(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095639
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】粒状米粉加工物の製造方法及び粒状米粉加工物、粒状食品加工物の製造方法及び粒状食品加工物、並びに食品組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 7/135 20160101AFI20240703BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240703BHJP
【FI】
A23L7/135
A23L5/00 D
A23L5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223403
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2022212360
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523002459
【氏名又は名称】山本 貴絵
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100229389
【弁理士】
【氏名又は名称】香田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴絵
【テーマコード(参考)】
4B025
4B035
【Fターム(参考)】
4B025LB02
4B025LG02
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4B035LP01
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4B035LP24
4B035LP36
(57)【要約】
【課題】ベジタリアンやヴィーガンと呼ばれる菜食主義者や、小麦等への食物アレルギーを持つ者が好適に食すことができ、優れた食味と食感を有する粒状食品加工物の製造方法を提供する。
【解決手段】原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、得られた造粒物に含まれる前記原料米粉が糊化するまで加熱する加熱工程と、加熱された造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する粒状食品加工物の製造方法。製造される粒状品加工物は、グルテンフリーであり、クスクスのようなプチプチとした食感を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料米粉と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、
得られた造粒物を、当該造粒物に含まれる前記原料米粉が糊化するまで加熱する加熱工程と、
加熱された造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する粒状米粉加工物の製造方法。
【請求項2】
粒径が0.3mm以上4.5mm以下である請求項1に記載の粒状米粉加工物の製造方法。
【請求項3】
前記加熱工程における加熱方法が、蒸煮による加熱である請求項1または2に記載の粒状米粉加工物の製造方法。
【請求項4】
前記原料米粉が、平均粒度(D50)450μm以上650μm以下の米粉を含有する請求項1から3のいずれかに記載の粒状米粉加工物の製造方法。
【請求項5】
前記原料米粉が、白米粉及び玄米粉の両方またはいずれか一方である請求項1から4のいずれかに記載の粒状米粉加工物の製造方法。
【請求項6】
前記原料米粉が、玄米粉である請求項5に記載の粒状米粉加工物の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の製造方法で得られる粒状米粉加工物。
【請求項8】
粒径が0.3mm以上4.5mm以下である請求項7に記載の粒状米粉加工物。
【請求項9】
原料米粉の造粒物を加熱により糊化した後に乾燥させてなる粒状米粉加工物。
【請求項10】
粒径が0.3mm以上4.5mm以下である請求項8に記載の粒状米粉加工物。
【請求項11】
ベジタリアン又はヴィーガン食料品用である請求項7から10のいずれかに記載の粒状米粉加工物。
【請求項12】
原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、
得られた造粒物に含まれる前記原料米粉が糊化するまで加熱する加熱工程と、
加熱された造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する粒状食品加工物の製造方法。
【請求項13】
粒径が0.3mm以上4.5mm以下である請求項12に記載の粒状食品加工物の製造方法。
【請求項14】
前記加熱工程における加熱方法が、蒸煮による加熱である請求項12または13に記載の粒状食品加工物の製造方法。
【請求項15】
前記原料米粉が、白米粉及び玄米粉の両方またはいずれか一方である請求項12から14のいずれかに記載の粒状食品加工物の製造方法。
【請求項16】
前記原料米粉が、玄米粉である請求項15に記載の粒状食品加工物の製造方法。
【請求項17】
前記付加成分が、穀類、イモ類、種実類、豆類、野菜類、果実類、キノコ類及び藻類から選ばれる1種以上の植物性食品である請求項12から16のいずれかに記載の粒状食品加工物の製造方法。
【請求項18】
請求項12から17のいずれかに記載の製造方法で得られる粒状食品加工物。
【請求項19】
粒径が0.3mm以上4.5mm以下である請求項18に記載の粒状食品加工物。
【請求項20】
原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒した造粒物を、当該造粒物に含まれる原料米粉が糊化するまで加熱した後に乾燥させてなる粒状食品加工物。
【請求項21】
粒径が0.3mm以上4.5mm以下である請求項20に記載の粒状食品加工物。
【請求項22】
前記付加成分が、穀類、イモ類、種実類、豆類、野菜類、果実類、キノコ類及び藻類から選ばれる1種以上の植物性食品である請求項20または21に記載の粒状食品加工物。
【請求項23】
ベジタリアン又はヴィーガン食料品用である請求項18から22のいずれかに記載の粒状食品加工物。
【請求項24】
請求項7から10のいずれかに記載の粒状米粉加工物及び請求項18から22のいずれかに記載の粒状食品加工物の両方またはいずれか一方と、被混合成分とを含む食品組成物。
【請求項25】
前記被混合成分として、植物性食品を含む請求項24に記載の食品組成物。
【請求項26】
前記被混合成分として、穀類、イモ類、種実類、豆類、野菜類、果実類、キノコ類及び藻類から選ばれる1種以上の植物性食品を含む請求項24または25に記載の食品組成物。
【請求項27】
ベジタリアン又はヴィーガン食料品用である請求項24から26のいずれかに記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2022年12月28日に出願された日本国特許出願(特願2022-212359号及び特願2022-212360号)の利益および優先権を主張する。前述の特許出願に対する優先権を明示的に主張するものであり、参照により、その出願の全開示内容が、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、優れた食味と食感を有する粒状米粉加工物(granulated rice flour product)に関する。また、本発明は、優れた食味と食感を有する粒状食品加工物(granular food product)に関する。また、本発明は、粒状米粉加工物及び/又は粒状食品加工物を含有する食品組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、小麦粉による食物アレルギー対策や、米の消費を拡大させることを目的に、小麦粉の代わりに米粉を使用した加工食品(麺類、パン類や菓子類等)が注目されている。
【0004】
しかしながら、米粉を使用した加工食品は、米に含まれる粘り成分、アミロペクチンの作用により、もちもちとした食感になることが特徴である。
また、米粉は、小麦粉とは異なり、グルテンを含有していない(グルテンフリー)ため、水を加えて混練しても、米粉間の結合が期待できず、生地がつながりにくい。そのため、米粉を使用して加工食品を製造する際には、米粉自体に処理をしたり、混練時の加水量を多くする必要があった。米粉を使用した加工食品として、例えば、米粉を糊状にしてつなぎとして使用し製造されたパスタ(特許文献1)、グルテン及び増粘剤を含まずに製造された米粉パン(特許文献2)等が報告されている。
【0005】
また、ベジタリアンやヴィーガンの食生活を好む消費者の数が世界的に増加しており、様々なベジタリアンやヴィーガン食が開発されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-23043号公報
【特許文献2】特開2007-244220号公報
【特許文献3】特公表2021‐500043号公報(WO2019/88834)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1や特許文献2の方法では、米粉自体への処理や混合時の水分量等により、製造効率や製造された加工食品の食感等の点で問題があった。
【0008】
かかる状況下、本発明の目的は、優れた食味と食感を有する粒状米粉加工物及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、優れた食味と食感を有する粒状食品加工物及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、当該粒状米粉加工物や粒状食品加工物を含む食品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 原料米粉と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、
得られた造粒物を、当該造粒物に含まれる前記原料米粉が糊化するまで加熱する加熱工程と、
