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特開2024-95589ポリマー、それを含むフォトレジスト組成物及びパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095589
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ポリマー、それを含むフォトレジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 212/14 20060101AFI20240703BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20240703BHJP
   C08F 220/38 20060101ALI20240703BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C08F212/14
G03F7/039 601
C08F220/38
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023216504
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】18/090,145
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニック マテリアルズ インターナショナル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DUPONT ELECTRONIC MATERIALS INTERNATIONAL,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エマド アカド
(72)【発明者】
【氏名】リー ツイ
(72)【発明者】
【氏名】インジェ ツェン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンシュー チャン
(72)【発明者】
【氏名】ミンチー リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ エフ.キャメロン
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H197CA06
2H197CA08
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
2H197JA22
2H225AF11P
2H225AF16P
2H225AF24P
2H225AF28P
2H225AF53P
2H225AF68P
2H225AF71P
2H225AF99P
2H225AH03
2H225AH14
2H225AH19
2H225AH34
2H225AJ04
2H225AJ13
2H225AJ42
2H225AJ48
2H225AJ53
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB08
2H225CC03
2H225CC15
4J100AB00P
4J100AB07P
4J100AB07Q
4J100AL03Q
4J100AL04Q
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL75Q
4J100AR11Q
4J100BA02Q
4J100BA03P
4J100BA03Q
4J100BA04Q
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4J100BA14P
4J100BA15P
4J100BA15Q
4J100BA20P
4J100BA20Q
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4J100BA28Q
4J100BA58P
4J100BA58Q
4J100BB05P
4J100BB07P
4J100BB07Q
4J100BB18P
4J100BB18Q
4J100BC02P
4J100BC03P
4J100BC03Q
4J100BC04P
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4J100BC09P
4J100BC09Q
4J100BC33P
4J100BC43P
4J100BC43Q
4J100BC48P
4J100BC48Q
4J100BC53P
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4J100BC59Q
4J100BC65P
4J100BC69P
4J100BC83P
4J100BC83Q
4J100CA05
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】 ポリマー、それを含むフォトレジスト組成物及びパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 式-C(R)(R)-の基に直接結合しているスルホン基を含む第1の繰り返し単位と、酸不安定性基、塩基分解性基、極性基、又はそれらの組み合わせを含む第2の繰り返し単位とを含むポリマーであって、式中のR及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであるが、R及びRのうちの少なくとも1つは水素である、ポリマー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式-C(R)(R)-の基に直接結合しているスルホン基を含む第1の繰り返し単位と、
酸不安定性基、塩基分解性基、極性基、又はそれらの組み合わせを含む第2の繰り返し単位とを含むポリマーであって、
式中のR及びRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであるが、
及びRのうちの少なくとも1つは水素である、ポリマー。
【請求項2】
前記第1の繰り返し単位が、式(1):
【化1】

(式(1)において、
は、エチレン性不飽和炭素-炭素二重結合を含む重合性基であり;
は、単結合又は連結基であり;
各Lは、独立して、単結合、置換若しくは無置換C1~30アルキル、又は置換若しくは無置換C3~30シクロアルキルであり;
各Rは、独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであるが、
少なくとも1つのL又は少なくとも1つのRは、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含み;
nは1~5の整数である)で表される第1のモノマーに由来する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
少なくとも1つのLが、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含む、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記少なくとも1つのRが、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含む、請求項2又は3に記載のポリマー。
【請求項5】
前記第1の繰り返し単位が、式(2)又は(3):
【化2】

(式(2)及び(3)において、
及びXは、それぞれ独立して、エチレン性不飽和炭素-炭素二重結合を含む重合性基であり;
及びLは、それぞれ独立して、単結合又は二価連結基であり;
、R、及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールである)で表される第1のモノマーに由来する、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記第1のモノマーが、(メタ)アクリル基又はビニル芳香族基を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
前記第2の繰り返し単位が酸不安定基を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
式-C(R)(R)-の基に直接結合しているスルホン基を含む第1の繰り返し単位を含む第1のポリマー
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであるが、R及びRのうちの少なくとも1つは水素である)と、
溶媒と、
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記第1の繰り返し単位が式(1):
【化3】

