(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095587
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】自動車照射モジュールを解像度最適化して制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/26 20060101AFI20240703BHJP
F21V 14/00 20180101ALI20240703BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240703BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240703BHJP
H05B 45/40 20200101ALI20240703BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240703BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
F21V14/00
H05B47/105
H05B47/16
H05B45/40
H05B45/10
H05B47/155
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023216003
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】22216976.5
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ミートラー
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス アイグナー
(72)【発明者】
【氏名】エーリク ハース
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA24
3K273CA02
3K273CA11
3K273CA25
3K273DA04
3K273DA07
3K273EA17
3K273EA25
3K273EA36
3K273FA10
3K273FA14
3K273FA24
3K273FA40
3K339AA43
3K339BA01
3K339BA21
3K339DA01
3K339EA02
3K339EA03
3K339HA06
3K339JA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】セグメント化された配光を放射するための自動車照射モジュールの光放射を更に改善することのできる方法を提供する。
【解決手段】本発明は、自動車照射モジュールを解像度最適化するための方法に関し、自動車照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成され、自動車照射モジュールは、偏向ユニットを含み、自動車照射モジュールの固有解像度が、偏向ユニットを用いた一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、方法は、:a)像信号を受け取るステップ、但し像信号は、配光の目標像を含むこと、b)ステップa)に従って受け取った目標像を、2つのより低解像の像に変換するステップ、c)自動車照明モジュールを制御するステップ、但し当該制御は、像対の両方の低解像の像が時間的に相前後して前記自動車照射モジュールにより放射されるように行われること。
【選択図】
図7d
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車照射モジュール(1)を解像度最適化して制御するための方法であって、
前記自動車照射モジュール(1)は、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記自動車照射モジュール(1)は、偏向ユニット(2)を含み、前記偏向ユニット(2)を用い、前記自動車照射モジュール(1)の固有解像度(An)が、前記偏向ユニット(2)を用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、前記方法は、以下のステップを含むこと:
a)像信号(S1)を受け取るステップ、但し前記像信号(S1)は、配光の目標像(Ssoll)を含み、前記目標像(Ssoll)は、前記自動車用照射モジュール(1)の前記固有解像度(An)を上回る解像度(Asoll)を有すること、
b)ステップa)に従って受け取った前記目標像(Ssoll)を、1つの像対(S_res)を一緒に構成する2つのより低解像の像(S_low1、S_low2)に変換するステップ、但しより低解像の像(S_low1、S_low2)は、これらの像がそれぞれ前記自動車照射モジュール(1)の前記固有解像度(An)を有するように選択されており、より低解像の像(S_low1、S_low2)は、更に、2つのより低解像の像(S_low1、S_low2)のうちの少なくとも1つが前記偏向ユニット(2)を用いて偏向されているように互いに調整されており、それにより両方のより低解像の像(S_low1、S_low2)のオーバラップが、両方の低解像の像の結像そのものよりも前記目標像(Ssoll)により類似した像印象をもたらすこと、
c)前記自動車照明モジュールを制御するステップ、但し当該制御は、像対(S_res)の両方の低解像の像(S_low1、S_low2)が時間的に相前後して前記自動車照射モジュール(1)により放射されるように行われること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記自動車照射モジュール(1)は、個々に制御可能な照射ピクセル(3)を有し、配光のセグメント化は、個々に制御可能な前記照射ピクセル(3)により実現されており、前記照射ピクセル(3)は、少なくとも2行2列の解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されており、好ましくは、前記偏向ユニット(2)により最大で実行される偏向は、偏向されていない基準状態(P0)と比較して、偏向された状態(P1)が、半分のピクセル幅だけ垂直方向並びに水平方向のオフセットを有するように構成されていることができ、それにより偏向の最大の振幅がある場合には、縁部ピクセルを除き、偏向された各前記照射ピクセル(3)は、4つの偏向されていない前記照射ピクセルと空間的にそれぞれ25%の割合でオーバラップすること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記偏向ユニット(2)は、中立位置(Pn)を有し、前記偏向ユニット(2)は、前記偏向ユニット(2)の電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニット(2)の制御のために設けられた制御量(2_s)が欠落した場合に、前記中立位置(Pn)を自動的にとり、好ましくは、前記制御量(2_s)の正確な計算と出力を検査するためのアルゴリズムが設けられており、誤作動が確認された場合には、前記偏向ユニット(2)は、前記中立位置(Pn)に導かれること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)の前か又はステップb)の間に、以下の追加の部分ステップが実行されること:
I)目標稼働信号(2_ss)を受け取る部分ステップ、但し前記目標稼働信号(2_ss)は、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標エネルギー効率(Esoll);目標温度(Tsoll);目標像鮮明度(Csoll);目標純度(Msoll);オフセット補正(Osoll)、
II)それらの情報から導出可能であり、前記偏向ユニット(2)の制御のために設けられた制御量(2_s)に作用するための制御パラメータを計算する部分ステップ、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
部分ステップII)の後には、部分ステップIII)が続き、即ち目標像(Ssoll)に対する及び/又は1つ或いは両方のより低解像の像(S_low1、S_low2)に対する像処理機能を適用する部分ステップが続くこと、
を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
部分ステップI)に従って目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標エネルギー効率(Esoll)を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際エネルギー効率(Eist)が目標エネルギー効率(Esoll)を下回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
目標エネルギー効率(Esoll)は、目標エネルギー効率(Esoll)が、前記偏向ユニット(2)とともに前記自動車照射モジュール(1)を含む車両の検知された走行速度(Vist)に依存して決定されるように予設定され、しかも、車両速度の減少に伴って、要求される目標エネルギー効率が増加するように、目標エネルギー効率(Esoll)が予設定されること、
を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
部分ステップI)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標温度(Tsoll)を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)又は前記自動車照射モジュール(1)の実際温度(Tist)が目標温度(Tsoll)を上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
