(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095733
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】試料の品質評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240703BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20240703BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALN20240703BHJP
【FI】
G01N33/53 D
C12Q1/68 100Z
C12Q1/6837
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059897
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2021523800の分割
【原出願日】2019-10-28
(31)【優先権主張番号】62/752,947
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】505373306
【氏名又は名称】ソマロジック オペレーティング カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジーチ,ドミニク アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ウェスタコット,マシュー ジョエル
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ79
4B063QR31
4B063QS33
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】本発明は、品質が改良された生物学的試料の取得方法を提供することを課題とする。
【解決手段】品質が改良された生物学的試料の取得方法を提供することや、試料の採取、取り扱い、及び処理の変動に起因して変化する、生物学的試料中のマーカーまたはタンパク質を識別することを見出した。また、疾患バイオマーカーの測定結果の変化の補正にも有用であり、試料の採取方法が所定のプロトコルに準拠していなかったと判定された場合には、当該の試料または試料の群を排除することが可能になることも見出した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料取り扱い及び/又は試料処理を評価するための方法であって、
a)ヒト対象由来の試料中のIHHタンパク質のレベル、ならびにPGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、DDX39B、S100A12、SHH、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質のレベルを測定することであって、前記試料が、血液、血漿、または血清から選択されるものである測定することと、
b)前記IHHのレベル及び前記少なくとも1種のタンパク質の前記レベルに基づいて、前記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
前記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、前記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
【請求項2】
前記測定することが、質量分析法、アプタマーに基づくアッセイ、及び/または抗体に基づくアッセイを使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
IHH及びPGAM2、IHH及びC4A・C4B、IHH及びPTPN4、IHH及びTNFSF14、IHH及びPGAM1、IHH及びFAM49B、IHH及びRBP7、IHH及びDDX39B、IHH及びS100A12、IHH及びIL21R、IHH及びTMEM9、またはIHH及びADAM9を測定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
IHH、PGAM1、及びPGAM2;IHH、PGAM1、及びC4A・C4B;IHH、PGAM1、及びPTPN4;IHH、PGAM1、及びTNSF14;IHH,PGAM1、及びFAM49B;IHH、PGAM1、及びRBP7;IHH、PGAM1、及びDDX39B;IHH、PGAM1、及びS100A12;IHH、PGAM1、及びIL21R;IHH、PGAM1、及びTMEM9;IHH、PGAM1、及びADAM9;IHH、PGAM2、及びC4A・C4B;IHH、PGAM2、及びPTPN4;IHH、PGAM2、及びTNSF14;IHH、PGAM2、及びFAM49B;IHH、PGAM2、及びRBP7;IHH、PGAM2、及びDDX39B;IHH、PGAM2、及びS100A12;IHH、PGAM2、及びIL21R;IHH、PGAM2、及びTMEM9;IHH、PGAM2、及びADAM9;IHH、C4A・C4B、及びPTPN4;IHH、C4A・C4B、及びTNSF14;IHH、C4A・C4B、及びFAM49B;IHH、C4A・C4B、及びRBP7;IHH、C4A・C4B、及びDDX39B;IHH、C4A・C4B、及びS100A12;IHH、C4A・C4B、及びIL21R;IHH、C4A・C4B、及びTMEM9;IHH、C4A・C4B、及びADAM9;IHH、PTPN4、及びTNFSF14;IHH、PTPN4、及びFAM49B;IHH、PTPN4、及びRBP7;IHH、PTPN4、及びDDX39B;IHH、PTPN4、及びS100A12;IHH、PTPN4、及びIL21R;IHH、PTPN4、及びTMEM9;IHH、PTPN4、及びADAM9;IHH、TNFSF14、及びFAM49B;IHH、TNFSF14、及びRBP7;IHH、TNFSF14、及びDDX39B;IHH、TNFSF14、及びS100A12;IHH、TNFSF14、及びIL21R;IHH、TNFSF14、及びTMEM9;IHH、TNFSF14、及びADAM9;IHH、FAM49B、及びRBP7;IHH、FAM49B、及びDDX39B;IHH、FAM49B、及びSA100A12;IHH、FAM49B、及びIL21R;IHH、FAM49B、及びTMEM9;IHH、FAM49B、及びADAM9;IHH、RBP7、及びDDX39B;IHH、RBP7、及びS100A12;IHH、RBP7、及びIL21R;IHH、RBP7、及びTMEM9;IHH、RBP7、及びADAM9;IHH、DDX39B、及びS100A12;IHH、DDX39B、及びIL21R;IHH、DDX39B、及びTMEM9;IHH、DDX39B、及びADAM9;IHH、S100A12、及びIL21R;IHH、S100A12、及びTMEM9;IHH、S100A12、及びADAM9;IHH、IL21R、及びTMEM9;IHH、IL21R、及びADAM9;またはIHH、TMEM9、及びADAM9を測定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
IHH及びPGAM1、ならびにRBP7、TNFSF14、PTPN4、DDX39B、FAM49B、S100A12、SHH、PGAM2、C4A・C4B、IL21R、TMEM9、及びADAM9から選択される少なくとも2種のタンパク質を測定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
IHH及びRBP7、ならびにSHH、TNFSF14、PTPN4、DDX39B、FAM49B、S100A12、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、IL21R、TMEM9、及びADAM9から選択される少なくとも2種のタンパク質を測定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記タンパク質のレベルが、前記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または前記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
試料取り扱い及び/又は試料処理を評価するためにタンパク質のレベルを測定する方法であって、
a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、IHH、ならびにPGAM1、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、SHH、DDX39B、S100A12、ADAM9、PGAM2、C4A・C4B、IL21R、及びTMEM9からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質を含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)前記一連の捕捉試薬に基づいて、前記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することであって、前記試料が、血液、血漿、または血清から選択されるものである測定することと
を含む方法。
【請求項10】
前記一連の捕捉試薬が、アプタマー、抗体、及びアプタマーと抗体との組み合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
IHH及びPGAM2、IHH及びC4A・C4B、IHH及びPTPN4、IHH及びTNFSF14、IHH及びPGAM1、IHH及びFAM49B、IHH及びRBP7、IHH及びDDX39B、IHH及びS100A12、IHH及びIL21R、IHH及びTMEM9、またはIHH及びADAM9を測定することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
IHH、PGAM1、及びPGAM2;IHH、PGAM1、及びC4A・C4B;I
HH、PGAM1、及びPTPN4;IHH、PGAM1、及びTNSF14;IHH,PGAM1、及びFAM49B;IHH、PGAM1、及びRBP7;IHH、PGAM1、及びDDX39B;IHH、PGAM1、及びS100A12;IHH、PGAM1、及びIL21R;IHH、PGAM1、及びTMEM9;IHH、PGAM1、及びADAM9;IHH、PGAM2、及びC4A・C4B;IHH、PGAM2、及びPTPN4;IHH、PGAM2、及びTNSF14;IHH、PGAM2、及びFAM49B;IHH、PGAM2、及びRBP7;IHH、PGAM2、及びDDX39B;IHH、PGAM2、及びS100A12;IHH、PGAM2、及びIL21R;IHH、PGAM2、及びTMEM9;IHH、PGAM2、及びADAM9;IHH、C4A・C4B、及びPTPN4;IHH、C4A・C4B、及びTNSF14;IHH、C4A・C4B、及びFAM49B;IHH、C4A・C4B、及びRBP7;IHH、C4A・C4B、及びDDX39B;IHH、C4A・C4B、及びS100A12;IHH、C4A・C4B、及びIL21R;IHH、C4A・C4B、及びTMEM9;IHH、C4A・C4B、及びADAM9;IHH、PTPN4、及びTNFSF14;IHH、PTPN4、及びFAM49B;IHH、PTPN4、及びRBP7;IHH、PTPN4、及びDDX39B;IHH、PTPN4、及びS100A12;IHH、PTPN4、及びIL21R;IHH、PTPN4、及びTMEM9;IHH、PTPN4、及びADAM9;IHH、TNFSF14、及びFAM49B;IHH、TNFSF14、及びRBP7;IHH、TNFSF14、及びDDX39B;IHH、TNFSF14、及びS100A12;IHH、TNFSF14、及びIL21R;IHH、TNFSF14、及びTMEM9;IHH、TNFSF14、及びADAM9;IHH、FAM49B、及びRBP7;IHH、FAM49B、及びDDX39B;IHH、FAM49B、及びSA100A12;IHH、FAM49B、及びIL21R;IHH、FAM49B、及びTMEM9;IHH、FAM49B、及びADAM9;IHH、RBP7、及びDDX39B;IHH、RBP7、及びS100A12;IHH、RBP7、及びIL21R;IHH、RBP7、及びTMEM9;IHH、RBP7、及びADAM9;IHH、DDX39B、及びS100A12;IHH、DDX39B、及びIL21R;IHH、DDX39B、及びTMEM9;IHH、DDX39B、及びADAM9;IHH、S100A12、及びIL21R;IHH、S100A12、及びTMEM9;IHH、S100A12、及びADAM9;IHH、IL21R、及びTMEM9;IHH、IL21R、及びADAM9;またはIHH、TMEM9、及びADAM9を測定することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
IHH及びPGAM1、ならびにRBP7、TNFSF14、PTPN4、DDX39B、FAM49B、S100A12、SHH、PGAM2、C4A・C4B、IL21R、TMEM9、及びADAM9から選択される少なくとも2種のタンパク質を測定することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項14】
IHH及びRBP7、ならびにSHH、TNFSF14、PTPN4、DDX39B、FAM49B、S100A12、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、IL21R、TMEM9及びADAM9から選択される少なくとも2種のタンパク質を測定することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項15】
前記タンパク質のレベルが、前記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、請求項9~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または前記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
医療における診断及び医薬品開発の分野では、特定の疾病及び疾患に関連する可能性のある変化を測定及び理解するために、個体由来の血液試料ならびに他の生物学的試料間の比較が行われる。例えば、バイオマーカーによって、特定の薬物に反応することができるか、がんなどの疾患が存在するかが示される場合、または治療に対する反応もしくは臓器機能の変化などのプロセスが監視される場合がある。信頼性が高く安定していることが確証されれば、かかるバイオマーカーの測定値が臨床で使用される可能性がある。
【0002】
バイオマーカーとして見い出されるため、さらには臨床上有用なものに到達するために必要な、理想的なバイオマーカーの測定値にとっての重要な特性としては、信頼性及び安定性が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
血液には、傷害または外来性且つ感染性の因子に反応するための強力な細胞性及び体液性システムが含まれる。小規模な曝露によって自然免疫系(補体系及びマクロファージなどの細胞)が誘発され、強力なシグナル及び酵素が放出されて、血小板が活性化され、血液の凝固がトリガーされる場合がある。これらのシグナルは体内のプロセスに関連していることから、防御及び修復システムに直接関与し、疾患に関するマーカーとして機能する可能性があるために興味深い。ただし、かかるプロセスシグナルは、血液試料の調製の影響にも敏感である。単に血管から針を介して採血する、または血液を空気に曝露するだけで、これらの機序が意図せずに活性化される可能性がある。例えば、試料処理ステップの時間、遠心分離速度、または温度を変えることにより、血清または血漿の見かけの組成が変化し、採取及び処理の間に試料に与えられる分析前の変動性によって生理学的情報が隠されてしまう可能性がある。試料取り扱いの微妙な変化に対するこれらのプロセス及びタンパク質の強い感受性により、付随する安定性の欠如に起因して、バイオマーカーとしてのそれらの使用が損なわれる可能性がある。