加熱された造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する粒状米粉加工物の製造方法。
<2> 粒径が0.3mm以上4.5mm以下(好適には0.5mm以上3mm以下)である<1>に記載の粒状米粉加工物の製造方法。
<3> 前記加熱工程における加熱方法が、蒸煮による加熱である<1>または<2>に記載の粒状米粉加工物の製造方法。
<4> 前記原料米粉が、平均粒度(D50)450μm以上650μm以下の米粉を含有する<1>から<3>のいずれかに記載の粒状米粉加工物の製造方法。
<5> 前記原料米粉が、白米粉及び玄米粉の両方またはいずれか一方である<1>から<4>のいずれかに記載の粒状米粉加工物の製造方法。
<6> 前記原料米粉が、玄米粉である<5>に記載の粒状米粉加工物の製造方法。
【0011】
<1A> <1>から<6>のいずれかに記載の製造方法で得られる粒状米粉加工物。
<2A> 粒径が0.3mm以上4.5mm以下(好適には0.5mm以上3mm以下)である<1A>に記載の粒状米粉加工物。
<3A> 原料米粉の造粒物を糊化した後に乾燥させてなる粒状米粉加工物。
<4A> 粒径が0.3mm以上4.5mm以下(好適には0.5mm以上3mm以下)である<3A>に記載の粒状米粉加工物。
<5A> ベジタリアン又はヴィーガン食料品用である<1A>から<4A>のいずれかに記載の粒状米粉加工物。
<6A> 病院食、病人食、介護食又は離乳食用である<1A>から<4A>のいずれかに記載の粒状米粉加工物。
【0012】
<1B> 原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、
得られた造粒物に含まれる前記原料米粉が糊化するまで加熱する加熱工程と、
加熱された造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する粒状米粉加工物の製造方法。
<2B> 粒径が0.3mm以上4.5mm以下(好適には0.5mm以上3mm以下)である<1B>に記載の粒状食品加工物の製造方法。
<3B> 前記加熱工程における加熱方法が、蒸煮による加熱である<1B>または<2B>に記載の粒状食品加工物の製造方法。
<4B> 前記原料米粉が、白米粉及び玄米粉の両方またはいずれか一方である<1B>から<3B>のいずれかに記載の粒状食品加工物の製造方法。
<5B> 前記原料米粉が、玄米粉である<4B>に記載の粒状食品加工物の製造方法。
<6B> 前記付加成分が、穀類、イモ類、種実類、豆類、野菜類、果実類、キノコ類及び藻類から選ばれる1種以上の植物性食品である<1B>から<5B>のいずれかに記載の粒状食品加工物の製造方法。
【0013】
<1C> <1B>から<6B>のいずれかに記載の製造方法で得られる粒状食品加工物。
<2C> 粒径が0.3mm以上4.5mm以下(好適には0.5mm以上3mm以下)である<1C>に記載の粒状食品加工物。
<3C> 原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒した造粒物を、当該造粒物に含まれる原料米粉が糊化するまで加熱した後に乾燥させてなる粒状食品加工物。
<4C> 粒径が0.3mm以上4.5mm以下(好適には0.5mm以上3mm以下)である<3C>に記載の粒状食品加工物。
<5C> 前記付加成分が、穀類、イモ類、種実類、豆類、野菜類、果実類、キノコ類及び藻類から選ばれる1種以上の植物性食品である<3C>または<4C>に記載の粒状食品加工物。
<6C> ベジタリアン又はヴィーガン食料品用である<1C>から<5C>のいずれかに記載の粒状食品加工物。
<7C> 病院食、病人食、介護食又は離乳食用である<1C>から<5C>のいずれかに記載の食品組成物。
<8C> 栄養機能食品である<1C>から<5C>のいずれかに記載の粒状食品加工物。
【0014】
<1D> <1A>から<4A>のいずれかに記載の粒状米粉加工物、及び<1C>から<4C>のいずれかに記載の粒状食品加工物の両方またはいずれか一方と、被混合成分とを含む食品組成物。
<2D> 前記被混合成分として、植物性食品を含む<1D>に記載の食品組成物。
<3D> ベジタリアン又はヴィーガン食料品用である<1D>または<2D>に記載の食品組成物。
<4D> 病院食、病人食、介護食又は離乳食用である<1D>または<2D>に記載の食品組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、優れた食味と食感を有する粒状米粉加工物が提供される。また、本発明によれば、優れた食味と食感を有する粒状食品加工物が提供される。また、本発明によれば、本発明の粒状米粉加工物や粒状食品加工物を含む食品組成物が提供される。
【0016】
本発明の粒状米粉加工物や粒状食品加工物は、常温保存可能であり、液体で戻すだけで摂食可能であるため、日常食のみならず、携帯食や非常食にも適用可能である。
また、本発明に係る粒状米粉加工物や粒状食品加工物は、ヴィーガンと呼ばれる菜食主義者や小麦等への食物アレルギーを持つ者が好適に食すことができる。また、本発明に係る粒状米粉加工物や粒状食品加工物は、病院食、病人食、介護食又は離乳食用食品としても好適に食すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の粒状米粉加工物の製造工程を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の粒状米粉加工物の他の製造工程を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の粒状食品加工物の製造工程を示すフローチャートである。
【
図4】本発明に係る粒状米粉加工物の一例を示す写真である。
【
図6】本発明に係る粒状食品加工物の一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
【0019】
本明細書において、「~」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において、「A及び/又はB」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「A及びBの双方」が含まれる。
【0020】
本発明の一態様は、原料米粉と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、得られた造粒物を、当該造粒物に含まれる前記原料米粉が糊化するまで加熱する加熱工程と、加熱された造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する粒状米粉加工物の製造方法(以下、「本発明の粒状米粉加工物の製造方法」又は単に「粒状米粉加工物の製造方法」と称す場合がある。)に関する。
【0021】
また、本発明の一態様は、原料米粉の造粒物を加熱により糊化した後に乾燥させてなる粒状米粉加工物(以下、「本発明の粒状米粉加工物」又は単に「粒状米粉加工物」と称す場合がある。)に関する。
なお、本発明の粒状米粉加工物は、本発明の粒状米粉加工物の製造方法で好適に製造できる。
【0022】
また、本発明の一態様は、原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、得られた造粒物に含まれる前記原料米粉が糊化するまで加熱する加熱工程と、加熱された造粒物を乾燥する加熱工程と、を有する粒状食品加工物の製造方法(以下、「本発明の粒状食品加工物の製造方法」又は単に「粒状食品加工物の製造方法」と称す場合がある。)に関する。
【0023】
また、本発明の一態様は、原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒した造粒物を、当該造粒物に含まれる原料米粉が糊化するまで加熱した後に乾燥させてなる粒状食品加工物(以下、「本発明の粒状食品加工物」又は単に「粒状食品加工物」と称す場合がある。)に関する。
なお、本発明の粒状食品加工物は、本発明の粒状食品加工物の製造方法で好適に製造できる。
【0024】
また、本発明の一態様は、上記本発明の粒状米粉加工物及び本発明の粒状食品加工物の両方またはいずれか一方と、被混合成分とを含む食品組成物(以下、「本発明の食品組成物」と称す場合がある。)に関する。
【0025】
なお、詳細は後述するが、本発明において、「粒状米粉加工物」と「粒状食品加工物」とは、造粒物の製造原料として付加成分を含むか、含まないかの違い以外は、同様の製造方法で製造することができるという共通する技術的特徴を有する。換言すれば、「粒状米粉加工物」は、「付加成分を含まない粒状食品加工物」ということもできる。
【0026】
また、「粒状米粉加工物」や「粒状食品加工物」の粒径(大きさ)は、本発明の目的を損なわない限り制限はないが、0.3mm以上4.5mm以下とすることができる。なお、本発明の粒状食品加工物の粒径は、篩分け法により測定し、篩の目開きで表したものである。
このような粒径(0.3mm以上4.5mm以下)の場合、粒状米粉加工物と粒状食品加工物は、日本で一般的に流通している米(短粒種(5mm程度))の大きさ(長さ)より小さい。
【0027】
以下、「本発明の粒状米粉加工物の製造方法」、「本発明の粒状米粉加工物」、「本発明の粒状食品加工物の製造方法」、「本発明の粒状食品加工物」及び「本発明の食品組成物」のそれぞれについて説明する。
【0028】
「1.粒状米粉加工物の製造方法及び粒状米粉加工物」
[1-1.粒状米粉加工物の製造方法]
本発明の粒状米粉加工物の製造方法は、原料米粉と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、得られた造粒物を、当該造粒物に含まれる前記原料米粉が糊化するまで加熱する加熱工程と、加熱された造粒物を乾燥する乾燥工程と、を有する。
【0029】
本発明の粒状米粉加工物の製造方法は、原料米粉と水とを含む混合物を成形し造粒物を造粒して得られた造粒物を加熱し、次いで、加熱後の造粒物を乾燥する製造方法である。
製造する粒状米粉加工物は、発明の目的を損なわない限り制限はないが、粒径が0.3mm以上4.5mm以下(好適には0.5mm以上3mm以下)とすることができる。
【0030】
