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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095769
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】アセチル-ロイシンの重水素化類似体
(51)【国際特許分類】
   C07C 233/47 20060101AFI20240703BHJP
   C07B 59/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240703BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C07C233/47 CSP
C07B59/00
A61K31/198
A61P3/00
A61P25/00
A61P25/06
A61P25/28
A61P25/14
A61P17/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062686
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2021531964の分割
【原出願日】2019-12-06
(31)【優先権主張番号】62/776,297
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519445635
【氏名又は名称】イントラビオ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】マン 美智子
【テーマコード(参考)】
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206GA02
4C206GA37
4C206KA17
4C206KA20
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA01
4C206ZA08
4C206ZA14
4C206ZA15
4C206ZA22
4C206ZC21
4C206ZC54
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BS10
4H006BV22
4H006CN10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】LSDの改善された治療、またリソソーム蓄積症における欠損に関連する神経変性疾患、片頭痛、レストレスレッグス症候群、めまいの改善に用いられる化合物を提供する。
【解決手段】式Iで表される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物が提供される。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下である、化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
【化1】
【請求項2】
以下である、化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
【化2】
【請求項3】
リソソーム蓄積障害を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、神経変性疾患を
治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変
性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、片頭痛及びそれに関連する症状
を治療するかもしくは予防する方法、レストレスレッグス症候群及びそれに関連する症状
を治療するかもしくは予防する方法、めまい及びそれに関連する症状を治療するかもしく
は予防する方法、または運動能及び認知機能を改善する方法で使用するための医薬組成物
であって、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶
媒和物と薬学的に許容される担体とを含む、前記医薬組成物。
【請求項4】
リソソーム蓄積障害を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法で使用するための
、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記リソソーム蓄積障害が、ニーマン・ピックC型(NPC)、テイ・サックス病、サ
ンドホフ病、GM1ガングリオシドーシス、またはファブリー病である、請求項3に記載
の医薬組成物。
【請求項6】
片頭痛及びそれに関連する症状を治療するかもしくは予防する方法で使用するための、
請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
レストレスレッグス症候群及びそれに関連する症状を治療するかもしくは予防する方法
で使用するための、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
めまい及びそれに関連する症状を治療するかもしくは予防する方法で使用するための、
請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項9】
運動能及び認知機能を改善する方法で使用するための、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項10】
リソソーム障害を有する対象において神経保護を提供するのに使用するための医薬組成
物であって、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは
溶媒和物と薬学的に許容される担体とを含む、前記医薬組成物。
【請求項11】
請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と
、リソソーム蓄積障害を治療するかもしくはその進行を遅延させる、神経変性疾患を治療
するかもしくはその進行を遅延させる、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患を
治療するかもしくはその進行を遅延させる、片頭痛及びそれに関連する症状を治療するか
もしくは予防する、レストレスレッグス症候群及びそれに関連する症状を治療するかもし
くは予防する、めまい及びそれに関連する症状を治療するかもしくは予防する、または運
動能及び認知機能を改善するために、前記化合物を対象に投与するための指示書と、を含
む、キット。
【請求項12】
前記指示書が、リソソーム蓄積障害を治療するかもしくはその進行を遅延させるために
前記化合物を対象に投与するためのものである、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記リソソーム蓄積障害が、ニーマン・ピックC型(NPC)、テイ・サックス病、サ
ンドホフ病、GM1ガングリオシドーシス、またはファブリー病である、請求項12に記
載のキット。
【請求項14】
前記指示書が、片頭痛及びそれに関連する症状を治療するかもしくは予防するために前
記化合物を対象に投与するためのものである、請求項11に記載のキット。
【請求項15】
前記指示書が、レストレスレッグス症候群及びそれに関連する症状を治療するかもしく
は予防するために前記化合物を対象に投与するためのものである、請求項11に記載のキ
ット。
【請求項16】
前記指示書が、めまい及びそれに関連する症状を治療するかもしくは予防するために前
記化合物を対象に投与するためのものである、請求項11に記載のキット。
【請求項17】
前記指示書が、運動能及び認知機能を改善するために前記化合物を対象に投与するため
のものである、請求項11に記載のキット。
【請求項18】
請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と
、リソソーム障害を有する対象において神経保護を提供するために、前記化合物を投与す
るための指示書と、を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重水素化DL-、D-、及びL-N-アセチルロイシン類似体、ならびにそ
の薬学的に許容される塩及び溶媒和物と、重水素化DL-、D-、及びL-N-アセチル
ロイシンアルキルエステル類似体、ならびにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物と、
を提供する。本開示はまた、リソソーム蓄積障害を治療するかもしくはその進行を遅延さ
せる方法、リソソーム障害を有する対象において神経保護を提供する方法、対象において
神経変性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、対象においてリソソーム
蓄積症における欠損に関連する神経変性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延させる
方法、対象において片頭痛及びそれに関連する症状を治療もしくは予防する方法、レスト
レスレッグス症候群及びそれに関連する症状を治療もしくは予防する方法、めまい及びそ
れに関連する症状を治療もしくは予防する方法、または対象において運動能及び/または
認知機能を改善する方法であって、重水素化N-アセチルロイシン類似体、ならびにその
薬学的に許容される塩及び溶媒和物、または重水素化N-アセチルロイシンアルキルエス
テル類似体、ならびにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を対象に投与することを含
む、方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
神経変性疾患はニューロンに影響を及ぼし、変性プロセスは、ニューロン構造の進行性
喪失、ニューロン機能の進行性喪失、または進行性ニューロン細胞死を伴い得る。神経変
性疾患は、リソソーム蓄積症における欠損にしばしば関連する。これには、神経変性リソ
ソーム蓄積障害、及びリソソーム欠損との関連が示唆されているアルツハイマー病及びパ
ーキンソン病などの多くの一般的な神経変性疾患の両方が含まれる。広範に神経保護性で
ある治療剤は、基礎となるリソソーム蓄積障害によって引き起こされる疾患及び他のプロ
セスによって引き起こされる疾患を含む、神経変性疾患に一般的に適用されるであろう。
【0003】
リソソーム蓄積障害(LSD)は、リソソーム恒常性の欠損によって引き起こされる遺
伝性代謝疾患群である。LSDは、70を超える疾患を含み、総合的な臨床頻度は、1:
5000生児出生である。これらの疾患は、2つの主要な群:分解経路における直接的な
欠乏に起因する原発性蓄積障害(典型的にはリソソーム酵素欠損障害)及び下流のリソソ
ームタンパク質の機能障害によって引き起こされる続発性蓄積障害に分類することができ
る。異なるリソソームタンパク質の不活性化に起因する別個のLSDは、類似の状態をし
ばしば共有する。ほとんどの場合、複数の臓器及び組織が関与する。領域特異的神経変性
症は、これらの疾患の大部分において特徴づけられる。
【0004】
片頭痛は、再発性の中等度から重度の頭痛を特徴とする。典型的には、頭痛は、頭部の
半分に影響を与え、本質的に拍動性であり、2~72時間続く。片頭痛の症状には、吐き
気、嘔吐、及び光、音、または匂いに対する感受性が含まれる。痛みは、しばしば、身体
活動によって強調される。世界人口の約15%が片頭痛を患っている。
【0005】
加齢と共に生じる変化は、人が動き回る能力についての問題を生じさせ得る。運動能の
問題には、歩行中の不安定さ、椅子の出し入れが困難、または転倒などが含まれ得る。高
齢者において一般的な状態である、筋力低下、関節障害、疼痛、疾患、及び神経障害(脳
及び神経系)は、すべて運動能障害の原因となる。いくつかの軽度の問題が一度に発生し
、組み合わせることで、運動能に深刻な影響を及ぼす場合がある。
【0006】
潜在的な運動能の問題に加えて、すべての加齢したヒトは、認知能力のある程度の低下
を発症し、症状には、物忘れ、集中力を維持する能力の低下、問題解決能力の低下、及び
/または空間認識の低下をしばしば含まれる。症状は、認知症及びうつ病、またはアルツ
ハイマー病などのより深刻な状態に進行し得る。
【0007】
酸化ストレス及びフリーラジカル損傷、ホルモンレベルの低下(エストロゲン、テスト
ステロン、DHEA、及びプレグネノロンなど)、動脈内層(内皮)機能障害、インスリ
ン抵抗、体重過多、最適値以下の栄養、孤独、ソーシャルネットワークの欠如、高ストレ
スなど、多くの要因が加齢に関連する認知低下に寄与していると考えられている。
【0008】
神経変性疾患、LSD、及び片頭痛を治療し、ならびに運動能及び/または認知機能を
改善するための現在の治療アプローチは限定される。例えば、いくつかのLSDは、骨髄
移植または酵素補充療法に対して応答した。グリコスフィンゴ脂質(GSL)生合成の阻
害剤:イミノ糖薬物であるミグルスタットを使用した基質合成抑制療法(SRT)の臨床
試験においても、いくつかの利益が報告されている。Patterson,et al.
,Rev Neurol(separata)43:8(2006)。小脳失調症(歩行
変動の改善を示す)及びニーマン・ピックC型(NPC)(失調症の改善を示す)を有す
る患者の症例研究ではまた、アセチル-DL-ロイシンを使用した利点が報告されている
。Schniepp,R.,et al.,Cerebellum&Ataxias 3
:8(2016);Bremova,T.,et al.,Neurology 85:
1368(2015)を参照のこと。
【0009】
N-アセチルロイシンの有益な効果にもかかわらず、LSDの改善された治療の必要性
が依然として存在する。また、神経変性疾患、リソソーム蓄積症における欠損に関連する
神経変性疾患、片頭痛、レストレスレッグス症候群、及びめまいの改善された治療を開発
する必要がある。また、運動能及び/または認知機能を改善するための改善された治療法
を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
一態様では、本開示は、本明細書において「本開示の化合物」と総称される、以下の式
I~Vのうちのいずれか1つによって表される、重水素化N-アセチルロイシン類似体、
ならびにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物と、重水素化N-アセチルロイシンアル
キルエステル類似体、ならびにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物と、を提供する。
本開示の化合物は、重水素の天然存在量の少なくとも1000倍超大きい存在量で、少な
くとも1つの重水素原子で濃縮される。
【0011】
別の態様では、本開示は、LSDを治療するかまたはその進行の遅延させる方法であっ
て、治療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を
提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、LSDを有する対象において神経保護を提供する方法であっ
て、治療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を
提供する。
【0013】
別の態様では、本開示は、神経変性疾患またはリソソーム蓄積の欠損に関連する神経変
性疾患を治療するかまたはその進行の遅延させる方法であって、治療有効量の本開示の化
合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0014】
別の態様では、片頭痛及びそれに関連する症状を治療または予防する方法であって、治
療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供す
る。
【0015】
別の態様では、本開示は、運動能及び/または認知機能を改善する方法であって、治療
有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する
【0016】
別の態様では、本開示は、レストレスレッグス症候群及びそれに関連する症状を治療ま
たは予防する方法であって、治療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与
することを含む、方法を提供する。
【0017】
別の態様では、本開示は、めまい及びそれに関連する症状を治療または予防する方法で
あって、治療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方
法を提供する。
【0018】
別の態様では、本開示は、本開示の化合物と、賦形剤及び/または薬学的に許容される
担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
別の態様では、本開示は、対象におけるLSDの治療またはその進行の遅延に使用する
ための、本開示の化合物と、賦形剤及び/または薬学的に許容される担体と、を含む医薬
組成物を提供する。
【0020】
別の態様では、本開示は、LSDを有する対象における神経保護の提供に使用するため
の、本開示の化合物と、賦形剤及び/または薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成
物を提供する。
【0021】
別の態様では、本開示は、対象におけるリソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患
または神経変性疾患の治療または進行の遅延に使用するための、本開示の化合物と、賦形
剤及び/または薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
別の態様では、本開示は、片頭痛及びそれに関連する症状の治療または予防に使用する
ための、本開示の化合物と、賦形剤及び/または薬学的に許容される担体とを含む医薬組
成物を対象において提供する。
【0023】
別の態様では、本開示は、対象における運動能及び/または認知機能の改善に使用する
ための、本開示の化合物と、賦形剤及び/または薬学的に許容される担体と、を含む医薬
組成物を提供する。
【0024】
別の態様では、本開示は、対象におけるレストレスレッグス症候群及びそれに関連する
症状の治療または予防に使用するための、本開示の化合物と、賦形剤及び/または薬学的
に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0025】
別の態様では、本開示は、対象におけるめまい及びそれに関連する症状の治療または予
防に使用するための、本開示の化合物と、賦形剤及び/または薬学的に許容される担体と
、を含む医薬組成物を提供する。
【0026】
別の態様では、本開示は、対象におけるLSDの治療またはその進行の遅延に使用する
ための、本開示の化合物を提供する。
【0027】
別の態様では、本開示は、LSDを有する対象における神経保護の提供に使用するため
の、本開示の化合物を提供する。
【0028】
別の態様では、本開示は、対象における神経変性疾患またはリソソーム蓄積の欠損に関
連する神経変性疾患の治療または進行の遅延に使用するための、本開示の化合物を提供す
る。
【0029】
別の態様では、本開示は、対象における片頭痛及びそれに関連する症状の治療予防に使
用するための、本開示の化合物を提供する。
【0030】
別の態様では、本開示は、対象における運動能及び/または認知機能の改善に使用する
ための、本開示の化合物を提供する。
【0031】
別の態様では、本開示は、対象におけるレストレスレッグス症候群及びそれに関連する
症状の治療または予防に使用するための、本開示の化合物を提供する。
【0032】
別の態様では、本開示は、対象におけるめまい及びそれに関連する症状の治療または予
防に使用するための、本開示の化合物を提供する。
【0033】
別の態様では、本開示は、対象においてLSDを治療するかまたはその進行を遅延させ
るための医薬の製造のための、本開示の化合物の使用を提供する。
【0034】
別の態様では、本開示は、LSDを有する対象において神経保護を提供するための医薬
の製造のための、本開示の化合物の使用を提供する。
【0035】
別の態様では、本開示は、対象において神経変性疾患またはリソソーム蓄積の欠損に関
連する神経変性疾患を治療するかまたはその進行を遅延させるための医薬の製造のための
、本開示の化合物の使用を提供する。
【0036】
別の態様では、本開示は、対象において片頭痛及びそれに関連する症状を治療または予
防するための医薬の製造のための、本開示の化合物の使用を提供する。
【0037】
別の態様では、本開示は、対象において運動能及び/または認知機能を改善するための
医薬の製造のための、本開示の化合物の使用を提供する。
【0038】
別の態様では、本開示は、対象においてレストレスレッグス症候群及びそれに関連する
症状を治療または予防するための医薬の製造のための、本開示の化合物の使用を提供する
【0039】
別の態様では、本開示は、対象においてめまい及びそれに関連する症状を治療または予
防するための医薬の製造のための、本開示の化合物の使用を提供する。
【0040】
別の態様では、本開示は、対象におけるLSDである神経変性疾患またはリソソーム蓄
積の欠損に関連する神経変性疾患の治療に使用するための、本開示の化合物と、任意選択
で、説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。
【0041】
別の態様では、本開示は、対象における片頭痛及びそれに関連する症状の治療または予
防に使用するための、本開示の化合物と、任意選択で、説明書を含む添付文書と、を含む
キットを提供する。
【0042】
別の態様では、本開示は、対象における運動能及び/または認知機能の改善に使用する
ための、本開示の化合物と、任意選択で、説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供
する。
【0043】
別の態様では、本開示は、対象におけるレストレスレッグス症候群及びそれに関連する
症状の治療または予防に使用するための、本開示の化合物と、任意選択で、説明書を含む
添付文書と、を含むキットを提供する。
【0044】
別の態様では、本開示は、対象におけるめまい及びそれに関連する症状の治療または予
防に使用するための、本開示の化合物と、任意選択で、説明書を含む添付文書と、を含む
キットを提供する。
【0045】
別の実施形態では、本開示は、LSDまたは神経変性疾患を有する対象のための個別化
された医療の手順を提供し、個々のLSDまたは神経変性対象の結果に関して成功する可
能性が最も高い治療選択肢の選択を包含する。
【0046】
別の実施形態では、本開示は、片頭痛及びそれに関連する症状を有する対象のための個
別化された医療の手順を提供し、対象における片頭痛及びそれに関連する症状の治療また
は予防に関して成功する可能性が最も高い治療選択肢の選択を包含する。
【0047】
別の実施形態では、本開示は、運動能及び/または認知機能を改善することを必要とす
る対象のための個別化された医療の手順を提供し、対象における運動能及び/または認知
機能の改善に関して成功する可能性が最も高い治療選択肢の選択を包含する。
【0048】
別の態様では、本開示は、本開示の化合物を調製する方法を提供する。
【0049】
本開示の追加の実施形態及び利点は、以下の説明に部分的に記載され、説明から得るか
または本開示の実践によって学ぶことができる。本開示の実施形態及び利点は、添付の特
許請求の範囲に特に指摘される要素及び組み合わせによって実現及び達成される。
【0050】
前述の要約及び以下の詳細な説明は両方とも例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請
求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】NPC細胞表現型アッセイにおけるアセチル-ロイシン(IB1000と称される)及びアセチル-ロイシン-2,3,3,4-d(DIB1000と称される)の効果を示す折れ線グラフ。NPC CHO細胞を、1、10、100、1000、及び5000μMのアセチル-ロイシンまたはアセチル-ロイシン-2,3,3,4-dで7日間処理した。示されるデータは、1~3生物学的反復の平均±SDである。LysoTracker蛍光は、未処理試料から得られた応答に対する倍率変化として表される(1.0として正規化)。アセチル-ロイシン;0.79±0.05、アセチル-ロイシン-2,3,3,4-d;0.45±0.03、対応がないt検定、両側検定、**p<0.01、n=3。
【0052】
図2】テイ・サックス病ABヒト線維芽細胞アッセイにおけるアセチル-ロイシン(IB1000と称される)及びアセチル-ロイシン-2,3,3,4-d(DIB1000と称される)の効果を示す棒グラフ。テイ・サックス病AB異型患者由来線維芽細胞を、1mMのアセチル-ロイシンまたはアセチル-ロイシン-2,3,3,4-dで処理して、LysoTrackerシグナルを比較した。未処理;1.00±0.02、n=3、アセチル-ロイシン;0.97±0.01、n=3、アセチル-ロイシン-2,3,3,4-d;0.91±0.02、n=3。統計分析のために、1元配置分散分析を実施した。*/**p<0.003/0.02。
【0053】
図3】生理食塩水中100mg/kgの用量のアセチル-ロイシン(N-アセチル-DL-ロイシンと称される)を雄BALB/cマウスにp.o.投与した後の、アセチル-D-ロイシン(N-アセチル-D-ロイシンと称される)及びアセチル-L-ロイシン(N-アセチル-L-ロイシンと称される)の血漿中濃度対時間プロファイルを示す折れ線グラフ。
【0054】
図4】生理食塩水中100mg/kgの用量のアセチル-ロイシン-2,3,3,4-d(1-rac)(N-アセチル-DL-ロイシン-d4と称される)を雄BALB/cマウスにp.o.投与した後の、アセチル-D-ロイシン-2,3,3,4-d(N-アセチル-D-ロイシン-d4と称される)及びアセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-d(1)(N-アセチル-L-ロイシン-d4と称される)の血漿中濃度対時間プロファイルを示す折れ線グラフ。
【0055】
図5】生理食塩水中100mg/kgの用量のアセチル-L-ロイシンを雄BALB/cマウスにp.o.投与した後の、アセチル-D-ロイシン(N-アセチル-D-ロイシンと称される)及びアセチル-L-ロイシン(N-アセチル-L-ロイシンと称される)の血漿中濃度対時間プロファイルを示す折れ線グラフ。
【0056】
図6】生理食塩水中100mg/kgの用量のアセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-d4(1)を雄BALB/cマウスにp.o.投与した後の、アセチル-D-ロイシン-2,3,3,4-d4(N-アセチル-D-ロイシン-d4と称される)及びアセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-d4(1)(N-アセチル-L-ロイシン-d4と称される)の血漿中濃度対時間プロファイルを示す折れ線グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本開示の化合物は、対象においてLSDを治療するかもしくはその進行を遅延させるた
めに、LSDを有する対象において神経保護を提供するために、神経変性疾患を治療する
かもしくはその進行を遅延させるために、対象においてリソソーム蓄積の欠損に関連する
神経変性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延させるために、対象において片頭痛及
びそれに関連する症状を治療もしくは予防するために、対象においてレストレスレッグス
症候群及びそれに関連する症状を治療もしくは予防するために、対象においてめまい及び
それに関連する症状を治療もしくは予防するために、または対象において運動能及び/ま
たは認知機能を改善するために使用することができる。
【0058】
一実施形態では、本開示の化合物は、式Iの化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、
【0059】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0060】
が、C1-6アルキルであり、
【0061】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0062】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である。
【0063】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容
される塩もしくは溶媒和物であり、式中、
【0064】
(a)R13が水素である場合、R、R、R、R、R、R、R、R10
、R11、及びR12のうちの少なくとも1つが、水素であり、
【0065】
(b)化合物は、以下ではない。
【化2】
【0066】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式Iを有する光学不活性化合物、またはその薬
学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、すなわち、化合物は、ラセミである。
【0067】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式Iを有する光学的に活性な化合物、またはそ
の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0068】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IIを有する化合物、
【化3】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、R、R
、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、式Iに関
して定義される通りである。
【0069】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IIIを有する化合物、
【化4】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、R、R
、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、式Iに関
して定義される通りである。
【0070】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IVを有する化合物、
【化5】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、R、R
、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、式Iに関
して定義される通りである。
【0071】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式Vを有する化合物、
【化6】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、R、R
、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、式Iに関
して定義される通りである。
【0072】
別の実施形態では、本開示の化合物は、約50%以上の鏡像異性体過剰率(ee)を有
する、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩
もしくは溶媒和物である。別の実施形態では、eeは、約55%以上、約60%以上、約
65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上
、約95%以上、約98%以上、または約99%以上である。別の実施形態では、eeは
、約100%である。
【0073】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、Rは、水素である
【0074】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、Rは、メチルであ
る。
【0075】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、R13は、水素であ
る。
【0076】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、R、R、R、R
、R、R、R10、R11、及びR12のうちのいずれか2つ以上の重水素濃縮
は、約15%以上である。
【0077】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、R、R、R、R
、R、R、R10、R11、及びR12のうちのいずれか3つ以上の重水素濃縮
