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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095807
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】重荷重車両
(51)【国際特許分類】
   B60C 3/04 20060101AFI20240703BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20240703BHJP
   B60C 9/18 20060101ALI20240703BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20240703BHJP
   B62D 61/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B60C3/04 Z
B60C9/00 M
B60C9/18 G
B60C11/00 F
B62D61/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024064968
(22)【出願日】2024-04-12
(62)【分割の表示】P 2021538237の分割
【原出願日】2019-12-24
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/086896
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515090422
【氏名又は名称】ゴルトホーファー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Goldhofer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Donaustrasse 95, D-87700 Memmingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン コスター
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト ヘーフェレ
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA39
3D131AA46
3D131BA07
3D131BA20
3D131BB03
3D131CA03
3D131DA07
3D131DA34
3D131DA43
3D131DA44
3D131DA54
3D131EA10V
3D131EA10X
3D131GA19
3D131HA14
3D131HA15
3D131HA37
3D131KA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】輸送のためのより大きな柔軟性を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのアクスルユニットを有する重荷重車両であって、アクスルユニットまたは各アクスルユニットが、少なくとも1つのホイールを有しており、各ホイールが、少なくとも1つのタイヤを有しており、少なくとも1つのタイヤが、チューブレスラジアルタイヤ(100)であり、シングルタイヤとして使用される場合に、60km/hの速度で、ミリメートルの断面幅(SW)あたり、少なくとも11kgの耐荷重を有している、重荷重車両に関し、タイヤ(100)が、755mm未満の外径(OD)を有しており、少なくとも10バールの内部圧力のために適合かつ構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアクスルユニット(204)を有する重荷重車両(200)であって、前記アクスルユニットまたは各アクスルユニット(204)が、少なくとも1つのホイール(206)を有しており、各ホイールが、少なくとも1つのタイヤを有しており、少なくとも1つのタイヤが、チューブレスラジアルタイヤ(100)であり、シングルタイヤとして使用される場合に、60km/hの速度で、ミリメートルの断面幅(SW)あたり、少なくとも11kgの耐荷重を有している、重荷重車両(200)において、
前記タイヤ(100)が、755mm未満の外径(OD)を有しており、少なくとも10バールの内部圧力のために適合かつ構成されていることを特徴とする、重荷重車両(200)。
【請求項2】
前記タイヤ(100)が、735mm未満、好適には715mm未満の外径(OD)を有している、請求項1記載の重荷重車両。
【請求項3】
前記タイヤ(100)が、シングルタイヤとして使用された場合に、60km/hの速度で、ミリメートルの断面幅(SW)あたり、少なくとも12.5kgの耐荷重を有している、請求項1または2記載の重荷重車両。
【請求項4】
前記タイヤ(100)が、60km/hの速度で、平方ミリメートルの断面幅(SW)×断面高(SH)あたり、少なくとも80g、好適には少なくとも95gの耐荷重を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【請求項5】
前記タイヤ(100)の少なくとも1つのビードリング(132)を形成するワイヤ(133)、好適には前記タイヤ(100)の両ビードリング(132)を形成するワイヤ(133)が複数の巻線を含み、当該複数の巻線において、直接に隣接し合うワイヤ部分が、三角形の配位で配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【請求項6】
少なくとも1つのビードリング(132)の前記スチールワイヤ(133)、好適には両ビードリング(132)の前記スチールワイヤ(133)は、前記タイヤ(100)の回転軸線(A)を中心とした周方向(C)に対して直交して延びる横断面で見た場合に、六角形の形状にしたがって配置されている、請求項5記載の重荷重車両。
【請求項7】
少なくとも1つのビードリング(132)、好適には両ビードリング(132)が、少なくとも44、好適には少なくとも51、より好適には少なくとも58の前記ビードワイヤ(133)の巻線を含む、請求項5または6記載の重荷重車両。
【請求項8】
前記タイヤ(100)のカーカス(114)の少なくとも1つのスチールコード(116)、好適には各スチールコード(116)が、少なくとも20、好適には少なくとも25のスチールフィラメントを有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【請求項9】
前記タイヤ(100)のベルト(122)が、複数のベルト層(124,126,128,130)を有しており、最も外側のベルト層(130)が、外側から2番目のベルト層(128)よりも小さな幅を有しており、該外側から2番目のベルト層(128)が、外側から3番目のベルト層(126)よりも小さな幅を有しており、前記3つのベルト層(126,128,130)が、好適には互いに上下に対称的に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【請求項10】
