(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095728
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
B60R 1/12 20060101AFI20240703BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240703BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240703BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240703BHJP
H04N 23/667 20230101ALI20240703BHJP
H04N 23/69 20230101ALI20240703BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240703BHJP
【FI】
B60R1/12 Z
B60R11/02 Z
G03B15/00 V
G03B15/00 A
G03B15/00 Q
H04N23/60
H04N23/667
H04N23/69
H04N23/57
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059389
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2021202207の分割
【原出願日】2013-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(71)【出願人】
【識別番号】508320239
【氏名又は名称】株式会社ユピテル鹿児島
(72)【発明者】
【氏名】時任 康広
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 祐介
(72)【発明者】
【氏名】岩田 保
(72)【発明者】
【氏名】小野里 繁
【テーマコード(参考)】
3D020
5C122
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD09
5C122DA03
5C122DA14
5C122EA42
5C122FB13
5C122FE05
5C122FL03
5C122GA01
5C122GA23
5C122GE05
5C122HB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】専門業者による取付工事をしなくても視界の妨げとならずに適切な方向の画像を撮影可能なドライブレコーダーを提供する。
【解決手段】ドライブレコーダー1は、ハーフミラー11の背面に液晶ディスプレイ13を収容する本体ケース20を備え、背面側には、運転席側となる左端にカメラユニット30が車両前方にレンズを向けた状態となる様に取り付けられている。カメラユニット30は、P1~P6の6つの位置のいずれかにレンズを向けた状態とできる様に、上下左右に回動可能であると共に、これら6位置でレンズの向きを選択的に固定する嵌合用の凹凸をレンズ体とレンズホルダに備えている。ルームミラーに対しては、背面の上下クランパ51,52で上下から挟み付ける様に取り付ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側に、内部に有する表示部の光を透過させるハーフミラー部を備える本体と、
前記本体を車両のルームミラーに装着するための装着部と、
前記本体に設けられ、前記車両の前方を撮影するカメラ部と、
前記本体の前面側に設けられ、ユーザの操作を検出して前記カメラ部の映像信号についての制御指示を入力する入力部と、
を備え、
前記入力部の前記ユーザの操作の検出によって前記カメラ部で撮影された車両の前方の動画記録に関する設定をする機能を備えること
を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記入力部の前記ユーザの操作の検出によって前記カメラ部で撮影された車両の前方の動画記録を停止する機能を備えること
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記入力部の前記ユーザの操作の検出によって、当該電子機器を使用している地域の商用周波数に合わせるための選択を行う機能を備えること
を特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記入力部の前記ユーザの操作の検出によって、前記カメラ部で撮影され記録された映像を再生する機能を備えること
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記入力部の前記ユーザの操作の検出によってズーム倍率に関する設定をする機能を備えること
を特徴とする請求項1から4のいずれかに電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における状況を撮影する電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントガラスの内面に貼り付ける様にして装着するタイプのドライブレコーダー(特許文献1)や、ルームミラー一体型としたドライブレコーダー(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-321423号公報
【特許文献2】特開2006-193057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の様にフロントガラスに貼り付けるタイプのドライブレコーダーは、取り付け場所に困ったり視界の妨げとなる問題があった。特許文献2の様にルームミラー一体型のドライブレコーダーは、専門業者による取付工事が必用となる問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、専門業者による取付工事をしなくても視界の妨げとならずに適切な方向の画像を撮影可能な電子機器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の電子機器は、(a)カメラを有する電子機器であって、運転席への対面角度を変更可能に設置された車両装備物に装着するための装着部と、前記装着時に前記車両装備物の所定の側部位置を超えてはみ出すはみ出し部とを備え、前記はみ出し部は前記はみ出し部のはみ出し方向とは異なる方向に突出した突出部を備え、前記突出部に前記カメラと前記カメラの撮影方向を変更する手段とを備える構成とするとよい。
このようにすれば、専門業者による取付工事をしなくても視界の妨げとならずに適切な方向の画像を撮影可能な電子機器等を提供することができる。