部分ステップI)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像鮮明度(Csoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅(2_Ay_max、2_Az_max)が予設定され、目標像鮮明度の低下に伴って振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
部分ステップI)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像鮮明度(Csoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、最大の目標像鮮明度の予設定では、最大の振幅(2_A_max)が予設定され、目標像鮮明度の低下に伴って振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、及び/又は、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際像鮮明度(Cist)が目標像鮮明度(Csoll)を下回る場合には、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が増加されるように、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
部分ステップI)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された前記偏向ユニット(2)の目標純度(M_soll)を達成するために、偏向の時間的な変化率(2_dt)が操作され、しかも、目標純度(M_soll)を下回る場合には、偏向の時間的な変化率(2_dt)が少なくとも一時的に増加されるように、偏向の時間的な変化率(2_dt)が操作されること、
を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
部分ステップII)において、更に前記目標稼働信号(2_ss)に依存し、像対(s_res)の両方の低解像の像(S_low1、S_low2)の互いの最適な偏向が計算されること、
を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記自動車照射モジュール(1)は、少なくとも60Hz、典型的には60Hzと160Hzの間の周波数で、互いに異なる光像を放射するように構成されており、それにより、異なる目標像(Ssoll)は、少なくとも30Hzの周波数で入力し、少なくとも60Hzの周波数でそれぞれの像対(S_res)の個々の低解像の像(S_low1、S_low2)に変換され、前記自動車照射モジュール(1)により相前後して放射されること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記偏向ユニット(2)は、ガラスプレート(2a)を含み、前記ガラスプレート(2a)は、少なくとも1つの軸線、好ましくは正に1つの軸線(y)、又は正に2つの軸線(y、z)の周りに旋回可能又は移動可能に構成されており、好ましくは、前記ガラスプレート(2a)は、平坦な光入射面(2a’)と、前記光入射面(2a’)に対して平坦平行な光出射面(2a”)とを有し、前記偏向ユニット(2)は、前記ガラスプレート(2a)が旋回可能である前記軸線ごとに、少なくとも1つの電気的なコイル(2b)を有し、前記ガラスプレート(2a)には、各前記コイル(2b)に対し、それぞれの前記コイル(2b)と磁気結合するための磁気結合手段(2c)がそれぞれ配設されており、それによりそれぞれの前記コイル(2b)の通電により、対応の前記磁気結合手段(2c)に対して力が印加可能であり、しかも、前記ガラスプレート(2a)が前記コイル(2b)の通電に依存してそれぞれの前記軸線(y、z)の周りに旋回されるように、対応の前記磁気結合手段(2c)に対して力が印加可能であり、好ましくは、更に前記偏向ユニット(2)は、前記ガラスプレート(2a)が旋回可能である前記軸線(y、z)ごとに、前記ガラスプレート(2a)を中立位置(Pn)に戻すための機械的なリターン要素(2d)、特にばね要素を有し、前記ガラスプレート(2a)は、前記偏向ユニット(2)の電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニット(2)の制御のために設けられた前記制御量(2_s)が欠落した場合に、前記中立位置(Pn)を自動的にとること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
自動車照射モジュール(1)であって、
前記自動車照射モジュール(1)は、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記自動車照射モジュール(1)は、偏向ユニット(2)を含み、前記偏向ユニット(2)を用い、前記自動車照射モジュール(1)により生成される配光の視覚的に知覚可能な解像度が、前記自動車照射モジュール(1)の固有解像度(An)に比べて増加可能であり、前記自動車照射モジュール(1)は、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されていること、
を特徴とする自動車照射モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の記載)
本出願は、2022年12月28日付けで出願の欧州特許出願第22216976.5号(DAS access code: 56C7)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は、引用をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
【0002】
本発明は、自動車照射モジュールを解像度最適化して制御するための方法に関し、この際、自動車照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されている。
【背景技術】
【0003】
従来技術から、自動車照射モジュールを制御するための方法が知られるようになり、それらの自動車照射モジュールは、配光の個々のセグメントの光放射を時間的に可変に変化させることを可能にする。この際、解像度は、通常は、該当する自動車照射モジュールの解像度により制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018220819号
【特許文献2】独国特許出願公開第102016223227号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】SING MOLLY N ET AL: “Super resolution projection: leveraging the MEMS speed to double or quadruple the resolution”, SPIE PROCEEDINGS; [PROCEEDINGS OF SPIE ISSN 0277-786X], SPIE, US, Bd. 10932, 4. March 2019 (2019-03-04), pages 109320R-109320R, XP060119727, DOI: 10.1117/12.2512005 ISBN: 978-1-5106-3673-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光放射を改善するためには、今まで、例えば、より高い解像度、改善されたコントラスト、増加された光強度などを可能にするコンポーネントを使用することにより、該当する自動車照射モジュールのコンポーネントが変更されていた。
【0007】
本発明の課題は、セグメント化された配光を放射するための自動車照射モジュールの光放射を更に改善することのできる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、冒頭に記載した形式の方法において、以下の構成により解決され、即ち自動車照射モジュールが偏向ユニットを含み、偏向ユニットを用い、自動車照射モジュールの固有解像度が、偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、この際、当該方法は、以下のステップを含む:
a)像信号(イメージ信号)を受け取るステップ、但し像信号は、配光の目標像(目標イメージ)を含み、目標像は、自動車用照射モジュールの固有解像度を上回る解像度を有すること、
b)ステップa)に従って受け取った目標像を、1つの像対(イメージペア)を一緒に構成する2つの低解像の像(イメージ)に変換するステップ、但し低解像の像は、これらの像がそれぞれ自動車照射モジュールの固有解像度を有するように選択されており、より低解像の像は、更に、2つのより低解像の像のうちの少なくとも1つが偏向ユニットを用いて偏向されているように互いに調整されており、それにより両方のより低解像の像のオーバラップが、両方の低解像の像の結像そのものよりも目標像により類似した像印象をもたらすこと、
c)自動車照明モジュールを制御するステップ、但し当該制御は、像対の両方の低解像の像が時間的に相前後して自動車照射モジュールにより放射されるように行われること。
【0009】
即ち本発明の第1の視点により、
自動車照射モジュールを解像度最適化して制御するための方法であって、
