(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095749
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20240703BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20240703BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240703BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240703BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/293
H01M50/291
H01M50/209
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061252
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2022531447の分割
【原出願日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】201911198132.9
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】何▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
(72)【発明者】
【氏名】万▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA02
5H040AA37
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC05
5H040CC28
5H040CC34
5H040JJ03
5H040JJ06
5H040LL01
5H040LL06
5H040NN01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】剛性及び強度が大幅に向上し、機械的安全性・信頼性が向上した電池パックを提供する。また車両の構造強度を強化することができる電池パックを提供する。
【解決手段】電池アレイであって、複数の電池セルを含み、各電池セルは、長さL、厚さD、及び、前記長さLと厚さDとの間の高さHで規定され、複数の単電池102は、厚さ方向に沿って配列され、かつ、複数の単電池は構造用接着剤により互いに接着される、電池アレイ101と、2つの第1の補強板104であって、2つの第1の補強板は、互いに反対側に設けられ、かつ、2つの第1の補強板は、それぞれ、前記単電池の配列方向に沿って前記電池アレイの2つの表面に接着され、前記単電池間の相対位置を拘束する、2つの第1の補強板と、を含むことを特徴とする、電池パックが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池アレイであって、複数の電池セルを含み、各電池セルは、長さL、厚さD、及び、
前記長さLと厚さDとの間の高さHで規定され、複数の単電池は、厚さ方向に沿って配列
され、かつ、複数の単電池は構造用接着剤により互いに接着される、電池アレイと、
2つの第1の補強板であって、2つの第1の補強板は、互いに反対側に設けられ、かつ
、2つの第1の補強板は、それぞれ、前記単電池の配列方向に沿って前記電池アレイの2
つの表面に接着され、前記単電池間の相対位置を拘束する、2つの第1の補強板と、を含
むことを特徴とする、電池パック。
【請求項2】
前記2つの第1の補強板は、それぞれ前記単電池の高さ方向に沿って反対側の2つの表
面に接着されることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
少なくとも1つの前記単電池は、600mm≦L≦2500mm、かつ、10≦L/D
≦208を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池パックは、前記単電池の高さ方向に沿って設けられた複数層の電池アレイを含
み、隣接する二層の電池アレイの間に仕切り板が設けられ、前記仕切り板は、前記仕切り
板の両側に位置する電池アレイに固定的に貼り付けられることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項5】
少なくとも2つの隣接する前記単電池の間に第2の補強板が設けられ、前記第2の補強
板は、前記第2の補強板の両側に位置する単電池に固定的に貼り付けられることを特徴と
する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記電池パックは、上部カバー及びトレイをさらに含み、前記トレイは、底板及び前記
底板の周囲に周設された側枠を含み、前記上部カバーと前記トレイは、接続されて電池収
容キャビティを画定し、前記電池アレイは、前記電池収容キャビティ内に位置することを
特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記2つの第1の補強板は、それぞれ前記上部カバーと前記底板を構成することを特徴
とする、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記電池パックは、保護板をさらに含み、前記保護板は、前記底板の外表面に位置する
ことを特徴とする、請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記保護板は、二層のアルミニウム板と、前記二層のアルミニウム板の間に挟まれた鋼
板又は発泡アルミニウム板を含み、
或いは、前記保護板は、二層の繊維複合層と、前記二層の繊維複合層の間に挟まれた発
泡ポリマー層を含み、前記繊維複合層は、ガラス繊維層又は炭素繊維層を含むことを特徴
とする、請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
前記2つの第1の補強板の外表面は、それぞれ前記上部カバーの内表面と前記底板の内
表面に接着されることを特徴とする、請求項6~9のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項11】
前記底板と前記上部カバーのうちの少なくとも1つは、二層のアルミニウム板と、前記
二層のアルミニウム板の間に挟まれた鋼板又は発泡アルミニウム板を含み、
或いは、前記底板と前記上部カバーのうちの少なくとも1つは、二層の繊維複合層と前
記二層の繊維複合層の間に挟まれた発泡ポリマー層を含み、前記繊維複合層は、ガラス繊
維層又は炭素繊維層を含むことを特徴とする、請求項6~10のいずれか1項に記載の電
池パック。
【請求項12】
前記上部カバーの前記側枠に対応する位置にシール溝が設けられ、前記シール溝にシー
ラント層が設けられ、前記上部カバーと前記トレイは、前記シーラント層によりシール接