本発明の粒状米粉加工物の製造方法によれば、優れた食味と食感を有する粒状米粉加工物を得ることができる。
【0031】
以下、本発明の粒状米粉加工物の製造方法について詳細に説明する。
なお、本発明の粒状米粉加工物の製造方法の各工程について、
図1に示すフローチャートを参照して説明する。
【0032】
図1に示すように、本発明の粒状米粉加工物の製造方法は、造粒工程、加熱工程及び乾燥工程の順で行う。また、必要に応じて、油脂でコーティングする工程、味付け工程、篩分け工程等、その他の工程を追加して行うことができる。
【0033】
以下の説明において、造粒工程を「工程(1)」、加熱工程を「工程(2)」、乾燥工程を「工程(3)」と記載する場合がある。
【0034】
<工程(1)>
工程(1)は、原料米粉と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る工程である。
【0035】
(原料米粉)
原料米粉は、本発明の粒状米粉加工物の製造に用いられる米粉であり、原料となる米を粉砕、粉末化したものである。
【0036】
原料となる米は、通常、うるち米が用いられるが、本発明の効果を損なわない限り、有色米、古代米、もち米等を用いてもよい。
うるち米の種類としてはジャポニカ米やインディカ米、ジャバニカ米等があり、本発明の目的に応じて適宜選択される。
原料となる米は、発芽の有無、産地や品種も特に限定されず、日本国内産、日本以外の外国産等の産地は問わない。
原料となる米は、長粒種(長さ:6.61mm以上、長さ/幅の比:3.0以上)、中粒種(長さ5.5~6.60mm程度、長さ/幅の比:2.1~2.9)、短粒種(長さ:5mm程度、長さ/幅の比:2.0以下)のいずれも使用できる。
【0037】
原料米粉の原料となる米の種類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
また、原料となる米は、精米の程度も特に限定されず、白米、分づき米、玄米等が挙げられる。
本発明における原料米粉として、典型的には、白米粉が用いられるが、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、他の米粉を用いてもよい。
【0039】
原料米粉は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合は、それぞれを任意の割合で混合して使用することができる。
【0040】
原料米粉は、白米粉及び玄米粉の両方またはいずれか一方であってもよい。
原料米粉が白米粉及び玄米粉の両方(白米粉と玄米粉との混合物)である場合、白米粉と玄米粉との配合割合(重量比)は、例えば、1:0.01~1:100とすることができる。
【0041】
栄養価を高めるためには、原料米粉として、玄米を粉砕した玄米粉を用いることが好ましい。玄米は、イネ種子から籾殻のみを除いたものであり、白米層(胚乳)の周囲を外側からロウ層、糠層(果皮、種皮、及び糊粉層)の順で覆われている。本発明において玄米の表皮は、ロウ層及び糠層を含む。
【0042】
原料となる玄米は、うるち米(ジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米等)の玄米であるが、さらにその他の玄米を含んでいてもよい。その他の玄米としては、例えば、有色米(黒米、赤米、緑米等)、香り米等が挙げられる。玄米は、産地や品種も特に限定されない。
【0043】
原料米粉の製造方法は任意であるが、原料米粉は、典型的には、原料となる米を粉砕することによって得ることができる。粉砕処理には、ハンマーミルやジェットミル等の公知の食品用粉砕機が用いられる。また、粉砕後に必要に応じて他の処理を行ってもよい。
【0044】
得られた原料米粉は、通常、篩等により目的とする粒度に分級される。
原料米粉は、粉砕機の種類や粉砕時間によって、目的とする粒度に調製することができる。
【0045】
また、原料米粉の粒度は、水と混合し、造粒できるものであればよく、様々な粒度の原料米粉を含有することができる。原料米粉は、1種類の粒度の米粉を単独で使用してもよく、2種類以上の異なる粒度の米粉を組み合わせて使用してもよい。
また、粒度の異なる米粉を組み合わせて混合する場合、それぞれの米粉(異なる粒度の原料米粉)の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜調整することができる。
【0046】
原料米粉の粒度は、粒状米粉加工物の目的とする食感や造粒性を考慮して適宜選択すればよい。例えば、平均粒度(D50)140μm以上450μm未満の米粉を使用すると、粒状米粉加工物は、モチモチとした食感となる。
ここで、平均粒度(D50)は、累積体積分布が50%になる粒径を表し、メジアン径とも呼ばれる。
【0047】
また、目的とする粒状米粉加工物を食した際にプチプチとした食感を得るためには、平均粒度(D50)450μm以上650μm以下の米粉を使用することが好ましい。このような粒度の米粉を含有して製造される粒状米粉加工物は、後述する実施例の通り、プチプチとした食感(デュラム小麦で製造されたクスクスと同等の食感)となる。
【0048】
また、造粒時のダマの発生を抑える観点から、平均粒度(D50)450μm以上650μm以下の米粉を使用することが好ましく、この場合、得られる粒状米粉加工物の歩留まり率を向上させることができる。
【0049】
原料米粉が、平均粒度(D50)650μm超だと、原料米粉と水との混合時にダマが発生しやすく、造粒しにくい場合がある。
原料米粉が、平均粒度(D50)450μm未満だと、原料米粉と水とを混合しにくく、十分に混合するためには多くの水分を必要とし、造粒しにくい場合がある。
【0050】
(配合割合)
工程(1)に用いる水の量は、本発明の効果を奏す範囲で、原料米粉の種類や粒度等に応じて、造粒物を造粒することができる範囲で適宜調整することができる。
【0051】
原料米粉の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。以下、原料米粉として、白米粉や玄米粉を使用した場合の配合割合について説明する。
【0052】
白米粉のみを使用する場合は、白米粉の合計を100重量%としたときに、水の量は、例えば、20~50重量%が挙げられる。
【0053】
玄米粉のみを使用する場合は、玄米粉の合計を100重量%としたときに、水の量は、例えば、30~45重量%が挙げられる。
【0054】
白米粉と玄米粉の両方を使用する場合は、白米粉及び玄米粉の合計を100重量%としたときに、水の量は、例えば、20~50重量%挙げられる。この場合、白米粉と玄米粉との配合割合(重量比)は、例えば、1:0.01~1:100とすることができる。
【0055】
原料米粉と混合する水の量は、混合する原料米粉の量や種類、外部環境の温度や湿度に応じて適宜設定される。
原料米粉に対して、水分量が多すぎると、ドウ状(生地状)になり、少なすぎると原料米粉がまとまらず、造粒するのが難しくなる可能性がある。
【0056】
原料米粉と混合される水は、本発明の効果を損なわない限り、他の成分を含んでいてもよい。他の成分として、典型的には食塩が挙げられるが、これに限定されない。
【0057】
原料米粉と混合される水は、本発明の効果を損なわない限り、様々な温度域の水を用いてもよい。混合される水の温度域としては、例えば、0℃~100℃、10℃~80℃、15℃~60℃、20℃~50℃の範囲が挙げられる。
【0058】
造粒工程において、原料米粉と水が十分に混合されるのであれば、どのような混合方法を用いてもよく、混合順序は特に限定されない。一方を他方に加えて混合してもよく、両者を同時に加えて混合してもよい。
【0059】
また、原料米粉と水の混合条件は任意であり、原料米粉と水とが十分に混合できればよく、混合される材料(原料米粉や水)の種類、量、配合割合等に応じて適宜決定される。また、混合には、公知の混合器具又は混合装置を用いることができる。
【0060】
また、造粒物の造粒方法は、公知の造粒方法により粒状に造粒することができる。例えば、混合する過程で自然に造粒させる方法や撹拌造粒機等の公知の造粒機を用いて造粒する方法が挙げられる。
【0061】
本発明における造粒物とは、粉末状の原料が、結着・凝集して粒状化している状態のものを意味する。
なお、工程(1)で得られる造粒物は、後工程(工程(2)や工程(3)等)で加熱処理や乾燥処理されて状態が変化するが、本明細書において、特段説明しない限り、処理後の造粒物も単に「造粒物」と記載するものとする。
【0062】
造粒物の大きさは、本発明の目的を損なわない限り特に限定されないが、造粒物の大きさとしては、例えば、0.3mm~5mm、0.5mm~4mm、1mm~3mm、とすることができる。
目的とする大きさの造粒物は篩分けによりを得ることができる。例えば、大きさ1mm~3mmの造粒物を得るためには、1mm未満や3mm超の造粒物を除外するように篩分けすればよい。
【0063】
また、篩分けを行わずに目視により、造粒物の大きさを決めてもよい。目視により造粒物の大きさを決める場合は、造粒物の形状が球形である場合はその直径、造粒物の形状が球形以外の場合は、最大長を示す方向の長さを造粒物の大きさとするものとし、特定の範囲以外の造粒物がある場合はこれを取り除けばよい。
【0064】
なお、造粒物の大きさは、目的とする粒状米粉加工物の大きさ(粒径)に対応するが、後工程の加熱工程や乾燥工程(工程(2)や工程(3))によって粒状米粉加工物の大きさ(粒径)が変化する。そのため、必要に応じて、造粒物は、加熱工程(工程(2))や乾燥処理(工程(3))の後に、篩分け等によって目的とする大きさにして回収してもよい。
【0065】
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得られた造粒物を加熱する工程である。
【0066】
粒状米粉加工物の製造方法において、加熱工程における加熱方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、直火や蒸煮等による加熱が挙げられる。直火による加熱は、造粒物の表面の水分が飛びすぎる場合があるが、蒸煮による加熱では、水蒸気の共存下で造粒物を加熱することができる。そのため、加熱方法として、蒸煮による加熱を行うこと好ましい。
【0067】