前記自動車照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記自動車照射モジュールは、偏向ユニットを含み、前記偏向ユニットを用い、前記自動車照射モジュールの固有解像度が、前記偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、前記方法は、以下のステップを含むこと:
a)像信号を受け取るステップ、但し前記像信号は、配光の目標像を含み、前記目標像は、前記自動車用照射モジュールの前記固有解像度を上回る解像度を有すること、
b)ステップa)に従って受け取った前記目標像を、1つの像対を一緒に構成する2つのより低解像の像に変換するステップ、但しより低解像の像は、これらの像がそれぞれ前記自動車照射モジュールの前記固有解像度を有するように選択されており、より低解像の像は、更に、2つのより低解像の像のうちの少なくとも1つが前記偏向ユニットを用いて偏向されているように互いに調整されており、それにより両方のより低解像の像のオーバラップが、両方の低解像の像の結像そのものよりも前記目標像により類似した像印象をもたらすこと(即ちより類似した像であること)、
c)前記自動車照明モジュールを制御するステップ、但し当該制御は、像対の両方の低解像の像が時間的に相前後して前記自動車照射モジュールにより放射されるように行われること、
を特徴とする方法が提供される。
更に本発明の第2の視点により、
自動車照射モジュールであって、
前記自動車照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記自動車照射モジュールは、偏向ユニットを含み、前記偏向ユニットを用い、前記自動車照射モジュールにより生成される配光の視覚的に知覚可能な解像度が、前記自動車照射モジュールの固有解像度に比べて増加可能であり、前記自動車照射モジュールは、前記第1の視点に記載の方法を実行(実施)するように構成されていること、
を特徴とする自動車照射モジュールが提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車照射モジュールを解像度最適化して制御するための方法であって、
前記自動車照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記自動車照射モジュールは、偏向ユニットを含み、前記偏向ユニットを用い、前記自動車照射モジュールの固有解像度が、前記偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、前記方法は、以下のステップを含むこと:
a)像信号を受け取るステップ、但し前記像信号は、配光の目標像を含み、前記目標像は、前記自動車用照射モジュールの前記固有解像度を上回る解像度を有すること、
b)ステップa)に従って受け取った前記目標像を、1つの像対を一緒に構成する2つのより低解像の像に変換するステップ、但しより低解像の像は、これらの像がそれぞれ前記自動車照射モジュールの前記固有解像度を有するように選択されており、より低解像の像は、更に、2つのより低解像の像のうちの少なくとも1つが前記偏向ユニットを用いて偏向されているように互いに調整されており、それにより両方のより低解像の像のオーバラップが、両方の低解像の像の結像そのものよりも前記目標像により類似した像印象をもたらすこと、
c)前記自動車照明モジュールを制御するステップ、但し当該制御は、像対の両方の低解像の像が時間的に相前後して前記自動車照射モジュールにより放射されるように行われること。
(形態2)
形態1に記載の方法において、前記自動車照射モジュールは、個々に制御可能な照射ピクセルを有し、配光のセグメント化は、個々に制御可能な前記照射ピクセルにより実現されており、前記照射ピクセルは、少なくとも2行2列の解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されており、好ましくは、前記偏向ユニットにより最大で実行される偏向は、偏向されていない基準状態と比較して、偏向された状態が、半分のピクセル幅だけ垂直方向並びに水平方向のオフセットを有するように構成されていることができ、それにより偏向の最大の振幅がある場合には、縁部ピクセルを除き、偏向された各前記照射ピクセルは、4つの偏向されていない前記照射ピクセルと空間的にそれぞれ25%の割合でオーバラップすること、が好ましい。
(形態3)
形態1又は2に記載の方法において、前記偏向ユニットは、中立位置を有し、前記偏向ユニットは、前記偏向ユニットの電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニットの制御のために設けられた制御量が欠落した場合に、前記中立位置を自動的にとり、好ましくは、前記制御量の正確な計算と出力を検査するためのアルゴリズムが設けられており、誤作動が確認された場合には、前記偏向ユニットは、前記中立位置に導かれること、が好ましい。
(形態4)
形態1~3のいずれか1つに記載の方法において、ステップb)の前か又はステップb)の間に、以下の追加の部分ステップが実行されること、が好ましい:
I)目標稼働信号を受け取る部分ステップ、但し前記目標稼働信号は、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標エネルギー効率;目標温度;目標像鮮明度;目標純度;オフセット補正、
II)それらの情報から導出可能であり、前記偏向ユニットの制御のために設けられた制御量に作用するための制御パラメータを計算する部分ステップ。
(形態5)
形態4に記載の方法において、部分ステップII)の後には、部分ステップIII)が続き、即ち目標像に対する及び/又は1つ或いは両方のより低解像の像に対する像処理機能を適用する部分ステップが続くこと、が好ましい。
(形態6)
形態4又は5に記載の方法において、部分ステップI)に従って目標稼働信号から導き出された目標エネルギー効率を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長が操作され、しかも、前記偏向ユニットの実際エネルギー効率が目標エネルギー効率を下回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長が操作されること、が好ましい。
(形態7)
形態4~6のいずれか1つに記載の方法において、目標エネルギー効率は、目標エネルギー効率が、前記偏向ユニットとともに前記自動車照射モジュールを含む車両の検知された走行速度に依存して決定されるように予設定され、しかも、車両速度の減少に伴って、要求される目標エネルギー効率が増加するように、目標エネルギー効率が予設定されること、が好ましい。
(形態8)
形態4~7のいずれか1つに記載の方法において、部分ステップI)に従って前記目標稼働信号から導き出された目標温度を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長が操作され、しかも、前記偏向ユニット又は前記自動車照射モジュールの実際温度が目標温度を上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長が操作されること、が好ましい。
(形態9)
形態4~8のいずれか1つに記載の方法において、部分ステップI)に従って前記目標稼働信号から導き出された目標像鮮明度を達成するために、偏向の振幅が操作され、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅が予設定され、目標像鮮明度の低下に伴って振幅が減少されるように、偏向の振幅が操作されること、が好ましい。
(形態10)
形態4~9のいずれか1つに記載の方法において、部分ステップI)に従って前記目標稼働信号から導き出された目標像鮮明度を達成するために、偏向の振幅が操作され、しかも、最大の目標像鮮明度の予設定では、最大の振幅が予設定され、目標像鮮明度の低下に伴って振幅が減少されるように、偏向の振幅が操作され、及び/又は、偏向の時間的な変化率が操作され、しかも、前記偏向ユニットの実際像鮮明度が目標像鮮明度を下回る場合には、偏向の時間的な変化率が増加されるように、偏向の時間的な変化率が操作されること、が好ましい。
(形態11)
形態4~10のいずれか1つに記載の方法において、部分ステップI)に従って前記目標稼働信号から導き出された前記偏向ユニットの目標純度を達成するために、偏向の時間的な変化率が操作され、しかも、目標純度を下回る場合には、偏向の時間的な変化率が少なくとも一時的に増加されるように、偏向の時間的な変化率が操作されること、が好ましい。
(形態12)
形態4~11のいずれか1つに記載の方法において、部分ステップII)において、更に前記目標稼働信号に依存し、像対の両方の低解像の像の互いの最適な偏向が計算されること、が好ましい。
(形態13)
形態1~12のいずれか1つに記載の方法において、前記自動車照射モジュールは、少なくとも60Hz、典型的には60Hzと160Hzの間の周波数で、互いに異なる光像を放射するように構成されており、それにより、異なる目標像は、少なくとも30Hzの周波数で入力し、少なくとも60Hzの周波数でそれぞれの像対の個々の低解像の像に変換され、前記自動車照射モジュールにより相前後して放射されること、が好ましい。
(形態14)
