(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095810
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】化粧料含浸用担体
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20240703BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240703BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240703BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20240703BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A45D34/04 535B
A61K8/02
A61K8/81
A61K8/85
A61Q1/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065085
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2020525654の分割
【原出願日】2019-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2018114147
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591254958
【氏名又は名称】株式会社タイキ
(74)【代理人】
【識別番号】100141472
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 善弘
(72)【発明者】
【氏名】櫟 彰子
(72)【発明者】
【氏名】土居 元子
(72)【発明者】
【氏名】大平 寿彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 興司
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AD092
4C083CC02
4C083CC12
4C083DD12
4C083DD23
4C083DD50
4C083EE03
4C083EE07
4C083FF01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】化粧料を容易に多量に充填させることができるとともに、化粧料含浸体から化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができる化粧料含浸用担体、当該化粧料含浸用担体に化粧料を含有する化粧料含浸体、および当該化粧料含浸体を有する化粧品を提供する。
【解決手段】化粧料を保持するために用いられる化粧料含浸用担体1であって、当該化粧料含浸用担体の表面から裏面に至る貫通孔2を有することを特徴とする化粧料含浸用担体および当該化粧料含浸用担体を有する化粧品。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を保持するために用いられる化粧料含浸用担体であって、当該化粧料含浸用担体の表面から裏面に至る貫通孔を有することを特徴とする化粧料含浸用担体。
【請求項2】
化粧料が高粘度を有する化粧料である請求項1に記載の化粧料含侵用担体。
【請求項3】
貫通孔の孔径が0.5~5mmである請求項2に記載の化粧料含浸用担体。
【請求項4】
化粧料含浸用担体の表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率が1~30%である請求項2または3に記載の化粧料含浸用担体。
【請求項5】
化粧料が低粘度を有する化粧料である請求項1に記載の化粧料含侵用担体。
【請求項6】
貫通孔の孔径が0.1~0.6mmである請求項5に記載の化粧料含浸用担体。
【請求項7】
化粧料含浸用担体の表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率が0.1~15%である請求項5または6に記載の化粧料含浸用担体。
【請求項8】
化粧料含浸用担体が複合繊維で構成された三次元立体構造を有する請求項1~7のいずれかに記載の化粧料含浸用担体。
【請求項9】
化粧料含浸用担体の構成繊維として複合繊維を含有し、当該複合繊維が樹脂Xおよび当該樹脂Xよりも溶融温度が高い樹脂Yを含有し、構成繊維同士の接触部が複合繊維の樹脂Xによって一体化されている請求項1~8のいずれかに記載の化粧料含浸用担体。
【請求項10】
密な繊維状表面層と疎な繊維状基材とを有し、当該密な繊維状表面層と当該疎な繊維状基材とが一体化されている請求項1~9のいずれかに記載の化粧料含浸用担体。
【請求項11】
化粧料含浸用担体がその表面上に意匠を有し、当該意匠が前記貫通孔で形成されている請求項1~10のいずれかに記載の化粧料含浸用担体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の化粧料含浸用担体に化粧料を含有する化粧料含浸体。
【請求項13】
