IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シノピア バイオサイエンシーズ,インク.の特許一覧

特開2024-95682トラピジルを使用する錐体外路症候群の処置
<>
  • 特開-トラピジルを使用する錐体外路症候群の処置 図1
  • 特開-トラピジルを使用する錐体外路症候群の処置 図2
  • 特開-トラピジルを使用する錐体外路症候群の処置 図3
  • 特開-トラピジルを使用する錐体外路症候群の処置 図4
  • 特開-トラピジルを使用する錐体外路症候群の処置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095682
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】トラピジルを使用する錐体外路症候群の処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20240703BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P25/00
A61P25/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024041690
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2022044284の分割
【原出願日】2017-04-03
(31)【優先権主張番号】62/317,983
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】518351539
【氏名又は名称】シノピア バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボードバー,アーラッシュ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】錐体外路症候群を処置する方法を提供する。
【解決手段】必要としている被験体の錐体外路症候群(例えば、ジスキネジア、ジストニア、アカシジア、または薬剤性パーキンソニズム)を処置する方法であって、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む、方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要としている被験体の錐体外路症候群を処置する方法であって、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
必要としている被験体の錐体外路症候群を予防する方法であって、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項3】
錐体外路症候群が、ジスキネジア、ジストニア、アカシジア、または薬剤性パーキンソニズムを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ジスキネジアが、遅発性ジスキネジア(TD)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ジスキネジアが、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ジスキネジアは、二相性ジスキネジアまたはピーク用量ジスキネジアである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
ジストニアが、全身性ジストニア、局所性ジストニア、分節性ジストニア、または急性ジストニアである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
アカシジアが、急性アカシジア、慢性アカシジア、偽アカシジア、あるいは離脱性または「反跳性」アカシジアである、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
トラピジルが、N,N-ジエチル-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-アミンである、請求項1-8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
誘導体が、AR 12455、AR 12456、AR 12460、AR 12463、AR 12464、AR 12465、AR 12560、またはAR 12565を含む、請求項1-8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
代謝産物が、デスエチル-トラピジル、5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペンチル-N-(β-ヒドロキシエチル)]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペント-4-オリル-N-(β-ヒドロキシエチル]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、ヒドロキシ誘導体またはケトペンチル誘導体、ピペリジノールまたはピペリジノン、TP1、あるいはTP2を含む、請求項1-8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
薬学的に許容可能な塩が、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、マロン酸、または酒石酸を有する塩を含む、請求項1-8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩が、経口で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩が、静脈内または皮下に投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
追加の治療薬を投与する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項16】
追加の治療薬が、クロナゼパム、イチョウ、クロザピン、リスペリドン、クエチアピン、ビタミンE、レボドパ、ベンゾジアゼピン、ボツリヌス毒素、レセルピン、テトラベナジン、プロプラノロール、ドーパミン枯渇剤、オンダンセトロン、ゾテピン、アリピプラゾール、ゾピクロン、ゾニサミド、トリヘキシフェニジル(Broflex)、ビペリデン、プロシクリジン、ジアゼパム、バクロフェン、チザニジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、ロラゼパム、ミアンセリン、シプロヘプタジン、ミルタザピン、ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、カルビドパ、ロピニロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、セレギリン、ラサギリン、ジプラシドン、オランザピン、アマンタジン、バルベナジン、デューテトラベナジン、またはジフェンヒドラミンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
追加の治療薬が、経口で投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
追加の治療薬が、静脈内または皮下に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩と追加の治療薬が、同時に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩と追加の治療薬が、連続して投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩が、追加の治療薬の投与前に投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩が、追加の治療薬の投与後に投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
被験体が、錐体外路症候群と診断されている、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
被験体が、錐体外路症候群に関連する少なくとも1つのマーカーを示す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのマーカーが、FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのマーカーが、アップレギュレートされる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
アップレギュレートされる少なくとも1つのマーカーが、FOSL2、JUN、SREBF1、CEBPB、UBC、およびERKから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つのマーカーが、ダウンレギュレートされる、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのマーカーが、MYCおよびBCL2から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩が、錐体外路症候群に関連する少なくとも1つのマーカーを調節する、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
被験体が、錐体外路症候群と診察されていない、請求項2に記載の方法。
【請求項32】
被験体がヒトである、請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
本発明は、2016年4月4日に出願の米国仮特許出願第62/317,983号の利益を主張し、これは引用によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
<連邦政府資金による研究の記載>
本発明は、国立衛生研究所によって契約番号R43GM121117下で米国政府のサポートを得て作られた。
【発明の概要】
【0003】
本明細書には、特定の実施形態において、錐体外路症候群の処置のための方法、薬学的な組み合わせ、剤形、およびキットが開示される。幾つかの事例では、処置は、治療上有効な量のトラピジルの使用を含む。他の事例では、処置は、治療上有効な量のトラピジルの誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を含む。
【0004】
本明細書には、特定の実施形態において、必要としている被験体の錐体外路症候群を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む。幾つかの事例では、被験体は、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩を投与される。幾つかの実施形態では、錐体外路症候群は、ジスキネジア、ジストニア、アカシジア、または薬剤性パーキンソニズムを含む。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、遅発性ジスキネジア(TD)である。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)である。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、二相性ジスキネジアまたはピーク用量(peak-dose)ジスキネジアである。幾つかの実施形態では、ジストニアは、全身性ジストニア、局所性ジストニア、分節性ジストニア、または急性ジストニアである。幾つかの実施形態では、アカシジアは、急性アカシジア、慢性アカシジア、偽アカシジア、あるいは離脱性(withdrawal)または「反跳性(rebound)」アカシジアである。幾つかの実施形態では、トラピジルは、N,N-ジエチル-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-アミンである。幾つかの実施形態では、誘導体は、AR 12455、AR 12456、AR 12460、AR 12463、AR 12464、AR 12465、AR 12560、またはAR 12565を含む。幾つかの実施形態では、代謝産物は、デスエチル-トラピジル、(5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペンチル-N-(β-ヒドロキシエチル)]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペント-4-オリル-N-(β-ヒドロキシエチル]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、ヒドロキシ誘導体またはケトペンチル誘導体、ピペリジノールまたはピペリジノン、TP1、あるいはTP2を含む。幾つかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、マロン酸、または酒石酸を有する塩を含む。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、静脈内または皮下に投与される。幾つかの実施形態では、方法はさらに、追加の治療薬を投与する工程を含む。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、クロナゼパム、イチョウ(ginkgo biloba)、クロザピン、リスペリドン、クエチアピン、ビタミンE、レボドパ、ベンゾジアゼピン、ボツリヌス毒素、レセルピン、テトラベナジン、プロプラノロール、ドーパミン枯渇剤(dopamine-depleting agents)、オンダンセトロン、ゾテピン、アリピプラゾール、ゾピクロン、ゾニサミド、トリヘキシフェニジル(Broflex)、ビペリデン、プロシクリジン、ジアゼパム、バクロフェン、チザニジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、ロラゼパム、ミアンセリン、シプロヘプタジン、ミルタザピン、ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、カルビドパ、ロピニロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、セレギリン、ラサギリン、ジプラシドン、オランザピン、アマンタジン、バルベナジン、デューテトラベナジン(dutetrabenazine)、またはジフェンヒドラミンを含む。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、静脈内または皮下に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、同時に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、連続して投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の投与前に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の投与後に投与される。幾つかの実施形態では、被験体は、錐体外路症候群と診察されている。幾つかの実施形態では、被験体は、錐体外路症候群に関連する少なくとも1つのマーカーを示す。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのマーカーは、FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2から選択される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのマーカーは、アップレギュレートされる。幾つかの実施形態では、アップレギュレートされる少なくとも1つのマーカーは、FOSL2、JUN、SREBF1、CEBPB、UBC、およびERKから選択される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのマーカーは、ダウンレギュレートされる。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのマーカーは、MYCおよびBCL2から選択される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩は、錐体外路症候群に関連する少なくとも1つのマーカーを調節する。幾つかの実施形態では、被験体は、錐体外路症候群と診察されていない。幾つかの実施形態では、被験体はヒトである。
【0005】
本明細書には、特定の実施形態において、必要としている被験体の錐体外路症候群を予防する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む。幾つかの事例では、被験体は、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩を投与される。幾つかの実施形態では、錐体外路症候群は、ジスキネジア、ジストニア、アカシジア、または薬剤性パーキンソニズムを含む。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、遅発性ジスキネジア(TD)である。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)である。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、二相性ジスキネジアまたはピーク用量ジスキネジアである。幾つかの実施形態では、ジストニアは、全身性ジストニア、局所性ジストニア、分節性ジストニア、または急性ジストニアである。幾つかの実施形態では、アカシジアは、急性アカシジア、慢性アカシジア、偽アカシジア、あるいは離脱性または「反跳性」アカシジアである。幾つかの実施形態では、トラピジルは、N,N-ジエチル-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-アミンである。幾つかの実施形態では、誘導体は、AR 12455、AR 12456、AR 12460、AR 12463、AR 12464、AR 12465、AR 12560、またはAR 12565を含む。幾つかの実施形態では、代謝産物は、デスエチル-トラピジル、(5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペンチル-N-(β-ヒドロキシエチル)]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペント-4-オリル-N-(β-ヒドロキシエチル]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、ヒドロキシ誘導体またはケトペンチル誘導体、ピペリジノールまたはピペリジノン、TP1、あるいはTP2を含む。幾つかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、マロン酸、または酒石酸を有する塩を含む。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、静脈内または皮下に投与される。幾つかの実施形態では、方法はさらに、追加の治療薬を投与する工程を含む。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、クロナゼパム、イチョウ、クロザピン、リスペリドン、クエチアピン、ビタミンE、レボドパ、ベンゾジアゼピン、ボツリヌス毒素、レセルピン、テトラベナジン、プロプラノロール、ドーパミン枯渇剤、オンダンセトロン、ゾテピン、アリピプラゾール、ゾピクロン、ゾニサミド、トリヘキシフェニジル(Broflex)、ビペリデン、プロシクリジン、ジアゼパム、バクロフェン、チザニジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、ロラゼパム、ミアンセリン、シプロヘプタジン、ミルタザピン、ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、カルビドパ、ロピニロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、セレギリン、ラサギリン、ジプラシドン、オランザピン、アマンタジン、バルベナジン、デューテトラベナジン、またはジフェンヒドラミンを含む。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、静脈内または皮下に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、同時に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、連続して投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の投与前に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の投与後に投与される。幾つかの実施形態では、被験体は、錐体外路症候群と診察されている。幾つかの実施形態では、被験体は、錐体外路症候群に関連する少なくとも1つのマーカーを示す。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのマーカーは、FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2から選択される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの追加のマーカーは、アップレギュレートされる。幾つかの実施形態では、アップレギュレートされる少なくとも1つのマーカーは、FOSL2、JUN、SREBF1、CEBPB、UBC、およびERKから選択される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの追加のマーカーは、ダウンレギュレートされる。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのマーカーは、MYCおよびBCL2から選択される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩は、錐体外路症候群に関連する少なくとも1つのマーカーを調節する。幾つかの実施形態では、被験体は、錐体外路症候群と診察されていない。幾つかの実施形態では、被験体はヒトである。
【0006】
本明細書には、特定の実施形態において、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩;および追加の治療薬を含む、薬学的な組み合わせが開示される。幾つかの実施形態では、トラピジルは、N,N-ジエチル-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-アミンである。幾つかの実施形態では、誘導体は、AR 12455、AR 12456、AR 12460、AR 12463、AR 12464、AR 12465、AR 12560、またはAR 12565を含む。幾つかの実施形態では、代謝産物は、デスエチル-トラピジル、(5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペンチル-N-(β-ヒドロキシエチル)]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペント-4-オリル-N-(β-ヒドロキシエチル]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、ヒドロキシ誘導体またはケトペンチル誘導体、ピペリジノールまたはピペリジノン、TP1、あるいはTP2を含む。幾つかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、マロン酸、または酒石酸を有する塩を含む。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、クロナゼパム、イチョウ、クロザピン、リスペリドン、クエチアピン、ビタミンE、レボドパ、ベンゾジアゼピン、ボツリヌス毒素、レセルピン、テトラベナジン、プロプラノロール、ドーパミン枯渇剤、オンダンセトロン、ゾテピン、アリピプラゾール、ゾピクロン、ゾニサミド、トリヘキシフェニジル(Broflex)、ビペリデン、プロシクリジン、ジアゼパム、バクロフェン、チザニジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、ロラゼパム、ミアンセリン、シプロヘプタジン、ミルタザピン、ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、カルビドパ、ロピニロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、セレギリン、ラサギリン、ジプラシドン、オランザピン、アマンタジン、バルベナジン、デューテトラベナジン、またはジフェンヒドラミンを含む。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、静脈内または皮下に投与される。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、静脈内または皮下に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、同時に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、連続して投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の投与前に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の投与後に投与される。
【0007】
本明細書には、特定の実施形態において、必要としている被験体の錐体外路症候群の処置における使用のための投薬量の組み合わせが開示され、該投薬量の組み合わせが、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬を被験体に投与することを含み;ここで、治療上有効な量は、必要としている被験体の錐体外路症候群を処置する量である。幾つかの実施形態では、錐体外路症候群は、ジスキネジア、ジストニア、アカシジア、または薬剤性パーキンソニズムを含む。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、遅発性ジスキネジア(TD)である。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)である。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、二相性ジスキネジアまたはピーク用量ジスキネジアである。幾つかの実施形態では、ジストニアは、全身性ジストニア、局所性ジストニア、分節性ジストニア、または急性ジストニアである。幾つかの実施形態では、アカシジアは、急性アカシジア、慢性アカシジア、偽アカシジア、あるいは離脱性または「反跳性」アカシジアである。幾つかの実施形態では、トラピジルは、N,N-ジエチル-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-アミンである。幾つかの実施形態では、誘導体は、AR 12455、AR 12456、AR 12460、AR 12463、AR 12464、AR 12465、AR 12560、またはAR 12565を含む。幾つかの実施形態では、代謝産物は、デスエチル-トラピジル、(5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペンチル-N-(β-ヒドロキシエチル)]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペント-4-オリル-N-(β-ヒドロキシエチル]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、ヒドロキシ誘導体またはケトペンチル誘導体、ピペリジノールまたはピペリジノン、TP1、あるいはTP2を含む。幾つかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、マロン酸、または酒石酸を有する塩を含む。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、クロナゼパム、イチョウ、クロザピン、リスペリドン、クエチアピン、ビタミンE、レボドパ、ベンゾジアゼピン、ボツリヌス毒素、レセルピン、テトラベナジン、プロプラノロール、ドーパミン枯渇剤、オンダンセトロン、ゾテピン、アリピプラゾール、ゾピクロン、ゾニサミド、トリヘキシフェニジル(Broflex)、ビペリデン、プロシクリジン、ジアゼパム、バクロフェン、チザニジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、ロラゼパム、ミアンセリン、シプロヘプタジン、ミルタザピン、ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、カルビドパ、ロピニロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、セレギリン、ラサギリン、ジプラシドン、オランザピン、アマンタジン、バルベナジン、デューテトラベナジン、またはジフェンヒドラミンを含む。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、静脈内または皮下に投与される。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、静脈内または皮下に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、同時に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、連続して投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の投与前に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の投与後に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、一体化した剤形で投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、別々の剤形で投与される。幾つかの実施形態では、被験体は、錐体外路症候群と診察されている。幾つかの実施形態では、被験体は、錐体外路症候群に関連する少なくとも1つのマーカーを示す。幾つかの実施形態では、被験体はヒトである。
【0008】
本明細書には、特定の実施形態において、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩;および追加の治療薬を含む、キットが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の新規な特徴は、特に添付の請求項に明記されている。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を明記する以下の詳細な説明と、以下の添付図面とを参照することによって得られる。