形態1~13のいずれか1つに記載の方法において、前記偏向ユニットは、ガラスプレートを含み、前記ガラスプレートは、少なくとも1つの軸線、好ましくは正に1つの軸線、又は正に2つの軸線の周りに旋回可能又は移動可能に構成されており、好ましくは、前記ガラスプレートは、平坦な光入射面と、前記光入射面に対して平坦平行な光出射面とを有し、前記偏向ユニットは、前記ガラスプレートが旋回可能である前記軸線ごとに、少なくとも1つの電気的なコイルを有し、前記ガラスプレートには、各前記コイルに対し、それぞれの前記コイルと磁気結合するための磁気結合手段がそれぞれ配設されており、それによりそれぞれの前記コイルの通電により、対応の前記磁気結合手段に対して力が印加可能であり、しかも、前記ガラスプレートが前記コイルの通電に依存してそれぞれの前記軸線の周りに旋回されるように、対応の前記磁気結合手段に対して力が印加可能であり、好ましくは、更に前記偏向ユニットは、前記ガラスプレートが旋回可能である前記軸線ごとに、前記ガラスプレートを中立位置に戻すための機械的なリターン要素、特にばね要素を有し、前記ガラスプレートは、前記偏向ユニットの電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニットの制御のために設けられた前記制御量が欠落した場合に、前記中立位置を自動的にとること、が好ましい。
(形態15)
自動車照射モジュールであって、
前記自動車照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、前記自動車照射モジュールは、偏向ユニットを含み、前記偏向ユニットを用い、前記自動車照射モジュールにより生成される配光の視覚的に知覚可能な解像度が、前記自動車照射モジュールの固有解像度に比べて増加可能であり、前記自動車照射モジュールは、形態1~14のいずれか1つに記載の方法を実行(実施)するように構成されていること。
【0011】
この際、「固有解像度(ネイティブ解像度)」との表現は、光放射のための個々に制御可能なセグメントの合計により与えられている解像度として理解される。例えばセグメントが2行2列に配設されており、個々に制御可能である場合には、これは2x2の固有解像度に対応し、この際、個々に制御可能な各セグメントは、照射ピクセル(発光ピクセル)と称することもできる。自動車照射モジュールは、好ましくは、少なくとも2×2の固有解像度を有し、特に好ましくは、高解像の自動車照射モジュールに関する。
【0012】
偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により、人間の目で知覚される解像度を固有解像度に比べて増加させることが可能である。
【0013】
「但し像信号は、配光の目標像を含み」との表現は、像信号がいずれにせよ、目標像を再現可能とする情報を含むこととして理解することができる。
【0014】
目標像を2つよりも多くのより低解像の像にも分割できることを述べておく。3つ以上の像による1つの「区間(Strecke)」への目標像の分割も考えられる。そのように見ると、とにかく複数の像対が構成される。更に両方のより低解像の像は、偏向ユニットを用いた偏向に関連しているとすることができる。像の類似性の問題に関しては、当業者には、判断のための適切なアルゴリズムが既知である。この際、例えば共通情報量を考慮することができる(例えば「ミューチュアルインフォメーション(相互情報量)」という見出し語を参照。またこの概念については、例えばオンライン百科事典「ウィキペディア」においても、オンラインで広範な情報が存在する)。
【0015】
特に、自動車照射モジュールは、個々に制御可能な照射ピクセルを有し、この際、配光のセグメント化は、個々に制御可能な照射ピクセルにより実現されており、これらの照射ピクセルは、少なくとも2行2列の解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されている。
【0016】
更に、偏向ユニットにより最大で実行される偏向は、偏向されていない基準状態と比較して、偏向された状態が、半分のピクセル幅だけ垂直方向並びに水平方向のオフセット(ずれ)を有するように構成されていることができ、それにより偏向の最大の振幅がある場合には、縁部ピクセルを除き、偏向された各照射ピクセルは、4つの偏向されていない照射ピクセルと空間的にそれぞれ25%の割合でオーバラップする。それにより知覚される解像度は、固有解像度の4倍の値をとることができる。この際、縁部ピクセルとは、全ての側方において他の照射ピクセルにより取り囲まれているのではなく、少なくとも1つの側方には隣接する照射ピクセルが存在しない照射ピクセルとして理解される。従って放射すべき像の縁部領域を意味する。
【0017】
特に、偏向ユニットは、中立位置(ニュートラル位置)を有することができ、偏向ユニットは、偏向ユニットの電流供給が欠落した場合、又は偏向ユニットの制御のために設けられた制御量が欠落した場合に、中立位置を自動的にとる。中立位置とは、偏向ユニットに電圧が印加されていない場合の偏向ユニットの位置として理解される。この位置は、偏向ユニットが偏向ユニットを通過する光の本質的な偏向をもたらさないゼロポジションとは異なっていてもよく、しかし異なっていなくてはならないというわけではない。それにより、アクチュエータが必要とされないか又はスイッチオフされなくてはならない場合にも、光機能の出力が引き続き保証される。
【0018】
更に、制御量の正確な計算と出力を検査するためのアルゴリズムが設けられていることができ、この際、誤作動が確認された場合には、偏向ユニットは、中立位置に導かれる。
【0019】
特に、上記のステップb)の前か又は上記のステップb)の間に、以下の追加の部分ステップを実行することができる:
I)目標稼働信号を受け取る部分ステップ、但し目標稼働信号は、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標像鮮明度、目標エネルギー効率;目標温度;目標純度;オフセット補正、
II)それらの情報から導出可能であり、偏向ユニットの制御のために設けられた制御量に作用するための制御パラメータを計算する部分ステップ。
【0020】
場合により、例えば振幅が減少される場合には、低解像の像の互いのオフセットが小さくなり且つそれにより両方の像のオーバラップにおける周囲条件が変化するように、低解像の像の計算の適合も考慮することができる。
【0021】
目標像(目標イメージ)の情報は、像の個々の像点(イメージピクセル)の目標光強度に関する情報を含むこともできる。この情報は、自動車照射モジュールの光源に転送され、光源により実現される。
【0022】
更に、部分ステップII)の後には、部分ステップIII)が続くことができる。即ち光像全体ないし目標像に対する及び/又は1つ又は両方のより低解像の像に対する像処理機能を適用する部分ステップが続く。このことは、部分ステップII)の後に部分ステップIII)が続き、部分ステップIII)は、光像全体に対して、正にこの光像の全体印象を変えるために像処理機能を適用することを含む。そのような像処理機能は、例えば光像に含まれる強度推移をより柔らかく見せることを目指すことができ、このことは、例えば光像に対してガウシアンぼかしを適用することにより実現可能である。
【0023】
特に、部分ステップI)に従って目標稼働信号から導き出された目標エネルギー効率を達成するために、ゼロ位置通過(複数)の間の時間長を操作することができ、しかも、偏向ユニットの実際エネルギー効率が目標エネルギー効率を下回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長を操作することができる。偏向ユニットがより高い周波数で制御されるほど、エネルギー消費が増加し、エネルギー効率は低下する。周波数の減少は、照射装置のより経済的な稼働を可能とし、このことは、新たに、エネルギーの節約と、アクチュエータ及びそのために設けられている偏向装置の寿命の増加とに寄与する。
【0024】
更に、目標エネルギー効率を、目標エネルギー効率が、偏向ユニットとともに自動車照射モジュールを含む車両の検知された走行速度に依存して決定されるように予設定することができ、しかも、車両速度の減少に伴って、要求される目標エネルギー効率が増加するように、目標エネルギー効率を予設定することができる。このことは、例えば自動車の速度センサの測定に依存して行われる。つまり例えば、停止稼働時には、ウェルカムプロジェクションにおいて、走行稼働時におけるよりも周波数を低く選択することができ、その理由は、走行稼働時において低い周波数の選択では望まれないストロボ状の作用が起こる可能性があるためである。
【0025】
特に、部分ステップI)に従って目標稼働信号から導き出された目標温度を達成するために、ゼロ位置通過(複数)の間の時間長を操作することができ、しかも、偏向ユニット又は自動車照射モジュールの実際温度が目標温度を上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長を操作することができる。
【0026】
ここで、前記の個々の機能ないし最適化タスクは、重み付けられ、ないし階層的に分けられ得ることも述べておく。例えば高温に達したために偏向ユニットの機能が危うくされている場合には、温度要件が、走行速度に依存して決定される要件よりも高く重み付けられるであろう。この際、安全関連の全ての要件が、最も高い重み付けを有することができる。例えば(例えば偏向周波数の減少又は振幅の低下により)目標温度が減少されるべきで、同時に、許容される限界値を超える埃/汚れが検知される(このことは偏向周波数の増加により克服されるであろう)場合について、この場合、高すぎる温度は、偏向ユニットの回復不能な欠陥をもたらす可能性があるので、目標温度に対する要件がより高く重み付けられる。
【0027】
更に、部分ステップI)に従って目標稼働信号から導き出された目標像鮮明度を達成するために、偏向の振幅を操作することができ、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅が予設定され、目標像鮮明度の低下に伴って振幅が減少されるように、偏向の振幅を操作することができる。このことは、必ずしも周波数増加を意味するのではなく、2つの終端ポジションを互いに接続するスロープがより急勾配であり、それによりそれらの終端ポジションが、作業サイクル全体の一定の時間長において時間的により長く保たれ得ることにより達成可能である。アクチュエータ運動ないし偏向ユニットの偏向要素のポジション変更がより速く実行されるほど、像はより鮮明になり、より遅く実行されるほど、第1のフレームと第2のフレームの間の移行は、より多く互いに「混合」される。
