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特開2024-95586偏向ユニットを稼働最適化して制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095586
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】偏向ユニットを稼働最適化して制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/63 20180101AFI20240703BHJP
   F21S 41/153 20180101ALI20240703BHJP
   F21S 41/20 20180101ALI20240703BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20240703BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240703BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20240703BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20240703BHJP
   B60Q 1/076 20060101ALI20240703BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240703BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20240703BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240703BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20240703BHJP
【FI】
F21S41/63
F21S41/153
F21S41/20
F21S41/663
F21V5/00 500
F21V5/02
B60Q1/14 H
B60Q1/14 Z
B60Q1/076
F21W102:13
F21Y105:10
F21Y115:10
F21W104:00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215999
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】22216977.3
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】エーリク ハース
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス アイグナー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ミートラー
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339CA01
3K339DA01
3K339GB01
3K339HA01
3K339JA02
3K339JA06
3K339KA07
3K339KA09
3K339KA22
3K339LA40
3K339MC48
(57)【要約】      (修正有)
【課題】照射モジュールの稼働を最適化することのできる方法を提供する。
【解決手段】照射モジュール1用の偏向ユニット2を稼働最適化して制御するための方法に関し、照射モジュール1の固有解像度が、偏向ユニット2により視覚的に増加可能であり、当該方法は、以下のステップを含む:
a)目標稼働信号を受け取るステップ、但し目標稼働信号は、以下の少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標エネルギー効率;目標温度;目標像解像度;目標像鮮明度;目標純度;オフセット補正、
b)偏向ユニット2の制御量を目標稼働信号に依存して操作するステップ、但し偏向の範囲と時間的な経過の両方が、偏向ユニット2により制御量に依存して行われ、制御量により予設定された以下の観点のうちの少なくとも2つが、大きさ及び/又は時間長において操作されること:振幅;ゼロ位置;時間的な変化率;信号基本形状;ゼロ位置通過の間の時間長。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射モジュール(1)用の偏向ユニット(2)を稼働最適化して制御するための方法であって、
前記照射モジュール(1)は、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記照射モジュール(1)は、偏向ユニット(2)を含み、前記偏向ユニット(2)を用い、前記照射モジュール(1)の固有解像度が、前記偏向ユニット(2)を用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、前記方法は、以下のステップを含むこと:
a)目標稼働信号(2_ss)を受け取るステップ、但し前記目標稼働信号(2_ss)は、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標エネルギー効率(Esoll);目標温度(Tsoll);目標像解像度(Rsoll);目標像鮮明度(Csoll);目標純度(Msoll);オフセット補正(Osoll)、
b)前記偏向ユニット(2)の制御量(2_s)を前記目標稼働信号に依存して操作するステップ、但し偏向の範囲と時間的な経過の両方が、前記偏向ユニット(2)により前記制御量(2_s)に依存して行われ、この際、前記制御量(2_s)により予設定された以下の偏向の観点のうちの少なくとも2つが、大きさ及び/又は時間長において操作されること:振幅(2_A_ist);ゼロ位置(2_0_ist);時間的な変化率(2_dt_ist);ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)、
を特徴とする方法。
【請求項2】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標エネルギー効率(Esoll)を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際エネルギー効率(Eist)が目標エネルギー効率(Esoll)を下回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
目標エネルギー効率(Esoll)は、目標エネルギー効率(Esoll)が、前記偏向ユニット(2)とともに前記照射モジュール(1)を含む車両の検知された走行速度(Vist)に依存して決定されるように予設定され、しかも、車両速度の減少に伴って、要求される目標エネルギー効率が増加するように、目標エネルギー効率(Esoll)が予設定されること、
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標温度(Tsoll)を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)又は前記照射モジュール(1)の実際温度(Tist)が目標温度(Tsoll)を上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像鮮明度(Csoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅(2_Ay_max、2_Az_max)が予設定され、目標像鮮明度の低下に伴って振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像解像度(Rsoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、最大の目標像解像度の予設定では、最大の振幅(2_A_max)が予設定され、目標像解像度の低下に伴って振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
配光のセグメント化は、個々に制御可能な照射ピクセル(3)により実現されており、前記照射ピクセル(3)は、少なくとも2行2列の解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されており、偏向の最大の振幅は、偏向されていない基準状態(P0)と比較して、偏向された状態(P1)が、半分のピクセル幅だけ垂直方向並びに水平方向のオフセットを有するように選択されており、それにより偏向の最大の振幅がある場合には、縁部ピクセルを除き、偏向された各前記照射ピクセル(3)は、4つの偏向されていない前記照射ピクセルと空間的にそれぞれ25%の割合でオーバラップすること、