は、約15%以上である。
【0078】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、R、R、R、R
、R、R、R10、R11、及びR12のうちのいずれか4つ以上の重水素濃縮
は、約15%以上である。
【0079】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、R、R、R、R
、R、R、R10、R11、及びR12のうちのいずれか5つ以上の重水素濃縮
は、約15%以上である。
【0080】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、R、R、R、R
、R、R、R10、R11、及びR12のうちのいずれか6つ以上の重水素濃縮
は、約15%以上である。
【0081】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、R、R、R、R
、R、R、R10、R11、及びR12のうちのいずれか7つ以上の重水素濃縮
は、約15%以上である。
【0082】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、R、R、R、R
、R、R、R10、R11、及びR12のうちのいずれか8つ以上の重水素濃縮
は、約15%以上である。
【0083】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、
【0084】
の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0085】
10の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0086】
、R、R、R11、及びR12が、水素である。
【0087】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~Vのうちのいずれか1つを有する化合物
、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、式中、
【0088】
及びRの重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0089】
10及びR11の重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0090】
及びR12が、水素である。
【0091】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下からなる群から選択される化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【化7】
【0092】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下からなる群から選択される化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【化8】
【0093】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下からなる群から選択される化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【化9】
【0094】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下からなる群から選択される化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【化10】
【0095】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下からなる群から選択される化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【化11】
【0096】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下からなる群から選択される化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【化12】
【0097】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下である。
【化13】
【0098】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下である。
【化14】
【0099】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下である。
【化15】
【0100】
別の実施形態では、本開示の化合物は、以下である。
【化16】
【0101】
「N-アセチル-DL-ロイシン」または「アセチル-ロイシン」という用語は、以下
の構造を有する化合物を指す。
【化17】
【0102】
「N-アセチル-D-ロイシン」または「アセチル-D-ロイシン」という用語は、以
下の構造を有する化合物を指す。
【化18】
【0103】
「N-アセチル-L-ロイシン」または「アセチル-L-ロイシン」という用語は、以
下の構造を有する化合物を指す。
【化19】
【0104】
本明細書で使用する場合、「C1-6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を
含む直鎖または分枝鎖脂肪族炭化水素を指す。別の実施形態では、アルキル基は、直鎖C
1-6アルキル基から選択される。別の実施形態では、アルキル基は、分枝鎖C3-6
ルキル基から選択される。別の実施形態では、アルキル基は、直鎖C1-4アルキル基か
ら選択される。別の実施形態では、アルキル基は、分枝鎖C3-4アルキル基から選択さ
れる。C1-6アルキルという用語は、重水素の天然存在量よりも少なくとも約1000
倍より大きい存在量で、水素の代わりに少なくとも1つの重水素を有する類似体を含む。
非限定的な例示的なC1~6アルキル基には、メチル、-CHD,-CHD,-CD
、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イ
ソ-ブチル、3-ペンチル、及びヘキシルが含まれる。
【0105】
式I~Vのうちのいずれか1つの位置が「H」または「水素」として具体的に指定され
る場合、その位置は、その天然存在量の同位体組成物に水素を有すると理解される。
【0106】
式I~Vのうちのいずれか1つの位置が「D」または「重水素」として特異的に指定さ
れる場合、その位置は、約0.015%である重水素の天然存在量よりも少なくとも約1
000倍大きい存在量で重水素を有すると理解される。
【0107】
本明細書で使用される「重水素濃縮」という用語は、その位置における水素の代わりに
、式I~Vのうちのいずれか1つの所与の位置における重水素の組み込みの割合を指す。
一実施形態では、重水素濃縮は、重水素の天然存在量よりも約15%以上、すなわち少な
くとも約1000倍大きい。別の実施形態では、重水素濃縮は、約20%以上、約25%
以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約5
5%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、
約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、または約99%以上である
。別の実施形態では、重水素濃縮は、約100%である。重水素濃縮は、質量分析法及び
核磁気共鳴分光法を含む、当業者に既知の従来の分析方法を使用して決定することができ
る。
【0108】
本明細書で使用する場合、「立体異性体」という用語は、空間におけるそれらの原子の
配向のみが異なる個々の分子のすべての異性体のための一般的な用語である。これには、
鏡像異性体及び互いに鏡像ではない2つ以上のキラル中心を有する化合物の異性体(ジア
ステレオマー)が含まれる。
【0109】
「キラル中心」または「非対称炭素原子」という用語は、4つの異なる基が結合される
炭素原子を指す。
【0110】
「鏡像異性体(enantiomer)」及び「鏡像異性の(enantiomeri
c)」という用語は、その鏡像に重ね合わせることができず、したがって、光学的に活性
である分子を指し、鏡像異性体は、偏光の平面を一方向に回転させ、その鏡像化合物は、
偏光の平面を反対の方向に回転させる。
【0111】
「ラセミ」という用語は、鏡像異性体の等しい部分の混合物を指し、その混合物は光学
的に不活性である。
【0112】
「絶対配置」という用語は、キラル分子化合物(または基)の原子の空間配置及びその
立体化学的記述、例えば、RまたはSを指す。
【0113】
本明細書で使用される立体化学用語及び慣用は、別段の指示がない限り、Pure&A
ppl.Chem 68:2193(1996)で記載されているものと一致することを
意味する。
【0114】
「鏡像異性過剰率」または「ee」という用語は、一方の鏡像異性体が他方と比較して
どのくらい存在するかの尺度を指す。R及びS鏡像異性体の混合物について、鏡像異性過
剰率は、│R-S│*100として定義され、式中、R及びSは、R+S=1となるよう
な、混合物中の鏡像異性体のそれぞれのモルまたは重量分率である。キラル物質の光学回
転の知識を持って、鏡像体過剰率は、([α]obs/[α]max)*100として定
義され、式中、[α]obsは、鏡像異性体の混合物の光学回転であり、[α]max
、純粋な鏡像異性体の光学回転である。NMR分光法、キラルカラムクロマトグラフィー
、または光学的旋光測定を含む様々な分析技術を使用して、鏡像異性過剰率の決定が可能
である。
【0115】
本開示の化合物の塩及び溶媒和物、例えば、水和物はまた、本明細書に開示される方法
において使用することができる。
【0116】
本開示は、本開示の化合物の塩の調製及び使用を包含する。本明細書で使用する場合、
「薬学的に許容される塩」は、本開示の化合物の塩または両性イオン形態を指す。本開示
の化合物の塩は、化合物の最終単離及び精製中に、または化合物を好適なカチオンを有す
る酸と反応させることによって別々に調製することができる。本開示の化合物の薬学的に
許容される塩は、薬学的に許容される酸で形成される酸付加塩であり得る。薬学的に許容
される塩を形成するために用いることができる酸の例には、硝酸、ホウ酸、塩酸、臭化水
素酸、硫酸、及びリン酸などの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、及び
クエン酸などの有機酸が含まれる。本開示の化合物の塩の非限定的な例には、塩酸塩、臭
化水素塩、ヨウ化水素塩、硫酸塩、重硫酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、リン
酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香
酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロール
リン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩
、マレイン酸塩、アスコルビン酸塩、イセチオン酸塩、サリチル酸塩、メタンスルホン酸
塩、メシチレンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレン
スルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオ
ン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ
酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ウンデカン
酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンジス
ルホン酸塩、及びp-トルエンスルホン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。さら
に、本開示の化合物中に存在する利用可能なアミノ基は、塩化、臭化、及びヨウ化メチル
、エチル、プロピル、ならびにブチル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、及
び硫酸ジアミル;塩化、臭化、及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル、ならびにステ
リル;ならびに臭化ベンジル及び臭化フェネチルで四級化することができる。前述に照ら
して、本明細書に現れる本開示の化合物への任意の言及は、本開示の化合物、ならびにそ
の薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物を含むことを意図する。
【0117】
本開示は、本開示の化合物の溶媒和物の調製及び使用を包含する。溶媒和物は、典型的
には、化合物の生理学的活性または毒性を著しく改変せず、したがって、薬理学的等価物
として機能し得る。本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、本開示の化合物と
、例えば、溶媒和物、単溶媒和物、または半溶媒和物などの溶媒分子と、の組み合わせ、
物理的会合、及び/または溶媒和であり、溶媒分子と本開示の化合物との比率は、それぞ
れ、約2:1、約1:1、または約1:2である。この物理的会合は、様々な程度のイオ
ン結合及び共有結合を伴い、水素結合を含む。いくつかの場合では、1つ以上の溶媒分子
が結晶性固体の結晶格子に組み込まれるときなどに、溶媒和物を単離することができる。
したがって、「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。本開示
の化合物は、水、メタノール、及びエタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和
形態として存在することができ、本開示は、本開示の化合物の溶媒和形態及び非溶媒和形
態の両方を含むことが意図される。
【0118】
溶媒和物の一種は、水和物である。「水和物」は、溶媒分子が水である溶媒和物の特定
のサブグループに関する。溶媒和物は、典型的には、薬理学的等価物として機能すること
ができる。溶媒和物の調製は、当該技術分野で既知である。例えば、酢酸エチル及び水と
のフルコナゾールの溶媒和物の調製を記載している、M.Caira et al,J.
Pharmaceut.Sci.,93(3):601-611(2004)を参照のこ
と。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製は、Tonder et al.,
AAPS Pharm.Sci.Tech.,5(1):Article 12(200
4),and A.L.Bingham et al.,Chem.Commun.60
3-604(2001)によって記載されている。溶媒和物の典型的な非限定的な調製プ
ロセスは、本開示の化合物を所望の溶媒(有機、水、またはそれらの混合物)中、20℃
超~約25℃の温度で溶解させ、次いで、結晶を形成するのに十分な速度で溶液を冷却し
、既知の方法、例えば、濾過によって結晶を単離することを伴うであろう。赤外線分光法
などの分析技術を使用して、溶媒和物の結晶中の溶媒の存在を確認することができる。
【0119】
「a」、「an」、「the」という用語、及び本開示を説明する文脈における(特に
特許請求の範囲の文脈における)同様の言及の使用は、別段で指示がない限り、単数及び
複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本
明細書に別段の指示がない限り、範囲内に入る各別々の値を個別に参照する簡潔に表す方
法として機能することのみを意図し、各別々の値は、本明細書に個別に列挙されるかのよ
うに本明細書に組み込まれる。本明細書に提供される任意の及び全ての例示または例示的
な文言(例えば、「など」)の使用は、本開示をよりよく例示するように意図され、特に
特許請求されない限り、本開示の範囲に対する制限ではない。本明細書のいかなる文言も
、本開示の実施に不可欠である特許請求の範囲に記載される要素でないものを示すものと
して解釈されるべきではない。
【0120】
医薬組成物
別の実施形態では、本開示は、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩もし
くは溶媒和物、ならびに薬学的に許容される担体及び/または賦形剤を含む医薬組成物を
提供する。
【0121】
本開示の化合物は、典型的には、意図される投与経路及び標準的な薬務に関して選択さ
れる薬学的賦形剤との混合物中で投与される。本開示に従って使用するための医薬組成物
は、本開示の化合物の処理を容易にする賦形剤及び/または補助剤を含む1つ以上の生理
学的に許容される担体を使用して、従来の方法で製剤化される。
【0122】
これらの医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、乳化、カプセ
ル化、捕捉、または凍結乾燥プロセスによって製造することができる。適切な製剤は、選
択された投与経路に依存する。治療有効量の本開示の化合物が経口投与される場合、組成
物は、典型的には、錠剤、カプセル剤、散剤、溶液、またはエリキシル剤の形態である。
錠剤形態で投与される場合、組成物は、ゼラチンまたはアジュバントなどの固体担体をさ
らに含むことができる。錠剤、カプセル剤、及び散剤は、約0.01%~約95%、例え
ば、約1%~約50%の本開示の化合物を含む。液体形態で投与される場合、水、石油、
または動物もしくは植物由来の油などの液体担体を添加することができる。組成物の液体
形態は、生理食塩水溶液、デキストロースもしくは他の糖類溶液、またはグリコールをさ
らに含むことができる。液体形態で投与される場合、組成物は、約0.1重量%~約90
重量%、例えば、約1重量%~約50重量%の本開示の化合物を含む。
【0123】
治療有効量の本開示の化合物が静脈内、皮膚、または皮下注射によって投与される場合
、組成物は、発熱性物質を含まない非経口的に許容される水溶液の形態である。pH、等
張性、安定性などに十分に配慮したそのような非経口的に許容される溶液の調製は、当業
者の能力の範囲内である。静脈内、皮下、または皮下注射用の組成物は、典型的には等張
性ビヒクルを含む。
【0124】
本開示の化合物は、当該技術分野で周知の薬学的に許容される担体及び賦形剤と容易に
組み合わせることができる。標準的な薬学的担体及び賦形剤は、Remington’s
Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing
Co.,Easton,PA,19th ed.1995に記載されている。そのよう
な担体は、活性剤を、治療される対象による経口摂取用に、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセ
ル剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁液などとして製剤化することを可能に
する。経口使用のための医薬調製物は、所望される場合、好適な助剤を添加した後に、本
開示の化合物を固体賦形剤に添加し、任意選択で、得られる混合物を粉砕し、粒剤の混合
物を処理して、錠剤または糖衣錠コアを得ることにより、得ることができる。好適な賦形
剤には、例えば、充填剤及びセルロース調製物が含まれる。所望の場合、崩壊剤を添加す
ることができる。
【0125】
本開示の化合物は、注射、例えば、ボーラス注射または連続注入によって、非経口投与
用に製剤化することができる。注射用製剤は、単位剤形、例えば、防腐剤が添加された、
アンプルまたは高回投与用容器中に提示され得る。組成物は、油性または水性ビヒクル中
の懸濁液、溶液、または乳剤などの形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤、及び/
または分散剤などの配合剤を含むことができる。
【0126】
非経口投与用の医薬組成物は、水溶性形態の活性剤の水溶液を含む。さらに、本開示の
化合物の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁液として調製することができる。好適な親油性
溶媒またはビヒクルには、脂肪油または合成脂肪酸エステルが含まれる。水性注射用懸濁
液は、懸濁液の粘度を増加させる物質を含むことができる。任意選択で、懸濁液はまた、
化合物の溶解度を増加させ、高濃度溶液の調製を可能にする好適な安定剤または剤を含む
ことができる。あるいは、本発明の組成物は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、発熱
性物質を含まない滅菌水を用いた組成物用の粉末形態であり得る。
【0127】
本開示の化合物はまた、例えば従来の座剤基材を含む、座剤または停留浣腸などの直腸
組成物中に製剤化することができる。前述の製剤に加えて、本開示の化合物は、デポ調製
物として製剤化され得る。そのような長時間作用製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉
内)または筋肉内注射によって投与され得る。したがって、例えば、本開示の化合物は、
好適なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)ま
たはイオン交換樹脂で製剤化することができる。
【0128】
特に、本開示の化合物は、単独でまたは賦形剤との混合物のいずれかで、デンプンもし
くはラクトースなどの賦形剤を含む錠剤の形態で、またはカプセル剤もしくはオビュール
(ovules)で、あるいはエリキシル剤または香味剤もしくは着色剤を含むもしくは
懸濁液の形態で、経口的、口腔内、または舌下投与することができる。そのような液体調
製物は、懸濁化剤などの薬学的に許容される添加剤を用いて調製することができる。本開
示の化合物はまた、非経口、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、または冠動脈内に注射する
ことができる。非経口投与の場合、本開示の化合物は、典型的には、溶液を血液と等張に
するために、他の物質、例えば、マンニトールまたはグルコースなどの塩または単糖を含
むことができる無菌水溶液の形態で使用される。
【0129】
一実施形態では、薬学的に許容される担体は、固体であり、組成物は、粉末または錠剤
の形態である。固体の薬学的に許容される担体には、香味剤、緩衝液、滑沢剤、安定剤、
可溶化剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、染料、充填剤、流動化剤、圧縮助剤、不活性結合
剤、甘味剤、防腐剤、染料、コーティング剤、または錠剤崩壊剤としても機能し得る1つ
以上の物質が含まれ得る。担体はまた、封入材料であり得る。粉末において、担体は、本
発明による微粉化活性剤と混合される微粉化固体である。錠剤において、活性剤は、必要
な圧縮特性を有する担体と好適な割合で混合され、所望の形状及びサイズで圧縮され得る
。粉末及び錠剤は、活性剤の最大99%を含有し得る。好適な固体担体には、例えば、リ
ン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、
デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低融解ワックス、及びイオン
交換樹脂が含まれる。別の実施形態では、薬学的に許容される担体はゲルであり得、組成
物はクリームなどの形態であり得る。
【0130】
担体は、1つ以上の賦形剤または希釈剤を含み得る。そのような賦形剤の例は、ゼラチ
ン、アラビアゴム(gum arabicum)、ラクトース、微結晶セルロース、デン
プン、デンプングリコール酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシ
ウム、タルク、コロイド状二酸化ケイ素などである。
【0131】
別の実施形態では、薬学的に許容される担体は液体であり、医薬組成物は溶液の形態で
ある。液体担体は、溶液、懸濁液、乳化剤、シロップ剤、エリキシル剤、及び加圧組成物
の調製において使用される。本開示の化合物は、水、有機溶媒、両方の混合物、または薬
学的に許容される油もしくは脂肪などの薬学的に許容される液体担体中に溶解または懸濁
され得る。液体担体は、他の好適な薬学的添加剤、例えば、可溶化剤、乳化剤、緩衝液、
防腐剤、甘味剤、香味剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定剤、または浸透
圧調節剤を含有し得る。経口及び非経口投与用の液体担体の好適な例には、水(上記の添
加剤、例えば、セルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶
液を部分的に含む)、アルコール(一価アルコール及び多価アルコール、例えば、グリコ
ールを含む)及びその誘導体、ならびに油(例えば、画分ココナッツ油(fractio
nated coconut oil)及び落花生油)が含まれる。非経口投与の場合、
担体はまた、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルであっ
てもよい。滅菌液体担体は、非経口投与用の滅菌液体形態組成物において有用である。加
圧組成物のための液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容される推進剤
であり得る。
【0132】
滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内、髄腔内、硬膜外、腹
腔内、静脈内、及び特に皮下注射によって利用することができる。活性剤は、滅菌水、生
理食塩水、または他の適切な滅菌注射用媒体を使用して投与時に溶解または懸濁され得る
滅菌固体組成物として調製され得る。
【0133】
本開示の化合物及びその組成物は、他の溶質または懸濁剤(例えば、溶液を等張にする
のに十分な生理食塩水またはグルコース)、胆汁塩、アカシア、ゼラチン、ソルビタンモ
ノオレエート、ポリソルベート80(ソルビトールのオレイン酸エステル及びエチレンオ
キシドと共重合したその無水物)などを含む、滅菌溶液または懸濁液の形態で経口投与さ
れ得る。
【0134】
本開示の化合物及びその組成物はまた、液体または固体組成物形態のいずれかで経口投
与することができる。経口投与に好適な組成物には、丸剤、カプセル剤、粒剤、錠剤、及
び散剤などの固体形態、ならびに溶液、シロップ剤、エリキシル剤、及び懸濁液などの液
体形態が含まれる。非経口投与に有用な形態には、滅菌溶液、乳剤、及び懸濁液が含まれ
る。
【0135】
あるいは、本開示の化合物及びその組成物は、吸入によって(例えば、経鼻的に)投与
され得る。組成物はまた、局所使用のために製剤化してもよい。例えば、クリームまたは
軟膏を皮膚に適用され得る。
【0136】
本開示の化合物及びその組成物は、遅延または遅延放出デバイス内に組み込まれ得る。
そのようなデバイスは、例えば、皮膚または皮膚下に挿入され得、医薬は、数週間または
数ヶ月にわたって放出され得る。そのようなデバイスは、本開示の化合物による長期治療
が必要であり、通常、頻繁な投与(例えば、少なくとも毎日の投与)を必要とする場合に
特に有利であり得る。
【0137】
別の実施形態では、医薬組成物は、経口投与に好適な錠剤の形態である。錠剤では、本
開示の化合物を、好適な割合で必要な圧縮特性を有するビヒクルと混合し、所望の形状及
びサイズで圧縮し得る。錠剤は、最大99重量%の本開示の化合物を含有し得る。
【0138】
錠剤などの固体経口剤形の医薬製剤は、薬学の技術分野で既知の任意の方法によって調
製され得る。医薬製剤は、通常、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を、従
来の薬学的に許容される担体、希釈剤、もしくは賦形剤と混合することによって調製され
る。
【0139】
使用方法
別の実施形態では、本開示は、リソソーム蓄積障害を治療するかまたはその進行を遅延
させる方法であって、治療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与するこ
とを含む、方法を提供する。
【0140】
別の実施形態では、本開示は、リソソーム蓄積障害を有する対象において神経保護を提
供する方法であって、治療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与するこ
とを含む、方法を提供する。
【0141】
別の実施形態では、本開示は、神経変性疾患を治療するかまたはその進行を遅延させる
方法であって、治療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含
む、方法を提供する。
【0142】
別の実施形態では、本開示は、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患を治療す
るかまたはその進行を遅延させる方法であって、治療有効量の本開示の化合物をそれを必
要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0143】
別の実施形態では、片頭痛及びそれに関連する症状を治療または予防する方法であって
、治療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を提
供する。
【0144】
別の態様では、本開示は、運動能及び/または認知機能を改善する方法であって、治療
有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する
【0145】
別の態様では、本開示は、レストレスレッグス症候群を治療または予防する方法であっ
て、治療有効量の本開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を
提供する。
【0146】
別の態様では、本開示は、めまいを治療または予防する方法であって、治療有効量の本
開示の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0147】
本開示はまた、以下の特定の実施形態を提供する。
【0148】
実施形態I.リソソーム蓄積障害を治療するかまたはその進行を遅延させる方法であっ
て、治療有効量の式Iを有する本開示の化合物(上記を参照のこと)またはその薬学的に
許容される塩もしくは溶媒和物をそれを必要とする患者に投与することを含み、式中、
【0149】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0150】
は、C1-6アルキルであり、
【0151】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0152】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記方法。
【0153】
実施形態II.リソソーム蓄積障害を有する対象において神経保護を提供する方法、神
経変性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、またはリソソーム蓄積の欠
損に関連する神経変性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、片頭痛及び
それに関連する症状を治療するかもしくは予防する方法、レストレスレッグス症候群及び
それに関連する症状を治療するかもしくは予防する方法、めまい及びそれに関連する症状
を治療もしくは予防する方法、または運動能及び/または認知機能を改善する方法であっ
て、治療有効量の式Iを有する本開示の化合物(上記を参照のこと)またはその薬学的に
許容される塩もしくは溶媒和物を、それを必要とする対象に投与することを含み、式中、
【0154】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0155】
は、C1-6アルキルであり、
【0156】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0157】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記方法。
【0158】
実施形態III.前記式Iを有する化合物が、光学的に活性である、実施形態Iまたは
IIの方法。
【0159】
実施形態IV.前記式Iを有する光学的に活性な化合物が、式IIを有する化合物(上
記を参照のこと)である、実施形態IIIの方法。
【0160】
実施形態V.前記式Iを有する化合物が、式IIIを有する化合物(上記を参照のこと
)である、実施形態IIIの方法。
【0161】
実施形態VI.前記式Iを有する化合物が、式IVを有する化合物(上記を参照のこと
)である、実施形態IIIの方法。
【0162】
実施形態VII.前記式Iを有する化合物が、式Vを有する化合物(上記を参照のこと
)である、実施形態IIIの方法。
【0163】
実施形態VIII.Rが、水素である、実施形態I~VIIのいずれか1つの方法。
【0164】
実施形態IX.