請求項12に記載の化粧料含浸体を有する化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料含浸用担体に関する。さらに詳しくは、本発明は、化粧料を保持するために用いられる化粧料含浸用担体、当該化粧料含浸用担体に化粧料を含有する化粧料含浸体、および当該化粧料含浸体を有する化粧品に関する。本発明の化粧料含浸用担体は、例えば、ファンデーションなどの化粧料を含浸させた化粧料含浸体をはじめ、化粧料を皮膚などに塗布する際に用いられるパフなどに好適に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ファンデーションなどの液状化粧料は、コンパクトなどの化粧品容器内に収容されている。化粧品容器は、容器本体および蓋体を有し、容器本体内に液状化粧料を保持するための化粧料含浸体が収納されている。化粧料含浸体には、従来、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、ゴムフォームなどの軟質スポンジが使用されているが、最近では安定した化粧料の維持性を有する化粧料保持用担体として、ポリエーテル系ウレタンフォームが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、ポリエーテル系ポリウレタンフォームは、その表面に存在する液状化粧料をパフなどに容易に付着させることができるが、気泡構造を有することから、液状化粧料が気泡内で取り込まれるため、パフなどによって容易に外部に取り出すことができない。このことから、ポリエーテル系ポリウレタンフォームの内部には、使用されない液状化粧料が多量に残存するという欠点がある。また、ポリウレタンフォームは、繊維ではなく、ウレタン結合を有するフォームであることから、耐光性に劣り、太陽光線などによって黄変しやすいため、商品的価値の低下を招くおそれがある。さらに、ポリウレタンフォームでは、液状化粧料の粘度などによっては液状化粧料を充填させるのが困難であることがある。
【0004】
近年においては、例えば、化粧料を化粧料含浸用担体に容易に多量で充填させることができるとともに、当該化粧料が充填されている化粧料含浸体から当該化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができる化粧料含浸用担体の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、化粧料を容易に多量で充填させることができるとともに、化粧料含浸体から化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができる化粧料含浸用担体、当該化粧料含浸用担体に化粧料を含有する化粧料含浸体、および当該化粧料含浸体を有する化粧品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)化粧料を保持するために用いられる化粧料含浸用担体であって、当該化粧料含浸用担体の表面から裏面に至る貫通孔を有することを特徴とする化粧料含浸用担体、
(2)化粧料が高粘度を有する化粧料である前記(1)に記載の化粧料含侵用担体、
(3)貫通孔の孔径が0.5~5mmである前記(2)に記載の化粧料含浸用担体、
(4)化粧料含浸用担体の表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率が1~30%である前記(2)または(3)に記載の化粧料含浸用担体、
(5)化粧料が低粘度を有する化粧料である前記(1)に記載の化粧料含侵用担体、
(6)貫通孔の孔径が0.1~0.6mmである前記(5)に記載の化粧料含浸用担体、
(7)化粧料含浸用担体の表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率が0.1~15%である前記(5)または(6)に記載の化粧料含浸用担体、
(8)化粧料含浸用担体が複合繊維で構成された三次元立体構造を有する前記(1)~(7)のいずれかに記載の化粧料含浸用担体、
(9)化粧料含浸用担体の構成繊維として複合繊維を含有し、当該複合繊維が樹脂Xおよび当該樹脂Xよりも溶融温度が高い樹脂Yを含有し、構成繊維同士の接触部が複合繊維の樹脂Xによって一体化されている前記(1)~(8)のいずれかに記載の化粧料含浸用担体、
(10)密な繊維状表面層と疎な繊維状基材とを有し、当該密な繊維状表面層と当該疎な繊維状基材とが一体化されている前記(1)~(9)のいずれかに記載の化粧料含浸用担体、
(11)化粧料含浸用担体がその表面上に意匠を有し、当該意匠が前記貫通孔で形成されている前記(1)~(10)のいずれかに記載の化粧料含浸用担体、
(12)前記(1)~(11)のいずれかに記載の化粧料含浸用担体に化粧料を含有する化粧料含浸体、および
(13)前記(12)に記載の化粧料含浸体を有する化粧品
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料含浸用担体は、化粧料を容易に多量に充填させることができるとともに、化粧料が充填されている化粧料含浸体から当該化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができるという優れた効果を奏する。
【0009】
本発明の化粧料含浸体は、前記化粧料含浸用担体に化粧料が含有されているので、当該化粧料含浸体から化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができるという優れた効果を奏する。
【0010】
本発明の化粧品は、前記化粧料含浸体を有するので、当該化粧料含浸体から化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)~(h)は、それぞれ順に、実施例1~6、実施例8および比較例1で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示すグラフである。
【
図2】(a)~(g)は、それぞれ順に、実施例9~14および比較例2で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示すグラフである。
【
図3】(a)~(f)は、それぞれ順に、実施例16~21で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示すグラフである。
【
図4】(a)~(e)は、それぞれ順に、実施例23~26および比較例8で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示すグラフである。
【
図5】(a)~(d)は、それぞれ順に、実施例28~30および比較例9で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示すグラフである。
【