【0004】
現在、多変量解析を用いた生物学の研究努力において、分析前の試料の変化(「バッチ効果」と呼ばれることも多い)に強い関心が示されている。現在、試料の品質を判断できる範囲は、主として、赤血球の溶解を示す赤色及び高い脂質または他の汚染物質を示す曇りなどの、視覚的に明らかな変化に限定される。これにより、最も影響を受け難く最も安定したタンパク質測定を除くすべての測定に対して、臨床医は限定的な信頼しかもつことができない。Ostroff, R. et al. (2010) J. Proteomics 73:649-666に、血清及び血漿調製物における変化の、いくつかの複雑で非線形の影響を実証した研究が報告されている。該文献では、試料調製プロトコルの変動によって影響を受ける特定の一連のタンパク質の測定値の非線形の(対数的な)変化に基づいた、試料調製プロトコルの遵守を判定する特定の技法が提案されている。これらの方法から導出されたメトリックを使用して、プロトコルの遵守の監視、試料の排除、及び目的の分析対象物の補正を行うことができる。これらの技法は、バイオマーカーの研究、臨床診断用途、バイオバンク試料の品質監視、及び医薬開発において使用されるヒトまたは動物の血液試料の品質の評価に有用である。尿、脳脊髄液、痰、または組織を含む多くの他の試料の種類に関して試料の完全性を評価するために、同様の手法を開発することができる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載するように、バイオマーカー探索及び臨床上有用なものに到達するために必要な、理想的なバイオマーカーの測定値にとっての重要な特性としては、信頼性及び
安定性が挙げられる。バイオマーカーの信頼性とは、健康または疾患の根底にある生物学を捉えることにおいて、当該バイオマーカーの信号が事実に即している(すなわち、「偽陽性」のマーカーではない)ことを意味する。バイオマーカーの安定性とは、当該バイオマーカーが、罹患した個体において罹患していない個体と比較して差示的に発現されることを指す。真の疾患バイオマーカーを見い出す確率を高め、試料のバイアスに起因する偽陽性の識別の変化を低減するためには、試料の品質及び一貫性を測定する方法が不可欠である。
【0006】
血漿試料中のタンパク質分析対象物の測定値は、当該試料を採取する及び取り扱うのに使用されるプロトコルによって顕著に影響を受ける可能性がある。指定された試料の採取及び/または取り扱いのプロトコルから逸脱することにより、試料内のタンパク質レベルが変化する、または陰性対照を含む多くの分析対象物のシグナルの変化を生じさせる、測定値に対する他の体系的な影響をきたす可能性がある。かかる逸脱は、タンパク質分析対象物の測定に使用されるアッセイの種類を問わず起こる可能性がある。
【0007】
一連の臨床試料の品質を評価するために、最も明らかなプロトコルからの逸脱の影響をキャラクタライズした。時間の関数としてのタンパク質組成の変化を、試料採取と遠心分離との間で評価した。さらに、時間の関数としてのタンパク質組成の変化を、試料の遠心分離と試料のデカントまでの時間との間で評価した。
【0008】
臨床試料の採取を評価するための定量的分類子として使用することができる、試料の誤った取り扱いに対する識別特性を特定した。さらに、分析対象物毎に、特に試料の採取と遠心分離との間での遅延、及び試料の遠心分離とデカントとの間での遅延に関する、採取プロトコルからの逸脱に対する当該分析対象物の測定値の感受性を捉えるメトリックを生み出した。
【0009】
一部の技法は試料取り扱いの影響を比較的受けないと想像するかも知れないが、それは真実ではない。抗体は血漿及び血清マトリクスの存在下で良好に機能し、質量分析はペプチド及び変性タンパク質でさえも測定することができるが、試料中の細胞が溶解する場合、または血小板が脱顆粒する場合、または補体系が活性化される場合には、試料中の分析対象物濃度の劇的な変化が、該試料の採取後に生じることとなり、いずれの「高忠実度」の測定技術でもこれらの変化が検出されることとなる。したがって、本明細書に記載されているものと類似する、試料取り扱いの変動の影響を判定するための技法は、複数のアッセイ形式及びタンパク質以外のバイオマーカーに対して有用である可能性がある。かかるアッセイ形式はさまざまな形態で感受性が高い場合があるが、試料調製の変動という点で同一の根底にある原因の影響を受けている可能性がある。
【0010】
血液の取り扱い及び処理のさまざまなステップの変動が生物学的試料に影響を与えることを、再現性のある方法で示すことができる。さまざまな試料取り扱い及び処理のステップに関連するパラメータに対する各バイオマーカータンパク質の測定値の感受性を、SOMAmer(登録商標)プロテオミクスアレイを使用して定量化し、試料処理プロセスの変動のマーカーを特定した。試料取り扱い及び試料処理の変動を、疾患バイオマーカーの測定値を得るため及び開発された方法のための、複数の分析対象を測定する同一のアッセイ内で定量化して、いずれの取り扱い/処理マーカーが影響を受けたか、且つおおよそどの程度影響を受けたかを判定した。主題の方法によって、バイオマーカー探索のための許容可能な試料取り扱い及び試料処理の品質のメトリックに制限を設けることも可能になった。
【0011】
以下の番号を付した事項は、本発明のさらなる態様を記述する。
1. a)ヒト対象由来の試料中のソニック・ヘッジホッグ(SHH)タンパク質のレ
ベル、ならびにPGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
2. 上記測定することが、質量分析法、アプタマーに基づくアッセイ、及び/または抗体に基づくアッセイを使用して実施される、第1項に記載の方法。
3. 上記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、第1項に記載の方法。
4. SHH及びPGAM1、SHH及びPTPN4、SHH及びTNFSF14、SHH及びFAM49B、SHH及びRBP7、SHH及びIHH、SHH及びDDX39B、SHH及びS100A12、SHH及びPGAM2、SHH及びC4A・C4B、SHH及びIL21R、SHH及びTMEM9、またはSHH及びADAM9を測定することを含む、第1項に記載の方法。
5. SHH、PGAM1、及びTNFSF14;SHH、PGAM1、及びRBB7;SHH、PGAM1、及びPTPN4;SHH、PGAM1、及びDDX39B;SHH、PGAM1、及びFAM49B;SHH、PGAM1、及びIHH;SHH、PGAM1、及びS100A12;SHH、PGAM1、及びADAM9;SHH、PTPN4、及びRBP7;SHH、PTPN4、及びTNFSF14;SHH、PTPN4、及びIHH;SHH、RBP7、及びFAM49B;SHH、RBP7、及びIHH;SHH、FAM49B、及びTNFSF14;SHH、DDX39B、及びPTPN4;SHH、TNFSF14、及びS100A12;SHH、IHH、及びRBP7;SHH、IHH、及びTNFSF14;SHH、RBP7、及びTNFSF14;SHH、RBP7、及びS100A12;SHH、RBP7、及びDDX39B;SHH、TNFSF14、及びDDX39B;SHH、S100A12、及びDDX39B;SHH、FAM49B、及びS100A12;SHH、IHH、及びFAM49B;SHH、IHH、及びDDX39B;SHH、TNFSF14、及びADAM9;SHH、FAM49B、及びDDX39B;SHH、IHH、及びADAM9;SHH、PGAM1、及びC4A・C4B;SHH、PGAM2、及びRBP7;SHH、PGAM1、及びIL21R;SHH、PGAM2、及びPTPN4;SHH、PGAM2、及びADAM9、SHH、PGAM2、及びC4A・C4B;SHH、PGAM2、及びIL21R;SHH、IHH、及びPGAM2;SHH、PGAM1、及びPGAM2;SHH、TMEM9、及びPGAM2、またはSHH、TMEM9、及びPGAM1を測定することを含む、第1項に記載の方法。
6. SHH及びPGAM1、ならびにRBP7、TNFSF14、PTPN4、DDX39B、FAM49B、S100A12、IHH、PGAM2、C4A・C4B、IL21R、TMEM9、及びADAM9から選択される少なくとも2種のタンパク質を測定することを含む、第1項に記載の方法。
7. SHH及びIHH、ならびにRBP7、TNFSF14、PTPN4、DDX39B、FAM49B、S100A12、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、IL21R、TMEM9、及びADAM9から選択される少なくとも2種のタンパク質を測定することを含む、第1項に記載の方法。
8. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との
間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
9. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、第8項に記載の方法。
10. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)、ならびにPGAM1、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、ADAM9、PGAM2、C4A・C4B、IL21R、及びTMEM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質を含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
11. 上記一連の捕捉試薬が、アプタマー、抗体、及びアプタマーと抗体との組み合わせから選択される、第10項に記載の方法。
12. 上記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される第10項に記載の方法。
13. SHH及びPGAM1、SHH及びPTPN4、SHH及びTNFSF14、SHH及びFAM49B、SHH及びRBP7、SHH及びIHH、SHH及びDDX39B、SHH及びS100A12、SHH及びPGAM2、SHH及びC4A・C4B、SHH及びIL21R、SHH及びTMEM9、またはSHH及びADAM9を測定することを含む、第10項に記載の方法。
14. SHH、PGAM1、及びTNFSF14;SHH、PGAM1、及びRBB7;SHH、PGAM1、及びPTPN4;SHH、PGAM1、及びDDX39B;SHH、PGAM1、及びFAM49B;SHH、PGAM1、及びIHH;SHH、PGAM1、及びS100A12;SHH、PGAM1、及びADAM9;SHH、PTPN4、及びRBP7;SHH、PTPN4、及びTNFSF14;SHH、PTPN4、及びIHH;SHH、RBP7、及びFAM49B;SHH、RBP7、及びIHH;SHH、FAM49B、及びTNFSF14;SHH、DDX39B、及びPTPN4;SHH、TNFSF14、及びS100A12;SHH、IHH、及びRBP7;SHH、IHH、及びTNFSF14;SHH、RBP7、及びTNFSF14;SHH、RBP7、及びS100A12;SHH、RBP7、及びDDX39B;SHH、TNFSF14、及びDDX39B;SHH、S100A12、及びDDX39B;SHH、FAM49B、及びS100A12;SHH、IHH、及びFAM49B;SHH、IHH、及びDDX39B;SHH、TNFSF14、及びADAM9;SHH、FAM49B、及びDDX39B;SHH、IHH、及びADAM9;SHH、PGAM1、及びC4A・C4B;SHH、PGAM2、及びRBP7;SHH、PGAM1、及びIL21R;SHH、PGAM2、及びPTPN4;SHH、PGAM2、及びADAM9、SHH、PGAM2、及びC4A・C4B;SHH、PGAM2、及びIL21R;SHH、IHH、及びPGAM2;SHH、PGAM1、及びPGAM2;SHH、TMEM9、及びPGAM2、またはSHH、TMEM9、及びPGAM1を測定することを含む、第10項に記載の方法。
15. SHH及びPGAM1、ならびにRBP7、TNFSF14、PTPN4、DDX39B、FAM49B、S100A12、IHH、及びADAM9から選択される少なくとも2種のタンパク質を測定することを含む、第10項に記載の方法。
16. SHH及びIHH、ならびにRBP7、TNFSF14、PTPN4、DDX
39B、FAM49B、S100A12、PGAM1、及びADAM9から選択される少なくとも2種のタンパク質を測定することを含む、第10項に記載の方法。
17. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
18. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、第17項に記載の方法。
19. a)対象由来の試料中のIHH、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、DDX39B、S100A12、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも3種、4種、5種、6種、7種、または8種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記3種、4種、5種、6種、7種、または8種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
20. 上記測定することが、質量分析法、アプタマーに基づくアッセイ、及び/または抗体に基づくアッセイを使用して実施される、第19項に記載の方法。
21. 上記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、第19項に記載の方法。
22. IHH、RB7、及びPTPN4;IHH、RB7、及びTNFSF14;IHH、RB7、及びFAM49B;IHH、RBP7、及びDDX39B;IHH、RBP7、及びS100A12;IHH、RB7、及びADAM9;IHH、TNFSF14、及びPTPN4;IHH、TNFSF14、及びFAM49B;IHH、TNFSF14、及びDDX39B;IHH、TNFSF14、及びS100A12;IHH、TNFSF14、及びADAM9;IHH、FAM49、及びPTPN4;IHH、FAM49、及びTNFSF14;IHH、FAM49、及びDDX39B;IHH,FAM49、及びS100A12;IHH,ADAM9、及びPTPN4、またはIHH,FAM49、及びADAM9を測定することを含む、第19項に記載の方法。
23. SHH及び/またはPGAM1を測定することをさらに含む、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
24. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
25. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、第19項に記載の方法。
26. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、IHH、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、DDX39B、S100A12、及びADAM9からなる群より選択される3種、4種、5種、6種、7種、または8種のタンパク質を含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬によって上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
