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特開2024-95711可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化薬としてのアルコキシピラゾール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095711
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化薬としてのアルコキシピラゾール
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4725 20060101AFI20240703BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61K31/4725
A61P1/16
A61P9/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024052193
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2021500613の分割
【原出願日】2019-07-09
(31)【優先権主張番号】62/696,887
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】フーバー ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】エルトル ユーディット マリーア
(72)【発明者】
【氏名】シュトライヒャー リューディガー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変及び門脈圧亢進症から選択される、sGC活性化又は増強によって軽減できる疾患又は障害の処置に用いる化合物及びその薬学的に許容される塩の提供。
【解決手段】下記式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を用いる。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
sGC活性化又は増強によって軽減できる疾患又は障害の処置方法であって、処置が必要な患者に、薬学的に有効な量の、下記式I
【化1】
I
(式中:
Aは、1個の窒素を含有し且つ1個の酸素を含有してもよい5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、C1-3アルキル及びオキソから選択される1又は2個の基で置換されていてもよく;
R1は、メトキシ基で置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
R2は、H、F、Cl、C1-3アルキル、-CN、-OMe及び-CF3から選択され;
R3は、H及び-CH3から選択され;
R4は、H、F、-CH3及び-OMeから選択され;
R5は、H、Cl、-CH3、-CH2CH3、-CF3、F、及び-OMeから選択され;
R6は、A上の窒素に結合しており、かつH、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nアリール、-(CH2)nヘテロアリール、-SO2アリール、SO2C1-6アルキルから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nシクロアルキル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールは、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH、オキソ、-(CH2)1-3O(CH2)2-3OH、及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R7は、存在しないか又は-CH3、-CH2CH3、-CF3、F、及び-CNから成る群より選択され;
nは、0、1又は2である)
の化合物又はその塩を投与することを含み、
ここで、前記疾患又は障害は、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変及び門脈圧亢進症から成る群より選択される、前記方法。
【請求項2】
前記疾患又は障害がNASHである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式中:
Aが、1個の窒素を含有する5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、1又は2個のC1-3アルキル基で置換されていてもよく;
R1が、C1-3アルキルであり;
R2が、H、F、Cl、C1-3アルキル、-CN、-OMe及び-CF3から選択され;
R3が、H及び-CH3から選択され;
R4が、H及びFから選択され;
R5が、H、Cl及び-CH3から選択され;
R6が、A上の窒素に結合しており、かつH、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nシクロアルキル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールは、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R7がHであり;
かつ
nが、0、1又は2である、
又はその塩である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式中:
R1が、メチル、エチル又はイソプロピルであり;かつ
下記の基
【化2】
が、下記基:
【化3】
から選択される、
又はその塩である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
式中:
R2が、-CH3、F、Cl、及び-CF3から選択され;かつ
R6が、H、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル及び-(CH2)nヘテロシクリルから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nシクロアルキル及び-(CH2)nヘテロシクリルは、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよい、
又はその塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式中、R6に関して言及される各ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル、1-オキサスピロ[4.5]デカニル及びピロリジン-2-オンから選択され;
R6に関して言及される各ヘテロアリールが、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル及び4,5,6,7-テトラヒドロベンゾチアゾリルから選択され;
かつR6に関して言及される各アリールがフェニルである、
又はその塩である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式中、
R6が、-(CH2)nヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル及び1-オキサスピロ[4.5]デカニルから選択される、
又はその塩である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式中:
R2が-CH3であり;
R3がHであり;
R4がH又は-CH3であり;
R5がH、又は-CH3であり;
R7が、R5に対してパラ位にあり、かつH、-CH3又は-CH2CH3である、
又はその塩である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
式中:
下記の基
【化4】
が、下記基
【化5】
である、
又はその塩である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
式中:
R3がHであり;かつ
R4がHである、
又はその塩である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、表1の化合物1~258、及びその薬学的に許容される塩から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
下記式I
【化6】
I
(式中:
Aは、1個の窒素を含有し且つ1個の酸素を含有してもよい5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、C1-3アルキル及びオキソから選択される1又は2個の基で置換されていてもよく;
R1は、メトキシ基で置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
R2は、H、F、Cl、C1-3アルキル、-CN、-OMe及び-CF3から選択され;
R3は、H及び-CH3から選択され;
R4は、H、F、-CH3及び-OMeから選択され;
R5は、H、Cl、-CH3、-CH2CH3、-CF3、F、及び-OMeから選択され;
R6は、A上の窒素に結合しており、かつH、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nアリール、-(CH2)nヘテロアリール、-SO2アリール、SO2C1-6アルキルから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nシクロアルキル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールは、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH、オキソ、-(CH2)1-3O(CH2)2-3OH、及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R7は、存在しないか又は-CH3、-CH2CH3、-CF3、F、及び-CNから成る群より選択され;
nは、0、1又は2である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩の、
