口流路6及び入口流路7の各々を、コンテナ本体2の軸方向における一方側から視た場合に、背板部42に重なり合わないようにすることで、背面側断熱材5Aの厚さを小さなものにすることができる。
【0059】
(敷設部材)
図10は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1に敷設される敷設部材8のコンテナ本体2の長手方向に直交する方向に沿った概略断面図である。幾つかの実施形態では、図2及び図3に示されるように、上述した冷凍コンテナ1は、コンテナ本体2の冷凍空間20の床面(底壁22の床面221)に敷設される少なくとも1つの敷設部材8をさらに備える。図示される実施形態では、少なくとも1つの敷設部材8は、コンテナ本体2の幅方向に沿って並んで配置される複数のレール部材8であって、コンテナ本体2の長手方向に沿って延在し、断面形状がT字状に形成された複数のレール部材8を含む。上述した少なくとも1つの敷設部材8(複数のレール部材8)の上面よりも下方に気体が流れる気体流路80が形成される。図示される実施形態では、隣接する二つのレール部材8、8と底壁22の床面221とにより、コンテナ本体2の長手方向に沿って長手方向を有する1つの気体流路80が形成されている。上述した吹出口26は、気体流路80に連通するように構成されている。具体的には、吹出口26は、コンテナ本体2の長手方向における一方側から視た場合において、気体流路80に少なくとも一部が重なり合うような高さ位置に形成されている。
【0060】
上記の構成によれば、吹出口26を介して気体流路80に導かれた循環気体冷気が、気体流路80を流れた後に、敷設部材8の上面よりも上方に流れる。この場合には、吹出口を介して冷凍空間20に導かれた循環気体冷気を冷凍空間20の広い範囲に導くことができるため、仮に敷設部材8の上面に冷却対象である荷物が載置されている場合であっても、冷凍空間20全体を効果的に冷却できる。
【0061】
(吹出口、吸込口の形状)
図11図13の各々は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1の吹出口26及び吸込口27を説明するための説明図である。図11図13には、冷凍コンテナ1の長手方向における冷凍空間20から視た断熱材5が示されている。
【0062】
幾つかの実施形態では、図11図13に示されるように、上述した吹出口26は、コンテナ本体2の幅方向に沿って長手方向を有する第1開口部261を含み、上述した吸込口27は、コンテナ本体2の幅方向に沿って長手方向を有する第2開口部271を含む。吹出口26は、コンテナ本体2の幅方向に沿って延在し、コンテナ本体2の高さ方向に離れて対向する一対の辺部261A、261Bにより、その形状の一部が構成されている。吸込口27は、コンテナ本体2の幅方向に沿って延在し、コンテナ本体2の高さ方向に離れて対向する一対の辺部271A、271Bにより、その形状の一部が構成されている。図11に示される実施形態では、吹出口26及び吸込口27は、コンテナ本体2の幅方向に沿って長手方向を有する矩形状に形成されている。
【0063】
上記の構成によれば、第1開口部261を含む吹出口26は、冷凍空間20の幅方向における比較的広い範囲に循環気体を導入可能である。第2開口部271を含む吸込口27は、冷凍空間20の幅方向における比較的広い範囲から庫内気体を吸引可能である。これにより、冷凍空間20の上記幅方向における温度分布に斑が生じることを効果的に抑制できる。
【0064】
幾つかの実施形態では、図12及び図13に示されるように、上述した吹出口26は、第1開口部261の幅方向における一方側の端部から上方に向かって長手方向を有する第1上方開口部262をさらに含み、上述した吸込口27は、第2開口部271の幅方向における他方側の端部から下方に向かって長手方向を有する第1下方開口部272を含む。吹出口26は、一対の辺部261A、261Bの一端からコンテナ本体2の高さ方向に沿って上方に向かって延在し、コンテナ本体2の幅方向に離れて対向する一対の辺部262A、262Bにより、その形状の一部が構成されている。吸込口27は、一対の辺部271A、271Bの一端からコンテナ本体2の高さ方向に沿って下方に向かって延在し、コンテナ本体2の幅方向に離れて対向する一対の辺部272A、272Bにより、その形状の一部が構成されている。
【0065】
上記の構成によれば、第1上方開口部262を含む吹出口26は、冷凍空間20の高さ方向における比較的広い範囲に循環気体を導入可能である。第1下方開口部272を含む吸込口27は、冷凍空間20の高さ方向における比較的広い範囲から庫内気体を吸引可能である。これにより、冷凍空間20の上記高さ方向における温度分布に斑が生じることを効果的に抑制できる。
【0066】
幾つかの実施形態では、図13に示されるように、上述した吹出口26は、上述した第1開口部261と、上述した第1上方開口部262と、第1開口部261の幅方向における上記他方側の端部から上方に向かって長手方向を有する第2上方開口部263と、を含む。上述した吸込口27は、上述した第2開口部271と、上述した第1下方開口部272と、第2開口部271の幅方向における上記一方側の端部から下方に向かって長手方向を有する第2下方開口部273と、を含む。
【0067】
吹出口26は、一対の辺部261A、261Bの他端からコンテナ本体2の高さ方向に沿って上方に向かって延在し、コンテナ本体2の幅方向に離れて対向する一対の辺部263A、263Bにより、その形状の一部が構成されている。吸込口27は、一対の辺部271A、271Bの他端からコンテナ本体2の高さ方向に沿って下方に向かって延在し、コンテナ本体2の幅方向に離れて対向する一対の辺部273A、273Bにより、その形状の一部が構成されている。
【0068】
上記の構成によれば、第2上方開口部263を含む吹出口26は、冷凍空間20の高さ方向における比較的広い範囲に循環気体を導入可能である。第2下方開口部273を含む吸込口27は、冷凍空間20の高さ方向における比較的広い範囲から庫内気体を吸引可能である。これにより、冷凍空間20の上記高さ方向における温度分布に斑が生じることを効果的に抑制できる。
【0069】
(断熱材の材質)
幾つかの実施形態では、上述した断熱材5は、ウレタンやフェノバボード等の熱伝導率が0.03W/(m・K)以下の断熱材を材料とする。断熱材5の材料としてウレタンやフェノバボード等の比較的固い断熱材を用いることで、グラスウール等の軟質な断熱材に比べて、断熱材5に出口流路6や入口流路7を形成する施工が容易となるとともに、冷凍コンテナ1の使用中における断熱材5の変形を抑制できる。
【0070】
(金属板)
図14は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1の金属板9、撥水層10A及び防水層10Bを説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ1は、図2図3及び図14に示されるように、断熱材5の冷凍空間20側の面51に積層された金属板9を備える。
【0071】