27. 上記一連の捕捉試薬が、アプタマー、抗体、及びアプタマーと抗体との組み合わせから選択される、第26項に記載の方法。
28. 上記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、第26項に記載の方法。
29. IHH、RB7、及びPTPN4;IHH、RB7、及びTNFSF14;IHH、RB7、及びFAM49B;IHH、RBP7、及びDDX39B;IHH、RBP7、及びS100A12;IHH、RB7、及びADAM9;IHH、TNFSF14、及びPTPN4;IHH、TNFSF14、及びFAM49B;IHH、TNFSF14、及びDDX39B;IHH、TNFSF14、及びS100A12;IHH、TNFSF14、及びADAM9;IHH、FAM49、及びPTPN4;IHH、FAM49、及びTNFSF14;IHH、FAM49、及びDDX39B;IHH、FAM49、及びS100A12;またはIHH、FAM49、及びADAM9を測定することを含む、第26項に記載の方法。
30. SHH及び/またはPGAM1を測定することをさらに含む、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
31. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
32. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、第26項に記載の方法。
33. a)ヒト対象由来の試料中のRB7、FAM49B、TNFSF14、ADAM9、PGAM1、ならびにDDX39B及びS100A12から選択される少なくとも1種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)RB7、FAM49B、TNFSF14、ADAM9、PGAM1、及び上記少なくとも1種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
34. 上記測定することが、質量分析法、アプタマーに基づくアッセイ、及び/または抗体に基づくアッセイを使用して実施される、第33項に記載の方法。
35. 上記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、第33項に記載の方法。
36. RB7、FAM49B、TNFSF14、ADAM9、PGAM1、及びS100A12;またはRB7、FAM49B、TNFSF14、ADAM9、PGAM1、及びDDX39Bを測定することを含む、第33項に記載の方法。
37. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
38. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、第33項に記載の方法。
39. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、RB7、FAM49B、
TNFSF14、ADAM9、PGAM1、ならびにDDX39B及びS100A12から選択される少なくとも1種のタンパク質を含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
40. 上記一連の捕捉試薬が、アプタマー、抗体、及びアプタマーと抗体との組み合わせから選択される、第39項に記載の方法。
41. 上記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、第39項に記載の方法。
42. RB7、FAM49B、TNFSF14、ADAM9、PGAM1、及びS100A12;またはRB7、FAM49B、TNFSF14、ADAM9、PGAM1、及びDDX39Bを測定することを含む、第39項に記載の方法。
43. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
44. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、第39項に記載の方法。
45. 上記タンパク質のレベルまたは複数のレベルが上記試料に品質スコアを割り当てるために使用され、次いで上記品質スコアが、上記試料が分析試料であるかまたは非分析試料であるかを判定するために使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
46. 上記タンパク質のレベルまたは複数のレベルが上記試料に品質スコアを割り当てるために使用され、次いで上記品質スコアが、上記試料を上記試料中のさらなるタンパク質のさらなる分析に使用するかどうかを判定するために使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
47. a)ヒト対象由来の試料中の、PGAM1タンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
48. a)ヒト対象由来の試料中の、PGAM2タンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM1、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
49. a)ヒト対象由来の試料中の、C4A・C4Bタンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、PGAM1、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
50. a)ヒト対象由来の試料中の、PTPN4タンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PGAM1、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
51. a)ヒト対象由来の試料中の、TNFSF14タンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、PGAM1、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
52. a)ヒト対象由来の試料中の、FAM49Bタンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、PGAM1、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、
9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
53. a)ヒト対象由来の試料中の、RBP7タンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、PGAM1、FAM49B、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
54. a)ヒト対象由来の試料中の、IHHタンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、PGAM1、FAM49B、RBP7、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
55. a)ヒト対象由来の試料中の、DDX39Bタンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、PGAM1、FAM49B、RBP7、IHH、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
56. a)ヒト対象由来の試料中の、S100A12タンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、PGAM1、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
57. a)ヒト対象由来の試料中の、IL21Rタンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、PGAM1、FAM49B、RBP7、IHH、S100A12、DDX39B、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
58. a)ヒト対象由来の試料中の、TMEM9タンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、PGAM1、FAM49B、RBP7、IHH、S100A12、IL21R、DDX39B、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
59. a)ヒト対象由来の試料中の、ADAM9タンパク質のレベル、ならびにSHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、PGAM1、FAM49B、RBP7、IHH、S100A12、IL21R、TMEM9、及びDDX39Bからなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
60. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)タンパク質、ならびにPGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
61. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、PGAM1タンパク質、ならびに、SHH、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることであって、上記接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
62. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、PGAM2タンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
63. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、C4A・C4Bタンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
64. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、PTPN4タンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
65. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、TNFSF14タンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、
及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
66. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、FAM49Bタンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
67. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、RBP7タンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
68. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、IHHタンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
69. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、DDX39Bタンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
70. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、S100A12タンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、IL21R、TMEM9、
及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
71. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、IL21Rタンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
72. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、TMEM9タンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
73. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、ADAM9タンパク質、ならびに、SHH、PGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、及びTMEM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
74. a)ヒト対象由来の試料中のソニック・ヘッジホッグ(SHH)タンパク質のレベル、ならびにPGAM1、PGAM2、C4A・C4B、PTPN4、TNFSF14、FAM49B、RBP7、IHH、DDX39B、S100A12、IL21R、TMEM9、及びADAM9からなる群より選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルを測定することと、
b)上記SHHのレベル及び上記1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種のタンパク質のレベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
75. a)ヒト対象由来の試料中のHNRNDPDL、PTPN4、PGAM2、C4A・C4B、EIF4A1、IHH、SHH、PGAM1、S100A9、及びHLA・DRB3のレベルを測定することと、
b)HNRNDPDL、PTPN4、PGAM2、C4A・C4B、EIF4A1、IHH、SHH、PGAM1、S100A9、及びHLA・DRB3の上記レベルに基づいて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
76. 上記測定することが、質量分析法、アプタマーに基づくアッセイ、及び/または抗体に基づくアッセイを使用して実施される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
77. 上記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
78. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
79. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