【0010】
図1】強力な第一世代抗精神病薬である、ハロペリドールによって引き起こされた錐体外路症候群に関連する鍵遺伝子における発現変化を改善または逆転させるトラピジルの能力を示す。は、トラピジルによって引き起こされた変化が、FDR<0.05で有意であったことを示す。
図2】第二世代抗精神病薬である、リスペリドンによって引き起こされた錐体外路症候群に関連する鍵遺伝子における発現変化を改善または逆転させるトラピジルの能力を示す。は、トラピジルによって引き起こされた変化が、FDR<0.05で有意であったことを示す。
図3】インビトロでの様々な化合物の投与に関する遺伝子発現の変化から計算された錐体外路症候群の傾向スコアを示す。トラピジルは、第一世代抗精神病薬および第二世代抗精神病薬(ハロペリドールおよびリスペリドン)によって引き起こされる錐体外路症候群に関連した遺伝子発現パターンを用量依存的に減少させる。
図4】レボドパ投与の間のレボドパ誘発性ジスキネジアのモデルにおけるラットの線条体において観察された遺伝子発現の変化に対するインビトロでの化合物の投与によって引き起こされた遺伝子発現の変化の類似性を示す。トラピジルは、観察されるジスキネジアのトランスクリプトームのシグネチャー(transcriptomic signature)から離れたドーパミンの遺伝子発現パターンを用量依存的に変更する。
図5】ハロペリドール誘発性ジスキネジアの予防及び/又は処置におけるトラピジルの効能を評価するための試験デザインを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
病状を処置する及び緩和するために、薬物が投与される。薬物有害反応(ADR)は、薬物の負の副作用である。幾つかの事例では、ADRは、以下の6つのタイプに分類される:1)用量関連、2)非用量関連、3)用量関連および時間関連、4)時間関連、5)離脱性、および6)治療の失敗。幾つかの場合では、ADRは、臨床的および経済的な負担をもたらす。食品医薬品局(FDA)の大規模有害事象症例報告データベースによると、米国においてADRが原因で毎年100,000件の死亡件数がある。例えば、ADRは、入院の約6.5%の原因である。さらに、ADRおよび薬物安全性は、第2相および第3相の臨床試験の失敗の約28%を占める。幾つかの事例では、ADRはまた、退薬の原因であり、例えば、ADRのMerck and Co.によるVioxxおよびBayer A.G. Additional managementによるLipobayの離脱は、例えば、投与レジメンまたはその効果のまたは具体的な処置の変更を含む。
【0012】
錐体外路症候群、その障害、症状または副作用は、薬剤性運動障害である特定のセットのADRである。使用される薬物によっては、錐体外路症候群は、服薬している患者の約30-40%までに影響を与える。幾つかの事例では、錐体外路症候群は、患者の生活の質にさらに影響して、治療不適合(therapeutic non-compliance)につながり、およびまれなケースでは死につながる。
【0013】
幾つかの事例では、計算解析は、ERK経路(MAPK経路またはRas-Raf-MEK-ERK経路としても知られている)の活性の増加を有する錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関している。例えば、計算解析は、JUN、FOS、UBC、SREBF1、CEBPB、及び/又はMYCのタンパク質によって調節されるか又はそれらと相互作用する遺伝子の発現の増加を示す。幾つかの事例では、これらのタンパク質は、ERKシグナル伝達タンパク質によって直接アップレギュレートされる。加えて、IL-6、IL-12およびTNF-αなどの炎症性マーカーは、計算解析によって検出される。さらに、ERKの活性および炎症の増加は、レボドパ誘発性ジスキネジアおよび遅発性ジスキネジアにおいて観察されてきた。例えば、ERK/MAPKによって調節される、FOSおよびFOS関連のタンパク質(FRA)のアップレギュレーションは、レボドパ誘発性ジスキネジアに関連付けられてきた(Thanvi,et al.,“Levodopa-induced dyskinesia in Parkinson‘s disease: clinical features,pathogenesis,prevention and treatment,”Postgrad Med J. 83(980): 384-388(2007))。
【0014】
幾つかの事例では、JUN、UBC、及び/又はERKのシグナル伝達タンパク質の発現(例えば遺伝子発現)を調節するために、トラピジルが計算解析で示されている。幾つかの場合では、トラピジルはまた、TNF-a、IL-1a、及び/又はIL-1bなどの炎症性マーカーと相互作用する遺伝子の発現の減少と相関しており、ここでIL-1bは、レボドパ誘発性ジスキネジアに関連付けられると示されている。
【0015】
本明細書には、特定の実施形態において、必要としている被験体のADRを処置する方法が開示される。幾つかの事例では、ADRは錐体外路症候群である。幾つかの事例では、本明細書には、必要としている被験体の錐体外路症候群を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む。
【0016】
本明細書には、特定の実施形態において、必要としている被験体の錐体外路症候群を予防する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む。
【0017】
本明細書には、特定の実施形態において、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬を含む、薬学的な組み合わせ開示される。
【0018】
本明細書には、特定の実施形態において、必要としている被験体の錐体外路症候群の処置における使用のための投薬量の組み合わせが開示され、該投薬量の組み合わせが、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬を被験体に投与することを含み;ここで、治療上有効な量は、必要としている被験体の錐体外路症候群を処置する量である。
【0019】
本明細書には、特定の実施形態において、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬を含むキットが開示される。
【0020】
<定義>
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、請求される主題が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。前述の一般的な説明および次の詳細な説明が、単に典型的且つ例示的なものであり、請求される主題を限定するものでないことを理解されたい。
【0021】
本出願では、単数形の使用は、特に他に明記されない限り、複数形を包含している。本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が特に他に明確に指示していない限り、複数の指示対象を包含することが留意されなければならない。本出願では、「または」の使用は、特に他に明記されない限り、「及び/又は」を意味する。さらに、用語「含むこと(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)などの他の形態と同じく、限定されない。
【0022】
本明細書で使用されるように、範囲および量は、特定の値または範囲の「約(about)」として表わされ得る。「約」はまた正確な量を含む。したがって、「約5μL」は、「約5μL」と「5μL」も意味する。一般に、用語「約」は、実験誤差内にあると予測される量を含む。
【0023】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のみにあり、記載される主題を限定すると解釈されるものではない。
【0024】
本明細書で使用されるように、「薬物」、「製薬」、「小分子薬物」、「生物学的製剤」、「生物薬剤」、および「治療薬」は、薬物有害反応(ADR)を有するまたは有していない、治療目的で患者に投与される外因性化合物を指すように交換可能に使用される。これらの化合物は、医療従事者からの処方箋とともに又は市販の商品に対する処方箋なしで、患者によって得られる。
【0025】
本明細書で使用されるように、「薬物有害反応」、「ADR」、「有害薬物事象」、「有害事象」、および「副作用」は、薬物の意図しない及び傷害性の結果を指すように交換可能に使用される。幾つかの事例では、ADRは、単一の疾患、症状、徴候、または診断である。例えば、悪心はADRである。幾つかの事例では、ADRは、単一のセットの密に関連する疾患、症状、徴候、または診断である。例えば、悪心嘔吐のセットはADRである。
【0026】
本明細書で使用されるように、「誘導体」は、本明細書に開示される化合物に由来するか又はそれから得られる化合物を指す。幾つかの事例では、誘導体は、その溶解性、吸収性、生物学的半減期などを改善するか、あるいは分子の毒性を減少させ、分子の望ましくない副作用を除去するか又は減ずるなどの働きを行う。
【0027】
幾つかの事例では、本明細書に記載される化合物の誘導体は、(例えば放射性同位体で)同位体標識された化合物を含むか、あるいは限定されないが、発色団または蛍光の部分、生物発光ラベル、または化学発光ラベルの使用を含む、別の手段による化合物を含む。
1以上の原子が、通常は自然で見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子に置き換えられるという事実を別にすれば、本明細書に記載される化合物は、本明細書で提示される様々な式および構造で列挙されたものと同一である、同位体標識された化合物を含む。本発明の化合物に取り込まれる同位体の例としては、例えば、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素の同位体が挙げられる。幾つかの事例では、本明細書に記載される同位体標識された化合物、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物は、薬物及び/又は基質組織の分布アッセイに有用である。
【0028】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の誘導体は化合物の重水素化したバージョンである。幾つかの事例では、化合物の重水素化したバージョンは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の重水素置換基を含む。幾つかの事例では、重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボでの半減期の延長または必要用量の減少などの、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点をもたらす。
【0029】
幾つかの事例では、本明細書に記載される化合物の誘導体は、AR 12455、AR 12456、AR 12460、AR 12463、AR 12464、AR 12465、AR 12560、またはAR 12565を含む。
【0030】
本明細書で使用されるように、本明細書に開示される化合物の「代謝産物」は、化合物が代謝されるときに形成されるその化合物の中間体および生成物を指す。追加の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、必要としている生物への投与で代謝され、それによって代謝産物が産生され、これは、その後、望ましい治療効果を含む望ましい効果をもたらすために使用される。幾つかの事例では、本明細書に開示される化合物の代謝産物は、活性代謝産物である。用語「活性代謝産物」は、化合物が代謝されるときに形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。用語「代謝した(metabolized)」は、本明細書で使用されるように、生物によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応および酵素によって触媒される反応を含む)の全体を指す。したがって、幾つかの事例では、酵素は、化合物に対する具体的な構造の変更をもたらす。
【0031】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の有機ラジカル(例えば、アルキル基、芳香環)上の部位は、様々な代謝反応に敏感である。有機ラジカル上の適切な置換基の取り込みは、この代謝経路を縮小するか、最小限にするか、または排除する。具体的な実施形態では、代謝反応に対する芳香環の感受性を減少させるか又は排除するための適切な置換基は、ほんの一例として、ハロゲン、重水素、アルキル基、ハロアルキル基、または重水素アルキル基である。
【0032】
幾つかの事例では、本明細書に開示される典型的な代謝産物は、限定されないが、デスエチル-トラピジル、(5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペンチル-N-(β-ヒドロキシエチル)]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペント-4-オリル-N-(β-ヒドロキシエチル]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、ヒドロキシ誘導体またはケトペンチル誘導体、ピペリジノールまたはピペリジノン、TP1、あるいはTP2を含む。
【0033】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される化合物の代謝産物は、随意に、宿主への化合物の投与および宿主からの組織サンプルの解析、またはインビトロでの肝細胞を用いた化合物のインキュベーションおよびその結果生じる化合物の解析のいずれかによって特定される。
【0034】
本明細書で使用されるように、本明細書に開示される化合物の「プロドラッグ」は、インビボで本明細書に開示される化合物へと変換される薬剤を指す。プロドラッグは、幾つかの状況において、親薬物よりも投与が容易であるため、しばしば有用である。幾つかの事例では、プロドラッグは経口投与によって生物学的に利用可能であるが、親薬物はそうではない。幾つかの事例では、プロドラッグは、親薬物以上に医薬組成物において溶解度が改善されている。特定の実施形態では、インビボでの投与で、プロドラッグは、化合物の生物学的に、薬学的に、または治療的に活性な形態へと化学的に変換される。特定の実施形態では、プロドラッグは、1つ以上の工程またはプロセスによって、化合物の生物学的、薬学的または治療的に活性な形態へと酵素的に代謝される。プロドラッグを産生するために、薬学的に活性な化合物は、インビボでの投与で再生成されるように修飾される。幾つかの事例では、プロドラッグは、薬物の代謝安定性または輸送特性を変更して、副作用または毒性を遮蔽するか、薬物の香味を改善するか、あるいは薬物の他の特徴または特性を変更するように設計されている。幾つかの事例では、プロドラッグは、部位特異的組織への薬物送達を増強する調整剤として使用するために、可逆的な薬物誘導体として設計されている。薬力学的プロセスおよびインビボでの薬物代謝の知識により、当業者は、一旦薬学的に活性な化合物を知ると、その化合物のプロドラッグを設計することができる。(例えば、Nogrady(1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach,Oxford University Press,New York,pages 388-392; Silverman(1992),The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,Academic Press,Inc.,San Diego,pages 352-401,Saulnier et al.,(1994),Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,Vol. 4,p. 1985を参照)。
【0035】
本明細書で使用されるように、「アナログ」は、本明細書に開示される化合物に構造的且つ機能的に類似した、またはその効果を模倣する化合物を指す。幾つかの事例では、アナログは、本明細書に開示される化合物の生物学的効果を模倣する。他の事例では、アナログは、本明細書に開示される化合物の物理的効果を模倣する。
【0036】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容可能な塩」は、処置されている被験体の健康状態に対する持続的な有害な効果がないか、または化合物の生物学的な活性または特性を抑止しない、および比較的無毒である、本明細書に開示される化合物の塩を指す。幾つかの実施形態では、「薬学的に許容可能な塩」は、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸、あるいは塩基性または酸性のアミノ酸を有する塩を含む。無機塩基の塩は、例えば、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属;カルシウム、マグネシウムまたはアルミニウムなどのアルカリ土類金属;およびアンモニア、を含む。有機塩基の塩は、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンを含む。無機酸の塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸(hydroboric acid)、硝酸、硫酸、およびリン酸を含む。有機酸の塩は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびpトルエンスルホン酸を含む。塩基性アミノ酸の塩は、例えば、アルギニン、リシンおよびオルニチンを含む。酸性アミノ酸は、例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。
【0037】
薬学的に許容可能な塩に対する言及が、溶媒付加形態を含むことを理解されたい。幾つかの実施形態では、溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒を含み、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いた結晶化のプロセス中に形成される。溶媒が水であるときに水和物が形成されるか、あるいは溶媒がアルコールであるときにアルコラートが形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセス中に好適に調製または形成される。加えて、本明細書で提供される化合物は、随意に、溶媒和形態の他に、非溶媒和形態でも存在する。
【0038】
本明細書に記載される方法および製剤は、本明細書に記載される化合物のN-オキシド(適切である場合)、または薬学的に許容可能な塩の他に、同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝産物の使用も含む。
【0039】
本明細書で使用されるように、用語「個体」、「被験体」および「患者」は、あらゆる哺乳動物を意味する。幾つかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。幾つかの実施形態では、哺乳動物はヒト以外である。用語はどれも、ヘルスケアワーカー(例えば、医師、正看護師、ナースプラクティショナー、医師助手、用務職員またはホスピス職員)の監督(例えば、持続的または間欠的)によって特徴づけられる状況を必要としないし、それらに限定されない。
【0040】
<錐体外路症候群>
錐体外路症候群は、薬物によって引き起こされた運動障害のクラスを含む。幾つかの実施形態では、錐体外路症候群を引き起こすと特定された薬物クラスは、限定されないが、以下を含む:1)抗精神病薬、2)レボドパ、3)抗うつ薬、4)例えば、呼吸器の問題、膀胱制御の問題、またはパーキンソン病のための使用される、抗コリン作動薬、5)制吐薬、6)例えば、心配性障害のための、抗不安薬、7)抗てんかん薬、8)抗パーキンソン病薬、9)抗マラリア薬、および10)抗ヒスタミン薬。
【0041】
幾つかの実施形態では、錐体外路症候群、その症状、障害、または副作用は、以下を含む:運動障害、ジスキネジア、アカシジア、遅発性ジスキネジア、精神運動亢進(Psychomotor hyperactivity)、異常不随意運動、急性ジスキネジア、ぴくぴくする動き(Jerkiness)、けいれん様の動き、口運動の損害、口舌ジスキネジア、挺舌、顔面痙攣(Facial jerks)、身震い発作、運動性不穏状態、強迫性運動過多、レボドパ誘発性ジスキネジア、神経抑制薬誘発性ジスキネジア、ジストニア、薬剤性パーキンソニズム、偽パーキンソニズム、運動緩徐、振せん、硬直、および唇鳴らし(Lip smacking)。
【0042】
本明細書では、幾つかの実施形態において、必要としている被験体における、抗精神病薬、レボドパ、抗うつ薬、抗コリン作動性、制吐薬、抗不安薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、抗マラリア薬、または抗ヒスタミン薬によって引き起こされた錐体外路症候群を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む。追加の実施形態において、本明細書には、運動障害、ジスキネジア、アカシジア、遅発性ジスキネジア、精神運動亢進、異常不随意運動、急性ジスキネジア、ぴくぴくする動き、けいれん様の動き、口運動の損害、口舌ジスキネジア、挺舌、顔面痙攣、身震い発作、運動性不穏状態、強迫性運動過多、レボドパ誘発性ジスキネジア、神経抑制薬誘発性ジスキネジア、ジストニア、薬剤性パーキンソニズム、偽パーキンソニズム、運動緩徐、振せん、硬直、および唇鳴らしなどの、錐体外路系症状の1つ以上を示す被験体を、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩で処置する方法が開示される。
【0043】
<ジスキネジア>
幾つかの実施形態では、錐体外路症候群はジスキネジアである。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、遅発性ジスキネジア(TD)、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)、二相性ジスキネジア、またはピーク用量ジスキネジアである。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、遅発性ジスキネジア(TD)である。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)である。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、二相性ジスキネジアである。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、ピーク用量ジスキネジアである。
【0044】
幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、薬剤性運動障害である錐体外路症候群である。ジスキネジアは、チックまたは舞踏病に類似した運動および随意運動の縮小にを含む、不随意筋運動を特徴とする運動障害のカテゴリーを指す。ジスキネジアは、例えば、手のわずかな振せんから、上半身または下肢の制御不能な運動までを含む。ジスキネジアは、それらの根本的な原因によって判別される幾つかの医学的障害の症状である。
【0045】
幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、遅発性ジスキネジア(TD)である。遅発性ジスキネジアは、限定されないが、しかめ面、舌運動、唇鳴らし、唇が縮むこと(lip puckering)、唇をすぼめること(pursing)、または過度の目の瞬きを含む、繰り返しの、不随意の、目的のない身体運動を結果としてもたらす、ジスキネジアのタイプを指す。不随意運動は、発症が遅いか、または遅延される。幾つかの実施形態では、この症候群は、抗精神病薬の長期的な又は高用量の使用の結果として生じるか、あるいは胃腸障害のための薬物の使用からの副作用として小児および幼児において生じる。幾つかの事例では、TDは、抗精神病薬、レボドパ、抗うつ薬、抗コリン作動薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗マラリア薬、および抗ヒスタミン薬によって引き起こされる。
【0046】
幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)である。レボドパ誘発性ジスキネジアは、パーキンソン病の運動症状に対する処置に使用されるレボドパに関係するジスキネジアの形態を指す。LIDは、しばしば、舞踏病、ジストニア、およびアテトーシスを含む、運動過剰を伴う。
【0047】
幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、二相性ジスキネジアである。二相性ジスキネジアは、血漿レボドパのレベルが上昇しているか又は低下しているが、ピークレベルを有していない時に進行する、レボドパ誘発性ジスキネジアのタイプを指す。二相性ジスキネジアは、主として下肢に生じ、多くの場合、筋緊張異常であるか、または弾道的(ballistic)である。ジスキネジアのこの形態は、レボドパの投薬量の減少には対応していない。
【0048】
幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、ピーク用量ジスキネジアである。ピーク用量ジスキネジアは、レボドパのピーク血漿レベルと相関する、レボドパ誘発性ジスキネジアの形態を指す。ピーク用量ジスキネジアは、頭、胴体(truck)、および肢に関係し、時に呼吸筋に関係する。ピーク用量ジスキネジアは、レボドパの投薬量の減少に対応しているが、パーキンソン症候群の悪化という代償を払う。
【0049】
幾つかの実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与でジスキネジアを処置する方法が開示される。幾つかの実施形態では、ジスキネジアは、遅発性ジスキネジア(TD)、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)、二相性ジスキネジア、またはピーク用量ジスキネジアである。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で遅発性ジスキネジア(TD)を処置する方法が開示される。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与でレボドパ誘発性ジスキネジア(LID)を処置する方法が開示される。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で二相性ジスキネジアを処置する方法が開示される。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与でピーク用量ジスキネジアを処置する方法が開示される。
【0050】
<ジストニア>
幾つかの実施形態では、錐体外路症候群は、ジストニアである。幾つかの実施形態では、ジストニアは、全身性ジストニア、局所性ジストニア、分節性ジストニア、または急性ジストニアである。幾つかの実施形態では、ジストニアは、全身性ジストニアである。幾つかの実施形態では、ジストニアは、局所性ジストニアである。幾つかの実施形態では、ジストニアは、分節性ジストニアである。幾つかの実施形態では、ジストニアは、急性ジストニアである。
【0051】
幾つかの実施形態では、錐体外路症候群は、ジストニアである。ジストニアは、保持された筋収縮が、ねじれ及び反復の運動または異常姿勢を引き起こす運動障害を指す。幾つかの事例では、運動は振せんに類似している。ジストニアは、しばしば、随意運動によって開始されるか又は悪化され、症状は、隣接する筋肉へと「溢流する(overflow)」。幾つかの実施形態では、ジストニアは,薬剤性ジストニアである。ジストニア反応は、顔、首、胴体、骨盤、肢、および喉頭における筋肉の間欠的な痙攣性の又は保持された不随意収縮を特徴とする。
【0052】
幾つかの実施形態では、ジストニアは、全身性ジストニアである。全身性ジストニアは、身体の大部分またはすべてに影響を与えるジストニアの形態を指す。
【0053】
幾つかの実施形態では、ジストニアは、局所性ジストニアである。局所性ジストニアは、身体の特定の部分に局所化されるジストニアの形態を指す。幾つかの事例では、局所性ジストニアは、2つ以上の関連していない身体部分を含む多局所性ジストニアである。
【0054】
幾つかの実施形態では、ジストニアは、分節性ジストニアである。分節性ジストニアは、身体の2つ以上の隣接する部分に影響を与えるジストニアの形態を指す。
【0055】
幾つかの実施形態では、ジストニアは、急性ジストニアである。急性ジストニアは、ねじれている異常姿勢をもたらす、保持された、しばしば痛みを伴う筋痙縮から成るジストニアの形態を指す。
【0056】
幾つかの実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与でジストニアを処置する方法が開示される。幾つかの実施形態では、ジストニアは、全身性ジストニア、局所性ジストニア、分節性ジストニア、または急性ジストニアである。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で全身性ジストニアを処置する方法が開示される。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で局所性ジストニアを処置する方法が開示される。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で分節性ジストニアを処置する方法が開示される。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で急性ジストニアを処置する方法が開示される。
【0057】
<アカシジア>
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるように、錐体外路症候群は、アカシジアである。幾つかの実施形態では、アカシジアは、急性アカシジア、慢性アカシジア、偽アカシジア、あるいは離脱性または「反跳性」アカシジアである。幾つかの実施形態では、アカシジアは、急性アカシジアである。幾つかの実施形態では、アカシジアは、慢性アカシジアである。幾つかの実施形態では、アカシジアは、偽アカシジアである。幾つかの実施形態では、アカシジアは、離脱性または「反跳性」アカシジアである。
【0058】
幾つかの実施形態では、錐体外路症候群は、アカシジアである。幾つかの実施形態では、アカシジアは、内面的な落ち着きのなさの感覚および持続的な運動である切迫した必要性に加えて、立ちながら又は座りながらの揺動、その場で行進するかのような足上げ、および座りながらの脚の交差および交差の解除などの動作を特徴とする運動障害である。幾つかの実施形態では、アカシジアは、薬剤性である。
【0059】
幾つかの実施形態では、アカシジアは、急性アカシジアである。急性アカシジアは、1)投薬の開始または続く投与量の増加、2)強力な薬物への切替、または3)薬剤の離脱の後すぐに進行するアカシジアの形態を指す。幾つかの事例では、急性アカシジアの持続時間は、6か月未満であり、極度の不快、落ち着きのなさ及び複雑性の認識、および半意識的な運動のそわそわ感(semi-purposeful motor fidgetiness)を含む。