上記の構成によれば、金属板9により、荷降ろし作業中における荷物の衝突や庫内洗浄等によって断熱材5が損傷や劣化して機能低下することを抑制できるため、断熱材5の断熱性能を比較的長期間に亘り維持可能である。金属板9に断熱材5よりも熱容量が小さい金属を採用することで、冷凍空間20の冷却に要する期間の短縮化が図れる。
【0072】
(撥水層、防水層)
幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ1は、図14に示されるように、上述した断熱材5と上述した金属板9との間に形成される撥水層10A又は防水層10Bをさらに備える。撥水層10Aとして、例えば、シリコン、フッ素等の低温に適したコーティング剤により構成された撥水コートが挙げられる。防水層10Bとして、例えば、防水シートが挙げられる。
【0073】
上記の構成によれば、撥水層10A又は防水層10Bにより、庫内洗浄等によって断熱材5が濡れて機能低下することを抑制できるため、断熱材5の断熱性能を比較的長期間に亘り維持可能である。なお、断熱材5の面51は、金属板9や撥水層10A、防水層10Bが積層されていない部分があってもよい。
【0074】
(出口流路側金属板)
図15は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1の出口流路側金属板11、出口流路側撥水層12A及び出口流路側防水層12Bを説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ1は、図15に示されるように、出口流路6の内面60に積層された出口流路側金属板11をさらに備える。
【0075】
上記の構成によれば、出口流路6の内面60に積層された出口流路側金属板11が補強材となることで、断熱材5の強度を向上できる。また、出口流路側金属板11により、出口流路6の内面60が損傷や劣化することを抑制できる。
【0076】
(出口流路側撥水層、出口流路側防水層)
幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ1は、図15に示されるように、上述した出口流路6の内面60と出口流路側金属板11との間に形成される出口流路側撥水層12A又は出口流路側防水層12Bをさらに備える。出口流路側撥水層12Aとして、例えば、シリコン、フッ素等の低温に適したコーティング剤により構成された撥水コートが挙げられる。出口流路側防水層12Bとして、例えば、防水シートが挙げられる。
【0077】
上記の構成によれば、出口流路側撥水層12A又は出口流路側防水層12Bにより、結露した水が出口流路6を介して断熱材5に侵入して断熱材5の断熱性能を低下させることを抑制できる。なお、出口流路6の内面60は、出口流路側金属板11や出口流路側撥水層12A、出口流路側防水層12Bが積層されていない部分があってもよい。
【0078】
(入口流路側金属板)
図16は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ1の入口流路側金属板13、入口流路側撥水層14A及び入口流路側防水層14Bを説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ1は、図16に示されるように、入口流路7の内面70に積層された入口流路側金属板13をさらに備える。
【0079】
上記の構成によれば、入口流路7の内面70に積層された入口流路側金属板13が補強材となることで、断熱材5の強度を向上できる。また、入口流路側金属板13により、入口流路7の内面70が損傷や劣化することを抑制できる。
【0080】
(入口流路側撥水層、入口流路側防水層)
幾つかの実施形態では、上述した冷凍コンテナ1は、図16に示されるように、上述した入口流路7の内面70と入口流路側金属板13との間に形成される入口流路側撥水層14A又は入口流路側防水層14Bをさらに備える。入口流路側撥水層14Aとして、例えば、シリコン、フッ素等の低温に適したコーティング剤により構成された撥水コートが挙げられる。入口流路側防水層14Bとして、例えば、防水シートが挙げられる。
【0081】
上記の構成によれば、入口流路側撥水層14A又は入口流路側防水層14Bにより、結露した水が入口流路7を介して断熱材5に侵入して断熱材5の断熱性能を低下させることを抑制できる。なお、入口流路7の内面70は、入口流路側金属板13や入口流路側撥水層14A、入口流路側防水層14Bが積層されていない部分があってもよい。
【0082】
<別の一実施形態に係る冷凍コンテナ>
別の一実施形態に係る冷凍コンテナ1について説明する。図17は、別の一実施形態に係る冷凍コンテナ1のコンテナ本体2の長手方向に沿った概略断面図である。別の一実施形態において、上述した構成要件と同じものは、同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下では、コンテナ本体2の長手方向を「長手方向D1」と記載し、コンテナ本体2の幅方向を「幅方向D2」と記載し、コンテナ本体2の高さ方向を「高さ方向D3」と記載する。
【0083】
(出口流路)
別の一実施形態に係る出口流路6の構成について説明する。図17に示されるように、別の一実施形態では、出口流路6は、一端に気体流路80に連通するように構成される吹出口26が形成されている。この出口流路6は、他端に底板部44に形成された出口側連通孔47と連通するように構成される出口開口61が形成されている。
【0084】
図18は、別の一実施形態に係る出口流路6の周辺構造を説明するための図である。図18に例示する形態では、出口流路6の上面6aの少なくとも一部6a1は、敷設部材8の上面8aに当接している。具体的には、背面側断熱材5Aの下面5Aaは、出口流路6に上方から面しており、出口流路6の上面6aを構成している。この背面側断熱材5Aの下面5Aaは、長手方向D1の他方側(冷凍空間20側)に向かうにつれて下方に傾斜している。つまり、出口流路6の上面6aは、冷凍空間20側に向かうにつれて下方に傾斜する上面傾斜部6a2を含んでいる。背面側断熱材5Aの下面5Aaは、長手方向D1の他方側(冷凍空間20側)の端部5Abが敷設部材8の上面8aに当接している。背面側断熱材5Aの下面5Aaの端部5Abは、敷設部材8の長手方向D1の一方側の一端(気体流路80の入口)よりも長手方向D1の他方側に位置している。
【0085】
図18に例示する形態では、出口流路6の下面6bは、冷凍空間20側に向かうにつれて下方に傾斜する下面傾斜部6b1を含む。具体的には、下面側断熱材5Cの長手方向D1の他方側の側面5Caの下部は、出口流路6に下方から面しており、出口流路6の下面6bを構成している。さらに、この下面側断熱材5Cの側面5Caの下部が、下面傾斜部6b1として冷凍空間20側に向かうにつれて下方に傾斜している。
【0086】
図18に例示する形態では、下面傾斜部6b1は、長手方向D1の他方側の先端6b2が敷設部材8と離間している。具体的には、敷設部材8の高さをhとし、敷設部材8と下面傾斜部6b1の先端6b2との間の距離をdとすると、h/2≦d≦2hを満たす。このため、底壁22の床面221の一部が出口流路6に面している(言い換えると、出口流路6に露出されている)。この底壁22の床面221の一部は、下面傾斜部6b1とともに出口流路6の下面6bを構成している。
【0087】
