(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095606
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ヒアリングシステム、並びに、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20240703BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219867
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2022212503
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】300092334
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】皆藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】畠久保 勉
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 和弘
(57)【要約】
【課題】企業の経営者から経営課題を適切に抽出可能とし、その結果として、知的財産事業者と他支援者が協働して企業を適切に支援をするための橋渡しとなる報告書の作成を可能とすること。
【解決手段】問診票記入制御部521は、経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個の要素を表示すると共に、当該N個の要素の中から前記経営者が1以上の要素を選択する操作を受付けるGUIとして機能する選択領域を含む問診票を、ユーザ端末4に表示させると共に、第1選択領域に対して操作が受付けられた際には経営者により選択された1以上の要素を取得することで、問診票を記入する。
【選択図】
図27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援をするための所定の仮想ストーリーを生成し、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行い、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を作成する前において、
前記経営課題の抽出を目的として前記所定企業の経営者にヒアリングをするためのヒアリングシステムであって、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素が列挙され、当該N個の要素の中から前記経営者により選択された1以上の要素を示す情報を固定する第1選択領域
を含む問診票、
を備えるヒアリングシステム。
【請求項2】
前記問診票は、
所定要素についての前記経営課題を示す具体的なテーマがM個(Mは、Nとは独立した2以上の整数値であって、前記N個の要素毎に異なる整数値)列挙され、当該M個のテーマの中から前記経営者により選択された1以上のテーマを示す情報を固定する領域を、前記N個の要素毎に独立して有する第2選択領域
をさらに含む請求項1に記載のヒアリングシステム。
【請求項3】
前記問診票の前記第1選択領域における前記1以上の要素及び前記第2選択領域における前記1以上のテーマのうち少なくとも一方を前記経営者が選択することを支援するためのフローチャートであって、各ステップに示される質問に前記経営者が回答していくことで、選択すべき内容が前記経営者に提示されるフローチャート
をさらに備える請求項2に記載のヒアリングシステム。
【請求項4】
前記問診票は、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果とは独立して、前記報告書の作成に際して考慮される情報として、前記経営者のマインドの自己評価を示す情報を固定する第3領域、
をさらに含む請求項2に記載のヒアリングシステム。
【請求項5】
前記問診票は、前記経営者により選択された前記1以上のテーマについて、前記所定企業の資料を含む前記経営者から提供される追加情報を固定する第4領域、
をさらに含む請求項2に記載のヒアリングシステム。
【請求項6】
前記問診票は、事業成長担保権の担保目的財産の評価又は増加の目的に利用される、
請求項1に記載のヒアリングシステム。
【請求項7】
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援をするための所定の仮想ストーリーを生成し、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行い、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を作成する前において、
前記経営課題の抽出を目的として前記所定企業の経営者にヒアリングをする情報処理システムであって、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素を表示すると共に、当該N個の要素の中から前記経営者が1以上の要素を選択する操作を受付けるGUI(Graphical User Interface)として機能する第1選択領域を含む問診票を、前記経営者が操作する端末に表示させると共に、前記第1選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上の要素を取得する問診票記入制御手段
を備える情報処理システム。
【請求項8】
前記問診票は、
所定要素についての前記経営課題を示す具体的なテーマをM個(Mは、Nとは独立した2以上の整数値であって、前記N個の要素毎に異なる整数値)表示し、当該M個のテーマの中から前記経営者が1以上のテーマを選択する操作を受付けるGUIとして機能する領域を、前記N個の要素毎に独立して有する第2選択領域
をさらに含み、
前記問診票記入制御手段は、さらに、前記第2選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上のテーマを取得する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記問診票記入制御手段は、さらに、
前記問診票の前記第1選択領域における前記1以上の要素及び前記第2選択領域における前記1以上のテーマのうち少なくとも一方を前記経営者が選択することを支援するためのフローチャートであって、各ステップに示される質問に前記経営者が回答していくことで、選択すべき内容が前記経営者に提示されるフローチャートにしたがって、前記各ステップを進める処理を実行し、
実行中のステップにおいて所定質問が含まれる場合には当該質問を前記経営者に提示して、当該質問に対する回答を、前記経営者が操作する前記端末から取得する、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記問診票は、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果とは独立して、前記報告書の作成に際して考慮される情報として、前記経営者のマインドの自己評価を示す情報を入力する操作を受付けるGUIとして機能する第3選択領域
をさらに含み、
前記問診票記入制御手段は、さらに、前記第3選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により入力された前記経営者のマインドの自己評価を示す情報を取得する
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記問診票は、前記経営者により選択された前記1以上のテーマについて、前記所定企業の資料を含む前記経営者から提供される追加情報の入力操作を受付けるGUIとして機能する第4選択領域
をさらに含み、
前記問診票記入制御手段は、さらに、前記第4選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により入力された前記追加情報を取得する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記問診票は、事業成長担保権の担保目的財産の評価又は増加の目的に利用される、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項13】
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援をするための所定の仮想ストーリーを生成し、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行い、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を作成する前において、
前記経営課題の抽出を目的として前記所定企業の経営者にヒアリングをする情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素を表示すると共に、当該N個の要素の中から前記経営者が1以上の要素を選択する操作を受付けるGUI(Graphical User Interface)として機能する第1選択領域を含む問診票を、前記経営者が操作する端末に表示させると共に、前記第1選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上の要素を取得する問診票記入制御ステップ
を含む情報処理方法。
【請求項14】
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援をするための所定の仮想ストーリーを生成し、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行い、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を作成する前において、
前記経営課題の抽出を目的として前記所定企業の経営者にヒアリングをするコンピュータに、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素を表示すると共に、当該N個の要素の中から前記経営者が1以上の要素を選択する操作を受付けるGUI(Graphical User Interface)として機能する第1選択領域を含む問診票を、前記経営者が操作する端末に表示させると共に、前記第1選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上の要素を取得する問診票記入制御ステップ
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒアリングシステム、並びに、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許出願等の知的財産の手続のみならず、企業を支援すべく、当該企業に関する知的財産情報を検索して、当該知的財産情報に基づくレポート(以下、「知的財産レポート」と呼ぶ)を作成する事業を行う者(以下、「知的財産事業者」と呼ぶ)が存在する。
しかしながら、従来の知的財産レポートは、技術や知的財産の色が濃く、企業の経営課題を解決又はその支援をするために活用することは困難であった。
このため、知的財産事業者が、企業の経営課題を解決又は解決を適切に支援するためには、企業の経営者から経営課題を適切に抽出すると共に、知的財産以外の観点で当該企業を支援する者(以下、「他支援者」と呼ぶ)と協力する必要がある。特に、経営という点で財務情報を取り扱う金融機関や税理士事務所を他支援者として採用する必要がある。
知的財産事業者と他支援者との協力という点で、知的財産事業者を企業に仲介するシステムが従来から存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含め従来の技術では、単に他支援者による知的財産事業者の仲介に留まり、知的財産事業者が作成する知的財産レポートは、相変わらず技術や知的財産の色が濃く、企業の経営者はおろか他支援者であっても、企業の経営課題を解決又はその支援をするために活用することは困難であった。即ち、特許文献1を含め従来の技術を適用しても、知的財産事業者と他支援者とが協働して企業を適切に支援するという域まで到達できない状況である。
換言すると、特許文献1を含め従来の技術では、知的財産事業者が企業の経営者から経営課題を適切に抽出することは困難な状況であり、このような状況で作成された知的財産レポートを用いても、知的財産事業者と他支援者が協働して企業を支援することは困難な状況であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、企業の経営者から経営課題を適切に抽出可能とし、その結果として、知的財産事業者と他支援者が協働して企業を適切に支援をするための橋渡しとなる知的財産レポート(以下、適宜「報告書」と呼ぶ)の作成を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のヒアリングシステムは、
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援をするための所定の仮想ストーリーを生成し、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行い、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を作成する前において、
前記経営課題の抽出を目的として前記所定企業の経営者にヒアリングをするためのヒアリングシステムであって、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素が列挙され、当該N個の要素の中から前記経営者により選択された1以上の要素を示す情報を固定する第1選択領域
を含む問診票、
を備える。
【0007】
本発明の一態様のヒアリングシステムに対応する第1情報処理システムは、
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援をするための所定の仮想ストーリーを生成し、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行い、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を作成する前において、
前記経営課題の抽出を目的として前記所定企業の経営者にヒアリングをする情報処理システムであって、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素を表示すると共に、当該N個の要素の中から前記経営者が1以上の要素を選択する操作を受付けるGUI(Graphical User Interface)として機能する第1選択領域を含む問診票を、前記経営者が操作する端末に表示させると共に、前記第1選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上の要素を取得する問診票記入制御手段
を備える。
【0008】
本発明の一態様の第1情報処理方法及び第1プログラムの夫々は、上述の本発明の一態様の第1情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムの夫々である。
【0009】
本発明の一態様の報告書の生産方法は、