80. a)ヒト対象由来の試料を、それぞれの捕捉試薬が、HNRNDPDL、PTPN4、PGAM2、C4A・C4B、EIF4A1、IHH、SHH、PGAM1、S100A9、及びHLA・DRB3を含む一連のタンパク質の異なるタンパク質に対する親和性を有する一連の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記一連の捕捉試薬に基づいて、上記一連のタンパク質のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
81. 上記測定することが、質量分析法、アプタマーに基づくアッセイ、及び/または抗体に基づくアッセイを使用して実施される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
82. 上記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
83. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
84. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、先行事項のいずれか1項に記載の方法。
85. a)ヒト対象由来の試料を、一方がTMEM9タンパク質に対する親和性を有し、他方がPGAM1に対する親和性を有する2種の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記2種の捕捉試薬によってそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
86. a)ヒト対象由来の試料中のPGAM1及びTMEM9のレベルを測定することと、
b)上記PGAM1及びTMEM9のレベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性
試料と識別することとを含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
87. IHHタンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってIHHタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第85項または第86項に記載の方法。
88. C4A・C4Bタンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってC4A・C4Bタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第85項または第86項に記載の方法。
89. SHHタンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってSHHタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第85項または第86項に記載の方法。
90. PGAM2タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってPGAM2タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第85項または第86項に記載の方法。
91. ADAM9タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってADAM9タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第85項または第86項に記載の方法。
92. PTPN4タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってPTPN4タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第85項または第86項に記載の方法。
93. IL21Rタンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってIL21Rタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第84項または第85項に記載の方法。
94. RBP7タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってRBP7タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第85項または第86項に記載の方法。
95. a)ヒト対象由来の試料を、一方がSHHタンパク質に対する親和性を有し、他方がIHHに対する親和性を有する2種の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記2種の捕捉試薬によってそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
96. a)ヒト対象由来の試料中のSHH及びIHHのレベルを測定することと、
b)上記SHH及びIHHのレベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することとを含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
97. RBP7タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってRBP7タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第95項または第96項に記載の方法。
98. FAM94Bタンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってFAM94Bタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第95項または第96項に記載の方法。
99. TNFSF14タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってTNFSF14タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第95項または第96項に記載の方法。
100. ADAM9タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってADAM9タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第95項または第96項に記載の方法。
101. S100A12タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってS100A12タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第95項または第96項に記載の方法。
102. DDX39Bタンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってDDX39Bタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第95項または第96項に記載の方法。
103. PGAM1タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってPGAM1タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第95項または第96項に記載の方法
。
104. PTPN4タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってPTPN4タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第95項または第96項に記載の方法。
105. a)ヒト対象由来の試料を、4種の捕捉試薬であって、上記4種の捕捉試薬のそれぞれが、IHH、RBP7、ADAM9、及びPTPN4から選択されるタンパク質に対する親和性を有する上記4種の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記4種の捕捉試薬によってそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
106. SHHタンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってSHHタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第105項に記載の方法。
107. PGAM1タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってPGAM1タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第105項に記載の方法。
108. TMEM9、C4A・C4B、PGAM2、FAM49B、TNFSF14、S100A12、DDX39B、及びIL21Rから選択される1種以上のタンパク質のレベルを、それぞれの捕捉試薬が上記1種以上のタンパク質の1種に対する親和性を有する捕捉試薬によって測定することをさらに含む、第105項に記載の方法。
109. a)ヒト対象由来の試料中のIHH、RBP7、ADAM9、及びPTPN4タンパク質のレベルを測定することと、
b)上記試料のIHH、RBP7、ADAM9、及びPTPN4タンパク質のレベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
110. SHHタンパク質のレベルを測定することと、上記試料のSHHタンパク質の上記レベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することをさらに含む、第109項に記載の方法。
111. PGAM1タンパク質のレベルを測定することと、
上記試料のPGAM1タンパク質の上記レベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
をさらに含む、第109項に記載の方法。
112. TMEM9、C4A・C4B、PGAM2、FAM49B、TNFSF14、S100A12、DDX39B、及びIL21Rから選択される1種以上のタンパク質のレベルを測定することと、
上記1種以上のタンパク質の上記レベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
をさらに含む、第109項に記載の方法。
113. a)ヒト対象由来の試料を、4種の捕捉試薬であって、上記4種の捕捉試薬のそれぞれが、IHH、RBP7、ADAM9、及びPTPN4から選択されるタンパク質に対する親和性を有する上記4種の捕捉試薬と接触させることと、
b)上記4種の捕捉試薬によって上記試料中のそれぞれのタンパク質のレベルを測定することと
を含む方法。
114. SHHタンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってSHHタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第113項に記載の方法。
115. PGAM1タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってPGAM1タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第113項に記載の方法。
116. TMEM9タンパク質に対する親和性を有する捕捉試薬によってTMEM9タンパク質のレベルを測定することをさらに含む、第113項に記載の方法。
117. C4A・C4B、PGAM2、FAM49B、TNFSF14、S100A12、DDX39B、及びIL21Rから選択される1種以上のタンパク質のレベルを、それぞれの捕捉試薬が上記1種以上のタンパク質の1種に対する親和性を有する捕捉試薬によって測定することをさらに含む、第113項に記載の方法。
118. 上記試料が血液、血漿、血清、または尿から選択される、第113項に記載の方法。
119. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、第113項に記載の方法。
120. 上記タンパク質のレベルが、上記タンパク質の上記レベルに基づいて上記試料を分析試料または陰性試料と識別するのに使用され、上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である、第113項に記載の方法。
121. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、第119項に記載の方法。
122. 上記捕捉試薬がアプタマーまたは抗体から選択される、第113項に記載の方法。
123. a)ヒト対象由来の試料中のIHH、RBP7、ADAM9、及びPTPN4タンパク質のレベルを測定することと、
b)上記試料のIHH、RBP7、ADAM9、及びPTPN4タンパク質のレベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
を含み、
上記分析試料が、タンパク質バイオマーカー探索分析、タンパク質発現レベル分析、及び診断方法または予知方法の1つ以上に使用される試料であり、上記陰性試料が分析試料として使用されない試料である方法。
124. SHHタンパク質のレベルを測定することと、
上記試料のSHHタンパク質の上記レベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
をさらに含む、第123項に記載の方法。
125. PGAM1タンパク質のレベルを測定することと、
上記試料のPGAM1タンパク質の上記レベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
をさらに含む、第123項に記載の方法。
126. TMEM9タンパク質のレベルを測定することと、
上記試料のTMEM9タンパク質の上記レベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
をさらに含む、第123項に記載の方法。
127. C4A・C4B、PGAM2、FAM49B、TNFSF14、S100A12、DDX39B、及びIL21Rから選択される1種以上のタンパク質のレベルを測定することと、
上記1種以上のタンパク質の上記レベルに基いて、上記試料を分析試料または陰性試料と識別することと
をさらに含む、第123項に記載の方法。
128. 上記試料が、血液、血漿、血清、または尿から選択される、第123項に記載の方法。
129. 上記タンパク質のレベルが、上記ヒト対象からの試料採取と試料の遠心分離
との間の時間の長さ、及び/または試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間の長さを予測するのに使用される、第123項に記載の方法。
130. 上記試料採取と試料の遠心分離との間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、且つ/または上記試料の遠心分離と試料のデカントとの間の時間が、約0時間~0.5時間、0.5時間~1.5時間、1.5時間~3時間、3時間~9時間、9時間~24時間、もしくは24時間を超える、第129項に記載の方法。
131. 上記タンパク質レベルを上記測定することが、質量分析法、アプタマーに基づくアッセイ、及び/または抗体に基づくアッセイを使用して実施される、第123項に記載の方法。