図18に例示する形態では、下面側断熱材5Cは、第1の断熱材ブロックBL1、第1の断熱材ブロックBL1の上方(図18の点線より上方)に配置される第2の断熱材ブロックBL2を含む。そして、第1の断熱材ブロックBL1は、内部に第1の出口流路部6Aが形成されている。第2の断熱材ブロックBL2は、内部に第2の出口流路部6Bが形成されている。出口流路6は、第1の出口流路部6Aおよび第2の出口流路部6Bを含んでいる。このため、第1の断熱材ブロックBL1、冷凍機3、および第2の断熱材ブロックBL2の順に配置することで、施工性を向上させることできる。図18に例示する形態では、出口流路6は、第1の出口流路部6Aおよび第2の出口流路部6Bに加え、背面側断熱材5Aの下面5Aaと底壁22の床面221の一部との間に形成される第3の出口流路部6Cをさらに含んでいる。尚、下面側断熱材5Cが第1の断熱材ブロックBL1だけで構成され、背面側断熱材5Aが第2の断熱材ブロックBL2だけで構成されてもよい。
【0088】
図19は、別の一実施形態に係る敷設部材8の長手方向D1に沿った概略断面図である。別の一実施形態では、図19に例示するように、敷設部材8はT字状に形成されたレール部材8である。底壁22の床面221には、複数のレール部材8が敷設されている。複数のレール部材8は、上述したように、長手方向D1に沿って延在している。複数のレール部材8は、幅方向D2に沿って互いに隙間83をあけて並んで配置されている。
【0089】
別の一実施形態に係る出口流路6の作用・効果について説明する。別の一実施形態によれば、図17に例示したように、出口流路6は、第1の出口流路部6A、第2の出口流路部6Bおよび第3の出口流路部6Cによって形成されており、背板部42の内部を通過しないで形成することがきる。このため、図2に例示する形態や図3に例示する形態と比較して、背板部42の厚さ(長手方向D1の長さ)を小さくし、冷凍空間20を拡大することができる。
【0090】
別の一実施形態によれば、背面側断熱材5Aの下面5Aaの端部5Ab(出口流路6の上面6aの少なくとも一部6a1)がレール部材8の上面8aに当接しているので、気体流路80を介さずに、出口流路6から冷凍空間20に吹き出ることを防止できる。具体的には、第3の出口流路部6Cを流通する循環気体が冷凍空間20に吹き出ることを防止できる。
【0091】
別の一実施形態によれば、底壁22の床面221の一部が出口流路6に面しているので、循環空気に含有される水分の氷結によって発生する氷結物をこの床面221の一部に堆積させて、吹出口26の閉塞を防止できる。さらに、別の一実施形態によれば、図19に例示して説明したように、複数のレール部材8は互いに隙間83をあけて並んで配置されている。このため、氷結物が出口流路6の吹出口26を閉塞するように床面221の一部に堆積したとしても、循環気体を隙間83から気体流路80に流入させることができる。
【0092】
別の一実施形態によれば、下面側断熱材5Cの側面5Caの下部が冷凍空間20側に向かうにつれて下方に傾斜しているので、循環空気は気体流路80が延びる方向(長手方向D1)に近づくように出口流路6を流通する。このため、循環空気を出口流路6から気体流路80にスムーズに流入させることができる。
【0093】
別の一実施形態によれば、1つの第1の断熱材ブロックBL1の内部に第1の出口流路部6Aが形成され、1つの第2の断熱材ブロックBL2の内部に第2の出口流路部6Bが形成されている。このため、複数の第1の断熱材ブロックBL1を組み合わせて第1の出口流路部6Aを形成する場合と比較して、第1の出口流路部6Aを形成するのに必要な第1の断熱材ブロックBL1の数を少なくすることができる。また、複数の第1の断熱材ブロックBL1を組み合わせる場合と比較して、第1の出口流路部6Aの製造誤差を小さくし、断熱性を向上させることができる。尚、第2の断熱材ブロックBL2も同様の作用・効果を発揮することができる。
【0094】
(入口流路)
別の一実施形態に係る入口流路7の構成について説明する。図17に示されるように、別の一実施形態では、冷凍コンテナ1は、背板部42の背面421に設けられた入口流路形成部90をさらに含む。入口流路形成部90は、冷凍機収容空間40と冷凍空間20とを接続し吸込口27を介して冷凍空間20から吸引された循環気体を冷凍機3に導くための入口流路7が形成されている。入口流路形成部90は、断熱材5によって形成されてもよいし、断熱材5以外の材料で形成されてもよい。別の一実施形態では、入口流路形成部90は、断熱材5とは別の材料で形成されており、背面側断熱材5Aの上側に配置されている。この入口流路形成部90は、高さ方向D3において上面側断熱材5Bおよび背面側断熱材5Aによって挟持されている。
【0095】
図20は、別の一実施形態に係る入口流路形成部90の構成を示す概略図であって、入口流路形成部90を長手方向D1の他方側から視た図である。図21は、別の一実施形態に係る入口流路形成部90の構成を示す概略図であって、入口流路形成部90を幅方向D2の一方側から視た図である。
【0096】
図20に例示する形態では、吸込口27は、幅方向D2に沿って長手方向を有している。入口開口71は、吸込口27と比較して面積が小さい。入口開口71は、長手方向D1から視た場合に、吸込口27の幅方向D2の他方側に位置し、且つ吸込口27によって囲われるように配置されている。このため、吸込口27の幅方向D2の一方側から吸い込まれた循環気体は、図20の矢印で示すように、幅方向D2の他方側に流通する。この際、循環空気は、後述する捕集板92と衝突する。
【0097】
図20に例示する形態では、吸込口27の全面には、吸込口フィルタ89が設けられている。入口開口71の全面には、吸込口フィルタ89よりも目開きの小さい入口開口フィルタ93が設けられている。尚、図20および図21のそれぞれにおいて、目開きの大きさは濃淡で図示されており、濃い方が小さい。
【0098】
吸込口フィルタ89は、吸込口27の面積に基づいて、目開きが設定されている。具体的には、吸込口フィルタ89は、吸込口27の面積が大きくなるにつれて入口流路形成部90に流入する循環気体の流速が遅くなるため、目開きが小さくなるように設定されている。
【0099】
図20に例示する形態では、冷凍コンテナ1は、入口流路7の高さ方向D3に沿って切断した断面の一部を塞ぐように入口流路7に設けられる少なくとも一つの捕集板92をさらに含む。少なくとも1つの捕集板92は、入口流路7の下面7aから上方に突出する第1の捕集板92A(92)と、入口流路7の上面7bから下方に突出する第2の捕集板92B(92)と、を有する。第1の捕集板92Aおよび第2の捕集板92Bは、幅方向D2に沿って並んで配置されている。複数の第1の捕集板92Aおよび複数の第2の捕集板92Bは、幅方向D2に沿って交互に配置されている。
【0100】
図21に示すように、入口流路7は、背板部42に形成された入口側連通孔48を介して冷凍機収容空間40に連通されている。入口側連通孔48は、入口流路7の下面7aよりも上方に位置している。つまり、入口開口71は、入口流路7の下面7aよりも上方に位置している。そして、入口流路7の下面7aには、冷凍空間20に連通されるドレン孔94の入口95が形成されている。図21に例示する形態では、ドレン孔94は、入口流路形成部90および背面側断熱材5Aを貫通している。ドレン孔94の出口は、背面側断熱材5Aの面51に形成されている。
