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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009571
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/48 20200101AFI20240116BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20240116BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20240116BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20240116BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20240116BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240116BHJP
【FI】
H05B45/48
H05B45/375
H05B47/155
B60Q1/04 E
B60Q1/14 H
H01L33/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111200
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】本多 一輝
(72)【発明者】
【氏名】松本 健宏
(72)【発明者】
【氏名】西村 将太
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 俊彦
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
5F241
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA26
3K273CA02
3K273CA12
3K273DA08
3K273FA30
3K273GA06
3K273GA14
3K273HA18
3K273HA20
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA03
3K339BA23
3K339BA28
3K339CA01
3K339DA01
3K339GB01
3K339HA04
3K339JA02
3K339JA05
3K339JA21
3K339KA07
3K339LA06
3K339MA05
3K339MC17
3K339MC77
5F241AA21
5F241BB12
5F241BB16
5F241BB32
5F241BB42
5F241BC03
5F241BC14
5F241BC22
5F241FF11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数系統の発光素子を個別駆動する場合の回路コストを低減可能な技術を提供する。
【解決手段】第1回路は、順方向電圧に応じて定まる第1駆動電圧の印加時の両端電圧が電源電圧より小さくなるように複数の第1発光素子2,4の数が設定されており、第2回路は、順方向電圧に応じて定まる第1駆動電圧の印加時の両端電圧が電源電圧より小さくなるように第2発光素子3の数が設定されており、第3回路は、順方向電圧に応じて定まる第2駆動電圧の印加時の両端電圧が電源電圧より小さくなるように第3発光素子1,5の数が設定されており、切り替え回路による第1スイッチ24と2スイッチ25の動作制御により、複数の第1発光素子の点灯時に第2発光素子が消灯し、複数の第1発光素子の消灯時に第2発光素子が点灯し、第3発光素子は、複数の第1発光素子の点灯時と第2発光素子の点灯時の何れにおいても点灯する、照明装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1発光素子を含む第1回路、少なくとも1つの第2発光素子を含んでおり前記第1回路に直列接続された第2回路、並びに少なくとも1つの第3発光素子を含み前記第1回路及び前記第2回路とは接続されていない第3回路を備える光源と、
前記光源と接続されており、電源電圧を降圧することによって生成した第1駆動電圧を前記第1回路及び前記第2回路に供給する第1降圧回路と、
前記光源と接続されており、前記電源電圧を降圧することによって生成した第2駆動電圧を前記第3回路に供給する第2降圧回路と、
前記光源の前記第1回路に対して並列接続された第1スイッチと、
前記光源の前記第2回路に対して並列接続された第2スイッチと、