これら車両装備物は、それ自体が必用なものとして装備されるから、車両装備物への装着時に前記車両装備物の所定の側部位置を超えてはみ出すはみ出し部があっても視界の大きな妨げにはなりにくい。また運転席に対して角度変更可能な構造である結果、車両装備物に対して装着した電子機器の角度も、車両装備物の角度調整に伴って変化するが、カメラの撮像方向を所望の方向に向けることができる。特にはみ出し方向とは異なる方向に突出した突出部にカメラとカメラの撮影方向を変更する手段を備えることから、カメラやカメラの撮影方向を変更する手段のサイズが大きくなっても視界の大きな妨げにはなりにくい。
カメラとしては、車両における状況を撮影するカメラとするとよく、特に、車室内の状況、例えば運転者の状況を撮影するカメラや、車室外の状況、例えば、車両の外部の周辺の状況を撮影するカメラとするとよく、特に車両前方を撮影するカメラとするとよい。
車両装備物としては、例えば、車室内に装備される物とするとよい。また例えば車両自体に予め装備されているものとするとよい。特に車両自体に予め装備されているものであって車室内に装備される物とするとよい。例えば、ルームミラーとするとよい。
所定の端部位置は、車両装備物の端部のうち車両の運転の妨げに相対的になりにくい端部とするとよい。例えば、車両装備物がルームミラーであれば、ルームミラーの上端、左端、右端のいずれかとするとよい。例えばルームミラーの場合、例えば下端位置よりも上端位置、左端位置、右端位置へのはみ出しは車両の運転の妨げになりにくい端部であるので好ましい。また、所定の端部位置は、カメラによる撮像方向の見通しの妨げになりにくい端部とするとよい。例えばルームミラーの場合、上端位置はフロントガラス上部にスモーク部分等がありカメラによる撮像方向の見通しの妨げになりやすいため、上端以外の端部とするとよい。
装着部は、複数の異なる車種の車両に設置された同種の車両装備物に装着可能に構成するとよい。特に、同種の車両装備物のうち対応可能な最大のサイズのものから、同種の車両装備物のうち対応可能な最小のサイズのものまで装着可能に装着位置を調整可能に構成するとよい。対応可能なサイズはできるだけ多くの車種の車両装備物に対応できるサイズに決定するとよい。
突出部の突出方向は、特にはみ出し部のはみ出し方向の成分を含まない方向とするとよい。このようにすれば、特に運転の妨げになりにくい。例えば、はみ出し部のはみ出し方向と直交する方向とするとよい。このようにすれば、特に運転の妨げになりにくいとともに、突出部が電子機器にあたってしまうことを防止できる。
(b)前記装着部は前記車両装備物の一面側の少なくとも一部を被って装着する構成であり、前記突出部は、前記車両装備物の一面側とは反対側の面を超える位置まで突出させており、前記カメラの撮影方向を変更する手段の少なくとも一部を前記超える位置に備える構成とするとよい。
このようにすれば、車両装備物にカメラの撮影方向を変更する手段が当たりにくくなる。特に、前記カメラの撮影方向を変更する手段の全部を前記超える位置に備える構成とすると、例えば車両装備物にカメラの撮影方向を変更する手段が当たらなくなる。
特に、(c)前記突出部は、前記カメラの撮影方向を変更する手段を有する部分と前記はみ出し部に至る部分とをつなぐアーム部を備え、前記カメラの撮影方向を変更する手段の少なくとも一部は前記アーム部よりも前記はみ出し方向とは逆方向側にはみ出した部分を有する構成の場合に、カメラの撮影方向を変更する手段が車両装備物に当たりにくくなる。例えば、突出部を、カメラやカメラの撮影方向を変更する手段を有する球状の部分と、その球状部分の直径よりも小さな幅で支えるアーム部から構成し、球の一部はアーム部よりもはみ出し方向とは逆方向側にはみ出した部分として構成するとよい。
(d)前記カメラの撮影方向を変更する手段は、上下左右方向に前記カメラの向きを変更可能であるとともに前記カメラの撮影時には前記カメラの向きが固定可能な半固定構造を備える構成とするとよい。
このようにすれば、車両装備物の運転席への対面角度を変更した場合に、容易にカメラの向きを調整しなおすことができる。
(e)前記車両装備物の一面側を被う部分を有し、前記装着部は、前記被う部分を前記車両装備物へ装着する構成であり、当該被う部分の外面には、前記車両装備物の当該被われる部分に有する機能と同等の機能を備え、前記被う部分の内部であって、前記被う部分の中心よりも前記はみ出し方向側に、前記カメラの映像信号を処理するための回路を備える構成とするとよい。
このようにすれば、電子機器が車両装備物の当該被われる部分に有する機能と同等の機能を実現できるとともに、例えばカメラの映像信号の劣化等を防止できる。特に被う部分の中心よりも前記はみ出し方向側にのみ、前記カメラの映像信号を処理するための回路を備える構成とするとよい。例えば、前記車両装備物はルームミラーであり、前記同等の機能はミラー機能とするとよい。
特に、(f)前記回路として、前記カメラの映像信号を処理する処理部、前記カメラの映像信号を表示する表示部、前記カメラの映像信号の記録部、前記カメラの映像信号の制御指示を入力する入力部の少なくともいずれか2つを備える制御基板を備える構成とするとよい。
特に、前記カメラの映像信号を処理する処理部、前記カメラの映像信号を表示する表示部、前記カメラの映像信号の記録部、前記カメラの映像信号の制御指示を入力する入力部のすべてを備える制御基板を前記被う部分の内部であって、前記被う部分の中心よりも前記はみ出し方向側にのみ備える構成とするとよい。
(g)前記カメラの撮影方向を変更する手段は、運転席への対面角度を変更可能に設置された車両装備物が運転時に位置する車両進行方向となす角度によって生じる前記カメラの撮影方向の前記車両進行方向とのずれを修正する方向へ、前記カメラの撮影方向を変更可能に構成とするとよい。
(h)複数の異なる車種の車両に設置された同種の車両装備物に装着可能に構成しており、前記装着部は、前記車両装備物を上下から挟み込んで装着する挟み込み部を2箇所に備え、当該2箇所の挟み込み部の左右方向の中心位置から当該電子機器の左端までの長さと、当該2つの挟み込み部の左右方向の中心位置から当該電子機器の右端までの長さとを略同一とし、当該2つの挟み込み部の中心位置が前記車両装備物の左右方向の中心位置になるように前記車両装備物に装着した場合であって、前記同種の車両装備物のうち対応可能な最大のサイズの車両装備物に装着した場合に前記突出部が当該車両装備物に近接位置になる構成するとよい。
このようにすれば、対応可能な最大のサイズの車両装備物に当たることなく、例えば、複数の異なる車種の車両に設置された同種の車両装備物を、車両装備物の中心位置で固定することが容易にできる。したがって、例えば、取り付け時に電子機器が車両装備物に対して偏って装着されて、違和感が生じることを防止できる。