続されることを特徴とする、請求項6~11のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項13】
前記電池アレイと前記側枠との間の隙間に構造用接着剤が充填されることを特徴とする
、請求項6~12のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項14】
前記単電池は、長さ方向に沿って互いに反対側に配置された第1の端部及び第2の端部
を含み、前記側枠は、前記単電池の長さ方向に沿って互いに反対側に設けられた第1の側
枠及び第2の側枠を含み、各単電池の第1の端部は、前記第1の側枠に支持され、各単電
池の第2の端部は、前記第2の側枠に支持されることを特徴とする、請求項6~13のい
ずれか1項に記載の電池パック。
【請求項15】
前記第1の側枠に第1の支持段部が設けられ、前記第2の側枠に第2の支持段部が設け
られ、前記単電池の第1の端部は、前記第1の支持段部に支持され、前記単電池の第2の
端部は、前記第2の支持段部に支持されることを特徴とする、請求項14に記載の電池パ
ック。
【請求項16】
前記電池パックは、支持構造をさらに含み、各単電池の第1の端部と前記第1の側枠と
の間、及び/又は、各単電池の第2の端部と前記第2の側枠との間は、前記支持構造によ
り嵌合支持されることを特徴とする、請求項15に記載の電池パック。
【請求項17】
前記支持構造は、第1の支持ブロックを含み、各単電池の第1の端部の下表面は、前記
第1の支持ブロックにより前記第1の側枠に支持され、及び/又は、各単電池の第2の端
部の下表面は、前記第1の支持ブロックにより前記第2の側枠に支持されることを特徴と
する、請求項16に記載の電池パック。
【請求項18】
前記支持構造は、第2の支持ブロックを含み、各単電池の第1の端部の前記第1の側枠
に面する側面は、前記第2の支持ブロックにより前記第1の側枠と嵌合され、及び/又は
、各単電池の第2の端部の前記第2の側枠に面する側面は、前記第2の支持ブロックによ
り前記第2の側枠と嵌合されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の電池パッ
ク。
【請求項19】
各単電池は、電極端子を含み、前記電極端子は、それぞれ各単電池の第1の端部と第2
の端部に設けられ、前記支持構造に開孔が設けられ、各単電池の電極端子は、それぞれ前
記開孔を貫通してセルコネクタにより電気的に接続されることを特徴とする、請求項16
~18のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項20】
前記電池パックは、絶縁仕切り板をさらに含み、前記絶縁仕切り板は、前記支持構造と
前記側枠の内表面との間に位置することを特徴とする、請求項19に記載の電池パック。
【請求項21】
前記電池パックは、単電池の配列方向に沿って反対側に設けられた第3の側枠及び第4
の側枠を含み、前記第3の側枠及び前記第4の側枠は、それぞれ隣接する単電池に貼り付
けて固定されることを特徴とする、請求項6~20のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項22】
前記第3の側枠及び/又は前記第4の側枠に補強ビームが設けられ、前記補強ビームは
、電池アレイの膨張を制限することを特徴とする、請求項21に記載の電池パック。
【請求項23】
前記第1の補強板の厚さは、1~3mmであることを特徴とする、請求項1~22のい
ずれか1項に記載の電池パック。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の電池パックを含むことを特徴とする、電気自動
車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2019年11月29日に提出し
た、発明の名称「電池パック及び電気自動車」の中国特許出願第「2019111981
32.9」号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込
まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の分野に関し、特に、電池パック及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、電池パックは、トレイ及びシールカバーを含み、電池モジュールは
、トレイ及びシールカバーにより画定された収容キャビティ内に位置し、トレイは、トレ
イ底板及び底板の周囲に接続されたサイドビームを含み、トレイの剛性及び強度を増加さ
せるために、トレイ内に補強のための横ビーム及び/又は縦ビームが設けられ、電池モジ
ュールは、ネジ又は他の構造部材により横ビーム及び/又は縦ビームに固定される。電池
パック内部の電池、構造部材がいずれもその内部に散在し、締結部材又は接着技術で一体
に組み合わせられるため、該種類の電池パックは、システムレベルからみると、一体性が
高くない。これにより、電池パックが車両に取り付けられた後、電池パック自体の構造の
みによって、車両レベルの機械的安全性能を満たすことができず、さらに車両のフレーム
で電池パックの構造を支持し保護する必要がある。そのため、現在の電池パック及び車両
のコンパクト化及び軽量化を実際に実現することができず、全体的なコストが高く、車両
及び電池パックの構造設計が複雑であることをもたらす。
【発明の概要】
【0004】
上述した少なくとも1つの技術的課題を解決するために、本願の第1の態様に係る電池
パックは、長さL、厚さD及び前記長さLと厚さDとの間の高さHを有し、前記厚さ方向
に沿って配列され、かつ構造用接着剤により接着される複数の単電池を含む電池アレイと
、互いに反対側に設けられ、かつ前記単電池の配列方向に沿って前記電池アレイの2つの
表面に接着されることにより、前記単電池の間の相対位置を拘束するための2つの第1の
補強板と、を含む。
【0005】
本願のいくつかの実施形態では、前記2つの第1の補強板は、それぞれ前記単電池の高
さ方向に沿って反対側の2つの表面に接着される。
【0006】
本願のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの前記単電池は、600mm≦L≦2
500mm、かつ、10≦L/D≦208を満たす。
【0007】
本願のいくつかの実施形態では、前記電池パックは、前記単電池の高さ方向に沿って設
けられた複数層の電池アレイを含み、隣接する二層の電池アレイの間に仕切り板が設けら
れ、前記仕切り板は、前記仕切り板の両側に位置する電池アレイに固定的に貼り付けられ
る。
【0008】
本願のいくつかの実施形態では、少なくとも2つの隣接する前記単電池の間に第2の補
強板が設けられ、前記第2の補強板は、前記第2の補強板の両側に位置する単電池に固定
的に貼り付けられる。
【0009】
