(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095585
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】自動車照明用照明モジュール及び照明モジュールの駆動方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/04 20060101AFI20240703BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240703BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240703BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240703BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20240703BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20240703BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20240703BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240703BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240703BHJP
【FI】
B60Q1/04 E
H05B45/10
H05B47/16
F21V9/40 400
F21V7/00 590
F21V14/04
B60Q1/00 C
F21Y115:10
F21W102:13
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215994
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】22216978.1
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】エーリク ハース
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス アイグナー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ミートラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ジュ カン
(72)【発明者】
【氏名】サングドゥ クォン
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA37
3K273RA04
3K273TA15
3K273TA23
3K273TA62
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA08
3K339BA18
3K339BA28
3K339CA01
3K339DA01
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA03
3K339HA05
3K339JA21
3K339KA06
3K339KA23
3K339KA29
3K339LA06
3K339MA10
3K339MC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】その制御が可及的にコスト的に好都合かつロバストな照明モジュールの提供。
【解決手段】光源10、投影ユニット20、偏向ユニット30及び制御ユニット40を含む自動車照明用の照明モジュール。光源10は光制御信号41を受信し、該光制御信号41に依存して空間変調光11を放射するよう構成されている。投影ユニット20は、光源10から放射された空間変調光11を投影角度範囲Pの内部において前記照明モジュール1の前方へ投影するよう構成されている。偏向ユニット30は偏向制御信号42を受信し、光源10から放射された空間変調光11の照明モジュール1の前方への投影12が投影角度範囲Pの内部においてシフト角Wでシフト可能であるように光源10から放射された空間変調光11を偏向制御信号42に依存して操作するよう構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(10)、投影ユニット(20)、偏向ユニット(30)及び制御ユニット(40)を含む、自動車照明用の照明モジュールであって、
前記光源(10)は、光制御信号(41)を受信し、前記光制御信号(41)に依存して空間変調光(11)を放射するよう、構成されており、
前記投影ユニット(20)は、前記光源(10)から放射された空間変調光(11)を投影角度範囲(P)の内部において前記照明モジュール(1)の前方へ投影するよう、構成されており、
前記偏向ユニット(30)は、偏向制御信号(42)を受信し、前記光源(10)から放射された空間変調光(11)の前記照明モジュール(1)の前方への投影(12)が前記投影角度範囲(P)の内部においてシフト角(W)でシフト可能であるように、前記光源(10)から放射された空間変調光(11)を前記偏向制御信号(42)に依存して操作するよう、構成されており、
前記制御ユニット(40)は、入力信号(43)を受信し、評価し、それに基づいて制御信号(41)を前記光源(10)へ送信するよう、構成されており、
前記入力信号(43)は、第1時間範囲(T1)において、少なくとも部分的に、前記光源(10)の前記放射された空間変調光を代表する第1光データブロック(43a1)を含み、かつ、この第1光データブロックには、同じ第1時間範囲(T1)において第1シフト角(WT1)を代表する第1偏向データ(43b1)が含まれていること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の照明モジュールにおいて、
前記制御ユニット(40)は、前記入力信号(43)の前記第1光データブロック(43a1)から第1光制御信号(41T1)及び第1偏向制御信号(42T1)を抽出し、かつ、前記第1偏向制御信号(42T1)を前記第1時間範囲(T1)において前記偏向ユニット(30)へかつ前記第1光制御信号(41T1)を前記第1時間範囲(T1)において前記光源(10)へ送信するよう、構成されており、これによって、前記空間変調光(11)が前記第1時間範囲(T1)において前記光源(10)から放射されると直ぐに、前記光源(10)の前記空間変調光の投影(12)は前記第1時間範囲(T1)において第1シフト角(WT1)だけシフトされること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の照明モジュールにおいて、
前記制御ユニットは、前記第1光データブロック(43a1)から第1光制御信号(41T1)及び第1偏向データ(43b1)を抽出し、かつ、前記第1時間範囲(T1)における前記放射された空間変調光(11)の一部分(11’)が同じ第1時間範囲(T1)における前記第1シフト角(WT1)についての情報を含むよう、前記第1偏向データ(43b1)を前記第1光制御信号(41T1)へ組み込むよう、構成されており、
前記照明モジュール(1)は、更に、受光器(50)を有し、前記受光器(50)は、前記光源(10)の前記放射された空間変調光の前記一部分(11’)を受光し、但し当該一部分は前記第1時間範囲(T1)における前記第1シフト角(WT1)についての情報を含み、かつ、それに基づいて第1偏向制御信号(42T1)を前記偏向ユニット(30)へ送信するよう構成されており、これによって、前記空間変調光(11)が前記第1時間範囲(T1)において前記光源(10)から放射されると直ぐに、前記光源(10)の前記空間変調光の投影(12)は前記第1時間範囲(T1)において第1シフト角(WT1)だけシフトされること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の照明モジュールにおいて、
前記入力信号(43)は、夫々偏向データ(43b1、43b2、43bN)を有し時間的に順次の複数の光データブロック(43a1、43a2、43aN)を含み、これによって、時間的に順次の複数の時間範囲(T1、T2、Tn)が規定され、但し当該時間範囲においては夫々偏向データ(43b1、43b2、43bN)を有する個別の光データブロック(43a1、43a2、43aN)の各々が前記光源の前記放射された空間変調光と夫々の時間範囲(T1、T2、Tn)における前記シフト角(WT1、WT2、WTn)とを代表し、夫々の時間範囲(T1、T2、Tn)の期間は実質的に同じでありかつ5ms~50msであること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の照明モジュールにおいて、
前記時間的に順次の複数の光データブロック(43a1、43a2、43aN)のn番目毎の光データブロックは互いに同一でありかつ1より大きい自然数nに相当する偏向データを含むこと
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の照明モジュールにおいて、
前記入力信号(43)は上位制御ユニット(140)から提供されること、
前記上位制御ユニット(140)は、目標画像から、少なくとも、夫々偏向データ(43b1、43b3)を有する前記第1光データブロック(43a1)及び第2光データブロック(43a2)を生成するよう、構成されており、これによって、前記第1時間範囲(T1)の前記光源(10)の前記放射された空間変調光(11)の投影(12)は第2時間範囲(T2)の前記光源(10)の前記放射された空間変調光(11)の投影(12)と重ね合わされて実質的に前記目標画像を生成すること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項7】
請求項1に記載の照明モジュールにおいて、
前記光源(10)から放射された空間変調光(11)は複数の光セグメント(13)を含み、前記第1光データブロックは、前記第1時間範囲(T1)において前記複数の光セグメント(13)の少なくとも一部分の光強度を規定する強度値(I1、I2、In)を含むこと
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の照明モジュールにおいて、
前記強度値(I1、I2、In)は夫々4~32ビットのビット深度を有し、前記第1偏向データ(43b1)はこのビット深度の少なくとも1ビットに組み込まれること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項9】
請求項7に記載の照明モジュールにおいて、
前記第1光データブロックは、複数のチャンネル(Vs、R、G、B)を有し、少なくとも1つのチャンネル(Vs、R、G、B)は前記第1偏向データ(43b1)を含むこと
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載の照明モジュールを備える、自動車。
【請求項11】
請求項10に記載の自動車において、
前記自動車は前記照明モジュール(1)と構造的に同一である少なくとも1つの第2の照明モジュールを有し、該第2の照明モジュールの制御ユニットは前記照明モジュール(1)の制御ユニット(40)と同じ入力信号(43)を受信し、前記第1光データブロック(43a1)は、更に、前記照明モジュール(1)又は前記更なる照明モジュールに特異的に割り当て可能な識別子を含むこと
を特徴とする、自動車。
【請求項12】
自動車照明のための照明モジュール(1)を駆動する方法であって、