はみ出し部のはみ出し量は、例えば、同種の車両装備物のうち対応可能な最大のサイズの車両装備物の所定の端部位置から、カメラとカメラの撮影方向を変更する手段とを支持するのに必要な幅であって、できる限り少ない幅とするとよい。このようにすれば、車両装備物に電子機器があたってしまうことを防止できるとともに、特に運転の妨げになりにくい。
例えば、
図16に示すように構成するとよい。
図16は、複数の異なる車種の車両に設置された同種のルームミラーに装着可能に構成しており、装着部は、ルームミラーを上下から挟み込んで装着する挟み込み部を2箇所に備え、当該2箇所の挟み込み部の左右方向の中心位置からこの電子機器の左端までの長さと、当該2つの挟み込み部の左右方向の中心位置から当該電子機器の右端までの長さとを略同一の142.5mmとしている。当該2つの挟み込み部の中心位置がこのルームミラーの左右方向の中心位置になるようにルームミラーに装着した場合であって、同種のルームミラーのうち対応可能な最大のサイズのルームミラーとして左右方向の幅が24cmのルームミラーに装着したものである。このとき、ルームミラーの図示右側には22.5mmのはみ出し部が形成されると共に、このはみ出し部から本体背面側に突出する突出部が図示のようにルームミラーに対して近接した位置になる構成するとよい。このとき、突出部は、カメラがルームミラーの背面を交わす位置で支持し得る様な長さとするとよく、場合によってはカメラの内側の外面に干渉を避ける窪みを設けてもよい。もちろんルームミラーと突出部との間に無駄にならない程度の空間を設けてもよい。
(i)より具体的には、以下のように構成してもよい。もちろん以下の例で運転席としたものを助手席としてもよい。
上記目的を達成するためになされた本発明のドライブレコーダーは、運転席への対面角度を変更可能に設置された車両装備物に対して取り付けるドライブレコーダーであって、前記車両装備物に装着でき、当該装着時に運転席側にはみ出すはみ出し部を備えた本体と、前記はみ出し部の背面側にレンズ体を回動可能に保持するレンズホルダとを備え、対となり得る凹凸部により、前記レンズ体と前記レンズホルダとを所定範囲内の複数の回動位置において嵌合・離脱可能に構成されていること、を特徴とする。
【0007】
運転席への対面角度を変更可能に設置された車両装備物としては、例えば、ルームミラーをあげることができる。
【0008】
従って、より具体的には、ルームミラーに装着する本体の背面側に車両前方を向く様に設置されたレンズ体を備えたドライブレコーダーであって、(1)前記本体が前記ルームミラーの運転席側にはみ出すはみ出し部を備え、(2)該はみ出し部の背面側に前記レンズ体を回動可能に保持するレンズホルダを備え、(3)前記レンズ体と前記レンズホルダとで対となり得る凹凸部により、前記レンズ体と前記レンズホルダとを所定範囲内の複数の回動位置において嵌合・離脱可能に構成されていること、を特徴とするドライブレコーダーとすることができる。
【0009】
なお、ルームミラー以外にも、例えば、フロントグリル上に取り付けて用いるカーナビゲーション装置や、天井から吊り下がる様に設置されるカーテレビも運転席への対面角度を変更可能な車両装備物にあげることができる。これら車両装備物に対する装着であるから、後付でドライブレコーダーを設置することができる。従って、専門業者にドライブレコーダーの設置を依頼しなくてもよい。
【0010】
これら車両装備物は、それ自体が必用なものとして装備されるから、これに連続して運転席側にはみ出し部があっても視界の大きな妨げにはならない反面、上述の様に運転席に対して角度変更可能な構造である結果、車両装備物に対して装着した本体の角度も、車両装備物の角度調整に伴って変化し、レンズ体の撮像方向が変化することになる。
【0011】
しかし、本発明によれば、レンズ体は、はみ出し部の背面に備えられたレンズホルダに対して回動させて撮像方向を変更することができるから、撮像方向を最適な方向に調整することができる。しかも、本発明によれば、レンズ体とレンズホルダとを所定範囲内の複数の回動位置において嵌合・離脱可能に構成しているので、車両装備物の角度調整後にレンズ体の角度を調整し、最適な方向に向けた状態にレンズ体を固定することができる。そして、一旦固定したら、凹凸部の嵌合を解除する操作をしないとレンズ体を回動させることができないから、不用意に撮像方向が変わってしまうことがない。また、運転席側に位置するはみ出し部の背面にレンズ体が位置しているから、上述の回動操作を運転席から手を伸ばして容易に実行することができる。
【0012】
ここで、装着対象をルームミラーとする場合、(4)前記本体は、前記ルームミラーの前面を覆い隠す面積を有すると共に前面にハーフミラーを備え、該ハーフミラーの背面に前記レンズ体で撮影した画像を発光表示する発光型表示装置を収容していること、という構成をも採用するとよい。
【0013】
ハーフミラーの背面に発光型表示装置を収容することにより、ルームミラーの角度調整後にレンズ体の角度を調整する際、この発光型表示装置に画像を表示し、レンズ体を回動させて変化する画像を見ながら最適な位置を選定することができるからである。なお、発光型表示装置をオフにすれば、ハーフミラー全体を後方確認様に利用することができる。
【0014】
この場合、特に、(5)前記発光型表示装置は、前記はみ出し部の前面に収容されていること、という構成をも採用するとよい。
【0015】
ルームミラーの運転席側にレンズ体及び発光型表示装置を位置させる結果、レンズ体の回動操作の際に画像を見やすくなるからである。また、はみ出し部に電子回路等の部品をまとめて収容することができ、コンパクトな設計が可能となる利点もある。
【0016】
ハーフミラーを備えてルームミラーに装着するドライブレコーダーは、さらに、(6)前記本体は、前記ルームミラーを上下から挟み付けるクランプ部材を備えていること、という構成をも採用するとよい。
【0017】
クランプ部材でルームミラーを上下から挟み付けることにより、ドライブレコーダーの重量はルームミラーで支えられることとなる。また、ルームミラーの上下の縁は十分な長さがあるから、クランプ部材を複数個左右に離して設けることも可能であり、安定した装着状態とすることができる。
【0018】
また、これら本発明のドライブレコーダーは、(7)前記レンズホルダと前記レンズ体は、球面同士が対面し、該球面に沿って前記レンズ体が回動し得る様に構成されていること、という構成をも採用するとよい。
【0019】
ある嵌合位置から別の嵌合位置へと回動させる操作は、球面に沿ったものとなり、操作をスムーズに行うことができるからである。なお、本発明では、複数の位置で嵌合・離脱可能とすることにより、このスムーズな動きでありながら、複数の角度位置を選択する操作によって撮像方向を調整することとなり、位置決めを速やかに実行することができる。
【0020】
この場合、(8)前記レンズホルダ及び前記レンズ体は、一方に、前記球面に沿って前記レンズ体を回動させる回動軸を備えると共に、他方に、前記回動軸を所定方向に移動可能な状態で支持する軸保持溝を備えていること、という構成をも採用するとよい。