前記第1スイッチと前記第2スイッチの各々と接続されており、前記第1スイッチを閉状態にする場合に前記第2スイッチを開状態にし、前記第1スイッチを開状態にする場合に前記第2スイッチを閉状態にする切り替え回路と、
を含み、
前記第1回路は、前記複数の第1発光素子の各々の順方向電圧に応じて定まる前記第1駆動電圧の印加時の両端電圧が前記電源電圧より小さくなるように前記複数の第1発光素子の数が設定されており、
前記第2回路は、前記第2発光素子の順方向電圧に応じて定まる前記第1駆動電圧の印加時の両端電圧が前記電源電圧より小さくなるように前記第2発光素子の数が設定されており、
前記第3回路は、前記第3発光素子の順方向電圧に応じて定まる前記第2駆動電圧の印加時の両端電圧が前記電源電圧より小さくなるように前記第3発光素子の数が設定されており、
前記切り替え回路による前記第1スイッチと前記第2スイッチの動作制御により、前記複数の第1発光素子の点灯時に前記第2発光素子が消灯し、前記複数の第1発光素子の消灯時に前記第2発光素子が点灯し、
前記第3発光素子は、前記複数の第1発光素子の点灯時と前記第2発光素子の点灯時の何れにおいても点灯する、
照明装置。
【請求項2】
前記複数の第1発光素子の出射光と前記第3発光素子の出射光を用いて第1配光パターンが形成され、
前記第2発光素子の出射光と前記第3発光素子の出射光を用いて第2配光パターンが形成される、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数の第1発光素子の出射光と前記第3発光素子の出射光が透過した場合に前記第1配光パターンを形成するとともに、前記第2発光素子の出射光と前記第3発光素子の出射光が透過した場合に前記第2配光パターンを形成するレンズを更に含む、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源及び前記レンズは、車両に設置されて当該車両の前方へ光照射を行うために用いられるものであり、
前記第1配光パターンは、前記車両から相対的に近い位置と前記車両から相対的に遠い位置の双方へ光照射を行うためのものであり、
前記第2配光パターンは、前記車両から相対的に近い位置へ光照射を行うためのものである、
請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2配光パターンにおいて、前記レンズを透過した前記第2発光素子の出射光は前記車両の前方中央を含む相対的に狭い範囲に照射され、前記レンズを透過した前記第3発光素子の出射光は前記車両の前方中央から左右の少なくとも一方へ拡がる相対的に広い範囲に照射される、
請求項4に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-110061号公報(特許文献1)には、降圧回路と昇圧回路を用いて複数のLEDからなる光源を駆動するLED駆動装置が記載されている。しかし、昇圧回路を含むことで装置のコストが増加すると考えられる。特に、例えば車両用灯具においてハイビームを担当するLED等の発光素子とロービームを担当するLED等の発光素子を個別に駆動する場合など、複数系統の発光素子を個別に駆動する場合には当該コスト増が顕著になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-110061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る具体的態様は、複数系統の発光素子を個別駆動する場合の回路コストを低減可能な技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る一態様の照明装置は、(a)複数の第1発光素子を含む第1回路、少なくとも1つの第2発光素子を含んでおり前記第1回路に直列接続された第2回路、並びに少なくとも1つの第3発光素子を含み前記第1回路及び前記第2回路とは接続されていない第3回路を備える光源と、(b)前記光源と接続されており、電源電圧を降圧することによって生成した第1駆動電圧を前記第1回路及び前記第2回路に供給する第1降圧回路と、(c)前記光源と接続されており、前記電源電圧を降圧することによって生成した第2駆動電圧を前記第3回路に供給する第2降圧回路と、(d)前記光源の前記第1回路に対して並列接続された第1スイッチと、(e)前記光源の前記第2回路に対して並列接続された第2スイッチと、(f)前記第1スイッチと前記第2スイッチの各々と接続されており、前記第1スイッチを閉状態にする場合に前記第2スイッチを開状態にし、前記第1スイッチを開状態にする場合に前記第2スイッチを閉状態にする切り替え回路と、を含み、(g)前記第1回路は、前記複数の第1発光素子の各々の順方向電圧に応じて定まる前記第1駆動電