前記照明モジュールは光源(10)、投影ユニット(20)、偏向ユニット(30)及び制御ユニット(40)を含み、
前記光源(10)は、光制御信号(41)を受信し、前記光制御信号(41)に依存して空間変調光(11)を放射するよう、構成されており、
前記投影ユニット(20)は、前記光源(10)から放射された空間変調光(11)を投影角度範囲(P)の内部において前記照明モジュール(1)の前方へ投影するよう、構成されており、
前記偏向ユニット(30)は、偏向制御信号(42)を受信し、前記光源(10)から放射された空間変調光(11)の前記照明モジュール(1)の前方への投影(12)が前記投影角度範囲(P)の内部においてシフト角(W)でシフト可能であるように、前記光源(10)から放射された空間変調光(11)を前記偏向制御信号(42)に依存して操作するよう、構成されており、
前記方法は以下のステップ:
a)第1時間範囲(T1)において、少なくとも部分的に、前記光源(10)の前記放射された空間変調光を代表する第1光データブロック(43a1)を提供すること、
b)同じ第1時間範囲(T1)において、第1シフト角(WT1)を代表する第1偏向データ(43b1)を提供すること、
c)前記第1偏向データ(43b1)を前記第1光データブロック(43a1)へ組み込むこと、
d)前記第1光データブロック(43a1)を、組み込まれた第1偏向データ(43b1)と一緒に、入力信号(43)を介して前記制御ユニット(40)へ伝送すること、
e)前記制御ユニット(40)によって前記入力信号(43)を評価すること、
f)前記第1光データブロック(43a1)に応じて、前記第1時間範囲(T1)において第1光制御信号(41T1)を前記光源(10)へ提供すること、
g)前記第1光データブロック(43a1)に組み込まれた前記第1偏向データ(43b1)に応じて、同じ第1時間範囲(T1)において第1偏向制御信号(42T1)を前記偏向ユニット(30)へ提供すること
を含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記ステップe)において、前記制御ユニット(40)は前記第1光データブロック(43a1)から第1光制御信号(41T1)及び第1偏向制御信号(42T1)を抽出し、前記ステップf)において、前記制御ユニット(40)は前記第1光制御信号(41T1)を前記第1時間範囲(T1)において前記光源(10)へ出力し、前記ステップg)において、前記制御ユニット(40)は前記第1偏向制御信号(42T1)を同じ第1時間範囲(T1)において前記偏向ユニット(30)へ出力し、これによって、前記空間変調光(11)が前記第1時間範囲(T1)において前記光源(10)から放射されると直ぐに、前記光源(10)の前記空間変調光の投影(12)は前記第1時間範囲(T1)において第1シフト角(WT1)だけシフトされること
を特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法でおいて、
前記ステップe)において、前記制御ユニット(40)は、前記第1光データブロック(43a1)から第1光制御信号(41T1)及び第1偏向データ(43b1)を抽出し、前記ステップf)の前において、前記制御ユニット(40)は、前記第1時間範囲(T1)における前記放射された空間変調光(11)の一部分(11’)が同じ第1時間範囲(T1)における前記第1シフト角(WT1)についての情報を含むよう、前記第1偏向データ(43b1)を前記第1光制御信号(41T1)へ組み込むこと、
前記照明モジュール(1)は、更に、受光器(50)を有し、前記受光器(50)は、前記ステップg)の前に、前記光源(10)の前記放射された空間変調光の少なくとも前記一部分(11’)を受光し、そして、前記ステップg)において、それに基づいた第1偏向制御信号(42T1)を前記第1時間範囲(T1)において前記偏向ユニット(30)へ送信するよう構成されており、これによって、前記空間変調光(11)が前記第1時間範囲(T1)において前記光源(10)から放射されると直ぐに、前記光源(10)の前記空間変調光の投影(12)は前記第1時間範囲(T1)において第1シフト角(WT1)だけシフトされること
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2022年12月28日に出願された欧州特許出願第22216978.1号についてのパリ条約上の優先権の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【0002】
本発明は、光源、投影ユニット、偏向ユニット及び制御ユニットを含む、自動車照明(装置)用の照明モジュールであって、前記光源は、光制御信号を受信し、前記光制御信号に依存して空間変調光を放射するよう、構成されており、前記投影ユニットは、前記光源から放射された空間変調光を投影角度範囲の内部において前記照明モジュールの前方へ投影するよう、構成されており、前記偏向ユニットは、偏向制御信号を受信し、前記光源から放射された空間変調光の前記照明モジュールの前方への投影が前記投影角度範囲の内部においてシフト(変位)角でシフト(変位)可能であるように、前記光源から放射された空間変調光を前記偏向制御信号に依存して操作(処理)するよう、構成されている、照明モジュールに関する。
【0003】
本発明は、更に、自動車に関する。
【0004】
本発明は、更に、自動車照明のための照明モジュールを駆動する方法であって、前記照明モジュールは光源、投影ユニット、偏向ユニット及び制御ユニットを含み、前記光源は、光制御信号を受信し、前記光制御信号に依存して空間変調光を放射するよう、構成されており、前記投影ユニットは、前記光源から放射された空間変調光を投影角度範囲の内部において前記照明モジュールの前方へ投影するよう、構成されており、前記偏向ユニットは、偏向制御信号を受信し、前記光源から放射された空間変調光の前記照明モジュールの前方への投影が前記投影角度範囲の内部においてシフト(変位)角でシフト(変位)可能であるように、前記光源から放射された空間変調光を前記偏向制御信号に依存して操作するよう、構成されている、方法に関する。
【背景技術】
【0005】
特に自動車照明の分野における、現在の照明モジュールまたはライトシステムは、高適応的に所定の条件に適合可能な光像を生成する可能性をますます必要としている。そのような照明モジュールを創出するために、まずもって、セグメント化された光像(セグメント化光像)ないし空間的に変調された光(空間変調光)を投影ないし生成する照明システムが既知になっている。これによって、生成された光像は所定の条件に依存して適応化されることができる。そのような条件は運転状況に関連するものであり得る。そのため、自動車照明用の照明モジュールは、他の道路利用者を眩惑することなく運転者にとって最適な照明が生成されるよう自動車照明の前方領域を照明すると、運転安全上の理由から有利である。更に、そのような照明モジュールは、運転者または他の道路利用者のための光学的表示として役立つことが望まれる。従って、上記の条件は、車両の運転者に対する情報提示または他の道路利用者に対する情報提示に関連し得る。これらの光学的表示は、例えば、生成および表示可能な多種多様なシンボルを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US 2020/363707 A1
【特許文献2】DE 10 2016 223227 A1
【特許文献3】US 10 596 956 B1
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】SING MOLLY N ET AL: "Super resolution projection: leveraging the MEMS speed to double or quadruple the resolution", SPIE PROCEEDINGS; [PROCEEDINGS OF SPIE ISSN 0277-786X], SPIE, US, Bd. 10932, 4. Maerz 2019 (2019-03-04), Seiten 109320R-109320R, XP060119727, DOI: 10.1117/12.2512005 ISBN: 978-1-5106-3673-6
【非特許文献2】GRUNDHOEFER A ET AL: "Recent Advances in Projection Mapping Algorithms, Hardware and Applications", COMPUTER GRAPHICS FORUM: JOURNAL OF THE EUROPEAN ASSOCIATION FOR COMPUTER GRAPHICS, WILEY-BLACKWELL, OXFORD, Bd. 37, Nr.2, 22. Mai 2018 (2018-05-22), Seiten 653-675, XP071546200, ISSN: 0167-7055, DOI: 10.1111/CGF.13387
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
セグメント化光像ないし空間変調光像の適応化の自由度を更に高めるために、放射された空間変調光を付加的に(追加的に)操作(処理)することにより、結果として生じる光像をシフトすることが可能な偏向ユニットは既知になっている。
【0009】
生成された光像のシフトによって、照射可能な面(範囲)は拡大されることができる。とりわけシフトが十分に高速かつ周期的に変化(振動)するものである場合、投影される空間変調光の光セグメントの個数は事実上増加されることができる。
【0010】
これによって、生成される光像の適応化の自由度はより大きくなるものの、そのような照明モジュールの複雑性は著しく増大する。同時に、そのような照明モジュール、特に自動車照明用の照明モジュールは、その制御において可能な限りコスト的に好都合かつロバストであることが望まれる。光源及び偏向ユニットの制御のコンパクトかつ時間的に安定な形式は現在まで知られていない。
【0011】
本発明の課題は、上記の条件に適合し、上記の構成要素を含む、自動車照明用の照明モジュールを創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の視点により、光源、投影ユニット、偏向ユニット及び制御ユニットを含む、自動車照明用の照明モジュールが提供される。前記照明モジュールにおいて、
前記光源は、光制御信号を受信し、前記光制御信号に依存して空間変調光を放射するよう、構成されており、
前記投影ユニットは、前記光源から放射された空間変調光を投影角度範囲の内部において前記照明モジュールの前方へ投影するよう、構成されており、
前記偏向ユニットは、偏向制御信号を受信し、前記光源から放射された空間変調光の前記照明モジュールの前方への投影が前記投影角度範囲の内部においてシフト(変位)角でシフト(変位)可能であるように、前記光源から放射された空間変調光を前記偏向制御信号に依存して操作(処理)するよう、構成されており、
前記制御ユニットは、入力信号を受信し、評価し、それに基づいて制御信号を前記光源へ送信するよう、構成されており、
前記入力信号は、第1時間範囲において、少なくとも部分的に、前記光源の前記放射された空間変調光を代表する第1光データブロックを含み、かつ、この第1光データブロックには、同じ第1時間範囲において第1シフト角を代表する第1偏向データが含まれていることを特徴とする。
本発明の第2の視点により、本発明の照明モジュールを備える自動車が提供される。
本発明の第3の視点により、自動車照明のための照明モジュールを駆動する方法が提供される。前記方法において、
前記照明モジュールは光源、投影ユニット、偏向ユニット及び制御ユニットを含み、