本願のいくつかの実施形態では、前記電池パックは、上部カバー及びトレイをさらに含
み、前記トレイは、底板及び前記底板の周囲に周設された側枠を含み、前記上部カバーは
、前記トレイに接続されて電池収容キャビティを画定し、前記電池アレイは、前記電池収
容キャビティ内に位置する。
【0010】
本願のいくつかの実施形態では、前記2つの第1の補強板は、それぞれ前記上部カバー
と前記底板を構成する。
【0011】
本願のいくつかの実施形態では、前記電池パックは、保護板をさらに含み、前記保護板
は、前記底板の外表面に位置する。
【0012】
本願のいくつかの実施形態では、前記保護板は、二層のアルミニウム板と前記二層のア
ルミニウム板の間に挟まれた鋼板又は発泡アルミニウム板を含み、
或いは、前記保護板は、二層の繊維複合層及び前記二層の繊維複合層の間に挟まれた発
泡ポリマー層を含み、前記繊維複合層は、ガラス繊維層又は炭素繊維層を含む。
【0013】
本願のいくつかの実施形態では、前記2つの第1の補強板の外表面は、それぞれ前記上
部カバーの内表面と前記底板の内表面に接着される。
【0014】
本願のいくつかの実施形態では、前記底板と前記上部カバーのうちの少なくとも1つは
、二層のアルミニウム板と前記二層のアルミニウム板の間に挟まれた鋼板又は発泡アルミ
ニウム板を含み、
或いは、前記底板と前記上部カバーのうちの少なくとも1つは、二層の繊維複合層と前
記二層の繊維複合層の間に挟まれた発泡ポリマー層を含み、前記繊維複合層は、ガラス繊
維層又は炭素繊維層を含む。
【0015】
本願のいくつかの実施形態では、前記上部カバーの前記側枠に対応する位置にシール溝
が設けられ、前記シール溝にシーラント層が設けられ、前記上部カバーと前記トレイは、
前記シーラント層によりシール接続される。
【0016】
本願のいくつかの実施形態では、前記電池アレイと前記側枠との間の隙間に構造用接着
剤が充填される。
【0017】
本願のいくつかの実施形態では、前記単電池は、長さ方向に沿って互いに反対側に設け
られた第1の端部及び第2の端部を含み、前記側枠は、前記単電池の長さ方向に沿って互
いに反対側に設けられた第1の側枠及び第2の側枠を含み、前記単電池の第1の端部は、
前記第1の側枠に支持され、前記単電池の第2の端部は、前記第2の側枠に支持される。
【0018】
本願のいくつかの実施形態では、前記第1の側枠に第1の支持段部が設けられ、前記第
2の側枠に第2の支持段部が設けられ、前記単電池の第1の端部は、前記第1の支持段部
に支持され、前記単電池の第2の端部は、前記第2の支持段部に支持される。
【0019】
本願のいくつかの実施形態では、前記電池パックは、支持構造をさらに含み、前記単電
池の第1の端部と前記第1の側枠との間及び/又は前記単電池の第2の端部と前記第2の
側枠との間は、前記支持構造により嵌合支持される。
【0020】
本願のいくつかの実施形態では、前記支持構造は、第1の支持ブロックを含み、前記単
電池の第1の端部の下表面は、前記第1の支持ブロックにより前記第1の側枠に支持され
、及び/又は、前記単電池の第2の端部の下表面は、前記第1の支持ブロックにより前記
第2の側枠に支持される。
【0021】
本願のいくつかの実施形態では、前記支持構造は、第2の支持ブロックを含み、前記単
電池の第1の端部の前記第1の側枠に面する側面は、前記第2の支持ブロックにより前記
第1の側枠と嵌合され、及び/又は、前記単電池の第2の端部の前記第2の側枠に面する
側面は、前記第2の支持ブロックにより前記第2の側枠と嵌合される。
【0022】
本願のいくつかの実施形態では、前記単電池は、電極端子を含み、前記電極端子は、そ
れぞれ単電池の第1の端部と第2の端部に設けられ、前記支持構造に開孔が設けられ、複
数の前記単電池の電極端子は、前記開孔を貫通してセルコネクタにより電気的に接続され
る。
【0023】
本願のいくつかの実施形態では、前記電池パックは、絶縁仕切り板をさらに含み、前記
絶縁仕切り板は、前記支持構造と前記側枠の内表面との間に位置する。
【0024】
本願のいくつかの実施形態では、前記電池パックは、単電池の配列方向に沿って互いに
反対側に設けられた第3の側枠及び第4の側枠を含み、前記第3の側枠及び前記第4の側
枠は、それぞれ隣接する単電池に貼り付けて固定される。
【0025】
本願のいくつかの実施形態では、前記第3の側枠及び/又は前記第4の側枠に補強ビー
ムが設けられ、前記補強ビームは、電池アレイの膨張を制限する。
【0026】
本願のいくつかの実施形態では、前記第1の補強板の厚さは、1~3mmである。
【0027】
本願の第2の態様に係る電気自動車は、上記いずれか1項に記載の電池パックを含む。
【0028】
従来技術に比べて、本願の有益な効果は以下のとおりである。本願は、電池アレイの単
電池の配列方向に沿った反対側の2つの表面に、単電池の間の相対位置を拘束するための
2つの第1の補強板を設けることにより、単電池を互いに接着するときに、隣接する2つ
の単電池の隙間に存在する弱い箇所を除去し、かつ2つの第1の補強板と電池アレイは、
ハニカム状構造を構成することにより、電池パックを剛性の高い一体構造部材となるよう
に設計し、該種類のハニカム状構造は、不安定抵抗能力が高く、曲げ剛性が高く、軽量化
効果が明らかで、電池パックの剛性及び強度が大幅に向上し、機械的安全性・信頼性が向
上する。使用時に該一体型電池パックの構造強度を車両の構造強度の一部とすることによ
り、電池パックは、車両の構造強度を強化することができ、車両で電池パックを保護する
必要がなく、該設計により車両のフレームにおける電池パックの構造強度を保護するため
の設計構造を簡略化ないし省略し、車両の軽量化の設計要件を満たし、車両の設計及び製
造コストを低減し、車両の製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本願に係る電池アレイに第1の補強板が接着されることを示す概略構成図である。
【
図4】本願に係る電池アレイがトレイの内部に位置することを示す概略構成図である。
【
図5】本願に係る電池アレイがトレイ及び上部カバーに接着されることを示す概略構成図である。
【
図6】本願に係る電池アレイがトレイの側枠と嵌合されることを示す概略構成図である。
【
図8】本願に係る第1の支持構造の概略構成図である。
【
図9】本願に係る第2の支持構造の概略構成図である。
【
図10】本願に係る第2の支持構造、セルコネクタ及び絶縁端部カバーの分解図である。
【
図11】本願に係る第1の補強板がトレイの底板に接着されることを示す概略構成図である。
【
図12】本願に係る底板の外表面に保護板が設けられることを示す概略構成図である。
【
図13】本願に係る電池アレイに第2の補強板が設けられることを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示すように、本願に係る電池パック100は、長さL、厚さD及び上記長さLと
厚さDとの間の高さHを有し、厚さ方向に沿って配列され、かつ構造用接着剤1011に