【0028】
例えば、ロービーム配光では、配光がぼかし(ブラーリング)を有すること、即ち隣接するピクセルの視覚的に知覚可能な光の間の平滑化を有することは、有利であり得る。また必要であるならば、偏り角度を減少させることができる。標準配光から他の配光への移行時にも、ぼかしは、有利であり得る。
【0029】
特に、部分ステップI)に従って目標稼働信号から導き出された目標像解像度を達成するために、偏向の振幅を操作することができ、しかも、最大の目標像解像度の予設定では、最大の振幅が予設定され、目標像解像度の低下に伴って振幅が減少されるように、偏向の振幅を操作することができる。
【0030】
また、部分ステップII)において、更に目標稼働信号に依存し、像対の両方の低解像の像の互いの最適な偏向を計算することができる。
【0031】
特に、自動車照射モジュールは、少なくとも60Hz、典型的には60Hzと160Hzの間の周波数で、互いに異なる光像を放射するように構成されていることができ、それにより、異なる目標像は、少なくとも30Hzの周波数で入力し、少なくとも60Hzの周波数でそれぞれの像対(イメージペア)の個々の低解像の像(イメージ)に変換され、自動車照射モジュールにより相前後して放射される。それにより偏向ユニットは、少なくとも60Hzの周波数で制御されることが可能であり、ないし偏向ユニットは、任意の開始ポジションから始まり、所望の偏向ポジションを最大1/60秒以内でとるように構成されている。
【0032】
更に、偏向ユニットは、ガラスプレートを含むことができ、ガラスプレートは、少なくとも1つの軸線、好ましくは正に1つの軸線、又は正に2つの軸線の周りに旋回可能又は移動可能に構成されている。
【0033】
特に、ガラスプレートは、平坦な光入射面と、光入射面に対して平坦平行な光出射面とを有することができ、この際、偏向ユニットは、ガラスプレートが旋回可能である軸線ごとに、少なくとも1つの電気的なコイルを有し、またこの際、ガラスプレートには、各コイルに対し、それぞれのコイルと磁気結合するための磁気結合手段がそれぞれ配設されており、それによりそれぞれのコイルの通電により、対応の磁気結合手段に対して力が印加可能であり、しかも、ガラスプレートがコイルの通電に依存してそれぞれの軸線の周りに旋回されるように、対応の磁気結合手段に対して力が印加可能であり、この際、好ましくは、更に偏向ユニットは、ガラスプレートが旋回可能である軸線ごとに、ガラスプレートを中立位置に戻すための機械的なリターン要素、特にばね要素を有し、この際、ガラスプレートは、偏向ユニットの電流供給が欠落した場合、又は偏向ユニットの制御のために設けられた制御量が欠落した場合に、中立位置を自動的にとる。この際、ガラスプレートは、自動車照射モジュールの光線路内に配設されている。光線偏向は、ガラスプレートへの入射時及びガラスプレートからの出射時の光屈折により行われる。勿論、軸線ごとに2つ以上のリターン要素を設けることもできる。
【0034】
更に、本発明は、自動車照射モジュールに関し、この際、自動車照射モジュールは、セグメント化された配光を放射するように構成されており、またこの際、自動車照射モジュールは、偏向ユニットを含み、偏向ユニットを用い、自動車照射モジュールの固有解像度が、偏向ユニットを用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、またこの際、自動車照射モジュールは、本発明による方法を実行するように構成されている。
【0035】
本方法で述べられた全ての装置構成は、特記しない限り、自動車照射モジュールの一部を構成することもできる。またその逆で、自動車照射モジュールに関連して述べた全ての装置構成は、上述の方法の一部を構成することもできる。自動車照射モジュールは、シグナル灯具と自動車投光器の両方に関することができる。自動車照射モジュールは、好ましくは、自動車灯具、特にシグナルライト灯具又は自動車投光器における使用のために構成されている。それゆえ自動車照射モジュールは、前記の装置の一部としてもよい。
【0036】
以下、図面に具体的に示された、例示であり限定を意図するものではない実施形態に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1a】本発明と関連して使用するための一自動車照射モジュールの概略図を側面図として示す図である。
【
図1b】偏向ユニットが傾けられた状態にある、
図1の側面図を示す図である。
【
図1c】
図1bのポジションにおいて自動車照射モジュールを上方から見た図である。
【
図2a】偏向ユニットの第1の実施形態の概略図を示す図である。
【
図2b】偏向ユニットの第2の実施形態の概略図を示す図である。
【
図2c】偏向ユニットの第3の実施形態の概略図を示す図である。
【
図3】コイル電流と、本発明のために使用することのできる典型的な偏向ユニットの偏りとの間の静的な関係が示されているグラフを示す図である。
【
図4】本発明による自動車照射モジュールを用いて時間的に相前後して放射可能である2つの配光を示す図である。
【
図5】本発明の個々の可能なコンポーネントに関するブロック図を示す図である。
【
図6a】本発明において使用することのできる偏向ユニットの偏りの第1の時間的な延在経過を示す図である。
【
図6b】本発明において使用することのできる偏向ユニットの偏りの第2の時間的な延在経過を示す図である。
【
図6c】本発明において使用することのできる偏向ユニットの偏りの第3の時間的な延在経過を示す図である。
【
図7a】目標像の描写の一部分、並びにそれに対して計算された、より低い解像度を有する像を示す図である。
【
図7b】目標像Ssollの描写の一部分、並びにそれに対して計算された、より低い解像度を有する像S_lowを示す図である。
【
図7c】2つの低解像の像のオーバラップの他の一例を示す図である。
【
図7d】グレー面を含む2つの低解像の像のオーバラップの他の一例を示す図である。
【
図7e】ガウシアンぼかしフィルタの適用の一例を示す図である。
【
図8】ガラスプレートを用いた光線の偏向の一例、並びに偏向の程度を計算するための対応の数式を示す図である。
【
図9】個々の光ピクセルの明るさを適合するための一可能性を示す図である。
【
図10】本発明による方法に関する例示のフローチャートを示す図である。
【実施例0038】
添付の図では、特に明記しない限り、同じ参照番号は、同じ構成要素を示す。
【0039】
図1aは、本発明と関連して使用するための自動車照射モジュール1の概略図を側面図として示している。自動車照射モジュール1は、セグメント化された配光を放射するように構成されている。そのために自動車照射モジュール1は、例えば個々に制御可能な複数のLEDから成る行列(マトリクス)を含んだ光源4を含み、この際、各LEDは、放射可能な配光の1つのセグメントに割り当てられており、配光の1つの照射ピクセル3を構成する。セグメント化された配光の生成に適している他の光源又は光源システムを使用することも勿論可能である。光源4は、典型的には回路支持体5上、特にPCB(プリント基板)上に配設されている。光源4から放射された光は、この光が偏向ユニット2に入射する前に、例えば光学構成要素6、例えば拡開光学系を通過することができる。典型的には光源4の個々に制御可能な光領域の数により固有解像度(ネイティブ解像度)が固定される。光源4が例えば10行10列の行列に配設された100個の個々に制御可能なLEDを有する場合には、それに基づき100個のセグメントないし10×10の固有解像度Anが得られる。偏向ユニット2は、光源4から放射された光線L1を偏向するように構成されている。そのために偏向ユニット2は、ガラスプレート2aを含むことができ、ガラスプレート2aは、少なくとも1つの軸線の周りに旋回可能又は移動可能に構成されている。これに関するより詳細な情報は、更に後続段落で
図2a~
図2cと関連して説明される。
【0040】
図1a~
図1cでは、偏向ユニット2による光線偏向が、例えば偏向ユニット2への入射時及び偏向ユニット2からの出射時の光屈折により行われることが見てとれる。より正確に述べると、光は、ガラスプレート2aの光入射面2a’において並びに光出射面2a”において屈折される。それにより出射する光は、入射する光の光路に対してずらされる。つまり光線L1は偏向される。本発明ではこの偏向が、偏向ユニット2を用いた少なくとも一時的な光線偏向により自動車照射モジュール1の固有解像度Anを視覚的に増加させるために利用される。このことは、偏向ユニット2を用いた時間的に可変の偏向により達成され、つまり典型的には次のような速度をもって、即ち少なくとも偏向ユニット2の異なるポジションにより個々のセグメントの位置に関して互いに異なる、相前後して放射される配光が、人間の目には、それに対応してより高い解像度を有する1つの共通の配光のように知覚されるような大きさで選択されている速度をもって、偏向ユニット2を用いた時間的に可変の偏向により達成される。この際、周波数は、好ましくは少なくとも60Hzの値をとる。
【0041】
図面の見やすさのために、いくつかの図には、デカルト(直交)座標系が記入されており、このデカルト座標系は、x軸線が主放射方向(車両投光器の場合には典型的に車両の前進走行方向)と一致するように選択されたものであり、y軸線は、それと直交し且つ水平方向に配向されており、またz軸線は、垂直方向に配向されており且つそれによりx軸線とy軸線により固定された平面に対して直角方向に配向されている。