(式(1)において、
は、エチレン性不飽和炭素-炭素二重結合を含む重合性基であり;
は、単結合又は連結基であり;
各Lは、独立して、単結合、置換若しくは無置換C1~30アルキル、又は置換若しくは無置換C3~30シクロアルキルであり;
各Rは、独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであるが、
少なくとも1つのL又は少なくとも1つのRは、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含み;
nは、1~5の整数である)で表される第1のモノマーに由来する、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが第2の繰り返し単位を更に含み、前記第2の繰り返し単位が、酸不安定基、塩基分解性基、極性基、又はそれらの組み合わせを含む、請求項8又は9に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
前記第2の繰り返し単位が酸不安定基を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項12】
光酸発生剤を更に含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項13】
前記第1のポリマーとは構造的に異なる第2のポリマーを更に含む、請求項8~12のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項14】
前記第1のポリマー及び前記第2のポリマーのうちの一方又は両方が、酸不安定基、塩基分解性基、極性基、又はそれらの組み合わせを含む繰り返し単位を含む、請求項13に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項15】
パターンを形成する方法であって、
基板上において、請求項8~14のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物の層を塗布して、フォトレジスト組成物層を形成すること;
前記フォトレジスト組成物層を活性化放射でパターン様露光して、露光フォトレジスト組成物層を形成すること;及び
前記露光フォトレジスト組成物層を現像すること;
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト組成物のためのポリマー及びそのようなフォトレジスト組成物を使用するパターン形成方法に関する。本発明は、半導体製造業界におけるリソグラフィ用途に適用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト材料は、半導体基板上に配置された金属、半導体又は誘電体層などの1つ以上の下層に画像を転写するために典型的に使用される感光性組成物である。半導体デバイスの集積密度を高め、且つナノメートル範囲の寸法を有する構造の形成を可能にするために、高解像能力を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィ加工ツールが開発されており、且つ開発され続けている。
【0003】
従来、化学増幅フォトレジストは、高解像度処理のために使用されている。そのようなレジストは、典型的には、酸不安定基を有するポリマー、光酸発生剤及び酸失活材料を使用する。フォトマスクを通した活性化放射へのパターン様露光は、酸発生剤に酸を形成させ、それは、露光後ベーキング中、ポリマーの露光領域において酸不安定基の開裂を引き起こす。非露光領域への酸の拡散を制御してコントラストを改善するために、多くの場合、酸失活材料がフォトレジスト組成物に添加される。リソグラフィプロセスの結果は、現像液へのレジストの露光領域と非露光領域との間の溶解度特性の差の生成である。ポジ型現像(PTD)プロセスにおいて、フォトレジスト層の露光領域は、現像液に可溶性になり、基板表面から除去されるが、現像液に不溶性である非露光領域は、現像後に残ってポジ画像を形成する。結果として生じたレリーフ像は、基板の選択的な処理を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,431,325号明細書
【特許文献2】米国特許第4,189,323号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Wallow,T.et al Proc.SPIE 6921,69211F,2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レジスト技術が進化しているにも関わらず、従来技術に関連する1つ以上の課題に対処するフォトレジスト組成物に対する必要性が依然として存在する。特に、より高いコントラスト、ライン/スペースパターンについての低い線幅粗さ(LWR)を達成できるフォトレジスト組成物を含む、良好な感度を有するフォトレジスト組成物が継続的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様は、式-C(R)(R)-の基に直接結合しているスルホン基を含む第1の繰り返し単位と、酸不安定性基、塩基分解性基、極性基、又はそれらの組み合わせを含む第2の繰り返し単位とを含むポリマーを提供し、式中のR及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであるが、R及びRのうちの少なくとも1つは水素である。
【0008】
また、式-C(R)(R)-の基(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであるが、R及びRのうちの少なくとも1つは水素である)に直接結合しているスルホン基を含む第1の繰り返し単位を含む第1のポリマーと、溶媒とを含むフォトレジスト組成物も提供される。
【0009】
更に別の態様は、パターンを形成する方法であって、基板上において、フォトレジスト組成物の層を塗布して、フォトレジスト組成物層を形成すること;フォトレジスト組成物層を活性化放射でパターン様露光して、露光フォトレジスト組成物層を形成すること;及び露光フォトレジスト組成物層を現像すること;を含む方法を提供する。
【0010】
上記及び他の特徴は、以下の詳細な説明によって例示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、例示的な実施形態が詳細に言及され、それらの例が本説明で例示される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本説明の態様を記載するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。本明細書で用いる場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを包含する。「少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先行する場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0012】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。量に関連して用いられる修飾語句「約」は、表明値を含み、前後関係によって決定される意味を有する(例えば、特定の量の測定と関連したエラーの度合いを含む)。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないこと及びその記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むことを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限及び/又は特徴は、様々な態様では任意の好適な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0013】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの用語は、関連技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0014】
本明細書で用いる場合、「化学線」又は「放射」は、例えば、水銀ランプの輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線又は電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線等を意味する。更に、本発明において、「光」は、化学線又は放射を意味する。フッ化クリプトンレーザー(KrFレーザー)は、特定のタイプのエキシマレーザーであり、エキシプレックスレーザーと呼ばれる場合がある。「エキシマ」は、「励起二重体」の略であり、「エキシプレックス」は、「励起錯合体」の略である。エキシマレーザーは、希ガス(アルゴン、クリプトン又はキセノン)と、ハロゲンガス(フッ素又は塩素)との混合物を使用し、それは、電気刺激及び高圧の好適な条件下において、干渉性の刺激放射(レーザー光)を紫外範囲で放出する。更に、本明細書における「露光」には、特に明記しない限り、水銀ランプ、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線又は極紫外線(EUV光)等による露光のみならず、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線による書き込みも含まれる。
【0015】
本明細書で用いる場合、「有機基」は、1個以上の炭素原子、例えば1~60個の炭素原子を含む。用語「炭化水素」は、少なくとも1個の炭素原子と少なくとも1個の水素原子とを有する有機化合物又は有機基を指す。用語「アルキル」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖若しくは分岐鎖の飽和炭化水素基を指し;「アルキレン」は、2の価数を有するアルキル基を指し;「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を指し;「アルコキシ」は、「アルキル-O-」を指し;「カルボキシル」及び「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を指し;「シクロアルキル」は、全ての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を指し;「シクロアルキレン」は、2の価数を有するシクロアルキル基を指し;「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖若しくは分岐鎖の、一価炭化水素基を指し;「アルケノキシ」は、「アルケニル-O-」を指し;「アルケニレン」は、2の価数を有するアルケニル基を指し;「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する、少なくとも3個の炭素原子を有する非芳香族環状二価炭化水素基を指し;「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を指し;用語「芳香族基」は、Huckel則を満たし、環中に炭素を含み、環中の炭素原子の代わりにN、O及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含み得る単環式若しくは多環式の環系を指し;「アリール」は、全ての環員が炭素であり、且つ少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含み得る一価の芳香族単環式若しくは多環式環系を指し;「アリーレン」は、2の価数を有するアリール基を指し;「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されているアリール基を指し;「アリールアルキル」は、アリール基で置換されているアルキル基を指し;「アリールオキシ」は「アリール-O-」を指し;「アリールチオ」は「アリール-S-」を指す。
【0016】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1個の構成原子(例えば、1、2、3又は4個以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、ここで、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si又はPであり;「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換基を指し;「ヘテロアルキル基」は、炭素の代わりに1~4個又はそれ以上のヘテロ原子を有するアルキル基を指し;「ヘテロシクロアルキル基」は、炭素の代わりに1~4個又はそれ以上のヘテロ原子を環員として有するシクロアルキル基を指し;「ヘテロシクロアルキレン基」は、2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を指し;「ヘテロアリール基」は、炭素の代わりに1~4個又はそれ以上のヘテロ原子を環員として有するアリール基を指し;「ヘテロアリーレン基」は、2の価数を有するヘテロアリール基を指す。
【0017】
明白に特に規定されない限り、前述の置換基のそれぞれは、任意選択的に置換され得る。例えば、基が置換されていること又は無置換であることが明示されずに列挙されている場合、その基には置換基を有さない基と置換基を有する基の両方が含まれる。用語「任意選択的に置換される」は、置換又は無置換であることを指す。
【0018】
「置換」は、指定された原子の正常な原子価を越えないことを条件として、化学構造の少なくとも1個の水素原子が典型的には一価である別の末端置換基で置換されていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち=O)である場合、炭素原子上の2個のジェミナル水素原子が末端オキソ基で置換される。置換基又は変数の組み合わせが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な置換基には、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH)、モノ-若しくはジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はそれのアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩;C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又は-OC(=O)-アルキル)及びC7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又は-OC(=O)-アリール)などのエステル(アクリレート、メタクリレート及びラクトンを含む);アミド(-C(=O)NR(式中、Rは、水素又はC1~6アルキルである))、カルボキサミド(-CHC(=O)NR(式中、Rは、水素又はC1~6アルキルである))、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、C2~18ヘテロシクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環を有するC6~12アリール(例えば、各環が置換芳香族若しくは無置換芳香族のいずれかのフェニル、ビフェニル又はナフチル等)、1~3つの別個の環又は縮合環と、6~18個の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3つの別個の環又は縮合環と、6~18個の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C3~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル、(-S(=O)-アリール)又はトシル(CHSO-)が含まれるが、それらに限定されない。
【0019】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード置換基の1つ以上を含む基を意味する。ハロ基(例えば、ブロモ及びフルオロ)の組み合わせ又はフルオロ基のみが存在し得る。
【0020】
本明細書で用いる場合、「酸不安定基」は、酸の作用により、任意選択的に及び典型的には熱処理を伴って、結合が開裂し、カルボン酸基又はアルコール基などの極性基の形成をもたらす基を指し、ポリマー上に形成され、任意選択的に及び典型的には、開裂された結合に連結している部位は、ポリマーから切り離される。別の系では、非ポリマー系化合物は、酸の作用によって開裂され得る酸不安定基を含むことができ、非ポリマー系化合物の開裂した部分にカルボン酸基又はアルコール基などの極性基が形成される。そのような酸は、典型的には、露光後ベーク(PEB)中に結合開裂が起こる、光により生成する酸である。しかしながら、実施形態は、これに限定されず、例えば、そのような酸は、熱的に生成され得る。酸不安定基は、当技術分野において、「酸開裂可能基」、「酸開裂可能保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解可能基」及び「酸感受性基」とも一般に言われる。
【0021】
本明細書で用いる場合、定義が特に規定されない場合、「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン又はそれらの組み合わせの1つ以上を含む二価基を指し、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールである。典型的には、二価連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン又はそれらの組み合わせの1つ以上を含み、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールである。より典型的には、二価連結基は、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレン又はそれらの組み合わせの少なくとも1つを含み、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~10アリール又は置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリールである。
【0022】
本開示は、スルホン基を含む繰り返し単位を有するポリマーに関し、このスルホン基は二価の炭素原子に直接共有結合しており、この二価の炭素原子は少なくとも1個の水素原子に結合している。スルホン基が二価の炭素原子に直接共有結合すると、それに結合しているプロトンがより酸性になり、リソグラフィプロセスで使用される一般的な現像液である水酸化テトラメチルアンモニウムなどの強塩基の存在下で脱プロトン化し易くなる。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本発明のポリマーは、フォトレジスト組成物に使用される場合、アルカリ現像工程中に塩基反応性基の反応の結果として露光領域により多くの親水性基を生成することによって欠陥を減少させることができると考えられる。更に、アルカリ現像液の溶解性を高めることは、ブリッジの欠陥及び/又はパターン崩壊を低減するのに役立ち得る。
【0023】
一態様は、式-C(R)(R)-の基に直接結合しているスルホン基(-S(=O)-)を含む第1の繰り返し単位と、酸不安定基、塩基分解性基、極性基、又はそれらの組み合わせを含む第2の繰り返し単位と、を含むポリマーを提供する。
【0024】
式-C(R)(R)-の基において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであるが、R及びRのうちの少なくとも1つは水素である。典型的には、R及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~24アリール、置換若しくは無置換C7~25アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~25アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20アルキルヘテロアリールであってよいが、R及びRのうちの少なくとも1つは水素である。好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~24アリール、又は置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリールであってよいが、R及びRのうちの少なくとも1つは水素である。