【0101】
図21に例示する形態では、入口流路形成部90は、吸込口27が形成されている吸込面96を含む。この吸込面96は、上方に向かうにつれて冷凍空間20に近接するように傾斜している。具体的には、上下方向に延びる仮想線Xと吸込面96によって形成される角度のうち、小さい方の角度をθとすると、0度≦θ≦45度を満たす。
【0102】
別の一実施形態に係る入口流路7の作用・効果について説明する。別の一実施形態によれば、入口流路7の下面7aにはドレン孔94の入口95が形成されているので、入口流路7内で液滴が発生したとしても(例えば、冷却運転中に形成された氷が液滴になったとしても)、入口流路7内から冷凍空間20に液滴を排出することができる。
【0103】
別の一実施形態によれば、入口流路7には捕集板92が設けられているので、循環気体と共に入口流路7を流通する異物を捕集板92に衝突させることで、この異物の冷凍機3への侵入を抑制することができる。さらに、別の一実施形態によれば、入口流路7には複数の第1の捕集板92Aおよび複数の第2の捕集板92Bが幅方向D2に沿って交互に配置されているので、異物を第1の捕集板92Aまたは第2の捕集板92Bに衝突させることで、異物の冷凍機3への侵入をさらに抑制することができる。
【0104】
別の一実施形態によれば、吸込口27には吸込口フィルタ89が設けられ、且つ入口開口71には入口開口フィルタ93が設けられているので、吸込口フィルタ89で比較的大きい異物を除去し、入口開口フィルタ93で比較的小さい異物を除去することで、冷凍機3に導く循環気体の圧力損失を小さくしつつ、異物の侵入を抑制することができる。別の一実施形態によれば、吸込面96が傾斜しているので、吸込口フィルタ89から落下する液滴や異物が入口流路7内に侵入することを抑制できる。別の一実施形態によれば、吸込口フィルタ89は、吸込口27の面積が大きくなると、目開きが小さく設定されるので、液滴や異物が入口流路7内に侵入することを抑制できる。別の一実施形態によれば、吸込口フィルタ89は、幅方向D2に沿って長手方向を有するので、一部に着氷が発生したとしても、残りの一部で一定以上の開口面積を維持することができる。このため、循環気体を低速で入口流路形成部90に流入させ、循環気体の圧力損失を低減できる。
【0105】
図22は、別の一実施形態の変形例に係る入口流路形成部90の構成を示す概略図(側面から視ている)であって、入口流路形成部90を幅方向D2の一方側から視た図である。図22に例示する形態では、吸込口フィルタ89は、目開きが1.0mm以下である。この場合、入口流路7の入口開口71には、入口開口フィルタ93が非設置である。このような構成によれば、入口開口フィルタ93を設けずに済むので、製造コストと圧力損失を削減することができる。
【0106】
(対向面断熱材)
別の一実施形態に係る対向面断熱材98の構成について説明する。図17に示されるように、別の一実施形態では、冷凍コンテナ1は、背板部42の冷凍機収容空間40側の面である対向面422のうち、入口流路形成部90に面する背板部42の背面421と反対側の部分97に積層された2つの対向面断熱材98をさらに含む(図17には、1つの対向面断熱材98だけが図示されている)。図23は、別の一実施形態に係る2つの対向面断熱材98の配置を説明するための図である。図23に例示するように、2つの対向面断熱材98は、長手方向D1から視た場合に、幅方向D2に沿って並んで配置されている。
【0107】
一方の対向面断熱材98A(98)は、長手方向D1から視た場合に、入口側連通孔48の全体を覆っている。他方の対向面断熱材98B(98)は、一方の対向面断熱材98Bよりも幅方向D2の他方側に位置している。この他方の対向面断熱材98Bは、長手方向D1から視た場合に、熱交換器32の全体を覆っている。
【0108】
一方の対向面断熱材98Aは、高さ方向D3において、下端部99Aが背面側断熱材5Aの上端部99Cと互いに重なり合っている。同様に、他方の対向面断熱材98Bは、高さ方向D3において、下端部99Bが背面側断熱材5Aの上端部99Cと互いに重なり合っている。
【0109】
別の一実施形態に係る対向面断熱材98の作用・効果について説明する。別の一実施形態によれば、背板部42の対向面422の部分97に2つの対向面断熱材98が設けられることで、冷凍機3の断熱性を向上させることができる。さらに、一方の対向面断熱材98Aは、熱交換器32の全体を覆っている他方の対向面断熱材98Bとは分離されることで、他方の対向面断熱材98Bの断熱性の低減を抑制できる。
【0110】
別の一実施形態によれば、冷凍機3は、高さ方向D3において、背面側断熱材5A、一方の対向面断熱材98A、および他方の対向面断熱材98Bによって覆われている。このため、冷凍機3の断熱性を向上させることができる。
【0111】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0112】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0113】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0114】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る冷凍コンテナ(1)は、
冷却対象である冷凍空間(20)を内部に有するコンテナ本体(2)と、
前記冷凍空間(20)から吸引された循環気体を冷却可能に構成された冷凍機(3)と、
前記コンテナ本体(2)の内部に配置され、前記冷凍機(3)が収容される冷凍機収容空間(40)を内部に有する冷凍機ケーシング(4)と、
前記冷凍機ケーシング(4)の外壁面(41)に積層された断熱材(5)と、を備え、
前記断熱材(5)の内部には、前記冷凍機収容空間(40)と前記冷凍空間(20)とを接続し、前記冷凍機(3)において冷却された前記循環気体を吹出口(26)を介して前記冷凍空間(20)に導くための出口流路(6)が形成された。
【0115】
上記1)の構成によれば、冷凍機ケーシング(4)と冷凍空間(20)の間に断熱材(5)を配置し、熱源になり得る冷凍機(3)を冷凍機ケーシング(4)の内部に配置することで、冷凍空間(20)の断熱性能を比較的高くすることができる。冷凍空間(20)の断熱性能が高い場合にはその分だけコンテナ本体(2)の内面に取り付けられる断熱材の厚さを低減できるので、これにより冷凍コンテナ(1)の庫内スペースである冷凍空間(20)を拡大できる。
【0116】
また、上記1)の構成によれば、断熱材(5)の内部に出口流路(6)を形成することで、出口流路(6)に別途断熱施工を施さなくても、出口流路(6)を流れる循環気体(冷気)の放熱を抑制できる。出口流路(6)を流れる循環気体の放熱を抑制することで、吹出口(26)を介して冷凍空間(20)に導かれる循環気体の温度分布に斑が生じることを抑制できる。また、出口流路(6)における循環気体の放熱を抑制することで、冷凍機(3)において冷却された循環気体を効果的に冷凍空間(20)に導くことが可能となる。