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書の生産方法であって、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素が列挙され、当該N個の要素の中から前記経営者により選択された1以上の要素を示す情報を固定する第1選択領域を含む問診票に対して、前記経営者が記入する問診票記入ステップと、
前記経営者により記入された前記問診票の内容に基づいて、前記経営課題を解決又は解決を支援するための所定の仮想ストーリーを生成する仮想ストーリー生成ステップと、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行う調査分析ステップと、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む前記報告書を作成する報告書作成ステップと、
を含む。
【0010】
本発明の一態様の報告書の生産方法に対応する第2情報処理システムは、
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を生産する情報処理システムにおいて、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素を表示すると共に、当該N個の要素の中から前記経営者が1以上の要素を選択する操作を受付けるGUI(Graphical User Interface)として機能する第1選択領域を含む問診票を、前記経営者が操作する端末に表示させると共に、前記第1選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上の要素を取得することで、前記問診票を記入する問診票記入制御手段と、
記入された前記問診票の内容に基づいて、前記経営課題を解決又は解決を支援するための所定の仮想ストーリーを生成する仮想ストーリー生成手段と、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行う調査分析手段と、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む前記報告書を作成する報告書作成手段と、
を含む。
【0011】
本発明の一態様の第2情報処理方法及び第2プログラムの夫々は、上述の本発明の一態様の第2情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムの夫々である。
【0012】
本発明の一態様のビジネスモデルを実現するための第3情報処理装置は、
知的財産情報に基づいて、企業の経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を作成する第1者により管理される第1者装置と、
前記報告書の提供候補となる企業に対して、第1者とは別に前記企業を支援している第2者により管理される第2者装置と、
前記第2者の支援を受けている前記企業により管理される企業装置と、
夫々通信を行う通信手段と、
前記通信手段の通信により授受される情報に基づいて、前記第1者が、前記第2者を仲介者として、前記報告書を作成して前記企業に提供するための支援となる処理を実行する支援手段と、
を備える。
【0013】
本発明の一態様の第3情報処理方法及び第3プログラムの夫々は、上述の本発明の一態様の第3情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムの夫々である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、企業の経営者から経営課題を適切に抽出可能とし、その結果として、知的財産事業者と他支援者が協働して企業を適切に支援をするための橋渡しとなる報告書の作成を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態が適用される本サービスの概要を示すイメージ図である。
【
図2】本発明の一実施形態の知財経営企業カルテの生成方法の流れの一例を説明するフローチャートである。
【
図3】
図2のフローチャートのうちステップS1の問診票記入の具体的な流れの一例を説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態の問診票であって、ユーザにより記入された後の問診票の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態の問診票であって、ユーザにより記入された後の問診票の一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態の問診票であって、ユーザにより記入された後の問診票の一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態の問診票であって、ユーザにより記入された後の問診票の一例を示す図である。
【
図8】
図3のステップS12における困り事選択フローの詳細例を説明するフローチャートである。
【
図9】
図3のステップS12における困り事選択フローの詳細例を説明するフローチャートである。
【
図10】
図3のステップS12における困り事選択フローの詳細例を説明するフローチャートである。
【
図11】問診票の3-3経営者マインドの自己評価に対する幾つかの記入例を示す図である。
【
図12】
図2のステップS1の問診票の記入及びステップS2のヒアリングの実行後における、
図2のステップS4乃至S6までの知財経営企業カルテ(報告書)の作成行為(処理)の様子を示す機能ブロック図である。
【
図14】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図15】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図16】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図17】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図18】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図19】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図20】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図21】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図22】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図23】
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示す図である。
【
図24】
図24は、
図1の本サービスを実現するためのビジネスモデルの一例の概要を説明する図である。
【
図25】
図1の本サービスに適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理装置の一実施形態を含む情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図26】
図25の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図27】
図24の情報処理システムのうち
図25のサーバの機能的構成の概要を示すブロック図である。
【
図28】
図27の学習部が実行した結果として生成又は更新されるAIの一例を示す図である。
【
図29】
図27の学習部が実行した結果として生成又は更新されるAIの一例であって、
図28とは異なる例を示す図である。
【
図30】本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等を用いた事業成長担保権の活用イメージの一例を示す図である。
【
図31】本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等を、事業成長担保権の担保目的財産を増やすために利用する例のイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態が適用される本サービスの概要を示すイメージ図である。
【0018】
図1に示すように、本サービスは、ものつくり企業の経営者をユーザとして、知財経営企業カルテを提供するサービスである。
知財経営企業カルテとは、後述のビジネスモデル(
図24乃至
図27参照)に基づく商品又は役務に使用される商標であって、本発明者の一人である正林真之により商標登録出願されているものである。
ただし、本明細書においては、知財経営起業カルテとは、特に断りのない限り商標ではなく、次のような報告書(知的財産レポート)を意味するものとする。
即ち、後述の問診票等を用いて抽出された経営課題(即ちユーザにとっての真の困りごと)及び当該経営課題の解決手段又は解決に資する情報を、知的財産とビジネス(経営)の両方の観点から提言した報告書が、知財経営カルテである。換言すると、従来の知的財産レポートのような知的財産の調査結果の報告に終わらない、ビジネスのストーリー性を持つ知的財産レポートが、知財経営カルテである。
ここでいうビジネスとは、知的財産と区別する用語であって、ユーザの企業の事業目的を実現するための活動の総体、即ち、企業又は当該企業に属する者(ユーザ含む)が事業目的実現のために人、物、金、情報等の諸資源(知的財産除く)を活用して行う活動全体を意味する。
【0019】
以下、
図1及び
図2を参照して、知財経営企業カルテの生成方法について説明する。
図2は、本発明の一実施形態の知財経営企業カルテの生成方法の流れの一例を説明するフローチャートである。
【0020】
図1に示すように、ユーザたる経営者等から、知財経営企業カルテの生成依頼がなされると、
図2のフローは開始される。
【0021】
ステップS1において、ユーザたる経営者等は、問診票の記入をする。
問診票とは、知財経営企業カルテの生成において必須なものであり、ものつくり企業の経営課題(困り事)が予めカテゴライズされた複数の要素(大分類)、及び、N個の要素毎に経営課題の具体例がビジネスの表現で夫々複数パターン(小分類)が列挙されたものであって、当該複数の要素及び複数のパターンの夫々の中からユーザにより選択された要素の選択された具体例のパターンから知的財産情報を抽出可能なように構成されたものをいう。
問診表の記入の具体的なフローについては
図3を参照して、問診票の具体例については
図4乃至
図7を参照して後述する。
なお、この問診表の記入にあたり、ユーザから各種各様な資料(製品のパンフレットや図面等)も提供される。
問診票の記入が終了し、特許事務所等の知的財産事業者の担当者により問診票の確認が行われると、処理はステップS2に進む。
知的財産事業者の担当者は、知的財産の専門家であり、問診票の記載内容から知的財産情報を抽出し、その抽出結果等から知的経営企業カルテを生成する者である。
【0022】
ステップS2において、知的財産事業者の担当者は、ユーザに対するヒアリングを実施するか否かを判断する。
ステップS2において、知的財産事業者の担当者がヒアリングを実施しないと判定した場合、フローはステップS4に進む。
これに対して、ステップS2において、知的財産事業者の担当者がヒアリングを実施すると判断した場合、フローはステップS3に進む。
【0023】
ステップS3において、知的財産事業者の担当者は、ユーザに対するヒアリングを実施して、見直しや修正が必要か否かを判定する。
ステップS3において、知的財産事業者の担当者が見直しや修正が必要と判定した場合、フローはステップS1に戻されて、問診票の再記入が行われる。
これに対して、ステップS3において、知的財産事業者の担当者が見直しや修正が必要と判定した場合、フローはステップS4に進む。
【0024】
即ち、このようなステップS1乃至S3のフローにより、
図1に示す「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といった、知的経営企業カルテの生成に必要なインプットが行われると、フローはステップS4に進む。
【0025】
ステップS4において、知的財産事業者の担当者は、「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といったインプットに基づいて、仮想ストーリーを作成する。
仮想ストーリーとは、問診票等から抽出されるユーザの経営課題(困り事)を解決又は解決の支援をするためのビジネスの観点からの仮想的なストーリーである。本実施形態では、仮想ストーリーは、知財経営カルテ(報告書)のサマリーに記載される(具体例は後述の
図15参照)。
【0026】
ステップS5において、知的財産事業者の担当者は、「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といったインプット、及び、仮想ストーリーに基づいて知的財産情報を抽出するための調査を実行する。
ここで、知的財産情報とは、知的財産に関する情報であれば特に限定されない。例えば本実施形態では、日本国特許庁等のデータベースに蓄積された特許出願の公開公報若しくは特許公報自体の他、複数の当該公開公報や当該特許公報を解析することで得られる各種各様な情報が、知的財産情報として採用されている。
【0027】
なお、ステップS4における仮想ストーリーは、1回の作成で確定的なものになるとは限らず、ステップS5の調査結果(知的財産情報)に応じて適宜修正され得る。さらに言えば、修正された仮想ストーリーに基づいて、追加的な調査も適宜行われる。
最終的な仮想ストーリーが確定して、当該最終的な仮想ストーリーに応じた調査も終了すると、処理はステップS7に進む。
【0028】
ステップS7において、知的財産事業者の担当者は、「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といったインプット、仮想ストーリー、及び、調査結果(知的財産情報)に基づいて、知的経営企業カルテ(報告書)を作成する。
知的経営企業カルテの具体例については、
図14乃至
図23を参照して後述する。
【0029】
ステップS8において、知的財産事業者の担当者は、知的経営企業カルテ(報告書)を用いた診断結果を説明する。
これにより、フローは終了となる。
【0030】
このように、知的経営企業カルテ(報告書)は、「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といったインプット、仮想ストーリー、及び、調査結果(知的財産情報)に基づいて生成されるものである。
従って、
図1に示すように、知的経営企業カルテ(報告書)は、知的財産とビジネスとの2つの観点を併せもつものである。
知的財産の観点についていえば、知的経営企業カルテは、ステップS6の調査に基づくものであり、課題が絞られている、内容が明確である、及び(証拠となる)必要な資料があるという特長を有している。
一方、ビジネスの観点についていえば、知的経営企業カルテは、ビジネスに反映したものであり、経営上の課題提案、及び戦略上の課題提案がなされたものである。
以上まとめると、上述したように、知的経営企業カルテは、知的財産の調査に終わらない「ビジネスのストーリー性」も持つレポートである。
【0031】
次に、知的経営企業カルテの生成に必須な問診票の詳細について、
図3乃至
図8を参照して説明する。
図3は、
図2のフローチャートのうちステップS1の問診票記入の具体的な流れの一例を説明するフローチャートである。
図4乃至
図7は、本発明の一実施形態の問診票であって、ユーザにより記入された後の問診票の一例を示す図である。
【0032】
