(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095679
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】容器を充填するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B65B 3/12 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B65B3/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024040325
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2020559542の分割
【原出願日】2019-04-29
(31)【優先権主張番号】62/791,850
(32)【優先日】2019-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/663,927
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】500287639
【氏名又は名称】ミレニアム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ガラス,リチャード ジョン,ジュニア
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA01
3E118AB15
3E118AB17
3E118BB21
3E118EA03
3E118EA05
3E118FA07
3E118FA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】充填液を分配するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】充填システムは、分配のために充填液を保持するリザーバとリザーバに流体結合されたポンプおよび充填ノズルを含む。プロセッサは、実行されると、充填液の少なくとも1つの入力流体特性を受信し、流体特性に少なくとも部分的に基づいて、充填動作中のポンプの動作を制御するための動作パラメータの少なくとも1つのセットを生成する充填モジュールを実行する。生成された動作パラメータのセットにより、ポンプの制御が可能になり、充填液が充填ノズルを通して分配され、充填液が充填ノズルから分配された後、安定した静止プロファイルを有する流体界面が、ノズル開口部に隣接する充填ノズル内の充填液に形成される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填システムであって、
分配用の充填液を保持するリザーバ、
前記リザーバに流体結合され、ノズル開口部を通して前記充填液を分配するように構成
された少なくとも1つの充填ノズル、
前記リザーバ及び前記少なくとも1つの充填ノズルに流体結合され、前記充填液を前記
少なくとも1つの充填ノズルに、前記ノズル開口部を通して分配するように構成されたポ
ンプ、及び
前記ポンプに動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサと、中に充填モジュー
ルを格納するメモリを備え、前記少なくとも1つのプロセッサが前記充填モジュールに、
前記充填液の少なくとも1つの流体特性を受信すること、
前記少なくとも1つの流体特性に少なくとも部分的に基づいて、前記充填液が前記少な
くとも1つの充填ノズルから分配された後に前記ノズル開口部に隣接する前記充填ノズル
内の前記充填液に、安定した静止プロファイルの流体界面が形成されるように、前記ノズ
ル開口部を通して前記充填液を分配するための少なくとも1セットの動作パラメータを生
成すること、及び
前記少なくとも1セットの動作パラメータが、充填の処置中に前記ノズル開口部を通し
て前記充填液を分配するための前記ポンプの制御を可能にする、前記少なくとも1セット
の動作パラメータを出力すること、
を実行させるように構成されている、
前記充填システム。
【請求項2】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが、前記ポンプの逆流速度を含む、請求項1
に記載の充填システム。
【請求項3】
逆流速度が修正版テイラーの法則方程式
【数2】
を満たすように選択され、h/rは所定の最大値未満であり、h/rは形成された膜厚を
前記ノズル開口部の半径で割ったもので、Caは(前記充填液の流体粘度*逆流速度)/
周囲環境流体に対する前記充填液の流体表面張力に等しい、請求項1または2に記載の充
填システム。
【請求項4】
前記充填モジュールは、さらに実行されると、
少なくとも部分的に前記少なくとも1つの流体特性に基づいて、前記ノズル開口部を通し
て分配される充填液の安定したジェットが充填中に崩れないように、前記ノズル開口部を
通して前記充填液を分配するための前記少なくとも1セットの動作パラメータを生成する
、請求項1から3のいずれか一項に記載の充填システム。
【請求項5】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが生成されて、充填液の前記安定したジェッ
トが前記ノズル開口部を通して、下に、充填容器の底部へと分配されるに至るオーネゾル
ゲ数を生成する、請求項4に記載の充填システム。
【請求項6】
前記少なくとも1セットの動作パラメータは、前記充填液で少なくとも1つの容器を充
填するために前記ポンプの制御を可能にする、請求項5に記載の充填システム。
【請求項7】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが、動作パラメータの範囲を含む、請求項5
に記載の充填システム。
【請求項8】
前記充填モジュールを実行すると、前記充填モジュールが、少なくとも1つの追加のシ
ステムパラメータを受信し、前記少なくとも1つの追加のシステムパラメータに少なくと
も部分的に基づいて、前記少なくとも1セットの動作パラメータを生成する、請求項5か
ら7のいずれか一項に記載の充填システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの追加のシステムパラメータは、
前記少なくとも1つのノズルのノズル半径、
前記少なくとも1つのノズルのノズル材料、
前記少なくとも1つのノズルと前記充填液との間の接触角、及び
前記充填液の正味の加速度、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の充填システム。
【請求項10】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが0.842未満のボンド数を確立するよう
に生成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の充填システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの流体パラメータが、前記充填液の組成、密度及び表面張力のうち
の少なくとも1つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の充填システム。
【請求項12】
前記充填モジュールは、前記動作プロセッサ及び前記メモリのうちの少なくとも1つに
動作可能に結合され、前記少なくとも1つの流体特性の入力を受信するように構成された
入力デバイスを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の充填システム。
【請求項13】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが、充填動作を実行するための時間パラメー
タを満たす、請求項1から9のいずれか一項に記載の充填システム。
【請求項14】
充填システムであって、
分配用の充填液を保持するリザーバ、及び
前記リザーバに流体結合されて、ノズル半径(r)を画定するノズル開口部を通して前
記充填液を分配するための少なくとも1つの充填ノズルであって、前記充填液が密度差(
ρ)、流体表面張力の差(γ)、及び正味の加速度(a)を定義し、前記充填液が前記少
なくとも1つの充填ノズルから分配された後、前記ノズル開口部に隣接する前記充填液に
安定した流体界面を形成し、前記安定した流体界面が静的界面及び/または制御されたプ
ラグ量を有する、前記少なくとも1つの充填ノズルを含む、前記充填システム。
【請求項15】
前記ノズル半径、前記充填液、前記密度差、前記流体表面張力の差、及び前記正味の加
速度は、式((ρ*a*r2)/γ)<0.842を満たすように定義される、請求項1
4に記載のシステム。
【請求項16】
前記安定した流体界面を形成する際に、前記充填液が前記少なくとも1つの充填ノズル
内の対流乾燥に起因する質量損失を最小化する流体プロファイルを有する、請求項14ま
たは15に記載のシステム。
【請求項17】
前記正味の加速度が重力加速度である、請求項14から16のいずれか一項に記載のシ
ステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの充填ノズルが充填針である、請求項14から17のいずれか一項
に記載のシステム。
【請求項19】
前記充填針がステンレス鋼を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ノズル開口部を通して前記充填液を分配する、前記リザーバに流体結合されたポン
プをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
前記ポンプに動作可能に結合され、前記ポンプの少なくとも1つのポンプパラメータを
調整することにより、安定した静止プロファイルで流体界面を維持するように構成された
コントローラをさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの充填ノズルに結合され、前記コントローラに動作可能に結合され
たノズルアクチュエータであって、前記コントローラが、前記ノズルアクチュエータの少
なくとも1つのアクチュエータのパラメータを調整することにより、前記安定した静止プ
ロファイルで前記流体界面を維持するように構成されている、前記ノズルアクチュエータ
をさらに含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの充填ノズルが、第1の半径と、前記第1の半径よりも小さい第2
の半径を画定し、前記少なくとも1つの充填ノズルが前記ノズル開口部と前記少なくとも
1つの充填ノズルの本体との間に形成される前記第2の半径を有する狭い部分を有し、前