【0025】
いくつかの態様では、第1の繰り返し単位は、式(1)で表される第1のモノマーに由来し得る:
【化1】
【0026】
式(1)において、Xは、エチレン性不飽和炭素-炭素二重結合を含む重合性基である。典型的には、Xは、置換若しくは無置換C20アルケニル基、置換若しくは無置換ノルボルニル基、置換若しくは無置換(メタ)アクリル基、置換若しくは無置換ビニルエーテル基、置換若しくは無置換ビニルケトン基、置換若しくは無置換ビニルエステル基、又は置換若しくは無置換ビニル芳香族基から選択することができる。好ましくは、Xは、置換若しくは無置換C20アルケニル、置換若しくは無置換ノルボルニル、置換若しくは無置換(メタ)アクリル、又は置換若しくは無置換ビニル芳香族である。
【0027】
式(1)において、Lは、単結合又は連結基である。典型的には、連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含むことができ、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであってよい。好ましくは、連結基は、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレン、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであってよい。
【0028】
式(1)において、nは、1~5の整数である。典型的には、nは、1、2、又は3であってよい。好ましくは、nは、1又は2であってよい。
【0029】
が連結基である場合、Lはn+1の価数を有する基である。例えば、nが1である場合にはLは二価の基であり、或いはnが2である場合にはLは三価の基であり、或いはnが3である場合にはLは四価の基であり、或いはnが4である場合にはLは五価の基であり、或いはnが5である場合にはLは六価の基である。
【0030】
式(1)において、各Lは、独立して、単結合、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、又は置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレンである。典型的には、Lは、単結合、置換若しくは無置換C1~20アルキレン、又は置換若しくは無置換C3~20シクロアルキレンであってよい。好ましくは、Lは、置換若しくは無置換C1~10アルキレン又は置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレンであってよい。
【0031】
式(1)において、LとLは、同時に単結合であってはならない。言い換えると、LとLのうちの少なくとも1つは単結合ではない。
【0032】
式(1)において、各Rは、独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールである。典型的には、各Rは、独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであってよい。好ましくは、各Rは、独立して、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~24アリール、置換若しくは無置換C7~25アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~25アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20アルキルヘテロアリールであってよい。
【0033】
式(1)において、各Rは、独立して、その構造の一部として二価連結基を更に含み得る。例えば、各Rは、独立して、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-、又は-C(O)N(R)-から選択される1つ以上の基を更に含んでいてもよく、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。
【0034】
式(1)において、少なくとも1つのL又は少なくとも1つのRは、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含む。言い換えると、nが1の場合、LとRのうちの少なくとも1つは、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含む。しかしながら、nが2以上の場合には、少なくとも1つのL又は少なくとも1つのRは、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含み、その結果、nで表される少なくとも1つの単位は、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含むL及びRのうちの少なくとも1つを含み、その一方で、nで表される他の単位は、この制限を満たす必要はない。例えば、少なくとも1つのLは、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含み得る。例えば、少なくとも1つのRは、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含み得る。或いは、例えば1つのL又は1つのRは、-S(=O)-に直接結合している式-C(R)(R)-の基を含み得る。
【0035】
いくつかの態様では、nが1である場合、第1の繰り返し単位は、式(2)で表される第1のモノマーに由来し得る:
【化2】
【0036】
式(2)において、Xは、エチレン性不飽和炭素-炭素二重結合を含む重合性基である。典型的には、Xは、置換若しくは無置換C20アルケニル基、置換若しくは無置換ノルボルニル基、置換若しくは無置換(メタ)アクリル基、置換若しくは無置換ビニルエーテル基、置換若しくは無置換ビニルケトン基、置換若しくは無置換ビニルエステル基、又は置換若しくは無置換ビニル芳香族基から選択することができる。好ましくは、Xは、置換若しくは無置換C20アルケニル、置換若しくは無置換ノルボルニル、置換若しくは無置換(メタ)アクリル、又は置換若しくは無置換ビニル芳香族である。
【0037】
式(2)において、Lは単結合又は二価連結基である。典型的には、Lは、単結合であるか、又は-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレン、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む連結基であってよく、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであってよい。
【0038】
式(2)において、Rは、式(1)のRについて本明細書で定義したものと同じであり、典型的には、Rは、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであってよい。好ましくは、Rは、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~24アリール、置換若しくは無置換C7~25アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~25アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20アルキルヘテロアリールであってよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、Rは、その構造の一部として二価連結基を更に含み得る。例えば、Rは、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-、又は-C(O)N(R)-から選択される1つ以上の基を更に含んでいてもよく、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。
【0040】
いくつかの態様では、nが2である場合、第1の繰り返し単位は、式(3)で表される第1のモノマーに由来し得る:
【化3】
【0041】
式(3)において、Xは、エチレン性不飽和炭素-炭素二重結合を含む重合性基である。典型的には、Xは、置換若しくは無置換C20アルケニル基、置換若しくは無置換ノルボルニル基、置換若しくは無置換(メタ)アクリル基、置換若しくは無置換ビニルエーテル基、置換若しくは無置換ビニルケトン基、置換若しくは無置換ビニルエステル基、又は置換若しくは無置換ビニル芳香族基から選択することができる。好ましくは、Xは、置換若しくは無置換C20アルケニル、置換若しくは無置換ノルボルニル、置換若しくは無置換(メタ)アクリル、又は置換若しくは無置換ビニル芳香族である。
【0042】
式(3)において、Lは単結合又は二価連結基である。典型的には、Lは、単結合であるか、又は-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレン、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む連結基であってよく、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであってよい。
【0043】
式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、Rについて本明細書で定義したものと同じである。典型的には、R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであってよい。好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~24アリール、置換若しくは無置換C7~25アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~25アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20アルキルヘテロアリールであってよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、R及び/又はRは、その構造の一部として二価連結基を更に含み得る。例えば、R及び/又はRは、独立して、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-、又は-C(O)N(R)-から選択される1つ以上の基を更に含んでいてもよく、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。
【0045】
いくつかの態様では、第1の繰り返し単位は、(メタ)アクリロイル基又はビニル芳香族基を含む第1のモノマーに由来し得る。言い換えると、いくつかの態様では、重合性基X、X、及び/又はXは、(メタ)アクリル基又はビニル芳香族基であってよい。
【0046】
例えば、いくつかの態様では、第1の繰り返し単位は、式(4)~(7)のうちの1つ以上から選択される第1のモノマーに由来し得る:
【化4】
【0047】
式(4)~(7)において、各Rは、独立して、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換C1~10アルキル、又は置換若しくは無置換C1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。R~Rは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールである。好ましくは、R~Rは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~24アリール、置換若しくは無置換C7~25アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~25アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20アルキルヘテロアリールであってよい。
【0048】
式(4)~(7)において、R~Rは、その構造の一部として二価連結基を更に含み得る。例えば、R~Rは、それぞれ独立して、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-N(R)-、又は-C(O)N(R)-から選択される1つ以上の基を含んでいてもよく、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。
【0049】
第1のモノマーの非限定的な例としては、以下のうちの1つ以上を挙げることができる:
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】
【0050】
ポリマーの第1の繰り返し単位は、ポリマーの全繰り返し単位を基準として、典型的には5~100モルパーセント(mol%)、より典型的には5~50mol%、より典型的には5~25mol%、更により典型的には5~15mol%の量で存在する。
【0051】
ポリマーは、酸不安定基、塩基分解性基、極性基、又はそれらの組み合わせを含む第2の繰り返し単位を更に含み得る。1つ以上の実施形態では、第2の繰り返し単位は、酸不安定基、ヒドロキシアリール基、フルオロアルコール基、スルホンアミド基、ラクトン基、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、ポリマーは、酸不安定基、ヒドロキシアリール基、スルホンアミド基、フルオロアルコール、又はラクトン基を含む第2の繰り返し単位を含み得る。いくつかの態様では、第2の繰り返し単位は酸不安定基を含む。
【0052】
適切な酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基の組み合わせを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基、ケタール基、第三級カーボネート基及び第三級カルバメート基が挙げられる。典型的には、酸不安定基は、アセタール基、ケタール基、第三級カーボネート基、第三級カルバメート基又は第三級エステル基であってよい。本明細書において「第三級カルバメート基」には、アルキル基を有する第三級カルバメートエステル基、アリール基を有する第三級カルバメートエステル基及びアルキル基とアリール基との組み合わせを有する第三級カルバメートエステル基が含まれる。本明細書において「第三級カーボネート基」には、アルキル基を有する第三級カーボネートエステル基、アリール基を有する第三級カーボネートエステル基及びアルキル基とアリール基との組み合わせを有する第三級カーボネートエステル基が含まれる。好ましくは、第2の繰り返し単位の酸不安定基は、第三級エステル基を含む。
【0053】
ポリマーの第2の繰り返し単位は、式(8)、(9)、(10)、(11)、及び/又は(12)のうちの1つ以上のモノマーに由来する酸不安定基を含み得る:
【化10】
【0054】
式(8)~(12)において、各Rは、独立して、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換C1~10アルキル、又は置換若しくは無置換C1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換C1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0055】
式(8)において、Lは二価連結基である。例えば、Lは、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも1個のヘテロ原子又はその組み合わせを含む二価連結基であってよい。例えば、Lは、1~10個の炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子とを含み得る。1つ以上の実施形態において、Lは、-OCH-、-OCHCHO-、又は-N(R)-であってよく、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~10アリール、又は置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリールである。
【0056】
式(8)、(9)、及び(11)において、R10~R12は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリールであってよいが、R10~R12のうちの1つのみが水素であってよく、R10~R12のうちの1つが水素である場合には、R10~R12のうちの他の1つ又は両方は、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールであることを条件とする。好ましくは、R10~R12は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~6アルキル又は置換若しくは無置換C3~10シクロアルキルである。
【0057】
式(8)において、R10~R12のいずれか2つは、一緒に任意選択的に環を形成し、R10~R12のそれぞれは、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-N(R)-、-S-、又は-S(O)-から選択される1つ以上の基を任意選択的に含んでいてもよく、Rは、水素、直鎖若しくは分岐のC1~20アルキル、単環式若しくは多環式のC3~20シクロアルキル、又は単環式若しくは多環式のC1~20ヘテロシクロアルキルであってよい。例えば、R10~R12のいずれか1つ以上は、独立して、式-CHC(=O)CH(3-n)の基であってよく、式中、各Yは、独立して、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキルであり、nは、1又は2である。例えば、各Yは、独立して、式-O(Ca1)(Ca2)O-の基を含む置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキルであってよく、Ca1及びCa2は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり、Ca1及びCa2は、任意選択的に一緒に環を形成する。
【0058】
式(10)及び(12)において、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリールであってよく、R15は、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキルであってよい。任意選択的には、R13又はR14の1つは、R15と一緒にヘテロ環を形成する。好ましくは、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル又は置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキルであってよい。
【0059】
式(11)及び(12)において、各Xは、独立して、ビニル及びノルボルニルから選択される重合性基であり、L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は二価連結基であるが、Xがビニルである場合には、L及びLは、単結合でなくてよい。好ましくは、L及びLは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C6~30アリーレン又は置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレンである。
【0060】
式(11)及び(12)において、n1及びn2は、それぞれ独立して、0又は1であってよい。n1又はn2が0である場合、対応するL又はL基は、それぞれの酸素原子に直接連結されていることを理解されたい。
【0061】
酸不安定基を含む第2の繰り返し単位を得るためのモノマーの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
【化11】

