(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095671
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電子エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240703BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240703BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024039815
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2022531371の分割
【原出願日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】1917474.7
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ベニング, ジョセリン
(72)【発明者】
【氏名】リース, ケリー
(72)【発明者】
【氏名】アビ アウン, ワリド
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AD03
4B162AD15
4B162AD20
4B162AD23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスが開示される。
【解決手段】エアロゾル供給デバイス2は、エアロゾル生成材料がエアロゾル供給デバイス内に存在するときに、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱要素24を備える。加熱要素は、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、その表面は145mm
2以下の領域を画定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスであって、
前記エアロゾル生成材料が前記エアロゾル供給デバイス内に存在するときに、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱要素を備え、
前記加熱要素が、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、前記表面が145mm2以下の領域を画定する、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が10mm2以上の領域を画定する、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が、80~130mm2の領域を画定する、又はエネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が、35~80mm2の領域を画定する、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が40~75mm2の領域を画定する、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記加熱要素の前記表面が円形で3.6~12.9mmの直径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記加熱要素の前記表面が円形で7.1~9.8mmの直径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記加熱要素の前記表面が平面状である、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記加熱要素がコイルを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記加熱要素がサセプタを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
それぞれが、145mm2以下の領域を画定する表面を有する複数の加熱要素を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記複数の加熱要素の前記表面のそれぞれによって画定される前記領域が同じである、請求項10に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
20以下の加熱要素を備える、請求項10又は11に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記複数の加熱要素が互いに間隔を置いて配置され、隣り合う加熱要素の間の最短距離が1.5~5mmである、請求項10、11、又は12のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
前記加熱要素を160℃~350℃の温度に加熱するように構成された、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給システムであって、
エアロゾル生成材料と、
エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱要素とを備え、
前記加熱要素が、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、前記表面が145mm2以下の領域を画定する、エアロゾル供給システム。
【請求項16】
エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が10mm2以上の領域を画定する、請求項15に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が、80~130mm2の領域を画定する、請求項15又は16に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が30~80mm2の領域を画定する、請求項15、16、又は17のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項19】
エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が40~75mm2の領域を画定する、請求項15~18のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項20】
前記加熱要素の前記表面が円形で3.6~12.9mmの直径を有する、請求項15~19のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項21】
前記加熱要素の前記表面が円形で7.1~9.8mmの直径を有する、請求項15~20のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項22】
前記加熱要素の前記表面が平面状である、請求項15~21のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項23】
前記加熱要素がコイルを備える、請求項15~22のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項24】
前記加熱要素がサセプタを備える、請求項15~23のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項25】
それぞれが、145mm2以下の領域を画定する表面を有する複数の加熱要素を備える、請求項15~24のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項26】
前記複数の加熱要素の前記表面のそれぞれによって画定される前記領域が同じである、請求項25に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項27】
20以下の加熱要素を備える、請求項25又は26に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項28】
前記複数の加熱要素が互いに間隔を置いて配置され、隣り合う加熱要素の間の最短距離が1.5~5mmである、請求項25、26、又は27に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項29】
前記デバイスが、前記加熱要素を160℃~350℃の温度に加熱するように構成された、請求項15~28のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項30】
前記エアロゾル生成材料が、0.05~0.4mmの厚さを有するように構成された、請求項15~29のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項31】
前記エアロゾル生成材料が非晶質固体である、請求項15~30のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項32】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、
エアロゾル生成材料を加熱要素の近くに配置するステップと、
前記加熱要素を加熱して、前記エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるステップとを含み、
前記加熱要素が、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、前記表面が145mm2以下の領域を画定する、方法。
【請求項33】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスであって、
前記エアロゾル生成材料が前記エアロゾル供給デバイス内に存在するときに、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱手段を備え、
前記加熱手段が、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、前記表面が145mm2以下の領域を画定する、エアロゾル供給デバイス。
【請求項34】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスであって、
前記エアロゾル生成材料が前記エアロゾル供給デバイス内に存在するときに、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの第1の加熱要素と、
前記少なくとも1つの第1の加熱要素と隣り合うように配置された少なくとも1つの第2の加熱要素とを備え、
前記第1の加熱要素が、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された第1の表面を備え、
前記第2の加熱要素が第2の表面を備え、
前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも1つが145mm2以下の領域を画定する、エアロゾル供給デバイス。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本開示は、非燃焼性エアロゾル供給システムに関する。
【背景】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは一般に、典型的にはニコチンを含む配合物を含む原料液体のリザーバを含み、エアロゾルは、それから、例えば加熱気化によって生成される。したがって、エアロゾル供給システム用のエアロゾル供給源は、例えばウィッキング/毛細管作用によってリザーバから原料液体を受け取るように配置された加熱要素を有するヒーターを備えてもよい。使用者がデバイスで吸引する間、電力が加熱要素に供給されて、加熱要素の近くにある原料液体を気化して、使用者による吸引のためのエアロゾルを生成する。このようなデバイスは通常、システムの吸い口端部から離れたところに配置された1つ以上の空気入口穴を備える。使用者が、システムの吸い口端部に接続された吸い口で吸うと、空気は入口穴を通って引き込まれ、エアロゾル供給源を通過する。エアロゾル供給源と吸い口の開口との間を接続する流路があり、その結果、エアロゾル供給源を通過する空気は、エアロゾル供給源からエアロゾルの一部を運びながら、流路に沿って吸い口開口に引き込まれ続ける。エアロゾルを運ぶ空気は、使用者による吸引のための吸い口の開口を通ってエアロゾル供給システムを出る。
【0003】
他のエアロゾル供給デバイスは、タバコ又はタバコ派生物などの固体材料からエアロゾルを生成する。このようなデバイスは、上記の液体をベースにしたシステムとほぼ同様な態様で動作し、この場合、固体タバコ材料は、気化温度まで加熱されてエアロゾルを生成し、その後、使用者によって吸引される。
【0004】
材料を加熱してエアロゾルを生成するとき、いくつかの要因が、加熱の効率、及び使用者へのエアロゾルの送達の効率を決めることがある。
【0005】
これらの課題のいくつかに対処することを助けようとする様々な手法を説明する。
【概要】
【0006】
特定の実施形態の第1の態様によれば、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスが提供される。本デバイスは、エアロゾル生成材料がエアロゾル供給デバイス内に存在するときに、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱要素を備え、加熱要素は、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、その表面は130mm2又は145mm2以下の領域を画定する。
【0007】
特定の実施形態の第2の態様によれば、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給システムが提供される。本システムは、エアロゾル生成材料と、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱要素とを備え、加熱要素は、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、その表面は130mm2又は145mm2以下の領域を画定する。
【0008】