前記最も外側の層が、前記外側から2番目の層に並んだ配置で配置された2つのキャッププライストリップで置き換えられ、好適には、前記2つのキャッププライストリップのうちの少なくとも1つが、前記外側から2番目の層から予め規定された横方向の距離を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【請求項11】
前記最も外側のベルト層(130)のスチールコード(144)が、実質的に周方向(C)に延びている、請求項9または10記載の重荷重車両。
【請求項12】
前記最も内側のベルト層(124)のスチールコード(138)が、前記周方向(C)に対して45°未満、好適には35°未満、より好適には25°未満の角度を形成する、請求項9から11までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【請求項13】
前記カーカス(114)、前記外側から3番目のベルト層(126)および前記最も内側のベルト層(124)のうちの少なくとも1つが、少なくとも50、好適には少なくとも55、より好適には少なくとも60の、デシメートルあたりの密度を有している、請求項8から12までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【請求項14】
好適には高弾性率のゴムから形成されたビードエイペックス(138)が、前記ビードリング(132)のうちの少なくとも1つのビードリング、好適には両ビードリング(132)に隣接し、かつ径方向外側に配置されており、
前記ビードエイペックス(238)は、任意に、少なくとも2つのビードエイペックス区分(238a、238b)を含んでおり、第1のビードエイペックス区分(238a)が、前記ビードリング(232)に隣接して配置されており、第2のビードエイペックス区分(238b)が、前記ビードリング(232)から離れて配置されている、請求項5から13までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【請求項15】
前記ベルト(122)と前記カーカス(114)との間の楔形部のうちの少なくとも一方、好ましくは両方に、好適には高弾性率のゴムから形成されたショルダエイペックス(140;240a)が配置されており、
任意に、第2のショルダエイペックス区分(240b)が、前記ショルダエイペックス(240a)および前記ベルト(222)を上から覆っている、請求項5から13までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【請求項16】
ショルダ領域(206)の厚さ(SHT)が、最大35mmであり、かつ/または前記タイヤ(200)のアンダートレッド厚さ(UTT)が、最大5mmであり、かつ/または前記タイヤ(200)のサイドウォール(204)の最小厚さ(SWT)が、最大10mmであり、かつ/または中央の周方向の断面溝(120)の底部から前記ベルト(222)の上縁までを測定した厚さ(GBT)が、最大5mmである、請求項1から15までのいずれか1項記載の重荷重車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのアクスルユニットを有する重荷重車両であって、該アクスルユニットまたは各アクスルユニットが、少なくとも1つのホイールを有しており、各ホイールが、少なくとも1つのタイヤを有しており、少なくとも1つのタイヤが、チューブレスラジアルタイヤであり、該チューブレスラジアルタイヤは、シングルタイヤとして使用された場合に、60km/hの速度で、ミリメートルの断面幅あたり、少なくとも11kgの耐荷重を有している、重荷重車両に関する。
【0002】
本発明の文脈において、重荷重車両とは、少なくとも30tの許容総重量を有する車両であると理解すべきであることに留意されたい。
【0003】
さらに、先行技術のタイヤと同様に、本発明によるタイヤは、ベースウォールと、2つのサイドウォールとを有し、各サイドウォールは、ショルダを介してベースウォールに接続され、リムに接続されるように適合かつ構成されたビードとして形成された径方向内側の端部を有していることに留意されたい。先行技術のタイヤと同様に、ベースウォールおよびサイドウォールは、主にゴム材料で形成されている。さらに、ベースウォールの径方向外側の表面には、溝を含むトレッドが形成されている。一方のサイドウォールのビードからそれぞれ他方のサイドウォールのビードまで、2つのサイドウォールおよびベースウォール内にスチールコードからなるカーカスが延びている。タイヤがラジアルタイヤであるので、カーカススチールコードは、サイドウォール内で実質的に径方向に延びているが、ベースウォール内では、タイヤの回転軸線に対して実質的に平行に延びている。なお、カーカススチールコードの延伸方向は、サイドウォールおよびベースウォールのいずれにおいても、実質的に周方向の成分を有していないことに留意されたい。さらに、カーカスの径方向外側におけるベースウォール内に、スチールコードからなるベルトが配置され、各サイドウォールのビード内に、スチールワイヤからなるビードリングが配置されており、カーカスの横方向の2つの端部は、ビードリングの周囲に巻き付けられている。
【0004】
多くの場合、このような重荷重車両により支持される積荷は、重いだけでなく、嵩張る。このような嵩張る重量積荷物の例は、チューブ、タンク、ブロック等であり、これらはスチール、木、コンクリート、プラスチック等で形成されている。しかし実際には、積載高は、たとえば橋、送電線、交通標識等の障害物によって制限されることが多い。さらに、多くの国では、それぞれの積荷を含む重荷重車両の許容総高は、法規制によって制限されている。
【0005】
これらの障害および/または法規制に鑑みて、本発明の課題は、輸送のためのより大きな柔軟性を提供することである。
【0006】
本発明によれば、この課題は、上述のタイプのタイヤおよび/または上述のタイプの重荷重車両において、タイヤが、755mm未満の外径を有し、少なくとも10バールの内部圧力のために適合かつ構成されていることにより解決される。
【0007】
60km/hの速度で、ミリメートルの断面幅あたり、少なくとも11kgである耐荷重を有するタイヤが知られている。たとえば、先行技術であるミシュランの245/70R17.5タイヤは、シングルタイヤとして使用された場合、60km/hの速度で3300kgの耐荷重を有している。このタイヤは、249mmの実際の断面幅(ETRTO=uropean ire and im echnical rganizationによる、公称断面幅から±4%までの偏差が許容される)を有しているので、このタイヤは、ミリメートルの断面幅あたり、13.3kgの耐荷重を有している。さらに、ミシュランの245/70R17.5タイヤは、796mmの外径を有しており、9バールの空気圧で使用される。
【0008】
しかし、タイヤの直径をさらに減じることに対する偏見がある。この偏見は、より小さな直径が、走行距離あたりのより高い回転数を引き起こすという事実に基づいている。結果として、タイヤウォールの体積単位あたり、対応するより高い熱量が屈曲によって生成され、タイヤが過度に加熱されるリスクが生じる。
【0009】
この偏見を無視したことが本発明者の功績である。