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝疾患、肝硬変又は門脈圧亢進症の処置、予防又はその進行の遅延用薬物の調製のための使用。
【請求項13】
処置、予防又は進行を遅延すべき疾患がNASHである、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝疾患、肝硬変又は門脈圧亢進症の処置、予防又はその進行の遅延に使用するための、下記式I
【化7】
I
(式中:
Aは、1個の窒素を含有し且つ1個の酸素を含有してもよい5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、C1-3アルキル及びオキソから選択される1又は2個の基で置換されていてもよく;
R1は、メトキシ基で置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
R2は、H、F、Cl、C1-3アルキル、-CN、-OMe及び-CF3から選択され;
R3は、H及び-CH3から選択され;
R4は、H、F、-CH3及び-OMeから選択され;
R5は、H、Cl、-CH3、-CH2CH3、-CF3、F、及び-OMeから選択され;
R6は、A上の窒素に結合しており、かつH、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nアリール、-(CH2)nヘテロアリール、-SO2アリール、SO2C1-6アルキルから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nシクロアルキル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールは、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH、オキソ、-(CH2)1-3O(CH2)2-3OH、及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R7は、存在しないか又は-CH3、-CH2CH3、-CF3、F、及び-CNから成る群より選択され;
nは、0、1又は2である)
の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
請求項14に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
Aが、1個の窒素を含有する5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、1又は2個のC1-3アルキル基で置換されていてもよく;
R1が、C1-3アルキルであり;
R2が、H、F、Cl、C1-3アルキル、-CN、-OMe及び-CF3から選択され;
R3が、H及び-CH3から選択され;
R4が、H及びFから選択され;
R5が、H、Cl及び-CH3から選択され;
R6が、A上の窒素に結合しており、かつH、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nシクロアルキル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールは、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R7がHであり;かつ
nが、0、1又は2である、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R1が、メチル、エチル又はイソプロピルであり;かつ
下記の基
【化8】
が、下記基:
【化9】
から選択される、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R2が、-CH3、F、Cl、及び-CF3から選択され;かつ
R6が、H、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル及び-(CH2)nヘテロシクリルから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nシクロアルキル及び-(CH2)nヘテロシクリルは、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよい、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
請求項14~17のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R6に関して言及される各ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル、1-オキサスピロ[4.5]デカニル及びピロリジン-2-オンから選択され;
R6に関して言及される各ヘテロアリールが、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル及び4,5,6,7-テトラヒドロベンゾチアゾリルから選択され;
かつR6に関して言及される各アリールがフェニルである、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
請求項14~18のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R6が-(CH2)nヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル及び1-オキサスピロ[4.5]デカニルから選択される、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
請求項14~19のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R2が-CH3であり;
R3がHであり;
R4がH又は-CH3であり;
R5がH、又は-CH3であり;
R7が、R5に対してパラ位にあり、かつH、-CH3又は-CH2CH3である、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
請求項14~20のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
下記の基
【化10】
が、下記基
【化11】
である、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
請求項14~21のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R3がHであり;かつ
R4がHである、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
前記化合物が、表1の化合物1~258から成る群より選択される、請求項14に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
処置、予防又は進行を遅延すべき疾患がNASHである、請求項14~23のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化薬として有用であり、従って、可溶性グアニル酸シクラーゼ活性の減少又は低下によって媒介又は持続される種々の疾患、例えば慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、門脈圧亢進症、及び関連障害の処置に有用なヘテロ環式化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)は、一酸化窒素(NO)の受容体であり、多くの細胞型の細胞質に見られる。ヒトにおいては、機能性sGCは、ヘム補欠分子族を有するβ1サブユニットと結合したα1又はα2サブユニットのどちらかで構成されたヘテロダイマーである。非病態生理学的条件下では、sGCのヘムへのNOの結合が、この酵素を活性化して、グアノシン-5’-三リン酸(GTP)の環状グアノシン一リン酸(cGMP)への転換を触媒する。cGMPは、cGMP依存性タンパク質キナーゼ(PKG)イソ型、ホスホジエステラーゼ、及びcGMP依存性(gated)イオンチャネルを調節することによって効果を発揮するセカンドメッセンジャーである。この効果を発揮する際に、sGCは、動脈性高血圧症、肺高血圧症、アテローム性動脈硬化症、心不全、肝硬変、腎線維症、及び勃起不全を含めた疾患と関連する多数の経路を調節することが実証された(O. Evgenov et al., Nature Reviews, 2006, 5, 755-768 and Y. Wang-Rosenke et al., Curr. Med. Chem., 2008, 15, 1396-1406)。
【0003】
正常な状態では、sGC中の鉄は、NO及び一酸化炭素(CO)に結合する能力がある二価鉄状態で存在する。しかしながら、種々の疾患で起こり得る酸化ストレス状態下では、公表された報告によれば、ヘム鉄は酸化されて、NO又はCOによって活性化され得ない三価鉄状態になることが示されている。NOが酸化ヘム鉄を有するsGCを介して信号を送れないことが疾患の進行に寄与すると仮定された。最近、ヘム依存性(sGC刺激薬)及びヘム非依存性(sGC活性化薬)様式でsGC活性を増強する2つの新分類の化合物が記述された。sGC刺激薬の活性は、NOと相乗的に作用してcGMP産生を増やす一方で、sGC活性化薬は、NOと相加的にcGMPレベルを増大するだけである(O. Evgenov et al., Nature Reviews, 2006, 5, 755-768)。sGCの刺激薬も活性化薬も疾患の動物モデルにおいて利益を実証した。sGCの活性化薬は、該酵素の罹患した非機能型を優先的に標的にすることができるという利点を提供する。sGC活性化薬として、BAY 58-2667(シナシグアト)(J-P Stasch et al., Brit J. Pharmacol., 2002, 136, 773-783)及び HMR-1766(アタシグアト)(U. Schindler et al., 2006, Mol. Pharmacol., 69, 1260-1268)が挙げられる。
【0004】