問診票は、1実施の目的、2問診項目、及び3経営者マインドの自己評価から構成されている。
1.実施の目的には、
図4に示すように、問診票をユーザに記入してもらう目的が予め記載されている。ユーザは、問診票の記入の前に、1.実施の目的を熟読する。
2問診項目は、
図4及び
図5に示すように、2-1診断先、2-2困り事と「お困り事具体例」のテーマ選択、及び2-4追加問診から構成されている。
2-1診断先には、ユーザ及び当該ユーザが属する事業に関する書指摘事項が記入される。即ち、ユーザは、1実施の目的を熟読した後、自身及び自身が属する企業についての各種情報を2-1診断先に記入する。
【0033】
次に、
図3のステップS11において、ユーザは、経営課題を選択する。
即ち、問診票の2-2困り事と「お困り事具体例」のテーマ選択は、2-2<1>困り事と、2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択とから構成されている。
そこで、ユーザは、先ず、
図3のステップS11において、自身が感じている困り事、即ち事業課題を、2-2<1>困り事に列挙された項目から1以上を選択する(〇を付す)。
このように、問診票の2-2<1>困り事には、ものつくり企業の経営課題(困り事)としてよく挙げられる主要な項目として、売上、技術、製品、資金、人、製造、及び商流が予め列記されている。ユーザは、予め列記された項目から、自身に当てはまる項目を選択するといった簡便な行為をするだけで、自身の経営課題を他者に伝えることが容易にできる。しかも、ここでいう困り事の項目は、従来の知的財産レポートの作成のためのヒアリングで問われる知的財産の専門的用語は一切使われておらず、技術や製品といった、ユーザでも容易に理解できるビジネスの表現で行われている。さらに、従来の知的財産レポートの作成のためのヒアリングでは問われることがなかった、資金、人、製造、及び商流といった項目からもユーザは困り事を選択できるので便宜である。
逆に、金融機関や税理士等が、ユーザ又は当該ユーザが属する企業をよりよい方向に導くために困り事をヒアリングする際には、ファイナンシャルな観点の項目のみから選択させていたが、技術や製品といった点に困り事がある場合も多いにもかかわらずその点を選択させるという概念は存在しなかったため、片手落ちになっていた。しかしながら、知財経営企業カルテの問診票では、知的財産よりの技術や製品といった項目と、ビジネスよりの売上、技術、製品、資金、人、製造、及び商流といった項目とからユーザの困り事を選択できるようになされている。よって、ユーザは、問診票を記入するだけで、困り事(課題)として適切なものを選択することができる。
なお、
図5に示すように、売上、技術、製品、資金、人、製造、及び商流の中にユーザの困り事が存在しない場合には、その他の記入欄に、承継等自由な項目を記載することができる。
【0034】
なお、困り事が存在しないとユーザにより判断された場合には、
図3のステップS11では「無」と判定されて、フローはステップS15に進み、個別相談となる(知財経営カルテによる診断自体は終了となる)。
【0035】
一方、ユーザは、何かしらの困り事は存在すると感じてはいるものの、具体的な項目として意思表示できない場合も存在する。このような場合、
図3のステップS11では「不可」と判断されて、処理はステップS12に進む。
ステップS12において、ユーザは、
図8乃至
図10の困り事選択フローを実施する。即ち、困り事を炙り出すための問診アシストが行われる。
図8乃至
図10は、
図3のステップS12における困り事選択フローの詳細例を説明するフローチャートである。
ユーザは、困り事の項目の選択を自身ですることができない場合であっても、
図8乃至
図10のフローチャートに従った問診アシストを受けることで、困り事の項目を選択することが容易に可能になる。
【0036】
図3のフローにおいて、このようにして、ユーザの困り事(経営課題)の項目が1以上選択された場合、即ち、ステップS11又はステップS12において「可」と判定された場合、図フローはステップS13に進む。
ステップS13において、ユーザは、困り事(経営課題)の1以上の項目毎に、具体的な困り事の複数のテーマ(パターン)の中から、自身に適するテーマを1以上選択する。
即ち、ユーザは、2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択のうち、自身が選択した困り事の項目に列挙された複数のテーマから、1以上を選択する(〇を付す)。
例えば本例では、
図5に示すように、困り事の項目として、製品が選択されている。
従って、ユーザは、製品の項目に列挙された「お困り事具体例」の複数のテーマから、1以上を選択する(〇を付す)ことになる。
図5の例では、テーマ3、即ち、「類似製品が有るが自社製品の優位ポイントを知りたい」というテーマが選択されている。
【0037】
このように、ユーザは、自身の困り事について、先ずは大分類の項目(
図5の例では製品)を選択した後、当該項目についての予め設定された具体例の複数のテーマの中から選択するといった簡便な行為をするだけで、即ち、問診票の誘導に沿って記入するだけで、真の困り事(ユーザ又は企業にとって本当に解決すべき課題)をうまく伝えることができるようになる。
【0038】
次に、
図3のステップS14において、ユーザは、
図7に示す3-3経営者マインドの自己評価について記載する。
【0039】
ここで、問診票の3-3経営者マインドの自己評価について説明する。
問診票のうち上述の2問診項目が記載されていれば、特許事務所(担当者)は、分析結果という形態で知財経営企業カルテ(報告書)を作成すること自体はできる。
しかしながら、このような知財経営企業カルテ(報告書)の内容(診断結果)は、客観性はあるものの、ユーザたる経営者等インドは反映されていない。即ち、このような知財経営企業カルテ(報告書)では、ユーザの企業の現時点での状況やユーザ(経営者等)の「やる気度」や「喪失感」等がわからない場合がある。
ここで、ユーザの企業は中小企業であることが多いが、中小企業では多くの役割を経営者が担っている。例えば、資金繰り、資金調達、技術開発や製作、指示、アイデア出し等は、経営者が行っていることが多い。
そこで、知財経営企業カルテ(報告書)に、作成時点のユーザ(経営者等)の「経営+技術」を若干でも反映できるように、換言すると、問診票の記入の段階でマインドのベクトルを自己申告してもらうことで総合的なアドバイスできるように、3-3経営者マインドの自己評価が問診票に盛り込まれている。
換言すると、知財経営企業カルテ(報告書)において2問診項目のユーザの記入内容(選択された選択肢)の分析結果と、3-3経営者マインドの自己評価とは直接リンクしていない。3-3経営者マインドの自己評価は、知財経営企業カルテ(報告書)内又はその説明(
図2のステップS7)におけるユーザへのご提案や、
図2のステップS4の仮想ストーリーの設定等に利用される。
【0040】
図11は、問診票の3-3経営者マインドの自己評価に対する幾つかの記入例を示している。
以下において、「自社の販売力・営業力はどうでしょうか?」は「項目(1)」と呼ぶ。「自社の技術力(工夫・解決力)はどうでしょうか?」は「項目(2)」と呼ぶ。「自社の開発力(アイデア創出・開発マインド)はいかがでしょうか?」は「項目(3)」と呼ぶ。
【0041】
図11(A)は、問診票の2問診項目のユーザの記入内容(選択された選択肢)の分析結果が、ユーザの企業(自社)の技術や応用範囲は多様化できる可能性があるといった結果である場合における、問診票の3-3経営者マインドの自己評価に対する記入例を示している。
図11(A)の例の場合、
図2のステップS4の仮想ストーリーの設定等において、次のように判断される。
項目(1)の記入内容は、普通である。よって、いったんこの分野は保留と判断される。
項目(2)の記入内容は、「ない」である。これに対して、問診票の2問診項目のユーザの記入内容(選択された選択肢)の分析結果からは、ユーザの企業(自社)の技術力の範囲は多様性があると診断されている。よって、仮想ストーリーでは、この分野に力を集中することで経営を安定させる可能性あるとの仮定がなされる。
さらに、項目(3)の記入内容は、そこそこ「ある」である。このため、開発のアイデアを形にすることで経営が安定する方向に行くと判断される。
【0042】
図11(B)は、問診票の2問診項目のユーザの記入内容(選択された選択肢)の分析結果が、ユーザの企業(自社)の技術製品ははすでにピークアウトしており、今後、新しい価値創造が求められるといった場合における、問診票の3-3経営者マインドの自己評価に対する記入例を示している。
図11(B)の例の場合、
図2のステップS4の仮想ストーリーの設定等において、次のように判断される。
項目(1)の記入内容は、比較的良好である。このため、販売力があり、取引先との良好な関係があると推測される。
項目(2)の記入内容は、ユーザの企業(自社)は技術力がないという自己申告を示している。その一方、項目(3)の記入内容は、アイデア力はあるいう自己申告を示している。したがって、今の自社の技術製品は、今後、売れないもしくは価格が下がる可能性があると判断され、その結果として、新しい製品等今の段階から着手して経営が痛む前にアイデアを具現化する方向にシフトするとよいというご提案がなされる。
【0043】
図11(C)は、問診票の2問診項目のユーザの記入内容(選択された選択肢)の分析結果が、自社の技術は属人的であるが特有であるといった場合における、問診票の3-3経営者マインドの自己評価に対する記入例を示している。
図11(C)の例の場合、
図2のステップS4の仮想ストーリーの設定等において、次のように判断される。
項目(1)の記入内容は、営業力や販売力に課題もあるという自己申告を示している。項目(2)の記入内容は、技術力もないという自己申告を示している。項目(3)の記入内容は、開発するアイデア力もないという自己申告を示している。
このため、本当に項目(1)乃至(3)の記入通りなのか確認する必要があると判断される。また、問診票の2問診項目のユーザの記入内容(選択された選択肢)の分析結果によれば、属人的だが特有の技術力があるので、相性が良い協業先を探し出し、ユーザの企業(自社)の営業力をカバーできるパートナー探しや属人的な部分をオープンにして知的財産で守りながら技術提供をしていくビジネスモデルの変更などを模索する、または営業担当者を雇用する等の判断がなされる。
【0044】
このようにして、
図3のステップS11乃至S13において、問診票の2問診項目のうち、2-1診断先、及び、2-2困り事と「お困り事具体例」のテーマ選択が記入され、
図3のステップS14において、問診票の3-3経営者マインドの自己評価が記入されると、
図3のステップでは省略されているが、問診票の2-4追加問診が記入される。
問診票の2-4追加問診は、知財経営企業カルテ(報告書)における2問診項目のユーザの記入内容(選択された選択肢)の分析結果をより一段と精度の高いものにするためのものである。例えば、この2-4追加問診により、
図1の「資料」として具体的なものが得られることになる。
問診票の2-4追加問診まで記入されると、
図2のステップS1の問診票記入は終了となり、ステップS2において、当該問診票の記入内容を確認した特許事務所(担当者)により、ユーザ(経営者等)に対するヒアリングが行われる。
その後、
図2のステップS4の仮想ストーリーの策定及びステップS5の調査の実行が行われて、ステップS6において知財経営企業カルテ(報告書)が作成される。
【0045】
図12は、
図2のステップS1の問診票の記入及びステップS2のヒアリングの実行後における、
図2のステップS4乃至S6までの知財経営企業カルテ(報告書)の作成行為(処理)の様子を示す機能ブロック図である。
図13は、
図4乃至
図7の問診票の記入の具体例がなされた場合における、
図12の具体例を示している。
【0046】
図5及び
図13に示すように、本例では、
図2のステップS1の問診票の記入により、困り事の項目として、製品が選択され、「お困り事具体例」の複数のテーマから、テーマ3、即ち、「類似製品が有るが自社製品の優位ポイントを知りたい」というテーマが選択されている。
そこで、
図12及び
図13に示すように、特許事務所(担当者)は、問診票の記入内容及びヒアリング結果に基づいて、知的財産情報を活用した
図2のステップS4の仮想ストーリーの策定及びステップS5の調査の実行による試行錯誤を行う。
ステップS5の調査では、特許事務所(担当者)が知的財産情報を検索するための検索式を立て、検索装置5と連動して知的財産情報を検索する。検索された知的財産情報は、調査結果の一部として知財経営企業カルテ(報告書)に掲載されるが、ユーザ等により分かりやすく示すために最適な視覚化が行われる。即ち、
図12及び
図13に示すように、可視化具体例の中から適切な項目が選択されて、選択された項目に基づいて知的財産情報の視覚化が行われる。本例では、(2)技術の動きをつかむの項目のうち、技術開発活動と参入企業の変化を示すという第1項目、技術内容の変化を示すという第3項目、技術開発の課題の動きを示すという第4項目、及び技術開発の展開を示す第6項目に基づいて知的財産情報の視覚化が行われる。知的財産情報の視覚化の具体例については、財経営企業カルテ(報告書)の具体例として
図18及び
図19に示されている。
特許事務所(担当者)は、
図12及び
図13に示すように、問診票の記入内容及びヒアリング結果に基づいて、
図2のステップS4の仮想ストーリーの策定及びステップS5の調査の実行による試行錯誤を行うことで、2問診項目のユーザの記入内容(選択された選択肢)の分析を行う。
【0047】
そして、特許事務所(担当者)は、2問診項目のユーザの記入内容(選択された選択肢)の分析結果に基づいて、知財経営企業カルテ(報告書)のストーリーを検討する。
この検討においては、
図12に示すように、補助問診項目も考慮される。補助問診項目とは、次のような第1乃至第3項目から構成される。第1項目は、問診票の3-3経営者マインドの自己評価の記入内容である。第2項目は、問診票の2-4追加問診で記入(添付)された資料、即ち問診票補足資料(技術、製品、市場情報等)である。第3項目は、その他の項目、例えば
図2のステップS2のヒアリングの内容である。
【0048】
特許事務所(担当者)は、検討されたストーリーに基づいて、ステップS6において知財経営企業カルテ(報告書)を作成する。
図14乃至
図23は、
図4乃至
図7の問診票の記入例を用いて、
図12及び
図13に示す具体的な手法に基づいて作成された財経営企業カルテ(報告書)の具体例を示している。
【0049】
本例の財経営企業カルテ(報告書)は、次の第1項目乃至第9項目から構成される。
第1項目は、
図14に示す、「ご依頼者様 (企業概要)」という項目である。第1項目は、問診票の2-1診断先(
図4)に基づいて記載される。
第2項目は、
図15に示す「困り事:区分、困り事の具体例(問診票に基づく)」という項目である。第2項目は、問診票の2-2困り事と「お困り事具体例」のテーマ選択に基づいて記載される。
第3項目は、
図15に示す「テーマ名」である。
第4項目は、
図15に示す「サマリー(経営者マインド及びヒアリング更に、困り事を基にしたストーリーを作成)」である。かっこ書きでいう「困り事」とは、問診票の2-2困り事と「お困り事具体例」のテーマ選択を意味している。第4項目は、
図12及び
図13で上述した試行錯誤の結果として最終的に選択された仮想ストーリー(
図2のステップS4)が記載される。
第5項目は、
図16に示す「事業構造、ビジネスモデル概説」である。
第6項目は、
図17乃至
図20に示す「テーマの特徴と概説」である。第6項目において、
図12及び