を特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記偏向ユニット(2)は、中立位置(Pn)を有し、前記偏向ユニット(2)は、前記偏向ユニット(2)の電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニット(2)の制御のために設けられた前記制御量(2_s)が欠落した場合に、前記中立位置(Pn)を自動的にとること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標エネルギー効率(Esoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際エネルギー効率(Eist)が目標エネルギー効率を下回る場合には、偏向の振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出されたオフセット補正を達成するために、偏向のゼロ位置(2_0_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像鮮明度(Csoll)を達成するために、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際像鮮明度(Cist)が目標像鮮明度(Csoll)を下回る場合には、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が増加されるように、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された前記偏向ユニット(2)の目標純度(M_soll)を達成するために、偏向の時間的な変化率(2_dt)が操作され、しかも、目標純度(M_soll)を下回る場合には、偏向の時間的な変化率(2_dt)が少なくとも一時的に増加されるように、偏向の時間的な変化率(2_dt)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記偏向ユニット(2)は、ガラスプレート(2a)を含み、前記ガラスプレート(2a)は、少なくとも1つの軸線、好ましくは正に1つの軸線(y)、又は正に2つの軸線(y、z)の周りに旋回可能又は移動可能に構成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ガラスプレート(2a)は、平坦な光入射面(2a’)と、前記光入射面(2a’)に対して平坦平行な光出射面(2a”)とを有し、前記偏向ユニット(2)は、前記ガラスプレート(2a)が旋回可能である前記軸線ごとに、少なくとも1つの電気的なコイル(2b)を有し、前記ガラスプレート(2a)には、各前記コイル(2b)に対し、それぞれの前記コイル(2b)と磁気結合するための磁気結合手段(2c)がそれぞれ配設されており、それによりそれぞれの前記コイル(2b)の通電により、対応の前記磁気結合手段(2c)に対して力が印加可能であり、しかも、前記ガラスプレート(2a)が前記コイル(2b)の通電に依存してそれぞれの前記軸線(y、z)の周りに旋回されるように、対応の前記磁気結合手段(2c)に対して力が印加可能であること、
を特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記偏向ユニット(2)は、更に、前記ガラスプレート(2a)が旋回可能である前記軸線(y、z)ごとに、前記ガラスプレート(2a)を中立位置(Pn)に戻すための機械的なリターン要素(2d)、特にばね要素を有し、前記ガラスプレート(2a)は、前記偏向ユニット(2)の電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニット(2)の制御のために設けられた前記制御量(2_s)が欠落した場合に、前記中立位置(Pn)を自動的にとること、
を特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
自動車灯具用の照射モジュール(1)であって、
前記照射モジュール(1)は、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記照射モジュール(1)は、偏向ユニット(2)を含み、前記偏向ユニット(2)を用い、前記照射モジュール(1)により生成される配光の視覚的に知覚可能な解像度が、前記照射モジュール(1)の固有配光に比べて増加可能であり、前記照射モジュール(1)は、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されていること、
を特徴とする照射モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の記載)
本出願は、2022年12月28日付けで出願の欧州特許出願第22216977.3号(DAS access code: 6574)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は、引用をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
【0002】
本発明は、照射モジュール用の偏向ユニットを稼働最適化して制御するための方法に関し、この際、照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されている。
【背景技術】
【0003】
従来技術から、自動車照射モジュールを制御するための方法が知られるようになり、それらの自動車照射モジュールは、配光の個々のセグメントの光放射を時間的に可変に変化させることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3002631号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/293247号
【特許文献3】米国特許出願公開第2022/400238号
【特許文献4】特開2019-053128号
【特許文献5】米国特許出願公開第2018/095269号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光放射を改善するためには、今まで、例えば、より高い解像度、改善されたコントラスト、増加された光強度、増加された効率などを可能にするコンポーネントを使用することにより、該当する照射モジュールのコンポーネントが変更されていた。
【0006】
本発明の課題は、照射モジュールの稼働を最適化することのできる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、第1の観点では、偏向ユニットの目的依存の可変の制御が照射モジュールを稼働最適化するための可能性を提供することが認識されたことにより解決され、第2の観点では、前記課題は、以下のように所定の技術的な特徴及び方法ステップを設けることにより解決され、即ち照射モジュールが偏向ユニットを含み、偏向ユニットを用い、照射モジュールの固有解像度が、偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、この際、当該方法は、以下のステップを含む:
a)目標稼働信号を受け取るステップ、但し目標稼働信号は、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標エネルギー効率;目標温度;目標像解像度;目標像鮮明度;目標純度;オフセット補正、
b)偏向ユニットの制御量を目標稼働信号に依存して操作(マニピュレート)するステップ、但し偏向の範囲と時間的な経過の両方が、偏向ユニットにより制御量に依存して行われ、この際、制御量により予設定された以下の偏向の観点のうちの少なくとも2つが、大きさ(ないし高さ)及び/又は時間長(ないし期間)において操作されること:振幅;ゼロ位置;時間的な変化率;信号基本形状;ゼロ位置通過の間の時間長。
【0008】
即ち本発明の第1の視点により、
照射モジュール用の偏向ユニットを稼働最適化して制御するための方法であって、
前記照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記照射モジュールは、偏向ユニットを含み、前記偏向ユニットを用い、前記照射モジュールの固有解像度が、前記偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、前記方法は、以下のステップを含むこと:
a)目標稼働信号を受け取るステップ、但し前記目標稼働信号は、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標エネルギー効率;目標温度;目標像解像度;目標像鮮明度;目標純度;オフセット補正、
b)前記偏向ユニットの制御量を前記目標稼働信号に依存して操作するステップ、但し偏向の範囲と時間的な経過の両方が、前記偏向ユニットにより前記制御量に依存して行われ、この際、前記制御量により予設定された以下の偏向の観点のうちの少なくとも2つが、大きさ及び/又は時間長において操作されること:振幅;ゼロ位置;時間的な変化率;ゼロ位置通過の間の時間長、
を特徴とする方法が提供される。
更に本発明の第2の視点により、
自動車灯具用の照射モジュールであって、
前記照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記照射モジュールは、偏向ユニットを含み、前記偏向ユニットを用い、前記照射モジュールにより生成される配光の視覚的に知覚可能な解像度が、前記照射モジュールの固有配光に比べて増加可能であり、前記照射モジュールは、前記第1の視点に記載の方法を実行するように構成されていること、
を特徴とする照射モジュールが提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
照射モジュール用の偏向ユニットを稼働最適化して制御するための方法であって、