圧の印加時の両端電圧が前記電源電圧より小さくなるように前記複数の第1発光素子の数が設定されており、(h)前記第2回路は、前記第2発光素子の順方向電圧に応じて定まる前記第1駆動電圧の印加時の両端電圧が前記電源電圧より小さくなるように前記第2発光素子の数が設定されており、(i)前記第3回路は、前記第3発光素子の順方向電圧に応じて定まる前記第2駆動電圧の印加時の両端電圧が前記電源電圧より小さくなるように前記第3発光素子の数が設定されており、(j)前記切り替え回路による前記第1スイッチと前記第2スイッチの動作制御により、前記複数の第1発光素子の点灯時に前記第2発光素子が消灯し、前記複数の第1発光素子の消灯時に前記第2発光素子が点灯し、(k)前記第3発光素子は、前記複数の第1発光素子の点灯時と前記第2発光素子の点灯時の何れにおいても点灯する、照明装置である。
【0006】
上記構成によれば、昇圧回路を用いる必要がないため、複数系統の発光素子を個別駆動する場合の回路コストを低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1(A)は、一実施形態の車両用灯具の構成を示す回路図である。図1(B)は、切り替え回路の構成例を示す回路図である。
図2図2は、車両用灯具の光学的な部材の分解斜視図を示す図である。
図3図3(A)は、ロービームのみ照射時の光源の動作状態を模式的に示した図である。図3(B)は、ロービーム及びハイビームの照射時の光源の動作状態を模式的に示した図である。
図4図4(A)~図4(E)は、光源の各発光素子から出射する光による配光パターンを示す図である。
図5図5(A)は、ロービームの配光パターンを示す図である。図5(B)はロービーム及びハイビームの配光パターンを示す図である。
図6図6(A)は、ロービームのみの照射時における車両前方の中央断面照度を示す図である。図6(B)は、ロービーム及びハイビームの照射時における車両前方の中央断面照度を示す図である。
図7図7は、変形実施例の車両用灯具の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示に係る光源駆動装置並びにこれを含んで構成される照明装置の実施の形態について説明する。なお、本明細書において、ある回路素子Aと他の回路素子Bとが接続された状態とは、回路素子Aと回路素子Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、回路素子Aと回路素子Bの間に他の回路素子が介在しながら間接的に接続される場合も含む。また、ここでいう回路素子には、抵抗素子や容量素子などの受動素子や、トランジスタなどの能動素子など、電気回路/電子回路に用いることが可能なあらゆる素子が含まれ得る。
【0009】
図1(A)は、一実施形態の車両用灯具の構成を示す回路図である。照明装置の一態様である車両用灯具100は、複数の発光素子を含んで構成される光源10と、この光源10に接続された2つの降圧回路21、22と、切り替え回路23と、2つのスイッチ24、25を含んで構成されている。なお、2つの降圧回路21、22と、切り替え回路23と、2つのスイッチ24、25を含んで光源駆動回路が構成されている。本実施形態の車両用灯具100は、車両に搭載されたバッテリ等(図示せず)から供給される電源電圧Vbを用いて、車両前方へロービーム(すれ違い灯)及びハイビーム(走行灯)を照射するものである。
【0010】
光源10は、直列接続された発光素子(第1発光素子)2、4と、発光素子2、4に対して直列接続された発光素子(第2発光素子)3と、直列接続された2つの発光素子(第3発光素子)1、5と、を含んで構成されている。本実施形態では、各発光素子1~5としてLED(Light-Emitting Diode)を用いる。各発光素子2、4からなる系統(第1回路)及び発光素子3からなる系統(第2回路)と各発光素子1、5からなる系統(第3回路)は接続されておらず、互いに独立している。
【0011】
図2に車両用灯具100の光学的な部材の分解斜視図を示すように、各発光素子1~5は、光源基板10aの一面側において、車両に搭載された際の左右方向に沿って並んで配列されている。発光素子2、4はハイビームの照射に用いられ、発光素子1、3、5はロービームの照射に用いられる。発光素子1、5は、それぞれ左端と右端に配置されている。発光素子3は、発光素子1と発光素子5の中間に配置されている。発光素子2は、発光素子1と発光素子3の間に配置されている。発光素子4は、発光素子3と発光素子5の間に配置されている。光源基板10aの他面側にはヒートシンク10bが配置されている。また、基板10aの一面側には各発光素子1~5から出射される光を透過させて配光パターンを形成するレンズが配置されている。