工程(2)において、加熱条件は、造粒物に含まれる原料米粉を糊化できる加熱条件であればよい。
ここで、「糊化」とは、デンプンを水と加熱することにより、デンプン分子が規則性を失い、糊状になることである。糊化されたデンプンは、酵素により分解されやすくなり、体内での消化性を向上させることができる。
【0068】
加熱条件は、造粒物に含まれる原料米粉が糊化され、かつ、造粒物の形状を維持できる範囲内で適宜設定され、造粒物の量や種類等に応じて適宜決定される。
【0069】
加熱条件として、造粒物に含まれる原料米粉の全部が糊化される加熱条件であってもよい。工程(2)において、造粒物に含まれる原料米粉の全部を完全に糊化することによって、目的物である粒状米粉加工物に追加の加熱を行うことなく、そのままで摂食したり、水や湯(スープ、お茶等も含む)で戻して摂食するのに適する。造粒物に含まれる原料米粉の全部を糊化させるためには、100℃で蒸煮する場合は、例えば、15分~15分である。
【0070】
また、目的物である粒状米粉加工物を加熱して調理する場合には、工程(2)において、造粒物に含まれる原料米粉の全部が糊化される必要がなく、造粒物に含まれる原料米粉の一部が糊化される加熱条件であってもよい。この場合、造粒物に含まれる原料米粉の糊化の程度は、目的物である粒状米粉加工物の調理方法によって適宜決定すればよい。
【0071】
蒸煮による加熱を行う場合、加熱温度は、例えば、80℃~120℃の範囲である。加熱時間は、加熱温度、造粒物の量や種類、原料米粉の糊化の程度、加熱温度等に応じて適宜決定される。
【0072】
加熱処理された造粒物は、そのまま後工程(工程(3))に供してもよく、篩等により目的とする粒度に分級した後に後工程に供してもよい。
【0073】
<工程(3)>
工程(3)は、加熱後の造粒物を乾燥する工程である。
工程(3)では、加熱工程後の造粒物を乾燥することにより、水分含有率を低下させることができる。
【0074】
工程(3)の条件は任意であり、工程(2)の後の造粒物の水分含有率を低下させることができれば特に限定さない。乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥法、冷風乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、減圧乾燥法等が挙げられる。
【0075】
乾燥温度は、造粒物の水分含有率が低下する範囲内で適宜設定され、例えば、50~80℃の範囲である。
【0076】
乾燥時間は、工程(2)の後の造粒物の水分含有率が低下されればよく、乾燥される造粒物の量、温度等を勘案して決定される。乾燥後の造粒物の水分含有率は、乾燥後の造粒物を100重量%としたときに例えば、15重量%以下、10重量%以下である。水分含有率は脱水方法や脱水装置、製造時や保管時の温度や湿度により適宜調整することができる。
【0077】
(その他の工程)
また、本発明の粒状米粉加工物の製造方法では、本発明の目的を損なわない限り、上述する工程(工程(1)~工程(3))以外に、必要に応じてその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、造粒物の大きさを揃える篩分け工程、造粒物への味付け工程等が挙げられる。
【0078】
例えば、その他の工程として、篩分け工程を行い、造粒物の大きさを揃えることができる。篩分け工程を行うことにより、篩上部に残留した造粒物(いわゆる、ダマ)と、篩下部に通過した造粒物とに分けることができる。
篩分け工程を行う場合は、工程(1)の後や工程(3)の後に行うことができる。篩分け工程は、両方の工程の後に行ってもよく、一方の工程の後に行ってもよいが、工程(3)の後に行うことが好ましい。
【0079】
篩分け工程において、篩の目開きの大きさは、製造される粒状米粉加工物の大きさに応じて適宜選択される。
篩分け工程により粒状米粉加工物は、例えば、粒径0.3mm以上4.5mm以下、0.5mm以上3mm以下とすることができる。
【0080】
また、他の工程として、例えば、
図2に示すように上述した工程(1)~(3)に加えて、コーティング工程をさらに含むことができる。本発明の粒状米粉加工物の製造方法に、コーティング工程を含む場合、加熱工程(工程(2))の後に行うことが好適である。
【0081】
コーティング工程は、加熱後の造粒物を油脂でコーティングする工程である。
工程(2)の後の造粒物は、混合される米粉が糊化されているため、そのままの状態で乾燥を行うと、造粒物同士が接着し、大きなダマが形成される場合がある。コーティング工程を行うことにより、造粒物同士が接着することを防止することができる。
【0082】
使用される油脂は、一般に食用に用いられる油脂であればよく、常温で液体、あるいは固体のいずれも使用することができる。油脂が常温で液体状の場合にはそのまま使用してよく、常温で固体状の場合は加熱して液体状とした後に使用してもよい。
植物油脂としては、例えば、米油、オリーブオイル、ゴマ油、亜麻仁油、大豆油、トウモロコシ油等が挙げられ、動物油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、ラ-ド、バター、マ-ガリン、魚油等が挙げられる。本発明において、原料米粉と原料が同じである米油が好適に用いられる。
【0083】
[1-2.粒状米粉加工物]
本発明の粒状米粉加工物は、原料米粉の造粒物を加熱により糊化した乾燥させてなる粒状米粉加工物である。
本発明の粒状米粉加工物は、優れた食味と食感(モチモチ食感やプチプチ食感等)を有する。
本発明の粒状米粉加工物は、上述した粒状米粉加工物の製造方法によって好適に製造される。
【0084】
粒状米粉加工物の大きさ(粒径)は、篩分けにより適宜調整することができる。
なお、本発明の粒状米粉加工物の粒径は、篩分け法により測定し、篩の目開きで表したものである。
【0085】
特に優れた食味と食感を得るために、粒状米粉加工物の粒径は、粒径が0.3mm以上4.5mm以下であり、好適には0.5mm以上3mm以下である。このような粒径であれば、プチプチとした食感(デュラム小麦で製造されたクスクスと同等の食感)を有することができ、本発明の粒状米粉加工物をクスクス様食品とすることができる。
【0086】
本発明の粒状米粉加工物は、クスクス様食品(小麦クスクスの代替品、いわゆる「米粉クスクス」)として好適である。以下、本発明の粒状米粉加工物の好適な一例であるクスクス様食品について説明する。
【0087】
通常、クスクスは、デュラム小麦セモリナ粉を粒状に成形したものを蒸して乾燥して製造される。クスクスは、プチプチとした特有の食感が特徴であるため、通常の米粉を用いて製造しても、特有の食感を発現させにくい傾向があった。
特に、製造に用いられる原料米粉として、平均粒度(D50)450μm以上650μm以下の米粉を含有することにより、米粉を使用したとしてもプチプチとしたクスクス特有の食感を発現させることができる。
【0088】
粒状米粉加工物を食する際は、食する前に、様々な温度帯(例えば、0℃~100℃)の液体で戻す(吸水させて柔らかくする)ことが好ましい。粒状米粉加工物を戻す際の液体としては、水を使用してもよく、お茶、牛乳、豆乳や味が付与されたスープ等を使用してもよい。
【0089】
粒状米粉加工物の戻し方は、目的に応じて、様々な量の液体で行うことができる。
粒状米粉加工物と同量や少ない量の液体を含ませると、クスクス特有のプチプチとした食感を楽しむことができ、戻した粒状米粉加工物をサラダなどにかけて楽しむことができる。また、粒状米粉加工物より多い量の液体を含ませると、粒状米粉加工物が柔らかくなり、トロトロとした食感になるため、病院食、病人食、介護食、離乳食等に利用可能となる。
【0090】
なお、病院食とは病院に入院した際に供される食事であり、病人食は病人用の食事であり、介護食とは被介護者用の食事である。
上述するように、本発明の粒状米粉加工物は、液体(例えば、水、お湯、スープ、清涼飲料水、牛乳等)で戻してから摂食することができ、入院や自宅療養等されている者、あるいは介護を受けられている者用の病院食、病人食又は介護食、離乳期の乳児用の離乳食等として好ましく用いることができる。
【0091】
病院食、病人食、介護食、離乳食のために用いる場合、本発明の粒状米粉加工物を粉砕して粒径を更に小さくした後に液体と混合して流動食として用いてもよい。
【0092】
以上、クスクス様食品について説明したが、本発明の粒状米粉加工物が適用できる食品はこれに限定されない。
【0093】
本発明の粒状米粉加工物は、優れた食味と食感(例えば、モチモチ食感等)を有するため、上述したクスクス様食品以外に、フライ食品用の衣材やその他の加工食品等へ適用することができる。
【0094】
本発明の粒状食品加工物の形態は、本発明の目的を損なわない限り制限はなく、そのまま用いてもよいし、成形したり、加工食品の原料としてもよい。
本発明の粒状米粉加工物を使用した加工食品の具体例としては、パンや焼き菓子、バー成形食品(シリアルバーやグラノーラバーなど)等が挙げられる。
【0095】
本発明の粒状米粉加工物は、一般食品だけでなく、保健機能食品(特定保健機能食品、栄養機能食品又は機能性表示食品)や、いわゆる健康食品(飲料を含む)、濃厚栄養剤、流動食、病院食、病人食、介護食、健康補助食品(バランス栄養食、完全栄養食等)、乳児・幼児食等にも用いる(粒状米粉加工物がこれらの原料である場合も含む)ことができる。
【0096】
また、本発明の粒状米粉加工物は常温保存可能であり、そのまま食したり、液体で戻して(吸水させて柔らかくして)摂食可能であるため、日常食のみならず、携帯食や非常食にも適用可能である。
【0097】
本発明の粒状米粉加工物は、実質的に米粉由来であるため、グルテンフリー食料品として使用できる。また、本発明の粒状米粉加工物は、その一態様において動物性食品を含まないため、ベジタリアン又はヴィーガン食料品用として使用できる。
【0098】
「2.粒状食品加工物の製造方法及び粒状食品加工物」
[2-1.粒状食品加工物の製造方法]
本発明の粒状食品加工物の製造方法は、原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、得られた造粒物に含まれる前記原料米粉が糊化するまで加熱する加熱工程と、加熱された造粒物を乾燥する加熱工程と、を有する粒状食品加工物の製造方法である。