図1a~
図1cによるここで示された実施例において、ガラスプレート2aは、2つの軸線の周り、即ちy軸線(
図1bを参照)並びにz軸線(
図1cを参照)の周りに旋回可能である。
【0042】
図1aは、偏向されていない基準状態P0におけるガラスプレート2aを示しており、基準状態P0は、本例では中立位置Pnと一致する。しかしこれらの2つの位置は、互いに異なっていてもよい。つまり偏向ユニット2は、偏向ユニット2が、偏向ユニット2の電流供給が欠落した場合、又は偏向ユニット2の制御のために設けられた制御量2_sが欠落した場合に、自動的にとる中立位置Pnを有することができる。偏向の振幅2_A_istは、
図1aによるポジションでは、ゼロに等しい。
【0043】
既述したように、配光のセグメント化は、個々に制御可能な照射ピクセル3により実現されていることができる。好ましくは、これらの照射ピクセル3は、少なくとも2行2列の解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されている。偏向の最大の振幅2_Ay_max(
図1bを参照)及び/又は2_Az_max(
図1cを参照)は、偏向されていない基準状態P0と比較して、偏向された状態P1が、半分のピクセル幅だけ垂直方向並びに水平方向のオフセット(ずれ)を有するように選択されており、それにより偏向の最大の振幅がある場合には、縁部ピクセルを除き、偏向された各照射ピクセル3は(偏向ユニット2の通過後のところから見て)4つの偏向されていない照射ピクセルと空間的にそれぞれ25%の割合でオーバラップする。
【0044】
図1bは、偏向ユニット2が傾けられた状態にある、
図1aの側面図を示している。この際、偏向ユニット2ないしガラスプレート2aは、y軸線の周りに角度α
yだけ旋回されており、それにより偏向の振幅2_Ay_istが生じている。この際、2_Ay_istの値は、この方向への最大の偏向、即ち2_Ay_maxよりいくらか小さく、それにより
図4から見てとれるように、知覚可能な解像度の最大の増加はまだ行われていない。この際、後に並べられる像(ないし対応の配光)ないし後に並べられるセグメント化された光放射における1つの照射ピクセル3の変位P
vは、1つの照射ピクセル3の辺長P
lの半分を下回る。照射ピクセル3の変位P
v(上方と側方の双方)が、1つの照射ピクセル3の辺長P
lの半分の大きさの値をとる場合に初めて、知覚可能な解像度の最大の増加が達成される。
【0045】
図1cは、
図1bのポジションにおける自動車照射モジュール1を上方から見た図を示している。この際、ガラスプレート2aは、z軸線の周りに角度α
zだけ旋回されており、それにより偏向の振幅2_Az_istが生じている。この際、2_Az_istの値は、この方向への最大の偏向、即ち2_Az_maxよりいくらか小さく、それによりここでも、知覚可能な解像度の最大の増加はまだ行われていない。
【0046】
図2aは、偏向ユニット2の第1の実施形態の概略図を示している。この際、偏向ユニット2は、既述したガラスプレート2a、並びに2つの機械的なリターン要素2d、特にねじりばねの形式のばね要素を含み、リターン要素2dは、y軸線に沿って配設されており、それによりy軸線の周りのガラスプレート2aの旋回を可能にする。y軸線に対して直角方向に、即ちz軸線に沿って、2つの電気的なコイル2bが配設されており、これらのコイル2bは、偏向ユニット2の一部を構成する。コイル2bは、通電可能であり、ガラスプレート2aに対応的に配設された磁気結合手段2cに対し、例えば磁石の手段に対し、磁力を印加するために構成されている。
【0047】
換言すると、ガラスプレート2aは、平坦な光入射面2a’と、光入射面2a’に対して平坦平行な光出射面2a”(
図1aを参照)とを有し、この際、偏向ユニット2は、ガラスプレート2aが旋回可能である軸線ごとに、少なくとも1つの電気的なコイル2bを有し、またこの際、ガラスプレート2aには、各コイル2bに対し、それぞれのコイル2bと磁気結合するための磁気結合手段2cがそれぞれ配設されており、それによりそれぞれのコイル2bの通電により、対応の磁気結合手段2cに対して力が印加可能であり、しかも、ガラスプレート2aがコイル2bの通電に依存してそれぞれの軸線の周りに旋回されるように、特に回転されるように、対応の磁気結合手段2cに対して力が印加可能である。ガラスプレート2aが旋回可能である軸線ごとに、ガラスプレート2aを中立位置Pnに戻すための機械的なリターン要素2d、特にばね要素が設けられており、この際、ガラスプレート2aは、偏向ユニット2の電流供給が欠落した場合、又は偏向ユニット2の制御のために設けられた制御量2_s(
図5を参照)が欠落した場合に、中立位置Pnを自動的にとる。この種の電気機械的な力伝達に加え、又はそれに代わり、適切に結合されたピエゾアクチュエータを使用することもできる。
【0048】
図2bは、偏向ユニット2の第2の実施形態の概略図を示している。
図2aのものと異なり、ガラスプレート2aは、ここでは2つの軸線、即ちy軸線とz軸線の周りに旋回可能である。ここでもリターン要素2dが旋回軸線に沿って配設されている。(
図2aの)リターン要素(複数)2dの間にそれぞれコイル2b並びに磁気結合手段2cが配設されている。この実施形態では、2つの自由度を有する旋回が行われ、即ちy軸線の周りの偏向は、z軸線の周りの偏向に依存しないで行われ、またその逆も同様である。それにより両方の軸線の周りの偏向により、斜めの偏向も達成される。
【0049】
図2cは、偏向ユニット2の第3の実施形態の概略図を示している。ここでガラスプレート2aの懸架部は、偏向がy軸線及びz軸線に対して既に斜めに行われるように選択されている。つまり偏向軸線は、これらの両方の軸線y及びzを横切るように位置する。偏向の自由度の数がここでは1つだけであるという状況にもかかわらず、偏向軸線のこの選択に基づき、4倍の大きさで固有解像度に対して視覚的に知覚可能な解像度の増加を可能にする偏向が可能である。
【0050】
図3は、コイル電流と、本発明のために使用することのできる典型的な偏向ユニット2の偏り(ないし振幅)との間の静的な関係が示されているグラフを示している。このグラフでは、静的な場合において、電流と偏りの間に線形の関係を見ることができる。この際、偏り2_A_istは、コイル2bに加えられる電流Iに比例している。動的な稼働では、勿論、ガラスプレート2aの質量慣性、リターン要素2dの起こり得る慣性、コイル2dの誘導作用などが考慮される。この際、当業者は、偏向ユニット2のガラスプレート2aの所望のポジションをどの時点でも達成するために、コイル2bを制御するための適切な制御アルゴリズムを実現することができる。
【0051】
図4は、本発明による自動車照射モジュール1を用いて時間的に相前後して放射可能である2つの配光LV1及びLV2の図を示している。この際、これらの配光は、それぞれ、上下及び左右に並んで一緒に1つの正方形を形成する5x5ピクセルを含む。この際、第2の配光LV2に割り当てられた正方形は、第1の配光LV1に割り当てられた正方形に関し、水平方向と垂直方向の両方において、ピクセル長P
lの半分よりいくらか小さい分だけオフセットされている。この際、照射ピクセルが互いにオーバラップしており、また正方形がオーバラップする領域では、照射ピクセルの数が今や4倍増加されている印象が生じていることを見ることができ、その理由は、各照射ピクセルが4つの異なるオーバラップ領域に分割されているためである。それにより配光LV1及びLV2の直接的に時間的に連続する放射により、自動車照射モジュールの固有解像度(ここでは5x5)に比べて明らかに増加された解像度の視覚的な印象が生じる。解像度の増加の印象は、照射ピクセルのオフセット(ずれ Pv)がピクセル長P
lの1/2の値をとる場合に最大である。
【0052】
図5は、本発明の個々の可能なコンポーネントに関するブロック図を示している。そこでは、照射ピクセル3が光源4に割り当てられており、光源4は、制御ユニット7により制御されることが見てとれる。制御ユニット7は、計算ユニット7aを含み、計算ユニット7aは、例えば、入力される像信号(イメージ信号)S1に依存し、光源4の制御を行い、しかも、目標像(目標イメージ)Ssollとも呼ばれる、像信号S1により予設定された像(イメージ)に対応し、それらのセグメントないし照射ピクセル3が制御されるように、光源4の制御を行い、それにより像信号S1により予設定された像が、できるだけ忠実に結像される。特に予設定された像が自動車照射モジュール1の固有解像度Anを上回る解像度を有する場合には、異なる配光のオーバラップに基づき、異なる配光LV1及びLV2の適切な計算、並びにそれぞれの配光に対応する偏向ポジション、例えばPn、P0、P1の適合/計算により、予設定された目標像Ssol1とできるだけ良く似た視覚的な印象を作り出すことができる。像信号S1は、データソース8を介して制御ユニット7に供給されることが可能である。
【0053】
偏向ユニット2の制御には、ある程度の自由度がある。基本的にガラスプレート2aの偏向の増加された周波数、並びに偏向のより大きい振幅は、増加されたエネルギー消費、及びそれに関与する電気機械的なコンポーネントの摩耗を伴う。目標像Ssollがどのくらい正確に再現されるべきであるかに依存し、並びに例えば目標像Ssollに対してぼかし(ブラーリング)のような更なる機能が場合により適用されるべきであるかにも依存し、
図6a~
図6cと関連して更に詳細に説明されるように、偏向ユニット2を用いた偏向の計算に対し、目標を定めて介入することができる。そのために制御ユニット7には、目標稼働信号2_ssが提供され、目標稼働信号2_ssは、目標像Ssollがどのくらい正確に結像されるべきか、この際、例えば、目標エネルギー効率Esoll、目標温度Tsoll、目標像解像度Rsoll、目標像鮮明度Csoll、目標純度Msoll、及び/又はオフセット補正Osollに対する予設定のような他の周囲条件が考慮されるべきか、そして考慮されるべき場合には、どの階層的な重み付けで個々の予設定が考慮されるべきか、に関する情報を提供する。