前記光源は、光制御信号を受信し、前記光制御信号に依存して空間変調光を放射するよう、構成されており、
前記投影ユニットは、前記光源から放射された空間変調光を投影角度範囲の内部において前記照明モジュールの前方へ投影するよう、構成されており、
前記偏向ユニットは、偏向制御信号を受信し、前記光源から放射された空間変調光の前記照明モジュールの前方への投影が前記投影角度範囲の内部においてシフト(変位)角でシフト(変位)可能であるように、前記光源から放射された空間変調光を前記偏向制御信号に依存して操作するよう、構成されており、
前記方法は以下のステップ:
a)第1時間範囲において、少なくとも部分的に、前記光源の前記放射された空間変調光を代表する第1光データブロックを提供すること、
b)同じ第1時間範囲において、第1シフト角を代表する第1偏向データを提供すること、
c)前記第1偏向データを前記第1光データブロックへ組み込むこと(integrieren)、
d)前記第1光データブロックを、組み込まれた第1偏向データと一緒に、入力信号を介して前記制御ユニットへ伝送すること、
e)前記制御ユニットによって前記入力信号を評価すること、
f)前記第1光データブロックに応じて(従って)、前記第1時間範囲において第1光制御信号を前記光源へ提供すること、
g)前記第1光データブロックに組み込まれた前記第1偏向データに応じて(従って)、同じ第1時間範囲において第1偏向制御信号を前記偏向ユニットへ提供すること
を含むこと
を特徴とする。
【0013】
以下に本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1に記載の照明モジュールにおいて、
前記制御ユニットは、前記入力信号の前記第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向制御信号を抽出し、かつ、前記第1偏向制御信号を前記第1時間範囲において前記偏向ユニットへかつ前記第1光制御信号を前記第1時間範囲において前記光源へ送信するよう、構成されており、これによって、前記空間変調光が前記第1時間範囲において前記光源から放射されると直ぐに、前記光源の前記空間変調光の投影は前記第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされることが好ましい。
(形態3)形態1に記載の照明モジュールにおいて、
前記制御ユニットは、前記第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向データを抽出し、かつ、前記第1時間範囲における前記放射された空間変調光の一部分が同じ第1時間範囲における前記第1シフト角についての情報を含むよう、前記第1偏向データを前記第1光制御信号へ組み込む(integrieren)よう、構成されており、
前記照明モジュールは、更に、受光器(Lichtaufnehmer)を有し、前記受光器は、前記光源の前記放射された空間変調光の前記一部分を受光し、但し当該一部分は前記第1時間範囲における前記第1シフト角についての情報を含み、かつ、それに基づいて第1偏向制御信号を前記偏向ユニットへ送信するよう構成されており、これによって、前記空間変調光が前記第1時間範囲において前記光源から放射されると直ぐに、前記光源の前記空間変調光の投影は前記第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされることが好ましい。
(形態4)形態1に記載の照明モジュールにおいて、
前記入力信号は、夫々偏向データを有し時間的に順次の複数の光データブロックを含み、これによって、時間的に順次の複数の時間範囲が規定され、但し当該時間範囲においては夫々偏向データを有する個別の光データブロックの各々が前記光源の前記放射された空間変調光と夫々の時間範囲における前記シフト角とを代表し、夫々の時間範囲の期間は実質的に同じでありかつ5ms~50msであることが好ましい。
(形態5)形態4に記載の照明モジュールにおいて、
前記時間的に順次の複数の光データブロックのn番目毎(各n番目)の光データブロックは互いに同一でありかつ1より大きい自然数nに相当する偏向データを含むことが好ましい。
(形態6)形態1に記載の照明モジュールにおいて、
前記入力信号は上位制御ユニットから提供されること、
前記上位制御ユニットは、目標画像から、少なくとも、夫々偏向データを有する前記第1光データブロック及び第2光データブロックを生成するよう、構成されており、これによって、前記第1時間範囲の前記光源の前記放射された空間変調光の投影は第2時間範囲の前記光源の前記放射された空間変調光の投影と重ね合わされて実質的に前記目標画像を生成することが好ましい。
(形態7)形態1に記載の照明モジュールにおいて、
前記光源から放射された空間変調光は複数の光セグメントを含み、前記第1光データブロックは、前記第1時間範囲において前記複数の光セグメントの少なくとも一部分の光強度を規定する強度値を含むことが好ましい。
(形態8)形態7に記載の照明モジュールにおいて、
前記強度値は夫々4~32ビットのビット深度(Bittiefe)を有し、前記第1偏向データはこのビット深度の少なくとも1ビットに組み込まれることが好ましい。
(形態9)形態7に記載の照明モジュールにおいて、
前記第1光データブロックは、複数のチャンネルを有し、少なくとも1つのチャンネルは前記第1偏向データを含むことが好ましい。
(形態10)上記本発明の第2の視点参照。
(形態11)形態10に記載の自動車において、
前記自動車は前記(一の)照明モジュールと構造的に同一である少なくとも1つの第2の(更なる)照明モジュールを有し、該第2の照明モジュールの制御ユニットは前記照明モジュールの制御ユニットと同じ入力信号を受信し、前記第1光データブロックは、更に、前記照明モジュール又は前記第2の照明モジュールに特異的に(eindeutig)割り当て可能な識別子(Identifikation)を含むことが好ましい。
(形態12)上記本発明の第3の視点参照。
(形態13)形態12に記載の方法において、
前記ステップe)において、前記制御ユニットは前記第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向制御信号を抽出し、前記ステップf)において、前記制御ユニットは前記第1光制御信号を前記第1時間範囲において前記光源へ出力し、前記ステップg)において、前記制御ユニットは前記第1偏向制御信号を同じ第1時間範囲において前記偏向ユニットへ出力し、これによって、前記空間変調光が前記第1時間範囲において前記光源から放射されると直ぐに、前記光源の前記空間変調光の投影は前記第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされることが好ましい。
(形態14)形態12に記載の方法において、
前記ステップe)において、前記制御ユニットは、前記第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向データを抽出し、前記ステップf)の前において、前記制御ユニットは、前記第1時間範囲における前記放射された空間変調光の一部分が同じ第1時間範囲における前記第1シフト角についての情報を含むよう、前記第1偏向データを前記第1光制御信号へ組み込むこと(integrieren)、
前記照明モジュールは、更に、受光器(Lichtaufnehmer)を有し、前記受光器は、前記ステップg)の前に、前記光源の前記放射された空間変調光の少なくとも前記一部分を受光し、そして、前記ステップg)において、それに基づいた第1偏向制御信号を前記第1時間範囲において前記偏向ユニットへ送信するよう構成されており、これによって、前記空間変調光が前記第1時間範囲において前記光源から放射されると直ぐに、前記光源の前記空間変調光の投影は前記第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされることが好ましい。
【0014】
本発明の上記の課題は上記のタイプの照明モジュールによって解決される。該照明モジュールにおいて、制御ユニットは入力信号を受信し、評価し、これに基づいて光制御信号を光源へ送信するよう構成されており、但し、入力信号は、少なくとも部分的に、第1時間範囲において光源の放射された空間変調光を代表する第1光データブロックを含み、かつ、この第1光データブロックには、同じ第1時間範囲において第1シフト角を代表する第1偏向データが含まれており、ここで、第1時間範囲において、光源から放射された空間変調光の照明モジュールの前方への投影が、この第1シフト角で、投影角度範囲の内部でシフトされることができる。
【0015】
対応する光データブロック内に偏向データを結合することによって、空間変調光と、投影角度範囲の内部における空間変調光の投影のシフト角とが、実質的に任意の時点において、相互に結合されることができる。これにより、その更なる結果として、光源と偏向ユニットの簡単かつ同期的な制御が可能になる。
【0016】
シフト角は投影角度範囲の内部における光源から放射された空間変調光の投影の中立位置(Neutralposition)に対するシフトによって測定される。シフト角はこの中立位置では0°である。シフト角は、空間変調光の個々の光セグメントの投影の最大角度寸法(Winkelabmessung)よりも小さいことが好ましい。特に好ましくは、シフト角は-2°~+2°であることが可能である。
【0017】
投影角度範囲は投影ユニットのアパーチャによって規定(決定)される。従って、投影角度範囲は、投影ユニットの最大可能放射円錐(コーン)に対応する。そのような放射円錐は、数学的な意味での円錐に関するものであるが、そのすべての下位バリエーション(Untervarianten)も含むことができる。下位バリエーションは、例えば、角錐台又は円錐台である。従って、「投影角度範囲の内部における投影のシフト(Verschiebung der Projektion innerhalb des Projektionswinkelbereiches)」とは、可能放射円錐即ち投影ユニットによって形成される角度空間における投影のシフトを意味する。投影角度範囲は、水平方向にその最大の広がりを有することが好ましく、その場合、最大で50°の水平角度範囲をカバーすることが好ましい。投影角度範囲は垂直方向に更なる広がりを有し、その場合、最大で20°の垂直角度範囲をカバーすることが好ましい。
【0018】
本特許出願の枠内において、概念「ユニット(Einheit)」は、単独で又は「投影ユニット(Projektionseinheit)」、「偏向ユニット(Ablenkeinheit)」または「制御ユニット(Steuereinheit)」の場合のような複合語でも、必ずしも単独の要素として理解されるべきではない。この概念は、複数の要素、アセンブリ、構造ブロック(Bausteine)、コンポーネント又はそれらの組み合わせも含み得る。
【0019】
「有する(aufweisen)」、「包含する(beinhalten)」、「含む(umfassen)」および「含有する(enthalten)」のような概念は互いに同義語として理解可能である。
【0020】