記少なくとも1つの充填ノズルの前記本体及び前記ノズル開口部が前記第1の半径を有す
る、請求項14に記載のシステム。
【請求項24】
前記充填液を保持しているリザーバから容器に充填液を分配するプロセッサ実装の方法
であって、前記リザーバに流体結合された少なくとも1つのポンプと少なくとも1つの充
填ノズルを使用し、前記少なくとも1つのポンプは前記充填液を前記少なくとも1つの充
填ノズルに分配するように構成され、前記少なくとも1つの充填ノズルは前記充填液を前
記容器に送達するように構成されたノズル開口部を含み、
入力機構を介して、前記充填液の少なくとも1つの流体特性を指定する入力を受信する
こと、
前記少なくとも1つの流体特性に少なくとも部分的に基づいて、前記充填液が前記少な
くとも1つの充填ノズルから分配された後に前記ノズル開口部に隣接する前記充填液に、
安定した静止プロファイルの流体界面が形成されるように、前記ノズル開口部を通して前
記充填液を分配するため充填の処置の間に前記ポンプを制御する少なくとも1セットの動
作パラメータを生成すること、及び
前記少なくとも1セットの動作パラメータを出力すること、を含む、前記方法。
【請求項25】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが、前記ポンプの逆流速度を含む、請求項2
4に記載の方法。
【請求項26】
前記逆流速度が修正版テイラーの法則方程式
【数3】
を満たすように選択され、h/rは所定の最大値未満であり、h/rは形成された膜厚を
前記ノズル開口部の半径で割ったもので、Caは(前記充填液の流体粘度*前記逆流速度
)/前記充填液の流体表面張力に等しい、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも部分的に前記少なくとも1つの流体特性に基づいて、前記ノズル開口部を通
して分配される充填液の安定したジェットが充填中に崩れないように、前記ノズル開口部
を通して前記充填液を分配するための前記少なくとも1セットの動作パラメータを生成す
ること、をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが生成されて、充填液の前記安定したジェッ
トが前記ノズル開口部を通して、充填される容器の底部に分配されるオーネゾルゲ数を生
成する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1セットの動作パラメータに従って前記ポンプを制御すること、及び
少なくとも1つの容器に前記充填液を充填すること、
をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが、動作パラメータの範囲を含む、請求項2
9に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの追加のシステムパラメータを受信することであって、前記少なくとも
1セットの動作パラメータが、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの追加のシステム
パラメータに基づいて生成される、前記受信すること、
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの追加のシステムパラメータが、
前記少なくとも1つのノズルのノズル半径、
前記少なくとも1つのノズルのノズル材料、
前記少なくとも1つのノズルと前記充填液との間の接触角、及び
前記充填液の正味の加速度、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが0.842未満のボンド数を確立するよう
に生成される、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの流体パラメータが、前記充填液の組成、密度及び表面張力のうち
の少なくとも1つを含む、請求項24から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1セットの動作パラメータが、充填動作を実行するための時間パラメー
タを満たす、請求項24から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
抗体Aの液剤の製造に使用するための請求項1から23のいずれか一項に記載のシステ
ム。
【請求項37】
請求項24から35のいずれか一項に記載の方法を含む、抗体Aの液剤で容器を充填す
る方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プレフィルドシリンジなどの容器を充填するためのシステム及び方法に関す
る。
【背景技術】
【0002】
充填システムは、プレフィルドシリンジなどの比較的小さな多数の容器に、比較的大き
なリザーバからの流体を充填するためによく使用される。充填システムは、リザーバ及び
1つまたは複数の充填ノズルに流体結合されたポンプを含む。大規模な充填システムでは
、ポンプは数十または数百さえもの充填ノズルに接続して、多数の個々の容器にリザーバ
からの流体を同時に充填する場合がある。ポンプは、充填ノズル(複数可)を介してリザ
ーバから個々の容器に流体を分配するために、コントローラによって自動的に制御され得
る。
【発明の概要】
【0003】
関連特許出願の相互参照
本願は、2019年1月13日出願の米国仮出願第62/791,850号及び201
8年4月27日出願の米国仮出願第62/663,927号に対する利益を主張するもの
であり、これらの両方の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
本発明の実施形態は、充填の精度を高め、閉塞を防止するように、充填ノズルを介して
容器に充填液を分配するために、特定の流体動的挙動を説明するシステム及び方法を提供
する。より具体的には、実施形態は、閉塞または汚染につながる可能性のある充填ノズル
の内部の充填液の望ましくない乾燥を回避するために流体の動的挙動も考慮しながら、容
器の過充填及び充填不足を回避するように、充填液を分配する。本明細書のシステム及び
方法は、送達デバイス内の医薬用液などの併用する製剤の反復的で正確なハイスループッ
ト製造に使用することができる。
【0005】
本明細書に開示されている例示的な一実施形態において、充填システムは、分配用の充
填液を保持するリザーバ、リザーバに流体結合され、ノズル開口部を通して充填液を分配
する少なくとも1つの充填ノズル、リザーバ及び少なくとも1つの充填ノズルに流体結合
され、充填液を充填ノズル及びノズル開口部を通して分配するように構成されたポンプ、
及びポンプに動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサと、中に充填モジュール
を格納するメモリを含む。少なくとも1つのプロセッサは、充填液の少なくとも1つの流
体特性を受信すること、少なくとも1つの流体特性に少なくとも部分的に基づいて、充填
液が少なくとも1つの充填ノズルから分配された後にノズル開口部に隣接する充填ノズル
内の充填液に、安定した静止プロファイルの流体界面が形成されるように、ノズル開口部
を通して充填液を分配するための少なくとも1セットの動作パラメータを生成すること、
及び少なくとも1セットの動作パラメータを出力することを充填モジュールに実行させる
ように構成されている。少なくとも1セットの動作パラメータは、充填の処置中にノズル
開口部を通して充填液を分配するためのポンプの制御を可能にする。
【0006】
本明細書に開示される別の例示的な実施形態では、充填システムは、分配用の充填液を
保持するリザーバ、及びリザーバに流体結合されて、ノズル半径(r)を画定するノズル
開口部を通して充填液を分配するための少なくとも1つの充填ノズルを含む。充填液が少
なくとも1つの充填ノズルから分配された後、ノズル開口部に隣接する充填液に安定した
流体界面を形成する。安定した流体界面は、静的界面及び/または制御されたプラグ量を
有する。
【0007】
別の実施形態では、充填液を保持しているリザーバから容器に充填液を分配するプロセ
ッサ実装の方法であって、リザーバに流体結合された少なくとも1つのポンプと少なくと
も1つの充填ノズルを使用する方法が開示されている。少なくとも1つの充填ノズルはノ
ズル開口部を含み、充填液をノズル開口部を通して容器に送達するように構成される。こ
の方法は、入力機構を介して、充填液の少なくとも1つの流体特性を指定する入力を受信
すること、少なくとも1つの流体特性に少なくとも部分的に基づいて、充填液が少なくと
も1つの充填ノズルから分配された後にノズル開口部に隣接する充填液に、安定した静止
プロファイルの流体界面が充填液に形成されるように、ノズル開口部を通して充填液を分
配するため充填の処置の間にポンプを制御する少なくとも1セットの動作パラメータを生
成すること、及び少なくとも1セットの動作パラメータを出力することを含む。少なくと
も1セットの動作パラメータは、充填の処置中にノズル開口部を通して充填液を分配する
ポンプの制御を可能にする。
【0008】
例示的な実施形態の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面と一緒に読まれ
た場合、以下の説明からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】充填システムの例示的な実施形態の部分的な概略図である。
【
図2】容器を充填液で充填する例示的なポンプ及び充填ノズルの断面図である。
【
図3】充填の処置の最中の様々な時点の、
図2に示す充填ノズルの動きを示す概略図である。
【
図4A】液体の滴りを示す、充填ノズルなどの毛細管の側面図である。
【
図4B】充填ノズルなどの毛細管の側面図であり、管に形成される液体プラグを示している。
【
図4C】例示的な実施形態において、滴下及びプラグ形成を阻害するための安定した液体界面を有する形成された気泡を示す充填ノズルの側面図である。
【
図5】安定した静止プロファイルを有する形成された気泡を含むピペットの側面図である。
【
図6】不安定な静止プロファイルを有する形成された気泡を含むピペットの側面図である。
【
図7】例示的な実施形態において充填システムを動作するための例示的な一連のステップを示す流れ図である。
【
図8】例示的な実施形態において充填システムを動作するための別の例示的な一連のステップを示す流れ図である。
【
図9】例示的な実施形態において充填システムを動作するためのさらなる一連のステップを示す流れ図である。
【
図10A】異なる充填ノズルの直径により生じる流れのプロファイルを実証するために、異なる直径の充填ノズルの開口部から流れる流体のカラムの図を示す。
【