NOは、正常な細胞機能及び組織機能を維持する際に重要な役割を果たす。しかしながら、NO経路における十分なシグナル伝達は、いくつかのステップで妨害され得る。NOシグナル伝達は、一酸化窒素シンターゼ(NOS)酵素のレベル、NOS活性、NOバイオアベイラビリティ、sGCレベル、及びsGC活性の低下によって損なわれ得る。sGC活性化薬は、これらの障害の全てによって引き起こされる機能障害を迂回する可能性を有する。sGC活性化は、NO合成の又はNOが利用できる下流で起こるので、これらの欠損は、sGC活性化薬の活性に影響を及ぼさないであろう。上述したように、その機能がヘム鉄の酸化によって妨害されるsGCの活性は、sGC活性化薬によって修正されることになる。このように、sGC活性化薬は、NO経路における不完全なシグナル伝達に起因する多くの疾患に利益をもたらす可能性がある。
【0005】
sGC活性化は、肺、肝臓、皮膚及び腎臓の組織線維化を含めた組織線維化の予防に役立ち得るという証拠がある。上皮間葉移行(epithelial to mesenchyal transition)(EMT)及び線維芽細胞→筋線維芽細胞転換(fibroblast to myofibroblast conversion)のプロセスは組織線維化に寄与すると考えられる。シナシグアト又はBAY 41-2272のどちらかをシルデナフィルと併用すると、肺の線維芽細胞→筋線維芽細胞転換が阻害された(T. Dunkern et al., Eur. J. Pharm., 2007, 572, 12-22)。NOは、肺胞上皮細胞のEMTを阻害する能力があり(S. Vyas-Read et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol., 2007, 293, 1212-1221)、sGC活性化がこのプロセスに関与することを示唆している。NOは、糸球体TGFβシグナル伝達を阻害することも示され(E. Dreieicher et al., J. Am. Soc. Nephrol., 2009, 20, 1963-1974)、sGC活性化が糸球体硬化症を阻害し得ることを指摘している。肝線維症のブタ血清モデル及び四塩化炭素モデルでは、sGC活性化薬(BAY 60-2260)が線維症を阻害するのに効果的であり(A. Knorr et al., Arzneimittel-Forschung, 2008, 58, 71-80)、sGC活性の上昇を利用して、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療できることを示唆している。ブレオマイシン誘発性皮膚線維症及びTsk-1マウス皮膚線維症モデルでは、sGC刺激薬BAY 41-2272が皮膚肥厚化及び筋線維芽細胞分化を阻害することができ(C. Beyer et al., Ann. Rheum. Dis., 2012, 71, 1019-1026)、この結果として、sGCの活性化が全身性硬化症の治療に役立ち得ることを指摘している。
【0006】
薬理学的に、sGC活性は、sGC刺激薬及びsGC活性化薬を含むsGC調節薬を用いて高めることができる。sGC刺激薬はヘム含有sGCに結合してヘム依存的に作用し、一方でsGC活性化薬は優先的に酸化sGCに結合してヘム非依存的に作用する(Sandner and Stasch, 2017)。sGC刺激の両機構が、低い内在性NO及び低cGMP環境におけるcGMPの実質的増加をもたらす。リオシグアト(BAY 63-2521、Adempas(登録商標))は、肺高血圧症の治療のために動物実験から患者への移行が成功した最初のsGC調節薬(刺激薬)である。
cGMP増加は、抗線維化、抗増殖、及び抗炎症作用を伴ったので、sGC調節薬は、線維性障害における血管弛緩を超えた治療の可能性を有し得る(Sandner and Stasch, 2017)。2つの実験的研究により、実験的肝硬変でのsGC活性化薬BAY 60-2770の効果を調べた:Knorrらは、最初に、BAY 60-2770がCCl4線維症及びブタ血清誘発肝損傷のラットモデルで抗線維化作用を示すことを実証した(Knorr et al., 2008)。Xieらは、これらの知見をチオアセタミドラットモデルで確証し、BAY 60-2770処置後に類洞構築の改善をも観察した(Xie et al., 2012)。肝線維症の胆管結紮(BDL)ラットモデルでは、sGC刺激薬BAY 41-2272を用いた処置が、ヒドロキシプロリン含量及びシリウスレッド染色(Sirius-Red staining)により測定して、門脈圧及び肝線維症の顕著な低減をもたらした(Nowatzky et al., 2011)。
【0007】
肝硬変の主要合併症の1つである門脈圧亢進症(PHT)は、10mmHg超の門脈圧上昇によって定義され、それは、食道静脈瘤、脾腫、肝性脳症、及び腹水症等の様々な合併症の原因となる(Garcia-Tsao, 2006)。多くの場合、門脈圧亢進症患者は、肝硬変に起因する肝内抵抗上昇のみならず、運動過多性内臓系を通る門脈血流入増加を示す(Fiorucci et al., 2004)。
非選択的β遮断薬(肝流入を減らす;Reiberger et al., 2017)及び硝酸薬(今日では全身性副作用のためほとんど使用されない;Villanueva et al., 2001)は、PHTに利用可能な唯一の医学的処置である。しかしながら、門脈圧亢進症に理想的な薬物は、肝内抵抗の低減を通じて門脈圧を下げるべきであり、かつ可能なら、肝線維症の軽減又は予防によって正常な肝機能を維持すべきである(Bosch et al., 2001)。
【0008】
肝硬変における肝内血管抵抗は、構造的異常(すなわち線維症、血管リモデリング)及び機能的異常(すなわち類洞血管収縮、内皮機能障害;Fernandez, 2015)の両方で決定される。内皮機能障害及び類洞血管収縮は、炎症、酸化ストレスによって、及び血管拡張因子と血管収縮因子の不均衡によって引き起こされる。一酸化窒素(NO)は、最も重要な生体血管拡張因子であるが、硬変した肝臓内では、NOの生成もNOへの応答も著しく調節不全である(Wiest & Groszmann, 2002)。NO下流シグナル伝達標的可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)は、GTPからcGMPへの反応を触媒することによって血管拡張を媒介する(Zhao et al., 1999)。この酵素活性は、NOを感知するヘム/Fe(II)族によって主に調節される(Capece et al., 2015)。
上記研究は、慢性肝疾患、NASH、及び肝硬変門脈圧亢進症の患者にsGC活性化薬を使用する根拠を提供する。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明は、sGC活性化又は増強によって軽減できる疾患及び障害を処置するためにsGCを活性化又は増強する式(I)の化合物を使用する方法を提供する。
本発明の化合物は、WO 2014/039434に記載の方法及び実施例によって調製し得る。
第1の実施形態では、本発明は、sGC活性化又は増強によって軽減できる疾患及び障害の処置方法に関し、この方法は、処置が必要な患者に、薬学的に有効な量の、下記式I
【0010】
【化1】
【0011】
(式中:
Aは、1個の窒素及び場合により1個の酸素を含有する5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、場合により、C1-3アルキル及びオキソから選択される1又は2個の基で置換され;
R1は、場合によりメトキシ基で置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、H、F、Cl、C1-3アルキル、-CN、-OMe及び-CF3から選択され;
R3は、H及び-CH3から選択され;
R4は、H、F、-CH3及び-OMeから選択され;
R5は、H、Cl、-CH3、-CH2CH3、-CF3、F、及び-OMeから選択され;
R6は、Aの窒素に結合しており、かつH、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nアリール-、(CH2)nヘテロアリール、-SO2アリール、SO2C1-6アルキルから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nシクロアルキル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールは、場合により、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH、オキソ、-(CH2)1-3O(CH2)2-3OH、及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換され;
R7は、存在しないか又は-CH3、-CH2CH3、-CF3、F、及び-CNから成る群より選択され;
nは、0、1又は2である)
の化合物又はその塩を投与することを含み、
ここで、疾患又は障害は、慢性肝疾患、NASH、肝硬変及び門脈圧亢進症から成る群より選択される。
【0012】
第2の実施形態(実施形態2)では、本発明は、疾患又は障害がNASHである、実施形態1の方法に関する。
第3の実施形態(実施形態3)では、本発明は、式中:
Aが、1個の窒素を含有する5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、場合により、1又は2個のC1-3アルキル基で置換され;
R1が、C1-3アルキルであり;
R2が、H、F、Cl、C1-3アルキル、-CN、-OMe及び-CF3から選択され;
R3が、H及び-CH3から選択され;
R4が、H及びFから選択され;
R5が、H、Cl及び-CH3から選択され;
R6が、Aの窒素に結合しており、かつH、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nシクロアルキル、-(CH2)nアリール及び-(CH2)nヘテロアリールは、場合により、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換され;
R7がHであり;
かつ
nが、0、1又は2である、
化合物又はその塩を投与する、実施形態1又は2のいずれか1つの方法に関する。
【0013】
第4の実施形態(実施形態4)では、本発明は、式中:
R1が、メチル、エチル又はイソプロピルであり;かつ
【0014】
【化2】
【0015】
が、下記基
【0016】
【化3】
【0017】
から選択される、
化合物又はその塩を投与する、実施形態1~3のいずれか1つの方法に関する。
【0018】
第5の実施形態(実施形態5)では、本発明は、式中:
R2が、-CH3、F、Cl、及び-CF3から選択され;かつ