が、-CR2a2b2cであり、
【0165】
2a、R2b、及びR2cが、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0166】
2a、R2b、及びR2cのうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上
である、実施形態I~VIIIのいずれか1つの方法。別の実施形態では、R2a、R
、及びR2cがそれぞれ水素であり、すなわち、Rはメチルである。
【0167】
実施形態X.R13が、水素である、実施形態I~IXのいずれか1つ方法。
【0168】
実施形態XI.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR
12のうちのいずれか2つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態I~Xの
いずれか1つ方法。
【0169】
実施形態XII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及び
12のうちのいずれか3つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XIの
方法。
【0170】
実施形態XIII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及
びR12のうちのいずれか4つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XI
Iの方法。
【0171】
実施形態XIV.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及び
12のうちのいずれか5つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XII
Iの方法。
【0172】
実施形態XV.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR
12のうちのいずれか6つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XIVの
方法。
【0173】
実施形態XVI.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及び
12のうちのいずれか7つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XVの
方法。
【0174】
実施形態XVII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及
びR12のうちのいずれか8つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XV
Iの方法。
【0175】
実施形態XVIII.
【0176】
の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0177】
10の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0178】
、R、R、R11、及びR12が、水素である、実施形態XIの方法、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【0179】
実施形態XIX.
【0180】
及びRの重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0181】
10及びR11の重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0182】
及びR12が、水素である、実施形態XIIIの方法、またはその薬学的に許容さ
れる塩もしくは溶媒和物。
【0183】
実施形態XX.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実施形態
IまたはIIの方法。
【化20】
【0184】
実施形態XXI.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実施形
態IIIの方法、またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【化21】
【0185】
実施形態XXII.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実施
形態IIIの方法、またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【化22】
【0186】
実施形態XXIII.式Iを有する本開示の化合物(上記を参照のこと)、またはその
薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、
【0187】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0188】
が、C1-6アルキルであり、
【0189】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0190】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0191】
リソソーム蓄積障害を治療するかまたはその進行を遅延させる方法において使用するた
めの、前記式Iを有する本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒
和物。
【0192】
実施形態XXIV.リソソーム障害を有する対象における神経保護の提供、神経変性疾
患の治療もしくは進行の遅延、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患の治療もし
くは進行の遅延、片頭痛及びそれに関連する症状の治療もしくは予防、レストレスレッグ
ス症候群及びそれに関連する症状の治療もしくは予防、めまい及びそれに関連する症状の
治療もしくは予防、または運動能及び/または認知機能の改善に使用するための、式Iを
有する本開示の化合物(上記を参照のこと)、またはその薬学的に許容される塩もしくは
溶媒和物であって、式中、
【0193】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0194】
が、C1-6アルキルであり、
【0195】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0196】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、
【0197】
前記式Iを有する本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
【0198】
実施形態XXV.前記式Iを有する化合物が、光学的に活性である、実施形態XXII
IまたはXXIVの使用のための化合物。
【0199】
実施形態XXVI.前記式Iを有する光学的に活性な化合物が、式IIを有する化合物
(上記を参照のこと)である、実施形態XXVの使用のための化合物。
【0200】
実施形態XXVII.前記式Iを有する化合物が、式IIIを有する化合物(上記を参
照のこと)である、実施形態XXVの使用のための化合物。
【0201】
実施形態XXVIII.前記式Iを有する化合物が、式IVを有する化合物(上記を参
照のこと)である、実施形態XXVの使用のための化合物。
【0202】
実施形態XXIX.前記式Iを有する化合物が、式Vを有する化合物(上記を参照のこ
と)である、実施形態XXVの使用のための化合物。
【0203】
実施形態XXX.Rが、水素である、実施形態XXIII~XXIXのいずれか1つ
の使用のための化合物。
【0204】
実施形態XXXI.
【0205】
が、-CR2a2b2cであり、
【0206】
2a、R2b、及びR2cが、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0207】
2a、R2b、及びR2cのうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上
である、実施形態XXIII~XXXのいずれか1つの使用のため化合物。別の実施形態
では、R2a、R2b、及びR2cがそれぞれ水素であり、すなわち、Rはメチルであ
る。
【0208】
実施形態XXXII.R13が、水素である、実施形態XXIII~XXXIのいずれ
か1つの使用のための化合物。
【0209】
実施形態XXXIII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
、及びR12のうちのいずれか2つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態
XXIII~XXXIIのいずれか1つの使用のための化合物。
【0210】
実施形態XXXIV.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
及びR12のうちのいずれか3つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態X
XXIIIの使用のための化合物。
【0211】
実施形態XXXV.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及
びR12のうちのいずれか4つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XX
XIVの使用のための化合物。
【0212】
実施形態XXXVI.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
及びR12のうちのいずれか5つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態X
XXVの使用のための化合物。
【0213】
実施形態XXXVII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
、及びR12のうちのいずれか6つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態
XXXVIの使用のための化合物。
【0214】
実施形態XXXVIII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R
、及びR12のうちのいずれか7つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形
態XXXVIIの使用のための化合物。
【0215】
実施形態XXXIX.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
及びR12のうちのいずれか8つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態X
XXVIIIの使用のための化合物。
【0216】
実施形態XL.
【0217】
の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0218】
10の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0219】
、R、R、R11、及びR12が、水素である、実施形態XXXIIIの使用
のための化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【0220】
実施形態XLI.
【0221】
及びRの重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0222】
10及びR11の重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0223】
及びR12が、水素である、実施形態XXXVの使用のための化合物、またはその
薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【0224】
実施形態XLII.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実施
形態XXIIIまたはXXIVの使用のための化合物。
【化23】
【0225】
実施形態XLIII.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実
施形態XXVの使用のための化合物、またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【化24】
【0226】
実施形態XLIV.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実施
形態XXVの使用のための化合物、またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【化25】
【0227】
実施形態XLV.リソソーム蓄積障害を治療するかまたはその進行を遅延させるための
医薬の製造における、式Iを有する本開示の化合物(上記を参照のこと)、またはその薬
学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用であって、式中、
【0228】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0229】
が、C1-6アルキルであり、
【0230】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0231】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、
【0232】
前記使用。
【0233】
実施形態XLVI.リソソーム障害を有する対象における神経保護の提供、神経変性疾
患の治療もしくは進行の遅延、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患の治療もし
くは進行の遅延、片頭痛及びそれに関連する症状の治療もしくは予防、レストレスレッグ
ス症候群及びそれに関連する症状の治療もしくは予防、めまい及びそれに関連する症状の
治療もしくは予防、または運動能及び/または認知機能の改善に使用するための、式Iを
有する本開示の化合物(上記を参照のこと)、またはその薬学的に許容される塩もしくは
溶媒和物であって、式中、
【0234】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0235】
が、C1-6アルキルであり、
【0236】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0237】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、
【0238】
前記式Iを有する本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
【0239】
実施形態XLVII.前記式Iを有する化合物が、光学的に活性である、実施形態XL
VまたはXLVIの使用。
【0240】
実施形態XLVIII.前記式Iを有する光学的に活性な化合物が、式IIを有する化
合物(上記を参照のこと)である、実施形態XLVIIの使用。
【0241】
実施形態XLIX.前記式Iを有する化合物が、式IIIを有する化合物(上記を参照
のこと)である、実施形態XLVIIの使用。
【0242】
実施形態L.前記式Iを有する化合物が、式IVを有する化合物(上記を参照のこと)
である、実施形態XLVIIの使用。
【0243】
実施形態LI.前記式Iを有する化合物が、式Vを有する化合物(上記を参照のこと)
である、実施形態XLVIIの使用。
【0244】
実施形態LII.Rが、水素である、実施形態XLV~LIのいずれか1つの使用。
【0245】
実施形態LIII.
【0246】
が、-CR2a2b2cであり、
【0247】
2a、R2b、及びR2cが、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0248】
2a、R2b、及びR2cのうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上
である、実施形態XLV~LIIのいずれか1つの使用。別の実施形態では、R2a、R
2b、及びR2cがそれぞれ水素であり、すなわち、Rはメチルである。
【0249】
実施形態LIV.R13が、水素である、実施形態XLV~LIIIのいずれか1つの
使用。
【0250】
実施形態LV.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR
12のうちのいずれか2つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XLV~
LIVのいずれか1つの使用。
【0251】
実施形態LVI.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及び
12のうちのいずれか3つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態LVの
使用。
【0252】
実施形態LVII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及
びR12のうちのいずれか4つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態LV
Iの使用。
【0253】
実施形態LVIII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
及びR12のうちのいずれか5つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態L
VIIの使用。
【0254】
実施形態LIX.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及び
12のうちのいずれか6つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態LVI
IIの使用。
【0255】
実施形態LX.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR
12のうちのいずれか7つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態LIXの
使用。
【0256】
実施形態LXI.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及び
12のうちのいずれか8つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態LXの
使用。
【0257】
実施形態LXII.
【0258】
の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0259】
10の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0260】
、R、R、R11、及びR12が、水素である、実施形態LVの使用、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【0261】
実施形態LXIII.
【0262】
及びRの重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0263】
10及びR11の重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0264】
及びR12が、水素である、実施形態LVIIの使用、またはその薬学的に許容さ
れる塩もしくは溶媒和物。
【0265】
実施形態LXIV.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実施
形態XLVまたはXLVIの使用。
【化26】
【0266】
実施形態LXV.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実施形
態XLVIIの使用の使、またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【化27】
【0267】
実施形態LXVI.前記式Iを有する化合物が以下からなる群から選択される、実施形
態XLVIIの使用、またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【化28】
【0268】
実施形態LXVII.リソソーム蓄積障害を治療するかまたはその進行を遅延させる方
法において使用するための、式Iを有する本開示の化合物(上記を参照のこと)、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、医薬組成物であって、
【0269】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0270】
が、C1-6アルキルであり、
【0271】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0272】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、
【0273】
前記医薬組成物。
【0274】
実施形態LXVIII.リソソーム障害を有する対象における神経保護の提供、神経変
性疾患の治療もしくは進行の遅延、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患の治療
もしくは進行の遅延、片頭痛及びそれに関連する症状の治療もしくは予防、レストレスレ
ッグス症候群及びそれに関連する症状の治療もしくは予防、めまい及びそれに関連する症
状の治療もしくは予防、または運動能及び/または認知機能の改善に使用するための、式
Iを有する本開示の化合物(上記を参照のこと)、またはその薬学的に許容される塩もし
くは溶媒和物を含む、医薬組成物であって、
【0275】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0276】
が、C1-6アルキルであり、
【0277】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0278】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、
【0279】
前記医薬組成物。
【0280】
実施形態LXIX.前記式Iを有する化合物が、光学活性である、実施形態LXVII
またはLXVIIIの医薬組成物。
【0281】
実施形態LXX.前記式Iを有する光学的に活性な化合物が、式IIを有する化合物(
上記を参照のこと)である、実施形態LXIXの医薬組成物。
【0282】
実施形態LXXI.前記式Iを有する化合物が、式IIIを有する化合物(上記を参照
のこと)である、実施形態LXIXの医薬組成物。
【0283】
実施形態LXXII.前記式Iを有する化合物が、式IVを有する化合物(上記を参照
のこと)である、実施形態LXIXの医薬組成物。
【0284】
実施形態LXXIII.前記式Iを有する化合物が、式Vを有する化合物(上記を参照
のこと)である、実施形態LXIXの医薬組成物。
【0285】
実施形態LXXIV.Rが、水素である、実施形態LXVII~LXXIIIのいず
れか1つの医薬組成物。
【0286】
実施形態LXXV.
【0287】
が、-CR2a2b2cであり、
【0288】
2a、R2b、及びR2cが、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0289】
2a、R2b、及びR2cのうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上
である、実施形態LXVII~
LXXIVのいずれか1つの医薬組成物。別の実施形態では、R2a、R2b、及びR
がそれぞれ水素であり、すなわち、Rはメチルである。
【0290】
実施形態LXXVI.R13が、水素である、実施形態LXVII~LXXVのいずれ
か1つの医薬組成物。
【0291】
実施形態LXXVII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
、及びR12のうちのいずれか2つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態
LXVII~LXXVIのいずれか1つの医薬組成物。
【0292】
実施形態LXXVIII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R
、及びR12のうちのいずれか3つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形
態LXXVIIの医薬組成物。
【0293】
実施形態LXXIX.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
及びR12のうちのいずれか4つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態L
XXVIIIの医薬組成物。
【0294】
実施形態LXXX.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及
びR12のうちのいずれか5つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態LX
XIXの医薬組成物。
【0295】
実施形態LXXXI.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
及びR12のうちのいずれか6つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態L
XXXの医薬組成物。
【0296】
実施形態LXXXII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
、及びR12のうちのいずれか7つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態
LXXXIの医薬組成物。
【0297】
実施形態LXXXIII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R
、及びR12のうちのいずれか8つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形
態LXXXIIの医薬組成物。
【0298】
実施形態LXXXIV.
【0299】
の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0300】
10の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0301】
、R、R、R11、及びR12が、水素である、実施形態LXXVIIの医薬
組成物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【0302】
実施形態LXXXV.
【0303】
及びRの重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0304】
10及びR11の重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0305】
及びR12が、水素である、実施形態LXXIXの医薬組成物、またはその薬学的
に許容される塩もしくは溶媒和物。
【0306】
実施形態LXXXVI.前記式Iを有する化合物が以下からなる群から選択される、実
施形態LXVIIまたはLXVIIIの医薬組成物。
【化29】
【0307】
実施形態LXXXVII.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される
、実施形態LXIXの医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【化30】
【0308】
実施形態LXXXVIII.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択され
る、実施形態LXIXの医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物

【化31】
【0309】
実施形態LXXXIX.リソソーム蓄積障害を治療するもしくは進行を遅延させる、も
しくはリソソーム蓄積障害を有する対象において神経保護を提供する、もしくは神経変性
疾患を治療するもしくは進行を遅延させる、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾
患を治療するもしくは進行を遅延させる、片頭痛及びそれに関連する症状を治療するもし
くは予防する、レストレスレッグス症候群及びそれに関連する症状を治療もしくは予防す
る、めまい及びそれに関連する症状を治療もしくは予防する、または運動能及び/または
認知機能を改善するための、式Iを有する本開示の化合物(上記を参照のこと)またはそ
の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、
【0310】
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
【0311】
が、C1-6アルキルであり、
【0312】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0313】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記式Iを有する本開示
の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、化合物を対象に投与す
るための指示書と、を含む、キット。
【0314】
実施形態XC.前記式Iを有する化合物が、光学的に活性である、実施形態LXXXI
Xのキット。
【0315】
実施形態XCI.前記式Iを有する光学的に活性な化合物が、式IIを有する化合物(
上記を参照のこと)である、実施形態XCのキット。
【0316】
実施形態XCII.前記式Iを有する化合物が、式IIIを有する化合物(上記を参照
のこと)である、実施形態XCのキット。
【0317】
実施形態XCIII.前記式Iを有する化合物が、式IVを有する化合物(上記を参照
のこと)である、実施形態XCのキット。
【0318】
実施形態XCIV.前記式Iを有する化合物が、式Vを有する化合物(上記を参照のこ
と)である、実施形態XCのキット。
【0319】
実施形態XCV.Rが、水素である、実施形態LXXXIX~XCIVのいずれか1
つのキット。
【0320】
実施形態XCVI.
【0321】
が、-CR2a2b2cであり、
【0322】
2a、R2b、及びR2cが、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
【0323】
2a、R2b、及びR2cのうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上
である、実施形態LXXXIX~XCVのいずれか1つのキット。別の実施形態では、R
2a、R2b、及びR2cがそれぞれ水素であり、すなわち、Rはメチルである。
【0324】
実施形態XCVII.R13が、水素である、実施形態LXXXIX~XCVIのいず
れか1つのキット。
【0325】
実施形態XCVIII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11
、及びR12のうちのいずれか2つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態
LXXXIX~XCVIIのいずれか1つのキット。
【0326】
実施形態XCIX.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及
びR12のうちのいずれか3つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XC
VIIIのキット。
【0327】
実施形態C.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR
のうちのいずれか4つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態XCIXの
キット。
【0328】
実施形態CI.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR
12のうちのいずれか5つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態Cのキッ
ト。
【0329】
実施形態CII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及び
12のうちのいずれか6つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態CIの
キット。
【0330】
実施形態CIII.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及
びR12のうちのいずれか7つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態CI
Iのキット。
【0331】
実施形態CIV.R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及び
12のうちのいずれか8つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、実施形態CII
Iのキット。
【0332】
実施形態CV.
【0333】
の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0334】
10の重水素濃縮度が、約15%以上であり、
【0335】
、R、R、R11、及びR12が、水素である、実施形態XCVIIIのキッ
ト、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【0336】
実施形態CVI.