図10B】異なる充填速度から生じる流れのプロファイルを実証するために、充填ノズルの開口部から流れる流体のカラムの図を示す。
【
図11】例示的な実施形態において充填システムを設計するための例示的な一連のステップを示す流れ図である。
【
図12】例示的な実施形態において充填システムを設計するための別の例示的な一連のステップを示す流れ図である。
【
図13】A及びBは、例示的な実施形態において容器を充填したときの2つの変形例の試験を示すチャートである。
【
図14】実施形態での使用に適した例示的なコンピューティングデバイスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、充填の精度を高め、材料の閉塞を防止するように、充填ノズルを
通して充填液で容器を充填するためのシステム及び方法を提供する。より具体的には、実
施形態は、流体が過剰充填によって充填の精度に影響を与えるか、ノズルから滴り落ちて
充填不足をもたらす可能性がある、充填ノズルの底部に向かう充填液の流れを阻害する。
さらに、ノズルの端にある流体は、充填ノズル内で乾燥し、閉塞を引き起こす可能性があ
る。充填液は、密度(ρ)、流体の表面張力(γ)、及び正味の加速度(a)を規定する
。したがって、いくつかの実施形態では、充填システムは、プロセッサと、プロセッサに
よる実行時に、充填液の少なくとも1つの入力される流体の特性に基づいて1つまたは複
数のセットの動作パラメータを生成する充填モジュールを保持するメモリとを有する。1
つまたは複数のセットの動作パラメータは、充填液が充填ノズルから分配された後、充填
ノズル内で安定した静止プロファイルを有する流体界面を形成するように、充填液を充填
ノズルを通して分配するポンプの制御を可能にする。
【0011】
これより、図面、より具体的には
図1及び
図2を参照すると、充填システム100の例
示的な実施形態が示されている。充填システム100は、バイアル、カートリッジ、シリ
ンジ、及びプレフィルドシリンジなどであるがこれらに限定されない容器に分配するため
の充填液を保持する、ブレークタンクとして示されるリザーバ110を含む。充填針とし
て示される少なくとも1つの充填ノズル120は、充填ノズル120に形成されるノズル
開口部221(
図2に示す)を通して充填液を分配するためにリザーバ110に流体結合
されている。ポンプ130は、リザーバ110及び充填ノズル120に流体結合されて、
充填液をリザーバ110からノズル開口部221を通るように強い、充填液をノズル開口
部221を介して分配する。いくつかの実施形態では、充填ノズル120は、Yコネクタ
として示される、ポンプ130の第1のコネクタ131に流体結合されたノズルチュービ
ング122を介して、ポンプ130を通してリザーバ110に流体結合する。ポンプ13
0は、リザーバ110を4方向分配器として示される分配器140に結合する第1のチュ
ービング123、及び同様にYコネクタとして示されているポンプ130の第2のコネク
タ132に分配器140を流体結合する第2のチュービング124を介して、リザーバ1
10に流体結合し得る。システム100内のチュービング122、123、124は、シ
リコーンまたは他の材料を含み得、分配される充填液及び所望の充填率に応じて、可変の
チュービング直径を有し得る。
【0012】
充填システム100は、ポンプ130に動作可能に結合されたプロセッサ150及びメ
モリ160を含む。メモリ160は、その中に格納された充填モジュールを有し、これは
、プロセッサ150によって実行され、本明細書でさらに説明される。充填モジュールは
、1つまたは複数のソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、また
は他のコードベースのユニット、またはプロセッサ150を含む1つまたは複数のプロセ
ッサによって実行されるように構成された命令を含み得る。いくつかの実施形態では、プ
ロセッサ150及びメモリ160は、充填モジュールにデータを入力するためのキーボー
ド、タッチスクリーンなどの入力171も含むコンピューティングデバイス170の一部
である。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、本明細書でさ
らに説明するように、充填システム100の機能を制御するためのグラフィックスを表示
するためにプロセッサ150に動作可能に結合されたディスプレイ172を含む。プロセ
ッサ150は、ネットワークを介して直接的または間接的に、無線または有線接続によっ
てポンプ130に動作可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、プロセッ
サ150は、ルータまたは同様の要素を介して複数のポンプに動作可能に結合して、複数
のポンプを同時に制御する。いくつかの実施形態において、ポンプ130は、例えば、プ
ロセッサ150に由来するポンプ動作命令を格納する、ポンプメモリ133を含む。
【0013】
これより特に
図2を参照すると、ポンプ130及び充填ノズル120がより詳細に示さ
れている。ポンプ130は、回転して、第1のコネクタ131及び第2のコネクタ132
の両方に流体結合されたポンプチュービング134を通して充填液を分配して、シリンジ
リザーバとして示される、容器220を充填するために充填ノズル120に充填液を圧送
する蠕動ポンプとして示されている。いくつかの実施形態では、ポンプ130は、矢印R
として示される一方向に回転して、充填ノズル120を通して充填液を分配し、矢印Oと
して示される反対方向に回転して、充填液を充填ノズル120に引き戻すように構成され
る。このような機能は、一般に、液滴232などの充填液の液滴を充填ノズル120に引
き戻すための逆流または「サックバック」機能として知られており、本明細書でさらに説
明する。ポンプ130は蠕動ポンプとして示されているが、ロータリーポンプなどの他の
タイプのポンプもまた、充填システム100に含まれ得る。
【0014】
1つの例示的な実施形態では、蠕動ポンプの例示的なポンプヘッドは、直径60mmを
有し、流体経路ごとに3つの等間隔の10mmカムからなる。ポンプチュービングは、ポ
ンプヘッドに130~140°で追従する。ポンプヘッドの周りの回転角度とチュービン
グID(管の内径を示す)の組み合わせにより、分配される液体の量が決まる。したがっ
て、チュービングIDは1回転での体積を決める。IDが大きいほど、1回転あたりより
多くの液体が分配される。その結果、同じポンプパラメータでは、異なるチュービング直
径が使用される場合に流量が異なることになり得る。プログラム可能な例示的なパラメー
タは、以下の表に概説されている。
ポンプヘッドパラメータ
【0015】
充填ノズル/針におけるこれらのパラメータの流体への影響はまた、充填ノズル/針の
直径を示す充填ノズル/針ID内径(IDが大きいほど、1回転あたりの流体速度は遅く
なる)、ポンプチュービングID、及び流体経路/ポンプヘッドの数の関数であること、
ならびに説明されているポンプのパラメータは説明のみを目的として追加されていること
を理解されたい。本発明の実施形態は、記載されたパラメータに限定されず、ポンプ及び
他の動作特性は、本発明の範囲内であると見なされるべきである。
【0016】
いくつかの実施形態では、これより
図3を参照すると、充填ノズル120は、充填中に
、同じくプロセッサ150に動作可能に結合されるノズルアクチュエータ310によって
、容器220内の異なる位置に移動される。ノズルアクチュエータ310は、例えば、容
器220の上方の初期充填位置311で開始することができる。充填の処置が開始すると
、ノズルアクチュエータ310は、充填ノズル120を、容器220の充填中に充填ノズ
ル120が到達する容器220の閉端321に最も近い点である、容器220内部の初期
充填点312に移動させる。リザーバ110からの充填液が充填ノズル120を通して容
器220を充填すると、ノズルアクチュエータ310は、容器220の閉端321に対し
て充填ノズル120を上昇させる。ノズルアクチュエータ310は、容器220内部の充
填ノズル120を、容器220内の最終的な充填点313まで上昇させる。充填の処置が
終了し、容器220が充填液で満たされると、ノズルアクチュエータ310は、ノズルア
クチュエータ310を容器220の上方の初期充填位置311に戻し、空の容器が、充填
システム100による充填のため、既に満杯の容器220に置き換えられる。
【0017】
プロセッサ150は、メモリ160に格納された充填モジュールを実行して、ポンプ1
30及びノズルアクチュエータ310などの充填システム100の様々な要素を動作させ
て、本明細書に記載されるような特定される動作パラメータに従って、空の容器をリザー
バ110からの充填液で自動的に充填することができる。いくつかの実施形態では、充填
モジュールは、充填の処置を開始する前に、充填用の容器を充填ノズル120及びノズル
アクチュエータ310の下の充填位置に移動させる容器コンベヤなどの他の要素に動作可
能に結合される。容器が充填位置にくると、充填モジュールは、1つまたは複数の信号を
ノズルアクチュエータ310に出力して、充填ノズル120を容器220内に下げ、ポン
プ130を回転させ、そのため充填液がノズル開口部221から容器に分配される。充填
の処置の間、充填モジュールはまた、前述のように、ノズルアクチュエータ310に信号
を送り、充填ノズル120を上昇させることができる。
【0018】
容器220が流体で満たされた後、充填モジュールは、ポンプ130に信号を送り、サ
ックバック機能を実行して、全ての残りの充填液をノズル開口部221から充填ノズル1
20に引き戻し、ノズル開口部221からの滴りを防ぐことができる。充填モジュールは
また、充填の処置を再開する前に、ノズルアクチュエータ310に信号を送って初期充填
位置311に戻らせ、容器コンベヤに新しい容器を充填位置に移動させることができる。
充填の処置は、例えば、リザーバ110が空になる、または所望の数の容器が充填液で満
たされるまで、必要に応じてループで繰り返すことができる。
【0019】
従来の充填システムの様々な動作パラメータは、充填液の無駄と、充填の処置中の容器
の一貫性のない充填に至る。例えば、充填液は、時に充填ノズル120から滴り落ち、充
填された容器が充填位置を離れてから新しい容器が充填位置に移動するまでの期間、無駄
になる。
【0020】
充填ノズル120の端部の液滴401が
図4Aに示されている。この滴りの無駄は、安
価な充填液に対しては許容できる場合があるが、生物学的製剤などの特定の充填液は非常
に高額になっているため、充填システム100の複数の充填ノズル120からの滴りの無
駄は、総計が重大な収益の損失に達する。さらに、充填液が充填ノズル120を出るとき
