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特開2024-95572安全閉鎖再係合機能付き自動車用電動ラッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095572
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】安全閉鎖再係合機能付き自動車用電動ラッチ
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/90 20140101AFI20240703BHJP
   E05B 81/06 20140101ALI20240703BHJP
   E05B 81/16 20140101ALI20240703BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20240703BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E05B81/90
E05B81/06
E05B81/16
B60J5/00 N
B60J5/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023213603
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】22315350.3
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523029238
【氏名又は名称】ミネベア・アクセスソリューションズ・フランス・エス・アー・エス
【氏名又は名称原語表記】MINEBEA ACCESSSOLUTIONS FRANCE S.A.S.
【住所又は居所原語表記】5 RUE CHARLES DE GAULLE, 94140 ALFORTVILLE, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ドゥブルーケ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン マルク ヴェルブリュゲ
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ46
2E250JJ48
2E250KK02
2E250LL01
2E250PP04
2E250PP10
2E250RR13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安全な電動ラッチの提供
【解決手段】電動ラッチは、ボルトと、閉位置でボルトの回転を阻止する解放装置と、解放装置を移動させる電動作動装置とを備え、前記電動作動装置は、前記解放装置との第1接触ゾーンを備える第1レバーであって、前記第1位置から前記第2位置への前記第1レバーの回転が前記解放装置を前記初期位置から前記解放位置まで押し込み、アクチュエータによってその第1位置と第2位置との間で移動する第2レバーと、前記第2レバーに連結され、前記第1レバーを回転させるために、前記第2レバーの前記第1位置から前記第2位置までの回転を前記第1レバーに伝達するために、前記第1レバーにも係合している第1ロッドと、前記電動ラッチの外側から操作されるようになっているハンドリング手段を備え、操作された時に前記第1ロッドを前記第1レバーから係合解除する、前記第1ロッドにも接続されている第2ロッドと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の開閉パネル用の電動ラッチ(S)であって、前記電動ラッチ(S)は、
- 第1軸(R1)の周りを回転し、ストライカ(19)と協働するボルト(10)と、
- 初期位置と解放位置との間で移動可能であり、前記ストライカ(19)の解放を回避するために、その閉位置において前記ボルト(10)の回転を阻止する解放装置(20)と、
- 前記解放装置(20)を前記初期位置から前記解放位置まで移動させるようになっている電動作動装置(30)と、を備え、
前記電動作動装置(30)は、
- 第1位置と第2位置との間で第2軸(R2)の周りを回転し、前記解放装置(20)との第1接触ゾーン(311)を備える第1レバー(31)であって、前記第1位置から前記第2位置への前記第1レバー(31)の回転が前記解放装置(20)を前記初期位置から前記解放位置まで押し込み、
- 前記第1レバー(31)のように前記第2軸(R2)の周りを第1位置と第2位置との間で回転し、アクチュエータ(33)によって前記第1位置と前記第2位置との間で移動する第2レバー(32)と、