より接着される複数の単電池102を含む電池アレイ101と、互いに反対側に設けられ
、かつ単電池102の配列方向に沿って電池アレイ101の2つの表面に接着されること
により、単電池102の間の相対位置を拘束するための2つの第1の補強板104と、を
含む。
【0031】
従来技術において、複数の単電池102は、まず電池モジュールに組み立てられ、複数
の電池モジュールは、締結部材又は構造用接着剤により接着されて電池パック100に組
み立てられ、電池パック100内の電池及び構造は比較的散在し、締結部材と電池との間
の隙間、電池と電池との間の隙間、締結部材と締結部材との間の隙間に、いずれも多くの
力受けの弱い箇所が存在し、電池パック100全体が外部からの押圧又は衝撃作用を受け
ると、これらの力受けの弱い箇所は、外力作用により先に破壊され、締結部材と接着剤の
締結作用が失われ、電池パック100全体も迅速に破壊される。
【0032】
外力による破壊に抵抗するために、関連技術において、電池パック100のハウジング
の強度を向上させることにより、外力の衝撃に抵抗できるようにし、電池パック100の
強度を向上させるために、より高い強度の鋼又はより厚いトレイ103の底板1035を
使用し、或いはトレイ103をキャビティを有する多層構造となるように設け、キャビテ
ィ構造内に補強リブを設けるが、いずれの実現方式であっても、電池パック100全体の
重量を増加させるか、又は電池パック100の限られた利用空間を減少させ、電池パック
100のエネルギー密度を低下させる。
【0033】
本願では、単電池102が接着されて電池アレイ101を形成し、電池アレイ101の
単電池102の配列方向に沿った反対側の2つの表面に第1の補強板104が接着され、
2つの第1の補強板104は、複数の単電池102の間の相対位置を拘束し、かつ複数の
単電池102を一体構造に接続することができ、該一体構造は、単電池102の間に存在
する隙間による弱い箇所を解消することができ、電池パック100を極めて高い剛性を有
する構造部材となるように設計する。他方では、2つの第1の補強板104と2つの第1
の補強板104の間に位置する電池アレイ101は、ハニカム状構造を構成し、力学的角
度から分析すると、該ハニカム状構造は、最も少ない材料で最大の力を受けることができ
、電池アレイ101が第1の補強板104に垂直な荷重を受ける場合、第1の補強板10
4と電池アレイ101は協調して変形する。電池パック100の剛性及び強度が大幅に向
上し、機械的安全性・信頼性が向上する。
【0034】
本願では、
図14に示すように、単電池102は、直方体構造の角形電池であり、厚さ
方向に互いに反対側の2つの第1の表面、高さ方向に互いに反対側の2つの第2の表面、
及び長さ方向に互いに反対側の2つの第3の表面を含み、第1の表面の面積は第2の表面
の面積よりも大きく、かつ第1の表面の面積は第3の表面の面積よりも大きい。
【0035】
単電池102は、厚さ方向に沿って配列され、かつ単電池102の間は、構造用接着剤
で固定的に接着され、すなわち、単電池102の第1の表面が互いに接着され、換言すれ
ば、単電池102の間は、大きな表面同士が対向するように配列されて接着されることに
より、単電池102の接着面積を向上させ、単電池102の間の接着力を増大させること
ができ、
単電池102の配列方向に、単電池102と単電池102との間にずれ移動が発生しや
すいため、2つの第1の補強板104は、単電池102の配列方向に沿って電池アレイ1
01の互いに反対側の2つの表面に接着されることにより、単電池102の間の相対位置
を拘束しやすくなる。
【0036】
本願では、2つの第1の補強板104は、単電池102の2つの第2の表面に接着され
てもよく、単電池102の2つの第3の表面に接着されてもよい。
【0037】
本願では、単電池102の長さが高さよりも大きく、かつ高さが厚さよりも大きいため
、長さ及び厚さで構成された第2の表面の面積は、高さ及び厚さで構成された第3の表面
の面積よりも大きく、接着力を増加させるために、好ましくは、2つの第1の補強板10
4は、単電池102の第2の表面に接着される。
【0038】
本願では、全ての単電池102の配列方向に沿った2つの表面は、いずれも第1の補強
板104に接着されてもよく、一部のみの単電池102の配列方向に沿った2つの表面は
、いずれも第1の補強板104に直接接着されてもよい。
【0039】
すなわち、本願では、一部の単電池の2つの第2の表面又は2つの第3の表面は、第1
の補強板104に接着されてもよく、他の一部の単電池102の2つの第2の表面又は2
つの第3の表面は、第1の補強板104に接着されていなくてもよい。
【0040】
接着強度を向上させるために、2つの第1の補強板104に直接接着された単電池10
2の数は、電池アレイ101に含まれた単電池の数の半分以上である。
【0041】
電池アレイ101における少なくとも1つの単電池102に対して、該単電池102の
2つの第2の表面又は2つの第3の表面は、いずれも2つの第1の補強板104に接着さ
れてもよく、該単電池102の2つの第2の表面又は2つの第3の表面のうちの一方の表
面が第1の補強板104に接着され、他方の表面が第1の補強板104に接着されていな
くてもよい。
【0042】
本願では、単電池102の2つの第2の表面又は2つの第3の表面の全域は、第1の補
強板104に接着されてもよく、一部の単電池102の第2の表面の一部の領域又は第3
の表面の一部の領域は、第1の補強板104に接着されてもよい。
【0043】
電池パック100全体の強度を向上させるために、本願では、好ましくは、電池アレイ
101における全ての単電池102の2つの第2の表面又は2つの第3の表面は、いずれ
も第1の補強板104に接着され、これにより電池パック100の強度及び剛性を最大限
に向上させることができる。
【0044】
本願では、2つの第1の補強板104の形状及び面積は特に限定されず、2つの第1の
補強板104は、自体が一定の強度を有し、電池アレイ101を一体に接続することがで
き、電池アレイ101の構造強度を増加させることができ、かつ変形しにくいという要件
を満たせばよい。
【0045】
いくつかの実施例では、第1の補強板104の形状は、電池アレイ101の該第1の補
強板104が接着された表面の形状と同じであり、かつ対応して設けられ、これにより第
1の補強板104は、電池アレイ101の表面に、より容易に貼り付けられる。
【0046】
いくつかの実施例では、第1の補強板104の面積は、電池アレイ101の該第1の補
強板104が接着された表面の面積と異なってもよく、電池パック100の強度が要件を
満たし、かつ第1の補強板104が電池アレイ101を一体に接続することができる場合
、第1の補強板104の面積は、電池アレイ101の該第1の補強板104が接着された
表面の面積より小さくてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の補強板104は「┐」型板体であり