の容器の充填液の飛沫は、容器の充填不足につながる可能性がある。充填液が、プレフィ
ルドシリンジに入る製剤である場合、プレフィルドシリンジの比較的少量の充填不足は、
患者に低用量をもたらすリスクなどに起因して、プレフィルドシリンジが分配の際に拒ま
れる理由となり得る。
【0021】
滴りの無駄に対処するために、前述のサックバック機能は、新しい容器が充填位置に移
動する間で、充填の処置の最後に実行できる。サックバック機能は、ノズル開口部221
で形成され得る液滴を充填ノズル120に引き戻し、滴りの無駄を低減する。サックバッ
ク機能は滴りの無駄な使用を削減するが、滴りの無駄を排除するのに完全に有効というわ
けではない。
【0022】
サックバック機能の使用にも欠点がある。
図4Bに示すように、サックバック機能を使
用した場合、空気が充填ノズル120に入り、充填ノズル120の内部に気泡402を形
成することがある。気泡402は、充填ノズル120の内部の液体を、気泡402の一方
の側の第1の部分403Aと、ノズル開口部221に隣接する気泡402の反対側の第2
の部分403Bとに分離する。
【0023】
第2の部分403Bは、容器が充填されるときに容器に分配される些細ではない量の充
填液であり得るが、充填システム100の動作が2分間の短さで中断されるとき、より大
きな問題が生じる。
図4Bから理解できるように、充填液の第2の部分403Bは、充填
ノズル120の外側の環境に曝されている。従来のシステムで起こり得るように、充填液
の第2の部分403Bが充填ノズル120の内部に2分以上留まると、充填液の第2の部
分403Bは、特に充填液がキャリア流体において1つまたは複数のタンパク質などのか
なりの量の溶解した固体の有効成分を含む場合に、充填ノズル120の内部で乾燥し、固
体のプラグを形成し得る。充填システム100が容器の充填を再開しようとするとき、形
成された固体材料のプラグが充填ノズル120を詰まらせ、充填システム100の動作を
妨害し、充填システムのさらなる停止につながる可能性がある。
【0024】
あるいは、従来のシステムにはさらなる問題が存在する。充填ノズル120から分配さ
れる充填液の第1の部分403Aが、形成された膜を溶解して、充填される容器に固体有
効成分を運び得るためである。これにより、容器に分配される有効成分の量が大幅に増加
する可能性がある。製剤の用量は、宣伝されている用量と比較される充填の精度に関して
厳しい規制の対象となるため、プレフィルドシリンジの有効成分の量が増加することはま
た、分配の際プレフィルドシリンジを拒む理由であり、著しい製品の無駄を表す。
【0025】
前述の問題に対処する試みから、充填システムの適切な動作パラメータを見つけるため
の試行錯誤の試験に焦点を合わせてきた。試行錯誤の試験により、充填システムの動作に
いくつかの改善がもたらされたが、そのような試験は、特定の問題の根本的な原因に対処
していない。したがって、新しい充填液が充填システムから分配されるたびに、充填シス
テムの許容可能な動作パラメータを判定するべく、広範な試行錯誤の試験が必要であった
。また、試行錯誤の試験は時間も費用もかかる。試行錯誤の試験は、許容可能な動作パラ
メータを判定するためにかなりの時間を必要とするだけでなく、代理の流体、充填システ
ムの「試験セットアップ」の処方などの費用に追加する他の要件もある。
【0026】
充填の処置をする間の無駄な滴り及び一貫性のない充填量という問題に対処するために
、これより
図1及び
図4Cに示すように、本明細書に開示される充填システム100は、
滴り及び一貫性のない充填を引き起こす流体の動的挙動を説明するように構成される。特
に
図4Cを参照すると、充填ノズル120のノズル開口部221に隣接する安定した静止
プロファイルを有する、気泡411であり得る流体界面の形成が、
図4Aに示されるよう
な充填ノズル120の外側の充填液の液滴形成を阻害する安定した流体界面412をもた
らし、また、
図4Bに示されるような充填ノズル120の内側の固体プラグの形成を阻害
することが発見された。いくつかの実施形態では、安定した流体界面412は、完全に形
成された、すなわち閉じた気泡、または部分的に形成された、すなわち大気に開放された
気泡の一部であり得る。本質的に、気泡411は、充填液がノズル開口部221から滴り
落ちるのを防ぐのに十分な長さを有する一方で、ノズル開口部221において充填ノズル
120の内部に重大な液体プラグの形成をもたらす過度の長さを備えていない。したがっ
て、安定した静止プロファイルを有する気泡411がノズル開口部221に隣接して形成
される場合、充填液が安定して充填ノズル120の内部に保持され、流体成分の蒸発に抗
うため、充填ノズル120の内部の充填液は、充填ノズル120の内部での乾燥及びノズ
ル開口部221からの滴りに抗う。一実施形態では、充填液は、充填針の開口部から退い
た安定した静止プロファイルを作り出すことによって、対流乾燥に起因する質量損失を最
小限に抑える流体プロファイルを備える。一実施形態では、退縮の量は、周囲環境流体、
例えば、充填ノズルの周りに流れる空気による。
【0027】
安定した静止プロファイルを備えた気泡411を形成するために、充填液の様々な流体
特性及び充填システム100の動作パラメータを制御できることが発見された。気泡が完
全に形成された気泡でなくても、充填ノズル120の内部の充填液のボンド数(Bo)が
0.842という値未満である場合、安定した静止プロファイルを有する気泡411を達
成することができる。充填ノズル内の充填液のボンド数0.842は、それを超えるとプ
ロファイルが安定しない理論上の限界を表すが、ボンド数の値が0.842をわずかに超
える場合でも、状況によっては有用な気泡が得られる場合があることを理解されたい。
【0028】
ボンド数(時にエトヴェシュ数とも呼ばれる)(表面張力に対する重力の比)を臨界値
未満に保つための充填システム100の動作パラメータは、式ρgr
2/γ<0.842
によって求めることができ、式中ρは周囲環境流体(空気、不活性ガス、油、アルコール
など)に対する充填液の密度差であり、gは流体の正味の加速度(充填ノズル120が移
動していないときの重力の加速度に等しい)であり、rは充填ノズル120の半径であり
(
図4Cに示されている)、γは周囲環境流体に対する充填液の流体表面張力である。説
明を容易にするために、本明細書では、周囲環境流体は空気であり、充填液の密度差及び
流体表面張力への影響は無視できると仮定している。周囲環境流体が充填液の密度差及び
流体表面張力に無視できない影響を与える環境で充填の処置が行われる特定のシナリオで
は、周囲環境流体の影響を考慮する必要がある場合がある。
【0029】
特定の充填液の密度差(p)は、充填システム100の動作パラメータ、充填液の正味
の加速度、充填ノズル120の半径r、及び充填液と充填ノズル120との間の流体表面
張力に関係なく、概して一定であるため、0.842未満というボンド数の値を達成する
ための制御可能なパラメータを表すことができる。充填液の流体表面張力は、例えば、前
述のように、充填ノズルの周囲の流体、すなわち周囲環境流体120を調整することによ
って変更することができ、これは、充填液の流体表面張力に影響を与える。いくつかの例
示的な実施形態では、充填液の流体表面張力は、例えば、充填ノズル120の材料が変化
しない、すなわち、充填液の流体表面張力も一定であると仮定することによって制御する
ことができる。いくつかの実施形態では、充填ノズル120は、ステンレス鋼などの金属
材料を含み得る。本明細書で使用される場合、充填液の密度及び流体表面張力はそれぞれ
、充填液の「流体特性」と呼ばれることがあり、当技術分野で知られている方法に従って
提供または測定され得る。充填液の他の流体特性には、粘度、圧縮率などが含まれ得るが
、これらに限定されない。
【0030】
流体表面張力が一定であると仮定される場合、制御する変数は、充填液の正味の加速度
及び充填ノズル120の半径rのみであり、これらは、充填液の流体特性とは異なる充填
システム100の動作パラメータと言及され得る。いくつかの例示的な実施形態では、充
填液の正味の加速度及び充填ノズル120の半径rは、方程式(g*r2)<(0.84
2*γ/ρ)を満たすように制御することができる。充填液の正味の加速度は、例えば、
充填液に作用する重力の結果としての正味の加速度、ポンプ120の逆方向の流れ/サッ
クバック機能に起因する反対の加速度、ノズルアクチュエータ310による充填ノズル1
20及び充填液の動き、またはこれらの力の任意の組み合わせがあり得る。いくつかの例
示的な実施形態では、ステンレス鋼またはプラスチックであり得る充填ノズル120の材
料はまた、充填ノズルまたはその上のコーティングの組成が流体の速度に影響を及ぼし得
るので、充填システム100の動作パラメータであり得る。
【0031】
充填システム100を動作するために、これより
図7に示すように、プロセッサ150
は、メモリ160に格納された充填モジュールを実行して、ステップ701、702、及
び703、及びいくつかの実施形態では、ステップ704、705、及び706を含む方
法700を実行するように構成される。ステップ701は、充填液の少なくとも1つの流
体特性を充填システム100に入力することを含む。いくつかの実施形態では、少なくと
も1つの流体特性は、前述のように、充填液の密度であり、キーボードであり得る入力1
71を介して、コンピューティングデバイス170に入力される。いくつかの実施形態で
は、流体特性は、ユーザによって充填モジュールに直接入力されるのではなく、データベ
ースから充填モジュールによって受信され、それは、メモリ160に格納されても、また
は別の要素から充填モジュールに通信されてもよい。例えば、ユーザは、特定の流体に対
応するディスプレイ172に示されるグラフィックを選択することができ、充填モジュー
ルは、次いでメモリ160に問い合わせて、充填モジュールへの入力のためにメモリ16
0に格納されたデータベースから、選択された流体の1つまたは複数の流体特性を引き出
す。
【0032】
ステップ702は、少なくとも1つの流体特性に少なくとも部分的に基づいて、充填液
が充填ノズル120から分配された後に、ノズル開口部221に隣接する充填ノズル12
0内の充填液に、安定した静止プロファイルの気泡が形成されるように、ノズル開口部2
21を通して充填液を分配するための少なくとも1セットの動作パラメータを生成するこ
とを含む。いくつかの実施形態では、1セットの動作パラメータを生成して、前述のよう
に、臨界値0.842未満のボンド数を確立することができる。例えば、1つまたは複数
のセットの動作パラメータを生成することは、0.842未満のボンド数を確立するため
に必要なポンプ及び他の動作パラメータの範囲を識別するための1つまたは複数の流体特
