(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095657
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】抗TIGIT抗体及び使用方法
(51)【国際特許分類】
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C12N 1/19 20060101ALI20240703BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240703BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240703BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240703BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240703BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240703BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240703BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20240703BHJP
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C12N 15/63 20060101ALN20240703BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240703BHJP
C07K 1/107 20060101ALN20240703BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20240703BHJP
【FI】
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A61K47/68
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A61K9/72
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12P21/08
C07K1/107
C07K16/46
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024037717
(22)【出願日】2024-03-12
(62)【分割の表示】P 2021102575の分割
【原出願日】2016-09-23
(31)【優先権主張番号】62/233,230
(32)【優先日】2015-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/369,299
(32)【優先日】2016-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グロギャン, ジェーン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン, ロバート ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リャン, ウェイ-チーン
(72)【発明者】
【氏名】ラパダス, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヤーダヴ, マヘーシュ
(72)【発明者】
【氏名】サシャシャイ, ダーヤ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズン, メレディス
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
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4C076AA93
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4H045AA11
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4H045BA51
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4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA52
4H045FA74
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗TIGIT(Igドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)抗体を提供する。
【解決手段】ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ser78、Ser80、及びLys82のうちの1個以上を含むヒトTIGITのエピトープに結合する、前記抗体である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ser78、Ser80、及びLys82のうちの1個以上を含むヒトTIGITのエピトープに結合する、前記抗体。
【請求項2】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ser80及びLys82を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ser78、Ser80、及びLys82を含む、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ala67をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項5】
前記エピトープが、ヒトTIGITのGlu60、Leu65、及びIle68からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項6】
前記エピトープが、ヒトTIGITのGln56、Asn70、Leu73、及びHis111からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項7】
前記エピトープが、ヒトTIGITのThr55、Asn58、Asp63、Gln64、His76、Ile77、及びPro79からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項8】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Gln56、Asn58、Glu60、Asp63、Gln64、Leu65、Ala67、Ile68、Asn70、Leu73、His76、Ile77、Ser78、Pro79、Ser80、Lys82、及びHis111からなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項9】
ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Ser80、及びLys82のうちの1個以上を含むヒトTIGITのエピトープに結合する、前記抗体。
【請求項10】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Lys82を含む、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Ser80、及びLys82を含む、請求項9または10に記載の抗体。
【請求項12】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Gln56をさらに含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項13】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ile77またはPro79をさらに含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項14】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ile77及びPro79をさらに含む、請求項13に記載の抗体。
【請求項15】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Asn58またはGlu60をさらに含む、請求項9~14のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項16】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Asn58及びGlu60をさらに含む、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
前記エピトープが、ヒトTIGITのLeu65、Ile68、Leu73、His76、Ser78、及びHis111からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基をさらに含む、請求項9~16のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項18】
前記エピトープが、ヒトTIGITのアミノ酸残基Leu65、Ile68、Leu73、His76、Ser78、及びHis111をさらに含む、請求項17に記載の抗体。
【請求項19】
前記エピトープが、ヒトTIGITのThr55、Gln56、Asn58、Glu60、Leu65、Ile68、Leu73、His76、Ile77、Ser78、Pro79、Ser80、Lys82、及びHis111からなる、請求項9~18のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項20】
ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、重鎖可変領域アミノ酸残基Asn32、Tyr52、Arg52b、Phe53、Lys54、Tyr56、Asp58、Tyr99、Asp100、Leu100a、Leu100b、及びAla100c、ならびに軽鎖可変領域アミノ酸残基Tyr27d、Tyr92、Ser93、Thr94、及びPhe96からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基を含むパラトープを含む、前記抗体。
【請求項21】
前記パラトープが、重鎖可変領域アミノ酸残基Asn32、Tyr52、Arg52b、Phe53、Lys54、Tyr56、Asp58、Tyr99、Asp100、Leu100a、Leu100b、及びAla100c、ならびに軽鎖可変領域アミノ酸残基Tyr27d、Tyr92、Ser93、Thr94、及びPhe96からなる、請求項20に記載の抗体。
【請求項22】
ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、ヒトTIGITのGln53、His111、及びTyr113からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基を含むヒトTIGITのエピトープに結合する、前記抗体。
【請求項23】
前記エピトープが、ヒトTIGITのGln56をさらに含む、請求項22に記載の抗体。
【請求項24】
前記エピトープが、ヒトTIGITのGlu60、Leu65、Ile68、Asn70、Leu73、及びHis76をさらに含む、請求項22または23に記載の抗体。
【請求項25】
ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、次の6つの超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む、前記抗体。
【請求項26】
前記抗体が、次の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4
をさらに含む、請求項25に記載の抗体。
【請求項27】
前記抗体が、次の重鎖可変領域FR:
X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(式中、X1はQまたはEである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4
をさらに含む、請求項25または26に記載の抗体。
【請求項28】
前記抗体が、次の重鎖可変領域FR:
EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1、
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4
をさらに含む、請求項27に記載の抗体。
【請求項29】
前記抗体が、次の重鎖可変領域FR:
QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1、
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4
をさらに含む、請求項27に記載の抗体。
【請求項30】
ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、次の6つのHVR:
SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
QHLHGYPX1N(配列番号22)(式中、X1はCまたはSである)のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む、前記抗体。
【請求項31】
前記抗体が、次の6つのHVR:
SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
QHLHGYPSN(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む、請求項30に記載の抗体。
【請求項32】
前記抗体が、次の重鎖可変領域FR:
EVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H1、
WVRQAPGHGLEWMG(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H2、
RFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCAR(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び
WGQGTMVTVSS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-H4
をさらに含む、請求項30または31に記載の抗体。
【請求項33】
抗体が、次の6つのHVR:
SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
QHLHGYPCN(配列番号28)のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む、請求項30に記載の抗体。
【請求項34】
前記抗体が、次の重鎖可変領域FR:
QVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、
WVRQAPGHGLEWMG(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H2、
RFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCAR(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び
WGQGTMVTVSS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-H4
をさらに含む、請求項33に記載の抗体。
【請求項35】
前記抗体が、次の軽鎖可変領域FR:
DIQLTQSPTFLSASVGDRVTITC(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-L1、
WYQQNPGKAPKLLIY(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-L2、
GVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFVTYYC(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び
FGQGTKVEIK(配列番号33)のアミノ酸配列を含むFR-L4
をさらに含む、請求項30~34のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項36】
ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、(a)配列番号34もしくは35のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む、前記抗体。
【請求項37】
前記抗体が、(a)配列番号34のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む、請求項36に記載の抗体。
【請求項38】
前記抗体が、(a)配列番号35のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む、請求項36に記載の抗体。
【請求項39】
ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、(a)配列番号37のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号38のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む、前記抗体。
【請求項40】
ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、(a)配列番号39のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号40のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む、前記抗体。
【請求項41】
前記抗体が、ウサギTIGITに結合することができる、請求項1~21、25~29、及び36~38のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項42】
前記抗体が、ヒトTIGITとカニクイザル(cyno)TIGITとの両方に結合することができるが、マウスTIGITには結合しない、請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項43】
前記抗体が、約10nM以下のKdでヒトTIGITに結合し、約10nM以下のKdでカニクイザルTIGITに結合する、請求項42に記載の抗体。
【請求項44】
前記抗体が、約0.1nM~約1nMのKdでヒトTIGITに結合し、約0.5nM~約1nMのKdでカニクイザルTIGITに結合する、請求項43に記載の抗体。
【請求項45】
前記抗体が、約0.1nM以下のKdでヒトTIGITに結合し、約0.5nM以下のKdでカニクイザルTIGITに結合する、請求項44に記載の抗体。
【請求項46】
前記抗体が、アンタゴニスト抗体である、請求項1~45のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項47】
前記アンタゴニスト抗体が、TIGITに特異的に結合し、ポリオウイルス受容体(PVR)とのTIGIT相互作用を阻害または遮断する、請求項46に記載の抗体。
【請求項48】
前記アンタゴニスト抗体が、PVRへのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する、請求項47に記載の抗体。
【請求項49】
前記アンタゴニスト抗体が、ヒトPVRへのヒトTIGITの結合を10nM以下のIC50値で阻害または遮断する、請求項46~48のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項50】
前記アンタゴニスト抗体が、ヒトPVRへのヒトTIGITの結合を1nM~約10nMのIC50値で阻害または遮断する、請求項46~49のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項51】
前記アンタゴニスト抗体が、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を50nM以下のIC50値で阻害または遮断する、請求項46~50のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項52】
前記アンタゴニスト抗体が、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を1nM~約50nMのIC50値で阻害または遮断する、請求項51に記載の抗体。
【請求項53】
前記アンタゴニスト抗体が、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を1nM~約5nMのIC50値で阻害または遮断する、請求項52に記載の抗体。
【請求項54】
前記抗体が、アゴニスト抗体である、請求項1~45のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項55】
前記アゴニスト抗体が、TIGITに特異的に結合し、CD226またはCD96とのPVRの相互作用を刺激する、請求項54に記載の抗体。
【請求項56】
前記アゴニスト抗体が、TIGITに特異的に結合し、CD226及びCD96とのPVRの相互作用を刺激する、請求項55に記載の抗体。
【請求項57】
前記アゴニスト抗体が、TIGITに特異的に結合し、ヒトCD226及びヒトCD96とのヒトPVRの相互作用を刺激する、請求項56に記載の抗体。
【請求項58】
前記アゴニスト抗体が、TIGITに特異的に結合し、カニクイザルCD226及びカニクイザルCD96とのカニクイザルPVRの相互作用を刺激する、請求項56に記載の抗体。
【請求項59】
TIGITへの結合に関して請求項1~58のいずれか1項に記載の抗体と競合する単離抗体。
【請求項60】
請求項1~58のいずれか1項に記載の抗体と同じエピトープに結合する単離抗体。
【請求項61】
前記抗体が、モノクローナルである、請求項1~60のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項62】
前記抗体が、ヒト、ヒト化、またはキメラである、請求項1~60のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項63】
前記フレームワーク配列の少なくとも一部分がヒトコンセンサスフレームワーク配列である、請求項62に記載の抗体。
【請求項64】
前記抗体が、全長抗体である、請求項1~63のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項65】
前記抗体が、静脈内注射後に約3ml/kg/日~約10ml/kg/日のクリアランスを有する、請求項1~64のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項66】
前記抗体が、静脈内注射後に約3ml/kg/日~約8ml/kg/日のクリアランスを有する、請求項65に記載の抗体。
【請求項67】
前記抗体が、TIGITに結合する抗体断片である、請求項1~63のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項68】
前記抗体断片が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される、請求項67に記載の抗体。
【請求項69】
前記抗体が、IgGクラス抗体である、請求項1~68のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項70】
前記IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項69に記載の抗体。
【請求項71】
請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項72】
請求項71に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項73】
請求項72に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項74】
前記宿主細胞が原核性である、請求項73に記載の宿主細胞。
【請求項75】
前記宿主細胞がEscherichia coliである、請求項74に記載の宿主細胞。
【請求項76】
前記宿主細胞が真核性である、請求項73に記載の宿主細胞。
【請求項77】
前記宿主細胞が、293細胞、CHO細胞、酵母細胞、または植物細胞である、請求項76に記載の宿主細胞。
【請求項78】
請求項73に記載の宿主細胞を培養培地で培養することを含む、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体の産生方法。
【請求項79】
前記方法が、前記宿主細胞または培養培地から前記抗体を回収することをさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体と、細胞傷害剤とを含む、免疫複合体。
【請求項81】
請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体を含む組成物。
【請求項82】
薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤をさらに含む、請求項81に記載の組成物。
【請求項83】
前記組成物が薬学的組成物である、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
前記組成物が、PD-1軸結合アンタゴニストまたは追加の治療剤をさらに含む、請求項81~83のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項85】
医薬品として使用するための、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項86】
癌の治療または癌の進行の遅延を必要とする対象においてそれを行うのに使用するための、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項87】
前記癌が、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び血液悪性腫瘍からなる群から選択される、請求項86に記載の抗体。
【請求項88】
前記骨髄腫が、多発性骨髄腫(MM)である、請求項87に記載の抗体。
【請求項89】
免疫関連疾患の治療または免疫関連疾患の進行の遅延を必要とする対象においてそれを行うのに使用するための、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項90】
前記免疫関連疾患が、T細胞機能不全障害に関連する、請求項89に記載の抗体。
【請求項91】
前記T細胞機能不全障害が、T細胞疲弊を特徴とする、請求項90に記載の抗体。
【請求項92】
前記免疫関連疾患が、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫からなる群から選択される、請求項89~91のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項93】
免疫応答もしくは機能の増加、増強、または刺激を必要とする対象においてそれを行うのに使用するための、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項94】
癌の治療または癌の進行の遅延を必要とする対象においてそれを行うための医薬品の製造における、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項95】
前記癌が、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び血液悪性腫瘍からなる群から選択される、請求項94に記載の使用。
【請求項96】
前記骨髄腫がMMである、請求項95に記載の使用。
【請求項97】
免疫関連疾患の治療または免疫関連疾患の進行の遅延を必要とする対象においてそれを行うための医薬品の製造における、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項98】
前記免疫関連疾患が、T細胞機能不全障害に関連する、請求項97に記載の使用。
【請求項99】
前記T細胞機能不全障害が、T細胞疲弊を特徴とする、請求項98に記載の使用。
【請求項100】
前記免疫関連疾患が、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫からなる群から選択される、請求項97~99のいずれか1項に記載の使用。
【請求項101】
免疫応答もしくは機能の増加、増強、または刺激を必要とする対象においてそれを行うための医薬品の製造における、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項102】
対象の癌の治療方法または癌の進行の遅延方法であって、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体を有効量で前記対象に投与し、それによって前記対象の前記癌を治療するかまたは癌の進行を遅延させることを含む、前記方法。
【請求項103】
前記癌が、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び血液悪性腫瘍からなる群から選択される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記骨髄腫がMMである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
対象の免疫関連疾患の治療方法または免疫関連疾患の進行の遅延方法であって、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体を有効量で前記対象に投与し、それによって前記対象の前記免疫関連疾患を治療するかまたは免疫関連疾患の進行を遅延させることを含む、前記方法。
【請求項106】
前記免疫関連疾患が、T細胞機能不全障害に関連する、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記T細胞機能不全障害が、T細胞疲弊を特徴とする、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記免疫関連疾患が、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫からなる群から選択される、請求項105~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
対象の免疫応答もしくは機能の増加方法、増強方法、または刺激方法であって、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体を有効量で前記対象に投与し、それによって前記対象の免疫応答もしくは機能を増加させるか、増強するか、または刺激することを含む、前記方法。
【請求項110】
前記対象にPD-1軸結合アンタゴニストを投与することをさらに含む、102~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、前記抗体の投与の前または後に投与される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、前記抗体と同時に投与される、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される、請求項110~112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-1結合アンタゴニストである、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記PD-1結合アンタゴニストが、PD-1がそのリガンド結合パートナーに結合することを阻害する、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記PD-1結合アンタゴニストが、PD-1がPD-L1に結合することを阻害する、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記PD-1結合アンタゴニストが、PD-1がPD-L2に結合することを阻害する、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
前記PD-1結合アンタゴニストが、PD-1がPD-L1とPD-L2との両方に結合することを阻害する、請求項115に記載の方法。
【請求項119】
前記PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1抗体である、請求項115~118のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記PD-1結合アンタゴニストが、MDX 1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペンブロリズマブ)、CT-011(ピディリズマブ)、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、及びBGB-108からなる群から選択される、請求項115に記載の方法。
【請求項121】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニストである、請求項113に記載の方法。
【請求項122】
前記PD-L1結合アンタゴニストが、PD-L1がPD-1に結合することを阻害する、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記PD-L1結合アンタゴニストが、PD-L1がB7-1に結合することを阻害する、請求項121に記載の方法。
【請求項124】
前記PD-L1結合アンタゴニストが、PD-L1がPD-1とB7-1との両方に結合することを阻害する、請求項121に記載の方法。
【請求項125】
前記PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1抗体である、請求項121~124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記抗PD-L1抗体が、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、YW243.55.S70、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、及びMSB0010718C(アベルマブ)からなる群から選択される、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記抗体が、MPDL3280Aである、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L2結合アンタゴニストである、請求項113に記載の方法。
【請求項129】
前記PD-L2結合アンタゴニストが、抗PD-L2抗体である、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記PD-L2結合アンタゴニストが、イムノアドヘシンである、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
前記対象にOX40結合アゴニストを投与することをさらに含む、請求項102~130のいずれか1項に記載の方法。
【請求項132】
前記OX40結合アゴニストが、前記抗体及び/または前記PD-1軸結合アンタゴニストの投与の前または後に投与される、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記OX40結合アゴニストが、前記抗体及び/または前記PD-1軸結合アンタゴニストと同時に投与される、請求項131に記載の方法。
【請求項134】
前記OX40結合アゴニストが、OX40アゴニスト抗体、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシンからなる群から選択される、請求項131~133のいずれか1項に記載の方法。
【請求項135】
前記OX40アゴニスト抗体が、ヒトOX40を発現する細胞を枯渇させる、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記ヒトOX40を発現する細胞が、CD4+エフェクターT細胞である、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記ヒトOX40を発現する細胞が、制御性T(Treg)細胞である、請求項135に記載の方法。
【請求項138】
前記枯渇が、ADCC及び/または食作用によるものである、請求項135~137のいずれか1項に記載の方法。
【請求項139】
前記OX40アゴニスト抗体が、約1nM以下の親和性でヒトOX40に結合する、請求項134~138のいずれか1項に記載の方法。
【請求項140】
前記OX40アゴニスト抗体が、約0.45nM以下の親和性でヒトOX40に結合する、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記OX40アゴニスト抗体が、約0.4nM以下の親和性でヒトOX40に結合する、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
前記OX40アゴニスト抗体が、0.3μg/ml以下のEC50でヒトOX40に結合する、請求項134~141のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
前記OX40アゴニスト抗体が、0.2μg/ml以下のEC50でヒトOX40に結合する、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記OX40アゴニスト抗体が、前記OX40アゴニスト抗体での処置前の増殖及び/またはサイトカイン産生と比較して、CD4+エフェクターT細胞の増殖を増加させ、かつ/または前記CD4+エフェクターT細胞によるサイトカイン産生を増加させる、請求項134~143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項145】
前記OX40アゴニスト抗体が、メモリーT細胞の増殖及び/またはメモリーT細胞によるサイトカイン産生を増加させる、請求項134~144のいずれか1項に記載の方法。
【請求項146】
前記サイトカイン産生が、IFN-γ産生である、請求項144または145に記載の方法。
【請求項147】
前記OX40アゴニスト抗体が、Treg機能を阻害する、請求項134~146のいずれか1項に記載の方法。
【請求項148】
前記OX40アゴニスト抗体が、エフェクターT細胞機能のTreg抑制を阻害する、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
エフェクターT細胞機能が、エフェクターT細胞の増殖及び/またはサイトカイン産生である、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記エフェクターT細胞が、CD4+エフェクターT細胞である、請求項148または149に記載の方法。
【請求項151】
前記OX40アゴニスト抗体が、OX40を発現する標的細胞におけるOX40シグナル伝達を増加させる、請求項134~150のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
OX40シグナル伝達が、NFkB下流シグナル伝達を監視することによって検出される、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記OX40アゴニスト抗体が、ヒトエフェクター細胞への結合を排除する変異を含む変異形IgG1 Fcポリペプチドを含み、天然配列のIgG1 Fc部分を含む前記OX40アゴニスト抗体と比べて減少した活性を有する、請求項134~152のいずれか1項に記載の方法。
【請求項154】
前記OX40アゴニスト抗体が、DANA変異を含む変異形IgG1 Fcポリペプチドを含む、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記OX40アゴニスト抗体が、(a)(i)配列番号278、279、または280のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号281、282、283、284、285、または286のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(iii)配列番号287、288、または289から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(iii)配列番号292、293、294、295、296、297、298、または299のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、VLドメインと、を含む、請求項134~154のいずれか1項に記載の方法。
【請求項156】
前記OX40アゴニスト抗体が、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号291アミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号292から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
前記OX40アゴニスト抗体が、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号291アミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号297から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、請求項155に記載の方法。
【請求項158】
前記OX40アゴニスト抗体が、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号291アミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号298から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、請求項155に記載の方法。
【請求項159】
前記OX40アゴニスト抗体が、配列番号300~325のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVH配列を含む、請求項134~158のいずれか1項に記載の方法。
【請求項160】
前記OX40アゴニスト抗体が、配列番号300のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVH配列を含む、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
配列番号300において合計1~10個のアミノ酸が置換されている、挿入されている、及び/または欠失している、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
前記OX40アゴニスト抗体が、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含むVHを含む、請求項159~161のいずれか1項に記載の方法。
【請求項163】
前記OX40アゴニスト抗体が、配列番号326~351のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVL配列を含む、請求項134~162のいずれか1項に記載の方法。
【請求項164】
前記OX40アゴニスト抗体が、配列番号326のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVLを含む、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
配列番号326において合計1~10個のアミノ酸が置換されている、挿入されている、及び/または欠失している、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記OX40アゴニスト抗体が、(a)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号292のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含むVLを含む、請求項162~165のいずれか1項に記載の方法。
【請求項167】
前記OX40アゴニスト抗体が、(a)配列番号300のVH配列、(b)配列番号326のVL配列、または(c)(a)にあるようなVH配列及び(b)にあるようなVL配列を含む、請求項134~166のいずれか1項に記載の方法。
【請求項168】
前記OX40アゴニスト抗体が、(a)配列番号319のVH配列、(b)配列番号345のVL配列、または(c)(a)にあるようなVH配列及び(b)にあるようなVL配列を含む、請求項134~166のいずれか1項に記載の方法。
【請求項169】
前記OX40アゴニスト抗体が、(a)配列番号320のVH配列、(b)配列番号346のVL配列、または(c)(a)にあるようなVH配列及び(b)にあるようなVL配列を含む、請求項134~166のいずれか1項に記載の方法。
【請求項170】
前記OX40アゴニスト抗体が、抗体L106、抗体ACT35、MEDI6469、またはMEDI0562である、請求項134~154のいずれか1項に記載の方法。
【請求項171】
前記OX40アゴニスト抗体が、全長IgG1抗体である、請求項134~170のいずれか1項に記載の方法。
【請求項172】
前記OX40イムノアドヘシンが、三量体OX40-Fcタンパク質である、請求項134に記載の方法。
【請求項173】
1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体を減少させるかまたは阻害する薬剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項102~172のいずれか1項に記載の方法。
【請求項174】
前記1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体が、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、VISTA、B7H4、及びCD96からなる群から選択される、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
前記対象に追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項102~174のいずれか1項に記載の方法。
【請求項176】
前記追加の治療剤が、化学療法剤である、請求項175に記載の方法。
【請求項177】
前記抗体が、皮下に、静脈内に、筋肉内に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、埋め込みによって、吸入によって、髄腔内に、脳室内に、または鼻腔内に投与される、請求項102~176のいずれか1項に記載の方法。
【請求項178】
前記対象がヒトである、請求項102~177のいずれか1項に記載の方法。
【請求項179】
請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体と、対象の癌を治療するためまたは癌の進行を遅延させるために前記抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項180】
請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体と、対象の免疫関連疾患を治療するためまたは免疫関連疾患の進行を遅延させるために前記抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項181】
請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体と、対象の免疫応答もしくは機能を増加、増強、または刺激するための指示書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項182】
前記対象がヒトである、請求項179~181のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2016年9月22日に作成された該ASCIIコピーは、50474-120WO3_Sequence_Listing_9_22_16_ST25という名称であり、209,318バイトのサイズである。
【0002】
本発明は、抗TIGIT(Igドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)抗体、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
免疫関連疾患(例えば、癌)は、正常な生理機能において侵襲または傷害に応答するため、侵襲または傷害からの修復を開始するため、先天的及び後天的な防御をしかけるために非常に重要である、複雑な生物学的経路の症状または帰結である。疾患または病態は、これらの正常な生理学的経路が(例えば、異常な制御または過度の刺激の帰結として)または自己への反応として応答の強度に直接関係したさらなる侵襲または傷害を引き起こすときに生じる。
【0004】
これらの疾患の起源には、複数段階の経路、多くの場合は複数の異なる生体系/経路が関与することが多いが、これらの経路のうちの1つ以上における重要な点での介入は、寛解効果または治療効果を有し得る。治療的介入は、有害なプロセス/経路の拮抗作用、または有益なプロセス/経路の刺激のいずれかによって起こり得る。
【0005】
多くの免疫関連疾患が知られており、広く研究されてきた。そのような疾患としては、癌(異常増殖)、免疫媒介性炎症疾患、非免疫媒介性炎症疾患、感染性疾患、及び免疫不全疾患が挙げられる。
【0006】
Tリンパ球(T細胞)は、哺乳動物の免疫応答の重要な構成要素である。T細胞は、主要組織適合複合体(MHC)内の遺伝子によってコードされた自己分子に関連する抗原を認識する。この抗原は、抗原提示細胞(APC)、ウイルス感染細胞、癌細胞、移植片等の表面で、MHC分子と一緒に提示され得る。T細胞系は、宿主哺乳動物に対して健康への脅威を呈するこれらの変質した細胞を排除する。T細胞としては、ヘルパーT細胞及び細胞傷害性T細胞が挙げられる。ヘルパーT細胞は、APCにおける抗原-MHC複合体の認識に続いて広く増殖する。ヘルパーT細胞はまた、B細胞、細胞傷害性T細胞、及び免疫応答に関与する多様な他の細胞の活性化において中心的役割を果たす多様なサイトカイン(すなわち、リンホカイン)を分泌する。
【0007】
制御性T細胞(Treg)は、自己反応性免疫応答の阻害において重要な役割を果たすヘルパーT細胞のサブセットであり、多くの場合、腫瘍組織内等の慢性炎症部位に見出される。Tregは、表現型的には、CD25、CLTA4、GITR、及びニューロピリン1(NRP-1)の高い細胞表面発現によって定義され、転写因子FOXP3の制御下にある。Tregは、接触依存性機構及びサイトカイン産生を通じて、活性化されたT細胞でそれらの抑制機能を果たす。Tregはまた、CD40Lライゲーション等の樹状細胞(DC)上のリガンドとの直接的相互作用、及びインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の誘導を誘発するDC上のB7分子とのCTLA4の相互作用によって、免疫応答を調節する。DCは、自己抗原もしくは非自己抗原に対する免疫または耐性を誘導することのできる専門的APCである。DCで増殖したTregは、インビトロのアロ反応性応答を抑制し、養子導入されると、適切なTregは、NODscidマウスの糖尿病または実験的に誘導された喘息を阻害した。DC上のリガンドのTregとの特異的相互作用は、マウスにおけるGITRの結合といったそれらの抑制機能を抑止することもでき、DCがTreg機能の調節において多元的な役割を有し得ることを示唆している。
【0008】
CTLA4及びGITRの分子は、それぞれ、共刺激性/阻害性分子のCD28-B7スーパーファミリー及びTNFスーパーファミリーに定義されるリガンドの代表である。これらの分子はTregで高度に発現するが、活性化されたT細胞では典型的に上方制御される。より最近では、TIGITと称される(Igドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体を表す)タンパク質が、IgVドメイン、膜貫通ドメイン、及び2つの推定上の免疫受容体チロシン阻害性(ITIM)モチーフを有する、T細胞で特異的に発現する細胞表面結合タンパク質として特定された。TIGITは特に、Treg及びメモリーT細胞のサブセット、ならびにNK細胞で発現することが示された。新しい治療薬、及び免疫関連障害、特に癌の治療方法に対する満たされていない需要が存在するため、本明細書には、抗TIGIT抗体及びその組成物等の予想外に効果的な治療組成物、ならびに、TIGITのその結合パートナーとの相互作用を調節することを含む免疫関連障害及び癌の治療方法が記載される。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、例えば結合親和性、交差反応性、薬物動態、及び/または発現を含めた特性が向上した、抗TIGIT(Igドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)抗体及びその変異形を提供する。特に、本発明は、例えば、ヒトTIGITに対する高い結合親和性、ヒトTIGIT、カニクイザル(cyno)TIGIT、及び/またはウサギTIGITの間での交差反応性、カニクイザルにおける望ましいクリアランス特性、ならびに抗TIGIT抗体及びその変異形に高い安定性を付与する生化学的特性及び生物物理学的特性を有する、抗TIGIT抗体及びその変異形を提供する。
【0010】
一態様において、本発明は、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、該抗体が、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ser78、Ser80、及びLys82のうちの1個以上を含むヒトTIGITのエピトープに結合する、抗体を特色とする。一実施形態において、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ser80及びLys82を含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ser78、Ser80、及びLys82を含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ala67をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのGlu60、Leu65、及びIle68からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのGln56、Asn70、Leu73、及びHis111からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのThr55、Asn58、Asp63、Gln64、His76、Ile77、及びPro79からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Gln56、Asn58、Glu60、Asp63、Gln64、Leu65、Ala67、Ile68、Asn70、Leu73、His76、Ile77、Ser78、Pro79、Ser80、Lys82、及びHis111からなる。
【0011】
別の態様では、本発明は、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、該抗体が、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Ser80、及びLys82のうちの1個以上を含むヒトTIGITのエピトープに結合する、抗体を特色とする。一実施形態において、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Lys82を含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Ser80、及びLys82を含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Gln56をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ile77またはPro79をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Ile77及びPro79をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Asn58またはGlu60をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Asn58及びGlu60をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのLeu65、Ile68、Leu73、His76、Ser78、及びHis111からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基をさらに含む。別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのアミノ酸残基Leu65、Ile68、Leu73、His76、Ser78、及びHis111をさらに含む。なおも別の実施形態では、エピトープは、ヒトTIGITのThr55、Gln56、Asn58、Glu60、Leu65、Ile68、Leu73、His76、Ile77、Ser78、Pro79、Ser80、Lys82、及びHis111からなる。
【0012】
別の態様では、本発明は、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、該抗体が、重鎖可変領域アミノ酸残基Asn32、Tyr52、Arg52b、Phe53、Lys54、Tyr56、Asp58、Tyr99、Asp100、Leu100a、Leu100b、及びAla100c、ならびに軽鎖可変領域アミノ酸残基Tyr27d、Tyr92、Ser93、Thr94、及びPhe96からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基を含むパラトープを含む、抗体を特色とする。一実施形態において、パラトープは、重鎖可変領域アミノ酸残基Asn32、Tyr52、Arg52b、Phe53、Lys54、Tyr56、Asp58、Tyr99、Asp100、Leu100a、Leu100b、及びAla100c、ならびに軽鎖可変領域アミノ酸残基Tyr27d、Tyr92、Ser93、Thr94、及びPhe96からなる。上記の態様のうちのいずれかにおいて、本抗体は、ウサギTIGITに結合することができてもよい。
【0013】
別の態様では、本発明は、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、該抗体が、ヒトTIGITのGln53、His111、及びTyr113からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基を含むヒトTIGITのエピトープに結合する、抗体を特色とする。いくつかの実施形態において、エピトープは、ヒトTIGITのGln56をさらに含む。いくつかの実施形態において、エピトープは、ヒトTIGITのGlu60、Leu65、Ile68、Asn70、Leu73、及びHis76をさらに含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、該抗体が、次の6つの超可変領域(HVR):SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及びQQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体を特色とする。いくつかの実施形態において、本抗体は、次の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(式中、X1はQまたはEである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、ウサギTIGITに結合することができる。
【0015】
別の態様では、本発明は、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、該抗体が、次の6つのHVR:SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及びQHLHGYPX1N(配列番号22)(式中、X1はCまたはSである)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体を特色とする。いくつかの実施形態において、本抗体は、次の6つのHVR:SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及びQHLHGYPSN(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:EVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGHGLEWMG(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCAR(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及びWGQGTMVTVSS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、抗体は、次の6つのHVR:SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及びQHLHGYPCN(配列番号28)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:QVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGHGLEWMG(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCAR(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及びWGQGTMVTVSS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、次の軽鎖可変領域FR:DIQLTQSPTFLSASVGDRVTITC(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQNPGKAPKLLIY(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFVTYYC(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGQGTKVEIK(配列番号33)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。
【0016】
別の態様では、本発明は、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、該抗体が、(a)配列番号34もしくは35のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む、抗体を特色とする。いくつかの実施形態において、抗体は、(a)配列番号34のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、(a)配列番号35のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、ウサギTIGITに結合することができる。
【0017】
別の態様では、本発明は、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、該抗体が、(a)配列番号37のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号38のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む、抗体を特色とする。
【0018】
なおも別の態様では、本発明は、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体であって、該抗体が、(a)配列番号39のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、(b)配列番号40のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、または(c)(a)にあるような重鎖可変領域及び(b)にあるような軽鎖可変領域を含む、抗体を特色とする。
【0019】
上述の態様のうちのいずれか1つにおいて、本抗体は、ヒトTIGITとカニクイザル(cyno)TIGITとの両方に結合することができるが、マウスTIGITには結合しなくてもよい。いくつかの実施形態において、本抗体は、約10nM以下のKdでヒトTIGITに結合し、約10nM以下のKdでカニクイザルTIGITに結合する。いくつかの実施形態において、本抗体は、約0.1nM~約1nMのKdでヒトTIGITに結合し、約0.5nM~約1nMのKdでカニクイザルTIGITに結合する。いくつかの実施形態において、本抗体は、約0.1nM以下のKdでヒトTIGITに結合し、約0.5nM以下のKdでカニクイザルTIGITに結合する。
【0020】
上述の態様のうちのいずれか1つにおいて、本抗体は、アンタゴニスト抗体であってもアゴニスト抗体であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、本アンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、ポリオウイルス受容体(PVR)とのTIGIT相互作用を阻害または遮断する。いくつかの実施形態において、本アンタゴニスト抗体は、PVRへのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態において、本アンタゴニスト抗体は、ヒトPVRへのヒトTIGITの結合を10nM以下のIC50値で阻害または遮断する。いくつかの実施形態において、本アンタゴニスト抗体は、ヒトPVRへのヒトTIGITの結合を1nM~約10nMのIC50値で阻害または遮断する。いくつかの実施形態において、本アンタゴニスト抗体は、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を50nM以下のIC50値で阻害または遮断する。いくつかの実施形態において、本アンタゴニスト抗体は、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を1nM~約50nMのIC50値で阻害または遮断する。いくつかの実施形態において、本アンタゴニスト抗体は、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を1nM~約5nMのIC50値で阻害または遮断する。
【0022】
いくつかの実施形態において、本アゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、CD226またはCD96とのPVRの相互作用を刺激する。いくつかの実施形態において、本アゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、CD226及びCD96とのPVRの相互作用を刺激する。いくつかの実施形態において、本アゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、ヒトCD226及びヒトCD96とのヒトPVRの相互作用を刺激する。いくつかの実施形態において、本アゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、カニクイザルCD226及びカニクイザルCD96とのカニクイザルPVRの相互作用を刺激する。
【0023】
別の態様では、本発明は、TIGITへの結合に関して上記の態様のうちのいずれか1つに記載の抗体と競合する単離抗体を特色とする。
【0024】
別の態様では、本発明は、上記の態様のうちのいずれか1つに記載の抗体と同じエピトープに結合する単離抗体を特色とする。
【0025】
上述の態様のうちのいずれか1つのいくつかの実施形態において、本抗体は、モノクローナルである。いくつかの実施形態において、本抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラである。いくつかの実施形態において、本抗体は、全長抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体は、投与(例えば、注射、例えば、静脈内注射)後に約10ml/kg/日未満(例えば、約3ml/kg/日~約10ml/kg/日)のクリアランスを有する。いくつかの実施形態において、本抗体抗体は、約3ml/kg/日~約8ml/kg/日のクリアランスを有する。いくつかの実施形態において、本抗体の投与は、哺乳動物(例えば、カニクイザル等のサル、またはヒト)に対するものである。いくつかの実施形態において、本抗体は、TIGITに結合する抗体断片である。いくつかの実施形態において、抗体断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgGクラス抗体である。いくつかの実施形態において、IgGクラス抗体は、IgG1サブクラス抗体である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、医薬品として使用するためのものであり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、癌の治療または癌の進行の遅延を必要とする対象においてそれを行うのに使用するためのものであってもよい。いくつかの実施形態において、癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び血液悪性腫瘍からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、多発性骨髄腫(MM)の治療またはその進行の遅延において使用するためのものであってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、免疫関連疾患の治療または免疫関連疾患の進行の遅延を必要とする対象においてそれを行うのに使用するためのものであってもよい。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、T細胞機能不全障害に関連する。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞疲弊を特徴とする。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、免疫応答もしくは機能の増加、増強、または刺激を必要とする対象においてそれを行うのに使用するためのものであってもよい。