- 前記第2レバー(32)に連結され、前記第2レバー(32)によって前記第2軸(R2)の周りを角運動させられ、かつ、前記第1レバー(31)を前記第1位置から前記第2位置まで回転させるために、前記第2レバー(32)の前記第1位置から前記第2位置までの回転を前記第1レバー(31)に伝達するために、前記第1レバー(31)にも係合している第1ロッド(34)と、
- 前記電動ラッチ(S)の外側から操作されるようになっているハンドリング手段(351)を備え、操作されたときに前記第1ロッド(34)を前記第1レバー(31)から係合解除するために、前記第1ロッド(34)にも接続されている第2ロッド(35)と、を備えることを特徴とする電動ラッチ(S)。
【請求項2】
前記第1ロッド(34)は前記第2レバー(32)との回転リンク(341)を有し、前記回転リンク(341)は前記第2レバー(32)の前記第2軸(R2)からオフセットされており、前記第1ロッド(34)は、前記第1レバー(31)の第2接触ゾーン(312)と接触する第1ストッパー(342)も備えており、操作されると、前記第2ロッド(35)がその前記回転リンク(341)の周りで前記第1ロッド(34)を回転させ、前記第1ストッパー(342)を前記第1レバー(31)から係合解除することを特徴とする請求項1記載の電動ラッチ(S)。
【請求項3】
前記第1ロッド(34)の前記第1ストッパー(342)と前記第1レバー(31)の前記第2接触ゾーン(312)とは、前記第1ロッド(34)と前記第1レバー(31)との再係合を可能にするために、それらの背面が湾曲または傾斜していることを特徴とする請求項2記載の電動ラッチ(S)。
【請求項4】
前記第2レバー(32)が前記第2軸(R2)の周りで回転するときに、前記第2レバー(32)とともに前記第1ロッド(34)の角運動を可能にするため、前記第1ロッド(34)と前記第2ロッド(35)とは、湾曲回転スライドリンク(343)を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電動ラッチ(S)。
【請求項5】
前記第2ロッド(35)は、第1端部に回転リンク(352)を備え、前記ハンドリング手段(351)は、前記回転リンク(352)と前記第2ロッド(35)および前記第1ロッド(34)の接続部との間に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の電動ラッチ(S)。
【請求項6】
前記第1ロッド(34)が係合解除されたときに、前記第1レバー(31)を前記第2位置から前記第1位置に回転して戻すために、前記第1レバー(31)に接続された弾性手段(313)を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電動ラッチ(S)。
【請求項7】
ハウジング(100)を備え、前記ハンドリング手段(351)は、前記開閉パネルの外側からアクセスできるようになっている前記ハウジング(100)の面に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の電動ラッチ(S)。
【請求項8】
前記ハウジング(100)は、前記ストライカ(19)の前に配置されるようになっている前面を備え、前記前面は、前記ストライカ(19)がスライドして前記ボルト(10)に案内されるガイドスロット(110)を備え、ハンドリング手段(351)は前記前面に配置されることを特徴とする請求項7記載の電動ラッチ(S)。
【請求項9】
前記ハンドリング手段(351)は押し込みゾーンであり、前記ハウジング(100)は前記押し込みゾーンの前に配置された開口部を備えることを特徴とする請求項8記載の電動ラッチ(S)。
【請求項10】
前記第1レバー(31)および前記第2レバー(32)の前記第2軸(R2)は、前記ボルト(10)の前記第1軸(R1)に対して垂直であることを特徴とする請求項1または2記載の電動ラッチ(S)。
【請求項11】
前記第2レバー(32)は、前記アクチュエータ(33)によって作動されるウォームネジ(330)と協働する少なくとも1つの歯付端部(320)を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電動ラッチ(S)。
【請求項12】
前記解放装置(20)は、
- 解放位置と阻止位置との間で第3軸(R3)の周りを回転する爪(21)と、
- 第1位置と第2位置との間で第4軸(R4)の周りを回転する第3レバー(22)と、を備え、
前記爪(21)は、前記ボルト(10)の回転を防ぐために、前記爪(21)の前記阻止位置で前記ボルト(10)と係合するようになっている第2ストッパー(211)を備え、前記解放位置では、前記爪(21)は、ボルト(10)から係合解除され、