【0060】
幾つかの実施形態では、アカシジアは、慢性アカシジアである。慢性アカシジアは、薬物の最後の投薬量の増加後に6か月以上にわたって続くアカシジアの形態を指す。幾つかの事例では、慢性アカシジアは、軽度の不快、落ち着きのなさの認識、常同運動での運動のそわそわ感、および肢および口顔面のジスキネジアを含む。
【0061】
幾つかの実施形態では、アカシジアは、偽アカシジアである。幾つかの事例では、偽アカシジアは、慢性アカシジアの後期の症状である。典型的な症状は、主観的要素を有する運動兆候、常同運動を有する運動のそわそわ感、および肢および口顔面のジスキネジアを含む。
【0062】
幾つかの実施形態では、アカシジアは、離脱性または「反跳性」アカシジアである。幾つかの事例では、離脱性または「反跳性」アカシジアは、通常、薬物の中止または投与量減少の6週間内に発症する、薬物の切替に関連したアカシジアを指す。
【0063】
幾つかの実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与でアカシジアを処置する方法が開示される。幾つかの実施形態では、アカシジアは、急性アカシジア、慢性アカシジア、偽アカシジア、あるいは離脱性または「反跳性」アカシジアである。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で急性アカシジアを処置する方法が開示される。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で慢性アカシジアを処置する方法が開示される。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で偽アカシジアを処置する方法が開示される。幾つかの場合において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で離脱性または「反跳性」アカシジアを処置する方法が開示される。

<薬剤性パーキンソニズム>
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるように、錐体外路症候群は、薬剤性パーキンソニズムである。幾つかの事例では、薬剤性パーキンソニズムは、硬直、運動緩徐、振せん、仮面状顔貌、引きずり歩行、前屈姿勢、唾液分泌および脂漏を特徴とする運動障害である。幾つかの実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で薬剤性パーキンソニズムを処置する方法が開示される。
【0064】
<錐体外路症候群のトランスクリプトームのシグネチャー>
幾つかの実施形態において、本明細書には、錐体外路症候群に関連するマーカーのパネルが開示される。幾つかの実施形態では、パネルは、アクチベータータンパク質1(AP-1)、コレステロール合成およびアンフォールドタンパク質反応、ERKシグナル伝達、および細胞周期進行に関連するマーカーを含む。幾つかの事例では、AP-1に関連するマーカーは、FOSL2、JUN、JUND、およびATF3を含む。幾つかの事例では、コレステロール合成およびアンフォールドタンパク質反応に関連するマーカーは、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、およびHMGCRを含む。幾つかの場合では、ERKシグナル伝達に関連するマーカーは、DUSP14、SQSTM1、およびIER3を含む。幾つかの場合では、細胞周期に関連するマーカーは、CDKN1A、MYC、およびBCL2を含む。幾つかの実施形態では、錐体外路症候群に関連するマーカーのパネルは、FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2を含む。幾つかの実施形態では、錐体外路症候群に関連するマーカーのパネルは、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2を含む。幾つかの実施形態では、錐体外路症候群に関連するマーカーのパネルは、FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2を含む。幾つかの事例では、錐体外路症候群に関連するネルは、FOSL2、JUN、SREBF1、CEBPB、UBC、およびERKを含む。幾つかの場合では、錐体外路症候群に関連するネルは、MYCおよびBCL2を含む。
【0065】
幾つかの事例では、計算解析は、錐体外路症候群または薬剤性運動障害を引き起こす薬物のトランスクリプトームのシグネチャーを有する錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、ERKシグナル伝達活性の増加を伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、アクチベータータンパク質1に関連する転写因子およびタンパク質の転写のアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、FOSのアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、JUNのアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、JUNDのアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、ATF3のアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、コレステロール合成およびアンフォールドタンパク質反応に関連する転写因子およびタンパク質のアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、SREBF1のアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、CEBPBのアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、UBCのアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、INSIG1のアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、MVKのアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、MVDのアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、LDLRのアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、HMGCRのアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、ERK(例えばERK1、ERK2)のアップレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、細胞周期進行に関連する転写因子およびタンパク質のダウンレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、MYCのダウンレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、計算解析は、BCL2のダウンレギュレーションを伴う錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。
【0066】
幾つかの実施形態では、計算解析は、トランスクリプトームのシグネチャーを逆転する化合物を有する錐体外路症候群または薬剤性運動障害と相関する。幾つかの事例では、化合物は、トラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩である。
【0067】
幾つかの実施形態では、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩の投与は、FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2の発現を調節する。幾つかの事例では、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩の投与は、FOSL2、JUN、SREBF1、CEBPB、UBC、ERK、またはそれらの組み合わせをダウンレギュレートする。追加の事例では、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩の投与は、MYC、BCL2、またはそれらの組み合わせをアップレギュレートする。幾つかの実施形態において、本明細書にまた、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩を投与された被験体において処置レジメンをモニタリングする方法が開示される。幾つかの事例では、方法は、対する治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程;FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2のマーカーのパネルから選択されるマーカーの発現を判定する工程、およびマーカーの発現レベルに基づいて、処置を継続または中止する工程を含む。幾つかの場合では、方法は、増幅核酸を産生するために、パネル:FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2から選択される少なくとも1つの遺伝子を、1セットのプライマーと接触させる工程であって、少なくとも1つの遺伝子が、処置開始後に被験体から得られたサンプルから単離される、工程、および対照に対するサンプル中の増幅核酸のレベルを判定する工程を含む。幾つかの場合では、FOSL2、JUN、SREBF1、CEBPB、UBC、ERK、またはそれらの組み合わせの発現レベルが、対照に対するダウンレギュレートされる場合、処置の投薬量は随意に減少または中止される。幾つかの場合では、MYC、BCL2、またはそれらの組み合わせの発現レベルが、対照に対してアップレギュレートされる場合、処置の投薬量は随意に減少または中止される。幾つかの場合では、核酸レベルの代わりにタンパク質発現レベルが判定される。幾つかの場合では、対照は、正規のサンプルから、または錐体外路症候群を患っていない被験体から得られたサンプルからのマーカーのパネルの発現レベルである。
【0068】
幾つかの実施形態において、本明細書にはまた、以下のマーカーのパネルからのマーカーの発現レベルに基づいて処置のために被験体を選択する方法が開示される:FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、およびBCL2。幾つかの事例では、対照からの発現レベルに対して、FOSL2、JUN、SREBF1、CEBPB、UBC、ERK、またはそれらの組み合わせの発現レベルが上昇した;及び/又は対照からの発現レベルに対して、MYC、BCL2、またはそれらの組み合わせの発現レベルが低下した被験体は、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩で処置される。幾つかの場合では、発現レベルは、核酸レベルである。他の場合では、発現レベルは、タンパク質発現レベルである。幾つかの事例では、対照は、正規のサンプルから、または錐体外路症候群を患っていない被験体から得られたサンプルからのマーカーのパネルの発現レベルである。
【0069】
<アクチベータータンパク質1(AP-1)>
AP-1(アクチベータータンパク質1)は、一般的なDNA部位、AP-1結合部位に結合する、Jun、FosまたはATF(活性化転写因子)のサブユニットを含む二量体の転写因子であり、細胞の増殖、分化、およびアポトーシスに関係している。
【0070】
FOS
Fos遺伝子ファミリーは、以下の4つのメンバーを含む:FOS、FOSB、FOSL1、およびFOSL2。これらの遺伝子は、JUNファミリーのタンパク質と二量体化するロイシンジッパータンパク質をコードし、それによって、転写因子複合体AP-1を形成する。幾つかの事例では、FOSタンパク質は、細胞の増殖、分化、および変換の制御因子である。幾つかの場合では、FOS遺伝子の発現は、アポトーシスの細胞死に関連する。
【0071】
JUN
JUNは、FosとともにAP-1転写因子を形成するタンパク質である。それは、JNK経路による二重リン酸化によって活性化される。
【0072】
JUND
JUND、すなわちJunD癌原遺伝子は、JUNファミリーのメンバーであるタンパク質をコードするイントロンがない遺伝子であり、AP1転写因子複合体の機能要素である。
【0073】
ATF3
ATF3、すなわち活性化転写因子3は、転写因子の哺乳動物の活性化転写因子/cAMP応答配列結合(CREB)タンパク質ファミリーのメンバーをコードする。ATF3は、ATF部位を有するプロモーターからの転写を抑制する。
【0074】
<コレステロール合成およびアンフォールドタンパク質反応>
コレステロールは、膜構造における役割を有する重要な生体分子である他に、ステロイドホルモン、胆汁酸、およびビタミンDの合成のための前駆体でもある。
【0075】
SREBF1
SREBF1、すなわちステロール調節エレメント結合転写因子1は、低密度リポタンパク質受容体遺伝子およびステロール生合成に関係している幾つかの遺伝子に隣接している十量体である、ステロール調節エレメント1(SRE1)に結合する転写因子をコードする。タンパク質は、ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックスロイシンジッパー(bHLH-Zip)転写因子ファミリーのメンバーである。
【0076】
SREBF2
SREBF2、すなわちステロール調節エレメント結合転写因子2は、ステロール調節した遺伝子の転写を調節することによってコレステロール恒常性を制御する、遍在的に発現された転写因子をコードする。コードされたタンパク質は、ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックスロイシンジッパー(bHLH-Zip)ドメインを含有しており、ステロール調節エレメント1モチーフを結合する。
【0077】
CEBPB
CEBPBは、ベーシックロイシンジッパー(bZIP)ドメインを含有している転写因子をコードする、イントロンがない遺伝子である。コードされたタンパク質は、ホモ二量体として機能するが、幾つかの事例では、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ、デルタ、およびガンマを有するヘテロ二量体を形成する。このタンパク質の活性は、他のプロセスの中でも、免疫性および炎症性の反応に伴う遺伝子の調節に重要である。
【0078】
UBC
UBC、すなわちユビキチンCは、ポリユビキチン前駆体タンパク質をコードする。ユビキチン化は、タンパク質分解、DNA修復、細胞周期調節、キナーゼ修飾、エンドサイトーシス、および他の細胞シグナル伝達経路の調節に関連している。
【0079】
INSIG1
INSIG1、すなわちインスリン誘発性遺伝子1は、コレステロール代謝、脂質生成、およびグルコース恒常性を調節する小胞体膜タンパク質をコードする。それは、SCAPおよびHMGCRを制御することによってコレステロール合成のフィードバック制御を媒介し、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)の処理を遮断することによって機能する。
【0080】
MVK
MVK、すなわちメバロン酸キナーゼは、ペルオキシゾーム酵素のメバロン酸キナーゼをコードする。メバロン酸塩は重要な中間体であり、メバロン酸キナーゼは、イソプレノイドおよびステロールの合成における重要な初期酵素である。
【0081】
MVD
MVD、すなわちメバロン酸塩二リン酸塩デカルボキシラーゼは、コレステロール生合成における初期工程の1つにおけるメバロン酸ピロリン酸塩のイソペンテニルピロリン酸への転換を触媒する。
【0082】
LDLR
LDLR、すなわち低密度リポタンパク質受容体、遺伝子ファミリーは、特異的なリガンドの受容体依存性エンドサイトーシスに伴う細胞表面タンパク質から成る。LDLRは、血漿の主要なコレステロールを運ぶリポタンパク質である、LDLを結合し、それをエンドサイトーシスによって細胞へと輸送する。
【0083】
HMGCR
HMGCR、すなわちHMG-CoA還元酵素は、コレステロール合成のための律速酵素であり、ステロール、および還元酵素によって触媒された反応の生成物であるメバロン酸塩に由来する非ステロール代謝産物によって媒介されたネガティブフィードバック機構によって調節される。
【0084】
<ERKシグナル伝達>
細胞外のシグナル調節されたキナーゼ-1(ERK1)およびERK2によって定義された、ERKシグナル伝達カスケードは、増殖、分化、進行、学習、生存、および幾つかの事例では、アポトーシスなどの、様々な細胞プロセスの調節に役割を果たす。
【0085】
DUSP14
DUSP14、すなわち二重特異性ホスファターゼ14は、MAPキナーゼの不活性化に役割を果たし、ERK、JNKおよびp38のMAPキナーゼを脱リン酸化する。
【0086】
SQSTM1
SQSTM1、すなわちセクエストソーム1は、ユビキチンを結合し、核因子カッパ-B(NF-kB)シグナル伝達経路の活性化を調節する、多機能タンパク質をコードする。SQSTM1は、細胞分化、アポトーシス、免疫反応、およびK(+)チャネルの調節に役割を果たす。
【0087】
IER3
IER3、すなわち最初期反応3は、Fasまたは腫瘍壊死因子タイプアルファ誘発性のアポトーシスからの細胞の保護において機能する。幾つかの事例では、IER3は、ホスファターゼPP2A-PPP2R5Cホロ酵素によるERKの脱リン酸化を阻害することによってERKシグナル伝達経路において役割を果たす。幾つかの事例では、IER3は、生存を媒介するERKの下流のエフェクターとして作用する。
【0088】
<細胞周期>
CDKN1A
CDKN1A、すなわちサイクリン依存性キナーゼ阻害剤1Aは、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤をコードする。コードされたタンパク質は、サイクリン・サイクリン依存性キナーゼ2またはサイクリン・サイクリン・サイクリン依存性キナーゼ4の複合体に結合して、その活性を阻害し、それ故、G1で細胞周期進行の制御因子として機能する。幾つかの事例では、CDKN1Aは、DNAポリメラーゼアクセサリーファクターである、増殖性細胞核抗原と相互作用し、S相のDNA複製およびDNA損傷修復において制御的役割を果たす。
【0089】
MYC
MYCは、細胞周期進行、アポトーシスおよび細胞形質転換に役割を果たす、多機能の核リンタンパク質をコードする。それは、特異的な標的遺伝子の転写を調節する転写因子として機能する。
【0090】
BCL2
BCL2は、リンパ球および神経細胞などの幾つかの細胞のアポトーシス死を遮断する内在性ミトコンドリア外膜タンパク質をコードする。
【0091】
<トラピジル>
トリアゾロピリミジンである、トラピジルは、抗血小板薬のクラスに属する。幾つかの事例では、トラピジルは、ERK活性を減少させると示されている。幾つかの場合では、トラピジルは、例えば、IL-6、IL-12、およびTNF-aの産生の減少およびNF-κB活性の低減によって、抗炎症特性を働かせると示されている。さらに、トラピジルは、脂質過酸化を低下させる、および一酸化窒素前駆体の利用可能性を増大させることが観察されており、例えば、遅発性ジスキネジアに関係している。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要としている被験体の錐体外路症候群を処置する方法および薬学的な組み合わせが開示され、これらは、治療上有効な量のトラピジルを被験体に投与することを含む。他の実施形態において、本明細書には、必要としている被験体の錐体外路症候群を予防する方法および薬学的な組み合わせが開示され、これらは、治療上有効な量のトラピジルを被験体に投与することを含む。追加の実施形態において、本明細書には、必要としている被験体の錐体外路症候群を処置または予防する方法および薬学的な組み合わせが開示され、これらは、トラピジルの治療上有効な量の誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与することを含む。
【0092】
トラピジルは、IUPAC名、N,N-ジエチル-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-アミンおよび以下の化学構造を有している:
【0093】
【化1】
【0094】
幾つかの事例では、トラピジルはまた、AR 12008、Avantrin、Trapymin、Trapymine、Trapidilum、Angichromen、エステリノール(Estelinol)、Karnachol、Perucarate、ロコルナール(Rocornal)、Trapidil Towa Yakuhin、およびTraviscoという名称がある。追加の事例では、トラピジルは、本明細書でSB-0107と呼ばれる。
【0095】
典型的なトラピジル誘導体は、限定されないが、AR 12455、AR 12456、AR 12460、AR 12463、AR 12464、AR 12465、AR 12560、またはAR 12565を含む。
【0096】
典型的なトラピジル代謝産物は、限定されないが、デスエチル-トラピジル、(5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペンチル-N-(β-ヒドロキシエチル)]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペント-4-オリル-N-(β-ヒドロキシエチル]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、ヒドロキシ誘導体またはケトペンチル誘導体、ピペリジノールまたはピペリジノン、TP1、あるいはTP2を含む。
【0097】
幾つかの実施形態では、トラピジルの典型的な薬学的に許容可能な塩は、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、マロン酸、または酒石酸を有する塩を含む。
【0098】
幾つかの実施形態では、トラピジルは、米国特許第6,015,578号;欧州特許第0301423号;またはPCT国際番号WO1993/009781に開示されたトラピジルである。
【0099】
幾つかの実施形態では、トラピジルは、Heinroth-Hoffmann et al.(1990)“Influence of Trapidil and Trapidil Derivatives on the Content of Cyclic Nucleotides in Human Intima Cells Cultured from Atherosclerotic Plaques,”Drug Development Research,19(3),321-327; Heinroth et al.(1983)“Influence of Trapidil derivatives on arachidonic acid- and prostaglandin endoperoxide analogue-induced platelet aggregation and thromboxane A2 formation,”Biomedica biochimica acta,43(8-9),S389-92; or Krause et al.(1985) Advances in Pharmacological Research and Practice: Proceedings of the 4th Congress of the Hungarian Pharmacological Society,Budapest,pages 139-142に開示されたトラピジル誘導体である。
【0100】
幾つかの実施形態では、トラピジルは、Thurmann et al.(1997)“Pharmacokinetics of the PDGF-antagonist Trapidil in patients with and without renal impairment,”Clinical nephrology,47(2),99-105; or Pfeifer et al.(1990)“Biotransformation of the Trapidil(rocornal) derivative AR 12463 in the rat,”Die Pharmazie,45(8),609-614に開示されたトラピジル代謝産物である。
【0101】
幾つかの実施形態では、トラピジルは、米国特許第6,369,065号に開示されたトラピジル塩である。
【0102】
幾つかの実施形態において、本明細書にはまた、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で、ERK経路関連タンパク質がアップレギュレートされた患者を処置する方法が開示される。幾つかの事例では、ERK経路関連タンパク質は、JUN、FOS、UBC、SREBF1、CEBPB、またはMYCのタンパク質を含む。幾つかの実施形態において、本明細書にはまた、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で、JUN、FOS、UBC、SREBF1、CEBPB、またはMYCのタンパク質がアップレギュレートされた患者を処置する方法が開示される。
【0103】
幾つかの事例において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で、炎症性マーカーがアップレギュレートされた患者を処置する方法が開示される。幾つかの場合では、炎症性マーカーは、TNF-α、IL-1a、IL-1b、IL-6、IL-12、またはNF-κBを含む。幾つかの事例において、本明細書には、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩の投与で、TNF-α、IL-1a、IL-1b、IL-6、IL-12、またはNF-κBなどの炎症性マーカーがアップレギュレートされた患者を処置する方法が開示される。
【0104】
幾つかの実施形態では、トラピジルは、AR 12455、AR 12456、AR 12460、AR 12463、AR 12464、AR 12465、AR 12560、またはAR 12565などの、トラピジル誘導体;デスエチル-トラピジル、(5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペンチル-N-(β-ヒドロキシエチル)]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、5-ピペリジン-4’-オリル-7-[N-ペント-4-オリル-N-(β-ヒドロキシエチル]アミノ-s-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、ヒドロキシ誘導体またはケトペンチル誘導体、ピペリジノールまたはピペリジノン、TP1、あるいはTP2などの、トラピジル代謝産物;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、マロン酸、または酒石酸を有する塩などの、トラピジルの薬学的に許容可能な塩、を含む。
【0105】
幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、1日当たり約10mgから1日当たり約3000mgまでの投与量範囲で投与される。幾つかの事例では、投与量範囲は、1日当たり約10mgから1日当たり約2900mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2700mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2600mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2400mg、1日当たり約10mgから1日当たり約2300mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2100mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1900mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1700mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1600mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1400mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1300mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1100mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約950mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約900mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約850mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約750mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約700mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約650mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約550mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約450mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約400mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約350mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約300mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約250mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約200mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約150mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約100mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2000mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2100mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2200mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2300mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2400mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2500mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2600mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2700mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2800mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2900mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2000mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2100mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2200mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2300mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2400mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2500mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2600mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2700mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約200mgからの1日当たり約2500mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2000mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2100mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2200mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2300mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2400mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1000mgからの1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約2000mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約2100mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約400mgからの1日当たり約2000mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約900mgか