【0337】
及びRの重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0338】
10及びR11の重水素濃縮が、約15%以上であり、
【0339】
及びR12が、水素である、実施形態Cのキット、またはその薬学的に許容される
塩もしくは溶媒和物。
【0340】
実施形態CVII.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実施
形態LXXXIXのキット。
【化32】
【0341】
実施形態CVIII.前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、実
施形態XCのキット、またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【化33】
【0342】
実施形態CIX.前記式Iを有する化合物が以下からなる群から選択される、実施形態
XCのキット、またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【化34】
【0343】
別の実施形態では、本開示の化合物は、LSD、神経変性疾患、もしくは片頭痛、レス
トレスレッグス症候群、もしくはめまいの治療に有用な、または運動能及び/または認知
機能の改善に有用な、第2の治療剤と組み合わせて投与される。第2の治療剤は、本開示
の化合物とは異なる。本開示の化合物及び第2の治療剤は、所望の効果を達成するために
同時にまたは逐次投与することができる。さらに、本開示の化合物及び第2の治療剤は、
単一の組成物または2つの別々の組成物から投与することができる。
【0344】
第2の治療剤は、その所望の治療効果を提供する量で投与される。各々の第2の治療剤
の有効用量範囲は、典型的には、当該技術分野で既知であり、第2の治療剤は、そのよう
な確立された範囲内でそれを必要とする対象に投与される。
【0345】
本開示の化合物及び第2の治療剤は、単一単位用量として一緒に投与することができ、
別個にマルチ単位用量として投与されてもよく、本開示の化合物は、第2の治療剤の前に
投与されるか、または逆に投与される。1つ以上の用量の本開示の化合物、及び/または
1つ以上の用量の第2の治療剤を投与することができる。
【0346】
本明細書で使用される「対象」という用語は、脊椎動物、哺乳動物、または家畜であり
得る。したがって、本開示による組成物は、任意の哺乳動物、例えば、家畜、例えば、ウ
マ、ウシ、ヒツジ、またはブタ、ペット、例えば、ネコ、イヌ、ウサギ、またはモルモッ
ト、実験動物、例えば、マウスまたはラットを治療するために使用してもよく、あるいは
他の獣医用途で使用してもよい。一実施形態では、対象はヒトである。
【0347】
本明細書で使用する場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、
別段の指示がない限り、疾患もしくは状態、及び/またはそれらに関連する症状を排除、
軽減、または改善することを指す。除外されないが、疾患または状態を治療することは、
疾患、状態、またはそれらに関連する症状を完全に排除することを必要としない。「治療
する」という用語及び類義語は、治療有効量の本開示の化合物を、そのような治療を必要
とする対象に投与することを企図する。治療は、例えば、症状を抑制するために、症候的
に指向され得る。それは、短期間にわたって行うことができ、中期にわたって指向しこう
することができ、または例えば維持療法の関連での長期治療であることができる。
【0348】
本明細書で使用する場合、「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語
は、疾患もしくは状態の発症、及び/またはそれらに伴う症状を予防するか、または対象
が疾患に罹ることを妨げる方法を指す。本明細書で使用されるとき、「予防する」、「予
防すること」、及び「予防」はまた、疾患及び/またはその付随する症状の発症を遅らせ
ること、ならびに対象が疾患に罹るリスクを低減することを含む。「予防する」、「予防
すること」、及び「予防」という用語は、疾患もしくは状態、または疾患もしくは状態の
再発を有さないが、それらのリスクがあるかまたはそれらに罹りやすい対象において、疾
患もしくは状態、または以前に制御された疾患もしくは状態の再発の可能性を低減するこ
とを指す、「予防的治療」を含み得る。
【0349】
本明細書で使用される「治療有効量」または「有効用量」という用語は、本開示の方法
によって投与された場合に、関心のある状態または疾患の治療のための化合物をそれを必
要とする対象に送達するのに十分であり、対象において所望の効果をもたらす、開示の化
合物の量を指す。LSDまたは神経変性疾患の場合、治療有効量の本開示の化合物は、例
えば、LSDの症状もしくはLSDに関連する特徴の出現までの時間を遅らせるか、また
は神経変性疾患の症状の出現までの時間を遅らせ得る。
【0350】
本明細書で使用される「リソソーム蓄積障害」または「LSD」という用語は、後期エ
ンドソーム/リソソーム系の機能障害または破壊を伴う任意の障害を指す。LSDは、エ
ンドソーム/リソソーム系の体積及び/またはpHの増加を伴い得る。LSDはまた、脂
質または非脂質の蓄積の増加を伴い得る。
【0351】
LSDは、原発性リソソームヒドロラーゼ欠損症、リソソーム酵素の翻訳後処理欠損、
リソソーム酵素の輸送欠損、リソソーム酵素保護の欠損、可溶性非酵素リソソームタンパ
ク質の欠損、膜貫通(非酵素)タンパク質欠損、または未分類の欠損であり得る。
【0352】
原発性リソソームヒドロラーゼ欠損症には、ゴーシェ病(グルコシルセラミダーゼ欠損
症)、GM1ガングリオシドーシス(GM1-β-ガラクトシダーゼ欠損症)、テイ・サ
ックス病(β-ヘキソサミニダーゼA欠損症)、サンドホフ病(β-ヘキソサミニダーゼ
A+B欠損症)、ファブリー病(α-ガラクトシダーゼA欠損症)、クラッベ病(β-ガ
ラクトシルセラミダーゼ欠損症)、ニーマン・ピック病A型及びB型(スフィンゴミエリ
ナーゼ欠損症)、異染性白質ジストロフィー(アリールスルファターゼA欠損症)、MP
S IH(ハーラー症候群;α-イドロニダーゼ欠損症)、MPS IS(シャイエ症候
群;α-イドロニダーゼ欠損症)、MPS IH-S(ハーラー-シャイエ症候群;α-
イドロニダーゼ欠損症)、MPS II(ハンター症候群;イドロン酸スルファターゼ欠
損症)、MPS IIIA(サンフィリッポA症候群;ヘパランスルファミダーゼ欠損症
)、MPS IIIB(サンフィリッポB症候群;アセチルα-グルコサミニダーゼ欠損
症)、MPS IIIC(サンフィリッポC症候群;アセチルCoA:α-グルコサミニ
ドN-アセチルトランスフェラーゼ欠損症)、MPS IIID(サンフィリッポD症候
群;N-アセチルグルコサミン-6-スルファターゼ欠損症)、MPS IV A(モル
キオA病;アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ欠損症)、MPS IVB(モ
ルキオB病;β-ガラクトシダーゼ欠損症)、MPS V(再指定(redesigna
ted)MPS IS)、MPS VI(マロト・ラミー症候群;アセチルガラクトサミ
ン-4-スルファターゼ(アリールスルファターゼB)欠損症)、MPS VII(スラ
イ症候群;β-グルクロニダーゼ欠損症)、MPS IX(ヒアルロニダーゼ欠損症)、
ウォルマン病(WD;酸リパーゼ欠損症)、ファーバー病(酸セラミダーゼ欠損症)、コ
レステリルエステル蓄積病(酸リパーゼ欠損症)、ポンペ病(II型;α 1,4-グル
コシダーゼ欠損症)、アスパルチルグルコサミン尿症(グリコシルアスパラギナーゼ欠損
症)、フコシドシド症(α-フコシダーゼ欠損症)、α-マンノース症(α-マノシダー
ゼ欠損症)、β-マンノース症(β-マノシダーゼ欠損症)、シンドラー病(N-アセチ
ルガラクトサミニダーゼ欠損症)、シアリドーシス(α-ノイラミニダーゼ欠損症)、乳
児神経セロイドリポフスチン症(CLN1;パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ欠
損症)、後期乳児神経セロイドリポフスチン症(CLN2;カルボキシペプチダーゼ欠損
症)、早期乳児GM1ガングリオシドーシス、後期乳児GM1ガングリオシドーシス、成
人乳児GM1ガングリオシドーシス、ゴーシェ病1型(非神経障害性)、ゴーシェ病2/
3型(神経障害性)、ML1(MLI;シアリドーシス、α-N-アセチルニューラミニ
ダーゼ(シアリダーゼ)欠乏症、ML2(MLII、I細胞病;N-アセチルグルコサミ
ンホスホリルトランスフェラーゼ欠損症)、ML3(MLIII、偽性ハーラー・ポリジ
ストロフィー;N-アセチルグルコサミンホスホリルトランスフェラーゼ欠損症)、ML
4(MLIV、ムコリピン1欠損症)、神経セロイドリポフスチン症型4(CLN4;ク
フス病;成人NCL;パルモトイルタンパク質チオエステラーゼ-1欠乏症(タイプA)
;カテプシンF欠損症(タイプB)、神経セロイドリポフスチン症8型-北部てんかん(
CLN8)、神経セロイドリポフスチン症8型-トルコ後期乳児(CLN8)、神経セロ
イドリポフスチン症9型-ドイツ/セルビア後期乳児(CLN9)、神経セロイドリポフ
スチン症10型(CLN10;先天性カテプシンD欠乏症)、濃化異骨症(カテプシンK
欠損)、乳児発症ポンペ病、遅発性ポンペ病、及びコレステリルエステル蓄積病が含まれ
るが、これらに限定されない。
【0353】
リソソーム酵素の翻訳後プロセシング欠損には、ムコスルファチド症(mucosul
phatidosis)(MSD;複数のスルファターゼ欠損)が含まれるが、これらに
限定されない。
【0354】
リソソーム酵素の輸送欠損には、ムコリピドーシスII型(I細胞病;N-アセチルグ
ルコサミンホスホリルトランスフェラーゼ欠損)、ムコリピドーシスIDA型(偽性ハー
ラー・ポリジストロフィー;N-アセチルグルコサミンホスホリルトランスフェラーゼ欠
損)、及びムコリピドーシスIIIC型が含まれるが、これらに限定されない。
【0355】
リソソーム酵素保護の欠損には、ガラクトシアリドーシス(保護タンパク質カテプシン
A(PPCA)欠損)、β-ガラクトシダーゼ欠損、及びノイラミニダーゼ欠損が含まれ
るが、これらに限定されない。可溶性非酵素リソソームタンパク質の欠損には、GM2ア
クチベータータンパク質欠乏症(AB異型)、スフィンゴ脂質アクチベータータンパク質
(SAP)欠乏症、及び神経セロイドリポフスチン症(NCL)(CLN5)が含まれる
が、これらに限定されない。
【0356】
膜貫通(非酵素)タンパク質欠損症には、ダノン病(リソソーム関連膜タンパク質2(
LAMP2)欠損症)、NPC(NPC1及び/またはNPC2欠損症)、シスチン症(
シスチノシン欠損)、乳児遊離シアル酸蓄積疾患(ISSD;シアリン欠損)、サラ病(
遊離シアル酸蓄積症;シアリン欠損症)、若年性神経セロイドリポフスチン症(CLN3
、バッテン病)、神経セロイドリポフスチン症(NCL)(CLN6及びCLN8)、な
らびにムコリピドーシスIV型(ムコリピン欠損症)が含まれるが、これらに限定されな
い。
【0357】
未分類の欠損症には、神経セロイドリポフスチン症(NCL)(CLN4及びCLN7
)が含まれるが、これらに限定されない。
【0358】
本開示の化合物、組成物、及び方法によって治療、遅延、または改善されるLSDは、
NPC(NPC1及び/またはNPC2欠損症、原発性または続発性)、スミス・レムリ
・オピッツ症候群(SLOS)、コレステロール合成先天性代謝異常、タタンジール病、
ペリツェウス・メルツバッハー病、神経性セロイドリポフスチン症、原発性糖スフィンゴ
リピトース(すなわち、ゴーシェ病、ファブリー病、GM1、GM2ガングリオシドーシ
ス、クラッベ病、及び異染性白質ジストロフィー(MLD))、ファーバー病、及び多発
性スルファターゼ欠乏症のいずれかである。
【0359】
いくつかの実施形態では、NPC、テイ・サックス病、サンドホフ病、GM1ガングリ
オシドーシス、またはファブリー病などの、著しい中枢神経系(CNS)の関与を有する
LSDは、本開示の化合物ならびに本明細書に記載される組成物及び方法によって治療ま
たは遅延される。
【0360】
ニーマン・ピック病は、常染色体劣性LSDの不均一な群である。一般的な細胞特徴に
は、単核食細胞及び実質組織における異常なスフィンゴミエリン(SM)蓄積、ならびに
(肝)脾腫が含まれる。3つの主要サブグループ(A~C)の中で、NPC(以前はNP
C及びNPDに分類され、現在は単一の疾患であることが理解されている)は、後期エン
ドソーム/リソソーム区画における異常な細胞内コレステロール輸送誘導性の非エステル
化コレステロール蓄積によって引き起こされる致命的な神経内臓LSDに分類される。
【0361】
CNS外部では、NPCの細胞特性には、後期エンドソーム/リソソーム区画内の非エ
ステル化コレステロール及び他の脂質(例えばGSL)の異常な蓄積が含まれる。逆に、
CNSにおいてコレステロールの正味の上昇はないが(分布は変化しているが)、GSL
のレベルは非常に上昇している。進行性神経変性は、特に、小脳におけるGABA作動性
プルキンニューロンの連続的変性を特徴とし、これは、NPCの経過中に見られる小脳失
調症の発症及び進行、ならびに神経機能障害の他の態様と並行する。遺伝子研究により、
NPC病がNpc1またはNpc2遺伝子のいずれかの変異によって引き起こされること
が示されている。これらの2つの遺伝子間の正確な機械的関連は不明なままであり、これ
らのタンパク質の機能的役割は不可解なままである。NPC1は、後期エンドソーム/リ
ソソームの境界膜の複数膜貫通タンパク質をコードし、NPC2は、リソソームの可溶性
コレステロール結合タンパク質である。NPC1が不活性化された場合、スフィンゴシン
は、蓄積される最初の脂質であり、これは、NPC1が通常、スフィンゴ脂質異化の一部
として生成される場となるリソソームからのスフィンゴシンの輸送において役割を果たす
ことを示唆する。スフィンゴシンの上昇は、酸性蓄積物へのカルシウム侵入の欠損を引き
起こし、この区画からのカルシウム放出が大幅に減少する次いで、これは、カルシウム依
存性プロセスである後期エンドソーム-リソソーム融合を防止し、後期エンドサイトーシ
ス経路を介した輸送における積載物である脂質(コレステロール、スフィンゴミエリン、
及び糖スフィンゴ脂質)の続発性蓄積を引き起こす。
【0362】
NPC1機能を阻害する他の続発的な結果には、エンドサイトーシスの欠損及び自己貪
食液胞の除去が上手くいかないことが含まれる。NPC1/NPC2細胞経路は病原性マ
イコバクテリアによって標的とされ、後期エンドソームにおけるそれらの生存を促進する
ことが示されている。一実施形態では、ニーマン・ピック病は、ニーマン・ピックA型、
B型、C1型、またはC2型疾患である。
【0363】
テイ・サックス病は、特に、β-ヘキソサミニダーゼのA(酸性)アイソザイムの欠乏
に起因するCNS組織において特徴付けられる脂質代謝の致命的な遺伝性障害である。β
-ヘキソサミニダーゼのαサブユニットをコードするHEXA遺伝子の変異は、Aアイソ
ザイム欠乏を引き起こす。テイ・サックス病は、GM2ガングリオシド分解の欠損によっ
て特徴付けられる、GM2ガングリオシドーシスのプロトタイプである。GM2ガングリ
オシドーシス2(モノシアリル化ガングリオシド2)は、ニューロンに蓄積され、これは
胎児期にすでに始まっている。一実施形態では、テイ・サックス病は、テイ・サックスA
B異型である。
【0364】
サンドホフ病は、β-ヘキソサミニダーゼのA及びB(塩基性)アイソザイムの両方の
欠乏から生じる。β-ヘキソサミニダーゼのβサブユニットをコードするHEXB遺伝子
の変異は、Bアイソザイム欠乏を引き起こす。
【0365】
GM1ガングリオシド症は、β-ガラクトシダーゼの欠乏によって引き起こされ、これ
は、GM1ガングリオシドのリソソーム蓄積をもたらす(モノシアリル化ガングリオシド
1)。
【0366】
ファブリー病は、α-ガラクトシダーゼの欠乏によって引き起こされ、これは、セラミ
ドトリヘキソシドのリソソーム蓄積をもたらす。
【0367】
本明細書で使用する「神経変性疾患」という用語は、ニューロンに影響を及ぼし、ニュ
ーロン構造の進行的な喪失、ニューロン機能の進行的な喪失、または進行性ニューロン細
胞死を伴う任意の障害を指す。
【0368】
神経変性疾患には、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパー病、アルツハイマ
ー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調症、神経細管拡張症、神経性セロイドリ
ポフスチン症、バッテン病、ウシ海綿状脳症(BSE)、カナバン病、脳性麻痺、コケイ
ン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、前頭側頭葉変性症、ゴ
ーシェ病、ハンチントン病、HIV関連痴呆、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認
知症、リソソーム蓄積障害、神経ボレリア症、マチャド・ジョセフ病、多発萎縮症、多発
性硬化症、マルチプルスルファターゼ欠乏症、ムコリピドーシス、ナルコレプシー、ニー
マン・ピックC型、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、下半身パーキンソン症候群、
ペリツェウス・メルツバッハー病、ピック病、ポンペ病、原発性側索硬化症、プリオン病
、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病疾患、シルダー病、悪性貧血に続発する
亜急性連合性脊髄変性症、シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病
、小脳性運動失調、脊髄小脳性運動失調、脊髄性筋萎縮症、スティール・リチャードソン
・オルスゼウスキー病、脊髄癆、サイサックス病、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、周期
性失調症(EA)1、周期性失調症(EA)2、周期性失調症(EA)3、周期性失調症
(EA)4、周期性失調症(EA)5、周期性失調症(EA)6、周期性失調症(EA)
7、シャルルヴォア・サグネ常染色体劣性痙性失調症(ARSACS)、常染色体劣性小
脳失調症1型(ボースの劣性運動失調(RAB))、常染色体劣性小脳失調症2型(脊髄
小脳失調症常染色体劣性9、SCAR9)、眼球運動失行を伴う失調症1型(AOA1)
、眼球運動失行を伴う失調症2型(AOA2)、ビタミンE欠乏を伴う失調症(AVED
)、フリードライヒ失調症(FRDA)、ミトコンドリア劣性失調症候群(MIRAS)
、ミオクローヌス発作ミオパチー感覚性運動失調症(MEMSA)、感覚性運動失調ニュ
ーロパチー構音障害眼麻痺(SANDO)、コエンザイムQ10欠乏を伴う失調症、乳酸
アシドーシス、脳卒中症候群(MELAS)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんか
ん(MERRF)、神経性筋脱力、運動失調症、及び網膜色素変性症(NARP)、カー
ンズ・セイヤー(KSS)、脆弱X振戦/失調症候群(FXTAS)、Arts症候群、
クリスチャンソン(Christianson)型X連鎖精神遅滞症候群、X連鎖鉄芽球
性貧血、特発性遅発性小脳性失調症、病因不明の散発性成人発症性失調症(SAOA)、
伝達性ミンク脳症、慢性消耗病、ネコ海綿状脳症、エキゾチックな有蹄類脳症(exot
ic ungulate encephalopathy)、クールー病、異型クロイツ
フェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族
性不眠症、近位筋優位遺伝性運動感覚ニューロパチー、ハリネズミのふらつき症候群(W
HS)、進行性筋萎縮症(デュシェンヌ・アラン筋萎縮症)、進行性延髄麻痺、偽性球麻
痺、HIV関連神経認知障害(HAND)、パーキンソニズム、及びスクレイピーが含ま
れるが、これらに限定されない。
【0369】
一実施形態では、脊髄小脳失調症は、乳児発症脊髄小脳失調症、脊髄小脳失調症(SC
A)1、脊髄小脳失調症(SCA)2、脊髄小脳失調症(SCA)3(マチャド・ジョセ
フ病)、脊髄小脳失調症(SCA)4、脊髄小脳失調症(SCA)5(リンカーン失調症
)、脊髄小脳失調症(SCA)6、脊髄小脳失調症(SCA)7、脊髄小脳失調症(SC
A)8、脊髄小脳失調症(SCA)10、脊髄小脳失調症(SCA)11、脊髄小脳失調
症(SCA)12、脊髄小脳失調症(SCA)13、脊髄小脳失調症(SCA)14、脊
髄小脳失調症(SCA)15/16、脊髄小脳失調症(SCA)17、脊髄小脳失調症(
SCA)18(運動失調を伴う感覚/運動神経障害)、脊髄小脳失調症(SCA)19/
22、脊髄小脳失調症(SCA)20、脊髄小脳失調症(SCA)21、脊髄小脳失調症
(SCA)23、脊髄小脳失調症(SCA)24、脊髄小脳失調症(SCA)25、脊髄
小脳失調症(SCA)26、脊髄小脳失調症(SCA)27、脊髄小脳失調症(SCA)
28(脊髄小脳失調症常染色体劣性4型(SCAR4);サッカード・イントルージョン
(saccadic intrusion)を伴う脊髄小脳失調症、脊髄小脳失調症(S
CA)29、脊髄小脳失調症(SCA)30、脊髄小脳失調症(SCA)31、脊髄小脳
失調症(SCA)32、脊髄小脳失調症35、脊髄小脳失調症(SCA)36、X連鎖脊
髄小脳失調症1、X連鎖脊髄小脳失調症2、X連鎖脊髄小脳失調症3、X連鎖脊髄小脳失
調症4、またはX連鎖脊髄小脳失調症5である。
【0370】
一実施形態では、神経変性疾患は、小脳失調症である。一実施形態では、神経変性疾患
は、ニーマン・ピック病である。一実施形態では、神経変性疾患は、パーキンソニズムで
ある。一実施形態では、神経変性疾患は、神経障害性ゴーシェ病である。一実施形態では
、神経変性疾患は、サンドホフ病である。一実施形態では、神経変性疾患は、ルイ・バー
症候群である。一実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病である。一実施形態
では、神経変性疾患は、パーキンソン病である。一実施形態では、神経変性疾患は、多発
系萎縮症である。一実施形態では、神経変性疾患は、前頭側頭型認知症である。一実施形
態では、神経変性疾患は、下半身パーキンソン症候群である。
【0371】
パーキンソン病(PD)の主な症状は、硬直性、震え、及びゆっくりとした動きである
。これらの症状が広まっている他の疾患がある。これらの疾患及びPDそのものは、パー
キンソニズムという総称下に属する。PDは、原発性パーキンソニズムと称され得る。パ
ーキンソニズムの他の例には、多発系萎縮症、進行性核上性麻痺、正常圧水頭症、及び血
管性または動脈硬化性パーキンソニズが含まれるPDではないが、パーキンソニズムとし
て分類され得るそれらの疾患は、「パーキンソン-プラス(Parkinson-Plu
s)症候群」とも称され得る。PD患者とは異なり、パーキンソン-プラス症候群を有す
る個体はLドパに応答しない。本明細書で使用される「パーキンソニズム」という用語は
、主な症状が、安静時の震え、硬直性、運動の遅延、及び姿勢不安定である運動症候群を
指し得る。パーキンソン症候群は、その起源:原発性または特発性、続発性または後天性
、遺伝性パーキンソニズム、及びパーキンソンプラス症候群または多発系変性症の4つの
サブタイプに分類することができる。
【0372】
一実施形態では、パーキンソニズムは、パーキンソンプラス症候群または多発性系変性
症である。一実施形態では、パーキンソニズムは、血管性パーキンソニズム(動脈硬化性
パーキンソニズム;下半身パーキンソニズム)、パーキンソニズムが優位な多発系萎縮症
(MSA-P)、小脳特徴を伴う多発系萎縮症(MSA-C;散発性オリーブ橋小脳変性
症(OPCA))、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺(スティール・リチャ
ードソン・オルスゼウスキー症候群)、レビー小体型認知症、ピック病、または前頭側頭
型認知症及び染色体17に連鎖したパーキンソニズムである。
【0373】
本明細書で使用される「LSDの進行を遅延させる」などの語句は、(典型的に観察さ
れるものと比較して)対象におけるLSDの症状またはLSDに関連する特徴の発症を遅
延させる、すなわち、出現までの時間を増加させることを意味する。これは、疾患または
疾患に関連する1つ以上の症状及び/または合併症の発症を実質的に遅延させる、予防す
る、またはさらには完全に予防することを含み得る。
【0374】
「神経変性疾患の進行を遅延させること」または「リソソーム蓄積の欠損に関連する神
経変性疾患の進行を遅延させること」という語句は、神経変性疾患もしくはリソソーム蓄
積の欠損に関連する神経変性疾患の症状、または神経変性疾患もしくはリソソーム蓄積の
欠損に関連する神経変性疾患に関連する特徴の発症を遅延させること、すなわち、出現ま
での時間を増加させること(典型的に観察されるものと比較)を指す。これは、疾患また
は疾患に関連する1つ以上の症状及び/または合併症の発症を実質的に遅延させる、予防
する、またはさらには完全に予防することを含み得る。
【0375】
したがって、進行を遅延させることは、例えば、LSD、神経変性疾患、またはリソソ
ーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患に起因するか、またはそれらに関連する症状及び
/または合併症を遅延させるまたは予防することが含まれるが、これらに限定されない。
予防的に提供される場合、アセチルロイシンは、典型的には、LSD、神経変性疾患、ま
たはリソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患の症状の発症前に提供される。そのよ
うな予防的投与は、典型的には、LSD、神経変性疾患、またはリソソーム蓄積の欠損に
関連する神経変性疾患の症状の発症を遅延させるまたは予防するためである。
【0376】
LSDの「症状」は、LSDに関連する任意の臨床的または実験室の発現を含み、対象
が感じるかまたは観察することができるものに限定されない。本明細書に記載の症状には
、神経学的症状が含まれる。神経学的症状の例には、失調症、ジストニア、垂直及び水平
核上性サッカード/注視麻痺、及び認知症が含まれる。うつ病または精神病などの精神症
状も含まれる。LSDの大部分は、対象の病歴、臨床所見、生化学的マーカー、及び遺伝
子検査に基づいて診断することができる。
【0377】
リソソーム蓄積の欠損と任意選択で関連する、神経変性疾患の「症状」は、神経変性疾
患に関連する任意の臨床的または実験室の発現を含み、対象が感じるかまたは観察するこ
とができるものに限定されない。本明細書に記載の症状には、神経学的症状が含まれる。
【0378】
進行は、LSDの症状もしくはLSDに関連する特徴または神経変性疾患の症状の出現
までの時間が、LSDまたは神経変性疾患を有する対象について典型的に観察されるもの
よりも少なくとも5%長い場合、遅延されると言われ得る。いくつかの実施形態では、少
なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも
30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、
少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%の時間の増加が観察さ
れる。
【0379】
疾患の治療または進行は、以下のうちの1つ以上を使用して評価することができる:失
調症の評価及び評価尺度(SARA)、脊髄小脳失調症機能指数(SCAFI)、機能障
害評価尺度修正版(mDRS)、EuroQol 5Q-5D-5L(EQ-5D-5L
)、視覚的アナログ尺度(VAS)、ウェクスラー成人知能評価尺度改訂版(WAIS-
R)、ウェクスラー児童知能評価尺度(WISC-IV)、またはモントリオール認知評
価(MoCA)。NPCなどの特定のLSDについて、特定のスコア、例えば、改変6ド
メインNP-C障害評価尺度(mDRSスコア)が、過去数十年間にわたって開発され、
検証されている。この点に関して、これらの検査における特定のスコアは、症候性LSD
または神経変性対象の特徴である。したがって、「LSDの進行を遅延させること」また
は「神経変性疾患の進行を遅延させること」は、対象が、症候性LSD対象または神経変
性対象の特徴であるSARA、SCAFI、mDRS,EQ-5D-5L、VAS、WA
IS-R、WISC-IV、及び/またはMoCAスコア、または他の関連する試験に到
達するのに要する時間を増加させること(典型的に観察されるものと比較)を意味し得る
【0380】
「神経変性疾患の治療」、「リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患の治療」、
または「LSDの治療」は、SARA、SCAFI、mDRS、EQ-5D-5L、VA
S、WAIS-R、WISC-IV、及び/またはMoCAスコアの改善、または神経変
性疾患もしくはLSD対象を特徴付けるのに好適な別の試験の結果と等価であり得る。い
くつかの実施形態では、治療は、症候性対象の値特性から非症候性対象の値特性へのスコ
アなどを改善する。
【0381】
LSDまたは神経変性疾患の進行における任意の変化は、例えば、経時的または治療を
通じて、本明細書でさらに論じるように2つ以上の時点で1つ以上の確立された試験を使
用し、結果を比較することによって監視することができる。
【0382】
したがって、神経学的状態全体を評価するために、mDRS、4ドメイン尺度(移動、
操作、言語、及び嚥下)を適用することができる。脳機能は、8項目の臨床評価尺度(歩
行、スタンス、座位、発話、細かい運動機能、およびタキシス(taxis)であるSA
RA;0~40の範囲であり、0が最良の神経学的状態であり、40が最も悪い)と、8
m歩行時間(8MW;回転を除いて、あるラインから別のラインまでできるだけ早く、対
象に2回歩かせることによって行われる)、9ホールペグ検査(9HPT)、および10
秒にわたる「PATA」反復の数を含むSCAFIと、を使用して評価することができる
。主観的障害および生活の質は、EQ-5D-5L質問票およびVASを使用して評価す
ることができる。眼運動機能を評価するために、3次元ビデオ眼球運動記録(EyeSe
eCam)を使用して、サッカードのピーク速度、滑動性追跡のゲイン、注視誘発眼振の
ピーク低位相速度(注視保持機能)、視覚運動性眼振のピーク低位相速度、及び水平前庭
動眼反射のゲインを測定することができる。認知状態、WAIS-RまたはWISC-I
V、及びMoCAを評価するために、注意力及び集中力、実行機能、記憶、言語、視覚構
築スキル(visuoconstructional skill)、概念的思考、計算
、ならびに方向測定を含む、異なる認知領域を最大30ポイント及びカットオフスコア2
6で評価することができる。当業者は、そのような試験の実施方法を知っているであろう
【0383】
本明細書で使用する「片頭痛の治療」という用語は、片頭痛、またはそれに関連する1
つ以上の症状の頻度を減少させるか、該症状を緩和または排除することを指す。
【0384】
本明細書で使用される「片頭痛の予防」という用語は、片頭痛、またはそれに関連する
1つ以上の症状を予防することを指す。本開示の化合物は、予防的に使用され得る。
【0385】
本明細書で使用する「緩和すること」という用語は、片頭痛、またはそれに関連する1
つ以上の症状を、治療の不在下よりも重症度を低くするまたは軽度にすることを意味する
【0386】
本明細書で使用する場合、「片頭痛の頻度を減少させる」という用語は、治療の不在下
での発生と比較して、特定の時間枠内の片頭痛、またはそれに関連する1つ以上の症状の
発生を減少させることを意味する。
【0387】
一実施形態では、本開示の化合物は、頭痛、疲労、前兆、吐き気、嘔吐、光に対する感
度、音に対する感度、嗅覚に対する感度、発汗、集中力不足、暑くもしくは寒く感じるこ
と、腹痛、及び下痢から選択される1つ以上の片頭痛症状の頻度を減少させるか、該症状
を緩和または排除する。
【0388】
本明細書で使用する場合、片頭痛に関連する症状は、片頭痛に関連する任意の臨床的ま
たは実験室の発現を含み、対象が感じるか、または観察することができるものに限定され
ない。
【0389】
別の実施形態では、本開示は、前兆、例えば、視覚前兆を治療する、またはより好まし
くは予防するのに使用するための本開示の化合物を提供する。
【0390】
別の実施形態では、本開示は、前兆と関連する片頭痛(例えば、「古典的片頭痛」)の
治療または予防に使用するための本開示の化合物を提供する。
【0391】
別の実施形態では、本開示は、前兆と関連しない片頭痛(例えば、「普通型片頭痛」)
の治療または予防に使用するための本開示の化合物を提供する。
【0392】
別の実施形態では、本開示は、片頭痛と関連する前兆の治療または予防に使用するため
の本開示の化合物を提供する。
【0393】
別の実施形態では、本開示は、片頭痛と関連しない前兆の治療または予防に使用するた
めの本開示の化合物を提供する。
【0394】
別の実施形態では、本開示は、片頭痛の治療または予防に使用するための本開示の化合
物を提供する。本実施形態では、片頭痛は、典型的には、運動まひ(motor wea
kness)に伴う頭痛及び前兆を含む。
【0395】
別の実施形態では、本開示は、片麻痺性片頭痛の治療または予防に使用するための本開
示の化合物を提供する。
【0396】
別の実施形態では、本開示は、前庭性片頭痛の治療または予防に使用するための本開示
の化合物を提供する。前庭性片頭痛は、バラニー学会の国際分類委員会によって定められ
た診断基準に従って定義することができ、典型的には、以下によって特徴付けられる:
【0397】
A.前庭症状(バラニー学会の前庭症状の分類によって定義される)が中等度または重
度で、5分~72時間続く少なくとも5回のエピソード;
【0398】
B.国際分類頭痛障害(ICHD)による前兆の有無にかかわらず、片頭痛の現在また
は過去の病歴;
【0399】
C.前庭のエピソードの少なくとも50%を有する1つ以上の片頭痛の特徴:
【0400】
1.以下の特徴のうちの少なくとも2つを有する頭痛:片側の位置、脈動の質、中程度
または重度の疼痛の強さ、日常的な身体活動による悪化;
【0401】
2.光恐怖症及び音声恐怖症;
【0402】
3.視覚前兆;
【0403】
D.他の前庭またはICHD診断によってよりよく説明されていないもの。
【0404】
別の実施形態では、本開示は、脳底型片頭痛の治療または予防に使用するための本開示
の化合物を提供する。この実施形態では、片頭痛は、典型的には、頭痛及び前兆を含み、
以下の症状:発話困難、空間識失調(world spinning)、耳鳴り、及び他
の脳幹関連症状のうちの1つ以上を伴う。
【0405】
別の実施形態では、本開示は、網膜片頭痛の治療または予防に使用するための本開示の
化合物を提供する。本実施形態では、網膜片頭痛は、典型的には、視覚障害または一時的
な失明を伴う頭痛を含む。
【0406】
別の実施形態では、本開示は、慢性片頭痛の治療または予防に使用するための本開示の
化合物を提供する。本明細書で使用する場合、「慢性片頭痛」という用語は、薬物の不在
下で、3ヶ月の期間にわたって1ヶ月につき15日超の頭痛(そのうちの8日超は片頭痛
である)を患う対象(国際頭痛学会によって定義される)を指す。
【0407】
別の実施形態では、本開示は、発作性片頭痛の治療または予防に使用するための本開示
の化合物を提供する。本明細書で使用する場合、「発作性片頭痛」は、(国際頭痛学会に
よって定義されるように)薬物の不在下で、3ヶ月の期間にわたって1ヶ月あたり15日
未満の頭痛を患う対象を指す。
【0408】
別の実施形態では、本開示は、急性片頭痛の治療または予防に使用するための本開示の
化合物を提供する。
【0409】
別の実施形態では、本開示は、片頭痛に関連する1つ以上の前駆症状の治療または予防
に使用するための本開示の化合物を提供する。好ましくは、前駆症状は、気分の変化、易
興奮性、うつ病または高揚感、疲労感、特定の食物(複数可)に対する渇望、硬直した筋
肉(特に首)、便秘、下痢、ならびに臭い及び騒音に対する感度のうちの1つ以上から選
択される。
【0410】
別の実施形態では、本開示は、片頭痛と関連する疼痛の治療または予防に使用するため
の本開示の化合物を提供する。
【0411】
別の実施形態では、本開示は、片頭痛に関連する1つ以上の後発症状の治療または予防
に使用するための本開示の化合物を提供する。好ましくは、後発症状は、片頭痛のある領
域の痛み、思考障害、疲労感、頭痛、認知障害、胃腸症状、気分の変化、及び脱力感のう
ちの1つ以上から選択される。
【0412】
別の実施形態では、本開示は、片頭痛を軽減、緩和、または排除する本開示の化合物を
提供する。
【0413】
別の実施形態では、本開示は、前兆を緩和または排除する本開示の化合物を提供する。
【0414】
別の実施形態では、本開示は、視覚障害または視覚障害、しびれまたはヒリヒリ感、め
まい、バランス問題、運動障害、発話困難、及び意識喪失から選択される1つ以上の症状
の頻度を減少させるか、該症状を緩和または排除する本開示の化合物を提供する。
【0415】
別の実施形態では、本開示は、例えば、上記の症状のうちの1つ以上が発生するのを防
ぐことによって前兆の発生を防ぐ本開示の化合物を提供する。
【0416】
一実施形態では、本開示は、対象において認知機能、運動能、または認知機能及び運動
能を改善する方法に使用するための本開示の化合物を提供する。
【0417】
別の実施形態では、本開示は、対象において認知機能を改善する方法で使用するための
本開示の化合物を提供する。
【0418】
別の実施形態では、本開示は、対象において運動能を改善する方法で使用するための本
開示の化合物を提供する。
【0419】
別の実施形態では、対象は、高齢対象である。
【0420】
別の実施形態では、本開示は、高齢対象において運動能及び/または認知機能を改善す
る方法で使用するための本開示の化合物を提供する。
【0421】
別の実施形態では、本開示は、高齢の対象において運動能及び/または認知機能を改善
する方法であって、治療有効量の本開示の化合物を対象に投与することを含む、方法を提
供する。
【0422】
別の実施形態では、認知機能は、知覚、記憶、イメージの作出、認識、推論、思考、及
び判断能力からなる群から選択される1つ以上である。
【0423】
本開示によれば、本開示の化合物は、認知機能及び/または運動能の加齢に伴う減少を
治療するために使用され得る。
【0424】
別の実施形態では、本開示は、レストレスレッグス症候群の治療に使用するための本開
示の化合物を提供する。
【0425】
別の実施形態では、本開示は、めまいの治療に使用するための本開示の化合物を提供す
る。
【0426】
「運動能」は、対象が動く能力を指す。高齢者では、1つ以上の単純な検査を使用して
運動能を評価し得る。例えば、「立ち上がってから進む」検査は、運動能を測定すること
ができる単純な検査である。この検査では、座位から立ち上がって目標地点まで歩く速度
を分析する。
【0427】
例えば、試験は、椅子に座った対象から始まってもよい。停止用時計の開示時では、対
象は、手助けなしで立ち上がり、目標地点まで歩く必要がある。目標地は、2~10m離
れてもよく、任意選択で4~6m離れてもよい。対象が目標地点に到達したら、停止用時
計を停止する必要がある。運動能の任意の変化、例えば、経時的または治療を通じて、2
つ以上の時点で「立ち上がってから進む」検査を使用し、結果を比較することによって監
視することができる。運動能を測定するための他の好適な検査には、移動力、バランス、
及び重要な位置変化を考慮した、虚弱な高齢対象の評価のための20点検証済み評価ツー
ルである高齢者運動能尺度(EMS)で使用されるものが含まれる。
【0428】
本明細書で言及される「運動能の改善」という語句は、対象の移動能力の肯定的な変化
を意味する。肯定的な変化は、上記の検査のいずれかを使用して、例えば、ベースライン
運動能を測定する第1の機会及び一定期間後の運動能を測定する第2の機会(治療が投与
されていてもよい)の2つ以上の機会で測定することができる。対象は、安定性の改善に
起因して確信を感じるほど(例えば治療で)、検査をより迅速に完了する。関連する検査
において、2つの時点間で少なくとも約5%の性能の増加が観察された場合、運動能が改
善されると言うことができる。例えば、関連する検査において、2つの時点間で、少なく
とも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なく
とも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なく
とも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%
の性能の増加が観察される。さらに、関連する検査において、2つの時点間で、例えば、
少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも
25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、
少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%の
性能の増加が観察される。2つの時点は、1週間間隔、2週間間隔、3週間間隔、4週間
間隔、2ヶ月間隔、3ヶ月間隔、4ヶ月間隔、5ヶ月間隔、または6ヶ月間隔であり得る
。治療は、介在期間中に投与され得る。したがって、一例として、「運動能の改善」は、
対象が、本明細書で定義される「立ち上がってから進む」検査を使用して測定された際に
、ベースライン測定値から少なくとも約5%の速度の増加を示すことを意味し得る。例え
ば、対象は、この検査において、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも
約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも
約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも
約90%、または少なくとも約100%の速度の増加を示し得る。さらに、例えば、対象
は、この検査において、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なく
とも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50
%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、また
は少なくとも100%の速度の増加を示し得る。
【0429】
一実施形態では、対象は、加齢に関連する運動能障害を有する。
【0430】
本明細書で使用される「加齢に関連する運動能障害」という用語は、加齢プロセスの直
接的な結果である運動能の機能障害を指し、これは、加齢プロセスの直接的な結果ではな
い運動能の機能障害とは対照的である。臨床症状は、加齢に関連する運動能障害を有する
対象と、加齢プロセスの直接的な結果ではない運動能障害を有する対象、例えば、運動失
調症を有する対象と、の間で異なり得る。運動失調症は、歩行中に対象のふらつきとして
提供され得る一方で、加齢に関連する運動能障害は、転倒が増加する傾向として提供され
得る。したがって、例えば、小脳失調症は、加齢に関連する運動能障害ではない。
【0431】
上記に開示される運動能評価に加えて、加齢に関連する運動能障害を有する対象におけ
る運動能は、例えば、バランスの評価を使用して、及び/または対象が経験する転倒の数
を監視し、及び/または「立ち上がってから進む」検査を使用して検査され得る。
【0432】
別の実施形態では、本開示は、対象におけるバランスを改善するために使用するための
本開示の化合物を提供し、対象は加齢に関連するバランス障害を有する。本開示によれば
、加齢に関連するバランス障害はめまいではない。
【0433】
本開示によれば、対象は、例えば、良性発作性頭位めまい(BPPV);前庭神経炎;
メニエール病、ウォーレンバーグ症候群、脳虚血、外リンパ瘻、もしくは聴覚神経腫瘍に
関連するめまい;または外傷性もしくは毒性起源の再発性めまいを有さない場合がある。
【0434】
別の実施形態では、本開示は、加齢に関連するバランス障害を治療するために使用する
ための本開示の化合物を提供する。
【0435】
別の実施形態では、本開示は、例えば、起立及び/または歩行しているときの対象の安
定性を増加させるために使用するための本開示の化合物を提供し、対象は、加齢に関連す
る安定性の減少を有する。
【0436】
別の実施形態では、本開示は、歩行時の対象の不安定性を減少させるために使用するた
めの本開示の化合物を提供し、対象は、加齢に関連する不安定性の増加を有する。
【0437】
別の実施形態では、本開示は、歩行障害を有する対象を治療するために使用するための
本開示の化合物を提供し、歩行障害は、加齢に関連する。対象は、老人性歩行障害を有し
得る。
【0438】
別の実施形態では、本開示は、対象の歩行速度及び/または歩調を増加させるために使
用するための本開示の化合物を提供し、対象は、加齢に関連する歩行速度及び/または歩
調に障害を有する。
【0439】
別の実施形態では、本開示は、転倒の素因を有する対象を治療するために使用するため
の本開示の化合物を提供し、転倒の素因は、加齢に関連する。
【0440】
「認知機能」は、例えば、知覚、記憶、イメージの作出、認識、推論、思考、及び判断
能力などのシンボリックな操作を伴う任意の精神的プロセスを意味することができる。認
知機能の尺度には、例えば以下を測定するように設計された評価ツールが含まれる:(a
)一般知能、(b)非言語知能、(c)達成、(d)注意/実行機能、(e)記憶及び学
習、(f)視覚運動及び運動機能、及び(g)言語。このような評価ツールは当該技術分
野で周知であり、例えば、ウェクスラー成人知能評価尺度及びウッドコック・ジョンソン
III認知能力テスト(両方とも一般知能を評価するため)、レーヴン漸進的マトリック
ス(非言語知能を評価するため)、広範囲な学業達成テスト(Wide Range A
chievement Test)及びウッドコック・ジョンソンIII学業達成テスト
(学業成績を評価するため)、コナーズ注意持続テストII(注意力/実行機能を評価す
るため)、記憶及び学習の広範囲な評価(記憶及び学習を評価するため)、ベンダー・ゲ
シュタルトテスト、ハルステッド・ライタン握力テスト、ハルステッド・ライタン・フィ
ンガー・タッピングテスト、及びラファイエット・グルーブド・ペグボードタスク(La
fayette Grooved Pegboard Task)(すべて視覚運動及び
運動機能を評価するため)、及びピーボディー絵画語彙テスト(言語を評価するため)が
含まれる。
【0441】
認知機能はまた、精神運動覚醒検査(例えば、実施例に開示される)などの反応速度及
び/または覚醒検査を使用して評価し得る。この検査では、細かい運動スキル、精神運動
速度、注意力の欠如、覚醒の不安定性、疲労により誘発される衝動性などの構成要素を評
価される。
【0442】
例えば、精神運動覚醒検査(PVT)は、対象が視覚的刺激に応答する速度を測定する
、持続的な注意力、反応タイミングの検査である。対象は画面を監視し、視覚的刺激が現
れたらできるだけ早く画面を押す。次いで、視覚的刺激は消失し、(不規則な時間間隔で
)検査の経過にわたって例えば10回再び現れ、対象は、再び現れた際にできるだけ早く
スクリーンに触れる。検査性能は、例えば10個の反応時間の平均から定量化される。認
知機能の任意の変化は、例えば、経時的または治療を通じて、2つ以上の時点でこれらの
確立された検査のうちの1つ以上を使用し、結果を比較することによって監視され得る。
【0443】
本明細書で言及される「認知機能の改善」という語句は、対象が象徴的な操作を実行す
る能力、例えば、知覚する、記憶する、精神的イメージを作出する、思考の明確さを有す
る、意識する、理由付けする、思考する、または判断する能力の肯定的な変化を意味する
。肯定的な変化は、上記の検査のいずれかを使用して、例えば、ベースライン認知機能を
測定する第1の機会及びある期間後に認知機能を測定する第2の機会(治療が投与されて
いてもよい)の2つ以上の機会に測定することができる。認知機能は、関連する検査にお
いて、2つの時点間で、少なくとも約5%のパフォーマンスの増加が観察された場合、改
善されると言うことができる。関連する検査において、2つの時点間で、例えば、少なく
とも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約2S%、少なく
とも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なく
とも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%
の性能の増加が観察される。さらに、関連する検査において、2つの時点間で、例えば、
少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも
25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、
少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%の
性能の増加が観察される。2つの時点は、1週間間隔、2週間間隔、3週間間隔、4週間
間隔、2ヶ月間隔、3ヶ月間隔、4ヶ月間隔、5ヶ月間隔、または6ヶ月間隔であり得る
。治療は、介在期間中に投与され得る。したがって、一例として、「認知機能の改善」は
、確立されたウェクスラー成人知能評価尺度を使用して測定した際に、対象がベースライ
ン測定値から少なくとも約5%の性能の増加を示すことを意味し得る。例えば、対象は、
この検査において、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少
なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少
なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、ま
たは少なくとも約100%の性能の増加を示し得る。さらに、例えば、対象は、この検査
において、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、
少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくと
も60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも
100%の性能の増加を示し得る。
【0444】
別の実施形態では、本開示は、反応速度、例えば、対象が視覚的刺激に応答する速度を
増加させるために使用するための本開示の化合物を提供する。
【0445】
一実施形態では、対象は、加齢に関連する認知機能の低下を有する。
【0446】
本明細書で使用される「加齢に関連する認知機能の低下」という用語は、加齢プロセス
の直接的な結果である認知機能の低下を指し、加齢プロセスの直接的な結果ではない認知
機能の低下とは対照的である。臨床症状は、加齢に関連する認知機能の低下を有する対象
と、加齢プロセスの直接的な結果ではない認知機能の低下を有する対象と、の間で異なり
得る。
【0447】
「改善する」という用語は、運動能及び/または認知機能に関して使用される場合、対
象の任意の運動能機能障害及び/または認知低下を治療及び/または改善することを包含
し得る。したがって、運動能及び/または認知機能の加齢に関連する低下は、本明細書に
記載の本開示の化合物を使用して部分的または完全に逆転され得る。
【0448】
本明細書で使用される「レストレスレッグス症候群」または「RLS」という用語は、
原発性RLS及び続発性RLSを含む任意の形態のRLSを含む。一実施形態では、RL
Sは、原発性RLSである。別の実施形態では、RLSは、続発性RLSである。別の実
施形態では、RLSは、疾患または状態に対して続発性である。そのような疾患または状
態の例には、鉄欠乏症、腎不全、尿毒症、末梢神経障害、静脈瘤、神経変性疾患、ストレ
ス、睡眠不足、線維筋痛症、甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下症、妊娠、喫煙、ビ
タミン欠乏症(例えば、ビタミンB-12欠乏症)、ミネラル欠乏症(例えば、マグネシ
ウム欠乏症)、アミロイドーシス、ライム病、脊髄神経損傷、関節リウマチ、及びシェー
グレン症候群が含まれる。別の実施形態では、RLSは、薬物または物質に対して続発性
である。そのような薬物または物質の例には、アルコール、カフェイン、抗痙攣薬(例え
ば、フェニトイン)、抗うつ剤(例えば、アミトリプチリン、パロキセチン)、高血圧薬
(例えば、ベータ遮断薬)、抗精神病薬、および退薬(複数可)(例えば、血管拡張剤薬
物、鎮静剤、抗うつ剤)のが含まれる。神経変性疾患の例には、パーキンソン病、ハンチ
ントン病、遺伝性痙性対麻痺、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、前頭
側頭型認知症、レビー小体型認知症、多発系萎縮症、進行性核上性麻痺、及び大脳皮質基
底核変性症が含まれる。一実施形態では、神経変性疾患は、運動ニューロン病(例えば、
進行性延髄麻痺(PBP)、仮性球麻痺、原発性側索硬化症(PLS)、筋萎縮性側索硬
化症(ALS)、進行性筋萎縮症(PMA)、ハンチントン病、多発性硬化症、パーキン
ソン病、カナバン病、前頭側頭葉変性症、ナルコレプシー、ペリツェウス・メルツバッハ
ー病、及び脊髄性筋萎縮症)である。一実施形態では、神経変性疾患は、原発性または特
発性、続発性または後天性、遺伝性パーキンソニズム、及びパーキンソンプラス症候群ま
たは多発系変性症を含むパーキンソニズムである。別の実施形態では、疾患または状態は
、ドーパミン作動性細胞喪失などのドーパミン作動性系機能障害と関連する。
【0449】
RLSに関連する症状には、RLSに関連する任意の臨床的または実験室の症状が含ま
れる。RLSの症状は、対象が感じることができる、または観察することができる疾患に
関連する症状であるが、必ずしもそうである必要はない。RLSに関連する症状には、下
腿感覚、睡眠時周期的脚運動(PLMS)、不快な脚感覚、動きたい衝動、不穏、睡眠障