性の入力に基づくことができる。いくつかの実施形態では、充填モジュールは、特定の流
体特性または動作パラメータから間接的にボンド数を確立するように構成される。例えば
、充填液の質量及び体積を充填モジュールに入力することができ、その後、臨界値未満の
ボンド数を確立する一環として、流体の密度を判定することができる。別の実施形態では
、充填液の密度は、充填モジュールに直接入力することができる。
【0033】
また、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の動作パラメータを充填モジュールに
入力して、調整可能な可変の動作パラメータの数を減らすこともできる。例えば、充填ノ
ズル120の半径rは、定数として入力することができ、充填モジュールはその後、半径
rが一定に保たれていることに基づいて、1つまたは複数のセットの動作パラメータを生
成する。そのようなシナリオでは、1つまたは複数のセットの動作パラメータは、(流体
表面張力を制御するために)使用され得る充填ノズル120のプラスチック、ステンレス
鋼、またはその上のコーティングまたは構造物などの可能な材料、及び充填液の正味の加
速度に影響を与える動作パラメータを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実
施形態では、少なくとも1セットの動作パラメータは、臨界値0.842未満のボンド数
を確立するために、ポンプ130の「サックバック速度」と呼ばれ得る逆流速度など、単
一の変数のみを含み得る。したがって、少なくとも1セットの動作パラメータを生成する
ことは、充填システム100に入力された少なくとも1つの流体特性、及び、もしあれば
、定数を保持している動作パラメータ(複数可)に応じて、多くの異なる方法で変動し得
ることを理解されたい。例えば、表面張力が流体特性として入力されると、システムはボ
ンド数の関係を使用して密度を判定し、次いでこれら2つの値から設計空間を計算する。
【0034】
ステップ703は、少なくとも1セットの動作パラメータを出力することを含む。出力
動作パラメータ(複数可)のセットは、前述の充填の処置などの充填の処置をする間に、
ノズル開口部120を通して充填液を分配するときに、ポンプ130の制御を可能にする
。いくつかの例示的な実施形態では、動作パラメータのセットは、少なくとも、例えば順
方向の回転速度、サックバック機能のサックバック速度、加速(順方向/逆方向)、減速
(順方向/逆方向)、ポンプ130の起動のためのタイミングパラメータなどを含むポン
プ130のポンプ動作パラメータを含む。いくつかの実施形態では、動作パラメータのセ
ット(複数可)は、例えば、充填ノズル120、ノズルアクチュエータ310の起動用の
タイミングパラメータ、ダイブする針の動きなどを伝えるためのノズルアクチュエータ3
10の移動速度を含む、ノズルアクチュエータ310のノズル移動パラメータを含む。制
御され得る他の動作パラメータは、充填ノズル120の直径、充填ノズルの組成などを含
む。したがって、出力される動作パラメータのセット(複数可)が、充填システム100
の一部または全ての構成要素の自動制御を可能にして、例えば充填の処置が中断された場
合に充填液を分配した後、充填液にて安定した静止プロファイルの気泡が形成されるよう
に、容器を充填するよう出力できることを理解されたい。代替的に、出力される動作パラ
メータのセット(複数可)は、充填システム100の一部または全ての構成要素の手動制
御のためにユーザに表示することができる
【0035】
いくつかの例示的な実施形態では、生成された動作パラメータのセット(複数可)は、
充填システム100の動作パラメータの選択を補助するために出力される。例えば、動作
パラメータのセット(複数可)は、生成された動作パラメータを示す視覚要素を表示する
ために、コンピューティング要素170のディスプレイ172に出力され得る。そのよう
な出力は、例えば、充填システム100が、ポンプ130及びノズルアクチュエータ31
0のパラメータなどの充填モジュールによって制御される特定のパラメータ、及び充填ノ
ズル120を手動で交換することによって調整することができる、半径rや充填ノズル1
20の組成などの、手動で調整されなければならない他のパラメータを有する場合に、必
要とされ得る。いくつかの実施形態では、充填モジュールは、少なくとも1セットの動作
パラメータを生成及び出力するだけであり、充填システムの他の機能を制御しない。例え
ば、充填モジュールは、ネットワークを介して遠隔地にある別のコンピューティングデバ
イスに動作パラメータのセット(複数可)を出力するか、そうでなければ、オフサイトポ
ンプまたは充填システムの他の構成要素の制御を可能にすることができる。したがって、
充填システム100は、複数のプロセッサを含み得ることを理解されたい。
【0036】
ステップ704は、プロセッサ150が、少なくとも1セットの動作パラメータに応じ
てポンプ130を制御し、充填液で容器220などの少なくとも1つの容器を充填するた
めの充填モジュールを実行することを含む。いくつかの実施形態では、充填モジュールは
、充填の処置の間、ポンプ130を継続的に制御する。いくつかの実施形態では、充填モ
ジュールは、動作パラメータのセット(複数可)の一部または全体をポンプ130に出力
し、次いでそれは、充填モジュールによって別様に指示されるまで、動作パラメータに従
って自動的に動作する。同様に、充填モジュールは、動作パラメータのセット(複数可)
の一部または全体をノズルアクチュエータ310に出力することができ、充填モジュール
によって継続的に制御され得るか、充填モジュールによって別様に指示されるまで動作パ
ラメータに従って自動的に動作し得る。ポンプ130及びノズルアクチュエータ310は
、動作パラメータを受信し、充填モジュールによって制御されると説明されているが、容
器コンベヤなどの充填システム150の他の構成要素もまた、同様に充填モジュールによ
って制御され得ることを理解されたい。
【0037】
ステップ705は、少なくとも1つの追加のシステムパラメータを受信し、少なくとも
1つの追加のシステムパラメータに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1セットの
動作パラメータを生成することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加
のシステムパラメータは、充填ノズル120の半径r、充填ノズル120の組成、充填ノ
ズル120の正味の加速度、充填の処置の間の流体充填などの、充填システム100の1
つまたは複数の動作パラメータである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加
のシステムパラメータは、ポンプ130のモデル及び/またはチュービング122、12
3、124のうちの1つまたは複数などの組成など、充填システム100の動作に影響を
与える異なるパラメータである。例えば、ポンプ130のモデルは、動作中に充填システ
ム100によって達成され得る可能なサックバック速度に影響を及ぼし、システムの他の
動作パラメータに影響を及ぼし得る。したがって、少なくとも1つの追加のシステムパラ
メータは、充填液の流体の動きに直接影響を与えないが、生成され得る可能な動作パラメ
ータに影響を与えることを理解されたい。少なくとも1セットの動作パラメータを生成す
る際に使用するために、多くの異なる追加のシステムパラメータを受信することができる
ことをさらに理解されたい。
【0038】
前述のように、充填ノズル内の充填液に安定した静止プロファイルを有する気泡411
を形成することにより、ノズル開口部221からの充填液の滴下及び充填ノズル120内
部の充填液の乾燥が抑制される。しかし、安定した静止プロファイルの気泡411を形成
することは、充填システム100が作動していないときなど、静止中に液体プラグが膨張
するのを防ぐように作用するのみである。気泡411(または安定した流体界面412)
がサックバック中に充填液よりわずかに速く上昇するため、サックバック機能中に液体プ
ラグが依然として充填ノズル120に形成され得る。充填液と比較した、気泡の上昇速度
におけるこの不一致から、いくらかの充填液が気泡411から逃れて、充填ノズル120
の壁に膜を形成するに至り、それは乾燥して比較的小さな液体プラグを形成し得る。
【0039】
図8は、膜の厚さを最小化するために充填システム100を動作するための方法800
を説明している。方法800は、方法700のステップ701、702、及び703を含
み、いくつかの実施形態では、ステップ704及び705を含み、追加のステップ806
も含む。ステップ806は、h/rが所定の最大値未満であるよう修正版(Modifi
ed)テイラーの法則方程式h/r=1.34*Ca
2/3/(1+1.34*2.5Ca
2/3)を満たす少なくとも1セットの動作パラメータにおける動作パラメータの1つとして、サックバック速度を選択することを含み、式中Ca=μV/γ、h/rは充填ノズル120の半径で、充填ノズル120の内部に形成されたフィルムの厚さを割ったものであり、μは充填液の粘度であり、Vは充填液の速度であり、γは流体表面張力である。h/rの所定の最大値は、充填の処置の許容可能な変動性、例えば、容器への充填液の最大の許容過充填または過少充填、または充填ノズル120を詰まらせる形成されたプラグの最小限の体積に依存し得る。形成されたプラグの体積は環の体積として計算することができ、h/rに充填液のサックバックの高さを掛けたものの積分に等しい。いくつかの実施形態では、h/rの所定の最大値は0.01~0.05である。いくつかの実施形態では、h/rの所定の最大値は0.10未満であり、例えば0.05未満である。
【0040】
いくつかの実施形態では、充填液の速度はサックバック速度であり、充填モジュールに
よって調整することができる修正版テイラーの法則方程式における唯一の動作パラメータ
である。いくつかの実施形態では、充填モジュールは、臨界値0.842未満のボンド数
を確立し(「条件1」)、また、h/rは、修正版テイラーの法則方程式を満たし、所定
の最大値よりも小さい(「条件2」)少なくとも1セットの動作パラメータを出力し、充
填ノズル120の半径rの10%以下である形成された膜厚に対応する。例示的な10%
の厚さ制限は絶対的なものではなく、厚さ制限は、充填の許容可能な変動性(安全性また
は有効性の観点から)及び/または充填プロセスの期間の制限のいずれかによってもたら
されることを理解されたい。いくつかの実施形態では、少なくとも1セットの動作パラメ
ータは、条件1及び条件2の両方を同時に満たすために範囲内で変更することができる動
作パラメータの範囲であり、充填システム100は、安定した静止プロファイルの気泡が