【0117】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記断熱材(5)の内部には、前記冷凍機収容空間(40)と前記冷凍空間(20)とを接続し、吸込口(27)を介して前記冷凍空間(20)から吸引された前記循環気体を前記冷凍機(3)に導くための入口流路(7)が形成された。
【0118】
上記2)の構成によれば、断熱材(5)の内部に入口流路(7)を形成することで、入口流路(7)を流れる循環気体の放熱を抑制できる。入口流路(7)を流れる循環気体の放熱を抑制することで、入口流路(7)を介して冷凍機(3)に導かれた循環気体の熱エネルギを冷凍機(3)の加熱源として効果的に利用できる。
【0119】
3)幾つかの実施形態では、上記1)又は2)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記出口流路(6)は、前記冷凍空間(20)側に向かうにつれて流路面積が大きくなる流路面積拡大部(62)を少なくとも一部に含む。
【0120】
上記3)の構成によれば、出口流路(6)に流路面積拡大部(62)を設けることで、出口流路(6)における圧力損失を抑制しつつ、吹出口(26)において必要とする開口面積を確保できる。
【0121】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記出口流路(6)の前記流路面積拡大部(62)は、前記出口流路(6)の前記冷凍機収容空間(40)に接続される出口開口(61)から前記吹出口(26)までに亘って設けられる。
【0122】
上記4)の構成によれば、出口流路(6)の出口開口(61)から吹出口(26)までに亘り流路面積拡大部(62)を設けることで、吹出口(26)において必要とする開口面積を確保するために必要な断熱材(5)の厚さが小さくなる。断熱材(5)の厚さを必要最低限にすることで、冷凍空間(20)を拡大できる。また、上記4)の構成によれば、出口流路(6)に不必要な曲がり等が形成されないため、出口流路(6)における圧力損失を低減することが可能となる。
【0123】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記冷凍機ケーシング(4)は、
前記冷凍機(3)よりも前記冷凍空間(20)側において前記コンテナ本体(2)の長手方向に直交する方向に沿って延在する背板部(42)と、
前記背板部(42)の上端部から前記コンテナ本体(2)の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機(3)の上方を覆う天井板部(43)と、
前記背板部(42)の下端部から前記コンテナ本体(2)の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機(3)の下方を覆う底板部(44)と、を含み、
前記出口流路(6)は、前記背板部(42)に形成された出口側連通孔(47A)を介して前記冷凍機収容空間(40)に接続された。
【0124】
上記5)の構成によれば、出口流路(6)は、背板部(42)に形成された出口側連通孔(47A)を介して冷凍機収容空間(40)に接続されている。この場合には、冷凍機(3)から出口流路(6)に循環気体を導くための冷凍機収容空間(40)内の配管の長さを短いものとすることができるので、該配管における放熱を抑制できる。また、該配管の長さが短い場合には、その分だけ該配管に対する断熱施工が容易となる。また、上記5)の構成によれば、冷凍機ケーシング(4)の下方を覆う断熱材の厚さが比較的小さい場合でも、断熱材の内部に出口流路(6)を形成可能である。
【0125】
6)幾つかの実施形態では、上記5)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記断熱材(5)の内部には、前記冷凍機収容空間(40)と前記冷凍空間(20)とを接続し、吸込口(27)を介して前記冷凍空間(20)から吸引された前記循環気体を前記冷凍機収容空間(40)に導くための入口流路(7)が形成され、
前記入口流路(7)は、前記背板部(42)の前記出口側連通孔(47A)よりも上方に形成された入口側連通孔(48A)を介して前記冷凍機収容空間(40)に接続された。
【0126】
上記6)の構成によれば、入口流路(7)は、背板部(42)の出口側連通孔(47A)よりも上方に形成された入口側連通孔(48A)を介して冷凍機収容空間(40)に接続されている。この場合には、入口流路(7)から冷凍機(3)に循環気体を導くための冷凍機収容空間(40)内の配管の長さを短いものとすることができるので、該配管における放熱を抑制できる。また、上記6)の構成によれば、冷凍機ケーシング(4)の上方を覆う断熱材の厚さが比較的小さい場合でも、断熱材の内部に入口流路(7)を形成可能である。
【0127】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から4)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記冷凍機ケーシング(4)は、
前記冷凍機(3)よりも前記冷凍空間(20)側において前記コンテナ本体(2)の長手方向に直交する方向に沿って延在する背板部(42)と、
前記背板部(42)の上端部から前記コンテナ本体(2)の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機(3)の上方を覆う天井板部(43)と、
前記背板部(42)の下端部から前記コンテナ本体(2)の高さ方向に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機(3)の下方を覆う底板部(44)と、を含み、
前記出口流路(6)は、前記底板部(44)に形成された出口側連通孔(47B)を介して前記冷凍機収容空間(40)に接続された。
【0128】
上記7)の構成によれば、出口流路(6)は、底板部(44)に形成された出口側連通孔(47B)を介して冷凍機収容空間(40)に接続されている。この場合には、吹出口(26)をコンテナ本体(2)の高さ方向における下方側(床面側)に設置することが容易となる。コンテナ本体(2)の高さ方向における吹出口(26)と吸込口(27)との間の差を大きなものとすることで、冷凍空間(20)内のコンテナ本体(2)の高さ方向における温度分布に斑が生じることを効果的に抑制できる。
【0129】
8)幾つかの実施形態では、上記7)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記断熱材(5)の内部には、前記冷凍機収容空間(40)と前記冷凍空間(20)とを接続し、吸込口(27)を介して前記冷凍空間(20)から吸引された前記循環気体を前記冷凍機収容空間(40)に導くための入口流路(7)が形成され、
前記入口流路(7)は、前記天井板部(43)に形成された入口側連通孔(48B)を介して前記冷凍機収容空間(40)に接続された。
【0130】
上記8)の構成によれば、入口流路(7)は、天井板部(43)に形成された入口側連通孔(48B)を介して冷凍機収容空間(40)に接続されている。この場合には、吸込口(27)をコンテナ本体(2)の高さ方向における上方側(天井面側)に設置することが容易となる。
【0131】
