(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095617
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】複数のチャネルからのECG信号を表示するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20240703BHJP
A61B 5/343 20210101ALI20240703BHJP
A61B 5/287 20210101ALI20240703BHJP
【FI】
A61B5/367
A61B5/343
A61B5/287 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023220664
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】18/089,685
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】ウリ・アブニ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127AA06
4C127BB05
4C127FF07
4C127GG05
4C127HH13
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】複数のECGチャネルから捕捉されたECG信号の動的表示を選択的に提供すること。
【解決手段】方法、装置及びコンピュータプログラム製品であって、方法は、患者の心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入されたカテーテル上に遠位に配設された複数の電極から複数の電気信号を取得することであって、複数の電極のうちの少なくともいくつかからの各電極が、複数の場所で電気活動を取得する、取得することと、取得された複数の電気信号の一部分を選択的に受容することと、各電極を、電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けることと、場所の数が最も多い複数の電極の選択された部分を決定することと、複数の電極の選択された部分によって取得された電位図を表示させることと、を含む、方法、装置及びコンピュータプログラム製品。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
患者の心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入されたカテーテル上に遠位に配設された複数の電極から複数の電気信号を取得することであって、前記複数の電極のうちの少なくともいくつかからの各電極が、複数の場所で電気活動を取得する、取得することと、
取得された前記複数の電気信号の一部分を選択的に受容することと、
各電極を、前記電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けることと、
前記場所の数が最も多い前記複数の電極の選択された部分を決定することと、
前記複数の電極の前記選択された部分によって取得された電位図を表示させることと、を含む、方法。
【請求項2】
各電極を、前記電極によって取得された前記電気信号が受容された前記場所の数に関連付けることが、ヒストグラムを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の電極のうちの1つの電極によって取得された電気信号は、前記電極が前記場所から所定の距離内にあった時間量、及び前記電極が位置付けられている心腔の壁に対する前記場所の近接度からなる群から選択される少なくとも1つの項目に基づいて、受容されるか又は拒絶される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
表示された電位図のユーザ選択を受信することと、
前記心臓のマップを表示することと、
前記ユーザによって選択された前記表示された電位図によって、受容された電位図が取得された前記マップ上の少なくとも1つの場所をハイライトすることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記心臓の少なくとも一部のマップを表示することと、
前記マップに表示された前記心臓の領域のユーザ選択を受信することと、
前記領域の近傍の点において信号を取得した電極の中から、前記複数の電極の前記選択された部分を決定することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
電極によって取得される表示された電位図のユーザ選択を受信することと、
前記電極と同じスプライン内に位置付けられた他の電極によって取得された電位図を表示することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の電極の前記選択された部分は、前記電極が位置付けられている前記心臓の心腔内で収集された前記場所の数に応じて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の電極の前記選択された部分が、前記手術の開始以降に前記心臓内で収集された前記場所の数に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の電極の前記選択された部分が、所定の期間中に前記心臓内で収集された前記場所の数に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の電極の前記選択された部分内の電極の数が、ユーザによって設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の電極の前記選択された部分内の電極の数が、事前定義される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複数のECGチャネルから取得された情報をユーザに中継するための方法に関し、具体的には、複数のECGチャネルから捕捉されたECG信号の動的表示を選択的に提供するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不整脈は、心臓の電気伝導系、特に、心腔の壁の1つ若しくは2つ以上の点又は領域における電気活動に関する問題によって引き起こされ得る。心房細動は、心房(左心房及び/又は右心房)を非常に速く非同期的な心調律で収縮させる無秩序な信号を特徴とする不整脈である。
【0003】
患者の状態を査定し、1つ又は2つ以上のアブレーションを適用するなどの治療を決定するために、心臓壁の複数の場所における電気活動を査定することが必要とされ得る。この活動は、心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入された心臓内カテーテルの遠位先端部に位置付けられた複数の電極から取得することができる。複数の取得された信号は、手術を行う医師などのユーザに表示されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
以下の本開示の一実施例の詳細な説明を図面と併せ読むことで、本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【
図1】カテーテルベースの電気生理学的(electrophysiological、EP)マッピング及びアブレーションシステムの概略描写図である。
【
図2A】本開示のいくつかの例示的な実施形態に従って使用され得る、バスケット形状カテーテル先端部の詳細図を示す。