図13の調査結果(
図2のステップS5の結果)である知的財産情報の視覚化情報(
図18及び
図19参照)や、補助問診項目の第2項目の問診票補足資料等(
図20参照)が適宜用いられる。
なお、第5項目及び第6項目については、
図16乃至
図20は参考例にしか過ぎず、第4項目のサマリーのストーリー(最終的に選択された仮想ストーリー)に沿って自由にアレンジ可能な項目である。
第7項目は、
図21に示す「困り事の分析(知的財産情報の活用)」である。第7項目には、第4項目のサマリーのストーリー(最終的に選択された仮想ストーリー)に沿った知的財産情報の分析結果が記載される。
第8項目は、
図22に示す「考察(知的財産情報による困り事分析の内容について考察する)」である。
第9項目は、
図23に示す「結論(最終的に選択された仮想ストーリー及び経営者マインドを基にした結論を導き出す)」である。
【0050】
ここで、知財経営企業カルテ(報告書)について、従来の中小企業向け知的財産レポート(後述の従来の知財ビジネス評価書も含む)と比較してみる。
【0051】
従来の中小企業向け知的財産レポートは、「技術」「知的財産」の色が濃く、中小企業の経営に結びつけるためには「理解と変換(知的財産を経営の視線に合わせる、利用する)」が必要になった。この「理解と変換」を、後述の金融機関、ユーザ(中小企業の経営者等)、知的財産事業者(特許事務所等)の三者が共通して理解するポジションを見つけ共有するには難しさがある。このため、従来の中小企業向け知的財産レポートは、これら三者が活用できるレポートはなかった。また、従来の中小企業向け知的財産レポートは、その内容についても専門性が高いものである。このため、従来の中小企業向け知的財産レポートの多くは、知的財産になじみのないユーザ(中小企業の経営者等)や金融機関、関係職員には活用どころか理解に苦慮する内容のものであった。
【0052】
これに対して、知財経営企業カルテ(報告書)は、次のような特長を有するものである。
即ち、知財経営企業カルテ(報告書)は、知的財産を切り口とした“困り事”解決手段を提供するものである。
知財経営企業カルテ(報告書)は、経営者目線(ユーザのニーズに沿った)で「知的財産」を理解及び活用できるように工夫したものである。
知財経営企業カルテ(報告書)は、問診票(困り事ヒアリング用紙)を利用して「知的財産」からの分析で経営に活かせるように客観性を持たせたものである。
従来の中小企業向け知的財産レポートの作成のためには長時間のヒアリングが必要であったのに対して、知財経営企業カルテ(報告書)の作成のために問診票を利用することで、知的財産や技術の知識がなくても「短時間でヒアリング」ができるようになっている。
知財経営企業カルテ(報告書)は、今までと違った分析ツールである「知的財産サイド」からスポットを当て、ユーザの企業(中小企業)の開発のヒント等にも応用できるものである。即ち、知財経営企業カルテ(報告書)は、ユーザの様々な困り事を解決する手段として簡易なレポートになっている。
知財経営企業カルテ(報告書)は、その作成の初期段階から「ビジネス」を意識して、仮想のストーリーを持たせて作成されたものであり、知的財産とビジネスの接点を設けたレポートになっている。
【0053】
以上説明したように、知財経営企業カルテ(報告書)自体は、特許事務所といった知的財産事業者が作成するものである。しかしながら、その作成に必須な問診票は、上述したように知的財産の専門的知識がないものでもわかるように構成されており、ユーザの記入に際し知的財産事業者が同席する必要は必ずしもない。
また、知的財産事業者の多くは、大企業と接点を持つことはあるものの、中小企業と接点を持つことは少ない場合がある。一方で、知財経営企業カルテのユーザとなるターゲットは、上述したように、モノづくりをする中小企業の経営者等である。即ち、知的財産事業者が、知財経営企業カルテの受注を得たくても、受注先(営業先)を見つけることが困難な場合が多い。
逆に、このような中小企業の経営者等と接点を持つ者の代表は金融機関であるが、従来の金融機関は、ファイナンシャルな点からのアドバイスはできても、真の困り事に対するアドバイスはできなかった。
そこで、
図24に示すような知財経営企業カルテに関するビジネスモデルを実現することで、知財経営企業カルテのユーザを多く獲得すると共に、当該ユーザに知的経営企業カルテを提供することで、真の困りごとに対するアドバイスを実現することが可能になる。
【0054】
図24は、
図1の本サービスを実現するためのビジネスモデルの一例の概要を説明する図である。
図24において、知的財産事業者とは、特許事務所等の知的財産の分野を業として実行する者であり、知財経営企業カルテ(報告書)を作成する主体である。
仲介者とは、知財経営企業カルテの提供候補となる企業(その経営者たるユーザ候補)に対して、知的財産事業者とは別に支援している者である。
例えば、INPITや発明推進協会、商工会議所、各自治体(経営相談窓口)、技術士や中小企業診断士等が属する企業等も仲介者になり得る。ただし、後述するように、所定企業の知財経営企業カルテ(報告書)と当該所定企業の財務情報とを組み合わせることで、当該所定企業の経営者たるユーザに対してより適切なアドバイスをすることが可能になる。よって、財務情報の取得が可能な金融機関や税理士事務所が仲介者になると好適である。
【0055】
ステップS101において、知的財産事業者は、仲介者と業務委託をする。具体的には、ユーザとの仲介や、契約(委託料、問診票秘密保持等)が行われる。
ステップS102において、仲介者は、ユーザの候補に対する仲介問合せを行う。なお、この場合、金融機関が単独でおこなってもよいが、知的財産事業者が補助として同席してもよい。
ステップS103において、ユーザは、知財経営企業カルテを発注する。なお、ユーザは、知的財産事業者に直接連絡してもよいが、原則仲介者へ連絡するものとする。
ステップS104において、仲介者は、金融機関を通じて、知財経営企業カルテを受注する。なお、知的財産事業者は、受注以後、ユーザと直接折衝することがある旨を仲介者に確認しておくものとする。
ステップS105において、知的財産事業者は、受注後の仲介者の依頼に基づく直接交渉、仲介者同席のヒアリング、報告書作成上の随時のヒアリングのために、ユーザと適宜折衝する。
なお、
図2のフローにおいて、ステップS2以降については知的財産事業者の関与は必須であるが、ステップS1の問診票記入については、必要に応じて、知的財産事業者抜きで、即ち、ユーザ単体又はユーザと仲介者により行われてもよい。
【0056】
さらに以下、
図24のビジネスモデルについて、仲介者の具体例として税理士事務所を採用した場合について、税理士事務所の観点で説明していく。
【0057】
税理士事務所は、日頃から税務の観点で、多数の中小企業の経営者と接触をしている。
このため、従来の税理士事務所は、中小企業の経営者に対して、税務の観点からアドバイスをしていた。例えば、従来の税理士事務所は、売上、流動比率、自己資本比率、売上高総利益率、限界利益率、営業利益率、経常利益率等の経営の数字を根拠として、中小企業の経営者に対してアドバイスを行っていた。具体的には例えば、従来の税理士事務所は、「経営者なのだから、売上等の数字を改善するための経営を心掛けてください」等のアドバイスを行っていた。
しかしながら、中小企業の経営者にとっては、売上等の数字を改善する等の数字上の目的自体は理解できるものの、数字上の目的を達成するために何をすべきかがわからない状況であり、従来の税理事務所のアドバイスは役に立つものとなっていなかった。
つまり、中小企業の経営者にとって真に役に立つアドバイスとは、単なる数字上の目的ではなく、モノづくり企業の技術や製品の観点も含めた具体的な改善策又はその支援となる情報である。従来の税理士事務所は、このような真に役に立つアドバイスをすることや、そのための相談に乗ることもしたいと所望しているものの、そのための時間を有していなかったり、技術や製品を理解するための専門的知識がわからないといった点ですることができない状況であった。
【0058】
そこで、税理士事務所は、
図24のビジネスモデルを活用して知的財産事業者と協同することで、専門的知識かつ時間が無くても、問診票を活用した知財経営企業カルテを、中小企業の経営者(ユーザ)に提供することができるようになる。
知財経営企業カルテは、経営を1人で考えていた経営者にとって、売上げ向上等の数字上の目的を到達するために、具体的に何をすべきかを考えるためのヒントになるものである。
また、知財経営企業カルテは、上述したように、知的財産情報も視覚化されている等の各種工夫がなされているため、専門知識がない税理士事務所にとっても理解することが可能な内容である。したがって、税理士事務所は、従来から利用している数字の情報たる財務情報と、知財経営企業カルテとを融合することで、中小企業の経営者(ユーザ)にとって真に役立つアドバイスをすることもできる。
【0059】
税理士事務所にとってのフローは次の通りになる。
即ち、
図24のステップS101において、税理士事務所は、知的財産事業者(特許事務所等)と業務委託をする。その後、税理士事務所の担当者は、知財経営企業カルテについての簡単な研修を受講する。
ステップS102において、税理士事務所は、中小企業の経営者(ユーザの候補)に対する日常の財務相談等のときに、知財経営企業カルテ(報告)及び問診票のサンプル(例えば
図14乃至
図23のサンプル、及び
図4乃至
図7のサンプル)を見せながら、当該知財経営企業カルテの提案を行う。
なお、この提案は、税理士事務所が単独で行ってもよいが、知的財産事業者(特許事務所等)が同行して行ってもよい。
ステップS103において、税理士事務所は、中小企業の経営者(ユーザ)は、知財経営企業カルテを発注する。
ステップS104において、税理士事務所は、知財経営企業カルテの発注があった旨を知的財産事業者(特許事務所等)に連絡する。知的財産事業者(特許事務所等)は、知財経営企業カルテを受注する。
【0060】
その後、税理士事務所は、問診票の記入をしてもらうために、中小企業の経営者(ユーザ)を訪問する。これにより、
図2のフローが開始することになる。
即ち、税理士事務所は、中小企業の経営者(ユーザ)に対して
図2のステップS1の問診票記入をしてもらう。
具体的には、税理士事務所は、
図3のステップS11乃至S14(必要に応じて
図8乃至
図10のステップS51乃至S75)の手順通りに誘導しながら、中小企業の経営者(ユーザ)に問診票の記入をしてもらう。
なお、税理士事務所は、必要に応じて知的財産事業者(特許事務所等)を同行してもよい。
ここまでが、税理士事務所側が主体に行うべきフローである。
【0061】
上述したように、それ以降、知的財産事業者(特許事務所等)側が主体的に行うフローとして、
図2のステップS2乃至ステップS6が実行される。これにより、知財経営企業カルテ(報告書)が作成される。
【0062】
ステップS7は、税理士事務所と知的財産事業者(特許事務所等)とが共同するフローである。
即ち、ステップS7において、知的財産事業者(特許事務所等)は、税理士事務所と同行して中小企業の経営者(ユーザ)を訪問し、知財経営企業カルテ(報告書)の説明を行う。このとき、税理士事務所は、従来から用いている経営数字の情報である財務情報の観点から、知財経営企業カルテ(報告書)の説明を補助すると好適である。
これにより、中小企業の経営者(ユーザ)は、知財経営企業カルテ(報告書)と財務情報とを連動させて、真の困り事の解決に向けて着手することができる。その結果として、数字上の目的も達成することが可能になる。
【0063】
以上、本発明が適用される、問診票又は当該問診票を用いた知財経営企業カルテの第1実施形態について説明した。
以下においては、知財経営企業カルテ(報告書)と従来の報告書との違いについて、日本国の特許庁における「特許庁事業」での「知財ビジネス評価書(以下、従来の知財ビジネス評価書と呼ぶ)」を例として説明する。
【0064】
従来の知財ビジネス評価書は、中小企業と金融機関が「知的財産」という分野を通じて「コンタクト」して「絆を深め」て「技術を理解することで資金調達、融資」に結びつける「事業性評価」の一環を狙ったレポートであった。
しかしながら、従来の知財ビジネス評価書の内容は、「技術」や「知的財産」の色が濃く、中小企業の経営に結びつけるには「理解と変換(知財を経営の視線に合わせる、利用する)」が必要になった。さらに、「理解と変換」ができたとしても、この「理解と変換」を、金融機関、ユーザ、及び知的財産事業者の三者が共通して存在するポジションで共有することは困難であった。このように、従来の知財ビジネス評価書は、三者が活用できるレポートとは言い難いものであった。
さらにいえば、従来の知財ビジネス評価書の多くは、知的財産の専門性が高く、知的財産になじみのない中小企業の経営者や金融機関の担当者にとっては活用どころか理解に苦慮する内容であった。
【0065】
従来の知財ビジネス評価書の作成においても、中小企業の経営者に対して「ヒアリング(金融機関を通じて)」が行われていたため、知的財産事業者には、次のような一定のメリットも存在はしていた。
先ず、知的財産事業者は、中小企業の経営者と初対面であるが金融機関がいるので既にアイスブレイクした状態でヒアリングを開始することができた。即ち、時間節約と話がスムーズであるという第1メリットが存在する。
また、中小企業の経営者の情報を金融機関がつかんでいる場合には、ヒアリングポイントが明確になるため、「テーマ」設定が早く、という第2メリットが存在する。
【0066】
従来の知財ビジネス評価書は、このような一定のメリットが存在するものの、次のようなデメリットが存在する。
先ず、金融機関職員が、中小企業の経営者のことや、中小企業の事業内容を熟知していない場合が多い。このような場合、知的財産事業者は、中小企業の経営者に対して、一から内容等を確認する必要があるものの、その内容等の把握をするためには、短時間のヒアリングでは限界がある、というデメリットが存在する。
また、このような場合、上述の第2メリットを生ずることは困難であり、知的財産事業者は、中小企業の経営者に対して、企業や事業の内容、技術等包括的にヒアリングを行い、その中から「テーマ」決めを行う必要がある。しかしながら、ヒアリングの時間もさほど取れないことから、中小企業の経営者にとって不本意なテーマ、即ち当該経営者真に望んでいないテーマとなることが多い、というデメリットが存在する。
また、その中小企業にとって重要な技術や内容等についての情報は、データからの情報に限られることも多い。しかしながら、中小企業の場合にはニッチな事業であることが多く、情報の限界がある。このため、知的財産事業者は、中小企業の経営者の考えや困り事等をしっかりと把握できていない状況で、従来の知財ビジネス評価書の作成に進むことが多い、というデメリットが存在する。
そのようなデメリットが存在したまま従来の知財ビジネス評価書が作成されると、当該従来の知財ビジネス評価書は、中小企業の経営者にとって関心度が低いものであったり、中小企業の経営者にとって必要がない情報まで盛り込んでしまった結果として的を得ていない仕上がりのものになる、というデメリットが存在する。
また、金融機関にとっても、従来の知財ビジネス評価書ではその内容が金融機関の資料としてそのまま活用できるものになっておらず、少なくとも比較的知識のある人材による説明を要していた。即ち、従来の知財ビジネス評価書は、金融機関を含めて誰もがわかるレポートになっていない傾向にある、というデメリットが存在する。
経営者にとっても、知的財産に触れる機会が多くあるわけでもないため、従来の知財ビジネス評価書は、その場限りのレポートになっており、内容を把握して経営や開発に活かすことができないものであった、というデメリットが存在する。
【0067】