ノズル開口部221に隣接して形成され、薄膜の厚さが、充填液の分配に続いて、充填ノ
ズル120の内部において発達するように、容器を充填することを可能にする。充填モジ
ュールはまた、前述のように、1つまたは複数の追加のシステムパラメータを受信し、受
信した1つまたは複数の流体特性及び1つまたは複数の追加のシステムパラメータに少な
くとも部分的に基づいて、条件1及び条件2の両方を同時に満たす少なくとも1セットの
動作パラメータを生成し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、充填ノズル120は、第1の半径、及び第1の半径よりも小
さく、ノズル開口部221に隣接する第2の半径を有するテーパー状のノズルであり得る
。いくつかの実施形態では、充填ノズル120は、第2の半径の狭い部分を有する。狭い
部分は、第1の半径を有する充填ノズル120の本体と、ノズル開口部221との間にあ
り得、ノズル開口部はまた第1の半径を有し、その結果、ノズル開口部の上方の充填ノズ
ルの底部に、より狭い部分または他のくびれを設ける。そのような実施形態は、充填ノズ
ル120に形成された空気界面のための狭い部分を有し得、一方、ノズル開口部120の
第1の半径及び充填ノズルの本体は、充填ノズル120を完全に詰まらせることから修正
版テイラーの法則方程式によって説明される薄膜のリスクを低減する。
【0042】
いくつかの実施形態では、充填ノズル120の組成は、充填液と充填ノズル120との
間の接触角θを制御するように選択される。接触角θが比較的高い場合、すなわち90°
に近いかそれよりも大きい場合、充填ノズル120の内部の充填液の挙動が変化する可能
性がある。充填液の挙動の変化は、2013年にミシガン工科大学が発行した「Two-
Phase Flow in Microchannels: Morphology
and Interface Phenomena」というタイトルの論文(以下「He
rescu」)でAlexandru Herescuによって観察された。これは、全
体が参照することにより本明細書に組み込まれる。例えば、高い接触角θは、高速の流体
速度、例えば高いサックバック速度で流体に発生する衝撃によってメニスカスに隣接して
形成される「Bretherton膜」に加えて、Herescuによって示されるよう
に、非湿潤の膜の形成を誘発する可能性がある。非常に高速の流体速度では、Heres
cuに示されているように、充填液に複数のプラグが形成される場合がある。したがって
、いくつかの実施形態では、充填システム100の1つの制御されたパラメータは、充填
ノズル120と充填液との間に形成される接触角θを制御するための充填ノズル120の
組成である。接触角が大きいと、静水圧ジャンプと膜の厚みの増加が生じる。したがって
、いくつかの実施形態では、90度未満の接触角が選択される。
【0043】
これより
図9を参照すると、例示的な実施形態では、充填システム100を動作させる
方法のためのステップの別のシーケンスが示されている。方法900は、方法700のス
テップ701、702、703を含み、いくつかの実施形態では、ステップ704及び7
05、ならびに方法800のステップ806、ならびに追加のステップ907を含む。ス
テップ907は、少なくとも部分的に少なくとも1つの流体特性に基づいて、ノズル開口
部を通して分配される充填液の安定したジェットが充填中に崩れないように、ノズル開口
部221を通して充填液を分配するための少なくとも1セットの動作パラメータを生成す
ることを含む。充填液の安定したジェットは、充填液がノズル開口部221と充填される
容器の材料、または既に容器に分配された流体との間に液滴を形成する充填液のリスクを
低減し、充填液の飛散のリスクを低減する。充填の処置の最中に充填液が飛散するリスク
を低減することにより、飛散した充填液が充填ノズル120の外側、及びいずれかの関連
するストッパー装置で乾燥するリスクが低減される。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも1セットの動作パラメータが生成されて、充填液
の安定したジェットがノズル開口部221から分配されるに至るオーネゾルゲ数(OhR
)を生成する。オーネゾルゲ数は、式0h2/R=2μ2/ργRから求められる。式中
、μは充填液の動的粘度、ρは充填液の密度、γは充填液の表面張力、Rは充填ノズル1
20の半径rである。様々なオーネゾルゲ数と関連する臨界長は、Driessenらに
よって2013年に「Physical Fluids」に掲載された「Stabili
ty of viscous long liquid filaments」というタ
イトルの記事(以下「Driessenら」)で説明されている。これは、参照によりそ
の全体が本明細書に組み込まれる。ジェットが安定したままである距離(充填針の半径の
単位)を表す特定の臨界長(Γ)の場合、一部の実施形態では、以前に判定された安定し
た及び不安定の実験ポイントに基づいて、充填液の安定したジェットをもたらす関連した
オーネゾルゲ数を生成できる。説明の便宜上、安定したジェットとして充填ノズル120
から分配される充填液は、「条件3」と呼ばれることがある。
【0045】
理解できるように、充填モジュールは、前述のように、条件1及び条件2、ならびに条
件3を同時に満たすために、少なくとも1セットの動作パラメータを生成することができ
る。条件1、条件2、及び条件3を同時に満たす1つまたは複数のセットの動作パラメー
タに従って充填液が充填システムから分配される場合、容器の一貫した充填は、充填液の
乾燥や閉塞、または別様の充填システム100の動作に悪影響を与えるリスクを低減する
ことで、達成され得る。動作パラメータのセット(複数可)は、容器の一貫した充填、及
び以前説明した流体力学的挙動を説明する1つまたは複数のセットの動作パラメータを確
立することによって得られる充填液による乾燥及び閉塞の抑制のうちの1つのみを満たす
ことができることを理解されたい。したがって、本明細書に記載の充填システム100及
び方法700、800、900を利用して、前述の流体力学的挙動を説明する充填システ
ム100を動作させるための動作パラメータの制約を確立することができる。前述の流体
力学的挙動を考慮することで、充填量の一貫性を高め、閉塞により生じるダウンタイムを
減らし、有効成分の分布の一貫性を高めることができる。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態において、例えば、充填液が剪断応力による損傷を受けや
すい生物学的製剤を含む場合、少なくとも1セットの動作パラメータを生成して、充填液
の1つ以上の成分の損傷を回避することができる。例えば、少なくとも1セットの動作パ
ラメータは、充填液の1つまたは複数の成分の損傷を制限するために、充填液の流体剪断
応力を最大許容剪断値未満に制限する充填液の流速で生成され得る。最大許容剪断値は、
異なる充填液に対して変動があってよい。いくつかの例示的な実施形態において、充填液
は、タンパク質、抗体、糖、1つ以上の核酸、1つ以上の細胞、及び1つ以上の組織のう
ちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない生物学的製剤を含む。充填液はまた、
キャリア流体、1つまたは複数の追加の有効成分、界面活性剤、安定剤、アジュバント、
カプセル化粒子、及び緩衝液の少なくとも1つを含むがこれらに限定されない、生物学的
製剤に付随する他の物質を含む。
【0047】
前述のように流体を正確に分配する充填システム100の能力を試験するために、様々
な試験を実行して、安定した静止プロファイルを持つ気泡が様々な流体で形成されたかど
うかを判断した。流体と各流体の流体密度及び表面張力を以下の表1に示す。流体は、以
下の表2に記載されている、様々な半径を有する様々なピペットで試験した。
【0048】
1つの例示的な充填液は、ワクチン配合物/懸濁液配合物を代表する水酸化アルミニウ
ム懸濁液である。これは、配合物Bに界面活性剤が添加されているため、2つの異なる流
体特性と共に以下の表に提示されている。
【0049】
別の例示的な充填液は、界面活性剤を含む不活性成分を有する抗体Aを含む。これは、
表1に記載した特性を有する。例えば、抗体Aは、ヒトα4β7インテグリンに特異的に
結合し、また「ベドリズマブ」としても知られているヒト化抗体であってもよい。
【0050】
抗α4β7抗体ベドリズマブ、またはベドリズマブの抗原結合領域を有する抗体を作り
出すために、様々な方法を使用することができる。ベドリズマブはまた、商標ENTYV
IO(登録商標)(武田薬品工業)で知られている。ベドリズマブは、ヒトIgG1フレ
ームワークと定常領域、及びマウス抗体Act-1の抗原結合CDRを含むヒト化抗体で
ある。ベドリズマブCDR、可変領域、及び変異Fc領域(Fcエフェクター機能を排除
するように変異)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,14
7,851号に記載されている。ベドリズマブの製剤は、米国特許第9,764,033
号及び米国特許出願公開第20140341885号にも記載されており、これらも参照
により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0051】
抗体Aは表1に記載されているただ2つの生物学的製剤のうちの1つであるが、他の抗
体、治療用のタンパク質性の物質、細胞懸濁液、リポソーム、ワクチン、または核酸材料
などの他の生物学的製剤が本開示による容器を満たすことができることを理解されたい。
他の生物学的製剤は、例えば、0.8g/mL~1.2g/mLの密度と35mN/m~
75mN/mの表面張力を有し得る。例えば、抗体Bは界面活性剤なしで処方され、界面
活性剤を含む抗体Aよりも広い直径の充填ノズル(またはピペット)で静的な流体特性を
示す。同様に、水酸化アルミニウム(ワクチン製剤)のサンプルは、製剤Bの界面活性剤
の存在下で異なり、界面活性剤なしの製剤Aよりも表面張力が低くなった。これは、製剤
Bよりも広い直径のノズルで静止していた。
【0052】
前述の値は単なる例示であり、本開示によれば、容器、例えば、管、バイアル、カート
リッジ、シリンジ、カプセルは、多くの異なるタイプの生物学的製剤で満たされ得ること
を理解されたい。このシステム及び方法は、液体生物学的製剤を容器に充填する際の精度
及びラインスループットを改善することにより、抗体、酵素、血液因子またはワクチンな
どの生物学的製剤の製造に使用することができる。
表1
表2
【0053】
表1に記載されている流体の流体特性と、表2に記載されているピペットの寸法から、
以下の表3に示すように、予測ボンド数の値が生成された。前述の値0.842を下回る