【0021】
軸保持溝に沿って回動軸を移動させることにより、規制された範囲内で角度を変更することができる。この規制された範囲内での角度変更操作となることにより、調整作業においてどちらへ回動させたらどの方向に向くかが定まり、撮像方向の調整作業が容易となる。
【0022】
この場合、さらに、(9)前記凹凸部は、前記軸保持溝内の複数の位置のいずれかにおいて前記回動軸を支持した状態とする様に形成されていること、という構成をも備えるとよい。
【0023】
かかる構成をも備えることにより、軸保持溝に沿った方向への位置決めを多段階で確定することができ、当該方向への角度調整を速やかに終えることができる。
【0024】
これら回動軸を軸保持溝にて支持する構成をも備える場合、さらに、(10)前記凹凸部は、前記軸保持溝内の所定位置において前記回動軸を支持した状態で、当該回動軸を中心に前記球面状カバー体を所定角度回動させた位置で嵌合する様に形成されていること、という構成をも採用するとよい。
【0025】
かかる構成をも備えることにより、軸保持溝に対して交差する方向へも多段階の位置決めを確定することができ、当該方向への角度調整を速やかに終えることができる。なお、(9)及び(10)を備える場合、直交方向への多段階の位置決めが可能となる結果、角度調整位置を多くすることができ、例えば、左右方向に多段階、上下方向にも多段階として、左上、左下、右上、右下などへと、レンズ体を速やかに回動させることが可能となる。
【0026】
これら本発明のドライブレコーダーは、より具体的には、(11)前記レンズホルダが内面側を概略球面とする球面状ホールド部を備え、(12)前記レンズ体が外面側を概略球面とする球面状カバー体を備え、(13)前記球面状ホールド部の内面側の凹凸部と前記球面状カバー体の外面側の凹凸部の少なくとも一方が弾性変形によるクリック動作を行うことにより、互いの嵌合位置を変更可能に構成されていること、という構成をも備えるとよい。
【0027】
かかる構成を採用することにより、レンズ体はレンズホルダ内に嵌り込んだ状態となり、角度調整作業時にレンズ体が脱落するといったことを起こすことがない。そして、クリック動作での嵌合・離脱であるから、レンズ体がレンズホルダ内に嵌り込んでいても、手の感じるクリック感により、位置決め完了を容易に知ることができる。
【0028】
この場合、(13)前記球面状ホールド部は、車両前方側に、前記所定範囲内における前記複数の嵌合・離脱位置の外郭に対応する窓開口を備えていること、という構成をも備えるとよい。
【0029】
所定範囲内における複数の嵌合・離脱位置の外郭に対応する窓開口を備えることにより、レンズ体をレンズホルダ内に嵌り込ませていても、撮影不能なデッドゾーンができない様にレンズ体を回動させることができるからである。
【0030】
これらレンズ体をレンズホルダ内に嵌り込ませる様にしたドライブレコーダーにおいては、(14)前記球面状カバー体は、その球面を構成する球の中心線上で外へ突出する回動軸を備え、前記球面状ホールド部は、前記回動軸を所定方向に沿ってスライド可能な軸保持溝を備えていること、という構成をも採用するとよい。
【0031】
これらレンズ体をレンズホルダ内に嵌り込ませる様にしたドライブレコーダーにおいては、より具体的には、さらに、(14)前記球面状カバー体は、その球面を構成する球の中心線上で外へ突出する回動軸を備え、前記球面状ホールド部は、前記回動軸を所定方向に沿ってスライド可能な軸保持溝を備えていること、という構成をも採用するとよい。
【0032】
かかる構成とすることにより、球面状カバー体を射出成形で製造する場合に肉厚にしたり、分割組立形状にしたり、中子として割型を使用したりするといった必用がなく、製造が容易となるからである。
【0033】
この場合、(15)前記球面状カバー体は、球面の一部を構成し、弾性を有するレバー部を備え、該レバー部に前記レンズ体側の凹凸部が形成されていること、という構成をも採用するとよい。
【0034】
球面状カバー体は内側に位置するから、レバー部が内側に弾性変形することで凹凸部を離脱させ、弾性によって外側へと復帰することにより凹凸部を嵌合させることができ、クリック動作による嵌合・離脱を、レバー部の弾性変形を利用したものとすることができるからである。
【0035】
これらレンズ体をレンズホルダ内に嵌り込ませる様にしたドライブレコーダーにおいては、さらに具体的には、(16)前記球面状ホールド部は、前記軸保持溝内における前記回動軸の複数のスライド位置に対して前記レンズ体側の凹凸部と嵌合し得る複数のホルダ側凹凸部を備えていること、という構成をも採用するとよい。
【0036】
かかる構成を採用することにより、軸保持溝に沿ってレンズ体を回動させ、位置決めを行うことができる。
【0037】
これらレンズ体をレンズホルダ内に嵌り込ませる様にしたドライブレコーダーにおいては、さらに具体的には、(17)前記球面状ホールド部は、前記軸保持溝内の所定位置において前記回動軸を中心に前記レンズ体カバーを回動させたときの複数の回動角度に対して前記レンズ体側の凹凸部と嵌合し得る複数のホルダ側凹凸部を備えていること、という構成をも採用するとよい。
【0038】
かかる構成を採用することにより、軸保持溝に交差する方向へレンズ体を回動させ、位置決めを行うことができる。
【0039】
これら本発明のドライブレコーダーは、さらに、(18)前記本体は、前記はみ出し部の前面側に操作スイッチを備えていること、という構成をも採用するとよい。操作スイッチも運転席側に位置することとなり、ドライブレコーダー自体の操作も運転席から容易に実行できるからである。
【0040】
これら本発明のドライブレコーダーは、さらに、(19)前記本体は、前記はみ出し部の運転席側に、記憶媒体装着部を備えていること、という構成をも採用することで、とよい。記憶媒体の脱着を運転席から容易に実行することができるからである。
【0041】
これら本発明のドライブレコーダーは、さらに、(20)前記本体は、前記はみ出し部の背面側に、電源コネクタを備えていること、という構成をも採用するとよい。電源コネクタの脱着も運転席から用意に実行することができるからである。
【0042】
これら本発明のドライブレコーダーは、さらに、(21)前記本体は、前記本体の下面側にマイクを備えていること、という構成をも採用するとよい。音声の記録もできるからである。
【0043】
これら本発明のドライブレコーダーは、さらに、(22)前記レンズホルダは、その根元側に対して前記レンズ体を運転席側にずらして位置させる曲がりアームを備えていること、という構成をも採用するとよい。装着対象物からの本体のはみ出し量を抑制することができるからである。
【0044】