【
図2B】本開示のいくつかの例示的な実施形態に従って使用され得る、カテーテル先端部の別の実施形態を示す。
【
図3】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、電位図を選択及び表示するための方法におけるステップのフローチャートである。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による、例示的な電極ヒストグラムの図である。
【
図5】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、カテーテルベースの電気生理学的マッピング及びアブレーションシステム並びに表示装置の概略描写図である。
【
図6】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、選択された電極によって取得された電位図を決定及び表示するためのコンピューティングプラットフォームの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明には、本発明の十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細なしでも実施され得ることは、当業者に明らかであろう。他の例では、本発明を無用にわかりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及びプロセスに対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0006】
本発明の態様を具体化するソフトウェアプログラミングコードは、典型的には、コンピュータ可読媒体などの永久記憶装置に維持される。クライアント-サーバ環境では、かかるソフトウェアプログラミングコードは、クライアント又はサーバに記憶させることができる。ソフトウェアプログラミングコードは、データ処理システムで使用するための様々な既知の媒体のうちのいずれかで具体化され得る。これには、ディスクドライブ、磁気テープ、コンパクトディスク(compact disc、CD)、デジタルビデオディスク(digital video disc、DVD)などの磁気及び光学記憶デバイス、及び信号が変調される搬送波の有無にかかわらず、伝送媒体に具現化されたコンピュータ命令信号が含まれるが、これらに限定されない。例えば、伝送媒体は、インターネットなどの通信ネットワークを含み得る。加えて、本発明は、コンピュータソフトウェアで具体化され得るが、本発明を実施するために必要な機能は、代替的に、特定用途向け集積回路又は他のハードウェアなどのハードウェアコンポーネント、又はハードウェアコンポーネントとソフトウェアのいくつかの組み合わせを使用して、一部又は全体的に具体化され得る。
【0007】
概論
心房細動に関連する催不整脈性組織は、心房壁、例えば内壁に沿った1つ又は2つ以上の場所での心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)を検査して、1つ又は2つ以上の場所の各々における脱分極によって引き起こされる局所電位を検出することによって識別することができる。IEGMが細分化信号を生成した場所は、心房細動に関連する催不整脈性組織を含む場所を示し得る。
【0008】
IEGMは、典型的には、心臓内カテーテルの遠位先端部上の1つ又は2つ以上の電極、例えば、1つ又は2つ以上の電極対で検出される。いくつかの例示的な実施形態では、心臓内カテーテルは、遠位先端部の位置を追跡するように構成された位置センサを更に含む。
【0009】
現代のカテーテルは、カテーテルの複数のスプラインにわたって分散された複数の電極を有し、任意の所与の時間において、各電極は、ある場所における電気活動をサンプリングする。例えば、いくつかのカテーテルは、数十又は数百もの電極を有し得る。
【0010】
複数の電極は、かなりの量のデータの同時収集を可能にし、心臓内の電気信号の良好な全体像を与えることができることが理解される。
【0011】
しかしながら、これはまた、ユーザに表示される情報が豊富であるため、課題を提起する。膨大な数の電位図が、手術を実行する医師に対して表示される場合があり、電位図のうちのいくつかは、他のものよりも重要かつ意味のあるものであるようである。しかしながら、医師は、どの電位図がより重要であるかを一目で見分けることができず、これらの電位図に焦点を合わせることができない場合がある。表示されるグラフのサブグループの任意の選択を含む方法も、満足のいく解決策を提供しない場合がある。
【0012】
したがって、いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓の状態を査定することに対してより高い寄与を有する電極によって生成された電位図が選択され、ユーザに表示され得る。
【0013】
多くの状況において、特定の時間単位において電極によって生成される信号は、以下に詳述されるように、電極が心臓壁に接触していない(活性化時間が感知されないことを意味する)ときに取得されたものであるため、信号がノイズが多い又は不安定であるため、電極がその期間中に移動していたためなどから、無視され得る。したがって、各電極の寄与は、例えば、電極が有用な測定値(例えば、メモリに記憶され、電気解剖学的マップ(electro-anatomical map、EAマップ)を構築するために適用されるように選択されるデータ点)を提供した心臓内の場所の数によって査定され得る。
【0014】
一般に、寄与する電極とも称される、より有用な電極は、カテーテルの構造に依存し得る。例えば、いくつかの電極は、他の電極よりも心臓壁と接触する可能性が高い。しかしながら、これが唯一の基準でなくてもよい。例えば、心腔の解剖学的構造、心腔内のカテーテルの場所、及びカテーテルが医師によって操作される方法、例えば、医師がシャフトを真っ直ぐに挿入するか偏向させて挿入するかは、データ点、例えば、EAマップを構築するために使用されるデータ点を捕捉するために頻繁に使用される電極のサブセットに実質的な影響を及ぼし得る。
【0015】
各電極の寄与を計算することができる。例えば、各電極ごとに列を含むヒストグラムが生成されてもよく、各列の高さは、電極によって取得された電位図が使用された場所の数を表す。列は、例えば、電極が位置するスプラインに基づいて、ビンにグループ化されてもよい。
【0016】
次いで、最も高い列に関連付けられた電極のみが選択され、それらの電位図が表示されてもよく、その脚結果、ユーザは、これらの電位図に集中することができる。選択された電極は、最も有用な電極又は突出した電極と称されることがある。
【0017】
いくつかの実施形態では、表示されるように選択される電位図の数は、ユーザによって設定又は事前定義されてもよく、例えば、7個の電位図、10個の電位図などの3~20個の電位図であってもよい。他の実施形態では、最も突出した電極によって取得された電位図の所定の割合、例えば、約10%などの約5%~約20%が表示されてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、表示される電位図は、EPマップ全体について最大数のデータ点を捕捉した電極に関連付けられたチャネルから選択されてもよい。
【0019】
他の実施形態では、表示される電位図は、ユーザによって選択されたように、心臓内の局所領域におけるEAマップの構築に最も寄与した電極に関連付けられたものであってもよい。
【0020】
更なる実施形態では、表示される電位図は、動作全体を通して最も寄与した電極に関連付けられたものであってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の突出した電極を含むスプライン上に位置する電極に関連付けられた電位図を表示することができる。