132. 上記タンパク質のレベルが、決定木;バギング+ブースティング+フォレスト;ルール推論ベースの学習;パルゼンウィンドウ;線形モデル;ロジスティック;ニューラルネットワーク法;教師なしクラスタリング;K平均法;階層的上行/下行;半教師あり学習;プロトタイプ法;最近傍法;カーネル密度推定;サポートベクターマシン;隠れマルコフモデル;ボルツマン学習から選択される分類子で使用され;ランダムフォレストモデルが上記タンパク質のレベルを用いて使用され、試料を分析試料または陰性試料と識別する、第123項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】遠心分離までの時間に対するPGAM1のRFUを示す図であり、遠心分離までの時間につれて顕著なシグナルの変化が見られる。
【
図2】遠心分離までの時間に対する分析対象物のRFUを示す図であり、識別力のある特性が非常に低いことを示している。
【
図3】遠心分離までの時間のモデルにおける分析対象物の重要度を示す図である。約10種の分析対象物の後では、以後の分析対象物の相対的な重要度は低下し、定常状態となる。
【
図4】上記遠心分離までの時間のモデルにおける試料の決定木を示す図である。最初のノードはTNFSF14 RFUに基いて試料を分割し、RFUが756.2より大きい場合は24時間の予測で終了し、それ以外の場合はさらなる分岐を下にトラバースする。
【
図5】ランダムフォレストにおける木の数に対する予測のエラーを示す図である。
【
図6】単一分析対象物ランダムフォレストモデルにおける予測エラーを示す図である。水平の線及び垂直の線はクラス閾値を示し、黒の実線は真の予測値の線を示す。
【
図7】ランダムフォレスト及びナイーブベイズのモデルの安定性を示す図である。ナイーブベイズモデルは、単一の分析対象物で信号をシフトすると連続的な変化を示すのに対して、ランダムフォレストはより高い安定性を示す。
【
図8】個々の分析対象物をスケーリングする場合のモデルの安定性を示す図である。各分図の標題に記載されている真の遠心分離までの時間を、各分析対象物を効果量によってケーリングした場合の予測時間と比較する。個々の線は、当該分析対象物をスケーリングし、残りの9種の分析対象物を一定のままにした場合のランダムフォレストの予測値を表す。
【
図9】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーSHHの累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図10】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーIHHの累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図11】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーRBP7の累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図12】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーFAM49Bの累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図13】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーTNFSF14の累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図14】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーADAM9の累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図15】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーS100A12の累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図16】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーDDX39Bの累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図17】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーPGAM1の累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図18】遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の、タンパク質マーカーPTPN4の累積の分析対象物分布関数を示す図である。
【
図19】分析対象物モデルのパフォーマンスであって、各モデルのパフォーマンスを、各個体及び各時点の試料の、真の遠心分離までの時間に対する予測される遠心分離までの時間のRMSEを使用して定量化した、上記パフォーマンスを示す図である。
【
図20】各分析対象物のモデルのパフォーマンスに対する重要度を明らかにするための、それぞれのモデルのパフォーマンスの群において分析対象物が使用された回数の割合に基づいたパフォーマンスが低い分析対象物を示す図である。
【
図21】各分析対象物のモデルのパフォーマンスに対する重要度を明らかにするための、それぞれのモデルのパフォーマンスの群において分析対象物が使用された回数の割合に基づいたパフォーマンスが中程度の分析対象物を示す図である。
【
図22】各分析対象物のモデルのパフォーマンスに対する重要度を明らかにするための、それぞれのモデルのパフォーマンスの群において分析対象物が使用された回数の割合に基づいたパフォーマンスが高い分析対象物を示す図である。
【
図23】指定した数の分析対象物を用いた、使用したモデルの数の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の代表的な実施形態を詳細に参照する。本発明をこれらの列挙する実施形態と関連させて説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることを意図しないことは理解されよう。というよりも、本発明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に含まれ得るすべての代替物、改変、及び均等物を網羅することが意図される。
【0014】
当業者であれば、本発明の実施に使用することができ、且つ本発明の実施の範囲内である、本明細書に記載のものと類似するまたは均等である多くの方法及び物質を認識しよう。本発明は、記載される方法及び物質に何ら限定されることはない。
【0015】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載のものと類似するまたは均等である方法、装置、及び物質を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法、装置、及び物質を次に説明する。
【0016】
本出願に引用されるすべての刊行物、公開された特許文献、及び特許出願は、本出願が関係する技術分野(複数可)の技術水準を示している。本明細書に引用されるすべての刊行物、公開された特許文献、及び特許出願は、本記述をもって、それぞれの個々の刊行物、公開された特許文献、または特許出願が、具体的且つ個別に援用されることが示されているのと同じ程度に、本明細書に援用される。
【0017】
添付の特許請求の範囲を含む本出願では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数形の指示を包含し、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」と同義で使用される。したがって、「アプタマー」への言及は複数種のアプタマーの混合物を包含し、「プローブ」への言及は複数種のプローブの混合物などを包含する等々である。
【0018】
本明細書では、用語「約」とは、当該の数値が関係する項目の基本的な機能が変化しないような、該数値のわずかな加減または変動を表す。
【0019】
本明細書では、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(contains)」、「含む(containing)」、及びそれらの任意の変化形は、要素もしくは一連の要素を含む(comprises)、含む(includes)、または含む(contains)製造方法(process)、方法、製造方法によって特定される物質(product-by-process)、または組成物が、それらの要素のみを含むのではなく、かかる製造方法、方法、製造方法によって特定される物質、もしくは組成物中に明示的に挙げられていない、またはそれらに固有ではない他の要素を含んでいてもよいような、非排他的な包含を意図する。
【0020】
本明細書では、「バイオマーカー」は、個体における正常なもしくは異常なプロセス、または個体における疾患もしくは他の疾病の兆候を示すか、あるいは該徴候である標的分子を指すために使用される。より詳細には、「バイオマーカー」は、正常か異常かを問わず、また異常な場合には慢性か急性かを問わず、特定の生理学的状態またはプロセスの存在に関連する解剖学的、生理学的、生化学的、または分子的なパラメータである。バイオマーカーは、実験室的なアッセイ及び医学的画像診断を含むさまざまな方法によって検出及び測定が可能である。バイオマーカーがタンパク質である場合、生物学的試料中の対応するタンパク質バイオマーカーの量もしくは有無、または当該バイオマーカーもしくは該バイオマーカーの発現を制御するタンパク質をコードする遺伝子のメチル化状態の代替的な尺度として、相当する遺伝子の発現を使用することもできる。
【0021】
特定の病態に対するバイオマーカーの選択には、まず、特定の医学的利用に関して、対照集団と比較して疾患集団において、測定可能であり且つ統計的に有意な差異があるマーカーの特定が含まれる。バイオマーカーとしては、疾患の発症または進行と並行して、疾患もしくは疾病に罹患した組織から、または疾患もしくは疾病に応答して周囲の組織及び循環細胞から血流中に容易に拡散する、分泌されるまたは流れ出る分子を挙げることができる。上記特定されたバイオマーカーまたは一連のバイオマーカーは、一般に臨床的に検証されているか、または当該のバイオマーカーが選択された目的である当初の意図された使用に対して信頼できる指標であることが明らかになっている。バイオマーカーは、小分子、ペプチド、タンパク質、及び核酸を含むさまざまな分子を含むことができる。バイオマーカーの識別に影響を与えるいくつかの重要な問題としては、利用可能なデータの過剰適合及び試料取り扱いプロトコルの変動を含むデータのバイアスが挙げられる。
【0022】
本明細書では、「バイオマーカー値」、「値」、「バイオマーカーレベル」、及び「レベル」は、生物学的試料中の当該バイオマーカーを検出するための任意の分析方法を使用して得られ、上記生物学的試料中の当該バイオマーカーの、該バイオマーカーに関する、もしくは該バイオマーカーに対応する存在、非存在、絶対的な量または濃度、相対的な量または濃度、力価、レベル、発現レベル、測定されたレベルの比などを示す測定値を指すために同義で使用される。上記「値」または「レベル」の正確な性質は、当該バイオマーカーを検出するために使用した特定の分析方法の特定の設計及び要素に依存する。
【0023】
「疾患バイオマーカーの対照範囲」または「バイオマーカーの対照範囲」は同義で使用され、罹患していないすなわち正常な個体におけるバイオマーカーの正常なすなわち罹患していない範囲を意味する。それらは通常対照集団に由来する。
【0024】
「試料(sample)」、「症例(case)」または「テストセット(test set)」は同義で使用され、罹患していることが疑われる、すなわちは罹患している可能性がある、そして最終的には罹患しているまたは罹患していないと判断される可能性がある個体または症例患者を意味する。
【0025】
本明細書では、「試料取り扱い及び試料処理のマーカー」、「取り扱い/処理マーカー」、「試料取り扱い及び試料処理のプロトコルの変動に敏感なマーカー」、「分析前の変動に敏感なマーカー」などは、本明細書に記載の方法によって試料取り扱い及び試料処理のプロトコルの変動に敏感であることが分かっているマーカーを指すために同義で使用される。「試料取り扱い及び試料処理のマーカー」にはバイオマーカーが含まれる場合と含まれない場合とがある。
【0026】
試料取り扱い及び試料処理のマーカーは、正常な個体の対照集団における候補マーカーから特定することができる。前記対照集団から得られる試料の候補マーカーを分析して、試料取り扱い及び試料処理のプロトコルの変動に敏感な候補マーカーを選択する。上記変動としては、試料アッセイの前の、試料処理時間、処理温度、保管時間、保管温度、保管容器の組成、及びその他の保管条件の変動;試料の酸素への曝露、静脈穿刺に使用される針の口径、採取器具、採取チューブの添加剤を含む、但しこれらに限定されない、正常な個体から試料を抜き出すのに使用される方法の変動;遠心分離速度、遠心分離温度及び時間、ろ過及びフィルターの孔径を含む、但しこれらに限定されない、試料処理の変動;採取受器または容器、凍結方法などが挙げられるが、これらに限定はされない。変動に実質的に敏感であると識別された候補マーカーは、試料取り扱い及び試料処理のマーカーとしての適性がある。上記候補マーカーは、小分子、ペプチド、タンパク質、及び核酸を含むさまざまな分子を含む。
【0027】
場合によっては、選択した取り扱い/処理マーカーを区別して、疾患マーカーまたはアッセイにおいて問題となる特定の疾患のマーカーにもなり得るマーカーを除外することが望ましい場合がある。一方で、使用する取り扱い/処理マーカーの数が、例えば、約20種、30種、50種、またはそれ以上のいずれかよりも多い場合に、かかる状況にある取り扱い/処理マーカーは排除する必要がない場合がある。
【0028】
本明細書では、本明細書において同義で使用される「測定する」、「測定」、「検出する」などは、蛍光、化学発光、放射性標識、表面プラズモン共鳴、表面音響波、質量分析法、赤外線分光法、ラマン分光法、原子力顕微鏡法、走査トンネル顕微鏡法、電気化学的検出法、核磁気共鳴、量子ドットなどを含む、任意且つ適宜の方法を使用する分子の検出または定量(測定)をいう。「検出する」及びその変化形は、生物学的試料中の分子の存在の識別もしくは観測、及び/または分子の値の測定をいう。
【0029】
本明細書では、「生物学的試料」、「試料」、及び「試験試料」とは、個体から得られるか、または個体から他の形態で誘導される、任意の物質、体液、組織、または細胞を指すために本明細書において同義で使用される。この物質、体液、組織、または細胞としては、血液(全血、白血球、末梢血単核細胞、バフィーコート、血漿、血清、ろ紙上に採取された乾燥血液スポットを含む)、喀痰、涙、粘液、鼻洗浄液、鼻吸引液、呼気、尿、精液、唾液、嚢胞液、髄膜液、羊膜液、腺液、リンパ液、乳頭吸引液、気管支吸引液、胸腔内液、腹腔液、滑液、関節吸引液、腹水、細胞、細胞抽出物、及び脳脊髄液が挙げられる。この物質、体液、組織、または細胞には、上記のすべての実験的に分離された画分も含まれる。例えば、血液試料は、血清または赤血球もしく白血球(white blood cells)(白血球(leukocytes))などの特定の種類の血球を含む画分に分画されていてもよい。必要に応じて、試料は、組織と流体試料の組み合わせなどの、個体由来の複数の試料の組み合わせであってもよい。用語「生物学的試料」には、例えば、便試料、組織試料、または組織生検由来のものなどの、均質化された固体物質を含む物質も含まれる。用語「生物学的試料」には、組織培養物または細胞培養物に由来する物質も含まれる。生物学的試料を得るための任意且つ適宜の方法を使用することができ、例示的な方法としては、例えば、静脈切開、綿棒での採取(例えば、頬側からの綿棒での採取)、洗浄、流体吸引、及び細針吸引生検法が挙げられる。試料は、例えば、マイクロダイセクション(例えば、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)もしくはレーザーマイクロダイセクション(LMD))、膀胱洗浄、塗抹標本(例えば、PAP塗抹標本)、または乳管洗浄細胞診によって採取することもできる。個体から得られた、または個体由来の「生物学的試料」には、当該の個体から得られた後に任意且つ適宜の方法で処理が行われたかかる試料が包含される。