【化12】

【化13】

(これらの式中、Rは、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換C1~6アルキル又は置換若しくは無置換C3~6シクロアルキルである)。
【0062】
第2の繰り返し単位は、塩基分解性基を含み得る。例示的な塩基分解性基としては、ヒドロキシアリール基、フルオロアルコール基(例えば-C(CFOH)、スルホンアミド基(例えば-NHSOCF)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
本明細書で用いる場合、「ヒドロキシアリール基」は、ヒドロキシが芳香族環の炭素に直接結合したアリール基を意味する。「ヒドロキシ」は、基中に組み込まれた1つ以上のヒドロキシ基を有することを意味すると理解されるものとする。例えば、C6~12ヒドロキシ-アリール基が示されている場合、そのヒドロキシ-アリール基は、1つ以上のヒドロキシ基、例えば単一のヒドロキシ基、2つのヒドロキシ基、又は3つ以上のヒドロキシ基等を含み得る。
【0064】
第2の繰り返し単位は、極性基を含み得る。例示的な極性基としては、ラクトン基、スルトン基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアルキル基、又はそれらの組み合わせが挙げられる。ヒドロキシアリール基などのいくつかの基は、塩基分解性基及び極性基とみなされる場合があることが理解されるべきである。言い換えると、一部の塩基分解性基は極性基でもある場合がある。
【0065】
例えば、第2の繰り返し単位は、式(13)、(14)、又はそれらの組み合わせの繰り返し単位を含み得る:
【化14】
【0066】
式(13)及び(14)において、各Rは、水素、フッ素、シアノ、又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであってよい。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的には水素又はメチルであってよい。
【0067】
式(13)及び(14)において、L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は1つ以上の二価連結基であってよい。例えば、L及びLは、それぞれ独立して、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R)-、-C(O)N(R)-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレン、又はそれらの組み合わせであってよく、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C3~30アルキルヘテロアリールであってよい。いくつかの態様では、L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は-C(O)O-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレン又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上の基であってよい。
【0068】
式(13)において、R16は、置換又は無置換C1~100又はC1~20アルキル、典型的にはC1~12アルキル、置換又は無置換C3~30又はC3~20シクロアルキル;置換又は無置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド);又は単環式、多環式若しくは縮合多環式C4~20ラクトン含有基であってよい。置換C1~100又はC1~20アルキル、置換C3~30又はC3~20シクロアルキル、及び置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド)は、スルホンアミド基(例えば-NHSOCF)、ヒドロキシ基(-OH)、又はフルオロアルコール基(例えば-C(CFOH)のうちの1つ以上で置換されている。
【0069】
式(14)において、Arは、N、O、S又はそれらの組み合わせから選択される1個以上の芳香環ヘテロ原子を任意選択的に含む置換C5~60芳香族基であってよく、芳香族基は、単環式、非縮合多環式又は縮合多環式であってよい。C5~60芳香族基が多環式である場合、環又は環基は、縮合(ナフチル等等)、非縮合又はそれらの組み合わせであってよい。多環式C5~60芳香族基が非縮合である場合、環又は環基は、直接連結され得るか(ビアリール又はビフェニル等など)、又はヘテロ原子によって架橋され得る(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)。いくつかの態様では、多環式C5~60芳香族基は、縮合環と直接結合した環(ビナフチルなど)との組み合わせを含み得る。
【0070】
式(14)において、yは、1~12、好ましくは1~6、典型的には1~3の整数であってよい。各Rは独立して水素又はメチルであってよいが、但し、少なくとも1つのRは水素である。
【0071】
ポリマーの第2の繰り返し単位の非限定的な例としては、以下のものを挙げることができる:
【化15】

【化16】

(式中、Rは、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであってよい)。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルであってよい。
【0072】
第2の繰り返し単位は、存在する場合、ポリマーの全繰り返し単位を基準として、典型的には20~80モルパーセント(mol%)、より典型的には25~75mol%、更により典型的には30~70mol%の量でポリマー中に組み込まれる。
【0073】
第1の繰り返し単位と第2の繰り返し単位は、ポリマー中で構造的に異なることが理解されるべきである。
【0074】
一実施形態では、ポリマーは、第1の繰り返し単位及び第2の繰り返し単位とは異なる第3の繰り返し単位を更に含み得る。
【0075】
1つ以上の態様では、第3の繰り返し単位は、ヒドロキシアリール基、スルホンアミド基、フルオロアルコール基又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0076】
存在する場合、ポリマーは、ポリマーの全繰り返し単位を基準として、10~60モル%、典型的には10~50モル%、より典型的には10~40モル%の量で第3の繰り返し単位を含む。
【0077】
いくつかの態様では、ポリマーは、1種以上の追加の繰り返し単位を任意選択的に更に含み得る。追加の繰り返し単位は、例えば、フォトレジスト組成物の特性を調整する目的のための1種以上の追加の単位であってよい。例示的な追加の単位は、(メタ)アクリレート、ビニル芳香族、ビニルエーテル、ビニルケトン及び/又はビニルエステルモノマーの1つ以上から誘導されるものを含み得る。ポリマー内に1つ以上の追加の繰り返し単位が存在する場合、追加の繰り返し単位は、ポリマーの全繰り返し単位を基準として90モル%以下、典型的には3~50モル%の量で使用され得る。
【0078】
本発明の非限定的な例示的なポリマーとしては、以下のものを挙げることができる:
【化17】

(式中、a、b及びcは、それぞれポリマー中の繰り返し単位の合計100モル%を基準とした繰り返し単位のモル%を表す)。
【0079】
ポリマーは、典型的には、1,000~50,000ダルトン(Da)、好ましくは2,000~30,000Da、より好ましくは2,500~20,000Da、更に好ましくは3,500~15,000Daの重量平均分子量(M)を有する。ポリマーのPDIは、典型的に1.1~3であり、より典型的に1.1~2である。分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0080】
ポリマーは、当技術分野における任意の適切な方法を用いて調製され得る。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1種以上のモノマーが好適な溶媒及び開始剤を使用して組み合わされるか、又は別々に供給され、反応器中で重合され得る。例えば、ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長の化学線での照射又はそれらの組み合わせなど、任意の好適な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。
【0081】
本明細書に記載のポリマーと溶媒とを含むフォトレジスト組成物も提供される。例えば、フォトレジスト組成物は、本明細書に記載のポリマーである第1のポリマーを含み得、第1のポリマーと構造的に異なる第2の(異なる)ポリマーを更に含み得る。
【0082】
第2のポリマーは、本明細書に記載の1種以上の繰り返し単位、例えば(メタ)アクリレート、ビニル芳香族、ビニルエーテル、ビニルケトン、及び/又はビニルエステルモノマーのうちの1種以上に由来するものなどの繰り返し単位を含む。例えば、第2のポリマーは、酸不安定基、ヒドロキシアリール基、フルオロアルコール基、スルホンアミド基、ラクトン基又はそれらの組み合わせを含む繰り返し単位を含み得る。
【0083】
第2のポリマーのMは、典型的には1,000~50,000Da、具体的には2,000~30,000Da、より具体的には3,000~20,000Da、更により具体的には3,000~10,000Daである。Mの、Mに対する比であるポリマーのPDIは、典型的には、1.1~3、より具体的には1.1~2である。分子量は、ポリスチレン標準を使用してGPCによって決定される。
【0084】
第2のポリマーは、当技術分野における任意の好適な方法を用いて調製され得る。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1種以上のモノマーが好適な溶媒及び開始剤を使用して組み合わされるか、又は別々に供給され、反応器中で重合され得る。例えば、第2のポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線での照射又はそれらの組み合わせ等、任意の好適な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得られ得る。
【0085】
フォトレジスト組成物が第1のポリマーと第2のポリマーの両方を含む場合、それらは1:4~4:1、例えば1:4~4:1、又は1:3~3:1、又は1:2~2:1の重量比で含まれ得る。
【0086】
フォトレジスト組成物は、組成物の成分を溶解させ、且つ基板上でのそのコーティングを容易にするための溶媒を含む。好ましくは、溶媒は、電子デバイスの製造に従来使用される有機溶媒である。好適な溶媒には、例えば、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン及び1-クロロヘキサンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール及び4-メチル-2-ペンタノールなどのアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びアニソールなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン(CHO)などのケトン;酢酸エチル、n-酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)及びアセト酢酸エチルなどのエステル;γ-ブチロラクトン(GBL)及びε-カプロラクトンなどのラクトン;N-メチルピロリドンなどのラクタム;アセトニトリル及びプロピオニトリルなどのニトリル;プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート及びプロピレンカーボネートなどの環状又は非環状カーボネートエステル;ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒;水;及びこれらの組み合わせが含まれる。これらのうち、好ましい溶媒は、PGME、PGMEA、EL、GBL、HBM、CHO及びそれらの組み合わせである。フォトレジスト組成物中の総溶媒含量(すなわち全ての溶媒の累積溶媒含有量)は、フォトレジスト組成物の総重量を基準として典型的には40~99重量パーセント(重量%)、より典型的には70~99重量%、更に典型的には85~99重量%である。所望の溶媒含有量は、例えば、コーティングされるフォトレジスト層の所望の厚さ及びコーティング条件に依存するであろう。
【0087】
フォトレジスト組成物において、ポリマーは、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として、10~99.9重量%、典型的には25~99重量%、より典型的には50~95重量%の量で、フォトレジスト組成物中に存在する。全固形分には、ポリマー、PAG及び他の非溶媒成分が含まれることが理解されよう。
【0088】
フォトレジスト組成物は、光酸発生剤(PAG)を更に含有し得る。PAGは、イオン型又は非イオン型であってよい。PAGは、ポリマー形態又は非ポリマー形態であってよい。ポリマー形態では、PAGは、重合可能なPAGモノマーから誘導されたポリマーの繰り返し単位中の部位として存在し得る。
【0089】
適切なPAG化合物は、式Gのものであってよく、Gは光活性カチオンであり、Aは、光酸を生成することができるアニオンである。光活性カチオンは、好ましくは、オニウムカチオン、好ましくはヨードニウムカチオン又はスルホニウムカチオンから選択される。特に適切なアニオンには、その共役酸が-15~10のpKaを有するものが含まれる。アニオンは、典型的には、スルホネート基又は非スルホネートタイプの基(スルホンアミデート、スルホンイミデート、メチド又はボレートなど)を有する有機アニオンである。
【0090】
いくつかの実施形態では、光活性カチオンは、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンであってよい。例えば、光活性カチオンは、式(15)のスルホニウムカチオン又は式(16)のヨードニウムカチオンであってよい:
【化18】
【0091】
式(15)及び(16)において、R17~R21は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C6~30ヨードアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C7~20アリールアルキル、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールアルキル、又はそれらの組み合わせであってよい。各R17~R19は、個別であってよいか、又は単結合若しくは二価連結基を介して別の基R17~R19と連結して環を形成し得る。R20とR21は、個別であってよいか、又は単結合若しくは二価連結基を介して互いに連結して環を形成し得る。各R17~R21は、任意選択的に、その構造の一部として二価連結基を含み得る。各R17~R21は、独立して、例えば第三級アルキルエステル基、第二級若しくは第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する第二級若しくは第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基から選択される酸不安定基を任意選択的に含み得る。
【0092】
式(15)の例示的なスルホニウムカチオンには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化19】