【0022】
ヒストグラムを生成するためのデータは、心腔をマッピングするためのデータ点が捕捉される全持続時間未満であり得る期間にわたって収集され得ることを理解されたい。いくつかの例示的な実施形態では、マッピングのために最も多くのデータ点を提供するものとして識別された電極は、電極の定義されたサブセットに収束することが予想される。突出した電極の選択されたサブセットが安定した後、その結果、医師に表示される電位図は実質的に同じ電極のものであり、頻繁に変化しない。任意選択的に、定義された収束基準が満たされると、ヒストグラムの更新を終了することができる。
【0023】
また、ヒストグラムは内部データ構造であってもよく、ユーザに表示されるグラフィック表現を有していなくてもよいことが理解される。むしろ、それは表示される電位図を決定するための内部ツールである。
【0024】
したがって、本開示は、最も有用な電極によって取得された電位図のみを表示することを提供することができ、その結果、ユーザは、表示を過度に混乱させることなく、最も重要な情報とともに表示される。
【0025】
システムの説明
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す
図1を参照する。システム10は、患者23の血管系を通り、心臓12の心腔又は血管構造内に、医師24によって経皮的に挿入され得る複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の場所の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、1本又は2本以上のカテーテルを、送達シースカテーテルに挿入して、心臓12内の所望の場所に到達させることができる。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含み得る。IEGMを感知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に例解されている。医師24は、心臓12における標的部位を感知するために、カテーテル14の遠位先端部28を心臓壁と接触させて置くことができる。アブレーションのために、医師24は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位先端部を組織をアブレーションするための標的部位に接触して置くことができる。
【0026】
カテーテル14は、遠位先端部28において複数のスプライン22にわたって任意選択で分布し、IEGM信号を感知するように構成された1つ、好ましくは複数の電極26を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、遠位先端部28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端部28内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含むことができる。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。遠位先端部28は、以下の
図2Aに関連して更に詳述され、感知カテーテルの遠位先端部の別の例示的な実施形態が、以下の
図2Bに示される。
【0027】
磁気ベースの位置センサ29は、事前定義された作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む場所パッド25とともに動作し得る。カテーテル14の遠位先端部28のリアルタイム位置は、場所パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって感知される磁場に基づいて追跡され得る。磁気ベースの場所検知技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,5391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、同第6,892,091号に記載されている。
【0028】
追加的に又は代替的に、システム10は、場所パッド25の位置基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ又は2つ以上の電極パッチ38を含んでもよい。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に向けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を、電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンスベースの場所追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されている。
【0029】
システム10は、カテーテル14の電極26及び/又は体表面ECG電極18によって捕捉された複数の電位
図21を表示デバイス27上に表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含み得、かつ/又は独立型ペーサに電気的に接続され得る。
【0030】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端にある1つ又は2つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー生成器50を含んでもよい。アブレーションエネルギー生成器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)をもたらすために使用され得るような単極性若しくは双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(radiofrequency、RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(pulsed-field ablation、PFA)エネルギー、又はそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。
【0031】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテルと、他の電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成され得る。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、場所パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー生成器50、及びレコーダ11を含み得る。任意選択的に、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの場所のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を追加的に含む。
【0032】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがその中に記憶されたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能とを含む。ワークステーション55は、複数の機能を提供してもよく、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデル化し、そのモデル又は解剖学的マップ20を表示デバイス27に表示するためにレンダリングすることと、(2)表示デバイス27上に、記録された電位