【0026】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれかをコードするポリヌクレオチド(例えば、単離ポリヌクレオチド)を特色とする。別の態様では、本発明は、抗体を発現させるためのポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)を特色とする。別の態様では、本発明は、前述のポリヌクレオチド及び/またはベクターを含む宿主細胞を特色とする。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、真核性(例えば、哺乳動物細胞)である。いくつかの実施形態において、真核細胞は、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、酵母細胞、または植物細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態において、原核細胞は、E.Coliである。
【0027】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれかの産生方法を特色とし、本方法は、前述のベクター(例えば、発現ベクター)のうちのいずれかを含む宿主細胞を培養培地で培養することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、宿主細胞または培養培地から抗体を回収することをさらに含む。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞、例えば、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、酵母細胞、または植物細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態において、原核細胞は、E.Coliである。
【0028】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか1つと、薬剤(例えば、治療剤、例えば、細胞傷害剤)と、を含む、免疫複合体を特色とする。
【0029】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体を含む組成物を特色とする。いくつかの実施形態において、本組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、診断用途のため(例えば、TIGIT発現レベル、例えばTIGITタンパク質発現レベルを検出するため)のものである。いくつかの実施形態において、本組成物は、薬学的組成物である。いくつかの実施形態において、本組成物は、PD-1軸結合アンタゴニストまたは追加の治療剤をさらに含む。
【0030】
別の態様では、本発明は、癌の治療または癌の進行の遅延を必要とする対象においてそれを行うための医薬品の製造における、本明細書に記載の抗体の使用を特色とする。いくつかの実施形態において、癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び血液悪性腫瘍からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、骨髄腫はMMである。いくつかの実施形態において、本医薬品は、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、局所投与、経口投与、経皮投与、腹腔内投与、眼窩内投与、埋め込みによる投与、吸入による投与、髄腔内投与、脳室内投与、または鼻腔内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0031】
別の態様では、本発明は、免疫関連疾患の治療または免疫関連疾患の進行の遅延を必要とする対象においてそれを行うための医薬品の製造における、本明細書に記載の抗体の使用を特色とする。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、T細胞機能不全障害に関連する。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞疲弊を特徴とする。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本医薬品は、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、局所投与、経口投与、経皮投与、腹腔内投与、眼窩内投与、埋め込みによる投与、吸入による投与、髄腔内投与、脳室内投与、または鼻腔内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0032】
別の態様では、本発明は、免疫応答もしくは機能の増加、増強、または刺激を必要とする対象においてそれを行うための医薬品の製造における、本明細書に記載の抗体の使用を特色とする。いくつかの実施形態において、本医薬品は、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、局所投与、経口投与、経皮投与、腹腔内投与、眼窩内投与、埋め込みによる投与、吸入による投与、髄腔内投与、脳室内投与、または鼻腔内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0033】
別の態様では、本発明は、対象の癌の治療方法または癌の進行の遅延方法であって、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以上)を有効量で対象に投与し、それによって対象の癌を治療するかまたは癌の進行を遅延させることを含む、方法を特色とする。いくつかの実施形態において、癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び血液悪性腫瘍からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、骨髄腫はMMである。
【0034】
別の態様では、本発明は、対象の免疫関連疾患の治療方法または免疫関連疾患の進行の遅延方法であって、本明細書に記載の抗体のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以上)を有効量で対象に投与し、それによって対象の免疫関連疾患を治療するかまたは免疫関連疾患の進行を遅延させることを含む、方法を特色とする。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、T細胞機能不全障害に関連する。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞疲弊を特徴とする。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫からなる群から選択される。
【0035】
別の態様では、本発明は、対象の免疫応答もしくは機能の増加方法、増強方法、または刺激方法であって、本明細書に記載の抗体のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以上)を有効量で対象に投与し、それによって対象の免疫応答もしくは機能を増加させるか、増強させるか、または刺激することを含む、方法を特色とする。いくつかの実施形態において、本方法は、対象にPD-1軸結合アンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗体の投与の前または後に投与される。いくつかの実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗体と同時に投与される。いくつかの実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がそのリガンド結合パートナーに結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がPD-L1に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がPD-L2に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペンブロリズマブ)、CT-011(ピディリズマブ)、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、及びBGB-108からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1がPD-1に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1がB7-1に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1がPD-1及びB7-1の両方に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-L1抗体は、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、YW243.55.S70、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、及びMSB0010718C(アベルマブ)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本抗体は、MPDL3280Aである。いくつかの実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L2結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、抗PD-L2抗体である。いくつかの実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、イムノアドヘシンである。
【0036】
いくつかの実施形態において、上述の治療方法のうちのいずれか1つは、対象にOX40結合アゴニストを投与することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、OX40結合アゴニストは、抗体及び/またはPD-1軸結合アンタゴニストの投与の前または後に投与される。いくつかの実施形態において、OX40結合アゴニストは、抗体及び/またはPD-1軸結合アンタゴニストと同時に投与される。いくつかの実施形態において、OX40結合アゴニストは、OX40アゴニスト抗体、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、ヒトOX40を発現する細胞を枯渇させる。いくつかの実施形態において、ヒトOX40を発現する細胞は、CD4+エフェクターT細胞である。いくつかの実施形態において、ヒトOX40を発現する細胞は、制御性T(Treg)細胞である。いくつかの実施形態において、枯渇は、ADCC及び/または食作用によるものである。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、約1nM以下の親和性でヒトOX40に結合する。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、約0.45nM以下の親和性でヒトOX40に結合する。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、約0.4nM以下の親和性でヒトOX40に結合する。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、0.3μg/ml以下のEC50でヒトOX40に結合する。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、0.2μg/ml以下のEC50でヒトOX40に結合する。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、OX40アゴニスト抗体での処置前の増殖及び/またはサイトカイン産生と比較して、CD4+エフェクターT細胞の増殖を増加させ、かつ/またはCD4+エフェクターT細胞によるサイトカイン産生を増加させる。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、メモリーT細胞の増殖及び/またはメモリーT細胞によるサイトカイン産生を増加させる。いくつかの実施形態において、サイトカイン産生は、IFN-γ産生である。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、Treg機能を阻害する。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、エフェクターT細胞機能(例えば、エフェクターT細胞の増殖及び/またはサイトカイン産生)のTreg抑制を阻害する。いくつかの実施形態において、エフェクターT細胞は、CD4+エフェクターT細胞である。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、OX40を発現する標的細胞におけるOX40シグナル伝達を増加させる。いくつかの実施形態において、OX40シグナル伝達は、NFkB下流シグナル伝達を監視することによって検出される。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、ヒトエフェクター細胞への結合を排除する変異を含む変異形IgG1 Fcポリペプチドを含み、天然配列IgG1 Fc部分を含むOX40アゴニスト抗体と比べて減少した活性を有する。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、DANA変異を含む変異形IgG1 Fcポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)(i)配列番号278、279、または280のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号281、282、283、284、285、または286のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(iii)配列番号287、288、または289から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(iii)配列番号292、293、294、295、296、297、298、または299のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、VLドメインと、を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号292から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号297から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号298から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、配列番号300~325のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、配列番号300のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、配列番号300において合計1~10個のアミノ酸が置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含むVHを含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、配列番号326~351のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVL配列を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、配列番号326のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVLを含む。いくつかの実施形態において、配列番号326において合計1~10個のアミノ酸が置換されている、挿入されている、及び/または欠失している。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号292のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含むVLを含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号300のVH配列、(b)配列番号326のVL配列、または(c)(a)にあるようなVH配列及び(b)にあるようなVL配列を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号319のVH配列、(b)配列番号345のVL配列、または(c)(a)にあるようなVH配列及び(b)にあるようなVL配列を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号320のVH配列、(b)配列番号346のVL配列、または(c)(a)にあるようなVH配列及び(b)にあるようなVL配列を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、抗体L106、抗体ACT35、MEDI6469、またはMEDI0562である。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、全長IgG1抗体である。いくつかの実施形態において、OX40イムノアドヘシンは、三量体OX40-Fcタンパク質である。
【0037】
いくつかの実施形態において、上述の治療方法のうちのいずれか1つは、1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体を減少させるかまたは阻害する薬剤を対象に投与することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体は、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、VISTA、B7H4、及びCD96からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上述の治療方法のうちのいずれか1つは、対象に追加の治療剤を投与することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、化学療法剤である。いくつかの実施形態において、抗体は、皮下に、静脈内に、筋肉内に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、埋め込みによって、吸入によって、髄腔内に、脳室内に、または鼻腔内に投与される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0038】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以上)と、対象の癌を治療するためまたは癌の進行を遅延させるために本抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットを特色とする。いくつかの実施形態において、癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び血液悪性腫瘍からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、骨髄腫はMMである。
【0039】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以上)と、対象の免疫関連疾患を治療するためまたは免疫関連疾患の進行を遅延させるために本抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットを特色とする。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、T細胞機能不全障害に関連する。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞疲弊を特徴とする。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0040】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以上)と、対象の免疫応答もしくは機能を増加、増強、または刺激するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットを特色とする。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1-1】Aは、CHO-TIGIT結合アッセイの概略図である。Bは、FACSによって分析した、ヒトTIGIT発現CHO細胞及び指示されたOMT由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図1Aに示されるCHO-TIGIT結合アッセイの結果を示すグラフである。Cは、FACSによって分析した、カニクイザル(cyno)TIGIT発現CHO細胞及び指示されたOMT由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図1Aに示されるCHO-TIGIT結合アッセイの結果を示すグラフである。Dは、FACSによって分析した、ヒトTIGIT発現CHO細胞及び指示されたSD由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図1Aに示されるCHO-TIGIT結合アッセイの結果を示すグラフである。Eは、FACSによって分析した、カニクイザルTIGIT発現CHO細胞及び指示されたSD由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図1Aに示されるCHO-TIGIT結合アッセイの結果を示すグラフである。
【
図1-2】Aは、CHO-TIGIT結合アッセイの概略図である。Bは、FACSによって分析した、ヒトTIGIT発現CHO細胞及び指示されたOMT由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図1Aに示されるCHO-TIGIT結合アッセイの結果を示すグラフである。Cは、FACSによって分析した、カニクイザル(cyno)TIGIT発現CHO細胞及び指示されたOMT由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図1Aに示されるCHO-TIGIT結合アッセイの結果を示すグラフである。Dは、FACSによって分析した、ヒトTIGIT発現CHO細胞及び指示されたSD由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図1Aに示されるCHO-TIGIT結合アッセイの結果を示すグラフである。Eは、FACSによって分析した、カニクイザルTIGIT発現CHO細胞及び指示されたSD由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図1Aに示されるCHO-TIGIT結合アッセイの結果を示すグラフである。
【
図2-1】Aは、ヒトCD4 T細胞に対する指示されたOMT由来抗TIGIT抗体の結合を抗体濃度の関数として示すグラフである。Bは、ヒトCD8 T細胞に対する指示されたOMT由来抗TIGIT抗体の結合を抗体濃度の関数として示すグラフである。Cは、ヒトCD4 T細胞に対する指示されたSD由来抗TIGIT抗体の結合を抗体濃度の関数として示すグラフである。Dは、ヒトCD8 T細胞に対する指示されたSD由来抗TIGIT抗体の結合を抗体濃度の関数として示すグラフである。
【
図2-2】Aは、ヒトCD4 T細胞に対する指示されたOMT由来抗TIGIT抗体の結合を抗体濃度の関数として示すグラフである。Bは、ヒトCD8 T細胞に対する指示されたOMT由来抗TIGIT抗体の結合を抗体濃度の関数として示すグラフである。Cは、ヒトCD4 T細胞に対する指示されたSD由来抗TIGIT抗体の結合を抗体濃度の関数として示すグラフである。Dは、ヒトCD8 T細胞に対する指示されたSD由来抗TIGIT抗体の結合を抗体濃度の関数として示すグラフである。
【
図3-1】Aは、ヒトPVR-Fc融合タンパク質をコーティングしたプレート、ヒトTIGIT、及び指示された抗TIGIT抗体(FabまたはIgGフォーマットの10A7及び4.1D3.Q1E)または抗CSF1 Fab対照を使用した遮断ELISAアッセイの結果を、抗体/Fab濃度の関数として示すグラフである。Bは、カニクイザルPVR-Fc融合タンパク質をコーティングしたプレート、カニクイザルTIGIT、及び指示された抗TIGIT抗体(FabまたはIgGフォーマットの10A7及び4.1D3.Q1E)または抗CSF1 Fab対照を使用した遮断ELISAアッセイの結果を、抗体/Fab濃度の関数として示すグラフである。Cは、マウスPVR-Fc融合タンパク質をコーティングしたプレート、マウスTIGIT、及び指示された抗TIGIT抗体(FabまたはIgGフォーマットの10A7及び4.1D3.Q1E)または抗CSF1 Fab対照を使用した遮断ELISAアッセイの結果を、抗体/Fab濃度の関数として示すグラフである。Dは、
図3A~3Cに記載の遮断ELISAアッセイの結果を示す表である。
【
図3-2】Aは、ヒトPVR-Fc融合タンパク質をコーティングしたプレート、ヒトTIGIT、及び指示された抗TIGIT抗体(FabまたはIgGフォーマットの10A7及び4.1D3.Q1E)または抗CSF1 Fab対照を使用した遮断ELISAアッセイの結果を、抗体/Fab濃度の関数として示すグラフである。Bは、カニクイザルPVR-Fc融合タンパク質をコーティングしたプレート、カニクイザルTIGIT、及び指示された抗TIGIT抗体(FabまたはIgGフォーマットの10A7及び4.1D3.Q1E)または抗CSF1 Fab対照を使用した遮断ELISAアッセイの結果を、抗体/Fab濃度の関数として示すグラフである。Cは、マウスPVR-Fc融合タンパク質をコーティングしたプレート、マウスTIGIT、及び指示された抗TIGIT抗体(FabまたはIgGフォーマットの10A7及び4.1D3.Q1E)または抗CSF1 Fab対照を使用した遮断ELISAアッセイの結果を、抗体/Fab濃度の関数として示すグラフである。Dは、
図3A~3Cに記載の遮断ELISAアッセイの結果を示す表である。
【
図4-1】Aは、CHO-TIGIT PVR遮断アッセイの概略図である。Bは、FACSによって分析した、ヒトTIGIT発現CHO細胞及び指示されたOMT由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図4Aに示されるCHO-TIGIT PVR遮断アッセイの結果を示すグラフである。Cは、FACSによって分析した、カニクイザルTIGIT発現CHO細胞及び指示されたOMT由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図4Aに示されるCHO-TIGIT PVR遮断アッセイの結果を示すグラフである。Dは、FACSによって分析した、ヒトTIGIT発現CHO細胞及び指示されたSD由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図4Aに示されるCHO-TIGIT PVR遮断アッセイの結果を示すグラフである。Eは、FACSによって分析した、カニクイザルTIGIT発現CHO細胞及び指示されたSD由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図4Aに示されるCHO-TIGIT PVR遮断アッセイの結果を示すグラフである。
【
図4-2】Aは、CHO-TIGIT PVR遮断アッセイの概略図である。Bは、FACSによって分析した、ヒトTIGIT発現CHO細胞及び指示されたOMT由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図4Aに示されるCHO-TIGIT PVR遮断アッセイの結果を示すグラフである。Cは、FACSによって分析した、カニクイザルTIGIT発現CHO細胞及び指示されたOMT由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図4Aに示されるCHO-TIGIT PVR遮断アッセイの結果を示すグラフである。Dは、FACSによって分析した、ヒトTIGIT発現CHO細胞及び指示されたSD由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図4Aに示されるCHO-TIGIT PVR遮断アッセイの結果を示すグラフである。Eは、FACSによって分析した、カニクイザルTIGIT発現CHO細胞及び指示されたSD由来抗TIGIT抗体を様々な濃度で使用した
図4Aに示されるCHO-TIGIT PVR遮断アッセイの結果を示すグラフである。
【
図5A】指示された抗TIGIT抗体の10mg/kgの静脈内投与後のカニクイザルにおける薬物動態クリアランスを血清濃度(μg/ml)対時間(日数)の関数として示すグラフである。
【
図5B】
図5Aの薬物動態クリアランス実験において試験した各抗体のクリアランス計算値を示す表である。
【
図5C】抗TIGIT抗体h10A7.K4G3及び4.1D3の10mg/kgの静脈内投与後のカニクイザルにおける薬物動態クリアランスを血清濃度(μg/ml)対時間(日数、d0~d7)の関数として示すグラフである。
【
図5D】
図5Cの薬物動態クリアランス実験において試験した抗TIGIT抗体h10A7.K4G3及び4.1D3のクリアランス計算値を示す表である。
【
図6-1】Aは、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の描写であり、4.1D3重鎖(HC)領域及び軽鎖(LC)領域が示され、色で区別されている。Bは、既知のPVR-TIGIT構造(PDB 3UDW)と重ね合わせた、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の描写であり、4.1D3抗体及びPVRが重複するTIGIT結合部位を有することを示している。Cは、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の描写であり、PVR結合部位の相対的位置が示されている。TIGITの72-79ループの相対的位置も示されている。Dは、4.1D3のある特定の主要な接触残基(パラトープ残基)及びTIGITのある特定の主要な接触残基(エピトープ残基)を特定する、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の異なる視点からの描写である。Eは、4.1D3のある特定の主要な接触残基(パラトープ残基)及びTIGITのある特定の主要な接触残基(エピトープ残基)を特定する、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の異なる視点からの描写である。
図6Eに示される四角で囲んだ残基は、アラニンスキャニング変異誘発によって機能的に重要なエピトープ残基として特定された。
【
図6-2】Aは、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の描写であり、4.1D3重鎖(HC)領域及び軽鎖(LC)領域が示され、色で区別されている。Bは、既知のPVR-TIGIT構造(PDB 3UDW)と重ね合わせた、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の描写であり、4.1D3抗体及びPVRが重複するTIGIT結合部位を有することを示している。Cは、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の描写であり、PVR結合部位の相対的位置が示されている。TIGITの72-79ループの相対的位置も示されている。Dは、4.1D3のある特定の主要な接触残基(パラトープ残基)及びTIGITのある特定の主要な接触残基(エピトープ残基)を特定する、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の異なる視点からの描写である。Eは、4.1D3のある特定の主要な接触残基(パラトープ残基)及びTIGITのある特定の主要な接触残基(エピトープ残基)を特定する、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の異なる視点からの描写である。
図6Eに示される四角で囲んだ残基は、アラニンスキャニング変異誘発によって機能的に重要なエピトープ残基として特定された。
【
図6-3】Aは、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の描写であり、4.1D3重鎖(HC)領域及び軽鎖(LC)領域が示され、色で区別されている。Bは、既知のPVR-TIGIT構造(PDB 3UDW)と重ね合わせた、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の描写であり、4.1D3抗体及びPVRが重複するTIGIT結合部位を有することを示している。Cは、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の描写であり、PVR結合部位の相対的位置が示されている。TIGITの72-79ループの相対的位置も示されている。Dは、4.1D3のある特定の主要な接触残基(パラトープ残基)及びTIGITのある特定の主要な接触残基(エピトープ残基)を特定する、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の異なる視点からの描写である。Eは、4.1D3のある特定の主要な接触残基(パラトープ残基)及びTIGITのある特定の主要な接触残基(エピトープ残基)を特定する、ヒトTIGITに結合した4.1D3 Fabの結晶構造の異なる視点からの描写である。
図6Eに示される四角で囲んだ残基は、アラニンスキャニング変異誘発によって機能的に重要なエピトープ残基として特定された。
【
図7-1】Aは、指示されたヒトTIGITアラニンスキャニング変異体に対する特定された抗TIGIT抗体の各々のK
D値(nM)を示すグラフである。Bは、野生型ヒトTIGIT標的に対して正規化された、指示されたヒトTIGITアラニンスキャニング変異体に対する特定された抗TIGIT抗体の各々のK
D値(nM)を示すグラフである。結合親和性の1~10倍または10倍超の低下をもたらしたTIGITのアラニンスキャニング変異体は、それぞれ薄灰色及び暗灰色の陰影で示されている。Cは、アラニンスキャニング変異誘発により10A7認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Dは、アラニンスキャニング変異誘発によりh1A5認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Eは、アラニンスキャニング変異誘発により4.1D3認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Fは、アラニンスキャニング変異誘発により7.4A3認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Gは、アラニンスキャニング変異誘発により4.1A4認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Hは、アラニンスキャニング変異誘発によりh6B2認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Iは、アラニンスキャニング変異誘発によりh7E7認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。
【
図7-2】Aは、指示されたヒトTIGITアラニンスキャニング変異体に対する特定された抗TIGIT抗体の各々のK
D値(nM)を示すグラフである。Bは、野生型ヒトTIGIT標的に対して正規化された、指示されたヒトTIGITアラニンスキャニング変異体に対する特定された抗TIGIT抗体の各々のK
D値(nM)を示すグラフである。結合親和性の1~10倍または10倍超の低下をもたらしたTIGITのアラニンスキャニング変異体は、それぞれ薄灰色及び暗灰色の陰影で示されている。Cは、アラニンスキャニング変異誘発により10A7認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Dは、アラニンスキャニング変異誘発によりh1A5認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Eは、アラニンスキャニング変異誘発により4.1D3認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Fは、アラニンスキャニング変異誘発により7.4A3認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Gは、アラニンスキャニング変異誘発により4.1A4認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Hは、アラニンスキャニング変異誘発によりh6B2認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Iは、アラニンスキャニング変異誘発によりh7E7認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。
【
図7-3】Aは、指示されたヒトTIGITアラニンスキャニング変異体に対する特定された抗TIGIT抗体の各々のK
D値(nM)を示すグラフである。Bは、野生型ヒトTIGIT標的に対して正規化された、指示されたヒトTIGITアラニンスキャニング変異体に対する特定された抗TIGIT抗体の各々のK
D値(nM)を示すグラフである。結合親和性の1~10倍または10倍超の低下をもたらしたTIGITのアラニンスキャニング変異体は、それぞれ薄灰色及び暗灰色の陰影で示されている。Cは、アラニンスキャニング変異誘発により10A7認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Dは、アラニンスキャニング変異誘発によりh1A5認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Eは、アラニンスキャニング変異誘発により4.1D3認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Fは、アラニンスキャニング変異誘発により7.4A3認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Gは、アラニンスキャニング変異誘発により4.1A4認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Hは、アラニンスキャニング変異誘発によりh6B2認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。Iは、アラニンスキャニング変異誘発によりh7E7認識に重要であると特定された残基が球体として表示されている、ヒトTIGIT構造のリボン描写である。
【
図8】ヒトTIGITに結合した1A5 Fabの結晶構造の描写であり、1A5重鎖(HC)領域及び軽鎖(LC)領域が示され、色で区別されている。
【
図9】4.1D3-TIGIT複合体、1A5-TIGIT複合体、及び10A7-TIGIT複合体の結晶構造をTIGITに関して互いと重ね合わせた描写であり、これら3つの抗TIGIT抗体が同一でないエピトープにおいてヒトTIGITに結合することを示している。
【
図10】Aは、ヒトTIGITに結合した10A7 Fabの結晶構造の描写であり、10A7重鎖(HC)領域及び軽鎖(LC)領域が示され、色で区別されている。Bは、ヒトTIGITに結合した10A7 Fabの結晶構造の描写であり、PVR結合部位の相対的位置が示されている。TIGITの72-79ループの相対的位置も示されている。
【
図11】4.1D3抗体(左上)、10A7抗体(中央)、及び1A5抗体(右下)、ならびにヒトTIGITのSer78残基、Ser80残基、及びLys82残基の相対的位置の一連の描写である。これらの構造は、ヒトTIGITのSer78残基、Ser80残基、及びLys82残基は、4.1D3に対する主要なエピトープ残基であるが、これら3個の残基が抗体結合ポケットからさらに離れた距離に位置する10A7または1A5に対する主要なエピトープ残基ではないことを示す。
【
図12】マルチカラーフローサイトメトリによって評価した、多発性骨髄腫(MM)患者の骨髄から単離されたCD4+及びCD8+T細胞におけるCD45、PD-1、TIGIT、及びCD226の発現(上列)、ならびに健常な患者の末梢血から単離されたCD4+及びCD8+T細胞におけるPD-1、TIGIT、及びCD226の発現(下列)を示す一連のグラフである。
【
図13】TIGIT及びPD-1がMM患者の骨髄中のCD4+及びCD8+T細胞で共発現することを示す、一連のフローサイトメトリグラフ(左)及び付随するプロット(右)である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
I.一般的技法
本明細書に記載または参照される技法及び手順は、当業者には概して十分に理解されており、従来の方法論、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003))、シリーズのMethods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987))、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)、及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)に記載される、広く利用されている方法論を使用して、一般的に用いられる。
【0043】
II.定義
本明細書で使用される「TIGIT」または「Igドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体」という用語は、別段の記載がない限り、霊長類(例えばヒト)及び齧歯類(例えばマウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然のTIGITを指す。TIGITはまた、当該技術分野において、DKFZp667A205、FLJ39873、Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有タンパク質9、Vセット及び膜貫通ドメイン含有タンパク質3、VSIG9、VSTM3、及びWUCAMとしても知られている。この用語は、「全長」のプロセシングされていないTIGIT(例えば、配列番号352のアミノ酸配列を有する全長ヒトTIGIT)、ならびに細胞内のプロセシングから得られるあらゆる形態のTIGIT(例えば、配列番号353のアミノ酸配列を有する、シグナル配列を有しないプロセシングされたヒトTIGIT)を包含する。この用語はまた、TIGITの自然発生変異形、例えば、スプライス変異形またはアレル変異形を包含する。例示的なヒトTIGITのアミノ酸配列は、例えば、UniProt受入番号Q495A1に見出すことができる。
【0044】
「抗TIGIT抗体」及び「TIGITに特異的に結合する抗体」という用語は、抗体がTIGITの標的化において診断剤及び/または治療剤として有用であるように十分な親和性でTIGITに結合することのできる抗体を指す。一実施形態において、抗TIGIT抗体が無関係の非TIGITタンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定した場合、TIGITに対する抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態において、TIGITに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体は、異なる種由来のTIGIT間で保存されているTIGITのエピトープ、または異種間反応性を可能にするTIGIT上のエピトープ、例えばアミノ酸残基Ser78、Ser80、及びLys82を含むエピトープに結合する。
【0045】
「抗体」という用語には、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する全長抗体を含む)、ポリエピトープ性(polyepitopic)特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、及び一本鎖分子、ならびに抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、及びFv)が含まれる。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書において「抗体」と互換的に使用される。
【0046】
「単離抗体」という用語は、本明細書に開示される様々な抗体を説明するために使用される場合、抗体が発現した細胞もしくは細胞培養物から特定され、かつ分離及び/または回収された抗体を意味する。その天然環境の混入成分は、ポリペプチドの診断上または治療上の使用を典型的に妨げる材料であり、これらには、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が含まれ得る。いくつかの実施形態において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動法)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換もしくは逆相HPLC)によって決定した場合に、95%または99%を超える純度に精製される。抗体の純度を評価するための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。好ましい実施形態では、本抗体は、(1)スピニングカップ配列決定装置(spinning cup sequenator)を使用してN末端もしくは内部アミノ酸配列のうち少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、または(2)クーマシーブルーもしくは好ましくは銀染色を用いて非還元条件もしくは還元条件下でSDS-PAGEによって均質になるまで、精製されることになる。単離抗体には、組換え細胞内でインサイツの抗体が含まれるが、これは、ポリペプチドの天然環境の少なくとも1つの構成成分が存在しないためである。しかしながら、通常は、単離ポリペプチドは少なくとも1つの精製ステップによって調製されることになる。
【0047】
基本的な4本鎖の抗体ユニットは、2本の同一の軽鎖(L)と2本の同一の重鎖(H)とから構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、5つの基本的なヘテロ四量体ユニットと併せて、J鎖と呼ばれるさらなるポリペプチドからなり、10個の抗原結合部位を含有しており、一方で、IgA抗体は、2~5つの基本的な4本鎖ユニットを含み、このユニットは、重合してJ鎖と組み合わさった多価集合体を形成することができる。IgGの場合、4本鎖ユニットは、一般に約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つのジスルフィド共有結合によってH鎖に連結されており、一方で、2本のH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて、1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結されている。H鎖及びL鎖は各々、規則的に離隔した鎖間ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を有し、続いてα鎖及びγ鎖の各々については3つの定常ドメイン(CH)、ならびにμ及びεアイソタイプについては4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)を有し、続いてその他方の端部に定常ドメインを有する。VLは、VHと並んでおり、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と並んでいる。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。VHとVLとが一緒に対合することにより、単一の抗原結合部位が形成される。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Edition,Daniel P.Sties,Abba I.Terr and Tristram G.Parsolw(eds),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994の71頁及び第6章を参照されたい。あらゆる脊椎動物種由来のL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に異なる型のうちの一方に割り当てられ得る。免疫グロブリンは、それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンには、5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと表記される重鎖を有する。γ及びαクラスは、CH配列及び機能の比較的僅かな差異に基づいてサブクラスにさらに分割され、例えば、ヒトは、次のサブクラス:IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2を発現する。
【0048】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」及び「VL」と称される場合がある。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の高い部分であり(同じクラスの他の抗体と比べて)、抗原結合部位を含有する。
【0049】
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定のセグメントの配列が抗体によって大幅に異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインにおいて、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのうちより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、4つのFR領域を含み、これらは、概してベータシート構造をとり、3つのHVRによって接続されており、この3つのHVRは、ベータシート構造を接続し、一部の場合ではその一部を形成する、ループを形成する。各鎖内のHVRは、FR領域によって近接して互いに結び付いており、他方の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害における抗体の関与等の様々なエフェクター機能を呈する。
【0050】
「遮断抗体」または「アンタゴニスト抗体」とは、それが結合する抗原の生物活性を阻害または低減するものである。いくつかの実施形態において、遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を実質的または完全に阻害する。本発明の抗TIGIT抗体は、T細胞による機能的応答(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞殺傷)を、抗原刺激に対する不全状態から抗原刺激へと回復させるように、PVR、PVRL2、及び/またはPVRL3によるシグナル伝達を遮断することができる。
【0051】
「アゴニスト抗体」または「活性化抗体」は、それが結合する抗原によるシグナル伝達を増強または開始させるものである。いくつかの実施形態において、アゴニスト抗体は、天然のリガンドの存在なしでシグナル伝達を引き起こすか、または活性化させる。本発明のOX40アゴニスト抗体は、メモリーT細胞の増殖を増加させ、メモリーT細胞によるサイトカイン産生を増加させ、Treg細胞機能を阻害し、かつ/またはエフェクターT細胞の増殖及び/もしくはサイトカイン産生といったエフェクターT細胞機能のTreg細胞抑制を阻害することができる。
【0052】
「エピトープ」とは、抗体が特異的に結合する抗原の部分である。ポリペプチド抗原の場合、エピトープは、一般に、連続していても連続していなくてもよい約4~15個のアミノ酸残基のペプチド部分である。
【0053】
参照抗体としての「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する抗体、そして反対に、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する参照抗体を指す。例示的な競合アッセイが本明細書に提供される。
【0054】
「パラトープ」とは、抗原のエピトープに選択的に結合する抗体の一部を意味する。パラトープは、典型的に、抗体のVH鎖及びVL鎖由来の、そして特に、抗体のHVR領域(複数可)由来のアミノ酸を含む。
【0055】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は、微量で存在し得る可能性のある自然発生変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位を対象とする。異なる決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象とする。モノクローナル抗体は、それらの特異性に加えて、他の免疫グロブリンによって汚染されず、ハイブリドーマ培養によって合成されるという点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示すものであり、いずれかの特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されないものとする。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein.,Nature,256:495-97(1975)、Hongo et al.,Hybridoma,14(3):253-260(1995)、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)、Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)を参照されたい)、及び、ヒト免疫グロブリン遺伝子座またはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部もしくは全てを有するヒト抗体またはヒト様抗体を動物において産生するための技術(例えば、WO 1998/24893、WO 1996/34096、WO 1996/33735、WO 1991/10741、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993)、Jakobovits et al.,Nature 362:255-258(1993)、Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1993)、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、及び同第5,661,016号、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)、Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994)、Morrison,Nature 368:812-813(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845-851(1996)、Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996)、ならびにLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照されたい)を含む多様な技法によって作製することができる。
【0056】
「裸の抗体」という用語は、細胞傷害性部分または放射標識と複合されていない抗体を指す。
【0057】
「全長抗体」、「インタクトな抗体」、または「全抗体」という用語は、抗体断片とは対照的に、その実質的にインタクトな形態にある抗体を指すように互換的に使用される。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒトの天然配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異形であってもよい。一部の場合では、インタクトな抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有し得る。
【0058】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域及び/または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、ダイアボディ、直鎖抗体(米国特許第5,641,870号の実施例2、Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062[1995]を参照されたい)、一本鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、残りの「Fc」断片(容易に結晶化する能力を反映した名称)とが得られた。Fab断片は、L鎖全体と共にH鎖の可変領域ドメイン(VH)、及び1本の重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。各Fab断片は、抗原結合に関しては一価である、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、単一の大きなF(ab’)2断片が得られ、これは、異なる抗原結合活性を有する2つのFab断片がジスルフィド結合したものにほぼ相当し、依然として抗原に架橋することが可能である。Fab’断片は、抗体のヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含め、CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の追加の残基を有することが、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’の本明細書における名称である。F(ab’)2抗体断片は、元来、ヒンジシステインを間に有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的カップリングも知られている。
【0059】
Fc断片は、ジスルフィドによって互いに結び付けられたH鎖両方のカルボキシ末端を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域内の配列によって決定され、この領域はまた、ある特定の細胞型に見られるFc受容体(FcR)によって認識される。
【0060】
「Fv」とは、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。この断片は、1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインが、非共有結合で緊密に会合した二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みにより、抗体に抗原結合のためのアミノ酸残基を与え、抗原結合特異性を付与する、6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各々3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(すなわち、抗原に対して特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性であるにせよ、抗原を認識しそれに結合する能力を有する。
【0061】
「sFv」または「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、接続されて単一のポリペプチド鎖となったVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含んでおり、このリンカーにより、sFvは、抗原結合に望ましい構造を形成することができる。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
【0062】
本発明の抗体の「機能性断片」は、インタクトな抗体の一部分を含み、これには、概して、インタクトな抗体の抗原結合領域もしくは可変領域、またはFcR結合能力を保持するかもしくは改変されたFcR結合能力を有する抗体のFc領域が含まれる。抗体断片の例としては、直鎖抗体、一本鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0063】
「ダイアボディ」という用語は、Vドメインの鎖内ではなく鎖間の対合を達成し、それによって二価断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10個の残基)を用いてsFv断片(前段落を参照されたい)を構築することによって調製された、小さな抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメイン及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「クロスオーバー」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、EP 404,097、WO 93/11161、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)に、より詳細に記載されている。
【0064】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における、対応する配列と同一または相同であり、一方で鎖(複数可)の残部が、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における、対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにかかる抗体の断片が、それらが所望の生物活性を呈する限り、明確に含まれる(米国特許第4,816,567号、Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))。本明細書における目的のキメラ抗体としては、PRIMATIZED(登録商標)抗体が挙げられ、この抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルを目的の抗原で免疫することによって産生される抗体に由来する。本明細書で使用されるとき、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0065】
「ヒト化」型の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含むキメラ抗体である。一実施形態において、ヒト化抗体は、レシピエントのHVR(以下に定義される)由来の残基が、所望される特異性、親和性、及び/または能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)のHVR由来の残基で置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基は、対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含み得る。こうした改変は、抗体の結合親和性等の性能をさらに改良するために行われ得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、ここで、超可変ループの全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものであるが、FR領域には、結合親和性、異性体化、免疫原性等の抗体の性能を向上させる1つ以上の個々のFR残基置換が含まれてもよい。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は、典型的に、H鎖では6個以下であり、L鎖では3個以下である。ヒト化抗体はまた、場合により、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分を含む。さらなる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。また、例えば、Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma & Immunol.1:105-115(1998)、Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035-1038(1995)、Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428-433(1994)、ならびに米国特許第6,982,321号及び同第7,087,409号を参照されたい。
【0066】
「ヒト抗体」とは、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、及び/または本明細書に開示されるヒト抗体を作製するための技法のうちのいずれかを使用して作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む当該技術分野で知られる様々な技法を使用して産生され得る。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。ヒトモノクローナル抗体の調製には、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)、Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載の方法も利用可能である。また、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368-74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原負荷に応答してかかる抗体を産生するように改変されているが、その内因性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、免疫化ゼノマウス(xenomice)に、抗原を投与することによって、調製することができる(XENOMOUSE(商標)技術に関しては、例えば、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号を参照されたい)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されたヒト抗体に関しては、例えば、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)を参照されたい。
【0067】
本明細書で使用されるとき、「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、配列が超可変性であり、かつ/または構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つのHVRを含み、3つがVH(H1、H2、H3)にあり、3つがVL(L1、L2、L3)にある。天然抗体において、H3及びL3が6つのHVRのうち最も高い多様性を呈し、特にH3が、優れた特異性を抗体に付与する上で特有の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37-45(2000)、Johnson and Wu,in Methods in Molecular Biology 248:1-25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)を参照されたい。実際には、重鎖のみからなる自然発生のラクダ科抗体は、軽鎖の非存在下で機能的であり、安定している。例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature 363:446-448(1993)、Sheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照されたい。
【0068】
いくつかのHVR記述法が本明細書で使用され、本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))。Chothiaは、そのかわりに、構造的ループの位置に言及するものである(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。AbM HVRは、KabatのHVRとChothiaの構造的ループとの折衷物であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアで使用されている。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらHVRの各々の残基を、以下に記す。
【0069】
HVRは、次のような「拡張型HVR」を含んでもよい:VL内の24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、及び89~97または89~96(L3)、ならびにVH内の26~35(H1)、50~65または49~65(H2)、及び93~102、94~102、または95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabat et al.(上記)に従って付番される。
【0070】