ら1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1700mgからの1日当たり約1800mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約400mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約300mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約200mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約500mgまで、または1日当たり約400mgから1日当たり約500mgまでである。
【0106】
幾つかの場合では、投与量は、1日当たり約10mg、1日当たり約15mg、1日当たり約20mg、1日当たり約30mg、1日当たり約40mg、1日当たり約50mg、1日当たり約100mg、1日当たり約150mg、1日当たり約200mg、1日当たり約250mg、1日当たり約300mg、1日当たり約350mg、1日当たり約400mg、1日当たり約450mg、1日当たり約500mg、1日当たり約550mg、1日当たり約600mg、1日当たり約650mg、1日当たり約700mg、1日当たり約750mg、1日当たり約800mg、1日当たり約850mg、1日当たり約900mg、1日当たり約950mg、1日当たり約1000mg、1日当たり約1100mg、1日当たり約1200mg、1日当たり約1300mg、1日当たり約1400mg、1日当たり約1500mg、1日当たり約1600mg、1日当たり約1700mg、1日当たり約1800mg、1日当たり約1900mg、1日当たり約2000mg、1日当たり約2100mg、1日当たり約2200mg、1日当たり約2300mg、1日当たり約2400mg、1日当たり約2500mg、1日当たり約2600mg、1日当たり約2700mg、1日当たり約2800mg、1日当たり約2900mg、または1日当たり約3000mgである。
【0107】
幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所、直腸、または経皮投与で投与される。幾つかの事例では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、経口投与として投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)投与として投与される。他の場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、経皮投与として投与される。
【0108】
幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、経口量は、1日当たり約10mgから1日当たり約3000mgまでの範囲である。幾つかの事例では、経口量範囲は、1日当たり約10mgから1日当たり約2900mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2700mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2600mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2400mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2300mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2100mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1900mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1700mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1600mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1400mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1300mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1100mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約950mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約900mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約850mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約750mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約700mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約650mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約550mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約450mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約400mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約350mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約300mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約250mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約200mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約150mgまで、1日当たり約10mgから1日当たり約100mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2000mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2100mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2200mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2300mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2400mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2500mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2600mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2700mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2800mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約2900mgから1日当たり約3000mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2000mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2100mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2200mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2300mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2400mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2500mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2600mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約2700mgから1日当たり約2800mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2000mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2100mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2200mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2300mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約2400mgから1日当たり約2500mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約2000mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約2100mgから1日当たり約2200mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1800mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約1900mgから1日当たり約2000mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約180
0mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1500mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1600mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約1700mgから1日当たり約1800mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1200mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1300mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約1400mgから1日当たり約1500mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約1000mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約1100mgから1日当たり約1200mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約800mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約900mgから1日当たり約1000mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約600mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約700mgから1日当たり約800mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約500mgから1日当たり約600mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約150mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約400mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約50mgから1日当たり約400mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約300mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約200mgまで、1日当たり約200mgから1日当たり約500mgまで、1日当たり約300mgから1日当たり約500mgまで、または1日当たり約400mgから1日当たり約500mgまでである。
【0109】
幾つかの実施形態では、経口量は、1日当たり約10mg、1日当たり約15mg、1日当たり約20mg、1日当たり約30mg、1日当たり約40mg、1日当たり約50mg、1日当たり約100mg、1日当たり約150mg、1日当たり約200mg、1日当たり約250mg、1日当たり約300mg、1日当たり約350mg、1日当たり約400mg、1日当たり約450mg、1日当たり約500mg、1日当たり約550mg、1日当たり約600mg、1日当たり約650mg、1日当たり約700mg、1日当たり約750mg、1日当たり約800mg、1日当たり約850mg、1日当たり約900mg、1日当たり約950mg、1日当たり約1000mg、1日当たり約1100mg、1日当たり約1200mg、1日当たり約1300mg、1日当たり約1400mg、1日当たり約1500mg、1日当たり約1600mg、1日当たり約1700mg、1日当たり約1800mg、1日当たり約1900mg、1日当たり約2000mg、1日当たり約2100mg、1日当たり約2200mg、1日当たり約2300mg、1日当たり約2400mg、1日当たり約2500mg、1日当たり約2600mg、1日当たり約2700mg、1日当たり約2800mg、1日当たり約2900mg、または1日当たり約3000mgである。
【0110】
幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、単回投与で投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、幾らかの投与回数(例えば、1日当たり2、3、4、5、6回、またはそれ以上)で投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、静脈内または皮下に投与される。そのような事例では、静脈内または皮下の投与量は、約1mg/kg体重から約10mg/kg体重まで、約2mg/kg体重から約10mg/kg体重まで、または約4mg/kg体重から約8mg/kg体重までの範囲である。
【0111】
<併用療法>
本明細書には、幾つかの実施形態において、錐体外路症候群を処置する方法が開示され、ここで、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬と組み合わせて投与される。
【0112】
幾つかの事例では、追加の治療薬は、抗精神病薬、レボドパ、抗うつ薬、抗コリン作動薬、制吐薬、抗不安薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、抗マラリア薬、または抗ヒスタミン薬を含む。幾つかの事例では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、抗精神病薬、レボドパ、抗うつ薬、抗コリン作動薬、制吐薬、抗不安薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、抗マラリア薬、または抗ヒスタミン薬と組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、抗精神病薬と組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、レボドパと組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、抗うつ薬と組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、抗コリン作動薬と組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、制吐薬と組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、抗不安薬と組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、抗てんかん薬と組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、抗パーキンソン病薬と組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、抗マラリア薬と組み合わせて投与される。幾つかの場合では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、抗ヒスタミン薬と組み合わせて投与される。
【0113】
幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、クロナゼパム、イチョウ、クロザピン、リスペリドン、クエチアピン、ビタミンE、レボドパ、ベンゾジアゼピン、ボツリヌス毒素、レセルピン、テトラベナジン、プロプラノロール、ドーパミン枯渇剤、オンダンセトロン、ゾテピン、アリピプラゾール、ゾピクロン、ゾニサミド、トリヘキシフェニジル(Broflex)、ビペリデン、プロシクリジン、ジアゼパム、バクロフェン、チザニジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、ロラゼパム、ミアンセリン、シプロヘプタジン、ミルタザピン、ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、カルビドパ、ロピニロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、セレギリン、ラサギリン、ジプラシドン、オランザピン、アマンタジン、バルベナジン、デューテトラベナジン、またはジフェンヒドラミンを含む。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、静脈内または皮下に投与される。
【0114】
幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、クロナゼパム、イチョウ、クロザピン、リスペリドン、クエチアピン、ビタミンE、レボドパ、ベンゾジアゼピン、ボツリヌス毒素、レセルピン、テトラベナジン、プロプラノロール、ドーパミン枯渇剤、オンダンセトロン、ゾテピン、アリピプラゾール、ゾピクロン、ゾニサミド、トリヘキシフェニジル(Broflex)、ビペリデン、プロシクリジン、ジアゼパム、バクロフェン、チザニジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、ロラゼパム、ミアンセリン、シプロヘプタジン、ミルタザピン、ベンズトロピン、 トリヘキシフェニジル、カルビドパ、ロピニロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、セレギリン、ラサギリン、ジプラシドン、オランザピン、アマンタジン、バルベナジン、デューテトラベナジン、またはジフェンヒドラミンと組み合わせて投与される。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、追加の治療薬は、静脈内または皮下に投与される。
【0115】
幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、同時に投与される。幾つかの事例では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、連続して投与される。幾つかの事例では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の前に投与される。幾つかの事例では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩は、追加の治療薬の後に投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、一体化した剤形で投与される。幾つかの実施形態では、トラピジル、その誘導体、代謝産物、プロドラッグ、アナログ、または薬学的に許容可能な塩、および追加の治療薬は、別々の剤形で投与される。
【0116】
<薬学的な組み合わせ及び製剤>
本明細書には、特定の実施形態において、トラピジルおよび追加の治療薬を含む医薬組成物または組み合わせが開示される。幾つかの事例では、医薬組成物または組み合わせは、薬学的に使用され得る調剤への活性化合物の処理を促進する、賦形剤および助剤を含む1つ以上の生理学的に許容可能な担体を使用する従来の方法で製剤される。適切な製剤は、選択される投与の経路に左右される。周知の技術、担体、および賦形剤はいずれも、適切で当該技術分野において理解されるものとして使用される。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed (Easton,Pa.: Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A. and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)において見られ、これらの文献は、その全体を引用することによって本明細書に組み込まれる。
【0117】
医薬組成物は、本明細書で使用されるように、例えば、トラピジルおよび追加の治療薬などの本明細書に記載される化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、及び/又は賦形剤との混合物を指す。医薬組成物または組み合わせは、生物への化合物の投与を促進する。本明細書に提供される処置または使用の方法の実施の際に、本明細書に記載される治療上有効な量の化合物は、処置される疾患、障害、または疾病を有する哺乳動物へと医薬組成物中で投与される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。治療上有効な量は、疾患の重症度、被験体の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効能、および他の要因に依存して広く変わり得る。化合物は、単一で、または混合物の成分としての1以上の治療薬と組み合わせて使用され得る。
【0118】
特定の実施形態では、組成物または組み合わせはまた、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;およびクエン酸塩/デキストロース、炭酸水素ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの緩衝液を含む、1つ以上のpH調整剤または緩衝剤を含む。このような酸、塩基、および緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持するのに必要とされる量で含まれる。
【0119】
他の実施形態では、組成物または組み合わせはまた、組成物の重量モル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするのに必要な量で1以上の塩を含む。そのような塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、またはアンモニウムカチオン、および塩素アニオン、クエン酸アニオン、アスコルビン酸アニオン、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、重炭酸アニオン、硫酸アニオン、チオ硫酸アニオン、または重亜硫酸アニオンを有するものを含み;適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および硫酸アンモニウムを含む。
【0120】
本明細書で使用されるような用語「薬学的な組み合わせ(pharmaceutical combination)」は、1より多くの有効成分の混合または組み合わせから結果として生じる生成物を意味し、有効成分の固定した組み合わせ及び非固定の組み合わせの両方を含む。用語「固定した組み合わせ」は、有効成分、例えば、本明細書に記載される化合物と助剤の両方が、単一の実体または投薬の形態で患者に同時投与されることを意味する。用語「非固定の組み合わせ」は、有効成分、例えば、本明細書に記載される化合物と助剤が、具体的な時間制限の介入なく同時に、平行して、または連続して、別々の実体として患者に投与されることを意味し、このような投与によって、患者の身体に有効レベルの2つの化合物を提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば3つ以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0121】
本明細書に記載される医薬製剤は、限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所、直腸、または経皮の投与経路を含む、複数の投与経路によって被験体に投与され得る。本明細書に記載される医薬製剤は、限定されないが、水性液体分散液、自己乳化分散液、固溶体、リポソーム分散液、エアロゾル剤、固体剤形、粉末剤、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多微粒子製剤、および即時放出製剤と制御放出製剤の組み合わせを含む。
【0122】
幾つかの事例では、本明細書に記載される化合物を含む医薬組成物は、ほんの一例ではあるが、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉砕、乳化、カプセル化、捕捉、または圧縮のプロセスの手段などの、従来の方法で製造される。
【0123】
幾つかの事例では、「消泡剤」は、水分散液の凝集、完成したフィルム中の気泡を結果としてもたらす、または一般的に処理を損なわせる処理中の泡立ちを減少させる。典型的な消泡剤は、シリコンエマルジョンまたはセスキオレイン酸ソルビタン(sorbitan sesquoleate)を含む。
【0124】
「抗酸化剤」は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、およびトコフェロールを含む。特定の実施形態では、抗酸化剤は、必要とされる場合に化学安定性を増強させる。
【0125】
特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物はまた、微生物活性を阻害するための1以上の防腐剤を含む。適切な防腐剤は、メルフェン(merfen)およびチオマーサルなどの水銀含有物質;安定した二酸化塩素;および塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、および塩化セチルピリジウムなどの第四級アンモニウム化合物を含む。
【0126】
追加の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、および他の一般的な安定化剤から恩恵を得る。そのような安定化剤の例としては、限定されないが、(a)約0.5%乃至約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%乃至約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%乃至約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM乃至約10mMのEDTA、(e)約0.01%乃至約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%乃至約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%乃至約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェートおよび他のヘパリノイド、(m)マグネシウムおよび亜鉛などの二価カチオン;または(n)それらの組み合わせが挙げられる。