図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的印又は画像で表示することと、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイムの場所及び配向を表示することと、(4)アブレーションエネルギーが印加されたところなどの関心部位を表示デバイス27上に表示することと、を含む。システム10の各要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.31A Technology Drive,Irvine,CA,92618から市販されている、CARTO(商標)3システムとして入手可能である。
【0033】
図からわかるように、多数の電位
図21を同時に表示すると、表示が乱雑になり、医師がより重要な電位図に集中することが困難又は更には不可能になる場合がある。
【0034】
図1のバスケット形状の電極アセンブリ28のより詳細な図を示す
図2Aを参照する。
【0035】
電極アセンブリ28は、カテーテル14の遠位先端部に装着されてもよい。電極アセンブリ28は、電極担持スプライン22を備えてもよく、電極担持スプライン22は、可撓性ポリマー回路ストリップであって、各々が複数の電極26を担持する、例えば、10本のアームが各々10個の電極26を担持し、合計100個の電極を提供する可撓性ポリマー回路ストリップから作製される。他の実施形態では、電極アセンブリ28は、約5個~約10個のスプライン、例えば、約8個のスプラインを担持してもよい。いくつかの実施形態では、電極26は、スプライン22の近位部分上に配設されなくてもよく、又はより疎らに配設されてもよい。
【0036】
スプライン22は、電極アセンブリ28の中心長手方向軸に直接又は間接的に取り付けられてもよい。スプライン22は、ヒンジ33を介して軸に沿って配設されたコネクタ31に接続されてもよい。スプライン22は、軸の周りに概ね等間隔に配置されてもよい。スプライン22は、軸に沿ったそれらの端部の相対的な長手方向の移動によって作動され得る。軸は、プッシャ24がコネクタ31内に押し込むように、プッシャ24と、コネクタ31とを備えてもよい。プッシャ24がコネクタ31内に遠位方向に押されると、スプライン22が湾曲する。電極アセンブリ28が心腔内にある間、湾曲によって電極26が心腔内で広がり、その結果、電極の少なくともいくつかが心腔壁と接触してIEGM信号を感知することができ、他の電極26が心腔内の位置をとることができる。
【0037】
ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、電極アセンブリの別の実施形態を示す
図2Bを参照する。
【0038】
図2Bは、心腔200内の電極アセンブリ28’を示す。電極アセンブリ28’は、複数のスプライン22にわたって任意選択的に分散され、IEGM信号を感知するように構成された複数の電極26を含む。電極アセンブリ28’は、約5個~約10個のスプラインを備え得、各々は、約3個~約7個の電極を担持する。電極アセンブリ28’が遠位方向に押されると、電極26のうちのいくつかは、心腔壁と接触してIEGM信号を感知することができ、他の電極26は、心腔の壁に触れることなく血液プールに浸漬することができる。
【0039】
ここで
図3を参照すると、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、電位図を選択及び表示するための方法におけるステップのフローチャートが示されている。
【0040】
ステップ300では、患者の心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入されたカテーテル上に遠位に配設された複数の電極によってとられた電位図が取得される。電極のうちの少なくともいくつかの各々は、異なる電極が異なる数の場所における電気活動の査定に寄与するように、1つ又は2つ以上の心腔内の複数の場所において電位図を取得する。
【0041】
ステップ304において、電位図が評価されてもよく、電位図のうちのいくつかは受容されてもよく、他は拒絶されてもよい。電位図は連続的に取得され得るが、評価は、時間窓、例えば、約2~3秒、例えば、2.5秒にわたって収集された各電位図に対して行われ得ることが理解される。表示される電位図は、数回の心拍にわたる感知信号の平均であってもよい。
【0042】
電位図が受容されてもよく、例えば、データ点が、例えば、その安定性及びインピーダンスに基づいて、EAマップ内に選択的に記憶され、使用されてもよい。安定性は、電位図を捕捉するための時間窓を通して固定されている電極場所に関連してもよく、例えば、場所は、所定の距離を超えて変化しない。インピーダンスは、電極が心臓壁と接触しているか否かを示すことができ、心臓壁上の場所のみが受容される。電位図が受容されると、それぞれの場所の状態が、電位図、例えば、選択された基準活性化タイミングに基づいて決定される局所活性化時間(local activation time、LAT)に基づいて決定される。
【0043】
受容された電位図が取得された各場所は、記憶され、それぞれの電極に関連付けられてもよい。
【0044】
ステップ300及び304は、動作全体を通して連続的に実行され得ることが理解される。
【0045】
ステップ308において、電極によって取得された電位図が受容された場所の数、すなわち、電極が電気活動の査定を提供した場所の数を示すカウントが、各電極に対して維持され得る。
【0046】
カウントは、ヒストグラムとして、又は任意の他のデータ構造で維持されてもよい。
【0047】
ここで
図4を参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な電極ヒストグラムが例解されている。
【0048】
図4は、列がビンに分割されたヒストグラム400を示す。各ビンは、1つのスプライン上に位置する各電極から収集された場所の数を表す列を含む。したがって、ビン404は最も有用な電極を有するスプラインに関連し、ビン408は最も有用でない電極を有するスプラインに関連する。しかしながら、各ビン内には、多かれ少なかれ有用な電極があってもよい。例えば、ビン416の列412は、全ての中で最も有用な電極に関連付けられ得るが、ビン416は、全体としてビン404よりも有用性が低い。ビンの有用性は、ビンに関連付けられた電極の有用性値の合計として評価され得る。
【0049】
ビンへの分割は視覚的な明瞭さのためであり、特に必要ではないことが理解される。更に、ヒストグラムの視覚的表現は、列がビンにグループ化されているか否かにかかわらず、ユーザにとって関連性がない場合があり、したがって通常は表示されない。
【0050】
ステップ312において、どの電極が最も有用な電極であるかを決定することができ、すなわち、例えば、ヒストグラムの最も高い列によって表される、これらの電極によって取得される電位図に基づいて、最大数の場所の状態が決定される。
【0051】
最も有用な電極の数は、事前定義されてもよく、ユーザによって決定されてもよく、電極の総数の事前定義された割合として決定されてもよく、又は同様のものであってもよい。
【0052】