このような従来の知財ビジネス評価書が有する第1メリットをそのまま保持しつつ、従来の知財ビジネス評価書が有する多くのデメリットを解消したものが、第1実施形態に係る問診票又は当該問診票を用いた知財経営企業カルテである。
換言すると、第1実施形態に係る問診票又は当該問診票を用いた知財経営企業カルテは、次のような第1効果乃至第17効果を奏することができる。
【0068】
第1効果は、知財経営企業カルテは、経営者目線で作成されたものであり、ユーザのニーズに沿ったものであることから、ユーザが「知的財産」を活用できるものになっている、という効果である。
例えば、ユーザは、問診票の2-2<1>困り事において、自身の困り事(経営課題)を容易に選択することができる。即ち、従来の知財ビジネス評価書での「テーマ」の設定は、技術や製品といった点のみが重視されていた。これに対して、問診票の2-2<1>困り事では、技術、製品といった知的財産の観点のみならず、資金、人、製造、商流といったビジネスの観点からも、困り事(経営課題)が列挙されている。このため、問診票の2-2<1>困り事に列挙されたものの中から、ユーザが自身に適合するものを容易に選択することができる。
このような問診票が存在することから、ユーザの困り事(経営課題)が知的財産事業者に適切に伝達される。その結果、経営者目線の知財経営企業カルテが作成され、第1効果を奏することが可能になる。
【0069】
第2効果は、知財経営企業カルテは「知的財産」からの分析でユーザの経営に活かせるように客観性を持たせ、困り事から開発のヒントまで、今までと違った分析ツールとしての「知的財産サイド」からスポットを当て、困り事を解決する手段として簡易なレポートとなっている、という効果である。
第1効果で上述したように、問診票の2-2<1>困り事には、技術や製品といった知的財産の観点のみならず、資金、人、製造、商流といったビジネスの観点からも、困り事(経営課題)が列挙されている。知財経営企業カルテの作成のための導入プロセス(
図2の最初のステップS1のうち、
図3の最初のステップS11)として、先ず、問診票の2-2<1>困り事に列挙されたものの中から、ユーザにより困り事が選択される。このように、導入プロセスが従来は技術や製品のみであったものから、資金、人、製造、商流といったものも含めて困り事が選択できるというユーザよりの導入プロセスが採用されている。このような導入プロセスから生成された知財経営企業カルテは、ユーザの経営に活かせるものであり、当該導入プロセスに基づく知的財産情報が含まれているため、客観性を有している。
換言すると、金融機関や税理士側のみからのアドバイスは、財務情報に基づく数字だけのものである。これに対して、知財経営企業カルテは、「知的財産」からの分析により得られた知的財産情報が含まれているため、ユーザの経営に活かせるように客観性を持ったものになっている。
このようにして、第2効果を奏することが可能になる。
【0070】
第3効果は、金融機関や税理士事務所等仲介者に知的財産の知識がなくても、知財経営企業カルテの生成のために必要なヒアリングは、問診票を用いることで短時間で済むという効果である。
【0071】
ここで、上述したように、問診票の2-2<1>困り事においてユーザの困り事が選択されると、当該困り事のジャンルが、問診票の2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択によりなされる。これにより、次のような第4効果が生じる。
第4効果は、ユーザの困り事に対応するためジャンルを絞った問診票を用いることができるので、金融機関や税理士事務所等の仲介者の担当者(ヒアリング者)のヒアリングテクニック等を利用せずに「テーマ」を設定できる、という効果である。
換言すると、仲介者の担当者(ヒアリング者)の経験が少なくても、問診票を用いることで一定以上のヒアリング効果が得られるという効果が、第4効果である。
【0072】
上述したように問診票の2-2<1>困り事において7つの項目から1以上の項目が困り事として選択されて、当該困り事(項目)の具体的な「テーマ」が問診票の2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択によりなされる。これにより、次のような第5効果が生じる。
第5効果は、知的財産事業者(担当者)が知財企業経営カルテ(報告書)の作成者としてできる限り短時間でかつ情報量を多くしないで知財経営企業カルテを作成ができるようにした問診票であって、作成時にユーザからヒアリングをする際(
図2のステップS2の再)にもヒアリング内容が的確に絞れるようにした問診票が採用されているため、無駄な時間及び無駄な作成情報収集を排除できる、という効果である。
【0073】
第6効果とは、知財経営企業カルテ(報告書)がユーザと金融機関等の仲介者とを取り持つ中間財になるように、当該知財経営企業カルテ(報告書)は、用語など専門性を極力使わずに困り事を解決する手段を伝達する役割といった思い切った役割を果たすものになっている、という効果である。
【0074】
第7効果とは、今まで知的財産を無用或いは関係ないと感じていたユーザ(中小企業の経営者等)にとって、知財経営企業カルテ(報告書)を通じて知的財産が経営手段や経営の方向性の判断になるという効果である。即ち、ユーザにとって知財経営企業カルテ(報告書)が「知財経営」の初期入門になるという効果が、第7効果である。
【0075】
第1実施形態の問診票は、中小企業の中でもものづくり企業に絞り込み、知的財産の中でも「技術」面にフォーカスを当てたものになっている。これにより、次のような第8効果が生じる。
第8効果は、このような問診票で作成された知財経営企業カルテ(報告書)は、金融機関や税理士事務所等の仲介者の担当者やユーザが、ユーザが属する企業(中小企業)についての理解と差別化のポイントがわかるようになっている、という効果である。
【0076】
第1実施形態の問診票は、3-3経営者マインドの自己評価も記入できるようになっており、この3-3経営者マインドの自己評価の記入内容も考慮されて、知財経営企業カルテ(報告書)が生成される。これにより、次のような第9効果が生じる。
第9効果は、客観的な分析レポート結果と経営者のマインドを融合させた総合的なアドバイスを知財経営企業カルテ(報告書)に組み入れることが可能になった、という効果である。
【0077】
上述のように問診票及び知財経営企業カルテ(報告書)は定まったフォーマットを有している。また、知財経営企業カルテ(報告書)の生成方法も、問診票を用いた定まったフォーマットを有している。換言すると、問診票及び知財経営企業カルテ(報告書)は正規化されている。そして、第9効果で上述したように、知財経営企業カルテには、問診票の3-3経営者マインドの自己評価の記入内容も考慮されている。これにより、次のような第10効果が生じる。
第10効果は、知財経営企業カルテは時間を開けて何回も作成することができるため、数年前に作成された知財経理企業カルテ(報告書)と今回作成された知財経理企業カルテ(報告書)とを見比べることで、経営者マインドの時間的変化やカルテ内容の比較が可能になる、という効果である。
【0078】
第11効果は、知財経営カルテ(報告書)の作成初期段階から問診票により「ビジネス」を意識したヒアリングを実施し、当該ヒアリングの結果に基づいて仮想のストーリーを持たせることで、知的財産とビジネスの接点を設けた知的経営カルテ(報告書)の提供が可能になる、という効果である。
【0079】
第12効果は、課題不明点や確認点は「オンライン」を意識しており、第2実施形態で後述するように問診票等は電子データでのやり取りが可能になり、仲介者として地方の金融機関でも当該問診票を用いることで直接の面談をしなくても完結できるようになる、という効果である。
【0080】
第13効果は、ユーザが困り事を表現できないような場合において問診票の記入での判断に迷ったとき(
図3のステップS11で不可のとき)、
図8乃至
図10のフローチャート問診票補助を利用することで、最終的な困り事に行きつくことが可能であり、また問診票から、仲介者(例えば金融機関)の担当者が容易に困り事を抽出可能となっている、という効果である。
【0081】
第14効果は、問診票は知的財産を引き出すような質問形式になっているが、最終目的として中小企業の経営に直結する知財経営カルテ(報告書)が提供される仕組みになっている、という効果である。
例えば、技術的な困り事を知的財産の点から分析をした場合、その分析結果として好適な点は、工場長(技術エンジニア)目線と経営者目線では異なる。工場長は「技術課題の解決」に力点を置く傾向にあるが経営者は「技術課題を解決した後」自社にとっての売上を意識している。知財経営カルテが提供されるユーザのターゲットは後者であることから、知財経営カルテ(報告書)には、「技術課題を解決した後」自社にとっての売上のヒントとなるような内容が盛り込まれている。
【0082】
第15効果は、上述の第14効果を受け、問診票は、経営課題に着目して、知的財産側面から解決の糸口を作り、解決することができるような2-2<1>困り事に列挙を有すると共に、経営企画や経営課題に結び付けられる2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択を有する、という効果である。
【0083】
第16効果は、次のような効果である。
チェック用紙を用いて経営課題を分析して解決手段を提示する形態は、中小企業診断などの専門士業の分野において従来存在したかもしれない。しかしながら、中小企業診断士等は、チェック用紙のチェック結果から経営に直結するか否かを考えて、解決手段を導出しているに過ぎず、当該解決手段を裏付ける客観的事実に乏しいものであった。
これに対して、知財経営カルテ(報告書)は、ユーザにより記入された問診票から知的財産面を分析して、その分析から得られる信憑性のある客観的事実のデータ(知的財産情報)を活用し経営に結び付けたものである、というものが第16効果である。
換言すると、第16効果は、知財経営カルテ(報告書)は、知的財産の点からの分析を導入することで、財務情報(財務諸表や数字)では見え難い経営上の課題や解決方法を導き出すヒントを提案できるものになっている、という効果である。
【0084】
第17効果は、知財経営カルテ(報告書)は、中小企業が知的財産を意識して経営できるように「経営企画部」の存在としてユーザたる経営者(社長)をサポートできるように意識して作成されたレポートになっている、という効果である。
【0085】
以上の第1効果乃至第17効果をまとめると、企業の経営者から経営課題を適切に抽出可能とし、その結果として、知的財産事業者と他支援者(仲介者)が協働して企業を適切に支援をするための橋渡しとなる知財経営カルテ(報告書)の作成を可能とする、という総合効果になる。
【0086】
[第2実施形態]
以上の第1実施形態とは、所定媒体(紙等)に付された問診票を用いて、知的財産事業者(担当者)が適宜情報処理装置を駆使して、所定媒体(紙等)に付された知財経営カルテ(報告書)がユーザに提供される形態であった。
これに対して、以下説明する第2実施形態とは、問診票や知財経営カルテ(報告書)等はデジタルデータであり、当該デジタルデータを用いた情報処理により実現される形態である。
【0087】
図25は、
図1の本サービスに適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理装置の一実施形態を含む情報処理システムの構成例を示す図である。
【0088】
図25に示す情報処理システムは、サーバ1と、知的財産事業者側端末2と、仲介者側端末3と、ユーザ端末4と、検索装置5とが、インターネット等の所定のネットワークを介して相互に接続されることで構成される。
【0089】
本実施形態におけるサーバ1は、
図1の本サービスのサービス提供者によって管理されるサーバである。なお、
図24のビジネスモデルにおいては、知的財産事業者がサービス提供者である。
知的財産事業者側端末2は、
図24の知的財産事業者(担当者)により管理される端末である。
仲介者側端末3は、
図24の仲介者(担当者)により管理される端末である。
検索装置5は、
図12に記載のものと同様の装置であり、検索式が与えられると、特許庁やその他民間のデータベースから知的財産情報(例えば公開特許公報や特許公報等)を検索する装置である。
【0090】
図26は、
図25の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0091】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0092】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0093】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0094】
入力部16は、各種ハードウェア鉛等で構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、各種液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(例えば
図25の知的財産事業者側端末2、仲介者側端末3、ユーザ端末4、及び検索装置5)との間で行う通信を制御する。
【0095】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア40が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア40から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。またリムーバブルメディア40は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0096】
なお、図示はしないが、知的財産事業者側端末2、仲介者側端末3、ユーザ端末4、及び検索装置5も
図25に示すハードウェア構成を有している。
【0097】
図27は、
図24の情報処理システムのうち
図25のサーバの機能的構成の概要を示すブロック図である。
【0098】
図27に示すように、サーバ1のCPU11においては、受発注制御部51と、知財経営カルテ生成制御部52と、学習部53とが機能する。
知財経営カルテ生成制御部52には、問診票記入制御部521と、ヒアリング制御部522と、仮想ストーリー生成部523と、調査制御部524と、報告書作成部525とが設けられている。
サーバ1の記憶部18においては、知財経営カルテDB61と、知的財産情報DB62と、AI63とが設けられている。
【0099】
受発注制御部51は、知的財産事業者側端末2、仲介者側端末3、及びユーザ端末4の夫々と適宜通信をしながら、知財経営カルテ(報告書)の受注と発注に関する制御処理を実行する。
【0100】
具体的には例えば、受発注制御部51は、
図24のフローのうちステップS101乃至104の夫々に対応する処理を実行する。
即ち、ステップS101において、受発注制御部51は、知的財産事業者側端末2及び仲介者側端末3の夫々と適宜通信をすることで、知的財産事業者(特許事務所等)と仲介者との業務委託をするために必要な各種各様な処理、例えばユーザとの仲介や、契約(委託料、問診票秘密保持等)に関する処理を実行する。
ステップS102において、受発注制御部51は、仲介者側端末3及びユーザ端末4の夫々と適宜通信をすることで、ユーザの候補に対する仲介問合せを行うために必要な各種各様な処理を実行する。このような処理のひとつとして、仲介者とユーザとの間のWeb会議等を用いたコミュケーションを実現するための処理又はその支援となる処理が含まれる。このようなコミュニケーションにおいて、受発注制御部51は、知的財産事業者側端末2と通信をして、知的財産事業者(特許事務所等)をWeb会議等に同席させる処理を実行してもよい。