R6が、H、C1-6アルキル、-(CH2)nC3-6シクロアルキル、-C(O)C1-6アルキル及び-(CH2)nヘテロシクリルから選択され、前記C1-6アルキル、-(CH2)nシクロアルキル及び-(CH2)nヘテロシクリルは、場合により、C1-3アルキル、ハロゲン、C1-3アルコキシ、-CF3、-OH及び-SO2CH3から独立に選択される1~4個の基で置換されている、
化合物又はその塩を投与する、実施形態1~4のいずれか1つの方法に関する。
【0019】
第6の実施形態(実施形態6)では、本発明は、式中、R6に関して言及される各ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル、1-オキサスピロ[4.5]デカニル及びピロリジン-2-オンから選択され;
R6に関して言及される各ヘテロアリールが、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル及び4,5,6,7-テトラヒドロベンゾチアゾリルから選択され;
かつR6に関して言及される各アリールがフェニルである、
化合物又はその塩を投与する、実施形態1~5のいずれか1つの方法に関する。
【0020】
第7の実施形態(実施形態7)では、本発明は、式中、
R6が、-(CH2)nヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル及び1-オキサスピロ[4.5]デカニルから選択される、
化合物又はその塩を投与する、実施形態1~6のいずれか1つの方法に関する。
【0021】
第8の実施形態(実施形態8)では、本発明は、式中:
R2が-CH3であり;
R3がHであり;
R4がH又は-CH3であり;
R5がH、又は-CH3であり;
R7が、R5に対してパラ位にあり、かつH、-CH3又は-CH2CH3である、
化合物又はその塩を投与する、実施形態1~7のいずれか1つの方法に関する。
【0022】
第9の実施形態(実施形態9)では、本発明は、式中:
【0023】
【化4】
【0024】
が、下記基
【化5】
【0025】
である、
化合物又はその塩を投与する、実施形態1~8のいずれか1つの方法に関する。
【0026】
第10の実施形態(実施形態10)では、本発明は、式中:
R3がHであり;かつ
R4がHである、
化合物又はその塩を投与する、実施形態1~9のいずれか1つの方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
上述したように、本発明は、sGC活性化又は増強によって軽減できる疾患又は障害を処置する式(I)の化合物の使用方法に関する(「本発明の方法」又は「発明」)。
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物が、下表1の化合物、及びその薬学的に許容される塩のいずれか1つから選択される、上記実施形態(I)の方法に関する。
【0028】
【表1】
































【0029】
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物が、化合物番号1、2、3、4、5、7、8、9、12、15、16、18、21、27、28、30、31、35、36、39、41、42、44、45、46、47、48、57、59、62、68、77、78、79、80、82、83、84、85、86、88、92、93、及び94並びにその薬学的に許容される塩から成る群より選択される、上記実施形態(I)の方法に関する。
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物が、化合物番号95、97、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、136、137、139、140、141、142、145、146、152、153、154、155、157、158、159、161、162、163、164、165、166、167、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、184、185、186、187、188、189、191、193、194、195、196、197、198、199、201、202、203、204、205、206、207、208、210、211、212、213、214、215、216、220、222、223、224、225、227、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257及びその薬学的に許容される塩から成る群より選択される、上記実施形態(I)の方法に関する。
別の実施形態では、本発明は、sGC活性化又は増強によって軽減できる疾患又は障害の処置方法であって、処置が必要な患者に、薬学的に有効な量の、下記式(Ia)
【0030】
【化6】
(Ia)
【0031】
(式中、
R1は、C1-4アルキルであり;
R2は、C1-3アルキルであり;かつ
R5は、F、Cl、-CH3、及び-CH2CH3から選択される)
の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
ここで、疾患又は障害は、慢性肝疾患、NASH、肝硬変及び門脈圧亢進症から成る群より選択される、方法に関する。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、式(Ia)の化合物が、化合物番号18、27、84、114、133、134、136、148、154、165、及び167、並びにその薬学的に許容される塩から成る群より選択される、直前に記載の実施形態に関する。
特に指示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲全体を通して、所与の化学式又は化学名は、その互変異性体並びに全ての立体、光学及び幾何異性体(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体等)及びラセミ体のみならず別々のエナンチオマーの異なる比率の混合物、ジアステレオマーの混合物、又は該異性体及びエナンチオマーが存在する前述の形態のいずれもの混合物、並びにその薬学的に許容される塩を含めた塩及びその例えば水和物のような溶媒和物(遊離化合物の溶媒和物又は化合物の塩の溶媒和物を含めて)を包含するものとする。
複数の互変異性型で存在する式(I)の化合物もある。本発明は、全ての該互変異性体の使用方法を包含する。
【0033】
本発明は、式(I)の化合物の薬学的に許容される誘導体を包含する。「薬学的に許容される誘導体」は、患者に投与されると、本発明に有用な化合物、又はその薬理学的に活性な代謝物若しくは薬理学的に活性な残基を(直接又は間接的に)与える能力があるいずれの薬学的に許容される塩若しくはエステル、又はいずれの他の化合物をも指す。薬理学的に活性な代謝物は、酵素的又は化学的に代謝され得る本発明のいずれの化合物をも意味するものと理解すべきである。これには、例えば、式(I)のヒドロキシル化又は酸化誘導体化合物が含まれる。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、その酸性塩又は塩基性塩を作ることによって改変されている開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、限定するものではないが、アミン等の塩基性残基の鉱物酸塩又は有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩等が挙げられる。例えば、該塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、酒石酸水素塩、臭化物/臭化水素酸塩、エデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物/塩酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エタンジスルホン酸塩、エストラート(estolate)、エシラート(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycollylarsnilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオナート(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、スルファミド、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリエチオジド(triethiodide)、アンモニウム、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン及びプロカインが挙げられる。さらなる薬学的に許容される塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等のような金属のカチオンと形成可能である(Pharmaceutical salts, Birge, S.M. et al., J. Pharm. Sci., (1977), 66, 1-19をも参照されたい)。
【0034】
本発明の薬学的に許容される塩は、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法によって合成することができる。一般的に、該塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基型を、水中或いはエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、若しくはアセトニトリル、又はその混合物のような有機希釈剤中で十分な量の塩基又は酸と反応させることによって調製することができる。
例えば本発明の化合物の精製又は単離に役立つ、上記酸以外の塩(例えばトリフルオロ酢酸塩)も本発明の一部を構成する。
さらに、本発明の範囲内には式(I)の化合物のプロドラッグの使用がある。プロドラッグには、単純な化学変換によって、改変されて本発明の化合物を生成する当該化合物が含まれる。単純な化学変換としては、加水分解、酸化及び還元がある。詳細には、プロドラッグを患者に投与すると、プロドラッグは、上文で開示した化合物に変換され、それによって所望の薬理効果を与えることができる。
【0035】