、「┐」型板体の「一」の部分は、電池アレイ101における単電池102の第2の表面
に貼り合せて設けられ、「┐」の「│」の部分は、電池アレイ101における単電池10
2の第3の表面に貼り合わせて設けられ、或いは、「┐」型板体の「一」の部分は、電池
アレイ101における単電池102の第3の表面に貼り合わせて設けられ、「┐」の「│
」の部分は、電池アレイ101における単電池102の第2の表面に貼り合わせて設けら
れる。
【0048】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の補強板104は、「凵」型板体であ
り、「凵」型板体の「一」の部分は、電池アレイ101における単電池102の第2の表
面に貼り合わせて設けられ、「凵」型板体の2つの「│」の部分は、電池アレイ101に
おける単電池102の第3の表面に貼り合わせて設けられ、或いは、「凵」型板体の「一
」の部分は、電池アレイ101における単電池102の第3の表面に貼り合わせて設けら
れ、「凵」型板体の2つの「│」の部分は、電池アレイ101における単電池102の第
2の表面に貼り合わせて設けられる。
【0049】
第1の補強板104の縁部には、電池アレイ101の側辺面に折り曲げられた折り曲げ
部を設けることにより、電池アレイ101全体の強度及び構造安定性を向上させることが
できる。
【0050】
本願では、第1の補強板104と電池アレイ101における単電池102は、ハニカム
状構造を構成し、第1の補強板104と電池アレイ101における単電池102は、協調
して変形する。第1の補強板104の変形が、同時に単電池102を変形させ、単電池1
02の第1の表面に付加的な曲げモーメントを増加させることに相当するため、ハニカム
状構造の強度の低下につながる。第1の補強板104の厚さの増加に伴って、ハニカム状
構造の強度を増加させる。しかしながら、第1の補強板104の厚さの増加に伴う、ハニ
カム状構造の強度の増加には、最大値が存在する。この理由は、次の通りである。第1の
補強板104の厚さの増加により、第1の補強板104の曲げ剛性を向上させ、第1の補
強板104の厚さがある程度まで増加すると、ハニカム状構造の強度は、電池アレイ10
1の強度に依存するようになる。最終的に第1の補強板104が不安定になり、崩壊する
と、ハニカム状構造全体の支持能力が失われる。本願の発明者は、複数回の実験を通じて
、第1の補強板104の厚さが0.5~5mm、好ましくは1~3mmである場合、該厚
さ範囲内の第1の補強板104を利用してハニカム状構造が最適な補強効果を達成できる
ことを発見した。
【0051】
本願では、第1の補強板104は、いずれも金属材料で製造される。
【0052】
金属材料の第1の補強板104は、内部の単電池102を保護する一方で、放熱の効果
を果たすことができ、第1の補強板104は、熱伝導率が高い金属材質を用いることがで
き、アルミニウム、銅及びその合金を含むがこれらに限定されない。
【0053】
実際の実施において、第1の補強板104は、熱伝導性が高く、かつ密度が小さいアル
ミニウム合金材料で製造されてもよい。
【0054】
図1、
図6及び
図14に示すように、単電池102の長さ方向はY方向として定義され
、高さ方向はZ方向として定義され、厚さ方向はX方向として定義される。
【0055】
単電池102は、略直方体構造であり、単電池102は、直方体又は立方体であっても
よく、又は、局所に異形があるが、ほぼ直方体又は立方体であってもよく、又は、局所に
切り欠き、突起、面取り、曲がり、及び屈曲部位があるが、全体としてほぼ直方体又は立
方体であってもよいことが理解できる。
【0056】
いくつかの実施形態では、単電池102は、600mm≦L≦2500mm、かつ、1
0≦L/D≦208を満たす。
【0057】
単電池102は、長さが長く、厚さが薄く、単電池102を強度が大きい剛性部材と見
なすことができ、ハウジング内に補強ビームとしてよく機能し、ハウジング内の補強リブ
の使用を減少させることができ、このように、電池パック100全体の重量を軽減するこ
とに役立つだけでなく、ハウジングの構造を大幅に簡略化することができ、それにより電
池パック100の空間利用率及び電池パック100のエネルギー密度を向上させることに
役立つ。
【0058】
いくつかの実施例では、単電池102の高さ方向(すなわち、Z方向)に、複数層の電
池アレイ101が設けられ、隣接する二層の電池アレイ101の間に仕切り板が設けられ
、上記仕切り板は、上記仕切り板の両側に位置する電池アレイ101に固定的に貼り付け
られる。
【0059】
該実施形態では、二層の電池アレイ101の間に仕切り板を設けることにより、各層の
電池アレイ101と電池アレイ101の上、下表面に位置する仕切り板又はパネルは、複
数の工字形ビーム構造を形成し、ハニカム状構造を形成し、電池パック100の剛性及び
強度を大幅に向上させ、機械的安全性・信頼性を向上させることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、
図13に示すように、電池パック100の全体強度をさらに
向上させるために、少なくとも2つの隣接する単電池102の間に第2の補強板108が
設けられる。第2の補強板108を設けることにより、電池アレイ101が三次元方向に
受けた衝撃力をよく吸収し、電池アレイ101全体の機械的強度を向上させることができ
る。
【0061】
本願では、第2の補強板108は、アルミニウム板又は鋼板であってもよく、第2の補
強板108の数が限定されず、1つ又は複数であってもよく、第2の補強板108の数が
複数である場合、2つずつの隣接する単電池102の間にいずれも第2の補強板108が
設けられてもよく、一部のみの隣接する単電池102の間に第2の補強板108が設けら
れてもよい。
【0062】
単電池102の電池パック100全体における密な積み重ねを容易にするために、いく
つかの実施形態では、第2の補強板108の形状は、単電池102の形状と略相似であり
、すなわち、「ダミーセル」に製造することができる。「ダミーセル」は、外観から見る
と、単電池102と同じであるが、「ダミーセル」の内部に正極、負極及びセパレータで
構成された電極アセンブリがないものと理解することができ、「ダミーセル」は、ここで
単に補強の作用を果たす。
【0063】
第2の補強板108は、両側に位置する単電池102に固定的に貼り付けられることに
より、電池パック100の全体構造を向上させる。
【0064】
いくつかの実施形態では、
図5に示すように、電池パック100は、上部カバー105
及びトレイ103をさらに含み、トレイ103は、底板1035及び底板1035の周囲
に周設された側枠を含み、上部カバー105とトレイ103は、接続されて電池収容キャ
ビティを画定し、電池アレイ101は、上記電池収容キャビティ内に位置する。
【0065】
いくつかの実施形態では、2つの第1の補強板104は、それぞれ上部カバー105と