図6】(a)~(c)は、それぞれ順に、実施例32~34で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示すグラフである。
【
図7】(a)~(e)は、それぞれ高粘度化粧料含浸用担体の表面意匠の一実施態様を示す概略平面図である。
【
図8】(a)~(c)は、それぞれ低粘度化粧料含浸用担体の表面意匠の一実施態様を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の化粧料含浸用担体は、前記したように、化粧料を保持するために用いられる化粧料含浸用担体であって、当該化粧料含浸用担体の表面から裏面に至る貫通孔を有することを特徴とする。
【0013】
化粧料含浸用担体は、化粧料を含浸させるために用いられる担体を意味する。また、本発明の化粧料含浸体は、化粧料含浸用担体に化粧料を含有することを特徴とする。化粧料含浸体は、前記化粧料含浸用担体に化粧料が含浸されている含浸体を意味する。
【0014】
本発明の化粧料含浸用担体は、高粘度化粧料含浸用担体または低粘度化粧料含浸用担体として用いることができる。高粘度化粧料含浸用担体は、高粘度化粧料を保持するために用いられる化粧料含浸用担体を意味する。また、低粘度化粧料含浸用担体は、低粘度化粧料を保持するために用いられる化粧料含浸用担体を意味する。本発明において、化粧料含浸用担体は、高粘度化粧料含浸用担体および低粘度化粧料含浸用担体の双方を含む概念のものである。
【0015】
化粧料は、25℃において、通常、好ましくは500~100000mPa・s、より好ましくは500~80000mPa・sの粘度を有する。
【0016】
本発明において、高粘度化粧料は、25℃における粘度が20000mPa・s以上の粘度を有する化粧料を意味する。高粘度化粧料の粘度の下限値は、高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させることができるとともに、高粘度化粧料含浸体から高粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができることを効果的に発現させる観点から、好ましくは20000mPa・s以上、より好ましくは30000mPa・s以上、より一層好ましくは35000mPa・s以上、さらに好ましくは40000mPa・s以上、さらに一層好ましくは50000mPa・s以上である。高粘度化粧料の粘度の上限値は、高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、高粘度化粧料含浸体から高粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点から、好ましくは100000mPa・s以下、より好ましくは80000mPa・s以下である。したがって、25℃における高粘度化粧料の粘度は、好ましくは20000~100000mPa・s、より好ましくは30000~80000mPa・s、より一層好ましくは35000~80000mPa・s、さらに好ましくは40000~80000mPa・s、さらに一層好ましくは50000~80000mPa・sである。
【0017】
本発明において、低粘度化粧料は、前記化粧料のうち、25℃における粘度が20000mPa・s未満の粘度を有する化粧料を意味する。低粘度化粧料の粘度の下限値は、低粘度化粧料を低粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させることができるとともに、低粘度化粧料含浸体から低粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができることを効果的に発現させる観点から、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは600mPa・s以上、より一層好ましくは700mPa・s以上、さらに好ましくは800mPa・s以上、さらに一層好ましくは900mPa・s以上である。低粘度化粧料の粘度の上限値は、低粘度化粧料を低粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、低粘度化粧料含浸体から低粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点から、好ましくは20000mPa未満、より好ましくは19900mPa・s以下、より一層好ましくは19000mPa・s以下、さらに好ましくは18000mPa・s以下、さらに一層好ましくは17000mPa・s以下である。したがって、25℃における低粘度化粧料の粘度は、好ましくは500~20000mPa・s未満、より好ましくは600~1990mPa・s、より一層好ましくは700~19000mPa・s、さらに好ましくは800~18000mPa・s、さらに一層好ましくは900~17000mPa・sである。
【0018】
なお、高粘度化粧料および低粘度化粧料の粘度は、BM型粘度計を用いて25℃の温度で測定したときの値である。
【0019】
化粧料含浸用担体には、例えば、複合繊維、ゴムラテックス弾性発泡体、ポリウレタンフォームなどを用いることができるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、化粧料を化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、化粧料含浸体から化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点から、複合繊維が好ましい。
【0020】
本発明の化粧料含浸用担体は、化粧料を容易に多量に充填させることができるとともに、化粧料が充填されている化粧料含浸体から当該化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができる観点から、複合繊維で構成された三次元立体構造を有することが好ましい。三次元立体構造を有する化粧料含浸用担体の形状としては、例えば、円柱、角柱などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0021】