本発明の化合物は、当業者には分かるように、「化学的に安定」であると考えられる化合物のみである。例えば、「ダングリング結合価」、又は「カルバニオン」を有することになる化合物は、本明細書で開示する発明によって企図される化合物でない。
本出願において上文で開示した全ての化合物について、命名法が構造と矛盾する場合、化合物は、構造によって定義されるものと理解すべきである。
本明細書で使用する全ての用語は、特に明記しない限り、当技術分野で知られるそれらの通常の意味で理解すべきである。例えば、「C1-4アルキル」は、1~4個の炭素を含有する飽和脂肪族炭化水素一価基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル (イソプロピル)、n-ブチル又はt-ブチルであり;「C1-4アルコキシ」は、末端酸素を有するC1-4アルキル、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシである。全てのアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、構造的に可能であり、かつ特別の定めのない限り、分岐又は非分岐、環化又は非環化であると理解すべきである。他のさらに具体的な定義は、以下のとおりである。
【0036】
単独又は別の基と組み合わせた用語「C1-n-アルキル」(nは2~nの整数である)は、1~n個のC原子を有する非環式、飽和、分岐又は直鎖炭化水素基を意味する。例えば用語C1-5-アルキルは、基H3C-、H3C-CH2-、H3C-CH2-CH2-、H3C-CH(CH3)-、H3C-CH2-CH2-CH2-、H3C-CH2-CH(CH3)-、H3C-CH(CH3)-CH2-、H3C-C(CH3)2-、H3C-CH2-CH2-CH2-CH2-、H3C-CH2-CH2-CH(CH3)-、H3C-CH2-CH(CH3)-CH2-、H3C-CH(CH3)-CH2-CH2-、H3C-CH2-C(CH3)2-、H3C-C(CH3)2-CH2-、H3C-CH(CH3)-CH(CH3)-及びH3C-CH2-CH(CH2CH3)-を包含する。
単独又は別の基と組み合わせた用語「C1-n-アルキレン」(nは整数1~nである)は、1~n個の炭素原子を含有する非環式、直鎖又は分岐鎖二価アルキル基を意味する。例えば用語C1-4-アルキレンには、-(CH2)-、-(CH2-CH2)-、-(CH(CH3))-、-(CH2-CH2-CH2)-、-(C(CH3)2)-、-(CH(CH2CH3))-、-(CH(CH3)-CH2)-、-(CH2-CH(CH3))-、-(CH2-CH2-CH2-CH2)-、-(CH2-CH2-CH(CH3))-、-(CH(CH3)-CH2-CH2)-、-(CH2-CH(CH3)-CH2)-、-(CH2-C(CH3)2)-、-(C(CH3)2-CH2)-、-(CH(CH3)-CH(CH3))-、-(CH2-CH(CH2CH3))-、-(CH(CH2CH3)-CH2)-、-(CH(CH2CH2CH3))-、-(CHCH(CH3)2)-及び-C(CH3)(CH2CH3)-が含まれる。
【0037】
単独又は別の基と組み合わせた用語「C3-n-シクロアルキル」(nは整数4~nである)は、3~n個のC原子を有する環式、飽和、非分岐炭化水素基を意味する。例えば、用語C3-7-シクロアルキルにはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチが含まれる。
本明細書で使用する用語「ヘテロ原子」は、炭素以外の原子、例えばO、N、S及びPを意味するものと理解すべきである。
全てのアルキル基又は炭素鎖において、1個以上の炭素原子は、場合によりヘテロ原子:O、S又はNに置き換えられることがあり、Nが置換されない場合はそれはNHであると理解すべきであり、ヘテロ原子は、分岐若しくは非分岐炭素鎖内の末端炭素又は内部炭素のどちらにも取って代わり得ることをも理解すべきである。該基は、上述したようにオキソのような基で置換されて、限定するものではないが、以下のような定義をもたらことがある:アルコキシカルボニル、アシル、アミド及びチオキソ。
【0038】
単独又は別の基と組み合わせた本明細書で使用する用語「アリール」は、6個の炭素原子を含有する炭素環式芳香族単環式基を意味し、さらに芳香族、飽和若しくは不飽和でああってよい第2の5若しくは6員炭素環式基に縮合し得る。アリールとしては、限定するものではないが、フェニル、インダニル、インデニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、テトラヒドロナフチル及びジヒドロナフチルが挙げられる。
用語「ヘテロアリール」は、芳香族5-6員単環式ヘテロアリール又は芳香族7-11員ヘテロアリール二環式環を意味し、二環式環の少なくとも1つの環は芳香族であり、ヘテロアリール環は、1~4個のヘテロ原子、例えばN、O及びS等を含有する。5-6員単環式ヘテロアリール環の非限定例としては、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル、チエニル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、及びプリニルが挙げられる。7-11員ヘテロアリール二環式ヘテロアリール環の非限定例としては、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、ジヒドロ-2H-キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサゾリル及びベンゾチアゾリルが挙げられる。
【0039】
用語「ヘテロシクリル」は、安定した非芳香族4-8員単環式ヘテロ環式基又は安定した非芳香族6-11員縮合二環式、架橋二環式若しくはスピロ環式ヘテロ環式基を意味する。5-11員ヘテロ環は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個以上、好ましくは1~4個のヘテロ原子とから成る。ヘテロ環は、飽和又は一部不飽和であり得る。非芳香族4-8員単環式ヘテロ環式基の非限定例としては、テトラヒドロフラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-1λ6-チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びアゼピニルが挙げられる。非芳香族6-11員縮合二環式基の非限定例としては、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロベンゾフラニル,及びオクタヒドロベンゾチオフェニルが挙げられる。非芳香族6-11員架橋二環式基の非限定例としては、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル,及び3-アザビシクロ[3.2.1]オクタニルが挙げられる。非芳香族6-11員スピロ環式ヘテロ環式基の非限定例としては、7-アザ-スピロ[3,3]ヘプタニル、7-スピロ[3,4]オクタニル,及び7-アザ-スピロ[3,4]オクタニルが挙げられる。用語「ヘテロシクリル」には、全ての可能な異性体が含まれるよう意図される。
【0040】
本明細書で使用する用語「ハロゲン」は、臭素、塩素、フッ素又はヨウ素を意味するものと理解すべきである。「ハロゲン化」、「一部又は完全ハロゲン化」;一部又は完全フッ素化;「1個以上のハロゲン原子で置換された」という定義には、例えば、1個以上の炭素原子に関するモノ、ジ若しくはトリハロ誘導体が含まれる。アルキルについては、非限定例は-CH2CHF2、-CF3等となる。
本明細書に記載の各アルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、アリール若しくはヘテロアリール、又はその類似体は、場合により一部又は完全にハロゲン化されるものと理解すべきである。
本明細書で使用する場合、「窒素」又はN及び「硫黄」又はSには、窒素及び硫黄のいずれの酸化型並びにいずれの塩基性窒素の四級型も含まれる。例えば-S-C1-6アルキル基については、特別の定めのない限り、これは-S(O)-C1-6アルキル及び-S(O)2-C1-6アルキルを包含するものと理解すべきであり、同様に、-S-Raは、Raがフェニルであるときはフェニル-S(O)m-と表されることがあり、この場合mは0、1又は2である。
【0041】
治療的使用方法
本明細書で開示する化合物は、可溶性グアニル酸シクラーゼを効果的に活性化する。可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化又は増強は、特定の疾患及び障害を予防及び処置するための魅力的手段である。
この側面の実施形態によれば、本発明は、必要とする患者の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置、予防、その進行の遅延方法において、前述及び後述の定義どおりの医薬組成物又は医薬剤形を患者に投与することを特徴とする方法に関する。
一実施形態では、線維症、例えば、F1~F4を伴うNASHを処置するために本発明の化合物を使用することができる。
別の実施形態では、臨床的に有意な門脈圧亢進症を伴う肝硬変及び伴わない肝硬変を処置するために本発明の化合物を使用することができる。
別の実施形態では、本発明は、臨床的に有意な門脈圧亢進症(CSPH)を伴う代償性NASH肝硬変患者の処置に関する。門脈圧(Portal venous pressure)は、肝門脈内の血圧であり、通常は5~10mmHgである。門脈圧上昇は門脈圧亢進症と呼ばれ、多数の続発症、例えば腹水症及び肝性脳症を有する。本発明の一実施形態では、CSPHは、肝静脈圧較差(hepatic venous pressure gradient)(HVPG)≧10mm/Hgと定義される。従って、本発明の別の実施形態は、≧10mm/Hgの肝静脈圧較差(HVPG)を有する代償性NASH肝硬変患者の処置に関する。
【0042】
別の実施形態では、本発明は、肝硬変がいずれもの原因による肝硬変(全原因肝硬変)患者の門脈圧亢進症の処置に関する。原因としては、限定するものではないが、NASH、アルコール性肝疾患(ALD)、C型肝炎、B型肝炎、慢性原発性胆汁性肝疾患(原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変)が挙げられる。