前記照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記照射モジュールは、偏向ユニットを含み、前記偏向ユニットを用い、前記照射モジュールの固有解像度が、前記偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、前記方法は、以下のステップを含むこと:
a)目標稼働信号を受け取るステップ、但し前記目標稼働信号は、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標エネルギー効率;目標温度;目標像解像度;目標像鮮明度;目標純度;オフセット補正、
b)前記偏向ユニットの制御量を前記目標稼働信号に依存して操作するステップ、但し偏向の範囲と時間的な経過の両方が、前記偏向ユニットにより前記制御量に依存して行われ、この際、前記制御量により予設定された以下の偏向の観点のうちの少なくとも2つが、大きさ及び/又は時間長において操作されること:振幅;ゼロ位置;時間的な変化率;ゼロ位置通過の間の時間長。
(形態2)
形態1に記載の方法において、ステップa)に従って前記目標稼働信号から導き出された目標エネルギー効率を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長が操作され、しかも、前記偏向ユニットの実際エネルギー効率が目標エネルギー効率を下回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長が操作されること、が好ましい。
(形態3)
形態2に記載の方法において、目標エネルギー効率は、目標エネルギー効率が、前記偏向ユニットとともに前記照射モジュールを含む車両の検知された走行速度に依存して決定されるように予設定され、しかも、車両速度の減少に伴って、要求される目標エネルギー効率が増加するように、目標エネルギー効率が予設定されること、が好ましい。
(形態4)
形態1~3のいずれか1つに記載の方法において、ステップa)に従って前記目標稼働信号から導き出された目標温度を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長が操作され、しかも、前記偏向ユニット又は前記照射モジュールの実際温度が目標温度を上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長が操作されること、が好ましい。
(形態5)
形態1~4のいずれか1つに記載の方法において、ステップa)に従って前記目標稼働信号から導き出された目標像鮮明度を達成するために、偏向の振幅が操作され、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅が予設定され、目標像鮮明度の低下に伴って振幅が減少されるように、偏向の振幅が操作されること、が好ましい。
(形態6)
形態1~5のいずれか1つに記載の方法において、ステップa)に従って前記目標稼働信号から導き出された目標像解像度を達成するために、偏向の振幅が操作され、しかも、最大の目標像解像度の予設定では、最大の振幅が予設定され、目標像解像度の低下に伴って振幅が減少されるように、偏向の振幅が操作されること、が好ましい。
(形態7)
形態5又は6に記載の方法において、配光のセグメント化は、個々に制御可能な照射ピクセルにより実現されており、前記照射ピクセルは、少なくとも2行2列の解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されており、偏向の最大の振幅は、偏向されていない基準状態と比較して、偏向された状態が、半分のピクセル幅だけ垂直方向並びに水平方向のオフセットを有するように選択されており、それにより偏向の最大の振幅がある場合には、縁部ピクセルを除き、偏向された各前記照射ピクセルは、4つの偏向されていない前記照射ピクセルと空間的にそれぞれ25%の割合でオーバラップすること、が好ましい。
(形態8)
形態1~7のいずれか1つに記載の方法において、前記偏向ユニットは、中立位置を有し、前記偏向ユニットは、前記偏向ユニットの電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニットの制御のために設けられた前記制御量が欠落した場合に、前記中立位置を自動的にとること、が好ましい。
(形態9)
形態1~8のいずれか1つに記載の方法において、ステップa)に従って前記目標稼働信号から導き出された目標エネルギー効率を達成するために、偏向の振幅が操作され、しかも、前記偏向ユニットの実際エネルギー効率が目標エネルギー効率を下回る場合には、偏向の振幅が減少されるように、偏向の振幅が操作されること、が好ましい。
(形態10)
形態1~9のいずれか1つに記載の方法において、ステップa)に従って前記目標稼働信号から導き出されたオフセット補正を達成するために、偏向のゼロ位置が操作されること、が好ましい。
(形態11)
形態1~10のいずれか1つに記載の方法において、ステップa)に従って前記目標稼働信号から導き出された目標像鮮明度を達成するために、偏向の時間的な変化率が操作され、しかも、前記偏向ユニットの実際像鮮明度が目標像鮮明度を下回る場合には、偏向の時間的な変化率が増加されるように、偏向の時間的な変化率が操作されること、が好ましい。
(形態12)
形態1~11のいずれか1つに記載の方法において、ステップa)に従って前記目標稼働信号から導き出された前記偏向ユニットの目標純度を達成するために、偏向の時間的な変化率が操作され、しかも、目標純度を下回る場合には、偏向の時間的な変化率が少なくとも一時的に増加されるように、偏向の時間的な変化率が操作されること、が好ましい。
(形態13)
形態1~12のいずれか1つに記載の方法において、前記偏向ユニットは、ガラスプレートを含み、前記ガラスプレートは、少なくとも1つの軸線、好ましくは正に1つの軸線、又は正に2つの軸線の周りに旋回可能又は移動可能に構成されていること、が好ましい。
(形態14)
形態13に記載の方法において、前記ガラスプレートは、平坦な光入射面と、前記光入射面に対して平坦平行な光出射面とを有し、前記偏向ユニットは、前記ガラスプレートが旋回可能である前記軸線ごとに、少なくとも1つの電気的なコイルを有し、前記ガラスプレートには、各前記コイルに対し、それぞれの前記コイルと磁気結合するための磁気結合手段がそれぞれ配設されており、それによりそれぞれの前記コイルの通電により、対応の前記磁気結合手段に対して力が印加可能であり、しかも、前記ガラスプレートが前記コイルの通電に依存してそれぞれの前記軸線の周りに旋回されるように、対応の前記磁気結合手段に対して力が印加可能であること、が好ましい。
(形態15)
形態14に記載の方法において、前記偏向ユニットは、更に、前記ガラスプレートが旋回可能である前記軸線ごとに、前記ガラスプレートを中立位置に戻すための機械的なリターン要素、特にばね要素を有し、前記ガラスプレートは、前記偏向ユニットの電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニットの制御のために設けられた前記制御量が欠落した場合に、前記中立位置を自動的にとること、が好ましい。
(形態16)
自動車灯具用の照射モジュールであって、
前記照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記照射モジュールは、偏向ユニットを含み、前記偏向ユニットを用い、前記照射モジュールにより生成される配光の視覚的に知覚可能な解像度が、前記照射モジュールの固有配光に比べて増加可能であり、前記照射モジュールは、形態1~15のいずれか1つに記載の方法を実行するように構成されていること。
【0010】
偏向ユニットは、所望の光強度に依存して連続的に照射されるか、又は、例えば偏向ユニットが所望のポジションをとったときのみ、所定のサイクル間隔で或いは予設定された時間長で照射されることも可能である。
【0011】
この際、「固有解像度(ネイティブ解像度)」との表現は、光放射のための個々に制御可能なセグメントの合計により与えられている解像度として理解される。例えばセグメントが2行2列に配設されており、個々に制御可能である場合には、これは2x2の固有解像度に対応し、この際、個々に制御可能な各セグメントは、照射ピクセル(発光ピクセル)と称することもできる。自動車照射モジュールは、好ましくは、少なくとも2×2の固有解像度を有し、特に好ましくは、高解像の自動車照射モジュールに関する。
【0012】
偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により、人間の目で知覚される解像度を固有解像度に比べて増加させることが可能である。
【0013】
特に、ステップa)に従って目標稼働信号から導き出された目標エネルギー効率を達成するために、ゼロ位置通過(複数)の間の時間長を操作することができ、しかも、偏向ユニットの実際エネルギー効率が目標エネルギー効率を下回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長を操作することができる。偏向ユニットがより高い周波数で制御されるほど、エネルギー消費が増加し、エネルギー効率は低下する。周波数の減少は、照射装置のより経済的な稼働を可能とし、このことは、新たに、エネルギーの節約と、アクチュエータ及びそのために設けられた偏向装置の寿命の増加とに寄与する。
【0014】