【0012】
降圧回路(第1降圧回路)21は、光源10の各発光素子2、3、4と接続されており、これらの発光素子2等に対して駆動電圧を供給する。詳細には、降圧回路21は、電圧出力端が発光素子2のアノードと接続されており、基準電位端(GND)が発光素子3のカソードと接続されている。この降圧回路21は、車両のバッテリから電源電圧Vbの供給を受けて駆動電圧(第1駆動電圧)を生成するものである。降圧回路21は、入力される電源電圧Vbを降圧して当該電源電圧Vbよりも低い駆動電圧を生成する能力を有するが、入力される電源電圧Vbよりも高い駆動電圧を生成する能力(昇圧能力)は有しない。
【0013】
降圧回路(第2降圧回路)22は、光源10の各発光素子1、5と接続されており、これらの発光素子1等に対して駆動電圧を供給する。詳細には、降圧回路22は、電圧出力端が発光素子1のアノードと接続されており、基準電位端(GND)が発光素子5のカソードと接続されている。この降圧回路22は、車両のバッテリから電源電圧Vbの供給を受けて駆動電圧(第2駆動電圧)を生成するものである。降圧回路22は、入力される電源電圧Vbを降圧して当該電源電圧Vbよりも低い駆動電圧を生成する能力を有するが、入力される電源電圧Vbよりも高い駆動電圧を生成する能力(昇圧能力)は有しない。
【0014】
なお、各降圧回路21、22への電源電圧Vbの入力は、車両運転席に設置されたランプスイッチ(図示せず)がロービームの位置に操作されるか、あるいは照度センサ等の検出結果に応じて自動的にロービームの照射が指示された際に当該操作ないし指示に対応して開始される。
【0015】
切り替え回路23は、各スイッチ24、25と接続されており、各スイッチ24、25の開閉状態(導通状態/非導通状態)を選択的に切り替える。この切り替え回路23による各スイッチ24、25の切り替え動作は、車両運転席に設置されたランプスイッチ(図示せず)がハイビームの位置に操作されるか、あるいは照度センサ等の検出結果に応じて自動的にハイビームの照射が指示された際に車両から供給される信号Hiに対応して実行される。
【0016】
スイッチ(第1スイッチ)24は、光源10の発光素子2、4に対して並列に接続されている。詳細には、スイッチ24は、その一端側が発光素子2のアノードと接続され、他端側が発光素子4のカソードと接続されている。スイッチ(第2スイッチ)25は、光源10の発光素子3に対して並列に接続されている。詳細には、スイッチ25は、その一端側が発光素子3のアノードと接続され、他端側が発光素子3のカソードと接続されている。スイッチ24の他端側とスイッチ25の一端側は、それぞれ発光素子4と発光素子3との中間点に接続されている。
【0017】
図1(B)は、切り替え回路の構成例を示す回路図である。図示の例の切り替え回路23は、インバータ31とバッファ32を含んで構成されている。インバータ31とバッファ32にはそれぞれ信号Hiが入力されている。インバータ31の出力端はスイッチ24の制御端に接続され、バッファ32の出力端はスイッチ25の制御端に接続されている。ここで、信号Hiは、相対的に高い電圧(ハイ電圧)と相対的に低い電圧(ロー電圧)のいずれかを取るものとする。
【0018】
信号Hiがハイ電圧の場合、インバータ31からは相対的に低い電圧が出力され、バッファ32からは相対的に高い電圧が出力され、この場合、スイッチ24が開状態(非導通状態)に切り替わり、スイッチ25が閉状態(導通状態)に切り替わる。この場合、各発光素子2、4には電流が流れて点灯するが発光素子3には電流が流れずに消灯する。各発光素子1、5は各スイッチ24、25の動作に関わらず点灯する。
【0019】
信号Hiがロー電圧の場合、インバータ31からは相対的に高い電圧が出力され、バッファ32からは相対的に低い電圧が出力され、この場合、スイッチ24が閉状態(導通状態)に切り替わり、スイッチ25が開状態(非導通状態)に切り替わる。この場合、各発光素子2、4には電流が流れずに消灯し、発光素子3には電流が流れて点灯する。各発光素子1、5は各スイッチ24、25の動作に関わらず点灯する。
【0020】
ここで、本実施形態に用いる各発光素子1~5は、例えば白色の光を放出する発光素子であり、それらの順方向電圧が3.25Vであるとする。また、電源電圧Vbは、バッテリの状態によって変動し得るが少なくとも9V以上であるとする。この場合に、各スイッチ24、25の動作に伴い、発光素子2、4からなる系統と発光素子3からなる系統に対しては択一的に降圧回路21からの駆動電圧が印加されるので、発光素子2、4の点灯に必要な駆動電圧は6.5V、発光素子3の点灯に必要な駆動電圧は3.25Vとなる。従って、何れの駆動電圧も電源電圧Vb(=9V)を下回るので、電源電圧Vbを昇圧する必要はなく、降圧回路21で足りることになる。同様に、発光素子1、5の点灯に必要な駆動電圧は6.5Vであり駆動電圧も電源電圧Vb(=9V)を下回るので、電源電圧Vbを昇圧する必要はなく、降圧回路22で足りることになる。