別の態様によれば、本発明は、処置を必要とする患者の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH、NAS≧4)、特に肝線維症を伴うNASH、例えば肝線維症ステージ2及び3を伴うNASHの処置方法において、活性医薬成分(API)として式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、好ましくは本発明の医薬組成物を患者に投与することを特徴とする方法に関する。
一実施形態では、本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置、予防、又はその進行の遅延用薬物の調製のための本発明の化合物の使用に関する。
一実施形態では、本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置、予防、又はその進行の遅延に用いる本発明の化合物に関する。
【0043】
前記医薬組成物のNASH及び/又は肝線維症患者への投与の効果は、肝臓炎症及び/又は肝臓機能の関連バイオマーカー、例えばALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、AP(アルカリホスファターゼ)、γ-GT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)、CK-18(サイトケラチン18)フラグメント又はHVPG(肝静脈圧較差)等の変化、特に低減によって観察可能である。
さらに前記医薬組成物のNASH及び/又は肝線維症患者への投与の効果は、例えば脂肪肝、線維症、肝臓硬直の程度若しくはステージの改善又は健康関連の生活の質の改善によって観察可能である。
これらの障害は、ヒトでよく特徴づけられているが、他の哺乳動物においても同様の病因で存在し、本発明の医薬組成物によって処置することができる。
【0044】
治療的使用のため、本発明の化合物は、いずれの従来の医薬剤形でもいずれの従来の様式でも医薬組成物によって投与可能である。従来の剤形は、典型的に、選択した特定剤形に適した薬学的に許容される担体を含む。投与経路としては、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、皮下、関節滑液嚢内、注入による、舌下、経皮、経口、局所又は吸入による投与が挙げられる。好ましい投与様式は経口及び静脈内投与である。
1日1回の経口投与に適した本発明の化合物の好ましい用量は、0.1~100mg;又は1~25mg;又は1~10mg;又は2~5mgである。別の実施形態では、1日1回の経口投与に適したAPIの好ましい用量は1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、及び10mgから選択される。
本発明の化合物は、単独で、又は阻害剤の安定性を高め、特定実施形態ではそれらを含有する医薬組成物の投与を促進し、溶解若しくは分散増大をもたらし、阻害活性を高め、補助治療を可能にする等の、他の活性成分を含めたアジュバントと組み合わせて投与可能である。
【0045】
上述したように、本発明の化合物の剤形は、当業者に知られ、かつ該剤形に適した薬学的に許容される担体及びアジュバントを含んでよい。これらの担体及びアジュバントとしては、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、緩衝物質、水、塩又は電解質及びセルロース系物質が挙げられる。好ましい剤形としては、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、液体、溶液、懸濁液、乳濁液、ロゼンジ剤、シロップ剤、再構成可能な散剤、粒剤、坐剤及び経皮パッチがある。該剤形の調製方法は周知である(例えば、H.C. Ansel and N.G. Popovish, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th ed., Lea and Febiger (1990)参照)。本発明の化合物の投与量レベル及び所要量は、当業者なら利用可能な方法及び個々の患者に適した手法から選択可能である。一部の実施形態では、投与量レベルは、70kgの患者について約1~1000mg/用量である。1日1用量で十分であり得るが、1日5用量まで与えてよい。経口用量については、2000mg/日まで必要とされることがある。当業者には明らかなように、特定要因に応じてより低いか又はより高い用量が必要とされることがある。例えば、明確な投与量及び処置計画は、患者の総体的な健康プロファイル、患者の障害の重症度及び経過又は障害に対する素質、並びに担当医の判断等の要因によって決まることになる。
【0046】
一実施形態では、例えば、本発明の複数の化合物を投与することができる。有利なことに、該併用療法は、低投与量の従来の治療薬を利用するので、当該薬剤を単剤療法として使用するときに発生する可能性のある毒性及び有害な副作用を回避する。本発明の化合物を従来の治療薬又は他のアジュバントと物理的に組み合わせて単一の医薬組成物にしてよい。有利には、次に化合物を単一剤形で一緒に投与し得る。一部の実施形態では、化合物のこのような組み合わせを含む医薬組成物は、少なくとも5%、さらに好ましくは少なくとも約20%の式(I)の化合物(w/w)又はその組み合わせを含有する。本発明の化合物の最適比率(w/w)は異なってよく、当業者の理解範囲内である。これとは別に、本発明の化合物及び従来の治療薬又は他のアジュバントを別々に(逐次又は並行)投与してよい。別々の投与は、投与計画のより大きい柔軟性を可能にする。
本発明の化合物は、患者の代謝(例えば、肥満症、糖尿病、炎症)状態を改善するための化合物と併用投与してよい。該化合物の非限定例としては、例えば、SGLT2阻害薬(例えば、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、及びカナグリフロジン)、DPP-IV阻害薬(例えば、リナグリプチン、シタグリプチン、サキサグリプチン、ビルダグリプチン、及びアログリプチン)、並びにグリタゾン/チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン及びロシグリタゾン)が挙げられる。
【0047】
本発明の化合物は、代謝調節薬、RAAS阻害薬、脂質調節薬、抗線維化薬、抗炎症薬、及び免疫調節薬を含めたNASH治療に有用な化合物と併用投与してもよい。該NASH併用パートナーの非限定例としては、以下のものが挙げられる:
PF-05221304 (Pfizer)、Obeticholic acid (Intercept)、GS-0976 (Gilead)、GS-9674 (Gilead)、LJN452 (Novartis)、LMB763 (Novartis)、MSDC-0602K/Metabolic Solutions (Octeca)、EDP-305 (Enanta)、INT-767 (Intercept)、O304 (Betagenon)、PF-06835919 (Pfizer)、Semaglutide (Novo Nordisk)、BMS-986036 (BMS)、NGM282 (NGM)、BMS-986171 (BMS)、PF-06865571 (Pfizer)、LIK066 (Novartis)、ORMD 0801 (Oramed)、CER-209 (Cerenis)、TVB-2640 (3-V Bioscience)、DS102 (Afimmune)、MGL-3196 (Madrigal、Roche)、VK2809 (Viking)、Volixibat (Sanofi、Shire)、IONIS-DGAT2Rx (Ionis)、AKCEA-ANGPTL3-LRx (Akcea)、Gemcabene (Gemphire)、MT-3995 (Mitsubishi Tanabe)、DUR-928 (Durect)、CORT118335 (Corcept)、amacizumab (BirdRock/Janssen)、Elafibranor (Genfit)、GRI-0621 (GRI Bio)、Selonsertib (Gilead)、Cenicriviroc (Takeda、Allergan)、JKB 121 (Taiwan)、Saroglitazar (Zydus)、IMM-124E (Immuron)、Lanifibranor(IVA337) (Inventiva)、GR-MD-02 (Galectin)、Emricasan(VAY785) (Novartis)、Tipelukast (Kyorin、MediciNova)、BMS986263 (ND-L02-s201) (BMS)、PF-06667272 (Pfizer)、Foralumab (Tiziana)、及びDRX-065 (DeuteRx)。
【0048】
別の実施形態では、NASH併用パートナーは、下記:
アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害薬(例えば、GS-0976);
アミンオキシダーゼ、銅含有3(AOC3)阻害薬(例えば、BI 1467335(以前はPXS-4728Aとして知られる));
ファルネソイドX受容体(FXR)作動薬(例えばオベチコール酸);
アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)阻害薬(例えばセロンサーチブ(selonsertib));
C-Cケモカイン受容体2(CCR2)及び5(CCR5)拮抗薬(例えばセニクリビロク(ceniriviroc));
カスパーゼ阻害薬(例えばエミカサン(emricasan));
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR)作動薬(例えばエラフィブラノル(elafibranor));
ステアロイルCoAデサチュラーゼ阻害薬(例えば、アラムコール(aramchol));
血管接着タンパク質-1(VAP-1)阻害薬(例えば、PXS4728A);及び
ピオグリタゾン/ビタミン
から選択される。
【0049】
生物活性の評価
硬変性門脈圧亢進症:
本発明の化合物を、門脈圧亢進症又は肝線維症/硬変を伴う疾患、例えば非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)等又はいずれもの他の病因による疾患の処置にそれらが有用であることを示すために、硬変性門脈圧亢進症(PHT)の胆管結紮(BDL)ラットモデルで試験することができる。本発明の化合物(3mg/kg及び10mg/kg)又はビヒクル(VEH)を2~4週間1日2回(BDL)強制経口投与する。平均動脈圧(MAP)、心拍数(HR)、門脈圧(PP)を測定する。ヒドロキシプロリン(HP)及びクロームアニリンブルー(CAB)染色によって肝線維症を定量化する。肝トランスアミナーゼ(AST及びALT)及びターゲットエンゲージメントバイオマーカー、肝cGMPを測定することもできる。