複合繊維としては、例えば、芯鞘型複合繊維、サイド・バイ・サイド型複合繊維、海島型複合繊維などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの複合繊維のなかでは、構成繊維同士の接触部を効率よく一体化させる観点から、芯鞘型複合繊維が好ましく、加熱によって捲縮を発生させる場合には、サイド・バイ・サイド型複合繊維が好ましい。
【0022】
複合繊維のなかでは、化粧料を化粧料含浸用担体に容易に充填させることができるとともに、化粧料含浸体から化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができるようにする観点から、樹脂Xおよび当該樹脂Xよりも溶融温度が高い樹脂Yを含有し、構成繊維同士の接触部が複合繊維の樹脂Xによって一体化されている複合繊維が好ましい。
【0023】
複合繊維を構成する樹脂Xの溶融温度は、樹脂Yの溶融温度よりも低いことが好ましい。樹脂Xの溶融温度は、複合繊維のへたりを防止する観点から、樹脂Yの溶融温度よりも20℃以上低いことが好ましく、30℃以上低いことがより好ましい。樹脂Xの溶融温度は、複合繊維のへたりを防止し、構成繊維同士の接触部を樹脂Xによって強固に一体化させる観点から、130~220℃であることが好ましい。
【0024】
なお、樹脂Xの溶融温度および樹脂Yの溶融温度、ならびに後述する合成繊維の溶融温度を明確に測定することができない場合には、当該溶融温度は、軟化温度に置き換えられる。
【0025】
樹脂Xとしては、例えば、ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0026】
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ1,4-ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロラクトンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのポリエステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの熱可塑性ポリエステルのなかでは、耐光性に優れていることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリヘキサメチレンテレフタレートが好ましい。
【0027】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、化粧料含浸用担体の耐光性を向上させる観点から、ポリエステル系エラストマーが好ましい。
【0028】
ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系エラストマーなどのポリエステル系エラストマー、ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとするポリエーテル-エステルブロックコポリマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ポリエーテル-エステルブロックコポリマーは、例えば、ジカルボン酸とジオールとポリ(アルキレンオキシド)グリコールとを反応させることによって調製することができる。
【0029】
前記ジカルボン酸としては、例えば、o-フタル酸、m-フタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3-スルホイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのジカルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0030】
前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのジオールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0031】
前記ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2-プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3-プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、エチレンオキシド-テトラヒドロフランコポリマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのポリ(アルキレンオキシド)グリコールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量は、通常、400~5000程度であることが好ましい。
【0032】
ポリエステル系エラストマーの固有粘度は、構成繊維同士の接触部を樹脂Xによって強固に一体化させる観点から、好ましくは0.8~1.7、より好ましくは0.9~1.5である。
【0033】
ポリウレタン系エラストマーは、例えば、ポリオールとジイソシアネートとを鎖延長剤の存在下で重合させることによって得ることができる。
【0034】
ポリオールとしては、例えば、ジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミドなどの分子量が500~6000程度のポリオールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのポリオールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0035】
ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの分子量が500以下のジイソシアネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのジイソシアネートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、アミノアルコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4-ブタンジオールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの鎖延長剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0037】
構成繊維同士の接触部を樹脂Xによって強固に一体化させる観点から、熱可塑性エラストマーとして、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルポリエステルを用いることができる。
【0038】
前記ハードセグメントにおいて、ポリブチレンテレフタレートの原料として用いられる酸成分の一部は、本発明の目的が阻害されない範囲内で、テレフタル酸以外のジカルボン酸、オキシカルボン酸などの酸で置換されていてもよい。また、ポリオキシブチレングリコールの原料として用いられるブチレングリコールの一部は、本発明の目的が阻害されない範囲内で、他の多価アルコールと置換されていてもよい。
【0039】
前記ソフトセグメントにおいて、ポリオキシブチレングリコールの原料として用いられるブチレングリコールの一部は、本発明の目的が阻害されいな範囲内で他の多価アルコールと置換されていてもよい。
【0040】
樹脂Yとしては、例えば、熱可塑性ポリエステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0041】
熱可塑性ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ1,4-ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロラクトンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの熱可塑性ポリエステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの熱可塑性ポリエステルのなかでは、耐光性に優れていることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリヘキサメチレンテレフタレートが好ましい。
【0042】
樹脂Yの溶融温度は、複合繊維のへたりを防止する観点から、樹脂Xの溶融温度よりも20℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましい。樹脂Yの溶融温度は、複合繊維のへたりを防止し、構成繊維同士の接触部を樹脂Xによって強固に一体化させる観点から、150~270℃であることが好ましく、160~270℃であることがより好ましい。
【0043】
複合繊維は、耐光性を向上させ、複合繊維のへたりを防止し、構成繊維同士の接触部を樹脂Xによって強固に一体化させる観点から、樹脂Xがポリエステルまたはポリエステル系エラストマーであり、樹脂Yが熱可塑性ポリエステルであることが好ましい。
【0044】
複合繊維のへたりを防止し、構成繊維同士の接触部を樹脂Xによって強固に一体化させる観点から、複合繊維の表面積の30~70%が樹脂Xで構成され、複合繊維の表面積の70~30%が樹脂Yで構成されていることが好ましい。
【0045】
複合繊維は、樹脂Xおよび当該樹脂Xよりも溶融温度が高い樹脂Yを含有するが、本発明の目的が阻害されない範囲内で樹脂Xおよび樹脂Y以外の樹脂が含まれていてもよい。
【0046】
複合繊維は、樹脂Xおよび樹脂Yを含有する。複合繊維が芯鞘型複合繊維またはサイド・バイ・サイド型複合繊維である場合、通常、樹脂Xおよび樹脂Yの2種類の樹脂が用いられる。複合繊維が海島型複合繊維である場合、通常、樹脂Xおよび樹脂Yを含む2~4種類の樹脂、好ましくは2種類または3種類の樹脂、より好ましくは樹脂Xおよび樹脂Yの2種類の樹脂が用いられる。
【0047】
芯鞘型複合繊維においては、構成繊維同士の接触部を樹脂Xによって強固に一体化させる観点から、芯成分には樹脂Yが使用され、鞘成分には樹脂Xが使用されることが好ましい。
【0048】
芯鞘型複合繊維において、芯成分が複合繊維の表面に露出していないことが好ましい。また、芯成分の繊維径方向の中心と鞘成分の繊維径方向の中心とが一致していることがより好ましい。芯鞘型複合繊維は、同心円状で芯鞘構造が形成されていてもよく、偏心状で芯鞘構造が形成されていてもよい。偏心状で芯鞘構造が形成されている芯鞘構造を有する複合繊維は、加熱によって捲縮を生じることから、捲縮が要求される用途に適している。
【0049】
芯鞘型複合繊維の断面形状としては、例えば、円形、楕円、長円、三角形、四角形などの多角形状などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの形状のなかでは、円形が好ましい。
【0050】
芯鞘型複合繊維の芯成分と鞘成分との容量比(芯成分:鞘成分)は、単繊維強度を向上させるとともに構成繊維同士の接触部を樹脂Xによって強固に一体化させる観点から、30:70~70:30であることが好ましい。
【0051】
複合繊維が芯鞘型複合繊維である場合、当該芯鞘型複合繊維は、例えば、芯成分および鞘成分をそれぞれ構成する樹脂Yおよび樹脂Xを加熱溶融させ、芯鞘型複合繊維製造用複合紡糸装置に導入し、芯鞘型複合ノズルから押し出し、紡糸することによって製造することができる。なお、樹脂Xおよび樹脂Yを加熱溶融させる際には、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどを用いることができる。また、芯鞘型複合ノズルとして、例えば、千鳥配列または環状配列で口金細孔が配列されている芯鞘型複合ノズルを用いることができる。
【0052】
次に、紡糸された芯鞘型複合繊維に例えば冷風を吹き付けるなどにより、当該芯鞘型複合繊維を冷却し、固化させることができる。
【0053】