特定の実施形態の第3の態様によれば、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法が提供される。本方法は、エアロゾル生成材料を加熱要素の近くに配置するステップと、加熱要素を加熱して、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるステップとを含み、加熱要素は、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、その表面は130mm2又は145mm2以下の領域を画定する。
【0009】
特定の実施形態の第4の態様によれば、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスが提供される。本デバイスは、エアロゾル生成材料がエアロゾル供給デバイス内に存在するときに、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱手段を備え、加熱手段は、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、その表面は130mm2又は145mm2以下の領域を画定する。
【0010】
特定の実施形態の第5の態様によれば、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスが提供される。本デバイスは、エアロゾル生成材料がエアロゾル供給デバイス内に存在するときに、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの第1の加熱要素と、少なくとも1つの第1の加熱要素と隣り合うように配置された少なくとも1つの第2の加熱要素とを備え、第1の加熱要素は、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された第1の表面を備え、第2の加熱要素は第2の表面を備え、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも1つは130mm2又は145mm2以下の領域を画定する。
【0011】
本発明の第1及び他の態様に関して上で説明した本発明の特徴及び態様は、本発明の他の態様による本発明の実施形態に等しく適用可能であり、上記の特定の組合せに限らずそれらと適宜組み合わされてもよいことは認識されよう。
【0012】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル生成品を備えるエアロゾル供給システムの概略断面図であり、デバイスは、複数の加熱要素を備え、物品は、エアロゾル生成材料の複数の部分を備える。
【
図2A】
図1のエアロゾル生成品を異なる角度から見た図である。
【
図2B】
図1のエアロゾル生成品を異なる角度から見た図である。
【
図2C】
図1のエアロゾル生成品を異なる角度から見た図である。
【
図3】
図1のエアロゾル供給デバイスの加熱要素の断面上面図である。
【
図4】エアロゾル供給システムの様々な機能を動作させるための例示的な接触感知パネルの上面図である。
【
図5】エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル生成品を備えるエアロゾル供給システムの概略断面の例の図であり、デバイスは、複数の誘導作用コイルを備え、物品は、エアロゾル生成材料の複数の部分及びそれらに対応するサセプタ部分を備える。
【
図6A】
図5のエアロゾル供給品を異なる角度から見た図である。
【
図6B】
図5のエアロゾル供給品を異なる角度から見た図である。
【
図6C】
図5のエアロゾル供給品を異なる角度から見た図である。
【詳細な説明】
【0014】
本明細書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴を論じる/説明する。特定の例及び実施形態におけるいくつかの態様及び特徴は、従来から具現化されている場合もあり、それらについては、説明を簡略にするために、詳細を論じる/説明することはしない。したがって、詳細に説明しない、本明細書で論じる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を具現化するための任意の従来技術に従って具現化することができることは認識されよう。
【0015】
本開示は、「非燃焼性」エアロゾル供給システムに関する。「非燃焼性」エアロゾル供給システムとは、使用者へのエアロゾルの送達を促進するために、エアロゾル供給システムのエアロゾル化可能材料構成物(又はその成分)を燃焼させない、又は燃やさないシステムである。さらに、当該技術分野では一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化する」、「揮発させる」、及び「エアロゾル化する」等の関連の用語は概ね互換的に使用することができる。
【0016】
いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、ベイピング(vaping)デバイス又は電子ニコチン送達システム(END:electronic nicotine delivery system)としても知られている電子タバコであるが、エアロゾル化可能材料内にニコチンが存在することは必要条件ではないことに留意されたい。以下の説明全体を通して、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語が使用されることがあるが、この用語は、エアロゾル(蒸気)供給システムと交換可能に使用することができる。
【0017】
典型的には、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品(消耗品と呼ばれることもある)とを備えてもよい。しかしながら、それ自体がエアロゾル生成構成要素にパワーを与えるための手段を備える物品は、それ自体、非燃焼性エアロゾル供給システムを形成することができると考えられる。
【0018】
この物品は、その一部又は全部が、使用者の使用中に消費されることが意図される。この物品は、エアロゾル生成材料とも呼ばれるエアロゾル化可能材料を含んでもよいし、エアロゾル化可能材料のみからなってもよい。物品は、フィルター又はエアロゾル改質物質(例えば、エアロゾル改質物質の中若しくは上を通るエアロゾルに香味を加える、又はその他特性を変えるための成分)などの1つ以上の他の要素を含んでもよい。
【0019】
非燃焼性エアロゾル供給システムは、いつもというわけではないが、再使用可能なエアロゾル供給デバイス及び交換可能な物品の両方を含むモジュール式アセンブリを備えることが多い。いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、パワー源及び制御器(又は制御回路)を備えてもよい。パワー源は、例えば、バッテリー又は再充電可能なバッテリーなどの電源であってもよい。いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスはまた、エアロゾル生成構成要素を備えてもよい。しかしながら、他の実施様態では、物品が、エアロゾル生成構成要素を部分的に又は完全に備えてもよい。
【0020】
いくつかの実施様態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ以上の揮発成分を放出させてエアロゾルを形成するようにエアロゾル化可能材料と相互作用することができるヒーターである。ヒーター(又は加熱要素)は、例えば、1つ以上のニクロム抵抗ヒーター(複数可)及び/又は1つ以上のセラミックヒーター(複数可)を含む1つ以上の電気抵抗ヒーターを備えてもよい。1つ以上のヒーターは、使用時に、エアロゾル化可能材料を備える物品が挿入又はその他配置されるチャンバを形成することができる1つ以上のサセプタを備える構成体を含む1つ以上の誘導ヒーターを備えてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、1つ以上のサセプタは、エアロゾル化可能材料に備えられてもよい。他のヒーター構成体も使用されてもよい。
【0021】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、一般的にエアロゾル化可能材料を備える。本明細書ではエアロゾル生成材料とも呼ばれることがあるエアロゾル化可能材料は、例えば、加熱される、照射される、又は任意の他の方法でエネルギーを加えられると、エアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル化可能材料は、例えば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、それはニコチン及び/又は香味料を含んでもよいし含まなくてもよい。
【0022】
以下の開示では、エアロゾル化可能材料は、代替的に「モノリシック固体」(すなわち、非繊維状)と呼ばれることがある「非晶質固体」を含むものとして説明される。いくつかの実施様態では、非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その中に液体などの何らかの流体を保持することができる固体材料である。いくつかの実施様態では、エアロゾル化可能材料は、例えば、約50重量%、60重量%、又は70重量%から約90重量%、95重量%、又は100重量%までの非晶質固体を含んでもよい。しかしながら、本開示の原理は、タバコ、再生タバコ、eリキッド等の液体などの他のエアロゾル化可能材料に適用することができることを認識すべきである。
【0023】
必要に応じて、エアロゾル化可能材料又は非晶質固体は、活性成分、キャリア成分、香料、及び1つ以上の他の機能成分のうちの任意の1つ以上を含んでもよい。
【0024】
本明細書で使用されるとき、活性成分は、生理学的反応を達成又は強化するように意図された材料である生理学的活性材料であってもよい。活性成分は、例えば、栄養補助食品、向知性薬、及び向精神薬から選択されてもよい。活性成分は、天然に存在するものでも、又は合成して得られるものでもよい。活性成分は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、ビタミン(B6又はB12又はCなど)、メラトニン、カンナビノイド、又はそれらの成分、誘導体、若しくは組合せを含んでもよい。活性成分は、タバコ、大麻、又は別の植物性材料の1つ以上の成分、誘導体、又は抽出物を含んでもよい。本明細書で説明するように、活性成分は、1つ以上のカンナビノイド又はテルペンなどの大麻の1つ以上の成分、誘導体、又は抽出物を含んでもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、活性成分はニコチンを含む。いくつかの実施形態では、活性成分は、カフェイン、メラトニン、又はビタミンB12を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD:cannabidiol)、テトラヒドロカンナビノール(THC:tetrahydrocannabinol)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA:tetrahydrocannabinolic acid)、カンナビジオール酸(CBDA:cannabidiolic acid)、カンナビノール(CBN:cannabinol)、カンナビゲロール(CBG:cannabigerol)、カンナビクロメン(CBC:cannabichromene)、カンナビシクロール(CBL:cannabicyclol)、カンナビバリン(CBV:cannabivarin)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV:tetrahydrocannabivarin)、カンナビジバリン(CBDV:cannabidivarin)、カンナビクロムバリン(CBCV:cannabichromevarin)、カンナビゲロバリン(CBGV:cannabigerovarin)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM:cannabigerol monomethyl ether)、及びカンナビエルソイン(CBE:cannabielsoin)、カンナビシトラン(CBT:cannabicitran)からなる群から選択された1つ以上のカンナビノイド化合物を含む。エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)からなる群から選択された1つ以上のカンナビノイド化合物を含んでもよい。エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)を含んでもよい。エアロゾル生成材料は、ニコチン及びカンナビジオール(CBD)を含んでもよい。
【0027】
本明細書で説明するように、活性成分は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含んでもよい、或いはそれらに由来してもよい。本明細書で使用されるとき、「植物性材料」という用語は、限定するものではないが、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種子、花、果実、花粉、殻、皮などを含む、植物に由来した任意の材料を含む。これに代えて、この材料は、植物性材料中に天然に存在する、又は合成により得られる活性化合物を含んでもよい。この材料は、液体、気体、固体、粉末、粉塵、破砕粒子、顆粒、ペレット、断片、細片、シートなどの形態であってもよい。植物性材料の例は、タバコ、ユーカリノキ、スターアニス、麻、カカオ、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、甘草、抹茶、マテ、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、茶(緑茶又は紅茶など)、タイム、クローブ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ジュニパー、ニワトコの花、バニラ、ウィンターグリーン、シソ、ウコン、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、マルベリー、チョウセンニンジン、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ、又はそれらの任意の組合せである。ミントは、以下のミント品種、すなわち、ヨウシュハッカ(Mentha Arventis)、グレープフルーツミント(Mentha c.v.)、エジプシャンミント(Mentha niliaca)、ペパーミント(Mentha piperita)、ライムミント(Mentha piperita citrata c.v.)、チョコレートミント(Mentha piperita c.v.)、カーリーミント(Mentha spicata crispa)、ワイルドミント(Mentha cardifolia)、ホースミント(Mentha longifolia)、パイナップルミント(Mentha suaveolens variegata)、ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)、イングリッシュスペアミント(Mentha spicata c.v.)、及びアップルミント(Mentha suaveolens)から選択されてもよい。