特に、自動車照射モジュールは、少なくとも60Hz、典型的には60Hzと160Hzの間の周波数で、互いに異なる光像を放射するように構成されていることができ、それにより、異なる目標像は、少なくとも30Hzの周波数で入力し、少なくとも60Hzの周波数でそれぞれの像対(イメージペア)の個々の低解像の像(イメージ)に変換され、自動車照射モジュールにより相前後して放射される。それにより偏向ユニットは、少なくとも60Hzの周波数で制御されることが可能であり、ないし偏向ユニットは、任意の開始ポジションから始まり、所望の偏向ポジションを最大1/60秒以内でとるように構成されている。
【0015】
更に、目標エネルギー効率を、目標エネルギー効率が、偏向ユニットとともに照射モジュールを含む車両の検知された走行速度に依存して決定されるように予設定することができ、しかも、車両速度の減少に伴って、要求される目標エネルギー効率が増加するように、目標エネルギー効率を予設定することができる。
【0016】
そのことは、例えば自動車の速度センサ又は光像に依存して行うことができる。つまり例えば停止稼働時には、ウェルカムプロジェクションにおいて、走行稼働時におけるよりも周波数を低く選択することができ、その理由は、走行稼働時において低い周波数の選択では望まれないストロボ状の作用が起こる可能性があるためである。
【0017】
偏向ユニットは、常時照射されることが可能である。しかしまたそれに代わり、偏向ユニットを、所定の時間間隔(時間インターバル)内でのみ、例えば時間制御して及び/又は偏向ユニットが特定のポジション領域に達する時点、例えば振幅を少なくとも90%で達する時点においてのみ、照射することもできる。特に地面プロジェクション又はウェルカムプロジェクションでは、光が時間制御されて放射されることができる。また時間制御される光源を用いた視覚的な特殊効果も達成される。
【0018】
特に、ステップa)に従って目標稼働信号から導き出された目標温度を達成するために、ゼロ位置通過(複数)の間の時間長を操作することができ、しかも、偏向ユニット又は照射モジュールの実際温度が目標温度を上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長を操作することができる。
【0019】
更に、ステップa)に従って目標稼働信号から導き出された目標像鮮明度を達成するために、偏向の振幅を操作することができ、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅が予設定され、目標像鮮明度の低下に伴って振幅が減少されるように、偏向の振幅を操作することができる。
【0020】
例えば、ロービーム配光では、配光がぼかし(ブラーリング)を有することは、有利であり得る。そのために偏向ユニットの偏り角度を減少させることができる。標準配光から他の配光への移行時にも、ぼかしは、有利であり得る。
【0021】
特に、ステップa)に従って目標稼働信号から導き出された目標像解像度を達成するために、偏向の振幅を操作することができ、しかも、最大の目標像解像度の予設定では、最大の振幅が予設定され、目標像解像度の低下に伴って振幅が減少されるように、偏向の振幅を操作することができる。
【0022】
更に、配光のセグメント化は、個々に制御可能な照射ピクセルにより実現されていることができ、これらの照射ピクセルは、少なくとも2行2列の固有解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されており、この際、偏向の最大の振幅は、偏向されていない基準状態と比較して、偏向された状態が、半分のピクセル幅だけ垂直方向並びに水平方向のオフセット(ずれ)を有するように選択されており、それにより偏向の最大の振幅がある場合には、縁部ピクセルを除き、偏向された各照射ピクセルは、4つの偏向されていない照射ピクセルと空間的にそれぞれ25%の割合でオーバラップする。それにより知覚される解像度は、固有解像度の4倍の値をとることができる。この際、縁部ピクセルとは、全ての側方において他の照射ピクセルにより取り囲まれているのではなく、少なくとも1つの側方には隣接する照射ピクセルが存在しない照射ピクセルとして理解される。従って放射すべき像の縁部領域を意味する。
【0023】
特に、偏向ユニットは、中立位置(ニュートラル位置)を有することができ、偏向ユニットは、偏向ユニットの電流供給が欠落した場合、又は偏向ユニットの制御のために設けられた制御量が欠落した場合に、中立位置を自動的にとる。中立位置とは、偏向ユニットに電圧が印加されていない場合の偏向ユニットの位置として理解される。この位置は、偏向ユニットが偏向ユニットを通過する光の本質的な偏向をもたらさないゼロポジションとは異なっていてもよく、しかし異なっていなくてはならないというわけではない。それにより、アクチュエータが必要とされないか又はスイッチオフされなくてはならない場合にも、光機能の出力が引き続き保証される。
【0024】
更に、ステップa)に従って目標稼働信号から導き出された目標エネルギー効率を達成するために、偏向の振幅を操作することができ、しかも、偏向ユニットの実際エネルギー効率が目標エネルギー効率を下回る場合には、偏向の振幅が減少されるように、偏向の振幅を操作することができる。また偏りがより少ないことにより、必要な場合には同様にアクチュエータの寿命を増加させることができる。
【0025】
特に、ステップa)に従って目標稼働信号から導き出されたオフセット補正を達成するために、偏向のゼロ位置を操作することができる。つまり製造許容誤差及び構成部材許容誤差により、設けられた光路内には僅かなずれが生じる可能性がある。光路をそのような許容誤差に依存せず十分に最適な状態で構成するために、例えばオフセット補正を実行することができ、即ち予定された偏り角度が、最適の偏り角度と中立ポジションとの作用が引き続き達成されるように適合される。
【0026】
更に、ステップa)に従って目標稼働信号から導き出された目標像鮮明度を達成するために、偏向の時間的な変化率を操作することができ、しかも、偏向ユニットの実際像鮮明度が目標像鮮明度を下回る場合には、偏向の時間的な変化率が増加されるように、偏向の時間的な変化率を操作することができる。このことは、必ずしも周波数増加を意味するのではなく、2つの終端ポジションを互いに接続するスロープがより急勾配であり、それによりそれらの終端ポジションが作業サイクル全体の一定の時間長において時間的により長く保たれ得ることにより達成可能である。アクチュエータ運動ないし偏向ユニットの偏向要素のポジション変更がより速く実行されるほど、像はより鮮明になり、より遅く実行されるほど、第1のフレームと第2のフレームの間の移行は、より多く互いに「混合」される。
【0027】
例えば、ロービーム配光では、配光がぼかし(ブラーリング)を有すること、即ち隣接するピクセルの視覚的に知覚可能な光の間の平滑化を有することは、有利であり得る。また必要であるならば、偏り角度を減少させることができる。標準配光から他の配光への移行時にも、ぼかしは、有利であり得る。
【0028】
特に、ステップa)に従って目標稼働信号から導き出された偏向ユニットの目標純度を達成するために、偏向の時間的な変化率を操作することができ、しかも、目標純度を下回る場合には、偏向の時間的な変化率が少なくとも一時的に増加されるように、偏向の時間的な変化率を操作することができる。汚染粒子は、偏向ユニット内の機械的な運動が増すことにより偏向ユニットから引き離される。
【0029】
照射モジュールは、好ましくは、自動車灯具における使用、特にシグナルライト灯具又は自動車投光器における使用のために構成される。それゆえ、照射モジュールは、前記の装置の一部としてもよい。
【0030】
ここで、前記の個々の機能ないし最適化タスクは、重み付けられ、ないし階層的に分けられ得ることも述べておく。例えば高温に達したために偏向ユニットの機能が危うくされている場合には、温度要件が、走行速度に依存して決定される要件よりも高く重み付けられるであろう。この際、安全関連の全ての要件が、最も高い重み付けを有することができる。例えば(例えば偏向周波数の減少又は振幅の低下により)目標温度が減少されるべきで、同時に、許容される限界値を超える埃/汚れが検知される(このことは偏向周波数の増加により克服されるであろう)場合について、この場合、高すぎる温度は、偏向ユニットの回復不能な欠陥をもたらす可能性があるので、目標温度に対する要件がより高く重み付けられる。
【0031】
目標像(目標イメージ)の情報は、像の個々の像点(イメージピクセル)の目標光強度に関する情報を含めることもできる。この情報は、自動車照射モジュールの光源に与えられ、光源により実現されることが可能である。
【0032】
更に、偏向ユニットは、ガラスプレートを含むことができ、ガラスプレートは、少なくとも1つの軸線、好ましくは正に1つの軸線、又は正に2つの軸線の周りに旋回可能又は移動可能に構成されている。
【0033】
特に、ガラスプレートは、平坦な光入射面と、光入射面に対して平坦平行な光出射面とを有することができ、この際、偏向ユニットは、ガラスプレートが旋回可能である軸線ごとに、少なくとも1つの電気的なコイルを有し、またこの際、ガラスプレートには、各コイルに対し、それぞれのコイルと磁気結合するための磁気結合手段がそれぞれ配設されており、それによりそれぞれのコイルの通電により、対応の磁気結合手段に対して力が印加可能であり、しかも、ガラスプレートがコイルの通電に依存してそれぞれの軸線の周りに旋回されるように、対応の磁気結合手段に対して力が印加可能である。この際、ガラスプレートは、照射モジュールの光線路内に配設されている。光偏向は、ガラスプレートへの入射時及びガラスプレートからの出射時の光屈折により行われる。