9)幾つかの実施形態では、上記1)から8)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記コンテナ本体(2)の前記冷凍空間(20)の床面に敷設される少なくとも1つの敷設部材(8)であって、前記少なくとも1つの敷設部材(8)の上面よりも下方に気体が流れる気体流路(80)を形成する少なくとも1つの敷設部材(8)をさらに備え、
前記吹出口(26)は、前記気体流路(80)に連通するように構成された。
【0132】
上記9)の構成によれば、吹出口を介して気体流路(80)に導かれた循環気体(冷気)が、気体流路(80)を流れた後に、敷設部材(8)の上面よりも上方に流れる。この場合には、吹出口を介して冷凍空間(20)に導かれた循環気体(冷気)を冷凍空間(20)の広い範囲に導くことができるため、仮に敷設部材(8)の上面に冷却対象である荷物が載置されている場合であっても、冷凍空間(20)全体を効果的に冷却できる。
【0133】
10)幾つかの実施形態では、上記2)、6)又は8)の何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記吹出口(26)は、
前記コンテナ本体(2)の幅方向に沿って長手方向を有する第1開口部(261)と、
前記第1開口部(261)の前記幅方向における一方側の端部から上方に向かって長手方向を有する第1上方開口部(262)と、を含み、
前記吸込口(27)は、
前記コンテナ本体(2)の幅方向に沿って長手方向を有する第2開口部(271)と、
前記第2開口部(271)の前記幅方向における他方側の端部から下方に向かって長手方向を有する第1下方開口部(272)と、を含む。
【0134】
上記10)の構成によれば、第1開口部(261)を含む吹出口(26)は、冷凍空間(20)の幅方向における比較的広い範囲に循環気体を導入可能である。第2開口部(271)を含む吸込口(27)は、冷凍空間(20)の幅方向における比較的広い範囲から庫内気体を吸引可能である。これにより、冷凍空間(20)の上記幅方向における温度分布に斑が生じることを効果的に抑制できる。
【0135】
上記10)の構成によれば、第1上方開口部(262)を含む吹出口(26)は、冷凍空間(20)の高さ方向における比較的広い範囲に循環気体を導入可能である。第1下方開口部(272)を含む吸込口(27)は、冷凍空間(20)の高さ方向における比較的広い範囲から庫内気体を吸引可能である。これにより、冷凍空間(20)の上記高さ方向における温度分布に斑が生じることを効果的に抑制できる。
【0136】
11)幾つかの実施形態では、上記10)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記吹出口(26)は、
前記第1開口部(261)の前記幅方向における前記他方側の端部から上方に向かって長手方向を有する第2上方開口部(263)をさらに含み、
前記吸込口(27)は、
前記第2開口部(271)の前記幅方向における前記一方側の端部から下方に向かって長手方向を有する第2下方開口部(273)をさらに含む、
【0137】
上記11)の構成によれば、第2上方開口部(263)を含む吹出口(26)は、冷凍空間(20)の高さ方向における比較的広い範囲に循環気体を導入可能である。第2下方開口部(273)を含む吸込口(27)は、冷凍空間(20)の高さ方向における比較的広い範囲から庫内気体を吸引可能である。これにより、冷凍空間(20)の上記高さ方向における温度分布に斑が生じることを効果的に抑制できる。
【0138】
12)幾つかの実施形態では、上記5)から8)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記断熱材(5)は、
前記背板部(42)の前記冷凍空間(20)側の面である背面に積層された背面側断熱材(5A)と、
前記天井板部(43)の上面に積層された上面側断熱材(5B)と、
前記底板部(44)の下面に積層された下面側断熱材(5C)と、を含む。
【0139】
上記12)の構成によれば、断熱材(5)は、背面側断熱材(5A)、上面側断熱材(5B)及び下面側断熱材(5C)を含むので、冷凍機収容空間(40)への入熱や冷凍機収容空間(40)からの放熱を抑制できる。背面側断熱材(5A)、上面側断熱材(5B)及び下面側断熱材(5C)を含む断熱材(5)は、出口側連通孔(47A、47B)や吹出口(26)に位置に応じて断熱材(5)の内部に形成される出口流路(6)の形状を適切なものとすることができる。背面側断熱材(5A)、上面側断熱材(5B)及び下面側断熱材(5C)を含む断熱材(5)は、断熱材の各部(5A、5B、5C)の厚さを変更することで、冷凍機(3)や冷凍機ケーシング(4)を変更しなくても、規格サイズの異なるコンテナ本体(2)に流用可能となる。
【0140】
13)幾つかの実施形態では、上記12)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記断熱材(5)は、前記背面側断熱材(5A)、前記上面側断熱材(5B)及び前記下面側断熱材(5C)の夫々が別体に構成された。
【0141】
上記13)の構成によれば、背面側断熱材(5A)、上面側断熱材(5B)及び下面側断熱材(5C)の夫々を別体に構成することで、断熱材の各部(5A、5B、5C)を冷凍機ケーシング(4)に密着させることができるため、断熱材(5)と冷凍機ケーシング(4)の間の隙間を介した流体の漏れを効果的に抑制できる。また、背面側断熱材(5A)、上面側断熱材(5B)及び下面側断熱材(5C)の夫々を別体に構成することで、損傷や劣化が激しい断熱材の各部(5A、5B、5C)を単独で交換可能になるため、断熱材のメンテナンス性の向上が図れる。
【0142】
14)幾つかの実施形態では、上記1)から13)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記断熱材(5)の前記冷凍空間(20)側の面に積層された金属板(9)をさらに備える。
【0143】
上記14)の構成によれば、金属板(9)により、荷降ろし作業中における荷物の衝突や庫内洗浄等によって断熱材(5)が損傷や劣化して機能低下することを抑制できるため、断熱材(5)の断熱性能を比較的長期間に亘り維持可能である。金属板(9)に断熱材(5)よりも熱容量が小さい金属を採用することで、冷凍空間(20)の冷却に要する期間の短縮化が図れる。
【0144】
15)幾つかの実施形態では、上記14)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記断熱材(5)と前記金属板(9)との間に形成される撥水層(10A)又は防水層(10B)をさらに備える。
【0145】
上記15)の構成によれば、撥水層(10A)又は防水層(10B)により、庫内洗浄等によって断熱材(5)が濡れて機能低下することを抑制できるため、断熱材(5)の断熱性能を比較的長期間に亘り維持可能である。
【0146】
16)幾つかの実施形態では、上記1)から15)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記出口流路(6)の内面に積層された出口流路側金属板(11)をさらに備える。
【0147】