【化20】
【0093】
式(16)の例示的なヨードニウムカチオンには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化21】
【0094】
スルホネート基を有する例示的な有機アニオンには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化22】
【0095】
例示的な非スルホネート化アニオンには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化23】
【0096】
一般的に使用されるオニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート及びジ-t-ブチルフェニルヨードニウムカンファースルホネートを挙げることができる。他の有用なPAG化合物は、化学増幅型フォトレジストの技術分野で知られており、例えば、非イオン性スルホニル化合物、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えばN-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。適切な光酸発生剤は、(特許文献1)及び(特許文献2)に詳しく記載されている。
【0097】
いくつかの態様では、第1のポリマーは、任意選択的に、PAG部位を含む繰り返し単位、例えば式(8)の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を更に含み得る:
【化24】
【0098】
式(8)において、Rは、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであってよい。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。Qは、単結合又は二価連結基であってよい。好ましくは、Qは、1~10個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子、より好ましくは-C(O)-O-を含み得る。
【0099】
式(8)において、Aは、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレンの1つ以上であってよい。好ましくは、Aは、任意選択的に置換されている二価のC1~30パーフルオロアルキレン基であってよい。
【0100】
式(8)において、Zは、アニオン部位であり、その共役酸は、典型的には、-15~1のpKaを有する。Zは、スルホネート、カルボキシレート、スルホンアミドのアニオン、スルホンイミドのアニオン、又はメチドアニオンであってよい。特に好ましいアニオン部位は、フッ素化アルキルスルホネート及びフッ素化スルホンイミドである。
【0101】
式(8)において、Gは、上記で定義された有機カチオンである。いくつかの実施形態では、Gは、2つのアルキル基、2つのアリール基若しくはアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたヨードニウムカチオン;又は3つのアルキル基、3つのアリール基若しくアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたスルホニウムカチオンである。
【0102】
例示的な式(8)のモノマーとしては、以下のものが挙げられる:
【化25】