「Kabatにあるような可変ドメイン残基付番」または「Kabatにあるようなアミノ酸位置付番」という表現、及びそれらの変形形態は、Kabat et al.(上記)における抗体の編成において重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用されている付番方式を指す。この付番方式を使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはHVRの短縮、またはその中への挿入に対応して、より少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含有する場合がある。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52後に単一のアミノ酸挿入(Kabatによると残基52a)を、そして重鎖FR残基82後に挿入された残基(例えば、Kabatによると残基82a、82b、及び82c等)を含んでもよい。残基のKabat付番は、所与の抗体に対して、その抗体の配列の相同領域における「標準的な」Kabat付番配列とのアライメントによって決定され得る。
【0071】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0072】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」または「アクセプターヒトフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列の下位集団からである。概して、配列の下位集団は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)にあるような下位集団である。例には、VLに関するものが含まれ、下位集団は、Kabat et al.(上記)にあるような下位集団カッパI、カッパII、カッパIII、またはカッパIVであり得る。さらに、VHについては、下位集団は、Kabat et al.(上記)にあるような下位集団I、下位集団II、または下位集団IIIであり得る。あるいは、ヒトコンセンサスフレームワークは、特定の残基、例えば、ドナーフレームワーク配列を様々なヒトフレームワーク配列の集合とアライメントすることによって、ヒトフレームワーク残基が、ドナーフレームワークに対するその相同性に基づいて選択される場合等、上記のものに由来し得る。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それと同じアミノ酸配列を含んでもよく、既存のアミノ酸配列変化を含有してもよい。いくつかの実施形態において、既存のアミノ酸変化の数は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、または2個以下である。
【0073】
「VH下位集団IIIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat et al.(上記)の可変重鎖下位集団IIIにおけるアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含む。一実施形態において、VH下位集団IIIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、次の配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(HC-FR1)(配列番号229)、WVRQAPGKGLEWV(HC-FR2)(配列番号230)、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(HC-FR3)(配列番号232)、及びWGQGTLVTVSA(HC-FR4)(配列番号232)の各々の少なくとも一部分または全てを含む。
【0074】
「VLカッパIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat et al.(上記)の可変軽鎖カッパ下位集団Iにおけるアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含む。一実施形態において、VH下位集団Iコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、次の配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(LC-FR1)(配列番号233)、WYQQKPGKAPKLLIY(LC-FR2)(配列番号234)、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(LC-FR3)(配列番号235)、及びFGQGTKVEIKR(LC-FR4)(配列番号236)の各々の少なくとも一部分または全てを含む。
【0075】
例えばFc領域の指定位置における「アミノ酸修飾」は、指定残基の置換もしくは欠失、または指定残基に隣接する少なくとも1個のアミノ酸残基の挿入を指す。指定残基に「隣接する」挿入とは、その1~2個の残基内への挿入を意味する。挿入は、指定残基のN末端側またはC末端側であり得る。本明細書における好ましいアミノ酸修飾は、置換である。
【0076】
「親和性」とは、分子(例えば抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば抗原、例えばTIGIT)との間の非共有結合的相互作用の合計の強度を指す。別段の記載がない限り、本明細書で使用されるとき、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含む当該技術分野で知られる一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例証的かつ例示的な実施形態が、以下に記載される。
【0077】
「親和性成熟」抗体とは、その1つ以上のHVRに1つ以上の変更を有し、これらの変更により、抗原に対する抗体の親和性が、変更(複数可)を有しない親抗体と比較して向上しているものである。一実施形態において、親和性成熟抗体は、標的抗原に対するナノモルまたはさらにはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で知られる手順によって産生される。例えば、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャフリングによる親和性成熟を記載している。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異誘発は、例えば、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809-3813(1994)、Schier et al.Gene 169:147-155(1995)、Yelton et al.J.Immunol.155:1994-2004(1995)、Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310-9(1995)、及びHawkins et al,J.Mol.Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
【0078】
本明細書で使用されるとき、「結合する」、「に特異的に結合する」、または「に対して特異的である」という用語は、生体分子を含む分子の異種集団の存在下で標的の存在を決定付ける、標的と抗体との間の結合といった測定可能かつ再生可能な相互作用を指す。例えば、標的(これはエピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に、かつ/またはより長い持続時間でこの標的に結合する、抗体である。一実施形態において、抗体が無関係の標的に結合する程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定した場合、標的に対する抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態において、標的に特異的に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態において、抗体は、異なる種由来のタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合は、排他的結合を含み得るが、それを必要とはしない。本明細書で使用されるこの用語は、例えば、標的に対して10-4M以下、あるいは10-5M以下、あるいは10-6M以下、あるいは10-7M以下、あるいは10-8M以下、あるいは10-9M以下、あるいは10-10M以下、あるいは10-11M以下、あるいは10-12M以下のKd、または10-4M~10-6M、もしくは10-6M~10-10M、もしくは10-7M~10-9Mの範囲のKdを有する分子によって表すことができる。当業者には理解されるであろうが、親和性及びKd値は逆相関している。抗原に対する高い親和性は、低いKd値によって測定される。一実施形態において、「特異的な結合」という用語は、ある分子が、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに、いかなる他のポリペプチドまたはポリペプチドのエピトープにも実質的に結合することなく結合する、結合を指す。
【0079】
本明細書で使用されるとき、「イムノアドヘシン」という用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性を免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と組み合わせた抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位以外の(すなわち、「異種である」)所望の結合特異性を有するアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含む。イムノアドヘシン分子のアドヘシン部分は、典型的に、受容体またはリガンドの結合部位を少なくとも含む連続したアミノ酸配列である。イムノアドヘシンにおける免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2(IgG2A及びIgG2Bを含む)、IgG-3、もしくはIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD、またはIgM等、任意の免疫グロブリンから得ることができる。Ig融合物は、好ましくは、Ig分子内の少なくとも1つの可変領域の場所に、本明細書に記載されるポリペプチドまたは抗体のドメインの置換を含む。特に好ましい実施形態では、免疫グロブリン融合物は、IgG1分子のヒンジ、CH2、及びCH3、またはヒンジ、CH1、CH2、及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合物の産生については、1995年6月27日に交付された米国特許第5,428,130号も参照されたい。例えば、本明細書において併用療法に有用なイムノアドヘシンには、OX40Lの細胞外部分もしくはOX40結合部分を含むポリペプチド、または免疫グロブリン配列の定常ドメインに融合したOX40の細胞外部分もしくはOX40L結合部分、例えばOX40 ECD-FcまたはOX40L ECD-Fcが含まれる。細胞表面受容体のIg FcとECDとのイムノアドヘシンの組み合わせは、可溶性受容体と称されることがある。
【0080】
「融合タンパク質」及び「融合ポリペプチド」とは、2つの部分が一緒に共有結合しているポリペプチドであり、これらの部分の各々が異なる特性を有するポリペプチドである、ポリペプチドを指す。この特性は、インビトロまたはインビボでの活性等の生物学的特性であり得る。この特性は、標的分子への結合、反応の触媒作用等、単純な化学特性または物理特性であってもよい。これら2つの部分は、単一のペプチド結合によって直接的に、またはペプチドリンカーを介して連結され得るが、互いのリーディングフレーム内にある。
【0081】
本明細書における「Fc領域」という用語は、天然配列のFc領域及び変異形Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位のアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端まで伸びると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU付番方式によると残基447)は、例えば、抗体の産生もしくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって、除去されてもよい。したがって、インタクトな抗体の組成物は、全K447残基が除去された抗体集団、除去されたK447残基がない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有しない抗体との混合物を有する抗体集団を含んでもよい。本発明の抗体における使用に好適な天然配列のFc領域には、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3、及びIgG4が含まれる。
【0082】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、これには、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体(これらの受容体のアレル変異形及び代替的にはスプライス型を含む)が含まれ、FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは、主にそれらの細胞質ドメインが異なる、同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)を含有する(M.Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照されたい)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-92(1991)、Capel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994)、及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)において概説されている。他のFcRは、今後特定されるものも含め、本明細書では「FcR」という用語に包含される。
【0083】
「ヒトエフェクター細胞」とは、1つ以上のFcRを発現し、かつエフェクター機能を行う白血球を指す。ある特定の実施形態において、これらの細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能(複数可)を行う。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、及び好中球が挙げられる。エフェクター細胞は、天然源、例えば、血液から単離され得る。
【0084】
「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより異なる抗体のFc領域に起因する生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、ならびにB細胞活性化が挙げられる。
【0085】
「実質的に低減した」または「実質的に異なる」という表現は、本明細書で使用されるとき、2つの数値(概して、一方はある分子に関連し、他方は参照/比較用分子に関連する)間の十分に高い度合いの差異を表し、これは、当業者が、2つの値の間の差異を、該値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴との関連で統計的有意性があるものとみなすようなものである。かかる2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較用分子の値の関数として、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、及び/または約50%超である。
【0086】
「実質的に同様の」または「実質的に同じ」という用語は、本明細書で使用されるとき、2つの数値(例えば、一方は本発明の抗体に関連し、他方は参照/比較用抗体に関連する)間の十分に高い度合いの類似性を表し、これは、当業者が、2つの値の間の差異を、該値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴との関連で生物学的及び/または統計的有意性がほとんどもしくは全くないとものみなすようなものである。かかる2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較対象の値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/または約10%未満である。
【0087】
「アンタゴニスト」という用語は、最も広義に使用され、本明細書に開示される天然ポリペプチドの生物活性を部分的または完全に遮断、阻害、または中和する任意の分子を含む。同様の様式で、「アゴニスト」という用語は、最も広義に使用され、本明細書に開示される天然ポリペプチドの生物活性を模倣する任意の分子を指す。好適なアゴニストまたはアンタゴニスト分子には、アゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体、抗体断片、天然ポリペプチドの断片またはアミノ酸配列変異形、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、有機小分子等が明確に含まれる。ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストの特定方法は、ポリペプチドを候補アゴニストまたはアンタゴニスト分子と接触させることと、ポリペプチドに通常関連する1つ以上の生物活性の検出可能な変化を測定することとを含み得る。
【0088】
本明細書で使用されるとき、標的分子の「アンタゴニスト抗体」とは、標的分子をコードする核酸の転写もしくは翻訳を減少させること、または標的分子の活性を阻害もしくは遮断することのいずれか、またはこれらの両方によって、標的分子の正常な機能を妨害する抗体を指す。例えば、TIGITのアンタゴニスト抗体は、TIGITをコードする核酸の転写もしくは翻訳を減少させること、またはTIGITポリペプチド活性を阻害もしくは遮断することのいずれか、またはこれらの両方によって、TIGITの正常な機能を妨害する、抗体またはその抗TIGIT結合断片とみなされ得る。一部の事例では、TIGITのアンタゴニスト抗体が、別のTIGIT活性に影響を及ぼすことなく1つのTIGIT活性をアンタゴナイズし得ることが、当業者には理解されよう。例えば、本明細書におけるある特定の方法で使用するのに望ましいTIGITのアンタゴニスト抗体は、例えば、他のTIGIT相互作用のいずれにも影響を及ぼさず、または最小限の影響で、PVR相互作用、PVRL3相互作用、またはPVRL2相互作用のうちの1つに応答してTIGIT活性をアンタゴナイズする、TIGITのアンタゴニスト抗体である。
【0089】
「TIGITアンタゴニスト」及び「TIGIT活性またはTIGIT発現のアンタゴニスト」という用語は、互換的に使用され、TIGITをコードする核酸の転写もしくは翻訳を減少させること、またはTIGITポリペプチド活性を阻害もしくは遮断することのいずれか、またはこれらの両方によって、TIGITの正常な機能を妨害する化合物を指す。TIGITアンタゴニストの例としては、TIGITアンタゴニストとTIGITとの相互作用により、TIGIT活性または発現の低減または停止がもたらされるような、アンチセンスポリヌクレオチド、干渉RNA、触媒RNA、RNA-DNAキメラ、TIGIT特異的アプタマー、抗TIGIT抗体、抗TIGIT抗体のTIGIT結合断片、TIGIT結合小分子、TIGIT結合ペプチド、及びTIGITに特異的に結合する他のポリペプチド(1つ以上の追加のドメインに場合により融合した1つ以上のTIGITリガンドのTIGIT結合断片を含むがこれに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の事例では、TIGITアンタゴニストが、別のTIGIT活性に影響を及ぼすことなく1つのTIGIT活性をアンタゴナイズし得ることが、当業者には理解されよう。例えば、本明細書におけるある特定の方法で使用するのに望ましいTIGITアンタゴニストは、例えば、他のTIGIT相互作用のいずれにも影響を及ぼさず、または最小限の影響で、PVR相互作用、PVRL3相互作用、またはPVRL2相互作用のうちの1つに応答してTIGIT活性をアンタゴナイズする、TIGITアンタゴニストである。
【0090】
「PVRアンタゴニスト」及び「PVR活性またはPVR発現のアンタゴニスト」という用語は、互換的に使用され、PVRをコードする核酸の転写もしくは翻訳を減少させること、またはPVRポリペプチド活性を阻害もしくは遮断することのいずれか、またはこれらの両方によって、PVRの正常な機能を妨害する化合物を指す。PVRアンタゴニストの例としては、PVRアンタゴニストとPVRとの相互作用により、PVR活性または発現の低減または停止がもたらされるような、アンチセンスポリヌクレオチド、干渉RNA、触媒RNA、RNA-DNAキメラ、PVR特異的アプタマー、抗PVR抗体、抗PVR抗体のPVR結合断片、PVR結合小分子、PVR結合ペプチド、及びPVRに特異的に結合する他のポリペプチド(1つ以上の追加のドメインに場合により融合した1つ以上のPVRリガンドのPVR結合断片を含むがこれに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の事例では、PVRアンタゴニストが、別のPVR活性に影響を及ぼすことなく1つのPVR活性をアンタゴナイズし得ることが、当業者には理解されよう。例えば、本明細書におけるある特定の方法で使用するのに望ましいPVRアンタゴニストは、例えば、PVR-CD96及び/またはPVR-CD226の相互作用に影響を及ぼすことなく、TIGIT相互作用に応答してPVR活性をアンタゴナイズする、PVRアンタゴニストである。
【0091】
「PD-1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能不全を除去するようにPD-1軸結合パートナーとその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上との相互作用を阻害し、結果として、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞殺傷)を回復または増強する分子を指す。本明細書で使用されるとき、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストを含む。
【0092】
「PD-1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えばPD-L1、PD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、または妨害する分子を指す。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がその結合パートナーのうちの1つ以上に結合することを阻害する分子である。具体的な態様において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がPD-L1及び/またはPD-L2に結合することを阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、ならびにPD-1とPD-L1及び/またはPD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、または妨害する他の分子を含む。一実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、機能不全性T細胞の機能不全性を低下させる(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)ように、PD-1を介してTリンパ球媒介シグナル伝達で発現した細胞表面タンパク質によって、またはそれを介して媒介される、負の共刺激性シグナルを低減させる。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。具体的な一態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のMDX-1106(ニボルマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のMK-3475(ランブロリズマブ)である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のCT-011(ピジリズマブ)である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のMEDI-0680(AMP-514)である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のPDR001である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のREGN2810である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のBGB-108である。
【0093】
「PD-L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L1とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1、B7-1との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、または妨害する分子を指す。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1がその結合パートナーに結合することを阻害する分子である。具体的な態様において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1がPD-1及び/またはB7-1に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストには、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、PD-1、B7-1との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、または妨害する他の分子が含まれる。一実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、機能不全性T細胞の機能不全性を低下させる(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)ように、PD-L1を介してTリンパ球媒介シグナル伝達で発現した細胞表面タンパク質によって、またはそれを介して媒介される、負の共刺激性シグナルを低減させる。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のYW243.55.S70である。別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMDX-1105である。さらに別の具体的な態様において、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMPDL3280A(アテゾリズマブ)である。さらに別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMEDI4736(デュルバルマブ)である。さらに別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のYW243.55.S70である。さらに別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMSB0010718C(アベルマブ)である。
【0094】
「PD-L2結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L2とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、または妨害する分子を指す。いくつかの実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2がその結合パートナーのうちの1つ以上に結合することを阻害する分子である。具体的な一態様において、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2がPD-1に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-L2アンタゴニストには、抗PD-L2抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L2とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、または妨害する他の分子が含まれる。一実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、機能不全性T細胞の機能不全性を低下させる(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)ように、PD-L2を介してTリンパ球媒介シグナル伝達で発現した細胞表面タンパク質によって、またはそれを介して媒介される、負の共刺激性シグナルを低減させる。いくつかの実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、イムノアドヘシンである。
【0095】
本明細書で使用される「OX40」という用語は、別段の記載がない限り、霊長類(例えばヒト)及び齧歯類(例えばマウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然のOX40を指す。この用語は、「全長」のプロセシングされていないOX40、ならびに細胞内のプロセシングから得られるあらゆる形態のOX40を包含する。この用語はまた、OX40の自然発生変異形、例えば、スプライス変異形またはアレル変異形を包含する。例示的なヒトOX40のアミノ酸配列は、配列番号354に示される。
【0096】
「OX40活性化」は、OX40受容体の活性化を指す。一般に、OX40活性化は、シグナル伝達をもたらす。
【0097】
「アプタマー」という用語は、ポリペプチド等の標的分子に結合することのできる核酸分子を指す。例えば、本発明のアプタマーは、TIGITポリペプチドに、またはTIGITの発現を調節するシグナル伝達経路内のある分子に、特異的に結合することができる。アプタマーの生成及び治療上の使用は、当該技術分野で十分に確立されている。例えば、米国特許第5,475,096号、及び加齢性黄斑変性症を治療するためのMACUGEN(登録商標)(Eyetech,New York)の治療有効性を参照されたい。
【0098】
免疫機能不全の文脈における「機能不全」という用語は、抗原刺激に対する免疫応答性が低減した状態を指す。
【0099】
本明細書で使用される「機能不全性」という用語には、抗原認識に対する不応性または無応答性、特に、抗原認識を、増殖、サイトカイン産生(例えばガンマインターフェロン)、及び/または標的細胞殺傷等の下流T細胞エフェクター機能に変換する能力の障害も含まれる。
【0100】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」または「ADCC」は、ある特定の細胞傷害性細胞(例えば、NK細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合した分泌免疫グロブリンにより、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原を有する標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒を用いて標的細胞を殺傷することが可能になる、細胞傷害の形態を指す。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するには、米国特許第5,500,362号もしくは同第5,821,337号または米国特許第6,737,056号(Presta)に記載のもの等のインビトロADCCアッセイを行うことができる。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞としては、PBMC及びNK細胞が挙げられる。あるいは、またはさらに、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.PNAS(USA)95:652-656(1998)に開示されているもの等の動物モデルにおいて評価してもよい。ADCC活性を評価するための例示的なアッセイは、本明細書の実施例に提示される。
【0101】
「アネルギー」という用語は、T細胞受容体を介して送達される不完全または不十分なシグナルから生じる抗原刺激(例えば、ras活性化の非存在下での細胞内Ca2+の増加)に対して無応答性の状態を指す。T細胞アネルギーは、共刺激の非存在下での抗原による刺激の際にも生じ得、結果として細胞は、共刺激という状況においてでさえ、抗原による後の活性化に対して不応性になる。この無応答状態は、多くの場合、インターロイキン-2(IL-2)の存在によって覆すことができる。アネルギーT細胞は、クローン増殖を経ず、かつ/またはエフェクター機能を獲得しない。
【0102】
「T細胞機能を増強する」とは、再生、持続、または増幅した生物学的機能を有するようにエフェクターT細胞またはメモリーT細胞を誘導すること、それを引き起こすこと、またはそのように刺激することを意味する。T細胞機能の増強の例としては、介入前のレベルと比べた、CD8+エフェクターT細胞からのγ-インターフェロンの分泌の増加、CD4+メモリーT細胞及び/またはエフェクターT細胞からのγ-インターフェロンの分泌の増加、CD4+エフェクターT細胞及び/またはメモリーT細胞の増殖の増加、CD8+エフェクターT細胞の増殖の増加、抗原応答性(例えば、クリアランス)の増加が挙げられる。一実施形態において、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%である。この増強を測定する様式は、当業者に知られている。
【0103】
「疲弊」という用語は、多くの慢性感染及び癌発症中に生じる持続的TCRシグナル伝達に起因するT細胞機能不全の状態としてのT細胞疲弊を指す。これは、不完全または不十分なシグナル伝達を介してではなく、持続的シグナル伝達に起因するという点で、アネルギーとは区別される。これは、エフェクター機能不良、阻害性受容体の持続的発現、及び機能的なエフェクターT細胞またはメモリーT細胞とは明確に異なる転写状態によって定義される。疲弊は、感染及び腫瘍の最適な制御を妨げる。疲弊は、外因性の負の制御性経路(例えば、免疫制御性サイトカイン)ならびに細胞固有の負の制御性(共刺激)経路(PD-1、B7-H3、B7-H4等)の両方に起因し得る。
【0104】
「T細胞機能を増強する」とは、持続もしくは増幅した生物学的機能を有するようにT細胞を誘導すること、それを引き起こすこと、もしくは刺激すること、または疲弊したもしくは不活性のT細胞を再生もしくは再活性化することを意味する。T細胞機能の増強の例としては、介入前のレベルと比べた、CD8+T細胞からのγ-インターフェロンの分泌の増加、増殖の増加、抗原応答性(例えば、ウイルス、病原体、または腫瘍のクリアランス)の増加が挙げられる。一実施形態において、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%である。この増強を測定する様式は、当業者に知られている。
【0105】
「T細胞機能不全障害」とは、抗原刺激への応答性の減少を特徴とするT細胞の障害または状態である。特定の実施形態では、T細胞機能不全障害は、OX40及び/またはOX40Lを介したシグナル伝達の不適切な減少と特異的に関連する障害である。別の実施形態では、T細胞機能不全性障害は、T細胞がアネルギー性であるか、またはサイトカインを分泌する能力、増殖する能力、もしくは細胞溶解活性を行使する能力が減少した障害である。具体的な態様では、応答性の減少により、免疫原を発現する病原体または腫瘍の無効な制御がもたらされる。T細胞機能不全を特徴とするT細胞機能不全障害の例としては、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫が挙げられる。
【0106】
「腫瘍免疫」とは、腫瘍が免疫認識及びクリアランスを回避するプロセスを指す。したがって、治療的概念としては、腫瘍免疫は、かかる回避が減弱し、腫瘍が免疫系によって認識及び攻撃されるときに「治療される」。腫瘍認識の例としては、腫瘍結合、腫瘍収縮、及び腫瘍クリアランスが挙げられる。
【0107】
「免疫原性」とは、免疫応答を誘発する特定の物質の能力を指す。腫瘍は免疫原性であり、腫瘍免疫原性の増強は、免疫応答による腫瘍細胞のクリアランスを助ける。腫瘍免疫原性の増強の例としては、OX40結合アゴニスト(例えば、抗OX40アゴニスト抗体)及びTIGIT阻害剤(例えば、抗TIGIT遮断抗体)での処置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
「持続的応答」とは、治療の休止後の腫瘍成長の低減に対する持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与期の開始時のサイズと比較して同じままであっても、より小さくてもよい。いくつかの実施形態において、持続的応答は、治療期間と少なくとも同じか、治療期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、または3.0倍の長さの期間を有する。
【0109】
本明細書で使用される「担体」には、用いられる投薬量及び濃度でそれに曝露されている細胞または哺乳動物にとって無毒である、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定剤が含まれる。多くの場合、生理的に許容可能な担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容可能な担体の例としては、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトールもしくはソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/またはTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0110】
「添付文書」は、適応症、使用量、投薬量、投与、禁忌症、パッケージングされた製品と組み合わせられる他の医薬品、及び/またはかかる医薬品の使用に関する警告に関する情報を含む、医薬品の商用パッケージに通例含まれる指示に関する情報を含む、医薬品の商用パッケージに通例含まれる指示書を指す。
【0111】
本明細書で使用されるとき、「治療」という用語は、臨床的病理の経過中に治療されている個体または細胞の自然経過を改変するように設計された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果には、疾患進行速度の減速、疾患状態の回復または緩和、及び寛解または予後の改善が含まれる。例えば、癌性細胞の増殖の低減(またはその破壊)、疾患に起因する症状の減少、疾患を患うものの生活の質の向上、疾患の治療に必要な他の医薬品の用量の減少、疾患の進行の遅延、及び/または個体の生存期間の延長を含むがこれらに限定されない、癌と関連する1つ以上の症状が軽減または排除された場合に、個体の「治療」が成功したことになる。
【0112】
本明細書で使用されるとき、「疾患の進行を遅延させること」は、疾患(癌等)の発症の延期、阻止、減速、遅滞、安定化、及び/または延滞を意味する。この遅延は、病歴及び/または治療されている個体に応じて様々な期間のものであり得る。当業者には明らかであるように、十分または著しい遅延は、個体が疾患を発症しないという点で、予防を事実上包含し得る。例えば、転移の発症等の後期癌が遅延される場合がある。
【0113】
本明細書で使用されるとき、「癌再発を低減または阻害すること」という用語は、腫瘍もしくは癌の再発、または腫瘍もしくは癌の進行を低減または阻害することを意味する。
【0114】
本明細書で使用されるとき、「癌」及び「癌性」は、制御されない細胞成長を典型的に特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すか、または表す。この定義には、良性及び悪性の癌、ならびに潜伏腫瘍もしくは微小転移が含まれる。癌の例としては、癌腫、骨髄腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。このような癌のより具体的な例としては、多発性骨髄腫(MM)、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌または胃の癌(gastric or stomach cancer)(消化管癌を含む)、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、少リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非開裂細胞性NHL、巨大病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫(例えば脳腫瘍に関連したもの)、及びメグズ症候群に関連する異常な血管増殖が挙げられる。
【0115】
「腫瘍」という用語は、悪性か良性かにかかわらず、全ての腫瘍性細胞の成長及び増殖、ならびに全ての前癌性及び癌性の細胞及び組織を指す。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、及び「腫瘍」は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0116】
本明細書で使用されるとき、「転移」は、癌の原発部位から体内の他の場所への癌の拡がりを意味する。癌細胞は、原発性腫瘍から抜け出し、リンパ管及び血管に浸透し、血流を循環し、体内の他の場所の正常組織内にある遠隔の病巣内で成長する(転移する)ことができる。転移は、局所である場合も遠隔である場合もある。転移は、腫瘍細胞が原発性腫瘍から抜け出し、血流を通って移動し、遠隔部位で止まることを条件とする、逐次的プロセスである。この新しい部位において、細胞は、血液供給を確立し、成長して、生命を脅かす腫瘤を形成し得る。腫瘍細胞内の刺激性と阻害性との両方の分子経路がこの挙動を制御し、遠隔部位における腫瘍細胞と宿主細胞との間の相互作用もまた重要である。
【0117】
「有効量」は、特定の障害の測定可能な改善または予防を実現するのに必要な少なくとも最低限の濃度である。本明細書における有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体における所望の応答を誘起する抗体の能力等の要因に応じて異なり得る。また、有効量は、治療上有益な作用が治療のいかなる毒性作用または有害作用をも上回るものである。予防的使用の場合、有益な結果または所望の結果には、疾患の生化学的、組織学的、及び/または行動学的症状、その合併症、ならびに疾患の発症中に現れる中間病理学的表現型を含む、疾患のリスクの排除もしくは低減、疾患の重症度の軽減、または疾患の発生の遅延等の結果が含まれる。治療的使用の場合、有益な結果または所望の結果には、疾患に起因する1つ以上の症状の減少、疾患を患うものの生活の質の向上、疾患の治療に必要な他の薬剤の用量の減少、別の薬剤の効果の増強(例えば、標的による)、疾患の進行の遅延、及び/または生存期間の延長等の臨床結果が含まれる。癌または腫瘍の場合、有効量の薬物は、癌細胞の数を低減させること;腫瘍サイズを低減させること;末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害すること(すなわち、ある程度減速させること、または望ましくは停止させること);腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度減速させ、望ましくは停止させる);腫瘍成長をある程度阻害すること;及び/または障害に関連する症状のうちの1つ以上をある程度緩和することにおいて、効果を有し得る。有効量は、1回以上の投与で投与され得る。本発明の目的では、薬物、化合物、または薬学的組成物の有効量は、予防的処置または治療的処置を直接的または間接的のいずれにしろ遂行するのに十分な量である。臨床分野では理解されているように、薬物、化合物、または薬学的組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または薬学的組成物と併せて達成されても、されなくてもよい。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療剤の投与との関連で考慮されてもよく、また、1つ以上の他の薬剤と併せて望ましい結果が達成され得るか、または達成される場合、単一の薬剤が有効量で与えられるとみなされてもよい。
【0118】
本明細書で使用されるとき、「と併せて」とは、1つの治療法を別の治療法に加えて施すことを指す。したがって、「と併せて」は、1つの治療法を、他方の治療法を施す前に、その間に、またはその後に、個体に施すことを指す。
【0119】
本明細書で使用されるとき、「対象」または「個体」とは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、またはネコ等を含むがこれらに限定されない、哺乳動物を意味する。好ましくは、対象はヒトである。患者もまた、本明細書における対象である。
【0120】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学化合物を含む。化学療法剤の例としては、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、ジスルフィラム、没食子酸エピガロカテキン、サリノスポラミドA、カーフィルゾミブ、17-AAG(ゲルダナマイシン)、ラディシコール、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH-A)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca)、スニチブ(sunitib)(SUTENT(登録商標)、Pfizer/Sugen)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、フィナスネート(finasunate)(VATALANIB(登録商標)、Novartis)、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、5-FU(5-フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファミブ(Lonafamib)(SCH 66336)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、AG1478、アルキル化剤、例えばチオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロメラミンを含む、エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(トポテカン及びイリノテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアゾゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);副腎皮質ステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む);酢酸シプロテロン;フィナステリド及びデュタステリドを含む5α-還元酵素);ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスロイキン、タルクデュオカルマイシン(合成類似体KW-2189及びCB1-TM1を含む);エロイテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロマファジン(chlomaphazine)、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムヌスチン(ranimnustine);抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンω1I(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.1994 33:183-186);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロドロネート等のビスホスホネート類;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎剤(anti-adrenals);フロリン酸(frolinicacid)等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デホファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エルホミチン(elfomithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシン及びアンサミトシン等のマイタンシノイド類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダムノール(mopidamnol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメト(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテシン類(特にT-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(パクリタキセル;Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、ABRAXANE(登録商標)(Cremophor不含)、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Ill.)、及びTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル、ドキセタキセル;Sanofi-Aventis);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチン等の白金類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド類;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、及び誘導体が挙げられる。
【0121】
化学療法剤には、(i)抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)等の、腫瘍に対してホルモン作用を制御または阻害するように作用する抗ホルモン剤(例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)、クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン(iodoxyfene)、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミファイン(toremifine citrate)を含む)、(ii)副腎におけるエストロゲン産生を制御するアロマターゼ酵素を阻害する、アロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン、Pfizer)、ホルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール、Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール、AstraZeneca)等、(iii)抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン等、ブセレリン、トリプテレリン(tripterelin)、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、全てのトランスレチオニン酸(transretionic acid)、フェンレチニド、ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体)、(iv)タンパク質キナーゼ阻害剤、(v)脂質キナーゼ阻害剤、(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Ralf、及びH-Ras、(vii)リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤、(viii)遺伝子療法ワクチン等のワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標)、PROLEUKIN(登録商標)、rIL-2、トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、LURTOTECAN(登録商標)等、ABARELIX(登録商標)rmRH、ならびに(ix)上記のうちのいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、及び誘導体も含まれる。
【0122】
化学療法剤には、抗体、例えば、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、及び抗体薬物複合体、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)も含まれる。本発明の化合物と組み合わせて薬剤としての治療可能性を有する追加のヒト化モノクローナル抗体には、アポリズマブ、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ、バピネオズマブ、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ(cedelizumab)、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ(erlizumab)、フェルビズマブ(felvizumab)、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ(motovizumab)、ナタリズマブ、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ノロビズマブ(nolovizumab)、ヌマビズマブ(numavizumab)、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ(pascolizumab)、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペクツズマブ(pectuzumab)、パキセリズマブ、ラリビズマブ(ralivizumab)、ラニビズマブ、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ロベリズマブ(rovelizumab)、ルプリズマブ(ruplizumab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、シプリズマブ、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン(tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ(tadocizumab)、タリズマブ、テフィバズマブ(tefibazumab)、トシリズマブ、トラリズマブ(toralizumab)、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ(tucusituzumab)、ウマビズマブ(umavizumab)、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、及びインターロイキン-12 p40タンパク質を認識するように遺伝子修飾された排他的にヒト配列の組換え完全長IgG1 λ抗体である、抗インターロイキン-12(ABT-874/J695、Wyeth Research and Abbott Laboratories)が含まれる。
【0123】
化学療法剤には「EGFR阻害剤」も含まれ、これは、EGFRに結合するか、またはさもなければそれと直接相互作用し、そのシグナル伝達活性を阻止または低減する化合物を指し、代替的に「EGFRアンタゴニスト」とも称される。かかる薬剤の例としては、EGFRに結合する抗体及び小分子が挙げられる。EGFRに結合する抗体の例としては、MAb 579(ATCC CRL HB 8506)、MAb 455(ATCC CRL HB8507)、MAb 225(ATCC CRL 8508)、MAb 528(ATCC CRL 8509)(米国特許第4,943,533号(Mendelsohnら)を参照されたい)、ならびにそれらの変異形、例えばキメラ化225(C225またはセツキシマブ、ERBUTIX(登録商標))、及び再成形ヒト225(H225)(WO 96/40210(Imclone Systems Inc.)を参照されたい)、IMC-11F8、完全ヒトEGFR標的抗体(Imclone);II型変異体EGFRに結合する抗体(米国特許第5,212,290号);米国特許第5,891,996号に記載されるEGFRに結合するヒト化抗体及びキメラ抗体;ならびにEGFRに結合するヒト抗体、例えばABX-EGFまたはパニツムマブ(WO98/50433(Abgenix/Amgen)を参照されたい);EMD 55900(Stragliotto et al.Eur.J.Cancer 32A:636-640(1996));EGFR結合についてEGF及びTGF-アルファの両方と競合するEGFRを対象とするヒト化EGFR抗体のEMD7200(マツズマブ)(EMD/Merck);ヒトEGFR抗体HuMax-EGFR(GenMab);E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3、及びE7.6.3として知られ、US 6,235,883に記載されている完全ヒト抗体;MDX-447(Medarex Inc);ならびにmAb 806またはヒト化mAb 806(Johns et al.,J.Biol.Chem.279(29):30375-30384(2004))が挙げられる。抗体EGFR抗体は、細胞傷害剤と複合することで、免疫複合体を生成することができる(例えば、EP659,439A2(Merck Patent GmbH)を参照されたい)。EGFRアンタゴニストには、米国特許第5,616,582号、同第5,457,105号、同第5,475,001号、同第5,654,307号、同第5,679,683号、同第6,084,095号、同第6,265,410号、同第6,455,534号、同第6,521,620号、同第6,596,726号、同第6,713,484号、同第5,770,599号、同第6,140,332号、同第5,866,572号、同第6,399,602号、同第6,344,459号、同第6,602,863号、同第6,391,874号、同第6,344,455号、同第5,760,041号、同第6,002,008号、及び同第5,747,498号、ならびに次のPCT公報:WO98/14451、WO98/50038、WO99/09016、及びWO99/24037に記載される化合物等の小分子が含まれる。特定の小分子EGFRアンタゴニストとしては、OSI-774(CP-358774、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標)Genentech/OSI Pharmaceuticals);PD 183805(CI 1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-,ジヒドロクロリド、Pfizer Inc.);ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca)、ZM 105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca)、BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim)、PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール)、(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)、CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド)、EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)(Wyeth)、AG1478(Pfizer)、AG1571(SU 5271、Pfizer)、二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016またはN-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミン)が挙げられる。
【0124】
化学療法剤には、「チロシンキナーゼ阻害剤」、例えば、前段落に記載のEGFR標的薬物、小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、Takedaから入手可能なTAK165等、CP-724,714(ErbB2受容体チロシンキナーゼの経口選択的阻害剤)(Pfizer及びOSI)、二重HER阻害剤、例えば、EGFRと優先的に結合するが、HER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害するEKB-569(Wyethから入手可能)等、ラパチニブ(GSK572016、Glaxo-SmithKlineから入手可能)、経口HER2及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤、PKI-166(Novartisから入手可能)、pan-HER阻害剤、例えば、カネルチニブ(CI-1033、Pharmacia)等、Raf-1阻害剤、例えば、Raf-1シグナル伝達を阻害するISIS Pharmaceuticalsから入手可能なアンチセンス薬剤ISIS-5132等、非HER標的TK阻害剤、例えば、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Glaxo SmithKlineから入手可能)等、多標的チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizerから入手可能)等、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、バタラニブ(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AGから入手可能)等、MAPK細胞外制御キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmaciaから入手可能)、キナゾリン、例えば、PD 153035,4-(3-クロロアニリノ)キナゾリン等、ピリドピリミジン、ピリミドピリミジン、ピロロピリミジン、例えば、CGP 59326、CGP 60261、及びCGP 62706等、ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン、クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド)、ニトロチオフェン部分を含有するチルホスチン、PD-0183805(Warner-Lamber)、アンチセンス分子(例えば、HERコード核酸に結合するもの)、キノキサリン(米国特許第5,804,396号)、トリホスチン(tryphostins)(米国特許第5,804,396号)、ZD6474(Astra Zeneca)、PTK-787(Novartis/Schering AG)、CI-1033(Pfizer)等のpan-HER阻害剤、Affinitac(ISIS 3521、Isis/Lilly)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、PKI 166(Novartis)、GW2016(Glaxo SmithKline)、CI-1033(Pfizer)、EKB-569(Wyeth)、セマキシニブ(Pfizer)、ZD6474(AstraZeneca)、PTK-787(Novartis/Schering AG)、INC-1C11(Imclone)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標))、または次の特許公報のいずれか:米国特許第5,804,396号、WO 1999/09016(American Cyanamid)、WO 1998/43960(American Cyanamid)、WO 1997/38983(Warner Lambert)、WO 1999/06378(Warner Lambert)、WO 1999/06396(Warner Lambert)、WO 1996/30347(Pfizer,Inc)、WO 1996/33978(Zeneca)、WO 1996/3397(Zeneca)、及びWO 1996/33980(Zeneca)に記載されるものも含まれる。
【0125】
化学療法剤としては、デキサメタゾン、インターフェロン、コルヒチン、メトプリン、シクロスポリン、アンホテリシン、メトロニダゾール、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アミホスチン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生、ベバクジマブ(bevacuzimab)、ベキサロテン、クラドリビン、クロファラビン、ダルベポエチンアルファ、デニロイキン、デクスラゾキサン、エポエチンアルファ、エロチニブ(elotinib)、フィルグラスチム、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、レナリドミド、レバミゾール、メスナ、メトキサレン、ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オプレルベキン、パリフェルミン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、キナクリン、ラスブリカーゼ、サルグラモスチム、テモゾロミド、VM-26、6-TG、トレミフェン、トレチノイン、ATRA、バルルビシン、ゾレドロネート、及びゾレドロン酸、ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩も挙げられる。
【0126】
化学療法剤には、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ピバリン酸チクソコルトール、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、プロピオン酸アクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン-17-ブチレート、クロベタゾ-ル-17-プロピオネート、カプロン酸フルオコルトロン、ピバリン酸フルオコルトロン及び酢酸フルプレドニデン;免疫選択的抗炎症ペプチド(ImSAID)、例えばフェニルアラニン-グルタミン-グリシン(FEG)及びそのD異性体形態(feG)(IMULAN BioTherapeutics,LLC);抗リウマチ薬、例えばアザチオプリン、シクロスポリン(シクロスポリンA)、D-ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミドミノシクリン、スルファサラジン、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)遮断剤、例えばエタネルセプト(Enbrel)、インフリキシマブ(Remicade)、アダリムマブ(Humira)、セルトリズマブペゴール(Cimzia)、ゴリムマブ(Simponi)、インターロイキン1(IL-1)遮断剤、例えばアナキンラ(Kineret)、T細胞共刺激遮断剤、例えばアバタセプト(Orencia)、インターロイキン6(IL-6)遮断剤、例えばトシリズマブ(ACTEMERA(登録商標));インターロイキン13(IL-13)遮断剤、例えばレブリキズマブ;インターフェロンアルファ(IFN)遮断剤、例えばロンタリズマブ;ベータ7インテグリン遮断剤、例えばrhuMAb Beta7;IgE経路遮断剤、例えば抗M1プライム;分泌ホモ三量体LTa3及び膜結合ヘテロ三量体LTa1/β2遮断剤、例えば抗リンホトキシンアルファ(LTa);放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体);種々の治験薬、例えばチオプラチン、PS-341、フェニルブチレート、ET-18-OCH3、またはファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L-739749、L-744832);ポリフェノール、例えばケルセチン、レスベラトロール、ピセアタンノール、没食子酸エピガロカテキン、テアフラビン、フラバノール、プロシアニジン、ベツリン酸、及びそれらの誘導体;オートファジー阻害剤、例えばクロロキン;デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9-アミノカンプトテシン);ポドフィロトキシン;テガフール(UFTORAL(登録商標));ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標));ビスホスホネート、例えばクロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロネート(ACTONEL(登録商標));ならびに上皮成長因子受容体(EGF-R);THERATOPE(登録商標)ワクチン等のワクチン;ペリフォシン、COX-2阻害剤(例えばセレコキシブまたはエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えばPS341);CCI-779;ティピファニブ(R11577);オラフェニブ(orafenib)、ABT510;Bcl-2阻害剤、例えばオブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標));ピクサントロン;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばロナファーニブ(SCH 6636、SARASARTM);及び上記のうちのいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、または誘導体;ならびに上記のうちの2つ以上の組み合わせ、例えばCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略語)、及びFOLFOX(オキサリプラチン(ELOXATINTM)を5-FU及びロイコボリンと組み合わせた治療レジメンの略語)も含まれる。