「空間変調光(空間的に変調された光)(raeumlich modulierten Licht)」とは、当該光線束の光伝播方向に対し直角をなす少なくとも1つの面内に、光制御信号に依存してないしそれに基づいて相互に異なる光強度(ないし明るさ)を有する少なくとも2つの光セグメントを有する光線束として理解されるものである。このような「空間変調光」を生成するために、多種多様な技術が既に既知になっている。これには、とりわけ、(1つの)マトリックスに配置された複数のLED(発光ダイオード)を用いた面ベースの変調、LCD(液晶ディスプレイ)を用いた面ベースの変調、またはDLP(デジタルライトプロセッシング)ないしDMD(デジタルミラーデバイス)を用いた面ベースの変調が含まれる。あるいは、光ビーム変調技術、即ち、人間の目では知覚できない周波数を有する光ビームまたは光線束である領域上をスキャン(走査)することによって、自由に変化可能な光像を生成するスキャン(走査)システムも既知になっている。面ベース変調のための及び光ビーム変調のためのこのようなシステムは、本特許出願の枠内において「光源(Lichtquelle)」と略称する。現在既知の光源はすでに、個別に(オンオフ)スイッチ可能かつ調光(減光)可能な数千の光セグメントを有する空間変調光を放射することが可能である。光源は、面ベース変調によって空間変調光を生成することが好ましく、空間変調光は、当該空間変調光の光伝播方向に対し直角をなす少なくとも1つの面内に1000を超える光セグメントを有する。
【0021】
「代表(repraesentativ)」という表現は、直接的な関係が存在しかつ言及されるデータが所定の状態を直接記述(規定)することを意味する。従って、その代替的概念は「特徴的な(charakterisierend)」又は「規定的な(beschreibend)」である。
【0022】
制御ユニット、入力信号の第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向制御信号を抽出し、かつ、第1偏向制御信号を第1時間範囲において偏向ユニットへかつ第1光制御信号を第1時間範囲において光源へ送信するよう、構成されており、これによって、空間変調光は第1時間範囲において光源から放射されると直ぐに、光源の空間変調光の投影は第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされる。
【0023】
代替的一実施形態では、制御ユニットは、第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向データを抽出し、かつ、第1時間範囲における放射された空間変調光の一部分が同じ第1時間範囲における第1シフト角についての情報を含むよう、第1偏向データを第1光制御信号へ組み込む(integrieren)よう、構成されており、
照明モジュールは、更に、受光器(Lichtaufnehmer)を有し、受光器は、光源の放射された空間変調光の一部分を受光し、但し当該一部分は第1時間範囲における第1シフト角についての情報を含み、かつ、それに基づいて第1偏向制御信号を偏向ユニットへ送信するよう構成されており、これによって、空間変調光が第1時間範囲において光源から放射されると直ぐに、光源の空間変調光の投影は第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされる。
【0024】
本発明の関係において、「すると直ぐに(sobald)」とは、光源の空間変調光が、実質的に、偏向ユニットが光源の空間変調光の投影を割り当てられたシフト(変位)角だけシフトすることが可能な時間範囲において放射されることを意味する。この場合、実用上場合によっては、制御装置は処理ステップ(複数)を順次的に処理しなければならず、従って、偏向制御信号の出力と光制御信号の出力は正確には(必ずしも)同じ時点で実行できないことは、当業者であれば理解できる。実行時間の相違やその他の影響によるごく僅かな遅延もあり得る。重要なことは、光データブロックの一部分によって代表される(表される)光源の空間変調光は、光源の空間変調光の投影がシフトされるであろうないしはシフトされる時間範囲において放射されることである。ここで、シフト(変位)角は対応する光データブロックにおいて偏向データによって代表される(表される)。
【0025】
有利には、入力信号は、夫々偏向データを有し時間的に順次の複数の光データブロックを含み、これによって、時間的に順次の複数の時間範囲が規定され、但し当該時間範囲においては夫々偏向データを有する個別の光データブロックの各々が光源の放射された空間変調光と夫々の時間範囲におけるシフト角とを代表し、夫々の時間範囲の期間(持続時間)は実質的に同じでありかつ5ms~50msであることが可能である。
【0026】
とりわけ、入力信号は上位制御ユニットから提供されること、上位制御ユニットは、目標画像から、少なくとも、夫々偏向データを有する第1光データブロック及び第2光データブロックを生成するよう、構成されており、これによって、第1時間範囲の光源の放射された空間変調光の投影は第2時間範囲の光源の放射された空間変調光の投影と重ね合わされて実質的に目標画像を生成することが可能である。
【0027】
とりわけ、時間的に順次の複数の光データブロックのn番目毎(各n番目)の光データブロックは互いに同一でありかつ1より大きい自然数nに相当する偏向データを含むことは有利である。
【0028】
この場合、「互いに(相互に)同じ(zueinander gleich)」とは、互いに同じ偏向データが、これらが空間変調光の投影の同じ(gleich)ないし同一の(ident)シフト(変位)角を代表するよう、互いに類似することを意味する。
【0029】
非常にコンパクトな一形態では、
光源から放射された空間変調光は複数の光セグメントを含み、第1光データブロックは、第1時間範囲において複数の光セグメントの少なくとも一部分の光強度を規定する強度値を含む場合、有利である。
【0030】
この場合、
強度値は夫々4~32ビットのビット深度(Bittiefe)を有し、第1偏向データはこのビット深度の少なくとも1ビットに組み込まれる場合、格別に効率的である。
【0031】
或いは、第1光データブロックは複数のチャンネルを有し、1つのチャンネルは第1偏向データを含むことが可能である。
【0032】
好ましくは、第1光データブロックは2つの、特に好ましくは3つのチャンネルを有する。
【0033】
チャンネルとは、この関連においては、所定の部分、特に空間変調光の少なくとも一部分の色成分を代表するデータブロックである。
【0034】
一視点において、上記の課題は、本発明の照明モジュールを備えた自動車によっても解決される。
【0035】
この視点では、自動車は上記(一のないし第1の)照明モジュールと構造的に同一である少なくとも1つの第2の(更なる)照明モジュールを有し、該第2の照明モジュールの制御ユニットは(一の)照明モジュールの制御ユニットと同じ入力信号を受信し、第1光データブロックは、更に、(一の)照明モジュール又は第2の照明モジュールに特異的に(eindeutig)割り当て可能な識別子(Identifikation)を含む場合、格別に有利であり得る。
【0036】
上記の課題は、冒頭で述べたタイプの方法によっても解決される。該方法は以下のステップを含む。
a)第1時間範囲において、少なくとも部分的に、光源の放射された空間変調光を代表する第1光データブロックを提供すること、
b)同じ第1時間範囲において、第1シフト角を代表する第1偏向データを提供すること、
c)第1偏向データを第1光データブロックへ組み込むこと(integrieren)、
d)第1光データブロックを、組み込まれた第1偏向データと一緒に、入力信号を介して制御ユニットへ伝送すること、
e)制御ユニットによって入力信号を評価すること、
f)第1光データブロックに応じて、第1時間範囲において第1光制御信号を光源へ提供すること、
g)第1光データブロックに組み込まれた第1偏向データに応じて、同じ第1時間範囲において第1偏向制御信号を偏向ユニットへ提供すること。
【0037】
更に、ステップe)において、制御ユニットは第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向制御信号を抽出し、ステップf)において、制御ユニットは第1光制御信号を第1時間範囲において光源へ出力し、ステップg)において、制御ユニットは第1偏向制御信号を同じ第1時間範囲において偏向ユニットへ出力し、これによって、空間変調光が第1時間範囲において光源から放射されると直ぐに、光源の空間変調光の投影は第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされる場合、格別に有利に可能である。
【0038】
その代わりに、ステップe)において、制御ユニットは、第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向データを抽出し、ステップf)の前において、制御ユニットは、第1時間範囲における放射された空間変調光の一部分が同じ第1時間範囲における第1シフト角についての情報を含むよう、第1偏向データを第1光制御信号へ組み込むこと(integrieren)、
照明モジュールは、更に、受光器(Lichtaufnehmer)を有し、受光器は、ステップg)の前に、光源の放射された空間変調光の少なくとも一部分を受光し、そして、ステップg)において、それに基づいた第1偏向制御信号を第1時間範囲において偏向ユニットへ送信するよう構成されており、これによって、空間変調光が第1時間範囲におい光源から放射されると直ぐに、光源の空間変調光の投影は第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされることが可能である。
【0039】
本発明は、更なる利点と共に、以下において、図面に示されている例示的な実施形態(実施例)を用いてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】本発明による入力信号の構成例((A)~(C))。
【
図7】
図1に示した照明モジュールの駆動方法の一例。
【実施例0041】
図1~
図7には、本発明の実施例及び動作原理がより詳細に説明されている。これらの図は、重要なコンポーネントをより良く説明可能にするために、例示的にのみかつ単純化された態様でのみ理解されるべきものである。本発明の実施形態および特徴は適切な方法で互いに組み合わせ可能であることは、当業者には明らかである。例えば、本発明は、まずもって、第1光データブロック及びそこに含まれる第1偏向データを用いて説明される。しかしながら、説明部分は、適用可能である限り、夫々偏向データを有する時間的に順次の多数の光データブロックについても同じ形式で妥当可能であることは明らかである。
【0042】
図1は、本発明による照明モジュール1の一例のブロック図と、投影角度範囲Pの内部における空間変調光11の投影12の一例の斜視図を示す。照明モジュール1は、光源10、投影ユニット20、偏向ユニット30及び制御ユニット40を含む。光源10は、光制御信号41を受信し、該光制御信号41に依存して(応じて)空間変調された光(空間変調光)11を放射するよう、構成されている。
【0043】
光源10は複数の要素を含むことができる。例えば、光源10は、発光素子とLCD、DMDないしDLPのような後置の(発光素子の下流側に配置された)面変調器とを含み、かくして、光制御信号41に依存して空間変調光11を放射する。光源10と偏向ユニット30との間の光学レンズまたは反射器のような任意付加的要素は、見易さの観点から図示されていないが、必要に応じて配設可能である。光源10は、好ましくは、少なくとも2つのLED(発光ダイオード)を備えたアレイを含み、この場合、各LEDは個別に制御可能であり、かくして、光制御信号41に依存する空間変調光11を放射する。更に、光源10は、発光素子、コリメータ及び光線変調器の組み合わせを含むことができる。この光線変調器は、人間が知覚できない周波数を有する発光素子からのスキャン(走査)形式でコリメートされた光によってある領域をスキャン(走査)することによって、光制御信号41に依存する空間変調光11を放射する。この領域は光変換素子を含み得る。
【0044】