【0010】
40mmの直径減少は小さいように見えるが、このような可能な積載高の増加は、輸送ビジネスにとって大きな前進であることが強調される。そして、タイヤの外径をさらに735mm未満、好適には715mm未満に減じると有利であり、後者の値は、可能な積載高の約80mmの増加をもたらす。
【0011】
この点において、「外径」という用語とは、特に別に記載しない限り、タイヤの設計外径、すなわち、空気を入れておらず、負荷が加えられておらず、使用していない状態におけるタイヤの外径を意味することに留意すべきである。
【0012】
本発明の別の1つの実施形態によれば、シングルタイヤとして使用された場合、60km/hの速度でのミリメートルの断面幅あたりの耐荷重は、少なくとも12.5kgであってよい。特に、238mmの断面幅を有するタイヤの60km/hの速度での耐荷重は、3300kgまで、またはそれ以上になり得る一方で、215mmの断面幅を有するタイヤの60km/hの速度での耐荷重は、2750kgまで、またはそれ以上になり得る。
【0013】
この文脈において、ETRTOによれば、許容耐荷重は速度が上がると減少し、速度が下がると増加するとされていることを留意されたい。たとえば、238mmの断面幅を有するタイヤの80km/hでの耐荷重が3000kgとなり得るのに対し、同じタイヤの60km/hでの耐荷重は、3300kgとなり得る。
【0014】
この文脈において、ミリメートルの断面幅あたりの同一の耐荷重を維持しつつ、タイヤの外径を小さくすることは、平方ミリメートルの断面幅×断面高あたりの耐荷重の増加をもたらすことにさらに留意されたい。特に、タイヤが、60km/hの速度において、平方ミリメートルの断面幅×断面高あたり、80gより大きく、好適には95gより大きな耐荷重を有することが提案されている。
【0015】
この文脈において、標準的な17.5インチのリムに基づいて、本発明によるタイヤの断面高は、155mm未満、好適には145mm未満、より好適には135mm未満であることに留意すべきである。しかし、155mmの断面高および60km/hの速度における2750kgの耐荷重でも、215mmの断面幅を有するタイヤは、平方ミリメートルの断面幅×断面高あたり、82.5gの耐荷重を有している一方で、135mmの断面高および60km/hの速度における3300kgの耐荷重でも、245mmの断面幅を有するタイヤは、平方ミリメートルの断面幅×断面高あたり、99.8gの耐荷重を有しているのに対し、先行技術のミシュランの245/70R17.5タイヤは、60km/hの速度において、平方ミリメートルの断面幅×断面高あたり、約75gの許容耐荷重しか有していない。
【0016】
当然ながら、17.5インチ未満の直径を有するリムを使用することも考えられる。特に、17.0インチ、16.5インチ、16.0インチ、15.5インチ、15.0インチまたはそれ以下の直径を有するリムを使用することもできる。この場合、タイヤの横断面を先行技術の値に維持し、特に17.5インチのリムと組み合わせた790mmのオーダの外径を有するタイヤの横断面を維持するか、またはより小さな外径を有するタイヤを得るために、タイヤ横断面およびリム直径の両方を小さくすることが可能である。しかし、リムサイズを小さくすることは、使用可能なスペースがより小さくなることに基づいて、ブレーキの構造にも影響を与える。さらに、特により小さなリム直径のためには、リムとタイヤとの間のシールバンドの使用が要求される。したがって、17.5インチの直径の標準リムを使用することが好ましい。
【0017】
この点において、10バールの空気圧は、従来のタイヤインフレータが、この値の圧力を提供できるために選択されており、より高い圧力値のためには、特別なインフレータが必要になることを付け加えておく。したがって、10バールを超えるタイヤ空気圧は、非常に特殊な用途にのみ使用される。
【0018】
上述の屈曲は、荷重を受けながら回転するタイヤの形状が、路面に接触するタイヤの周方向領域における部分的に平坦にされた形状と、径方向で反対側の周方向領域における平坦にされていない形状との間で連続的に変化するという事実によって生じる。この屈曲は、過度の加熱を引き起こすだけでなく、特にタイヤのビード領域、サイドウォールおよびショルダ領域において、タイヤに高い機械的な応力を及ぼす。
【0019】
タイヤのビード領域では、タイヤの屈曲は、概して、リムから部分的に浮き上がることによる空気損失のリスクを引き起こす。このリスクは、機械的な応力が大きいほど高くなる。さらに、所定の量の空気の損失によって生じるタイヤ内での圧力降下は、タイヤの内側容積が小さいほど、すなわち、所定の断面幅でタイヤの外径が小さくなるほど、高くなる。ビード領域の機械的な強度を向上させるために、以下の複数の特徴のうちの少なくとも1つの特徴を考慮に入れることができる。
【0020】
本発明の1つの実施形態によれば、ビードリングのうちの少なくとも1つのビードリングを形成するワイヤ、好適には両ビードリングを形成するワイヤが、複数の巻線を含んでおり、直接に隣接し合うワイヤ区分が、三角形の配位で配置されていることが提案される。なぜならば三角形は、実質的に円形の断面を有する物体にとって最も安定した配置であるからである。
【0021】
さらに、ビードリングのコンパクトな全体配置は、少なくとも1つのビードリングのスチールワイヤ、好適には両方のビードリングのスチールワイヤが、ワイヤの回転軸線を中心とした周方向に対して直交して延びる横断面で見た場合に、六角形の形状にしたがって配置されている場合に、達成することができる。
【0022】
本発明の別の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのビードリング、好適には両ビードリングが、少なくとも44、好適には少なくとも51、より好適には少なくとも58のビードワイヤの巻線を含んでいてよい。たとえば、ワイヤの巻線は、5-6-7-8-7-6-5の構成、好適には6-7-8-9-8-7-6の構成、より好適には7-8-9-10-9-8-7の構成にしたがって配置されていてよい。
【0023】
本発明の別の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのビードリングのワイヤ、好適には両ビードリングのワイヤが、少なくとも3000N、好適には少なくとも3500N、より好適には少なくとも3900Nの引張強度を有していてよい。さらに、少なくとも1つのビードリングワイヤ、好適には両ビードリングワイヤが、少なくとも1.55mmの直径を有していてよい。
【0024】
巻線の高い個数および/または上述の引張強度を有するワイヤの使用により、ビードリングは、機械的な変形に対して高い耐性を有しており、したがって、リムからの浮き上がりのリスクを減じることができる。
【0025】
しかし代替的には、六角形の別の形状および/または六角形とは異なる構成を使用し、かつ/または円形の横断面を有するワイヤの代わりに矩形の横断面を有するワイヤを使用することも考えられる。
【0026】
さらに、高弾性率のゴムを、ビードリングのうちの少なくとも1つ、好適には両ビードリングに隣接するビードエイペックスにおいて使用することが提案される。ゴムの弾性率が高ければ高いほど、機械的な変形に対する耐性が高くなる。たとえば、ビードエイペックスのために使用されるゴムの弾性率は、少なくとも15N/mmであってよい。