前記第3レバー(22)は、前記第1レバー(31)の前記第1接触ゾーン(311)と接触する第3ストッパー(221)も備え、前記第1レバー(31)が前記第1位置から前記第2位置に回転することにより、第3レバー(22)を第1位置から第2位置へ回転させ、
前記爪(21)と前記第3レバー(22)は、前記第3レバー(22)が前記第1位置から前記第2位置まで回転すると、前記爪(21)が前記阻止位置から前記解放位置まで回転するように接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の電動ラッチ(S)。
【請求項13】
前記爪(21)を前記阻止位置に回転して戻すために、前記爪(21)に接続された第1弾性手段(214)を備えることを特徴とする請求項12記載の電動ラッチ(S)。
【請求項14】
前記第1レバー(31)が前記第1位置にあるときに、前記第3レバー(22)を前記第1位置に回転して戻すために、前記第3レバー(22)に接続された第2弾性手段(224)を備えることを特徴とする請求項12記載の電動ラッチ(S)。
【請求項15】
前記第3レバー(22)は、前記第3レバー(22)を前記第1位置から前記第2位置まで回転させるために手動作動システム(40)に連結されるようになっている端部(222)を備えることを特徴とする請求項14記載の電動ラッチ(S)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の開閉パネル、特に自動車のドア、ハッチバック、トランク用の電動ラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
本背景技術の記述は、本開示に関連する背景情報を提供するものである。
【0003】
自動車用ラッチは、自動車の開閉パネルに固定して取り付けることを目的としており、通常、開閉パネルを確実に閉めるために、閉鎖中に自動車の構造体に固定されたストライカの周りを一方向に回転することを目的としたボルトを備えている。ドアリーフの開放は、ボルトを逆方向に回転させることで可能となる。フック装置またはストッパーを介して所望の方向にボルトを解放するレバーを回転させるために、開閉パネルが開く間の逆方向の回転は、一般に開閉レバーに作用する制御手段を介してラッチに連動する外部パネルまたは内部パネルの変位に追従する。
【0004】
通常の操作でラッチを電気的に開くプロセスでは、ボルトを保持する爪が電動アクチュエータによって開位置に駆動され、ボルトが開放される。ボルトが爪に保持されなくなると直ちに、ボルトは回転してストライカを解放することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、爪が開位置にあるときに電動アクチュエータが故障したり、電源がダウンしたり不足したりすると、ボルトは自由に回転し、開閉パネルを閉じることができなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの目的は、先行技術の欠点を少なくとも部分的に防止し、電動アクチュエータが故障した場合、または電源がダウンした場合、または不十分な場合に、安全な閉鎖装置を備えた電動ラッチを提供することである。
【0007】
この目的のために、本発明は、自動車の開閉パネル用の電動ラッチに関し、前記電動ラッチは、
- 第1軸の周りを回転し、ストライカと協働するボルトと、
- 初期位置と解放位置との間で移動可能であり、前記ストライカの解放を回避するために、その閉位置において前記ボルトの回転を阻止するようになっている解放装置と、
- 前記解放装置を前記初期位置から前記解放位置まで移動させるようになっている電動作動装置と、を備え、
前記電動作動装置は、
- 第1位置と第2位置との間で第2軸の周りを回転し、前記解放装置との第1接触ゾーンを備える第1レバーであって、前記第1位置から前記第2位置への前記第1レバーの回転が前記解放装置を前記初期位置から前記解放位置まで押し込み、
- 前記第1レバーのように前記第2軸の周りを第1位置と第2位置との間で回転し、アクチュエータによって前記第1位置と前記第2位置との間で移動する第2レバーと
- 前記第2レバーに連結され、前記第2レバーによって前記第2軸の周りを角運動させられ、かつ、前記第1レバーを前記第1位置から前記第2位置まで回転させるために、前記第2レバーの前記第1位置から前記第2位置までの回転を前記第1レバーに伝達するために、前記第1レバーにも係合している第1ロッドと、
- 前記電動ラッチの外側から操作されるようになっているハンドリング手段を備え、操作時に前記第1ロッドを前記第1レバーから係合解除するために、前記第1ロッドにも接続されている第2ロッドと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記第1ロッドは前記第2レバーとの回転リンクを有し、前記回転リンクは前記第2レバーの前記第2軸からオフセットされており、前記第1ロッドは、前記第1レバーの第2接触ゾーンと接触する第1ストッパーも備えており、操作時に、前記第2ロッドがその前記回転リンクの周りで前記第1ロッドを回転させ、前記第1ストッパーを前記第1レバーから係合解除することを特徴とする。