【0127】
化学療法剤には、鎮痛、解熱、及び抗炎症作用を有する非ステロイド性抗炎症性薬物も含まれる。NSAIDには、酵素シクロオキシゲナーゼの非選択的阻害剤が含まれる。NSAIDの具体例としては、アスピリン、プロピオン酸誘導体、例えば、イブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、及びナプロキセン、酢酸誘導体、例えば、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ジクロフェナク、エノール酸誘導体、例えば、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、及びイソキシカム、フェナム酸誘導体、例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ならびにCOX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブが挙げられる。NSAIDは、リウマチ性関節炎、変形性関節炎、炎症性関節症、強直性脊椎症、乾癬性関節炎、ライター症候群、急性痛風、月経困難症、転移性骨痛、頭痛、及び片頭痛、術後痛、炎症及び組織傷害に起因する軽度から中度の疼痛、発熱、腸閉塞、及び腎疝痛等の病態の症状緩和のために指示され得る。
【0128】
本明細書で使用されるとき、「サイトカイン」という用語は、別の細胞に対して細胞間媒介物として作用するか、またはタンパク質を産生している細胞に自己分泌作用を及ぼす、1つの細胞集団によって放出されるタンパク質を総称的に指す。かかるサイトカインの例としては、リンホカイン、モノカイン;インターロイキン(「IL」)、例えば、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17A~F、IL-18~IL-29(IL-23等)、IL-31(PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;TNF-αまたはTNF-β、TGF-β1~3等の腫瘍壊死因子;及び白血病阻害因子(「LIF」)、毛様体神経栄養因子(「CNTF」)、CNTF様サイトカイン(「CLC」)、カルジオトロフィン(「CT」)、及びkitリガンド(「KL」)を含む他のポリペプチド因子が挙げられる。
【0129】
本明細書で使用されるとき、「ケモカイン」という用語は、白血球の化学遊走及び活性化を選択的に誘導する能力を有する可溶性因子(例えば、サイトカイン)を指す。それらはまた、血管新生、炎症、創傷治癒、及び腫瘍発生のプロセスを引き起こす。例示的なケモカインとしては、IL-8、マウスケラチノサイト化学遊走物質(KC)のヒト相同体が挙げられる。
【0130】
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するために必要に応じて配列をアライメントしギャップを導入した後の、あらゆる保存的置換を配列同一性の一部とみなさない、参照ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の割合と定義される。アミノ酸配列同一性パーセントの決定を目的とするアライメントは、当該技術分野の技能の範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較されている配列の全長にわたる最大のアライメントを達成するために必要なあらゆるアルゴリズムを含め、配列のアライメントを行うための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的では、アミノ酸配列同一性%の値は、配列比較コンピュータプログラムであるALIGN-2を使用して生成されたものである。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはGenentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、ユーザ文書と共に米国著作権局(Washington D.C.,20559)に提出され、米国著作権登録番号TXU510087のもとに登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に入手可能であり、ソースコードからコンパイルすることもできる。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステムで使用するようにコンパイルする必要がある。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変動しない。
【0131】
アミノ酸配列比較のためにALIGN-2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比した、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(これは、所与のアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比した、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有するかまたは含む、所与のアミノ酸配列Aと代替的に表現することもできる)は、次のように計算される:
100×分数X/Y
(式中、Xは、配列アライメントプログラムALIGN-2によるA及びBのアライメントにおいて、このプログラムにより完全なマッチとしてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%がAに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくならないことは理解されよう。明確な別段の定めがない限り、本明細書において使用されるアミノ酸配列同一性%の値は全て、直前の段落に記載されているようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られたものである。
【0132】
「薬学的に許容可能な」という表現は、物質または組成物が、製剤に含まれる他の成分、及び/またはそれで処置されている哺乳動物と、化学的かつ/または毒物学的に適合性でなければならないことを示す。
【0133】
本明細書で使用されるとき、「投与すること」とは、ある投薬量の化合物(例えば、本発明の抗TIGIT抗体もしくは本発明の抗TIGIT抗体をコードする核酸)または組成物(例えば、薬学的組成物、例えば、本発明の抗TIGIT抗体を含む薬学的組成物)を対象に与える方法を意味する。本明細書に記載される方法で利用される組成物は、例えば、静脈内に、筋肉内に、硝子体内に(例えば硝子体内注射により)、点眼により、皮内に、経皮的に(percutaneously)、動脈内に、腹腔内に、病巣内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に(intraprostatically)、胸膜内に、気管内に、髄腔内に、鼻腔内に、膣内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、腹膜に、皮下に、結膜下に、小胞内に、粘膜に、心膜内に、臍部内に、眼内に、眼窩内に、経口的に、局所的に、経皮的に(transdermally)、吸入により、注射により、埋め込みにより、注入により、持続注入により、標的細胞を直接浸す局所灌流により、カテーテルにより、洗浄により、クレームで、または脂質組成物で投与することができる。本明細書に記載の方法に利用される組成物は、全身に投与することも局所に投与することもできる。投与方法は、様々な要素(例えば、投与される化合物または組成物、及び治療される状態、疾患、または障害の重症度)に応じて異なり得る。
【0134】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用されるとき、ある核酸分子が、連結している別の核酸分子を輸送することができるものを指す。ベクターの一種には「プラスミド」があり、これは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る円形の二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の種類はファージベクターである。ベクターの別の種類はウイルスベクターであり、ここで、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムへとライゲーションされていてもよい。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞における自己複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれ得るため、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を導くことができる。かかるベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(または単純に「組換えベクター」もしくは「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA技法において利用される発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」は、互換的に使用され得る。
【0135】
本明細書で使用される「約」という用語は、当業者であれば容易に分かるそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」の値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。
【0136】
III.例示的な抗TIGIT抗体
本発明は、対象(例えばヒト)の癌または免疫関連疾患(例えばT細胞機能不全障害)を治療するため、またはその進行を遅延させるために有用な、抗TIGIT抗体を提供する。
【0137】
一例において、抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITのSer78、Ser80、及びLys82からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、または3個のアミノ酸残基)を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。例えば、一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Ser80及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Ser78及びSer80を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Ser78及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Ser78、Ser80、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0138】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、及び/またはLys82に加えてヒトTIGITの残基Ala67を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78及びAla67;Ser80及びAla67;Lys82及びAla67;Ser78、Ser80、及びAla67;Ser78、Lys82、及びAla67;Ser80、Lys82、及びAla67;またはSer78、Ser80、Lys82、及びAla67を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0139】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、及び/またはLys82に加えて、ヒトTIGITのGlu60、Leu65、及びIle68からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、または3個のアミノ酸残基)を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78及びGlu60、Ser80及びGlu60、Lys82及びGlu60、Ser78及びLeu65、Ser80及びLeu65、Lys82及びLeu65、Ser78及びIle68、Ser80及びIle68、Lys82及びIle68を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、及びGlu60;Ser78、Ser80、及びLeu65;Ser78、Ser80、及びIle68;Ser80、Lys82、及びGlu60;Ser80、Lys82、及びLeu65;Ser80、Lys82、及びIle68;Ser78、Lys82、及びGlu60;Ser78、Lys82、及びLeu65;Ser78、Lys82、及びIle68を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、Lys82、及びGlu60;Ser78、Ser80、Lys82、及びLeu65;Ser78、Ser80、Lys82、及びIle68を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Glu60、Leu65、及びSer78;Glu60、Leu65、及びSer80;Glu60、Leu65、及びLys82;Leu65、Ile68、及びSer78;Leu65、Ile68、及びSer80;Leu65、Ile68、及びLys82;Glu60、Ile68、及びSer78;Glu60、Ile68、及びSer80;Glu60、Ile68、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Glu60、Leu65、Ile68、及びSer78;Glu60、Leu65、Ile68、及びSer80;Glu60、Leu65、Ile68、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Glu60、Leu65、Ser78、及びSer80;Glu60、Leu65、Ser78、及びLys82;Glu60、Leu65、Ser80、及びLys82;Leu65、Ile68、Ser78、及びSer80;Leu65、Ile68、Ser78、及びLys82;Leu65、Ile68、Ser80、及びLys82;Leu65、Glu60、Ser78、及びSer80;Leu65、Glu60、Ser78、及びLys82;Leu65、Glu60、Ser80、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Glu60、Leu65、Ser78、Ser80、及びLys82;Leu65、Ile68、Ser78、Ser80、及びLys82;Glu60、Leu65、Ser78、Ser80、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、Glu60、Leu65、及びIle68;Ser78、Lys82、Glu60、Leu65、及びIle68;Ser80、及びLys82、Glu60、Leu65、及びIle68を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、Lys82、Glu60、Leu65、及びIle68を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0140】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、及びLys82に加えて、ヒトTIGITのGln56、Asn70、Leu73、及びHis111からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、または4個のアミノ酸残基)を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、Lys82、及びGln56;Ser78、Ser80、Lys82、及びAsn70;Ser78、Ser80、Lys82、及びLeu73;Ser78、Ser80、Lys82、及びHis111を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、Lys82、Gln56、及びAsn70;Ser78、Ser80、Lys82、Gln56、及びLeu73;Ser78、Ser80、Lys82、Gln56、及びHis111;Ser78、Ser80、Lys82、Asn70、及びLeu73;Ser78、Ser80、Lys82、Asn70、及びHis111;Ser78、Ser80、Lys82、Leu73、及びHis111を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、Lys82、Gln56、Asn70、及びLeu73;Ser78、Ser80、Lys82、Gln56、Asn70、及びHis111;Ser78、Ser80、Lys82、Gln56、Leu73、及びHis111;Ser78、Ser80、Lys82、Asn70、Leu73、及びHis111を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、Lys82、Gln56、Asn70、Leu73、及びHis111を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Ser78、Ser80、及び/またはLys82に加えて、ヒトTIGITのThr55、Asn58、Asp63、Gln64、His76、Ile77、及びPro79からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、または3個のアミノ酸残基)を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0141】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Gln56、Asn58、Glu60、Asp63、Gln64、Leu65、Ala67、Ile68、Asn70、Leu73、His76、Ile77、Ser78、Pro79、Ser80、Lys82、及びHis111を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Gln56、Asn58、Glu60、Asp63、Gln64、Leu65、Ala67、Ile68、Asn70、Leu73、His76、Ile77、Ser78、Pro79、Ser80、Lys82、及びHis111からなるヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0142】
別の例において、抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITのThr55、Ser80、及びLys82からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、または3個のアミノ酸残基)を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。例えば、一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Lys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Ser80及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Thr55及びSer80を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Thr55及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Thr55、Ser80、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0143】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55、Ser80、及び/またはLys82に加えて、ヒトTIGITの残基Gln56を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55及びGln56;Ser80及びGln56;Lys82及びGln56;Thr55、Ser80、及びGln56;Thr55、Lys82、及びGln56;Ser80、Lys82、及びGln56;またはThr55、Ser80、Lys82、及びGln56を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0144】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55、Ser80、及び/またはLys82に加えて、ヒトTIGITのAsn58、Glu60、Ile77、及びPro79からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、または3個のアミノ酸残基)を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55及びAsn58;Thr55及びGlu60;Ser80及びAsn58;Ser80及びGlu60;Lys82及びAsn58;Lys82及びGlu60;Thr55及びIle77;Ser80及びIle77;Lys82及びIle77;Thr55及びPro79;Ser80及びPro79;Lys82及びPro79を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55、Ser80、及びAsn58;Thr55、Ser80、及びGlu60;Thr55、Ser80、及びIle77;Thr55、Ser80、及びPro79;Ser80、Lys82、及びAsn58;Ser80、Lys82、及びGlu60;Ser80、Lys82、及びIle77;Ser80、Lys82、及びPro79;Thr55、Lys82、及びAsn58;Thr55、Lys82、及びGlu60;Thr55、Lys82、及びIle77;Thr55、Lys82、及びPro79を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55、Ser80、Lys82、及びAsn58;Thr55、Ser80、Lys82、及びGlu60;Thr55、Ser80、Lys82、及びIle77;Thr55、Ser80、Lys82、及びPro79を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Asn58、Ile77、及びThr55;Glu60、Ile77、及びThr55;Asn58、Ile77、及びSer80;Glu60、Ile77、及びSer80;Asn58、Ile77、及びLys82;Glu60、Ile77、及びLys82;Ile77、Pro79、及びThr55;Ile77、Pro79、及びSer80;Ile77、Pro79、及びLys82;Glu60、Pro79、及びThr55;Asn58、Pro79、及びSer80;Glu60、Pro79、及びSer80;Asn58、Pro79、及びLys82;Glu60、Pro79、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Asn58、Ile77、Pro79、及びThr55;Glu60、Ile77、Pro79、及びThr55;Asn58、Ile77、Pro79、及びSer80;Glu60、Ile77、Pro79、及びSer80;Asn58、Ile77、Pro79、及びLys82;Glu60、Ile77、Pro79、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Asn58、Ile77、Thr55、及びSer80;Glu60、Ile77、Thr55、及びSer80;Asn58、Ile77、Thr55、及びLys82;Glu60、Ile77、Thr55、及びLys82;Asn58、Ile77、Ser80、及びLys82;Glu60、Ile77、Ser80、及びLys82;Ile77、Pro79、Thr55、及びSer80;Ile77、Pro79、Thr55、及びLys82;Ile77、Pro79、Ser80、及びLys82;Ile77、Asn58、Thr55、及びSer80;Ile77、Glu60、Thr55、及びSer80;Ile77、Asn58、Thr55、及びLys82;Ile77、Asn58、Thr55、及びLys82;Ile77、Glu60、Thr55、及びLys82;Ile77、Asn58、Ser80、及びLys82;Ile77、Glu60、Ser80、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Asn58、Ile77、Thr55、Ser80、及びLys82;Glu60、Ile77、Thr55、Ser80、及びLys82;Ile77、Pro79、Thr55、Ser80、及びLys82;Asn58、Ile77、Thr55、Ser80、及びLys82;Glu60、Ile77、Thr55、Ser80、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55、Ser80、Asn58、Ile77、及びPro79;Thr55、Ser80、Glu60、Ile77、及びPro79;Thr55、Lys82、Asn58、Ile77、及びPro79;Thr55、Lys82、Glu60、Ile77、及びPro79;Ser80、Lys82、Asn58、Ile77、及びPro79;及びSer80、Lys82、Glu60、Ile77、及びPro79を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55、Ser80、Lys82、Glu60、Ile77、及びPro79を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55、Ser80、Lys82、Asn58、Ile77、及びPro79を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55、Asn58、Glu60、Ile77、Pro79、Ser80、及びLys82を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0145】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Thr55、Ser80、及びLys82に加えて、ヒトTIGITのアミノ酸残基Leu65、Ile68、Leu73、His76、Ser78、及びHis111をさらに含む、Leu65、Ile68、Leu73、His76、Ser78、及びHis111からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、または6個のアミノ酸残基)を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0146】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Gln56、Asn58、Glu60、Leu65、Ile68、Leu73、His76、Ile77、Ser78、Pro79、Ser80、Lys82、及びHis111を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITのアミノ酸残基Thr55、Gln56、Asn58、Glu60、Leu65、Ile68、Leu73、His76、Ile77、Ser78、Pro79、Ser80、Lys82、及びHis111からなるヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0147】
一部の事例では、上述の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、重鎖可変領域アミノ酸残基Asn32、Tyr52、Arg52b、Phe53、Lys54、Tyr56、Asp58、Tyr99、Asp100、Leu100a、Leu100b、及びAla100cからなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個のアミノ酸残基)、及び/または、軽鎖可変領域アミノ酸残基Tyr27d、Tyr92、Ser93、Thr94、及びPhe96からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個のアミノ酸残基)を含む、パラトープを含み得る。
【0148】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、重鎖可変領域アミノ酸残基Asn32、Tyr52、Arg52b、Phe53、Lys54、Tyr56、Asp58、Tyr99、Asp100、Leu100a、Leu100b、及びAla100c、ならびに軽鎖可変領域アミノ酸残基Tyr27d、Tyr92、Ser93、Thr94、及びPhe96からなるパラトープを含み得る。
【0149】
ある特定の実施形態において、本発明の抗TIGIT抗体は、4.5オングストローム、3.7オングストローム、3.5オングストローム、3.25オングストローム、3.00オングストローム、2.75オングストローム、またはそれ以下の距離で、ヒトTIGITのアミノ酸と特有の接触をなす。ある特定の実施形態では、4.5オングストローム、3.7オングストローム、3.5オングストローム、3.25オングストローム、3.00オングストローム、2.75オングストローム、またはそれ以下の距離で、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのヒトTIGITのアミノ酸からなるエピトープに結合する抗体が提供される。一実施形態において、本発明の抗TIGIT抗体は、3.7オングストローム以下の距離でヒトTIGITのアミノ酸と特有の接触をなす。ある特定の実施形態において、3.7オングストローム以下の距離で、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのヒトTIGITのアミノ酸からなるエピトープに結合する抗体が提供される。
【0150】
一部の事例では、上記の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び/または(f)QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、あるいは、上記のHVRのうちの1つ以上と、配列番号1~6のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含む。一部の事例では、上記の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体4.1D3及びその誘導体(例えば、4.1D3.Q1E)が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号34もしくは35に対して少なくとも少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号34もしくは35の配列を含む、VHドメイン、及び/または、配列番号36に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号36の配列を含む、VLドメインを有し得る。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号34に対して少なくとも少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号34の配列を含む、VHドメイン、及び/または、配列番号36に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号36の配列を含む、VLドメインを有し得る。特定の事例において、抗TIGIT抗体は、4.1D3.Q1E、またはその誘導体もしくはクローンの近縁種であり得る。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号35に対して少なくとも少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号35の配列を含む、VHドメイン、及び/または、配列番号36に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号36の配列を含む、VLドメインを有し得る。特定の事例において、抗TIGIT抗体は、4.1D3、またはその誘導体もしくはクローンの近縁種であり得る。
【0151】
一部の事例では、本抗体は、次の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号7~10のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせをさらに含む。一部の事例では、例えば、本抗体は、DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4、例えば、抗TIGIT抗体4.1D3.Q1E及び4.1D3が有するもの等をさらに含む。
【0152】
一部の事例では、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(式中、X1はQまたはEである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号11~14のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせをさらに含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の重鎖可変領域FR:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号12~15のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせをさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、例えば、4.1D3.Q1E抗体が有するもの等を含む。別の事例では、例えば、抗TIGIT抗体は、次の重鎖可変領域FR:QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号12~14及び16のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせをさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、例えば、4.1D3抗体が有するもの等を含む。
【0153】
別の例において、本発明は、ヒトTIGITのGln53、His111、及びTyr113からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、または3個のアミノ酸残基)を含むヒトTIGITのエピトープに結合する抗TIGIT抗体を提供する。例えば、一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基His111及びTyr113を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Gln53及びHis111を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Gln53及びTyr113を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、アミノ酸残基Gln53、His111、及びTyr113を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0154】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、及び/またはTyr113に加えて、ヒトTIGITの残基Gln56を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53及びGln56;His111及びGln56;Tyr113及びGln56;Gln53、His111、及びGln56;Gln53、Tyr113、及びGln56;His111、Tyr113、及びGln56;またはGln53、His111、Tyr113、及びGln56を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0155】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、及び/またはGln56に加えて、ヒトTIGITのGlu60、Leu65、Ile68、Asn70、Leu73、及びHis76からなる群から選択される1個以上の追加のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、または6個のアミノ酸残基)を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。例えば、一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、及びGlu60;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、及びLeu65;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、及びIle68;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、及びAsn70;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、及びLeu65;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、及びIle68;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、及びAsn70;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、及びIle68;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、及びAsn70;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Ile68、及びAsn70;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Ile68、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Ile68、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Asn70、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Asn70、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu73、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、及びAsn70;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Ile68、Asn70、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Ile68、Asn70、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、Asn70、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、Asn70、及びHis76;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Ile68、Asn70、Leu73及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、Asn70、Leu73、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0156】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、及びIle68;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、及びAsn70;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Ile68、及びAsn70;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Ile68、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Ile68、及びAsn70;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Ile68、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Asn70、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Asn70、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Leu73、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Ile68、Asn70、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Ile68、Asn70、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Asn70、Leu73、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu65、Ile68、Asn70、Leu73、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0157】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Ile68、及びAsn70;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Ile68、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Ile68、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Ile68、Asn70、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Ile68、Asn70、及びHis76;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Ile68、Leu73、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Ile68、Asn70、Leu73、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0158】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Asn70、及びLeu73;Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Asn70、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Asn70、Leu73、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、Gln53、His111、Tyr113、Gln56、Leu73、及びHis76を含むヒトTIGITのエピトープに結合する。
【0159】
一部の事例では、前例の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、(a)SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び/または(f)QHLHGYPX1N(配列番号22)(式中、X1はCまたはSである)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、あるいは、上記のHVRのうちの1つ以上と、配列番号17~22のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含む。一部の事例では、上記の前例の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、例えば、(a)SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHLHGYPX1N(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体7.4A3及びその誘導体(例えば、7.4A3.C96S.Q1E)が有するもの等を含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、(a)SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHLHGYPSN(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体7.4A3.C96S.Q1E.が有するもの等を含んでもよい。他の事例では、抗TIGIT抗体は、(a)SYPMN(配列番号17)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINTNTGNPTYVQGFTG(配列番号18)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TGGHTYDSYAFDV(配列番号19)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQVISSSLA(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)AASTLQS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHLHGYPCN(配列番号28)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体7.4A3が有するもの等を含んでもよい。
【0160】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号37に対して少なくとも少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号37の配列を含む、VHドメイン、及び/または、配列番号38に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号38の配列を含む、VLドメインを有し得る。特定の事例において、抗TIGIT抗体は、7.4A3.C96S.Q1E、またはその誘導体もしくはクローンの近縁種であり得る。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号39に対して少なくとも少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号39の配列を含む、VHドメイン、及び/または、配列番号40に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列または配列番号40の配列を含む、VLドメインを有し得る。特定の事例において、抗TIGIT抗体は、7.4A3、またはその誘導体もしくはクローンの近縁種であり得る。
【0161】
一部の事例では、本抗体は、次の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIQLTQSPTFLSASVGDRVTITC(配列番号30)、WYQQNPGKAPKLLIY(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFVTYYC(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号33)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号30~33のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体7.4A3及びその誘導体(例えば、7.4A3.C96S.Q1E)が有するもの等をさらに含む。
【0162】
一部の事例では、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:EVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号24)のアミノ酸配列もしくはQVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGHGLEWMG(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCAR(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTMVTVSS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号24~27及び29のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせをさらに含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の重鎖可変領域FR:EVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGHGLEWMG(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCAR(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTMVTVSS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号24~27のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせをさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGHGLEWMG(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCAR(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及びWGQGTMVTVSS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-H4、例えば、7.4A3.C96S.Q1E抗体が有するもの等を含む。別の事例では、例えば、抗TIGIT抗体は、次の重鎖可変領域FR:QVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGHGLEWMG(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCAR(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTMVTVSS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号25~27及び29のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせをさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、QVQLVQSGSDLKKPGASVRVSCKASGYTFT(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGHGLEWMG(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYFCAR(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及びWGQGTMVTVSS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-H4、例えば、7.4A3抗TIGIT抗体が有するもの等を含む。
【0163】
別の例において、本発明は、(a)NYPMN(配列番号41)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINTNTGSPAYAQDFTE(配列番号42)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TAITSVYHFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQGISSYLA(配列番号44)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)GATTLQS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び/または(f)QKLNSHPX1S(配列番号46)(式中、X1はC、S、またはYである)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、あるいは、上記のHVRのうちの1つ以上と、配列番号41~46のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含む、抗TIGIT抗体を提供する。一部の事例では、上記の前例の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、例えば、(a)NYPMN(配列番号41)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINTNTGSPAYAQDFTE(配列番号42)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TAITSVYHFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQGISSYLA(配列番号44)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)GATTLQS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QKLNSHPX1S(配列番号46)(式中、X1はC、S、またはYである)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体4.1A4及びその誘導体(例えば、4.1A4.C96S.Q1E及び4.1A4.C96Y.Q1E)が有するもの等を含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、(a)NYPMN(配列番号41)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINTNTGSPAYAQDFTE(配列番号42)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TAITSVYHFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQGISSYLA(配列番号44)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)GATTLQS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QKLNSHPCS(配列番号47)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体4.1A4が有するもの等を含んでもよい。他の事例では、抗TIGIT抗体は、(a)NYPMN(配列番号41)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINTNTGSPAYAQDFTE(配列番号42)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TAITSVYHFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQGISSYLA(配列番号44)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)GATTLQS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QKLNSHPSS(配列番号48)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体4.1A4.C96S.Q1Eが有するもの等を含んでもよい。他の事例では、抗TIGIT抗体は、(a)NYPMN(配列番号41)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINTNTGSPAYAQDFTE(配列番号42)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TAITSVYHFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQGISSYLA(配列番号44)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)GATTLQS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QKLNSHPYS(配列番号49)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体4.1A4.C96Y.Q1Eが有するもの等を含んでもよい。
【0164】
一部の事例では、本抗体は、次の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号56)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPRVLIY(配列番号57)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSESGTEFTLTISSLQPEDLATYYC(配列番号58)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号59)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号56~59のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体4.1A4及びその誘導体(例えば、1A4.C96S.Q1E及び1A4.C96Y.Q1E)が有するもの等をさらに含む。
【0165】
一部の事例では、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:X1VQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTLT(配列番号50)(式中、X1はEまたはQである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGRGLEWMG(配列番号51)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVTTAYLQISSLKAEDTAVYYCAR(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号53)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号50~53のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせをさらに含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の重鎖可変領域FR:QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTLT(配列番号54)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGRGLEWMG(配列番号51)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVTTAYLQISSLKAEDTAVYYCAR(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号53)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号51~54のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体4.1A4が有するもの等をさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTLT(配列番号55)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGRGLEWMG(配列番号51)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RFVFSLDTSVTTAYLQISSLKAEDTAVYYCAR(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号53)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号51~53及び55のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体1A4.C96S.Q1Eまたは1A4.C96Y.Q1Eが有するもの等を含む。
【0166】
別の例において、本発明は、(a)TYGMGVS(配列番号68)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)SIWWNGNTYYNPSLKS(配列番号69)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TGGAVITWFAY(配列番号70)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KASQSVGKNIA(配列番号71)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)YASNRYT(配列番号72)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び/または(f)QHIYNSPYP(配列番号73)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、あるいは、上記のHVRのうちの1つ以上と、配列番号68~73のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含む、抗TIGIT抗体を提供する。一部の事例では、上記の前例の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、例えば、(a)TYGMGVS(配列番号68)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)SIWWNGNTYYNPSLKS(配列番号69)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TGGAVITWFAY(配列番号70)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KASQSVGKNIA(配列番号71)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)YASNRYT(配列番号72)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHIYNSPYP(配列番号73)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体rat6B2及びその誘導体(例えば、h6B2.L1H1、h6B2.L2H1、h6B2.L1H2、h6B2.L1H3、h6B2.L1H4、h6B2.L1H5、及びh6B2.L2H5)が有するもの等を含んでもよい。
【0167】
一部の事例では、本抗体は、次の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):X1IX2MTQSPX3SX4SX5SVGDRVTX6X7C(配列番号88)(式中、X1はDまたはNであり、X2はQまたはVであり、X3はKまたはSであり、X4はLまたはMであり、X5はAまたはIであり、X6はIまたはMであり、X7はNまたはTである)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGX1X2PKLLIY(配列番号89)(式中、X1はKまたはQであり、X2はAまたはSである)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPX1RFX2GX3GSGTDFTX4TIX5X6X7QX8EDX9AX10X11YC(配列番号90)(式中、X1はDまたはSであり、X2はSまたはTであり、X3はGまたはSであり、X4はFまたはLであり、X5はNまたはSであり、X6はSまたはTであり、X7はLまたはVであり、X8はAまたはPであり、X9はAまたはIであり、X10はFまたはTであり、X11はFまたはYである)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGX1GTKX2EIK(配列番号91)(式中、X1はQまたはTであり、X2はLまたはVである)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号88~91のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat6B2及びその誘導体(例えば、h6B2.L1H1、h6B2.L2H1、h6B2.L1H2、h6B2.L1H3、h6B2.L1H4、h6B2.L1H5、及びh6B2.L2H5)が有するもの等をさらに含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の軽鎖可変領域FR:NIVMTQSPKSMSISVGDRVTMNC(配列番号92)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQSPKLLIY(配列番号93)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFTGGGSGTDFTLTINTVQAEDAAFFYC(配列番号94)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGTGTKLEIK(配列番号95)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号92~65のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat6B2が有するもの等をさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号96)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKSPKLLIY(配列番号97)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYC(配列番号99)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号100)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号96~97及び99~100のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h6B2.L1H1、h6B2.L1H2、h6B2.L1H3、h6B2.L1H4、及びh6B2.L1H5が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号96)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号98)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYC(配列番号99)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号100)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号96及び98~100のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h6B2.L2H1及びh6B2.L2H5.が有するもの等を含む。
【0168】