【0027】
ビードエイペックスは、概して三角形の形状を有し、その1つの面がビードリングに適合し、第2の面がカーカスに適合している一方で、第3の面がカーカスの端部からカーカスの最も幅広の部分にまで延びている断面輪郭であってよい。ビードエイペックスは、剛性のビードリングと、フレキシブルなインナーライナと、カーカスとの間にクッションを提供する。
【0028】
さらに、ビードエイペックスは、少なくとも2つのビードエイペックス区分を含んでいてよく、第1のビードエイペックス区分が、ビードリングに隣接して配置されていて、第2のビードエイペックス区分が、ビードリングから離れて配置されていてよい。2つ以上のビードエイペックス区分を設けることは、タイヤの柔軟性に影響を与えるための大きな可変性を可能にする。たとえば、第1のビードエイペックス区分の材料の弾性率は、第2のビードエイペックス区分の材料の弾性率よりも高く選択することができる。
【0029】
1つの実施形態によれば、第1のビードエイペックス区分と隣接する他のビードエイペックス区分、たとえば第2のビードエイペックス区分との間の境界線は、ビードリングの横方向に最も外側の点から、実質的に径方向に延びていてよい。
【0030】
さらに、ビードエイペックスの厚さ、つまりたとえば、少なくとも2つのビードエイペックス区分の組み合わせの厚さ、たとえば、本体折返し高さでのビードエイペックス厚さ、すなわち、ビードリングの周りを回ったカーカスの自由端において測定した厚さおよび/または、ビード補強高さでのビードエイペックス厚さ、すなわち後に詳細に説明するビード補強層の自由端で測定された厚さは、タイヤに十分な柔軟性を提供するために十分に小さく、かつタイヤに十分な強度を提供するために十分大きく選ばれている。
【0031】
カーカスの機械的強度を向上させるために、少なくとも1つのカーカススチールコード、好適には各カーカススチールコードが、少なくとも20、好適には少なくとも25のスチールフィラメントを有している、かつ/または、カーカスが、少なくとも50、好適には少なくとも55、より好適には少なくとも60のデシメートルあたりの密度(ends per decimeter)を有していることが提案される。これら両方の手段は、タイヤのサイドウォールの剛性の向上に貢献し、この剛性は、過度の屈曲に抗するために有利である。
【0032】
さらに、カーカススチールコードは、標準張力スチール(NTスチール)から形成されていてよい。カーカススチールコードを形成する材料として標準張力スチールを使用することは、当業者の通常の考え方とは異なる。なぜならば、標準張力スチールは、カーカスのために一般的に使用されている高張力スチール(HTスチール)よりも低い引張強度を有しているからである。
【0033】
カーカスが、ラジアルタイヤの最も重要な部分の一つであるので、HTスチールからUTスチール(超高張力スチール)に変更することが、より合理的であるように思われる。このような背景に対して、本発明者らの功績は、上述の他の手段により達成された剛性の向上により、カーカスコードのためにHTスチールを使用する必要がもはやなくなり、これにより、より安価なNTスチールをカーカスコードのために使用することができることに気付いたことである。
【0034】
さらに、カーカススチールコードのうちの少なくとも1つのカーカススチールコード、好適にはすべてのカーカススチールコードは、少なくとも1500N、好適には少なくとも1600N、より好適には少なくとも1700Nの引張強度を有してよい。
【0035】
特定の実施形態によれば、カーカススチールコードのうちの少なくとも1つのカーカススチールコード、好適にはすべてのカーカススチールコードが、スチールフィラメントの3+9+15+1の配列、好適には3+9+150.175+0.15の配列を有してよいことが提案される。
【0036】
別の1つの実施形態によれば、カーカススチールコードのうちの少なくとも1つのカーカススチールコード、好適にはすべてのカーカススチールコードが、スチールフィラメントの3+9+15の配列、好適には3+9+150.22の配列を有していてよく、好適には、好適には少なくとも2700Nの引張強度を有するNTスチールワイヤを使用することが提案される。上述の3+9+150.175+0.15の配列に比べて少しだけ増大した直径を有するスチールワイヤを使用することにより、ラップワイヤを省略することができる。さらに、増大したワイヤ直径により、ラップワイヤを省略しても、スチールコード全体の直径は増大する。したがって、カーカスのスチールコードのEPD値は、60から48に下げなければならない。
【0037】
さらに別の1つの実施形態によれば、カーカススチールコードのうちの少なくとも1つのカーカススチールコード、好適にはすべてのカーカススチールコードが、スチールフィラメントの1+5の配列、好適には1+50.4の配列を有していてもよく、好適には、好適には少なくとも2090Nの引張強度を有するHTスチールワイヤを使用することが提案される。この実施形態では、HTスチールワイヤの使用が、著しく小さな個数のワイヤにより補償されている。
【0038】
両別の実施形態により、カーカスの高い曲げ剛性を達成することができ、タイヤの柔軟性をさらに高めるために、タイヤの少なくとも一方のサイドウォール、好適には両方のサイドウォールの最も薄い厚さを最大で10mmにまで減じることを可能にする。
【0039】
スチールフィラメントの配列の表記に関して、「+」記号により区切られた正の整数値は、各フィラメント層におけるフィラメントのそれぞれの個数を示していることに留意されたい。表記がn個の「+」記号を有していて、nも正の整数値である場合、配列はn+1のフィラメント層を含み、最も内側の層が最初に、最も外側の層が最後に示されている。さらに、「」記号を用いて、ミリメートル単位のフィラメントの直径を加えることができる。しかし、層内にフィラメントが1つしかない場合は、「1」を省略して、直径のみを示すことができる。さらに、複数の層が、同一径を有するフィラメントで形成されている場合は、最後の層に対してのみ直径値が加えられる。「3+9+150.175+0.15」の例では、スチールコードは4つの層を有しており、最も内側の層は3本のフィラメント、第2層は9本のフィラメント、第3層は15本のフィラメント、そして最も外側の層は唯1本のフィラメントを有している。最も内側の層、第2の層、第3の層のフィラメントの直径がそれぞれ、0.175mmであるのに対して、最も外側のフィラメントの直径は0.15mmである。
【0040】
この点において、同じタイプのスチールコードを、ビードリングの周囲に部分的に巻き付けられたビード補強層を形成するためにも使用することができることに留意されたい。ビード補強層は、約55mmの幅を有していてよい。
【0041】
しかし、代替形として、ビード補強層を形成するために使用されるスチールコードが、スチールフィラメントの3+9の配列、好適には3+90.22の配列を有していてよく、好適には、好適には少なくとも1130Nの引張強度を有するNTスチールワイヤを使用することが提案される。
【0042】