【0127】
「結合剤」は、接着性を与え、例えば、アルギン酸およびその塩;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、および微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))などのセルロース誘導体;微結晶性デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;ポリサッカリド酸(polysaccharide acids);ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;α化デンプン;トラガカント、デキストリン、スクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))、およびラクトースなどの糖;などの天然か合成のゴム、アラビアゴム、トラガカント、ガティゴム、イサポール皮(isapol husks)の粘液、ポリビニルピロリドン(例えば、Polyvidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10)、カラマツアラビノガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウム、などを含む。
【0128】
「担体」または「担体材料」は、薬剤学で一般に使用される賦形剤も含み、トラピジルおよび追加の治療薬の化合物などの、本明細書に開示される化合物との適合性、および望ましい剤形の放出プロファイルの特性に基づいて選択されるべきである。典型的な担体材料は、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、滑沢剤、湿潤剤、希釈剤などを含む。「薬学的に適合性のある担体材料」は、限定されないが、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスファチジルコリン(phosphotidylcholine)、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、セルロースおよびセルロース複合体、糖ナトリウム・ステアロイルラクチラート塩(sugars sodium stearoyl lactylate)、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプンなどを含む。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed (Easton,Pa.: Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)を参照。
【0129】
「分散剤」及び/又は「粘度調整剤」は、液体培地あるいは造粒方法または配合方法によって薬物の拡散および均質性を制御する物質を含む。幾つかの実施形態では、これらの薬剤はまた、コーティングまたは腐食マトリックスの有効性を促進する。典型的な拡散の促進剤/分散剤は、例えば、親水性ポリマー、電解液、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;Plasdone(登録商標)として商業上知れらている)、および炭水化物ベースの分散剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、HPC、HPC-SL、およびHPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、HPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、およびHPMC K100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアリン酸アセテート(HPMCAS)、非結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを有する4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポールとしても知られている)、ポロクサマー(例えば、Pluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)、およびF108(登録商標)、これらは酸化エチレンおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);およびポロキサミン(例えば、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよび酸化エチレンの連続する付加に由来する四官能性のブロックコポリマーである、Poloxamine 908(登録商標)としても知られている、Tetronic 908(登録商標)(BASF Corporation,Parsippany,N.J.))、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S-630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300から約6000まで、約3350から約4000まで、または約7000から約5400までの分子量を有し得る)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、グアーゴム、キサンタンゴムを含むキサンタン、糖、セルロース系、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸塩、キトサン、およびそれらの組み合わせを含む。セルロースまたはトリエチルセルロースなどの可塑剤も、分散剤として使用することができる。リポソーム分散液および自己乳化分散液において特に有用な分散剤は、ジミリストイルフォスファチジルコリン、卵からの天然のホスファチジルコリン、卵からの天然のフォスファチジルグリセロール、コレステロールおよびイソプロピルミリステートである。
【0130】
1つ以上の腐食促進剤の1つ以上の拡散促進剤との組み合わせも、本発明の組成物に使用することができる。
【0131】
用語「希釈剤」は、送達前に対象の化合物を希釈するために使用される化学化合物を指す。希釈剤は、より安定した環境を提供することができるため、化合物を安定させるために使用され得る。(pHの制御または維持も提供することができる)緩衝液中に溶解された塩は、限定されないが、リン酸緩衝食塩水溶液を含む、当該技術分野における希釈剤として利用される。特定の実施形態では、希釈剤は、圧縮を促進するために組成物の容積(bulk)を増大させるか又はカプセル剤の埋積のための均質の配合用の十分な容積を作り出す。そのような化合物は、例えば、ラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、Avicel(登録商標)などの微結晶性セルロース;リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム;無水ラクトース、噴霧乾燥されたラクトース;α化デンプン、Di-Pac(登録商標)(Amstar)などの圧縮性糖;マンニトール、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアリン酸アセテート、スクロースベースの希釈剤、粉砂糖;第一硫酸カルシウム一水和物(monobasic calcium sulfate monohydrate)、硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物、デキストレート;加水分解穀類固形物、アミロース;粉末セルロース、炭酸カルシウム;グリシン、カオリン;マンニトール、塩化ナトリウム;イノシトール、ベントナイトなどを含む。
【0132】
用語「崩壊する」は、胃腸液と接触させられたときの剤形の溶解および分散の両方を含む。「崩壊剤」は、物質の分解または崩壊を促進する。崩壊剤の例としては、デンプン、例えば、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National 1551またはAmijel(登録商標)などのα化デンプン、またはPromogel(登録商標)またはExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム、木製品などのセルロース、メチル結晶セルロース、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標)、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロースなどの、メチルセルロース、クロスカルメロース、または架橋セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸などのアルギン酸塩またはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩、Veegum(登録商標)HVなどの粘土(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、またはトラガカントなどの、ゴム、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然のスポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘パルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0133】
「薬物吸収」または「吸収」は、典型的に、薬物の投与の部位から障壁を横切った血管または作用部位への薬物の移動のプロセスを指し、例えば、薬物は、胃腸管から門脈またはリンパ系へと移動する。
【0134】
「腸溶コーティング」は、胃で実質的に無傷のままであるが、小腸または結腸で薬物を溶解し、放出する、物質である。一般に、腸溶コーティングは、胃の低いpH環境における放出を防ぐが、より高いpH、典型的に6~7のpHでイオン化し、それ故、小腸または結腸で十分に溶解して、そこに活性薬剤を放出する、ポリマー材料を含む。
【0135】
「腐食促進剤」は、胃腸液における特定の物質の侵食を制御する物質を含む。腐食促進剤は、当業者一般に知られている。典型的な腐食促進剤は、例えば親水性ポリマー、電解質、タンパク質、ペプチド、アミノ酸含む。
【0136】
「充填剤」は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの化合物を含む。
【0137】
本明細書に記載される製剤における有用な「香味剤」及び/又は「甘味料」は、例えば、アカシアシロップ、アセサルフェームK、アリターム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、カシス、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンフル、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、バブルゴム、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、綿菓子、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、シクラマート、サイクラミン酸塩、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ショウガ、グリチルレチン酸塩、グリシリザ(甘草)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルリチン酸一アンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、カエデ、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、セイヨウナシ、桃、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)粉末、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、スクロース、ナトリウムサッカリン、サッカリン、アスパルテーム、アセサルフェームカリウム、マンニトール、タリン、シリトール、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、セイヨウミザクラ、ウィンターグリーン、キシリトール、またはこれらの香味成分の組み合わせ、例えば、アニス・メントール、チェリー・アニス、シナモン・オレンジ、チェリー・シナモン、チョコレート・ミント、ハチミツ・レモン、レモン・ライム、レモン・ミント、メントール・ユーカリ、オレンジ・クリーム、バニラ・ミント、およびそれらの混合物を含む。
【0138】
「滑沢剤」および「滑剤」は、物質の接着または摩擦を防ぐ、低減する、または阻害する化合物である。典型的な滑沢剤は、例えば、ステアリン酸、水酸化カルシウム、滑石、フマル酸ステアリルナトリウム、鉱油などの炭化水素、または水素化大豆油(Sterotex(登録商標))などの水素化植物油、高級脂肪酸およびそれらのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、滑石、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG-4000)またはメトキシポリエチレングリコール、例えば、Carbowax(商標)、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウム、コロイダルシリカ、例えば、Syloid(商標)、Cab-O-Sil(登録商標)、トウモロコシデンプンなどのデンプン、シリコンオイル、界面活性剤など含む。
【0139】
「測定可能な血清濃度」または「測定可能な血漿濃度」は、投与後に血流へと吸収された、典型的に血清の1mL、1dL、または1L当たりの治療薬のmg、μg、またはngで測定された、血清または血漿の濃度を記載している。本明細書で使用されるように、測定可能な血漿濃度は、典型的にng/mlまたはμg/mlで測定される。
【0140】
「薬力(Pharmacodynamics)」は、作用部位での薬物の濃度に対して観察された生物学的反応を判定する因子を指す。
【0141】
「薬物動態(Pharmacokinetics)」は、作用部位での薬物の適切な濃度の達成および維持を判定する因子を指す。
【0142】
「可塑剤」は、マイクロカプセル化材料またはフィルムコーティングを柔らかくして、それらをそれほど脆くなりにくくするために使用される化合物である。適切な可塑剤は、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、およびPEG800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロースおよびトリアセチンを含む。幾つかの実施形態では、可塑剤はまた、分散剤または湿潤剤として機能することができる。
【0143】
「可溶化剤」は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n-ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁酸塩、ポリエチレングリコール200-600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドなどの化合物を含む。
【0144】
「安定剤」は、抗酸化剤、緩衝液、酸、防腐剤などの化合物を含む。
【0145】
「定常状態」は、本明細書で使用されるように、投与された薬物の量が、結果としてプラトーまたは一定の血漿薬物曝露をもたらす1回の投与間隔内で除去された薬物の量と等しいときの状態である。
【0146】
「懸濁化剤」は、ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300から約6000まで、約3350から約4000まで、または約7000から約5400までの分子量を有し得る)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースステアリン酸アセテート、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、グアーゴム、キサンタンゴムを含むキサンタンなどの、ゴム、糖、セルロース系、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどの、化合物を含む。
【0147】
「界面活性剤」は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、Tween60または80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタンモノオレイン酸ソルビタン ポリソルベート、ポロクサマー(polaxomers)、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、酸化エチレンおよびプロピレンオキシドのコポリマー、例えばPluronic(登録商標)(BASF)などの化合物を含む。幾つかの他の界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;およびポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40を含む。幾つかの実施形態では、界面活性剤は、物理的な安定性を増強するために又は他の目的のために含まれる。
【0148】
「粘度増強剤」は、例えば、メチルセルロース、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアリン酸アセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アラビアゴム、キトサンおよびそれらの組み合わせを含む。
【0149】
「湿潤剤」は、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウレート、ドキュセートナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、トリアセチン、Tween80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩などの化合物を含む。
【0150】
<剤形>
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物または組み合わせは、限定されないが、経口か、非経口(例えば、静脈内、皮下、または筋肉内)、頬側、鼻腔内、直腸、または経皮の投与経路を含む、従来の手段による被験体への投与のために製剤される。幾つかの実施形態では、組成物は、組み合わせた剤形での投与のために製剤される。幾つかの実施形態では、組成物は、別々の剤形での投与のために製剤される。
【0151】
さらに、トラピジルおよび追加の治療薬を含む、本明細書に記載される医薬組成物は、処置される患者による経口摂取のための、限定されないが、水性経口分散液、液体、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁液などを含む、適切な剤形、固体経口剤形、エアロゾル、制御放出製剤、速溶製剤、発泡性製剤、凍結乾燥された製剤、錠剤、粉末剤、丸剤、ドラゼー、カプセル剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多微粒子製剤、および即時放出製剤と制御放出製剤の組み合わせへと製剤される。
【0152】
経口での使用のための医薬製剤は、1つ以上の固体の賦形剤を本明細書に記載される化合物の1つ以上と混合し、随意に結果として生じる混合物を粉砕し、および望まれれば、錠剤またはドラゼーコアを得るために、適切な助剤を加えた後に、果粒剤の混合物を処理することによって得られ得る。適切な賦形剤は、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む、糖などの注入剤(fillers);例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの、セルロース調剤;あるいはポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウムなどの他のものを含む。望まれれば、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸またはそのアルギン酸ナトリウムなどの塩などの、崩壊剤も加えられてもよい。
【0153】
ドラゼーコアには、適切なコーティングが提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用され、これは随意に、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有する。識別のために又は活性化合物の投与量の様々な組み合わせを特徴付けるために、染料または色素が、錠剤またはドラゼーコーティングに加えられる。
【0154】
経口で使用される医薬製剤は、ゼラチンで作られた押し込み型カプセルの他に、ゼラチンで作られた柔軟な密閉カプセル、およびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤を含む。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの注入剤、デンプンなどの結合剤、及び/又は滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および随意に安定剤と組み合わせて、有効成分を含有することができる。軟カプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体のポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解または懸濁されてもよい。さらに、安定剤が加えられてもよい。経口投与のための製剤はすべて、このような投与に適した用量でなければならない。
【0155】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される固体剤形は、錠剤(懸濁液錠剤、速溶錠剤、噛み砕き錠剤(bite-disintegration tablet)、急速崩壊錠、発泡錠、またはカプレットを含む)、丸剤、粉末(無菌包装された粉末、分配可能な粉末、または発泡粉末を含む)、カプセル剤(軟カプセル剤または硬カプセル剤の両方を含む、例えば、動物性のゼラチンまたは植物性のHPMCから作られたカプセル剤、または「スプリンクルカプセル(sprinkle capsules)」)、固体分散液、固溶体、生体内分解性剤形、制御放出製剤、パルス放出剤形、多微粒子剤形、ペレット剤、果粒剤、またはエアロゾルの形態であってもよい。
【0156】
他の実施形態では、医薬製剤は、粉末の形態である。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、限定されないが、速溶錠剤を含む、錠剤の形態である。加えて、本明細書に記載される医薬製剤は、単一のカプセル剤として投与されるか、または複数のカプセル剤形であり得る。幾つかの実施形態では、医薬製剤は、2、3、または4つのカプセル剤または錠剤で投与される。
【0157】
幾つかの実施形態では、固体剤形、例えば、錠剤、発泡錠、およびカプセル剤は、バルク混合(bulk blend)組成物を形成するために、トラピジル及び/又は追加の治療薬の粒子を1つ以上の薬学的な賦形剤と混合することによって調製される。均質なものとしてこれらのバルク混合について言及するときに、組成物が、錠剤、丸剤、およびカプセル剤などの、等しく有効な単位剤形へと容易に細分され得るように、トラピジル及び/又は追加の治療薬の粒子が、組成物の全体にわたって均一に分散されることが意図される。個々の単位剤形はまた、フィルムコーティングを含み得、これは、経口摂取または希釈剤との接触で分解する。これらの製剤は、従来の薬理学的技術によって製造することができる。
【0158】
従来の薬理学的技術は、含む、例えば、以下の方法の1つ又はそれらの組み合わせを含む:(1)乾式混合、(2)直接圧縮、(3)製粉、(4)乾式または非水性の造粒、(5)湿式造粒、または(6)融合。例えば、Lachman et al.,The Theory and Practice of Industrial Pharmacy(1986)を参照。他の方法は、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融造粒、造粒、流動床の噴霧乾燥またはコーティング(例えば、ワースターコーティング)、タンジェンシャルコーティング、頂部噴霧(top spraying)、打錠、押し出しなどを含む。
【0159】
幾つかの事例では、本明細書に記載される薬学的な固体剤形は、本明細書に記載される化合物、およびなどの1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤、適合性のある担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香味剤、甘味料、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、滑沢剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、防腐剤、またはそれらの1つ以上の組み合わせを含む。さらに他の態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Edition (2000)に記載される手順などの、標準のコーティング手順方法を使用して、フィルムコーティングが、トラピジル及び/又は追加の治療薬の製剤まわりに提供される。別の実施形態では、トラピジル及び/又は追加の治療薬の粒子の幾つか又はすべては、マイクロカプセル化されず、コーティングされない。
【0160】
本明細書に記載される固体剤形で使用される適切な担体は、限定されないが、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ナトリウム・ステアロイルラクチラート塩、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアリン酸アセテート、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールなどを含む。
【0161】
本明細書に記載される固体剤形で使用される適切な充填薬剤は、限定されないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアリン酸アセテート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどを含む。
【0162】
トラピジルの化合物及び/又は追加の治療薬を放出するために、できるだけ効率的に固体剤形マトリックスから、特に剤形が結合剤で圧縮されるときに、崩壊剤がしばしば製剤に使用される。崩壊剤は、湿気が剤形へと吸収されるときに、膨化または毛管作用によって剤形マトリックスを破裂させる助けとなる。本明細書に記載される固体剤形で使用される適切な崩壊剤は、限定されないが、デンプン、例えば、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National 1551またはAmijel(登録商標)などのα化デンプン、、またはPromogel(登録商標)またはExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム、木製品などのセルロース、メチル結晶セルロース、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標)、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロースなどの、メチルセルロース、クロスカルメロース、または架橋セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸などのアルギン酸塩またはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩、Veegum(登録商標)HVなどの粘土(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、またはトラガカントなどの、ゴム、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然のスポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘パルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。
【0163】
結合剤は、固体の経口剤形製剤に接着性を与え:粉末を充填したカプセル製剤に関しては、それらは、プラグ形成を助けて、軟または硬シェルカプセル剤へと充填され得、および錠剤製剤に関しては、それらは、錠剤が圧縮後に無傷なままであることを確かなものとし、圧縮または充填工程前に配合の均一性を確かなものとするのを助ける。本明細書に記載される固体剤形における結合剤としての使用に適した物質は、限定されないが、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Hypromellose USP Pharmacoat-603、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアリン酸アセテート(Aqoate HS-LFおよびHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、 および微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリサッカリド酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、トラガカント、デキストリン、スクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))、ラクトースなどの、糖、アラビアゴム、トラガカント、ガティゴムなどの、天然または合成のゴム、イサポール皮の粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン(例えば、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10、およびPovidone(登録商標)K-12)、カラマツアラビノガラクタン、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなどを含む。
【0164】
一般に、20-70%の結合剤レベルは、粉末が充填されたゼラチンカプセル製剤において使用される。錠剤製剤における結合剤の使用のレベルは、直接圧縮、湿式造粒、ローラー圧縮、または中程度の結合剤としてそれ自体が作用することができる注入剤などの他の賦形剤の使用であるかどうかで様々である。当該技術分野における熟練した配合者は、製剤のための結合剤レベルを判定することができるが、錠剤製剤における70%までの結合剤使用のレベルが一般的である。