同じカテーテル構造であっても、寄与する電極は特定の患者、医師及び手術の状態に応じて変化し得るので、最も寄与する電極を選択することが必要であることが理解される。したがって、異なる電極は、多かれ少なかれ寄与してもよく、それらの測定は、異なる生体構造を有する患者に対して、及び同じ患者の異なる心腔に対してさえ、より少ない又はより多い場所における活動を査定するために使用されてもよい。追加的に又は代替的に、心腔内の電極の場所は、その寄与、及び医師が関連する瞬間にカテーテルを使用する方式、例えば、直線又は偏向様式に影響を及ぼし得る。
【0053】
ステップ316において、所定の期間、例えば約1分~約10分後に、最も有用な電極が安定した収集を形成するか、又は実質的に変化するかが決定され得る。例えば、表示されたチャネルの少なくとも事前定義された数が、所定の期間(1~10分)にわたって同じままである場合、選択されたチャネルのサブグループは安定しているとみなすことができる。任意選択的に、事前定義された数は5~50個のチャネルである。代替的又は追加的に、収束の事前定義された基準が満たされる場合、選択されたチャネルのサブグループは安定しているとみなされ得る。
【0054】
収集が安定していない場合、実行は、更なる電位図を収集することによって、ステップ300で継続することができる。
【0055】
収集が安定している場合、実行は、ステップ320で継続することができる。
【0056】
ステップ320において、選択された電極によって取得された電位図は、表示デバイスを介してユーザに表示されてもよいが、他の電位図は表示されず、それによって簡潔で乱れのない表示が維持される。
【0057】
ここで
図5を参照すると、
図1に示される数十以上の電位
図21の代わりに、選択された電極によって取得された例示的な5つの電位
図504のみが表示されることを除いて、
図1と同じ設定を示す。数個の電位図のみを提示することにより、はるかに明確な表示が提供されることがわかる。
【0058】
電位
図504は動的であり、電極によって現在取得されている信号を表示することが理解される。
【0059】
いくつかの実施形態では、例えばユーザの選択に従って、表示された電位図に関連付けられた電極に従って査定された場所は、例えば、心臓マップ上の場所508としてマークされてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、ユーザは、EAマップ上の最大数のデータ点を提供するものとして識別される電極を含むスプライン又は部分など、カテーテルのあるスプライン又は部分上に位置付けられている全ての電極からの出力を見るように選択してもよい。
【0061】
ステップ324において、表示される電位図が選択されてから事前定義された期間が経過したか否かが決定され得る。時間が経過していない場合、選択された電極の電位図が連続的に表示され得る。時間が経過した後、プロセスは、カウントを再査定して寄与する電極を選択することによって継続することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、電極は継続して選択されてもよく、それに応じて表示が更新されてもよい。更なる実施形態では、表示は、選択された電極に有意な変化がある場合にのみ更新されてもよい。
【0063】
ここで
図6を参照すると、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、選択された電極によって取得された電位図を決定及び表示するためのコンピューティングプラットフォームの概略ブロック
図600が示されている。
【0064】
コンピューティングプラットフォーム600は、ワークステーション55内に埋め込まれてもよいが、独立型コンピューティングプラットフォームであってもよく、又は他の場所に埋め込まれてワークステーション55と動作可能に通信してもよいことが理解される。
【0065】
コンピューティングプラットフォーム600は、互いに動作可能に接続され得る1つ又は2つ以上のコンピューティングプラットフォームとして実装され得る。例えば、1つ又は2つ以上のリモートコンピューティングプラットフォームは、例えばクラウドコンピュータ上に実装され得る。他のコンピューティングプラットフォームは、関連する組織のコンピュータネットワークの一部であってもよい。他の実施形態では、全ての機能は、全てが組織ネットワークの一部である1つ又は2つ以上のコンピューティングプラットフォームによって提供されてもよい。
【0066】
コンピューティングプラットフォーム600は、同じコンピューティングプラットフォーム上に位置するか否かにかかわらず、1つ又は2つ以上の中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、マイクロプロセッサ、電子回路、集積回路(Integrated Circuit、IC)などであり得る1つ又は2つ以上のプロセッサ604を備えてもよい。プロセッサ604は、例えば、以下に詳述する記憶デバイス612に格納されたソフトウェアモジュールをメモリにロードして起動することによって、必要な機能を提供するように構成されてもよい。
【0067】
コンピューティングプラットフォーム600は、例えば、場所及び電気的測定値を示すカテーテル処置コントローラからの情報の取得、遠隔記憶デバイス上へのデータの記憶など、必要に応じて他のデバイス又は他のコンピューティングプラットフォームとの通信のための通信デバイス608を備えてもよい。通信モジュール608は、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LAN)、ワイドエリアネットワーク(Wide Area Network、WAN)、セルラーネットワークなどの任意の通信チャネルとインターフェースし、任意の関連する通信プロトコルを使用するように適合され得る。
【0068】
コンピューティングプラットフォーム600は、ハードディスクドライブ、フラッシュディスク、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、メモリチップなどの記憶デバイス612を備えてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、記憶デバイス612は、以下に列挙されるモジュールのいずれかに関連付けられた動作、又は上記の
図3の方法のステップをプロセッサ604に実行させるように動作可能なプログラムコードを保持することができる。プログラムコードは、以下に詳述する命令を実行するように適合された、関数、ライブラリ、独立型プログラムなどの1つ又は2つ以上の実行可能ユニットを含んでもよい。
【0069】
代替的又は追加的に、提供される命令は、磁気メモリ、光メモリ、又は電子メモリなどの非一時的な有形のコンピュータ可読媒体上に記憶されていてもよい。
【0070】
記憶デバイス612は、心臓のマップ、選択された電位図のプロットなどの、表示デバイス27上に表示されるべき表示をユーザにレンダリングするための表示装置及びI/Oモジュール616を備えてもよい。表示装置及びI/Oモジュール616はまた、ユーザから命令及び動作パラメータを受信する際、例えば、表示された電位図のうちのいずれかによって査定された場所をハイライトする際、電位図のグループを表示する際などに動作可能であってもよい。
【0071】
記憶デバイス612は、通信デバイス608を介して、カテーテル場所、関連付けられた電位図、ユーザ選好、ヒストグラムなどのデータをシステムの他の部分又は他のシステムとの間で送受信するための通信モジュール620を備えてもよい。
【0072】
記憶デバイス612は、例えば、電極が心臓壁と接触しているときに捕捉される、例えば、その場所が十分に安定しているか、あまりノイズが多くないか、例えば、所定のノイズレベル又はノイズ信号対ノイズ比未満であるかなど、それが受容されるべきか又は拒絶されるべきかを決定するスライディング時間窓に基づいて、電位図を査定するための電位図受容/拒絶モジュール624を備え得る。拒絶された電位図は破棄されてもよく、一方、受容された電位図は、関連付けられた場所の状態、例えばそれらの局所的な活性化状態を査定するため、及び追加の処理のために使用されてもよい。