タイヤのショルダ領域における応力を減じるために、第1の代替形によれば、ベルトが、複数のベルト層を有していてよく、最も外側のベルト層が、外側から2番目のベルト層よりも小さな幅を有していてもよく、この外側から2番目のベルト層は、外側から3番目のベルト層よりも小さな幅を有していてよく、これら3つのベルト層が、好適には互いに上下に対称的に配置されていてよいことが提案される。3つの外側のベルト層の組み合わせの生じた面取りは、ベースウォールのより中央に位置する領域において既に隣接しているベルト層の間での層間応力のずらされた減少をもたらす。
【0043】
本発明の別の1つの実施形態によれば、最も外側のベルト層のスチールコードは、実質的に周方向に延びていてもよい。結果として、最も外側のベルト層は、キャッププライのように作用することができ、圧力下および運転中、つまりタイヤが地面に接触して回転している間に、直径が過度に大きくなることを阻止する。さらに、最も外側のベルト層は、ベルト層全体の層間せん断力を減じるために役立つことができ、これにより、ショルダ領域の応力がさらに減じられる。
【0044】
圧力下および運転中、つまりタイヤが地面に接触して回転している間に、直径が過度に大きくなることを阻止するために、最も外側の層は、第2の代替形によれば、外側から2番目の層に並んだ配置で配置された2つのキャッププライストリップにより置き換えられてよく、キャッププライストリップのうちの少なくとも1つのキャッププライストリップが、外側から2番目の層から、たとえば最大5mmの予め規定された横方向の距離を任意に有している。
【0045】
第2の代替形の外側から2番目の層は、幾何学的に厳密に言えば外側から2番目の層ではないが、最も外側の層を代替するキャッププライストリップが外側から2番目の層の上ではなく横に配置されているので、本発明の文脈では、引き続き外側から2番目の層と呼ぶことに留意すべきである。
【0046】
第2の代替形の別の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのキャッププライストリップが、タイヤの径方向で互いに上下に配置された2つのキャッププライ層を含んでいてよい。
【0047】
本発明の両代替形の別の1つの実施形態によれば、最も外側のベルト層またはキャッププライストリップのスチールコードはそれぞれ、デシメートルの層幅あたり約40コードの密度で配置されていてよい。
【0048】
さらに、最も外側のベルト層またはキャッププライストリップのスチールコードは、高伸張コード(HEコード)としてそれぞれ製造されていてよい。すなわち、特定の形式の撚りによるコードは、少なくとも0.5%、好適には少なくとも1.0%、より好適には少なくとも2.0%だけ伸張した後に、顕著な弾性力が生じることにより、さらなる伸張に抗する。
【0049】
本発明の別の1つの実施形態によれば、最も外側のベルト層またはキャッププライストリップのスチールコードはそれぞれ、スチールフィラメントの3+7の配列、好適には3+70.20の配列を有していてよい。
【0050】
先の尖った材料および/または鋭利な材料がタイヤを貫通するのを防ぐために、本発明の別の1つの実施形態によれば、外側から2番目のベルト層は、高耐衝撃性スチールコード(HIスチールコード)、つまり特殊な形式の撚りによって、過度に大きな弾性反力を発生させることなしに、一定の伸張を可能にするコードから、製造されてもよいことが提案される。
【0051】
本発明の別の1つの実施形態によれば、外側から2番目のベルト層のスチールコードは、好適には0.30mmの直径を有する、5本の同一のスチールフィラメントを有していてよい。
【0052】
強いベルトを提供するために、本発明の別の1つの実施形態によれば、外側から3番目のベルト層が、少なくとも50、好適には少なくとも55、より好適には少なくとも60の、デシメートルあたりの密度を有していてもよく、かつ/または外側から2番目のベルト層が、HTスチールから形成されていてよいことが提案される。
【0053】
特定の1つの実施形態によれば、外側から3番目のベルト層のスチールコードは、スチールフィラメントの3+6の配列、好適には30.20+60.35の配列を有していてよい。
【0054】
さらに、タイヤが、3つの外側のベルト層の径方向内側に配置された第4のベルト層を有していてよく、この第4のベルト層のスチールコードが、HTスチールから形成されていることが提案される。
【0055】
第4のベルト層の強度を向上させるために、最も内側のベルト層が、少なくとも50、好適には少なくとも55、より好適には少なくとも60の、デシメートルあたりの密度を有していてよいことが提案される。
【0056】
さらに、最も内側のベルト層のスチールコードが、周方向に対して45°未満、好適には35°未満、より好適には25°未満の角度を形成してよいことが提案される。この比較的小さな角度により、最も内側ベルト層が、移行ベルト層と作業ベルト層の組み合わせのように作用し、したがって、最も外側のベルト層と外側から2番目のベルト層の幅を減じる機会を提供する。
【0057】
特定の1つの実施形態によれば、外側から3番目のベルト層のスチールコードは、スチールフィラメントの3+6の配列、好適には30.20+60.35配列を有していてよい。
【0058】
さらに、ショルダ領域において、高弾性率のゴムから形成されたショルダエイペックスを設けることができる。ゴムの弾性率が高ければ高いほど、機械的な変形に対する耐性が高くなる。たとえば、ショルダエイペックスのために使用されるゴムの弾性率は、少なくとも15N/mmであってよい。基本的に、ショルダエイペックスは、ビードエイペックスと同一のゴム材料から形成することができる。しかし、特定の1つの実施形態によれば、ショルダエイペックスが、ビードエイペックスとは異なるゴム材料から形成されていることが考えられる。
【0059】
ショルダエイペックスは、概して鎌状であり、一方の面がベルトの径方向内側に適合し、第2の面がカーカスに適合し、第3の面がベルトの端部からカーカスの最も幅広の部分にまで湾曲して延びている断面輪郭であってよい。ショルダエイペックスは、ベルトとフレキシブルインナーライナおよびカーカスの間でクッションを提供する。
【0060】
さらに、ショルダエイペックスが、少なくとも2つのショルダエイペックス区分、すなわち、上述した好適には鎌状のショルダエイペックスに対応する第1のショルダエイペックス区分と、第1のショルダエイペックス区分およびベルトを上から、すなわち径方向外側から覆う第2のショルダエイペックス区分とを含んでいてよい。ベルトを上から覆う第2のショルダエイペックス区分を設けることは、ベルトからショルダの方向に発せられる応力に、より効果的な形式で対処することを可能にする。第1のショルダエイペックス区分の材料および第2のショルダエイペックス区分の材料の弾性率が互いに異なっていてもよいが、同一であることも考えられる。
【0061】
タイヤのショルダ領域における応力を減じるために、ショルダ領域の厚さが、最大で35mmであり、かつ/または、タイヤのアンダートレッド厚さが、最大で5mmであることがさらに提案される。この文脈において、ショルダ領域の厚さは、タイヤのベースウォールとサイドウォールとの移行点からタイヤの内面、すなわち、内面に対する接線が移行点への接続線と90°の角度で交差するタイヤの内面の点までを測定した最短距離として定義される。さらに、タイヤのアンダートレッド厚さは、横方向のトレッド中心と上述の移行点で測定したトレッドの径方向位置の差として定義されている。