底板1035を構成する。
【0066】
換言すれば、電池アレイ101の2つの表面は、それぞれ上部カバー105と底板10
35に接着される。
【0067】
該実施形態では、電池アレイ101の上部カバー105に面する表面は、上部カバー1
05に接着され、電池アレイ101の底板1035に面する表面は、底板1035に接着
されることにより、電池アレイ101の2つの反対側の表面は、いずれも電池パック10
0のハウジングに接着され、かつ単電池102が接着され、これにより電池パック100
の一体性を向上させ、締結部材と電池との間の隙間、電池と電池との間の隙間、締結部材
と締結部材との間の隙間を減少させ、さらに電池パック100内の力受けの弱い箇所を減
少させ、電池パック100全体の強度及び剛性を向上させる。
【0068】
いくつかの実施形態では、一方の第1の補強板104は、上部カバー105の内表面に
接着され(図示せず)、他方の第1の補強板104は、底板1035の内表面に接着され
る(
図11に示す)。このような方式の電池アレイ101は、電池パック100のハウジ
ングに間接的に接着され、組み立て及び加工を容易にする。
【0069】
いくつかの実施形態では、上部カバー105及び/又はトレイ103は、多層の複合構
造であってもよく、電池パック100が車両からの衝撃をよく受け、構造強度を向上させ
ることができる。
【0070】
該実施形態では、電池パック100の底板1035は、サンドイッチ複合材料の構造で
設計することができ、電池モジュール全体を支持可能な構造強度を有する。底板1035
は、複合板の構造に設計され、電池の底部の支持強度及び底部の飛び石防止及び耐衝突機
能を統合する。電池の底部の支持強度機能と液冷機能を統合してもよい。
【0071】
例えば、いくつかの具体的な実施形態では、多層の複合構造は、二層のアルミニウム板
と上記二層のアルミニウム板の間に挟まれた鋼板又は発泡アルミニウム板を含み、すなわ
ち、多層の複合構造は、アルミニウム板/発泡アルミニウム板/アルミニウム板であるか
、又は、多層の複合構造は、アルミニウム板/鋼板/アルミニウム板である。
【0072】
他の具体的な実施形態では、多層の複合構造は、二層の繊維複合層と上記二層の繊維複
合層の間に介在された発泡材料層を含む。
【0073】
発泡材料層は、ポリウレタンフォーム又はフェノールフォーム材料などの発泡ポリマー
材料を含み、発泡材料層を用いると、熱伝導率が低く、高い保温効果を果たすことができ
、また、発泡材料の密度が低く、シールカバーが鋼板又はアルミニウム合金を用いること
に比べて、電池パック100がより軽量化される。
【0074】
上記繊維複合層は、ガラス繊維層及び/又は炭素繊維層を含む。すなわち、多層の複合
層は、ガラス繊維層/発泡材料層/ガラス繊維層、炭素繊維層/発泡材料層/炭素繊維層
、又は、ガラス繊維層/発泡材料層/炭素繊維層であってもよく、電池パック100の上
部カバー105及び/又はトレイ103を発泡材料層と発泡材料層の内側及び外側に分布
する繊維複合層に設計し、繊維層は、高い引張強度及び弾性率を有し、電池パック100
の内部圧力が一定の範囲内で増大するときに依然として変形しないだけでなく、遮炎と断
熱を効果的に行うこともでき、電池パック100の極端な状況での安全性能を向上させる
。
【0075】
一体型電池パック100の構造強度は、車両の構造強度の一部とすることができ、電池
パック100は、車両の構造強度を強化し、車両のフレームにおける電池パック100の
構造強度を保護するための設計構造を簡略化し、車両の軽量化の設計要件を満たし、車両
の設計及び製造コストを低減し、車両全体の製造効率を向上させる。
【0076】
いくつかの実施形態では、トレイ103の底板1035を多層の複合構造に直接設計す
る場合、トレイ103の底板1035が外力によって損傷すると、底板1035が単電池
102と一体に接着されるため、底板1035を交換しにくく、メンテナンスしにくい。
【0077】
本願のいくつかの実施形態では、
図12に示すように、例えば、2つの第1の補強板1
04がそれぞれ上部カバー105と底板1035を構成する実施形態では、トレイ103
の底板1035は単層のアルミニウム板であり、トレイ103の底板1035の外表面に
保護板111が設けられ、保護板111は、多層の複合構造である。保護板111は、動
力電池パック100の底部が受ける飛び石及び衝突による動力電池パック100への直接
的な損傷を効果的に保護することができ、軽量化の設計構造で底部の飛び石防止及び耐衝
突要件を満たし、高い安全性・信頼性を有する。同時に、底部防護板111の複合材料は
、耐腐食性、耐老化性などの環境信頼性をさらに有し、底板1035は、取り外し可能で
、保護能力が高く、構造がコンパクトであるように構造的に設計され、将来の販売後のメ
ンテナンスを容易にし、販売後のメンテナンスコストを大幅に低減する。
【0078】
保護板111は、多層の複合構造であり、上記説明と一致するため、ここでは説明を省
略する。
【0079】
保護板111と電池パック100のトレイ103の枠は、リベット接合、自動パンチリ
ベット、ボルト固定接続などの様々な接続固定方式を用いるように設計することができ、
取り外し自在で、メンテナンス、保守及び検査を容易にする。
【0080】
図6及び
図7に示すように、上部カバー105の側枠に対応する位置にシール溝があり
、シール溝にシーラント層が設けられ、上部カバー105とトレイ103は、シーラント
層によりシール接続される。
【0081】
該実施形態では、シール溝は、上部カバー105のみに設けられてもよく、側枠のみに
設けられてもよく、上部カバー105及び側枠にいずれもシール溝が設けられてもよい。
【0082】
該実施形態では、上部カバー105と側枠の固定は、リベット又はボルト締結の方式を
組み合わせてシール固定することができ、それにより電池パック100全体のシール性能
及び構造強度を向上させる。
【0083】
電池側枠のビームと上部カバー105とのシール嵌合箇所に、シールするためのシール
溝が設計され、シーラントとシール溝を電池側枠又は上部カバー105に設計することに
より、側枠と上部カバー105との間のシール及び固定を保証することができる。
【0084】
電池アレイ101と上記側枠の内表面との間に構造用接着剤が充填される。電池アレイ
101と側枠との間の隙間は、常に力受けの弱い箇所となり、構造用接着剤を充填するこ
とにより、単電池102と側枠とを一体に接着し、強度を向上させる。
【0085】
図6、
図7に示すように、いくつかの実施例では、単電池102は、略直方体であり、
長さ方向に沿って反対側に設けられた第1の端部及び第2の端部を含み、側枠は、単電池
102の長さ方向に沿って反対側に設けられた第1の側枠1031及び第2の側枠103
2を含み、単電池102は、第1の側枠1031と第2の側枠1032との間に設けられ
、単電池102の第1の端部は、第1の側枠1031に支持され、単電池102の第2の