予測ボンド数は、影付きのセルに表示されている。
表3
【0054】
ボンド数を予測した後、安定した静止プロファイル、つまり静的プロファイルの気泡(
または他の流体界面)が、対応するピペットから分配された後、流体に形成されるかどう
かを確認するための実験が行われた。安定した静止プロファイルの気泡が形成されるかど
うかを判断するために、血清学的ピペットをピペットガンに取り付けた。ピペットガンは
様々な液体をピペットに吸引し、次いでそれを5分間ビュレットスタンドに置いて平衡化
した。5分間の平衡化期間に続いて、定性的観察を行って、形成された気泡が、
図5に示
すように静的であるか、または
図6に示すように移動しているかどうかを判定した。ボン
ド数が0.842を超える場合、対応するピペットから分配された後、不安定な静止プロ
ファイル、つまり移動する気泡が流体に形成されると予測された。この試験の結果が以下
の表4に示される。
表4
【0055】
見てわかるように、ボンド数が0.842未満のピペット内の流体はすべて、ピペット
から流体を分配した後、安定した静止プロファイルの気泡を形成した。驚いたことに、特
定の流体(水、生理食塩水、デキストロース、及び高NaCl)が、ピペットから分配さ
れた後、充填液に準静的な気泡を形成することが判明した。形成された気泡は、気泡が静
止して移動しないであろうという意味で、「準静的」であったが、ピペット開口部から流
体が離れる引っ張る力、すなわち逆方向の流れまたは「サックバック」の力など、「ショ
ック」が流体に送達されると、移動を開始することができる。ピペット材料に対して高い
接触角を有する流体に形成された準静的な気泡は、充填システム100を動作するための
他の基準を満たさない材料を含む充填ノズルに関連し得ることに留意されたい。
【0056】
一実施形態では、流体ジェットの崩れに影響を与える3つのパラメータ(密度、半径、
及び表面張力)を強調する別のアプローチが使用される。このアプローチは、上記のオー
ネゾルゲ数に似ているが、レイノルズ(慣性力と粘性力の比)の数値が無視できるほど高
いと仮定しているため、粘性力は取得されない。このアプローチは以下の方程式を利用す
る:
【数1】
これは、界面での微小な結節状の摂動を仮定して、統治する方程式を線形化することから
生じる。次に、これは修正版ベッセル方程式として解くことができ、特徴的な崩れ時間は
最大成長速度の反転であると仮定され(最も速く成長する摂動は波長=9.02*半径の
ときに発生する)、アプローチは十分確立された流体力学と一致する。式において、崩れ
時間(t)は、ノズルの半径r、充填液によって定義された密度ρ、及び流体の表面張力
γで近似される。いくつかの実施形態では、名目上の層流下での充填ラインの摂動は、ラ
イン内の他の機器からの影響のために複雑になる可能性があるため、この方程式を代替的
な制御オプションとして使用することができる。
【0057】
したがって、一実施形態では、オーネゾルゲ数を使用する代わりに、この特徴的な崩れ
時間方程式を使用して、安定した液体ジェットの最小の許容充填針半径を求めるために高
いレイノルズ数の仮定を使用することができる。このアプローチは、最大液体速度と充填
針から容器の底までの固定した距離によって制約された滅菌ラインに充填時間を設定でき
る場合に機能することを理解されたい。最大液体速度は、ポンプの動作のメカニズムによ
る剪断に起因して製品の流体の質の属性が影響を受ける前に、流体が耐えることができる
最大限の剪断によって、設定することができる。すべての場合において、最大値は依然と
してボンド数<0.842によって設定される。
【0058】
図10A及び
図10Bは、レイリー-プラトー不安定性の周知の影響を示し、より長い
安定したプロファイルを達成するための2つの工学的オプションを、すなわち、より大き
な充填ノズル直径及び/またはより速い流体速度を使用するシステムを設計することによ
って示す。
【0059】
図10Aは、異なる充填ノズルの直径から生じる流れのプロファイルを実証するために
、異なる直径の充填ノズルの開口部から流れる流体のカラムの図を示す。直径10ミリメ
ートルの充填ノズル開口部が1002に示されている。直径5ミリメートルの充填ノズル
開口部が1004に示されている。直径3ミリメートルの充填ノズル開口部が1006に
示されている。直径1.6ミリメートルの充填ノズル開口部が1008に示されている。
示されているように、より大きな直径の穴は、より安定したカラムを生成する。
【0060】
図10Bは、異なる充填速度から生じる流れのプロファイルを実証するために、充填ノ
ズルの開口部から流れる3つの流体のカラム1010、1012、1014の図を示す。
すべてのカラムは重力加速度に曝され、カラムの直径が(質量保存により)摂動を受けや
すくなるまで縮小する。より速く流れるカラムは、同じ期間にわたってさらに移動する。
速度は、容積測定的流量と充填針の出口の直径の影響を受ける。蠕動ポンプの場合、容積
測定的な流れはポンプのRPMとポンプチュービング直径によって引き起こされる。
図1
0Bにおいて、左側のカラム1010は最も小さい静水ヘッドを有し、したがって最も遅
い出口速度を有し、一方、右側のカラム1014は最も速い出口速度を有し、したがって
より遠くに移動する。
【0061】
図11は、例示的な実施形態において充填システムを設計する方法の例示的な一連のス
テップを示す流れ図である。ステップ1102において、この方法は、測定された製剤の
流体特性及びボンド数(アクチュエータの加速度及び安全性の因子を含む)を使用して最
大半径を計算することを含む。ステップ1104で、この方法は、ポンピング前のこれら
の属性の最初の特徴付けにより、タンパク質が製品の質の属性という観点から許容できる
最大の順方向の容積流量(RPM及び管のサイズ)を判定することを含む。ステップ11
06において、この方法は、最大半径及び容積流量から、充填針の出口速度及び安定した
流体の流れの長さを計算することを含む。ステップ1108において、この方法は、充填
ラインを動作することの経済的な制約、及び製剤の媒体の充填によって判定される無菌環
境を維持するための制限を考慮して、逆転速度をできるだけ適度に低下させ、3つ程度の
充填針の直径の逆転距離を設定することを含む。例えば、Hanslipらによって決定
された技術などであるがこれに限定されない直径(例としてJ. Pharm Sci.
108:1130-1138,(2019)を参照)により決定される技術があるが、
これに限定されない。
【0062】
図12は、例示的な実施形態において充填システムを設計するための方法の別の一連の
ステップを示す流れ図である。ステップ1202で、この方法は、ボンド数<0.842
で最大充填針半径を求めることを含む。ステップ1204で、この方法は、判定された半
径を使用して、充填プロセス全体を通して(オーネゾルゲ数または特徴的な時間の要件の
いずれかによって)安定したジェットに必要な最小の容積流量を計算することを含む。特
徴的な時間は、摂動の最大成長を仮定してジェットが崩れるのに必要な時間を判定する初
期の流体ジェット半径の関数として定義される。特徴的な時間は、ジェットが充填針と容
器の底との間の距離を通過するのに必要な時間を超えねばならない。これは、出口速度と
、重力(または任意の同様の物体の力)によるいずれかの加速の増減によって計算される
。ステップ1206で、この方法は、最大流量で製品の質への影響がないことを確認する
こと、及び/または許容できる製品の質への影響を伴う最大流量を判定することを含む。
ステップ1208において、この方法は、製品の質に対する最大流量が特徴的な時間の要
件も満たすまで、充填針の半径を減少させることを含む。ステップ1210で、この方法
は、(a)所定の値(例えば10%)、または(b)所定の総充填時間(例えば充填あた
り5秒)のいずれかを満たす最も遅い許容速度にサックバック速度を変更することによっ
て、h/rを最小化することを含む。これにおいて、h/rは、形成された膜厚をノズル
開口部の半径で割ったものである。
【0063】
本開示による充填液を分配するための例示的な一実施形態では、表1に記載した流体特
性を有する抗体Aを含む充填液は、741μLの目標充填量である1mLのロング(1m
LL)ISOのシリンジに分配した。抗体Aはまた、20℃で15.75cPの粘度を有
していた。前述の条件1、条件2、及び条件3を満たす動作パラメータのセットに従って
分配した場合、充填量の標準偏差は、充填量のパーセンテージとして目標2.000%を
下回っていることが見出された。充填量の標準偏差は確実に1%の範囲内にあることが見
出された。さらに、試験ノズルからの抗体Aの分配は、ノズルを詰まらせることなく20
分間中断することができることが見出された。したがって、抗体A、及び1つまたは複数
の生物学的製剤を含む他の充填液は、充填後の流体の乾燥に抗うように、本開示による容
器を高精度かつ正確に充填できると結論付けられた。
【0064】
一実施形態では、充填システムは、安定した静止プロファイル、安定した退縮プロファ
イル、及び安定した流動プロファイルを含むように、本明細書に記載されるように設計及
び動作することができる。ポンプ速度は、(様々な流体の試験結果から事前に決定された
基準に基づいて)逆転が可能な限り遅くなり、これらのプロファイルの制約を満たしなが
ら充填動作中に可能な限り速くなるように制御できる。いくつかの実施形態では、より短
い充填針の半径及びより遅いサックバック速度を含むように設計された充填システムは、
精度を大幅に高め(流体損失を制限する)、閉塞が発生せずに、20分以上のより長い期
間にわたって、充填ラインを中断する能力を付与する。
【0065】
例示的な充填結果は、別紙Aとして添付された開発中のポンプ/充填研究の結果に見ら
れる。変形例#1及び#2は、これらの方程式により制約される充填プロセスを使用する
とき針の閉塞がないことを示していること、及び変形例#1は相対的に充填針が小さく、
そのため一貫性がわずかに高くなることに留意されたい。研究では、Bosch(商標)
ポンプのポンプ/充填設定は次のとおりであった。
変形例#1
1.6mmIDの充填針(鋼)
1.2mmIDのポンプの管直径
365RPM
0.5加速充填
0.5減速充填
0.4加速逆転
15逆方向/後退吸引
変形例#2
2.5mmIDの充填針(鋼)
1.6mmIDのポンプの管直径
450RPM
0.5加速充填
0.5減速充填
0.4加速逆転
15逆方向/後退吸引
【0066】
図13A及び
図13Bはそれぞれ、別々の変形例のために収集されたデータを表す。x
軸は、同じ充填針を使用した時系列の充填ステップを表し、y軸は、目標重量に対して測
定された充填重量(グラム単位)を表す。上記のように、テイラーの法則を使用した場合