製造する粒状食品加工物は、発明の目的を損なわない限り制限はないが、粒径が0.3mm以上4.5mm以下(好適には0.5mm以上3mm以下)とすることができる。
【0099】
本発明の粒状食品加工物の製造方法は、造粒物を製造するにあたり、「原料米粉と水とを含む混合物」に代えて「原料米粉と付加成分と水とを含む混合物」を使用すること以外は、上述した[1-1.粒状米粉加工物の製造方法]と同様の製法である。
【0100】
本発明の粒状食品加工物の製造方法によれば、優れた食味と食感を有する粒状食品加工物を得ることができる。
【0101】
以下、本発明の粒状食品加工物の製造方法について詳細に説明する。
【0102】
なお、本発明の粒状食品加工物の製造方法の各工程について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
図3に示すように、粒状食品加工物の製造方法は、造粒工程、加熱工程及び乾燥工程の順で行う。また、必要に応じて、油脂でコーティングする工程、味付け工程、篩分け工程等、その他の工程を追加して行うことができる。
【0103】
以下の説明において、造粒工程を「工程(1)」、加熱工程を「工程(2)」、乾燥工程を「工程(3)」と記載する場合がある。
【0104】
<工程(1)>
工程(1)は、原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒して造粒物を得る工程である。ここでの造粒物とは、原料米粉と付与成分が、結着・凝集して粒状化している状態を意味する。
【0105】
(原料米粉)
原料米粉は、本発明の粒状食品加工物の製造に用いられる米粉であり、原料となる米を粉砕、粉末化したものである。
原料米粉は、上記[1.本発明の粒状米粉加工物の製造方法]で説明した原料米粉と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0106】
原料米粉は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合は、それぞれを任意の割合で混合して使用することができる。
【0107】
原料米粉が、白米粉及び玄米粉の両方またはいずれか一方であることが好ましい。
原料米粉が白米粉及び玄米粉の両方(白米粉と玄米粉との混合物)である場合、白米粉と玄米粉との配合割合(重量比)は、例えば、1:0.01~1:100とすることができる。
【0108】
栄養価を高めるためには、原料米粉として、玄米を粉砕した玄米粉を用いることが好ましい。玄米について上記[1.本発明の粒状米粉加工物の製造方法]で説明した通りである。
【0109】
得られた原料米粉は、通常、篩等により目的とする粒度に分級される。
原料米粉は、粉砕機の種類や粉砕時間によって、目的とする粒度に調製することができる。
【0110】
また、原料米粉の粒度は、付加成分及び水と混合し、造粒できるものであればよく、様々な粒度の原料米粉を含有することができる。原料米粉は、1種類の粒度の米粉を単独で使用してもよく、2種類以上の異なる粒度の米粉を組み合わせて使用してもよい。
また、粒度の異なる米粉を組み合わせて混合する場合、それぞれの米粉(異なる粒度の原料米粉)の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜調整することができる。
【0111】
原料米粉の粒度は、粒状食品加工物の目的とする食感や造粒性を考慮して適宜選択すればよい。例えば、平均粒度(D50)140μm以上650μm以下の米粉を使用することができる。
【0112】
(付加成分)
付与成分は、原料米粉と共に造粒物を構成する成分である。
本発明の粒状食品加工物は、原料として付与成分を含むことにより、米粉のみでは不足する栄養素や食味が付与される。
【0113】
付加成分の形態は、原料米粉と共に造粒物を形成できる限り、付与成分の種類や配合量等に応じて適宜選択でき、例えば、粉末状、粒状、液状、ペースト状、クリーム状等を挙げられる。
造粒性の観点からは粉末状や粒状である場合は原料米粉と同程度の粒度にしてもよい。但し、上述の通り、原料米粉と共に造粒物を形成できればよく、原料米粉より小さな粒度の付加成分や大きな粒度の付加成分も併用して使用できる。
【0114】
付与成分の種類は、食用可能な成分であれば、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
付与成分は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。付加成分を2種以上組み合わせる場合は、それぞれの混合比は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設定することができる。
【0115】
付加成分は、通常、加工食品の製造に使用される原料であれば、特に制限されないが、植物性食品、動物性食品、調味料、香辛料、任意の添加物成分等を含んでもよい。任意の添加物成分としては、乳化剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、着色料、調味料、香料等が挙げられる。
【0116】
付加成分として、植物性食品及び動物性食品の両方またはいずれか一方を含んでいてもよい。
【0117】
なお、付加成分として、動物性食品を含まず、植物性食品(必要に応じて非動物性の添加物成分)を含む場合、本発明の粒状食品加工物は、ベジタリアン又はヴィーガン食料品用として使用できる。
但し、動物性食品を含まない場合であっても、食料品はベジタリアン又はヴィーガン食料品である必要はなく、当然に一般食品として使用できる。
【0118】
付加成分としての植物性食品の一例は、穀類、イモ類、種実類、豆類、野菜類、果実類、キノコ類及び藻類から選択される1種以上の植物性食品が挙げられる。
【0119】
穀類としては、粟、燕麦、大麦、きび、キヌア、小麦、サトウキビ、蕎麦、トウモロコシ等が挙げられる。
イモ類としては、蒟蒻芋、馬鈴薯、里芋、さつま芋、自然薯、キャッサバ等が挙げられる。
種実類としては、アーモンド、ゴマ、カシューナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、銀杏、栗、胡桃、ココナツ、エゴマ等が挙げられる。
豆類としては、インゲン、大豆、エンドウ、小豆、そら豆、レンズ豆、落花生等が挙げられる。
【0120】
野菜類としては、トマト、大根、アスパラガス、南瓜、生姜、ごぼう、玉葱、人参、ブロッコリー、ほうれん草等が挙げられる。
果実類としては、アボカド、イチゴ、ブドウ、ブルーベリー、イチジク、柑橘類、キウイ、バナナ、マンゴー等が挙げられる。
キノコ類としては、シイタケ、エノキタケ、マイタケ、ブナシメジ、ヒラタケ、エリンギ、マッシュルーム等が挙げられる。
藻類としては、昆布、わかめ、ひじき、モズク、スピルリナ、クロレラ、ミドリムシ(ユーグレナ)等が挙げられる。
【0121】
また、付加成分が植物性食品である場合には、原料米粉と共に造粒物が形成できる限り、付加成分(植物性食品)を生のままで使用してもよく、加熱(焼成、煮る、蒸す、茹でる等)、凍結、乾燥等の各種処理を単独もしくは複数組合せて施したものを用いてもよい。また、目的とする大きさ、形状にするために粉砕、細断等の処理を行ってもよい。
【0122】
また、付加成分の一例は、食肉類、卵類、乳製品類及び魚介類から選択される1種以上の動物性食品が挙げられる。
動物性食品としては、食肉類、卵類、乳製品類、魚介類等が挙げられる。これらは、生のままでもよく、加工したもの(干物や燻製物等)でもよい。
食肉類としては、牛、豚、馬、羊、猪、鹿、鶏、ウズラ、アヒル、ガチョウ、鴨等が挙げられる。
卵類としては、全卵、卵黄、卵白等が挙げられる。
乳製品類としては、チーズ、バター、ヨーグルト、全粉乳、脱脂粉乳、加糖練乳、無糖練乳等が挙げられる。
魚介類としては、魚類、貝類、甲殻類、頭足類が挙げられる。
【0123】
また、付加成分が動物性食品である場合には、粒状食品加工物の目的に応じて、付加成分(動物性食品)を生のままで使用してもよく、加熱(焼成、煮る、蒸す、茹でる等)、凍結、乾燥等の各種処理を単独もしくは複数組合せて施したものを用いてもよい。また、目的とする大きさ、形状にするために粉砕、細断等の処理を行ってもよい。
【0124】
また、付加成分はビタミン類、ミネラル、アミノ酸等の栄養成分を含んでいてもよい。
このような成分としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、鉄、銅、亜鉛、モリブテン、およびマンガン等が挙げられる。
【0125】
(配合割合)
原料米粉と付与成分との配合割合は、原料米粉の種類(白米粉、玄米粉)や粒度、及び付与成分の種類や形態、付与したい栄養素等に応じて適宜選択される。
【0126】
原料米粉と付与成分の合計を100重量%としたときに、原料米粉の量は、例えば、10重量%~90重量%、20重量%~80重量%、とすることができる。
【0127】
工程(1)に用いる水の量は、本発明の効果を奏す範囲で、原料米粉の種類や粒度、付与成分の種類や形態等に応じて、造粒物を造粒することができる範囲で適宜調整することができる。特に付与成分が、液体又は液体を含む材料(果物類、野菜類等)である場合には、付与成分が含有する水分量を考慮して、工程(1)に用いる水の量を決定すればよい。
【0128】
原料米粉と付与成分の合計を100重量%としたときに、水の含有量は、例えば、5~50重量%が挙げられる。
【0129】
使用する水の量は、外部環境の温度や湿度に応じて適宜調整してもよい。
【0130】
使用する水は、本発明の効果を損なわない限り、様々な温度域の水を用いてもよい。混合される水の温度域としては、例えば、0℃~100℃の範囲が挙げられる。
【0131】
使用する水は、本発明の効果を損なわない限り、他の成分を含んでいてもよい。他の成分として、典型的には食塩が挙げられるが、これに限定されない。
【0132】
造粒工程において、原料米粉と付与成分と水が十分に混合されるのであれば、どのような混合方法を用いてもよく、混合順序は特に限定されない。一方を他方に加えて混合してもよく、すべてを同時に加えて混合してもよい。
【0133】
また、原料米粉と付与成分と水の混合条件は任意であり、原料米粉と付与成分と水とが十分に混合できればよく、混合される材料(原料米粉や水)の種類、量、配合割合等に応じて適宜決定される。また、混合には、公知の混合器具又は混合装置を用いることができる。