一部の事例では、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:X1VX2LKESGPX3X4X5X6PX7X8TLX9LTCX10FSGFSLS(配列番号74)(式中、X1はEまたはQであり、X2はSまたはTであり、X3はAまたはGであり、X4はIまたはLであり、X5はLまたはVであり、X6はKまたはQであり、X7はSまたはTであり、X8はHまたはQであり、X9はSまたはTであり、X10はSまたはTである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPX1X2KX3LEWLA(配列番号75)(式中、X1はPまたはSであり、X2はEまたはGであり、X3はAまたはGである)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTX1X2KDX3SX4X5QX6X7LX8X9TX10X11DX12X13DTATYYCAH(配列番号76)(式中、X1はIまたはVであり、X2はSまたはTであり、X3はAまたはTであり、X4はKまたはNであり、X5はDまたはNであり、X6はAまたはVであり、X7はFまたはVであり、X8はNまたはTであり、X9はMまたはVであり、X10はNまたはSであり、X11はMまたはVであり、X12はPまたはTであり、X13はTまたはVである)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号77)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号74~77のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat6B2及びその誘導体(例えば、h6B2.L1H1、h6B2.L2H1、h6B2.L1H2、h6B2.L1H3、h6B2.L1H4、h6B2.L1H5、及びh6B2.L2H5)が有するもの等をさらに含む。抗TIGIT抗体は、次の重鎖可変領域FR:QVSLKESGPGILQPSHTLSLTCSFSGFSLS(配列番号78)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPSEKGLEWLA(配列番号79)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTVSKDASNDQAFLNVTSVDTTDTATYYCAH(配列番号80)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号77)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの例えば、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号77~80のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat6B2が有するもの等をさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFSGFSLS(配列番号81)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPPGKALEWLA(配列番号82)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTVTKDASKNQAVLTMTNMDPVDTATYYCAH(配列番号83)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号77)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号77及び81~83のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h6B2.L1H1及びh6B2.L2H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFSGFSLS(配列番号81)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPPGKALEWLA(配列番号82)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTITKDASKNQAVLTMTNMDPVDTATYYCAH(配列番号84)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号77)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号77、81~82、及び84のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h6B2.L1H2が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFSGFSLS(配列番号81)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPPGKALEWLA(配列番号82)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTVTKDTSKNQAVLTMTNMDPVDTATYYCAH(配列番号85)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号77)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号77、81~82、及び85のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h6B2.L1H3が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFSGFSLS(配列番号81)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPPGKALEWLA(配列番号82)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTVTKDASKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCAH(配列番号86)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号77)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号77、81~82、及び85のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h6B2.L1H4が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFSGFSLS(配列番号81)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPPGKALEWLA(配列番号82)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCAH(配列番号87)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号77)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号77、81~82、及び87のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h6B2.L1H5及びh6B2.L2H5が有するもの等を含む。
【0169】
別の例において、本発明は、(a)TYGMGVS(配列番号110)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)SIWWNGNTYYNPSLRS(配列番号111)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TGGAVITWFAY(配列番号112)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KASQSVGKNIA(配列番号113)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)YASNRYT(配列番号114)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び/または(f)QHIYNSPYP(配列番号115)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、あるいは、上記のHVRのうちの1つ以上と、配列番号110~115のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含む、抗TIGIT抗体を提供する。一部の事例では、上記の前例の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、例えば、(a)TYGMGVS(配列番号110)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)SIWWNGNTYYNPSLRS(配列番号111)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)TGGAVITWFAY(配列番号112)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KASQSVGKNIA(配列番号113)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)YASNRYT(配列番号114)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHIYNSPYP(配列番号115)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体rat10A5及びその誘導体(例えば、h10A5.L1H1、h10A5.L2H1、h10A5.L3H1、h10A5.L4H1、h10A5.L1H2、h10A5.L1H3、h10A5.L1H4、及びh10A5.L4H4)が有するもの等を含んでもよい。
【0170】
一部の事例では、本抗体はさらに、次の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):X1IVMTQSPX2X3X4SX5SX6GX7RX8TX9X10C(配列番号129)(式中、X1はEまたはNであり、X2はAまたはKであり、X3はSまたはTであり、X4はLまたはMであり、X5はIまたはVであり、X6はIまたはPであり、X7はDまたはEであり、X8はAまたはVであり、X9はLまたはMであり、X10はNまたはSである)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKX1GQX2PX3LLIY(配列番号130)(式中、X1はPまたはTであり、X2はAまたはSであり、X3はQまたはRである)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GX1PX2RFX3GX4GSGTX5FTLTIX6SX7QX8EDX9AX10X11YC(配列番号131)(式中、X1はIまたはVであり、X2はAまたはDであり、X3はSまたはTであり、X4はGまたはSであり、X5はDまたはEであり、X6はNまたはSであり、X7はLまたはVであり、X8はAまたはSであり、X9はAまたはFであり、X10はFまたはVであり、X11はFまたはYである)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGX1GTKX2EIK(配列番号132)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号129~132のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat10A5及びその誘導体(例えば、h10A5.L1H1、h10A5.L2H1、h10A5.L3H1、h10A5.L4H1、h10A5.L1H2、h10A5.L1H3、h10A5.L1H4、及びh10A5.L4H4)が有するもの等を含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の軽鎖可変領域FR:NIVMTQSPKSMSISIGDRVTMNC(配列番号133)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKTGQSPQLLIY(配列番号134)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFTGGGSGTDFTLTINSVQAEDAAFFYC(配列番号135)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGTGTKLEIK(配列番号136)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号133~136のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat10A5が有するもの等をさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EIVMTQSPATLSVSPGERATLSC(配列番号137)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQSPRLLIY(配列番号138)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYC(配列番号140)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号142)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号137~138、140、及び142のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h10A5.L1H1、h10A5.L1H2、h10A5.L1H3、及びh10A5.L1H4が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EIVMTQSPATLSVSPGERATLSC(配列番号137)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号139)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYC(配列番号140)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号142)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号137、139~140、及び142のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h10A5.L2H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EIVMTQSPATLSVSPGERATLSC(配列番号137)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQSPRLLIY(配列番号138)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYC(配列番号141)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号142)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号137~138及び141~142のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h10A5.L3H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EIVMTQSPATLSVSPGERATLSC(配列番号137)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号139)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYC(配列番号141)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号142)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号137、139、及び141~142のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h10A5.L4H1及びh10A5.L4H4が有するもの等を含む。
【0171】
一部の事例では、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:X1VX2LKESGPX3X4X5X6PX7X8TLX9LTCX10FSGFSLT(配列番号116)(式中、X1はEまたはQであり、X2はSまたはTであり、X3はAまたはGであり、X4はIまたはLであり、X5はLまたはVであり、X6はKまたはQであり、X7はSまたはTであり、X8はHまたはQであり、X9はSまたはTであり、X10はSまたはTである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPX1X2KX3LEWLA(配列番号117)(式中、X1はPまたはSであり、X2はEまたはGであり、X3はAまたはGである)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTX1X2KDTSX3X4QX5X6LX7X8TX9X10DX11X12DTATYYCAH(配列番号118)(式中、X1はIまたはVであり、X2はSまたはTであり、X3はKまたはNであり、X4はDまたはNであり、X5はAまたはVであり、X6はFまたはVであり、X7はNまたはTであり、X8はMまたはVであり、X9はNまたはSであり、X10はMまたはVであり、X11はPまたはTであり、X12はTまたはVである)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号119)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号116~119のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat10A5及びその誘導体(例えば、h10A5.L1H1、h10A5.L2H1、h10A5.L3H1、h10A5.L4H1、h10A5.L1H2、h10A5.L1H3、h10A5.L1H4、及びh10A5.L4H4)が有するもの等をさらに含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の重鎖可変領域FR:QVSLKESGPGILQPSHTLSLTCSFSGFSLT(配列番号120)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPSEKGLEWLA(配列番号121)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTVSKDTSNDQAFLNVTSVDTTDTATYYCAH(配列番号122)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号119)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号119~122のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat10A5が有するもの等をさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFSGFSLT(配列番号123)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPPGKALEWLA(配列番号124)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTVTKDTSKNQAVLTMTNMDPVDTATYYCAH(配列番号125)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号119)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号119及び123~125のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h10A5.L1H1、h10A5.L2H1、h10A5.L3H1、及びh10A5.L4H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFSGFSLT(配列番号123)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPPGKALEWLA(配列番号124)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTITKDTSKNQAVLTMTNMDPVDTATYYCAH(配列番号126)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号119)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号119、123~124、及び126のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h10A5.L1H2が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFSGFSLT(配列番号123)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPPGKALEWLA(配列番号124)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTVTKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCAH(配列番号127)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号119)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号119、123~124、及び127のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h10A5.L1H3が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFSGFSLT(配列番号123)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQPPGKALEWLA(配列番号124)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCAH(配列番号128)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号119)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号119、123~124、及び128のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h10A5.L1H4及びh10A5.L4H4が有するもの等を含む。
【0172】
別の例において、本発明は、(a)EYSIY(配列番号153)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)RIDPKNGRTYYVDKFKN(配列番号154)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)IYGFYFDF(配列番号155)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KGSQNVNKYLV(配列番号156)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)NTDNLQS(配列番号157)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び/または(f)YQYNNGFT(配列番号158)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、あるいは、上記のHVRのうちの1つ以上と、配列番号153~158のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含む、抗TIGIT抗体を提供する。一部の事例では、上記の前例の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、例えば、(a)EYSIY(配列番号153)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)RIDPKNGRTYYVDKFKN(配列番号154)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)IYGFYFDF(配列番号155)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KGSQNVNKYLV(配列番号156)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)NTDNLQS(配列番号157)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)YQYNNGFT(配列番号158)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体rat7E7及びその誘導体(例えば、h7E7.L1H1、h7E7.L2H1、h7E7.L3H1、h7E7.L4H1、h7E7.L5H1、h7E7.L1H2、h7E7.L1H3、h7E7.L1H4、h7E7.L1H5、h7E7.L1H6、h7E7.L1H7、h7E7.L1H8、h7E7.L1H9、h7E7.L5H9、及び7E7.L5aH9a)が有するもの等を含んでもよい。
【0173】
一部の事例では、本抗体は、次の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):X1IX2LTQSPSX3LSASVGDRVTX4X5C(配列番号180)(式中、X1はDまたはNであり、X2はHまたはQであり、X3はFまたはLであり、X4はIまたはLであり、X5はSまたはTである)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKX1GX2APKLLIY(配列番号181)(式中、X1はLまたはPであり、X2はEまたはKである)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GX1PSRFSGSGSGTX2X3TLTISSLQPEDX4ATYX5C(配列番号182)(式中、X1はIまたはVであり、X2はDまたはEであり、X3はFまたはYであり、X4はAまたはFであり、X5はFまたはYである)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGX1GTKX2EIK(配列番号183)(式中、X1はQまたはSであり、X2はLまたはVである)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号180~183のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat7E7及びその誘導体(例えば、h7E7.L1H1、h7E7.L2H1、h7E7.L3H1、h7E7.L4H1、h7E7.L5H1、h7E7.L1H2、h7E7.L1H3、h7E7.L1H4、h7E7.L1H5、h7E7.L1H6、h7E7.L1H7、h7E7.L1H8、h7E7.L1H9、h7E7.L5H9、及び7E7.L5aH9a)が有するもの等をさらに含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の軽鎖可変領域FR:NIHLTQSPSLLSASVGDRVTLSC(配列番号184)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKLGEAPKLLIY(配列番号185)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDAATYFC(配列番号186)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGSGTKLEIK(配列番号187)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号184~187のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat7E7が有するもの等をさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号188)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号189)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPSRFSGSGSGTEYTLTISSLQPEDFATYFC(配列番号190)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号196)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号188~190及び196のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H1、h7E7.L1H2、h7E7.L1H3、h7E7.L1H4、h7E7.L1H5、h7E7.L1H6、h7E7.L1H7、h7E7.L1H8、及びh7E7.L1H9が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号188)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号189)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTEYTLTISSLQPEDFATYFC(配列番号191)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号196)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号188~189、191、及び196のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L2H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号188)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号189)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYFC(配列番号192)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号196)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号188~189、192、及び196のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L3H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号188)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号189)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPSRFSGSGSGTEYTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号193)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号196)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号188~189、193、及び196のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L4H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号188)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号189)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号194)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号196)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号188~189、194、及び196のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L5H1及びh7E7.L5H9が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号188)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号189)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTEYTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号195)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号196)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号188~189及び195~196のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体7E7.L5aH9aが有するもの等を含む。
【0174】
一部の事例では、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:EVQLX1QSGX2EX3X4X5PGASVKX6SCKAX7GYTFT(配列番号159)(式中、X1はQまたはVであり、X2はAまたはPであり、X3はLまたはVであり、X4はKまたはQであり、X5はKまたはRであり、X6はLまたはVであり、X7はSまたはTである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVX1QX2PX3QX4LEX5X6G(配列番号160)(式中、X1はKまたはRであり、X2はAまたはRであり、X3はGまたはKであり、X4はRまたはSであり、X5はIまたはWであり、X6はIまたはMである)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RX1TX2TX3DTSX4X5TAYMX6LSSLX7SEDTAX8YX9CX10R(配列番号161)(式中、X1はAまたはVであり、X2はIまたはLであり、X3はAまたはRであり、X4はAまたはSであり、X5はNまたはSであり、X6はEまたはQであり、X7はRまたはTであり、X8はTまたはVであり、X9はFまたはYであり、X10はAまたはTである)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGX1X2VTX3SS(配列番号162)(式中、X1はTまたはVであり、X2はLまたはMであり、X3はAまたはVである)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号159~162のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat7E7及びその誘導体(例えば、h7E7.L1H1、h7E7.L2H1、h7E7.L3H1、h7E7.L4H1、h7E7.L5H1、h7E7.L1H2、h7E7.L1H3、h7E7.L1H4、h7E7.L1H5、h7E7.L1H6、h7E7.L1H7、h7E7.L1H8、h7E7.L1H9、h7E7.L5H9、及び7E7.L5aH9a)が有するもの等をさらに含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の重鎖可変領域FR:EVQLQQSGPELQRPGASVKLSCKATGYTFT(配列番号163)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVKQRPKQSLEIIG(配列番号164)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTADTSSNTAYMQLSSLTSEDTATYFCTR(配列番号165)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGVMVTASS(配列番号166)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号163~166のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat7E7が有するもの等をさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEIIG(配列番号168)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCTR(配列番号172)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167~138、172、及び179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H1、h7E7.L2H1、h7E7.L3H1、h7E7.L4H1、及びh7E7.L5H1が有するもの等を含む。
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEWIG(配列番号169)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCTR(配列番号172)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167、169、172、及び179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H2が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEIMG(配列番号170)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCTR(配列番号172)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167、170、172、及び179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H3が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEIIG(配列番号168)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RVTLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCTR(配列番号173)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167~168、173、及び179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H4が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEIIG(配列番号168)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATITADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCTR(配列番号174)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167~168、174、及び179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H5が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEIIG(配列番号168)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCTR(配列番号175)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167~168、175、及び179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H6が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEIIG(配列番号168)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCTR(配列番号176)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167~168、176、及び179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H7が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEIIG(配列番号168)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCAR(配列番号177)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167~168、177、及び179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H8が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEWMG(配列番号171)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号178)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167、171、及び178~179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h7E7.L1H9及びh7E7.L5H9が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEIMG(配列番号170)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号178)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号167、170、及び178~179のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体7E7.L5aH9aが有するもの等を含む。
【0175】
別の例において、本発明は、(a)EHSIY(配列番号215)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)RIDPKNGRTYFVDKFKN(配列番号216)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)IDGFYFDF(配列番号217)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KGSQNVNKYLV(配列番号218)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)STDNLQS(配列番号219)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び/または(f)YQYNNGFT(配列番号220)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、あるいは、上記のHVRのうちの1つ以上と、配列番号215~220のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含む、抗TIGIT抗体を提供する。一部の事例では、上記の前例の抗TIGIT抗体のうちのいずれかは、例えば、(a)EHSIY(配列番号215)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)RIDPKNGRTYFVDKFKN(配列番号216)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)IDGFYFDF(配列番号217)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)KGSQNVNKYLV(配列番号218)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)STDNLQS(配列番号219)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)YQYNNGFT(配列番号220)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、例えば、抗TIGIT抗体rat15C8及びその誘導体(例えば、h15C8.L1H1、h15C8.L2H1、h15C8.L3H1、h15C8.L4H1、h15C8.L5H1、h15C8.L1H2、h15C8.L1H3、h15C8.L1H4、h15C8.L1H5、h15C8.L1H6、h15C8.L1H7、h15C8.L1H8、h15C8.L1H9、h15C8.L5H9、及び5C8.L5aH9a)が有するもの等を含んでもよい。
【0176】
一部の事例では、本抗体は、次の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):X1IX2LTQSPSX3LSASVGDRVTX4X5C(配列番号243)(式中、X1はDまたはNであり、X2はHまたはQであり、X3はFまたはLであり、X4はIまたはLであり、X5はSまたはTである)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKX1GX2APKLLIY(配列番号244)(式中、X1はLまたはPであり、X2はEまたはKである)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GX1PSRFSGSGSGTX2X3TLTISSLQPEDX4ATYX5C(配列番号245)(式中、X1はIまたはVであり、X2はDまたはEであり、X3はFまたはYであり、X4はAまたはFであり、X5はFまたはYである)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGX1GTKX2EIK(配列番号246)(式中、X1はQまたはSであり、X2はLまたはVである)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号243~246のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat15C8及びその誘導体(例えば、h15C8.L1H1、h15C8.L2H1、h15C8.L3H1、h15C8.L4H1、h15C8.L5H1、h15C8.L1H2、h15C8.L1H3、h15C8.L1H4、h15C8.L1H5、h15C8.L1H6、h15C8.L1H7、h15C8.L1H8、h15C8.L1H9、h15C8.L5H9、及び5C8.L5aH9a)が有するもの等をさらに含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の軽鎖可変領域FR:NIHLTQSPSLLSASVGDRVTLSC(配列番号247)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKLGEAPKLLIY(配列番号248)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDAATYFC(配列番号249)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGSGTKLEIK(配列番号250)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号247~250のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat15C8が有するもの等をさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号251)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号252)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPSRFSGSGSGTEYTLTISSLQPEDFATYFC(配列番号253)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号259)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号251~253及び259のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L1H1、h15C8.L1H2、h15C8.L1H3、h15C8.L1H4、h15C8.L1H5、h15C8.L1H6、h15C8.L1H7、h15C8.L1H8、及びh15C8.L1H9が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号251)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号252)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTEYTLTISSLQPEDFATYFC(配列番号254)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号259)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号251~252、254、及び259のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L2H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号251)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号252)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYFC(配列番号255)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号259)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号251~252、255、及び259のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L3H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号251)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号252)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GIPSRFSGSGSGTEYTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号256)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号259)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号251~252、256、及び259のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L4H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号251)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号252)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号257)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号259)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号251~252、257、及び259のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L5H1及びh15C8.L5H9が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITC(配列番号251)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号252)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPSRFSGSGSGTEYTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号258)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び/またはFGQGTKVEIK(配列番号259)のアミノ酸配列を含むFR-L4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号251~252、及び258~259のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体5C8.L5aH9aが有するもの等を含む。
【0177】
一部の事例では、本抗体は、次の重鎖可変領域FR:EVQLX1QSGX2EX3X4X5PGASVKX6SCKASGYTFT(配列番号221)(式中、X1はQまたはVであり、X2はAまたはPであり、X3はLまたはVであり、X4はKまたはQであり、X5はKまたはRであり、X6はLまたはVである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WX1X2QX3PX4QX5LEX6X7G(配列番号222)(式中、X1はLまたはVであり、X2はKまたはRであり、X3はAまたはRであり、X4はGまたはKであり、X5はRまたはSであり、X6はIまたはWであり、X7はIまたはMである)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RX1TX2TX3X4TSX5X6TAYMX7LSSLX8SEDTAX9YX10CAR(配列番号223)(式中、X1はAまたはVであり、X2はIまたはLであり、X3はRまたはTであり、X4はDまたはNであり、X5はAまたはSであり、X6はNまたはSであり、X7はEまたはQであり、X8はRまたはTであり、X9はIまたはVであり、X10はFまたはYである)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGX1X2VTX3SS(配列番号224)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号221~224のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat15C8及びその誘導体(例えば、h15C8.L1H1、h15C8.L2H1、h15C8.L3H1、h15C8.L4H1、h15C8.L5H1、h15C8.L1H2、h15C8.L1H3、h15C8.L1H4、h15C8.L1H5、h15C8.L1H6、h15C8.L1H7、h15C8.L1H8、h15C8.L1H9、h15C8.L5H9、及び5C8.L5aH9a)が有するもの等をさらに含む。抗TIGIT抗体は、例えば、次の重鎖可変領域FR:EVQLQQSGPELQRPGASVKLSCKASGYTFT(配列番号225)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WLKQRPKQSLEIIG(配列番号226)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTTNTSSNTAYMQLSSLTSEDTAIYFCAR(配列番号227)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGVMVTASS(配列番号228)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つ、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号225~228のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体rat15C8が有するもの等をさらに含んでもよい。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WLRQAPGQRLEIIG(配列番号230)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTTDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCAR(配列番号235)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229~230、235、及び242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、 抗TIGIT抗体h15C8.L1H1、h15C8.L2H1、h15C8.L3H1、h15C8.L4H1、及びh15C8.L5H1が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEIIG(配列番号231)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTTDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCAR(配列番号235)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229、231、235、及び242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L1H2が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WLRQAPGQRLEWIG(配列番号232)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTTDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCAR(配列番号235)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229、232、235、及び242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L1H3が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WLRQAPGQRLEIMG(配列番号233)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTTDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCAR(配列番号235)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229、233、235、及び242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L1H4が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WLRQAPGQRLEIIG(配列番号230)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RVTLTTDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCAR(配列番号236)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229~230、236、及び242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L1H5が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WLRQAPGQRLEIIG(配列番号230)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATITTDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCAR(配列番号237)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229~230、237、及び242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L1H6が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WLRQAPGQRLEIIG(配列番号230)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCAR(配列番号238)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229~230、238、及び242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L1H7が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WLRQAPGQRLEIIG(配列番号230)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATLTTDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号239)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229~230、239、及び242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体h15C8.L1H8が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WVRQAPGQRLEWMG(配列番号234)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号240)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242) のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229、234、240、及び242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIG
IT抗体h15C8.L1H9及びh15C8.L5H9が有するもの等を含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WLRQAPGQRLEIMG(配列番号233)のアミノ酸配列を含むFR-H2、RATITTDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号241)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び/またはWGQGTLVTVSS(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR-H4、あるいは、上記のFRのうちの1つ以上と、配列番号229、233、及び241~242のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせ、例えば、抗TIGIT抗体5C8.L5aH9aが有するもの等を含む。
【0178】
また、配列番号60、62、66、101、103、104、105、106、107、145、146、147、148、197、199、200、201、202、203、204、205、206、207、213、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、または276に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性、またはこれらの配列番号の配列を有する重鎖可変領域を含む、抗TIGIT抗体が提供される。また、配列番号61、63、64、67、102、108、109、144、149、150、151、152、198、208、209、210、211、212、214、261、271、272、273、274、275、または277に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性、またはこれらの配列番号の配列を有する軽鎖可変領域を含む、抗TIGIT抗体が提供される。