【0062】
本発明の別の1つの実施形態によれば、タイヤが、タイヤの回転軸に直交する中心面に対して対称的な構造を有していてよいことが提案される。このような対称的な構造は、タイヤの向きに関係なくリムにタイヤを装着することを可能にする。
【0063】
カーカスの内側に配置され、タイヤの径方向内側の面を形成するタイヤのインナーライナは、ブチルゴム、好適にはハロブチルゴムから形成することができ、ハロゲンは好適には塩素である。
【0064】
インナーライナ、ビードエイペックスおよびショルダエイペックスのために使用される上述のゴム材料の他に、タイヤの製造のために従来のゴム混合物を使用してもよい。
【0065】
別の1つの実施形態によれば、タイヤのトレッドは、3つの周方向溝を有していてよい。
【0066】
さらに、タイヤの断面幅は、200mm~300mmであってよい。
【0067】
さらに、本発明の重荷重車両は、自走式車両であってもよいし、5輪セミトレーラおよび/またはアクスル支持されたトレーラを含む牽引車両であってもよいことを言及しておく。
【0068】
重荷重車両のアクスルユニットは、力操舵式アクスルユニットおよび/または摩擦操舵式アクスルユニットおよび/またはリジッドアクスルユニットであってよい。
【0069】
さらに、アクスルユニットは、ビームアクスルユニットおよび/または個別懸架式アクスルユニット、たとえばマクファーソン式アクスル、および/または振り子式アクスルユニットとして構成されていてよい。
【0070】
さらに、アクスルユニットの懸架は、機械式懸架および/またはばね式懸架および/または空気式懸架および/または油圧式懸架であってよい。
【0071】
最後に、重荷重車両の両方向、すなわち長手方向および横方向で、少なくとも1つのアクスルユニットが設けられていてよい。たとえば、重荷重トレーラは、唯1つのシングルビームアクスルを有していてよく、シングルビームアクスルが、2つのホイール、すなわちトレーラの左側に1つのホイールと右側に1つのホイールを有し、各ホイールが、本発明による少なくとも1つのタイヤを有している。
【0072】
以下に、本発明を、添付の図面を参照して特定の実施形態に関してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】本発明によるタイヤの断面図である。
図2図1に示したタイヤのビードリングの断面図である。
図3図1に示したタイヤのカーカスにおいて使用されるスチールコードの断面図である。
図4図1に示したタイヤのベルトの種々異なる層において使用されるスチールコードの断面図である。
図5図1に示したタイヤのベルトの種々異なる層において使用されるスチールコードの断面図である。
図6図1に示したタイヤのベルトの種々異なる層において使用されるスチールコードの断面図である。
図7】HTスチールおよびNTスチールの引張強度対スチールフィラメント直径の特性を示すグラフである。
図8】振り子式アクスルユニットを有する本発明に係る重荷重車両の斜視図である。
図9】個別懸架式アクスルユニットを有する本発明に係る重荷重車両の正面図である。
図10】ビームアクスルユニットを有する本発明による重荷重車両の正面図である。
図11】本発明の代替的な実施形態によるタイヤの図1に類似するタイヤ横断面を示す図である。
【0074】
図1には、本発明によるタイヤが、概して参照符号100で示されている。タイヤ100は、ベースウォール102と、2つのサイドウォール104とを有している。サイドウォール104の一方の端部は、ショルダ領域106においてベースウォール102に接続されている一方で、サイドウォール104のそれぞれの他方の端部は、リム110との接続のために適合かつ構成されたビード領域108において終端している。
【0075】
従来のタイヤと同様に、本発明によるタイヤ100は、主に、スチールコードおよびスチールワイヤから形成された特定の要素により補強されたゴム材料112から形成されている。
【0076】
特に、本発明によるタイヤ100は、スチールコード116から形成されたカーカス114を有しており、スチールコード116は、一方のビード領域108から、割り当てられたサイドウォール104、ベースウォール102およびそれぞれの別の側のサイドウォール104を通って、それぞれの他方のビード領域108にまで延びている。スチールコード116の延びは、タイヤ100およびリム110の回転軸線Aの方向に対して平行な成分と、径方向Rの成分とをそれぞれ有するのみであり、周方向Cの成分を有しないか、実質的に有しない。換言すると、タイヤ100は、ラジアルタイヤである。
【0077】
ベースウォール102は、トレッドパターンを形成する複数の溝120を有するトレッド118を有している。溝120の底部とカーカス114との間に、4つのベルト層124,126,128,130を有し、ベースウォール102を補強するベルト122が配置されている。以下でより詳細に説明するように、4つのベルト層124、126、128、130のそれぞれは、スチールコードから形成されている。
【0078】
最終的に、ビード領域108のそれぞれは、スチールワイヤから形成されたビードリング132を含んでいる。ビードリング132は、カーカス114によって少なくとも部分的に取り囲まれている。さらに、内側の補強層134が、ビードリング132とカーカス114との間に配置されていて、外側の補強層136が、ビードリング132とは反対側に向いているカーカス114の面に配置されている。内側の補強層134および外側の補強層136は、両方ともスチールコードから形成されている。
【0079】
本発明によるタイヤは、755mm未満、好適には735mm未満、より好適には715mm未満の小さな外径ODを有しているので、60km/hの速度で、ミリメートルの断面幅SWあたり、少なくとも11kg、好適には少なくとも12.5kgの高い耐荷重性のためには、サイドウォール104、ショルダ領域106およびビード領域108は、従来のタイヤよりも高い屈曲応力に耐えることができなければならない。
【0080】
このことは特に、444.5mm(17.5インチ)のリム外径RDを有する標準的なリム110と一緒に使用するように適合かつ構成され、したがって小さな断面高SHを有している、本発明によるタイヤの1つの特定の実施形態の場合に当てはまる。リム外径RDおよび断面高SHを決定する重要な点は、タイヤ座面110aとリム110の径方向外側のフランジ110bとの間の移行点である。
【0081】
ビード領域108を強化するために、ビードリング132は、1.55mmの直径を有するスチールワイヤ133から製造されている。図2に示す特定の実施形態によれば、ワイヤは58回巻かれており、ワイヤの巻線は、六角形の7-8-9-10-9-8-7の構成にしたがって配置されている。しかし、ビードリング132が、より少ない巻線、たとえば、51個の巻線または44個の巻線しか含まないことも考えられる。図2では、全体的な六角形の構成が破線で示されており、図1では、ビードリング132の全体的に六角形の構成のみが示されている。