(式中、Gは、有機カチオンである)。
【0103】
ポリマーは、PAG部位を含む繰り返し単位を、ポリマー中の全繰り返し単位を基準として1~15モル%、典型的には1~8モル%、より典型的には2~6モル%の量で含み得る。
【0104】
典型的には、フォトレジスト組成物が非ポリマーPAGを含む場合、PAGは、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として0.1~55重量%、より典型的には1~25重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。ポリマー形態で存在する場合、PAGは、典型的には、ポリマー中の全繰り返し単位を基準として1~25モル%、より典型的には1~8モル%又は2~6モル%の量でポリマー中に含まれる。
【0105】
いくつかの態様では、PAGのアニオン及び/又はカチオンは、-F、-CF又は-CF-基が含まれず、それらがない。「-F、-CF又は-CF-基がない」は、PAGのアニオン及び/又はカチオンから-CHCF及び-CHCFCHなどの基が除外されることを意味すると理解されるべきである。更に別の態様では、PAGのアニオン及び/又はカチオンはフッ素を含まない(すなわち、フッ素原子を含まず、フッ素含有基で置換されていない)。いくつかの態様では、光酸発生剤はフッ素を含まない(すなわち、光活性カチオンとアニオンの両方がフッ素を含まない)。
【0106】
いくつかの態様では、フォトレジスト組成物は、1つ以上の塩基不安定基を含む物質(「塩基不安定物質」)を更に含み得る。本明細書で言及されるように、塩基不安定基は、露光工程及び露光後ベーキング工程後、水性アルカリ性現像液の存在下で開裂反応を受けてヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸等などの極性基を提供することができる官能基である。塩基不安定基は、塩基不安定基を含むフォトレジスト組成物の現像工程の前に有意に反応しない(例えば、結合切断反応を受けない)であろう。したがって、例えば、塩基不安定基は、露光前ソフトベーク工程、露光工程及び露光後ベーク工程中に実質的に不活性であろう。「実質的に不活性」とは、塩基不安定基(又は部位)の5%以下、典型的には1%以下が露光前のソフトベーク、露光及び露光後のベーク工程中に分解、切断又は反応することを意味する。塩基不安定基は、例えば、0.26規定(N)の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液などの水性アルカリ性フォトレジスト現像液を使用する典型的なフォトレジスト現像条件下で反応する。例えば、0.26NのTMAH水溶液は、単一パドル現像又は動的現像に使用することができ、例えば、0.26NのTMAH現像液は、画像化されたフォトレジスト層に10~120秒(s)などの適切な時間で分配される。例示的な塩基不安定基は、エステル基、典型的にはフッ素化エステル基である。好ましくは、塩基不安定物質は、フォトレジスト組成物のポリマー及び他の固形成分と実質的に混和せず、それらよりも低い表面エネルギーを有する。基板上にコーティングされたとき、塩基不安定物質は、それにより、フォトレジスト組成物の他の固形成分から、形成されたフォトレジスト層の上面へ分離することができる。
【0107】
いくつかの態様では、塩基不安定物質は、ポリマー系材料であってよく、本明細書では塩基不安定ポリマーとも呼ばれ、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む1種以上の繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、同じ又は異なる2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。好ましい塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む少なくとも1種の繰り返し単位、例えば2つ又は3つの塩基不安定基を含む繰り返し単位を含む。
【0108】
塩基不安定ポリマーは、当技術分野における任意の好適な方法を用いて調製され得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線での照射又はそれらの組み合わせなどの、任意の適切な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得られ得る。加えて又は代わりに、1つ以上の塩基不安定基は、適切な方法を用いてポリマーの主鎖上にグラフトされ得る。
【0109】
いくつかの態様では、塩基不安定物質は、1つ以上の塩基不安定エステル基、好ましくは1つ以上のフッ素化エステル基を含む単一の分子である。単一分子である塩基不安定物質は、典型的には、50~1,500Daの範囲の分子量を有する。
【0110】
存在する場合、塩基不安定物質は、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として0.01~10重量%、典型的には1~5重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0111】
塩基不安定ポリマーに加えて又はその代わりに、フォトレジスト組成物は、上で記載したポリマーに加えて、これらと異なる1種以上のポリマーを更に含み得る。例えば、フォトレジスト組成物は、上で記載したような、しかし組成が異なる追加のポリマーを含み得る。加えて又は代わりに、1つ以上の追加のポリマーには、フォトレジスト技術において周知のもの、例えば、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレン系ポリマー、ポリビニルアルコール又はそれらの組み合わせから選択されるものが含まれ得る。
【0112】
フォトレジスト組成物は、1つ以上の追加の任意選択的な添加剤を更に含み得る。例えば、任意選択的な添加剤には、化学線染料及び造影剤、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度促進剤、増感剤、光分解性失活剤(PDQ)(光分解性塩基としても知られる)、塩基性失活剤、熱酸発生剤、界面活性剤等、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。存在する場合、任意選択的な添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準として0.01~10重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0113】
PDQは、照射されると弱酸を生成する。光分解性失活剤から生成する酸は、レジストマトリックス中に存在する酸不安定基と迅速に反応するほど十分に強力ではない。例示的な光分解性失活剤には、例えば、光分解性カチオン、好ましくは、例えば、C1~20カルボン酸又はC1~20スルホン酸のアニオンなどの弱酸(pKa>1)のアニオンと対になった、強酸発生剤化合物を調製するためにも有用なものが含まれる。例示的なカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等が含まれる。例示的なスルホン酸には、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が含まれる。好ましい実施形態では、光分解性失活剤は、ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレートなどの光分解性有機双性イオン化合物である。
【0114】
PDQは、非ポリマー形態又はポリマー結合形態であってよい。光分解性失活剤を含有する重合単位は、典型的には、ポリマーの全繰り返し単位を基準として0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0115】
例示的な塩基性失活剤としては、例えば、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン:N-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザネトリイル))テトラエタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール及び2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの直鎖脂肪族アミン;1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、tert-ブチル1-ピロリジンカルボキシレート、tert-ブチル2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボキシレート、ジ-tert-ブチルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート及びN-(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環状脂肪族アミン;ピリジン、ジ-tert-ブチルピリジン及びピリジニウムなどの芳香族アミン;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバル酸アミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N,N,N-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメートなどの直鎖及び環状アミド並びにその誘導体;スルホネート、スルファメート、カルボキシレート及びホスホネートの第四級アンモニウム塩などのアンモニウム塩;第一級及び第二級アルジミン及びケチミンなどのイミン;任意選択的に置換されたピラジン、ピペラジン及びフェナジンなどのジアジン;任意選択的に置換されたピラゾール、チアジアゾール及びイミダゾールなどのジアゾール;並びに2-ピロリドン及びシクロヘキシルピロリジンなどの任意選択的に置換されたピロリドンが挙げられる。
【0116】
塩基性失活剤は、非ポリマー形態又はポリマー結合形態であってよい。ポリマー形態である場合、失活剤は、ポリマーの繰り返し単位内に存在し得る。失活剤を含む繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの全繰り返し単位を基準として0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0117】
例示的な界面活性剤は、フッ素化及び非フッ素化界面活性剤を含み、イオン性又は非イオン性であってよく、非イオン界面活性剤が好ましい。例示的なフッ素化非イオン界面活性剤としては、3M Corporationから入手可能な、FC-4430及びFC-4432界面活性剤などのペルフルオロC界面活性剤;並びにOmnova製のPOLYFOX PF-636、PF-6320、PF-656及びPF-6520フルオロ界面活性剤などのフルオロジオールが挙げられる。ある態様では、フォトレジスト組成物は、フッ素含有繰り返し単位を含む界面活性剤ポリマーを更に含む。
【0118】
パターンを形成する方法も提供される。一態様によれば、パターンを形成する方法は、フォトレジスト組成物の層を基板に塗布して、フォトレジスト組成物層を形成すること;フォトレジスト組成物層を活性化放射にパターン様に露光して、露光されたフォトレジスト組成物層を形成すること;及び露光されたフォトレジスト組成物層を現像することを含む。フォトレジスト組成物は、本明細書に記載のポリマーと溶媒とを含む。いくつかの実施形態では、フォトレジスト組成物のポリマーは、式(1)によって表される第1のモノマーに由来する第1の繰り返し単位を含む。いくつかの実施形態では、フォトレジスト組成物のポリマーは、式(1)によって表される第1のモノマーに由来する第1の繰り返し単位と、酸不安定基、ヒドロキシアリール基、又はフルオロアルコール基を含む第2の繰り返し単位とを含む。更に別の実施形態では、フォトレジスト組成物のポリマーは、式(1)によって表される第1のモノマーに由来する第1の繰り返し単位と、酸不安定基、ヒドロキシアリール基、又はフルオロアルコール基を含む第2の繰り返し単位と、本明細書で提供される第3の繰り返し単位とを含む。
【0119】
本発明のフォトレジスト組成物を使用するパターニングがこれから述べられる。フォトレジスト組成物をその上にコーティングすることができる好適な基板には、電子デバイス基板が含まれる。多種多様の電子デバイス基板、例えば、半導体ウェハー;多結晶シリコン基板;マルチチップモジュールなどのパッケージング基板;フラットパネルディスプレイ基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)のための基板等などが本発明において使用され得、半導体ウェハーが典型的である。そのような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅及び金の1つ以上から構成される。好適な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態であってよい。そのような基板は、任意の好適なサイズであってよい。典型的なウェハー基板直径は、200~300ミリメートル(mm)であるが、より小さい直径及びより大きい直径を有するウェハーが本発明に従って好適に用いられ得る。基板は、形成されるデバイスのアクティブな又は操作可能な部分を任意選択的に含み得る1つ以上の層又は構造を含み得る。
【0120】
典型的には、ハードマスク層、例えばスピンオンカーボン(SOC)、非晶質炭素若しくは金属ハードマスク層、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)若しくはオキシ窒化シリコン(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機下層又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のリソグラフィ層は、本発明のフォトレジスト組成物をコーティングする前に基板の上表面上に提供される。そのような層は、オーバーコーティングされたフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィ材料スタックを形成する。
【0121】
任意選択的には、接着促進剤の層は、フォトレジスト組成物をコーティングする前に基板表面に塗布され得る。接着促進剤が望ましい場合、シラン、典型的には、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシラン又はガンマ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカプラーなど、ポリマーフィルムのための任意の好適な接着促進剤が使用され得る。特に適切な接着促進剤としては、DuPont Electronics&Industrial(Marlborough,Massachusetts)から入手可能である、AP(商標)3000、AP(商標)8000及びAP(商標)9000Sの名称で販売されているものが挙げられる。
【0122】
フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング又はドクターブレーディング等などの任意の適切な方法によって基板上にコーティングされ得る。例えば、フォトレジストの層の塗布は、コーティングトラックを使用して溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され得、その場合、フォトレジストは、回転するウェハー上に分配される。分配中、ウェハーは、典型的には、最大4,000回転/分(rpm)、例えば200~3,000rpm、例えば1,000~2,500rpmの速度で、15~120秒の時間回転され、基板上にフォトレジスト組成物の層が得られる。コーティングされる層の厚さは、スピン速度及び/又は組成物の全固形分を変えることによって調節され得ることは、当業者によって十分理解されるであろう。本発明の組成物から形成されるフォトレジスト組成物層は、典型的には、乾燥層厚みが3~30マイクロメートル(μm)、好ましくは5~30μm超、より好ましくは6~25μmである。
【0123】
フォトレジスト組成物は、典型的には、次に層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それにより不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、例えば、ホットプレート上で又はオーブン中で行われ、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度及び時間は、例えば、フォトレジスト組成物及び厚さに依存するであろう。ソフトベーク温度は、典型的には、80~170℃、より典型的には90~150℃である。ソフトベーク時間は、典型的には、10秒~20分(minutes)(分(mins.))、より典型的には1分~10分、更に典型的には1分~2分である。加熱時間は、組成物の成分に基づいて当業者により容易に決定され得る。
【0124】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の違いを生み出すために活性化放射にパターン様露光される。組成物を活性化する放射へのフォトレジスト組成物の露光への本明細書での言及は、放射がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。露光は、典型的には、それぞれレジスト層の露光領域及び非露光領域に対応する光学的に透明な領域及び光学的に不透明な領域を有するパターン化フォトマスクを通して行われる。そのような露光は、代わりに、電子ビームリソグラフィのために典型的に用いられる、直接描画法においてフォトマスクなしで行われ得る。活性化放射は、典型的には、400ナノメートル(nm)未満、300nm未満、若しくは200nm未満の波長を有し、248nm(KrF)、193nm(ArF)、13.5nm(EUV)の波長又は電子ビームリソグラフィが好ましい。好ましくは、活性化放射は、248nmの放射である。この方法は、液浸又は乾式(非液浸)リソグラフィ技術に利用されている。露光エネルギーは、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的には1平方センチメートル当たり1~200ミリジュール(mJ/cm)、好ましくは10~100mJ/cm、より好ましくは20~50mJ/cmである。
【0125】
フォトレジスト層の露光後に、露光されたフォトレジスト層の露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。PEBに関する条件は、例えば、フォトレジスト組成物及び層厚さに依存するであろう。PEBは、典型的には、70~150℃、好ましくは75~120℃の温度において及び30~120秒間にわたって行われる。極性切り替え領域(露光領域)と、非切り替え領域(非露光領域)とによって画定される潜像がフォトレジストに形成される。
【0126】
露光されたフォトレジスト層は、次いで、現像液に可溶性である層の領域を選択的に除去するために好適な現像液で現像され、一方、残った不溶性領域は、結果として生じるフォトレジストパターンレリーフ像を形成する。ポジ型現像(PTD)プロセスの場合、フォトレジスト層の露光領域が現像中に除去され、非露光領域が残る。逆に、ネガ型現像(NTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域が残り、非露光領域が現像中に除去される。現像液の塗布は、フォトレジスト組成物の塗布に関して上で記載されたような任意の好適な方法によって達成され得、スピンコーティングが典型的である。現像時間は、フォトレジストの可溶性領域を除去するのに有効な期間であり、5~60秒の時間が典型的である。現像は、典型的には、室温で行われる。
【0127】
PTDプロセス用の適切な現像液には、水性塩基現像液、例えば、TMAHなどの水酸化第四級アンモニウム溶液、好ましくは0.26NのTMAH、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が含まれる。NTDプロセスのための好適な現像液は、現像液中の有機溶媒の累積含有量が現像液の総重量を基準として50重量%以上、典型的には95重量%以上、98重量%以上又は100重量%であることを意味する、有機溶媒系である。NTD現像液のための好適な有機溶媒には、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素及びそれらの混合物から選択されるものが含まれる。現像液は、典型的には、2-ヘプタノン又は酢酸n-ブチルである。
【0128】
コーティングされた基板は、本発明のフォトレジスト組成物から形成され得る。そのようなコーティングされた基板は、(a)その表面上にパターン化される1つ以上の層を有する基板と;(b)パターン化される1つ以上の層一面のフォトレジスト組成物の層とを含む。
【0129】
フォトレジストパターンは、例えば、エッチマスクとして使用され、それによって公知のエッチング技術、典型的には反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングにより、パターンが1つ以上の連続した下層に転写されることを可能にし得る。フォトレジストパターンは、例えば、下位ハードマスク層へのパターン転写のために使用され得、それは、順繰りに、ハードマスク層の下の1つ以上の層へのパターン転写のためのエッチングマスクとして使用される。フォトレジストパターンがパターン転写中に消費されない場合、それは、公知の技術、例えば酸素プラズマ灰化によって基板から除去され得る。フォトレジスト組成物は、1つ以上のそのようなパターン形成プロセスにおいて使用される場合、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックスチップ、オプトエレクトロニックチップ、LED、OLEDなどの半導体デバイス及び他の電子デバイスを製造するために使用され得る。
【0130】
本発明を以下の非限定的な実施例によって更に例証する。
【実施例0131】
合成実施例
合成反応は、無水の窒素雰囲気で行った。全ての化学物質は、商業的供給元から受け取ったまま使用し、更なる精製なしに使用した。全ての化合物のプロトン核磁気共鳴(H-NMR)スペクトルは、499メガヘルツ(MHz)のNMR分光計で得た。化学シフトは、内部標準であるテトラメチルシラン又は重水素化ピークに対するδ(パーツパーミリオン、ppm)で報告される。多重度は、一重項(s)、二重項(d)、三重項(t)、多重項(m)、二重項の二重項(dd)、三重項の二重項(dt)、三重項の三重項(tt)又はブロード一重項(br)で示される。
【0132】
モノマーMS1の合成
【化26】