ステップS103において、受発注制御部51は、仲介者側端末3及びユーザ端末4の夫々と適宜通信をすることで、ユーザからの知財経営企業カルテの発注を受付けて、ユーザから発注があった旨を仲介者に通知し、さらに知的財産事業者側端末2と通信をして、その旨を知的財産事業者(特許事務所等)にも通知する。
ステップS104において、受発注制御部51は、知的財産事業者側端末2と通信をして、知的財産事業者(特許事務所等)による知財経営企業カルテを受注するために必要な各種各様な処理を実行する。なお、受発注制御部51は、仲介者側端末3と通信をして、知的財産事業者(特許事務所等)が、受注以後、ユーザと直接折衝することがある旨を仲介者に確認しておくものとする。
【0101】
このようにして、知財経営企業カルテの受注がなされると、知財経営カルテ生成制御部52が機能する。
知財経営カルテ生成制御部52は、知的財産事業者側端末2及び仲介者側端末3の夫々と適宜通信をすることで、
図2のステップS1乃至S7に対応する処理を実行する。
【0102】
即ち、ステップS1において、問診票記入制御部521は、ユーザ端末4と通信をすることで、ユーザたる経営者等が問診票の記入をする操作を適切にできるように支援すると共に、記入された問診票を取得する。
【0103】
具体的には、問診票記入制御部521は、
図3のフローに対応する処理を実行する。
図3のステップS11において、問診票記入制御部521は、ユーザ端末4と通信をすることで、問診票においてユーザが経営課題を選択する操作を適切にできるように支援する。
具体的には、問診票記入制御部521は、2-2<1>困り事に列挙された項目をユーザ端末4に表示させ、ユーザがユーザ端末4を操作して所定項目を選択した場合、当該所定項目を受付ける。
【0104】
なお、問診票記入制御部521は、ユーザに困り事が存在しないと判断した場合には、ステップS11において「無」と判定して、フローをステップS15に進める。これにより、個別相談となる(知財経営カルテによる診断自体は終了となる)。
【0105】
一方、問診票記入制御部521は、ユーザが何かしらの困り事は存在すると感じてはいるものの、具体的な項目として意思表示できないと判断した場合(例えばその旨がユーザにより入力されたり、一定時間以上ユーザの操作が無かった場合等)、
図3のステップS11において「不可」と判断して、処理をステップS12に進める。
ステップS12において、問診票記入制御部521は、ユーザが
図8乃至
図10の困り事選択フローを実施できるように、困り事を炙り出すための問診アシストを実行する。具体的には例えば、問診票記入制御部521は、
図8乃至
図10のステップS51乃至S75の夫々のメッセージ等をユーザ端末4に表示させ、それに対する回答の操作がユーザ端末4になされた場合その回答を受付けて、当該回答に応じて
図8乃至
図10のフローを進めていく。
【0106】
図3のフローにおいて、このようにして、問診票においてユーザの困り事(経営課題)の項目が1以上選択された場合、即ち、ステップS11又はステップS12において「可」と判定された場合、問診票記入制御部521は、ユーザにより選択された困り事(経営課題)の1以上の項目を問診票に記入したうえで、フローはステップS13に進める。
ステップS13において、問診票記入制御部521は、ユーザが困り事(経営課題)の1以上の項目毎に具体的な困り事の複数のテーマ(パターン)の中から自身に適するテーマを1以上選択する操作を実行した場合、選択された1以上のテーマを取得して問診票に記入する。
即ち、問診票記入制御部521は、2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択のうち、ユーザにより選択された困り事の項目に列挙された複数のテーマをユーザ端末4に表示させ、その中からユーザが1以上のテーマを選択する操作を受付けて、選択された1以上のテーマに対して〇を付す処理を実行する。
【0107】
図3のステップS14において、問診票記入制御部521は、問診票の3-3経営者マインドの自己評価をユーザ端末4に表示させ、自己評価をユーザが記載する操作をすると、その記載内容を取得して問診票に記入する。
なお、
図3のステップでは省略されているが、問診票記入制御部521は、問診票の2-4追加問診をユーザ端末4に表示させ、それに対するユーザの回答の操作を受付けて、当該回答を問診票に記入する。なお、
図1の「資料」はデジタルデータとして、ユーザ端末4に入力されて、当該ユーザ端末4からサーバ1にアップロードされてくるので、問診票記入制御部521は、当該デジタルデータを取得して、問診票に埋め込む処理を実行する。なお、埋め込むとは、問診票のファイルに含めることの他、資料のデジタルデータが存在する場所へリンクを張る等も含む広義な概念である。
【0108】
問診票の2-4追加問診まで記入されると、
図2のステップS1の問診票記入は終了となり、ユーザにより記入された問診票(デジタルデータ)は
図27の知財経営カルテDB61に格納される。そして、ヒアリング制御部522が機能して、処理はステップS2に進む。
【0109】
ステップS2において、ヒアリング制御部522は、ユーザに対するヒアリングを実施するか否かを判断する。
ステップS2において、ヒアリングを実施しないと判定された場合、フローはステップS4に進む。
これに対して、ステップS2において、ヒアリングを実施すると判定された場合、フローはステップS3に進む。
【0110】
ステップS3において、ヒアリング制御部522は、ユーザに対するヒアリングを実施して、見直しや修正が必要か否かを判定する。
具体的には例えば、ヒアリング制御部522は、ユーザ端末4と通信をすることで、後述のAI63又は知的財産事業者(担当者)が、ユーザ(経営者等)に対してヒアリングを行うための支援をし、ヒアリング後には当該ヒアリングの内容を取得して、当該内容に基づいて見直しや修正が必要か否かを判定する。
AI63がヒアリングをする場合には、ヒアリング制御部522は、チャットボットのような画面をユーザ端末4に表示させ、当該チャットボットによりユーザの回答を受付けることで、ヒアリングの内容を取得する。
知的財産事業者(担当者)がヒアリングをする場合には、ヒアリング制御部522は、知的財産事業者側端末2及びユーザ端末4の夫々と適宜通信をすることで、知的財産事業者(担当者)とユーザとの間のWeb会議等を用いたコミュケーションを実現するための処理又はその支援となる処理を実行し、当該Web会議等を録画又は録音することで、ヒアリングの内容を取得する。
【0111】
ステップS3において、見直しや修正が必要と判定された場合、フローはステップS1に戻されて、問診票記入制御部521の制御処理により、問診票の再記入が行われる。
これに対して、ステップS3において、見直しや修正が必要と判定した場合、仮想ストーリー生成部523が機能して、フローはステップS4に進む。
【0112】
ステップS4において、仮想ストーリー生成部523は、AI63を用いて仮想ストーリを生成する。即ち、AI63は、
図1の「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といったインプットを入力すると、仮想ストーリーを出力する。
なお、AI63の具体例については、
図28及び
図29を参照して後述する。
【0113】
ステップS5において、調査制御部524は、
図1の「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といったインプット、及び、仮想ストーリーに基づいて知的財産情報を抽出するための調査を実行する。
具体的には例えば、調査制御部524は、
図1の「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といったインプット、及び、仮想ストーリーに基づいて、特許文献等の知的財産情報を検索するための検索式を生成する。
調査制御部524は、当該検索式を検索装置5に供給し、検索装置5により当該検索式に基づいて検索された特許文献等の知的財産情報を取得する。調査制御部524は、
図12及び
図13の可視化具体例に基づいて、複数の知的財産情報を用いて視覚化情報(特許マップ等)を生成する。
【0114】
なお、仮想ストーリー生成部523及び調査制御部524の夫々は、1回の処理を実行するだけではなく、最適化されるまで協働して2回以上の処理を繰り返し実行する場合もある。
仮想ストーリー生成部523により最終的な仮想ストーリーが生成されて、調査制御部524による当該最終的な仮想ストーリーに応じた調査も終了すると、処理はステップS7に進む。なお、当該最終的な仮想ストーリーに応じた調査の結果(検索された知的財産情報や、当該知的財産情報を用いて生成された視覚化情報)は、知的財産情報DB62に格納される。
【0115】
ステップS7において、報告書作成部525は、
図1の「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といったインプット、仮想ストーリー、及び、調査結果(知的財産情報)に基づいて、
図14乃至
図23を参照して上述したような知的経営企業カルテ(報告書)を作成する。
【0116】
ステップS8において、知財経営カルテ生成制御部52は、知的経営企業カルテ(報告書)を用いた診断結果を説明するために必要な各種各様な処理を実行する。
具体的には例えば、知財経営カルテ生成制御部52は、ユーザ端末4と通信をすることで、知的財産事業者(担当者)が、ユーザ(経営者等)に対して知的経営企業カルテ(報告書)を説明するための支援をする。具体的には例えば、知財経営カルテ生成制御部52は、知的財産事業者側端末2、仲介者側端末3及びユーザ端末4の夫々と適宜通信をすることで、知的財産事業者(担当者)、仲介者、及びユーザの三者間のWeb会議等を用いたコミュケーションを実現するための処理又はその支援となる処理を実行する。
【0117】
なお、知財経営カルテ生成制御部52により作成されてユーザに説明済みの作成された知的経営企業カルテ(報告書)は、作成の元になった問診票と対応付けられて知財経営カルテDB61に格納される。
なお、以下、知財経営カルテDB61に格納された、知的経営企業カルテ(報告書)、及び、その作成の元になった問診票をまとめて「カルテデータ」と呼ぶ。
ここで、知財経営カルテDB61に格納されるカルテデータは、知財経営カルテ生成制御部52により作成されたものに特に限定されず、第1実施形態のステップS7において知的財産事業者(作業者)により作成されたものも含まれる。
このようにして、履歴データとして多数のカルテデータが知財経営カルテDB61に蓄積されていく。
【0118】
図27の学習部53は、このような多数のカルテデータを含む学習用データを用いて所定の手法の機械学習を実行することで、AI63を生成又は更新する。
以下、学習部53の学習及びAI63の2つの具体例について、
図28及び
図29の夫々を参照して説明する。
【0119】
図28は、
図27の学習部が実行した結果として生成又は更新されるAIの一例を示している。
図28の例では、学習部53は、カルテデータを学習用データとして用いてAI63を生成又は更新している。
図28の例で生成又は更新されるAI63は、第2実施形態の仮想ストーリー生成部523により実行される
図2のステップS4の処理を実行するAIである。即ち、
図28の例のAI63は、
図1の「カルテ(問診票)、(当該問診票に添付された)資料、(必要に応じて行われる)ヒアリング」といったインプットを入力すると、仮想ストーリーを出力するものである。
【0120】
ここで、上述したように、
図2のステップS8において知財経営カルテ(報告書)の説明が行われる際には、仲介者が金融機関や税理士事務所である場合には、財務情報(決算書等)とも合わせて説明される。
このことは、中小企業の経営者たるユーザにとっては、知財経営カルテ(報告書)だけでは完璧なものではなく、知財経営カルテ(報告書)による知的財産的な点と、財務情報(決算書)による経営(売上利益)的な点の対応関係が明確になるとより好適な支援となることを意味している。
即ち、
図28の例では、知的財産事業者側の情報である知財経営カルテ(報告)と、金融機関や税理士事務所(仲介者)側の情報である財務情報(決算情報)とは断絶しているため、
図28の例のAI63の出力は、知的財産と経営(売上利益)に関しての相関性がファジィでぼやけたものになっている。
【0121】
そこで、学習部53は、
図29に示すような学習を実行してもよい。
図29は、
図27の学習部が実行した結果として生成又は更新されるAIの一例であって、
図28とは異なる例を示している。
図29の例では、学習部53は、カルテデータ+財務情報(決算書等)を学習用データとして用いてAI63を生成又は更新している。
ここで、「カルテデータ+財務情報(決算書等)」の「+」とは、カルテデータの分析内容を実施した企業(中小企業)と実施しなかった企業との夫々の財務情報(決算書)等の差異点を考慮した学習を実行するという意味である。
つまり、カルテデータの分析の内容を企業が実施したか(それによって財務情報はどのように変化したか)、実施した企業について、カルテデータの分析で示す強みはさらに強くし、カルテデータの分析で示す弱みは改善したか(それによって財務情報はどのように変化したか)、実施管理表などで実施確認を行う(実施有無で財務情報はどのように変化したか)、といったカルテデータの分析の内容を実施した後の決算書を含む企業の実績情報も、学習用データに含めるという意味である。
これにより、学習部53は、カルテデータ及び財務情報(決算書等)といった情報と、実施した企業、或いは、実施の意識はあったがうまくできなかった企業との相関分析も含めた学習を実行ができる。
このような学習部53の学習により生成又は更新されたAI63は、
図28の例のように仮想ストーリーを生成できることは勿論のこと、知的財産と経営(売上利益)に関しての全体についての相関分析ができる。このような相関分析に基づいてデータ蓄積を行うことで業種別の相関性もわかるようになる。
【0122】
以上、問診票や知財経営カルテ(報告書)等はデジタルデータであり、当該デジタルデータを用いた情報処理により実現される形態の第2実施形態について説明した。
このような第2実施形態の情報処理システムも、第1実施形態の第1乃至第17効果を同様に奏することができ、その結果として、総合効果を同様に奏することができる。
【0123】
ここで、本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等は、企業に対し設定される事業成長担保権の担保目的財産(特に無形資産)を決定するため、或いは、担保目的財産を増やすために効果的に利用できるものである。
【0124】
ここで、事業成長担保権とは、日本国の経済産業省、法務省、金融庁を幹事とした担保法制の見直しに向けた議論において、創設が検討されている「無形資産を含めた事業全体に対する担保制度」に基づく担保権である。
具体的には、現在の担保法制の課題としては、つぎのようなものが存在した。
即ち、担保として考えると有形資産の土地や個人所有の不動産を事業のために担保として設定して評価していた。無形資産といわれるノウハウや技術力といった事業に必要で企業固有の財産は評価の対象外であった。本当の事業価値が評価されないでいる。
そこで、金融庁が提起した見直しの方向性、即ち事業成長担保権を用いる担保法制の創設の方向性は次の通りになる。