【0054】
図6aは、偏向ユニット2の偏りの第1の時間的な延在経過を示している。より正確に述べると、そこでは(並びに
図6bと
図6cでは)偏り(ないし振幅)2_Ay_istの時間的な延在経過が、y軸線の周りのガラスプレート2aの回転(旋回)の経過に沿って見ることができる。y軸線の周りの偏りについて述べたことは全て、z軸線の周りの単独の偏り又は追加的な偏りの場合にも勿論対応して行うことができる。
【0055】
回転(旋回)は、例えば、十分の数度から数度までの値をとることができる。この際、偏りないし偏りの振幅は、例えば、
図6aと
図6bに示されているように、最大値2_Ay_maxをとることができる。それに対し、
図6cでは、同じく
図6cに図示された値2_Ay_max_Fig.6a/6bとの比較から見てとれるように、偏りの最大値2_Ay_maxは減少されている。
【0056】
図6bは、ゼロ位置通過(複数)の間の時間長2_tp_istが
図6aと比較して短くされたバリエーションを示している。この際、具体的には、偏向の周波数と、達成すべき偏りポジション2_Ay_maxないし-2_Ay_maxの間のスロープ(フランク)勾配との両方が増加された。それによりスロープ時間長2_tfは、
図6bでは、
図6aに比べて同様に短縮された。光源4による光の放射は、この放射が、スロープの間の時間長内でのみ、即ち2_tf以外でのみ行われるように時間制御されることが可能である。このようにして、例えば、放射のぼけが回避されるので、結像の鮮明度を更に増加させることができる。
【0057】
図7aは、目標像Ssollの描写の一部分、並びにそれに対して計算された、より低い解像度を有する像S_lowを示している。本発明の場合と異なり、
図7aの例における目標像Ssollは、単に低解像の像S_lowにだけ解像されている。
【0058】
図7bは、例示の目標像Ssol1、それに対して計算された、2つのより低解像の像S_low1、S_low2、並びに相前後して放射される像対S_resに向かう両方の低解像の像S_low1、S_low2のオーバラップを示している。
【0059】
本発明は、
図7bに示された、自動車照射モジュール1を解像度最適化して制御するための方法に関する。この際、自動車用照射モジュール1は、セグメント化された配光を放射するように構成されている。自動車照射モジュール1は、偏向ユニット2を含み、偏向ユニット2を用い、自動車用照射モジュール1の固有解像度Anが、偏向ユニット2を用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能である。当該方法は、以下のステップを含む:
a)像信号(イメージ信号)S1を受け取るステップ、但し像信号S1は、配光の目標像(目標イメージ)Ssollを含み、目標像Ssollは、自動車用照射モジュール1の固有解像度Anを上回る解像度Asollを有すること、
b)ステップa)に従って受け取った目標像Ssol1を、1つの像対(イメージペア)S_resを一緒に構成する2つのより低解像の像(イメージ)S_low1、S_low2に変換するステップ、但しより低解像の像S_low1、S_low2は、これらの像S_low1、S_low2がそれぞれ自動車照射モジュール1の固有解像度Anを有するように選択されており、より低解像の像S_low1、S_low2は、更に、2つのより低解像の像S_low1、S_low2のうちの少なくとも1つが偏向ユニット2を用いて偏向されているように互いに調整されており、それにより両方のより低解像の像S_low1、S_low2のオーバラップが、両方の低解像の像S_low1、S_low2の結像そのものよりも目標像Ssol1により類似した像印象をもたらすこと(即ちより類似した像であること)、
c)自動車照明モジュール1を制御するステップ、但し当該制御は、像対S_resの両方の低解像の像S_low1、S_low2が時間的に相前後して自動車照射モジュール1により放射されるように行われること。
【0060】
図7bでは、低解像の像S_low1、S_low2の外観が、これらの像のオーバラップにより描写される像対S_resの外観に対して作用を及ぼすだけでなく、両方の低解像の像S_low1、S_low2の互いの偏向の程度も、像対S_resの外観に対して作用を及ぼすことが見てとれる。それにより有利にも、低解像の像S_low1、S_low2の計算時には、低解像の像S_low1、S_low2の互いの垂直方向及び/又は水平方向の移動により獲得される自由度を考慮することができる。このことは、低解像の像S_low1、S_low2が互いに所定の移動(変位)で一緒に理想的な像印象を生じさせるように、低解像の像S_low1、S_low2を計算することができることを意味する。
【0061】
図7cは、2つの低解像の像S_low1、S_low2のオーバラップの他の一例を示しており、この際、これらの低解像の像は、4×5の解像度を有する行列に配設されている照射ピクセル3を有する。
【0062】
図7dは、グレー面を含む2つの低解像の像S_low1、S_low2のオーバラップの他の一例を示している。この際、像対S_resは、低解像の像S_low1、S_low2におけるよりも明らかに高い固有解像度があるかのように作用する。
【0063】
図7eは、ガウシアンぼかしフィルタの適用の一例を示している。この際、左側のフィルタリングされていない像は、鮮明に描写されており、その右側に図示された、ガウスばかしフィルタ機能により処理された像は、明らかにぼやけている、ないし柔らかく示されている。
【0064】
前述した
図1a~
図6cに再び目を向けて、本発明による方法のステップb)の前か又はステップb)の間に、以下の追加の部分ステップを行うことができることを述べておく:I)目標稼働信号2_ssを受け取る部分ステップ、但し目標稼働信号2_ssは、以下の基準のうちの少なくとも1つに関する情報を含むこと:目標像鮮明度、目標エネルギー効率;目標温度;目標純度;オフセット補正、II)それらの情報から導出可能であり、偏向ユニット2の制御のために設けられた制御量2_sに作用するための制御パラメータを計算する部分ステップ。また特に部分ステップIIの後には、全光像に対する像処理機能の適用を行う部分ステップIIIが続くことができる。
【0065】
更に、部分ステップI)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標エネルギー効率Esollを達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istを操作することができ、しかも、偏向ユニット2の実際エネルギー効率Eistが目標エネルギー効率Esollを下回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istが増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istを操作することができる。
【0066】
特に、目標エネルギー効率Esollを、目標エネルギー効率Esollが、偏向ユニット2とともに照射モジュール1を含む車両の検知された走行速度Vistに依存して決定されるように予設定することができ、しかも、車両速度Vistの減少に伴って、要求される目標エネルギー効率Esollが増加するように、目標エネルギー効率Esollを予設定することができる。
【0067】
更に、部分ステップI)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標温度Tsollを達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istを操作することができ、しかも、偏向ユニット2又は自動車照射モジュール1の実際温度Tistが目標温度Tsollを上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istが増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長2_tp_istを操作することができる。
【0068】
更に、部分ステップI)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標像鮮明度Csollを達成するために、偏向の振幅2_A_istを操作することができ、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅2_Ay_max、2_Az_maxが予設定され、目標像鮮明度Csollの低下に伴って振幅2_A_istが減少されるように、偏向の振幅2_A_istを操作することができる。
【0069】
部分ステップI)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標像解像度Rsollを達成するために、偏向の振幅2_A_istを操作することができ、しかも、最大の目標像解像度の予設定では、最大の振幅2_A_max、2_Az_maxが予設定され、目標像解像度Rsollの低下に伴って振幅2_A_istが減少されるように、偏向の振幅2_A_istを操作することができる。
【0070】
更に、部分ステップI)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標エネルギー効率Esollを達成するために、偏向の振幅2_A_istを操作することができ、しかも、偏向ユニット2の実際エネルギー効率Eistが目標エネルギー効率Esollを下回る場合には、偏向の振幅2_A_istが減少されるように、偏向の振幅2_A_istを操作することができる。