【0030】
さらに、生物学的試料は、多数の個体から生物学的試料を採取し、それらをプールするか、または各個体の生物学的試料のアリコートをプールすることによって得ることができることを理解されたい。
【0031】
「細胞の不適切な取り扱い」(Cell Abuse)としては、細胞汚染、細胞溶解、細胞断片化、細胞断片、内部細胞成分などが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0032】
本明細書では、「試料の排除」とは、当該試料が属する下位集合、群、または集合物の排除を指す場合がある。
【0033】
本明細書では、「SOMAmer」または「解離速度が遅い修飾型アプタマー(Slow Off-Rate Modifed Aptamer)」とは、解離速度特性が改善されたアプタマーをいう。SOMAmerは、発明の名称を「解離速度が改良されたアプタマーの生成方法」とし、現在、米国特許第7,947,447号となっている、米国公開第2009/0004667号に記載される、改良されたSELEX法を使用して生成させることができる。
【0034】
本出願において、試料取り扱い及び試料処理のマーカータンパク質の測定値が測定され、試料の採取と調製の変動に関して明確で再現性のある挙動をすることが判明した。
【0035】
本明細書における中心的なアイデアは、各試料中の測定可能な多数の処理及び取り扱いのマーカータンパク質のいくつかを使用して、試料の採取及び試料の調製のステップの変動に対する等級付けした応答を提供することである。この意味で、これらの取り扱い/処理マーカータンパク質のシグナルを使用して、例えば、遠心分離前の遅延及びデカンテーション前の遅延などの、血液試料処理における過去の事象を監視することができる。これは、目的のバイオマーカータンパク質の劣化を直接監視することとは異なり、広範囲にわたってより感度が高いと共に、より情報を与える可能性がある。本明細書に記載の方法を使用し、それぞれのプロセス変動に対する取り扱い/処理マーカーの既知の感度を目的の特定のバイオマーカータンパク質の推定される値に適用することにより、上記バイオマーカーの採取後の変化に関して推定される試料の品質をキャラクタライズすることができる。試料処理及び試料取り扱いのマーカーの監視を使用して、見掛けのタンパク質濃度から試料取り扱い成分を減じることにより、疾患バイオマーカーのそれぞれの変動の推定される影響を補正することもできる。これらの試料取り扱い及び試料処理のバイオマーカーの測定値を使用して、抗体アッセイ、質量分析法などを含む様々な測定システムによる疾患のバイオマーカーの評価の前に、試料をキャラクタライズすることができる。
【0036】
このように、血液の生物学的機序の一部が、時計、タイマー、及び記録装置として機能するように使用される。この技法が機能するためには、さまざまな機序のインビボでの生
物学的活性化と、血液が体から離れた後に起こる活性化、すなわち「インビトロ」での変化を区別することができる必要がある。インビボでの疾患バイオマーカー及び取り扱い/処理マーカーの劣化をインビトロで生じるそれらの劣化と区別するための主たるツールは、当該試料を、単に単一の試料取り扱い/試料処理の変動だけでなく、数種の該変動に関してキャラクタライズすることができるように、非常に多くのタンパク質を同時に測定する能力である。特定の試料取り扱いプロトコルの変動を示す、互いに関連するタンパク質の測定値は、試料取り扱い/処試料理マーカーの一団を提供する。
【0037】
本発明者らのシステムによってそれぞれの試料に提供されるメトリックにより、少数の試料を評価して、1ヶ所以上の施設における、または当該試料の一部における試料取り扱い及び試料処理技法によって、目的のバイオマーカータンパク質の差異を測定することが困難になった可能性があることを見い出すことで、臨床施設からの一連の試料を排除することが可能になる。すなわち、上記メトリックにより、問題の試料が、試料取り扱いの影響に起因して真の健康もしくは疾患の生物学を隠してしまうことになるのか、または試料取り扱いの影響によって、実際には根底にある健康もしくは疾患の生物学を反映していない「偽陽性」のバイオマーカーの結果を生み出してしまうことになるのかの判断が可能になる。上記試料の採取/処理のメトリックは、信頼性が高く安定したバイオマーカー探索のウィンドウも提供している。一貫した試料調製のメトリックを用いて試料の群を選択することにより、意図しないバイアスを最小限に抑え、疾患固有のバイオマーカーの探索を増進させることができる。上記メトリックを用い、良好に採取された標準試料と比較することにより、軽度の試料取り扱いの影響を補正することもできる。臨床における使用では、費用のかかる広範なさらなる評価の前に一部の試料を排除するために、且つ試料取り扱いに起因するいずれかの不確実性を反映するように、提供される測定値または報告を調整するために、上記試料取り扱いのメトリックを用いて、施設に採取手順に関して助言することができる。
【0038】
簡潔に言えば、今般、
1. 上記形態(form)を測定し、試料間の試料取り扱いの変動の程度を定量化することが可能になる。これにより、一連の試料を選別すること、及びバイオマーカー探索に適した試料を識別することが可能になる。
2. 好ましい試料取り扱い/試料処理プロトコルを特定または確立して、試料間の変動を実質的に低減または最小化することが可能になる。
3. 同様に、採取施設または試料のバッチの試料取り扱い/試料処理値を基準試料の取り扱い/処理バイオマーカー値と比較して、個々の施設が上記好ましい採取プロトコルを遵守しているかを判定することができる。
4. 一連の試料を試験し、基準試料の取り扱い/処理バイオマーカー値と比較して、症例試料と対照試料との間に存在する可能性のある、予想される取り扱い及び処理の変動の程度を判定することができる。このようにして、同様な試料採取条件に基づいて試料の下位集合を選択して比較することができ、その結果、特定されたバイオマーカーは根底にある生物学を忠実に反映するものとなる。
5. 個々の試料を、当該試料が好ましい取り扱い/処理プロトコルに準拠した方法で採取されなかったと判断された場合には、診断検査に用いることを排除することができる。
6. 1つ以上の症例試料のタンパク質測定値を、試料取り扱い/試料処理の変動を反映するように調整することができる。
7. 試料取り扱い/試料処理の変動に対する感受性がより低い安定したタンパク質の下位集合を、臨床上のまたは商業的な使用向けに選択することができる。
【0039】
したがって、本発明は、理想的な血液試料採取条件からの逸脱の影響の定量化方法を含む。この方法は、プロテオミクスアッセイの測定の前の、血液試料の採取及び取り扱いに
関わるステップの変動によって影響を受ける生物学的プロセスの特定を含む。これらの生物学的プロセスは、一義的にかかるプロセスと同一視され、且つ監視することができる分析対象物(タンパク質など)の測定値の特定のリストによって監視される。これらのタンパク質リストは、測定される各タンパク質に固有のタンパク質係数を使用したタンパク質存在量の対数測定値の予測を使用して定量的に適用される。試料処理マーカーSMV(試料マーカー変動)として知られるこれらの予測からのスコアを使用して、試料毎及び試料群毎での血液試料採取における手順上の変動を評価することができる。
【0040】
一態様において、本発明は、SMV係数の作成方法を保護する。詳細には、理想的な血液試料採取条件からの逸脱の影響を定量化するための方法が特定されている。この方法は、プロテオミクスアッセイの測定の前の、血液試料の採取及び取り扱いに関わるステップの変動によって影響を受ける生物学的プロセスの特定を含む。これらの生物学的プロセスは、一義的にかかるプロセスと同一視され、且つ監視することができるタンパク質の測定値の特定のリストによって監視される。これらのタンパク質リストは、測定される各タンパク質に固有のタンパク質係数を使用したタンパク質存在量の測定値の対数タンパク質の予測を使用して定量的に適用される。試料処理マーカーSMVとして知られるこれらの予測からのスコアを使用して、試料毎及び試料群毎での血液試料採取における手順上の変動を評価することができる。これらの生物学的プロセスを使用して、血液試料採取条件の変動を監視することができ、特定のタンパク質ベクターを用いて、かかる生物学的プロセスを監視及び定量化することができる。これにより、試料自体に記録され、採取時に時間、温度、遠心分離速度などの変数を独立に監視する必要のない、試料採取の変動を定量化することができる。
【0041】
SMVタンパク質成分を識別するために、補体活性化、血小板活性化、及び細胞溶解などの特定の生物学的プロセスの生化学的操作を含む標的化実験を使用した。これらの実験は、臨床診療と一貫した方法で血液試料採取の条件を変更する実験と組み合わされ、試料毎での臨床試料採取の変動を定量的に評価するために使用することができる生物学的プロセスを一義的に識別する。
【0042】
本明細書に記載の技法を使用して、これらの生物学的プロセスに直接関与するタンパク質の測定値の品質に関して試料を評価することができる。これは、試料取り扱いの変動によって影響を受ける可能性があるが、ここで測定される生物学的プロセスに単純に直接リンクしない、これらの試料中のタンパク質の測定値に関する判定を与えるために適用することができる試料品質の定量的な測定値を提供する。例えば、一般的なタンパク質分解活性は、補体の活性化及び細胞の溶解によって影響を受ける可能性がある。但し、影響を受けるタンパク質は単純な閉じた群またはプロセスを形成せず、補体及び細胞溶解を監視するために使用することはできない。というのは、他のタンパク質には、疾患プロセス及び腎機能などの、試料取り扱いの変動とは無関係の、試料間で変動する多くの理由がある可能性があることによる。
【0043】
上記生物学的プロセス及び間接的に試料採取条件の変動を監視するための係数を備えた一連のタンパク質の使用は、個々の変動に悩まされる可能性がより低く、上記生物学的プロセスの活性化の安定した推定値を与えると解釈することができる測定値のアンサンブルを形成するという点で、単一のタンパク質に対して利点がある発明である。対数スケールの測定値を使用すると、上記生物学的プロセスの活性化における相対的な倍率変化の監視が可能になり、線形空間における比率に対応する差異を使用して基準試料と簡単に比較することができる。この対数の使用はまた、基準試料を使用する際に、セットまたはベクター中のタンパク質間の異なる濃度範囲が自動的に正規化されるように、タンパク質測定値を黙示的にスケーリングもする。
【0044】
個々の血液試料にSMV計算を直接適用すると、上記生物学的プロセスの観点から解釈することができるスコアが得られ、または間接的には、特定の試料採取条件の基準試料の理想的な条件からの逸脱が得られる。次いで、これらのスコアを使用して、いずれの試料が基準を満たしているか、または許容限度内にあるかを明確にすることができる。この情報を用いて、個々の試料を排除することができる。バイオマーカー探索において、タンパク質の存在量の変化が異なる試料採取プロトコルまたは条件下で処理されている個々の一連の試料のいくつかの組によって生じている可能性がある場合には、かかる変化を、バイオマーカー探索を目的として検討している疾患またはプロセスに帰してしまうことを回避するために、個々の試料を排除することが重要である。
【0045】
個々の試料に対するSMVスコアを使用して、特定の範囲の試料採取パラメータに対応する複数の組の試料を分類することができる。これにより、1つの組の試料が、以前のまたは別な採取の検討の試料と同等の手順で試料採取され、同等の試料採取パラメータを有する、整合性のある試料の組を明らかにすることができる。この、整合性のある複数の組を形成することができることは、さまざまな条件下で採取された可能性のある試料の群の間での比較において非常に有用である。他のタンパク質における関連する変動を測定することができ、且つSMVスコアが異なる試料間の上記変動につながるプロセスによる影響を受ける各タンパク質における上記変動に基づいて数学モデルを構築することができれば、個々の試料から計算されるSMVスコアを用いて、試料取り扱いの変動を補正することもできる。
【0046】
臨床的に異なる個体から採取された試料間の差異とは、当該試料を採取した方法の差異ではなく、それらの個体間の差異を指すことがわかっていることから、個々の試料をそれらのSMVスコアに基づいて排除することにより、より感度の高いバイオマーカー探索を行うことが可能になる。タンパク質の存在量を含む診断検査は、その変動が血液試料を採取した手順に起因し、当該個体の臨床状態に起因するものではない場合に、判断を誤らせる可能性がある。これは、妥当な試料採取手順の変動に相当するSMVスコアの閾値を満たさない試料を排除することで回避される。
【0047】
多くの既存の試料収集物は、試料採取手順の変動によって体系的に損傷を受けている。SMVスコアを用いて、試料収集物内または試料採取現場間におけるかかる変動を定量化することができ、これを用いて、症例と対照との間の試料採取の体系的な変動などの、研究者の判断を誤らせる可能性のある変動に基づいて、研究試料全体を排除することもできる。試料収集物が許容されないと見なされた場合に、かかる変動を評価するために必要なことは、収集物の下位集合のみを測定することであり、大幅な節約が可能である。研究の試料取得段階での試料採取を監視し、是正のための助言を行い、研究プロトコルの非遵守を検出することも可能である。既存のまたは進行中の研究試料の変動を監視するために必要なことは、収集物全体の一部の下位試料を測定することのみである。
【0048】
試料採取の変動を監視及び評価するためのこれらの技法は、研究プロトコルの最適化に適用することができ、バイオバンクなどの大規模な試料採取の取り組みの経済性の最大化に適用することができ、上記取り組みにおいて、特別な試料採取装置及び容器を使用するコストを、より安価なプロトコルでの運用に起因する変動及び損傷の正確な評価と比較することができる。
【0049】
場合によって、おそらくは、ほとんどの一般的な生物学的試料の収集物のレトロスペクティブな性質に起因して、初期状態の試料収集物を得ることはできない。また、一部の比較は、必然的に、異なる施設で採取された試料間、及び異なる時間に採取された試料の群の間で行われる場合がある。これらの試料収集物は採取手順の差異を示すこととなり、この差異によってプロテオミクスプロファイルの変化が生じることとなり、この変化は意図
する差次的な臨床上の比較と混同されることとなる。試料群間で整合性のある組を築き上げることにより、等価に採取された試料の下位集合を比較することが可能になる。
【0050】
血漿試料中のタンパク質分析対象物の測定は、試料を採取し取り扱うのに使用されるプロトコルによって顕著に影響を受ける可能性がある。指定された試料採取及び/または取り扱いプロトコルからの逸脱は、試料内のタンパク質レベルの変化、または陰性対照を含む多くの分析対象物のシグナルの変化を生じさせる、測定に対するその他の体系的な影響につながる可能性がある。かかる逸脱は、タンパク質分析対象物の測定に使用されるアッセイの種類に関係なく生じる可能性がある。
【0051】
一連の臨床試料の品質を評価するために、最も明らかなプロトコルからの逸脱の影響をキャラクタライズした。時間の関数としてのタンパク質組成の変化を、試料採取と遠心分離との間で評価した。さらに、時間の関数としてのタンパク質組成の変化を、試料の遠心分離と試料のデカントまでの時間との間で評価した。
【0052】