光を空間的に変調する多種多様な方法は当業者にとって既知である。本発明にとって重要であることは、光源10から光制御信号41に依存してないし光制御信号41に基づいて出射する光線束が、当該光線束の光伝播方向に対し直角をなす少なくとも1つの面において互いに異なる光強度を有する少なくとも2つの光セグメントを有することである。
【0045】
この空間変調光11は、投影ユニット20によって投影角度範囲Pの内部において照明モジュール1の前方へ投影される。投影とは、照明モジュールの前方への空間変調光11の結像を意味すること、そのため、セグメント化された光分布、即ち、光セグメント(複数)13を有する投影12が形成されることは、当業者にとって明らかである。そのような投影ユニット20は、通常、複数の光学素子、特に複数のレンズを含む。見易さの観点から、これらの複数の光学素子は図示されていない。本例(図示の例)では、投影12は6行11列の光セグメント13のアレイを含む。投影12は、空間変調光11を、上述したように、放射するLEDアレイの結像に対応することが好ましい。図示されているのは66個の光セグメント13のみであるが、光源10は、投影角度範囲Pの内部において数千の光セグメント13が投影されるよう、構成可能である。
【0046】
更に、放射された空間変調光11の光路において光源11に後置された(下流に配置された)偏向ユニット30が設けられている。偏向ユニット30は、光源10と投影ユニット20の少なくとも一部分との間において、放射された空間変調光11の光路に配置されることが好ましい。投影ユニット20の少なくとも一部分とは、上で説明したように、投影ユニット20が複数の光学素子から構成可能であり、そのため、偏向ユニット30が投影ユニット20の複数の光学素子の間に配置され得ることを意味する。この偏向ユニット30は、偏向制御信号42を受信し、光源10から放射された空間変調光11を偏向制御信号42に依存して操作する(処理する)ことができ、これによって、光源から放射された空間変調光の照明モジュール1の前方への投影12は投影角度範囲Pの内部においてシフト(変位)角Wでシフト(変位)されることができる。
【0047】
偏向ユニット30は、光源10の放射された空間変調光11に対して透明な(透過性の)材料からなる(
図3(B)に示された)ガラス小プレート31を含み得る。このガラス小プレートは、平行平面板として構成可能であり、相応の機械的懸架装置によって少なくとも1つの旋回(回転)軸の周りにおいて旋回(回転)可能に支承されている。この旋回軸は、光源10から放射された空間変調光11の光伝播方向に対し直角をなすことが好ましい。例えば、偏向ユニット30は、ガラス小プレートを偏向制御信号42に依存して少なくとも1つの旋回軸の周りで旋回させる不図示の電磁アクチュエータを更に有することができる。その旋回(回転)によって、空間変調光11のガラス小プレートへの入射角は変化されることができ、これにより、屈折に応じ、空間変調光11はガラス小プレートを通過する際に当該空間変調光11の光伝播方向に対し平行にシフトされることができ、かくして、最終的に、放射された空間変調光11は、光源から放射された空間変調光の照明モジュール1の前方への投影12が投影角度範囲Pの内部においてシフト角Wでシフトされるよう、偏向制御信号42に依存して操作(処理)されることができる。
【0048】
光源10から放射された空間変調光11の照明モジュール1の前方への投影12が投影角度範囲Pの内部においてシフト角Wでシフト可能であるよう、光源10の空間変調光11を偏向制御信号42に依存して操作(処理)可能にする多種多様な可能性(手段)は当業者には既知である。例えば、空間変調光11の光伝播方向に関し横方向の位置変化によって及びそれと共に同じく屈折によって、光源から放射された空間変調光の照明モジュール1の前方の投影を投影角度範囲Pの内部においてシフトさせるプリズムも考えられる。偏向ユニット30の反射に基づく方策も可能である。
【0049】
本発明にとって重要であることは、偏向ユニット30が、偏向制御信号42に依存してないし偏向制御信号42に基づいて、光源から放射された空間変調光11の照明モジュール1の前方への投影12を投影角度範囲Pの内部においてシフトさせることが可能であることである。
【0050】
投射角度範囲Pの内部における投影12のシフトによって、
図3(C)に示すように、投射角度範囲Pの内部における照明可能な面(面積)が拡大される。とりわけ、シフトが十分に高速かつ周期的に変化する(振動する)場合、投影された空間変調光11の仮想光セグメント(複数)13vが生成されることができ、それによって、空間変調光11の投影12の適応における自由度は更に増大される。これに関し、十分に高速とは、少なくとも60Hzで周期的に変化するシフトを意味し得る。この可能性については、
図3(A)~
図3(D)を用いて以下においてより詳細に説明する。
【0051】
図1は、更に、入力信号43を受信し、評価し、それに基づいて光制御信号41を光源へ出力するよう、本発明に応じて構成された制御ユニット40を示す。入力信号43については、
図2(A)および
図2(B)を用いてより詳細に説明する。
【0052】
図2(A)は入力信号43の例示的な信号推移の一例を示す。この入力信号43は、同期インパルス(複数)Vsを有する同期信号Svと、時間的に(夫々2つの)同期インパルス間にある光データブロック43a1、43a2、43aNとを有する。第1光データブロック43a1には第1偏向データ43b1が含まれ、第2光データブロック43a2には第2偏向データ43b2が含まれている。更なる光データブロック43aNの各々にも更なる偏向データ43bNが含まれ得る。各光データブロック43a1、43a2、43aNは、典型的には、バイナリデータストリーム(Datenstrom)を含み、各バイナリデータストリームは、それを総合したものが時間的に2つの同期インパルスVsの間にある光データブロックとして、順次の(順次的に続く)時間範囲T1、T2、Tn(
図3(A)参照)における光源10から放射されるべき空間変調光11を記述(規定)することができる。従って、入力信号43は、第1時間範囲T1において、少なくとも部分的に、光源10の放射された空間変調光11を代表する第1光データブロック43a1を含む。「少なくとも部分的に(zumindest teilweise)」というのは、光データブロック43a1、43a2、43aNは更なるデータ、例えばメタデータを含むことができるためである。この更なるデータは、偏向データ(複数)43b1、43b2、43bNも含むことができ、ないしは少なくとも第1偏向データ43b1を含むこともできる。従って、入力信号43は、図示のように、制御ユニット40によって一緒に受信されることが可能な複数の信号をまとめた(統合した)もの(Zusammenfassung)を含むことができる。更に、第1偏向データ43b1は本発明に応じ第1光データブロック43a1に含まれていることが分かる。光データブロック43a1、43a2、43aNは典型的にはバイナリデータストリームを含むため、偏向データ43b1、43b2、43bNは同様にバイナリデータとして存在することが好ましい。従って、これらは、第1光データブロック43a1において第1シフト角WT1を記述(規定)することができるが、照明モジュール1の前方への空間変調光の投影12は、この第1シフト角WT1で、投影角度範囲Pの内部においてシフトされることができる。例えば、偏向データ43b1、43b2、43bNはバイナリデータとして存在する場合、ビット値0によって-2°のシフト角を、ビット値1によって+2°のシフト角を表すことができる。空間変調光11の投影12の中立(ニュートラル)位置に関しては、非対称なシフト角も考えられる。更に、必要に応じて、より大きなバイナリ数も可能である。例えば、バイナリ値0011は+1.5°のシフト角を表し、バイナリ値1010は-1°のシフト角を表す。
【0053】
かくして、第1光データブロック43a1の部分(複数)は、第1時間範囲T1において、光源10の放射された空間変調光11を代表する。更に、第1光データブロック43a1に含まれる第1偏向データ43b1は、同じ第1時間範囲T1において、第1シフト角WT1を代表し、第1時間範囲T1において、光源10から放射された空間変調光11の照明モジュール1の前方への投影12は、この第1シフト角WT1で、投影角度範囲Pの内部においてシフトされる。
【0054】
ここで、
図2(A)は、各偏向データ43b1、43b2、43bNが夫々の光データブロック43a1、43a2、43aNに含まれていることを模式的にのみ示すものである。夫々の光データブロック43a1、43a2、43aNの所定の部分(区間:Abschnitt)における夫々の偏向データ43b1、43b2、43bNの図示の態様は、図示のバリエーションに限定されない。以下の図面の説明において説明するように、偏向データ43b1、43b2、43bNは、夫々の光データブロック43a1、43a2、43aNの内部において規則的に(regelmaessig)及び冗長的にも組み込み可能である。
【0055】
第1光データブロック43a1への第1偏向データ43b1の組み込みについては、以下に
図2(C)を用いて詳細に説明する。
【0056】
空間変調光11ないし複数の光セグメント13の生成の仕方について冒頭で説明した手段・方法とは独立に、そのような空間変調光11は典型的には画像データを使用して記述される。画像データは光データブロック43a1、43a2、43aNの上述のバイナリデータストリームに含まれることができるが、画像データは、少なくとも、各光セグメント13の強度についての情報を含む。従って、これらの画像データは強度値I1、I2、Inを含むことができる。かくして、光源10から放射された空間変調光11(ないしその投影12)は複数の光セグメント13を含み、第1光データブロック43a1は強度値I1、I2、Inを含み、これらの強度値I1、I2、Inは、第1時間範囲T1において、複数の光セグメント13の少なくとも一部分の光強度を記述(規定)する。
【0057】
強度値I1、I2、Inは夫々4~32ビットのビット深度を有することができる。従って、ビット深度は、空間変調光11の投影12の個々の光セグメント13の強度を何階調で表現できるかを規定する。従って、8ビットのビット深度は、光強度について、2の8乗(2^8)の異なる階調を可能にする。このビット深度は丁度8ビットであることが好ましい。
【0058】
図2(B)に示すように、第1偏向データ43b1はこのビット深さの少なくとも1つのビットに組み込まれることができる。これにより、第1光データブロック43a1における空間変調光11の少なくとも1つの個別光セグメント13の光強度について可能な階調の数は減少するが、そのため、第1偏向データ43b1は、その他の影響を受けることなく、第1光データブロック43a1に結合され、かくして、相応の時点(Moment)における光源10および偏向ユニット30のロバストかつコンパクトな制御が可能になる。
【0059】
第1偏向データ43b1が対応する第1光データブロック43a1に組み込まれることができる、従って、含まれているように(するために)、第1光データブロック43a1の強度値I1のみがそのビット深度において減少されることができる。第1光データブロック43a1の個別強度値I1、I2、Inの各々が同じ第1時間範囲T1において第1シフト角W1を代表する第1偏向データ43b1を含むように(するために)、すべての強度値I1、I2、Inがそれらのビット深度において減少されることが好ましい。なお、光源10から放射された空間変調光11の照明モジュール10の前方への投影12は、この第1シフト角W1で、投影角度範囲Pの内部でシフトされる。
【0060】