この場合、さらに、(23)前記曲がりアームの根元付近に、当該根元よりも運転席と反対側に位置する様に電源コネクタを備えていること、という構成をも採用するとよい。アームの根元がガードとなり、装着対象物の角度を変更したり、レンズ体の向きを変更する際に、電源コネクタに不用意に手が触れて電源コードを脱落させるといったことが生じ難くなるからである。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、専門業者による取付工事をしなくても視界の妨げとならずに適切な方向の画像を撮影可能なドライブレコーダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】実施例1のドライブレコーダーを示し、(A)は正面図、(B)は正面方向から見た斜視図、(C)は背面方向から見た斜視図、(D)はカメラユニットを撮影方向を正面とした正面図、(E)はレンズ体の向きを変更する様子を示す斜視図である。
【
図2】実施例1のドライブレコーダーの六面図である。
【
図3】実施例1のドライブレコーダーを示し、(A)は分解斜視図、(B)は上下のクランパの装着状態を説明する側面図である。
【
図4】実施例1のドライブレコーダーのカメラユニットを示し、(A)は取り付け部側から見た斜視図、(B)は分解斜視図、(C)はレンズ体の分解斜視図である。
【
図5】実施例1のドライブレコーダーのレンズカバーについて、車両前方側から見た状態を正面とする六面図である。
【
図6】実施例1のドライブレコーダーのレンズ体の回動範囲と回動時の動きとを示す説明図である。
【
図7】実施例1のドライブレコーダーの装着手順等を示す説明図である。
【
図8】実施例1のドライブレコーダーのデータ記録、データ読み出しの手順等を示す説明図である。
【
図9】実施例1のドライブレコーダーにおける動画記録モードの操作手順等を示す説明図である。
【
図10】実施例1のドライブレコーダーにおける動画記録モードにおける設定変更の操作手順等を示す説明図である。
【
図11】実施例1のドライブレコーダーにおけるシステム設定変更の操作手順等を示す説明図である。
【
図12】実施例1のドライブレコーダーにおける静止画記録モードの操作手順等を示す説明図である。
【
図13】実施例1のドライブレコーダーにおける再生モードの操作手順等を示す説明図である。
【
図14】実施例1のドライブレコーダーにおける再生モードの設定変更並びに、SDカードのフォーマットの操作手順等を示す説明図である。
【
図15】実施例1のドライブレコーダーにおけるレンズへの光入射角の調整範囲を示す説明図である。
【
図16】複数の異なる車種の車両に設置された同種のルームミラーのうち対応可能な最大のサイズのルームミラーに装着した場合のドライブレコーダーのルームミラーへの装着状態を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態として、ルームミラーに装着して用いるドライブレコーダーを実施例として説明する。
【実施例0048】
実施例1は、右ハンドル車のルームミラーに装着して用いるのに適するドライブレコーダーである。ドライブレコーダー1は、
図1~
図3に示す様に、車室内から見た正面のほぼ全体をハーフミラー11とされ、正面右端側に操作ボタン12を備え、この操作ボタン12の直近左側のハーフミラー背面に2.5インチフルカラーTFT液晶ディスプレイ13を収容した本体ケース20を備えている。操作ボタン12の一番上12aは電源ボタンであり、裏側には緑色と赤色のLEDが設置されていて、電源オンのときに緑色LEDを、録画時に赤色LEDを点灯する様に構成されている。
【0049】
本体ケース20の背面側には、運転席側となる左端にカメラユニット30が車両前方にレンズを向けた状態となる様に取り付けられている。カメラユニット30の直下にはスピーカーの放音孔41が備えられ、その内側下辺りにDCジャック42が備えられている。また、本体ケース20の中央下面にはマイクの集音孔43が備えられると共に、幅方向中心に対して左右ほぼ対称となる位置の背面上下に、上クランパ51,51と下クランパ52,52が上下対面する様に備えられている。さらに、本体ケース20の運転席側側面にはマイクロSDカード挿入口45が備えられている。
【0050】
本体ケース20は、
図3に示す様に、背面側に位置するボトムケース21と、このボトムケース21の前面に裏側からネジ止め固定されるトップケース22とから構成されている。ボトムケース21とトップケース22の間には、プリント配線基板14が収容される。このプリント配線基板14の前面側には、前述の操作ボタン12及び2.5インチフルカラーTFT液晶ディスプレイ13が設置され、背面側にはSDスロット16、スピーカ17等が設置されている。
なお、プリント配線基板14の背面側には、マイコン回路も備えられている。このマイコン回路がカメラの映像信号を処理する処理部、液晶ディスプレイ13がカメラの映像信号を表示する表示部、SDスロット16がカメラの映像信号の記録部、操作ボタン12がカメラの映像信号の制御指示を入力する入力部となり、本実施例ではプリント配線基板14に、これら「処理部」、「表示部」、「記録部」、「入力部」が備えられている。
【0051】
トップケース22の右端部分には、操作ボタン12を露出させる開口が備えられると共にボタンカバー23が装着され、このボタンカバー23の前面に各操作ボタンの機能を印刷すると共にLEDの明かりを透過させる透明部を有する表示フィルム18が貼り付けられる。トップケース22のボタンカバー23よりも左側の領域の前面側にハーフミラー11が貼り付けられる。トップケース22には、このハーフミラー11が貼り付けられる領域の右端部分の液晶ディスプレイ13正面に当たる部分に表示窓22aが設けられている。
【0052】
ボトムケース21の右端(運転席側)には、プリント配線基板14とカメラユニット30とを接続するケーブルを通すための開口21aが形成されると共に、当該開口21aの右側側面に前述のSDカード挿入口45を構成する凸部21bが形成されている。また、背面カバー21の左側には通気孔21cが備えられている。
【0053】
ボトムケース21の左右から約1/4辺りの位置には、背面下部に後方へ突出する下裏突起21dが形成されると共に、その上方の位置の背面上部へと突起部分24aを突出させる様に逆L型金具24が前面側から取り付けられる。この逆L型金具24は、ボトムカバー21の前面下部に形成されたフック21eとの間をコイルバネ25で連結され、下方に付勢した状態で取り付けられる。これら逆L型金具24の突起部分24a及びボトムケース21の下裏突起21dには、それぞれ、前述の上クランパ51及び下クランパ52を構成するラバー体が装着される。
【0054】
本体ケース20内には、これらの他に、クッション部材26,27が収容される共に、下部中央にマイク18も収容される。
【0055】
カメラユニット30は、
図4に示す様に、レンズ体60と、このレンズ体60を回動可能に保持するレンズホルダ70とから構成される。