端部は、第2の側枠1032に支持される。換言すれば、単電池102は、第1の側枠1
031と第2の側枠1032との間に延びる。
【0086】
単電池102は、第1の側枠1031と第2の側枠1032との間に延び、単電池10
2の両端は、それぞれ第1の側枠1031と第2の側枠1032に支持され、単電池10
2自体は、ハウジングの構造強度を補強する横ビーム又は縦ビームとして用いることがで
き、すなわち、その構造強度を補強するための補強構造をハウジングに設ける必要がなく
、単電池102自体で補強構造を直接的に代替してハウジングの構造強度を保証し、ハウ
ジングが外力作用で変形しにくいことを確保することができる。
【0087】
本願のいくつかの実施例では、第1の側枠1031に第1の支持段部1034が設けら
れ、第2の側枠1032に第2の支持段部が設けられ、単電池102の第1の端部は、第
1の支持段部1034に支持され、単電池102の第2の端部は、第2の支持段部に支持
される。
【0088】
本願のいくつかの実施例では、単電池102の第1の端部は、第1の側枠1031に直
接的又は間接的に支持されてもよく、単電池102の第2の端部は、第2の側枠1032
に直接的又は間接的に支持されてもよい。直接とは、単電池102の第1の端部が第1の
側枠1031と直接的に接触して嵌合支持され、単電池102の第2の端部が第2の側枠
1032と直接的に接触して嵌合支持されることを指す。
【0089】
図6及び
図7に示すように、電池パック100は、支持構造をさらに含み、単電池10
2の第1の端部は、支持構造により第1の側枠1031と嵌合支持され、単電池102の
第2の端部は、支持構造により第2の側枠1032と嵌合支持される。
【0090】
ここでの嵌合とは、2つの側枠の間の間隔に1つの単電池102を嵌合して取り付ける
ことができることを指し、このような嵌合は、隙間嵌合、締り嵌め、締結嵌合、固定嵌合
などの様々な嵌合方式であってもよく、それにより本願の目的を達成する。
【0091】
単電池102の長さ方向の両端と側枠との間に支持構造を設けることにより、電池アレ
イ101の強度と電池の枠の強度を補強する作用を果たすことができる。
【0092】
側枠は、外力の作用を受けると、塑性変形が発生し、単電池102の長さ方向の両端と
側枠との間に大きな隙間があると、側枠と単電池との間に力を伝達することができず、側
枠は、電池アレイ101で補強の作用を果たすことができず、しかしながら、支持構造を
設けると、側枠が外力を受けても、単電池102自体は強度が大きい剛性部材であり、支
持構造により力を側枠に伝達し、側枠の塑性変形を防止することができる。
【0093】
具体的には、いくつかの実施形態では、
図6、7及び15に示すように、支持構造は、
第1の支持ブロック106を含み、単電池102の第1の端部の下表面は、第1の支持ブ
ロック106により上記第1の側枠1031に支持され、及び/又は、単電池102の第
2の端部の下表面は、第1の支持ブロック106により第2の側枠1032に支持される
。
【0094】
第1の支持ブロック106は、単電池102の長さ方向の両端の下表面に取り付けられ
て固定され、単電池102が電池アレイ101に配列される場合、単電池102に対して
位置決め作用を果たすことができる一方で、単電池102とトレイ103の底板1035
に対して絶縁隔離の作用を果たすことができ、さらに、側枠は、第1の支持ブロック10
6により単電池102の下端面と一体に接続されてもよく、電池パック100全体の強度
及び剛性を向上させることができる。
【0095】
単電池102の第1の端部の下表面は、第1の支持ブロック106により支持され、第
1の側枠1031に支持されてもよく、第1の側枠1031上の支持段部に支持されても
よく、単電池102の第2の端部の下表面は、第1の支持ブロック106により支持され
、第2の側枠1032に支持されてもよく、第2の側枠1032上の支持段部に支持され
てもよい。
【0096】
本願のいくつかの実施形態では、支持構造は、第2の支持ブロック107を含み、単電
池102の第1の端部の第1の側枠1031に面する側表面は、第2の支持ブロック10
7により第1の側枠1031と嵌合され、及び/又は、単電池102の第2の端部の第2
の側枠1032に面する側表面は、第2の支持ブロック107により第2の側枠1032
と嵌合される。
【0097】
単電池102は、電極端子を含み、電極端子は、それぞれ単電池102の第1の端部と
第2の端部に設けられ、上記支持構造に開孔1071が設けられ、複数の上記単電池10
2の電極端子は、上記開孔1071を貫通してセルコネクタ110により電気的に接続さ
れる。
【0098】
本願の第1の実施形態では、
図10及び14に示すように、電池パック100は、絶縁
仕切り板109をさらに含み、絶縁仕切り板109は、支持構造と上記側枠の内表面との
間に位置する。絶縁仕切り板は、セルコネクタ110及び電極端子と側枠との導通を遮断
して、短絡及び安全の問題が発生することを防止する。
【0099】
図7及び
図15に示すように、第2の支持構造は、電極端子の側面に取り付けられ、単
電池102のセルコネクタ110及びフレキシブル回路基板FPCを固定することができ
る。
【0100】
単電池102の電極端子も力受けの弱い箇所であり、第2の支持ブロック107は、電
極端子を保護することができ、第2の支持ブロック107がない場合、側枠が外力によっ
て衝撃されるか又は押圧された後に電極端子に直接作用し、電池パック100の故障を引
き起こしやすい。
【0101】
本願では、支持構造の具体的な構造を限定せず、支持構造が一定の強度を有し、外力に
よる変形に耐えることができればよく、いくつかの実施形態では、支持構造の材料は、ポ
リエーテルプラスチック(PPS)、ガラス繊維、ポリカーボネート系のうちの一種又は
複数種を含む。
【0102】
本願のいくつかの実施例では、側枠は、単電池102の配列方向に沿って反対側に設け
られた第3の側枠1033及び第4の側枠を含み、複数の単電池102は、第3の側枠1
033と第4の側枠との間に並列に配列され、第3の側枠1033と第4の側枠は、それ
ぞれ隣接する単電池102に貼り付けられて固定される。
【0103】
第3の側枠1033と第4の側枠は、電池アレイ101と側枠を一体に形成し、電池の
側枠は、単電池102の配列方向に沿って電池アレイ101をクランプする。
【0104】
すなわち、第3の側枠1033は、第3の側枠1033に隣接して設けられた単電池1
02に第4の側枠に向かう付勢力を印加し、第4の側枠は、第4の側枠に隣接して設けら
れた単電池102に第3の側枠1033に向かう付勢力を印加することにより、複数の単
電池102は、第3の側枠1033と第4の側枠との間に緊密に配列することができ、複
数の単電池102の間は、互いに貼り合わせることができる。また、第3の側枠1033
及び第4の側枠は、複数の単電池102の位置を制限することができ、特に、単電池10