図2(C)に示すように、入力信号43は、複数のチャンネルR、G、Bを含む第1光データブロック43a1を有することも可能である。これらのチャンネルR、G、Bは上述の画像データの一部であり得るが、各チャンネルR、G、Bは、複数のチャンネル強度値Ki1、Ki2、KiNまたはメタデータを含むことができ、これらのチャンネル強度値Ki1、Ki2、KiNは、複数の光セグメント13の少なくとも一部分の色強度を記述(規定)する。チャンネルがメタデータを含む場合、メタデータは夫々の光データブロックの特性を有することができる。光データブロックのこのような構造は、ビデオ信号伝送において一般的であるような、規格化(標準化)されたインタフェイスに基づいて構成されることができる。自動車用の照明モジュールでは一般的であるように、空間変調光11の投影12は、照明目的のために、白色光のみを含むことができ、このため、相応の光源10を使用する場合、夫々のチャンネル強度値Ki1、Ki2、KiNを有する個別のチャンネルR、G、Bで十分である。有利なことに、第1光データブロック43a1が複数のチャンネルR、G、Bを有しかつ少なくとも1つのチャンネルR、G、Bが第1偏向データ43b1を含む場合、光源10および偏向ユニット30のコンパクトな制御を形成することができる。例えば、チャンネルRが、完全に、第1光データブロック43a1を、とりわけ時間的に順次の複数の光データブロック43a1、43a2、43aNのすべての光データブロック43a1、43a2、43aNを有し、第2チャンネルGが、完全に、第1偏向データ43b1を、とりわけ光データブロック43a1、43a2、43aNに含まれるすべての偏向データ43b1、43b2、43bNを有する。
【0061】
図2(C)は、更に、入力信号43が、コンパクトな伝送のために、既知の態様でのシリアル化によってシリアルデータ列(seriellen Datenstrang)44に変換可能であることを示す。これにより、制御ユニット40への物理的な接続(例えばケーブル)の数を大幅に減らすことができる。ここで、入力信号43は、例えば、同期インパルス(複数)Vsを有する同期信号Svと、時間的に同期インパルス間にある光データブロック43a1、43a2、43aNとを有し、光データブロック43a1、43a2、43aNは夫々3つのチャンネルR、G、Bを有する。第1偏向データ43b1は、前述したように、個別の強度値I1、I2、Inないしチャンネル強度値Ki1、Ki2、KiNのビット深度の低減によるか又は少なくとも部分的に、1つのチャンネルR、G、Bに組み込まれることができる。
【0062】
入力信号43は、シリアルデータ列44の形で、制御ユニット40によって受信されることができ、制御ユニット40は例えば逆シリアル化によって入力信号43の構成要素を再び獲得することができる。
【0063】
このようなシリアル化と逆シリアル化は、とりわけLVDS又はGMSLインタフェイスを介したデータ伝送から既知である。
【0064】
以下において、時間範囲T1、T2、Tnの詳細、とりわけ第1時間範囲T1の詳細について、
図3(A)~
図3(D)を用いて説明する。これについては一実施形態(実施例)の説明の中でより詳細に説明するが、以下の詳細は他のすべての実施形態(実施例)にも妥当し、適用可能であることは明らかなはずである。
図3(A)~
図3(C)は同じ時間範囲T1、T2、Tnに関する。
【0065】
第1時間範囲T1は、第1開始時点T1sと第2開始時点T2sによって境界形成される(区切られる)。第1開始時点T1sは、制御装置40による光源10への第1光制御信号41T1の送信によって又は制御装置40による(ないしは
図5による実施形態では受光器(Lichtaufnehmer)50による)偏向ユニット30への第1偏向制御信号42T1の送信によってトリガされる、従って、開始されることができる。更に、第1時間範囲T1は、好ましくはすべての時間範囲T1、T2、Tnは、同期信号Svに含まれる同期インパルスVsによって開始されることもできる。第1偏向制御信号42T1の後に第1光制御信号41T1を順次的(連続的)に出力することよって、機械的慣性に基づく構成要素の、例えば偏向ユニット30の起こり得る時間遅延が補償されることができ、かくして、光源10の空間変調光11の投影12は、第1時間範囲T1において光源10の空間変調光11が放射される丁度そのときに、操作(処理)されることができ、それによって、第1シフト角WT1だけ投影角度範囲Pの内部においてシフトされる。
【0066】
同様に、時間範囲T1は、第2偏向制御信号42T2の送信によって又は第2光制御信号41T2の送信によって終了されることができる。同時に、第2時間範囲T2は、第2偏向制御信号42T2の送信によって又は第2光制御信号41T2の送信によって開始されることができる。
【0067】
空間変調光11の放射と第1時間範囲T1における同じ空間変調光11の操作(処理)が同時にトリガされることが好ましいとはいえ、空間変調光11の放射と第1時間範囲T1内における同じ空間変調光11の操作(処理)が異なる時点においてトリガされることは排除されない。このことは、少なからぬ場合において、例えば、所定の照明効果を生成するために、望ましいことでさえあり得る。
【0068】
図3(A)には、連続する時間範囲T1、T2、Tnが示されている。各時間範囲T1、T2、Tnは、この例示的な推移(経過)において、制御ユニット40による偏向ユニット30への夫々の偏向制御信号42T1、42T2、42Tnの送信によって開始ないし終了されるが、この場合、光源10は、夫々の時間範囲T1、T2、Tnにおける光制御信号41T1、41T2、41Tnに依存して、空間変調光11を放射する。従って、夫々の時間範囲T1、T2、Tnにおける光制御信号41T1、41T2、41Tnは、夫々の時間範囲T1、T2、Tnにおいて、少なくとも部分的に、光源10の放射された空間変調光11を代表する光データブロック43a1、43a2、43aNに関連していることが理解される。同じことが、夫々の光データブロック43a1、43a2、43aNに含まれる偏向データ43b1、43b2、43bN及びそれから導出される偏向制御信号42T1、42T2、42Tnに当て嵌まる。
【0069】
図3(B)は、夫々の時間範囲T1、T2、Tnにおける夫々の光制御信号41T1、41T2、41Tnと夫々の偏向制御信号42T1、42T2、42Tnとの関係を概略的に示す。
【0070】
第1時間範囲T1において、第1光制御信号41T1に依存する空間変調光11の放射と、偏向ユニット30に含まれるガラス小プレート31の旋回(回転)による、第1偏向制御信号42T1に依存する第1時間範囲T1における同じ放射された空間変調光11の相応の操作(処理)とが実行され、これによって、第1時間範囲T1において光源10の空間変調光11が第1光制御信号41T1に依存して放射されると、光源10の空間変調光11の投影12は第1シフト角WT1だけ投影角度範囲Pの内部においてシフトされる。第1時間範囲T1においてシフトされた投影12は
図3(C)に示されている。
【0071】
光源10の空間変調光11ないしその投影12は同じタイプの方形の光セグメント13のみを含むことが好ましい。投影角度範囲Pの内部における光源10の空間変調光11の投影12の(所定の)シフト角でのシフトは、方形の光セグメント13の側角(光セグメントの側辺に対する角度:Seitenwinkel)に関し45°の方向で実行されることが好ましい。この場合において、シフト角が(側角×sqrt(2))/2(「sqrt(2)」は2の平方根)でありかつ複数の時間範囲T1、T2、Tnにわたって十分に高速かつ周期的に変化するシフトが実行される場合、重ね合わせによって、光セグメント13の本来の数と比べてほぼ4倍の数の仮想光セグメント13vが得られる。
【0072】
本例では、光源10によって、5行5列の25個の光セグメント13を有する空間変調光11が形成される。この空間変調光11の投影12は、
図3(C)の各時間範囲T1、T2に示されている。上記の重ね合わせは、
図3(D)に示すように、投影角度範囲Pの内部に9行9列の仮想光セグメント13vを生成する。
【0073】
第2時間範囲T2では、第2光制御信号41T2に依存する空間変調光11の放射と、偏向ユニット30に含まれるガラス小プレート31の旋回(回転)による、第2偏向制御信号42T1に依存する第2時間範囲T2における同じ放射された空間変調光11の相応の操作(処理)とが実行され、これによって、第2時間範囲T2において光源10の空間変調光11の投影12が第2光制御信号41T2に依存して放射されると、光源10の空間変調光11の投影12は第2シフト角WT2だけシフトされる。第2時間範囲T2における投影角度範囲Pの内部においてシフトした投影12は
図3(C)に示されている。
【0074】
第1シフト角WT1と第2シフト角WT2は、これらが、放射された空間変調光の操作(処理)を実質的にもたらさない(従ってシフト角は0°)偏向ユニット30の中立位置について測定された場合に、互いに反対方向に対称をなして指向するように、異なることが好ましい。たとえば、WT1は-2°、WT2は+2°である。
【0075】
これに応じて、制御ユニット40は、時間的に順次の複数の光データブロック43a1、43a2、43aNを有する入力信号43を受信することができる。これらの複数の時間的に順次の光データブロック43a1、43a2、43aNは夫々偏向データ43b1、43b2、43bNを含み、これによって、複数の順次の時間範囲T1、T2、Tnが形成されるが、これらの時間範囲では、夫々偏向データ43b1、43b2、43bNを有する個別の光データブロック43a1、43a2、43aNの各々が夫々の時間範囲T1、T2、Tn内における光源10の放射された空間変調光11及びシフト角Wを代表する。ここで、時間範囲T1、T2、Tnの持続時間は夫々実質的に同じであり、5ms~50msである。複数の順次の時間範囲T1、T2、Tnにわたる放射された空間変調光11及びシフト角Wのこのような高速な変化によって、重ね合わされた状態で、仮想光セグメント(複数)13vが生成されることができる。かくして、人間の目に対し、投影された空間変調光11の光セグメント13の数が個々の時間範囲内において投影された空間変調光11の光セグメント13の数と比べて増加しているという印象を与えることができる。そのような重ね合わせは
図3(D)に概略的に示されている。
【0076】
入力信号43は上位制御ユニット140によって提供可能である(
図6)。この場合、上位制御ユニット140は、目標画像から、夫々偏向データ43b1、43b2を有する第1光データブロック43a1及び第2光データブロック43a2を少なくとも形成し、これらを入力信号43を介して提供するよう構成可能である。結果として得られる重ね合わせは、
図3(D)に示すように、実質的に目標画像に対応することができる。これは、重ね合わせ(画像)は、少なくとも、夫々の時間範囲T1、T2において結果として得られる両者の投影12の一方と比較して(目標画像よりも)、目標画像により類似することを意味する。上位制御ユニット140は、複数の目標画像から複数の時間的に順次の光データブロック43a1、43a2、43aNを形成するよう構成可能であり、この場合、各目標画像から、偏向データ43b1、43b2を有する少なくとも2つの時間的に順次の光ブロック43a1、43a2が形成される。
【0077】