【0056】
レンズ体60は、半球状のレンズカバー61の内部にカメラ本体62を収納し、プリント配線基板63をレンズカバー61の開口側を塞ぐ様に取り付けた組立体となっている。
【0057】
レンズカバー61には、
図4,
図5に示す様に、球の中心を通る回動軸64L,64Rが外へ突出する様に形成されている。そして、これら左右の回動軸64L,64Rのそれぞれの下方には、半球体の開口側から前方へ向かう二条の切り込みにより形成されたレバー部65L,65Rが備えられている。これら左右のレバー部65L,65Rの外面には、半球状凸部66L,66Rが備えられている。なお、このレンズカバー61は、合成樹脂射出成形体として製造され、レバー部65L,65Rは押圧力によって弾性変形する。なお、レンズカバー61の前端には、円形リング状のレンズ枠67が前方へと突出形成されている。
【0058】
レンズホルダ70は、
図4に示す様に、半割とされたレフト部材71とライト部材72とを組み立てたときに、車両前方側に球状のホールド部73を、本体ケース20側に取り付けアーム部74を形成する様に構成されている。レフト部材71とライト部材72は、組み立てたときにアーム部74が根元側に対してホールド部73を運転席側にずれた位置に支持する曲がりアームとされている。
【0059】
レフト部材71、ライト部材72のホールド部73L,73Rの内面側の上下方向中央部には、所定範囲に渡るスライド溝75L,75Rが所定深さで外へ飛び出す様に形成されている。また、このスライド溝75L,75Rの下方の内面には、6個の半球状凹入部76L,76Rが外へ飛び出す様に形成されている。この6個の半球状凹入部76L,76Rは、スライド溝75L,75Rとの距離が若干変化させられていて、ジグザグ状に並んでいる。これらレフト部材71、ライト部材72も合成樹脂射出成形によって製造されている。
【0060】
また、レフト部材71、ライト部材72のホールド部73L,73Rの前端には、組み立てたときに
図1(D)に示す様なコーナーRを有する横長矩形状のレンズ窓77を形成する様に、切欠部77L,77Rが備えられている。なお、レフト部材71、ライト部材72のアーム部74L,74Rの根元側には、組み立てたときにレンズ体60側のコネクタブロック68に接続するケーブルを挿通させる挿通口78を形成する様に、切欠部78L,78Rが備えられている。また、レフト部材71のホールド部根元付近には内側へ窪ませた円形の窪み79が形成されている。この窪み79は、装着時のルームミラーとの干渉を避けるのに役立つ。
ここで、プリント配線基板14とカメラユニット30とを接続するケーブルは、挿通口78からカメラ本体30内に挿入され、カメラ本体62側のプリント配線基板63のコネクタブロック68に接続される。カメラユニット30の取付位置側にプリント配線基板14を配置していることで、ノイズを抑えることができる。
【0061】
レンズカバー61の外面の径は、レンズホルダ70のホールド部73の内面径よりも若干小さく形成され、組み付けられた状態において、レンズカバー61をホールド部73の内側で回動させることができる。このとき、レンズカバー61は、その回動軸64L,64Rが、ホールド部73のスライド溝75L,75Rに嵌り込む様に組み付けられる。また、このとき、レンズカバー61のレンズ枠67は、ホールド部73のレンズ窓77に嵌り込む。そして、レバー部65L,65Rの外面の凸部66L,66Rは、ホールド部73の内面の6個の凹入部76L,76Rの一つと嵌合する。なお、組立初期位置は、
図1(D)に示した様に、レンズ枠67がレンズ窓77の中央に位置する状態とし、このとき、回動軸64L,64Rはスライド溝75L,75Rの長さ中心に位置する。また、レンズカバー61側の凸部66L,66Rは、6個の凹入部76L,76Rの内の前方から3つ目と嵌合する。
【0062】
レンズカバー61は、左右方向に回動させることにより、回動軸64L,64Rがスライド溝75L,75Rの端から端まで移動する。また、レンズカバー61は、回動軸64L,64Rを中心として上下方向にもが回動する。これらの動作により、本実施例では、
図1(E)に示したP1~P6の6位置のいずれかにおいてレンズ枠67を固定した状態を実現することができる、
【0063】
このP1~P6の6位置での固定を実現するときのレンズカバー61の回動動作の様子を
図6に示す。ホールド部73の6個の凹入部76L,76Rの内の前端から3個目にレンズカバー61側の凸部66L,66Rが嵌合した状態において、レンズ枠67をレンズ窓77の中央上とするP1位置が実現される。
【0064】
初期位置P1からレンズカバー61を運転席側に回動させると、レフト部材71の6個の凹入部76Lの内の1番前にレンズカバー61の左側の凸部66Lが嵌合すると共に、ライト部材72の6個の凹入部76Rの内の後ろから2つ目にレンズカバー61の右側の凸部66Rが嵌合し、レンズ枠67をレンズ窓77の左上とするP2位置が実現される。
【0065】
初期位置P1からレンズカバー61を運転席から離れる方向に回動させると、レフト部材71の6個の凹入部76Lの内の後ろから2つ目にレンズカバー61の左側の凸部66Lが嵌合すると共に、ライト部材72の6個の凹入部76Rの内の1番前にレンズカバー61の右側の凸部66Rが嵌合し、レンズ枠67をレンズ窓77の右上とするP3位置が実現される。
【0066】
初期位置P1からレンズカバー61を下方に回動させると、6個の凹入部76L,76Rの内の前端から4個目にレンズカバー61側の凸部66L,66Rが嵌合した状態となり、レンズ枠67をレンズ窓77の中央下とするP4位置が実現される。
【0067】
左上位置P2からレンズカバー61を下方に回動させると、レフト部材71の6個の凹入部76Lの内の前から2つ目にレンズカバー61の左側の凸部66Lが嵌合すると共に、ライト部材72の6個の凹入部76Rの内の一番後ろにレンズカバー61の右側の凸部66Rが嵌合し、レンズ枠67をレンズ窓77の左上とするP5位置が実現される。
【0068】
右上位置P3からレンズカバー61を下方に回動させると、レフト部材71の6個の凹入部76Lの内の一番後ろにレンズカバー61の左側の凸部66Lが嵌合すると共に、ライト部材72の6個の凹入部76Rの内の前から2つ目にレンズカバー61の右側の凸部66Rが嵌合し、レンズ枠67をレンズ窓77の左上とするP6位置が実現される。
【0069】
次に、実施例1のドライブレコーダー1の装着手順を、
図7に基づいて説明する。まず、ルームミラー81の上縁に上クランパ51を当てて本体を下方向に少し引きつつ前方へと回動させる。このとき、上クランパ51を下方に付勢しているコイルバネ25が伸び、下クランパ52をルームミラー81の下側へと容易に位置させることができる。そして、本体を下へ引いていた力を抜いてやれば、コイルバネ25が縮み、上クランパ51と下クランパ52で上下からルームミラー81を挟み付ける様にしてドライブレコーダー1が装着される。なお、上下のクランパ51,52はラバー体で形成されているので、ラバー体の弾性変形も作用し、しっかりかつソフトにルームミラー81を上下から挟み付けた状態となる。