いくつかの実施形態では、活性成分は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性材料はタバコである。
【0028】
いくつかの実施形態では、活性成分は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性物質は、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、及び麻から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、活性成分は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性材料は、ルイボス及びウイキョウから選択される。
【0030】
いくつかの実施様態では、エアロゾル化可能材料は香料(又は香味料)を含む。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「香料」及び「香味料」という用語は、成人消費者用の製品において、現地の規制によって許可される場合に、所望の味、香り、又は他の体性感覚を作り出すために使用することができる材料を指す。それらは、天然に存在する香味材料、植物性材料、植物性材料の抽出物、合成して得られる材料、又はそれらの組合せ(例えば、タバコ、大麻、甘草、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メープル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インディアンスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンティン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、マルベリー、柑橘類、ドランブイ(Drambuie)、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、カート(khat)、ナスワール(naswar)、キンマ(betel)、シーシャ(shisha)、パイン、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピーマン、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、麻、ミント属の任意の品種から得られるミント油、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、マテ、オレンジの皮、バラ、茶(緑茶又は紅茶など)、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シソ、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤、若しくは刺激剤、糖類及び/若しくは代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性材料、又は息清涼剤を含んでもよい。それらは、模造成分、合成成分、若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、液体(油など)、固体(粉末など)、又は気体であってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、香料は、メンソール、スペアミント、及び/又はペパーミントを含む。いくつかの実施形態では、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類、及び/又はレッドベリーの香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香料はオイゲノールを含む。いくつかの実施形態では、香料は、タバコから抽出された香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香料は、大麻から抽出された香味成分を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、香料は、嗅神経又は味覚神経に加えて、又はその代わりに、第5脳神経(三叉神経)を刺激することによって通常化学的に誘起され、知覚される体性感覚を達成することを目的とした感覚剤を含んでもよく、これらは、加熱効果、冷却効果、ひりつき効果、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。適切な熱効果剤は、限定されるものではないが、バニリルエチルエーテルであってもよく、適切な冷却剤は、限定されるものではないが、ユーカリプトール、WS-3であってもよい。
【0034】
キャリア成分は、エアロゾルを形成することができる1つ以上の成分(例えば、エアロゾル形成剤)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、キャリア成分は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1、3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成剤は、1つ以上の多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、及びグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、又はグリセロールトリアセテートなど)、及び/又はモノカルボン酸、ジカルボン酸、若しくはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル及びテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。
【0035】
1つ以上の他の機能成分は、pH調整剤、着色剤、保存剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0036】
エアロゾル化可能材料は、キャリア支持体(又はキャリア構成要素)上に、又はその中に存在して基体を形成してもよい。キャリア支持体は、例えば、紙、カード、段ボール、厚紙、再生エアロゾル化可能材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、若しくは合金であってもよい、又はそれらを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、又はエアロゾル化可能材料を受け入れるための領域を備えてもよい。いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は吸い口を備えてもよい、又は、これに代えて、非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、物品と連通する吸い口を備えてもよい。エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル化可能材料を収納するための収納領域であってもよい。例えば、この収納領域はリザーバであってもよい。
【0038】
図1は、本開示の特定の実施形態によるエアロゾル供給システム1の概略断面図である。エアロゾル供給システム1は、2つの主要な構成要素、すなわちエアロゾル供給デバイス2及びエアロゾル生成品4を備える。
【0039】
エアロゾル供給デバイス2は、外側ハウジング21、電源22、制御回路23、複数のエアロゾル生成構成要素24、受け部25、吸引又は吸い口端部26、空気入口27、空気出口28、接触感知パネル29、吸引センサ30、及び表示器、例えば、使用終了表示器31を備える。
【0040】
外側ハウジング21は、任意の適切な材料、例えばプラスチック材料から形成されてもよい。外側ハウジング21は、外側ハウジング21内に電源22、制御回路23、エアロゾル生成構成要素24、受け部25、及び吸引センサ30が配置されるように構成される。外側ハウジング21はまた、以下でより詳細に説明する空気入口27及び空気出口28を画定する。接触感知パネル29及び使用終了表示器は、外側ハウジング21の外側に配置される。
【0041】
外側ハウジング21は、吸引又は吸い口端部26をさらに含んでもよい。外側ハウジング21及び吸い口端部26は、単一の構成要素として形成されてもよい(すなわち、吸い口端部26は外側ハウジング21の一部を形成してもよい)。吸引又は吸い口端部26は、空気出口28を含む外側ハウジング21の領域として画定され、使用者が吸い口端部26の周りに唇を快適に置いて空気出口28と係合することができるような形状であってもよい。
図1では、外側ハウジング21の厚さは、空気出口28に向かって薄くなって、使用者の唇によってより容易に収めることができるデバイス2の相対的に薄い部分を提供する。しかしながら、他の実施様態では、吸い口端部26は、外側ハウジング21とは別個のものであるが外側ハウジング21に結合することができる取外し可能な構成要素であってもよく、それは、洗浄及び/又は別の吸い口端部26との交換のために取り外すことができる。吸い口端部26は、例えば、エアロゾル供給品4の一部として形成されてもよい。
【0042】
電源22は、エアロゾル供給デバイス2に動作電力を供給するように構成される。電源22は、バッテリーなどの任意の適切な電源であってもよい。例えば、電源22は、リチウムイオン電池などの再充電可能なバッテリーを備えてもよい。電源22は、取外し可能であってもよいし、エアロゾル供給デバイス2の一体化した部分を形成してもよい。いくつかの実施様態では、電源22は、USBポート(図示せず)などの関連する接続ポートを介して、又は適切な無線レシーバ(図示せず)を介して、デバイス2を外部電源(主電源など)と接続することによって再充電されてもよい。
【0043】
制御回路23は、エアロゾル供給デバイスの動作を制御してエアロゾル供給デバイス2の特定の動作機能を提供するように適切に構成/プログラムされる。制御回路23は、エアロゾル供給デバイスの動作の様々な態様に関連する様々なサブユニット/回路要素を論理的に備えるように考慮されてもよい。例えば、制御回路23は、電源22の再充電を制御するための論理サブユニットを備えてもよい。これに加えて、制御回路23は、例えば、デバイス2から、又はデバイス2へのデータ転送を容易にするために通信用の論理サブユニットを備えてもよい。しかしながら、制御回路23の主要な機能は、以下でより詳細に説明するように、エアロゾル生成材料のエアロゾル化を制御することである。制御回路23の機能は、例えば、所望の機能を提供するように構成された、1つ以上の適切にプログラムされたプログラム可能なコンピュータ(複数可)、及び/又は、1つ以上の適切に構成された特定用途向け集積回路(複数可)/回路/チップ(複数可)/チップセット(複数可)を使用して、様々な異なる方法で提供することができることは認識されよう。制御回路23は、電源23に接続され、電源22から電力を受け取り、エアロゾル供給デバイス2の他の構成要素への電源供給を分配又は制御するように構成されてもよい。
【0044】
説明されている実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、エアロゾル生成品4を受け入れるように配置された受け部25をさらに備える。
【0045】
エアロゾル生成品4は、キャリア構成要素42及びエアロゾル生成材料44を備える。エアロゾル生成品4は、
図2A~
図2Cにさらに詳細に示される。
図2Aは、物品4の上面図であり、
図2Bは、物品4の長手方向(長さ)軸線に沿った端面図であり、
図2Cは、物品4の幅方向軸線に沿った側面図である。
【0046】
物品4は、この実施様態ではカードで形成されたキャリア構成要素42を備える。キャリア構成要素42は物品4の大部分を形成し、エアロゾル生成材料44が配置される基部として機能する。
【0047】
キャリア構成要素42は、
図2A~
図2Cに示すように、長さl、幅w、及び厚さt
cを有するほぼ立方体の形状である。具体的な例として、キャリア構成要素42の長さは30~80mmであってもよく、幅は7~25mmであってもよく、厚さは0.2~1mmであってもよい。しかしながら、上記はキャリア構成要素42の例示的な寸法であり、他の実施様態では、キャリア構成要素42は、必要に応じて、異なる寸法を有してもよいことを認識すべきである。いくつかの実施様態では、キャリア構成要素42は、使用者による物品4の取り扱いを容易にするのを助けるために、キャリア構成要素42の長さ方向及び/又は幅方向に延在する1つ以上の突起を備えてもよい。
【0048】
図1及び
図2に示す例では、物品4は、キャリア構成要素42の表面に配置されたエアロゾル生成材料44の複数の個別部分を備える。より詳細には、物品4は、2×3の配列に配置された、44a~44fと符号が付けられたエアロゾル生成材料44の6つの個別部分を備える。しかしながら、他の実施様態では、これより多い若しくは少ない数の個別部分が設けられてもよく、及び/又は、これらの部分は異なる配列(例えば、1×6の配列)に配置されてもよいことを認識すべきである。図示の例では、エアロゾル生成材料44は、構成要素キャリア42の単一の表面上の離散的な別々の位置に配置される。エアロゾル生成材料44の個別部分は、円形のフットプリントを有するように示されているが、エアロゾル生成材料44の個別部分は、必要に応じて、正方形、三角形、六角形、又は長方形などの任意の他のフットプリントを採り得ることを認識すべきである。エアロゾル生成材料44の個別部分は、
図2A~
図2Cに示すように、直径d及び厚さt
aを有する。厚さt
aは、任意の適切な値を採ってもよく、例えば、厚さt
aは、50μm~1.5mmの範囲にあってもよい。いくつかの実施形態では、厚さt
aは、約50μm~約200μm、又は約50μm~約100μm、又は約60μm~約90μmであり、約77μmが適切である。他の実施形態では、厚さt