害、日中の過度の眠気などが含まれるが、これらに限定されない。
【0450】
別の実施形態では、本開示の化合物は、RLSに関連する1つ以上の症状を、それを必
要とする対象において軽減する、阻害する、または排除するための方法において使用され
る。方法は、治療有効量の本開示の化合物を対象に投与することを含む。
【0451】
別の実施形態では、1つ以上の症状は、下腿感覚、睡眠時周期的脚運動、不快な脚感覚
、動きたい衝動、不穏、日中の過度の眠気、及び睡眠障害のいずれか1つまたは組み合わ
せから選択される。
【0452】
RLSまたはRLSの1つ以上の症状の重症度は、例えば、既知の尺度、指標、評価、
またはスコアを使用して評価され得る。例えば、尺度、指標、評価、スコア、または他の
好適な検査は、全体なRLSの重症度、またはRLSに関連する1つ以上の症状の重症度
に対応し得る。一実施形態では、本明細書に記載される治療は、症候性対象の値または程
度特性から非症候性対象の値または程度特性への、そのような評価を改善する。
【0453】
一実施形態では、本明細書に記載される治療は、ベースラインと比較してそのような評
価を改善する。ベースラインは、例えば、RLSの任意の治療を開始する前、または本開
示の化合物によるRLSの治療を開始する前の対象の状態であり得る。あるいは、ベース
ラインは、例えば、RLSの治療でのある期間後の対象の状態であり得る。
【0454】
一実施形態では、本開示の化合物による治療は、ベースラインと比較して対象の国際レ
ストレスレッグス症候群試験群評価尺度(「IRLS」)を減少させる。一実施形態では
、IRLSは、ベースラインと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なく
とも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する。一実施形態では、I
RLSは、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%
、または100%減少する。
【0455】
本明細書で使用される「めまい」という用語は、例えば、良性発作性頭位めまい(BP
PV):前庭神経炎;メニエール病、ウォーレンバーグ症候群、脳虚血、外リンパ瘻もし
くは聴覚神経腫瘍に関連するめまい、または外傷性もしくは毒性起源の再発性めまいを含
む、任意の形態のめまいを含む。
【0456】
めまいの症状には、めまいに関連する任意の臨床的または実験室の症状が含まれる。め
まいの症状には、吐き気、嘔吐、異常または痙攣眼球運動(眼精疲労)、頭痛、発汗、耳
鳴り、及び/または難聴が含まれるが、これらに限定されない。
【0457】
本開示の方法において、典型的には薬学的プラクティスに従って製剤化される、治療有
効量の本開示の化合物は、それを必要とする対象、例えば、ヒトに投与される。そのよう
な治療が適応されるかどうかは、個々の症例に依存し、存在する徴候、症状、及び/また
は異常、特定の徴候、症状、及び/または異常を発症するリスク、ならびに他の要因を考
慮した医学的評価(診断)の対象となる。
【0458】
本開示の化合物は、任意の好適な経路、例えば、経口、口腔内、吸入、舌下、直腸、膣
内、腰椎穿刺による槽内または髄腔内、経尿道、経鼻、経皮(percutaneous
)、すなわち、経皮(transdermal)、または非経口(特定の部位での静脈内
、筋肉内、皮下、冠動脈内、皮内、乳房内、腹腔内、関節内、髄腔内、眼球後、肺内注射
、及び/または特定の部位での外科的移植を含む)投与によって投与することができる。
非経口投与は、針及びシリンジを使用して、または高圧技術を使用して達成することがで
きる。
【0459】
医薬組成物には、意図される目的を達成するために本開示の化合物が有効量で投与され
るものが含まれる。正確な製剤、投与経路、及び投与量は、診断された状態または疾患に
鑑みて個々の医師によって決定される。投与量及び間隔は、治療効果を維持するのに十分
なレベルの本開示の化合物を提供するために個別に調整することができる。
【0460】
本開示の化合物の毒性及び治療有効性は、例えば、動物において毒性を引き起こさない
最高用量として定義される化合物の最大許容用量(MTD)を決定するための、細胞培養
物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。最大許容用量と、
治療効果、例えば、LSDまたは神経変性疾患の進行の遅延と、の間の用量比は、治療指
標である。投与量は、使用される投与形態及び利用される投与経路に応じて、この範囲内
で変動し得る。治療有効量の決定は、特に本明細書に提供される詳細な開示に照らして、
当業者の能力の範囲内で十分である。
【0461】
治療で使用するために必要とされる本開示の化合物の治療有効量は、治療される状態の
性質、その活性が所望される時間の長さ、ならびに対象の年齢及び状態によって変動し、
最終的には担当医によって決定される。投与量及び間隔は、所望の治療効果を維持するの
に十分な血漿レベルを提供するために個別に調整することができる。所望の用量は、好都
合に、単回用量で、または適切な間隔で、例えば、1日に1回、2回、3回、4回、また
はそれ以上のサブ用量として投与することができる。複数回投与がしばしばく望ましいか
、または必要とされる。例えば、本開示の化合物は、4回の用量が4日間間隔で1日1回
の用量として送達される(q4d×4)、4回の用量が3日間間隔で1日1回の用量とし
て送達される(q3dx4)、1日の用量が5日間間隔で送達される(qdx5)、3週
間にわたり、週1回の用量(qwk3)、毎日5回の用量、2日間の休薬を行い、さらに
毎日5回の用量(5/2/5)、または状況に適していると判断される任意の用量レジメ
ンの頻度で投与することができる。慢性治療が必要とされる状況では、患者に、例えば、
約3カ月間、約6カ月間、約1年間、約2年間、約3年間、約5年間、約10年間、また
はそれ以上にわたって、1日あたり複数回投与され得る。
【0462】
本開示の方法で使用される本開示の化合物は、用量当たり約1~約2,000ミリグラ
ム(mg)、用量当たり約100~約1,000mg、または用量当たり約250~約7
50mgの量で投与することができる。例えば、本開示の化合物は、1~1000mgの
すべての用量を含む、約100、150、200、250、300、350、400、4
50、500、550、600、650、700、750、800、850、900、9
50、または1,000mgの量で、用量当たり投与され得る。
【0463】
本開示の方法で使用される本開示の化合物は、1日当たり250~15,000mg、
1日当たり500~10,000mg、1日当たり1,000~5,000mg、または
1日当たり1,500~2,500の量で対象に投与することができる。例えば、本開示
の化合物は、1日当たり、約250mg、約500mg、約750mg、約1,000m
g、約1,500mg、約2,000mg、約2,500mg、約3,000mg、約3
,500mg、約4,000mg、約4,500mg、約5,000mg、約6,000
mg、約7,000mg、約8,000mg、約9,000mg、約10,000mg、
約11,000mg、約12,000mg、約13,000mg、約14,000mg、
または約15,000mgの量で、対象に投与することができる。
【0464】
総1日用量は、複数回投与にわたって分散されてもよく、すなわち、投与は、必要な用
量を達成するために1日に2回以上必要とされてもよい。一例として、本開示の化合物の
総1日用量を提供するために必要な数の錠剤は、2つの投与(例えば、朝及び夕方)また
は3つの投与(例えば、朝、昼及び夕方)で分割してもよい。
【0465】
本開示の化合物を含む組成物、またはそれらを含む組成物の用量は、約1ng/kg~
約200mg/kg、約1μg/kg~約100mg/kg、または約1mg/kg~約
50mg/kgであり得る。組成物の用量は、約1μg/kgを含むがそれらに限定され
ない、任意の用量であり得る。組成物の用量は、約1μg/kg、約10μg/kg、約
25μg/kg、約50μg/kg、約75μg/kg、約100μg/kg、約125
μg/kg、約150μg/kg、約175μg/kg、約200μg/kg、約225
μg/kg、約250μg/kg、約275μg/kg、約300μg/kg、約325
μg/kg、約350μg/kg、約375μg/kg、約400μg/kg、約425
μg/kg、約450μg/kg、約475μg/kg、約500μg/kg、約525
μg/kg、約550μg/kg、約575μg/kg、約600μg/kg、約625
μg/kg、約650μg/kg、約675μg/kg、約700μg/kg、約725
μg/kg、約750μg/kg、約775μg/kg、約800μg/kg、約825
μg/kg、約850μg/kg、約875μg/kg、約900μg/kg、約925
μg/kg、約950μg/kg、約975μg/kg、約1mg/kg、約5mg/k
g、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約3
0mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/
kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約
100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約
200mg/kg、またはそれ以上を含む任意の用量であり得るが、これらに限定されな
い。上記の投与量は、平均的な場合の例示であるが、より高いまたはより低い投与量が利
益がある個々の場合が存在し得、そのようなものは、本開示の範囲内である。実際には、
医師は、特定の対象の年齢、体重、及び応答によって変動し得る、個々の対象に最も好適
な実際の投与レジメンを決定する。
【0466】
キット
別の実施形態では、本開示は、本開示の方法を実施するためのそれらの使用を容易にす
る様式でパッケージングされた本開示の化合物(または本開示の化合物を含む組成物)を
含むキットを提供する。一実施形態では、キットは、容器にラベル(及び/または説明書
)が貼付された、密封ボトルまたは容器などの容器にパッケージングされているか、また
は本開示の方法を実施するための化合物または組成物の使用を説明するキットに含まれて
いる、本開示の化合物(または本開示の化合物を含む組成物)を含む。一実施形態では、
化合物または組成物は、単位剤形でパッケージングされる。キットは、意図される投与経
路に従って組成物を投与するのに好適なデバイスをさらに含むことができる。
【0467】
したがって、「容器」という用語は、医薬品の保存、出荷、分配、及び/または取り扱
いに好適な任意の容器及びクロージャを意味する。
【0468】
「添付文書」との用語とは、医師、薬剤師、及び対象が製品の使用に関して情報に基づ
いた決定を行うことを可能にするために必要な安全性及び有効性データと共に、製品の投
与方法の説明を提供する医薬品に付随する情報を意味する。添付文書は、一般に、医薬品
の「ラベル」と見なされる。
【0469】
個別化された医療
別の実施形態では、本開示は、LSDもしくは神経変性疾患、片頭痛、レストレスレッ
グス症候群、もしくはめまい、及びそれらに関連する症状を有する対象、または運動能及
び/または認知機能の改善を必要とする対象のための個別化された医療の手順を提供し、
LSDもしくは神経変性疾患、片頭痛、レストレスレッグス症候群、もしくはめまいなら
びにそれらに関連する症状を有する個々の対象、または運動能及び/または認知機能の改
善を必要とする対象のために成功する可能性が最も高い治療選択肢の選択を包含する。別
の態様では、本開示は、LSDもしくは神経変性疾患、片頭痛、レストレスレッグス症候
群、もしくはめまいならびにそれらに関連する症状を有する対象における、または運動能
及び/または認知機能を改善することを必要とする対象についての、治療結果、例えば、
好ましい応答または治療成功の可能性を予測するためのアッセイ(複数可)の使用に関す
る。
【0470】
別の実施形態では、本開示は、開示の化合物によるLSDまたは神経変性疾患の治療の
ための対象、例えば、ヒト対象を選択することと、対象から、生体試料、例えば、血液細
胞または脳脊髄液を取得することと、LSD関連バイオマーカーまたは神経変性疾患関連
バイオマーカーの存在について対象由来の生体試料を検査することと、生体試料が、体液
中に異常なレベルのバイオマーカーを含む場合、例えば、体液中に蓄積もしくは上昇した
レベルのバイオマーカー、または体液中に枯渇もしくは低下したレベルのバイオマーカー
を含む場合、治療のための対象を選択することと、を含む、方法を提供する。別の実施形
態では、方法は、生体試料がバイオマーカーを含む場合、治療有効量の本開示の化合物を
対象に投与することをさらに含む。別の実施形態では、片頭痛、レストレスレッグス症候
群、もしくはめまい、及びそれらに関連する症状の治療のために、または運動能及び/ま
たは認知機能の改善のために、同じ方法を対象に適用することができる。
【0471】
別の実施形態では、本開示は、LSDまたは神経変性疾患を有する対象における治療結
果を予測するための方法であって、LSD関連バイオマーカーまたは神経変性疾患関連バ
イオマーカーの存在について対象由来の生体試料を検査することを含む、方法を提供し、
バイオマーカーの検出は、対象が治療有効量の本開示の化合物の投与に好ましく応答する
ことを示す。好ましい応答には、LSDまたは神経変性疾患に罹患している対象において
通常予想される症状の発症を遅延させることが含まれるが、これらに限定されない。別の
実施形態では、対象における治療結果を予測するための同じ方法は、片頭痛、レストレス
レッグス症候群、もしくはめまいを有する対象、及びそれらに関連する症状、または運動
能及び/または認知機能を改善することを必要とする対象に適用することができる。
【0472】
別の実施形態では、本開示は、LSDまたは神経変性疾患を治療する方法であって、対
象の細胞がLSD関連バイオマーカーまたは神経変性疾患関連バイオマーカーを含む、L
SDまたは神経変性疾患を有する対象、例えば、ヒト対象に、治療有効量の開示化合物を
投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、対象の細胞が、バイオマーカー
、例えば、上昇したレベルのLSD関連バイオマーカーもしくは神経変性疾患関連バイオ
マーカー、または低下したレベルのLSD関連バイオマーカーもしくは神経変性疾患関連
バイオマーカーを含むことが決定された後、本開示の化合物による治療のために対象が選
択される。別の実施形態では、片頭痛、レストレスレッグス症候群、もしくはめまい、及
びそれらに関連する症状の治療のために、または運動能及び/または認知機能の改善のた
めに、同じ方法を対象に適用することができる。
【0473】
別の実施形態では、LSDまたは神経変性疾患を有する対象を治療する方法は、対象か
ら生体試料を得ることと、生体試料がLSD関連バイオマーカーもしくは神経変性疾患関
連バイオマーカーのレベルの上昇、またはLSD関連バイオマーカーもしくは神経変性疾
患関連バイオマーカーのレベルの低下を含むかどうかを決定することと、生体試料がバイ
オマーカーのレベルの上昇またはレベルの低下を含む場合、対象に、治療有効量の本開示
の化合物を投与することと、を含む。別の実施形態では、片頭痛、レストレスレッグス症
候群、もしくはめまい、及びそれに関連する症状を有する対象の治療のために、または対
象における運動能及び/または認知機能の改善のために、同じ方法を対象に適用すること
ができる。
【0474】
本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は、対象において、インビボでま
たは対象から得られる生体試料において検出及び/または定量化することができる、タン
パク質、タンパク質の断片、ペプチド、ポリペプチド、核酸などの任意の生体化合物を指
す。さらに、バイオマーカーは、インタクトな分子全体であり得るか、またはその一部も
しくは断片であり得る。一実施形態では、バイオマーカーの発現レベルを測定する。バイ
オマーカーの発現レベルは、例えば、バイオマーカーのタンパク質またはRNA(例えば
、mRNA)レベルを検出することによって測定することができる。バイオマーカーはま
た、HPLC-MS/MSによって測定することができる。いくつかの実施形態では、バ
イオマーカーの部分または断片は、例えば、抗体または他の特異的結合剤によって検出ま
たは測定することができる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの測定可能な態様
は、対象の所与の状態、例えばLSDの所与の段階と関連付けられる。タンパク質または
RNAレベルで検出されるバイオマーカーに関して、そのような測定可能な態様は、例え
ば、対象におけるバイオマーカーの存在、不存在、もしくは濃度(すなわち、発現レベル
)、または対象から得られる生体試料を含み得る。核酸レベルで検出されるバイオマーカ
ーに関して、そのような測定可能な態様は、例えば、本明細書において変異状態とも称さ
れる、バイオマーカーまたはバイオマーカーの変異の種類、速度、及び/または程度の対
立遺伝子型を含み得る。
【0475】
本明細書で使用される「LSD関連バイオマーカー」という用語は、病理学的酵素欠損
の結果として、またはLSDに関連する細胞病理学的プロセスの結果として、対象におい
て蓄積または減少する、タンパク質、タンパク質の断片、ペプチド、ポリペプチド、核酸
などの任意の生体化合物を指す。LSD関連バイオマーカーの例には、ファブリー病に関
連するグロボトリアオシルセラミド(Gb3)、グロボトリアオシルスフィンゴシン(L
ysoGb3)、LysoGb3類似体、またはメチル化/非メチル化Gb3アイソフォ
ーム;ゴーシェ病に関連するグルコシルセラミド、キトトリオシダーゼ(ChT)、肺及
び活性化制御ケモカイン(CCL18/PARC)、マクロファージ炎症性タンパク質1
-α及び1-β(MIP-1α及びMIP-1β)、カテプシンK、ガングリオシド、G
M3/モノシアロジヘキソシルガングリオシド、グルコシルスフィンゴシン、またはオス
テオポンチン;クラッベ病に関連するガラクトシルセラミド、ガラクトシルフィンゴシン
/サイコシン;ムコ多糖症に関連するデルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、コ
ンドロイチン-6-硫酸塩、コンドロイチン-4,6-硫酸塩、ヒアルロン酸、グリコサ
ミノグリカン断片、β-ガラクトシダーゼ、コラーゲンIα、脂肪酸結合タンパク質5、
ニドゲン-1、骨オリゴマー基質タンパク質、インスリン様成長因子結合タンパク質7、
またはタンパク質HEG1;ニーマン・ピック病に関連するスフィンゴミエリン、遊離コ
レステロール(線維芽細胞中)、リゾスフィンゴミエリン(Lyso-SPM)、コレス
タン-3β,5α,6βトリオール(C-トリオール)、7-ケトコレステロール(7-
KC)、24(S)-ヒドロキシコレステロール、NPCBA1(3β-ヒドロキシ,7
β-N-アセチルグルコサミニル-5-コレン酸)、NPCBA2(おそらく3β,5α
,6β-トリヒドロキシコラノイル-グリシン)、カルビンジンD、リゾ-スフィンゴミ
エリン-509;及び/またはポンペ病に関連するグリコーゲン、四糖グルコース(Gl
c4)、ミオスタチン、またはインスリン様成長因子-I(IGF-I)が含まれるが、
これらに限定されない。例えば、Labato et al.,Diseases 4:
40(2016);Aerts et al.,J Inherit Metab Di
s 34:605-619(2011);and Giese et al.,Orph
anet Journal of Rare Diseases 10:78(2015
)for LSD-related biomarkersを参照のこと。
【0476】
本明細書で使用される「神経変性疾患関連バイオマーカー」という用語は、神経変性疾
患の結果として対象において蓄積される、タンパク質、タンパク質の断片、タンパク質、
ペプチド、ポリペプチド、核酸などの任意の生体化合物を指す。
【0477】
本明細書で使用される「片頭痛関連バイオマーカー」という用語は、片頭痛の結果とし
て対象において蓄積または減少する、タンパク質、タンパク質の断片、ペプチド、ポリペ
プチド、核酸などの任意の生体化合物を指す。
【0478】
本明細書で使用される「運動能関連バイオマーカー」という用語は、運動能の減少の結
果として対象において蓄積または減少する、タンパク質、タンパク質の断片、ペプチド、
ポリペプチド、核酸などの任意の生体化合物を指す。
【0479】
本明細書で使用される「認知機能関連バイオマーカー」という用語は、認知機能の低下
または変化の結果として対象において蓄積または減少する、タンパク質、タンパク質の断
片、ペプチド、ポリペプチド、核酸などの任意の生体化合物を指す。
【0480】
本開示のある特定の態様では、バイオマーカーは、別の表現型状態(例えば、正常な疾
患を有しない対象)と比較して、1つの表現型状態の対象(例えば、LSDを有する対象
)に差異的に存在する。
【0481】
個々の生物学的化合物に加えて、本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語
は、複数の生物学的化合物の群またはセットを含むよう意図される。例えば、リゾ-SM
-509、リゾ-Gb3の組み合わせは、バイオマーカーを含み得る。したがって、「バ
イオマーカー」は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、
15個、20個、25個、30個、またはそれ以上の生体化合物を含み得る。
【0482】
対象におけるバイオマーカーの血漿レベルの決定は、例えば、HPLC-MS/MSま
たはLysoTracker(登録商標)技術を使用して、当該技術分野で既知の多くの
方法のいずれかを使用して行うことができる。対象または生体試料における特定のLSD
関連バイオマーカーを定量化するための当該技術分野で既知の任意の方法が、本開示の方
法で使用され得る。
【0483】
本明細書で使用する「生体試料」という用語は、リゾ-SM-509血漿レベルなどの
バイオマーカーの検出に好適な、対象由来の任意の組織または液体を指す。有用な生体試
料の例には、生検された組織及び/または細胞、例えば、固形腫瘍、リンパ腺、炎症を伴
う組織、状態または疾患に関与する組織及び/または細胞、血液、血漿、漿液、脳脊髄液
、唾液、尿、リンパ、脳脊髄液などが含まれるが、これらに限定されない。他の好適な生
体試料は、関連技術分野の当業者には周知であろう。生体試料は、当該技術分野で既知の
任意の技法を使用してバイオマーカー発現及び/または変異について分析することができ
、臨床医の通常の知識の範囲内にある技術を使用して得ることができる。本開示の一実施
形態では、生体試料は、血液細胞を含む。
【0484】
本開示は、LSDを有する対象のための個別化された医療に関して、以下の特定の実施
形態を提供する。
【0485】
実施形態I:LSDを有する対象を治療する方法であって、治療有効量の本開示の化合
物を対象に投与することを含み、対象の細胞が、上昇した濃度または低下した濃度のLS
D関連バイオマーカーを含む、前記方法。
【0486】
実施形態II:LSDを有する対象を治療する方法であって、
【0487】
(a)対象由来の生体試料中のLSD関連バイオマーカーの濃度を決定することと、濃
度が、対照試料、例えば、正常な罹患していない対象由来の試料の濃度よりも高いか、ま
たは対照試料の濃度よりも低いと決定されるとき、
【0488】
(b)治療有効量の本開示の化合物を対象に投与することと、を含む、前記方法。
【0489】
実施形態III:上昇した濃度または低下した濃度のLSD関連バイオマーカーを有す
る対象におけるLSDを治療するための方法であって、治療有効量の本開示の化合物を対
象に投与することを含む、前記方法。
【0490】
本開示は、神経変性疾患を有する対象のための個別化された医療に関して、以下の特定
の実施形態を提供する。
【0491】
実施形態I:神経変性疾患を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の本開示
の化合物を対象に投与することを含み、対象の細胞が、上昇した濃度または低下した濃度
の神経変性疾患関連バイオマーカーを含む、前記方法。
【0492】
実施形態II:LSDを有する対象を治療する方法であって、
【0493】
(a)対象由来の生体試料中の神経変性疾患関連バイオマーカーの濃度を決定すること
と、濃度が、対照試料、例えば、正常な罹患していない対象由来の試料の濃度よりも高い
か、または対照試料の濃度よりも低いと決定されるとき、
【0494】
(b)治療有効量の本開示の化合物を対象に投与することと、を含む、前記方法。
【0495】
実施形態III:上昇した濃度または低下した濃度の神経変性疾患関連バイオマーカー
を有する対象における神経変性疾患を治療するための方法であって、治療有効量の本開示
の化合物を対象に投与することを含む、前記方法。
【0496】
本開示は、片頭痛及びそれに関連する症状を有する対象のための個別化された医療に関
して、以下の特定の実施形態を提供する。
【0497】
実施形態I:片頭痛及びそれに関連する症状を有する対象を治療する方法であって、治
療有効量の本開示の化合物を対象に投与することを含み、対象の細胞が、上昇した濃度ま
たは低下した濃度の片頭痛関連バイオマーカーを含む、前記方法。
【0498】
実施形態II:片頭痛及びそれに関連する症状を有する対象を治療する方法であって、
【0499】
(a)対象由来の生体試料中の片頭痛関連バイオマーカーの濃度を決定することと、濃
度が、対照試料、例えば、正常な罹患していない対象由来の試料の濃度よりも高いか、ま
たは対照試料の濃度よりも低いと決定されるとき、
【0500】
(b)治療有効量の本開示の化合物を対象に投与することと、を含む、前記方法。
【0501】
実施形態III:上昇した濃度または低下した濃度の片頭痛関連バイオマーカーを有す
る対象における片頭痛及びそれに関連する症状を治療するための方法であって、治療有効
量の本開示の化合物を対象に投与することを含む、前記方法。
【0502】
本開示は、運動能を改善することを必要とする対象のための個別化された医療に関して
、以下の特定の実施形態を提供する。
【0503】
実施形態I:運動能を改善することを必要とする対象を治療する方法であって、
治療有効量の本開示の化合物を対象に投与することを含み、対象の細胞が、上昇した濃度
または低下した濃度の運動能関連バイオマーカーを含む、前記方法。
【0504】
実施形態II:運動能を改善することを必要とする対象を治療する方法であって、
【0505】
(a)対象由来の生体試料中の運動能関連バイオマーカーの濃度を決定することと、濃
度が、対照試料、例えば、正常な罹患していない対象由来の試料の濃度よりも高いか、ま
たは対照試料の濃度よりも低いと決定されるとき、
【0506】
(b)治療有効量の本開示の化合物を対象に投与することと、を含む、前記方法。
【0507】
実施形態III:上昇した濃度または低下した濃度の運動能関連バイオマーカーを有す
る対象における運動能を改善するための方法であって、治療有効量の本開示の化合物を対