【0034】
更に、偏向ユニットは、ガラスプレートが旋回可能である軸線ごとに、ガラスプレートを中立位置に戻すための機械的なリターン要素、特にばね要素を有することができ、この際、ガラスプレートは、偏向ユニットの電流供給が欠落した場合、又は偏向ユニットの制御のために設けられた制御量が欠落した場合に、中立位置を自動的にとる。勿論、軸線ごとに2つ以上のリターン要素を設けることもできる。
【0035】
更に、本発明は、自動車灯具用の照射モジュールに関し、この際、照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、またこの際、照射モジュールは、偏向ユニットを含み、偏向ユニットを用い、照射モジュールの固有解像度が、偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、またこの際、照射モジュールは、本発明による方法を実行(ないし実施)するように構成されている。
【0036】
本方法で述べた全ての装置構成(ないし特徴)は、特記しない限り、照射モジュールの一部を構成することもできる。またその逆で、照射モジュールに関連して述べた全ての装置構成(ないし特徴)は、上述の方法の一部を構成することもできる。照射モジュールは、シグナル灯具と自動車投光器の両方に関することができる。照射モジュールは、好ましくは、自動車灯具、特にシグナルライト灯具又は自動車投光器における使用のために構成されている。それゆえ照射モジュールは、前記の装置の一部としてもよい。
【0037】
以下、図面に具体的に示された、例示であり限定を意図するものではない実施形態に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1a】本発明と関連して使用するための一照射モジュールの概略図を側面図として示す図である。
図1b】偏向ユニットが傾けられた状態にある、図1の側面図を示す図である。
図1c図1bのポジションにおいて照射モジュールを上方から見た図である。
図2a】偏向ユニットの第1の実施形態の概略図を示す図である。
図2b】偏向ユニットの第2の実施形態の概略図を示す図である。
図2c】偏向ユニットの第3の実施形態の概略図を示す図である。
図3】コイル電流と、本発明のために使用することのできる典型的な偏向ユニットの偏りとの間の静的な関係が示されているグラフを示す図である。
図4】本発明による照射モジュールを用いて時間的に相前後して放射可能である2つの配光を示す図である。
図5】本発明の個々の可能なコンポーネントに関するブロック図を示す図である。
図6】本発明において使用することのできる偏向ユニットの偏りの第1の時間的な延在経過を示す図である。
図7】本発明において使用することのできる偏向ユニットの偏りの第2の時間的な延在経過を示す図である。
図8】本発明において使用することのできる偏向ユニットの偏りの第3の時間的な延在経過を示す図である。
【実施例0039】
添付の図では、特に明記しない限り、同じ参照符号は、同じ構成要素を示す。
【0040】
図1aは、本発明と関連して使用するための照射モジュール1の概略図を側面図として示している。照射モジュール1は、セグメント化された配光を放射するように構成されている。そのために照射モジュール1は、例えば個々に制御可能な複数のLEDから成る行列(マトリクス)を含んだ光源4を含み、この際、各LEDは、放射可能な配光の1つのセグメントに割り当てられており、配光の1つの照射ピクセル3を構成する。セグメント化された配光の生成に適している他の光源又は光源システムを使用することも勿論可能である。光源4は、典型的には回路支持体5上、特にPCB(プリント基板)上に配設されている。光源4から放射された光は、この光が偏向ユニット2に入射する前に、例えば光学構成要素6、例えば拡開光学系を通過することができる。典型的には光源4の個々に制御可能な光領域の数により固有解像度(ネイティブ解像度)が固定される。光源4が例えば10行10列の行列に配設された100個の個々に制御可能なLEDを有する場合には、それに基づき100個のセグメントないし10×10の固有解像度が得られる。偏向ユニット2は、光源4から放射された光線L1を偏向するように構成されている。そのために偏向ユニット2は、ガラスプレート2aを含むことができ、ガラスプレート2aは、少なくとも1つの軸線の周りに旋回可能又は移動可能に構成されている。これに関するより詳細な情報は、更に後続段落で図2a~図2cと関連して説明される。
【0041】
図1a~図1cでは、偏向ユニット2による光線偏向が、例えば偏向ユニット2への入射時及び偏向ユニット2からの出射時の光屈折により行われることが見てとれる。より正確に述べると、光は、ガラスプレート2aの光入射面2a’において並びに光出射面2a”において屈折される。それにより出射する光は、入射する光の光路に対してずらされる。つまり光線L1は偏向される。本発明ではこの偏向が、偏向ユニット2を用いた少なくとも一時的な光線偏向により照射モジュール1の固有解像度を視覚的に増加させるために利用される。このことは、偏向ユニット2を用いた時間的に可変の偏向により達成され、つまり典型的には次のような速度をもって、即ち少なくとも偏向ユニット2の異なるポジションにより個々のセグメントの位置に関して互いに異なる、相前後して放射される配光が、人間の目には、それに対応してより高い知覚可能な解像度を有する1つの共通の配光のように知覚されるような大きさで選択される速度をもって、偏向ユニット2を用いた時間的に可変の偏向により達成される。この際、周波数は、好ましくは少なくとも60Hzの値をとる。
【0042】
図面の見やすさのために、いくつかの図には、デカルト座標系が記入されており、このデカルト(直交)座標系は、x軸線が主放射方向(車両投光器の場合には典型的に車両の前進走行方向)と一致するように選択されたものであり、y軸線は、それと直交し且つ水平方向に配向されており、またz軸線は、垂直方向に配向されており且つそれによりx軸線とy軸線により固定された平面に対して直角方向に配向されている。図1a~図1cによるここで示された実施例において、ガラスプレート2aは、2つの軸線の周り、即ちy軸線(図1bを参照)並びにz軸線(図1cを参照)の周りに旋回可能である。
【0043】
図1aは、偏向されていない基準状態P0におけるガラスプレート2aを示しており、基準状態P0は、本例では中立位置Pnと一致する。しかしこれらの2つの位置は、互いに異なっていてもよい。つまり偏向ユニット2は、偏向ユニット2が、偏向ユニット2の電流供給が欠落した場合、又は偏向ユニット2の制御のために設けられた制御量2_sが欠落した場合に、自動的にとる中立位置Pnを有することができる。偏向の振幅2_A_istは、図1aによるポジションでは、ゼロに等しい。
【0044】
既述したように、配光のセグメント化は、個々に制御可能な照射ピクセル3により実現されていることができる。好ましくは、これらの照射ピクセル3は、少なくとも2行2列の固有解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されている。偏向の最大の振幅2_Ay_max(図1bを参照)及び/又は2_Az_max(図1cを参照)は、偏向されていない基準状態P0と比較して、偏向された状態P1が、半分のピクセル幅だけ垂直方向並びに水平方向のオフセット(ずれ)を有するように選択されており、それにより偏向の最大の振幅がある場合には、縁部ピクセルを除き、偏向された各照射ピクセル3は(偏向ユニット2の通過後のところから見て)4つの偏向されていない照射ピクセルと空間的にそれぞれ25%の割合でオーバラップする。
【0045】
図1bは、偏向ユニット2が傾けられた状態にある、図1aの側面図を示している。この際、偏向ユニット2ないしガラスプレート2aは、y軸線の周りに角度αだけ旋回されており、それにより偏向の振幅2_Ay_istが生じている。この際、2_Ay_istの値は、この方向への最大の偏向、即ち2_Ay_maxよりいくらか小さく、それにより図4から見てとれるように、知覚可能な解像度の最大の増加はまだ行われていない。この際、後に並べられる像(イメージ)ないし後に並べられるセグメント化された光放射における1つの照射ピクセル3の変位Pは、1つの照射ピクセル3の辺長Pの半分を下回る。照射ピクセル3の変位P(上方と側方の双方)が、1つの照射ピクセル3の辺長Pの半分の大きさの値をとる場合に初めて、知覚可能な解像度の最大の増加が達成される。
【0046】
図1cは、図1bのポジションにおける照射モジュール1を上方から見た図を示している。この際、ガラスプレート2aは、z軸線の周りに角度αだけ旋回されており、それにより偏向の振幅2_Az_istが生じている。この際、2_Az_istの値は、この方向への最大の偏向、即ち2_Az_maxよりいくらか小さく、それによりここでも、知覚可能な解像度の最大の増加はまだ行われていない。
【0047】
図2aは、偏向ユニット2の第1の実施形態の概略図を示している。この際、偏向ユニット2は、既述したガラスプレート2a、並びに2つの機械的なリターン要素2d、特にねじりばねの形式のばね要素を含み、リターン要素2dは、y軸線に沿って(ないしy軸線の周りに)配設されており、それによりy軸線の周りのガラスプレート2aの旋回を可能にする。y軸線に対して直角方向に、即ちz軸線に沿って、2つの電気的なコイル2bが配設されており、これらのコイル2bは、偏向ユニット2の一部を構成する。コイル2bは、通電可能であり、ガラスプレート2aに対応的に配設された磁気結合手段2cに対し、例えば磁石の手段に対し、磁力を印加するために構成されている。