駆動中の制御労力を可及的に小さく維持し、それにも拘らず多数の仮想光セグメント13vを生成するために、時間的に順次の複数の光データブロック43a1、43a2、43aNのn番目毎(各n番目)の光データブロックは、互いに同じ偏向データ43b1、43b2、43bNを有することが好ましい。ここで、nは1より大きい自然数に相当する。これは、互いに同じ偏向データによって表されるシフト角WT1、WT2、WTnが同じであることを意味するものとする。この場合、格別に好ましくは、nは2であるが、このため、2番目の偏向データはすべて同じであり、2番目のシフト角はすべて同じである。非常に格別に好ましくは、時間的に直接的に順に並ぶ全ての光ブロック43a1、43a2、43aNは異なる偏向データ43b1、43b2、43bNを有するが、複数の時間的に順次の光データブロック43a1、43a2、43aNには2つの異なる偏向データのみが含まれることが好ましい。従って、第1光データブロック43a1は第1偏向データ43b1を含み、時間的に次に続く第2光データブロック43a2は第2偏向データ43b2を含み、時間的に次に続く光データブロックは再び第1偏向データ43b1を含み、以下同様となる。偏向データ43b1、43b2、43bNも数nも、必要に応じて、駆動中に変更可能である。可能な偏向データ変化率(頻度)の一例は1分当たり2回の変化であり得る。従って、複数の時間的に順次の光データブロック43a1、43a2、43aNは、少なくとも(1つの)限定されたシリーズ(セット)の時間的に順次の光データブロック43a1、43a2、43aNを意味する。
【0078】
次に、照明モジュール1の一実施形態について
図4を用いて説明する。この実施形態では、照明モジュール1は、
図1に対応して、光源10、投影ユニット20、偏向ユニット30及び制御ユニット40を含む。制御ユニット40は、光源10と信号技術的に接続されており、夫々の時間範囲T1、T2、Tn内において光制御信号41T1、41T2、41Tnを光源10へ送信するよう構成されており、光源10は、光制御信号41T1、41T2、41Tnを受信し、光制御信号41T1、41T2、41Tnに依存して空間変調光11を夫々の時間範囲T1、T2、Tnにおいて放射するよう構成されている。
【0079】
更に、この実施形態では、制御ユニット40は、信号技術的に偏向ユニット30と接続されており、夫々の時間範囲T1、T2、T3内において偏向制御信号42T1、42T2、42Tnを偏向ユニット30へ送信するよう構成されており、偏向ユニット30は、偏向制御信号42T1、42T2、42Tnを受信し、光源10から放射された空間変調光11を偏向制御信号42T1、42T2、42Tnに依存して操作(処理)するよう構成されており、このため、夫々の時間範囲T1、T2、Tn内において、光源から放射された空間変調光の照明モジュール1の前方への投影は投影角度範囲Pの内部においてシフト角WT1、WT2でシフトすることができる。
【0080】
従って、制御ユニット40は、この実施形態では、入力信号43の第1光データブロック43a1から第1光制御信号41T1及び第1偏向制御信号42T1を抽出し、第1偏向制御信号42T1を第1時間範囲T1において偏向ユニット30へかつ第1光制御信号41T1を第1時間範囲T1において光源10へ出力するよう、構成されており、このため、空間変調光11が第1時間範囲T1において光源10から放射されると直ぐに、光源10の空間変調光11の投影12は第1時間範囲T1において第1シフト角WT1だけシフトされる。
図3(A)~
図3(D)を用いた時間範囲についての説明の際に既に説明したように、第1時間範囲T1は、制御装置40による光源10への第1光制御信号41T1の出力によって又は制御装置40による偏向ユニット30への第1偏向制御信号42T1の出力によって開始されることが好ましい。
【0081】
図5は更なる一実施形態を示す。この実施形態では、照明モジュール1は、同様に、光源10、投影ユニット20、偏向ユニット30及び制御ユニット40を含む。制御ユニット40は、光源10と信号技術的に接続されており、夫々の時間範囲T1、T2、Tn内において光制御信号41T1、41T2、41Tnを光源10へ送信するよう構成されており、光源10は、光制御信号41T1、41T2、41Tnを受信し、光制御信号41T1、41T2、41Tnに依存して空間変調光11を夫々の時間範囲T1、T2、Tnにおいて放射するよう構成されている。
【0082】
更に、この有利な実施形態では、制御ユニット40は、第1光データブロック43a1から第1光制御信号41T1および第1偏向データ43b1を抽出し、次いで、第1時間範囲T1において放射された空間変調光11の一部分11'が同じ第1時間範囲T1における第1シフト角WT1についての情報を含むよう、第1偏向データ43bT1を第1光制御信号41T1へ組み込むことができる。従って、放射された空間変調光11の一部分11'は、空間変調光11の残りの光セグメント(複数)から分離され(たとえ空間変調光11の操作が実行されても)投影ユニット20を介して照明モジュールの前方へは投影されない光セグメント12を含むことができる。空間変調光11のこの一部分11’は、
図5には概略的にのみ示されているが、光源10から横方向に放射される。このような横方向の放射を達成するために、例えば、
図5には示されていない偏向ミラーによって、空間変調光11の一部分11'を横方向に偏向することができる。
【0083】
抽出及びその後の組み込みは、第1光データブロック43a1が既に(インタフェイス固有の適合化なしで)第1時間範囲T1における光源10の空間変調光11を直接記述(規定)し、第1偏向データ43b1が既に第1時間範囲T1における光源10の空間変調光11の一部分11’を直接記述(規定)する可能性も含む。これは、偏向データ43b1、43b2、43bNが、例えば
図2(A)、
図2(B)又は
図2(C)による実施形態に応じて、夫々の光データブロック43a1、43a2、43aNに組み込まれる場合に、当て嵌まり得る。この場合、制御ユニット40は、光源10への第1光データブロック43a1の直接的伝達によって、光源10のための第1光制御信号41T1を提供する。
【0084】
更に、この実施形態では、第1時間範囲における第1シフト角WT1についての情報を含む光源10の放射された空間変調光11の一部分11’を受け取り(検出し)、これに基づく第1偏向制御信号42T1を偏向ユニット30へ出力するよう構成された受光器50が設けられており、これによって、空間変調光11は、第1時間範囲T1において、光源10から放射されると直ぐに、光源10の空間変調光11の投影12が第1時間範囲T1において第1シフト角WT1だけ投影角度範囲Pの内部においてシフトされる。
【0085】
受光器は、フォトダイオード(不図示)を含むことが好ましい。
【0086】
この実施形態では、偏向ユニット30は、受光器50と協働することにより、電子的インタフェイスに関し、照明モジュール1の残りの部分から独立させることができる。
【0087】
本発明は、照明モジュール1を備えた自動車100(
図6に示す)にも関し、更に、上記の一の(第1)照明モジュール1と構造が同一である少なくとも1つの第2照明モジュール1Aを有する自動車100にも関する。この場合、第2照明モジュール1Aの制御ユニット40Aは、第1照明モジュール1の制御ユニット40と同じ入力信号43を受け取り、第1光データブロック43a1は、更に、第1照明モジュール1又は第2照明モジュール1Aに特異的に(一意的に)割り当てる可能な識別子を含む。第2照明モジュール1Aは、第1照明モジュール1の投影12を投影角度範囲Pにわたって拡張することができる。これによって、本発明の本質において、生成されるべき光像に対しその適応化における更なる自由度が付与されることができ、制御の複雑性を大幅に増大させることなく、自動車100の照明装置全体の拡張性(Skalierbarkeit)が達成される。入力信号43は、
図6に示すように、上位制御装置140によって提供されることができる。
【0088】
次に、
図7は、
図1で説明した照明モジュール1の駆動方法の一例を示す。第1ステップa)では、第1時間範囲T1において、少なくとも部分的に、光源10の放射された空間変調光11を代表する第1光データブロック43a1が提供される。
【0089】
図6に示す上位制御装置140は、入力信号43を介してこの第1光データブロック43a1を提供することができ、この場合、提供される第1光データブロック43a1の基礎は例えば自動車側の条件とすることができる。これらの自動車側条件は、遠方光(ハイビーム)用分布のような記憶(記録)された静的な光分布が遮光(ないし減光)情報(Ausblendinformationen)と組み合わされる所定の光分布を含むことができ、これによって、夫々の時間範囲T1、T2、Tnにおいて少なくとも部分的に空間変調光を代表する光データブロック43a1、43a2、43aNが生成する。従って、この場合、光データブロック43a1、43a2、43aNは、遮光(減光)状況についての夫々の時間範囲T1、T2、Tnにおける空間変調光を代表する。
【0090】
図示のステップb)では、同じ第1時間範囲T1において第1シフト角WT1を代表する第1偏向データ43b1が提供される。
【0091】
この第1偏向データ43b1は同じ上位制御装置140によって提供されることができ、この場合、提供される第1偏向データ43b1の基礎は更なる自動車側条件である。
更なる自動車側条件は、光源10の空間変調光11の投影12の所定の第1シフト角WT1だけのシフトを含むことができる。
【0092】
ステップc)では、第1偏向データ43b1が第1光データブロック43a1に組み込まれる。
【0093】
第1偏向データ43b1は、同様に、同じ上位制御装置140から第1光データブロック43a1へ組み込まれることもできる。この組み込みは、例えば
図2(B)による構成によれば、強度値I1、I2、Inのビット深度の減少によって、又は、
図2(C)による構成によれば、第1光データブロック43a1の、とりわけ各光データブロック43a1、43a2、43aNのチャンネルR、G、Bの少なくとも部分的な使用によって、実行できる。
【0094】
次に、第1光データブロック43a1は、組み込まれた第1偏向データ43b1と共に、(
図2(C)についての説明に応じた)シリアル化を介して、シリアルデータ列44に変換されることができる。その後、ステップd)において、第1光データブロック43a1は、組み込まれた第1偏向データ43b1と共に、入力信号43を介して制御ユニット40へ伝送される。
【0095】
更なるステップe)では、制御ユニット40は入力信号43を評価する。評価は、本例では、入力信号43のデシリアル化を含むことができる。更に、評価は、第1光データブロック43a1からの第1光制御信号41T1の抽出も含むことができる。これは、プリセットフィルタリング(voreingestellte Filterung)によって実現されることができる。
【0096】
ステップe)では、更に、
図4による照明モジュール1の構成に従って、第1偏向制御信号42T1も第1光データブロック43a1から抽出されることができる。
【0097】
図5による照明モジュール1の代替的構成によると、ステップe)では、制御ユニット40は、第1光データブロック43a1から第1光制御信号41T1及び第1偏向データ43b1を抽出することができ、ステップf)の前に、制御ユニット40は、第1時間範囲T1における光源10の放射された空間変調光11の一部分11’が同じ第1時間範囲T1における第1シフト角WT1についての情報を含むよう、第1偏向データ43b1を第1光制御信号41T1へ組み込むことができる。制御ユニット40が偏向データ43b1を第1光制御信号41T1に組み込むことができる可能な方法の一例については、
図5を用いて既に説明した。
【0098】
次のステップf)では、第1光制御信号41T1が第1光データブロック43a1に応じて第1時間範囲T1において光源10に提供される。
【0099】
この場合、とりわけ、制御ユニット40は、第1光制御信号41T1を第1時間範囲T1において光源10へ出力するかないしは光源10に提供することができる。
【0100】