aは、200μmより厚くてもよく、例えば、約50μm~約400μm、又は~約1mm、又は~約1.5mmであってもよい。
【0049】
エアロゾル生成材料44の個別部分は、個別部分のそれぞれが個別に/選択的にエネルギーを与えられて(例えば、加熱されて)エアロゾルを生成することができるように互いから離れている。いくつかの実施様態では、エアロゾル生成材44のこれらの部分は20mg以下の質量を有してもよく、その結果、所与のエアロゾル生成品24によって、任意の1回でエアロゾル化される材料の量は比較的少ない。例えば、1つの部分の質量は、20mg以下、又は10mg以下、又は5mg以下であってもよい。もちろん、物品4の全質量は20mgより重くてもよいことは認識すべきである。
【0050】
説明されている実施様態では、エアロゾル生成材料44は非晶質固体である。一般に、エアロゾル生成材料又は非晶質固体は、ゲル化剤(結合剤と呼ばれることもある)及びエアロゾル生成剤(例えば、グリセロールを含む場合がある)を含んでもよい。ゲル化剤は、セルロース系ゲル化剤、非セルロース系ゲル化剤、グアーガム、アカシアガム、及びそれらの混合物から選択された1つ以上の化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、セルロース系ゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC:carboxymethylcellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:hydroxypropyl methylcellulose)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート(CA:cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(CAB:cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP:cellulose acetate propionate)、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、又はアカシアゴムのうちの1つ以上を含む(又は、それらのうちの1つ以上である)。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、限定するものではないが、寒天、キサンタンゴム、アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、カラギーナン、デンプン、アルギン酸塩、及びそれらの組合せを含む1つ以上の非セルロース系ゲル化剤を含む(又は、それらの非セルロース系ゲル化剤である)。好ましい実施形態では、非セルロース系ゲル化剤はアルギン酸塩又は寒天である。
【0051】
ゲル化剤は、硬化剤(例えば、カルシウム源)をさらに含んでもよい。特定の実施様態では、硬化剤は、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、又はこれらの組合せを含む、又はそれらのみからなる。特定の実施様態では、硬化剤は、ギ酸カルシウム及び/又は乳酸カルシウムを含む、又はそれらのみからなる。特定の例では、硬化剤は、ギ酸カルシウムを含む、又はそれのみからなる。本発明者らは、典型的には、ギ酸カルシウムを硬化剤として用いた結果、非晶質固体の引張強度が高くなり、伸びに対する抵抗が大きくなったことを確認した。
エアロゾル生成材料又は非晶質固体は、活性物質(タバコ抽出物を含んでもよい)、香味料、酸、及び充填剤のうちの1つ以上を含んでもよい。所望により他の成分も存在してもよい。特定の実施形態では、エアロゾル生成材料又は非晶質固体は、セルロース系ゲル化剤及び/又は非セルロース系ゲル化剤を含むゲル化剤、活性物質、並びに酸を含む。
酸は有機酸であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、酸は、一塩基酸、二塩基酸、及び三塩基酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、少なくとも1つのカルボキシル官能基を含んでもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、α-ヒドロキシ酸、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、及びケト酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸はα-ケト酸であってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、コハク酸、乳酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、レブリン酸、酢酸、リンゴ酸、ギ酸、ソルビン酸、安息香酸、プロパン酸、及びピルビン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。酸は乳酸であることが好適である。他の実施形態では、酸は安息香酸である。他の実施形態では、酸は無機酸であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、酸は鉱酸であってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、硫酸、塩酸、ホウ酸、及びリン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかの実施形態では、酸はレブリン酸である。酸を含むことは、エアロゾル生成材料がニコチンを含む実施形態では特に好ましい。このような実施形態では、酸の存在は、エアロゾル生成材料が形成されるスラリー中の溶存種を安定化させることができる。酸の存在は、スラリーの乾燥中のニコチンの蒸発を低減、又は実質的に防止することができ、以て、製造中のニコチンの損失を低減することができる。
【0052】
非晶質固体は着色剤を含んでもよい。着色剤を加えると、非晶質固体の外観を変えることができる。非晶質固体に着色剤が存在すると、非晶質固体及びエアロゾル生成材料の外観を向上させることができる。非晶質固体に着色剤を加えることによって、非晶質固体は、エアロゾル生成材料の他の成分又は非晶質固体を含む物品の他の成分の色に合わせることができる。
【0053】
様々な着色剤が、非晶質固体の所望の色に応じて使用されてもよい。非晶質固体の色は、例えば、白、緑、赤、紫、青、茶、又は黒とすることができる。他の色もまた考えられる。天然又は合成染料、食品用着色剤、及び医薬品用着色剤などの天然又は合成の着色剤が使用されてもよい。特定の実施形態では、着色剤はカラメルであり、これは非晶質固体に茶色の外観を与えることができる。このような実施形態では、非晶質固体の色は、非晶質固体を含むエアロゾル生成材料中の他の成分(タバコ材料など)の色に類似していてもよい。いくつかの実施形態では、非晶質固体に着色剤を加えると、エアロゾル生成材料中の他の成分と視覚的に区別できなくなる。
【0054】
着色剤は、非晶質固体の形成中に(例えば、非晶質固体を形成する材料を含むスラリーを形成するときに)組み込まれてもよいし、その形成後に(例えば、非晶質固体に噴霧することによって)非晶質固体に塗布されてもよい。
【0055】
非晶質固体エアロゾル化可能材料は、いくつかの電子エアロゾル供給デバイスに一般的に見られる他のタイプのエアロゾル化可能材料を超えるいくつかの利点を提供する。例えば、液体のエアロゾル化可能材料をエアロゾル化する電子エアロゾル供給デバイスと比較すると、非晶質固体が収納されている場所から漏れる、又はその他流れる可能性は大幅に低減される。このことは、これらの構成要素が必ずしも同じ液密シールなどを使用する必要がないため、エアロゾル供給デバイス又は物品をより安価に製造することができることを意味する。
【0056】
固体エアロゾル化可能材料、例えばタバコをエアロゾル化する電子エアロゾル供給デバイスと比較すると、比較的小さな質量の非晶質固体材料をエアロゾル化して同等の量のエアロゾルを生成する(又はエアロゾル中に同等の量の成分、例えばニコチンを提供する)ことができる。これは、非晶質固体を、他の固体エアロゾル化可能材料(例えば、タバコ中のセルロース系材料)に見出されることがある不適切な成分を含まないように調整することができるという事実に部分的による。例えば、いくつかの実施様態では、非晶質固体の1つの部分あたりの質量は、20mg以下、又は10mg以下、又は5mg以下である。したがって、エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成構成要素に供給する電力を比較的少なくすることができ、及び/又は、エアロゾル生成構成要素は、同様のエアロゾルを生成するために比較的小さくすることができ、したがって、これは、エアロゾル供給デバイスに対するエネルギー要件を下げることができることを意味する。
【0057】
いくつかの実施形態では、非晶質固体はタバコ抽出物を含む。これらの実施形態では、非晶質固体は、以下の成分(乾燥重量基準(DWB:Dry Weight Basis)による)を有してもよい。すなわち、約1重量%~約60重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤(アルギン酸塩を含むことが好ましい)、約10重量%~約60重量%、又は約40重量%~55重量%、又は約45重量%~約50重量%の量のタバコ抽出物、約5重量%~約60重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤(グリセロールを含むことが好ましい)。タバコ抽出物は、単一の品種のタバコからのものであってもよいし、異なる品種のタバコからの抽出物のブレンドであってもよい。このような非晶質固体は、「タバコ非晶質固体」と呼ばれることがあり、エアロゾル化されたときにタバコのような体験を与えるために設計されることがある。
【0058】
一実施形態では、非晶質固体は、約20重量%のアルギン酸ゲル化剤、約48重量%のバージニアタバコ抽出物、及び約32重量%のグリセロール(DWB)を含む。
【0059】
これらの実施形態の非晶質固体は、任意の適切な水分含有量を有してもよい。例えば、非晶質固体は、約5重量%~約15重量%、又は約7重量%~約13重量%、又は約10重量%の水分含有量を有してもよい。
【0060】
これらの実施形態のいずれも、非晶質固体は、約50μm~約200μm、又は約50μm~約100μm、又は約60μm~約90μmの厚さtaを有することが好適であり、約77μmの厚さtaを有することが好適である。
【0061】
いくつかの実施様態では、非晶質固体は、乾燥重量基準で計算された重量で、0.5~60重量%のゲル化剤、及び5~80重量%のエアロゾル生成剤を含んでもよい。このような非晶質固体は、香料、酸、及び活性物質を含まない場合がある。このような非晶質固体は、「エアロゾル生成剤リッチ」又は「エアロゾル生成剤非晶質固体」と呼ばれることがある。より一般的には、これは、エアロゾル生成材料の一部分であるエアロゾル生成剤リッチのエアロゾル生成材料の例であり、その名が示すように、エアロゾル化されるとエアロゾル生成剤を送達するように設計されたエアロゾル生成材料の一部分である。
【0062】
これらの実施様態では、非晶質固体は以下の成分(DWB)を有してもよい。すなわち、約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤。
【0063】
いくつかの他の実施様態では、非晶質固体は、乾燥重量基準で計算された重量で、0.5~60重量%のゲル化剤、5~80重量%のエアロゾル生成剤、及び1~60重量%の香料を含んでよい。このような非晶質固体は香料を含むが、活性物質又は酸を含まない場合がある。このような非晶質固体は、「香味料リッチ」又は「香料非晶質固体」と呼ばれることがある。より一般的には、これは、香味料リッチのエアロゾル生成材料の例であり、その名が示すように、エアロゾル化されると香味料を送達するように設計されたエアロゾル生成材料の一部分である。
【0064】
これらの実施様態では、非晶質固体は以下の成分(DWB)を有してもよい。すなわち、約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤、約30重量%~約60重量%、又は約40重量%~55重量%、又は約45重量%~約50重量%の量の香料。
【0065】
いくつかの他の実施様態では、非晶質固体は、乾燥重量基準で計算された重量で、0.5~60重量%のゲル化剤、5~80重量%のエアロゾル生成剤、及び5~60重量%の少なくとも1つの活性物質を含んでよい。このような非晶質固体は活性物質を含むが、香料又は酸を含まない場合がある。このような非晶質固体は、「活性物質リッチ」又は「活性物質非晶質固体」と呼ばれることがある。例えば、一実施様態では、活性物質はニコチンの場合があり、したがって、ニコチンを含む上記のような非晶質固体は、「ニコチン非晶質固体」と呼ばれることがある。より一般的には、これは、活性物質リッチのエアロゾル生成材料の例であり、その名が示すように、エアロゾル化されると活性物質を送達するように設計されたエアロゾル生成材料の一部分である。
【0066】
これらの実施様態では、非晶質固体は以下の成分(DWB)を有してもよい。すなわち、約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤、約30重量%~約60重量%、又は約40重量%~55重量%、又は約45重量%~約50重量%の量の活性物質。
【0067】
いくつかの他の実施様態では、非晶質固体は、乾燥重量基準で計算された重量で、0.5~60重量%のゲル化剤、5~80重量%のエアロゾル生成剤、及び0.1~10重量%の酸を含んでよい。このような非晶質固体は酸を含むが、活性物質又は香味料を含まない場合がある。このような非晶質固体は、「酸リッチ」又は「酸非晶質固体」と呼ばれることがある。より一般的には、これは、酸リッチのエアロゾル生成材料の例であり、その名が示すように、エアロゾル化されると酸を送達するように設計されたエアロゾル生成材料の一部分である。
【0068】
これらの実施様態では、非晶質固体は以下の成分(DWB)を有してもよい。すなわち、約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤、約0.1重量%~約8重量%、又は約0.5重量%~7重量%、又は約1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約3重量%の量の酸。