【0165】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な滑沢剤または滑剤は、限定されないが、ステアリン酸、水酸化カルシウム、滑石、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール、例えば、Carbowax(商標)、PEG4000、PEG5000、PEG6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリン(glyceryl palmitostearate)、グリセリルベンゾエート(glyceryl benzoate)、マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。
【0166】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な希釈剤は、限定されないが、糖(ラクトース、スクロース、およびデキストロースを含む)、ポリサッカリド(デキストレートおよびマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、およびソルビトールを含む)、シクロデキストリンなどを含む。
【0167】
用語「非水溶性希釈剤」は、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプンおよび微結晶性セルロース、および微細セルロース(例えば、約0.45g/cmの密度を有する、例えば、Avicel、粉末セルロース)、並びに滑石などの、医薬品の製剤に典型的に使用される化合物を表わす。
【0168】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な湿潤剤は、例えば、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、第四級アンモニウム化合物(例えば、Polyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドキュセートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGSなどを含む。
【0169】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な界面活性剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、酸化エチレンおよびプロピレンオキシドのコポリマー、例えばPluronic(登録商標)(BASF)などを含む。
【0170】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な懸濁化剤は、限定されないが、ポリビニルピロリドン、例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300から約6000まで、約3350から約4000まで、または約7000から約5400までの分子量を有し得る)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、グアーゴム、キサンタンゴムを含むキサンタンなどの、ゴム、糖、セルロース系、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどを含む。
【0171】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な抗酸化剤は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸ナトリウム、およびトコフェロール(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、およびトコフェロールを含む。
【0172】
本明細書に記載される固体剤形に使用される添加剤間の相当な重複があることが認識されるべきである。したがって、上記のリストされた添加剤は、本明細書に記載される固体剤形に含まれ得る添加剤のタイプの中で、単に典型的なものとして解釈され、限定するようには解釈されるべきではない。そのような添加剤の量は、望まれる特定の特性によって、当業者によって容易に判定され得る。
【0173】
他の実施形態では、医薬製剤の1つ以上の層は、可塑化される。例示的に、可塑剤は、一般に高沸点固体または液体である。適切な可塑剤は、約0.01重量%から約50重量%(w/w)のコーティング組成物を加えられ得る。可塑剤は、限定されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸塩エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアリン酸塩、およびヒマシ油を含む。
【0174】
圧縮錠剤は、上に記載される製剤のバルク混合を圧縮することによって調製された固体剤形である。様々な実施形態では、口内で溶解するように設計される圧縮錠剤は、1つ以上の香味剤を含む。他の実施形態では、圧縮錠剤は、最終的な圧縮錠剤を囲むフィルムを含む。幾つかの実施形態では、フィルムコーティングは、製剤から、トラピジル及び/又は追加の治療薬の遅延放出性を提供することができる。他の実施形態では、フィルムコーティングは、患者のコンプライアンスを助ける(例えば、Opadry(登録商標)コーティングまたは糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、典型的に約1%乃至約3%の錠剤重量の範囲に及ぶ。他の実施形態では、圧縮錠剤は、1つ以上の賦形剤を含む。
【0175】
カプセル剤は、例えば、上に記載されるトラピジル及び/又は追加の治療薬の製剤のバルク混合をカプセル剤の内部に入れることによって調製される。幾つかの実施形態では、製剤(非水性の懸濁液および溶液)は、軟ゼラチンカプセル剤に入れられる。他の実施形態では、製剤は、標準のゼラチンカプセル剤またはHPMCを含むカプセル剤などの非ゼラチンカプセル剤に入れられる。他の実施形態では、製剤は、スプリンクルカプセルに入れられ、ここで、カプセルは、全体が呑み込まれるか、またはカプセルは、開けられ、内容物が食べる前に食品にまき散らされる。幾つかの実施形態では、治療量は、複数(例えば2、3、または4)のカプセル剤へと分割される。幾つかの実施形態では、製剤の総量は、カプセル形態で送達される。
【0176】
様々な実施形態では、トラピジル及び/又は追加の治療薬の粒子、および1つ以上の賦形剤は、ドライブレンドされ、経口投与後に、混合され、約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、または約60分未満以内に実質的に分解する医薬組成物を提供するのに十分な硬度を有している、錠剤などの塊へと圧縮され、それによって、製剤を胃腸液へと放出する。
【0177】
別の態様では、剤形は、マイクロカプセル化された製剤を含んでもよい。幾つかの実施形態では、1つ以上の他の適合性材料が、マイクロカプセル化材料に存在する。典型的な材料は、限定されないが、pH調節剤、腐食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香味剤、および結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、滑沢剤、湿潤剤、および希釈剤などの担体材料を含む。
【0178】
本明細書に記載されるマイクロカプセル化に有用な材料は、他の非適合性の賦形剤から、トラピジルまたは追加の治療薬のいずれかの化合物を十分に分離する、トラピジル及び/又は追加の治療薬と適合性のある材料を含む。トラピジルまたは追加の治療薬のいずれかの化合物と適合性のある材料は、インビボで、トラピジルまたは追加の治療薬のいずれかの化合物の放出を遅らせる材料である。
【0179】
本明細書に記載される化合物を含む製剤の放出を遅らせるのに有用な典型的なマイクロカプセル化材料は、限定されないが、Klucel(登録商標)またはNisso HPCなどのヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L-HPC)、Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)-E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843などの、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、Methocel(登録商標)-A、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアリン酸アセテート Aqoat(HF-LS、HF-LG、HF-MS)およびMetolose(登録商標)などの、メチルセルロースポリマー、エチルセルロース(EC)およびそれらのなどの混合物、例えば、E461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)、ポリビニルアルコール(PVA)、例えば、Opadry AMB、ヒドロキシエチルセルロース、例えば、Natrosol(登録商標)、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えば、Aqualon(登録商標)-CMC、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールコポリマー、例えば、Kollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、改質された食品デンプン、アクリルポリマーおよびセルロースエーテルとアクリルポリマーの混合物、例えば、Eudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D-55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100-55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、およびEudragit(登録商標)NE 40D、酢酸フタル酸セルロース、sepifilms、例えば、HPMCとステアリン酸の混合物、シクロデキストリン、およびこれらの材料の混合物を含む。
【0180】
さらに他の実施形態では、ポリエチレングリコールなどの可塑剤、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、およびPEG800、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、およびトリアセチンは、マイクロカプセル化材料に組み込まれる。他の実施形態では、医薬組成物の放出を遅らせるのに有用なマイクロカプセル化材料は、USPまたは国民医薬品集(NF)からの材料である。さらに他の実施形態では、マイクロカプセル化材料は、Klucelである。さらに他の実施形態では、マイクロカプセル化材料は、methocelである。
【0181】
トラピジルまたは追加の治療薬のいずれかのマイクロカプセル化化合物は、当業者によって知られている方法によって製剤され得る。そのような既知の方法は、例えば、噴霧乾燥のプロセス、回転盤溶剤のプロセス、熱溶解のプロセス、噴霧冷却の方法、流動床、静電沈着、遠心押出、回転懸濁液分離、液体ガスまたは固体ガスの界面での重合、圧力押出、または噴霧溶媒抽出槽を含む。これらに加えて、幾つかの化学的技術、例えば、複合コアセルベーション、溶媒蒸発、ポリマー・ポリマー不適合、液体培地中の界面重合、インサイチュ重合、液中乾燥、および液体培地中の脱溶媒和が 使用され得る。さらに、ローラー圧縮、押出/球形化、コアセルベーション、またはナノ粒子コーティングなどの他の方法も使用され得る。
【0182】
他の実施形態では、トラピジル及び/又は追加の治療薬のいずれかの化合物の固体投与製剤は、1つ以上の層で可塑化される(コーティングされる)。例示的に、可塑剤は、一般に高沸点固体または液体である。適切な可塑剤は、約0.01重量%から約50重量%(w/w)のコーティング組成物を加えられ得る。可塑剤は、限定されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸塩エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアリン酸塩、およびヒマシ油を含む。
【0183】
他の実施形態では、本明細書に記載される、トラピジル及び/又は追加の治療薬のいずれかの化合物を有する製剤を含む粉末は、1つ以上の薬学的な賦形剤および着香料を含むように製剤され得る。そのような粉末は、バルク混合組成物を形成するために、例えば、製剤および随意の薬学的な賦形剤を混合することによって調製され得る。追加の実施形態も、懸濁化剤及び/又は湿潤剤を含む。このバルク混合は、単位用量の包装ユニットまたは複数回用量の包装ユニットへと一様に細分される。
【0184】
さらに他の実施形態では、発泡粉末も、本開示に従って調製される。経口投与用の水中で薬剤を分散させるために、発泡塩が使用されてきた。発泡塩は、通常、炭酸水素ナトリウム、クエン酸及び/又は酒石酸から構成された、乾燥した混合物中に薬剤を含有している果粒剤または粗粉末である。本明細書に記載される組成物の塩が、水に加えられるときに、酸および塩基は反応して、二酸化炭素ガスを遊離させ、それによって「発泡」を引き起こす。発泡塩の例としては、例えば、以下の成分が挙げられる:炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物、クエン酸及び/又は酒石酸。成分が、薬学的な使用に適しており、約6.0以上のpHを結果としてもたらす限り、二酸化炭素の遊離を結果的にもたらす酸と塩基の組み合わせが、炭酸水素ナトリウムとクエン酸および酒石酸の組み合わせの代わりに使用することができる。
【0185】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される固体剤形は、腸溶コーティングされた遅延放出性経口剤形として、つまり、胃腸管の小腸における放出に作用させるために腸溶コーティングを利用する、本明細書に記載されるような医薬組成物の経口剤形として製剤することができる。腸溶コーティングされた剤形は、それ自体がコーティングされるか又はコーティングされない、有効成分及び/又は他の組成成分の果粒剤、粉末、ペレット剤、ビーズまたは粒子を含有している、圧縮された、成型された、または押し出された、錠剤/鋳型(コーティングされたか又はコーティングされていない)であり得る。腸溶コーティングされた経口剤形はまた、それ自体がコーティングされるか又はコーティングされない、固体担体または組成物のペレット剤、ビーズまたは果粒剤を含有している、カプセル剤(コーティングされたか又はコーティングされていない)であり得る。
【0186】
本明細書に使用されるような用語「遅延放出」は、遅延放出の変更がなかった場合に達成されていただろう位置からより遠位にある腸管における幾つかの一般に予測可能な位置で放出を達成することができるような送達を指す。幾つかの実施形態では、放出の遅延のための方法はコーティングである。コーティングは、コーティング全体が、約5より下のpHで胃腸液中に溶解しないが、約5以上のpHで溶解するような十分な厚さに適用されなければならない。pH依存性の溶解度プロフィルを示す陰イオンポリマーが、胃腸管下部への送達を達成するために本明細書に記載される方法および組成物における腸溶コーティングとして使用され得ることができることが期待される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマーは、陰イオン性カルボン酸ポリマーである。他の実施形態では、ポリマーおよびそれらの適合性の混合物、およびそれらの特性の幾つかは、限定されないが、以下を含む;
昆虫の樹脂分泌から得られた精製品である、精製されたラック(lac)とも呼ばれる、シェラック。このコーティングは、pH>7の培地中で溶解する;
アクリルポリマー。アクリルポリマーの能力(主として生体液中のそれらの溶解度)は、置換の程度およびタイプによって左右され得る。適切なアクリルポリマーの例としては、メタクリル酸コポリマーおよびアンモニウムメタクリル酸塩コポリマーが挙げられる。有機溶媒、水性分散液、または乾燥粉において可溶性なものとして、EudragitシリーズE、L、S、RL、RSおよびNE(Rohm Pharma)が利用可能である。EudragitシリーズRL、NE、およびRSは、胃腸管中で不溶性であるが、浸透性で、主として結腸での標的のために使用される。Eudragitシリーズ(E)は、胃において溶解する。EudragitシリーズL、L-30DおよびSは、胃において不溶性であり、腸内で溶解する;
セルロース誘導体。適切なセルロース誘導体の例は、以下である:エチルセルロース;無水フタル酸とセルロースの部分的な酢酸塩エステルとの反応混合物。その能力は、置換の程度およびタイプによって左右され得る。酢酸フタル酸セルロース(CAP)は、pH>6で溶解する。Aquateric(FMC)は、水系であり、<1μmの粒子を有する噴霧乾燥されたCAP偽ラテックス(psuedolatex)である。Aquateric中の他の成分は、プルロニック、Tween、およびアセチル化モノグリセリドを含むことができる。他の適切なセルロース誘導体は、以下を含む:セルロースアセテートトリメリテート(Eastman);メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel);ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP);ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート(HPMCS);およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(例えば、AQOAT(Shin Etsu))。その能力は、置換の程度およびタイプによって左右され得る。例えば、HP-50、HP-55、HP-55S、HP-55Fのグレードなどの、HPMCPが適切である。その能力は、置換の程度およびタイプによって左右され得る。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートの適切なグレードは、限定されないが、pH5で溶解するAS-LG(LF)、pH5.5で溶解するAS-MG(MF)、およびそれ以上のpHで溶解するAS-HG(HF)を含む。これらのポリマーは、果粒剤、または水性分散液のための微粉末として提供される;
ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)。PVAPは、pH>5で溶解し、水蒸気および胃液に対してそれほど浸透性がない。
【0187】
幾つかの実施形態では、コーティングは、当該技術分野で周知である、可塑剤、および恐らく着色剤、滑石、及び/又はステアリン酸マグネシウムなどの他のコーティング賦形剤を含有することができ、通常含有する。適切な可塑剤は、クエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(グリセリルトリアセタート)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflec A2)、Carbowax 400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、およびフタル酸ジブチルを含む。特に、陰イオン性カルボン酸アクリルポリマーは、通常、10-25重量%の可塑剤、フタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチルおよびトリアセチンを含有する。噴霧またはパンコーティングなどの従来のコーティング技術は、コーティングを適用するために利用される。コーティング厚さは、腸管内の局所送達の望ましい部位が達成されるまで経口剤形が無傷のままであることを確かなものとするのに十分な厚さでなければならない。
【0188】
コーティング材を可溶性にするか又は分散させるために、およびコーティング性能およびコーティングされた製品を改善するために、着色剤、粘着防止剤(detackifiers)、界面活性剤、消泡剤、滑沢剤(例えば、カルナウバロウまたはPEG)が、可塑剤に加えてコーティングに加えられてもよい。
【0189】
他の実施形態では、トラピジル及び/又は追加の治療薬を含む、本明細書に記載される製剤は、パルス剤形を使用して送達される。パルス剤形は、制御された遅延時間後の予め決められた時点で、または特定部位で1つ以上の即時放出パルスを提供することができる。当業者に既知の他の多くのタイプの制御放出系が、本明細書に記載される製剤との使用に適している。そのような送達系の例としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ酸無水物およびポリカプロラクトンなどの、ポリマーベースの系;多孔性マトリックス、コレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸などの、ステロール、またはモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドなどの、中性脂肪を含む、脂質である非ポリマーベースの系;ヒドロゲル放出系;サイラスティック系(silastic systems);ペプチドベースの系;ワックスコーティング、生体分解性の剤形、従来の結合剤を使用する圧縮錠剤などが挙げられる。例えば、Liberman et al.,Pharmaceutical Dosage Forms,2 Ed.,Vol. 1,pp.209-214 (1990); Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp. 751-753 (2002);米国特許第4,327,725号、第4,624,848号、第4,968,509号、第5,461,140号、第5,456,923号、第5,516,527号、第5,622,721号、第5,686,105号、第5,700,410号、第5,977,175号、第6,465,014号、および第6,932,983号を参照。
【0190】
幾つかの実施形態では、被験体への経口投与のための本明細書に記載されるトラピジル及び/又は追加の治療薬の粒子および少なくとも1つの分散剤または懸濁化剤を含む医薬製剤が提供される。製剤は、懸濁液のための粉末及び/又は果粒剤であり得、水との混合で、実質的に均一な懸濁液が得られる。
【0191】
経口投与のための液剤剤形は、限定されないが、薬学的に許容可能な水性の経口分散液、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル剤、およびシロップ剤を含む群から選択される水性懸濁液であり得る。例えば、Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.754-757(2002)を参照。加えて、液体剤形は、(a)崩壊剤;(b)分散剤;(c)湿潤剤;(d)少なくとも1つの防腐剤、(e)粘度増強剤、(f)少なくとも1つの甘味料、および(g)少なくとも1つの香味剤、などの添加剤を含んでもよい。幾つかの実施形態では、水性分散液はさらに、結晶阻害剤を含むことができる。
【0192】
本明細書に記載される水性の懸濁液および分散液は、少なくとも4時間、The USP Pharmacists’Pharmacopeia (2005 edition,chapter 905)に定義されるように、均質状態のままであり得る。均質性は、組成物全体の均質性の判定に関して一貫したサンプリング法によって判定されるべきである。一実施形態では、水性懸濁液は、1分未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁することができる。別の実施形態では、水性懸濁液は、45秒未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁することができる。さらに別の実施形態では、水性懸濁液は、30秒未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁することができる。まだ別の実施形態では、均質な水性分散液を維持するのに撹拌は必要とされない。
【0193】
水性の懸濁液および分散液に使用される崩壊剤の例としては、限定されないが、デンプン、例えば、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National 1551またはAmijel(登録商標)などのα化デンプン、またはPromogel(登録商標)またはExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム;メチル結晶セルロース、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標)、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロースなどの、メチルセルロース、クロスカルメロース、または架橋セルロース;デンプングリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン;クロスポビドンなどの架橋ポリマー;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸などのアルギン酸塩またはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩;Veegum(登録商標)HVなどの粘土(ケイ酸アルミニウムマグネシウム);寒天、グアー、イナゴマメ、 カラヤ、ペクチン、またはトラガカントなどの、ゴム;デンプングリコール酸ナトリウム;ベントナイト;天然のスポンジ;界面活性剤;陽イオン交換樹脂などの樹脂;柑橘パルプ;ラウリル硫酸ナトリウム;デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウム、などが挙げられる。
【0194】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される水性の懸濁液および分散液に適した分散剤は、当該技術分野に既知であり、例えば、親水性ポリマー、電解質、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP; Plasdone(登録商標)として商業上知られている)、および炭水化物ベースの分散剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(例えば、HPC、HPC-SL、およびHPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(例えば、HPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、およびHPMC K100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースステアリン酸アセテート、非結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(Plasdone(登録商標)、例えば、S-630)、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを有する4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポールとしても知られている)、ポロクサマー(例えば、Pluronics F68(登録商標)、F88(登録商標))、およびF108(登録商標)、これらは酸化エチレンおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);およびポロキサミン(例えば、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよび酸化エチレンの連続する付加に由来する四官能性のブロックコポリマーである、Poloxamine 908(登録商標)としても知られている、Tetronic 908(登録商標)(BASF Corporation,Parsippany,N.J.))を含む。他の実施形態では、分散剤は、以下の薬剤に1つを含まない群から選択される:親水性ポリマー;電解質;Tween(登録商標)60または80;PEG;ポリビニルピロリドン(PVP);ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースエーテル(例えば、HPC、HPC-SL、およびHPC-L);ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(例えば、HPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、HPMC K100M、およびPharmacoat(登録商標)USP 2910(Shin-Etsu));カルボキシメチルセルロースナトリウム;メチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチル-セルロースステアリン酸アセテート;非結晶セルロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;トリエタノールアミン;ポリビニルアルコール(PVA);酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを有する4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー;ポロクサマー(例えば、Pluronics F68(登録商標)、F88(登録商標))、およびF108(登録商標)、これらは酸化エチレンおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);またはポロキサミン(例えば、Poloxamine 908(登録商標)としても知られている、Tetronic 908(登録商標))。
【0195】
本明細書に記載される水性の懸濁液および分散液に適した湿潤剤は、当該技術分野で既知であり、限定されないが、セチルアルコール、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、例えば、Tween 20(登録商標)およびTween 80(登録商標)(ICI Specialty Chemicals)などの、市販のTween(登録商標))、およびポリエチレングリコール(例えば、Carbowax 3350(登録商標)およびCarbowax 1450(登録商標))、およびCarbopol 934(登録商標)(Union Carbide)、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGS、タウロコール酸ナトリウム、シメチコン、ホスファチジルコリンなどを含む。
【0196】
本明細書に記載される水性の懸濁液または分散液に適した防腐剤は、例えば、ソルビン酸カリウム、パラベン(例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベン)、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸の他のエステル、エチルアルコールまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物、または塩化ベンザルコニウムなどの四級化合物を含む。防腐剤は、本明細書で使用されるように、微生物増殖を阻害するのに十分な濃度で剤形に組み込まれる。