第1光制御信号41T1は第1時間範囲T1において提供されるものとしているが、これは、第1時間範囲が、
図3(A)で説明したように、制御装置40による第1光制御信号41T1の出力によっても開始される可能性を排除するものではない。
【0101】
最終ステップg)では、第1偏向制御信号42T1は、第1光データブロック43a1に組み込まれた第1偏向データ43b1に応じて、同じ第1時間範囲T1において偏向ユニット30に供給される。
【0102】
図4による照明モジュールの構成に応じ、ステップg)では、制御ユニット40は、第1偏向制御信号42T1を第1時間範囲T1において偏向ユニット30へ出力し、これによって、空間変調光11が第1時間範囲T1において光源10から放射されると直ぐに、光源10の空間変調光の投影12は第1時間範囲T1において第1シフト角WT1だけ投影角度範囲Pの内部においてシフトされることができる。
【0103】
図5による照明モジュールの代替実施形態に応じ、照明モジュールは受光器50を有し、受光器50は、ステップg)の前に光源10の放射された空間変調光11の少なくとも一部分11'を第1時間範囲において受光することができ、次いで、ステップg)において、それに基づく第1偏向制御信号42T1を第1時間範囲T1において偏向ユニット30に送信し、これによって、空間変調光11が第1時間範囲T1において光源10から放射されると直ぐに、光源10の空間変調光11の投影12は、第1時間範囲T1において第1シフト角WT1だけ投影角度範囲Pの内部においてシフトされる。
【0104】
本発明は、図示の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の保護範囲全体によって定義される。更に、本発明ないし実施形態(実施例)の視点を個別に選択し、互いに組み合わせることも可能である。特許請求の範囲における場合により付記されている図面参照符号は例示的なものであり、特許請求の範囲をより読みやすくするためのものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0105】
本発明は以下の付記として記載可能である。
[付記1]光源、投影ユニット、偏向ユニット及び制御ユニットを含む、自動車照明用の照明モジュール。
前記光源は、光制御信号を受信し、前記光制御信号に依存して空間変調光を放射するよう、構成されている;
前記投影ユニットは、前記光源から放射された空間変調光を投影角度範囲の内部において前記照明モジュールの前方へ投影するよう、構成されている;
前記偏向ユニットは、偏向制御信号を受信し、前記光源から放射された空間変調光の前記照明モジュールの前方への投影が前記投影角度範囲の内部においてシフト(変位)角でシフト(変位)可能であるように、前記光源から放射された空間変調光を前記偏向制御信号に依存して操作(処理)するよう、構成されている;
前記制御ユニットは、入力信号を受信し、評価し、それに基づいて制御信号を前記光源へ送信するよう、構成されている;
前記入力信号は、第1時間範囲において、少なくとも部分的に、前記光源の前記放射された空間変調光を代表する第1光データブロックを含み、かつ、この第1光データブロックには、同じ第1時間範囲において第1シフト角を代表する第1偏向データが含まれている。
[付記2]付記1に記載の照明モジュールにおいて、
前記制御ユニットは、前記入力信号の前記第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向制御信号を抽出し、かつ、前記第1偏向制御信号を前記第1時間範囲において前記偏向ユニットへかつ前記第1光制御信号を前記第1時間範囲において前記光源へ送信するよう、構成されており、これによって、前記空間変調光が前記第1時間範囲において前記光源から放射されると直ぐに、前記光源の前記空間変調光の投影は前記第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされる。
[付記3]付記1に記載の照明モジュールにおいて、
前記制御ユニットは、前記第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向データを抽出し、かつ、前記第1時間範囲における前記放射された空間変調光の一部分が同じ第1時間範囲における前記第1シフト角についての情報を含むよう、前記第1偏向データを前記第1光制御信号へ組み込む(integrieren)よう、構成されている;
前記照明モジュールは、更に、受光器(Lichtaufnehmer)を有し、前記受光器は、前記光源の前記放射された空間変調光の前記一部分を受光し、但し当該一部分は前記第1時間範囲における前記第1シフト角についての情報を含み、かつ、それに基づいて第1偏向制御信号を前記偏向ユニットへ送信するよう構成されており、これによって、前記空間変調光が前記第1時間範囲において前記光源から放射されると直ぐに、前記光源の前記空間変調光の投影は前記第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされる。
[付記4]付記1~3の何れかに記載の照明モジュールにおいて、
前記入力信号は、夫々偏向データを有し時間的に順次の複数の光データブロックを含み、これによって、時間的に順次の複数の時間範囲が規定され、但し当該時間範囲においては夫々偏向データを有する個別の光データブロックの各々が前記光源の前記放射された空間変調光と夫々の時間範囲における前記シフト角とを代表し、夫々の時間範囲の期間は実質的に同じでありかつ5ms~50msである。
[付記5]付記1~4の何れかに記載の照明モジュールにおいて、
前記時間的に順次の複数の光データブロックのn番目毎(各n番目)の光データブロックは互いに同一でありかつ1より大きい自然数nに相当する偏向データを含む。
[付記6]付記1~5の何れかに記載の照明モジュールにおいて、
前記入力信号は上位制御ユニットから提供される;
前記上位制御ユニットは、目標画像から、少なくとも、夫々偏向データを有する前記第1光データブロック及び第2光データブロックを生成するよう、構成されており、これによって、前記第1時間範囲の前記光源の前記放射された空間変調光の投影は第2時間範囲の前記光源の前記放射された空間変調光の投影と重ね合わされて実質的に前記目標画像を生成する。
[付記7]付記1~6の何れかに記載の照明モジュールにおいて、
前記光源から放射された空間変調光は複数の光セグメントを含み、前記第1光データブロックは、前記第1時間範囲において前記複数の光セグメントの少なくとも一部分の光強度を規定する強度値を含む。
[付記8]付記1~7の何れかに記載の照明モジュールにおいて、
前記強度値は夫々4~32ビットのビット深度(Bittiefe)を有し、前記第1偏向データはこのビット深度の少なくとも1ビットに組み込まれる。
[付記9]付記1~8の何れかに記載の照明モジュールにおいて、
前記第1光データブロックは、複数のチャンネルを有し、少なくとも1つのチャンネルは前記第1偏向データを含む。
[付記10]付記1~9の何れかに記載の照明モジュールを備える自動車。
[付記11]付記10に記載の自動車において、
前記自動車は前記(一の)照明モジュールと構造的に同一である少なくとも1つの第2の(更なる)照明モジュールを有し、該第2の照明モジュールの制御ユニットは前記照明モジュールの制御ユニットと同じ入力信号を受信し、前記第1光データブロックは、更に、前記照明モジュール又は前記第2の照明モジュールに特異的に(eindeutig)割り当て可能な識別子(Identifikation)を含む。
[付記12]
自動車照明のための照明モジュールを駆動する方法。
前記照明モジュールは光源、投影ユニット、偏向ユニット及び制御ユニットを含む;
前記光源は、光制御信号を受信し、前記光制御信号に依存して空間変調光を放射するよう、構成されている;
前記投影ユニットは、前記光源から放射された空間変調光を投影角度範囲の内部において前記照明モジュールの前方へ投影するよう、構成されている;
前記偏向ユニットは、偏向制御信号を受信し、前記光源から放射された空間変調光の前記照明モジュールの前方への投影が前記投影角度範囲の内部においてシフト(変位)角でシフト(変位)可能であるように、前記光源から放射された空間変調光を前記偏向制御信号に依存して操作するよう、構成されている;
前記方法は以下のステップ:
a)第1時間範囲において、少なくとも部分的に、前記光源の前記放射された空間変調光を代表する第1光データブロックを提供すること、
b)同じ第1時間範囲において、第1シフト角を代表する第1偏向データを提供すること、
c)前記第1偏向データを前記第1光データブロックへ組み込むこと(integrieren)、
d)前記第1光データブロックを、組み込まれた第1偏向データと一緒に、入力信号を介して前記制御ユニットへ伝送すること、
e)前記制御ユニットによって前記入力信号を評価すること、
f)前記第1光データブロックに応じて、前記第1時間範囲において第1光制御信号を前記光源へ提供すること、
g)前記第1光データブロックに組み込まれた前記第1偏向データに応じて、同じ第1時間範囲において第1偏向制御信号を前記偏向ユニットへ提供すること
を含む。
[付記13]付記12に記載の方法において、
前記ステップe)において、前記制御ユニットは前記第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向制御信号を抽出し、前記ステップf)において、前記制御ユニットは前記第1光制御信号を前記第1時間範囲において前記光源へ出力し、前記ステップg)において、前記制御ユニットは前記第1偏向制御信号を同じ第1時間範囲において前記偏向ユニットへ出力し、これによって、前記空間変調光が前記第1時間範囲において前記光源から放射されると直ぐに、前記光源の前記空間変調光の投影は前記第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされる。
[付記14]付記12に記載の方法でおいて、
前記ステップe)において、前記制御ユニットは、前記第1光データブロックから第1光制御信号及び第1偏向データを抽出し、前記ステップf)の前において、前記制御ユニットは、前記第1時間範囲における前記放射された空間変調光の一部分が同じ第1時間範囲における前記第1シフト角についての情報を含むよう、前記第1偏向データを前記第1光制御信号へ組み込む(integrieren);
前記照明モジュールは、更に、受光器(Lichtaufnehmer)を有し、前記受光器は、前記ステップg)の前に、前記光源の前記放射された空間変調光の少なくとも前記一部分を受光し、そして、前記ステップg)において、それに基づいた第1偏向制御信号を前記第1時間範囲において前記偏向ユニットへ送信するよう構成されており、これによって、前記空間変調光が前記第1時間範囲において前記光源から放射されると直ぐに、前記光源の前記空間変調光の投影は前記第1時間範囲において第1シフト角だけシフトされる。
【0106】
本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(「非選択」を含む。)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、本発明の技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0107】
更に、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を実施形態及び図示の実施例に限定することは意図していない。
【0108】
更に、上記の文献の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。