【0073】
記憶デバイス612は、各電極が受容可能な電位図を提供した場所のカウントを維持し、最も寄与する電極を選択するなどのためのヒストグラム管理モジュール628を備えてもよい。名前にかかわらず、ヒストグラム管理モジュール628は、ヒストグラムなどの特定のデータ構造を生成することなくカウントを保持し、処理することができる。
【0074】
記憶デバイス612は、例えば、最も寄与する電極を検出すること、最も寄与する電極のカウントが安定しているか否かを決定することなど、必要な入力を用いて、正しい順序及びタイミングで上記のモジュールを起動するためのデータ及び制御フロー管理モジュール632を備えることができる。
【0075】
上記で開示されたステップ及びモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又は他のモジュールに加えて、カテーテルを動作させること、カテーテル処置プロセスを表示すること、信号分析及び具体的にはコンプレックス細分化電位図(complex fractionated electrogram、CFE)分析などの他の計算を実行すること、心臓マップを生成することなどに必要とされることが理解される。方法及びシステムについての更なる詳細は、例えば、米国特許第8676305号、同第9629567号に見出すことができ、これらは、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
本発明は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0077】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用される命令を保持及び記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は前述の任意の好適な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory、SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、命令が記録されたパンチカード又は溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、及び上記の任意の適切な組み合わせを含む。本明細書で使用するコンピュータ可読記憶媒体とは、電波又は他の自由に伝搬する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)、又は動線を通って伝送される電気信号などの、それ自体が一過性の信号であるものとして解釈されるべきではない。
【0078】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理デバイスに、又は、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、及び/又は無線ネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶デバイスに、ダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイスのネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために転送する。
【0079】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又は1つ若しくは2つ以上のプログラミング言語、Java、C、C++、Pythonなどのプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、又は(例えばインターネットサービスプロバイダを利用したインターネットを介して)外部コンピュータ接続されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(programmable logic array、PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路を個別化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行してもよい。
【0080】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して本明細書に記載されている。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装可能であることは理解されるであろう。
【0081】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理機器のプロセッサに提供されて、命令がコンピュータ又は他のプログラム可能データ処理機器のプロセッサを介して実行され、フローチャート及び/又はブロック図の1つ若しくは2つ以上のブロックで指定された機能/動作を実施するための手段を創出することができるように、機械を生成する。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他のデバイスを特定の方法で機能させることができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、その結果、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ若しくは2つ以上のブロックで指定された機能/作用の態様を実装する命令を含む製造物品を含む。
【0082】
このコンピュータ可読プログラムの命令をコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理機器、又は他のデバイス上にロードして、一連の操作ステップをそのコンピュータ、他のプログラマブル機器、又は他のデバイス上で実施させ、コンピュータ実施プロセスを生成させて、そのコンピュータ、他のプログラマブル機器、又は他のデバイス上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックに定められている機能/動作を実施するようにしてもよい。
【0083】
図中のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の考えられる実装形態の構造、機能性、及び動作を例解すものである。この点に関して、フローチャート図又はブロック図における各ブロックは、示された論理機能を実施するための1つ若しくは2つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又は命令の部分を表し得るものである。いくつかの代替的な実装形態において、ブロックに示される機能は、図に示される順序以外の順序で行われてもよい。例えば、連続して示す2つのブロックは、実際に、実質的に同時に実行されてもよく、あるいはそれらのブロックは、時には、関連する機能性に応じて、逆の順序で実行されてもよい。また留意されたい点として、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、特定の機能又は動作を実行する専用のハードウェアベースシステムによって実施されてもよく、あるいは、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを動作させること又は実行することもできる。