【0009】
本発明の別の態様によれば、前記第1ロッドの前記第1ストッパーと前記第1レバーの前記第2接触ゾーンとは、前記第1ロッドと前記第1レバーとの再係合を可能にするために、それらの背面が湾曲または傾斜していることを特徴とする。
【0010】
本発明の別の態様によれば、前記第2レバーが前記第2軸の周りで回転するときに、前記第2レバーとともに前記第1ロッドの角運動を可能にするため、前記第1ロッドと前記第2ロッドとは、湾曲回転スライドリンクを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の別の態様によれば、前記第2ロッドは、第1端部に回転リンクを備えることができ、前記ハンドリング手段は、前記回転リンクと前記第2ロッドおよび前記第1ロッドの接続部との間に配置されることができることを特徴とする。
【0012】
本発明の別の態様によれば、前記電動ラッチは、前記第1ロッドが係合解除されたときに、前記第1レバーを前記第2位置から前記第1位置に回転して戻すために、前記第1レバーに接続された弾性手段を備えることができることを特徴とする。
【0013】
本発明の別の態様によれば、前記電動ラッチは、ハウジングを備えることができ、前記ハンドリング手段は、前記開閉パネルの外側からアクセスできるようになっている前記ハウジングの面に配置されることを特徴とする。
【0014】
本発明の別の態様によれば、前記ハウジングは、前記ストライカの前に配置されるようになっている前面を備えることができ、前記前面は、前記ストライカがスライドして前記ボルトに案内されるガイドスロットを備え、ハンドリング手段は前記前面に配置されることができることを特徴とする。
【0015】
本発明の別の態様によれば、前記ハンドリング手段は押し込みゾーンとすることができ、前記ハウジングは前記押し込みゾーンの前に配置された開口部を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の別の態様によれば、前記第1レバーおよび前記第2レバーの前記第2軸は、前記ボルトの前記第1軸に対して垂直とすることができることを特徴とする。
【0017】
本発明の別の態様によれば、前記第2レバーは、前記アクチュエータによって作動されるウォームネジと協働する少なくとも1つの歯付端部を備えることができることを特徴とする。
【0018】
本発明の別の態様によれば、前記解放装置は、
- 解放位置と阻止位置との間で第3軸の周りを回転する爪と、
- 第1位置と第2位置との間で第4軸の周りを回転する第3レバーと、を備えることができ、
前記爪は、前記ボルトの回転を防ぐために、前記爪の前記阻止位置で前記ボルトと係合するようになっている第2ストッパーを備え、前記解放位置では、前記爪は、ボルトから係合解除され、
前記第3レバーは、前記第1レバーの前記第1接触ゾーンと接触する第3ストッパーも備え、前記第1レバーが前記第1位置から前記第2位置に回転することにより、第3レバーを第1位置から第2位置へ回転させ、
前記爪と前記第3レバーは、前記第3レバーが前記第1位置から前記第2位置まで回転すると、前記爪が前記阻止位置から前記解放位置まで回転するように接続されることができることを特徴とする。
【0019】
本発明の別の態様によれば、前記爪を前記阻止位置に回転して戻すために、前記爪に接続された第1弾性手段を備えることができることを特徴とする。
【0020】
本発明の別の態様によれば、前記第1レバーが前記第1位置にあるときに、前記第3レバーを前記第1位置に回転して戻すために、前記第3レバーに接続された第2弾性手段を備えることができることを特徴とする。
【0021】
本発明の別の態様によれば、前記第3レバーは、前記第3レバーを前記第1位置から前記第2位置まで回転させるために手動作動システムに連結されるようになっている端部を備えることができることを特徴とする。
【0022】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照し、非限定的な例として与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ハウジングを備えたラッチの正面の模式図である。
図2】ハウジングを除いた図1のラッチの正面の模式図である。
図3】ハウジングを除いた図1のラッチの背面の模式図である。
図4】ハウジングを除いた図1のラッチの模式的斜視図である。
図5】第1レバーと第3レバーとの間の接続を示す模式図である。