【0021】
すなわち、本実施形態では、直列接続された発光素子2、4からなる第1回路は、各発光素子2、4の順方向電圧の和、すなわち駆動電圧印加時の両端電圧の大きさが電源電圧Vbより小さくなるように発光素子の数が設定されている。同様に、発光素子3からなる第2回路は、発光素子3の順方向電圧、すなわち駆動電圧印加時の両端電圧の大きさが電源電圧Vbより小さくなるように発光素子の数が設定されている。同様に、直列接続された各発光素子1、5からなる第3回路は、発光素子1、5の順方向電圧の和、すなわち駆動電圧印加時の両端電圧の大きさが電源電圧Vbより小さくなるように発光素子の数が設定されている。このように第1回路、第2回路、第3回路の各々の発光素子数を決定し、各スイッチ24、25による制御を組み合わせることで、昇圧回路が不要となる。
【0022】
図3(A)は、ロービームのみ照射時の光源の動作状態を模式的に示した図である。図示のように、各発光素子1~5のうち、発光素子1、3、5が点灯しており、これらの発光素子1、3、5から出射する光がレンズ10cを透過することによってロービームが形成される。発光素子1、5は、降圧回路22から駆動電圧が印加されて点灯する。発光素子3は、切り替え回路23によってスイッチ25が開状態に切り替えられることにより、降圧回路21から駆動電圧が印加されて点灯する。このとき、切り替え回路23によってスイッチ24が閉状態に切り替えられているため、発光素子2、4には駆動電圧が印加されず、従って発光素子2、4は点灯しない。
【0023】
図3(B)は、ロービーム及びハイビームの照射時の光源の動作状態を模式的に示した図である。図示のように、各発光素子1~5のうち、発光素子1、2、4、5が点灯しており、発光素子1、5から出射する光がレンズ10cを透過することによってロービームが形成され、発光素子2、4から出射する光がレンズ10cを透過することによってハイビームが形成される。発光素子1、5は、降圧回路22から駆動電圧が印加されて点灯する。発光素子2、4は、切り替え回路23によってスイッチ24が開状態に切り替えられることにより、降圧回路21から駆動電圧が印加されて点灯する。このとき、切り替え回路23によってスイッチ25が閉状態に切り替えられているため、発光素子3には駆動電圧が印加されず、従って発光素子3は点灯しない。
【0024】
図4(A)~図4(E)は、光源の各発光素子から出射する光による配光パターンを示す図である。図4(A)は、発光素子1から出射する光をレンズ10cに通すことによって得られる配光パターンを示している。具体的には、この配光パターンは、主に水平線の下方において車両前方の中心(0°)から左側(L側)に拡がって幅広く照射される配光パターンである。
【0025】
図4(B)は、発光素子2から出射する光をレンズ10cに通すことによって得られる配光パターンを示している。具体的には、この配光パターンは、主に水平線の下方(D側)の5°付近から上方(U側)の5°付近にかけて照射され、かつ車両前方の中心(0°)から左右それぞれ10°付近の範囲に照射される比較的に狭い照射範囲の配光パターンである。
【0026】
図4(C)は、発光素子3から出射する光をレンズ10cに通すことによって得られる配光パターンを示している。具体的には、この配光パターンは、主に水平線の下方(D側)の7°付近から上方(U側)の4°付近にかけて照射され、かつ水平線の下方では車両前方の中心(0°)から左右それぞれ15°付近の範囲に照射され、水平線の上方では車両前方の中心から左右それぞれ6°付近の範囲に照射される配光パターンである。この配光パターンは、車両の前方中央において車両から10m付近の位置をスポット的に明るく照射するものとなっている。
【0027】
図4(D)は、発光素子4から出射する光をレンズ10cに通すことによって得られる配光パターンを示している。具体的には、この配光パターンは、上記した発光素子2の場合と同様に、主に水平線の下方(D側)の5°付近から上方(U側)の5°付近にかけて照射され、かつ車両前方の中心(0°)から左右それぞれ10°付近の範囲に照射される比較的に狭い照射範囲の配光パターンである。
【0028】
図4(E)は、発光素子5から出射する光をレンズ10cに通すことによって得られる配光パターンを示している。具体的には、この配光パターンは、主に水平線の下方において車両前方の中心(0°)から右側(R側)に拡がって幅広く照射される配光パターンである。
【0029】