【0048】
換言すると、ガラスプレート2aは、平坦な光入射面2a’と、光入射面2a’に対して平坦平行な光出射面2a”(図1aを参照)とを有し、この際、偏向ユニット2は、ガラスプレート2aが旋回可能である軸線ごとに、少なくとも1つの電気的なコイル2bを有し、またこの際、ガラスプレート2aには、各コイル2bに対し、それぞれのコイル2bと磁気結合するための磁気結合手段2cがそれぞれ配設されており、それによりそれぞれのコイル2bの通電により、対応の磁気結合手段2cに対して力が印加可能であり、しかも、ガラスプレート2aがコイル2bの通電に依存してそれぞれの軸線の周りに旋回されるように、特に回転されるように、対応の磁気結合手段2cに対して力が印加可能である。ガラスプレート2aが旋回可能である軸線ごとに、ガラスプレート2aを中立位置Pnに戻すための機械的なリターン要素2d、特にばね要素が設けられており、この際、ガラスプレート2aは、偏向ユニット2の電流供給が欠落した場合、又は偏向ユニット2の制御のために設けられた制御量2_s(図5を参照)が欠落した場合に、中立位置Pnを自動的にとる。この種の電気機械的な力伝達に加え、又はそれに代わり、適切に結合されたピエゾアクチュエータを使用することもできる。
【0049】
図2bは、偏向ユニット2の第2の実施形態の概略図を示している。図2aのものと異なり、ガラスプレート2aは、ここでは2つの軸線、即ちy軸線とz軸線の周りに旋回可能である。ここでもリターン要素2dが旋回軸線に沿って配設されている。(図2aの)リターン要素(複数)2dの間にそれぞれコイル2b並びに磁気結合手段2cが配設されている。この実施形態では、2つの自由度を有する旋回が行われ、即ちy軸線の周りの偏向は、z軸線の周りの偏向に依存しないで行われ、またその逆も同様である。それにより両方の軸線の周りの偏向により、斜めの偏向も達成される。
【0050】
図2cは、偏向ユニット2の第3の実施形態の概略図を示している。ここでガラスプレート2aの懸架部は、偏向がy軸線及びz軸線に対して既に斜めに行われるように選択されている。つまり偏向軸線は、これらの両方の軸線y及びzを横切るように位置する。偏向の自由度の数がここでは1つだけであるという状況にもかかわらず、偏向軸線のこの選択に基づき、4倍の大きさで固有解像度に対して視覚的に知覚可能な解像度の増加を可能にする偏向が可能である。
【0051】
図3は、コイル電流と、本発明のために使用することのできる典型的な偏向ユニット2の偏り(ないし振幅)との間の静的な関係が示されているグラフを示している。このグラフでは、静的な場合において、電流と偏りの間に線形の関係を見ることができる。この際、偏り2_A_istは、コイル2bに加えられる電流Iに比例している。動的な稼働では、勿論、ガラスプレート2aの質量慣性、リターン要素2dの起こり得る慣性、コイル2dの誘導作用などが考慮される。この際、当業者は、偏向ユニット2のガラスプレート2aの所望のポジションをどの時点でも達成するために、コイル2bを制御するための適切な制御アルゴリズムを実現することができる。
【0052】
図4は、本発明による照射モジュール1を用いて時間的に相前後して放射可能である2つの配光LV1及びLV2の図を示している。この際、これらの配光は、それぞれ、上下及び左右に並んで一緒に1つの正方形を形成する5x5ピクセルを含む。この際、第2の配光LV2に割り当てられた正方形は、第1の配光LV1に割り当てられた正方形に関し、水平方向と垂直方向の両方において、ピクセル長Pの半分よりいくらか小さい分だけオフセットされている。この際、照射ピクセルが互いにオーバラップしており、また正方形がオーバラップする領域では、照射ピクセルの数が今や4倍(Quadrate)に増加されている印象が生じることを見ることができ、その理由は、各照射ピクセルが4つの異なるオーバラップ領域に分割されているためである。それにより配光LV1及びLV2の直接的に時間的に連続する放射により、照射モジュールの固有解像度(ここでは5x5)に比べて明らかに増加された知覚可能な解像度の視覚的な印象が生じる。知覚可能な解像度の増加の印象は、照射ピクセルのオフセット(ずれ)がピクセル長Pの1/2の値をとる場合に最大である。
【0053】
図5は、本発明の個々の可能なコンポーネントに関するブロック図を示している。そこでは、照射ピクセル3が光源4に割り当てられており、光源4は、制御ユニット7により制御されることが見てとれる。制御ユニット7は、計算ユニット7aを含み、計算ユニット7aは、例えば、入力される像信号(イメージ信号)S1に依存し、光源4の制御を行い、しかも、目標像(目標イメージ)Ssollとも呼ばれる、像信号S1により予設定された像(イメージ)に対応し、それらのセグメントないし照射ピクセル3が制御されるように、光源4の制御を行い、それにより像信号S1により予設定された像ができるだけ忠実に結像される。特に予設定された像が照射モジュール1の固有解像度を上回る解像度を有する場合には、異なる配光のオーバラップに基づき、異なる配光LV1及びLV2の適切な計算、並びにそれぞれの配光に対応する偏向ポジション、例えばPn、P0、P1の適合/計算により、予設定された目標像Ssol1にできるだけ良く似た視覚的な印象を作り出すことができる。像信号S1は、データソース8を介して制御ユニット7に供給可能である。
【0054】
偏向ユニット2の制御には、ある程度の自由度がある。基本的にガラスプレート2aの偏向の増加された周波数、並びに偏向のより大きい振幅は、増加されたエネルギー消費、及びそれに関与する電気機械的なコンポーネントの摩耗を伴う。目標像Ssollがどのくらい正確に再現されるべきであるかに依存し、並びに例えば目標像Ssollに対してぼかし(ブラーリング)のような更なる機能が場合により適用されるべきであるかにも依存し、図6図8と関連して更に詳細に説明されるように、偏向ユニット2を用いた偏向の計算に対し、目標を定めて介入することができる。そのために制御ユニット7には、目標稼働信号2_ssが提供され、目標稼働信号2_ssは、目標像Ssollがどのくらい正確に結像されるべきか、この際、例えば、目標エネルギー効率Esoll、目標温度Tsoll、目標像解像度Rsoll、目標像鮮明度Csoll、目標純度Msoll、及び/又はオフセット補正Osollに対する予設定のような他の周囲条件が考慮されるべきか、そして考慮されるべき場合には、どの階層的な重み付けで個々の予設定が考慮されるべきか、に関する情報を提供する。
【0055】
本発明は、照射モジュール1のための偏向ユニット2を稼働最適化して制御するための方法に関し、この際、照射モジュール1は、セグメント化された配光を放射するように構成されており、またこの際、照射モジュール1は、偏向ユニット2を含み、偏向ユニット2を用い、照射モジュール1の固有解像度が、偏向ユニット2を用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、この際、当該方法は、以下のステップを含む:
a)目標稼働信号2_ssを受け取るステップ、但し目標稼働信号2_ssは、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標エネルギー効率Esoll;目標温度Tsoll;目標像解像度Rsoll;目標像鮮明度Csoll;目標純度Msoll;オフセット補正Osoll、
b)偏向ユニット2の制御量2_sを目標稼働信号に依存して操作(マニピュレート)するステップ、但し偏向の程度(範囲)と時間的な経過の両方が、偏向ユニット2により制御量2_sに依存して行われ、この際、制御量2_sにより予設定された以下の偏向の観点のうちの少なくとも2つが、大きさ(ないし高さ)及び/又は時間長(ないし期間)において操作されること:振幅2_A_ist;ゼロ位置2_0_ist;時間的な変化率2_dt_ist;信号基本形状2_F_ist;ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_ist。
【0056】
図6は、偏向ユニット2の偏りの第1の時間的な延在経過を示している。より正確に述べると、そこでは(並びに図7図8では)偏り(ないし振幅)2_Ay_istの時間的な延在経過が、y軸線の周りのガラスプレート2aの回転の経過に沿って見ることができる。y軸線の周りの偏りについて述べたことは全て、z軸線の周りの単独の偏り又は追加的な偏りの場合にも勿論対応して行うことができる。
【0057】
回転(旋回)は、例えば、十分の数度から数度までの値をとることができる。この際、偏りないし偏りの振幅は、例えば、図6図7に示されているように、最大値2_Ay_maxをとることができる。それに対し、図8では、同じく図8に図示された値2_Ay_max_Fig.6/7との比較から見てとれるように、偏りの最大値2_Ay_maxは減少されている。
【0058】