4-ビニル安息香酸(8.0g、54.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF、100mL)溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)(8.75グラム(g)、54.0ミリモル(mmol))を少しずつ添加した。得られた反応混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、反応混合物の温度を60℃に上げ、2-(フェニルスルホニル)エタン-1-オール(10.0g、53.70mmol)をこれに添加し、得られた混合物を60℃で16時間加熱した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した。溶媒を減圧下で除去して、粗生成物をオイル状残渣として生成した。粗生成物をジクロロメタン(150mL)に溶解し、溶液を塩化アンモニウム水溶液(30mL、飽和溶液)で2回洗浄し、次いで脱イオン(DI)水(30mL)で2回洗浄した。有機相を分離し、溶媒を減圧下で除去することで、MS1を白色固体として得た。収量:12.8g(75.3%)。H NMR(δ,アセトン-d):8.02 ppm(d,2H,3ArH),7.73 ppm(m,3H,3ArH),7.63 ppm(m,2H,2ArH),7.53 ppm(d,2H,2ArH),6.84 ppm(m,1H,CH=CH),5.92 ppm(d,1H,CH=CH),5.43 ppm(d,1H,CH=CH),4.68 ppm(t,2H,CHO),及び3.83 ppm(t,2H,CHSO).
【0133】
モノマーMS2の合成
【化27】

THF(100mL)中の4-ビニル安息香酸(10.0g、67.5mmol)の溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)(11.0g、67.8mmol)を少しずつ添加した。得られた混合物を室温で15時間撹拌した。次いで、反応混合物の温度を60℃に上げ、2-(メチルスルホニル)エタン-1-オール(8.4g、69.13mmol)をこれに添加し、得られた混合物を60℃で16時間撹拌及び加熱した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した。溶媒を減圧下で除去して、粗生成物をオイル状残渣として生成した。粗生成物をジクロロメタン(150mL)に溶解し、溶液を塩化アンモニウム水溶液(30mL、飽和溶液)で2回洗浄し、次いで脱イオン(DI)水(30mL)で2回洗浄した。有機相を分離し、溶媒を減圧下で除去することで、MS2を白色固体として得た。収量:15.85g(92.3%)。H NMR(δ,アセトン-d):8.03 ppm(d,2H,3ArH),7.62 ppm(d,2H,2ArH),6.84 ppm(m,1H,CH=CH),5.99 ppm(d,1H,CH=CH),5.44 ppm(d,1H,CH=CH),4.76 ppm(t,2H,CHO),3.65 ppm(t,2H,CHSO),及び3.1 ppm(s,3h SOCH).
【0134】
モノマーMS3の合成
【化28】

水酸化カリウム(8.36g、149.3mmol)のメタノール(150mL)溶液に、2-プロパンチオール(12.5mL、134.6mmol)をゆっくりと添加した。30分間反応させた後、これに1,3-ジクロロプロパン-2-オール(7.53g、58.4mmol)を滴下し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。メチルt-ブチルエーテルを使用して水から抽出することによって中間生成物であるMS3-iを単離し、続いて水酸化カリウム水溶液の希薄溶液、次いでブライン溶液で洗浄した。得られた中間生成物を真空下で乾燥することで、透明なオイルを得た。収量:11.71g(96%)。
【0135】
中間生成物MS3-i(11.1g、53.3mmol)及びトリエチルアミン(TEA、20mL、143.5mmol)を150mLのメチルt-ブチルエーテルと混合して、溶液を得た。室温で一定に撹拌しながら、これに塩化メタクリロイル(7mL、71.7mmol)を滴下し、次いで反応混合物を更に4時間撹拌した。メチルt-ブチルエーテル及び水を使用する抽出によって中間生成物MS3-iiを単離した。得られた生成物を希塩酸水溶液で2回洗浄し、希水酸化カリウム水溶液で1回洗浄し、次いでブライン水溶液で1回洗浄した。得られた生成物を減圧下で乾燥し、中間生成物MS3-iiを透明なオイルとして得た。収量:11.60g(79%)。
【0136】
中間生成物MS3-ii(11.23g、40.6mmol)をメタノール(250mL)と脱イオン水(250mL)との混合物に溶解した。これにオキソン(60g、97.5mmol)を合計5回に分けて添加し、得られた反応混合物を室温で更に1時間撹拌した。メチルt-ブチルエーテル及び水を使用して抽出することによって粗生成物を単離した。生成物を最少量のヘプタンから結晶化することにより更に精製することで、ワックス状固体としてMS3を得た。収量:5.37g(39%)。H-NMR(δ,アセトン-d):6.18 ppm(d,1H,CH=CHH),5.83 ppm(tt,1H,OCH),5.72 ppm(p,1H,CH=CHH),3.73 ppm(qd,4H,SOCH),3.32 ppm(p,2H,SOCH),1.95 ppm(s,3H,CCH),及び1.37 ppm(dd,12H,CHCH).
【0137】
モノマーMS4の合成
【化29】