【0179】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号60に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号60の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号61に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号61の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号62に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号62の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号63に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号63の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号62に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号62の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号64に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号64の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号66に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号66の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号67に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号67の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号101に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号101の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号102に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号102の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号103に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号103の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号108に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号108の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号104に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号104の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号108に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号108の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号105に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号105の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号108に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号108の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号106に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号106の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号108に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号108の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号107に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号107の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号109に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号109の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号143に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号143の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号144に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号144の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号145に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号145の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号149に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号149の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号145に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号145の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号150に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号150の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号145に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号145の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号151に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号151の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号145に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号145の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号152に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号152の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号147に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号147の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号149に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号149の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号148に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号148の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号149に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号149の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号148に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号148の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号152に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号152の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号197に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号197の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号198に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号198の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号199に対して少なくとも90%(例えば、 91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号199の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号208に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号208の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号200に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号200の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号208に対して少なくとも90%(例えば、 91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%
、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号208の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号201に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号201の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号208に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号208の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号202に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号202の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号208に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号208の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号203に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号203の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号208に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号208の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号204に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号204の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号208に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号208の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号205に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号205の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号208に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号208の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号206に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号206の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号208に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号208の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号207に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号207の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号208に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号208の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号207に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号207の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号212に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号212の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号199に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号199の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号209に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号209の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号199に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号199の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号210に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号210の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号199に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号199の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号211に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号211の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号199に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号199の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号212に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号212の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号213に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号213の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号214に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号214の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号260に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号260の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号261に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号261の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号262に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号262の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号271に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号271の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号263に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号263の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号271に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号271の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号264に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号264の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号271に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号271の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号265に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号265の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号271に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号271の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号266に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号266の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号271に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号271の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号267に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号267の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号271に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号271の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、 抗TIGIT抗体は、配列番号268に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号268の配列を有する、重鎖可変領
域と、配列番号271に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号271の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号269に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号269の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号271に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号271の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号270に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号270の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号271に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号271の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号270に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号270の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号275に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号275の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号262に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号262の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号272に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号272の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号262に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号262の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号273に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号273の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号262に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号262の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号274に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号274の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号262に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号262の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号275に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号275の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、配列番号276に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号276の配列を有する、重鎖可変領域と、配列番号277に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、もしくは94%)もしくは少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、もしくは99%)の配列同一性または配列番号277の配列を有する、軽鎖可変領域とを含む。
【0180】
別の態様では、上記に提供される実施形態のいずれかにあるようなVHと、上記に提供される実施形態のいずれかにあるようなVLとを含む、抗TIGIT抗体が提供され、ここで、可変ドメイン配列のうちの一方または両方が翻訳後修飾を含む。
【0181】
一部の事例では、上述の抗TIGIT抗体のうちのいずれか1つは、ヒトTIGITに加えてウサギTIGITに結合することができてもよい。一部の事例では、上述の抗TIGIT抗体のうちのいずれか1つは、ヒトTIGITとカニクイザル(cyno)TIGITとの両方に結合することができてもよい。一部の事例では、上述の抗TIGIT抗体のうちのいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT、及びウサギTIGITに結合することができてもよい。一部の事例では、上述の抗TIGIT抗体のうちのいずれか1つ(例えば、4.1D3またはその誘導体)は、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT、及びウサギTIGITに結合することができるが、マウスTIGITには結合しなくてもよい。
【0182】
一部の事例では、抗TIGIT抗体は、約10nM以下のKdでヒトTIGITに結合し、約10nM以下のKdでカニクイザルTIGITに結合する(例えば、約0.1nM~約1nMのKdでヒトTIGITに結合し、約0.5nM~約1nMのKdでカニクイザルTIGITに結合する、例えば、約0.1nM以下のKdでヒトTIGITに結合し、約0.5nM以下のKdでカニクイザルTIGITに結合する)。
【0183】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体は、アンタゴニスト抗体である。本アンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、ポリオウイルス受容体(PVR)とのTIGIT相互作用を阻害または遮断することができる(例えば、本アンタゴニスト抗体は、PVRへのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する)。一部の事例では、本アンタゴニスト抗体は、ヒトPVRへのヒトTIGITの結合を10nM以下(例えば、1nM~約10nM)のIC50値で阻害または遮断する。一部の事例では、本アンタゴニスト抗体は、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を50nM以下(例えば、1nM~約50nM、例えば、1nM~約5nM)のIC50値で阻害または遮断する。
【0184】
他の実施形態では、抗TIGIT抗体は、アゴニスト抗体であってもよい。本アゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、CD226またはCD96とのPVRの相互作用を刺激することができる。例えば、本アゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、CD226及びCD96とのPVRの相互作用を刺激することができる(例えば、ヒトTIGITに結合し、ヒトCD226及びヒトCD96とのヒトPVRの相互作用を刺激し、かつ/または、カニクイザルTIGITに結合し、カニクイザルCD226及びカニクイザルCD96とのカニクイザルPVRの相互作用を刺激する)。
【0185】
さらなる態様において、本発明は、TIGITへの結合に関して上述の抗TIGIT抗体のうちのいずれかと競合する単離抗体を提供する。なおもさらなる態様において、本発明は、上述の抗TIGIT抗体と同じエピトープに結合する単離抗体を提供する。
【0186】
上記の実施形態のうちのいずれかによる抗TIGIT抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一実施形態において、抗TIGIT抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)2断片である。別の実施形態において、本抗体は、全長抗体、例えばインタクトなIgG抗体(例えば、インタクトなIgG1抗体)、または本明細書で定義される他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。
【0187】
さらなる態様において、上記の実施形態のうちのいずれかによる抗TIGIT抗体は、以下の第1~7節に記載される特徴のうちのいずれかを単独または組み合わせで組み込み得る。
【0188】
1.抗体親和性
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体(例えば、抗TIGIT抗体)は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。
【0189】
一実施形態において、Kdは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一実施形態において、RIAは、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて行われる。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、一連の用量設定の未標識抗原の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原とFabを平衡化し、次いで、抗Fab抗体コーティングプレートで結合した抗原を捕捉することによって測定される(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい)。アッセイの条件を確立するためには、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)で一晩コーティングし、その後、2%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むPBSにより室温(およそ23℃)で2~5時間遮断する。非吸着プレート(Nunc#269620)において、100pMまたは26pMの[125I]抗原を、目的のFabの段階希釈物と混合する(例えば、Presta et al.Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体、Fab-12の評価と一致する)。次に、目的のFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションは、確実に平衡に達するように、より長い期間(例えば約65時間)続けてもよい。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次に、溶液を除去し、0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))を含むPBSでプレートを8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を加え、TOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)で10分間プレートを計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイで使用するために選択する。
【0190】
別の実施形態によると、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用したアッセイは、約10応答単位(RU)で、固定化された抗原CM5チップを用い、25℃で行われる。一実施形態では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給元の指示に従い、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシサクシニミド(NHS)で活性化させる。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(約0.2μM)になるまで希釈した後、5μl/分の流量で注入して、およそ10の応答単位(RU)のカップリングしたタンパク質を得る。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応基を遮断する。動態測定のために、Fabの2倍段階希釈物(0.78nM~500nM)を、25℃で0.05%のポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤(PBST)を含むPBSにおよそ25μl/分の流量で注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、単純な1対1のラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用し、会合センサグラムと解離センサグラムとを同時に当てはめることによって計算される。平衡解離定数(Kd)は、koff/konの比として計算される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによるオン速度が106M-1s-1を超える場合、このオン速度は、ストップフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計で測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、25℃におけるPBS(pH7.2)中20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加または減少を測定する蛍光消光技法を使用することによって、決定することができる。
【0191】
2.抗体断片
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv 断片、ならびに以下に記載される他の断片が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい;また、WO 93/16185、ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)2断片の詳解については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0192】
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP 404,097、WO 1993/01161、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)、及びHollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディも、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。
【0193】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部分または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部分を含む抗体断片である。ある特定の実施形態において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6,248,516号B1を参照されたい)。
【0194】
抗体断片は、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、ならびに組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むがこれらに限定されない、様々な技法によって作製することができる。
【0195】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載されている。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または非ヒト霊長類、例えばサルに由来する可変領域)、及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のそれから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合断片が含まれる。
【0196】
ある特定の実施形態において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親の非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減させるようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、1つ以上の可変ドメインを含み、このHVR、例えばCDR(またはそれらの一部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(またはそれらの一部分)がヒト抗体配列に由来するものである。ヒト化抗体はまた、場合により、ヒト定常領域の少なくとも一部分を含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復または向上させるように、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0197】
ヒト化抗体及びそれらの作製方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)に概説されており、また、例えば、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフティングについて記載)、Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(「リサーフェシング(resurfacing)」について記載)、Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャフリング」について記載)、ならびにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャフリングへの「誘導選択」手法について記載)にさらに記載されている。
【0198】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域としては、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい)、軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい)、ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域またはヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい)、及びFRライブラリのスクリーニングから得られるフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
4.ヒト抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で知られる様々な技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に概説されている。
【0200】
ヒト抗体は、抗原負荷に応答してインタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されているトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製され得る。そのような動物は典型的に、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、または染色体外に存在するか、もしくは動物の染色体にランダムに組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部分を含む。そのようなトランスジェニックマウスにおいて、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、概して不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術について記載している米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号、HUMAB(登録商標)技術について記載している米国特許第5,770,429号、K-M MOUSE(登録商標)技術について記載している米国特許第7,041,870号、ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)技術について記載している米国特許出願公開第US 2007/0061900号を参照されたい。そのような動物によって生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによってさらに改変されてもよい。
【0201】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫(heteromyeloma)細胞株が説明されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい。) また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されたヒト抗体が、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。さらなる方法には、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生について記載)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマについて記載)に記載されるものが含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)は、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)にも記載されている。
【0202】
ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成されてもよい。そのような可変ドメイン配列は次に、所望のヒト定常ドメインと組み合わされてもよい。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技法を以下に記載する。
【0203】
5.ライブラリ由来抗体
本発明の抗体は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてかかるライブラリをスクリーニングするための多様な方法が、当該技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説されており、また、例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554、Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)にさらに記載されている。
【0204】
ある特定のファージディスプレイ方法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリでランダムに組換え、次にこれを、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは典型的に、一本鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして抗体断片を提示する。免疫された起源由来のライブラリは、ハイブリドーマの構築を必要とすることなく免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)に記載のように、ナイーブレパートリーを(例えばヒトから)クローニングして、免疫化を一切行わずに、広範な非自己抗原及び自己抗原に対する抗体の単一源を提供することもできる。最後に、ナイーブライブラリは、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載のように、再配列されていないV遺伝子セグメントを幹細胞からクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して高度可変CDR3領域をコードし、再配列をインビトロで達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載している特許公報としては、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0205】
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書ではヒト抗体またはヒト抗体断片とみなされる。
【0206】
6.多重特異性抗体
上記の態様のうちのいずれか1つにおいて、本明細書に提供される抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体であり得る。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体であり得る。ある特定の実施形態において、二重特異性抗体は、TIGITの2つの異なるエピトープに結合し得る。ある特定の実施形態において、結合特異性のうちの一方は、TIGITに対するものであり、他方は、任意の他の抗原(例えば、第2の生体分子、例えば、細胞表面抗原、例えば、腫瘍抗原)に対するものである。したがって、二重特異性抗TIGIT抗体は、TIGIT及び第2の生体分子、例えばPD-1、PD-L1、PD-L2、OX40、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、VISTA、B7H4、またはCD96に対する結合特異性を有してもよい。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体断片として調製することもできる。
【0207】
他の実施形態では、二重特異性抗体は、TIGIT、OX40、PD-1、PD-L1、PD-L2の2つの異なるエピトープに結合し得る。ある特定の実施形態において、結合特異性のうちの一方は、TIGITに対するものであり、他方は、任意の他の抗原(例えば、OX40等の第2の生体分子)に対するものである。他の実施形態では、二重特異性抗体は、TIGIT及びPD-L1、TIGIT及びPD-L2、TIGIT及びPD-1、TIGIT及びCTLA-4、TIGIT及びLAG3、TIGIT及びTIM3、TIGIT及びBTLA、TIGIT及びVISTA、TIGIT及びB7H4、またはTIGIT及びCD96に対する結合特異性を有し得、この二重特異性抗体は、好ましくは、TIGITに対するアンタゴニスト抗体、及びその第2の標的に対するアンタゴニスト抗体である。他の実施形態では、二重特異性抗体は、TIGIT及びCD226、TIGIT及びCD28、TIGIT及びCD27、TIGIT及びCD137、TIGIT及びHVEM、TIGIT及びGITR、TIGIT及びMICA、TIGIT及びICOS、TIGIT及びNKG2D、またはTIGIT及び2B4に対する結合特異性を有し得、この二重特異性抗体は、好ましくは、TIGIT及びその第2の標的に対するアンタゴニスト抗体である。他の実施形態では、二重特異性抗体は、本質的に拮抗性ではないTIGITに対する結合特異性を有し得る(すなわち、この二重特異性抗体は、TIGITアンタゴニストとしての行為を有しない)。
【0208】
多重特異性抗体を作製するための技法としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983)、WO 93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)、及び「ノブ・イン・ホール(knob-in-hole)」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。多重特異性抗体の「ノブ・イン・ホール」操作は、ノブを含む第1のアームと、第1のアームのノブが結合し得るホールを含む第2のアームとを生成するために利用することができる。本発明の多重特異性抗体のノブは、一実施形態では抗TIGITアームであり得る。あるいは、本発明の多重特異性抗体のノブは、一実施形態では抗TIGITアームであってもよい。多重特異性抗体は、免疫グロブリンクロスオーバー(Fabドメイン交換またはCrossMabフォーマットとしても知られる)技術を使用して操作することもできる(例えば、WO2009/080253、Schaefer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,108:11187-11192(2011)を参照されたい)。多重特異性抗体は、静電ステアリング効果を操作して抗体Fcヘテロ二量体分子を作製すること(WO 2009/089004A1)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)を参照されたい)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体断片を作製すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)を参照されたい)、及び一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい)、及び、例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体を調製することによって、作製されてもよい。
【0209】
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、US 2006/0025576A1を参照されたい)。
【0210】
本抗体またはその抗体断片には、TIGITならびに別の異なる抗原(例えば、第2の生体分子)に結合する抗原結合部位を含む「二重作用(Dual Acting)FAb」すなわち「DAF」も含まれ得る(例えば、US 2008/0069820を参照されたい)。
【0211】
7.抗体変異形
ある特定の実施形態において、本発明の抗TIGIT抗体のアミノ酸配列変異形が想定される。本明細書に詳細に記載されるように、抗TIGIT抗体は、所望の構造的及び機能的な特性に基づいて最適化することができる。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を向上させることが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異形は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入すること、またはペプチド合成によって調製することができる。そのような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそこへの挿入、及び/またはその置換が挙げられる。最終的な構築物が所望の特性、例えば抗原結合性を有する限り、最終的な構築物に到達するように欠失、挿入、及び置換を任意に組み合わせることができる。
【0212】
I.置換、挿入、及び欠失変異形
ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異形が提供される。置換型変異誘発の目的の部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表1において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は表1の「例示的な置換」という見出しの下に提供され、アミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される。アミノ酸置換が目的の抗体に導入され、その産物が、所望の活性、例えば、保持された/向上した抗原結合、減少した免疫原性、または向上したADCCもしくはCDCについて、スクリーニングされてもよい。
表1.例示的なアミノ酸置換及び好ましいアミノ酸置換
アミノ酸は、一般的な側鎖特性によってグループ分けすることができる。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln
(3)酸性:Asp、Glu
(4)塩基性:His、Lys、Arg
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
【0213】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
【0214】
1つの種類の置換型変異形は、親抗体(例えばヒト化抗体またはヒト抗体)の1個以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、さらなる研究のために選択される、得られる変異形(複数可)は、親抗体と比べてある特定の生物学的特性の改変(例えば向上)(例えば親和性の増加、免疫原性の低減)を有し、かつ/または、実質的に保持された親抗体のある特定の生物学的特性を有する。例示的な置換変異形は、例えば、本明細書に記載される技法等のファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して簡便に生成され得る親和性成熟抗体である。簡潔に述べると、1個以上のHVR残基を変異させ、変異形抗体をファージ上で提示させ、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。
【0215】
HVR内で変更(例えば置換)を行って、例えば、抗体親和性を向上させることができる。そのような変更は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによりコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/または抗原に接触する残基で行われてもよく、得られる変異形VHまたはVLが、結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及びそれからの再選択による親和性成熟については、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態において、成熟させるために選択された可変遺伝子に、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のうちのいずれかによって多様性が導入される。次に、二次ライブラリが作製される。次に、このライブラリがスクリーニングされて、所望の親和性を有する任意の抗体変異形が特定される。多様性を導入する別の方法は、数個のHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)がランダム化されるHVR指向手法を伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング変異誘発またはモデリングを使用して、特異的に特定することができる。特に、CDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
【0216】
ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、かかる変更が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVR間で生じてもよい。例えば、結合親和性を実質的に低減させない保存的変更(例えば、本明細書に提供される保存的置換)をHVR内で行ってもよい。そのような変更は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側にあってもよい。上記に提供された変異形VH及びVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは、変更なしか、あるいは1つ、2つ、または3つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0217】
変異誘発の標的となり得る抗体の残基または領域を特定するのに有用な方法は「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれ、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されている。この方法では、残基または標的残基群(例えば、arg、asp、his、lys、及びglu等の荷電残基)を特定し、中性または負荷電アミノ酸(例えばアラニンまたはポリアラニン)に置き換えて、抗原と抗体の相互作用に影響が及ぶかを判定する。最初の置換に対する機能感受性を示すアミノ酸位置にさらなる置換を導入してもよい。あるいは、またはさらに、抗体と抗原との間の接触点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基及び付近の残基を、置換の候補として標的としてもよいし、または排除してもよい。変異形が所望の特性を含むかを判定するために、それらをスクリーニングしてもよい。
【0218】
アミノ酸配列挿入には、長さが1残基から100以上の残基を含むポリペプチドまで及ぶアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入型変異形には、酵素(例えば、ADEPTのためのもの)またはポリペプチドへの、抗体のN末端もしくはC末端の融合が含まれ、これは抗体の血清半減期を増加させる。
【0219】
II.グリコシル化変異形
ある特定の実施形態において、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)は、抗体がグリコシル化する程度を増加または減少させるように変更することができる。本発明の抗TIGIT抗体に対するグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作製または除去されるようにアミノ酸配列を変更することにより、簡便に達成することができる。
【0220】
抗体がFc領域を含む場合、それに結合した炭水化物が変更されてもよい。哺乳動物細胞によって産生される天然抗体は、典型的には、概してFc領域のCH2ドメインのAsn297にN結合によって結合している分枝状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。このオリゴ糖には、様々な炭水化物、例えばマンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合したフコースが含まれ得る。いくつかの実施形態において、ある特定の向上した特性を有する抗体変異形を作製するために、本発明の抗体におけるオリゴ糖の修飾を行うことができる。
【0221】
一実施形態において、Fc領域に(直接的または間接的に)結合したフコースを欠いている炭水化物構造を有する抗TIGIT抗体変異形が提供される。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、または20%~40%であり得る。フコースの量は、例えばWO 2008/077546に記載されるように、MALDI-TOF質量分析によって測定した場合の、Asn297に結合した全てのグリコ構造体(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造体)の合計に対する、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297とは、Fc領域内の約297位(EU付番のFc領域残基)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体における小規模な配列変化に起因して、297位から約±3アミノ酸上流または下流、すなわち294位~300位に位置する場合もある。このようなフコシル化変異形は、向上したADCC機能を有し得る。例えば、米国特許公開第US 2003/0157108号(Presta,L.)、同第US 2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体変異形に関する公開文献の例としては、US 2003/0157108、WO 2000/61739、WO 2001/29246、US 2003/0115614、US 2002/0164328、US 2004/0093621、US 2004/0132140、US 2004/0110704、US 2004/0110282、US 2004/0109865、WO 2003/085119、WO 2003/084570、WO 2005/035586、WO 2005/035778、WO2005/053742、WO2002/031140、Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004)、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することのできる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損したLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986)、米国特許出願第US 2003/0157108号 A1(Presta,L)、及びWO 2004/056312 A1(Adamsら)、特に実施例11)、及びアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8ノックアウトCHO細胞等のノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006)、及びWO2003/085107を参照されたい)が挙げられる。
【0222】
二分されたオリゴ糖を有する抗TIGIT抗体変異形、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されているものが、さらに提供される。そのような抗体変異形は、低減したフコシル化及び/または向上したADCC機能を有し得る。そのような抗体変異形の例は、例えば、WO 2003/011878(Jean-Mairet et al.)、米国特許第6,602,684号(Umanaら)、及びUS 2005/0123546(Umanaら)に記載されている。オリゴ糖内の少なくとも1個のガラクトース残基がFc領域に結合している抗体変異形も提供される。そのような抗体変異形は、向上したCDC機能を有し得る。そのような抗体変異形は、例えば、WO 1997/30087(Patelら)、WO 1998/58964(Raju,S.)、及びWO 1999/22764(Raju,S.)に記載されている。
【0223】
III.Fc領域変異形
ある特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾を本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)のFc領域に導入し、それにより、Fc領域変異形を生成してもよい(例えば、US 2012/0251531を参照されたい)。Fc領域変異形は、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含んでもよい。
【0224】
ある特定の実施形態において、本発明は、全てではなく一部のエフェクター機能を有することにより、インビボでの抗体の半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能(例えば補体及びADCC等)が不必要または有害である用途において望ましい候補となる、抗TIGIT抗体変異形を想定する。インビトロ及び/またはインビボの細胞傷害性アッセイを実施して、CDC及び/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施して、抗体がFcγR結合性を欠いている(よってADCC活性を欠いている可能性が高い)がFcRn結合能力を保持していることを確かめることができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)を参照されたい)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985)、同第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いてもよい(例えば、フローサイトメトリのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、またはさらに、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されているもの等の動物モデルにおいて評価してもよい。C1q結合アッセイを行って、抗体がC1qに結合することができず、よってCDC活性を欠いていることを確認することもできる。例えば、WO 2006/029879及びWO 2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するためには、CDCアッセイを行ってもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al.J.Immunol.Methods 202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.Blood.101:1045-1052(2003)、及びCragg,M.S.and M.J.Glennie Blood.103:2738-2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期の決定も、当該技術分野で知られる方法を使用して行うことができる(例えば、Petkova,S.B.et al.Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照されたい)。
【0225】
エフェクター機能が低減した抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有するものを含む(米国特許第6,737,056号及び同第8,219,149号)。そのようなFc変異体には、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含め、アミノ酸265位、269位、270位、297位、及び327位のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体が含まれる(米国特許第7,332,581号及び同第8,219,149号)。
【0226】
ある特定の実施形態において、本抗体における野生型ヒトFc領域内の329位のプロリンは、グリシンもしくはアルギニン、またはFcのプロリン329とFcgRIIIのトリプトファン残基Trp87及びTrp110との間に形成されるFc/Fc.ガンマ受容体界面内のプロリンサンドイッチを破壊するのに十分に大きなアミノ酸残基で置換されている(Sondermann et al.:Nature 406,267-273(2000年7月20日))。ある特定の実施形態において、本抗体は、少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換を含む。一実施形態において、さらなるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、またはP331Sであり、さらに別の実施形態では、少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A、またはヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL235Eであり(例えば、US 2012/0251531を参照されたい)、さらに別の実施形態では、少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A及びP329Gである。
【0227】
FcRへの結合が向上または減少した、ある特定の抗体変異形が説明されている(例えば、米国特許第6,737,056号、WO 2004/056312、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい)。
【0228】
ある特定の実施形態では、抗体変異形は、ADCCを向上させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298位、333位、及び/または334位(EU付番の残基)における置換を有するFc領域を含む。
【0229】
いくつかの実施形態において、例えば、米国特許第6,194,551号、WO 99/51642、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されるように、C1q結合及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(すなわち、向上または減少のいずれか)をもたらす変更が、Fc領域において行われる。
【0230】
半減期が増加し、母体IgGの胎児への移入に関与する新生児型Fc受容体(FcRn)(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))への結合が向上した抗体は、US2005/0014934A1(Hintonら)に記載されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を向上させる1つ以上の置換を有するFc領域を含む。そのようなFc変異形には、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上における置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものが含まれる(米国特許第7,371,826号)。
【0231】
Fc領域変異形の他の例に関しては、Duncan & Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO 94/29351も参照されたい。
【0232】
いくつかの態様では、抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)は、N297G変異を含むFc領域を含む。
【0233】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)は、1つ以上の重鎖定常ドメインを含み、この1つ以上の重鎖定常ドメインは、第1のCH1(CH11)ドメイン、第1のCH2(CH21)ドメイン、第1のCH3(CH31)ドメイン、第2のCH1(CH12)ドメイン、第2のCH2(CH22)ドメイン、及び第2のCH3(CH32)ドメインから選択される。一部の事例では、1つ以上の重鎖定常ドメインのうちの少なくとも1つは、別の重鎖定常ドメインと対合する。一部の事例では、CH31及びCH32ドメインは各々、突起または空隙を含み、CH31ドメイン内の該突起または空隙は、それぞれ、CH32ドメイン内の空隙または突起に位置付け可能である。一部の事例では、CH31及びCH32ドメインは、該突起と空隙との界面で交わる。一部の事例では、CH21及びCH22ドメインは各々、突起または空隙を含み、CH21ドメイン内の該突起または空隙は、それぞれ、CH22ドメイン内の空隙または突起に位置付け可能である。他の事例では、CH21及びCH22ドメインは、該突起と空隙との界面で交わる。一部の事例では、抗TIGIT抗体は、IgG1抗体である。
【0234】
IV.システイン操作された抗体変異形
ある特定の実施形態において、抗体の1個以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作された抗体、例えば、「thioMAb」を作製することが望ましい場合がある。特定の実施形態では、置換残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性のチオール基がそれにより抗体の利用しやすい部位に位置付けられ、それを使用して、薬物部分またはリンカー・薬物部分等の他の部分に抗体を複合させて、本明細書にさらに記載される免疫複合体を作製することができる。ある特定の実施形態では、次の残基:軽鎖のV205(Kabat付番)、重鎖のA118(EU付番)、及び重鎖Fc領域のS400(EU付番)のうちのいずれか1個以上が、システインで置換され得る。システイン操作された抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成してもよい。
【0235】
V.抗体誘導体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)は、当該技術分野で知られており容易に利用可能である追加の非タンパク質性部分を含むように、さらに改変されてもよい。抗体の誘導体化に好適な部分としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1、3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造において有利であり得る。ポリマーは、いかなる分子量のものであってもよく、分枝状であっても非分枝状であってもよい。抗体に結合するポリマーの数は様々であり得、2つ以上のポリマーが結合する場合、それらは同じ分子であっても異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/または種類は、向上させるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定の条件下で療法に使用されるかどうか等を含むがこれらに限定されない検討事項に基づいて決定され得る。
【0236】
別の実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体と非タンパク質性部分との複合体が提供される。一実施形態において、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長のものであり得、通常の細胞を傷つけないが抗体-非タンパク質性部分に近位の細胞を殺傷する温度まで非タンパク質性部分を加熱する波長を含むが、これに限定されない。
【0237】
IV.組換えの方法及び組成物