ヒドロキシプロリン濃度、線維化面積(クロームアニリン染料)、門脈圧、及び/又は肝トランスアミナーゼの変化は、本発明の化合物が、門脈圧亢進症又は肝線維症/硬変症を伴う疾患、例えば非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)等及びいずれの他の病因による慢性肝疾患をも処置するために使用し得ることを実証する。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記式

の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、門脈圧亢進症の処置、予防又はその進行の遅延に使用するための医薬組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
生物活性の評価
硬変性門脈圧亢進症:
本発明の化合物を、門脈圧亢進症又は肝線維症/硬変を伴う疾患、例えば非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)等又はいずれもの他の病因による疾患の処置にそれらが有用であることを示すために、硬変性門脈圧亢進症(PHT)の胆管結紮(BDL)ラットモデルで試験することができる。本発明の化合物(3mg/kg及び10mg/kg)又はビヒクル(VEH)を2~4週間1日2回(BDL)強制経口投与する。平均動脈圧(MAP)、心拍数(HR)、門脈圧(PP)を測定する。ヒドロキシプロリン(HP)及びクロームアニリンブルー(CAB)染色によって肝線維症を定量化する。肝トランスアミナーゼ(AST及びALT)及びターゲットエンゲージメントバイオマーカー、肝cGMPを測定することもできる。
ヒドロキシプロリン濃度、線維化面積(クロームアニリン染料)、門脈圧、及び/又は肝トランスアミナーゼの変化は、本発明の化合物が、門脈圧亢進症又は肝線維症/硬変症を伴う疾患、例えば非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)等及びいずれの他の病因による慢性肝疾患をも処置するために使用し得ることを実証する。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕sGC活性化又は増強によって軽減できる疾患又は障害の処置方法であって、処置が必要な患者に、薬学的に有効な量の、下記式I
I
(式中:
Aは、1個の窒素を含有し且つ1個の酸素を含有してもよい5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、C 1-3 アルキル及びオキソから選択される1又は2個の基で置換されていてもよく;
R 1 は、メトキシ基で置換されていてもよいC 1-4 アルキルであり;
R 2 は、H、F、Cl、C 1-3 アルキル、-CN、-OMe及び-CF 3 から選択され;
R 3 は、H及び-CH 3 から選択され;
R 4 は、H、F、-CH 3 及び-OMeから選択され;
R 5 は、H、Cl、-CH 3 、-CH 2 CH 3 、-CF 3 、F、及び-OMeから選択され;
R 6 は、A上の窒素に結合しており、かつH、C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n C 3-6 シクロアルキル、-C(O)C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n アリール、-(CH 2 ) n ヘテロアリール、-SO 2 アリール、SO 2 C 1-6 アルキルから選択され、前記C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n シクロアルキル、-(CH 2 ) n アリール及び-(CH 2 ) n ヘテロアリールは、C 1-3 アルキル、ハロゲン、C 1-3 アルコキシ、-CF 3 、-OH、オキソ、-(CH 2 ) 1-3 O(CH 2 ) 2-3 OH、及び-SO 2 CH 3 から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R 7 は、存在しないか又は-CH 3 、-CH 2 CH 3 、-CF 3 、F、及び-CNから成る群より選択され;
nは、0、1又は2である)
の化合物又はその塩を投与することを含み、
ここで、前記疾患又は障害は、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変及び門脈圧亢進症から成る群より選択される、前記方法。
〔2〕前記疾患又は障害がNASHである、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕式中:
Aが、1個の窒素を含有する5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、1又は2個のC 1-3 アルキル基で置換されていてもよく;
R 1 が、C 1-3 アルキルであり;
R 2 が、H、F、Cl、C 1-3 アルキル、-CN、-OMe及び-CF 3 から選択され;
R 3 が、H及び-CH 3 から選択され;
R 4 が、H及びFから選択され;
R 5 が、H、Cl及び-CH 3 から選択され;
R 6 が、A上の窒素に結合しており、かつH、C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n C 3-6 シクロアルキル、-C(O)C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n アリール及び-(CH 2 ) n ヘテロアリールから選択され、前記C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n シクロアルキル、-(CH 2 ) n アリール及び-(CH 2 ) n ヘテロアリールは、C 1-3 アルキル、ハロゲン、C 1-3 アルコキシ、-CF 3 、-OH及び-SO 2 CH 3 から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R 7 がHであり;
かつ
nが、0、1又は2である、
又はその塩である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕式中:
R 1 が、メチル、エチル又はイソプロピルであり;かつ
下記の基
が、下記基:
から選択される、
又はその塩である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の方法。
〔5〕式中:
R 2 が、-CH 3 、F、Cl、及び-CF 3 から選択され;かつ
R 6 が、H、C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n C 3-6 シクロアルキル、-C(O)C 1-6 アルキル及び-(CH 2 ) n ヘテロシクリルから選択され、前記C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n シクロアルキル及び-(CH 2 ) n ヘテロシクリルは、C 1-3 アルキル、ハロゲン、C 1-3 アルコキシ、-CF 3 、-OH及び-SO 2 CH 3 から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよい、
又はその塩である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の方法。
〔6〕式中、R 6 に関して言及される各ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル、1-オキサスピロ[4.5]デカニル及びピロリジン-2-オンから選択され;
R 6 に関して言及される各ヘテロアリールが、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル及び4,5,6,7-テトラヒドロベンゾチアゾリルから選択され;
かつR 6 に関して言及される各アリールがフェニルである、
又はその塩である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕式中、
R 6 が、-(CH 2 ) n ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル及び1-オキサスピロ[4.5]デカニルから選択される、
又はその塩である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の方法。
〔8〕式中:
R 2 が-CH 3 であり;
R 3 がHであり;
R 4 がH又は-CH 3 であり;
R 5 がH、又は-CH 3 であり;
R 7 が、R 5 に対してパラ位にあり、かつH、-CH 3 又は-CH 2 CH 3 である、
又はその塩である、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の方法。
〔9〕式中:
下記の基
が、下記基
である、
又はその塩である、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の方法。
〔10〕式中:
R 3 がHであり;かつ
R 4 がHである、
又はその塩である、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔11〕;
前記化合物が、表1の化合物1~258、及びその薬学的に許容される塩から成る群より選択される、前記〔1〕に記載の方法。
〔12〕下記式I
I
(式中:
Aは、1個の窒素を含有し且つ1個の酸素を含有してもよい5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、C 1-3 アルキル及びオキソから選択される1又は2個の基で置換されていてもよく;
R 1 は、メトキシ基で置換されていてもよいC 1-4 アルキルであり;
R 2 は、H、F、Cl、C 1-3 アルキル、-CN、-OMe及び-CF 3 から選択され;