【0197】
本明細書に記載される水性の懸濁液または分散液に適した粘度増強剤は、限定されないが、メチルセルロース、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Plasdon(登録商標)S-630、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アラビアゴム、キトサンおよびそれらの組み合わせを含む。粘度増強剤の濃度は、選択される薬剤および望まれる粘度に左右される。
【0198】
本明細書に記載される水性の懸濁液または分散液に適した甘味料の例としては、例えば、アカシアシロップ、アセサルフェームK、アリターム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、カシス、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンフル、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、バブルゴム、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、綿菓子、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、シクラマート、サイクラミン酸塩、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ショウガ、グリチルレチン酸塩、グリシリザ(甘草)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルリチン酸一アンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、カエデ、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、セイヨウナシ、桃、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)粉末、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、スクロース、ナトリウムサッカリン、サッカリン、アスパルテーム、アセサルフェームカリウム、マンニトール、タリン、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、セイヨウミザクラ、ウィンターグリーン、キシリトール、またはこれらの香味成分の組み合わせ、例えば、アニス・メントール、チェリー・アニス、シナモン・オレンジ、チェリー・シナモン、チョコレート・ミント、ハチミツ・レモン、レモン・ライム、レモン・ミント、メントール・ユーカリ、オレンジ・クリーム、バニラ・ミント、およびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、水性の液体分散液は、約0.001%から約1.0%までの量の水性分散液の範囲の濃度で甘味料または香味剤を含むことができる。別の実施形態では、水性の液体分散液は、約0.005%から約0.5%までの量の水性の分散液の範囲の濃度で甘味料または香味剤を含むことができる。さらに別の実施形態では、水性の液体分散液は、約0.01%から約1.0%までの量の水性の分散液の範囲の濃度で甘味料または香味剤を含むことができる。
【0199】
上にリストされる添加剤に加えて、液剤はまた、水または他の溶剤、可溶化剤、および乳化剤などの、当該技術分野において一般に使用される不活性希釈剤を含むことができる。典型的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、コレステロール、コレステロールエステル、タウロコール酸、ホスファチジルコリン、綿実油などの油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、および胡麻油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などである。
【0200】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される医薬製剤は、自己乳化型の薬物送達系(SEDDS)であり得る。エマルジョンは、通常は液滴の形態での別の相における1つの不混和性相の分散液である。一般に、エマルジョンは、活発な機械的分散によって作成される。エマルジョンまたはマイクロエマルジョンとは対照的である、SEDDSは、外部からの機械的な分散または撹拌なしで、過度の水を加えられたときに自発的にエマルジョンを形成する。SEDDSの利点は、溶液全体にわたって液滴を分配するために軽い混合のみを必要とするということである。加えて、投与の直前に、水または水相を加えることができ、これは、不安定な又は疎水性の有効成分の安定を確かなものとする。したがって、SEDDSは、疎水性の有効成分の経口および非経口の送達のために有効な送達系を提供する。SEDDSは、疎水性の有効成分のバイオアベイラビリティの改善をもたらし得る。自己乳化型の剤形を生成する方法は、当該技術分野において既知であり、限定されないが、例えば、米国特許第5,858,401号、第6,667,048号、および第6,960,563号に挙げられ、それら各々は引用によって具体的に組み込まれる。
【0201】
与えられた添加剤が、しばしば本分野における異なる医師によって違ったやり方で分類されるか、または一般に幾つかの異なる作用のいずれかのために使用されるため、本明細書に記載される水性の分散液または懸濁液において使用される上記のリストされた添加剤間に重複があることが認識されるべきである。したがって、上記のリストされた添加剤は、単に典型的なものとして解釈されるべきであり、本明細書に記載される製剤に含まれ得る添加剤のタイプを限定するものとして解釈されるべきではない。そのような添加剤の量は、望まれる特定の特性に従って、当業者によって容易に判定され得る。
【0202】
<注射製剤>
筋肉内、皮下、腫瘍周囲、又は静脈内の注入に適切な、トラピジルまたは追加の治療薬の化合物を含む製剤は、生理的に許容可能な無菌の水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、および無菌の注入可能な溶液又は分散液への再構成のための無菌の粉末剤を含み得る。適切な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン-グリコール、グリセロール、クレモホール(cremophor)など)、それらの適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、およびオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散の場合での必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。皮下注射に適した製剤は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分配剤(dispensing agent)などの添加剤も含み得る。微生物の増殖の予防は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの、様々な抗菌剤および抗真菌剤によって確かなものとされ得る。
糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことも望まれ得る。注射可能な剤形の吸収の延長は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの、吸収を遅らせる薬剤の使用によってもたらされ得る。
【0203】
静脈注射のために、本明細書に記載される化合物は、水溶液中で、好ましくはハンク溶液、リンガー溶液、または生理食塩水の緩衝液などの生理的に適合性のある緩衝液中で製剤され得る。経粘膜投与のために、浸透される障壁に対して適切な浸透剤が、製剤に使用される。そのような浸透剤は、一般に当該技術分野で既知である。他の非経口注射のために、適切な製剤は、好ましくは生理学的に適合性のある緩衝液または賦形剤とともに、水溶液または非水溶液を含み得る。そのような賦形剤は、一般に当該技術分野で既知である。
【0204】
非経口注射は、ボーラス注入または持続注入を含み得る。注入のための製剤は、追加の防腐剤とともに、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回投与用容器で提供されてもよい。本明細書に記載される医薬組成物は、油性または水性のビヒクル中の無菌の懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの、非経口注射に適した形態であり、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの調合剤(formulatory agents)を含み得る。非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を含む。加えて、活性化合物の懸濁液は、適切な油性の注射懸濁液として調製されてもよい。適切な親油性の溶媒またはビヒクルは、胡麻油などの脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、あるいはリポソームを含む。水性の注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を増大させる物質を含有し得る。随意に、懸濁液はまた、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増大させる適切な安定剤または薬剤を含有し得る。代替的に、有効成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば滅菌発熱性物質除去蒸留水との構成のために粉末形態であり得る。
【0205】
<追加の製剤>
特定の実施形態では、例えば、リポソームおよびエマルジョンなどの医薬化合物のための送達系が利用され得る。特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、とりわけ、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウムおよびデキストランから選択される、粘膜付着性ポリマーも含むことができる。
【0206】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、局所に投与され得、溶液、懸濁液、ローション剤、ゲル剤、ペースト剤、薬用スティック、バーム、クリーム剤または軟膏剤などの、様々な局所投与可能な組成物へと製剤することができる。そのような医薬化合物は、可溶化剤、安定剤、張性増強剤(tonicity enhancing agents)、緩衝液および防腐剤を含有することができる。
【0207】
幾つかの事例では、本明細書に記載される化合物はまた、ココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤の他に、ポリビニルピロリドン、PEGなどの合成ポリマーを含有している、浣腸剤、直腸ゲル剤、直腸泡沫、直腸エアロゾル、坐剤、ゼリー坐剤、または停留浣腸剤などの、直腸組成物中で製剤される。組成物の坐剤形態では、限定されないが、随意にココアバターと組み合わせた、脂肪酸グリセリドの混合物などの、低融点ワックスが最初に融解される。
【0208】
<治療レジメン>
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるトラピジル医薬組成物は、治療適用のために投与される。幾つかの実施形態では、医薬組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、またはそれ以上投与される。医薬組成物は、毎日、1日おき、週5日、週1日、1週おき、1か月当たり2週、1か月当たり3週、月1回、月2回、1か月当たり3回、またはそれ以上投与される。医薬組成物は、少なくとも1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、2年、3年、またはそれ以上の間投与される。
【0209】
幾つかの実施形態では、トラピジルおよび追加の治療薬は、同時に、連続して、またはある時間間隔で投与される。幾つかの実施形態では、トラピジルおよび追加の治療薬は、同時に投与される。幾つかの場合では、トラピジルおよび追加の治療薬は、連続して投与される。追加の場合では、トラピジルおよび追加の治療薬は、ある時間間隔で投与される(例えば、第1の医薬組成物(例えばトラピジル)の第1の投与が1日目であり、その後、少なくとも第2の医薬組成物(例えば追加の治療薬)の投与前に少なくとも1、2、3、4、5日、またはそれ以上間隔を空けられる)。
【0210】
患者の状態が改善する場合、医者の判断で、組成物の投与は継続的に行われ得;代替的に、投与されている組成物の用量は、一時的に減少されるか、または特定の期間の間一時的に中断される(つまり、「休薬期間」)。幾つかの事例では、休薬期間の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む、2日から1年の間で変わる。休薬期間中の用量減少は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む、10%-100%の間である。
【0211】
患者の状態が改善すると、必要ならば維持量が投与される。続いて、投与の用量または頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、改善された疾患、障害または疾病が保持されるレベルまで減少され得る。
【0212】
幾つかの実施形態では、このような量に相当する与えられた薬剤の量は、特定の化合物、疾患の重症度、処置を必要としている被験体または宿主の性質(例えば体重)などの要因に左右されるが、それにもかかわらず、例えば、投与されている具体的な薬剤、投与経路、および処置されている被験体または宿主を含む、症例を取り囲む特定の環境に従って、当該技術分野で既知の方法で日常的に判定される。幾つかの事例では、望ましい投与量は、1回量で、あるいは同時に(または短期間にわたって)又は適切な間隔で投与される分割量、例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上のサブ用量で好適に提供される。
【0213】
個々の処置レジメンに関する変数の数が大きく、これらの推奨値からの相当な逸脱は珍しくないため、前述の範囲は示唆的なものにすぎない。そのような投与量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の被験体の必要条件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医師の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
【0214】
幾つかの実施形態では、そのような治療レジメンの毒性および治療効率は、限定されないが、LD50(集団の50%に致死的な用量)、およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)の判定を含む、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的処置によって判定される。毒性と治療効果との間の用量比は治療指数であり、これは、LD50とED50との間の比率として表わされる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投薬量範囲の製剤に使用される。そのような化合物の投薬量は、毒性が最小のED50を含む血中濃度の範囲内にあるのが好ましい。投薬量は、利用される剤形および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変わる。
【0215】
<検出方法>
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるパネルからの1つ以上のマーカーの発現レベルを検出する方法は、限定されないが、ウエスタンブロット、ノーザンブロット、サザンブロット、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光検査、放射性免疫測定法、免疫細胞化学、核酸ハイブリッド形成技術、核酸逆転写方法、核酸増幅方法、またはそれらの組み合わせを含む。幾つかの場合では、パネルは、FOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、BCL2、またはそれらの組み合わせを含む。
【0216】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のマーカーの発現レベルは、核酸レベルで判定される。発現を評価するための核酸ベースの技術は、当該技術分野で周知であり、例えば、生体サンプル中のマーカーmRNAのレベルを判定することを含む。多くの発現検出方法が、単離されたRNAを使用する。mRNAの単離に対して選択しないRNA単離技術は、RNAの精製のために利用される(例えば、Ausubel et al.,ed.(1987-1999)Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons,New York)を参照)。加えて、多数の組織サンプルが、例えば、米国特許第4,843,155号に開示された一段階RNA単離プロセスなどの、当業者に周知の技術を使用して、容易に処理される。
【0217】
本明細書で使用されるように、用語「核酸プローブ」は、特異的に意図された標的核酸分子、例えば、ヌクレオチド転写産物に選択的に結合することができる分子を指す。核酸プローブの合成に適した方法は、Caruthers,Science,230:281-285,(1985)にも記載される。幾つかの事例では、本明細書での使用に適したプローブは、RNA及び/又はDNAなどの核酸、核酸アナログ、ロックド核酸、修飾核酸、および核酸をペプチド核酸などの別の有機成分とともに含む混合クラスのキメラプローブから形成されたものを含む。幾つかの場合では、プローブは一本鎖である。他の場合では、プローブは二本鎖である。典型的なヌクレオチドアナログは、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、アデノシン、シチジン、グアノシン、およびウリジンのリン酸エステルを含む。非天然ヌクレオチドの他の例は、キサンチンまたはヒポキサンチン;5-メチルシトシン、およびN4-メトキシデオキシシトシンなどの、5-ブロムウラシル、2-アミノプリン、デオキシイノシン、またはメチル化シトシンを含む。また、メチル化核酸、例えば2’-O-methRNA、ペプチド核酸、修飾ペプチド核酸などの、ポリヌクレオチド模倣物の塩基、および例えば、DNAまたはRNAにおいて生じる1つ以上の塩基との塩基相補性を示すことによって実質的にヌクレオチドまたは塩基のように作用することができる、他の構造部分も含まれる。
幾つかの場合では、検出のために使用されるプローブは、随意に、放射標識、蛍光標識、または酵素標識などの、検出可能な標識を含む。例えば、Lancaster et al.、米国特許第5,869,717号を参照。幾つかの実施形態では、プローブは蛍光標識される。蛍光標識されたヌクレオチドは、Kambara et al.,Bio/Technol.,6:816-21,(1988); Smith et al.,Nucl.Acid Res.,13:2399-2412,(1985);およびSmith et al.,Nature,321: 674-679,(1986)に記載される技術などの様々な技術によって産生され得る。蛍光染料は、化学的または酵素的な手段によって容易に切断されるリンカーアームによってデオキシリボースに連結され得る。Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach,IRL Press,Oxford,(1991); Zuckerman et al.,Polynucleotides Res.,15: 5305-5321,(1987); Sharma et al.,Polynucleotides Res.,19:3019,(1991); Giusti et al.,PCR Methods and Applications,2:223-227,(1993); Fung et al. (米国特許第4,757,141号); Stabinsky (米国特許第4,739,044号); Agrawal et al.,Tetrahedron Letters,31: 1543-1546,(1990); Sproat et al.,Polynucleotides Res.,15:4837,(1987);およびNelson et al.,Polynucleotides Res.,17:7187-7194,(1989)に示されるように、標識をヌクレオチドに結合させるための多くのリンカーおよび方法がある。広範囲なガイダンスが、ヌクレオチドに加えられ得る共通の反応性基を介する共有結合のためにフルオロフォアおよび消光分子を誘導体化するための文献に存在する。Oligonucleotides and Analogues,supra; Guisti et al.,supra; Agrawal et al,supra;およびSproat et al.,supraに記載されるように、フルオロフォア部分をヌクレオチドに結合させるための多くの連結部分および方法も存在する。
【0218】
幾つかの場合では、プローブに結合された検出可能な標識は、直接または間接的に検出可能である。幾つかの実施形態では、正確な標識は、少なくとも部分的に、使用される検出方法の特定のタイプに基づいて選択され得る。典型的な検出方法は、放射性検出、吸光度検出、例えば、UV可視吸光度検出、発光検出、例えば、蛍光;リン光または化学発光;ラマン散光を含む。好ましい標識は、蛍光標識などの、光学的に検出可能な標識を含む。蛍光標識の例としては、限定されないが、4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’ジスルホン酸;アクリジンおよび誘導体:アクリジン、アクリジンイソチオシアネート;5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS);4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5ジスルホン酸塩;N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;BODIPY;alexa;フルオレセイン;結合された多色染料;ブリリアントイエロー;クマリンおよび誘導体;クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、Coumarin 120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(Coumaran 151);シアニン色素;シアノシン;4’,6-ジアミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI);5’5’’-ジブロモピロガロール-スルホナフタレイン(sulfonaphthalein)(ブロモピロガロールレッド);7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン;ジエチレントリアミンペンタアセテート;4,4’-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸;4、4’ -ジイソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸;5-[ジメチルアミノ]ナフタレン-1-塩化スルホニル(DNS、ダンシルクロリド);4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート;エオシンおよび誘導体;エオシン、エオシンイソチオシアネート、エリトロシンおよび誘導体;エリトロシンB、エリトロシン、イソチオシアネート;エチジウム;フルオレセインおよび誘導体;5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’-ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、QFITC(XRITC);フルオレサミン;IR144;IR1446;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4-メチルアンベリフェロンオルトクレゾールフタレイン(methylumbelliferoneortho cresolphthalein);ニトロチロシン;パラローザニリン;フェノールレッド;B-フィコエリトリン;o- フタルジアルデヒド;ピレンおよび誘導体:ピレン、ピレン酪酸塩、サクシニミジル1-ピレン;ブチレート量子ドット(butyrate quantum dots);リアクティブレッド4(Cibacron(商標)Brilliant Red 3B-A)ローダミンおよび誘導体:6-カルボキシ-X-ローダミン (ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロライドローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン、スルホローダミン101のスルホニルクロライド誘導体101(Texas Red);N,N,N’,N’テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA);テトラメチルローダミン;イソチオシアン酸テトラメチルローダミン(TRITC);リボフラビン;ロゾール酸;テルビウムキレート誘導体;Atto染料、Cy3;Cy5;Cy5.5;Cy7;IRD 700;IRD 800;La Jolta Blue;フタロシアニン;およびナフタロシアニンが挙げられる。他の光学的に検出可能な標識を含む、蛍光標識以外の標識は、本発明によって熟考される。
【0219】
結合プローブの検出は、当業者に既知である技術などの、使用される標識に依存する様々な技術のいずれかを使用して測定され得る。典型的な検出方法は、放射性検出、吸光度検出、例えば、UV可視吸光度検出、発光検出、例えば、蛍光または化学発光を含む。単一の分子から蛍光を感知することができるデバイスは、走査型トンネル顕微鏡(siM)および原子間力顕微鏡(AFM)を含む。ハイブリダイゼーションパターンも、Yershov et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.93:4913(1996)などに記載されるように、適切なオプティクス(Ploem,in Fluorescent and Luminescent Probes for Biological Activity Mason,T.G.Ed.,Academic Press,Landon,pp.1-11(1993))を備えるCCDカメラ(例えば、Model TE/CCD512SF,Princeton Instruments,Trenton,NJ.)を使用してスキャンされ得るか、またはTVモニタリングによって画像化され得る。放射シグナルのために、ホスフォイメージャーデバイスを使用することができる(Johnston et al.,Electrophoresis,13:566,1990; Drmanac et al.,Electrophoresis,13:566,1992; 1993)。イメージング装置の他の商用サプライヤーは、General Scanning Inc.,(Watertown,Mass.on the World Wide Web at genscan.com)、Genix Technologies (Waterloo,Ontario,Canada; on the World Wide Web at confocal.com),およびApplied Precision Inc.を含む。
【0220】
特定の実施形態では、標的核酸または核酸リガンド、あるいはその両方は、当該技術分野で既知の方法を使用して定量化される。例えば、単離されたmRNAは、限定されないが、サザンまたはノーザン解析、ポリメラーゼ連鎖反応解析およびプローブアレイを含む、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイにおいて使用される。mRNAレベルの検出のための1つの方法は、単離されたmRNAを、検出されている遺伝子によってコードされたmRNAにハイブリダイズする核酸分子(プローブ)と接触させる工程を含む。核酸プローブは、例えば、全長cDNA、または長さが少なくとも7、15、30、50、100、250または500のヌクレオチドである、且つストリンジェントな条件下で本明細書で上に記載されたマーカーであるマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドなどの、その一部分から構成される。プローブを用いるmRNAのハイブリダイゼーションは、対象のマーカーまたは他の標的タンパク質が発現されていることを示している。
【0221】
一実施形態では、mRNAは、固体表面上に固定され、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲル上に流し、mRNAをゲルからニトロセルロースなどの膜に移すことによって、プローブと接触させられる。代替的な実施形態では、プローブは、固体表面上に固定され、mRNAは、例えば、遺伝子チップアレイにおいてプローブと接触させられる。当業者は、対象のマーカーまたは他のタンパク質をコードするmRNAのレベルの検出における使用のための既知のmRNA検出方法を容易に適応させる。
【0222】
サンプルにおける対象のmRNAのレベルを判定するための代替方法には、例えば、RT-PCRによる核酸増幅(例えば、米国特許第4,683,202号を参照)、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189 193)、自家持続配列複製法(Guatelli et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwoh et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi et al.(1988)Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(米国特許第5,854,033号)、または他の核酸増幅方法のプロセスに続いて、当業者に周知の技術を使用して増幅された分子の検出のプロセスが伴う。そのような分子が非常に少ない数で存在する場合、これらの検出スキームは、核酸分子の検出に特に有用である。本発明の特定の態様では、マーカー発現は、定量的蛍光発生RT-PCR(即ち、TaqMan System)によって評価される。
【0223】
対象のRNAの修飾または発現レベルは、膜ブロット(Northern、ドットなどの、ハイブリダイゼーション解析に使用されるものなど)、あるいはマイクロウェル、サンプルチューブ、ゲル剤、ビーズまたはファイバー(または結合された核酸を含む固体支持体)を使用してモニタリングされる。米国特許第5,770,722号、第5,874,219号、第5,744,305、第5,677,195号および第5,445,934号を参照し、これらは引用によって本明細書に組み込まれる。発現の検出はまた、溶液中で核酸プローブを使用することを含む。