【0082】
ビード領域108をさらに強化するために、ビードエイペックス138が、ビードリング132のそれぞれに隣接して径方向外側に配置されていてよい。ビードエイペックス138は、概して三角形の形状を有し、その1つの面がビードリング132に適合し、第2の面がカーカス114に適合している一方で、第3の面はカーカス114の端部からカーカス114の最も幅広の部分にまで延びている断面輪郭である。好適には、ビードエイペックス138は、高弾性率のゴムから作られる。
【0083】
同様に、タイヤ100のショルダ領域106を強化するために、ベルト122とカーカス114との間の楔形部の両方に、ショルダエイペックス140が配置されていてよい。好適には、ショルダエイペックス140は、高弾性率のゴムから形成され、たとえば、ビードエイペックス132と僅かに異なるゴム材料から形成されている。
【0084】
ビードエイペックス138およびショルダエイペックス140とは異なり、カーカス114の内側に配置され、タイヤ100の径方向内側の面を形成するタイヤ100のインナーライナ142は、ブチルゴム、好適にはハロブチルゴムから形成されていてよく、ハロゲンは、好適には塩素である。
【0085】
インナーライナ142、ビードエイペックス138およびショルダエイペックス140のために使用される上述のゴム材料の他に、タイヤ100の残りのゴム材料112のためには、従来のゴム混合物を使用することができる。
【0086】
サイドウォール104を強化するために、カーカス114のスチールコード116は、図3に示す特定の実施形態によれば、3+9+15+1の構成、特に3+9+150.175+0.15の構成を有するスチールコードから形成されていてよい。付加的または代替的に、カーカス114は、少なくとも50、好適には少なくとも55、より好適には少なくとも60のデシメートルあたりの密度(ends per decimeter)を有してもよい。上述の構成および/または上述のデシメートルあたりの密度を有するスチールコード116が、サイドウォール104の十分な強化を提供するので、スチールコード116が、NTスチールから形成されていてよい。
【0087】
カーカス114の製造のために使用されたスチールコード116は、内側および外側の補強層134,136の製造のためにも使用することができる。
【0088】
ショルダ領域106を強化するために、ベルト122は、両面に向かって面取りを有している、すなわち、径方向で最も外側のベルト層130は、外側から2番目のベルト層128よりも小さな幅を有しており、この外側から2番目のベルト層128は、外側から3番目のベルト層126よりも小さな幅を有している。さらに、3つのベルト層130,128,126は、両方のショルダ領域106のために同一の面取りを提供するために、互いに上下に対称的に配置されている。
【0089】
図1に示す特定の実施形態によれば、ベルト122は、4つのベルト層124,126,128,130を含み、最も内側のベルト層124は、移行層および作業層の組み合わせとして構成されており、すなわち、純粋な移行層として構成されていない。最も内側のベルト層124のこの組み合わせられた機能は、この最も内側のベルト層124のスチールコード144が周方向Cと形成する角度により達成される。特定の実施形態によれば、最も内側のベルト層124のスチールコード144は、円周方向Cと、45°未満、好適には35°未満、より好適には25°未満の角度を形成する。
【0090】
さらに、スチールコード144は、図4に示した3+6の構成、特に30.20+60.35の構成を有していてよく、HTスチールから形成されていてよい。さらに、最も内側のベルト層124は、少なくとも50、好適には少なくとも55、より好適には少なくとも60のデシメートルあたりの密度を有していてもよい。
【0091】
上述の構造の最も内側のベルト層124は、別のベルト層126,128および130の間のせん断応力の減少を可能にし、したがって、さらにショルダ領域106の強化を支援する。
【0092】
外側から3番目のベルト層126は、最も内側のベルト層124のスチールコード144と同一の特性を有するスチールコード146を含んでいてよく、しかし、周方向Cに対してより鋭利な角度、たとえば15°の角度を形成する。
【0093】
外側から2番目のベルト層128は、HIスチールコードとして製造された、図5に示す構成、特に50.30の構成を有するスチールコード148を含んでいてよい。外側から3番目のベルト層126のスチールコード146と同様に、スチールコード148は、周方向Cと鋭角、たとえば15°の角度を形成することができる。
【0094】
最終的に、最も外側の層130のスチールコード150は、HEスチールコードとして製造されていてよく、キャッププライのスチールコードと同様に、実質的に周方向Cに延びており、すなわち、周方向Cと0°の角度を形成し、このことは、最大10バールまたはそれ以上になり得るタイヤ100の空気圧の下で、かつ運転中の回転の下でのタイヤが大きくなることを減じる。さらに、スチールコード150が、図6に示す3+7の構成を有していてよい。さらに、最も外側のベルト層130のスチールコード150は、デシメートルの層幅あたり約40のコードの密度で配置されていてよい。
【0095】
図11は、本発明の代替的な実施形態によるタイヤ横断面を示している。図11のタイヤは、図1のタイヤに実質的に一致している。そのため、類似の部品は、100だけ増加させた、図1と同じ参照符号で示されている。さらに、図11のタイヤ200と図1のタイヤ100との相違点のみを以下に説明する。他のすべての部分の記載に関しては、図1の実施形態の説明が参照される。
【0096】
まず、図11のタイヤ200は、圧力下および運転中、つまりタイヤが地面に接触して回転している間に、直径が過度に大きくなることを阻止するために、外側から2番目の層228に並んで配置されている2つのキャッププライストリップ230Aおよび230Bを有している。これら2つのキャッププライストリップ230Aおよび230Bは、図1のタイヤ100のタイヤ横断面の中央に配置された単一のキャッププライストリップ130を代替する。好適には、キャッププライストリップ230A,230Bは、外側から2番目の層228から、たとえば最大5mmである予め規定された横方向の距離を有している。さらに、キャッププライストリップ230A,230Bのそれぞれは、タイヤ200の径方向Rで互いに上下に配置された2つのキャッププライ層を含んでいてよい。
【0097】
この実施形態では、最も内側の層224は、約168mmの幅を有していてよく、外側から2番目の層228は、約110mmの幅を有していてよく、外側から3番目の層226は、約190mmの幅を有していてよく、キャッププレイストリップは約29mmの幅を有していてよい。
【0098】
2つ目の相違点として、ビードエイペックス238は、少なくとも2つのビードエイペックス区分238a,238bを含んでいてよく、第1のビードエイペックス区分238aは、ビードリング232に隣接して配置されており、第2のビードエイペックス区分238bは、ビードリング232から離れて配置されている。2つ以上のビードエイペックス区分238a,238bを設けることは、タイヤ200の柔軟性に影響を与えるための大きな可変性を可能にする。たとえば、第1ビードエイペックス区分238aの材料の弾性率を、第2ビードエイペックス区分238bの材料の弾性率よりも高くなるように選択することができる。