上記16)の構成によれば、出口流路(6)の内面に積層された出口流路側金属板(11)が補強材となることで、断熱材(5)の強度を向上できる。また、出口流路側金属板(11)により、出口流路(6)の内面が損傷や劣化することを抑制できる。
【0148】
17)幾つかの実施形態では、上記16)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記出口流路(6)の前記内面と前記出口流路側金属板(11)との間に形成される出口流路側撥水層(12A)又は出口流路側防水層(12B)をさらに備える。
【0149】
上記17)の構成によれば、出口流路側撥水層(12A)又は出口流路側防水層(12B)により、結露した水が出口流路(6)を介して断熱材(5)に侵入して断熱材(5)の断熱性能を低下させることを抑制できる。
【0150】
18)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記コンテナ本体(2)の前記冷凍空間(20)の床面(22)に敷設される少なくとも1つの敷設部材(8)であって、前記少なくとも1つの敷設部材(8)の上面(8a)よりも下方に気体が流れる気体流路(80)を形成する少なくとも1つの敷設部材をさらに備え、
前記冷凍機ケーシング(4)は、
前記冷凍機(3)よりも前記冷凍空間(20)側において前記コンテナ本体(2)の長手方向(D1)に直交する方向に沿って延在する背板部(42)と、
前記背板部(42)の下端部から前記コンテナ本体(2)の高さ方向(D3)に直交する方向に沿って延在し、前記冷凍機(3)の下方を覆う底板部(44)と、を含み、
前記出口流路(6)は、
一端に前記気体流路(80)に連通するように構成される前記吹出口(26)が形成され、
他端に前記底板部(44)に形成された出口側連通孔(47)と連通するように構成される出口開口(61)が形成されている。
【0151】
上記18)に記載の構成によれば、出口流路は、背板部の内部を通過しないで形成することがきる。このため、背板部の厚さを小さくし、冷凍空間を拡大することができる。
【0152】
19)幾つかの実施形態では、上記18)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記出口流路(6)の上面(6a)の少なくとも一部(6a1)は、前記少なくとも1つの敷設部材(8)の上面(8a)に当接している。
【0153】
上記19)に記載の構成によれば、循環気体(冷凍機において冷却された)が、気体流路を介さずに、出口流路から冷凍空間に吹き出ることを防止できる。
【0154】
20)幾つかの実施形態では、上記19)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記少なくとも1つの敷設部材(8)は、前記コンテナ本体(2)の幅方向(D2)に沿って互いに隙間(83)をあけて並んで配置され、前記コンテナ本体(2)の長手方向(D1)に沿って延在し断面形状がT字状に形成された複数のレール部材を含み、
前記出口流路(6)の上面(6a)は、前記冷凍空間(20)側に向かうにつれて下方に傾斜する上面傾斜部(6a2)を含み、
前記上面傾斜部(6a2)の前記冷凍空間(20)側の一端は、前記コンテナ本体(2)の長手方向(D1)において前記レール部材(8)の前記出口流路(6)側の一端よりも前記冷凍空間(20)側に位置するとともに、前記レール部材(8)の上面(8a)に当接している。
【0155】
上記20)に記載の構成によれば、循環空気に含有される水分の氷結によって発生する氷結物が出口流路の吹出口を閉塞するように堆積したとしても、循環気体をレール部材の上方から気体流路に流入させることができる。
【0156】
21)幾つかの実施形態では、上記18)から20)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記出口流路(6)の下面(6b)は、前記冷凍空間(20)側に向かうにつれて下方に傾斜する下面傾斜部(6b1)を含む。
【0157】
上記21)に記載の構成によれば、循環空気は、気体流路が延びる方向に近づくように出口流路を流通する。このため、循環空気を出口流路から気体流路にスムーズに流入させることができる。
【0158】
22)幾つかの実施形態では、上記21)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記下面傾斜部(6b1)は、前記コンテナ本体(2)の長手方向(D1)において前記冷凍空間(20)側の先端(6b2)が前記少なくとも1つの敷設部材(8)と離間しており、
前記床面(221)は、前記下面傾斜部(6b1)の前記先端(6b2)と前記少なくとも1つの敷設部材(8)との間において前記出口流路(6)に面している。
【0159】
上記22)に記載の構成によれば、氷結物を、床面の出口流路に面する部分に堆積させて、出口流路の吹出口の閉塞を防止できる。
【0160】
23)幾つかの実施形態では、上記22)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記少なくとも1つの敷設部材(8)の高さをhとし、前記少なくとも1つの敷設部材(8)と前記下面傾斜部(6b1)の前記先端(6b2)との間の距離をdとすると、
h/2≦d≦2hを満たす。
【0161】
上記23)に記載の構成によれば、床面に氷結物による出口流路の吹出口の閉塞を防止可能な部分を形成することができる。
【0162】
24)幾つかの実施形態では、上記18)から23)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記断熱材(5)は、複数の断熱材ブロック(BL1、BL2)を含み、
前記複数の断熱材ブロックの1つに、前記出口流路(6)が形成されている。
【0163】
上記24)に記載の構成によれば、1つの断熱材ブロックの内部に出口流路を形成することで、複数の断熱ブロックを組み合わせて出口流路を形成する場合と比較して、出口流路を形成するのに必要な断熱材ブロックの数を少なくすることができる。また、複数の断熱材ブロックを組み合わせる場合と比較して、出口流路の製造誤差を小さくし、断熱性を向上させることができる。
【0164】
25)幾つかの実施形態では、上記18)から24)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記冷凍機ケーシング(4)は、
前記冷凍機(3)よりも前記冷凍空間(20)側において前記コンテナ本体(2)の長手方向(D1)に直交する方向に沿って延在する背板部(42)を含み、
前記背板部(42)の前記冷凍空間(20)側の面である背面(421)に設けられた入口流路形成部(90)であって、前記冷凍機収容空間(40)と前記冷凍空間(20)とを接続し吸込口(27)を介して前記冷凍空間(20)から吸引された前記循環気体を前記冷凍機(3)に導くための入口流路(7)が形成されている入口流路形成部(90)をさらに備える。
【0165】
上記25)に記載の構成によれば、循環気体を冷凍機にスムーズに導くことができる。
【0166】
26)幾つかの実施形態では、上記25)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記吸込口(27)は、前記コンテナ本体(2)の幅方向(D2)に沿って長手方向を有し、