【0069】
物品4は、すべてが同じエアロゾル生成材料(例えば、上記の非晶質固体のうちの1つ)から形成されたエアロゾル生成材料の複数の部分を備えてもよい。これに代えて、物品4は、少なくとも2つの部分が異なるエアロゾル生成材料(例えば、上記の非晶質固体のうちの1つ)から形成された、エアロゾル生成材料44の複数の部分を含んでもよい。
【0070】
受け部25は、物品4を取外し可能に受け入れるのに適した大きさである。図示されていないが、デバイス2は、受け部25へのアクセスを可能にするためにヒンジ付きドア又は外側ハウジング21の取外し可能な部分を備えてもよく、その結果、使用者は、受け部25に物品4を挿入すること、及び/又は受け部25から物品4を取り外すことができる。ヒンジ付きドア又は外側ハウジング21の取外し可能な部分はまた、閉じたときに受け部25内に物品4を保持するように機能することができる。エアロゾル生成品4が使い尽くされたとき、又は使用者が単に異なるエアロゾル生成品4に切り替えることを望むとき、エアロゾル生成品4は、エアロゾル供給デバイス2から取り外され、その場所に交換のエアロゾル生成品4を受け部25に配置することができる。これに代えて、デバイス2は、受け部25と連通し、物品4を受け部25に挿入することができる永久的な開口を含んでもよい。このような実施様態では、物品4をデバイス2の受け部25内に保持するための保持機構が設けられてもよい。
【0071】
図1に見られるように、デバイス2は、いくつかのエアロゾル生成構成要素24を備える。説明されている実施様態では、エアロゾル生成構成要素24は加熱要素24であり、より詳細には、抵抗加熱要素24である。抵抗加熱要素24は、電流を受け取り、その電気エネルギーを熱に変換する。抵抗加熱要素24は、電流を受け取ると熱を生成するニクロム(Ni20Cr80)などの任意の適切な抵抗加熱材料から形成されてもよい、又はそれらを含んでもよい。一実施様態では、加熱要素24は、抵抗通路が配置された電気絶縁基板を備えてもよい。
【0072】
図3は、加熱要素24の配置をより詳細に示すエアロゾル供給デバイス2の断面上面図である。
図1及び
図3では、加熱要素24は、加熱要素24の表面が受け部25の表面の一部を形成するように配置されている。すなわち、加熱要素24の外面は、受け部の内面と面一になっている。より詳細には、受け部25の内面と面一になっている加熱要素24の外面は、加熱要素24に電流を通したときに加熱される(すなわち、その温度が上昇する)加熱要素24の表面である。
【0073】
本例では、加熱要素24は、導電性プレートから形成され、これは、温度が上昇するように構成された加熱要素の表面を画定する。導電性プレートは、ニクロムなどの金属材料から形成されてもよく、これは電流が導電性プレートに流されると熱を生成する。他の実施様態では、別個の導電性通路が、第2の材料(例えば、金属材料又はセラミック材料)の表面、又はその中を通ってもよく、この場合、導電性通路は、第2の材料に伝達される熱を生成する。すなわち、第2の材料と導電性通路とが組み合わさって加熱要素24を形成する。後者の例では、温度が上昇するように構成された加熱要素の表面は、第2の材料の周囲によって画定される。
【0074】
説明されている実施様態では、温度が上昇するように構成された加熱要素24の表面も平面状であり、一般に受け部25の壁と平行な平面に配置される。しかしながら、他の実施様態では、表面は湾曲していてもよく、すなわち、加熱要素24の表面が配置された面は、1つの軸線における曲率半径を有していてもよい(例えば、表面はほぼ放物線状であってもよい)。加熱要素24は、物品4が受け部25に受け入れられたときに、各加熱要素24がエアロゾル生成材料44の対応する個別部分と位置が合うように配置される。したがって、この例では、6つの加熱要素24が、
図2A~
図2Cに示したエアロゾル生成材料44の6つの個別部分の2×3の配列の配置に大まかに対応した2×3の配列で配置されている。しかしながら、上で論じたように、加熱要素24の数は、異なる実施様態では異なっていてもよく、例えば、8、10、12、14個などの加熱要素24があってもよい。いくつかの実施様態では、加熱要素24の数は、6個以上であるが、20個以下である。
【0075】
より詳細には、加熱要素24は、
図3では24a~24fの符号が付けられており、各加熱要素24は、参照符号24/44の後の対応する文字によって示されるように、エアロゾル生成材料44の対応する部分と位置が合うように配置されていると理解すべきである。したがって、加熱要素24のそれぞれは、エアロゾル生成材料44の対応する部分を加熱するために個別に作動させることができる。また、加熱要素は、エアロゾル生成材料の異なる部分を順次加熱することができると考えられる。このような実施様態(図示せず)では、加熱要素及びエアロゾル生成材料の部分は互いに対して移動してもよい。例えば、エアロゾル生成品は、受け部に沿って摺動してもよいし、受け部の周りを回転してもよい。これに代えて、1つ以上の加熱要素が、受け部に対して移動するように構成されてもよい。
【0076】
加熱要素24は、受け部25の内面と面一に示されているが、他の実施様態では、加熱要素24は、受け部25内に突出してもよい。いずれの場合も、物品4は、受け部25内に存在するときに、加熱要素24の表面と接触し、その結果、加熱要素24によって生成された熱は、キャリア構成要素42を通ってエアロゾル生成材料44に伝導される。
【0077】
いくつかの実施様態では、熱伝達効率を改善するために、受け部は、キャリア構成要素42をヒーター要素24に押し付けるようにキャリア構成要素42の表面に力を加える構成要素を備えてもよく、以て、エアロゾル生成材料44への伝導による熱伝達効率を上昇させる。これに加えて、又はこれに代えて、ヒーター要素24は、物品4に向かう方向/物品4から離れる方向に移動するように構成されてもよく、エアロゾル生成材料44を備えないキャリア構成要素42の表面に押し付けられてもよい。
【0078】
使用時、デバイス2(より詳細には制御回路23)は、使用者の入力に応答して加熱要素24に電力を供給するように構成される。概して、制御回路23は、エアロゾル生成材料44の対応する部分を加熱してエアロゾルを生成するように加熱要素24に選択的に電力を印加するように構成される。使用者がデバイス2で吸引する(すなわち、吸い口端部26で吸引する)と、空気は空気入口27を通ってデバイス2に引かれ、受け部25に入り、ここで、エアロゾル生成材料44を加熱することによって生成されたエアロゾルと混合し、次いで、空気出口28を経て使用者の口へ引かれる。すなわち、エアロゾルは、吸い口端部26及び空気出口28を通って使用者に送達される。
【0079】
図1のデバイス2は、接触感知パネル29及び吸引センサ30を含む。接触感知パネル29及び吸引センサ30は、共に、エアロゾルの生成を引き起こすために使用者の入力を受け取るための機構として機能し、したがって、より広くは、使用者入力機構と呼ばれることがある。受け取られた使用者の入力は、使用者がエアロゾルを生成したいことを示していると言える。
【0080】
接触感知パネル29は、静電容量式タッチセンサであってもよく、デバイス2の使用者が指又は別の適切な導電性の物体(例えばスタイラス)を接触感知パネルに置くことによって操作することができる。説明されている実施様態では、接触感知パネルは、エアロゾル生成を開始するために使用者が押すことができる領域を含む。制御回路23は、接触感知パネル29からの信号を受け、この信号を用いて、使用者が接触感知パネル29のこの領域を押しているかどうか(すなわち、作動させているかどうか)を判定するように構成することができる。制御回路23がこの信号を受けた場合、制御回路23は、電源22から加熱要素24のうちの1つ以上に電力を供給するように構成される。電力は、接触が検出された瞬間から予め定められた時間(例えば3秒間)供給されてもよいし、接触が検出された時間の長さに対応して供給されてもよい。他の実施様態では、接触感知パネル29は、使用者が作動することができるボタンなどに置き換えられてもよい。
【0081】
吸引センサ30は、使用者がデバイス2で吸引することによって生じる圧力の低下又は空気の流れを検出するように構成された圧力センサ又はマイクロフォン等であってもよい。吸引センサ30は、空気流路と流体連通して(すなわち、入口27と出口28との間の空気流路と流体連通して)配置される。上記と同様の態様で、制御回路23は、吸引センサからの信号を受け、この信号を用いて、使用者がエアロゾル供給システム1で吸引しているかを判定するように構成することができる。制御回路23がこの信号を受けた場合、制御回路23は、電源22から加熱要素24のうちの1つ以上に電力を供給するように構成される。電力は、吸引が検出された瞬間から予め定められた時間(例えば3秒間)供給されてもよいし、吸引が検出された時間の長さに対応して供給されてもよい。
【0082】
説明されている例では、接触感知パネル29及び吸引センサ30の両方が、吸引のためのエアロゾルの生成を開始したいと使用者が思っていることを検出する。制御回路23は、接触感知パネル29及び吸引センサ30の両方からの信号が検出されたときのみ、加熱要素24に電力を供給するように構成されてもよい。これは、使用者入力機構の1つが偶発的に作動することから加熱要素24が意図せずに作動することを防止するのを助けることができる。しかしながら、他の実施様態では、エアロゾル供給システム1は、接触感知パネル29及び吸引センサ30のうちの一方のみを有してもよい。
【0083】
エアロゾル供給システム1の動作のこれらの態様(すなわち、パフ検出及び接触検出)は、それ自体、確立した技法に従って(例えば、従来の吸引センサ及び吸引センサ信号処理技法を用いて、並びに、従来のタッチセンサ及びタッチセンサ信号処理技法を用いて)実行することができる。
【0084】
いくつかの実施様態では、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号を検出したことに応答して、制御回路23は、個々の加熱要素24のそれぞれに電力を順次供給するように構成される。
【0085】
より詳細には、制御回路23は、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方から受けた信号の検出の順序に応答して、個々の加熱要素23のそれぞれに順次電力を供給するように構成される。例えば、制御回路23は、(例えば、デバイス2のスイッチが最初に入れられたときから)信号が最初に検出されたとき、複数の加熱要素24のうちの第1の加熱要素24に電力を供給するように構成されてもよい。信号が止まると、又は信号が検出されてから予め定められた時間が経過したことに応答して、制御回路23は、第1の加熱要素24が作動された(したがって、エアロゾル生成材料44の対応する個別部分が加熱された)ことを記録する。制御回路23は、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの次の信号を受けたことに応答して、第2の加熱要素24を作動させることを決定する。したがって、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号を制御回路23が受けたとき、制御回路23は、第2の加熱要素24を作動させる。この処理は、残りの加熱要素24に対して繰り返され、その結果、すべての加熱要素24が順次作動させられる。
【0086】
事実上、この操作は、各吸引に対して、エアロゾル生成材料44の個別部分の異なる部分が加熱され、エアロゾルはそれから生成されることを意味する。言い換えれば、エアロゾル生成材料の単一の個別部分は、使用者の吸引ごとに加熱される。
【0087】
他の実施様態では、制御回路23は、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方若しくは両方からの次の信号に応答して第2の加熱要素24を作動させるべきであると決定する前に、第1の加熱要素24を複数回(例えば2回)作動させる、又は、複数の加熱要素24のそれぞれを1回作動させ、すべての加熱要素24が1回作動されたときに、次の信号が検出されると、加熱要素を順次2回目作動させるように構成されてもよい。
【0088】
このような順次作動させることは、「順次作動モード」と呼ばれることがあり、これは主に、吸引ごとに一貫したエアロゾルを送達するように設計される(これは、例えば、生成された全エアロゾル、又は送達された全成分によって測定することができる)。したがって、このモードは、エアロゾル生成品4のエアロゾル生成材料44の各部分が実質的に同一であるとき、すなわち、部分44a~44fが同じ材料から形成されているときに最も有効であり得る。
【0089】
いくつかの他の実施様態では、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号の検出に応答して、制御回路23は、加熱要素24の1つ以上に同時に電力を供給するように構成される。
【0090】
そのような実施様態では、制御回路23は、予め定められた構成に対応して、加熱要素24のうちの選択された加熱要素に電力を供給するように構成されてもよい。予め定められた構成は、使用者によって選択又は決定された構成であってもよい。例えば、接触感知パネル29は、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号を制御回路23が受けたときに、加熱要素24のどれを作動させるかを使用者が個別に選択できる領域を備えてもよい。いくつかの実施様態では、使用者はまた、信号を受けたことに応答して加熱要素24に供給されるように、各加熱要素24に対する電力レベルを設定することもできる。
【0091】
図4は、そのような実施様態による接触感知パネル29の上面図である。
図4は、前述したような外側ハウジング21及び接触感知パネル29を概略的に示している。接触感知パネル29は、6つの加熱要素24のそれぞれに対応する6つの領域29a~29f、及び前述のように、使用者が吸引を開始すること、又はエアロゾルを生成することを望んでいることを示すための領域に対応する領域29gを備える。6つの領域29a~29fはそれぞれ、6つの対応する加熱要素24のそれぞれへの電力供給を制御するために使用者が触れることができる接触感知領域に対応する。説明されている実施様態では、各加熱要素24は、複数の状態、例えば、加熱要素24に電力が供給されないオフ状態、加熱要素24に第1のレベルの電力が供給される低電力状態、及び加熱要素24に、第1のレベルの電力より大きい第2のレベルの電力が供給される高電力状態を有することができる。しかしながら、他の実施様態では、これより少ない又は多い状態が、加熱要素24に利用可能であってよい。例えば、各加熱要素24は、加熱要素24に電力が供給されないオフ状態、及び加熱要素24に電力が供給されるオン状態を有してもよい。
