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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095577
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】配管固定装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/10 20060101AFI20240703BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
F16L3/10 Z
F16B2/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214470
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2022211871
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池本 正雄
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AA05
3H023AB07
3H023AC08
3H023AD26
3H023AD38
3H023AD55
3J022DA11
3J022DA12
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC17
3J022EC22
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA12
(57)【要約】
【課題】 入手の容易な肉薄鋼板で製作でき、異なる管径の配管に共用できる配管固定装置を提供する。
【解決手段】 配管Pを支持する支持部材Sに固定される本体2と、この本体2との間に配管Pを挟む把持部材3とを具備させ、本体2及び把持部材3は配管Pの外周面を受け入れる把持凹部7a,9aをそれぞれ備え、本体2及び把持部材3相互をボルト4で締結する配管固定装置1を構成する。本体2は、把持凹部7aをそれぞれ備えた間隔を置いて対向する一対の板状の挟持要素7,7と、一対の挟持要素7,7の両側部にボルト4を貫通させる接続部8とを具備させる。把持部材3は、把持凹部9aを備えて挟持要素7,7間に挿入可能な板状の挟持部9と、挟持部9の両側部にボルト4を貫通させる接続部10とを具備させる。把持凹部7a,9aは、両端から中央に向かって対称に傾斜するように例えば略三角形状に形成する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を支持する支持部材に固定される本体と、この本体との間に配管を挟む把持部材とを具備し、これら本体及び把持部材が配管の外周面を受け入れる把持凹部をそれぞれ備え、相互をボルトで締結する配管固定装置において、
前記本体は、前記把持凹部をそれぞれ備えた、間隔を置いて対面する一対の板状の挟持要素と、前記一対の挟持要素の両側部に板面に沿って前記ボルトを貫通させる第1の接続部とを具備し、
前記把持部材は、前記把持凹部を備えて前記挟持要素間に挿入可能な板状の挟持部と、前記挟持部の両側部に板面に沿って前記ボルトを貫通させる第2の接続部とを具備し、
前記両把持凹部は、両端から中央に向かって対称に傾斜することを特徴とする配管固定装置。
【請求項2】
前記両把持凹部は、傾斜が直線的な略三角形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の配管固定装置。
【請求項3】
前記両把持凹部は、長軸が前記本体と前記把持部材の並び方向である略半楕円状をなすことを特徴とする請求項1に記載の配管固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管を拘束しつつ支持するための配管固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電設備などを構成する配管が自重、機械荷重、流体振動、熱膨張及び地震などの外力を受けたときに、いずれの方向へも変位しないように固定する配管固定装置が特許文献1に開示されている。この配管固定装置は、配管を支持する支持部材に固定される第1の把持部材と、配管を挟んでボルトで締結する第2の把持部材とを具備する。両把持部材は、配管の外周面を受け入れる把持溝をそれぞれ備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-080998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置においては、強固に配管を固定するために両把持部材が配管の軸方向に肉厚のブロック状をなし、鋼材を削り出して形成するものであるため、限定的な需要に伴う小規模な市場流通性によって調達が困難であり、高額となり、かつ材料手配から製作完了までのリードタイムが長くなる。また、管径の異なる配管ごとに適合する把持溝を形成した把持部材を製作する必要があるので、把持部材を共用化できず、製品のロットサイズを少なくせざるを得ず、コスト高および仕掛品の増加を招き、流通の効率化を妨げる。
一方、配管を確実に拘束するためにボルトの軸力を高める必要があるが、呼び径の大きなボルトを用いれば、ボルト単価が増すし、締付トルクを高めれば、作業負担が大きくなり、さらに配管のサイズに応じて締付トルクを変更せざるを得ず、締め込み作業が煩雑となるなどの難点がある。