【0134】
また、造粒物の造粒方法は、公知の造粒方法により粒状に造粒することができる。例えば、混合する過程で自然に造粒させる方法や撹拌造粒機等の公知の造粒機を用いて造粒する方法が挙げられる。
【0135】
造粒物の大きさは、本発明の目的を損なわない限り特に限定されないが、造粒物の大きさとしては、例えば、0.3mm~5mm、0.5mm~4mm、1mm~3mm、とすることができる。
目的とする大きさの造粒物は篩分けによりを得ることができる。また、篩分けを行わずに目視により、造粒物の大きさを決めてもよい。詳細は[1-1.粒状米粉加工物の製造方法]で上述した内容と同様であるため、説明を省略する。
【0136】
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得られた造粒物を加熱する工程である。
工程(2)は、上記[1.本発明の粒状米粉加工物の製造方法]で説明した工程(2)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0137】
工程(2)における加熱方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、直火や蒸煮等による加熱が挙げられる。
直火による加熱は、造粒物の表面の水分が飛びすぎる場合があるが、蒸煮による加熱では、水蒸気の共存下で造粒物を加熱することができる。そのため、加熱方法として、蒸煮による加熱を行うこと好ましい。
【0138】
蒸煮による加熱を行う場合、例えば、加熱温度は、80℃~120℃の範囲である。加熱時間は造粒物の量や種類、原料米粉の糊化の程度、及び付与成分の種類や形態、加熱温度等に応じて適宜決定される。
【0139】
加熱条件は、造粒物に含まれる原料米粉が糊化され、かつ、造粒物の形状を維持できる範囲内で、造粒物の量や種類、及び付与成分の種類や形態等に応じて適宜決定すればよい。
【0140】
加熱条件として、造粒物に含まれる原料米粉の全部が糊化される加熱条件であってもよい。造粒物に含まれる原料米粉の全部を糊化させるためには、100℃で蒸煮する場合は、例えば、15分~15分である。
なお、原料米粉と共に造粒物に含まれる付与成分についても、上記加熱条件(原料米粉の全部が糊化される加熱条件)で食することが可能である場合には、目的物である粒状食品加工物に追加の加熱を行うことなく、そのままで摂食したり、水や湯(スープ、お茶等も含む)で戻して摂食するのに適する。
【0141】
また、目的物である粒状食品加工物を加熱して調理する場合には、工程(2)において、造粒物に含まれる原料米粉の一部が糊化される加熱条件であってもよい。
この場合、造粒物に含まれる原料米粉の糊化の程度は、目的物である粒状米粉加工物の調理方法(加熱条件)に応じて決定すればよい。
すなわち、目的物である粒状食品加工物を加熱して調理する際に、粒状食品加工物に含まれる原料米粉の全部が糊化し、かつ、付与成分が食することが可能になるように調理方法(加熱条件)を適宜決定すればよい。
【0142】
加熱処理された造粒物は、そのまま後工程(工程(3))に供してもよく、篩等により目的とする粒度に分級した後に後工程に供してもよい。
【0143】
<工程(3)>
工程(3)は、加熱後の造粒物を乾燥する工程である。
工程(3)では、加熱工程後の造粒物を乾燥することにより、水分含有率を低下させることができる。
【0144】
工程(3)は、上記[1-1.粒状米粉加工物の製造方法]で説明した工程(3)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0145】
工程(3)の条件は任意であり、工程(2)の後の造粒物の水分含有率を低下させることができれば特に限定さない。乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥法、冷風乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、減圧乾燥法等が挙げられる。
【0146】
乾燥温度は、造粒物の水分含有率が低下する範囲内で適宜設定され、例えば、50~80℃の範囲である。
【0147】
乾燥時間は、工程(2)の後の造粒物の水分含有率が低下されればよく、乾燥される造粒物における原料米粉や付加成分の種類と割合、温度等を勘案して決定される。乾燥後の造粒物の水分含有率は、乾燥後の造粒物を100重量%としたときに例えば15重量%以下、10重量%以下である。水分含有率は脱水方法や脱水装置、製造時や保管時の温度や湿度により適宜調整することができる。
【0148】
(その他の工程)
また、本発明の粒状食品加工物の製造方法では、本発明の目的を損なわない限り、上述する工程(工程(1)~工程(3))以外に、必要に応じてその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、造粒物の大きさを揃える篩分け工程、造粒物への味付け工程等が挙げられる。
【0149】
例えば、その他の工程として、篩分け工程を行い、造粒物の大きさを揃えることができる。篩分け工程を行うことにより、篩上部に残留した造粒物(いわゆる、ダマ)と、篩下部に通過した造粒物とに分けることができる。
篩分け工程を行う場合は、工程(1)の後や工程(3)の後に行うことができる。篩分け工程は、両方の工程の後に行ってもよく、一方の工程の後に行ってもよいが、工程(3)の後に行うことが好ましい。
【0150】
篩分け工程において、篩の目開きの大きさは、製造される粒状食品加工物の大きさに応じて適宜選択される。
篩分け工程により粒状食品加工物は、例えば、粒径0.3mm以上4.5mm以下、0.5mm以上3mm以下とすることができる。
【0151】
[2-2.粒状食品加工物]
本発明の粒状食品加工物は、原料米粉と付加成分と水とを含む混合物を造粒した造粒物を、当該造粒物に含まれる原料米粉が糊化するまで加熱した後に乾燥させてなる粒状食品加工物である。
本発明の粒状食品加工物は、上述した粒状食品加工物の製造方法によって好適に製造される。
【0152】
粒状食品加工物の大きさ(粒径)は、篩分けにより適宜調整することができる。
なお、本発明の粒状食品加工物の粒径は、篩分け法により測定し、篩の目開きで表したものである。
【0153】
特に優れた食味と食感を得るために、粒状食品加工物の粒径は、粒径が0.3mm以上4.5mm以下であり、好適には0.5mm以上3mm以下である。
【0154】
本発明の粒状食品加工物は、クスクス様食品(小麦クスクスの代替品)として好適である。
【0155】
粒状食品加工物を食する際は、食する前に、様々な温度帯(例えば、0℃~100℃)の液体で戻す(吸水させて柔らかくする)ことが好ましい。
粒状食品加工物を戻す際の液体としては、水を使用してもよく、お茶、牛乳、豆乳や味が付与されたスープ等を使用してもよい。
【0156】
粒状食品加工物の戻し方は、目的に応じて、様々な量の液体で行うことができる。
本発明の粒状食品加工物は、液体(例えば、水、お湯、スープ、清涼飲料水、牛乳等)で戻してから摂食することができる。
【0157】
なお、病院食、病人食、介護食、離乳食のために用いる場合、本発明の粒状食品加工物を粉砕して粒径を更に小さくした後に液体と混合して流動食として用いてもよい。
【0158】
本発明の粒状食品加工物は、優れた食味と食感を有し、かつ、付与成分に由来する栄養素を含む。
そのため、本発明の粒状食品加工物は、一般食品だけでなく、保健機能食品(特定保健機能食品、栄養機能食品又は機能性表示食品)や、いわゆる健康食品(飲料を含む)、濃厚栄養剤、流動食、病院食、病人食、介護食、健康補助食品(バランス栄養食、完全栄養食等)、乳児・幼児食等にも用いる(粒状米粉加工物がこれらの原料である場合も含む)ことができる。
【0159】
特に付与成分として、ヒトが健康を維持するための栄養素を含む付与成分を選択することによって、本発明の粒状食品加工物を栄養バランス食品として使用できる。
本発明の粒状食品加工物を栄養バランス食品とするためには、本発明の粒状食品加工物を摂取することで、日々の活動に必要なエネルギーや、体の修復、成長、健康維持ができるように、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどが適切な比率で含まれるように付与成分の種類や量を設計すればよい。
【0160】
本発明の粒状食品加工物の形態は、本発明の目的を損なわない限り制限はなく、そのまま用いてもよいし、成形したり、加工食品の原料としてもよい。
本発明の粒状米粉加工物を使用した加工食品の具体例としては、パンや焼き菓子、バー成形食品(シリアルバーやグラノーラバーなど)等が挙げられる。
【0161】
また、本発明の粒状食品加工物は常温保存可能であり、そのまま食したり、液体で戻して(吸水させて柔らかくして)摂食可能であるため、日常食のみならず、携帯食や非常食にも適用可能である。
【0162】
本発明の粒状食品加工物は、付与成分に小麦を使用しない場合、グルテンフリー食料品として使用できる。
また、本発明の粒状食品加工物は、その一態様において動物性食品を含まないため、ベジタリアン又はヴィーガン食料品用として使用できる。
【0163】
「3.粒状米粉加工物及び/又は粒状食品加工物を含む食品組成物」
本発明の食品組成物は、上述した本発明の粒状米粉加工物及び本発明の粒状食品加工物の両方またはいずれか一方と、被混合成分とを含む食品組成物である。
【0164】
本発明の食品組成物は、本発明の粒状加工物(粒状米粉加工物や粒状食品加工物)に由来する食感、食味と共に、被混合成分に由来する機能性や栄養素が付与される。
【0165】
本発明の食品組成物を説明するにあたり、「本発明の粒状米粉加工物」と「本発明の粒状食品加工物」とを総称して「本発明の粒状加工物」と記載する。両者を区別する場合には、「本発明の粒状米粉加工物」、「本発明の粒状食品加工物」と記載する。
【0166】
本発明の食品組成物は、本発明の粒状加工物(粒状米粉加工物及び/又は粒状食品加工物)と任意の被混合成分とを含む。
【0167】
なお、本発明の食品組成物における「粒状米粉加工物」は、上述した本発明の粒状米粉加工物と実質的に同じであるため、詳細な説明を省略する。