【0092】
したがって、使用者は、エアロゾルを生成する前に、接触感知パネル29と対話することによって、どの加熱要素24(及び、それに続いてエアロゾル生成材料44のどの部分)を加熱するか(及び、任意選択的に、それらをどの程度まで加熱するか)を設定することができる。例えば、使用者は、異なる状態(例えば、オフ、低電力、高電力、オフなど)を循環させるために領域29a~29fを繰り返しタップしてもよい。これに代えて、使用者は、異なる状態を循環させるために領域29a~29fを押して保持してもよい。この場合、押されている時間が状態を決定する。
【0093】
接触感知パネル29は、それぞれの領域29a~29fごとに、加熱要素24が現在どの状態であるかを示す1つ以上の表示器を備えてもよい。例えば、接触感知パネルは、1つ以上のLED又は同様の照明要素を備えてもよく、LEDの強度は、加熱要素24の現在の状態を示す。これに代えて、カラーのLED又は同様の照明要素が設けられてもよく、色が現在の状態を示す。これに代えて、接触感知パネル29は、加熱要素24の現在の状態を表示する表示要素(例えば、透明な接触感知パネル29の下にあってもよく、又は接触感知パネル29の領域29a~29fに隣り合って設けられてもよい)を備えてもよい。
【0094】
使用者が加熱要素24の構成を設定すると、接触感知パネル29(より詳細には接触感知パネル29の領域29g)及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号の検出に応答して、制御回路23が、予め設定された構成に従って、選択された加熱要素24に電力を供給するように構成される。
【0095】
したがって、このような同時に加熱要素24を作動させることは、「同時作動モード」と呼ばれることがあり、これは主に、使用者にセッションごとに、又はパフごとでさえ、その体験のカスタマイズを可能にさせるという意図で、所与の物品4からカスタマイズ可能なエアロゾルを送達するように設計される。したがって、このモードは、エアロゾル生成品4のエアロゾル生成材料44の部分が互いに異なる場合に最も効果的であり得る。例えば、部分44a及び44bが1つの材料で形成され、部分44c及び44dが異なる材料で形成されている場合などである。したがって、この動作モードでは、使用者は、任意の所与の瞬間にどの部分をエアロゾル化するか、したがってエアロゾルのどの組合せを供給するかを選択することができる。
【0096】
同時作動モード及び順次作動モードの両方において、制御回路23は、例えば、加熱要素24のそれぞれが予め定められた回数、順次作動させられたとき、又は、所与の加熱要素24が予め定められた回数及び/若しくは所与の累積作動時間及び/若しくは所与の累積作動電力で作動させられたとき、物品4の使用の終了を示す警告信号を生成するように構成されてもよい。
図1では、デバイス2は使用終了表示器31を含み、これは、この実施様態ではLEDである。しかしながら、他の実施様態では、使用終了表示器31は、使用者に警告信号を与えることができる任意の機構を備えてもよい、すなわち、使用終了表示器31は、光学信号を送達する光学要素、音声信号を送達する音発生器、及び/又は触覚信号を送達する振動器であってもよい。いくつかの実施様態では、表示器31は、(例えば、接触感知パネルが表示要素を含む場合)接触感知パネルと組み合わせられてもよい、又は他の態様で提供されてもよい。デバイス2は、警告信号が出力されているときには、デバイス2の次の作動を妨げることができる。使用者が物品4を交換するとき、及び/又は、ボタン(図示せず)などの手動手段を介して警告信号を切ると、警告信号を切ることができ、制御回路23がリセットされる。
【0097】
より詳細には、順次作動モードが使われる実施様態では、制御回路23は、使用期間中に受け取った接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号の回数を数え、回数が予め定められた数に到達すると、物品4がその寿命の終わりに到達したと決定されるように構成されてもよい。例えば、6つのエアロゾル生成材料44の個別部分を備える物品4に対しては、予め定められた数は、目下のその実施様態に応じて、6、12、18などとすることができる。
【0098】
同時作動モードが使われる実施様態では、制御回路23は、エアロゾル生成材料44の個別部分の1つ又はそれぞれが加熱される回数を数えるように構成されてもよい。例えば、制御回路23は、ニコチン含有部分が何回加熱されたかを数え、それが予め定められた数に到達すると、物品4の寿命の終わりを決定することができる。これに代えて、制御回路23は、エアロゾル生成材料44の各個別部分に対して、その部分が加熱されたときに別々に数えるように構成されてもよい。各部分は、同じ又は異なる予め定められた回数を有するものとしてもよく、エアロゾル生成材料の各部分に対する回数のいずれか1つが予め定められた数に到達すると、制御回路23は、物品4の寿命の終わりを決定する。
【0099】
実施様態のいずれにおいても、制御回路23はまた、エアロゾル生成材料の部分が加熱された時間の長さ、及び/又は、エアロゾル生成材料の部分が加熱された温度を計算に入れてもよい。この点について、制御回路23は、個別の作動を数えるのではなく、エアロゾル生成材料44の各部分が受けた加熱状態を示す累積パラメータを計算するように構成されてもよい。このパラメータは、例えば、累積時間であってもよく、その材料への温度は、累積時間に加えられる時間の長さを調節するために使用される。例えば、200℃で3秒間加熱された部分は、累積時間に3秒寄与することができ、一方、250℃で3秒間加熱された部分は、累積時間に4.5秒寄与することができる。
【0100】
物品4の寿命の終わりを決定するための上記の技法は、物品4の寿命の終わりを決定する方法の網羅的なリストとして理解すべきではなく、実際には、任意の他の適切な方法が、本開示の原理に従って使用されてもよい。
【0101】
説明されている実施様態は、エアロゾル生成材料44の個別部分を加熱して、吸引のために適切なエアロゾルを生成するように構成される。これらのシステムの利点は、使用セッション中の異なるときにエアロゾル生成材料の異なる部分を加熱することができることである。例えば、順次動作モードでは、部分44aは第1の時に加熱されてエアロゾルを送達することができ、部分44bは、第2の時に加熱されて同じ又は異なるエアロゾルを送達することができる。
【0102】
しかしながら、これらのシステムは、任意の所与の吸引のためにエアロゾルのどの部分を加熱することができるかということに関して柔軟性があるので、これらのシステムは、理想的には、エアロゾルの生成を開始するという使用者の指示を受けたことに応答して迅速にエアロゾルを生成し始めることができるようにするべきである。部分的には、これは、加熱要素から、加熱されるエアロゾル生成材料の部分にエネルギーを伝達することができる速度に依存するが、いくつかの要因を挙げると、エアロゾル生成材料の量、密度、厚さ、成分など、加熱されるエアロゾル生成材料の特性にも依存する。例えば、エアロゾル生成材料の厚さは、エアロゾル生成材料をどれほど速く加熱することができるか、及び、それに続いて、エアロゾル生成材料が吸引可能なエアロゾルを生成し始めるまでどれだけ時間がかかるかの重要な要因になり得る。概して、(他の条件がすべて同じ場合)エアロゾル生成材料が厚いほど、吸引可能なエアロゾルが生成されるまでの時間が長くなる。
【0103】
加えて、例えば、パフごとに異なる個別部分が加熱される場合、加熱されると特定の量のエアロゾルを送達するようにエアロゾル生成材料の各部分を設計することができる。言い換えると、エアロゾル生成材料は、加熱されると所望の量のエアロゾルを生成することができるようにするために、特定の質量を有してもよい。エアロゾル生成材料の厚さ及び密度が固定されていると仮定すると、所望の量を供給するためには、エアロゾル生成材料の面積範囲が考慮される。簡単に言うと、厚さ及び密度が固定されていると仮定すると、エアロゾル生成材料の面積範囲が広いほど(及び、対応する加熱要素の面積範囲が広いほど)、エアロゾル生成材料から生成されるエアロの予想量は多くなる。
【0104】
上の2つの要因は、迅速なエアロゾル生成時間及び十分な量のエアロゾルを供給するためには、加熱要素及び/又はエアロゾル生成材料の部分のかなり広い面積範囲、及び比較的薄いエアロゾル化可能材料の厚さを示唆している。しかしながら、エアロゾル供給システムは小型化/携帯化される傾向にあり、その結果、これらのシステムは携帯可能である。人の手のひらの大きさ(例えば、9cm×7cm)をはるかに超えるフットプリントを有するデバイスは、使用者には(特に片手で)持ちにくくなり、また、エアロゾルを吸引するセッション時に使用するのに扱いにくく不便になる傾向がある。
図1~
図3のエアロゾル供給システム1では、エアロゾル生成材料の複数の部分(例えば、図示のように6つの部分)が気化されるが、このことは、エアロゾル生成材料の部分の面積範囲をどれだけ大きくすることができるかということに実際的な制限があることを意味する(デバイスの観点からは、これは、加熱要素の面積範囲に制限があると言い換えられる)。部分ごとに十分なエアロゾルを迅速に送達し、大きなフットプリントを有しないシステムにするために、パラメータの間でバランスをとることができる。
【0105】
本発明者らは、使用中に温度が上昇するように構成された加熱要素の表面が、130mm2以下の領域(例えば、表面積)を画定するときに良好な妥協点が存在することを見出した。130mm2以下の領域を画定する表面を有する加熱要素24は、全体のフットプリントが比較的小さいままで、エアロゾル生成材料の複数の異なる部分をエアロゾル化することができるデバイスをもたらす。130mm2より大きな表面を有する加熱要素及びデバイスのフットプリントは、特に6つ以上など、複数の加熱要素があるとき、(特に、外側ハウジング21、電源22、及び外側ハウジング21が不快な温度に達するのを防ぐための任意の断熱材(図示せず)の存在を考慮すると)人間工学的に好ましくない程度まで大きくなる傾向がある。
【0106】
いくつかの実施様態では、加熱要素の表面は、10mm2以上の領域を画定する。前述のように、いくつかの要因が、エアロゾル生成材料の部分から生成されるエアロゾルに影響を与えることがある。送達されるエアロゾルの量が重要な量であると考えられる場合、10mm2未満の表面を有する加熱要素24は、同じ量のエアロゾルを生成するために、加熱される材料の部分が比較的厚いことが必要である。しかしながら、前述のように、エアロゾル化可能材料の部分がより厚いと、加熱してエアロゾルを生成する時間はより長くなり、したがって、システムの応答性は悪い。エネルギー伝達速度を上げることによって(例えば、加熱要素24をより高い温度に加熱することによって)応答性を調節することができるが、これはエアロゾル生成材料を炭化させる可能性を高める。例えば、動作温度(エアロゾルがエアロゾル生成材料の部分から生成される温度)は、160℃~350℃の範囲であってもよい。エアロゾル生成材料の部分を350℃より高く加熱すると、続いて生成されるエアロゾルを不快な味にし得る炭化の可能性が著しく高くなる。したがって、面積範囲の加熱要素24が10mm2未満であると、エアロゾル出力がより悪くなることが分かっている。
【0107】
いくつかの実施様態では、加熱要素24の表面は、30mm2~130mm2の面積、すなわち、30mm2以上で130mm2以下の領域を画定する。他の実施様態では、加熱要素24の表面は、80~130mm2、35~80mm2、又は40~75mm2の領域を画定する。
【0108】
本発明者らは、約20重量%のアルギン酸ゲル化剤、約48重量%のバージニアタバコ抽出物、及び約32重量%のグリセロール(DWB)を含む非晶質固体のエアロゾル生成材料を用い、40~75mm2の面積を有する加熱要素24を用いて約290℃の温度に加熱された場合、十分な量のエアロゾルをかなり迅速に生成することができるようにするためには、厚さを0.05~2mmの範囲にすべきであることを見出した。
【0109】
図3に戻って参照すると、
図3は、本開示による加熱要素24の配置をより詳細に示すエアロゾル供給デバイス2の断面上面図である。
図3では、6つの加熱要素24が配列となって示されており、各加熱要素24は、円形の断面を有するものとして描かれている。加熱要素24の本体自体は、使用される加熱要素24の特定の設計によって必要とされる任意の形状を有してよく、加熱要素24の本体は、受け部の内面よりも下に設けられてもよい。しかしながら、各加熱要素24は、少なくとも、例えば、電源22から電力を受けることに応答してその温度を上昇させるように構成された表面(この例では円形表面)を備え、受け部25内を向くように設けられる。他の実施様態では、加熱要素24によって画定される領域は円形である必要はなく、他の任意の所望の形状(例えば、矩形、3角形、6角形、又は方形)を有してもよいことを認識すべきである。
【0110】
加熱要素24の表面(例えば、外側を向く表面)は直径dを有する。前に論じたように、エアロゾル生成材料44の各部分は、加熱要素24がエアロゾル生成材料の対応する部分と実質的に重なるように、対応する加熱要素24の表面と実質的に同様の面積範囲を有するように設けられる。これによって、加熱要素24が、エアロゾル供給材料44を含まない物品4の領域を加熱することを避けることができる(さもなければエネルギーのむだ使いとなる)。したがって、直径dは、
図2の直径dと実質的に同じであるが、いくつかの実施様態では、直径が異なっていてもよいことを認識すべきである。
【0111】
ここで説明されている実施態様では、加熱要素24のそれぞれの表面は、実質的に同じ面積を有する。すなわち、加熱要素24のそれぞれは、実質的に同じ面積範囲を有する。説明されている実施様態では、要素24a~24fのそれぞれは同じ直径dを有する。このようにして、各加熱要素は、実質的に同じように、同じ加熱条件下で動作させられて、エアロゾル生成材料の各部分から一貫したエアロゾルを生成することができる。しかしながら、他の実施様態では、これに該当しない場合があり、加熱要素24の少なくともいくつかの直径は異なる場合があることを認識すべきである。
【0112】
図示の例示的な実施様態では、加熱要素24の直径dは、3.6mm~12.9mm(30~130mm2の面積に相当)であってもよい。しかしながら、いくつかの実施様態では、直径dは、7.1~9.8mm(約40mm2~約75mm2の面積に相当)であってもよい。さらに、他の形状(例えば、矩形、3角形、6角形、又は方形)及び/又は他の大きさの加熱要素が、最大145又は最大170mm2の面積に相当する同様の大きさ(直径、幅、及び/又は高さ)を有して使用されてもよいと考えられる。