【0099】
第3に、ショルダエイペックス240が、少なくとも2つのショルダエイペックス区分240a,240bを含んでいてよく、図1のタイヤ100の上述した、好適には鎌状のショルダエイペックス140に対応する第1のショルダエイペックス区分240aと、第1のショルダエイペックス区分240aおよびベルト222を上から、すなわち径方向外側から覆う第2のショルダエイペックス区分240bを含んでいてよい。ベルト222を上から覆う第2ショルダエイペックス区分240bを設けることは、ベルト222からショルダ方向に発せられる応力に、より効果的に対処することを可能にする。第1のショルダエイペックス区分240aの材料および第2のショルダエイペックス区分240bの材料の弾性率が互いに異なっていてもよいが、同一であることも考えられる。
【0100】
タイヤ200のショルダ領域206の応力を減じるために、ショルダ領域206の厚さSHTが、最大35mmであってよく、かつ/またはタイヤ200のアンダートレッド厚さUTTが、最大5mmであってよく、かつ/またはタイヤ200のサイドウォール204の最小厚さSWTが、最大10mmであってよく、かつ/または中央の周方向の断面溝120の底部からベルト222の上縁までを測定した厚さGBTが、最大5mmであってよい。
【0101】
これらのすべての相違点が同時に適用されなければならないわけではないことを理解されたい。たとえば、図1の実施形態から出発して、専ら、第1および第2のビードエイペックス領域238a,238bと、第1および第2のショルダエイペックス領域240a,240bとを、ショルダ厚さSHTおよび/またはアンダートレッド厚さUTTおよび/またはサイドウォール厚さSWTの設計ルールとともに適用することができる。この文脈において、最も外側のベルト層は、約110mmの幅を有していてよく、外側から2番目のベルト層は、約178mmの幅を有していてよく、外側から3番目のベルト層は、約190mmの幅を有していてよく、最も内側のベルト層は、約168mmの幅を有していてよい。
【0102】
図7は、HTスチールフィラメントおよびNTスチールフィラメントの引張強度対スチールフィラメント直径の特性を示す。たとえば、この特性は、以下の式で記述される:
TS=X-2000N/mm・D
ここで、TSは、引張強さをN/mmで表し、Dはフィラメントの直径をミリメートルで表し、Xは、HTスチールでは3600N/mm~4000N/mm3、NTスチールでは3040N/mm~3440N/mm3の値を有し得るパラメータである。
【0103】
ここで、図8から図10を参照すると、本発明はさらに、重荷重車両に関する。
【0104】
図8は、複数のアクスルライン202を有する重荷重車両200を示している。各アクスルライン202は、2つのアクスルユニット204、すなわち、重荷重車両200の左側に配置された第1のアクスルユニット204と、重荷重車両200の右側に配置された第2のアクスルユニット204とを有している。さらに、アクスルユニット204のそれぞれは、4つのホイールを有し、ホイール206のそれぞれは、本発明による1つのチューブレスラジアルタイヤ100を含んでいる。
【0105】
しかしながら、振り子式アクスルユニット204が、振り子式アクスルの各側に1つずつ、2つのホイール206のみを有しており、ホイール206のそれぞれが、本発明による1つのチューブレスラジアルタイヤ100を含むことも考えられるだろう。
【0106】
アクスルユニット204が、振り子式アクスルユニットであるが、本発明は、この特定のタイプのアクスルユニットに限定されない。
【0107】
別の例として、図9は、2つの個別懸架式アクスルユニット304、特にマクファーソン型のアクスルユニットを有する重荷重車両300を示している。アクスルユニット304のそれぞれは、2つのホイール306を有し、ホイール306の各々は、本発明による1つのチューブレスラジアルタイヤ100を含んでいる。
【0108】
しかしながら、個別懸架式アクスルユニット304が、本発明による1つのチューブレスラジアルタイヤ100を備えた1つのホイール306のみを有することも考えられるであろう。
【0109】
さらに、図10は、ビームアクスルユニット404を有する重荷重車両400を示している。アクスルユニット404は、4つのホイール406を有し、ホイール406のそれぞれは、本発明による1つのチューブレスラジアルタイヤ100を含んでいる。
【0110】
しかしながら、ビームアクスルユニット404が、車両400の各側に1つずつ、2つのホイール406のみを有しており、ホイール406のそれぞれが、本発明による1つのチューブレスラジアルタイヤ100を含むことも考えられるだろう。
【0111】
さらに、アクスルユニットの懸架は、機械式懸架および/またはばね式懸架および/または空気式懸架および/または油圧式懸架であってもよい。
【0112】
リジッドアクスルユニットおよび/または個別懸架式アクスルユニットおよび/または振り子式アクスルユニットを有する重荷重車両の一般的な構造は当技術分野で知られているので、これらの重荷重車両およびアクスルユニットのそれぞれの詳細な説明は、ここでは簡略化のために省略する。
【0113】
概して、図8図10は、重荷重車両の例示的な実施形態のみを示している。特に、本発明の重荷重車両は、自走式車両であってもよいし、第5輪トレーラおよび/またはアクスル支持式トレーラを含む牽引式車両であってもよい。さらに、重荷重車両のアクスルユニットは、力操舵式アクスルユニットおよび/または摩擦操舵式アクスルユニットおよび/またはリジッドアクスルユニットであってもよい。
【0114】
表1~表4に示された特定の実施形態1~4に関して、表1および表4に示す実施形態1および4が最適化された実施形態であるのに対し、表2および表3の実施形態2および3は、実施形態1から、すべての材料および内部寸法を実施形態1と同様に維持しつつ、単にタイヤの直径を変更することによって派生したものであることに留意されたい。したがって、理論的に可能な耐荷重性を使用することはできない。むしろ、実施形態1と同等の運転安全性を達成するために、耐荷重性を低下させることで応力の増加を補償している。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアクスルユニット(204)を有する重荷重車両(200)であって、前記アクスルユニットまたは各アクスルユニット(204)が、少なくとも1つのホイール(206)を有しており、各ホイールが、少なくとも1つのタイヤを有しており、少なくとも1つのタイヤが、チューブレスラジアルタイヤ(100)であり、シングルタイヤとして使用される場合に、60km/hの速度で、ミリメートルの断面幅(SW)あたり、少なくとも11kgの耐荷重を有している、重荷重車両(200)において、
前記タイヤ(100)が、755mm未満の外径(OD)を有しており、少なくとも10バールの内部圧力のために適合かつ構成されていることを特徴とする、重荷重車両(200)。
【外国語明細書】