【実施例0084】
(実施例1)
方法であって、患者の心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入されたカテーテル上に遠位に配設された複数の電極から複数の電気信号を取得することであって、複数の電極のうちの少なくともいくつかからの各電極が、複数の場所で電気活動を取得する、取得することと、取得された複数の電気信号の一部分を選択的に受容することと、各電極を、電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けることと、場所の数が最も多い複数の電極の選択された部分を決定することと、複数の電極の選択された部分によって取得された電位図を表示させることと、を含む、方法。
【0085】
(実施例2)
各電極を、電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けることが、ヒストグラムを生成することを含む、実施例1に記載の方法。
【0086】
(実施例3)
複数の電極のうちの1つの電極によって取得された電気信号は、電極が場所から所定の距離内にあった時間量、及び電極が位置付けられている心腔の壁に対する場所の近接度からなる群から選択される少なくとも1つの項目に基づいて、受容されるか又は拒絶される、実施例1に記載の方法。
【0087】
(実施例4)
表示された電位図のユーザ選択を受信することと、心臓のマップを表示することと、ユーザによって選択された表示された電位図によって、受容された電位図が取得されたマップ上の少なくとも1つの場所をハイライトすることと、を更に含む、実施例1に記載の方法。
【0088】
(実施例5)
心臓の少なくとも一部のマップを表示することと、マップに表示された心臓の領域のユーザ選択を受信することと、領域の近傍の点において信号を取得した電極の中から、複数の電極の選択された部分を決定することと、を更に含む、実施例1に記載の方法。
【0089】
(実施例6)
電極によって取得される表示された電位図のユーザ選択を受信することと、電極と同じスプライン内に位置付けられた他の電極によって取得された電位図を表示することと、を更に含む、実施例1に記載の方法。
【0090】
(実施例7)
複数の電極の選択された部分は、電極が位置付けられている心臓の心腔内で収集された場所の数に応じて選択される、実施例1に記載の方法。
【0091】
(実施例8)
複数の電極の選択された部分が、手術の開始以降に心臓内で収集された場所の数に基づいて選択される、実施例1に記載の方法。
【0092】
(実施例9)
複数の電極の選択された部分が、所定の期間中に心臓内で収集された場所の数に基づいて選択される、実施例1に記載の方法。
【0093】
(実施例10)
複数の電極の選択された部分内の電極の数が、ユーザによって設定される、実施例1に記載の方法。
【0094】
(実施例11)
複数の電極の選択された部分内の電極の数が、事前定義される、実施例1に記載の方法。
【0095】
(実施例12)
メモリユニットに結合されたプロセッサを有する、コンピュータ化された装置であって、プロセッサが、患者の心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入されたカテーテル上に遠位に配設された複数の電極から複数の電気信号を取得するステップであって、複数の電極のうちの少なくともいくつかからの各電極が、複数の場所で電気活動を取得する、取得するステップ、取得された複数の電気信号の一部分を選択的に受容するステップ、各電極を、電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けるステップ、場所の数が最も多い複数の電極の選択された部分を決定するステップ、及び複数の電極の選択された部分によって取得された電位図を表示させるステップ、を実行するように適合されている、装置。
【0096】
(実施例13)
各電極を、電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けることが、ヒストグラムを生成することを含む、実施例12に記載の装置。
【0097】
(実施例14)
複数の電極のうちの1つの電極によって取得された電気信号は、電極が場所から所定の距離内にあった時間量、及び電極が位置付けられている心腔の壁に対する場所の近接度からなる群から選択される少なくとも1つの項目に基づいて、受容されるか又は拒絶される、実施例12に記載の装置。
【0098】
(実施例15)
プロセッサが、表示された電位図のユーザ選択を受信するステップ、心臓のマップを表示するステップ、及びユーザによって選択された表示された電位図によって、受容された電位図が取得されたマップ上の少なくとも1つの場所をハイライトするステップ、を実行するように更に適合されている、実施例12に記載の装置。
【0099】
(実施例16)
プロセッサが、心臓の少なくとも一部のマップを表示するステップ、マップに表示された心臓の領域のユーザ選択を受信するステップ、及び領域の近傍の点において信号を取得した電極の中から、複数の電極の選択された部分を決定するステップ、を実行するように更に適合されている、実施例12に記載の装置。
【0100】
(実施例17)
プロセッサが、電極によって取得される表示された電位図のユーザ選択を受信するステップ、及び電極と同じスプライン内に位置付けられた他の電極によって取得された電位図を表示するステップ、を実行するように更に適合されている、実施例12に記載の装置。
【0101】
(実施例18)
プロセッサが、電極によって取得される表示された電位図のユーザ選択を受信するステップ、及び電極と同じスプライン内に位置付けられた他の電極によって取得された電位図を表示するステップ、を実行するように更に適合されている、実施例12に記載の装置。
【0102】
(実施例19)
複数の電極の選択された部分内の電極の数が、ユーザによって設定されるか、又は事前定義されている、実施例12に記載の装置。
【0103】
(実施例20)
プログラム命令を保持する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備える、コンピュータプログラム製品であって、命令は、プロセッサによって読み取られると、プロセッサに、患者の心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入されたカテーテル上に遠位に配設された複数の電極から複数の電気信号を取得することであって、複数の電極のうちの少なくともいくつかからの各電極が、複数の場所で電気活動を取得する、取得すること、取得された複数の電気信号の一部分を選択的に受容すること、各電極を、電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けること、場所の数が最も多い複数の電極の選択された部分を決定すること、及び複数の電極の選択された部分によって取得された電位図を表示させること、を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【0104】
本明細書に記載の実施例は、主に心臓診断用途に対処するものであるが、本明細書に記載の方法及びシステムは、他の医療用途にも使用することができる。
【0105】
上に記載される実施例は例として挙げたものであり、本開示は本明細書の上記で特に図示及び記載されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本開示の範囲は、本明細書の上記した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者に着想されるであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0106】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