象に投与することを含む、前記方法。
【0508】
本開示は、認知機能を改善することを必要とする対象のための個別化された医療に関し
て、以下の特定の実施形態を提供する。
【0509】
実施形態I:認知機能を改善することを必要とする対象を治療する方法であって、治療
有効量の本開示の化合物を対象に投与することを含み、対象の細胞が、上昇した濃度また
は低下した濃度の認知機能関連バイオマーカーを含む、前記方法。
【0510】
実施形態II:認知機能の改善を必要とする対象を治療する方法であって、
【0511】
(a)対象由来の生体試料中の認知機能関連バイオマーカーの濃度を決定することと、
濃度が、対照試料、例えば、正常な罹患していない対象由来の試料の濃度よりも高いか、
または対照試料の濃度よりも低いと決定されるとき、
【0512】
(b)治療有効量の本開示の化合物を対象に投与することと、を含む、前記方法。
【0513】
実施形態III:上昇した濃度または低下した濃度の認知機能関連バイオマーカーを有
する対象における認知機能を改善するための方法であって、治療有効量の本開示の化合物
を対象に投与することを含む、前記方法。
【実施例0514】
実施例1
重水素化N-アセチル-ロイシンの一般的な調製
(D-鏡像異性体、L-鏡像異性体及びD,L-混合物)
ロイシン中の1つ以上の水素原子を重水素(「D」または「2H」)に選択的に置き換
えるために、非常に様々な方法を使用することができる。位置Dの各々が90%以上の同
位体濃縮を有する、そのような化合物を調製することができる。1つの一般的な方法は、
ロイシンを重水素化し、次いで、それをN-アセチル形態に変換することを伴う。いくつ
かの場合では、N-アセチル形態は、直接重水素化することができ、例えば、「標識」す
ることができる。本方法は、特に明記しない限り、D、L、及びD、L混合物について一
般的である。例えば、Yamauchi et al.,Biosci.Biotech
nol.Biochem.70:276-278(2006);Kelly et al
.,Nat.Prod.Rep.14:205-219(1997);August e
t al.,Tetrahedron Lett.33:4617-4620(1992
);Oba et al.,Tetrahedron Lett.39:1595-15
98(1998);Hill et al.,Can.J.Chem.72:110-1
13(1994);Kelly et al.,Tetrahedron Lett.3
6:8315-8318(1995);and Fletcher et al.,J.
Chem.Soc.,Perkin Trans.I,43-52(2000)を参照の
こと。
【0515】
実施例2
D-ロイシンに基づく化合物の調製
D-ロイシン及びその標識された類似体の合成は、2-オキソ-4-メチル吉草をD-
アミノ酸デヒドロゲナーゼ(DAADH)で還元的アミノ化することによって達成するこ
とができる。
【0516】
1.0MのKOH溶液を添加することによってpHを10.5に維持しながら、100
mMのグリシン-KOH(pH10.5)、5.0mMのNADPH、70mMのNH
Cl、5.0mMの2-オキソ酸(ナトリウム塩)、及び2.9mgのDAADHを含む
反応混合物(1mL)を50℃で1時間インキュベートする。pH値は、pH計を使用し
て測定される。トリクロロ酢酸を添加して10%の最終濃度にすることにより、反応を終
了する。遠心分離及び濾過によって混合物を清浄化した後、生成したD-ロイシンを分離
し、逆相カラム上で精製し、蛍光検出器を使用して検出することができる(350nmで
の励起及び450nmでの検出)。あるいは、NADPHの再生システムは、100mM
のグリシン-KOH(pH10.5)、1.0mMのNADPHまたはNADP+、20
mMのグルコース、70mMのNHCl、5.0mMの2-オキソ酸、2.9mgのD
AADH、及び0.32mgを含む反応混合物(1mL)中で、グルコースデヒドロゲナ
ーゼ(GDH)と共に使用することができる。1.0MのKOH溶液を添加することによ
ってpHを10.5に維持しながら、GDHを50℃で1時間インキュベートする。D-
ロイシンを分離し、上記のように精製する。Dをアルファ炭素上に組み込むために、上記
反応を二酸化重水素中で行うことができる。DAADHは、アンモニアの存在下で対応す
る2-オキソ酸からD-アミノ酸を生成することを触媒し、優れた収率(>99%)及び
高い鏡像選択性(>99%)をもたらす。(Akita et al.,Biotech
nol Lett 34:1693(2012)and Akita et al.,B
iotechnol Lett 36:2245(2014))。
【0517】
実施例3
ラセミのロイシンをL-鏡像異性体に変換するための方法
ラセミアミノ酸は、酵素的または化学的手順によって、それらのL及びD鏡像異性体に
分解され得る。オキシダーゼ-アミノトランスフェラーゼ結合システムを使用する、ラセ
ミアミノ酸をホモキラル生成物に変換するための一般的な方法が報告されている(Sha
h et al.,Tetrahedron Lett.35:29-32(1994)
)。この方法は、D-アミノ酸オキシダーゼ(EC 1.4.3.3)、カタラーゼ(E
C1.11.1.6)、ロイシンデヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.9)、及びギ酸デ
ヒドロゲナーゼ(EC1.2.1.2)によってラセミ体からL-ロイシンを作製するた
めに使用することができ、D-ロイシンは、酸素、NAD、及びギ酸アンモニウムを含
む酵素系中で、アキラル中間体α-オキソ-γ-メチルチオ-ブチレートにより、インサ
イチュでL-鏡像異性体に完全に変換される。ロイシンデヒドロゲナーゼは、NAD+の
存在下でメチオニンを含む様々な脂肪族L-アミノ酸をα-オキソ類似体に可逆的に脱ア
ミノ化することを触媒する。反応は、ギ酸デヒドロゲナーゼ反応との組み合わせによって
加速される、還元的アミノ化に有利である。ギ酸デヒドロゲナーゼは、NAD+のNAD
Hへの同時還元をと用いて、ギ酸塩のCOへの不可逆的な酸化を触媒する。α-オキソ
酸は、Hによる酸化によって自発的に脱カルボキシル化される。
【0518】
反応混合物は、37℃及びpH8.0~8.5で、1mLの最終体積中、DL-ロイシ
ン(100μmol)、NADH(1μmol)、塩化アンモニウム(25μmol)、
ギ酸ナトリウム(500μmol)、Tris-HCl緩衝液(pH8.5;100μm
ol)、SigmaからのD-アミノ酸オキシダーゼ(5単位)、Sigmaからのカタ
ラーゼ(2単位)、Clostridium thermoaceticum AN 2
8-4由来のロイシンデヒドロゲナーゼ(10単位)、及びBoehringerからの
ギ酸デヒドロゲナーゼ(2単位)を含む。10時間インキュベートした後、HClを反応
混合物に添加して1.0Mの最終濃度にする。溶液をDowex50(H)カラム(1
×10cm)に適用し、L-ロイシンを1MNHOHで溶出する。L-ロイシンを含む
画分をプールし、少量に濃縮し、続いて減圧下で蒸発乾燥させる。残渣を少量の高温80
%エタノール中に溶解し、L-ロイシンを4℃で結晶化する。この方法を使用して、DL
-ロイシン(0.1M)は、Daicel Crownパックカラム(0.4 i.d.
×50cm)を有する鏡像選択的HPLCでの分離に基づいて、L-鏡像異性体に変換す
ることができる(収率95%、すなわち2時間で99%)。(Nakajima et
al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.13:947-948(1
990))。
【0519】
実施例4
重水素化ロイシン類似体のN-アセチル化形態の調製
アミン、及びロイシンを含むα-アミノ酸のN-アセチル化のための方法が広く報告さ
れている。上記の報告された方法によって合成された重水素化ロイシン類似体は、記載さ
れた方法からN-アセチル化されず、得られた重水素化ロイシン類似体は、以下に記載さ
れる方法のうちの1つによってN-アセチル化される。記載される1つの方法では、アセ
チル化剤は、以下のように進行する酢酸である:(CHCO)O+HN-CH(R
)-COOH→CHCONH-CH(R)-COOH+CHCOOH。この反応は、
酢酸環境中または水とピリジンとの混合物中で行われる。無水酢酸によるL-ロイシン及
びD-ロイシンのアセチル化は、反応混合物の50~70℃の加熱時に、出発化合物の水
溶液中で効率的に進行する。無水酢酸に対するアミノ酸の最適モル比は、1.25~1.
5である。アセチル化生成物は、冷却時に水溶液から結晶化し、75~80%の収率で一
水和物を形成することができる。蒸留水(760mL)を攪拌機及び温度計を備えたガラ
ス反応器に入れ、L-ロイシン(14.0mol)を、攪拌し、かつ、50~55℃まで
加熱しながら少しずつ添加し、混合物を攪拌して完全に溶解させる。酢酸無水物(198
0mL、21.0mol)を2.0~2.5時間にわたって滴下漏斗を通して添加した。
これを混合物の温度が70℃を超えないようにする速度で添加する。次いで、反応物を7
0℃に0.5時間加熱し、冷却時に結晶化が生じるように放置する。反応混合物を40分
間混合した後、塩酸(1060ml、37%)をpH2.0~2.5に滴下して添加する
。得られた沈殿物を濾過によって収集し、氷水、続いて、アルコールでフィルター上で洗
浄し、50~60℃で乾燥させ、次いで25~30℃で空気中で乾燥させる。85℃で一
定の重量まで真空乾燥することにより、無水生成物が得られる。母液からの酢酸水溶液を
70℃の浴温度で回転蒸発器で蒸発させた後、さらに360gの生成物が得られる。
【0520】
実施例5
α炭素(C-2)上で重水素化した化合物の調製
迅速で安価であり、一般に適用可能であり、ロイシンに有効であることが示されている
、市販のアミノ酸から出発してアミノ酸の位置を標識するための調製が報告されている(
Upson and Hruby,J.Org.Chem.42:2329-2330(
1977))。この方法では、ロイシンを酢酸及び無水酢酸中で還流させて、ラセミのN
-アセチルロイシンを得る。過剰な無水酢酸とDOとの混合物を使用して、AcOD中
のAcOの溶液を得る。この溶液でアミノ酸を数分間還流しながら処理することにより
、その位置でアシル化、ラセミ化、及び交換が生じる。次いで、N-アセチルロイシンは
、ブタ腎臓アシラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、または鏡像異性体化合物の著しい切断
を伴わずに、1つの立体異性体からアセチル基を選択的に切断することができる他の酵素
を使用した酵素分解のための出発化合物である。高レベルの交換を達成するには、高い2
H/1H比が必要である。この状態は、いくつかの方法でアプローチすることができる:
(a)アミノ酸-に対して高いモル過剰の酢酸-dを使用することができ、(b)アミノ
酸の不安定な水素を事前の交換に供することができ、(c)交換反応を繰り返すことがで
きる。1回の処理は83%の交換となり、2回目の処理は交換のレベルを91%に引き上
げる。
【0521】
すべてのプロチオロイシン(0.01mol)を3.7mLのDOで振盪させて不安
定なプロトンを交換する。混合物を凍結し、凍結乾燥させる。直ちに、21.7mLのA
O及び2.5mLのDOを得られた粉末に添加し、フラスコを170℃の浴中に配
置する。溶液を2分間還流させ、次いで冷却し(乾燥チューブ)、2mLのDOを添加
して残りのAcOを破壊し、任意のアズラクトンをN-アセチルロイシンに戻す。溶媒
を回転蒸発によって除去する。水素は、陽子核磁気共鳴分光法により検出可能であり、収
率(80%)である。
【0522】
別の例では、ロイシンデヒドロゲナーゼを使用して、α-プロトンの交換を触媒するこ
とができるため、反応がO中で行われる場合、L-[2-H]ロイシンを調製す
ることができる。酵素形質転換の前に、O塩基中のα-ケト酸を事前に交換するこ
とによって、重水素化をβ位置にも伸長する。この方法は、グラムスケールの[2,3,
3-]ロイシンを含む、様々な同位体標識α-アミノ酸の合成を可能にする。ギ酸
デヒドロゲナーゼ(FDH)触媒系を使用して、NADHを再循環させ、そのα-ケト酸
及びロイシンデヒドロゲナーゼからロイシンを調製することができる。ギ酸デヒドロゲナ
ーゼは、ギ酸イオンの二酸化炭素への酸化を触媒し、NAD+と反応する水素化イオンを
放出し、したがって、必要とされる方向に可逆的還元的アミノ化反応を駆動する。さらに
、オキシダーゼ-アミノトランスフェラーゼカップリングシステムを使用した、ラセミの
アミノ酸をホモキラル生成物に変換するための一般的な方法が報告されている。(Kel
ly et al.,Tetrahedron Lett.37:1517-1520(
1996)及びKelly et al.,Nat.Prod.Rep.14:205-
219(1997))。
【0523】
別の方法では、酵素触媒に基づく形質転換は、ロイシンを含む一連のα重水素化L-ア
ミノ酸の調製に有用であることが証明されている((Kelly et al.,Tet
rahedron Lett.37:1517-1520(1996))。このアプロー
チは、D0中の非標識L-アミノ酸を、トリプトファナーゼ中に豊富に存在する凍結乾
燥E.coli B/It7-A細胞と共にインキュベートすることを伴う。比較的広範
な基質特異性により、合理的な収率(43~95%)で、ロイシンを含む一連のα重水素
化L-アミノ酸の調製が可能となる。
【0524】
別の方法では、対応するアミノ酸を重水素化酢酸中の0.05当量のベンズアルデヒド
で加熱することにより、ラセミ[2-H]アミノ酸を調製した(Kelly et a
l.,Tetrahedron Lett.37:1517-1520(1996))。
酸をメチルエステルに転換し、続いてアルカラーゼ触媒による分解により、99%超の重
水素が組み込まれたホモキラルアミノ酸を得た。
【0525】
別の方法では、α重水素化α-アミノ酸キラル補助剤を合成するために、鋳型を使用す
る(Rose et al.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1
,157-165(1995))。具体的には、還流MeOH-O中のScho
llkopfのビス-ラクチムエーテルである(3R)-または(3S)-3-イソプロ
ピル-2,5-ジメトキシ-3,6-ジヒドロ-ピラジンの塩基触媒による重水素化によ
り、C-3における立体中心を乱すことなく、[6-]同位体9が得られる。
【0526】
ルテニウム触媒によるアミノ酸の選択的α重水素化は、Chatterjee et
al.,Org.Lett.18:5892-5895(2016)によって実証されて
いる。高い重水素組み込み、アミン官能基に対するα-CH プロトンの選択性、及び
低い触媒充填により、このプロトコルは、アミノ酸の実験室調製及び大規模調製の両方に
魅力的かつ有利である。複合体1を使用して、ロイシンを含むアミノ酸を効率的に標識す
ることができる。酸化重水素を使用することによって、ロイシンを含む一連のアミノ酸を
触媒作用に供した。Chatterjee et al.,Org.Lett.18:5
892-5895(2016)の表3を参照のこと。
【0527】
実施例6
β炭素(C-3)上で重水素化した化合物の調製
上記の項目で説明したα-プロトンと重水素とのアミノトランスフェラーゼ触媒交換を
使用して、Kelly et al.,Tetrahedron Lett.37:15
17-1520(1996)に記載されるように、酵素変換前に0塩基中でα-ケ
ト酸を予め交換することによって重水素をβ位置に組み込むこともできる。別の方法では
、マルチグラム量のホモキラル重水素化L-ロイシンの調製に好適な酵素シスタチオニン
γ-シンターゼを使用して、ある種のプロキラルβ-メチレン基を交換することができる
(Homer et al.,Anal Biochem.215:211-215(1
993))。O(pH7.2)中の33mM NaHPO、17mM KH
PO、1mM EDTA、及び0.2mMピリドキサールホスフェートの緩衝液中で反
応を行う。O中で溶媒交換可能なプロトンを予め交換した後、L-ロイシン(20
mg/mL)を、シスタチオニンγ-シンターゼと共に暗所で37℃で3日間インキュベ
ートする。次いで、生成物である[2S,3R-H2]ロイシンを標準的な手順によっ
て単離する。L-ロイシンのプロキラルβ-メチレン基を立体選択的に標識するために、
化学酵素アプローチの組み合わせを、ロイシンを含むL-スレオ-及びL-エリスロ-[
1-13C,2,3-]アミノ酸の合成のために報告されたもの変形として使用す
ることができる(Oba et al.,Tetrahedron Lett.39:1
595-1598(1998);Oba et al.,J.Chem.Soc.,Pe
rkin Trans.1,1603-1609(1995))。保護されたアミノ酸の
α、β位置への重水素の立体選択的組み込みは、デヒドロアミノ酸誘導体の触媒重水素化
、続いて、アシラーゼによる分解によって達成され、良好な収率のL-スレオ-[2,3
]アミノ酸をもたらす。L-エリスロ異性体では、次いで(最初の分解能から)
残りのD-スレオ異性体をラセミ化し、次いで、さらなる分解を行う必要がある。このア
プローチは、β-メチレン基及びプロキラルδ-メチル基の重水素の組み合わせで立体特
異的に標識するように拡張することができる。
【0528】
実施例7
ガンマ炭素上で重水素化された化合物の調製(C-4)
以下に詳細に記載するL-ロイシンのデルタ炭素の重水素での標識化について記載する
この化学酵素手法(Fletcher et al.,J.Chem.Soc.,Per
kin Trans.1,43-51 2000)を、ガンマ炭素(C-4)において重
水素を含むロイシン類似体の合成に使用することができる。これは、同位体標識源として
酢酸ナトリウム[H]を使用することによって達成することができる。例えば、塩化ピ
バロイルで酢酸ナトリウム[2-H]を処理することにより、混合された無水物が得ら
れ、これを1のリチウム塩との反応で、[4-H]-L-ロイシンの前駆体であるアシ
ル化生成物12が70%収率で得られる。
【0529】
実施例8
デルタ炭素上で重水素化された化合物の調製(C-5)
重水素標識メチル基を用いたロイシン及びバリンの立体選択的合成のための戦略が報告
されている。
【0530】
1つの方法では(Hill et al.,Canadian Journal of
Chemistry 72:10-113(1994))、(R)-プレゴン1を、公
開されている手順により、(R)-シトロネリン酸2(R=H)に変換する。スキーム1
を参照のこと。重水素化アルミニウムリチウムを用いたメチルエステル2(R=CH
の還元により、シトロネロール-1,1-d3を得て、これをクロロクロム酸ピリジニ
ウムによってシトロネラル-1-d4に酸化することができる。C-2における酸性水素
を、DO-CHOD中のNaCOとのいくつかの交換によって重水素と交換し、
シトロネラル-1,2,2-d35を得るアルデヒドの脱カルボニル化は、ウィルキンソ
ン触媒で達成され、(6S)-[7,7,7-]-2,6-ジメチル-2-ヘプテ
ン6が得られ、メチル及びトリジュウテリテリオメチル(trideuteriomet
hyl)を含む回転軸の不斉中心が、プレゴンの鏡像異性体純粋体の不明確な構成及び保
存で導入されている。6の二重結合は、Lemieux-Rudloff手順(10)~
(4s)-[5,5,5-2~3]-4-メチルペンタン酸7によって酸化される。アミ
ノ基を、α-臭素化、続いてアンモノリシスによって通常の方法で導入し、アミノ酸をN
-アセチル誘導体9のブタ腎臓アシラーゼ触媒加水分解によって分解する。この反応によ
り、ロイシン-5-dの(2S,4S)ジアステレオマー10が得られ、回収したアミ
ド11の酸加水分解により、(2R,4S)ジアステレオマー12が得られた。
スキーム1
【化35】
【0531】
実施例9
アセチル-ロイシン-2,3,3,4-d及びアセチル-L-ロイシン-2,3,3,
4-dの合成
スキーム2
【化36】
ステップ1:3-メチルブタナール-2,3-d(3)。
重水素酸化物(50mL)中の炭素上パラジウム(1g、0.08当量、9mmol)
の混合物に、3-メチルブト-2-エナール2(10.0g、11.5mL、1当量、1
19mmol)を室温で添加した。機器を2回排気し、重水素充填バルーンを使用してD
ガスを充填した。GC-MSによる変換をモニタリングしながら、反応混合物を室温で
撹拌した。7日後、GC-MSは、出発物質のほぼ完全な消費を示した(残り2%未満)
。セライト上で濾過することによって、Pd/Cを除去した。フラスコ及びフィルターを
O(3×4mL)で洗浄した。濾液及び洗浄液を合わせ、DO中の3-メチルブタ
ナール-2,3-d(3)の溶液をそのまま次のステップで使用した。(3)の構造を
H NMR及びGC-MSによって確認した。
【0532】
ステップ2:3-メチルブタナール-2,3,3-d3(4)。
O(29861-24)中の粗3-メチルブタナール-2,3-d(3)(11
9mmol)を圧力チューブに注いだ。ピリジン(941mg、0.96mL、0.1当
量、11.9mmol)を添加し、混合物を密封圧力チューブ中で130℃で一晩加熱し
た。H-NMR分析は、部分的なH/D交換を示した。混合物をさらに5日間加熱した
後、完全な重水素の組み込みが観察された。DO/ピリジン中の3-メチルブタナール
-2,3,3-d(4)の得られた溶液を、次のステップでそのまま使用した。(4)
の構造をH NMRで確認した。
【0533】
ステップ3:2-ヒドロキシ-4-メチルペンタンニトリル-3,3,4-d(5)。
3-メチルブタナール-2,3,3-d(4)(0.1当量のピリジンを有するD
O中)の粗溶液を10℃に冷却し、メタ亜硫酸水素ナトリウム(11.73g、61.6
9mmol)を少量ずつ添加した。ほぼ全ての固体が溶解した後、混合物を4~5℃に冷
却し、シアン化カリウム(7.305g、1当量、112.2mmol)を少量ずつ添加
した。混合物を室温で2時間撹拌した。生成物を酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせ
た有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、2-ヒドロキシ-4-
メチルペンタンニトリル-3,3,4-d(5)を橙色の油として得た(4.8g、4
1mmol)。材料は不純物を含有していたが、次のステップでそのまま使用した。(5
)の構造をH NMRで確認した。
【0534】
ステップ4:5-(2-メチルプロピル-1,1,2-d3)イミダゾリジン-2,4-
ジオン(6)
微粉末化炭酸アンモニウム(9.3g、2.33当量、96mmol)を酸化重水素(
15mL)に添加し、ほぼ全ての固体が溶解するまで撹拌した。粗2-ヒドロキシ-4-
メチルペンタンニトリル-3,3,4-d(5)(4.8g、1当量、41mmol)
をTHF(15mL)を含む反応混合物に移した。混合物を密封チューブ中で100℃で
一晩加熱した。揮発物(THF)を真空中で除去し、重水素酸化物中の懸濁液が残留した
。主に所望のヒダントイン6(2.6g)からなる濾過によって、固体を単離した。固体
をDCM(10mL)中で粉砕し、不純物を含む1.5gの6を黄色固体として得た。
H-NMRスペクトルに基づき、アルファ位置における重水素のカルボニルへの組み込み
は、60%であった。
【0535】
ステップ5:アセチル-ロイシン-2,3,3,4-d4(1-rac)
5-(2-メチルプロピル-1,1,2-d3)イミダゾリジン-2,4-ジオン(6
)(1.5g、1当量、9.4mmol)をDO(21g、15mL、1当量、9.4
mmol)中の重水素化ナトリウムの40%溶液に懸濁し、72時間加熱還流した。混合
物をDCl(DO中20%)で中和した。無水酢酸の中和された混合物(3.8g、3
.6mL、4当量、38mmol)に添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。固体を
濾別し、THFで抽出して、不純物を含む生成物220mgを得た。濾液の水溶液をTH
Fで抽出して、900mgの生成物を得た。残りの水相を濃縮乾燥させ、残渣をTHFで
抽出して、追加の120mgの生成物を得た。すべての生成物バッチを合わせ、EtOA
cから沈殿させ、いくつかの無機不純物を含む330mgの生成物を得た。母液をジクロ
ロメタンで処理し、追加の300mgの生成物を得た。両方の沈殿生成物画分を合わせて
、630mgの材料を得て、これをDCM中のMeOHを使用したシリカゲルの小さなプ
ラグ上でフラッシュし、無機不純物を除去した。これにより、430mg(9.4mmo
l、29%)のrac-アセチル-ロイシン-2,3,3,4-d(1-rac)が9
8%超の純度(ELSD)で得られた。(1-rac)の構造をH NMR及びLCM
Sによって確認した。
【0536】
ステップ6:アセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-d(1)
アセチル-ロイシン-2,3,3,4-d(1-rac)のキラル分解を、キラル分
取HPLCを使用して行った。この分離からの濃縮画分は、アセチル-L-ロイシン-2
,3,3,4-dのアンモニウム塩を含有した。この塩を凍結乾燥によって除去した。
1.0gの1-racから、アセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-d(320m
g)及びアセチル-D-ロイシン-2,3,3,4-d(340mg)の両方を単離し
た。アセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-d(1)は、99.6%の純度(EL
SD)及び97%eeの光学純度を有した。
【0537】
実施例10
アセチル-ロイシン-2,3,3-d及びアセチル-L-ロイシン-2,3,3-d
の合成
【化37】
アセチル-ロイシン-2,3,3-d及びアセチル-L-ロイシン-2,3,3-d
は、実施例9に記載される方法を使用して調製することができる。
【0538】
実施例11
フローサイトメトリーによるリソソーム体積の測定
本研究で適用される技術は、Vruchte et al.,J.Clin.Inve
st.3:1320-1328(2014)に記載されている。簡潔に述べると、テイ・
サックス病を有する患者由来のヒト線維芽細胞であるAB異型を、NINDS Huma
n Genetic Repository at the Coriell Inst
itute,403 Haddon Avenue,Camden,New Jerse
y,08103,USA.から購入した。線維芽細胞またはチャイニーズハムスター卵巣
細胞をT75培養フラスコ中で増殖させ、化合物で7日間処理し、トリプシン処理し、遠
心分離し(180g、5分)、1x PBSで2回洗浄し、再び遠心分離し、PBS中1
00nMのLysoTracker-greenDND-26(Invitrogen)
1mlで染色した(10分、暗い中)。インキュベーション後、細胞を遠心分離し(80
0g、5分)、0.5mlのFACS緩衝液(0.1%BSA、1×PBS中0.02M