メタノール(200mL)中の水酸化カリウム(8.42g、150.1mmol)の溶液に、1-ヘキサンチオール(21mL、148.8mmol)をゆっくりと添加した。内容物を室温で30分間撹拌した後、これに1,3-ジブロモプロパン-2-オール(14.39g、65.6mmol)を滴下した。得られた反応混合物を室温で更に15分間撹拌した。メチルt-ブチルエーテル及び水を使用して抽出することによって中間生成物であるMS4-iを単離し、続いて水酸化カリウム水溶液の希薄溶液、次いでブライン溶液で洗浄した。得られた生成物を減圧下で乾燥することで、透明なオイルを得た。収量:19.60g、出発物質からの二硫化ヘキシルが残留。
【0138】
中間生成物MS4-i(9.61g、32.8mmol)及びTEA(12mL、86.1mmol)をメチルt-ブチルエーテル(120mL)と混合して、溶液を得た。室温で一定に撹拌しながら、これに塩化メタクリロイル(5mL、51.2mmol)を滴下した。反応混合物を室温で更に4時間撹拌し続けた。メチルt-ブチルエーテル及び水を使用する抽出によって中間生成物であるMS4-iiを単離した。得られた生成物を希塩酸水溶液で2回洗浄し、希水酸化カリウム水溶液で1回洗浄し、次いでブライン水溶液で1回洗浄した。得られた生成物を減圧下で乾燥し、中間生成物MS4-iiを透明なオイルとして得た。収量:12.07g、残留ヘキシルジスルフィド及びメタクリル酸無水物を含有。不純物は持ち越されたが、次の工程には影響を与えなかった。
【0139】
中間生成物MS4-ii(5.83g、16.2mmol)をメタノール(200mL)と水(100mL)との混合物に溶解した。これにオキソン(35.2g、57.2mmol)を合計5回に分けて添加し、得られた反応混合物を室温で更に1時間撹拌した。メチルt-ブチルエーテル及び水を使用して抽出することによって粗生成物を単離した。生成物を最少量のヘプタンから結晶化することにより更に精製することで、ワックス状固体としてMS4を得た。収量:4.29g(62%)。H-NMR(δ,クロロホルム-d):6.24 ppm(s,1H,CH=CHH),5.72 ppm(m,2H,CH=CHH及びOCH),3.59 ppm(qd,4H,SOCHCH),3.08 ppm(m,4H,SOCHCH),1.99 ppm(s,3H,CCH),1.87 ppm(m,4H,SOCHCH),1.46 ppm(p,4H,SOCHCHCH),1.34 ppm(m,4H,CHCHCH),1.34 ppm(m,4H,CHCHCH及びCHCH),及び0.92 ppm(t,6H,CHCH).
【0140】
ポリマーの合成
以下のモノマーを使用して、ポリマーP1~P6、及び比較ポリマーCP1~CP4を調製した。
【化30】
【0141】
ポリマーP1の合成
ポリマーP1は、45:45:10のモル供給比でモノマーMA1、MB2、及びMS1から調製した。MA1(8.24g、42.8mmol)、MB2(8.75g、42.8mmol)、及びMS1(3.01g、9.50mmol)をプロピレングリコールモノメチルアセテート(PGMEA、20.0g)に溶解することにより、供給溶液を調製した。アゾ開始剤である2.32gのジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(和光純薬工業株式会社からV-601として入手)を6.43gの1:1(w/w/)のPGMEA/テトラヒドロフラン混合物に溶解することによって、開始剤溶液を別途調製した。
【0142】
重合は、水コンデンサーと、フラスコ内の反応を監視するための温度計とを備えた三口丸底フラスコ内で行った。反応器に10.0gのPGMEAを入れ、75℃まで加熱した。供給溶液及び開始剤溶液は、それぞれシリンジポンプを使用して4時間かけて反応器に別々に供給した。添加後、内容物を更に2時間撹拌した。続いて内容物を室温まで冷却し、20gのPGMEAで希釈して粗製ポリマー溶液を生成した。その後、モノマーMA1に由来する繰り返し単位中のアセタール基を以下の通りに除去した。上記粗製ポリマー溶液に酸性イオン交換樹脂を添加し、混合物を室温で24時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過によって除去し、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗製ポリマーをアセトン(25g)に溶解した。アセトンポリマー溶液を大過剰の脱イオン水にゆっくりと添加してポリマーを析出させた。得られたポリマー析出物を濾過によって単離し、次いで脱イオン水で洗浄した。次いで、ポリマー生成物を減圧下で35℃で乾燥させた。
【0143】
ポリマーP2~P5及び比較ポリマーCP1~CP4の合成
表1の各ポリマーは、表1に記載のモノマー及びモル供給比(合計100モル%を基準としたモル%)を使用したことを除いて、ポリマーP1の調製について上述した手順と同様の手順を使用して調製した。
【0144】
【表1】
【0145】
リソグラフィ評価
配合物の情報
フォトレジスト組成物は、表2及び3に示される材料及び量を使用して固体成分を溶媒に溶解することによって調製した。量は固体の総重量100重量%を基準とした重量%で表されている。フォトレジスト組成物の全固形分は、2.5重量%であった。溶媒系は、PGMEA(50重量%)とメチル-2-ヒドロキシイソ酪酸(50重量%)とを含んでいた。メカニカルシェーカーを使用して各混合物を振盪し、次いで0.2ミクロンの細孔径を有するPTFE円盤状フィルターを通して濾過した。
【0146】
リソグラフィによるパターニング及びデータ分析
CLEAN TRAC ACT8(TEL,Tokyo Electron Co.)ウェハートラックを使用してリソグラフィを行った。フォトリソグラフィ試験のための200nmウェハーをAR(商標)3 BARC(DuPont Electronics&Industrial)でコーティングし、205℃で60秒間ソフトベークして60nmの膜を得た。次いで、AR(商標)40A BARC(DuPont Electronics&Industrial)のコーティングをAR(商標)3層上に配置し、215℃で60秒間ソフトベークして約80nmの厚さを有する第2のBARC層を形成した。次いで、フォトレジスト組成物をデュアルBARCスタック上へコーティングし、110℃で60秒間ソフトベークして約70nmの厚さを有するフォトレジスト膜層を得た。
【0147】
1:1のL/Sパターン(120nm線幅)を有するマスクを用いてCANON FPA-5000 ES4スキャナー(NA=0.8、アウターシグマ=0.85、インナーシグマ=0.57)でウェハーを248nmの放射に露光した。ウェハーを100℃で60秒間露光後ベークし、MF(商標)CD26 TMAH現像液(DuPont Electronics&Industrial)で60秒間現像し、脱イオン水でリンスし、スピン乾燥した。形成されたパターンの限界寸法(CD)線幅測定は、HITACHI S-9380 CD-SEMを使用して行った。線幅粗さ(LWR)値は、加速電圧800ボルト(V)、プローブ電流8.0ピコアンペア(pA)で、デジタルズーム1.0で200Kxの倍率を使用して、フレーム数を64に設定して、トップダウンSEMにより決定した。LWRは2μmの線長さにわたって40nmのステップで測定し、測定された領域の平均LWRとして報告した。サイジングエネルギー(Esize)及びラインの線幅粗さ(LWR)は、CD測定に基づいて決定した。
【0148】
疑似Zファクターは以下に報告されている。これは式1に従って決定した:
疑似Zファクター=(Esize)×(LWR) (式1)
(式中、Esizeはミリジュール/平方センチメートル(mJ/cm)単位で報告され、LWRはナノメートル(nm)単位で報告され、疑似ZファクターはmJ×10-11単位で報告されている)。疑似Zファクターは、RLS(解像度、ラインエッジラフネス、感度)フォトレジスト性能を示す既知のパラメータの指標であるZファクターに基づいたフォトレジストの性能の修正された尺度である(例えば、(非特許文献1)を参照)。疑似Zファクターは一定の解像度(CDサイズ)で計算される。
【0149】
ラインスペース(L/S)パターニング
表2のフォトレジスト組成物を、上述したKrF露光(248nm)下で明視野マスクパターンを使用してL/Sパターニングについて評価した。Esize及びスペースのLWRは、CD測定に基づいて決定した。Esizeは、目標の120nmのL/Sパターンが解像された照射エネルギー量として決定した。Esize、LWR及び疑似Zファクターデータは、表2に示されている。量は、全固形分を基準とした重量パーセントで規定されている。
【0150】
【表2】
【0151】
PAG-A、PAG-B、Q1、及びQ2の構造を以下に示す。
【化31】
【0152】
表2に見られるように、フォトレジスト組成物PR-1~PR-6は、比較例PR-7及びPR-8と比較してEsizeが小さいことから明らかなように、改善された感度を達成した。フォトレジスト組成物PR-1~PR-6の感度向上は、比較組成物PR-7~PR-9と比較して同等の又は改善されたLWRによって明らかなように、ライン/スペースフィーチャの粗さを損なわなかった。それぞれの場合において、PR-1~PR-6のフォトレジスト組成物の疑似Zファクターは、比較のフォトレジスト組成物PR-7~PR-9の疑似Zファクターよりも小さかった。
【0153】
ラインスペース(L/S)パターニング
前の実施例と同様の方法で表3のフォトレジスト組成物を調製し、KrF露光下でのライン/スペースパターニングについて評価した。TEL Clean Track ACT 8ウェハートラック上で、BARCスタックでオーバーコートした200mmのシリコンウェハー(厚さ80nmのAR40A反射防止材の上に厚さ60nmのAR3反射防止材を積層したもの(DuPont Electronics&Industrial))をそれぞれ各フォトレジスト組成物でスピンコートし、110℃で60秒間ソフトベークし、厚さ約120nmのフォトレジスト層を得た。ウェハーをそれぞれ、120nmのライン/スペース(l/s)パターンを有するマスクを使用してCANNON FPA-5000 ES4スキャナー(NA=0.8、アウターシグマ=0.85、インナーシグマ=0.57)で248nmの放射で露光した。ウェハーを100℃で60秒間露光後ベークし、MF-CD26 TMAH現像液(DuPont Electronics&Imaging)で60秒間現像し、脱イオン水でリンスし、乾燥した。形成されたl/sパターンの限界寸法(CD)測定は、Hitachi S-9380 CD SEMで行った。目標の120nmスペースの線幅粗さ(LWR)は、CD測定に基づいて決定した。結果は表3に示されており、量は全固形分を基準とした重量パーセントで規定されている。
【0154】
【表3】
【0155】
表3に見られるように、フォトレジスト組成物PR-10及びPR-11は、比較フォトレジスト組成物PR-12と比較して改善されたLWRを達成した。
【0156】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することを意図することが理解されるべきである。
【外国語明細書】