同様に、本発明の食品組成物における「粒状食品加工物」は、上述した本発明の粒状食品加工物と実質的に同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0168】
本発明の食品組成物に含まれる粒状加工物は、本発明の粒状米粉加工物及び本発明の粒状食品加工物の両方またはいずれか一方であればよい。
本発明の粒状加工物が本発明の粒状米粉加工物及び本発明の粒状食品加工物の両方である場合は、それぞれの混合比は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設定することができる。例えば、本発明の粒状米粉加工物及び本発明の粒状食品加工物との配合割合(重量比)は、1:0.01~1:100とすることができる。
【0169】
本発明の食品組成物において、「被混合成分」は、本発明の粒状加工物と共に配合される追加の成分を指し、その存在が食品組成物の特性や品質に影響を与える成分である。
本発明の食品組成物は、被混合成分を含むことによって、被混合成分に由来する機能性や栄養素が付与される。
【0170】
被混合成分の形態は、本発明の目的を損なわない限り、被混合成分の種類や配合量等に応じて適宜選択でき、例えば、粉末状、粒状、液状、ペースト状、クリーム状等を挙げられる。
【0171】
被混合成分の種類は、食用可能な成分であれば、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、上述の[2-1.粒状食品加工物の製造方法]における「付与成分」として例示した植物性食品、動物性食品、調味料、香辛料等を使用することができ、本発明の目的を損なわない限り任意であり、本発明の食品組成物の使用目的に応じて適宜決定すればよい。
【0172】
また、本発明の食品組成物に機能性を与える被混合成分の例としては、ゼラチン、アルギン酸塩、キサンタンガム、ペクチン、セルロースガム等、が挙げられる。これらは特定の食感を与えると共に、低カロリーで満腹感を与えるためダイエット食品として好適に使用される。
【0173】
被混合成分は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。被混合成分を2種以上組み合わせる場合は、それぞれの混合比は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設定することができる。
【0174】
本発明の粒状加工物(粒状米粉加工物及び/又は粒状食品加工物)と被混合成分との混合割合は、本発明の目的を損なわない限り任意であり、本発明の食品組成物の使用目的に応じて適宜決定すればよい。
本発明の食品組成物において、本発明の粒状加工物(粒状米粉加工物及び/又は粒状食品加工物)と被混合成分との配合割合(重量比)は、例えば、1:0.01~1:100とすることができる。
【0175】
本発明の食品組成物の好適な一例では、被混合成分として植物性食品を含み、特には穀類、イモ類、種実類、豆類、野菜類、果実類、キノコ類及び藻類から選ばれる1種以上の植物性食品を含む。それぞれの具体例は、上述の[2-1.粒状食品加工物の製造方法]における「付与成分」においての例示と同様のものが使用できるため、説明を省略する。
【0176】
(配合割合)
本発明の食品組成物は、粒状加工物と被混合成分と任意の方法で混合し、必要に応じて追加処理(加熱処理等)を施すことによって製造することができる。
本発明の食品組成物における粒状加工物(粒状米粉加工物又は粒状食品加工物)と被混合成分との割合は、本発明の食品組成物の目的に応じて適宜選択すればよい。
本発明の食品組成物における粒状加工物の割合は特に制限はないが、粒状加工物と被混合成分との合計を100重量%としたときに、例えば、30重量%~95重量%、40重量%~80重量%、とすることができる。
【0177】
本発明の食品組成物は、一般食品だけでなく、保健機能食品(特定保健機能食品、栄養機能食品又は機能性表示食品)や、いわゆる健康食品(飲料を含む)、濃厚栄養剤、流動食、病院食、病人食、介護食、健康補助食品(バランス栄養食、完全栄養食等)、乳児・幼児食等にも用いることができる。
なお、本発明の食品組成物において、本発明の粒状加工物及び被混合成分の両方が動物性食品を含まず、植物性食品(必要に応じて非動物性の添加物成分)を含む場合、本発明の食品組成物は、ベジタリアン又はヴィーガン食料品用として使用できる。但し、動物性食品を含まない場合であっても、食料品はベジタリアン又はヴィーガン食料品である必要はなく、当然に一般食品として使用できる。
【0178】
また、本発明の食品組成物は、粒状加工物及び被混合成分に小麦又は小麦由来原料を使用しない場合、グルテンフリー食料品として使用できる。
【実施例0179】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0180】
<1.粒状米粉加工物>
クスクス様食品を想定して、以下の粒状米粉加工物を製造した。
<1-1.原料米粉の製造方法>
原料米粉(白米粉、玄米粉)を以下の方法で製造した。
(白米粉の製造)
原料となる米(白米)を製粉機(株式会社サタケ,SRG05C)を用いて粉砕し、この製粉機に付属されるスクリーン(A2,A4~A7)に通すことによって、平均粒度(D50)が異なる原料米粉(白米粉)を製造した。製造された白米粉は以下の通りである。
白米粉A:スクリーンA2(平均粒度(D50)140μm)
白米粉B:スクリーンA4(平均粒度(D50)270μm)
白米粉C:スクリーンA5(平均粒度(D50)450μm)
白米粉D:スクリーンA6(平均粒度(D50)500μm)
白米粉E:スクリーンA7(平均粒度(D50)650μm)
【0181】
(玄米粉の製造)
原料となる米として、玄米を使用した以外は、上記(白米粉の製造)の方法と同様にして、玄米粉Aを製造した。
なお、玄米粉は、製粉機に付属されるスクリーンA6を用いて製造した。
【0182】
<1-2.粒状米粉加工物の製造方法>
上記<1-1.原料米粉の製造方法>で製造された白米粉(白米粉A~E)を使用し、粒状米粉加工物を以下の方法で製造した。
平均粒度(D50)が異なる白米粉(白米粉A~E)及び水の配合量は表1に示す配合量に従った。
(造粒工程)
白米粉と水(水道水)を均一になるまで混合し、1粒が1~3mm程度の粒状の造粒物になるように造粒した。
(加熱工程)
造粒された造粒物を、スチームコンベクションオーブン(タニコー株式会社製)を用いて100℃で10分間蒸した。
(味付け工程)
蒸煮工程後の造粒物100重量部に対して、塩0.3重量部を加えて、全体になじませるように混合した。
(コーティング工程)
次に、造粒物100重量部に対して、米油6重量部を加えて、全体になじませるように混合し、造粒物をコーティングした。
(乾燥工程)
その後、得られた造粒物を、乾燥機を用いて75℃で5時間乾燥させた。
(篩分け工程)
乾燥工程後の造粒物がパラパラな状態であることを確認し、得られた造粒物を、目開きが2mmの篩で篩分けを行うことにより、造粒物の大きさを整え、粒状米粉加工物を得た。
【0183】
【0184】
図4に上記<1-2.粒状米粉加工物の製造方法>で得られた粒状米粉加工物(製造例4)を示す。
図4(下)に示す通り、粒状米粉加工物1粒当たりの大きさは、1~2mmであった。
【0185】
(評価1:歩留まり率の評価試験)
上記(乾燥工程)後の造粒物に対して篩分けを行い、歩留まり率を評価した。
上記(篩分け工程)の通り、得られたそれぞれの粒状米粉加工物を目開きが2mmの篩に通した。篩上部に残ったダマの重量(g)と篩下部の重量(g)を測定して、歩留まり率ついて評価した。歩留まり率は、全体重量(篩上部+篩下部)に対する、篩下部の重量を百分率(%)により算出した。表2に篩分けの結果を示す。
【0186】
【0187】
表2の通り、製造例1~2及び製造例6の粒状米粉加工物の歩留まり率が、54%~77%であったのに対して、製造例3~5の粒状米粉加工物の歩留まり率は、92%~100%と高い値であった。
【0188】
(評価2:官能試験)
パネラー(30代~60代の女5名)を対象に、上記の方法で製造された製造例1~6の粒状米粉加工物を食し、食感、におい及び味についての官能試験を行った。
なお、製造例1~6の粒状米粉加工物のうち、篩分け工程により、目開き2mmの篩を通過したサイズ(篩下部)を製造例1~6のクスクス様食品とし、官能試験に用いた。
【0189】
また、官能試験には、製造例1~6のクスクス様食品を、お湯で戻したものを用いた。クスクス様食品の官能試験(食感、におい、味)を以下の評価基準の通り、評価した。また、表3の基になった評価試験のアンケートまとめを
図5に示す。なお、参考例として市販のクスクス(デュラム小麦を用いて製造されたクスクス)を用いた。
【0190】
(評価基準:食感)
3点:参考例のクスクスの食感と同等である。
2点:参考例のクスクスの食感よりわずかに劣るが、気にならない程度である。
1点:参考例のクスクスの食感よりかなり劣る。
【0191】
(評価基準:におい)
3点:穀物臭をほとんど感じない。
2点:穀物臭をわずかに感じるが、気にならない程度である。
1点:穀物臭を感じる。
【0192】
(評価基準:味)
3点:米粉由来のほのかな甘味を感じる。
2点:米粉由来のほのかな甘味をわずかに感じる。
1点:米粉由来のほのかな甘味をほとんど感じない。
【0193】
表3にパネラーの平均点により示した評価結果を示す。
【0194】
【0195】
表3の通り、製造例3~6のクスクス様食品は、評価点(食感)が製造例1及び2のクスクス様食品より高かった。特に、製造例3及び4のクスクス様食品は、評価点がより高く、参考例のクスクスと同程度の食感を有することが認められた。
また、米粉で製造されたクスクス様食品(製造例1~6)は、米粉を含有しているため、米粉由来のほのかな甘みを感じた。さらに、米粉で製造されたクスクス様食品(製造例1~6)は、穀物臭をほとんど感じなかったため、様々な料理に合うと考えられる。
【0196】
<1-3.粒状米粉加工物(原料米粉:玄米紛)の製造方法>
【0197】
以下、原料米粉として、上記<1-1.原料米粉の製造方法>で製造された玄米粉Aを配合した粒状米粉加工物の製造及び官能試験について示す。なお、玄米粉配合の粒状米粉加工物は、以下の方法で製造した。
【0198】
(混合工程)