【0224】
幾つかの実施形態では、1つ以上のマーカーの発現または存在を判定するために、マイクロアレイが使用される。マイクロアレイは、異なる実験間の再現性が要因でこの目的に特によく適している。DNAマイクロアレイは、多数の遺伝子の発現レベルの同時の測定のための1つの方法を提供する。アレイはそれぞれ、固体支持体に結合された捕捉プローブの再現可能なパターンから成る。標識されたRNAまたはDNAは、アレイ上の相補的プローブにハイブリダイズされ、その後、レーザースキャンによって検出される。アレイ上の各プローブに対するハイブリダイゼーション強度が判定され、相対的な遺伝子発現レベルを表わす定量値に変換される。米国特許第第6,040,138号、第5,800,992号、第6,020,135号、第6,033,860号、第6,344,316号、および米国特許公開番号20120208706を参照。高密度のオリゴヌクレオチドアレイは、サンプル中の多数のRNAのための遺伝子発現プロファイルを判定するのに特に有用である。典型的なマイクロアレイチップは、Foundation Medicine,IncからのFoundationOneおよびFoundationOne Heme;AffymetrixからのGeneChip(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0;およびMyraid RBMからのHuman DiscoveryMAP(登録商標)250+v.2.0を含む。
【0225】
機械的な合成方法を使用するこれらのアレイの合成のための技術は、例えば、米国特許第5,384,261号に記載されている。幾つかの実施形態では、アレイは、事実上あらゆる形状の表面または多様な表面上に作り上げられる。幾つかの実施形態では、アレイは、平面アレイ表面である。幾つかの実施形態では、アレイは、ビーズ、ゲル剤、ポリマー表面、ファイバーオプティクスなどのファイバー、ガラスまたは他の適切な基板上にペプチドまたは核酸を含む。米国特許第5,770,358号、第5,789,162号、第5,708,153号、第6,040,193号および第5,800,992号を参照し、これら各々は、その全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態では、アレイは、包括的なデバイスの診断または他の操作を可能にするような方法でパッケージングされる。
【0226】
幾つかの事例では、定量化のための方法は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)である。本明細書で使用されるように、「QPCR」は、そのような方法で、およびアッセイの結果が定量的である、即ち、アッセイが、試験サンプルに存在する核酸リガンドの量または濃度を定量化することができる、制御された条件下で実行されたPCR反応を指す。QPCRは、ポリメラーゼ連鎖反応に基づいた技術であり、標的とされた核酸分子を増幅すると同時に定量化するために使用される。QPCRは、DNAサンプル中の特異的配列の検出および定量化(DNAインプットまたは追加の正規化する遺伝子に正規化されたときの絶対数のコピーまたは相対量として)の両方を可能にする。その手順は、PCRの一般的な原則に従っており、これには、増幅されたDNAが、各増幅サイクル後にリアルタイムで反応中に蓄積すると定量化されるという、追加の特徴が伴う。QPCRは、例えば、Kurnit et al.(米国特許第6,033,854号)、Wang et al.(米国特許第5,567,583号および第5,348,853号)、Ma et al.(The Journal of American Science,2(3),(2006))、Heid et al.(Genome Research 986-994,(1996))、Sambrook and Russell(Quantitative PCR,Cold Spring Harbor Protocols,(2006))、およびHiguchi(米国特許第6,171,785号および第5,994,056号)に記載されている。
【0227】
幾つかの実施形態では、発現レベルはタンパク質発現であり、本明細書に記載される遺伝子のタンパク質発現のレベルが検出される。幾つかの場合では、検出方法は、生体サンプルを、タンパク質(例えばFOSL2、JUN、JUND、ATF3、SREBF2、INSIG1、MVK、MVD、LDLR、HMGCR、ERK、DUSP14、SQSTM1、IER3、CDKN1A、MYC、またはBCL2の遺伝子によってコードされたタンパク質)に特異的に認識するかまたは特異的に結合する抗体と接触させる工程を含む。幾つかの場合では、タンパク質発現のレベルは、限定されないが、放射性免疫測定法、ウエスタンブロットアッセイ、ELISA、免疫蛍光アッセイ、酵素免疫定量法、免疫沈降、化学発光アッセイ、免疫組織化学アッセイ、ドットブロットアッセイ、およびスロットブロットアッセイを含む、イムノアッセイによって判定される。
【0228】
<キット/製品>
本明細書には、特定の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の方法との使用のためのキットおよび製品が開示される。そのようなキットは、例えば、バイアル、チューブなどの1以上の容器を収容するために仕切られた運搬装置、包装、または容器を含み、容器の各々は、本明細書に記載される方法で使用される個別の要素の1つを含む。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が挙げられる。一実施形態では、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成される。
【0229】
本明細書で提供される製品は、パッケージング材を含む。製薬用のパッケージング材の例としては、限定されないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、および選択される製剤および意図した投与と処置の様式に適したパッケージング材を含む。
【0230】
例えば、容器は、随意に組成物中に、または本明細書に開示されるような追加の治療薬と組み合わせてトラピジルを含む。そのようなキットは、随意に、識別用の記述またはラベル、あるいは本明細書に記載される方法での使用に関する説明書を含む。
【0231】
キットはまた、内容物をリストする標識及び/又は使用のための説明書、および使用のための説明書が伴う添付文書を含む。説明書のセットも典型的に含まれる。一実施形態では、標識は、容器上にあるか又はそれに関連付けられている。一実施形態では、標識は、それを形成する字、数字または他の文字が、容器自体に付けられているか、成型されているか、またはエッチングされるときに容器上にあり、容器をも保持するレセプタクルまたは担体内に存在するときに、例えば添付文書として、容器と関連付けられている。一実施形態では、標識は、内容物が具体的な治療用途に使用されることを示すために使用される。標識はまた、本明細書に記載される方法などにおける、内容物の使用のための指示を示す。
【0232】
特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書で提供される化合物を含有している1つ以上の単位剤形を含むパックまたはディスペンサー装置中に与えられる。パックは、例えば、ブリスターパックなどの、金属またはプラスチック箔を含む。一実施形態では、パックまたはディスペンサー装置は、投与のための説明書が付けられている。一実施形態では、パックまたはディスペンサーはまた、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形態で容器に関連付けられる通知が伴い、その通知は、ヒトまたは動物用の投与のための薬物の形態の機関による承認を反映するものである。そのような通知は、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局によって承認された標識付け又は承認された製品添付文書(approved product insert)である。一実施形態では、適合性のある製薬担体中で製剤された本明細書で提供される化合物を含有している組成物もまた、調製され、適切な容器に入れられ、および示される疾病の処置のために標識付けされる。
【実施例0233】
以下の実施例は、開示の様々な実施形態を例示する目的で与えられ、いかなる方法でも本開示を制限するようには意図されていない。本明細書に記載される方法とともに、本実施例は、好ましい実施形態の代表例である且つ典型的なものであり、本開示の範囲を限定するものとしては意図されない。請求項の範囲によって定義される本開示の精神内に包含されるその変化および他の使用が、当業者に想定される。
【0234】
実施例1 - 錐体外路症候群のトランスクリプトームのシグネチャーを発見するためのインビトロおよび計算解析。
限定されないが、FDAおよび国際的に承認された薬物を含む、1000を超える化合物を表わす薬物を撹乱させた(drug perturbed)細胞株(MCF7、HL60、およびPC3)に対する遺伝子発現データを、公共資源のConnectivity Map(Lamb,J.,The Connectivity Map:using gene-expression signatures to connect small molecules,genes,and disease.Science,2006.313(5795): p.1929-35)から得た。データを、その質を調節し、標準化し、正規化した。同時に、化合物の薬物有害反応を、薬物標識、主要な文献、およびFDA Adverse Even Reporting System(https://open.fda.gov/data/faers)の統計解析を使用して作表した。
【0235】
既知の薬物有害反応を有する~400の薬物に対する遺伝子発現データを、計算解析のために入力した。薬物を、錐体外路症候群(遅発性ジスキネジアおよびアカシジアなど)を引き起こしたか又は引き起こさなかった群へと分けた。錐体外路症候群を引き起こすと知られている化合物のためのトランスクリプトームのシグネチャーを発見した特徴選択と対になった機械学習アルゴリズムを実行した。このシグネチャーは、化合物が錐体外路症候群を引き起こす可能性があるか否かを予測する精度を有している(5倍の交差検証、AUROC=0.858)。無作為化された標識を使用して、結果が無効にされるとシグネチャーを検証し(5倍の交差検証、AUROC=0.552)、精度が、アルゴリズムのアーティファクトではなく、生物学的データに関連することを確認した。
【0236】
トランスクリプトームのシグネチャーは、433の遺伝子を包含し、幾つかの事例では、錐体外路症候群を引き起こす化合物によって引き起こされたERKシグナル伝達活性の増加に関連していた。アップレギュレートされた転写因子およびタンパク質は、アクチベータータンパク質1(FOSおよびJUN)、コレステロール合成およびアンフォールドタンパク質反応(SREBF1/2、CEBPB、およびUBC)およびERK2に関連するものを含んだ。ダウンレギュレートされた転写因子およびタンパク質は、細胞周期進行に関連していた:MYCおよびBCL2。
【0237】
特定されたインビトロでのシグネチャーは、化合物および関連するジスキネジアに関するインビトロおよびインビボでの動物科学的データと一致している(Deslauriers,J. ,et al.,Implication of the ERK/MAPK pathway in antipsychotics-induced dopamine D2 receptor upregulation and in the preventive effects of (+/-)-alpha-lipoic acid in SH-SY5Y neuroblastoma cells. Journal of molecular neuroscience,2014. 52(3): p. 378-83; Cao,X.,et al.,Striatal overexpression of DeltaFosB reproduces chronic levodopa-induced involuntary movements. The Journal of neuroscience: the official journal of the Society for Neuroscience,2010. 30(21): p. 7335-43; Nguyen,T.V.,et al.,Differential expression of c-fos and zif268 in rat striatum after haloperidol,clozapine,およびamphetamine. Proc Natl Acad Sci USA,1992. 89(10): p.4270-74)。
【0238】
実施例2 - 錐体外路症候群に対する処置としてトラピジルを解明するインビトロおよび計算解析。
錐体外路症候群を引き起こす薬物のトランスクリプトームのシグネチャーを解明した後に、単独で投与されたときに同じインビトロでの条件下でトランスクリプトームのシグネチャーを逆転させる化合物を、計算上特定した。計算アルゴリズムは、同じトランスクリプトームのデータのセットをスキャンするが、錐体外路症候群に対する433の特定された遺伝子を最大限に且つ優先的に逆転させる化合物を特定する。スクリーニングされた~1100の化合物のうち、トラピジルは、遅発性ジスキネジア、ジスキネジア、アカシジア、または薬剤性パーキンソニズムなどの、様々な錐体外路症候群に対するトランスクリプトームのシグネチャーを逆転させることが示された。
【0239】
実施例3 - 抗精神病薬およびドーパミンのトランスクリプトームのシグネチャーを改善するか又は逆転させるトラピジルの能力を評価するインビトロおよび計算解析。
原因化合物(または遅発性ジスキネジア、ジスキネジア、アカシジア、または薬剤性パーキンソニズムなどの錐体外路症候群を引き起こす化合物)によって引き起こされるときに特定されたトランスクリプトームのシグネチャーを逆転させるトラピジルの質的能力を評価するために、トラピジルを、遅発性ジスキネジアおよびレボドパ誘発性ジスキネジアを引き起こすと知られる化合物とともに同時投与した。表1は、実験の2つの撹乱(two-perturbation)の設計を示す。ハロペリドールおよびリスペリドンを試験した。レボドパをドーパミンに変換するのに必要な酵素を有していない細胞株(例えばMCF7)におけるレボドパの代わりに、ドーパミンを選んだ。
【0240】
【表1】
【0241】
MCF7細胞を使用し、細胞を化合物の投与の24時間前に蒔き、細胞を6時間化合物にさらした。すべての条件を3回繰り返して実行した。トラピジルに対する投薬量を、元の濃度20uMから両方向(directions)に変更した。ハロペリドール、リスペリドン、およびドーパミンの濃度は、脳および脳脊髄液における処置に使用される既知の生理的濃度より高かった(ハロペリドール 100xの生理的濃度、リスペリドン 30xの生理的濃度、ドーパミン 100xの生理的濃度)。トラピジル濃度は、処置のために承認された生理学的な脳内濃度に近かった(~13uM)。幾つかの事例では、細胞による迅速且つ強固な反応を得るために、インビトロでの試験において高濃度を使用した。そのような事例では、インビトロでの結果は、複数の濃度で実行され(トラピジルは3回で繰り返される)、質的傾向が評価される。
【0242】
化合物をMCF7細胞で6時間インキュベートした後に、全RNAを抽出した。mRNAを富化し、配列決定ライブラリーの調製を完了した。その後、サンプルを、Illumina HiSeq Xマシン上で配列決定して、転写変化を評価するためのRNA-seqデータを生成した。サンプルはそれぞれ、最小で2000万のリードを有し、塩基対の少なくとも80%がQ30スコアを有していた。RNA-seqリードを、STARを使用してゲノムに整列させ、HTSeqを使用してmRNA領域においてカウントした。差次的な発現を、DESeq2を使用して判定した。
【0243】
単一の撹乱RNA-seq結果(H_V、R_V、D_V、およびV_T2)を、距離メトリックを使用して品質管理に対するConnectivity Mapのデータセットと比較した。ハロペリドール、ドーパミン、およびトラピジルのRNA-seqデータは、Connectivity Mapから得られたそれぞれのマイクロアレイデータに類似していた。リスペリドンに対するRNA-seqデータは、ハロペリドールおよびリスペリドンに対するRNA-seqデータに類似していることが分かった。リスペリドンRNA-seqとマイクロアレイデータの両方は、同様に異なる遺伝子を有していたが、RNA-seqデータは、より大規模な変化を有していたため、距離メトリックには、より近いサンプルとしてハロペリドールを選んだ。
【0244】
第2の品質管理として、遅発性ジスキネジアに対する433のトランスクリプトームのシグネチャーを別個に発現させ、これを、ハロペリドール(p=1.57e-54)およびリスペリドン(p=9.20e-32)に対するRNA-seqデータによって判定した。ドーパミンRNA-seqデータがレボドパ誘発性ジスキネジアに関係する遺伝子を変更させたかどうかを評価するために、ドーパミンデータを、レボドパ誘発性ジスキネジアのラットモデルにおけるRNA-seq発現パターンと比較した(Smith,L.M.,et al.,Striatal mRNA expression patterns underlying peak dose L-DOPA-induced dyskinesia in the 6-OHDA hemiparkinsonian rat.Neuroscience,2016. 324: p.238-51)。一致は、異なる実験条件(インビトロ対インビボ)および異なる生物(ヒト対ラット)から2つのトランスクリプトームのシグネチャー(p=0.0166)間の一致を発見した。
【0245】
品質チェック後、トラピジルが、実施例1で議論されたハロペリドールおよびリスペリドンによって引き起こされたトランスクリプトームのシグネチャーを質的に改善したか又は逆転させたかどうかを評価した。幾つかの事例では、SREBF1、FOS、CEBPB、UBC、ERK2、およびJUNに関連する転写産物を評価した。図1では、ハロペリドールの差次的な発現に加えてトラピジルの様々な濃度が示される。図2では、リスペリドンの差次的な発現に加えてトラピジルの様々な濃度が示される。トラピジルの近い生理的濃度は、高レベルのハロペリドールによって引き起こされたトランスクリプトームのシグネチャーを減少させたか又は反転させた(flipped)。トラピジルを減少されたか又は反転されたリスペリドンは、トランスクリプトームの変化を誘発する。リスペリドンに対する変化を、より強力な第一世代抗精神病薬である、ハロペリドールに従って、より明白にした(pronounced)。FDR<0.05での変化は、図1および図2によって例示される。残りの遺伝子は、抗精神病薬によって引き起こされた発現変化を減少させる質的傾向を示す。
【0246】
さらに、433の遺伝子トランスクリプトームのシグネチャー全体がどのように変化したかを評価する計算解析を適用した。RNA-seqデータを、化合物が錐体外路症候群を引き起こすかどうかを判断する機械学習アルゴリズムによって分析して、「傾向スコア」を産出した。「傾向スコア」は、シグネチャー全体にわたるトランスクリプトームの変化の集合である。0以下のスコアの化合物は、薬物有害反応を引き起こさないと予測されるが、薬物の正値が大きくなるにつれて、錐体外路症候群を引き起こす確率はより高くなる。図3に見られるように、ハロペリドールは、錐体外路症候群を引き起こす確率がリスペリドンよりもはるかに高い傾向にあると予測される。トラピジルの付加は、ハロペリドールとリスペリドンの両方に対する薬物有害反応の傾向スコアを低下させる。50uMのトラピジルでのリスペリドンに関しては、スコアは0以下に低下する。
【0247】
レボドパ誘発性ジスキネジアに対するトラピジルの効果を評価するために、ドーパミンのトランスクリプトームのシグネチャーを、ピークのレボドパレベルでのレボドパ誘発性ジスキネジアのラットモデルにおける線条体のトランスクリプトームの変化と比較した(Smith,L.M.,et al.,Striatal mRNA expression patterns underlying peak dose L-DOPA-induced dyskinesia in the 6-OHDA hemiparkinsonian rat.Neuroscience,2016.324:p.238-51)。結合得点を様々な遺伝子発現パターンがどれほど類似しているかのメトリックとして使用して、トラピジルの投与量が、レボドパ治療中のラットの脳において留意された変化からのドーパミンの遺伝子発現パターンの類似性を依存的に低下させたことが分かった(図4)。連結性(connectivity)スコアは,差次的な遺伝子発現パターンがどれほど類似しているかを評価するために使用され、より高い正のスコアは類似性を反映し、負のスコアは反対の発現パターンを反映している。
【0248】
インビトロアッセイから遺伝子発現パターンを使用して、トラピジルが、遅発性ジスキネジアおよびレボドパ誘発性ジスキネジアを含む錐体外路症候群に関連付けられる、ハロペリドール、リスペリドン、およびドーパミンによって引き起こされた遺伝子発現パターンを用量依存的に低減することが観察されている。
【0249】
実施例4 - 動物モデル試験のためのトラピジルおよび抗精神病薬の初期の投薬レベル。
投与量-暴露の関連性を特徴づけるために血漿および脳の薬物動態を判定する:血液および脳における濃度を測定するために、トラピジルを、腹腔内(IP)注入を介してLong-Evansラットに投与する(表2)。
【0250】
初回量は、FDAの相対スケーリングガイダンス(allometric scaling guidance)および現在のヒトの投薬に基づいて選ばれる。その後、計算された投与量(30mg/kg)は、両方向に(15mg/kgおよび60mg/kg)2倍変化する。血漿サンプルを、PKパラメーターを判定するために8つの時点で収集する(群1-3)。結果として生じる血漿プロファイルに基づいて、トラピジルの30mg/kgのIP注入に対する脳内濃度を判定するための3つの時点を選ぶ(群4-6)。
【0251】
【表2】
【0252】
適切な投与方策を設計するために抗精神病薬との潜在的な薬物・薬物相互作用を判定する:トラピジルと抗精神病薬との間の相互作用は、別々の投与に対して一緒に投与されたときに2つの化合物の血漿濃度を測定することによって判定される(表3)。一例として、第一世代抗精神病薬のハロペリドールが示される。他の抗精神病薬は、例えば第二代世代のリスペリドンのために、類似した方法で試験される。
【0253】
連続投与がTD動物モデルにより関連するため、皮下に埋め込まれたペレット剤によってハロペリドールが投与される。ハロペリドールが(移植後24、48時間、および72時間で)定常状態に達した後、およびトラピジルのIP注入後の8つの時点で、ハロペリドールおよびトラピジルの血漿測定が行われる(表3)。潜在的な薬物・薬物相互作用を判定するために、トラピジル濃度は、薬物が別々に投与された投薬群と比較され、一方でハロペリドール濃度は、トラピジル注入の前の初期の時点と比較される。幾つかの事例では、トラピジルは、CYP1A2を調節すると示されたが、CYP1A2は、ハロペリドールと相互作用することが示されなかった。
【0254】
【表3】
【0255】
実施例5 - 確立されたハロペリドール誘発性ジスキネジアの動物モデルを使用する遅発性ジスキネジアの予防または処置のトラピジルの効能。
実施例4からの投薬量を使用して、トラピジルは、TDの処置および予防のためにインビボでの効能を試験するために投与される。咀嚼様顎運動(vacuous chewing movements)(VCM)として知られているTD様の症状が、抗精神病薬を使用してげっ歯類において引き起こされる。TDに対するVCMの適用可能性の一連の証拠があり、ハロペリドールは、誘発に最もよく使用される。これは、確立されたハロペリドール誘発性ジスキネジアのげっ歯類モデルを用いて行われる。その例はハロペリドールの使用であるが、リスペリドンなどの他の抗精神病薬が、ラットにおいてVCMを誘発するために使用され得る。目標は、VCMを最低でも30%低減させ、試験を促進する(powered)(1群当たりn=10)ことである。
【0256】
遅発性ジスキネジア様の症状は、10週間のハロペリドールの長期投与によって誘発される。これは、ラットを含む動物における確立された誘発方法である。初期症状(~3週間)は、急性の錐体外路系症状を反映しており、一方で遅発性症状(~10週間)はTDを反映している。ヒト様のハロペリドールの定常状態の濃度を得るために、ラットに皮下の持続放出ペレット剤を埋め込む(90日間)。この方法は、経口および注入の方法と比較して最低の変動係数を有するげっ歯類におけるTDの再現性のある症状を誘発することが示された。従来の試験は、運動の平均数および標準偏差を定量化し、n=10の群は、TD症状の30%の減少を検出するのに十分なパワーを提供している。
【0257】
この試験において、年齢が一致したLong-Evans雄ラット(1群当たりn=10、~60日齢)を、ハロペリドールの連続投与にさらす。口顔面ジスキネジアのハロペリドール誘発を、ヒトTDのモデルとしてラットにおいて確立する。他の系統のラットと比較してハロペリドールに対するより強固な反応を示す、Long-Evansラットを選ぶ。症状が、継続的に存在するHALでより明白となるため、毎日の注入に対してハロペリドールの連続投与を選んだ。
【0258】
TDを処置する且つ予防するトラピジルの能力を試験する(図5)。予防のために、トラピジルを、5つの群に対して10週間にわたってハロペリドールとともに同時投与する(図5のA)。ジスキネジアの症状を、一週おきに処置に対して盲検の観察者によって定量的に評価する。TDをより示唆するものである遅発性症状の処置を試験するために、ラットを10週間ハロペリドールで処置した後に、トラピジルを投与する。この時点では、トラピジルは、3週間ハロペリドールで処置した群に対して2回分を同時投与し、症状をこの期間の間に毎週モニタリングする。TD患者が典型的に抗精神病薬を使用し続けるときに、それでもハロペリドールを使用しながら症状が低減されるか否かを試験することが重要である。この群の結果を、1)ハロペリドールのみを使用し続けたラット、および2)ハロペリドールおよび陽性対照(例えばテトラベナジン)を使用し続けたラットと比較する。テトラベナジンを、線条体のドーパミンを枯渇させるためのラットにおける有効量である5mg/kg/日でIP注入を介して投与する。これらの実験のそれぞれのために、2回分の異なる用量のトラピジルを試験する:15mg/kg/日(T)および30mg/kg/日(2T)。用量依存的な反応を示すために、追加の投薬レジメンおよび濃度を使用する。群にわたる注入によって引き起こされたストレスの一貫性を維持するために、IP注入ビヒクルを使用する。
【0259】
ラットを、分離したケージに入れ、5分間環境に慣れさせる。その後、VCM(物理的オブジェクトへと方向付けられていない開口)、挺舌および顔面痙攣の数を、5分間にわたってカウントする。カウントおよび時間を、毛づくろいのために止める。評価者は処置条件に対して盲検にされる。
【0260】
VCMの統計的に有意な変化は、ヒトTDに影響を与えることのトラピジルの潜在的な有用性を示している。
【0261】
実施例6 - 確立された動物モデルを使用してレボドパ誘発性ジスキネジアを予防または処置することのトラピジルの効能。
実施例5と同様に、トラピジルの投薬を、レボドパ誘発性ジスキネジアにより一般に使用されるスプラーグドーリーラットに合わせる。血漿濃度を評価するために、トラピジルを、15m/g/kg、30m/g/kg、および60m/g/kgでIP注入によって投与する。初期の薬物動態プロファイルの判定後の選択された時点で、脳内およびCSFの濃度を判定する。
【0262】
実施例5と同様に、確立された動物モデルが、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)に対するトラピジルの効能を試験するために存在する。6-OHDA LIDラットモデルを使用する。(Cenci,M.A.,and Lundblad,M.,Ratings of L-DOPA-Induced Dyskinesia in the Unilateral 6-OHDA Lesion Model of Parksinson’s Disease in Rats and Mice.Current Protocols in Neuroscience,2007.doi:10.1002/0471142301.ns0925s41)。LIDを予防する及び/又は処置するために、トラピジルを試験する。アマンタジンを、本実施例において陽性対照として使用する。
【0263】
実施例7 - 遅発性ジスキネジアにおける臨床研究用のトラピジル
この試験の目的は、遅発性ジスキネジアにおけるトラピジルの効能を評価することである。
【0264】
研究タイプ:介入
【0265】
割当:無作為化
【0266】
エンドポイント分類:効能試験
【0267】
介入モデル:並行群間比較試験(Parallel Assignment)
マスキング:二重盲検(被験体、研究者、成績評価者(Outcomes Assessor))
【0268】
主目的:処置
【0269】
主要評価項目:
試験薬に対する反応を有する患者の数を測定する[時間フレーム:第1の投与量から8週]。疾患の進行まで参加者をフォローアップする。主要な効能エンドポイントは、処置の割付に対して盲検の少なくとも2人の訓練された再評価者によるAIMS合計スコアの変化である。
【0270】
基準
包含基準:
男性および女性:18-75歳;
DSM-IV基準に従う統合失調症/統合失調感情障害の診断;
SCIDインタビューおよび医療記録、前の処置担当の精神科医、および家族情報提供者からの情報に基づいて、診断を行う;
抗精神病薬誘発性のジスキネジアの病歴;
≧3か月の抗精神病薬での処置の履歴および少なくとも(at last)4週間の現在の安定した投与量の抗精神病薬での処置;
第1の評価に関するSchooler-KaneTD調査基準の履行を、試験開始の2-12週間前に実施し、続く評価に関するSchooler-KaneTD調査基準の履行を、実験の処置への分配前に実施した;
被験体は、インフォームドコンセントを提供する能力を有していなければならない。
【0271】
除外基準:
他のDSM-IV Axis I診断に対する基準を満たしていること;
神経障害の存在または有意な頭部損傷の病歴;
生涯の間の薬物乱用またはアルコール中毒;
臨床的に自殺または殺人のリスクがあると判断されている;
妊娠しているか乳を分泌している女性の患者;妊娠していないか乳を分泌していない女性の患者は、性的に活性な場合、避妊の医学的に容認された手段を使用していなければならない。
【0272】
本開示の好ましい実施形態が、本明細書に示され、記載されているが、このような実施形態がほんの一例として提供されることは当業者に明白となる。多数の変形、変更、および置換が、本開示から逸脱することなく、当業者によって想到される。本明細書に記載される本開示の実施形態の様々な代案が、本開示の実施において利用され得ることを理解されたい。以下の請求項が本開示の範囲を定義するものであり、これらの請求項の範囲内の方法および構造並びにそれらの同等物が、それによって包含されるものであることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要としている被験体の錐体外路症候群を処置する方法であって、治療上有効な量のトラピジル、その誘導体、代謝産物、または薬学的に許容可能な塩を被験体に投与する工程を含む、方法。
【外国語明細書】