そこで、この出願に係る発明は、肉厚鋼板を使用することなく、入手の容易な鋼板で製作でき、異なる管径の配管に容易に対応して必要な拘束力を発生し、製作コストを低減し、組み付け作業の負担を軽減する配管固定装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この出願に係る発明においては、配管Pを支持する支持部材Sに固定される本体2と、この本体2との間に配管Pを挟む把持部材3とを具備させ、本体2及び把持部材3は配管Pの外周面を受け入れる把持凹部7a,9aをそれぞれ備え、本体2及び把持部材3の相互をボルト4で締結する配管固定装置1を構成する。本体2は、把持凹部7aをそれぞれ備えた間隔を置いて対面する一対の板状の挟持要素7,7と、一対の挟持要素7,7の両側部に板面に沿ってボルト4を貫通させる第1の接続部8とを具備させる。把持部材3は、挟持要素7,7間に挿入可能な板状の挟持部9と、挟持部9の両側部に板面に沿ってボルト4を貫通させる第2の接続部10とを具備させる。把持凹部7a,9aは、両端から中央に向かって対称に傾斜するように略三角形状や、長軸が本体2と把持部材3の並び方向とする略半楕円状に形成する。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の装置によれば、主部材を汎用の鋼板で製作できるので、材料の調達及び製作が容易で安価に提供でき、また異なる管径の配管に対して画一的な製品で無段階に共用でき、材料の調達から製品の保管まで管理を効率化することができる。
特に、把持凹部を両端から中央に向かって対称に傾斜させれば、画一形状であっても管径の異なる配管に対応することができ、径ごとに異なる把持凹部を備えた本体及び把持部材を準備する必要がない。
さらに、把持凹部を略半楕円状にすれば、配管の管径に応じた接触角に基づくくさび効果により配管の管径に応じた拘束力を発生し、ボルトの無駄な大型化を阻止して製作コストを低減し、さらにボルトの一定の締め込みトルクで組み付け作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る配管固定装置の分解斜視図である。
図2図1の配管固定装置の使用状態の上方から見た斜視図である。
図3図1の配管固定装置の使用状態の下方から見た斜視図である。
図4図1の配管固定装置の正面図である。
図5図1の配管固定装置の側面図である。
図6図1の配管固定装置の平面図である。
図7図1の配管固定装置の径の異なる配管に対する使用状態の正面図である。
図8】他の実施形態の配管固定装置の径の異なる配管に対する使用状態の正面図である。
図9図8の配管固定装置の径の異なる配管に対する接触角の相違を示す説明図である。
図10】接触角とくさび効果の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図6において、配管固定装置1は、配管Pを支持する支持部材Sに固定される本体2と、この本体2との間に配管Pを挟んでボルト4,ナット5で締め止められる把持部材3とを具備する。以下、便宜上、配管Pに対して、支持部材S側を「下方」、その反対側を「上方」として説明するが、配管の支持態様や延長方向によって、現実の上方、下方とは必ずしも一致しない。
【0009】
本体2は、角パイプやH型鋼材などで構成される既設の支持架構である支持部材Sに溶接やボルト接合などの周知の固定方法により固着される。本体2は、間隔を置いて対面する一対の挟持要素7,7からなる第1の挟持部6と、第1の挟持部6に把持部材3をボルト止めする平行一対の第1の接続部8,8とを備えている。挟持要素7は、比較的薄肉の矩形の鋼板からなり、配管Pの下部を受け入れるように上辺部の中間に中央に向かうに従って下方へ直線的に傾斜した略V字状の把持凹部7aを備える。第1の接続部8は、挟持要素7の相互間の両側部に板面に沿った軸線を有し、挟持要素7の上端面から下方へ離れた位置に設けられている。
【0010】
把持部材3は、比較的薄肉の矩形の鋼板材からなる第2の挟持部9と、本体2にボルト止めする第2の接続部10とを具備する。第2の挟持部9は、第1の挟持部6の挟持要素7,7間に出入り可能に係合する。第2の挟持部9は、配管Pの上部を受け入れるように、把持凹部7aと同様に、下辺部の中間に中央に向かうに従って上方へ直線的に傾斜した逆V字状の把持凹部9aを備える。接続部10は、第2の挟持部9の両側端に板面に沿った軸線を有し、第2の挟持部9の下端面から上方へ離れた位置に第1の接続部8と同軸に設けられている。
【0011】
この配管固定装置1は、配管Pを本体2と把持部材3により上下に挟み込み、ボルト4,ナット5を規定のトルクで締結することにより固定する。管径の異なる配管Pについては、図7(A)(B)に示すように、第1,第2の挟持部6,9の相対位置にかかわらず把持凹部7a及び9aが配管Pを受け入れるため、画一形状であっても管径の異なる配管Pに対応することができ、径ごとに異なる把持凹部を備えた本体2及び把持部材3を準備する必要がない。挟持要素7及び第2の挟持部9は、一般に広く流通する薄肉鋼板材からなり、また多種の配管に共用できるため、材料の調達、製作、保管に関して管理上好都合である。
【0012】
他の実施形態を図8に示す。なお、同図中先の実施形態と同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
配管固定装置11の挟持要素7における配管Pの下部を受け入れる把持凹部12は、両端から中央に向かうに従って下方に傾斜し外側へ膨らむように湾曲した上下方向の長軸を有する略半楕円状をなす。把持部材3の第2の挟持部9における配管Pの上部を受け入れる把持凹部13は、両端から中央に向かうに従って上方に傾斜し外側へ膨らむように湾曲した上下方向の長軸を有する略半楕円状をなす。
【0013】
この配管固定装置11は、配管Pを受け入れる把持凹部12,13を半楕円状に形成したことにより、図9に示すように、配管Pの中心から本体2と把持部材3の合わせ目方向に対する配管Pと挟持要素7の輪郭縁の接触位置を示す接触角が配管Pの管径が大きいほど小さくなる。因みに先の実施形態における三角形状の把持凹部7a,9aでは当該接触角が配管の管径にかかわらず一定になる。一方、把持凹部12,13の当該接触角に対する配管の拘束力は、図10に示すように、くさび効果により接触角が小さいほど配管の拘束力を増大させる関係がある。従って、半楕円状の把持凹部12,13は、配管の管径に応じた配管拘束力を発生することができ、ボルト4の一定の締付トルクでかさ上げして異なる管径の配管に必要な拘束力を発生することができ、この結果、作業の負担が軽減し、締め込みトルクの変更の煩雑さを解消する。
【符号の説明】
【0014】
1 配管固定装置
2 本体
3 把持部材
4 ボルト
5 ナット
6 第1の挟持部
7 挟持要素
7a 把持凹部
8 接続部
9 第2の挟持部
9a 把持凹部
10 接続部
11 配管固定装置
12 把持凹部
13 把持凹部
S 支持部材
P 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10