図5(A)は、ロービームの配光パターンを示す図である。上記した図4(A)、図4(C)及び図4(E)に示した各配光パターンが合成されることでこの配光パターン(第2配光パターン)が得られる。図示のように、主に水平線よりも下方を照射する配光パターン、すなわち車両から相対的に近い位置を主に照射する配光パターンとなっている。
【0030】
図5(B)はロービーム及びハイビームの配光パターンを示す図である。上記した図4(A)、図4(B)、図4(D)及び図4(E)に示した各配光パターンが合成されることでこの配光パターン(第1配光パターン)が得られる。図示の配光パターンは、主に水平線よりも下方を照射するロービームの配光パターンと車両の前方中央の遠方を照射するハイビームの配光パターンとを重ねたものとなっている。すなわち、車両から相対的に近い位置と車両から相対的に遠い位置の双方へ光を照射する配光パターンとなっている。
【0031】
図6(A)は、ロービームのみの照射時における車両前方の中央断面照度を示す図である。図6(B)は、ロービーム及びハイビームの照射時における車両前方の中央断面照度を示す図である。各図を比較すると分かるように、ロービームのみの照射時には点灯していた発光素子3がハイビーム照射時には消灯しているため、車両に相対的に近い範囲(一例として前方10mの位置を含む範囲)ではロービームのみの照射時よりも相対的に照度が低くなっている。また、ハイビーム照射時には、車両から相対的に遠い範囲(一例として前方100mの位置を含む範囲)ではロービームのみの照射時よりも相対的に照度が高くなっている。このように、ハイビームの照射時に発光素子3の消灯により車両に対して手前の範囲における照度が相対的に下がって車両から遠方の範囲における照度が相対的に上がることにより、運転者の視線を車両の手前から遠方へ誘導する効果が得られる。
【0032】
以上のような実施形態によれば、昇圧回路を用いる必要がないので、複数系統の発光素子を個別駆動する場合の回路コストを低減することが可能となる。
【0033】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、光源10に含まれる発光素子の数は上記した実施形態に限定されない。一例として図7に示す変形実施例の車両用灯具100aにおける光源10のように、各発光素子2、4の直列回路に対して各発光素子2a、4aの直列回路が並列接続されてもよいし、各発光素子1、5の直列回路に対して各発光素子1a、5aの直列回路が並列接続されてもよい。この変形実施例では、各発光素子2、4、2a、4aからなる直並列回路に対して必要な駆動電圧は6.5Vであり、各発光素子1、5、1a、5aからなる直並列回路に対して必要な駆動電圧も6.5Vであるので、降圧回路21、22によって駆動可能である。また、発光素子3に対して発光素子3aが直列接続されてもよい。この場合にも、発光素子3、3aからなる回路に対して必要な駆動電圧は6.5Vであるので、降圧回路22によって駆動可能である。つまり、変形実施例の車両用灯具100aにおいても昇圧回路は不要である。
【0034】
また、上記した実施形態ではハイビームの照射時に消灯される発光素子3による配光パターンがスポット的な配光である場合を例示していたが、必ずしもそのような配光パターンでなくてもよい。
【0035】
また、上記した実施形態では光源の各発光素子からの出射光が直接的にレンズへ入射する構成を例示していたが、これに限定されない。例えば、光源とレンズとの間に反射鏡などの光学素子が配置され、光源からの出射光が光学素子を介してレンズへ入射するような構成としてもよい。
【0036】
また、上記した実施形態及び変形実施例では、各発光素子の順方向電圧が3.25Vであることを前提にしていたがこれに限定されない。各発光素子の発光色などによって順方向電圧が異なるため、より低い順方向電圧(例えば、1.8V~2.2V程度)である場合には、電源電圧を超えない範囲で光源の各系統(第1回路、第2回路、第3回路)において直列接続される発光素子の数を増やすことができる。さらに、各発光素子の順方向電圧は必ずしも全て同じでなくてもよい。つまり、発光色などの異なる発光素子が混在していてもよい。
【0037】
また、上記した実施形態では照明装置の一例として車両用灯具を例示していたが本開示の適用範囲はこれに限定されない。車両用灯具の範疇においても前照灯としての用途に限定されない。
【符号の説明】
【0038】
1、2、3、4、5:発光素子、10:光源、10a:光源基板、10b:ヒートシンク、10c:レンズ、21、22:降圧回路、23:切り替え回路、24、25:スイッチ、100:車両用灯具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7