本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)は、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,816,567号に記載される組換えの方法及び組成物を使用して産生されてもよい。一実施形態において、本明細書に記載の抗TIGIT抗体をコードする単離核酸が提供される。かかる核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/または抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードし得る。さらなる実施形態では、かかる核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる実施形態では、かかる核酸を含む宿主細胞が提供される。そのような一実施形態において、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。一実施形態において、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態では、抗TIGIT抗体の作製方法であって、上記に提供された抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、該抗体の発現に好適な条件下で培養することと、場合により、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から該抗体を回収することとを含む、方法が提供される。
【0238】
抗TIGIT抗体の組換え産生のためには、例えば、上述の抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/または発現のために、1つ以上のベクターに挿入される。かかる核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定され得る。
【0239】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞としては、本明細書に記載される原核細胞または真核細胞が挙げられる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌内で産生され得る。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。(また、E.coliにおける抗体断片の発現について記載する、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい。)発現後、抗体は、可溶性画分中で細菌細胞ペーストから単離されてもよく、さらに精製されてもよい。
【0240】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母等の真核微生物が、抗体をコードするベクターに好適なクローニング宿主または発現宿主であり、これには、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらすようにグリコシル化経路が「ヒト化」されている真菌及び酵母株が含まれる。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0241】
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)からも得られる。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために昆虫細胞と併せて使用され得る、多数のバキュロウイルス株が特定されている。
【0242】
植物細胞培養物を宿主として利用することもできる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載している)を参照されたい。
【0243】
脊椎動物細胞も宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で成長するのに適した哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載の293または293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えばMather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍(MMT 060562)、例えばMather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI細胞、MRC 5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにY0、NS0、及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適なある特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0244】
V.免疫複合体
本発明は、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)が、1つ以上の細胞傷害剤、例えば化学療法剤もしくは化学療法薬、成長阻害性剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素、またはそれらの断片)、または放射性同位体と複合したものを含む、免疫複合体も提供する。
【0245】
一実施形態において、免疫複合体は、抗体が1つ以上の薬物と複合した抗体-薬物複合体(ADC)であり、この薬物としては、マイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号、及び欧州特許第EP 0 425 235号B1を参照されたい)、オーリスタチン、例えばモノメチルオーリスタチン薬物部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)(米国特許第5,635,483号、及び同第5,780,588号、及び同第7,498,298号を参照されたい)、ドラスタチン、カリケアマイシンまたはその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号、Hinman et al.,Cancer Res.53:3336-3342(1993)、ならびにLode et al.,Cancer Res.58:2925-2928(1998)を参照されたい)、ダウノマイシンまたはドキソルビシン等のアントラサイクリン(Kratz et al.,Current Med.Chem.13:477-523(2006)、Jeffrey et al.,Bioorganic & Med.Chem.Letters 16:358-362(2006)、Torgov et al.,Bioconj.Chem.16:717-721(2005)、Nagy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829-834(2000)、Dubowchik et al.,Bioorg.& Med.Chem.Letters 12:1529-1532(2002)、King et al.,J.Med.Chem.45:4336-4343(2002)、及び米国特許第6,630,579号を参照されたい)、メトトレキサート、ビンデシン、タキサン、例えばドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセル、トリコテシン、ならびにCC1065が挙げられるが、これらに限定されない。
【0246】
別の実施形態において、免疫複合体には、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)が、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンシン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、ならびにトリコテセン(tricothecene)を含むがこれらに限定されない酵素活性毒素またはその断片に複合したものが含まれる。
【0247】
別の実施形態において、免疫複合体には、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)が、放射性原子に複合して放射性複合体を形成したものが含まれる。放射性複合体の産生には、多様な放射性同位体が利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位元素が挙げられる。放射性複合体が検出のために使用される場合、これは、シンチグラフィー研究用の放射性原子、例えばtc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)画像法(磁気共鳴画像法、mriとしても知られる)のためのスピン標識、例えば、繰り返しになるがヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガン、もしくは鉄等を含んでもよい。
【0248】
抗体と細胞傷害剤との複合体は、多様な二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-サクシニミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、サクシニミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばアジプイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル(例えばスベリン酸ジサクシニミジル)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えばビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えばビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6-ジイソシアネート)、及びビス-活性フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製され得る。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載のように調製することができる。炭素14で標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体と複合させるための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照されたい。リンカーは、細胞内で細胞傷害薬の放出を促進する「切断可能リンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992)、米国特許第5,208,020号)を使用してもよい。
【0249】
本明細書における免疫複合体またはADCは、(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aから)市販されているBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、及びSVSB(サクシニミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製された複合体を明示的に想定するが、これに限定されない。
【0250】
VI.診断及び検出のための方法及び組成物
ある特定の実施形態において、本発明の抗TIGIT抗体のうちのいずれか(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)は、生体試料中のTIGITの存在を検出するのに有用である。本明細書で使用される「検出すること」という用語は、定量的または定性的な検出を包含する。ある特定の実施形態において、生体試料は、細胞または組織を含む。
【0251】
一実施形態において、診断または検出の方法に使用するための抗TIGIT抗体が提供される。さらなる態様において、生体試料中のTIGITの存在の検出方法が提供される。ある特定の実施形態において、本方法は、TIGITに抗TIGIT抗体が結合することを許容する条件下で生体試料を本明細書に記載の抗TIGIT抗体と接触させることと、抗TIGIT抗体とTIGITとの複合体が形成されるかどうかを検出することとを含む。そのような方法は、インビトロ法であってもインビボ法であってもよい。
【0252】
ある特定の実施形態において、標識された抗TIGIT抗体が提供される。標識としては、直接検出される標識または部分(例えば、蛍光標識、発色団標識、電子密度の高い標識、化学発光標識、及び放射性標識等)、ならびに例えば酵素反応または分子相互作用によって間接的に検出される酵素またはリガンド等の部分が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な標識としては、放射性同位体32P、14C、125I、3H、及び131I、フルオロフォア、例えば、希土類キレートまたはフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ(luceriferases)、例えばホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、複素環式オキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、染料前駆体を酸化させるために過酸化水素を用いる酵素と結合したもの、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはミクロペルオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定フリーラジカル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0253】
VII.薬学的組成物
本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)の薬学的組成物は、凍結乾燥組成物または水溶液の形態で、1つ以上の任意選択による薬学的に許容可能な担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と、所望の純度を有するかかる抗体を混合することによって調製される。薬学的に許容可能な担体は、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して概して無毒であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);及び/またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容可能な担体は、介在性(insterstitial)薬物分散剤、例えば可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えばヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えばrHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)をさらに含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様において、sHASEGPは、1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼ、例えばコンドロイチナーゼと組み合わせられる。
【0254】
一部の事例では、本明細書に提供される抗TIGIT抗体を含む薬学的組成物は、PD-1軸結合アンタゴニスト、例えばPD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストをさらに含んでもよい。
【0255】
一部の事例では、本明細書に提供される抗TIGIT抗体を含む薬学的組成物は、OX40結合アゴニスト、例えばOX40アゴニスト抗体、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシンをさらに含んでもよい。
【0256】
一部の事例では、本明細書に提供される抗TIGIT抗体を含む薬学的組成物は、追加の治療剤、例えば化学療法剤、または1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体(例えば、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、VISTA、B7H4、及び/またはCD96)を減少させるかもしくは阻害する薬剤をさらに含んでもよい。
【0257】
他の実施形態では、抗TIGIT抗体を含む薬学的組成物は、(a)PD-1軸結合アンタゴニスト及びOX40結合アゴニスト、(b)PD-1軸結合アンタゴニスト及び追加の治療剤(例えば、化学療法剤)、(c)PD-1軸結合アンタゴニスト及び1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体(例えば、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、VISTA、B7H4、及び/またはCD96)を減少させるかもしくは阻害する薬剤、(d)OX40結合アゴニスト及び追加の治療剤(例えば、化学療法剤)、(e)OX40結合アゴニスト及び1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体(例えば、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、VISTA、B7H4、及び/またはCD96)を減少させるかもしくは阻害する薬剤、(f)追加の治療剤(例えば、化学療法剤)及び1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体(例えば、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、VISTA、B7H4、及び/またはCD96)を減少させるかもしくは阻害する薬剤、または(g)PD-1軸結合アンタゴニスト、OX40結合アゴニスト、及び1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体(例えば、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、VISTA、B7H4、及び/またはCD96)を減少させるかもしくは阻害する薬剤をさらに含んでもよい。場合により、本薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤を含む。
【0258】
例示的な凍結乾燥抗体組成物は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体組成物としては、米国特許第6,171,586及びWO2006/044908に記載されるものが挙げられ、後者の組成物は、ヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。
【0259】
本明細書における組成物は、治療される特定の適応症に必要な2つ以上の活性成分、好ましくは互いに有害作用を及ぼさない相補的活性を有するものを含んでもよい。例えば、追加の治療剤(例えば、本明細書において上記に列挙されたもの等の化学療法剤、細胞傷害剤、成長阻害剤、及び/または抗ホルモン剤)をさらに提供することが望ましい場合がある。そのような活性成分は、好適には、意図される目的のために有効な量で組み合わさって存在する。
【0260】
活性成分は、例えば、コアセルベーション技法もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンのマイクロカプセル、及びポリ-(メチルメタシレート(methylmethacylate))のマイクロカプセル中か、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)中か、またはマイクロエマルジョン中に封入され得る。そのような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0261】
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例としては、本抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、成形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。
【0262】
インビボ投与に使用される組成物は、一般に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成することができる。
【0263】
VIII.治療方法
本発明の抗TIGIT抗体のうちのいずれか(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)は、治療方法において使用することができる。
【0264】
一態様において、医薬品として使用するための抗TIGIT抗体が提供される。さらなる態様では、対象の免疫関連疾患の治療またはその進行の遅延において使用するための、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)が提供される。ある特定の実施形態において、本発明は、T細胞機能不全障害に関連した免疫関連疾患を有する対象の治療方法で使用するための抗TIGIT抗体を提供する。他の実施形態では、免疫関連疾患は、ウイルス感染症である。ある特定の実施形態において、ウイルス感染症は、慢性ウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、抗原刺激に対する応答性の低下を特徴とする。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞アネルギー、またはサイトカイン分泌能力、増殖能力、もしくは細胞溶解活性実行能力の低下を特徴とする。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞疲弊を特徴とする。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD4+T細胞及びCD8+T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害には、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫が含まれる。
【0265】
別の態様では、対象の癌を治療するため、または癌の進行を遅延させるための、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)が提供される。ある特定の実施形態において、癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫(MM))、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び血液悪性腫瘍からなる群から選択される。このように、多様な癌を治療することができるか、またはそれらの進行を遅延することができる。いくつかの実施形態において、個体は、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)を有し得る。他の実施形態では、個体は、膵臓癌(例えば、膵管腺癌(PDAC))を有し得る。いくつかの実施形態において、個体は、非小細胞肺癌を有する。非小細胞肺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、小細胞肺癌を有する。小細胞肺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、腎細胞癌を有する。腎細胞癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、結腸直腸癌を有する。結腸直腸癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、卵巣癌を有する。卵巣癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、乳癌を有する。乳癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膵臓癌を有する。膵臓癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、胃癌を有する。胃癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膀胱癌を有する。膀胱癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、食道癌を有する。食道癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、中皮腫を有する。中皮腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、黒色腫を有する。黒色腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、頭頸部癌を有する。頭頸部癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、甲状腺癌を有する。甲状腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、肉腫を有する。肉腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、前立腺癌を有する。前立腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膠芽腫を有する。膠芽腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、子宮頸癌を有する。子宮頸癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、胸腺癌を有する。胸腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、白血病を有する。白血病は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、リンパ腫を有する。リンパ腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、骨髄腫(例えば、MM)を有する。骨髄腫(例えば、MM)は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、菌状息肉腫を有する。菌状息肉腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、メルケル細胞癌を有する。メルケル細胞癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、血液系悪性腫瘍を有する。血液系悪性腫瘍は、早期または後期であり得る。
【0266】
別の態様では、免疫応答もしくは機能の増加、増強、または刺激を必要とする対象においてそれを行うのに使用するための、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)が提供される。いくつかの実施形態において、免疫応答もしくは機能は、対象のエフェクター細胞(例えば、T細胞、例えば、CD8+T細胞及び/またはCD4+T細胞)を活性化させること、エフェクター細胞集団を増殖させること(増加させること)、及び/または標的細胞(例えば、標的腫瘍細胞)を殺傷することによって、増加、増強、及び/または刺激される。いくつかの実施形態において、個体のCD4及び/またはCD8 T細胞は、プライミング、活性化、増殖、サイトカイン放出、及び/または細胞溶解活性が、該組み合わせの投与前と比べて増加または増強している。いくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞の数は、該組み合わせの投与前と比べて上昇している。いくつかの実施形態において、活性化されたCD4及び/またはCD8 T細胞の数は、該組み合わせの投与前と比べて上昇している。いくつかの実施形態において、活性化されたCD4及び/またはCD8 T細胞は、γ-IFN+を産生するCD4及び/またはCD8 T細胞、及び/または、該組み合わせの投与前と比べて増強された細胞溶解活性を特徴とする。いくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、IFN-γ、TNF-α、及びインターロイキンからなる群から選択されるサイトカインの放出の増加を呈する。本発明の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、エフェクターメモリーT細胞である。いくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8エフェクターメモリーT細胞は、γ-IFN+を産生するCD4及び/またはCD8 T細胞、及び/または細胞溶解活性の増強を特徴とする。いくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8エフェクターメモリーT細胞は、CD44highCD62Llowの発現を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、癌は、上昇したT細胞浸潤レベルを有する。
【0267】
上記の態様のうちのいずれかにおいて、抗TIGIT抗体は、異なるTIGITアンタゴニスト、PD-1軸結合アンタゴニスト、OX40結合アゴニスト、1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体を減少させるかもしくは阻害する薬剤、及び/または本明細書に詳細に記載される追加の治療剤、例えば化学療法剤と組み合わせて使用するためのものであり得る。
【0268】
別の態様では、本発明は、医薬品の製造または調製における、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)の使用を提供する。一実施形態において、本医薬品は、癌を治療するため、または癌の進行を遅延させるためのものである。さらなる実施形態において、本医薬品は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、もしくは血液悪性腫瘍を治療するため、またはその進行を遅延させるためのものである。このように、多様な癌を治療することができるか、またはそれらの進行を遅延することができる。いくつかの実施形態において、個体は、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)を有し得る。他の実施形態では、個体は、膵臓癌(例えば、膵管腺癌(PDAC))を有し得る。いくつかの実施形態において、個体は、非小細胞肺癌を有する。非小細胞肺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、小細胞肺癌を有する。小細胞肺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、腎細胞癌を有する。腎細胞癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、結腸直腸癌を有する。結腸直腸癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、卵巣癌を有する。卵巣癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、乳癌を有する。乳癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膵臓癌を有する。膵臓癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、胃癌を有する。胃癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膀胱癌を有する。膀胱癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、食道癌を有する。食道癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、中皮腫を有する。中皮腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、黒色腫を有する。黒色腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、頭頸部癌を有する。頭頸部癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、甲状腺癌を有する。甲状腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、肉腫を有する。肉腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、前立腺癌を有する。前立腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膠芽腫を有する。膠芽腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、子宮頸癌を有する。子宮頸癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、胸腺癌を有する。胸腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、白血病を有する。白血病は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、リンパ腫を有する。リンパ腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、骨髄腫(例えば、MM)を有する。骨髄腫(例えば、MM)は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、菌状息肉腫を有する。菌状息肉腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、メルケル細胞癌を有する。メルケル細胞癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、血液系悪性腫瘍を有する。血液系悪性腫瘍は、早期または後期であり得る。
【0269】
別の態様では、本発明は、免疫関連疾患を治療するため、または免疫関連疾患の進行を遅延させるための医薬品の製造における、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)の使用を提供する。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、T細胞機能不全障害に関連する。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、ウイルス感染症である。ある特定の実施形態において、ウイルス感染症は、慢性ウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、抗原刺激に対する応答性の低下を特徴とする。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞アネルギー、またはサイトカイン分泌能力、増殖能力、もしくは細胞溶解活性実行能力の低下を特徴とする。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞疲弊を特徴とする。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD4+T細胞及びCD8+T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害には、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫が含まれる。
【0270】
別の態様では、免疫応答もしくは機能の増加、増強、または刺激を必要とする対象においてそれを行うのに使用するための医薬品の製造における、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)が提供される。いくつかの実施形態において、免疫応答もしくは機能は、対象のエフェクター細胞(例えば、T細胞、例えば、CD8+T細胞及び/またはCD4+T細胞)を活性化させること、エフェクター細胞集団を増殖させること(増加させること)、及び/または標的細胞(例えば、標的腫瘍細胞)を殺傷することによって、増加、増強、及び/または刺激される。いくつかの実施形態において、個体のCD4及び/またはCD8 T細胞は、プライミング、活性化、増殖、サイトカイン放出、及び/または細胞溶解活性が、該組み合わせの投与前と比べて増加または増強している。いくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞の数は、該組み合わせの投与前と比べて上昇している。いくつかの実施形態において、活性化されたCD4及び/またはCD8 T細胞の数は、該組み合わせの投与前と比べて上昇している。いくつかの実施形態において、活性化されたCD4及び/またはCD8 T細胞は、γ-IFN+を産生するCD4及び/またはCD8 T細胞、及び/または、該組み合わせの投与前と比べて増強された細胞溶解活性を特徴とする。いくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、IFN-γ、TNF-α、及びインターロイキンからなる群から選択されるサイトカインの放出の増加を呈する。本発明の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、エフェクターメモリーT細胞である。いくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8エフェクターメモリーT細胞は、γ-IFN+を産生するCD4及び/またはCD8 T細胞、及び/または細胞溶解活性の増強を特徴とする。いくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8エフェクターメモリーT細胞は、CD44highCD62Llowの発現を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、癌は、上昇したT細胞浸潤レベルを有する。
【0271】
上記の態様のうちのいずれかにおいて、本医薬品は、異なるTIGITアンタゴニスト、PD-1軸結合アンタゴニスト、OX40結合アゴニスト、1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体を減少させるかもしくは阻害する薬剤、及び/または本明細書に詳細に記載される追加の治療剤、例えば化学療法剤と組み合わせて使用するために製剤化され得る。
【0272】
別の態様では、本発明は、対象の癌の治療方法または癌の進行の遅延方法であって、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)を有効量で対象に投与し、それによって対象の癌を治療するかまたは癌の進行を遅延させることを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態において、癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び血液悪性腫瘍からなる群から選択される。このように、多様な癌を治療することができるか、またはそれらの進行を遅延することができる。いくつかの実施形態において、個体は、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)を有し得る。他の実施形態では、個体は、膵臓癌(例えば、膵管腺癌(PDAC))を有し得る。いくつかの実施形態において、個体は、非小細胞肺癌を有する。非小細胞肺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、小細胞肺癌を有する。小細胞肺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、腎細胞癌を有する。腎細胞癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、結腸直腸癌を有する。結腸直腸癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、卵巣癌を有する。卵巣癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、乳癌を有する。乳癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膵臓癌を有する。膵臓癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、胃癌を有する。胃癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膀胱癌を有する。膀胱癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、食道癌を有する。食道癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、中皮腫を有する。中皮腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、黒色腫を有する。黒色腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、頭頸部癌を有する。頭頸部癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、甲状腺癌を有する。甲状腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、肉腫を有する。肉腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、前立腺癌を有する。前立腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膠芽腫を有する。膠芽腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、子宮頸癌を有する。子宮頸癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、胸腺癌を有する。胸腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、白血病を有する。白血病は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、リンパ腫を有する。リンパ腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、骨髄腫(例えば、MM)を有する。骨髄腫(例えば、MM)は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、菌状息肉腫を有する。菌状息肉腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、メルケル細胞癌を有する。メルケル細胞癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、血液系悪性腫瘍を有する。血液系悪性腫瘍は、早期または後期であり得る。
【0273】
別の態様では、本発明は、対象の免疫関連疾患の治療方法または免疫関連疾患の進行の遅延方法であって、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)を有効量で対象に投与し、それによって対象の免疫関連疾患を治療するかまたは免疫関連疾患の進行を遅延させることを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、T細胞機能不全障害に関連する。いくつかの実施形態において、免疫関連疾患は、ウイルス感染症である。ある特定の実施形態において、ウイルス感染症は、慢性ウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、抗原刺激に対する応答性の低下を特徴とする。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞アネルギー、またはサイトカイン分泌能力、増殖能力、もしくは細胞溶解活性実行能力の低下を特徴とする。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害は、T細胞疲弊を特徴とする。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD4+T細胞及びCD8+T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全障害には、未解決の急性感染、慢性感染、及び腫瘍免疫が含まれる。
【0274】
別の態様では、本発明は、対象の免疫応答もしくは機能の増加方法、増強方法、または刺激方法であって、本明細書に記載の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)を有効量で対象に投与し、それによって対象の免疫応答もしくは機能を増加させるか、増強させるか、または刺激することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、免疫応答もしくは機能は、対象のエフェクター細胞(例えば、T細胞、例えば、CD8+T細胞及び/またはCD4+T細胞)を活性化させること、エフェクター細胞集団を増殖させること(増加させること)、及び/または標的細胞(例えば、標的腫瘍細胞)を殺傷することによって、増加、増強、及び/または刺激される。本発明の方法のいくつかの実施形態において、個体のCD4及び/またはCD8 T細胞は、プライミング、活性化、増殖、サイトカイン放出、及び/または細胞溶解活性が、該組み合わせの投与前と比べて増加または増強している。本発明の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞の数は、該組み合わせの投与前と比べて上昇している。本発明の方法のいくつかの実施形態において、活性化されたCD4及び/またはCD8 T細胞の数は、該組み合わせの投与前と比べて上昇している。本発明の方法のいくつかの実施形態において、活性化されたCD4及び/またはCD8 T細胞は、γ-IFN+を産生するCD4及び/またはCD8 T細胞、及び/または、該組み合わせの投与前と比べて増強された細胞溶解活性を特徴とする。本発明の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、IFN-γ、TNF-α、及びインターロイキンからなる群から選択されるサイトカインの放出の増加を呈する。本発明の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、エフェクターメモリーT細胞である。本発明の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8エフェクターメモリーT細胞は、γ-IFN+を産生するCD4及び/またはCD8 T細胞、及び/または細胞溶解活性の増強を特徴とする。本発明の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8エフェクターメモリーT細胞は、CD44highCD62Llowの発現を有することを特徴とする。本発明の方法のいくつかの実施形態において、癌は、上昇したT細胞浸潤レベルを有する。
【0275】
上記の態様のうちのいずれかにおいて、抗TIGIT抗体は、異なるTIGITアンタゴニスト、PD-1軸結合アンタゴニスト、OX40結合アゴニスト、1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体を減少させるかもしくは阻害する薬剤、及び/または本明細書に詳細に記載される追加の治療剤、例えば化学療法剤と組み合わせて投与するためのものであり得る。
【0276】
いくつかの実施形態において、異なる(第2の)TIGITアンタゴニストは、TIGITの発現及び/または活性のアンタゴニスト、例えば、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態において、TIGITアンタゴニストは、異なる抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片(例えば、使用される本発明の抗TIGIT抗体によって認識されるエピトープと重複しないか、または部分的にしか重複しない、TIGITの異なるエピトープに結合するもの)である。いくつかの実施形態において、TIGITアンタゴニストは、アンチセンスポリヌクレオチド、干渉RNA、触媒RNA、及びRNA-DNAキメラから選択される阻害性核酸である。
【0277】
いくつかの実施形態において、TIGITアンタゴニストは、CD226の発現及び/または活性を調節する薬剤であり得る。例えば、CD226の発現及び/または活性を増加及び/または刺激すること、PVR、PVRL2、及び/またはPVRL3とのCD226の相互作用を増加及び/または刺激すること、ならびにPVR、PVRL2、及び/またはPVRL3へのCD226の結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を増加及び/または刺激することのできる、CD226の発現及び/または活性を調節する薬剤。本明細書で使用されるとき、CD226の発現及び/または活性を増加及び/または刺激することのできる薬剤には、CD226の発現及び/または活性を増加及び/または刺激する薬剤が含まれるが、これに限定されない。本明細書で使用されるとき、PVR、PVRL2、及び/またはPVRL3とのCD226の相互作用を増加及び/または刺激することのできる薬剤には、PVR、PVRL2、及び/またはPVRL3とのCD226の相互作用を増加及び/または刺激する薬剤が含まれるが、これに限定されない。本明細書で使用されるとき、PVR、PVRL2、及び/またはPVRL3へのCD226の結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を増加及び/または刺激することのできる薬剤には、PVR、PVRL2、及び/またはPVRL3へのCD226の結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を増加及び/または刺激する薬剤が含まれるが、これに限定されない。
【0278】
いくつかの実施形態において、CD226の発現及び/または活性を調節する薬剤は、TIGITとのCD226の相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤、PVRの発現及び/または活性のアンタゴニスト、PVRとのTIGITの相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤、PVRL2とのTIGITの相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤、PVRL3とのTIGITの相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤、PVRへのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/または遮断する薬剤、PVRL2へのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/または遮断する薬剤、PVRL3へのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/または遮断する薬剤、ならびにそれらの組み合わせから選択される。
【0279】
いくつかの実施形態において、CD226とのTIGITの相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、TIGITとのCD226の相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤は、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片(例えば、使用される本発明の抗TIGIT抗体によって認識されるエピトープと重複しないか、または部分的にしか重複しない、TIGITの異なるエピトープに結合するもの)である。いくつかの実施形態において、TIGITとのCD226の相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤は、アンチセンスポリヌクレオチド、干渉RNA、触媒RNA、及びRNA-DNAキメラから選択される阻害性核酸である。
【0280】
いくつかの実施形態において、PVRの発現及び/または活性のアンタゴニストは、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、PVRの発現及び/または活性のアンタゴニストは、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドから選択される。
【0281】
いくつかの実施形態において、TIGITとPVRとの相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、PVRとのTIGITの相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドから選択される。いくつかの実施形態において、PVRL2とのTIGITの相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドから選択される。いくつかの実施形態において、PVRL3とのTIGITの相互作用を阻害及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドから選択される。
【0282】
いくつかの実施形態において、PVRへのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、PVRへのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドから選択される。いくつかの実施形態において、PVRL2へのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドから選択される。いくつかの実施形態において、PVRL3へのTIGITの結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害性抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害性核酸、及び阻害性ポリペプチドから選択される。
【0283】
本発明の抗TIGIT抗体と組み合わせて使用することのできる他のTIGITアンタゴニストとしては、参照により全体が本明細書に組み込まれるWO 2009/126688に記載される、抗TIGIT抗体及びかかる抗体を含有する組成物が挙げられる。
【0284】
一部の事例では、本明細書に提供される方法は、本発明の抗TIGIT抗体(そして場合により1つ以上の追加の薬剤、例えば、第2の異なるTIGITアンタゴニスト、OX40結合アゴニスト、化学療法剤等)の前、その後、またはそれと同時に、有効量のPD-1軸結合アンタゴニストを投与することを含む。PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択することができる。
【0285】
上記の態様のうちのいくつかの実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がそのリガンド結合パートナーに結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がPD-L1に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がPD-L2に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がPD-L1及びPD-L2の両方に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、抗体である。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペンブロリズマブ)、CT-011(ピディリズマブ)、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、及びBGB-108からなる群から選択される。
【0286】
上記の態様の他の実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1がPD-1に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1がB7-1に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1がPD-1及びB7-1の両方に結合することを阻害する。いくつかの実施形態において、PD-L1結合アンタゴニストは、抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体は、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、YW243.55.S70、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、及びMSB0010718C(アベルマブ)からなる群から選択される。
【0287】
上記の態様の他の実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L2結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、抗体である。いくつかの実施形態において、PD-L2結合アンタゴニストは、イムノアドヘシンである。
【0288】
一般的な提案として、ヒトに投与され得るPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)の治療有効量は、1回の投与によるかそれ以上の投与によるかにかかわらず、患者の体重1kg当たり約0.01~約50mgの範囲である。例えば、いくつかの実施形態において、アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)は、約0.01~約45mg/kg、約0.01~約40mg/kg、約0.01~約35mg/kg、約0.01~約30mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.01~約20mg/kg、約0.01~約15mg/kg、約0.01~約10mg/kg、約0.01~約5mg/kg、または約0.01~約1mg/kgの用量で投与され、例えば、毎日投与される。いくつかの実施形態において、アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)は、15mg/kgで投与される。しかしながら、他の投薬量レジメンも有用であり得る。一実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)は、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、または約1500mgの用量でヒトに投与される。いくつかの実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)は、2週間毎に約800mg~約850mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)は、2週間毎に約840mgの用量で投与される。この用量は、単回用量または複数回用量(例えば2回用量または3回用量)で、注入等で投与され得る。併用治療において投与される抗体の用量は、単剤治療と比較して低減し得る。いくつかの実施形態において、例えば、個体における局所進行性または転移性の乳癌の治療方法またはその進行の遅延方法は、各サイクルの1日目及び15日目に約840mgの用量でヒトPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)が個体に投与され、各サイクルが28日間である(すなわち、各サイクルが28日毎に繰り返される)治療サイクルを含む、投薬レジメンを含む。この療法の進行は、従来の技法によって容易に監視される。
【0289】
いくつかの実施形態において、OX40結合アゴニストには、例えば、OX40アゴニスト抗体(例えば、抗ヒトOX40アゴニスト抗体)、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシンが含まれる。
【0290】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、例えば、ADCC及び/または食作用によって、ヒトOX40を発現する細胞(例えば、CD4+エフェクターT細胞、CD8+T細胞、及び/またはTreg細胞)を枯渇させる。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、約1nM以下(例えば、約0.5nM以下、例えば、約0.45nM以下、例えば、約0.4nM以下、例えば、約0.3nM以下)の親和性でヒトOX40に結合する。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体の結合親和性は、放射免疫測定法を使用して判定される。
【0291】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、ヒトOX40及びカニクイザルOX40に結合する。さらに他の実施形態では、ヒトOX40及びカニクイザルOX40への結合は、FACSアッセイを使用して判定される。いくつかの実施形態において、ヒトOX40への結合は、約1μg/ml以下(例えば、約0.7μg/ml以下、例えば、約0.5μg/ml以下、例えば、約0.4μg/ml以下、例えば、約0.3μg/ml以下、例えば、約0.2μg/ml以下、例えば、約0.1μg/ml以下)のEC50を有する。いくつかの実施形態において、カニクイザルOX40への結合は、3μg/ml以下(例えば、約2μg/ml以下、例えば、約1.7μg/ml以下、例えば、約1.5μg/ml以下、例えば、約1.4μg/ml以下、例えば、約1.3μg/ml以下、例えば、約1.2μg/ml以下、例えば、約1.1μg/ml以下、例えば、約1.0μg/ml以下)のEC50を有する。
【0292】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、OX40アゴニスト抗体での処置前の増殖及び/またはサイトカイン産生と比較して、CD4+エフェクターT細胞の増殖を増加させ、かつ/またはCD4+エフェクターT細胞によるサイトカイン産生を増加させる。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IFN-γである。
【0293】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、メモリーT細胞の増殖を増加させ、かつ/またはメモリー細胞によるサイトカイン産生を増加させる。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IFN-γである。
【0294】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、エフェクターT細胞機能のTreg抑制を阻害する。いくつかの実施形態において、エフェクターT細胞機能は、エフェクターT細胞の増殖及び/またはサイトカイン産生である。いくつかの実施形態において、エフェクターT細胞は、CD4+エフェクターT細胞である。
【0295】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、OX40を発現する標的細胞におけるOX40シグナル伝達を増加させる。いくつかの実施形態において、OX40シグナル伝達は、NFkB下流シグナル伝達を監視することによって検出される。
【0296】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、40℃で1~4週間、例えば、1週間、2週間、3週間、または4週間の処置の後、安定である。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、40℃で2週間の処置の後、安定である。
【0297】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、ヒトエフェクター細胞への結合を排除する変異を含む変異形IgG1 Fcポリペプチドを含み、天然配列のIgG1 Fc部分を含むOX40アゴニスト抗体と比べて減少した活性を有する。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、DANA変異を含む変異形Fc部分を含む。
【0298】
いくつかの実施形態において、抗ヒトOX40アンタゴニスト抗体の機能には、抗体の架橋が必要とされる。
【0299】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)(i)配列番号278、279、または280のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号281、282、283、284、285、または286のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(iii)配列番号287、288、または289から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む、VHドメインと、(b)(i)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(iii)配列番号292、293、294、295、296、297、298、または299のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、VLドメインと、を含む。例えば、いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号292から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号297から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)配列番号298から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0300】
他の実施形態では、OX40アゴニスト抗体は、配列番号300~325のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVH配列を含む。例えば、OX40アゴニスト抗体は、配列番号300のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する(例えば、配列番号300において合計1~10個のアミノ酸が置換されている、挿入されている、及び/または欠失している)VH配列を含む。したがって、いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号278のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号281のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号287のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含むVHを含む。
【0301】
他の実施形態では、OX40アゴニスト抗体は、配列番号326~351のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するVL配列を含む。例えば、OX40アゴニスト抗体は、配列番号326のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する(例えば、配列番号326において合計1~10個のアミノ酸が置換されている、挿入されている、及び/または欠失している)VLを含む。したがって、いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号290のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号291のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)配列番号292のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含むVLを含む。
【0302】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号300のVH配列、(b)配列番号326のVL配列、または(c)(a)にあるようなVH配列及び(b)にあるようなVL配列を含む。
【0303】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号319のVH配列、(b)配列番号345のVL配列、または(c)(a)にあるようなVH配列及び(b)にあるようなVL配列を含む。
【0304】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、(a)配列番号320のVH配列、(b)配列番号346のVL配列、または(c)(a)にあるようなVH配列及び(b)にあるようなVL配列を含む。
【0305】
また、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,550,140号ならびに国際公開第WO 2014/148895号及び同第WO 2013/038191号に開示されている抗OX40抗体と同じかまたは実質的に同じHVR配列及び/またはVH配列及びVL配列を共有する抗体等のOX40アゴニスト抗体も、明確に想定される。
【0306】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、L106 BD(Pharmingen製品番号340420)である。いくつかの実施形態において、本抗体は、抗体L106(BD Pharmingen製品番号340420)の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの超可変領域(HVR)配列を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、抗体L106(BD Pharmingen製品番号340420)の重鎖可変領域配列及び/または軽鎖可変領域配列を含む。
【0307】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、ACT35(Santa Cruz Biotechnology、目録番号20073)である。いくつかの実施形態において、本抗体は、抗体ACT35(Santa Cruz Biotechnology、目録番号20073)の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの超可変領域(HVR)配列を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、抗体ACT35(Santa Cruz Biotechnology、目録番号20073)の重鎖可変領域配列及び/または軽鎖可変領域配列を含む。