玄米粉A100重量部に対して、水(水道水)29重量部を入れ、均一になるまで混合した。
(造粒工程)
混合後、1粒が1~2mm程度の粒状の造粒物になるように造粒した。
(加熱工程)
造粒された造粒物をスチームコンベクションオーブン(タニコー株式会社製)を用いて100℃で10分間蒸した。
(味付け工程)
蒸煮工程後の造粒物100重量部に対して、塩0.3重量部を加えて、全体になじませるように混合した。
(コーティング工程)
次に、造粒物100重量部に対して、米油2.3重量部を加えて、全体になじませるように混合し、造粒物をコーティングした。
(乾燥工程)
その後、得られた造粒物を、乾燥機を用いて75℃で5時間乾燥させた。
(篩分け工程)
乾燥工程後の造粒物がパラパラな状態であることを確認し、得られた造粒物を、目開きが2mmの篩で篩分けを行うことにより、造粒物の大きさを整え、製造例Aの粒状米粉加工物を得た。
【0199】
上記(乾燥工程)後の造粒物について、上記(評価1:歩留まり率の評価試験)と同様に歩留まり率を評価したところ、篩上部にダマが残らず、歩留まり率は100%であった。
【0200】
また、篩分け工程により、目開き2mmの篩を通過したサイズ(篩下部)を製造例Aのクスクス様食品とし、上記(評価2:官能試験)と同様に官能試験を行った。
【0201】
製造例Aのクスクス様食品を食したところ、白米粉で製造されたクスクス(製造例4のクスクス様食品)と同様の食感を有することが確認された。
さらに、製造例Aのクスクス様食品も、米粉由来のほのかな甘みを感じた。また、製造例Aのクスクス様食品は、玄米の香りを感じることができた。
【0202】
<1-4.粒状米粉加工物の製造方法(コーティング工程なし)>
まず、原料となる米(精白米,ジャポニカ米)を用いて白米粉を製造した。
上記精白米を製粉機(株式会社サタケ,SRG05C)を用いて粉砕し、この製粉機に付属されるスクリーンA6(平均粒度(D50)500μm)に通すことによって、原料米粉(白米粉)を製造した。
【0203】
次に、上述の方法で製造した白米粉を使用し、製造例7の粒状米粉加工物を以下の方法で製造した。
【0204】
(混合工程)
白米粉100重量部に対して、水(水道水)36.5重量部を入れ、均一になるまで混合した。
(造粒工程)
混合後、1粒が1~3mm程度の粒状の造粒物になるように造粒した。
(加熱工程)
造粒された造粒物を、スチームコンベクションオーブン(タニコー株式会社製)を用いて100℃で10分間蒸した。
(味付け工程)
蒸煮工程後の造粒物100重量部に対して、塩0.3重量部を加えて、全体になじませるように混合した。
(乾燥工程)
その後、得られた造粒物を、乾燥機を用いて75℃で5時間乾燥させた。
(篩分け工程)
乾燥工程後の造粒物がパラパラな状態であることを確認し、得られた造粒物を、目開きが2mmの篩で篩分けを行うことにより、造粒物の大きさを整え、製造例7の粒状米粉加工物を得た。
【0205】
<1-5.粒状米粉加工物(原料米粉:玄米紛)の製造方法(コーティング工程なし)>
まず、原料となる米(玄米,ジャポニカ米)を用いて玄米粉を製造した。
上記玄米を製粉機(株式会社サタケ,SRG05C)を用いて粉砕し、この製粉機に付属されるスクリーンA6(平均粒度(D50)500μm)に通すことによって、原料米粉(玄米粉)を製造した。
【0206】
次に、上述の方法で製造した玄米粉を使用し、製造例Bの粒状米粉加工物を以下の方法で製造した。
【0207】
(混合工程)
玄米粉100重量部に対して、水(水道水)29重量部を入れ、均一になるまで混合した。
(造粒工程)
混合後、1粒が1~3mm程度の粒状の造粒物になるように造粒した。
(加熱工程)
造粒された造粒物をスチームコンベクションオーブン(タニコー株式会社製)を用いて100℃で10分間蒸した。
(味付け工程)
蒸煮工程後の造粒物100重量部に対して、塩0.3重量部を加えて、全体になじませるように混合した。
(乾燥工程)
その後、得られた造粒物を、乾燥機を用いて75℃で5時間乾燥させた。
(篩分け工程)
乾燥工程後の造粒物がパラパラな状態であることを確認し、得られた造粒物を、目開きが2mmの篩で篩分けを行うことにより、造粒物の大きさを整え、製造例Bの粒状米粉加工物を得た。
【0208】
製造された製造例Bの粒状米粉加工物に所定の量のお湯(60~90mL)を加えた。約5分後、お湯を加えた製造例Bの粒状米粉加工物を食したところ、おかゆのような食感であった。
【0209】
さらに、製造された製造例Bの粒状米粉加工物を、再度、製粉機(株式会社サタケ,SRG05C)を用いて粉砕し、この製粉機に付属されるスクリーンA6に通した。
粉砕した製造例Bの粒状米粉加工物15gに所定の量のお湯(60~90mL)を加え、トロみが出るまでよくかき混ぜた(クリーム状)。粉砕した製造例Bの粒状米粉加工物を使用すると、粒が残りにくいため離乳食や介護食への利用が期待できる。
【0210】
<2.粒状食品加工物の製造方法>
以下の通り、粒状食品加工物を製造した。
【0211】
まず、原料米粉(玄米粉)及び付加成分(粉末体)を以下の方法で製造した。
(玄米粉の製造)
原料となる米(玄米,ジャポニカ米)を用いて玄米粉を製造した。
上記玄米を製粉機(株式会社サタケ,SRG05C)を用いて粉砕し、この製粉機に付属されるスクリーンA6(平均粒度(D50)500μm)に通すことによって、原料米粉(玄米粉)を製造した。
(付加成分の製造)
付加成分の加工物を製造した。
付加成分として、以下のものを使用した。
・大豆(乾燥)
・胡麻(乾燥)
・椎茸(乾燥)
・生姜(乾燥)
・切干大根(乾燥)
・南瓜(生)
・トマト(生)
上記乾燥状態の付加成分を、製粉機(株式会社サタケ,SRG05C)を用いて粉砕し、この製粉機に付属されるスクリーンA6(平均粒度(D50)500μm)に通すことによって、付加成分の加工物(乾燥粉末)を製造した。
上記生の状態の付加成分を、2mm角になるように切断することによって、付加成分の加工物(2mm角)を製造した。
【0212】
次に、上述の方法で製造した玄米粉及び付加成分(加工物)を使用し、粒状食品加工物を以下の方法で製造した。
【0213】
(造粒工程)
玄米粉、付加成分(加工物)及び水を表4に示す配合量に従って配合し、それらを均一になるまで混合し、1粒が1~3mm程度の粒状の造粒物になるように造粒した。なお、配合する水は、付加成分である食塩をあらかじめ混合し塩水として使用した(水200gに対し食塩(NaCl)2g含む)。
(加熱工程)
造粒された造粒物を、スチームコンベクションオーブン(タニコー株式会社製)を用いて100℃で30分間蒸した。
(乾燥工程)
その後、得られた造粒物を、乾燥機を用いて75℃で12時間乾燥させた。
(篩分け工程)
乾燥工程後の造粒物がパラパラな状態であることを確認し、得られた造粒物を、目開きが2.8mmの篩で篩分けを行うことにより、造粒物の大きさを整え、粒状食品加工物を得た。
【0214】
【0215】
図6に得られた粒状食品加工物を示す。
図6(下)に示す通り、粒状米粉加工物1粒当たりの大きさは、1~3mmであった。
【0216】
製造された粒状食品加工物を食したところ、クスクス(参考例)と同様の食感を有していた。また、玄米やその他付加成分の香りや風味も感じることができた。
【0217】
以下、製造した粒状食品加工物を使用した調理例を示す。
【0218】
(調理例1:スープ)
小さく切った食材(野菜や肉類など)を入れた野菜ブイヨンスープを、あらかじめお皿に入れた粒状食品加工物にかけることにより得た。
【0219】
(調理例2:煮込み料理)
まず、食材(肉、野菜、豆類など)を調味料と共に煮込んだ。
十分に煮込んだ食材を、お皿に敷いた粒状食品加工物の上にのせることにより得た。
【0220】
(調理例3:サラダ)
まず、粒状食品加工物に少量の熱湯を入れ蒸らす。その後、こめ油を加え混ぜ、パラパラの状態にした粒状食品加工物を準備した。
次に、食材(所定の大きさに切った野菜など)と調味料を準備した粒状食品加工物と混ぜ合わせることにより得た。
【0221】
以下、粒状食品加工物を使用したヴィーガン食料品の調理例を示す。
【0222】
(調理例1:ハンバーグ)
以下に示す配合で各成分を混合して、成形した。成形品を焼くことによってハンバーグを得た。
粒状食品加工物 30g
豆腐(水切りしたもの) 180g
ひじきの煮物 60g
【0223】
(調理例2:リゾット)
以下に示す配合で各成分を混合して、蒸煮することによってリゾットを得た。
粒状食品加工物 40g
水 150mL
茹でレンズ豆 大匙2
塩麹 小匙2
【0224】
以下、粒状食品加工物を使用したグルテンフリー食料品の調理例を示す。
【0225】
(調理例1:蒸しパン)
以下に示す配合で各成分を混合して、蒸し器で蒸すことによって蒸しパンを得た。
粒状食品加工物 30g
水 15mL
レーズン 大匙1
【0226】
(調理例2:団子)
以下に示す配合で各成分を混合して、団子を得た。
粒状食品加工物 30g
水 30mL
【0227】
<3.粒状米粉加工物を含む食品組成物>
以下、粒状米粉加工物を含む食品組成物の製造例を示す。
【0228】
まず、被混合成分である、大豆、胡麻、生姜、南瓜の粉末体を製造した。
被混合成分の粉末体は、上記被混合成分を製粉機(株式会社サタケ,SRG05C)を用いて粉砕し、この製粉機に付属されるスクリーンA6に通すことによって、製造した。
【0229】
(食品組成物A)
以下に示す配合で各成分を均一になるように混合して、食品組成物Aを得た。なお、製造例7の粒状米粉加工物は、上記<1-4.粒状米粉加工物の製造方法(コーティング工程なし)>にて製造したものである。
製造例7の粒状米粉加工物 100g
大豆(乾燥粉末) 40g
胡麻(乾燥粉末) 10g
【0230】
(食品組成物B)
以下に示す配合で各成分を均一になるように混合して、食品組成物Bを得た。なお、製造例Bの粒状米粉加工物は、上記<1-5.粒状米粉加工物(原料米粉:玄米紛)の製造方法(コーティング工程なし)>で製造したものである。
製造例Bの粒状米粉加工物 100g
大豆(乾燥粉末) 40g
生姜(乾燥粉末) 5g
椎茸(乾燥粉末) 10g
【0231】
また、製造例Bの粒状米粉加工物と、被混合成分である米酢、白味噌、塩、レモン汁、玄米水飴をそれぞれ所定の量混ぜ合わせ、均一になるまで混合した。製造された食品組成物を食すると、チーズ風味を感じることができた。