図6】第1レバーと第1ロッドとの間の接続を示す模式図である。
図7】爪とボルトとの間の接続を示す模式図である。
図8】第3レバーと爪との間の接続を示す模式図である。
図9】アクチュエータが故障した場合の作動装置の動きを示す模式図である。
図10】アクチュエータが故障した場合の作動装置の動きを示す模式図である。
図11】アクチュエータが故障した場合の作動装置の動きを示す模式図である。
図12】アクチュエータが故障した場合の作動装置の動きを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
これらの図において、同一の要素には同一の符号が付されている。以下の実施形態は例示である。本明細書では1つ以上の実施形態に言及しているが、これは必ずしも各参照が同じ実施形態に関連すること、または特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の個々の特徴を組み合わせて、または入れ替えて、他の実施形態を提供することもできる。
【0025】
図1~4は、X、Y、Zの3つの軸を持つ三面体を有している。X軸は、例えば開閉パネルの開位置から閉位置までの変位に対応する長手方向軸を表す。Y軸は、長手方向軸Xに垂直な軸、例えば自動車の高さに対応する高さ軸を表す。Z軸は、長手方向軸Xと高さ軸Yの両方に垂直な奥行き軸、たとえば自動車の長さを表す。
【0026】
図1図4は、自動車の開閉パネル用の電動ラッチSを異なる視点から示している。
【0027】
電動ラッチSは、第1軸R1の周りを回転し、ストライカ19と協働するようになっているボルト10を備える。図1図4に示す例では、第1軸R1は奥行き軸Zと平行である。ボルト10は、ストライカ19を受け入れるようになっているノッチ12の境界を定めるフォーク状の形状を有することができる。ラッチSのロック位置では、ストライカ19の解放を回避するために、ボルト10の回転が少なくとも一方向において阻止される。
【0028】
電動ラッチSは、初期位置と解除位置との間で移動可能な解放装置20も備えている。初期位置では、解放装置20は、ストライカ19の解除を回避するためにボルト10の回転を阻止するようになっている。この解放装置20については、本明細書において後に詳述する。
【0029】
電動ラッチSは、解放装置20を初期位置から解放位置まで移動させるようになっている電動作動装置30を備える。図4に示すように、この電動作動装置30は、運動学的動きで互いにリンクされた第1レバー31、第2レバー32、第1ロッド34および第2ロッド35を備える。
【0030】
電動作動装置30は、第1位置と第2位置との間で第2軸R2の周りを回転する第1レバー31を備える。図4に示す例では、第2軸R2は長手方向軸Xと平行である。したがって、第1レバー31の第2軸R2はボルト10の第1軸R1に対して垂直にすることができる。
【0031】
第1レバー31は、解放装置20との第1接触ゾーン311を備える。この第1接触ゾーン311は、図5に詳細に示されている。図5において、第1レバー31は第1位置にあり、解放装置20は初期位置にある。第1レバー31が第1位置から第2位置へ回転すること、ここでは時計回りに回転することにより、解放装置20を初期位置から解放位置まで押し込む。
【0032】
図4に示すように、電動作動装置30は、第1レバー31と同じ第2軸R2の周りで第1位置と第2位置との間で回転する第2レバー32を備える。第2レバー32は、アクチュエータ33によって第1位置と第2位置との間で動かされる。第2レバー32は、アクチュエータ33によって作動されるウォームネジ330と協働する少なくとも1つの歯付端部320を備える。
【0033】
さらに図4に示すように、電動作動装置30は、第2レバー32に連結された第1ロッド34を備える。この第1ロッド34は、第2軸R2の周りで角運動し、第2レバー32によって駆動される。第1ロッド34は、当該第1レバー31を第1位置から第2位置まで回転させるために、第2レバー32の第1位置から第2位置までの回転を第1レバー31に伝達するために、第1レバー31にも係合している。図6により詳細に示すように、第1ロッド34は、第2レバー32と共に回転リンク341を有することができる。この回転リンク341は、第2レバー32の第2軸R2からオフセットされることができる。
【0034】
さらに図4に示すように、電動作動装置30は第2ロッド35も備える。この第2ロッド35は、電動ラッチSの外部から操作されるようになっているハンドリング手段351を備えている。第2ロッド35は、操作時に第1ロッド34を第1レバー31から係合解除するために、第1ロッド34にも接続されている。
【0035】