【0070】
なお、ドライブレコーダー1を装着する際には、本体の中心をルームミラー81の中心と合わせる様にする。ドライブレコーダー1の幅は、ルームミラー81の幅よりも長く、カメラユニット25がルームミラー81の運転席側にはみ出した位置になる様な幅とされている。また、運転席の反対側のはみ出し量も同じ程度とされ、通気孔21cもルームミラー81の運転席と反対側のはみ出し部分に位置する装着状態となる。
【0071】
この結果、ルームミラー81は前面を覆い隠されることとなるが、ドライブレコーダー1の前面はハーフミラー11で構成されているから、このハーフミラー11がルームミラー81が果たすべき後方確認用のミラーとして機能する。そこで、このハーフミラー11による後方確認が適切となる様に、ドライブレコーダー1の向きを調整する。この向きの調整は、ルームミラー81が向き調整可能な機構を有していることを利用して実行される。
【0072】
なお、電源は、シガーライターソケット82に電源コード83の一端を接続し、他端をDCジャック42に接続して確保する。
【0073】
こうして電源が確保できたら、操作ボタン12を操作してドライブレコーダー1を録画モードとする。すると、ハーフミラー11の背面に収容されている液晶ディスプレイ13にカメラで撮影している画像が表示され、ハーフミラー11を透過して運転席でこれを見ることができる状態となる。このとき見えている画像が、ドライブレコーダー1で記録すべき方向の画像でないとき、前述の様にレンズカバー61を左右方向及び上下方向に回動させてP1~P6の内で一番適切な位置へとカメラの向きを調整する。
【0074】
以上の様にして、ドライブレコーダー1は、運転者の視界を妨げることなく、最適な撮影方向にカメラを向けた状態に設置することができる。
【0075】
本実施例のドライブレコーダー1は、
図8(A)に示す様に、SDカード挿入口45にマイクロSDカード84を挿入し、撮影したデータをマイクロSDカード84に記録する。こうして記録したデータは、マイクロSDカード84を取り出し、コンピュータ85に接続したリーダーライター86に装着することにより、コンピュータ85にて読み出すことができる。
【0076】
実施例のドライブレコーダー1は、エンジン始動からエンジン停止までの映像をマイクロSDカード84に常時録画する構成となっている。その録画方法は、
図8(B)に示す様に、設定により最大15分を1ファイルとするファイルに分割されつつ記録され、記録時間がカード容量を越える場合は、古いファイルから順に、ファイル単位で上書きされる構成となっている。
【0077】
実施例のドライブレコーダー1は、
図8(C)に示す様に、常時録画中に「REC」ボタンを押すことで、設定されたファイル単位の映像をマイクロSDカードの「SWEVT」フォルダに、上書き禁止ファイルとして移動する「ワンタッチ録画」も実行可能な構成となっている。
【0078】
実施例のドライブレコーダー1は、「動画記録モード」を選択することにより、ビデオカメラのように連続して動画を記録することができる構成となっている。動画記録モードにおいては、
図9(A)に示す様に、[1]動画記録モードアイコン、[2]ファイル分割時間、[3]ファインダー、[4]ズーム倍率、[5]日付、[6]時刻、[7]記録時間/記録可能時間、[8]解像度、[9]ファイルプロテクトアイコン、[10]マイクロSDアイコン、[11]記録マーク、が液晶ディスプレイ13に表示される(図中の丸数字参照。)。
【0079】
ここで、[7]記録時間/記録可能時間は、記録時には現在の映像の記録時間を、記録停止時には現在の設定での記録可能時間を表示するものである。また、[9]ファイルプロテクトアイコンは、前述したワンタッチ録画されたファイルに表示される。[10]マイクロSDアイコンはマイクロSDカードが挿入されていることを意味し、[11]記録マークは、動画記録中に点滅表示される。
【0080】
この動画記録モードにおいて映像を記録する場合、電源がオンになっていることを確認した上で、
図9(B)に示す様に、「MODE OK」ボタンを押して動画記録モードに変更し、「REC」ボタンを押して動画記録を開始する。なお、動画記録中のファインダーを消すこともでき、その場合は、動画記録中のファインダーが表示されているときに、「MODE OK」ボタンを押すこととしている。
【0081】
次に、動画記録モードにおける設定の変更について説明する。
図10(A)に示す様に、「MENU」ボタンを押して動画記録を停止し、「MODE OK」ボタンを押して動画記録モードを選択し、「MENU」ボタンを押して動画記録モードの設定メニューを表示する。設定メニューは、
図10(B)に示す画面となる。
【0082】
「解像度」は、1080P(1920×1082)、1080P(1440×1080)、720P(1280×720)、VGA(640×480)、QVGA(320×240)の中から解像度を選択することができる。初期設定は、720Pである。
【0083】
「録画ファイル構成」は、5分単位、10分単位、15分単位の中から、動画ファイルを設定した長さで分割保持する時間を選択することができる。初期設定は、5分単位である。
【0084】
「音声録画」、オフ、オンを切り換えることができる。初期設定はオンである。「常時録画上書き」も、オフ、オンを切り換えることができる。上書きオンの設定においてマイクロSDカードの容量が不足しているときは、前述の様に、古いファイルを1ファイル単位で消去して新しいファイルを保存する動作が実行される。初期設定はオンである。
【0085】
なお、設定項目の選択には、「∧ VOL+」「∨ VOL-」ボタンを使用する。これらのボタンは、値の増加、減少にも用いる。設定項目を決定するには、「MODE OK」ボタンを押す。「MENU」ボタンを押すことにより、設定画面から抜けて設定画面の前のモード(例えば、動画録画モード)へと戻る。
【0086】
次に、システム設定についての設定の変更について説明する。
図11(A)に示す様に、「MENU」ボタンを押して動画記録を停止し、「MODE OK」ボタンを押して動画記録モードを選択し、「MENU」ボタンを押して動画記録モードの設定メニューを表示し、もう一度「MODE OK」ボタンを押してシステム設定メニューを表示する。システム設定メニューは、
図11(B)に示す画面となる。
【0087】