臨床試料の採取を評価するための定量的分類子として使用することができる、試料の誤った取り扱いに対する識別特性を特定した。さらに、分析対象物毎に、特に試料の採取と遠心分離との間での遅延、及び試料の遠心分離とデカントとの間での遅延に関する、採取プロトコルからの逸脱に対する当該分析対象物の測定値の感受性を捉えるメトリックを生み出した。
【実施例0053】
以下の実施例は例示のみを目的として提示するものであり、添付の特許請求の範囲によって規定される本出願の範囲を限定するものではない。本明細書に記載の全ての実施例は標準的な技法を用いて実施しており、該技法は当業者に周知かつ慣用である。以下の実施例に記載の慣用の分子生物学の技法は、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd. ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., (2001)などの標準的な実験室の手引きに記載されるとおりに実施することができる。
【0054】
実施例1 試料採取
血漿試料を、目的の変数を除いたすべての試料採取変数を、規定されたプロトコルに一定に保った18名の個体の群から採取した。異なる個体間の反応の変動を評価するために、同一の個体の組から複数の採血管に血液を採取した。
試料採取-ステップ
1.キャップ色が薄紫のEDTA管の有効期限を確認した。期限切れの場合は新品と交換した。
2.上記キャップ色が薄紫のEDTA管に参加者ID及び採血日を正しくラベル表示した。
3.標準的な健康及び安全の手順に準拠した施設の指針に従って、静脈穿刺を実施した。
4.上記キャップ色が薄紫のEDTA管に静脈穿刺からの試料を満杯に充填した。
5.複数の血液試料を同時に採取する場合、それぞれの採血管の血液試料を次の順:
a.血清用
b.クエン酸/血漿用
c.ヘパリン/血漿用
d.キャップ色が薄紫のEDTA管/血漿用
で採取した。
6.上記キャップ色が薄紫のEDTA管を8~10回反転させ、ラックに直立させて載
置した。
【0055】
遠心分離までの時間
試料をバキュテナー管に採取し、上記「試料採取-ステップ」に記載のように反転させた。続いて、18名の個体の試料のそれぞれについて、試料を遠心分離する前に、6つの異なる時間、すなわち、0、0.5、1.5、3、9、及び24時間が経過するようにした。キャップ色が薄紫のEDTA管を2200×g(RPMではない)で15分間遠心分離した。マイクロチューブに参加者IDを正しくラベル表示した。1.0mlの血漿をピペットでマイクロチューブに写した。血漿層のみを抜き出した。アリコートを抜き出す際に、一部の血漿を残して細胞層を避けることにより、バフィーコートを乱さないように注意を払った。マイクロチューブの上部を閉じ、-80℃の冷凍庫に入れた。
【0056】
デカント/凍結までの時間
試料は、上記の「試料採取-ステップ」及び「遠心分離までの時間」に記載のように、試料の遠心分離によって採取した。続いて、18名の個体の試料のそれぞれについて、遠沈した試料をデカントし凍結する前に、6つの異なる時間、すなわち、0、0.5、1.5、3、9、及び24時間が経過するようにした。
【0057】
単変量解析
モデルの創生の前に、遠心分離までの時間/デカントまでの時間に関するすべての分析対象物シグナルの単変量解析を行って、モデル構築に使用する特徴量(分析対象物)の数を削減した(
図1~2)。
【0058】
上記18名の個体の試料のRFUのピアソン相関(式1)を約5Kの分析対象物のそれぞれについて計算して、遠心分離までの時間/デカントまでの時間の変動による全般的な機能上の影響の情報を得た。
【数1】
【0059】
一連の挙動はあるものの、分析対象物は、ピアソン相関係数>0.95の高い識別特性(
図1)、または、18名の個体の試料において遠心分離までの時間による変化を実質的に示さない、相関係数<1E-3(
図2)の非常に低い識別特性としてキャラクタライズすることができる。
【0060】
遠心分離までの時間/デカントまでの時間との相関性が高い少数の分析対象物の要約統計量を表1及び2に示す。表3は、分析対象物の遠心分離までの時間/デカントまでの時間に対する重要度をランク付けしている。遠心分離までの時間のモデルには分析対象物の定性的な群、すなわち、遠心分離までの時間の増加に伴ってRFUに負または正の相関シフトを示す群、及び遠心分離までの時間に対する応答の程度が異なる群が存在する。表4は、測定された分析対象物のレベルと遠心分離までの時間の相関関係を示す(例えば、SHHの測定レベルは、採取から遠心分離までの時間が増加するにつれて減少する(負の相関))。
【0061】
計算された分析対象物の相関性を使用して、遠心分離までの時間/デカントまでの時間の分類に有用である可能性のある潜在的なマーカーの数を、約5K種から、計算されたピアソン相関が>|0.7|である約100種に削減した。この当初の一連の分析対象物を使用して、分類子を構築する際にさらに特徴量の削減を行う。
【0062】
実施例2 分類子の創生
試料取り扱いモデルを創生するためにランダムフォレスト分類子を選択した。ランダムフォレストの簡単な紹介、SOMAscanデータを使用したその実装、及び別の機械学習技法に対するその強みを次に示す。
【0063】
ランダムフォレストモデル
簡単に説明すると、ランダムフォレストは、以下の例のような多くの(数百の)決定木の集合体(
図4)である。ノードにおけるRFUレベルは、木を、エンドポイント及び分類予測につながるか、または別のノード(該ノードにおいて、さらなる分析対象物RFU値が木を再度分割し、複数の分岐をさらに下に導く)につながるかのいずれかの2つの方向に分割することとなる。
【0064】
ランダムフォレストの利点は、1つの決定木は
図4の複数の誤った離散化などの予測エラーを起こしやすく、数百の木上での平均予測では、任意の所与の予測に対するエラーが減少する(
図5)ことである。
【0065】
モデルの創生
ランダムフォレストモデルを、R言語によるCaret (Kuhn, M. (2008). Caret package. Journal of Statistical Software, 28(5))及びrandomForest(A. Liaw and M. Wiener (2002). Classification and Regression by randomForest. R News 2(3), 18-22)パッケージを用い、log
10変換したRFUデータに対して訓練した。当該モデルのパフォーマンスに対する各分析対象物の相対的な重要度の尺度であるIncNodePurity(分類におけるGini係数)を評価することにより、さらに特徴量の削減を実施した。本発明者らは、ここから特徴量をさらに削減して、遠心分離までの時間/デカントまでの時間における最も重要度の高い10種の分析対象物を含むモデルを創生した(表3、
図3)。
【0066】
個々の分析対象物を使用してモデルのパフォーマンスを評価する場合(
図6;PGAM1モデル)、2種のメトリック、すなわち、第1に、二乗平均平方根誤差(RMSE)を使用した、真の時間に対する予測時間の評価、または適正に採取された試料と見なされるもの(2時間未満の真の遠心分離までの時間/デカントまでの時間)もしくは不適正に採取されたと見なされるもの(2時間を超える真の時間)による試料の時間の閾値処理を使用する。この二項分類を使用して、予測値を、当該予測時間が適正に採取された試料であることを正確に表わすことを意味する真陽性(TP)、当該予測時間が不適正に採取された試料であることを正確に表わすことを意味する真陰性(TN)、ならびに交差項である偽陽性(FP)及び偽陰性(FN)として割り当てることができる。遠心分離までの時間の予測子としてPGAM1のみを使用して(
図X)、上記二項分類システムにおいて良好なレベルの感度/特異性が観測される。但し、遠心分離までの時間がより長くなると、多くの場合で真の値を過小評価または過大評価する。
【0067】
モデルの安定性
ランダムフォレストモデルが示す更なる利点は、アッセイにおけるノイズが発生した場合の安定性である。真の遠心分離までの時間が9時間の試料を想定する(
図7)。単一の分析対象物(この実施例ではSHH)に対するRFU値が何らかの効果量によって増減する場合には、このモデルの予測は、類似のナイーブベイズモデル(破線の曲線)よりも安定している(実線の曲線)。
【0068】
所与の試料及び遠心分離までの時間に関して、10種の分析対象物のそれぞれに対する
RFUを独立に調整すると、比較的安定した点であって、その周辺で実際の予測が顕著に変化しない上記の点があることが観測される(
図8)。分析対象物シグナルのより極端な変化では、連続的な変化ではなく、予測時間への小さな飛躍が観測される。
【0069】
二項分類のパフォーマンス
予め決められた2時間のカットオフ時間を用い、実際の遠心分離までの時間/デカントまでの時間が2時間未満である、「良好な」試料としての試料、及び実際の遠心分離までの時間/デカントまでの時間が2時間を超える、「問題のある/不良な」試料としての試料を使用して、実際のクラスであることがわかっているものに対する各モデルの予測値に対して、全体的な感度と特異性を明らかにした。この二項分類を使用して、予測値が、当該予測時間が適正に採取された試料であることを正確に表わすことを意味する真陽性(TP)、当該予測時間が不適正に採取された試料であることを正確に表わすことを意味する真陰性(TN)、ならびに交差項であり、不適正に採取された試料であることを誤って表わす偽陽性(FP)及び適正に採取された試料であることを誤って表わす偽陰性(FN)として割り当てられる。例えば、実際の1.5時間または3時間の時間におけるPGAM1モデル(
図6)に基づいて、表5の二項分類を実行した。
【0070】
【0071】
17種の試料が真陽性、15種が真陰性、1種が偽陰性、3種が偽陽性と位置付けられた。
【0072】
モデルの感度は
【数2】
と計算され、特異性は
【数3】
と計算される。
【0073】
2つの時点におけるこれらの18名の個体の試料に関し、感度/特異性は
【数4】
に相当する。
【0074】
18名の個体の試料全体にわたる感度/特異性を、上記6つの異なる遠心分離までの時間/デカントまでの時間において計算する。
【0075】
RMSEの計算
二乗平均平方根誤差(RMSE)は、各試料及び時間における予測に対する、真の遠心分離までの時間で計算したパフォーマンスの連続的な尺度である。
【数5】
【0076】
PGAM1マーカーの例における実際の9時間の遠心分離までの時間での18名の個体の試料の場合、この式の分子には表6のデータが含まれる。
【0077】
差の二乗を合算し、N=18の試料を使用すると上記式は次のようになる。
【数6】
【0078】
予測時間と実際の時間の間の差異を小さくするとRMSEが低下し、したがってモデルのパフォーマンスの良好な指標になる。すべての時点及び試料にわたってRMSEが0であることは、各予測が実際の遠心分離までの時間に等しいことに相当する(すなわち、完全な予測子)。
【0079】
モデルの訓練及びパフォーマンス
18名の個体の試料をモデルの訓練及びモデルのパフォーマンスの評価に用いた。「良
好な」試料を遠心分離までの予測時間が2時間未満であると定義して、2クラスシステムを作成した。さらに、実際の時間に対する予測される時間に関連する相対誤差は、モデルのパフォーマンスのさらなる指標である(RMSE)。ランダムフォレストモデルは予測値を0~24時間に制限する(データが利用可能な場合)。
図6は単一の分析対象物予測子を用いたモデルのパフォーマンスを示し、上記予測子を、試料が、正しく予測された2時間未満の遠心分離までの時間を有する試料である真陽性、及びそれに代わるクラスの予測子として正しく識別されたかどうかによって色分けし、モデルの精度の指標として、真の遠心分離までの時間に対してプロットしている。
【0080】
遠心分離までの時間が異なる18名の個体の試料の累積分布関数を
図9~18に示す。
【0081】
分析対象物モデルのパフォーマンス
個々の分析対象物及び分析対象物の組み合わせのパフォーマンスを定量化するための分析を表7~24にまとめる。表7は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する単一マーカーモデルのパフォーマンスの定量化のための遠心分離までの時間を示す。表8は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、2種マーカーモデルのパフォーマンスの定量化のための遠心分離までの時間を示す。表9は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、3種マーカーモデルのパフォーマンスの定量化のための遠心分離までの時間を示す。表10は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)を使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表11は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、インディアンヘッジホッグ(IHH)を使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表12は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、ADAM9を使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表13は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、DDX39Bを使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表14は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、FAM49Bを使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表15は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、PGAM1を使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表16は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、PTPN4を使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表17は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、RBP7を使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表18は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、S100A12を使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表19は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、TNFSF14を使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表20は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、単一マーカーモデルのパフォーマンスの定量化のためのデカントまでの時間を示す。表21は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、2種マーカーモデルのパフォーマンスの定量化のためのデカントまでの時間を示す。表22は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置し