特に、ステップa)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標エネルギー効率Esollを達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istを操作することができ、しかも、偏向ユニット2の実際エネルギー効率Eistが目標エネルギー効率Esollを下回る場合には、ゼロ位置通過(複数)の間の時間長2_tp_istが増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istを操作することができる。偏向ユニット2がより高い周波数で制御されるほど、エネルギー消費が増加し、エネルギー効率は低下する。周波数の減少は、照射モジュール1のより経済的な稼働を可能とし、このことは、新たに、エネルギーの節約と、アクチュエータないしコイル2bの寿命の増加とに寄与する。この際、目標エネルギー効率Esollを、目標エネルギー効率Esollが、偏向ユニット2とともに照射モジュール1を含む車両の検知された走行速度Vistに依存して決定されるように予設定することができ、しかも、車両速度の減少に伴って、要求される目標エネルギー効率が増加するように、目標エネルギー効率Esollを予設定することができる。
【0059】
図7は、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istが図6と比較して短くされたバリエーションを示している。この際、具体的には、偏向の周波数(頻度 Frequenz)と、達成すべき偏りポジション2_Ay_maxないし-2_Ay_maxの間のスロープ勾配との両方が増加された。それによりスロープ時間長2_tfは、図7では、図6に比べて同様に短縮された。光源4による光の放射は、この放射が、スロープの間の時間長内でのみ、かくて、2_tf以外でのみ行われるように時間制御されることが可能である。このようにして、例えば、放射のぼけが回避されるので、結像の鮮明度を更に増加させることができる。
【0060】
更に、ステップa)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標温度Tsollを達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istを操作することができ、しかも、偏向ユニット2又は照射モジュール1の実際温度Tistが目標温度Tsollを上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istが増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istを操作することができる。
【0061】
更に、ステップa)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標像鮮明度Csollを達成するために、偏向の振幅2_A_istを操作することができ、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅2_A_maxが予設定され、目標像鮮明度Csollの低下に伴って振幅2_A_istが減少されるように、偏向の振幅2_A_istを操作することができる。
【0062】
更に、ステップa)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標像解像度Rsollを達成するために、偏向の振幅2_A_istを操作することができ、しかも、最大の目標像解像度の予設定では、最大の振幅2_A_maxが予設定され、目標像解像度Rsollの低下に伴って振幅2_A_istが減少されるように、偏向の振幅2_A_istを操作することができる。
【0063】
更に、ステップa)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標エネルギー効率Esollを達成するために、偏向の振幅2_A_istを操作することができ、しかも、偏向ユニット2の実際エネルギー効率Eistが目標エネルギー効率Esollを下回る場合には、偏向の振幅2_A_istが減少されるように、偏向の振幅2_A_istを操作することができる。
【0064】
特に、ステップa)に従って目標稼働信号2_ssから導き出されたオフセット補正を達成するために、偏向のゼロ位置2_0_istを操作することができる。
【0065】
更に、ステップa)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標像鮮明度Csollを達成するために、偏向の時間的な変化率2_dt_istを操作することができ、しかも、偏向ユニット2の実際像鮮明度Cistが目標像鮮明度Csollを下回る場合には、偏向の時間的な変化率2_dt_istが増加されるように、偏向の時間的な変化率2_dt_istを操作することができる。時間的な変化率のこの増加については、例えばスロープの時間長2_tfだけを考慮することができる。つまり例えば、より急勾配のスロープにより、同じ(一定の)周波数において終端ポジション2_Ay_maxをより長く保つことができる。より急勾配のスロープの実現は、通常は、偏向ユニット2に対するより高い電気機械的な要求ないし負荷を伴う。換言すると、それによりこの観点は、必ずしも周波数増加を意味するのではなく、とにかくより急勾配のスロープを2つの終端ポジションの間に設けることができることを意味する。所望のポジションに向かうアクチュエータ運動がより速く実行されるほど、像はより鮮明になり、所望のポジションがより遅く到達されるほど、第1のフレームと第2のフレームの間の移行は、より多く互いに「混合」される。
【0066】
特に、ステップa)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された偏向ユニット2の目標純度M_sollを達成するために、偏向の時間的な変化率2_dt_istを操作することができ、しかも、目標純度M_sollを下回る場合には、偏向の時間的な変化率2_dt_istが少なくとも一時的に増加されるように、偏向の時間的な変化率2_dt_istを操作することができる。
【0067】
更に、本発明は、自動車灯具用の照射モジュール1に関し、この際、照射モジュール1は、セグメント化された配光を放射するように構成されており、またこの際、照射モジュール1は、偏向ユニット2を含み、偏向ユニット2を用い、照射モジュール1の固有解像度が、偏向ユニット2を用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、またこの際、照射モジュール1は、本発明による方法を実行(実施)するように構成されている。勿論、照射モジュール1は、例えば、上記の制御ユニット7、光源4、光学的な構成要素6、可能な投射光学系などのようなコンポーネントを含むことができる。
【0068】
本発明は、示された実施形態に限定されるものではなく、請求項の保護範囲全体により規定される。また本発明ないし実施形態の個々の構成要件を取り上げて、互いに組み合わせることもできる。請求項に付記された参照記号は、例示であり、請求項を限定することなく、単に請求項をより容易に分かりやすくするためのものである。
【0069】
尚、上記の特許文献ないし非特許文献の各開示は、それらの引用をもって本書に組み込まれているものとする。また本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。更に本発明の全開示の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。即ち本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想に従って当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0070】
1 照射モジュール
2 偏向ユニット
2a ガラスプレート
2a’ 光入射面
2a” 光出射面
2b 電気的なコイル
2c 磁気結合手段
2d リターン要素
3 照射ピクセル
4 光源
5 回路支持体
6 光学的な構成要素
7 制御ユニット
7a 計算ユニット
8 データソース

L1 光線
x x軸線
y y軸線
z z軸線
P0 基準状態
P1 偏向された状態
Pn 中立位置
α 角度
α 角度

I コイル電流

LV1 配光
LV2 配光
照射ピクセル3の辺長
照射ピクセル3の変位

S1 像信号
Ssoll 目標像
Vist 車両速度

2_ss 目標稼働信号
Osoll オフセット補正
Tsoll 目標温度
Csoll 目標像鮮明度
Esoll 目標エネルギー効率
Rsoll 目標像解像度
Msoll 目標純度

2_s 制御量
Oist オフセット補正
Tist 実際温度
Cist 実際像鮮明度
Eist 実際エネルギー効率
Rist 実際像解像度
Mist 実際純度

t 時間(横軸)
2_Ay 振幅(縦軸)
2_A_ist 振幅
2_Ay_ist 振幅
2_Az_ist 振幅
2_Ay_max 最大の振幅
2_Az_max 最大の振幅
2_0_ist ゼロ位置
2_tp_ist ゼロ位置通過の間の時間長
2_dt_ist 時間的な変化率
2_tf スロープ時間長
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射モジュールの偏向ユニット稼働最適化して制御するための方法であって、
前記照射モジュール(1)は、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記照射モジュール(1)は、偏向ユニット(2)を含み、前記偏向ユニット(2)を用い、前記照射モジュール(1)の固有解像度が、前記偏向ユニット(2)を用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、前記方法は、以下のステップを含むこと:
a)目標稼働信号(2_ss)を受け取るステップ、但し前記目標稼働信号(2_ss)は、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標エネルギー効率(Esoll);目標温度(Tsoll);目標像解像度(Rsoll);目標像鮮明度(Csoll);目標純度(Msoll);オフセット補正(Osoll)、
b)前記偏向ユニット(2)の制御量(2_s)を前記目標稼働信号に依存して操作するステップ、但し偏向の範囲と時間的な経過の両方が、前記偏向ユニット(2)により前記制御量(2_s)に依存して行われ、この際、前記制御量(2_s)により予設定された以下の偏向の観点のうちの少なくとも2つが、大きさ及び/又は時間長において操作されること:振幅(2_A_ist);ゼロ位置(2_0_ist);時間的な変化率(2_dt_ist);ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)、
を特徴とする方法。
【請求項2】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標エネルギー効率(Esoll)を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際エネルギー効率(Eist)が目標エネルギー効率(Esoll)を下回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
目標エネルギー効率(Esoll)は、目標エネルギー効率(Esoll)が、前記偏向ユニット(2)とともに前記照射モジュール(1)を含む車両の検知された走行速度(Vist)に依存して決定されるように予設定され、しかも、車両速度(Vist)の減少に伴って、要求される目標エネルギー効率(Esoll)が増加するように、目標エネルギー効率(Esoll)が予設定されること、
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標温度(Tsoll)を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)又は前記照射モジュール(1)の実際温度(Tist)が目標温度(Tsoll)を上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像鮮明度(Csoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅(2_Ay_max、2_Az_max)が予設定され、目標像鮮明度(Csoll)の低下に伴って振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像解像度(Rsoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、最大の目標像解像度(Rsoll)の予設定では、最大の振幅(2_A_max)が予設定され、目標像解像度(Rsoll)の低下に伴って振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
配光のセグメント化は、個々に制御可能な照射ピクセル(3)により実現されており、前記照射ピクセル(3)は、少なくとも2行2列の解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されており、偏向の最大の振幅は、偏向されていない基準状態(P0)と比較して、偏向された状態(P1)が、半分のピクセル幅だけ垂直方向並びに水平方向のオフセットを有するように選択されており、それにより偏向の最大の振幅がある場合には、縁部ピクセルを除き、偏向された各前記照射ピクセル(3)は、4つの偏向されていない前記照射ピクセル(3)と空間的にそれぞれ25%の割合でオーバラップすること、
を特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記偏向ユニット(2)は、中立位置(Pn)を有し、前記偏向ユニット(2)は、前記偏向ユニット(2)の電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニット(2)の制御のために設けられた前記制御量(2_s)が欠落した場合に、前記中立位置(Pn)を自動的にとること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標エネルギー効率(Esoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際エネルギー効率(Eist)が目標エネルギー効率(Esoll)を下回る場合には、偏向の振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出されたオフセット補正(Osoll)を達成するために、偏向のゼロ位置(2_0_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像鮮明度(Csoll)を達成するために、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際像鮮明度(Cist)が目標像鮮明度(Csoll)を下回る場合には、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が増加されるように、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップa)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された前記偏向ユニット(2)の目標純度(Moll)を達成するために、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作され、しかも、目標純度(Moll)を下回る場合には、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が少なくとも一時的に増加されるように、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記偏向ユニット(2)は、ガラスプレート(2a)を含み、前記ガラスプレート(2a)は、少なくとも1つの軸線、或いは正に1つの軸線(y)、又は正に2つの軸線(y、z)の周りに旋回可能又は移動可能に構成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ガラスプレート(2a)は、平坦な光入射面(2a’)と、前記光入射面(2a’)に対して平坦平行な光出射面(2a”)とを有し、前記偏向ユニット(2)は、前記ガラスプレート(2a)が旋回可能である前記軸線ごとに、少なくとも1つの電気的なコイル(2b)を有し、前記ガラスプレート(2a)には、各前記コイル(2b)に対し、それぞれの前記コイル(2b)と磁気結合するための磁気結合手段(2c)がそれぞれ配設されており、それによりそれぞれの前記コイル(2b)の通電により、対応の前記磁気結合手段(2c)に対して力が印加可能であり、しかも、前記ガラスプレート(2a)が前記コイル(2b)の通電に依存してそれぞれの前記軸線(y、z)の周りに旋回されるように、対応の前記磁気結合手段(2c)に対して力が印加可能であること、
を特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記偏向ユニット(2)は、更に、前記ガラスプレート(2a)が旋回可能である前記軸線(y、z)ごとに、前記ガラスプレート(2a)を中立位置(Pn)に戻すための機械的なリターン要素(2d)有し、前記ガラスプレート(2a)は、前記偏向ユニット(2)の電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニット(2)の制御のために設けられた前記制御量(2_s)が欠落した場合に、前記中立位置(Pn)を自動的にとること、
を特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
自動車灯具用の照射モジュールあって、
前記照射モジュール(1)は、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記照射モジュール(1)は、偏向ユニット(2)を含み、前記偏向ユニット(2)を用い、前記照射モジュール(1)により生成される配光の視覚的に知覚可能な解像度が、前記照射モジュール(1)の固有解像度に比べて増加可能であり、前記照射モジュール(1)は、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されていること、
を特徴とする照射モジュール
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1a
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1b
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1c
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8
【外国語明細書】