【0113】
図3に示すように、加熱要素24は、長さ方向に離隔距離S
2だけ、幅方向に離隔距離S
1だけ互いから離されている。離隔距離S
1及びS
2は、エアロゾル生成材料の1つの部分が1つの加熱要素によって加熱されたとき(例えば、加熱要素24a及び対応する部分44a)、この加熱要素24aからの熱が、エアロゾル生成材料の隣り合う部分、例えば部分44b及び44cの温度を実質的に上昇させないように設定される。言い換えれば、離隔距離S
1及びS
2は、エアロゾル生成材料の隣り合う部分がエアロゾルを生成し始める程度に、エアロゾル生成材料の隣り合う部分が意図せずに加熱されないように配置される。離隔距離S
1及びS
2は、加熱要素24が動作することが予想される予想動作温度によって影響を受けることがある。概して、動作温度が高いほど、離隔距離S
1及びS
2は長くなる。離隔距離S
1及びS
2は同じであってもよいし、異なっていてもよいが、任意の所与のシステムに対して、離隔距離S
1及びS
2は最小距離を共有することがある。この場合、最小離隔距離は1.5mm~5mmであってもよい。
【0114】
図3はまた、長さl
r及び幅w
rを有する受け部を示す。上記から認識すべきように、受け部は、複数の加熱要素を収容するために十分に大きく、外側ハウジング21の全体の寸法を増加させないために十分に小さな寸法を有するべきである。受け部25の長さl
r及び受け部25の幅w
rは、そのときの用途に応じて変わってもよいが、これらの寸法は、上記のように、デバイス2全体の寸法が使用者の手のひらよりも著しく大きくならないことを確実にするように設定すべきである。
【0115】
パラメータdとS1及びS2に関して、受け部25の長さlrは、N×d+(N-1)×S2+Bと表すことができ、一方、受け部25の幅wrは、M×d+(M-1)×S1+Bと表すことができる。ここで、Nは長さ方向の加熱要素の数、Mは幅方向の加熱要素の数、Bは受け部25の縁の長さ(加熱要素24の外側を囲む距離)を示す。
【0116】
実施例1
それぞれ、約20重量%のアルギン酸ゲル化剤、約48重量%のバージニアタバコ抽出物、及び約32重量%のグリセロール(DWB)を含む0.1mmの厚さの非晶質固体のいくつかの部分が、円形であるが異なる直径の加熱要素を使用して2つの異なる温度(230℃及び290℃)に3秒間加熱された。使用されたヒーター構成体は、アルミニウムのヒーターブロックに包まれたセラミックコアのカートリッジヒーターであった。ヒーターは、24Vの電圧が供給されて80Wのパワーを生成した。セラミックコアのカートリッジは、全体の直径が6mm、長さが20mm、ワイヤーの長さが100cmであった。
生成されたエアロゾルは3秒間の加熱中に捕集された。下表に示すように、パフ当たりの全捕集エアロゾル量(エアロゾル捕集物質ACM:aerosol collected matter)、パフ当たりのニコチン量、及びパフ当たりのグリセロール量が2つの異なる温度で得られた。捕集方法は、当該分野でよく知られているケンブリッジフィルターパッド及びその関連装置を用いて行った。
【0117】
【表1】
上記から分かるように、パフ当たりの平均ACM、パフ当たりの平均ニコチン、及びパフ当たりの平均グリセロールは、ヒーター直径の増大及び温度の上昇とともに概ね増加する。タバコを加熱する既存の電子エアロゾル供給デバイスと比較すると、パフ当たりのニコチンの望ましいレベルは0.04~0.08mg/パフの場合があり、したがって上記のデータでは、230℃又は290℃のいずれかで動作させたとき、7.4mm~9.6mmのヒーター直径が、パフ当たりのニコチンの望ましいレベルを提供することが示されている。これに加えて、パフあたりのグリセロールの望ましいレベルは0.2~0.6mg/パフの場合があり、したがっては230℃若しくは290℃のいずれかで動作させたとき、7.4mm~9.6mmのヒーター直径、又は、290℃で動作させたとき、5mmのヒーター直径が、パフ当たりのグリセロールの望ましいレベルを提供する。
【0118】
ここで得られたデータは、単に動作している本開示の実施様態を例示することを意図しただけであり、本開示を制限するように考えられていないことを認識すべきである。前述のように、いくつかの異なるパラメータも、エアロゾル生成材料の所与の部分に対して生成されるエアロゾルの要因になることがある。
【0119】
加熱要素24は円形の断面領域を画定するように示されているが、他の実施様態では、加熱要素24は方形又は他の多角形の断面領域を画定してもよいことを認識すべきである。例えば、いくつかの実施様態では、加熱要素24の表面は、8mm×8mmの辺を有する方形を画定してもよい。
【0120】
図5は、本開示の別の実施形態によるエアロゾル供給システム200の概略断面図である。エアロゾル供給システム200は、
図1に関連して説明したものと大まかに類似する構成要素を含むが、参照番号は200を加えられている。効率化のために、類似の参照番号を有する構成要素は、特に断らない限り、
図1及び
図2A~
図2Cの対応するものとほぼ同じであると理解すべきである。
【0121】
エアロゾル供給デバイス202は、外側ハウジング221、電源222、制御回路223、誘導作用コイル224a、受け部225、吸引又は吸い口端部226、空気入口227、空気出口228、接触感知パネル229、吸引センサ230、及び表示器、例えば使用終了表示器231を備える。
【0122】
エアロゾル生成品204は、
図6A~
図5Cにさらに詳細に示すように、キャリア構成要素242、エアロゾル生成材料244、及びサセプタ要素244bを備える。
図6Aは、物品4の上面図であり、
図6Bは、物品4の長手方向(長さ)軸線に沿った端面図であり、
図6Cは、物品4の幅方向軸線に沿った側面図である。
【0123】
図5及び
図6は、誘導を用いてエアロゾル生成材料244を加熱して吸引用のエアロゾルを生成するエアロゾル供給システム200を表す。
【0124】
説明されている実施様態では、エアロゾル生成構成要素224は、2つの部品又は加熱要素、すなわち、エアロゾル供給デバイス202に配置された誘導作用コイル224a及びエアロゾル生成品204に配置されたサセプタ224bから形成される。したがって、説明されているこの実施様態では、各エアロゾル生成構成要素224は、エアロゾル生成品204とエアロゾル供給デバイス202との間で分散された要素を備える。
【0125】
誘導加熱は、サセプタと呼ばれる導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すためのデバイスとを備えることがある。電磁石及び加熱しようとする物体が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するように適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対して抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が生成されると、物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。
【0126】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。加熱材料は、導電性材料であってよく、その結果、変動磁場がそれに侵入することによって、加熱材料が誘導加熱される。加熱材料は、磁性体であってもよく、その結果、変動磁場がそれに侵入することによって、加熱材料が磁気ヒステリシス加熱される。加熱材料は、導電性及び磁性の両方を有してもよく、その結果、加熱材料は両方の加熱機構によって加熱可能である。
【0127】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じるもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が生成される。
【0128】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、その物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0129】
この文脈では、誘導作用コイル224a及びサセプタ224bのいずれか又は両方は、130mm2以下の領域(例えば、表面積)、又はいくつかの実施様態では145mm2以下の領域、又はいくつかのさらなる実施様態では170mm2以下の領域を画定してもよい。いくつかの実施態様(図示せず)では、サセプタは、誘導作用コイルとは(例えば、大きさ及び/又は形状が)異なるように形作られてもよい。例えば、サセプタ(複数可)は、誘導作用コイル(複数可)の面積範囲よりも大きな面積範囲を有してよく、加熱される有効面積は誘導作用コイル(複数可)の領域によって制限されてよい。これに代えて、誘導作用コイルは、サセプタの面積範囲よりも大きな面積範囲を有していてもよく、加熱される領域は、サセプタの領域のみによって制限されてもよい。
【0130】
また、サセプタは、サセプタの同じ領域を加熱するように配置されても、又はサセプタの異なる領域を加熱するように配置されてもよい複数(2つ以上)の誘導作用コイルによって加熱されるように配置されてもよいことが考えられる。例えば、サセプタの異なる領域は、異なる誘導作用コイルと隣り合って配置されてもよい。したがって、複数の誘導作用コイルは、130mm2以下の領域、又はいくつかの実施様態では、145mm2以下の領域、又はいくつかのさらなる実施様態では、170mm2以下の領域を画定する単一のサセプタを加熱してもよい。これに代えて、それぞれが、130mm2以下の領域、又はいくつかの実施様態では、145mm2以下の領域、又はいくつかのさらなる実施様態では、170mm2以下の領域を画定する複数の誘導作用コイルが、単一のサセプタを加熱するように配置されてもよい。
【0131】
説明されている実施様態では、サセプタ224bは、金属箔、例えば、アルミニウム箔から形成されているが、他の実施様態では、他の金属及び/又は導電性材料が使用されてもよいことを認識すべきである。
図6に見られるように、キャリア構成要素242は、キャリア構成要素242の表面に配置されたエアロゾル生成材料244の個別部分に大きさ及び位置が対応するいくつかのサセプタ224bを備える。すなわち、サセプタ224bは、エアロゾル生成材料244の個別部分と同様の幅及び長さを有する。
サセプタは、キャリア構成要素242に埋め込まれて示されている。しかしながら、他の実施様態では、サセプタ224bは、キャリア構成要素242の表面に配置されてもよい。
【0132】
エアロゾル供給デバイス202は、
図5に概略的に示された複数の誘導作用コイル224aを備える。作用コイル224aは、受け部225に隣り合って示されており、所与のコイルが周りに巻かれている回転軸線が、受け部225内に延び、物品204のキャリア構成要素242の平面にほぼ垂直であるように配置された概ね平坦なコイルである。
図5では、巻線は正確には示されておらず、任意の適切な誘導コイルが使用されてもよいことを認識すべきである。
【0133】
制御回路223は、誘導コイル224aのいずれか1つ以上に流す交流電流を生成するような機構を備える。この交流電流は、上記のように交流磁場を生成し、これが対応するサセプタ224b(複数可)の温度を上げる。サセプタ224b(複数可)によって生成された熱は、それに応じてエアロゾル生成材料244の部分に伝達される。
【0134】
図1及び
図2A~
図2Cに関連して上で説明したように、制御回路223は、接触感知パネル229及び/又は吸引センサ230からの信号を受けたことに応答して、作用コイル224aに電流を供給するように構成される。前に説明したように、どの加熱要素24が制御回路23によって加熱されるかを選択するための技法のいずれも、使用者の吸引用のエアロゾルを生成するために、制御回路223による接触感知パネル229及び/又は吸引センサ230からの信号を受けることに応答して、どの作用コイル224aがエネルギーを与えられる(したがって、エアロゾル生成材料244のどの部分がそれに続いて加熱される)かを選択することに類似して適用することができる。
【0135】
上記では、作用コイル224a及びサセプタ224bが物品204とデバイス202との間に分散された誘導加熱エアロゾル供給システムを説明したが、作用コイル224a及びサセプタ224bがデバイス202内にのみ配置された誘導加熱エアロゾル供給システムが提供されてもよい。例えば、
図5を参照して、サセプタ224bは、誘導作用コイル224aの上方に設けられて、(
図1に示したエアロゾル供給システム1と類似の方法で)サセプタ224bがキャリア構成要素242の下面に接触するように配置されてもよい。
【0136】
したがって、
図5は、本開示に説明した技法を適用することができ、誘導加熱がエアロゾル供給デバイス202に使用されて、使用者の吸引用のエアロゾルを生成することができる、より具体的な実施様態を説明している。
【0137】
上記では、エアロゾル生成材料の個別部分にエネルギーを与えるためにエアロゾル生成構成要素24(例えば、ヒーター要素)の配列が設けられたシステムを説明したが、他の実施様態では、物品4及び/又はエアロゾル生成構成要素24は互いに対して移動するように構成されてもよい。すなわち、物品4のキャリア構成要素42に設けられたエアロゾル生成材料44の個別部分よりもエアロゾル生成構成要素24が少なくてもよく、その結果、エアロゾル生成材料44の個別部分のそれぞれに個別にエネルギーを与えることができるようにするために、物品4とエアロゾル生成構成要素24との相対移動が必要となる。例えば、可動加熱要素24が受け部25に対して移動することができるように、可動加熱要素24は受け部25内に設けられてもよい。このようにして、可動加熱要素24は、加熱要素24がエアロゾル生成材料44の個別部分のそれぞれと位置合わせすることができるように、(例えば、キャリア構成要素42の幅方向及び長さ方向に)並進移動することができる。この手法は、同様の使用者体験を提供しながら、必要とするエアロゾル生成構成要素42の数を減少させることができる。
【0138】