電動作動装置30のこの特別な設計により、解放装置20をその初期位置に戻すために、故障したアクチュエータ33を解放装置20から係合解除することができる。 これにより、ストライカ19の解放を回避するためにボルト10を再度阻止することができる。また、アクチュエータ33が故障した場合でも、開閉パネルをロックすることができる。
【0036】
第2ロッド35は、例えば電動ラッチSのハウジング100を備えた第1端部に回転リンク352を備えることができる。したがって、ハンドリング手段351は、回転リンク352と、第2ロッド35および第1ロッド34の接続部との間に配置することができる。したがって、第2ロッド35は、第1ロッド34を第1レバー31から係合解除するためのレバーとして機能する。
【0037】
図6に示すように、第1ロッド34は、第1レバー31の第2接触ゾーン312に接触する第1ストッパー342を備えることもできる。操作時に、第2ロッド35は、回転リンク341の周りで第1ロッド34を回転させ、第1ストッパー342を第1レバー31から係合解除することができる。第1ロッド34と第1レバー31との再係合を可能にするために、第1ロッド34の第1ストッパー342と第1レバー31の第2接触ゾーン312とは、第1ストッパー342と第2接触ゾーン312との対向する面が接触し、湾曲し、または傾斜する背面を有することができる。
【0038】
第1ロッド34および第2ロッド35は、第2レバー32が第2軸R2の周りを回転するときに、第2レバー32と共に第1ロッド34の角運動を可能にするために、湾曲回転スライドリンク343を備えることができる。
【0039】
例えば図1に示すように、電動ラッチSはハウジング100を備えることができる。有利なことに、第2ロッド35のハンドリング手段351は、開閉パネルの外側からアクセスできるようになっているハウジング100の面上に配置されることができる。
【0040】
ハンドリング手段351は、押し込みゾーンとすることができる。したがって、ハウジング100は、開閉パネルの外側からアクセスできるように、当該押し込みゾーンの前に配置された開口部を備えることができる。この押し込みゾーン351は、図1から図4に示すように、電動ラッチSの内部に設けることができる。この場合、押し込みゾーン351を押すために、例えば車両のキーなどの工具が必要となる場合がある。押し込みゾーン351は、ハウジング100内のこの開口部を通過し、当該ハウジング100の外側から直接アクセス可能にすることもできる。
【0041】
ハウジング100は、ストライカ19の前に配置されるようになっている前面を備えることができる。この前面は、ストライカ19がスライドしてボルト10に案内されることができるガイドスロット110を備えることができる。ハンドリング手段351は、有利なことに、当該前面に配置されることができる。この配置により、開閉パネル内でハンドリング手段351へのアクセスを管理するための追加の機械加工を行うことなく、ハンドリング手段に直接アクセスできるようになる。
【0042】
図2から図4に示すように、解放装置20は、爪21および第3レバー22を備えることができる。
【0043】
爪21は、ボルト10の解放位置と阻止位置との間で第3軸R3の周りを回転することができる。図7にさらに詳細に示すように、爪21は、爪21の阻止位置でボルト10と係合するようになっている第2ストッパー211を備えることができる。したがって、阻止位置では、爪21はボルト10の回転を防止する。解放位置では、爪21はボルト10から係合解除されて、ボルト10の回転を可能にする。図1から図4および図7では、爪21は阻止位置にある。このとき、解放装置20はその初期位置にある。
【0044】
第3レバー22は、第1位置と第2位置との間で第4軸R4の周りを回転することができる。図1から図4および図5では、第3レバー22は第1位置にある。図5に示すように、第3レバー22は、第1レバー31の第1接触ゾーン311と接触する第3ストッパー221を備えることもできる。第1レバー31が第1位置から第2位置に回転すると、第3レバー22が第1位置から第2位置に回転する。
【0045】
第3レバー22は、当該第3レバー22を第1位置から第2位置まで回転させるために手動作動システム40に連結される端部222を備えることができる。図1に示す例では、この作動システムは、第1端部が第3レバー22に接続され、第2端部がハンドル(図示せず)に接続されたケーブル40である。
【0046】