た試料)に関する、3種マーカーモデルのパフォーマンスの定量化のためのデカントまでの時間を示す。表23は、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関する、IHH、RBP7、ADAM9、及びPTPN4の組み合わせを使用したモデルの遠心分離までの時間のパフォーマンスを示す。表24は、分析対象物の組み合わせ(その一部はPGAM1及び/またはPTPN4を含む)を使用したモデルの遠心分離までの時間の、すべての予測される時点(遠心分離する前に0、0.5、1.5、3、9、及び24時間放置した試料)に関するパフォーマンスを示す。
【0082】
分析対象物モデルのクラスタリング
各モデルのパフォーマンスを、各個体及び各時点の試料に対する、真の遠心分離までの時間に対する予測された遠心分離までの時間のRMSEを使用して定量化した。
図19は、1023種のモデルのRMSE値の分布を示す。この分布は、4群のモデルのパフォーマンス、すなわち、RMSEが0~0.35のパフォーマンスが高いモデル、RMSEが0.35~0.5の中間的なパフォーマンスのモデル、RMSEが0.5~1のパフォーマンスが低いモデル、及びRMSEが1~2のパフォーマンスが非常に低いモデルに分かれる。
【0083】
使用された分析対象物
図20~22に示すように、モデルのパフォーマンスの各群において、分析対象物が使用された回数の割合を定量化して、モデルのパフォーマンスに対する各分析対象物の重要度を明らかにした。
【0084】
モデルのパフォーマンスにおける分析対象物の群
高パフォーマンスモデルの必要な分析対象物の数の分布を
図23に示す。良好なパフォーマンスのモデルは、すべての分析対象物に対してわずか2種という少数の分析対象物しか使用しないということが可能である。
【0085】
実施例3 試料の多重化アプタマー分析
この実施例では、表1に示す試料採取/試料処理変動マーカーを特定するために試料及び対照を分析するのに使用した多重化アプタマーアッセイについて説明する。
【0086】
多重アプタマーアッセイ法
多重アプタマーアッセイのすべてのステップは、別段の指示がない限り、室温で実施した。
【0087】
アプタマー混合物原液の調製
5272種のアプタマーを、それぞれが血漿または血清試料の20%、0.5%、及び0.005%の希釈液に相当するDil1、Dil2、及びDil3の3種の、他とは異なる混合物中に群分けした。アプタマーの混合物への割り振りは、血漿及び血清試料を各アプタマーと組み合わせた希釈系列を分析し、最大の線形範囲のシグナルを与える試料希釈液を特定することによって経験的に決定した。アプタマーを分配し、且つアプタマーを血漿または血清試料の異なる希釈液(20%、0.5%、または0.005%)と混合することによって、107倍の範囲のタンパク質濃度に及ぶアッセイが可能となった。アプタマー混合物原液は、HE-Tween緩衝液(10mM Hepes、pH7.5、1mM EDTA、0.05% Tween 20)中、各アプタマーを4nMの濃度で調製し、-20℃で凍結保存した。4271種のアプタマーをDil1混合物中に、828種のアプタマーをDil2中に、173種のアプタマーをDil3混合物中に混合した。使用前に、原液をHE-Tween緩衝液で、0.55nMの各アプタマーの作業濃度まで希釈し、個々の使用アリコートに分注した。アプタマー混合物原液をCatch-0プ
レートの調製に使用する前に、作業溶液を、95℃で10分間、次いで25℃で少なくとも30分間インキュベートすることによって加熱/冷却して、アプタマーをリフォールディングした。
【0088】
Catch-0プレートの調製
60μLのStreptavidin Mag Sepharoseの10%スラリー(GE Healthcare, 28-9857)を96ウェルプレート(Thermo Scientific, AB-0769)の各ウェルに分注した。ビーズを175μLのアッセイ緩衝液(40mM HEPES、pH7.5、100mM NaCl、5mM KCl、5mM MgCl2、1mM EDTA、0.05% Tween-20)で1回洗浄し、次いで100μLの加熱/冷却したアプタマー混合物原液を各ウェルに添加した。プレートをThermoMixer C振とう器(Eppendorf)上、850rpmで振とうしながら、25℃で30分間インキュベートした。30分間のインキュベーション後に、6μLのMB Block緩衝液(50mM D-ビオチンの50mM Tris-HCl溶液、pH8、0.01% Tween)をプレートの各ウェルに添加し、プレートをさらに2分間振とうしながらインキュベートした。次いでプレートを、ThermoMixer C上、850rpmで振とうする1分間の洗浄サイクルにて、175μLのアッセイ緩衝液で洗浄し、続いて磁石上で30秒間分離を行った。洗浄液を除去した後に、ビーズを175μLのアッセイ緩衝液に再懸濁し、使用するまで-20℃で保存した。
【0089】
Catch-2ビーズの調製
アッセイのロボット処理を開始する前に、多重アプタマーアッセイのCatch-2ステップに使用するMyOne Streptavidin C1ビーズ(Dynabeads、商品番号35002D、Thermo Scientific)の10mg/mLビーズスラリーを、バルクで、MB Prep緩衝液(10mM Tris-HCl、pH8、1mM EDTA、0.4% SDS)により1回、5分間洗浄し、続いてアッセイ緩衝液で2回洗浄した。最後の洗浄後に、ビーズを10mg/mLの濃度で再懸濁し、75μLのビーズスラリーをCatch-2プレートの各ウェルに分注した。アッセイの開始時に、Catch-2プレートをアルミニウムアダプター中に載置し、Fluentのデッキの適宜の位置に載置した。
【0090】
試料の解凍及び希釈
80℃のMatrix管中に保存した100%血漿または血清試料の65μLアリコートを、室温で10分間インキュベートすることにより解凍した。解凍を促進するために、管をファン装置の上部に載置し、このファン装置がMatrix管ラックを通して空気を循環させた。解凍後に、試料を1000×gで1分間遠心分離し、Fluentロボットのデッキ上に載置し、試料を希釈した。35μLの解凍した試料を140μLの適宜の試料希釈液が入った96ウェルプレート中に移すことにより、20%試料溶液を調製した。血漿用の試料希釈液は、50mM Hepes、pH7.5、100mM NaCl、8mM MgCl2、5mM KCl、1.25mM EGTA、1.2mMベンザミジン、37.5μM Z-Block、及び1.2% Tween-20であった。血清試料の希釈液には75μM Zブロックが含まれ、その他の成分は血漿試料希釈液と同一の濃度であった。その後、0.5%及び0.005%の希釈試料を作製するためのアッセイ緩衝液中での希釈を、Fluentロボット上で段階希釈を用いて実施した。0.5%試料希釈液を作製するために、45μLの20%試料を180μLのアッセイ緩衝液と混合することにより20%試料から4%への中間希釈を行い、次いで25μLの4%希釈試料を175μLのアッセイ緩衝液と混合することにより0.5%試料を作製した。0.005%試料を作成するためには、20μLの0.5%試料を180μLのアッセイ緩衝液と混合して0.05%の中間希釈液を作製し、次いで20μLの0.05%試料を180μL
のアッセイ緩衝液と混合して、0.005%試料を作製した。
【0091】
試料結合ステップ
上述のようにして、ストレプトアビジン磁性セファローズビーズ上に上記アプタマー混合物を固定化することによって、Catch-0プレートを調製した。凍結プレートを25℃で30分間解凍し、175μLのアッセイ緩衝液で1回洗浄した。100μLの各試料希釈液(20%、0.5%、0.005%)を、3つの異なるアプタマー混合物原液(それぞれDil1、Dil2、Dil3)を含むビーズが入ったプレートに添加した。次いでCatch-0プレートをアルミニウム箔シール(Microseal ‘F’ Foil、Bio-Rad)で密封し、850rpm、28℃に設定した4プレート回転振とう器(PHMP-4, Grant Bio)中に載置した。試料結合ステップを3.5時間実施した。
【0092】
Fluentロボット上での多重アプタマーアッセイ処理
試料結合ステップが完結した後に、Catch-0プレートをアルミニウムプレートアダプター中に載置し、ロボットのデッキ上に載置した。温度制御したプレートを使用して磁性ビーズ洗浄ステップを実行した。後述するCatch-2洗浄を除いて、すべてのロボット処理ステップについて、プレートを25℃の温度に設定した。プレートを175μLのアッセイ緩衝液で4回洗浄し、各洗浄サイクルを、プレートを1000rpmで少なくとも1分間振とうし、続いて磁気ビーズを少なくとも30秒間分離し、その後緩衝液を吸引するようにプログラムした。最後の洗浄サイクル中に、100×Tag試薬(EZ-Link NHS-PEG4-ビオチン、商品番号21363、Thermo、無水DMSOで調製した100mM溶液)をアッセイ緩衝液で1:100に希釈することによってTag試薬を調製し、注入した。ロボットのデッキ上のトラフに注入した。100μLのTag試薬をプレートの各ウェルに添加し、1200rpmで振とうしながら5分間インキュベートして、ビーズ表面に捕捉されたタンパク質をビオチン化した。175μLのクエンチ緩衝液(20mMグリシンのアッセイ緩衝液溶液)を各ウェルに添加することによりビオチン化反応混合物をクエンチした。プレートを静置して3分間インキュベートし、次いで175μLのアッセイ緩衝液で4回洗浄し、洗浄は上記と同一条件下で実施した。
【0093】
光切断及び動態学的チャレンジ
プレートの最後の洗浄の後に、90μLの光切断緩衝液(2μMのオリゴヌクレオチド競合阻害物質のアッセイ緩衝液溶液;この競合阻害物質は5’-(AC-Bn-Bn)7-AC-3’(式中、Bnは5位がベンジル置換されたデオキシウリジン残基である)のヌクレオチド配列を有する)をプレートの各ウェルに添加した。プレートをFluentのデッキ上の光開裂補助装置に移動させた。この補助装置は、BlackRay光源(UVP XX-Series Bench Lamps、365nm)及び3つのBioshake 3000-T振とう器(Q Instruments)から構成される。プレートを1000rpmで振とうしながら20分間照射した。
【0094】
Catch-2ビーズの捕捉
光切断プロセスの終了時に、磁気分離により緩衝液をCatch-2プレートから除去し、プレートを100μLのアッセイ緩衝液で1回洗浄した。アプタマー-タンパク質複合体を含む光切断した溶出液を、希釈液3のプレートから始めて、各Catch-0プレートから抜き出した。全ての90μLのこの溶液を、最初に、磁石を上昇させた状態での上記振とう器上に配置したCatch-1溶出液プレートに移して、吸引された可能性のあるいずれのストレプトアビジン磁性セファローズビーズもトラップした。その後、溶液をCatch-2プレートに移し、プレートを1400rpmで振とうしながら、25℃で3分間インキュベートした。この3分間のインキュベーション後に、磁性ビーズを90秒間分離し、溶液をプレートから除去し、光切断したDil2プレート溶液をプレートに添加した。同一のプロセスに続いて、Dil1プレート由来の溶液を添加し、3分間インキュベートした。この3分間のインキュベーションの終了時に、6μLのMBブロック緩衝液を上記磁性ビーズの懸濁液に添加し、ビーズを1200rpmで振とうしながら、25℃で2分間インキュベートした。このインキュベーション後に、プレートを38℃の温度に事前設定した別の振とう器に移した。磁性ビーズを2分間分離した後に溶液を除去した。次に、Catch-2プレートを175μLのMB洗浄緩衝液(アッセイ緩衝液中の20%グリセロール)で4回洗浄し、各洗浄サイクルを、ビーズを1200rpmで1分間振とうし、ビーズを磁石上で3.5分間分離するようにプログラムした。最後のビーズ分離ステップの間には、振とう器温度を25℃に設定した。次いで、ビーズを175μLのアッセイ緩衝液で1回洗浄した。この洗浄ステップについては、ビーズを1200rpmで1分間振とうし、次いで磁石上で2分間分離した。この洗浄ステップに続いて、溶出緩衝液(1.8M NaClO4、40mM PIPES、pH6.8、1mM EDTA、0.05% TritonX-100)を使用して、精製したアプタマー-タンパク質複合体からアプタマーを溶出させた。溶出は、75μLの溶出緩衝液を使用し、ビーズを1250rpmで振とうしながら、25℃で10分間実施した。70μLの溶出液をアーカイブプレートに移し、磁石上で分離して、いずれの吸引された可能性のある磁性ビーズも分離した。10μLの溶出物を黒色のハーフエリアプレートに移し、アッセイ緩衝液で1:5に希釈し、内部アッセイ精度管理として監視するCy3蛍光シグナルの測定に使用した。20μLの溶出物を、5μLのハイブリダイゼーションブロッキング溶液(Oligo aCGH/ChIP-on-chip Hybridization Kit、大容量、Agilent Technologies 5188-5380、Agilentアレイ上のコーナーマーカープローブに相補的なシアニン3標識DNA配列のスパイクを含む)が入ったプレートに移した。このプレートをロボットのデッキから取り外し、ハイブリダイゼーションのためのさらなる処理を行った(以下を参照のこと)。溶出液が残っているアーカイブプレートをアルミニウム箔でヒートシールし、-20℃で保存した。
【0095】
ハイブリダイゼーション
25μLの2×Agilentハイブリダイゼーション緩衝液(Oligo aCGH/ChIP-on-chipハイブリダイゼーションキット、Agilent Technologies、商品番号5188-5380)を、上記溶出した試料及びブロッキング緩衝液が入った上記プレートの各ウェルに手動にてピペットで移した。40μLのこの溶液を、ハイブリダイゼーションガスケットスライド(ハイブリダイゼーションガスケットスライド-スライドフォーマット当り8マイクロアレイ、Agilent Technologies)の各「ウェル」に手動にてピペットで移した。各アプタマーに相補的なアレイ毎に10個のプローブを含むCustom SurePrint G3 8×60k Agilentマイクロアレイスライドを、製造元のプロトコルに従って上記ガスケットスライド上に載置した。各アセンブリ(ハイブリダイゼーションチャンバーキット-SureHyb対応、Agilent Technologies)をしっかりと固定し、ハイブリダイゼーションオーブンに55℃、20rpmで19時間入れた。
【0096】
ハイブリダイゼーション後の洗浄
Little Dipper Processor(モデル650C、Scigene)を使用してスライド洗浄を行った。約700mLの洗浄緩衝液1(Oligo aCGH/ChIP-on-chip洗浄緩衝液1、Agilent Technologies)を大きなガラス製染色皿に注ぎ、これを使用してマイクロアレイスライドをガスケットスライドから分離した。分解したところで、スライドをLittle Dipper上の洗浄緩衝液1が入った浴中のスライドラック中にすばやく移した。これらのスライドを、磁気撹拌子によって混合しながら、洗浄緩衝液1中で5分間洗浄した。次いで上記スライドラックを37℃の洗浄緩衝液2(Oligo aCGH/ChIP-onchip洗浄緩衝液2、Agilent Technologies)が入った浴に移し、撹拌しながら5分間インキュベートした。上記スライドラックを2番目の浴からゆっくりと取り出し、アセトニトリルが入った浴に移し、撹拌しながら5分間インキュベートした。
【0097】
マイクロアレイ画像化
マイクロアレイスライドを、マイクロアレイスキャナー(Agilent G4900DAマイクロアレイスキャナーシステム、Agilent Technologies)を用い、100% PMT設定にて3μmの解像度、及び20ビットオプションを有効にして、シアニン3チャネルで画像化した。得られたtiff画像を、GE1_1200_Jun14プロトコルを備えたAgilent Feature Extractionソフトウェア(バージョン10.7.3.1以降)を使用して処理した。