即ち、何が事業を支えているかに注目し、事業全体に対する担保権の創設を進める。この担保権が、事業成長担保権である。資金調達や事業の評価には無形資産に着目し、事業成長担保権の範囲には、無形資産も含む事業全体(ノウハウ、技術力・顧客取引先などの無形資産)も含む。事業価値の維持・向上を考えることを最優先にすることで資金調達や企業の価値の考え方を変える。
【0125】
図30は、本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等を用いた事業成長担保権の活用イメージの一例を示す図である。
図30の事業成長担保権の活用イメージ自体は、金融庁が提言しているものである。
事業成長担保権の活用イメージとしては、成長、承継、及び再生が想定される。
成長としては、ベンチャー企業への融資、従来の担保となる個別融資の乏しい事業者への融資、及びプロジェクトへの融資が想定される。
承継としては、事業承継に係る融資が想定される。
再生については、私的整理時の第二会社方式での新会社への融資支援と、債権の弁済などエグジットファイナンスとが想定される。
これらのうち、特に、ベンチャー企業への融資、従来の担保となる個別融資の乏しい事業者への融資、及び事業承継に係る融資を事業成長担保権の活用により行うに際し、本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等を活用すると好適である。
本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等を活用すると好適である理由は、次の通りである。
ベンチャー企業への融資については、当該ベンチャー企業にとって、新規顧客獲得には必要だからである。従来の担保となる個別融資の乏しい事業者への融資については、既存の顧客への相談が起こってくるからである。
事業承継に係る融資については、事業把握は取引先の関係継続で重要だからである。
このように、本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等は、事業成長担保権へ続くいわば企業戦略のプロローグとして活用することができる。このようにして、本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等を用いて事業成長担保権を活用することで、クライアント(企業)が潤沢な資金があれば指摘する財務諸表も改善することが可能になる。
【0126】
図31は、本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等を、事業成長担保権の担保目的財産を増やすために利用する例のイメージを示す図である。
図31には、本発明の第1及び第2実施形態における問診票や知財経営カルテ(報告書)等の役割と、財務諸表との関係のイメージが示されている。
事業成長担保権の担保目的財産は、財務票のP/Lになる。
このP/Lには、「技術力、工夫力、アイデア、ノウハウ、知的財産」等も含む。この「技術力、工夫力、アイデア、ノウハウ、知的財産」は、B/Sには記録されない「見えない財産」となっている。
しかしながら、マネタイズする上で最も貢献しているのは、「目に見えない才能」といえる「技術力、工夫力、アイデア、ノウハウ、知的財産」等の資産である。
即ち、事業成長担保権の担保目的財産となるP/Lを増やすためには、見えない財産を把握してUP(増やす)必要がある。ただし、見えない財産をUPするためには、どこをどう上げればよいのか、分析手法や信ぴょう性が必要であるのか、技術力+ノウハウの関係性は?等の点をユーザ(企業の経営者等)が分からないといけない。
そこで、見えない財産、即ち、「技術力、工夫力、アイデア、ノウハウ、知的財産」等について、どこをどう上げればよいのか、分析手法や信ぴょう性が必要であるのか、技術力+ノウハウの関係性は?等の点をユーザ(企業の経営者等)が容易に理解するために活用する対象が、知財経営カルテ(報告書)なのである。
即ち、知財経営カルテ(報告書)は、企業が持っている無形資産(目に見えない資産)、特に「技術力、工夫力、アイデア、ノウハウ、知的財産」等に着目し、現状把握であったり、改善ヒントであったりといった経営のアドバイスを行うものである。
【0127】
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0128】
例えば、本発明が適用されるビジネスモデルは、上述の
図24の例では知的財産事業者とされたが、特にこれに限定されず、知的財産情報に基づいて、企業の経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を作成する者であれば足りる。
換言すると、本発明が適用されるビジネスモデルは、知財経営カルテ(報告書)を提供するビジネスに特に限定されず、企業の経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書を提供するビジネスに対して広く適用できるものである。
【0129】
また例えば、ユーザは、上述の例ではものづくり企業の経営者とされたが、特にこれに限定されず、企業の経営者であれば足りる。なお、ここでいう経営者とは、取締役社長に限定されず、企業の経営に携わる者を広く含む広義な概念である。
【0130】
また、例えばユーザに提示される報告書は、上述の例では知財経営カルテとされたが、特にこれに限定されず、企業の経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書であれば足りる。
ただし、上述の第1効果及び第17効果の少なくとも一部を奏するためには、問診票を用いて作成される報告書であると好適である。
【0131】
ここで問診票も、上述の
図5乃至
図7のものに特に限定されず、次のようなものであれば足りる。
即ち、本発明が適用される問診票は、経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素が列挙され、当該N個の要素の中から前記経営者により選択された1以上の要素を示す情報を固定する第1選択領域を含む問診票であれば足りる。
ここで、「情報を固定する」における「固定」とは、著作権法の著作物の固定と同様の概念である。即ち、問診票は、N個の要素が所定媒体に列挙(固定)され、かつ経営者により選択された1以上の要素を示す情報が所定媒体に固定される形態であれば特に限定されない。例えば上記N個の要素が印刷されて、上記1以上の要素を示す情報(例えば〇印)が記載可能な紙媒体で、問診票を構成してもよい。即ち、紙媒体を用いた問診票の一例が第1実施形態で採用されている。また、所定の記録メディアや記憶デバイスに記憶可能なデジタルデータで、問診票を構成してもよい。即ち、デジタルデータを用いた問診票の一例が第2実施形態で採用されている。
なお、この点で、知財経営カルテを含む報告書も同様であり、紙媒体やデジタルデータ等任意の形態で構成可能である。
つまり、上述の
図5乃至
図7の例の問診票のうち2-2<1>困り事は、第1選択領域の一例である。したがって、2-2<1>困り事のうち、技術及び製品が知的財産の要素の一例であり、売上、資金、人、製造、及び商流がビジネスの要素の一例であるが、知的財産及びビジネスの夫々の要素や個数は、特にこれらに限定されないことになる。
【0132】
さらに、問診票としては、次のような第2選択領域を含むと好適である。
第2選択領域とは、所定要素についての経営課題を示す具体的なテーマがM個(Mは、Nとは独立した2以上の整数値であって、前記N個の要素毎に異なる整数値)列挙され、当該M個のテーマの中から経営者により選択された1以上のテーマを示す情報を固定する領域を、N個の要素毎に独立して有する第2選択領域である。
即ち、上述の
図5乃至
図7の例の問診票のうち2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択が、第2選択領域の一例である。
【0133】
さらに、問診票としては、次のような第3領域を含むと好適である。
第3領域とは、経営者のマインドの自己評価を示す情報を固定する領域である。
即ち、上述の
図5乃至
図7の例の問診票のうち3-3経営者マインドの自己評価が、第3領域の一例である。
【0134】
さらに、問診票としては、次のような第4領域を含むと好適である。
即ち、第4領域とは、経営者により選択された1以上のテーマについて、企業の資料を含む経営者から提供される追加情報を固定する領域である。
上述の
図5乃至
図7の例の問診票のうち2-4追加問診が、第4領域の一例である。
【0135】
また、
図25に示す情報処理システムの構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
例えばサービス提供者が管理するサーバは、上述の実施形態では1つのサービス提供者サーバ1が用いられているが、特にこれに限定されず、2つ以上のサーバに分散されてもよい。
【0136】
また、
図26に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0137】
また、
図27に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に
図27の例に限定されない。
【0138】
また、機能ブロックの存在場所も、
図27に限定されず、任意でよい。例えばサービス提供者サーバ1側の機能ブロックの少なくとも一部を、
図25に示す各装置又はその他の図示せぬ装置に設けてもよいし、その逆でもよい。
そして、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体との組み合わせで構成してもよい。
【0139】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサービス提供者サーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0140】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0141】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0142】
以上まとめると、本発明が適用されるヒアリングシステムは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用されるヒアリングシステムは、
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援をするための所定の仮想ストーリーを生成し(例えば
図2のステップS4)、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行い(例えば
図2のステップS5)、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書(例えば
図1、
図4乃至
図23の知財経営カルテ)を作成する(例えば
図2のステップS6)前において、
前記経営課題の抽出を目的として前記所定企業の経営者にヒアリングをする(例えば
図1及び
図2のステップS1)ためのヒアリングシステムであって、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素(例えば
図5の2-2<1>の困り事において、知的財産の要素の一例である技術及び製品、並びに、ビジネスの要素の一例である売上、資金、人、製造、及び商流)が列挙され、当該N個の要素の中から前記経営者により選択された1以上の要素を示す情報を固定する第1選択領域(例えば
図5の2-2<1>の困り事)
を含む問診票(
図5乃至
図7の例の問診票)、
を備えるヒアリングシステムであれば足りる。
【0143】
前記問診票は、
所定要素についての前記経営課題を示す具体的なテーマがM個(Mは、Nとは独立した2以上の整数値であって、前記N個の要素毎に異なる整数値)列挙され、当該M個のテーマの中から前記経営者により選択された1以上のテーマを示す情報を固定する領域を、前記N個の要素毎に独立して有する第2選択領域(例えば
図5及び
図6の2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択)
をさらに含むことができる。
【0144】
前記問診票の前記第1選択領域における前記1以上の要素及び前記第2選択領域における前記1以上のテーマのうち少なくとも一方を前記経営者が選択することを支援するためのフローチャートであって、各ステップに示される質問に前記経営者が回答していくことで、選択すべき内容が前記経営者に提示されるフローチャート(例えば
図3のステップS12の問診アシストで用いられる
図8乃至
図10のフローチャート)
をさらに備えることができる。
【0145】
前記問診票は、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果とは独立して、前記報告書の作成に際して考慮される情報として、前記経営者のマインドの自己評価を示す情報を固定する第3領域(例えば
図7の3-3経営者マインドの自己評価)、
をさらに含むことができる。
【0146】
前記問診票は、前記経営者により選択された前記1以上のテーマについて、前記企業の資料を含む前記経営者から提供される追加情報を固定する第4領域(例えば
図7の2-4追加問診)、
をさらに含むことができる。
【0147】
また、本発明が適用されるヒアリングシステムに対応する情報処理システムは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システム(例えば
図26の情報処理システム)は、
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援をするための所定の仮想ストーリーを生成し(例えば
図2のステップS4)、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行い(例えば
図2のステップS5)、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書(例えば
図1、
図4乃至
図23の知財経営カルテ)を作成する(例えば
図2のステップS6)前において、
前記経営課題の抽出を目的として前記所定企業の経営者にヒアリングをする(例えば
図1及び
図2のステップS1)情報処理システムであって、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素(例えば
図5の2-2<1>の困り事において、知的財産の要素の一例である技術及び製品、並びに、ビジネスの要素の一例である売上、資金、人、製造、及び商流)を表示すると共に、当該N個の要素の中から前記経営者が1以上の要素を選択する操作を受付けるGUI(Graphical User Interface)として機能する第1選択領域(例えば
図5の2-2<1>の困り事)を含む問診票(
図5乃至
図7の例の問診票)を、前記経営者が操作する端末(例えば
図25のユーザ端末4)に表示させると共に、前記第1選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上の要素を取得する(例えば
図3のステップS11を実行する)問診票記入制御手段(例えば
図27の問診票記入制御部521)
を備える情報処理システムであれば足りる。
【0148】
前記問診票は、
所定要素についての前記経営課題を示す具体的なテーマをM個(Mは、Nとは独立した2以上の整数値であって、前記N個の要素毎に異なる整数値)表示し、当該M個のテーマの中から前記経営者が1以上のテーマを選択する操作を受付けるGUIとして機能する領域を、前記N個の要素毎に独立して有する第2選択領域(例えば
図5及び