【0071】
特に、部分ステップI)に従って目標稼働信号2_ssから導き出されたオフセット補正を達成するために、偏向のゼロ位置2_0_istを操作することができる。
【0072】
更に、部分ステップI)に従って目標稼働信号2_ssから導き出された目標像鮮明度Csollを達成するために、偏向の時間的な変化率2_dt_ist(
図6aを参照)を操作することができ、しかも、偏向ユニット2の実際像鮮明度Cistが目標像鮮明度Csollを下回る場合には、偏向の時間的な変化率2_dt_istが増加されるように、偏向の時間的な変化率2_dt_istを操作することができる。時間的な変化率のこの増加については、例えばスロープ(フランク)の時間長2_tfだけを考慮することができる。つまり例えば、より急勾配のスロープにより、一定の周波数において終端ポジション2_Ay_maxをより長く保つことができる。より急勾配のスロープの実現は、通常は、偏向ユニット2に対するより高い電気機械的な要求ないし負荷を伴う。換言すると、それによりこの観点は、必ずしも周波数増加を意味するのではなく、とにかくより急勾配のスロープを2つの終端ポジションの間に設けることができることを意味する。所望のポジションに向かうアクチュエータ運動がより速く実行されるほど、像はより鮮明になり、所望のポジションがより遅く到達されるほど、第1のフレームと第2のフレームの間の移行は、より多く互いに「混合」される。
【0073】
更に、部分ステップIIにおいて、目標稼働信号2_ssに依存し、像対S_resの両方の低解像の像S_low1、S_low2の互いに最適な偏向を計算することができる。
【0074】
特に、自動車照射モジュール1は、少なくとも60Hz、典型的には60Hzと160Hzの間の周波数で互いに異なる光像を放射するように構成されていることができ、それにより異なる目標像Ssollは、少なくとも30Hzの周波数で入力し、少なくとも60Hzの周波数でそれぞれの像対S_resの個々の低解像の像S_low1、S_low2に変換され、自動車用照射モジュール1により相前後して放射される。
【0075】
図8は、ガラスプレート2aを用いた光線L1の偏向の一例、並びに偏向の程度(ないし振幅)を計算するための対応の数式を示している。(この数式において、Δyは、垂直方向における光線L1のオフセットであり、tは、ガラスプレート2aの厚さであり、nは、ガラスプレート2aの材料の屈折率であり、θは、光線L1の走行方向に対する垂線と、ガラスプレート2aの入射面との間の角度である。)
【0076】
図9は、個々の光ピクセル(3)の明るさを適合するための一可能性を示している。そこでは、オーバラップされる光像において結果として生じる照射ピクセルが、オーバラップ時には対応的により暗く又はより明るくなることを見ることができる。背景には、偏向されていない光像を見ることができる。それに加え、中央には、2つの偏向された照射ピクセルを見ることができる。照射ピクセルがオーバラップしている領域において、強度は、オーバラップするピクセルの強度値により決定される。光源の個々の照射要素の強度は、光源の制御により決定される。光源により多くの電流が供給されほど、個々の照射要素は、より明るく照射(発光)する。
【0077】
図10は、本発明による方法に関する例示のフローチャートを示している。
【0078】
更に、本発明は、自動車照射モジュール1に関し、この際、自動車照射モジュール1は、セグメント化された配光を放射するように構成されており、またこの際、自動車照射モジュール1は、偏向ユニット2を含み、偏向ユニット2を用い、自動車照射モジュール1の固有解像度が、偏向ユニット2を用いた少なくとも一時的な光線偏向により視覚的に増加可能であり、またこの際、自動車照射モジュール1は、本発明による方法を実行(実施)するように構成されている。勿論、自動車照射モジュール1は、例えば、上記の制御ユニット7、光源4、光学的な構成要素6、可能な投射光学系などのようなコンポーネントを含むことができる。
【0079】
本発明は、示された実施形態に限定されるものではなく、請求項の保護範囲全体により規定される。また本発明ないし実施形態の個々の構成要件を取り上げて、互いに組み合わせることもできる。請求項に付記された参照記号は、例示であり、請求項を限定することなく、単に請求項をより容易に分かりやすくするためのものである。
【0080】
尚、上記の特許文献ないし非特許文献の各開示は、それらの引用をもって本書に組み込まれているものとする。また本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。更に本発明の全開示の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。即ち本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想に従って当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
前記自動車照射モジュール(1)は、個々に制御可能な照射ピクセル(3)を有し、配光のセグメント化は、個々に制御可能な前記照射ピクセル(3)により実現されており、前記照射ピクセル(3)は、少なくとも2行2列の解像度を有する行列内にほぼ隙間なく相並んで配設されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記偏向ユニット(2)は、中立位置(Pn)を有し、前記偏向ユニット(2)は、前記偏向ユニット(2)の電流供給が欠落した場合、又は前記偏向ユニット(2)の制御のために設けられた制御量(2_s)が欠落した場合に、前記中立位置(Pn)を自動的にとること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
部分ステップII)の後には、部分ステップIII)が続き、即ち目標像(Ssoll)に対する及び/又は1つ或いは両方のより低解像の像(S_low1、S_low2)に対する像処理機能を適用する部分ステップが続くこと、
を特徴とする、請求項6に記載の方法。
部分ステップI)に従って目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標エネルギー効率(Esoll)を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際エネルギー効率(Eist)が目標エネルギー効率(Esoll)を下回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項6に記載の方法。
目標エネルギー効率(Esoll)は、目標エネルギー効率(Esoll)が、前記偏向ユニット(2)とともに前記自動車照射モジュール(1)を含む車両の検知された走行速度(Vist)に依存して決定されるように予設定され、しかも、車両速度(Vist)の減少に伴って、要求される目標エネルギー効率(Esoll)が増加するように、目標エネルギー効率(Esoll)が予設定されること、
を特徴とする、請求項6に記載の方法。
部分ステップI)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標温度(Tsoll)を達成するために、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)又は前記自動車照射モジュール(1)の実際温度(Tist)が目標温度(Tsoll)を上回る場合には、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が増加されるように、ゼロ位置通過の間の時間長(2_tp_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項6に記載の方法。
部分ステップI)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像鮮明度(Csoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、最大の鮮明度の予設定では、最大の振幅(2_Ay_max、2_Az_max)が予設定され、目標像鮮明度の低下(Csoll)に伴って振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項6に記載の方法。
部分ステップI)に従って前記目標稼働信号(2_ss)から導き出された目標像鮮明度(Csoll)を達成するために、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、しかも、最大の目標像鮮明度(Csoll)の予設定では、最大の振幅(2_A_max)が予設定され、目標像鮮明度(Csoll)の低下に伴って振幅(2_A_ist)が減少されるように、偏向の振幅(2_A_ist)が操作され、及び/又は、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作され、しかも、前記偏向ユニット(2)の実際像鮮明度(Cist)が目標像鮮明度(Csoll)を下回る場合には、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が増加されるように、偏向の時間的な変化率(2_dt_ist)が操作されること、
を特徴とする、請求項6に記載の方法。
部分ステップII)において、更に前記目標稼働信号(2_ss)に依存し、像対(s_res)の両方の低解像の像(S_low1、S_low2)の互いの最適な偏向が計算されること、
を特徴とする、請求項6に記載の方法。