患者の心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入されたカテーテル上に遠位に配設された複数の電極から複数の電気信号を取得することであって、前記複数の電極のうちの少なくともいくつかからの各電極が、複数の場所で電気活動を取得する、取得することと、
取得された前記複数の電気信号の一部分を選択的に受容することと、
各電極を、前記電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けることと、
前記場所の数が最も多い前記複数の電極の選択された部分を決定することと、
前記複数の電極の前記選択された部分によって取得された電位図を表示させることと、を含む、方法。
(2) 各電極を、前記電極によって取得された前記電気信号が受容された前記場所の数に関連付けることが、ヒストグラムを生成することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記複数の電極のうちの1つの電極によって取得された電気信号は、前記電極が前記場所から所定の距離内にあった時間量、及び前記電極が位置付けられている心腔の壁に対する前記場所の近接度からなる群から選択される少なくとも1つの項目に基づいて、受容されるか又は拒絶される、実施態様1に記載の方法。
(4) 表示された電位図のユーザ選択を受信することと、
前記心臓のマップを表示することと、
前記ユーザによって選択された前記表示された電位図によって、受容された電位図が取得された前記マップ上の少なくとも1つの場所をハイライトすることと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記心臓の少なくとも一部のマップを表示することと、
前記マップに表示された前記心臓の領域のユーザ選択を受信することと、
前記領域の近傍の点において信号を取得した電極の中から、前記複数の電極の前記選択された部分を決定することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0107】
(6) 電極によって取得される表示された電位図のユーザ選択を受信することと、
前記電極と同じスプライン内に位置付けられた他の電極によって取得された電位図を表示することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記複数の電極の前記選択された部分は、前記電極が位置付けられている前記心臓の心腔内で収集された前記場所の数に応じて選択される、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記複数の電極の前記選択された部分が、前記手術の開始以降に前記心臓内で収集された前記場所の数に基づいて選択される、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記複数の電極の前記選択された部分が、所定の期間中に前記心臓内で収集された前記場所の数に基づいて選択される、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記複数の電極の前記選択された部分内の電極の数が、ユーザによって設定される、実施態様1に記載の方法。
【0108】
(11) 前記複数の電極の前記選択された部分内の電極の数が、事前定義される、実施態様1に記載の方法。
(12) メモリユニットに結合されたプロセッサを有する、コンピュータ化された装置であって、前記プロセッサが、
患者の心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入されたカテーテル上に遠位に配設された複数の電極から複数の電気信号を取得するステップであって、前記複数の電極のうちの少なくともいくつかからの各電極が、複数の場所で電気活動を取得する、取得するステップ、
取得された前記複数の電気信号の一部分を選択的に受容するステップ、
各電極を、前記電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けるステップ、
前記場所の数が最も多い前記複数の電極の選択された部分を決定するステップ、及び
前記複数の電極の前記選択された部分によって取得された電位図を表示させるステップ、を実行するように適合されている、装置。
(13) 各電極を、前記電極によって取得された前記電気信号が受容された前記場所の数に関連付けることが、ヒストグラムを生成することを含む、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記複数の電極のうちの1つの電極によって取得された電気信号は、前記電極が前記場所から所定の距離内にあった時間量、及び前記電極が位置付けられている心腔の壁に対する前記場所の近接度からなる群から選択される少なくとも1つの項目に基づいて、受容されるか又は拒絶される、実施態様12に記載の装置。
(15) 前記プロセッサが、
表示された電位図のユーザ選択を受信するステップ、
前記心臓のマップを表示するステップ、及び
前記ユーザによって選択された前記表示された電位図によって、受容された電位図が取得された前記マップ上の少なくとも1つの場所をハイライトするステップ、を実行するように更に適合されている、実施態様12に記載の装置。
【0109】
(16) 前記プロセッサが、
前記心臓の少なくとも一部のマップを表示するステップ、
前記マップに表示された前記心臓の領域のユーザ選択を受信するステップ、及び
前記領域の近傍の点において信号を取得した電極の中から、前記複数の電極の前記選択された部分を決定するステップ、を実行するように更に適合されている、実施態様12に記載の装置。
(17) 前記プロセッサが、
電極によって取得される表示された電位図のユーザ選択を受信するステップ、及び
前記電極と同じスプライン内に位置付けられた他の電極によって取得された電位図を表示するステップ、を実行するように更に適合されている、実施態様12に記載の装置。
(18) 前記プロセッサが、
電極によって取得される表示された電位図のユーザ選択を受信するステップ、及び
前記電極と同じスプライン内に位置付けられた他の電極によって取得された電位図を表示するステップ、を実行するように更に適合されている、実施態様12に記載の装置。
(19) 前記複数の電極の前記選択された部分内の電極の数が、ユーザによって設定されるか、又は事前定義されている、実施態様12に記載の装置。
(20) プロセッサに動作を実行させるように構成されたプログラム命令を保持する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備える、コンピュータプログラム製品であって、前記プログラム命令が、
患者の心臓の1つ又は2つ以上の心腔に挿入されたカテーテル上に遠位に配設された複数の電極から複数の電気信号を取得することであって、前記複数の電極のうちの少なくともいくつかからの各電極が、複数の場所で電気活動を取得する、取得すること、
取得された前記複数の電気信号の一部分を選択的に受容すること、
各電極を、前記電極によって取得された電気信号が受容された場所の数に関連付けること、
前記場所の数が最も多い前記複数の電極の選択された部分を決定すること、及び
前記複数の電極の前記選択された部分によって取得された電位図を表示させること、を実装する、コンピュータプログラム製品。