NaN3)中に再懸濁し、氷上で最大1時間維持した後、フローサイトメトリー分析(
BD Biosciences FACSCanto IIまたはAccuri C6
Plus)を行った。Cytometer Setup及びTracking bead
s(BD)を使用してサイトメーターを較正し、BD FACSDivaソフトウェア(
BD)またはBD Accuri C6 Plusソフトウェア(BD)を使用して、L
ysotrackerまたはPropidium Iodideで染色された細胞を使用
して補償を行った。
【0539】
アセチル-ロイシン-2,3,3,4-d(rac-N-アセチル-ロイシン-d4
と称される)は、アセチル-ロイシン(N-アセチル-DL-ロイシンと称される)より
も著しく大きな効果を示した。例えば、1mMのアセチル-ロイシン-2,3,3,4-
は、1mMのアセチル-ロイシンと比較して、LysoTracker蛍光レベルの
著しい減少を示した。NPC CHO細胞株及びテイ・サックス病AB異型ヒト線維芽細
胞株の両方で、効果が観察された。その結果を図1及び図2に示す。
【0540】
実施例12
薬物動態学研究
アセチル-ロイシン、アセチル-L-ロイシン、アセチル-ロイシン-2,3,3,4
-d(1-rac)、及びアセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-d(1)を、
経口(p.o)経路より、雄BALB/cマウスに投与した。血漿及び組織試料を所定の
時点で収集し、HR/MSを使用して分析した。血漿中濃度対時間曲線を図3図6に示
す。
【0541】
100mg/kgの公称用量のアセチル-ロイシンのp.o.投与後、86,100n
g/mlのアセチル-D-ロイシンのCmaxが投与後0.25時間で達成され、AUC
lastが57,800時間*ng/mlであり、3,410ng/mlのアセチル-L
-ロイシンのCmaxが投与後0.25時間で達成され、AUClastが2,600時
間*ng/mlであった。したがって、L体/D体の比は、Cmax及びAUClast
の両方で0.04であった。図3を参照のこと。
【0542】
100mg/kgの公称用量のアセチル-ロイシン-2,3,3,4-d(1-ra
c)のp.o.投与後、50,600ng/mlのアセチル-D-ロイシン-2,3,3
,4-dのCmaxが投与後0.50時間で達成され、AUClastが99,600
時間*ng/mlであり、3,880ng/mlのアセチル-L-ロイシン-2,3,3
,4-d(1)のCmaxが投与後0.25時間で達成され、AUClastが3,4
30時間*ng/mlであった。したがって、L体/D体の比は、Cmaxでは0.08
であり、AUClastでは0.03であった。図4を参照のこと。
【0543】
公称用量100mg/kgのアセチル-L-ロイシンのp.o.投与後、436ng/
mlのアセチル-D-ロイシンのCmaxが投与後0.25時間で達成され、AUCla
stが573時間*ng/mlであり、16,800ng/mlのアセチル-L-ロイシ
ンのCmaxが投与後0.25時間で達成され、AUClastが11,400時間*n
g/mlであった。したがって、L体/D体の比は、Cmaxでは38.5であり、AU
lastでは19.8であった。図5を参照のこと。
【0544】
100mg/kgの公称用量のアセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-d(1)
のp.o.投与後、3,230ng/mlのアセチル-D-ロイシン-2,3,3,4-
のCmaxが投与後0.25時間で達成され、AUClastが3,150時間*n
g/mlであり、29,300ng/mlのアセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-
(1)のCmaxが投与後0.25時間で達成され、AUClastが18,200
時間*ng/mlであった。L体/D体の比は、Cmaxでは9.08であり、AUC
astでは5.78であった。図6を参照のこと。
【0545】
これらのデータは、重水素化または非重水素化アセチルロイシンのいずれかを投与した
とき、アセチル-D-ロイシン-2,3,3,4-d/アセチル-D-ロイシンのC
ax及びAUClastの比がそれぞれ0.59及び1.72であったことを示す。アセ
チル-L-ロイシン-2,3,3,4-d(1)/アセチル-L-ロイシンのCmax
及びAUClastの比は、それぞれ1.14及び1.32であった。
【0546】
これらのデータはまた、重水素化または非重水素化アセチル-L-ロイシンのいずれか
を投与したとき、アセチル-D-ロイシン-2,3,3,4-d/アセチル-D-ロイ
シンのCmax及びAUClastの比がまた、それぞれ7.40及び5.50であった
ことを示す。アセチル-L-ロイシン-2,3,3,4-d(1)/アセチル-L-ロ
イシンのCmax及びAUClastの比は、それぞれ1.75及び1.61であった。
【0547】
本明細書に記載される方法、化合物、及び組成物を本明細書で十分に記載したが、本明
細書またはその任意の実施形態で提供される方法、化合物、及び組成物の範囲に影響を与
えることなく、広範囲かつ等価な条件、製剤、及び他のパラメータ内でそれらを行うこと
ができることが当業者によって理解されるであろう。本明細書に引用される全ての特許、
特許出願、及び刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
式Iを有する化合物、
(化1)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上であり、
ただし、
(a)R13が水素である場合、R、R、R、R、R、R、R、R
、R11、及びR12のうちの少なくとも1つが、水素であり、
(b)前記化合物が、以下のものではない、前記化合物、またはその薬学的に許容さ
れる塩もしくは溶媒和物。
(化2)
(態様2)
前記式Iを有する化合物が、光学的に活性である、態様1に記載の化合物、またはその
薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様3)
式IIを有する、態様2に記載の化合物、
(化3)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様4)
式IIIを有する、態様2に記載の化合物、
(化4)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様5)
式IVを有する、態様2に記載の化合物、
(化5)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様6)
式Vを有する、態様2に記載の化合物、
(化6)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様7)
が、水素である、態様1~6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に
許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様8)
が、-CR2a2b2cであり、
2a、R2b、及びR2cが、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され

2a、R2b、及びR2cのうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以
上である、態様1~7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩
もしくは溶媒和物。
(態様9)
2a、R2b、及びR2cが、水素である、態様8に記載の化合物、またはその薬学
的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様10)
13が、水素である、態様1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的
に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様11)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか2つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様1~10のいずれか一項に記
載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様12)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか3つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様11に記載の化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様13)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか4つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様12に記載の化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様14)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか5つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様13に記載の化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様15)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか6つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様14に記載の化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様16)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか7つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様14に記載の化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様17)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか8つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様16に記載の化合物、または
その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様18)
の重水素濃縮が、約15%以上であり、
10の重水素濃縮が、約15%以上であり、
、R、R、R11、及びR12が、水素である、態様11に記載の化合物、
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様19)
及びRの重水素濃縮が、約15%以上であり、
10及びR11の重水素濃縮が、約15%以上であり、
及びR12が、水素である、態様13に記載の化合物、またはその薬学的に許容
される塩もしくは溶媒和物。
(態様20)
以下からなる群から選択される、態様1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され
る塩もしくは溶媒和物。
(化7)
(態様21)
以下からなる群から選択される、態様2に記載の化合物、またはその薬学的に許容され
る塩もしくは溶媒和物。
(化8)
(態様22)
以下からなる群から選択される、態様2に記載の化合物、またはその薬学的に許容され
る塩もしくは溶媒和物。
(化9)
(態様23)
態様1~22のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしく
は溶媒和物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物。
(態様24)
リソソーム蓄積障害を治療するかまたはその進行を遅延させる方法であって、それを必
要とする対象に、治療有効量の式Iを有する化合物、
(化10)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含み、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記方法。
(態様25)
リソソーム蓄積障害を有する対象に神経保護を提供する方法であって、それを必要とす
る対象に、治療有効量の式Iを有する化合物、
(化11)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含み、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記方法。
(態様26)
神経変性疾患を治療するかまたはその進行を遅延させる方法であって、それを必要とす
る対象に、治療有効量の式Iを有する化合物、
(化12)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含み、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、12、及びR13のう
ちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記方法。
(態様27)
リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延さ
せる、片頭痛及びにそれに関連する症状を治療するかもしくは予防する、運動能及び/ま
たは認知機能を改善する、レストレスレッグス症候群を治療するかもしくは予防する、ま
たはめまいを治療するかもしくは予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療
有効量の式Iを有する化合物、
(化13)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含み、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、12、及びR13
うちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記方法。
(態様28)
前記式Iを有する化合物が、光学的に活性である、態様24~27のいずれか一項に記
載の方法。
(態様29)
前記式Iを有する光学的に活性な化合物が、式IIを有する化合物、
(化14)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、態様28に記載の方法。
(態様30)
前記式Iを有する化合物が、式IIIを有する化合物、
(化15)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、態様28に記載の方法。
(態様31)
前記式Iを有する化合物が、式IVを有する化合物、
(化16)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、態様28に記載の方法。
(態様32)
前記式Iを有する化合物が、式Vを有する化合物、
(化17)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、態様28に記載の方法。
(態様33)
が、水素である、態様24~32のいずれか一項に記載の方法、またはその薬学的
に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様34)
が、-CR2a2b2cであり、
2a、R2b、及びR2cが、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され

2a、R2b、及びR2cのうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上
である、態様24~33のいずれか一項に記載の方法、またはその薬学的に許容される塩
もしくは溶媒和物。
(態様35)
2a、R2b、及びR2cが、水素である、態様24に記載の方法、またはその薬学
的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様36)
13が、水素である、態様24~35のいずれか一項に記載の方法、またはその薬学
的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様37)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか2つ以上の重水素濃縮が約15%以上である、態様24~36のいずれか一項に記
載の方法、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様38)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか3つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様37に記載の方法、またはそ
の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様39)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか4つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様38に記載の方法、またはそ
の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様40)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか5つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様39に記載の方法、またはそ
の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様41)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか6つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様40に記載の方法、またはそ
の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様42)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか7つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様41に記載の方法、またはそ
の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様43)
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12のうちのい
ずれか8つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、態様42に記載の方法、またはそ
の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様44)
の重水素濃縮が、約15%以上であり、
10の重水素濃縮が、約15%以上であり、
、R、R、R11、及びR12が、水素である、態様37に記載の方法、ま
たはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様45)
及びRの重水素濃縮が、約15%以上であり、
10及びR11の重水素濃縮が、約15%以上であり、
及びR12が、水素である、態様39に記載の方法、またはその薬学的に許容さ
れる塩もしくは溶媒和物。
(態様46)
前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、態様24~27のいずれ
か一項に記載の方法、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(化18)
(態様47)
前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、態様46に記載の方法、
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(化19)
(態様48)
前記式Iを有する化合物が、以下からなる群から選択される、態様46に記載の方法、
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(化20)
(態様49)
リソソーム蓄積障害を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、神経変性疾患を
治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変
性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、片頭痛及びそれに関連する症状
を治療するかもしくは予防する方法、レストレスレッグス症候群及びそれに関連する症状
を治療するかもしくは予防する方法、めまい及びそれに関連する症状を治療するかもしく
は予防する方法、または運動能及び/または認知機能を改善する方法で使用するための、
式Iを有する化合物、
(化21)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、
前記式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様50)
リソソーム障害を有する対象において神経保護を提供するのに使用するための、式Iを
有する化合物、
(化22)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、
前記式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
(態様51)
リソソーム蓄積障害を治療するかもしくはその進行を遅延させる、神経変性疾患を治療
するかもしくはその進行を遅延させる、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患を
治療するかもしくはその進行を遅延させる、片頭痛及びそれに関連する症状を治療するか
もしくは予防する、レストレスレッグス症候群及びそれに関連する症状を治療するかもし
くは予防する、めまい及びそれに関連する症状を治療するかもしくは予防する、または運
動能及び/または認知機能を改善するための医薬の製造における、式Iを有する化合物、
(化23)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用であって、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、
前記使用。
(態様52)
リソソーム障害を有する対象において神経保護を提供するための医薬の製造における、
式Iを有する化合物、
(化24)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用であって、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、
前記使用。
(態様53)
リソソーム蓄積障害を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、神経変性疾患を
治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変
性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延させる方法、片頭痛及びそれに関連する症状
を治療するかもしくは予防する方法、レストレスレッグス症候群及びそれに関連する症状
を治療するかもしくは予防する方法、めまい及びそれに関連する症状を治療するかもしく
は予防する方法、または運動能及び/または認知機能を改善する方法で使用するための、
式Iを有する化合物、
(化25)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記式Iを有する化合
物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、
薬学的に許容される担体と、
を含む、医薬組成物。
(態様54)
リソソーム障害を有する対象において神経保護を提供するのに使用される、式Iを有す
る化合物、
(化26)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記式Iを有する化合
物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、
薬学的に許容される担体と、
を含む、医薬組成物。
(態様55)
式Iを有する化合物、
(化27)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記式Iを有する化合
物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、リソソーム蓄積障害を治療す
るかもしくはその進行を遅延させる、神経変性疾患を治療するかもしくはその進行を遅延
させる、リソソーム蓄積の欠損に関連する神経変性疾患を治療するかもしくはその進行を
遅延させる、片頭痛及びそれに関連する症状を治療するかもしくは予防する、レストレス
レッグス症候群及びそれに関連する症状を治療するかもしくは予防する、めまい及びそれ
に関連する症状を治療するかもしくは予防する、または運動能及び/または認知機能を改
善するために、前記化合物を対象に投与するための指示書と、を含む、キット。
(態様56)
式Iを有する化合物、
(化28)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であって、式中、
が、水素及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
が、C1-6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
が、それぞれ、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13
のうちのいずれか1つ以上の重水素濃縮が、約15%以上である、前記式Iを有する化合
物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、リソソーム障害を有する対象
において神経保護を提供するために、前記化合物を対象に投与するための指示書と、を含
む、キット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に実質的に記載された、新規な物、方法及び製造方法。