R 3 は、H及び-CH 3 から選択され;
R 4 は、H、F、-CH 3 及び-OMeから選択され;
R 5 は、H、Cl、-CH 3 、-CH 2 CH 3 、-CF 3 、F、及び-OMeから選択され;
R 6 は、A上の窒素に結合しており、かつH、C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n C 3-6 シクロアルキル、-C(O)C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n アリール、-(CH 2 ) n ヘテロアリール、-SO 2 アリール、SO 2 C 1-6 アルキルから選択され、前記C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n シクロアルキル、-(CH 2 ) n アリール及び-(CH 2 ) n ヘテロアリールは、C 1-3 アルキル、ハロゲン、C 1-3 アルコキシ、-CF 3 、-OH、オキソ、-(CH 2 ) 1-3 O(CH 2 ) 2-3 OH、及び-SO 2 CH 3 から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R 7 は、存在しないか又は-CH 3 、-CH 2 CH 3 、-CF 3 、F、及び-CNから成る群より選択され;
nは、0、1又は2である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩の、
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝疾患、肝硬変又は門脈圧亢進症の処置、予防又はその進行の遅延用薬物の調製のための使用。
〔13〕処置、予防又は進行を遅延すべき疾患がNASHである、前記〔12〕に記載の使用。
〔14〕非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝疾患、肝硬変又は門脈圧亢進症の処置、予防又はその進行の遅延に使用するための、下記式I
I
(式中:
Aは、1個の窒素を含有し且つ1個の酸素を含有してもよい5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、C 1-3 アルキル及びオキソから選択される1又は2個の基で置換されていてもよく;
R 1 は、メトキシ基で置換されていてもよいC 1-4 アルキルであり;
R 2 は、H、F、Cl、C 1-3 アルキル、-CN、-OMe及び-CF 3 から選択され;
R 3 は、H及び-CH 3 から選択され;
R 4 は、H、F、-CH 3 及び-OMeから選択され;
R 5 は、H、Cl、-CH 3 、-CH 2 CH 3 、-CF 3 、F、及び-OMeから選択され;
R 6 は、A上の窒素に結合しており、かつH、C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n C 3-6 シクロアルキル、-C(O)C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n アリール、-(CH 2 ) n ヘテロアリール、-SO 2 アリール、SO 2 C 1-6 アルキルから選択され、前記C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n シクロアルキル、-(CH 2 ) n アリール及び-(CH 2 ) n ヘテロアリールは、C 1-3 アルキル、ハロゲン、C 1-3 アルコキシ、-CF 3 、-OH、オキソ、-(CH 2 ) 1-3 O(CH 2 ) 2-3 OH、及び-SO 2 CH 3 から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R 7 は、存在しないか又は-CH 3 、-CH 2 CH 3 、-CF 3 、F、及び-CNから成る群より選択され;
nは、0、1又は2である)
の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔15〕前記〔14〕に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
Aが、1個の窒素を含有する5-7員飽和ヘテロシクリル基であり、前記ヘテロシクリル基の1個の炭素は、1又は2個のC 1-3 アルキル基で置換されていてもよく;
R 1 が、C 1-3 アルキルであり;
R 2 が、H、F、Cl、C 1-3 アルキル、-CN、-OMe及び-CF 3 から選択され;
R 3 が、H及び-CH 3 から選択され;
R 4 が、H及びFから選択され;
R 5 が、H、Cl及び-CH 3 から選択され;
R 6 が、A上の窒素に結合しており、かつH、C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n C 3-6 シクロアルキル、-C(O)C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n アリール及び-(CH 2 ) n ヘテロアリールから選択され、前記C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n ヘテロシクリル、-(CH 2 ) n シクロアルキル、-(CH 2 ) n アリール及び-(CH 2 ) n ヘテロアリールは、C 1-3 アルキル、ハロゲン、C 1-3 アルコキシ、-CF 3 、-OH及び-SO 2 CH 3 から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R 7 がHであり;かつ
nが、0、1又は2である、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔16〕前記〔14〕又は〔15〕に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R 1 が、メチル、エチル又はイソプロピルであり;かつ
下記の基
が、下記基:
から選択される、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔17〕前記〔14〕~〔16〕のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R 2 が、-CH 3 、F、Cl、及び-CF 3 から選択され;かつ
R 6 が、H、C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n C 3-6 シクロアルキル、-C(O)C 1-6 アルキル及び-(CH 2 ) n ヘテロシクリルから選択され、前記C 1-6 アルキル、-(CH 2 ) n シクロアルキル及び-(CH 2 ) n ヘテロシクリルは、C 1-3 アルキル、ハロゲン、C 1-3 アルコキシ、-CF 3 、-OH及び-SO 2 CH 3 から独立に選択される1~4個の基で置換されていてもよい、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔18〕前記〔14〕~〔17〕のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R 6 に関して言及される各ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル、1-オキサスピロ[4.5]デカニル及びピロリジン-2-オンから選択され;
R 6 に関して言及される各ヘテロアリールが、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル及び4,5,6,7-テトラヒドロベンゾチアゾリルから選択され;
かつR 6 に関して言及される各アリールがフェニルである、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔19〕前記〔14〕~〔18〕のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R 6 が-(CH 2 ) n ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルは、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、2-オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、[1,4]ジオキサニル、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタニル及び1-オキサスピロ[4.5]デカニルから選択される、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔20〕前記〔14〕~〔19〕のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R 2 が-CH 3 であり;
R 3 がHであり;
R 4 がH又は-CH 3 であり;
R 5 がH、又は-CH 3 であり;
R 7 が、R 5 に対してパラ位にあり、かつH、-CH 3 又は-CH 2 CH 3 である、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔21〕前記〔14〕~〔20〕のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
下記の基
が、下記基
である、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔22〕前記〔14〕~〔21〕のいずれか1項に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I)中:
R 3 がHであり;かつ
R 4 がHである、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔23〕前記化合物が、表1の化合物1~258から成る群より選択される、前記〔14〕に記載の使用のための化合物、又はその薬学的に許容される塩。
〔24〕処置、予防又は進行を遅延すべき疾患がNASHである、前記〔14〕~〔23〕のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
【外国語明細書】