システム設定メニューには、「日/時刻」、「操作音」、「フリッカレス機能」、「デフォルト設定」、「バージョン」があり、動画記録モードの設定変更の際と同じく、「∧ VOL+」「∨ VOL-」ボタン、「MODE OK」ボタンを用いて所望の項目を選択して設定を変更する。なお、「操作音」は初期設定オンであり、オフに切り換えることができる。また、フリッカレス機能は、使用している地域の商用周波数に合わせるためのもので、東日本:50Hz,西日本:60Hzの選択が可能となっている。初期設定は、60Hzである。
【0088】
「日/時刻」の設定においては、
図11(C)に示す画面において、「∧ VOL+」「∨ VOL-」ボタン、「MODE OK」ボタンを用いて、変更したい項目及び数値の増減を行う。
【0089】
実施例のドライブレコーダー1は、前述の「動画記録モード」の他に、「静止画記録モード」を選択することもできる構成となっている。「静止画記録モード」を選択することにより、デジタルカメラのように静止画を撮影することができる。
【0090】
静止画記録モードにおいては、
図12(A)に示す様に、[1]静止画記録モードアイコン、[2]ファインダー、[3]ズーム倍率、[4]撮影可能枚数、[5]マイクロSDアイコン、が液晶ディスプレイ13に表示される(図中の丸数字参照。)。
【0091】
ここで、[4]撮影可能枚数は、残りのマイクロSDカードの容量で圧英可能な静止画枚数を表示するものである。[3]ズーム倍率は、1.0倍~4.0倍の範囲となっており、「∧ VOL+」「∨ VOL-」ボタンで増減することができる。なお、電源オフや他のモードへの変更によって1.0倍に戻る構成となっている。
【0092】
この静止画記録モードにおいて静止画を記録する場合、電源がオンになっていることを確認した上で、
図12(B)に示す様に、動画記録中のときは「MENU」ボタンを押して動画記録を停止し、「MODE OK」ボタンを押して静止画記録モードに変更し、「REC」ボタンを押して静止画記録を開始する。本実施例では、静止画の解像度は、2592×1944の固定としている。
【0093】
次に、記録ファイルの再生について説明する。
図13(A)に示す様に、「MENU」ボタンを押して動画記録を停止し、「MODE OK」ボタンを押して再生モードに変更する。その後、「∧ VOL+」「∨ VOL-」ボタンで記録ファイルを選び、「RE
C」ボタンを押して再生する。動画再生画面は、
図13(B)に示す画面となる。静止画再生画面は、
図13(C)に示す画面となる。
【0094】
動画再生画面には、
図13(B)に示す様に、[1]動画アイコン、[2]記録映像、[3]動画再生操作アイコン、[4]ファイル番号、[5]ファイル解像度、[6]記録日付、[7]記録時刻、[8]ファイルプロテクトアイコン、が液晶ディスプレイ13に表示される(図中の丸数字参照。)。
【0095】
静止画再生画面には、
図13(C)に示す様に、[1]静止画アイコン、[2]記録画像、[3]操作アイコン、[4]ファイル番号、[5]ファイル解像度、[6]記録日付、[7]記録時刻、[9]記録日時、が液晶ディスプレイ13に表示される(図中の丸数字参照。)。なお、[9]記録日時は、記録ファイルに書き込まれた記録日時である。
【0096】
次に、再生モードの設定の変更について説明する。
図14(A)に示す様に、「MENU」ボタンを押して動画記録を停止し、「MODE OK」ボタンを押して再生モードを選択する。もう一度「MENU」ボタンを押して、再生モードの設定メニューを表示する。再生モードの設定メニューは、
図14(B)に示す画面となる。
【0097】
再生モードにおける設定項目は、「音量」、「消去」、「フォーマット」となっている。「音量」は、記録ファイルの再生音量や、操作音、起動音の設定をするものであり、オフ、1~8の中から設定することができる。初期設定は、6としている。「消去」は、記録ファイルの削除をするものであり、現在のファイル削除の他に全ファイル消去も選択することができる。なお、上書き禁止ファイルは消去できない。「フォーマット」は、マイクロSDカードの初期化である。「フォーマット」を実行すると、上書き禁止ファイルも消去される。
【0098】
マイクロSDカードを初期化する場合、「∧ VOL+」「∨ VOL-」ボタンを操作して、
図14(C)に示す様に「フォーマット」を選択した上で「MODE OK」ボタンを押す。すると、
図14(D)に示す様に、フォーマット画面に切り替わる。この画面で、「SDカード」を選択して「MODE OK」ボタンを押すと、
図14(E)に示す様に、確認メッセージの画面に切り替わる。「∨ VOL-」ボタンを操作して、「確認」を選択した上で「MODE OK」ボタンを押すことにより、初めて、フォーマットが開始される。
【0099】
以上説明した様に、本実施例によれば、特に、
図15に示す様に、カメラレンズへの光入射角を左へ20°、右へ20°、下へ10°変更することができる。これにより、ルームミラーに取り付け、ルームミラーの角度を調整した後に、さらに、カメラレンズの向きを変更することにより、最適な撮影方向を設定することができる。
【0100】
しかも、この作業は、運転席側で実施できるから、ルームミラーの調整に引き続き運転者が容易に実行することができる。そして、任意に角度が変わるのではなく、P1~P6の中から選択する形で角度調整を行うので、角度調整作業を迅速かつ容易に実行することができる。このとき、レンズ体がしっかりと固定されたことは、クリック動作を感じることによって運転者は容易に理解する。
【0101】
また、ハーフミラーの背後の液晶ディスプレイに画像を表示させながら、レンズの向きを調整できるので、確実な作業を行うことができると共に、液晶ディスプレイも運転席側であるから、手元を見たりしながら画面を見ることができる。
【0102】
以上、発明を実施するための実施例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
1・・・ドライブレコーダー、11・・・ハーフミラー、12・・・操作ボタン、13・・・液晶ディスプレイ、17・・・スピーカ、18・・・マイク、20・・・本体ケー
ス、21・・・ボトムケース、21d・・・下裏突起、22・・・トップケース、22a・・・表示窓、24・・・逆L型金具、24a・・・突起部分、25・・・コイルバネ、30・・・カメラユニット、42・・・DCジャック、45・・・SDカード挿入口、51・・・上クランパ、52・・・下クランパ、60・・・レンズ体、61・・・レンズカバー、62・・・カメラ本体、63・・・プリント配線基板、64L,64R・・・回動軸、65L,65R・・・レバー部、66L,66R・・・半球状凸部、67・・・レンズ枠、70・・・レンズホルダ、71・・・レフト部材、72・・・ライト部材、73・・・ホールド部、74・・・取り付けアーム部、75L,75R・・・スライド溝、76L,76R・・・半球状凹入部、77・・・レンズ窓、81・・・ルームミラー、82・・・シガーライターソケット、83・・・電源コード、84・・・マイクロSDカード、85・・・コンピュータ、86・・・リーダーライター。