2がわずかに膨張するとき、単電池102に対して緩衝し、内向きの押圧力を提供する作
用を果たし、単電池102の膨張量及び変形量が大きすぎることを防止することができる
。
【0105】
電池アレイ101の膨張問題をさらに解決するために、第3の側枠1033及び/又は
上記第4の側枠に補強ビームが設けられ、補強ビームは、隣接する単電池の外表面に密着
するか、又は一定の隙間を予め設定することができ、電池アレイ101が膨張するときの
位置制限作用を果たす。
【0106】
トレイ103の側枠と底板1035との間は、構造用接着剤で貼り付けられてもよく、
直接溶接されてもよく、ボルトで接続されてもよく、側枠は、一体型枠であってもよく、
分離型枠であってもよい。本願では、側枠は、好ましくは、分離型枠であり、すなわち、
第1の側枠1031、第2の側枠1032、第3の側枠1033、及び第4の側枠は、分
離し、2つの側枠の接続箇所で締結部材によりさらに補強することができる。
【0107】
以下のステップ1~7では、単電池102が直方体電池であり、単電池102の電極端
子が単電池102の長さ方向に沿った両端に設けられ、第1の側枠1031、第2の側枠
1032、第3の側枠1033、及び第4の側枠が分離型枠であり、2つの第1の補強板
104がそれぞれ電池パックの上部カバー105と底板1035を構成することを例とし
て、電池パック100の組み立て方式を説明する。
【0108】
ステップ1では、複数の単電池102を厚さ方向に沿って電池アレイに配列し、単電池
102を高さ方向に整列し、単電池102を長さ方向に整列し、単電池102の間を構造
用接着剤1011で接着し、単電池102の配列方向をX方向として設定し、単電池10
2の長さ方向をY方向として設定する。
【0109】
ステップ2では、X方向に沿って、電池アレイ101の最外側の2つの単電池102の
面積が最も大きい2つの反対側の第1の表面にそれぞれ第3の側枠1033と第4の側枠
を接着する(この方向は電極端子の引き出し方向ではない)。
【0110】
ステップ3では、Y方向に沿って、電池アレイ101の2つの端面に第1の側枠103
1及び第2の側枠1032を設ける。
【0111】
ステップ4では、第1の側枠1031及び第2の側枠1032と第3の側枠1033及
び第4の側枠との接続箇所を溶接又は締結部材(ボルトなど)の接続方式で接続する。
【0112】
ステップ4では、電池アレイ101の単電池102の配列方向に沿った2つの反対側の
表面に2つの第1の補強板104を接着する。
【0113】
ステップ5では、第1の補強板104と、第1の側枠1031、第2の側枠1032、
第3の側枠1033及び第4の側枠との接続箇所は、構造用接着剤又は締結部材で接続さ
れ、一方の第1の補強板104は、電池パック100の上部カバー105であり、他方の
第1の補強板104は、電池パック100の底板1035である。
【0114】
ステップ6では、底板1035の外表面に保護板111を増設する。
【0115】
ステップ7では、電池アレイ101と側枠との隙間に構造用接着剤を充填するか、又は
支持構造を設ける。
【0116】
以上の組み立て方式から分かるように、単電池102の6つの面は、いずれも強い構造
強度を有し、電池パック100を一体型構造に設計することにより、剛性及び強度を大幅
に向上させ、機械的安全性・信頼性を大幅に向上させる。一体型電池パック100の構造
強度は、車両の構造強度の一部とすることができ、電池パック100は、車両の構造強度
を強化し、車両のフレームにおける電池パック100の構造強度を保護するための設計構
造を簡略化し、車両の軽量化の設計要件を満たし、車両の設計及び製造コストを低減し、
車両の製造効率を向上させることができる。
【0117】
本願では、電池パック100は、電池管理システムをさらに含む。
【0118】
本願の第2の態様に係る電気自動車は、上記電池パック100を含む。該電気自動車は
、航続力が強く、コストが低い。
【0119】
なお、本願の説明において、別に明確な規定と限定がない限り、用語「取付」、「連結
」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続
又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続又は電気的な接続であってもよく、直接
連結、中間媒体を介した間接連結であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよ
い。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解
することができる。
【0120】
本明細書の説明において、参照用語「実施例」、「具体的な実施例」、「例」などの説
明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本
願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記
用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、
説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例に
おいて適切に組み合わせることができる。
【0121】
本願の実施例を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原理及
び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形
を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。
【符号の説明】
【0122】
100、電池パック
101、電池アレイ 1011、構造用接着剤
102、単電池
103、トレイ 1031、第1の側枠 1032、第2の側枠 1033、第3の側
枠 1034、第1の支持段部 1035、底板
104、第1の補強板
105、上部カバー
106、第1の支持ブロック
107、第2の支持ブロック 1071、開孔
108、第2の補強板
109、絶縁仕切り板
110、セルコネクタ
111、保護板
X、単電池の厚さ方向
Y、単電池の長さ方向
Z、単電池の高さ方向
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池アレイであって、複数の電池セルを含み、各電池セルは、長さL、厚さD、及び、前記長さLと厚さDとの間の高さHで規定され、複数の単電池は、厚さ方向に沿って配列され、かつ、複数の単電池は構造用接着剤により互いに接着される、電池アレイと、 2つの第1の補強板であって、2つの第1の補強板は、互いに反対側に設けられ、かつ、2つの第1の補強板は、それぞれ、前記単電池の配列方向に沿って前記電池アレイの2つの表面に接着され、前記単電池間の相対位置を拘束する、2つの第1の補強板と、を含むことを特徴とする、電池パック。
【外国語明細書】