【0308】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、MEDI6469である。いくつかの実施形態において、本抗体は、抗体MEDI6469の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの超可変領域(HVR)配列を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、抗体MEDI6469の重鎖可変領域配列及び/または軽鎖可変領域配列を含む。
【0309】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、MEDI0562である。いくつかの実施形態において、本抗体は、抗体MEDI0562の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの超可変領域(HVR)配列を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、抗体MEDI0562の重鎖可変領域配列及び/または軽鎖可変領域配列を含む。
【0310】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニスト抗体は、上述のOX40アゴニスト抗体のうちのいずれか1つと同じエピトープに結合するアゴニスト抗体である。
【0311】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、OX40アゴニスト抗体は、全長抗体(例えば、IgG1抗体)であっても抗体断片であってもよい。
【0312】
本明細書に記載の方法に有用なOX40アゴニストは、決して抗体に限定されるようには意図されていない。非抗体OX40アゴニストが想定され、当該技術分野で周知である。
【0313】
上述のように、OX40L(CD134Lとしても知られる)は、OX40のリガンドとしての機能を果たす。したがって、OX40Lの一部または全てを提示するアゴニストは、OX40アゴニストとしての機能を果たし得る。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、OX40Lの細胞外ドメインを1つ以上含み得る。OX40Lの細胞外ドメインの例としては、OX40結合ドメインを挙げることができる。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、OX40Lの細胞外ドメインを1つ以上含むが、タンパク質の他の不溶性ドメイン、例えば、膜貫通ドメインを欠くOX40Lの可溶性形態であり得る。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、OX40Lに結合することのできるOX40Lの細胞外ドメインを1つ以上含む可溶性タンパク質である。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、別のタンパク質ドメインに連結して、例えば、その有効性、半減期、または他の所望の特性を高めることができる。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、免疫グロブリンFcドメインに連結したOX40Lの細胞外ドメインを1つ以上含み得る。
【0314】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、オリゴマー分子または多量体分子であり得る。例えば、OX40アゴニストは、タンパク質がオリゴマー化するのを可能にするドメイン(例えば、ロイシンジッパードメイン)を1つ以上含有し得る。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、1つ以上のロイシンジッパードメインに連結したOX40Lの細胞外ドメインを1つ以上含み得る。
【0315】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、欧州特許第EP0672141号B1に記載されるOX40アゴニストのうちのいずれか1つであり得る。
【0316】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、三量体OX40L融合タンパク質であり得る。例えば、OX40アゴニストは、免疫グロブリンFcドメイン及び三量体化ドメイン(イソロイシンジッパードメインを含むがこれに限定されない)に連結したOX40Lの細胞外ドメインを1つ以上含み得る。
【0317】
いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、国際公開第WO2006/121810号に記載されるOX40アゴニストのうちのいずれか1つ、例えばOX40イムノアドヘシンであり得る。いくつかの実施形態において、OX40イムノアドヘシンは、三量体OX40-Fcタンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、MEDI6383である。
【0318】
上記のような併用療法には、抗TIGIT抗体と、1つ以上の薬剤(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト、OX40結合アゴニスト、1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体を減少させるかもしくは阻害する薬剤、及び/または追加の治療剤)とが、同じ製剤または別々の製剤に含まれる併用投与、ならびに、本発明の抗TIGIT抗体の投与が、1つ以上の薬剤(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト、OX40結合アゴニスト、1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体を減少させるかもしくは阻害する薬剤、及び/または追加の治療剤)の投与の前に、それと同時に、及び/またはそれに続いて行われ得る別々の投与が包含される。一実施形態において、抗TIGIT抗体の投与及び薬剤のうちの1つ以上の投与は、互いの約1か月以内、または約1週間、2週間、もしくは3週間以内、または約1日、2日、3日、4日、5日、もしくは6日以内に行われる。本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)は、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。
【0319】
本発明の抗TIGIT抗体(及び/または任意の追加の治療剤)は、非経口投与、肺内投与、及び鼻腔内投与、そして局所治療で所望される場合は病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または皮下投与が含まれる。いくつかの実施形態において、本抗体は、皮下投与によって投与される。いくつかの実施形態において、皮下注射により投与された抗TIGIT抗体は、患者において静脈内注射により投与された同じ抗TIGIT抗体よりも毒性の低い応答を呈する。投薬は、投与が短時間であるか慢性的であるかに部分的に応じて、任意の好適な経路によるもの、例えば、静脈内注射または皮下注射等の注射によるものであり得る。単回投与または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない、様々な投薬スケジュールが本明細書では想定される。
【0320】
本発明の抗TIGIT抗体は、適正な医療行為と一致する様式で製剤化、投薬、及び投与される。この文脈における検討要素としては、治療されている特定の障害、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジュール、及び医療従事者に知られる他の要素が挙げられる。抗体は、必ずしもそうである必要はないが、場合により、問題の障害を予防または治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤と共に製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療の種類、及び上記に詳解した他の要素に左右される。これらは概して、本明細書に記載されるものと同じ投薬量及び投与経路で使用されるか、または本明細書に記載される投薬量の約1~99%、または経験的/臨床的に適切と判定される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0321】
疾患の予防または治療に関し、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)の、単独で、または1つ以上の他の追加の薬剤(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト、OX40結合アゴニスト、1つ以上の追加の免疫共阻害性受容体を減少させるかもしくは阻害する薬剤、及び/または追加の治療剤)と組み合わせて使用される場合の適切な投薬量は、治療される疾患の種類、使用される抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的で投与されるか治療目的で投与されるか、以前の療法、患者の臨床歴及び抗体への応答、ならびに主治医の裁量に左右される。抗体は好適には、1回で、または一連の治療にわたって患者に投与される。
【0322】
一般的な提案として、ヒトに投与される抗TIGIT抗体の治療有効量は、1回の投与によるかそれ以上の投与によるかにかかわらず、患者の体重1kg当たり約0.01~約100mgの範囲である。いくつかの実施形態において、使用される抗体は、例えば、約0.01~約45mg/kg、約0.01~約40mg/kg、約0.01~約35mg/kg、約0.01~約30mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.01~約20mg/kg、約0.01~約15mg/kg、約0.01~約10mg/kg、約0.01~約5mg/kg、または約0.01~約1mg/kgであり、毎日投与される。一実施形態において、本明細書に記載される抗TIGIT抗体は、21日周期の1日目に、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、または約1400mgの用量でヒトに投与される。この用量は、単回用量または複数回用量(例えば2回用量または3回用量)で、注入等で投与され得る。状態に応じて数日間以上にわたる反復投与では、治療は概して、疾患症状の所望の抑制が生じるまで持続される。本抗体の例示的な投薬量の1つは、約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲である。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kgの1回以上の用量(またはそれらの任意の組み合わせ)が患者に投与され得る。このような用量は、例えば、毎週または3週間毎のように(例えば、約2~約20回、または例えば約6回の用量の抗TIGIT抗体を患者が受けるように)断続的に投与されてもよい。より高い初回負荷用量に続いて、より低い用量が1回以上投与されてもよい。この療法の進行は、従来の技法及びアッセイによって容易に監視される。
【0323】
いくつかの実施形態において、本方法は、追加の療法をさらに含んでもよい。追加の療法は、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、または前述のものの組み合わせであり得る。追加の療法は、アジュバント療法またはネオアジュバント療法の形態であってもよい。いくつかの実施形態において、追加の療法は、小分子酵素阻害剤または抗転移薬剤の投与である。いくつかの実施形態において、追加の療法は、副作用制限剤(例えば、治療の副作用の発生及び/または重症度の軽減を目的とする薬剤、例えば制嘔吐剤等)の投与である。いくつかの実施形態において、追加の療法は、放射線療法である。いくつかの実施形態において、追加の療法は、手術である。いくつかの実施形態において、追加の療法は、放射線療法と手術との組み合わせである。いくつかの実施形態において、追加の療法は、ガンマ照射である。いくつかの実施形態において、追加の療法は、上述の治療剤のうちの1つ以上の別々の投与であってもよい。
【0324】
IX.製品
本発明の別の態様では、上述の障害の治療、予防、及び/または診断に有用な材料を含む製品またはキットが提供される。本製品は、容器と、容器に接するまたは容器に関連付けられたラベルもしくは添付文書とを含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の多様な材料から形成され得る。容器は、それ自体で、または別の組成物と組み合わせて、状態の治療、予防、及び/または診断に有効である組成物を保持するものであり、滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、静注溶液バッグ、または皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。この組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本発明の抗TIGIT抗体である。ラベルまたは添付文書は、この組成物が、選ばれた状態を治療するために使用されることを示す。さらに、本製品は、(a)本発明の抗体を含む組成物が中に含まれる第1の容器、及び(b)さらなる細胞傷害剤または別様の治療剤を含む組成物が中に含まれる第2の容器を備えていてもよい。本発明のこの実施形態における製品は、組成物が特定の状態を治療するために使用され得ることを示す添付文書をさらに備えていてもよい。あるいは、またはさらに、本製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液等の薬学的に許容可能な緩衝液を含む、第2の(または第3の)容器をさらに備えていてもよい。他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、及びシリンジを含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0325】
一実施形態において、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)と、対象の癌を治療するためもしくは癌の進行を遅延させるため、または対象の免疫関連疾患を治療するためもしくは免疫関連疾患の進行を遅延させるために、抗TIGIT抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットが提供される。関連する実施形態では、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)と、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニスト)と、対象の癌を治療するためもしくは癌の進行を遅延させるため、または対象の免疫関連疾患を治療するためもしくは免疫関連疾患の進行を遅延させるために、抗TIGIT抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットを特色とする。関連する実施形態では、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)と、OX40結合アゴニスト(例えば、OX40アゴニスト抗体、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシン)と、対象の癌を治療するためもしくは癌の進行を遅延させるため、または対象の免疫関連疾患を治療するためもしくは免疫関連疾患の進行を遅延させるために、抗TIGIT抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットを特色とする。関連する実施形態では、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)と、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニスト)と、OX40結合アゴニスト(例えば、OX40アゴニスト抗体、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシン)と、対象の癌を治療するためもしくは癌の進行を遅延させるため、または対象の免疫関連疾患を治療するためもしくは免疫関連疾患の進行を遅延させるために、抗TIGIT抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットを特色とする。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、対象は、例えば、ヒトであり得る。本明細書に記載の抗TIGIT抗体、OX40結合アゴニスト、及びPD-1軸結合アンタゴニストのうちのいずれも本キットに含まれ得ることが、明確に想定される。
【0326】
なおも別の実施形態では、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)と、対象の免疫応答もしくは機能を増加、増強、または刺激するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットが提供される。関連する実施形態では、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)と、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニスト)と、対象の免疫応答もしくは機能を増加、増強、または刺激するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットを特色とする。関連する実施形態では、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)と、OX40結合アゴニスト(例えば、OX40アゴニスト抗体、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシン)と、対象の免疫応答もしくは機能を増加、増強、または刺激するために抗TIGIT抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットを特色とする。関連する実施形態では、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体(例えば、4.1D3またはその変異形、例えば、4.1D3.Q1E)と、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニスト)と、OX40結合アゴニスト(例えば、OX40アゴニスト抗体、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシン)と、対象の免疫応答もしくは機能を増加、増強、または刺激するために抗TIGIT抗体を使用するための指示書を含む添付文書と、を含む、キットを特色とする。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、対象は、例えば、ヒトであり得る。本明細書に記載の抗TIGIT抗体、OX40結合アゴニスト、及びPD-1軸結合アンタゴニストのうちのいずれも本キットに含まれ得ることが、明確に想定される。
【実施例0327】
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに理解され得るが、実施例は、例示として提供されるものであり、限定的であることを意図するものではない。
【0328】
実施例1.抗TIGIT抗体の生成
スプラーグドーリーラットまたはOMTトランスジェニックラット(Open Monoclonal Technology,Palo Alto,CA)のいずれかを、50μgのヒトTIGITタンパク質(Genentech,Inc.)及び50μgのカニクイザル(cyno)TIGITタンパク質(Genentech,Inc.)をフロイント完全アジュバント(BD,Franklin Lakes,NJ)と混合したものをまず皮下に投薬し、続いて、PBSで希釈した25μgのヒトTIGITタンパク質及び25μgのカニクイザルTIGITタンパク質を皮下及び腹腔内の複数部位に2週間毎に投薬することで共免疫した。
【0329】
最後の免疫化の3日後に複数のリンパ節を採取した。ラット非B細胞を標的とするビオチニル化抗体(BD;eBioscience,San Diego,CA)及びストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズ(Miltenyi,San Diego,CA)を用いたネガティブセレクションを使用し、これらのラットのB細胞を富化した。得られたB細胞集団を、P3X63-Ag8U.1マウス骨髄腫細胞(American Type Culture Collection、Rockville,MD)と、電気融合(Harvard Apparatus,Holliston,MA)によって融合させた。融合細胞を、培地C(StemCell Technologies,Vancouver,BC,Canada)において37℃、7% CO2で一晩インキュベートした後、抗ラットIgG-FITC(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)と共に半固体培地D(StemCell Technologies)に再懸濁させ、Omniwellトレイ(Thermo Fisher Scientific,Rochester,NY)に播種した。播種7日後に、蛍光コロニーを選択し、Clonepix FL(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して培地E(StemCell Technologies)を含む96ウェル培養プレート(BD)に移した。コロニー採集の7日後に、ELISAにより、ヒトTIGITタンパク質に対して上清をスクリーニングした。384ウェルプレート(Greiner Microlon,Greiner Bio-One,Monroe,NC)に、1μg/mlのタンパク質を0.05Mの炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)に希釈したものをコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。次に、0.5%のBSA及び0.5%のTween-20を含有する100μlのPBSを用い、ウェルを室温で1時間遮断した。洗浄後、上清及び/または血清を50μlで加え、室温で30分間振盪した。特異的抗体の検出のために、西洋ワサビペルオキシダーゼ複合抗ラットIgG抗体(Bethyl Laboratories,Montgomery,TX)を、0.5%のBSA及び0.5%のTween-20を含有するPBS中で最適化された濃度まで希釈し、洗浄後にウェル当たり50μlで加え、プレートを室温で30分間振盪した。0.05%のTween-20を含有する100μlのPBSでプレートを3回洗浄した。50μlのTMB基質(BioFX,Owings Mills,MD)を加え、プレートを室温で5分間インキュベートし、続いて50μlの停止液(BioFX)を加え、次に630nmで読み取った。ヒトTIGIT結合ハイブリドーマ細胞株を増殖させ2~4日間培養し、次にELISAにより、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT、及びマウスTIGITタンパク質(Genentech,Inc.)に対してスクリーニングした。ヒト及びカニクイザルの交差反応性細胞株から上清を採取し、タンパク質G(Protein G Sepharose 4 Fast Flow、GE Healthcare,Pittsburgh,PA)によって精製した。およそ500個のクローンをスクリーニングした。スクリーニングから、クローン4.1D3、7.4A3、及び4.1A4がOMTラットの免疫化から特定され、クローン1.6B2、1.10A5、1.7E7、及び1.15C8がスプラーグドーリーラットの免疫化から特定された。
【0330】
実施例2.抗TIGIT抗体の最適化
A.OMTラット由来抗TIGITヒトモノクローナル抗体の洗練(polishing)
クローン4.1A4、4.1D3、及び7.4A3(それぞれ、1A4、1D3、及び4A3とも称される)に関する不要なピログルタミン酸形成を防ぐため、またクローン4.1A4及び7.4A3に関する不対システイン残基の問題を解決するため、次の最適化された抗TIGIT抗体変異形を生成した:4.1A4.C96S.Q1E、4.1A4.C96Y.Q1E、4.1D3.Q1E、7.4A3.C96S.Q1E、及び7.4A3.C96Y.Q1E(それぞれ、1A4.C96S.Q1E、1A4.C96Y.Q1E、1D3.Q1E、4A3.C96S.Q1E、及び4A3.C96Y.Q1Eとも称される)。次に、以下の表2に記載されるように、これら5つの最適化された変異形のヒト及びカニクイザル(cyno)TIGITに対する親和性を表面プラズモン共鳴(SRP)(BIACORE(商標)分析)によって判定し、それらそれぞれの親クローンの親和性と比較した。
【0331】
簡潔に述べると、シリーズSのCM5バイオセンサチップを、供給元(GE Healthcare Biosciences,Piscataway,NJ)の指示に従い、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシサクシニミド(NHS)試薬で活性化させ、各フローセルでおよそ10,000応答単位(RU)を達成するためにヒト抗体捕捉キットを適用してヤギ抗ヒトFc IgGをカップリングさせ、続いて、1Mのエタノールアミンを用いて未反応基の遮断を行った。
【0332】
動態測定のために、およそ250RUを達成するように各クローンを捕捉し、TIGIT抗原の5倍段階希釈物(1.23nM~300nM)を、HBS-P緩衝液(0.01MのHEPES、pH7.4、0.15MのNaCl、0.005%の界面活性剤P20)に、25℃(流量:30μl/分)にて、注入間の再生なしで注入した。センサグラムを記録し、参照細胞シグナルの減算後にBIAcore(商標)T200 Evaluation Software(バージョン2.0)によって評価した。会合速度(k
on)及び解離速度(k
off)を、単純な1対1のラングミュア結合モデルを使用して計算した。平衡解離定数(K
D)を、k
off/k
onの比として計算した。
表2.ヒト及びカニクイザルTIGITに対するOMTラット由来の1A4、1D3、及び4A3抗体変異形のBIACORE(商標)親和性測定値
【0333】
クローン4.1A4.C96S.Q1E、7.4A3.C96S.Q1E、及び4.1D3.Q1Eは、親クローンとの比較により、ヒト及びカニクイザルの両方のTIGITに対して同様かつ許容可能な結合親和性を有する最終分子とみなされた。さらなるBIACORE(商標)分析により、特に4.1D3.Q1Eクローンが、低いナノモルの親和性でウサギTIGITと交差反応し、それに結合することができたことが明らかになった(表3)。
表3.4.1D3.Q1Eは、ヒト、カニクイザル、及びウサギのTIGITと交差反応することができる
【0334】
B.SDラット由来抗TIGITモノクローナル抗体のヒト化
モノクローナル抗体1.6B2、1.10A5、1.7E7、及び1.15C8(本明細書ではそれぞれ6B2、10A5、7E7、及び15C8と称される)を、以下に記載のようにヒト化した。残基番号は、Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest.5th Ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD (1991))によるものである。
【0335】
6B2抗体のヒト化では、ラット6B2(rat6B2)抗体の超可変領域を操作し、それに最も近いヒトアクセプターフレームワークに入れて、ヒト化6B2(h6B2.L1H1)を生成した。具体的には、rat6B2のVLドメインから、24~34位(L1)、50~56位(L2)、及び89~97位(L3)をヒト生殖系列IGKV1-33*01にグラフトした。rat6B2のVHドメインからは、26~35位(H1)、50~65位(H2)、及び95~102位(H3)をヒト生殖系列IGHV2-5*08にグラフトした。加えて、VLのフレームワークIIの43位及びVHのフレームワークIIIの69位、73位、78位を、h6B2.L1H1のラット配列から保持した。これらの残基は、CDR/HVR構造を調整し抗原の適合を微調整し得る、「Vernier」帯として働くフレームワーク残基の一部であることが見出された。例えば、Foote and Winter,J.Mol.Biol.224:487-499(1992)を参照されたい。これらのCDR/HVRの定義は、それらの配列超可変性(Wu,T.T.& Kabat,E.A.(1970))、それらの構造的位置(Chothia,C.& Lesk,A.M.(1987))、及び抗原-抗体接触におけるそれらの関与(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996))によって定義される位置を含む。
【0336】
Vernier帯におけるh6B2.L1H1の各ラット残基を操作してヒト生殖系列残基に戻すことによって、追加のヒト化6B2変異形を生成した。これらの変異形は、h6B2.L2H1(VL:S43A)、h6B2.L1H2(VH:V69I)、h6B2.L1H3(VH:A73T)、h6B2.L1H4(VH:A78V)、h6B2.L1H5(VH:V69I、A73T、A78V)、及びh6B2.L2H5(VL:S43A、VH:V69I、A73T、A78V;完全ヒト化バージョン)である。
【0337】
10A5抗体のヒト化では、ラット10A5(rat10A5)抗体の超可変領域を操作し、それに最も近いヒトアクセプターフレームワークに入れて、ヒト化10A5(h10A5.L1H1)を生成した。具体的には、rat10A5のVLドメインから、24~34位(L1)、50~56位(L2)、及び89~97位(L3)をヒト生殖系列IGKV3-15*01にグラフトした。rat10A5のVHドメインからは、26~35位(H1)、50~65位(H2)、及び95~102位(H3)をヒト生殖系列IGHV2-5*08にグラフトした。加えて、VLのフレームワークIIの43位及びフレームワークIIIの58位、ならびにVHのフレームワークIIIの69位及び78位を、h10A5.L1H1のラット配列から保持した。これらの残基は、上述の「Vernier」帯として働くフレームワーク残基の一部であることが見出された。
【0338】
Vernier帯におけるh10A5.L1H1の各ラット残基を操作してヒト生殖系列残基に戻すことによって、追加のヒト化10A5変異形を生成した。これらの変異形は、h10A5.L2H1(VL:S43A)、h10A5.L3H1(VL:V58I)、h10A5.L4H1(VL:S43A、V58I)、h10A5.L1H2(VH:V69I)、h10A5.L1H3(VH:A78V)、h10A5.L1H4(VH:V69I、A78V)、及びh10A5.L4H4(VL:S43A、V58I、VH:V69I、A78V;完全ヒト化バージョン)である。
【0339】
7E7抗体のヒト化では、ラット7E7(rat7E7)抗体の超可変領域を操作し、それに最も近いヒトアクセプターフレームワークに入れて、ヒト化7E7(h7E7.L1H1)を生成した。具体的には、rat7E7のVLドメインから、24~34位(L1)、50~56位(L2)、及び89~97位(L3)をヒト生殖系列IGKV1-9*01にグラフトした。rat7E7のVHドメインからは、26~35位(H1)、50~65位(H2)、及び95~102位(H3)をヒト生殖系列IGHV1-3*01にグラフトした。加えて、VLのフレームワークIIIの58位、71位、及び87位、VHのフレームワークIIの47位、48位、ならびにVHのフレームワークIIIの67位、69位、71位、91位、及び93位を、h7E7.L1H1のラット配列から保持した。これらの残基は、上述の「Vernier」帯として働くフレームワーク残基の一部であることが見出された。
【0340】
Vernier帯におけるh7E7.L1H1の各ラット残基を操作してヒト生殖系列残基に戻すことによって、追加のヒト化7E7変異形を生成した。これらの変異形は、h7E7.L2H1(VL:I58V)、h7E7.L3H1(VL:Y71F)、h7E7.L4H1(VL:F87Y)、h7E7.L5H1(VL:I58V、Y71F、F87Y)、h7E7.L1H2(VH:I47W)、h7E7.L1H3(VH:I48M)、h7E7.L1H4(VH:A67V)、h7E7.L1H5(VH:L69I)、h7E7.L1H6(VH:A71R)、h7E7.L1H7(VH:F91Y)、h7E7.L1H8(VH:T93A)、h7E7.L1H9(VH:I47W、I48M、A67V、L69I、A71R、F91Y、T93A)、及びh7E7.L5H9(VL:I58V、Y71F、F87Y、VH:I47W、I48M、A67V、L69I、A71R、F91Y、T93A;完全ヒト化バージョン)である。
【0341】
15C8抗体のヒト化では、ラット15C8(rat15C8)抗体の超可変領域を操作し、それに最も近いヒトアクセプターフレームワークに入れて、ヒト化15C8(h15C8.L1H1)を生成した。具体的には、rat15C8のVLドメインから、24~34位(L1)、50~56位(L2)、及び89~97位(L3)をヒト生殖系列IGKV1-9*01にグラフトした。rat15C8のVHドメインからは、26~35位(H1)、50~65位(H2)、及び95~102位(H3)をヒト生殖系列IGHV1-3*01にグラフトした。加えて、VLのフレームワークIIIの58位、71位、及び87位、VHのフレームワークIIの37位、47位、及び48位、ならびにVHのフレームワークIIIの67位、69位、71位、及び91位を、h15C8.L1H1のラット配列から保持した。これらの残基は、上述の「Vernier」帯として働くフレームワーク残基の一部であることが見出された。
【0342】
Vernier帯におけるh15C8.L1H1の各ラット残基を操作してヒト生殖系列残基に戻すことによって、追加のヒト化15C8変異形を生成した。これらの変異形は、h15C8.L2H1(VL:I58V)、h15C8.L3H1(VL:Y71F)、h15C8.L4H1(VL:F87Y)、h15C8.L5H1(VL:I58V、Y71F、F87Y)、h15C8.L1H2(VH:L37V)、h15C8.L1H3(VH:I47W)、h15C8.L1H4(VH:I48M)、h15C8.L1H5(VH:A67V)、h15C8.L1H6(VH:L69I)、h15C8.L1H7(VH:T71R)、h15C8.L1H8(VH:F91Y)、h15C8.L1H9(VH:L37V、I47W、I48M、A67V、L69I、T71R、F91Y)、及びh7E7.L5H9(VL:I58V、Y71F、F87Y、VH:L37V、I47W、I48M、A67V、L69I、T71R、F91Y;完全ヒト化バージョン)である。
【0343】
Vernier位置にラットCDR及びフレームワーク残基の両方を含む、第1のヒト化バージョンであるh6B2、L1H1、h10A5.L1H1、h7E7、L1H1、及びh15C8.L1H1、ならびにラットCDRのみを含む完全ヒト化バージョンであるh6B2.L2H5、h10A5.L4H4、h7E7.L5H9、及びh15C8.L5H9を、元のラット抗体であるrat6B2、rat10A5、rat7E7、及びrat15C8との比較により、BIAcore親和性測定に供した。単一サイクル動態による、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT、及びアラニンスキャニングしたヒトTIGIT変異体に対するTIGIT抗体の結合親和性の決定には、上述のBIACORE(商標)T200計器を用いた表面プラズモン共鳴(SRP)測定を使用した。以下の表4におけるBIACORE(商標)結果は、全てのヒト化変異形が、ヒト及びカニクイザルの両方のTIGITに対して約5~10倍の結合親和性の低下(すなわちKDの増加)を呈したことを示す。驚くべきことに、h6B2.L2H5及びh10A5.L4H4の完全ヒト化バージョンは、h6B2.L1H1及びh10A5.L1H1の第1のヒト化バージョンと同様の結合親和性を示し、Vernier位置におけるrat6B2及びrat10A5のフレームワーク残基がヒト及びカニクイザルTIGITの結合に寄与しないことを示唆している。したがって、h6B2.L2H5とh10A5.L4H4との両方が、それぞれ、rat6B2及びrat10A5の最終的なヒト化バージョンに相当する。対照的に、h7E7.L5H9及びh15C8.L5H9の完全ヒト化バージョンは、ヒト及びカニクイザルのTIGITに結合する能力を失った。
【0344】
第1のヒト化抗体h7E7、L1H1、及びh15C8.L1H1のVernier位置におけるどのラットフレームワーク残基が結合に不可欠であるかをさらに解明するために、全てのフレームワーク洗練変異形をBIAcore親和性測定に供した。7E7フレームワークの洗練では、VH:I47W置換を含むh7E7.L1H2、h7E7.L1H9、及びh7E7.L5H9の変異形は、ヒト及びカニクイザルTIGIT結合親和性の100倍を超える低下を示し、VL:Y71F置換を含むh7E7.L3H1及びh7E7.L5H1の変異形は、カニクイザルTIGIT結合親和性の約2~3倍の低下を示す。したがって、h7E7.L5aH9aと呼ばれる最終的な7E7ヒト化バージョンにおいて、VH:I47とVL:Y71との両方のラットフレームワーク残基が保たれ、ヒト及びカニクイザルTIGIT結合性を保持した。15C8フレームワークの洗練では、VH:I47W置換を含むh15C8.L1H3、h15C8.L1H9、及びh15C8.L5H9の変異形は、ヒト及びカニクイザルTIGIT結合親和性の100倍を超える低下を示し、VL:Y71F置換を含むh15C8.L3H1及びh15C8.L5H1の変異形は、ヒト及びカニクイザルTIGIT結合親和性の約2~3倍の低下を示す。他の変異形、すなわちh15C8.L1H2、h15C8.L1H5、及びh15C8.L1H7は、それぞれVH:L37V、A67V、及びT71R置換を含み、また、ヒトTIGIT結合親和性の約2~3倍の低下を示す。したがって、h15C8.L5aH9aと呼ばれる最終的な15C8ヒト化バージョンにおいて、VH:I47、L37、A67、T71、及びVL:Y71の5つ全てのラットフレームワーク残基が保たれ、ヒト及びカニクイザルTIGIT結合性を保持した。
表4.ヒト及びカニクイザルTIGITに対するヒト化SDラット由来の6B2、10A5、7E7、及び15C8抗体変異形のBIACORE(商標)親和性測定の概要
【0345】
実施例3.抗TIGIT抗体のインビトロでの結合及び遮断の研究
A.抗TIGIT抗体のインビトロ結合特性決定
OMT由来及びSD由来の抗TIGIT抗体がTIGITに結合し、TIGITへのポリオウイルス受容体(PVR)の結合を遮断する能力について、インビトロで特性決定した。ヒト及びカニクイザルTIGITに対する結合性を、一価親和性及び二価親和性の両方との関連で、上述のBIACORE(商標)分析によって試験し、マウス由来抗TIGIT抗体(1A5)及びキメラハムスター由来抗TIGIT抗体(10A7;例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国公開第2009/0258013号を参照されたい)と比較した。表5に示されるBIACORE(商標)分析結果は、多数のOMT由来抗TIGITクローン変異形、例えば4.1D3.Q1E及び7.4A3.C96S.Q1E、ならびにSD由来抗TIGITクローン変異形が、それぞれ高く同様の親和性でヒト及びカニクイザルの両方のTIGITに結合することができたことを示す。このような特性は、カニクイザル(Macaca fascicularis)を非臨床毒性学種として使用した簡易毒性試験を可能にするため、治療的な抗TIGIT抗体に望ましい。4.1D3.Q1Eクローンのウサギとのさらなる交差反応性は、追加の毒性学種を提供し得る。
表5.最適化されたOMT由来及びSD由来の抗TIGITクローンのBIACORE(商標)分析
【0346】
OMT由来及びSD由来の抗TIGIT抗体クローンの追加のインビトロ結合研究を実施した。OMT由来及びSD由来の抗TIGITクローンの、CHO細胞の表面で発現したヒト及びカニクイザルのTIGITに対する結合性について、FACS分析によって試験した。CHO細胞に、全長ヒトTIGIT(CHO-hTIGIT)またはカニクイザルTIGIT(CHO-cyTIGIT)をトランスフェクトした。TIGIT発現CHO細胞を指示された濃度で各抗TIGIT抗体と共にインキュベートし、次に、標準的な方法を使用し、FITC標識抗hIgG抗体(
図1Aを参照されたい)によって検出した。表6及び
図1B~1Eに示される結果は、上述のBIACORE(商標)分析結果を裏付ける。
【0347】
OMT由来及びSD由来の抗TIGITクローンの、ヒト初代T細胞に対する結合性についても、FACS分析によって試験した。参照により全体が本明細書に組み込まれるYu et al.Nature Immunology.10:48-57,2009に記載のように、プレート結合抗CD3(5μg/ml)及び可溶性抗CD28(2μg/ml)を用い、2日間にわたり、ヒトPBMCを活性化させた。次に、細胞を洗浄し、指示された濃度で各抗TIGIT抗体と共にインキュベートし、それからFITC標識抗hIgG抗体によって検出した。また、抗CD4、抗CD8、及び抗CD25(BD bioscience)で細胞を染色した。ヒトCD4+(CD25+CD4+)T細胞及びヒトCD8+(CD25+CD8+)T細胞の、抗TIGITクローンによる結合について、FACSによって評価した。試料は全て、LSR-IIまたはLSR-Fortessa計器(BD Biosciences)において取得し、FlowJoソフトウェア(Treestar)を使用して分析した。表6及び
図2A~2Dに記載のように、これらのクローンは、それらの標的TIGITに対しておよそ同等の結合を呈した。
表6.最適化されたOMT由来及びSD由来の抗TIGITクローンのCHO-TIGIT及びヒトT細胞結合の概要
【0348】
B.抗TIGIT抗体のインビトロ遮断特性決定
OMT由来及びSD由来の抗TIGIT抗体クローンがTIGIT-PVR及びTIGIT-CD226の相互作用を遮断する能力についても試験した。
【0349】
これらのクローンがTIGIT-PVR相互作用を遮断する能力を試験するために、遮断ELISAアッセイを使用した。簡潔に述べると、組換えヒトPVR-Fc融合タンパク質、カニクイザルPVR-Fc融合タンパク質、またはマウスPVR-Fc融合タンパク質を、リン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.0)中25μl/ウェルで4μg/mlにて、384ウェルのMaxisorpマイクロタイタープレート(NUNC、Denmark)にコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。次にこのコーティング溶液を処分し、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSを80μl/ウェルで使用してこのプレートを遮断し、穏やかに撹拌しながら1時間インキュベートした。12個の2.5倍段階希釈物(40000~1.7ng/mL)を使用し、抗TIGIT抗体及びFabアイソタイプ対照抗体の滴定曲線を、アッセイ緩衝液(PBS、0.5%のBSA、0.05%のTween 20)で希釈した。等体積のヒトTIGIT-AviFlag-ビオチン(1μg/mL)、カニクイザルTIGIT-AviFlag-ビオチン(150ng/mL)、またはマウスTIGIT-His(1μg/mL)のいずれかを、これらの滴定曲線に加え、穏やかに撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。この遮断したプレートを、ELx405自動マイクロタイタープレート洗浄機(BioTek Instruments,Vermont)により洗浄緩衝液(PBS、0.05%のTween 20、pH7.4)で3回洗浄し、抗体/リガンド-ビオチンまたはリガンド-His混合物を25μl/ウェルで加え、穏やかに撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。次にこのプレートを洗浄緩衝液で6回洗浄し、アッセイ緩衝液で希釈した25μl/ウェルの西洋ワサビペルオキシダーゼ複合ストレプトアビジン(1:10000、Amersham,UK)または西洋ワサビペルオキシダーゼ複合マウス抗His(1:2500、Qiagen,Germany)を加えることによって、結合したヒトTIGIT-AviFlag-ビオチン、カニクイザルTIGIT-AviFlag-ビオチン、またはマウスTIGIT-Hisを検出した。30分間または1時間のインキュベーション後、プレートを洗浄緩衝液で6回洗浄し、100μl/ウェルの3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)基質(KPL,Inc.,Gaithersburg,MD USA)を加えて顕色させた。1Mのリン酸の添加により、反応をクエンチした。MULTISKAN ASCENT(登録商標)マイクロタイタープレートリーダー(Thermo Labsystems,Helsinki,Finland)において、吸光度を450nmで読み取った。ELISAプレートから得られた光学密度値から適合曲線をプロットし、Genedata Screenerソフトウェア(Genedata,Switzerland)を使用してIC50を計算した。以下の
図3A~3Dに示されるように、これらのアッセイは、ヒトTIGIT及びカニクイザルTIGITに対する4.1D3.Q1Eの交差反応性及び遮断能力を実証し、これにより、4.1D3.Q1Eは、マウスTIGITと交差反応するがカニクイザルTIGITとは交差反応しないハムスター由来抗TIGIT抗体である10A7と区別される。このデータは、4.1D3.Q1Eが、カニクイザルPVRに対するカニクイザルTIGITの結合を強力に遮断することを示す。このデータはまた、4.1D3.Q1Eが、10A7ハムスター由来抗TIGIT抗体クローンよりも強力な、ヒトPVRに対するヒトTIGITの遮断剤であることを示す。
【0350】
これらの研究の妥当性を、TIGIT発現CHO細胞を抗TIGIT抗体またはヒトIgG1対照の存在下で標識したPVR-Fc融合タンパク質と共にインキュベートしたCHO-TIGIT PVR遮断実験(
図4A)において、さらに検証した。表7及び
図4B~4Eに示されるように、10μg/mlのOMT由来抗TIGIT抗体(
図4B及び4C)またはSD由来抗TIGIT抗体(
図4D及び4E)とのインキュベーションは、huTIGIT-huPVRとcyTIGIT-cyPVRとの両方に対するTIGIT-PVR結合の遮断をもたらし、IC50値はナノモル及びナノモル以下の範囲であった。
【0351】
これらのクローンがTIGIT-CD226相互作用を遮断する能力を試験するために、TR-FRET(時間分解蛍光共鳴エネルギー移動)を使用した。まず、非浸透性ドナー及びアクセプターフルオロフォアを有するヒトSNAPタグ付き(ST)CD226を発現させ、CHO細胞を使用して標識した。ヒトST-CD226を、OMT由来及びSD由来の抗TIGIT抗体クローンの存在下または非存在下で、HAタグ付きTIGITと共発現させた。試験したクローンの各々を細胞培養物に加えると、TIGIT及びCD226の会合能力が著しく低減した(表7)。これらのデータにより、特定された抗TIGIT抗体を用いた抗TIGIT処置がCD226とのTIGITの相互作用を限定し得ることが示唆され、これらの抗体がCD226活性のTIGIT媒介性抑制を解放し、その後のCD8
+T細胞疲弊を防止することによってT細胞活性を活性化させる能力に基づいて、これらの抗体が好ましい治療薬であり得ることが示された。
表7.最適化されたOMT由来及びSD由来の抗TIGITクローンのTIGIT-PVR遮断及びTIGIT-CD226遮断の概要
【0352】
実施例4.抗TIGIT抗体の薬物動態特性決定
次に、OMT由来及びSD由来の抗TIGIT抗体クローンの薬物動態(PK)特性を、N297G非グリコシル化(aglycosylation)変異(1A5 N297G)を有するマウス由来抗TIGIT抗体及び抗gD対照抗体と比較して、カニクイザルにおいて試験した。これらの実験では、抗体の血清濃度を、カニクイザルにおいて10mg/kgの静脈内投与後の28日の期間にわたって測定した。これらのPK研究により、SD由来h1.6B2変異形がおよそ20ml/日/kgで最速のクリアランスを呈したことが明らかになった(
図5A及び5B)。試験した1A5変異形も、およそ15ml/日/kgの速いクリアランスを呈した(
図5A及び5B)。これらの抗TIGIT変異形とは対照的に、試験したOMT変異形(4.1D3.Q1E、7.4A3.C96S.Q1E、及び4.1A4.C96S.Q1E)は、およそ8~10ml/日/kgのクリアランスを示した(
図5A及び5B)が、これは、カニクイザルで歴史的に許容されているおよそ4~8ml/日/kgの範囲の高い方にある。OMT変異形のPK特性は、標的媒介性の薬物動態(TMDD)及び/または抗治療薬抗体(ATA)作用が推定を複雑にしている(convolute)10日目まで対照抗gD抗体と同様であった。
【0353】
好ましいPK特性を呈したOMT由来抗TIGIT抗体4.1D3を、7日間のPK研究においてヒト化10A7(h10A7.K4G3)とも比較した。この実験では、8体の雌カニクイザルをサル4体の群2つにビニングし(binned)、第1の群にはh10A7.K4G3を与え、第2の群には4.1D3を与えた。両方の抗TIGIT抗体を、緩徐なボーラス静脈内注射によって10mg/kgの用量(5ml/kgの用量体積、2mg/mlの用量濃度)で投与した。次の収集枠に従い、投薬後0時間(投薬前)、0.25時間、2時間、8時間、1日目、3日目、及び7日目に血液試料(0.5ml)を収集した。
(ゲル血清分離管を使用)。血液を周囲温度に維持し、遠心分離前に少なくとも20分間凝固させた。収集の1時間以内に試料を遠心分離した(およそ1500~2000×g[力]でおよそ10~15分、2℃~8℃)。遠心分離の開始30分以内に血清を採取し、0.5mLの2Dバーコード付きねじ口試験管(Thermofisher Scientific目録番号3744または同等物)に移した。この血清試料に、動物番号、種、用量群、収集日、試料の種類(すなわち、PK-血清)、及び研究番号のラベルを付けた。次に、血清試料をh10A7.K4G3または4.1D3の濃度について分析した。
図5C及び5Dに示されるように、このPK研究により、h10A7.K4G3が4.1D3よりも速いクリアランス(より低いAUC)を呈したこと、また、h10A7.K4G3のクリアランス(>9ml/日/kg)がカニクイザルにおけるモノクローナル抗体セレクションに推奨されるよりも速いことが明らかになった。このクリアランス推定値は、0日目から7日目までのデータに基づき、NCAを使用してWinnonlinにより計算された。
【0354】
実施例5.抗TIGIT抗体の分子分析
分子評価(MA)分析において、OMT由来(4.1D3、7.4A3.C96S、及び4.1A4.C96S)ならびにSD由来(h1.6B2.L1H1、h1.10A5.L1H1、h1.7E7.L1H1、及びh1.15C8.L1H1)抗TIGIT抗体クローンの安定細胞株特性についても試験した。簡潔に述べると、フリーラジカルを生成することで知られる小分子であるAAPH(2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド)を用いた化学的条件下で、ならびに異なるpHにおける熱的条件下(pH5.5またはpH7.4のいずれかで40℃における2週間の熱ストレス試験)で、抗TIGIT抗体(1mg/ml)のストレスについて試験した。以下の表8及び9に示されるように、4.1A4.C96Sは、MA研究において許容不可能なメインピークの損失及び脱アミドの増加を示し、不安定であると決定された。同様に、h1.7E7.L1H1及びh1.15C8.L1H1は、高い初期脱アミド率(initial deamidation)(>30%)を示した。その一方で、抗TIGIT抗体4.1D3、7.4A3.C96S、h1.6B2.L1H1、及びh1.10A5.L1H1は、許容可能な安定性特性を有することがMA研究において見出された。
表8.OMT由来抗TIGIT抗体クローンのMA安定性の概要
表9-1.SD由来抗TIGIT抗体クローンのMA安定性の概要
表9-2.SD由来抗TIGIT抗体クローンのMA安定性の概要
【0355】
実施例6.構造的及び機能的なTIGITエピトープマッピング
特に、4.1D3抗TIGIT抗体及びその最適化された変異形(例えば、4.1D3.Q1E)が、薬物動態及び分子評価の特性を呈しながら、いかに例示的な交差反応性(例えば、ヒト、カニクイザル、及びウサギTIGIT間の交差反応性)、TIGITに対する高い親和性、ならびにTIGIT-PVR及びTIGIT-CD226相互作用/機能の堅実な遮断の能力を有するかをより良く理解するために、以下に詳細に記載するように、TIGITと複合した4.1D3の結晶構造を決定し、TIGITに結合したマウス由来抗TIGIT抗体1A5及びTIGITに結合したハムスター由来抗TIGIT抗体10A7の結晶構造と比較した。機能的エピトープ残基を特定するために、TIGIT界面のアラニンスキャニング変異誘発実験も行った。
【0356】
A.TIGIT及びFabの発現、精製、及び結晶化
説明されているように、ヒトTIGIT残基23~128を発現させ、精製した(例えば、Stengel et al.PNAS.109(14):5399-5404,2012を参照されたい)。説明されているように、重鎖及び軽鎖を含むFab断片を発現させ、精製した(例えば、Carter et al.Nat.Biotech.1992を参照されたい)。精製TIGITを過剰量の精製Fab断片と混合して、TIGIT/Fab複合体を生成した。次に、この複合体を、HEPES緩衝食塩水(10mMのHEPES(pH7.5)、及び100mMのNaCl)で平衡化したサイズ排除カラムでさらに精製して、TIGIT及びFabの1:1複合体のみを含有する試料を生成した。次に、TIGIT/Fab複合体の各々を結晶化のために濃縮し、高スループットの蒸気拡散結晶化スクリーニングの標準的技法に供した。TIGIT/10A7複合体については、試料をおよそ25mg/mLまで濃縮したところ、0.1MのHEPES(pH7.5)、20%のPEG 4000、及び10%のイソプロパノール中で結晶化することが見出された。TIGIT/1A5複合体については、試料をおよそ25mg/mLまで濃縮したところ、0.05MのHEPES(pH7.0)、12%のPEG3350、及び1%のトリプトン中で結晶化することが見出された。TIGIT/4.1D3複合体については、試料をおよそ25mg/mLまで濃縮したところ、0.1MのHEPES(pH7.5)、10%のPEG 6000、及び5%のMPD中で結晶化することが見出された。データ収集の標準的技法に従って、結晶をグリセロールで凍結保護し、液体窒素で急速冷凍した。
【0357】
B.データ収集及び構造解
標準的な方法に従い、Advanced Light Source(Berkeley,CA)またはAdvanced Photon Source(Argonne,IL)において様々なシンコトロン(synchotron)X線照射を使用して、100ケルビンの寒冷冷却(cryo cooled)条件下で、X線回折データを収集した。データ処理ソフトウェアXDS(Kabsch W.Acta Cryst.D.Biol.Crystl.66:125-132,2010)を使用して、回折像を処理及び縮小した。PHASERのプログラムを用い、分子置換技法を使用して、モデルを生成した。ヒトTIGITの構造(Stengel et al PNAS 2012)及びFab抗体モデル(Nakamura et al Cell Host Microbe 2013)を検索モデルとして使用した。これらの構造を、COOTのプログラムを使用した反復ラウンドのモデル調整、及びPhenix.refineプログラムまたはBUSTERプログラムを使用した精密化にかけた。許容可能なR値及びR free値ならびにラマチャンドラン統計値(Molprobityにより計算)までモデルを精密化した。データ処理及び精密化統計値は表10に見出すことができる。
表10.データ収集及び精密化統計値
【0358】
C.ヒトTIGITに結合した4.1D3の構造
TIGITと複合した4.1D3 Fabは、I4空間群で結晶化し、非対称ユニットに2つの複合体を含み、1.91Åまで回折した。非対称ユニット内の2つの個別の複合体のオーバーレイは、個別のコピー間の主鎖の位置付けの僅かな変化しか示さない。ヒトTIGITに結合した4.1D3の構造(
図6A)は、4.1D3がPVR結合(
図6B及び6C)に立体的に干渉することを示す。4.1D3とTIGITとの間の埋没した表面積は、およそ1630Å
2である。4.1D3軽鎖相互作用はTIGIT残基77~82の周囲に群集しており、CDR L1のTyr27dならびにCDR L3のTyr92、Ser93、Thr94、及びPhe96は、TIGIT残基Ile77、Pro79、Ser80、及びLys82に接触している。CDR L2は、TIGITと一切接触しない。4.1D3重鎖相互作用は主にCDR H2及びH3によって媒介され、TIGITとより広範な接触をなす。4.1D3のCDR H1のAsn32は、TIGITのLeu73と接触する。4.1D3のCDR H2のTyr52、Arg52b、Phe53、Lys54、Tyr56、及びAsp58は、TIGIT残基Thr55、Gln56、Asn58、Glu60、Asp63、Gln64、Leu65、Ile68、Asn70、Ser80、及びHis111と接触する。4.1D3のCDR H3残基Tyr99、Asp100、Leu100a Leu100b、及びAla100cは、TIGIT残基Leu65、Ala67、Ile68、Leu73、His76、Ile77、Ser78、Pro79、及びLys82と接触する。4.1D3は、非極性及び極性の相互作用の組み合わせを使用してTIGITと相互作用する。軽鎖残基CDR L3 Thr94は、TIGITのPro79及びSer80と極性接点を形成する。重鎖CDR H2残基Arg52b及びTyr56は、TIGIT残基Asn58及びGlu60と水素結合を形成する。重鎖CDR H3残基Leu100aは、TIGITのHis76と水素結合を形成する。重鎖CDR H2残基Lys54及びCDR H3残基Asp100は、それぞれ、TIGIT残基Glu60及びLys82と塩橋を形成する。
図6D及び6Eも参照されたい。
【0359】
4.1D3/TIGIT複合体の結晶構造に基づいて、4.1D3が接触しているTIGITの残基(すなわち、4.1D3が結合しているTIGITのエピトープ残基)、及びTIGITが接触している4.1D3の残基(すなわち、TIGITが接触している4.1D3のパラトープ残基)を決定した。以下の表11及び12は、ファンデルワールス(非極性)相互作用力が最も高い点である3.7Åの接点距離緊縮性(contact distance stringency)を使用して評価した場合の、TIGITの残基と、それらが接触する4.1D3の軽鎖または重鎖残基とを示す。
表11.TIGITのエピトープ残基及びそれらに対応する4.1D3の軽鎖のパラトープ残基
表12.TIGITのエピトープ残基及びそれらに対応する4.1D3の重鎖のパラトープ残基
【0360】
Gln53、Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、Asn70、Leu73、His76、His111、Tyr113、及びThr117についてTIGIT残基のアラニン変異を行い、ヒトTIGIT界面のアラニンスキャニングも行った。これらの変異体を、野生型と併せて、4.1D3 Fab断片への結合について試験した。この実験において、TIGIT残基Glu60、Leu65、及びIle68の変異は、4.1D3結合を10倍超低減させた(
図7A、7B、及び7E)。TIGIT残基Gln56、Asn70、Leu73、His111、及びTyr113の変異は、4.1D3結合を1~10倍低減させた(
図7A、7B、及び7E)。TIGITのGln53、His76、及びThr117の変異は、4.1D3結合に影響を及ぼさなかった(
図7A、7B、及び7E)。この分析は結晶構造分析と一致し、4.1D3結合に最も影響したTIGIT残基が構造内で4.1D3と相互作用することが見出された。
【0361】
D.ヒトTIGITに結合した1A5の構造
TIGITとの1A5 Fab複合体は、P1空間群で結晶化し、非対称ユニットに4つの複合体を含み、2.77Åまで回折した。非対称ユニット内の4つの個別の複合体のオーバーレイは、個別のコピー間の主鎖の位置付けの僅かな変化しか示さない。ヒトTIGITに結合した1A5の構造(
図8)は、1A5がPVR結合に立体的に干渉するが、1A5が結合するヒトTIGITのエピトープは4.1D3のもの(
図9)と同一ではないことを示す。1A5とTIGITとの間の埋没した表面積は、およそ1715Å
2である。TIGITとの1A5軽鎖相互作用は、残基109と119との間に主に群集しており、Glu60との接点が1つ周辺にある。1A5軽鎖CDR L1は、TIGIT残基Ile109、Thr117、及びThr119に接触する単一の接触残基Trp32を有する。1A5のCDR L2残基Lys50は、TIGITのGlu60に接触する。1A5のCDR L3残基Gly91、Gln92、Ser93、及びTyr94は、TIGIT残基Thr112、Tyr113、Pro114、Asp115、Gly116、及びThr117に接触する。10A7重鎖については、CDR H1残基Thr30及びAsp31は、TIGIT残基Leu73と接触する。10A7のCDR H2残基Tyr52、Val53、Ser54、Tyr58、及びTyr59は、TIGIT残基Gln53、Thr55、Asp72、Leu73、及びTyr113と接触する。10A7のCDR H3残基Phe97、Arg98、Pro100、及びTrp100aは、TIGIT残基Gln56、Asn58、Glu60、Asp63、Gln64、Leu65、Ile68、Leu73、His76、及びHis111と接触する。1A5とTIGITとの間の接触は、本質的に主に非極性であるが、2つの例外は、1A5のCDR H2残基Ser54とTIGIT残基Asp72との間の水素結合、及び1A5のCDR H3残基Arg98とTIGIT残基Glu60との間の塩橋である。
【0362】
1A5/TIGIT複合体の結晶構造に基づいて、1A5が接触しているTIGITの残基(すなわち、1A5が結合しているTIGITのエピトープ残基)、及びTIGITが接触している1A5の残基(すなわち、TIGITが接触している1A5のパラトープ残基)を決定した。以下の表13及び14は、ファンデルワールス(非極性)相互作用力が最も高い点である3.7Åの接点距離緊縮性を使用して評価した場合の、TIGITの残基と、それらが接触する1A5の軽鎖または重鎖残基とを示す。
表13.TIGITのエピトープ残基及びそれらに対応する1A5の軽鎖のパラトープ残基
表14.TIGITのエピトープ残基及びそれらに対応する1A5の重鎖のパラトープ残基
【0363】
Gln53、Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、Asn70、Leu73、His76、His111、Tyr113、及びThr117についてTIGIT残基のアラニン変異を行い、TIGIT界面のアラニンスキャニングも行った。これらの変異体を、野生型と併せて、1A5 Fab断片への結合について試験した。この実験において、TIGIT残基Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、及びTyr113の変異は、1A5結合を10倍超低減させた(
図7A、7B、及び7D)。TIGIT残基Leu73、His76、Asn70、His111、及びThr117の変異は、1A5結合を1~10倍低減させた(
図7A、7B、及び7D)。TIGIT Gln53の変異のみが、1A5結合に影響を及ぼさなかった(
図7A、7B、及び7D)。この分析は結晶構造分析と一致し、1A5結合に最も影響したTIGIT残基の多くが構造内で1A5と相互作用することが見出された。
【0364】
E.ヒトTIGITに結合した10A7の構造
10A7 Fab/TIGIT複合体は、P21空間群で結晶化し、非対称ユニットに2つの10A7/TIGIT複合体を含み、1.85Åまで回折した。2つの複合体のオーバーレイは、TIGIT及び10A7の両方の主鎖の位置付けの僅かな差異しか示さない。ヒトTIGITに結合した10A7の構造(
図10A)は、10A7がPVR結合に立体的に干渉するが(
図10B)、10A7が結合するヒトTIGITのエピトープは4.1D3または1A5のもの(
図9)と同一ではないことを示す。10A7とTIGITとの間の埋没した表面積は、およそ1420Å
2である。TIGIT接触残基はLeu65とIle77との間に群集し、TIGITのGln56及びPro87との10A7 CDRの接点が2つ周辺にある。軽鎖CDR L1は、6アミノ酸挿入を有し、残基Tyr27d、Gly27f、Val28、Lys29、及びLeu32を利用して、TIGIT残基Gln56、Leu65、Ile68、Asn70、Leu73、His76、Ser78、Ile77、及びPro79と接触する。CDR L2は、Tyr50及びIle53を介し、TIGITのHis76、Ile77、及びPro79と2つの接触しかなさない。CDR L3のGly91、Ile92、Asn93、及びAsn94は、TIGIT残基Asp72、Leu73、及びHis76と接触する。重鎖CDRについては、H1残基はTIGITと接触しない。CDR H2については、Phe50及びArg52は、Asn70、Ala71、Asp72、Leu73、及びGly74と接触する。CDR H3については、残基Arg95、Leu97、Gly98、His99、及びAsn100は、TIGIT残基Leu73、Gly74、Trp75、His76、Ile77、及びPro87と接触する。全体として、10A7軽鎖とTIGITとの相互作用は、本質的に主に疎水性であり、CDR L2のTyr50ヒドロキシル基とIle77の骨格カルボニルとの間に水素結合が1つあった。10A7重鎖については、Arg52とTIGITのAla71及びAsp72の骨格カルボニル基との間、ならびにArg95とGly74及びTrp75の骨格カルボニル基との間に、極性接点が見出された。
【0365】
10A7/TIGIT複合体の結晶構造に基づいて、10A7が接触しているTIGITの残基(すなわち、10A7が結合しているTIGITのエピトープ残基)、及びTIGITが接触している10A7の残基(すなわち、TIGITが接触している10A7のパラトープ残基)を決定した。以下の表15及び16は、ファンデルワールス(非極性)相互作用力が最も高い点である3.7Åの接点距離緊縮性を使用して評価した場合の、TIGITの残基と、それらが接触する10A7の軽鎖または重鎖残基とを示す。
表15.TIGITのエピトープ残基及びそれらに対応する10A7の軽鎖のパラトープ残基
表16.TIGITのエピトープ残基及びそれらに対応する10A7の重鎖のパラトープ残基
【0366】
Gln53、Gln56、Glu60、Leu65、Ile68、Asn70、Leu73、His76、His111、Tyr113、及びThr117についてTIGIT残基のアラニン変異を行い、TIGIT界面のアラニンスキャニングも行った。これらの変異体を、野生型と併せて、10A7 Fab断片への結合について試験した。この実験において、Leu73Ala変異及びHis76Ala変異のみが、10A7結合に10倍超の影響を及ぼした(
図7A~7C)。列記される他の残基の変異は、10A7結合に著しい影響を及ぼさなかった(
図7A~7C)。これは、10A7が結合したエピトープにLeu73及びHis76が直接見出された、TIGITに結合した10A7の結晶構造と密接に一致した。
【0367】
F.抗TIGIT抗体4.1D3、1A5、及び10A7は、特有のエピトープにおいてTIGITを認識する
上述の構造研究は、4.1D3、1A5、及び10A7の3つの抗TIGIT抗体が、特有のエピトープにおいてTIGITを認識することを実証し、このことは、それらの明確に異なる機能的特性及び特徴を説明し得る。以下の表17に示されるように、例えば、4.1D3は、1A5または10A7抗体のいずれも結合しない残基Ser78、Ser80、及びLys82においてTIGITに結合する。
図11は、TIGITの残基Ser78、Ser80、及びLys82には4.1D3が緊密に接触するが、1A5または10A7は接触しないことを示す、構造描写である。
表17.4.1D3、1A5、及び10A7抗TIGIT抗体の3.7Å以内のTIGITのエピトープ残基
【0368】
実施例7.免疫細胞におけるTIGIT、PD-1、及びCD226の発現の特性決定
次に、マルチカラーフローサイトメトリを使用し、多発性骨髄腫(MM)患者の骨髄標本由来のCD4+及びCD8+T細胞におけるTIGIT、PD-1、及びCD226の発現を特性決定した。細胞は、MM患者(n=10)から得た凍結骨髄から単離した。試験したMM患者のうちの2人からは、診断時と、寛解の際に再度試料を収集した。健常なドナーの凍結骨髄を対照(n=8)として使用した。これらの実験では、次の蛍光複合モノクローナル抗体:BV605(PD-1)、Alexa Fluor 488(FoxP3)、PE-DNAM-1(CD226)、PE-Cy7(CD45)、BUV737(CD8)、PerCP-eF710(CD4)、APC(TIGIT)、ブリリアントバイオレット421(NKp46)、ブリリアントバイオレット421(CD56)、ブリリアントバイオレット510(CD3)、ブリリアントバイオレット510(CD38)、PE-Cy7(CD319)、PE(CD19)、及びLIVE/DEAD FixableNear-IR Dead Cell Stain(Life Technologies,ThermoFisher)を用いて骨髄試料を染色した。
【0369】
TIGIT、PD-1、及びCD226は、健常な患者の末梢血から得られたCD4+及びCD8+T細胞と比較して、MM患者の骨髄から得られたCD4+及びCD8+T細胞において高度に発現することが示された(
図12)。MM患者の骨髄から得られたCD4+及びCD8+T細胞がTIGITとPD-1との両方を共発現することも決定された(
図13)。この発現パターンを所与として、本発明の抗TIGIT抗体は、単独療法として、またはPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト、例えば、抗PD-L1抗体、例えば、MPDL3280A(アテゾリズマブ))等の追加の治療剤との組み合わせにおいてのいずれにせよ、免疫関連疾患または癌(例えば、骨髄腫、例えば、MM)を有する患者の治療に有用である。
【0370】
他の実施形態
前述の発明が明確な理解のために例証及び例によって多少詳しく説明されているが、これらの説明及び例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。上述の概要を所与として、様々な他の実施形態が実施され得ることが理解される。本明細書で引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。