図6の2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択)
をさらに含み、
前記問診票記入制御手段は、さらに、前記第2選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上のテーマを取得する(例えば
図3のステップS13を実行する)、
ことができる。
【0149】
前記問診票記入制御手段は、さらに、
前記問診票の前記第1選択領域における前記1以上の要素及び前記第2選択領域における前記1以上のテーマのうち少なくとも一方を前記経営者が選択することを支援するためのフローチャートであって、各ステップに示される質問に前記経営者が回答していくことで、選択すべき内容が前記経営者に提示されるフローチャート(例えば
図8乃至
図10のフローチャート)にしたがって、前記各ステップを進める処理を実行し、
実行中のステップにおいて所定質問が含まれる場合には当該質問を前記経営者に提示して、当該質問に対する回答を、前記経営者が操作する前記端末から取得する(例えば
図3のステップS12の問診アシストを実行する)、
ことができる。
【0150】
前記問診票は、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果とは独立して、前記報告書の作成に際して考慮される情報として、前記経営者のマインドの自己評価を示す情報を入力する操作を受付けるGUIとして機能する第3選択領域(例えば
図7の3-3経営者マインドの自己評価)
をさらに含み、
前記問診票記入制御手段は、さらに、前記第3選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により入力された前記経営者のマインドの自己評価を示す情報を取得する(例えば
図3のステップS14を実行する)
ことができる。
【0151】
前記問診票は、前記経営者により選択された前記1以上のテーマについて、前記企業の資料を含む前記経営者から提供される追加情報の入力操作を受付けるGUIとして機能する第4選択領域(例えば
図7の2-4追加問診)
をさらに含み、
前記問診票記入制御手段は、さらに、前記第4選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により入力された前記追加情報を取得する、
ことができる。
【0152】
また、本発明が適用される報告書の生産方法は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書(例えば
図1、
図4乃至
図23の知財経営カルテ)の生産方法(例えば
図2のフローチャートに従った生産方法)であって、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素(例えば
図5の2-2<1>の困り事において、知的財産の要素の一例である技術及び製品、並びに、ビジネスの要素の一例である売上、資金、人、製造、及び商流)が列挙され、当該N個の要素の中から前記経営者により選択された1以上の要素を示す情報を固定する第1選択領域(例えば
図5の2-2<1>の困り事)を含む問診票(
図5乃至
図7の例の問診票)に対して、前記経営者が記入する問診票記入ステップ(例えば
図2のステップS1)と、
前記経営者により記入された前記問診票の内容に基づいて、前記経営課題を解決又は解決を支援するための所定の仮想ストーリーを生成する仮想ストーリー生成ステップ(例えば
図2のステップS4、並びに
図12及び
図13)と、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行う調査分析ステップ(例えば
図2のステップS5、並びに
図12及び
図13)と、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む前記報告書を作成する報告書作成ステップ(例えば
図2のステップS6、並びに
図12及び
図13)と、
を含む報告書の生産方法であれば足りる。
【0153】
前記問診票は、
所定要素についての前記経営課題を示す具体的なテーマがM個(Mは、Nとは独立した2以上の整数値であって、前記N個の要素毎に異なる整数値)列挙され、当該M個のテーマの中から前記経営者により選択された1以上のテーマを示す情報を固定する領域を、前記N個の要素毎に独立して有する第2選択領域(例えば
図5及び
図6の2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択)
をさらに含むことができる。
【0154】
前記問診票記入ステップは、
前記問診票の前記第1選択領域における前記1以上の要素及び前記第2選択領域における前記1以上のテーマのうち少なくとも一方を前記経営者が選択することを支援するためのフローチャートであって、各ステップに示される質問に前記経営者が回答していくことで、選択すべき内容が前記経営者に提示されるフローチャート(例えば
図8乃至
図10のフローチャート)にしたがって、前記経営者が前記問診票を記入するステップ(例えば
図3のステップS12)を含む、
ことができる。
【0155】
前記問診票は、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果とは独立して、前記報告書の作成に際して考慮される情報として、前記経営者のマインドの自己評価を示す情報を固定する第3領域(例えば
図7の3-3経営者マインドの自己評価)、
をさらに含むことができる。
【0156】
前記問診票は、前記経営者により選択された前記1以上のテーマについて、前記企業の資料を含む前記経営者から提供される追加情報を固定する第4領域(例えば
図7の2-4追加問診)、
をさらに含むことができる。
【0157】
また、本発明が適用される報告書の生産方法に対応する処理を実行する情報処理システムは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システム(例えば
図26の情報処理システム)は、
所定企業が有する経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書(例えば
図1、
図4乃至
図23の知財経営カルテ)を生産する情報処理システムにおいて、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素(例えば
図5の2-2<1>の困り事において、知的財産の要素の一例である技術及び製品、並びに、ビジネスの要素の一例である売上、資金、人、製造、及び商流)を表示すると共に、当該N個の要素の中から前記経営者が1以上の要素を選択する操作を受付けるGUI(Graphical User Interface)として機能する第1選択領域(例えば
図5の2-2<1>の困り事)を含む問診票(
図5乃至
図7の例の問診票)を、前記経営者が操作する端末(例えば
図25のユーザ端末4)に表示させると共に、前記第1選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上の要素を取得することで、前記問診票を記入する(例えば
図2のステップS1の処理、より具体的には例えば
図3のステップS11の処理を実行する)問診票記入制御手段(例えば
図27の問診票記入制御部521)と、
記入された前記問診票の内容に基づいて、前記経営課題を解決又は解決を支援するための所定の仮想ストーリーを生成する(例えば
図2のステップS4、並びに
図12及び
図13に示す処理を実行する)仮想ストーリー生成手段(例えば
図27の仮想ストーリー生成部523)と、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行う(例えば
図2のステップS5、並びに
図12及び
図13に示す処理を実行する)調査分析手段(例えば
図27の調査制御部524)と、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む前記報告書を作成する(例えば
図2のステップS6、並びに
図12及び
図13に示す処理を実行する)報告書作成手段(例えば
図27の報告書作成部525)と、
を含む情報処理システムであれば足りる。
【0158】
前記問診票は、
所定要素についての前記経営課題を示す具体的なテーマをM個(Mは、Nとは独立した2以上の整数値であって、前記N個の要素毎に異なる整数値)表示し、当該M個のテーマの中から前記経営者が1以上のテーマを選択する操作を受付けるGUIとして機能する領域を、前記N個の要素毎に独立して有する第2選択領域(例えば
図5及び
図6の2-2<2>「お困り事具体例」のテーマ選択)
をさらに含み、
前記問診票記入制御手段は、さらに、前記第2選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により選択された前記1以上のテーマを取得する(例えば
図3のステップS13の処理を実行する)、
ことができる。
【0159】
前記問診票記入制御手段は、さらに、
前記問診票の前記第1選択領域における前記1以上の要素及び前記第2選択領域における前記1以上のテーマのうち少なくとも一方を前記経営者が選択することを支援するためのフローチャートであって、各ステップに示される質問に前記経営者が回答していくことで、選択すべき内容が前記経営者に提示されるフローチャート(例えば
図8乃至
図10のフローチャート)にしたがって、前記各ステップを進める処理を実行し、
実行中のステップにおいて所定質問が含まれる場合には当該質問を前記経営者に提示して、当該質問に対する回答を、前記経営者が操作する前記端末から取得する(例えば
図3のステップS12の処理を実行する)、
ことができる。
【0160】
前記問診票は、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果とは独立して、前記報告書の作成に際して考慮される情報として、前記経営者のマインドの自己評価を示す情報を入力する操作を受付けるGUIとして機能する第3選択領域(例えば
図7の3-3経営者マインドの自己評価)
をさらに含み、
前記問診票記入制御手段は、さらに、前記第3選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により入力された前記経営者のマインドの自己評価を示す情報を取得する(例えば
図3のステップS14の処理を実行する)
ことができる。
【0161】
前記問診票は、前記経営者により選択された前記1以上のテーマについて、前記企業の資料を含む前記経営者から提供される追加情報の入力操作を受付けるGUIとして機能する第4選択領域(例えば
図7の2-4追加問診)
をさらに含み、
前記問診票記入制御手段は、さらに、前記第4選択領域に対して操作が受付けられた際には前記経営者により入力された前記追加情報を取得する、
ことができる。
【0162】
複数の企業毎に過去に作成された前記報告書を少なくとも含む学習データを用いて所定の学習(例えば
図28に示す学習)を実行する学習手段(例えば
図27の学習部53)をさらに備え、
前記仮想ストーリー生成手段は、さらに前記学習の結果に基づいて、前記所定の仮想ストーリーを生成する、
ことができる。
【0163】
前記学習データは、前記報告書が作成された企業の財務情報をさらに含む(例えば
図29参照)、
ことができる。
【0164】
また、本発明が適用されるビジネスモデル(例えば
図24参照)を実現する処理を実行する情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図25のサーバ1)は、
知的財産情報に基づいて、企業の経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む報告書(例えば
図1、
図4乃至
図23の知財経営カルテ)を作成する第1者(例えば
図24の知的財産事業者)により管理される第1者装置(例えば
図25の知的財産事業者側端末2)と、
前記報告書の提供候補となる企業に対して、第1者とは別に前記企業を支援している第2者(例えば
図24の支援者)により管理される第2者装置(例えば
図25の仲介者側端末3)と、
前記第2者の支援を受けている前記企業(例えば
図24のユーザ)により管理される企業装置(例えば
図25のユーザ端末4)と、
夫々通信を行う通信手段(例えば
図26の通信部19)と、
前記通信手段の通信により授受される情報に基づいて、前記第1者が、前記第2者との協働の橋渡しになる前記報告書を作成して前記企業に提供するための支援となる処理(例えば
図24に示す処理)を実行する支援手段(例えば
図27の受発注制御部51)と、
を備える情報処理装置であれば足りる。
【0165】
前記支援手段は、
前記通信手段による前記第1者装置及び前記第2者装置の夫々の通信に基づいて、前記第1者と前記第2者との業務委託をするために必要な処理を実行し(例えば
図24のステップS101)、
前記通信手段による前記第2者装置及び前記企業装置の夫々の通信に基づいて、前記企業に対する仲介問合せを行うために必要な処理を実行し(例えば
図24のステップS102)、
前記通信手段による前記第2者装置及び前記企業装置の夫々の通信に基づいて、前記企業からの前記報告書の発注を受付けて、前記企業から発注があった旨を前記第2者に通知し、さらに前記通信手段による前記第1者装置の通信に基づいて、その旨を前記第1者に通知する処理を実行し(例えば
図24のステップS103)、
前記通信手段による前記第1者装置の通信に基づいて、前記第1者による前記報告書を受注するための処理を実行する(例えば
図24のステップS104)、
ことができる。
【0166】
前記報告書は、
前記経営課題となり得る要素として、1以上の知的財産の要素及び1以上のビジネスの要素を含むN個(Nは2以上の整数値)の要素(例えば
図5の2-2<1>の困り事において、知的財産の要素の一例である技術及び製品、並びに、ビジネスの要素の一例である売上、資金、人、製造、及び商流)が列挙され、当該N個の要素の中から前記経営者により選択された1以上の要素を示す情報を固定する第1選択領域(例えば
図5の2-2<1>の困り事)を含む問診票(
図5乃至
図7の例の問診票)に対して、前記経営者が記入する問診票記入ステップ(例えば
図2のステップS1)と、
前記経営者により記入された前記問診票の内容に基づいて、前記経営課題を解決又は解決を支援するための所定の仮想ストーリーを生成する仮想ストーリー生成ステップ(例えば
図2のステップS4、並びに
図12及び
図13)と、
当該所定の仮想ストーリーにしたがって、1以上の知的財産情報の調査を行い、当該1以上の知的財産情報を用いた分析を行う調査分析ステップ(例えば
図2のステップS5、並びに
図12及び
図13)と、
前記仮想ストーリー並びに前記調査及び前記分析の結果に基づいて、前記所定企業の前記経営課題の解決又は解決の支援となる情報を含む前記報告書を作成する報告書作成ステップ(例えば
図2のステップS6、並びに
図12及び
図13)と、
を含む報告書の生産方法にしたがって、前記第1者により作成されたものである、
ことができる。
【符号の説明】
【0167】
1:サーバ、2:知的財産事業者側端末、3:仲介者側端末、4:ユーザ端末、5:検索装置5、11:CPU、12:ROM、13:RAM、14:バス、15:入出力インターフェース、16:入力部、17:出力部、18:記憶部、19:通信部、20:ドライブ、40:リムーバブルメディア、51:受発注制御部、52:知財経営カルテ生成制御部、53:学習部53、61:知財経営カルテDB、62:知的財産情報、63:AI、521:問診票記入制御部、522:ヒアリング制御部、523:仮想ストーリー生成部、524:調査制御部、525:報告書作成部