前記入口流路(7)は、前記背板部(42)に形成された入口側連通孔(48)を介して前記冷凍機収容空間(40)に連通されており、
前記入口側連通孔(48)は、前記入口流路(7)の下面(7a)よりも上方に位置し、
前記入口流路(7)の前記下面(7a)には、前記冷凍空間(20)に連通されるドレン孔(94)の入口(95)が形成されている。
【0167】
上記26)に記載の構成によれば、入口流路内で液滴が発生したとしても(例えば、冷却運転中に形成された氷が液滴になったとしても)、入口流路内から冷凍空間に液滴を排出することができる。
【0168】
27)幾つかの実施形態では、上記25)または26)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記入口流路(7)の断面の一部を塞ぐように前記入口流路(7)に設けられる少なくとも一つの捕集板(92)をさらに備える。
【0169】
上記27)に記載の構成によれば、循環気体と共に入口流路を流通する異物を捕集板に衝突させることで、この異物の冷凍機への侵入を抑制することができる。
【0170】
28)幾つかの実施形態では、上記27)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記少なくとも1つの捕集板(92)は、前記入口流路(7)の下面(7a)から突出する第1の捕集板(92A)と、前記入口流路(7)の上面(7b)から突出する第2の捕集板(92B)を含み、
前記第1の捕集板(92A)および前記第2の捕集板(92B)は、前記コンテナ本体(2)の幅方向(D2)に沿って並んで配置されている。
【0171】
上記28)に記載の構成によれば、異物の冷凍機への侵入をさらに抑制することができる。
【0172】
29)幾つかの実施形態では、上記25)から28)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記吸込口(27)には、吸込口フィルタ(89)が設けられており、
前記入口流路(7)の入口開口(71)には、前記吸込口フィルタ(89)よりも目開きの小さい入口開口フィルタ(93)が設けられている。
【0173】
上記29)に記載の構成によれば、吸込口フィルタで比較的大きい異物を除去し、入口開口フィルタで比較的小さい異物を除去することで、冷凍機に導く循環気体の圧力損失を小さくしつつ、異物の侵入を抑制することができる。
【0174】
30)幾つかの実施形態では、上記29)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記入口流路形成部(90)は、前記吸込口(27)が形成されている吸込面(96)を含み、
前記吸込面(96)は、上方に向かうにつれて前記冷凍空間(20)に近接するように傾斜している。
【0175】
上記30)に記載の構成によれば、吸込口フィルタから落下する液滴や異物が入口流路内に侵入することを抑制できる。
【0176】
31)幾つかの実施形態では、上記25)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記吸込口(27)には、目開きが1.0mm以下である吸込口フィルタ(89)が設けられており、
前記入口流路(7)の入口開口(71)には、フィルタが非設置である。
【0177】
上記31)に記載の構成によれば、上記29)のように入口開口フィルタを設けずに済むので、製造コストと圧力損失を削減することができる。
【0178】
32)幾つかの実施形態では、上記25)から31)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記背板部(42)の前記冷凍機収容空間(40)側の面である対向面(422)のうち、前記入口流路形成部(90)に面する前記背板部(42)の前記背面(421)と反対側の部分(97)に積層された少なくとも2つの対向面断熱材(98)をさらに備え、
前記少なくとも2つの対向面断熱材(98)は、前記コンテナ本体(2)の幅方向(D2)に沿って並んで配置されている。
【0179】
上記32)に記載の構成によれば、背板部の対向面のうち、入口流路形成部に面する背板部の背面と反対側の部分に2つの対向面断熱材を設けることで、冷凍機の断熱性を向上させることができる。さらに、一方の対向面断熱材が入口流路の出口(入口側連通孔)の付近に配置され、且つ他方の対向面断熱材とは分離されることで、他方の対向面断熱材の断熱性の低減を抑制できる。
【0180】
33)幾つかの実施形態では、上記32)に記載の冷凍コンテナ(1)であって、
前記断熱材(5)は、
前記背板部(42)の前記冷凍空間(20)側の面である背面に積層された背面側断熱材(5A)を含み、
前記入口流路形成部(90)は、前記背面側断熱材(5A)の上側に配置されており、
前記2つの対向面断熱材(98A、98B)のそれぞれは、前記コンテナ本体(2)の高さ方向(D3)において、下端部(99A、99B)が前記背面側断熱材(5A)の上端部(99C)と互いに重なり合っている。
【0181】
上記33)に記載の構成によれば、冷凍機は、高さ方向において、背面側断熱材および2つの対向面断熱材によって覆われる。このため、冷凍機の断熱性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0182】
1 冷凍コンテナ
2 コンテナ本体
3 冷凍機
4 冷凍機ケーシング
5 断熱材
5A 背面側断熱材
5B 上面側断熱材
5C 下面側断熱材
5D,5E 側面側断熱材
6 出口流路
6a 出口流路の上面
6a1 出口流路の上面の少なくとも一部
6a2 上面傾斜部
6b 出口流路の下面
6b1 下面傾斜部
6b2 下面傾斜部の先端
7 入口流路
7a 入口流路の下面
7b 入口流路の上面
8 敷設部材
8a 敷設部材の上面
9 金属板
10A 撥水層
10B 防水層
11 出口流路側金属板
12A 出口流路側撥水層
12B 出口流路側防水層
13 入口流路側金属板
14A 入口流路側撥水層
14B 入口流路側防水層
15 金属フィルタ
20 冷凍空間
21 天井壁
22 底壁
23,24 長側壁
25 扉
26 吹出口
27 吸込口
28 循環ライン
28A 吸引気体ライン
28B 圧縮気体ライン
28C 膨張気体ライン
31 圧縮機
32 熱交換器
33 膨張機
34 冷却器
35 冷却液循環ライン
36 冷却装置
37 ポンプ
38 回転シャフト
39 電動モータ
40 冷凍機収容空間
41 外壁面
42 背板部
43 天井板部
44 底板部
45,46 側板部
47,47A,47B 出口側連通孔
48,48A,48B 入口側連通孔
61 出口開口
62,72 流路面積拡大部
71 入口開口
80 気体流路
83 隙間
89 吸込口フィルタ
90 入口流路形成部
92 捕集板
93 入口開口フィルタ
94 ドレン孔
95 ドレン孔の入口
96 吸込面
97 背板部の対向面の部分
98 対向面断熱材
99A,99B 対向面断熱材の下端部
99C 背面側断熱材の上端部
BL1,BL2 断熱材ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23