爪21と第3レバー22とは、第3レバー22の第1位置から第2位置への回転により、爪21が阻止位置から解放位置へ回転するように接続することができる。図8に示すように、爪21と第3レバー22との間のこの接続は、これらの要素の1つによって支えられる突起部213によって行うことができる。この突起部213は、他の要素によって支えられるノッチ223内に配置されることができる。図示の例では、突起部213は爪21によって支えられ、ノッチ223は第3レバー22によって支えられる。爪21と第3レバー22との間のこの接続は、どちらの方法でも有効である。第3レバー22が第1位置から第2位置まで回転すると、爪21が阻止位置から解放位置まで回転する。逆に、第3レバー22が第2位置から第1位置に回転すると、爪21が解放位置から阻止位置まで回転する。
【0047】
電動ラッチSは、解放装置20を解放位置から初期位置に受動的に戻すための少なくとも1つの弾性手段214、224を備えることもできる。したがって、電動ラッチSは、当該爪21をその阻止位置に回転して戻すために、爪21に接続された第1弾性手段214(図7に示される)を備えることもできる。電動ラッチSはまた、第1レバー31が第1位置にあるときに、第3レバー22を第1位置に回転して戻すために、単独で、または第1弾性手段214と組み合わせて、第3レバー22に接続された第2弾性手段224(図3に示される)を備えることもできる。
【0048】
ラッチSは、第1ロッド34が係合解除されたときに当該第1レバー31を第2位置から第1位置に回転して戻すために、第1レバー31に接続された専用弾性手段313(図5および図6に示される)を備えることもできる。
【0049】
前述したように、図1から図8では、解放装置20は、初期位置にある。第1レバー31および第2レバー32は、ともに第1位置にある。
【0050】
図9から図12は、電動ラッチSを示し、より具体的には、アクチュエータ33が故障した場合の電動作動装置30の動きを示す。
【0051】
図9では、電動ラッチSが解放されている。アクチュエータ33は、第2レバー32を第2位置に駆動する。第1ロッド34は、第1レバー31に係合し、第2レバー32の回転を第1レバー31に伝達する。第2ロッド35は、第1ロッド34と共に湾曲回転スライドリンク343のおかげで所定の位置に留まる。第1レバー31は、ここでは第3レバー22の第3ストッパー221を押し込んで爪21を解放位置に移動させることによって、解放装置20を解放位置に移動させる。
【0052】
図10は、アクチュエータ33に故障がある場合、またはアクチュエータ33の電力供給が不十分な場合の安全手順の第1ステップを示す。電動ラッチS、より具体的には解放装置20も、解放位置で阻止される。ここでは、第2レバー32は、第2位置で阻止される。この第1のステップでは、第1ロッド34を係合解除するために、第2ロッド35のハンドリング手段351が押し込まれる。
【0053】
図11は、安全手順の第2ステップを示す。第1ロッド34と第1レバー31とが係合解除されることにより、第1レバー31は、第2軸R2の周りを自由に回転する。第1レバー31は、例えば専用弾性手段313のおかげで、受動的に第2位置から第1位置に回転して戻る。解放装置20も、第1弾性手段214および/または第2弾性手段224のおかげで、第3レバー22および/または爪21がそれぞれ第1位置および阻止位置に受動的に戻ることによって、初期位置に戻る。第2レバー32および第1ロッド34は、第2軸R2の周りを回転せずに、所定の位置に留まる。
【0054】
図12は、安全手順の第3ステップを示す。この第3ステップでは、第2ロッド35および第1ロッド34がそれぞれ初期位置に戻る。しかし、第1ロッド34はまだ第1レバー31と再係合していない。第1ロッド34の第1ストッパー342は、第1レバー31の第2接触ゾーン312の前方に位置していない。第1ロッド34と第1のレバー31とを再係合させるには、第2レバー32を第1位置に戻さなければならない。これは、アクチュエータ33の故障の原因が解決された場合にのみ可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 自動車用アクセスアセンブリ
3 ハンドル
10 ボルト
12 ノッチ
19 ストライカ
20 解放装置
21 爪
22 第3レバー
30 電動作動装置
31 第1レバー
32 第2レバー
33 アクチュエータ
34 第1ロッド
35 第2ロッド
40 手動作動システム(ケーブル)
100 ハウジング
110 ガイドスロット
211 第2ストッパー
213 突起部
214 第1弾性手段
221 第3ストッパー
222 端部
223 ノッチ
224 第2弾性手段
311 第1接触ゾーン
312 第2接触ゾーン
313 専用弾性手段
320 歯付端部
330 ウォームネジ
341 回転リンク
342 第1ストッパー
343 湾曲回転スライドリンク
351 ハンドリング手段(押し込みゾーン)
352 回転リンク
R1 第1軸
R2 第2軸
R3 第3軸
R4 第4軸
S 電動ラッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】