、1つの充填ステップから次の充填ステップへの変動は、各プロファイルの予測膜厚と厳
密に一致している。振動の程度は、充填針に液体ブリッジを形成するために必要な量によ
って決まる。
【0067】
本明細書に記載の実施形態は、充填モジュールを実行するプロセッサを備えたコンピュ
ーティングデバイスの使用を説明している。
図14は、本発明の実施形態による使用に適
した例示的なコンピューティングデバイスを示す。
図14は、本明細書に記載の充填シス
テム100の例示的な実施形態を実施するために使用することができる例示的なコンピュ
ーティングデバイス1400のブロック図である。コンピューティングデバイス1400
は、例示的な実施形態を実施するための1つまたは複数のコンピュータ実行可能命令また
はソフトウェアを格納するための1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体を含
む。非一時的なコンピュータ可読媒体には、1つまたは複数のタイプのハードウェアメモ
リ、非一時的な有形媒体(例えば、1つまたは複数の磁気記憶ディスク、1つまたは複数
の光ディスク、1つまたは複数のフラッシュドライブ)などが含まれ得るが、これらに限
定されない。例えば、コンピューティングデバイス1400に含まれるメモリ1406は
、充填システム100の例示的な実施形態を実施する際に使用される充填モジュールのた
めのコンピュータ可読及びコンピュータ実行可能命令またはソフトウェアを格納すること
ができる。コンピューティングデバイス1400はまた、構成可能及び/またはプログラ
ム可能なプロセッサ1402及び関連するコア1404、及び任意選択で、1つまたは複
数の追加の構成可能及び/またはプログラム可能なプロセッサ(複数可)1402’及び
関連するコア(複数可)1404’(例えば、複数のプロセッサ/コアを有するコンピュ
ータシステムの場合)を含み、メモリ1406に格納されたコンピュータ可読及びコンピ
ュータ実行可能命令またはソフトウェア、及びシステムハードウェアを制御するための他
のプログラムを実行する。プロセッサ1402及びプロセッサ(複数可)1402’は、
それぞれ、シングルコアプロセッサまたはマルチコア(1404及び1404’)プロセ
ッサであり得る。
【0068】
仮想化をコンピューティングデバイス1400で採用して、コンピューティングデバイ
スのインフラストラクチャとリソースを動的に共有することができる。複数のプロセッサ
で実行されているプロセスを処理するために仮想マシン1414を設けることができ、そ
のためプロセスが複数のコンピューティングリソースではなく1つのコンピューティング
リソースのみを使用しているように見える。1つのプロセッサで複数の仮想マシンを使用
することもできる。
【0069】
メモリ1406は、DRAM、SRAM、EDORAMなどのコンピュータシステムメ
モリまたはランダムアクセスメモリを含み得る。メモリ1406は、他のタイプのメモリ
、またはそれらの組み合わせも含み得る。
【0070】
ユーザは、例示的な実施形態に従って提供され得る1つまたは複数のグラフィカルユー
ザインターフェース1422を表示することができるコンピュータモニタなどの視覚的表
示デバイス1418を介して、コンピューティングデバイス1400と対話することがで
きる。コンピューティングデバイス1400は、ユーザからの入力を受信するための他の
I/Oデバイス、例えば、キーボードまたは任意の適切なマルチポイントタッチインター
フェース1408、ポインティングデバイス1410(例えば、マウス)、マイクロフォ
ン1428、及び/または画像キャプチャデバイス1432(例えば、カメラまたはスキ
ャナ)を含み得る。マルチポイントタッチインターフェース1408(例えば、キーボー
ド、ピンパッド、スキャナ、タッチスクリーンなど)及びポインティングデバイス141
0(例えば、マウス、スタイラスペンなど)は、視覚的表示デバイス1418に結合され
得る。コンピューティングデバイス1400は、他の適切な従来型I/O周辺機器を含み
得る。
【0071】
コンピューティングデバイス1400はまた、本明細書に記載の充填システム100の
例示的な実施形態を実施する、データ及びコンピュータ可読命令及び/またはソフトウェ
アを格納するための、ハードドライブ、CD-ROM、または他のコンピュータ可読媒体
などの1つまたは複数の記憶装置1424を含むことができる。例示的な記憶装置142
4はまた、例示的な実施形態を実施するために必要な任意の適切な情報を記憶するための
1つまたは複数のデータベースを記憶することができる。例えば、例示的な記憶装置14
24は、流体特性、システム特性及び/または充填システム100の実施形態によって使
用される任意の他の情報に関する情報を格納するための1つまたは複数のデータベース1
426を格納することができる。データベースは、データベースの1つ以上の項目を追加
、削除、及び/または更新するために、任意の適切なタイミングで手動または自動で更新
できる。
【0072】
コンピューティングデバイス1400は、1つまたは複数のネットワークデバイス14
20を介して1つまたは複数のネットワーク、例えばローカルエリアネットワーク(LA
N)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、または様々な接続を介したインターネット
、例えば非限定的に、標準的な電話回線、LANまたはWANリンク(例えば、802.
11、T1、T3、56kb、X.25)、ブロードバンド接続(例えば、ISDN、フ
レームリレー、ATM)、ワイヤレス接続、コントローラエリアネットワーク(CAN)
、または上記のいずれかまたはすべての組み合わせを介してインターフェースするように
構成されたネットワークインターフェース1412を含むことができる。例示的な実施形
態では、コンピューティングデバイス1400は、コンピューティングデバイス1400
とネットワークとの間の(例えば、ネットワークインターフェースを介した)無線通信を
容易にするために、1つまたは複数のアンテナ1430を含むことができる。ネットワー
クインターフェース1412は、ビルトインネットワークアダプタ、ネットワークインタ
ーフェースカード、PCMCIAネットワークカード、カードバスネットワークアダプタ
、ワイヤレスネットワークアダプタ、USBネットワークアダプタ、モデム、またはコン
ピューティングデバイス1400を、通信可能な任意のタイプのネットワークにインター
フェースすること、及び本明細書に記載の動作を実行することに対して適切な、他のいず
れかのデバイスを含むことができる。さらに、コンピューティングデバイス1400は、
ワークステーション、デスクトップコンピュータ、サーバー、ラップトップ、ハンドヘル
ドコンピュータ、タブレットコンピュータ、モバイルコンピューティング、またはスマー
トフォンなどの通信デバイス、社内のデバイス、または通信が可能であり、本明細書に記
載の動作を実行するのに十分なプロセッサの動力及びメモリ容量を有するコンピューティ
ングまたは通信デバイスの他の形態のなどの任意のコンピュータシステムであり得る。
【0073】
コンピューティングデバイス1400は、Microsoft(登録商標)Windo
ws(登録商標)オペレーティングシステムのバージョン、Unix及びLinuxオペ
レーティングシステムの異なるリリース、Macintoshコンピュータ用のMacO
S(登録商標)のバージョン、組み込みオペレーティングシステム、リアルタイムオペレ
ーティングシステム、オープンソースオペレーティングシステム、独自のオペレーティン
グシステム、またはコンピューティングデバイスで実行でき、本明細書に記載の動作を実
行することができる他のオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステム14
16を実行できる。例示的な実施形態では、オペレーティングシステム1416は、ネイ
ティブモードまたはエミュレートされたモードで実行され得る。例示的な実施形態では、
オペレーティングシステム1416は、1つまたは複数のクラウドマシンインスタンス上
で実行され得る。
【0074】
例示的な実施形態の説明では、明確にするために、特定の用語が採用される。説明の目的
で、各特定の用語は、少なくとも、同様の目的を達成するために同様の方法で動作するす
べての技術的及び機能的同等物を含むことを意図している。さらに、特定の例示的な実施
形態が複数のシステムの要素または方法ステップを含むいくつかの例では、それらの要素
またはステップは、単一の要素またはステップで置き換えることができる。同様に、単一
の要素またはステップは、同じ目的を果たす複数の要素またはステップで置き換えること
ができる。さらに、例示的な実施形態のために様々な特性のパラメータが本明細書で指定
される場合、それらのパラメータは、特に指定のない限り、1/20、1/10、1/5
、1/3、1/2など、またはそれらの四捨五入による近似によって上下に調整され得る
。さらに、例示的な実施形態は、その特定の実施形態を参照して示され、説明されてきた
が、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な置換及び変更
を行うことができることを理解する。さらに、他の態様、機能及び利点もまた、本発明の
範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填システムであって、
分配用の充填液を保持するリザーバ、
前記リザーバに流体結合され、ノズル開口部を通して前記充填液を分配するように構成された少なくとも1つの充填ノズル、
前記リザーバ及び前記少なくとも1つの充填ノズルに流体結合され、前記充填液を前記少なくとも1つの充填ノズルに、前記ノズル開口部を通して分配するように構成されたポンプ、及び
前記ポンプに動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサと、中に充填モジュールを格納するメモリを備え、前記少なくとも1つのプロセッサが前記充填モジュールに、
前記充填液の少なくとも1つの流体特性を受信すること、
前記少なくとも1つの流体特性に少なくとも部分的に基づいて、前記充填液が前記少なくとも1つの充填ノズルから分配された後に前記ノズル開口部に隣接する前記充填ノズル内の前記充填液に、安定した静止プロファイルの流体界面が形成されるように、前記ノズル開口部を通して前記充填液を分配するための少なくとも1セットの動作パラメータを生成すること、及び
前記少なくとも1セットの動作パラメータが、充填の処置中に前記ノズル開口部を通して前記充填液を分配するための前記ポンプの制御を可能にする、前記少なくとも1セットの動作パラメータを出力すること、
を実行させるように構成されている、
前記充填システム。
【外国語明細書】