上記では、エアロゾル生成材料44の離散的、空間的に別の部分がキャリア構成要素42に配置される実施様態を説明したが、他の実施様態では、エアロゾル生成材料が離散的、空間的に別の部分に設けられず、その代わりにエアロゾル生成材料44の連続シートとして設けられてもよいことを認識すべきである。これらの実施様態では、エアロゾル生成材料44のシートの特定の領域は、上記とほぼ同じ態様でエアロゾルを生成するように選択的に加熱されてもよい。しかしながら、これらの部分が空間的に別であるかどうかにかかわらず、本開示は、エアロゾル生成材料44の部分を加熱(又はエアロゾル化)することを説明した。特に、加熱要素24(又は、より詳細には、温度が上昇するように設計された加熱要素24の表面)の寸法に基づいて、エアロゾル生成材料の連続シート上に(エアロゾル生成材料の部分に相当する)領域が画定されてもよい。この点について、加熱要素24の対応する領域が、エアロゾル生成材料のシートに投影されたとき、エアロゾル生成材料の領域又は部分を画定すると考えられてもよい。本開示によれば、エアロゾル生成材料の各領域又は各部分は20mg以下の質量を有することがあるが、連続シート全体は20mgより大きい質量を有してもよい。
【0139】
上記では、デバイス2に取り付けられた接触感知パネル29を用いてデバイス2を設定又は操作することができる実施様態を説明したが、その代わりにデバイス2は遠隔で設定又は制御されてもよい。例えば、制御回路23は、制御回路23にスマートフォンなどの遠隔デバイスと通信することを可能にする、対応する通信回路(例えば、Bluetooth)を備えてもよい。したがって、接触感知パネル29は、実質的に、スマートフォン上で走るアプリなどを用いて実装されてもよい。次いで、スマートフォンは、使用者の入力又は設定を制御回路23に送信することができ、制御回路23は、受信した入力又は設定に基づいて動作するように構成されてもよい。
【0140】
上記では、エアロゾル生成材料44にエネルギーを与える(例えば、エアロゾル生成材料44を加熱する)ことによってエアロゾルが生成され、その後、使用者によって吸引される実施様態を説明したが、いくつかの実施様態では、使用者によって吸引される前にエアロゾルの1つ以上の特性を改変するために、生成されたエアロゾルがエアロゾル改質構成要素の中又は上を通ってもよいことを認識すべきである。例えば、エアロゾル供給デバイス2、202は、エアロゾル生成材料44の下流の空気流路に挿入された空気透過性インサート(図示せず)を備えてもよい(例えば、インサートは出口28に配置されてもよい)。インサートは、エアロゾルが使用者の口に入る前、インサートを通過するときに、エアロゾルの香味、温度、粒子の大きさ、ニコチン濃度などのいずれか1つ以上を変化させる材料を含んでもよい。例えば、インサートは、タバコ又は処理済みタバコを含んでもよい。このようなシステムは、ハイブリッドシステムと呼ばれることがある。インサートは、任意の適切なエアロゾル改質材料を含んでもよく、これは上記のエアロゾル生成材料を含んでもよい。
【0141】
加熱要素24が、エアロゾル生成材料の部分からエアロゾルが生成される動作温度になるようにエアロゾル生成材料の部分に熱を供給するように構成されていることを上述したが、いくつかの実施様態では、加熱要素24は、エアロゾル生成材料の部分を予熱温度(これは動作温度より低い)に予熱するように構成される。予熱温度においては、これらの部分が予熱温度に加熱されると、より少ない量のエアロゾルが生成される、又はエアロゾルは生成されない。しかしながら、エアロゾル生成材料の温度を予熱温度から動作温度まで上げるために必要なエネルギー量はより少ない。これは、動作温度に到達するために比較的大きなエネルギー量を供給する必要のあるエアロゾル生成材料の比較的厚い部分、例えば、400μmを超える厚さを有する部分に対して特に適していることがある。しかしながら、このような実施様態では、(例えば、電源22からの)エネルギー消費は、比較的高いことがある。
【0142】
上記では、エアロゾル供給デバイス2が使用終了表示器31を備える実施様態を説明したが、使用終了表示器31は、エアロゾル供給デバイス2から離れた別のデバイスによって提供されてもよいことを認識すべきである。例えば、いくつかの実施様態では、エアロゾル供給デバイス2の制御回路23は、例えば、エアロゾル供給デバイス2とスマートフォン又はスマートウォッチなどの遠隔デバイスとの間のデータ転送を可能にする通信機構を備えてもよい。これらの実施様態では、物品4が使用終了に到達したと制御回路23が決定すると、制御回路23は信号を遠隔デバイスに送信するように構成され、遠隔デバイスは、(例えば、スマートフォンのディスプレイを使用して)警告信号を生成するように構成される。他の遠隔デバイス、及び警告信号を生成するための他の機構が、上記のように使用されてもよい。
【0143】
加えて、エアロゾル生成材料の部分がキャリア構成要素42上に設けられるとき、これらの部分は、いくつかの実施様態では、キャリア構成要素42の平面にほぼ垂直な方向に脆弱領域、例えば、貫通孔又は比較的薄いエアロゾル生成材料の領域を含んでもよい。これは、エアロゾル生成材料の最も熱い部分がキャリア構成要素に直接接触する領域である場合(言い換えれば、熱が、キャリア構成要素42に接触するエアロゾル生成材料の表面に主に加えられるシナリオ)にあり得る。したがって、貫通孔は、キャリア構成要素42とエアロゾル生成材料44との間にエアロゾルを潜在的に蓄積させるのではなく、生成されたエアロゾルが逃げ、環境/デバイス2を通る空気の流れに放出されるための経路を提供することができる。エアロゾルのこのような蓄積は、いくつかの実施様態では、エアロゾル生成材料をキャリア構成要素42から浮き上がらせ、したがってエアロゾル生成材料への熱伝達の効率を下げるので、システムの加熱効率を下げ得る。エアロゾル生成材料の各部分は、必要に応じて1つ以上の脆弱領域を備えてもよい。
【0144】
したがって、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスが説明された。本デバイスは、エアロゾル生成材料がエアロゾル供給デバイス内に存在するときに、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱要素を備え、加熱要素は、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、その表面は、130mm2以下の領域、又はいくつかの実施様態では、145mm2以下の領域、又はいくつかのさらなる実施様態では、170mm2以下の領域を画定する。したがって、十分なエアロゾルを生成することができ、空間的に効率的であるデバイスが提供される。エアロゾル供給システム及びエアロゾルを生成するための方法についても説明されている。
【0145】
上記の実施形態は、いくつかの点で、いくつかの特定の例示的なエアロゾル供給システムに注目したが、同じ原理を他の技術を使ったエアロゾル供給システムに対して適用することができることは認識されよう。すなわち、エアロゾル供給システムの様々な態様が機能する特定の態様は、本明細書で説明した例の基本的な原理には直接関係しない。
【0146】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示は、特許請求される発明(複数可)を実施することが可能な様々な実施形態を例証によって示している。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうちの代表的な例にすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求される発明(複数可)の理解及び教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、又は特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができること、及び変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、本明細書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、又は実質的にそれらから構成されてもよく、したがって、従属請求項の特徴は、特許請求の範囲に明示的に記載されたもの以外の組合せで、独立請求項の特徴と組み合わされてもよいことは認識されよう。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含む可能性がある。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスであって、
前記エアロゾル生成材料が前記エアロゾル供給デバイス内に存在するときに、エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱要素を備え、
前記加熱要素が、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、前記表面が145mm2以下の領域を画定し、
前記加熱要素の前記表面が平面状であり、
前記加熱要素の前記表面が円形で7.1~9.8mmの直径を有する、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が40~75mm
2
の領域を画定する、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記加熱要素は、導電性プレート、または抵抗通路が配置された電気絶縁基板を備える、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記加熱要素の表面が、エアロゾル生成品のための受け部の内面の一部を形成する、請求項1~3の何れか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記加熱要素がコイルを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記加熱要素がサセプタを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
それぞれが、145mm2以下の領域を画定する表面を有する複数の加熱要素を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記複数の加熱要素の前記表面のそれぞれによって画定される前記領域が同じである、請求項7に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
20以下の加熱要素を備える、請求項7又は8に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記複数の加熱要素が互いに間隔を置いて配置され、隣り合う加熱要素の間の最短距離が1.5~5mmである、請求項7、8、又は9のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記加熱要素を160℃~350℃の温度に加熱するように構成された、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給システムであって、
エアロゾル生成材料と、
エアロゾル生成材料と隣り合うように配置された少なくとも1つの加熱要素とを備え、
前記加熱要素が、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、前記表面が145mm2以下の領域を画定し、
前記加熱要素の前記表面が平面状であり、
前記加熱要素の前記表面が円形で7.1~9.8mmの直径を有する、エアロゾル供給システム。
【請求項13】
エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された前記加熱要素の前記表面が40~75mm2の領域を画定する、請求項12に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
前記加熱要素は、導電性プレート、または抵抗通路が配置された電気絶縁基板を備える、請求項12又は13に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項15】
前記加熱要素の表面が、エアロゾル生成品のための受け部の内面の一部を形成する、請求項12~14の何れか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項16】
前記加熱要素がコイルを備える、請求項12~15のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
前記加熱要素がサセプタを備える、請求項12~16のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
それぞれが、145mm2以下の領域を画定する表面を有する複数の加熱要素を備える、請求項12~17のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項19】
前記複数の加熱要素の前記表面のそれぞれによって画定される前記領域が同じである、請求項18に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項20】
20以下の加熱要素を備える、請求項18又は19に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項21】
前記複数の加熱要素が互いに間隔を置いて配置され、隣り合う加熱要素の間の最短距離が1.5~5mmである、請求項18、19、又は20に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項22】
前記システムが、前記加熱要素を160℃~350℃の温度に加熱するように構成された、請求項12~21のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項23】
前記エアロゾル生成材料が、0.05~0.4mmの厚さを有するように構成された、請求項12~22のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項24】
前記エアロゾル生成材料が非晶質固体である、請求項12~23のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項25】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、
エアロゾル生成材料を加熱要素の近くに配置するステップと、
前記加熱要素を加熱して、前記エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるステップとを含み、
前記加熱要素が、エネルギーを供給されると温度が上昇するように構成された表面を有し、前記表面が145mm2以下の領域を画定し、
前記加熱要素の前記表面が平面状であり、
前記加熱要素の前記表面が円形で7.1~9.8mmの直径を有する、方法。
【外国語明細書】