複合繊維の繊度は、化粧料含浸体から化粧料を効率よく外部に取り出すことができ、機械的強度に優れた化粧料含浸用担体を得る観点から、0.5~15デニールであることが好ましく、1~10デニールであることがより好ましい。なお、本発明において、繊維の繊度は、繊維長さ9000mあたりの繊維(フィラメント)の質量(g)を意味する。
【0054】
複合繊維の繊維長は、化粧料含浸体から化粧料を効率よく外部に取り出すことができ、機械的強度に優れた化粧料含浸用担体を得る観点から、20~150mm程度であることが好ましい。
【0055】
複合繊維には、化粧料含浸用担体に使用される化粧料などの防腐の観点から、必要により、例えば、防菌加工、抗菌加工などの加工が施されていてもよい。これらの加工には種々の方法を採用することができ、本発明は、かかる方法によって限定されるものではない。
【0056】
なお、化粧料含浸用担体は、複合繊維のみで構成されていてもよく、複合繊維および当該複合繊維以外のその他の繊維で構成されていてもよい。
【0057】
その他の繊維としては、例えば、綿、麻、絹などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、合成繊維などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他の繊維のなかでは、化粧料含浸体から化粧料を効率よく外部に取り出すことができ、機械的強度に優れた化粧料含浸用担体を得る観点から、合成繊維が好ましい。
【0058】
合成繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ナイロン6などに代表されるポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、酢酸セルロース繊維などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの繊維は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの合成繊維のなかでは、化粧料含浸体から化粧料を効率よく外部に取り出すことができ、耐光性に優れた化粧料含浸用担体を得る観点から、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維が好ましく、ポリエステル繊維がより好ましい。
【0059】
合成繊維には、化粧料含浸用担体に使用される化粧料などの防腐の観点から、必要により、例えば、防菌加工、抗菌加工などの加工が施されていてもよい。これらの加工には種々の方法を採用することができ、本発明は、かかる方法によって限定されるものではない。
【0060】
合成繊維の溶融温度は、複合繊維のへたりを防止する観点から、樹脂Xの溶融温度よりも20℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましい。合成繊維の溶融温度は、複合繊維のへたりを防止し、複合繊維と合成繊維との交差部で複合繊維と合成繊維を効率よく熱融着させる観点から、150~270℃であることが好ましく、160~270℃であることがより好ましい。
【0061】
合成繊維の繊度は、化粧料含浸体から化粧料を効率よく外部に取り出すことができる化粧料含浸用担体を得る観点から、0.5~15デニールであることが好ましく、1~10デニールであることがより好ましい。
【0062】
合成繊維維の繊維長は、化粧料含浸体から化粧料を効率よく外部に取り出すことができ、機械的強度に優れた化粧料含浸用担体を得る観点から、20~150mm程度であることが好ましい。
【0063】
本発明においては、化粧料含浸体から化粧料を効率よく外部に取り出すことができ、耐光性に優れる化粧料含浸用担体を得る観点から、複合繊維とその他の繊維として合成繊維とが併用されていることが好ましく、複合繊維と合成繊維としてポリエステル繊維またはポリアミド繊維とが併用されていることがより好ましく、複合繊維とポリエステル繊維とが併用されていることがさらに好ましい。
【0064】
複合繊維と合成繊維との質量比(複合繊維/合成繊維)は、複合繊維と合成繊維との交差部で複合繊維と合成繊維とを効率よく熱融着させるとともに、化粧料含浸体から化粧料を効率よく外部に取り出すことができる化粧料含浸用担体を得る観点から、10/90~100/0であることが好ましく、30/70~80/20であることがより好ましい。
【0065】
化粧料含浸用担体は、例えば、以下のようにして製造することができる。なお、以下においては、複合繊維と合成繊維とを併用した場合の例が示されているが、複合繊維のみを用いてもよく、複合繊維と合成繊維以外の他の繊維とを併用してもよい。
【0066】
まず、複合繊維および合成繊維をそれぞれ解繊し、両者を所定の比率となるように秤量し、両者を均一な組成となるように混繊することによってウェブを形成させる。
【0067】
形成されたウェブの厚さは、当該ウェブが使用される化粧料含浸用担体の大きさなどに応じて適宜調整することが好ましい。
【0068】
次に、例えば、ウェブを2枚の平板間に挟み、必要により、当該ウェブを所定の厚さとなるように押圧し、その状態でウェブに含まれている複合繊維を構成している樹脂Xの溶融温度以上の温度でかつ複合繊維を構成している樹脂Yおよび合成繊維の溶融温度よりも低い温度でウェブを加熱し、樹脂Xを溶融させ、複合繊維および合成繊維を含有する繊維同士の接触部を溶融した樹脂Xによって融着一体化させることにより、ウェブシートを得ることができる。その際、必要により、前記で得られたウェブシートが所定の密度を有するように成形型内に入れ、前記と同様にしてウェブシートを加熱し、樹脂Xを溶融させることにより、構成繊維同士の交差部を溶融した樹脂Xで融着させ、当該交差部で樹脂Xからなる塊状(アメーバー状)の融着部を形成させることができる。
【0069】
なお、複合繊維および合成繊維を混合する際、複合繊維および合成繊維の双方の繊維を繊維長方向に並行するように並べて積層させることによってウェブシートを製造した場合には、当該ウェブシートを厚さ方向に引き伸ばしたとき、複合繊維および合成繊維の双方の繊維が繊維長方向に並行していることを示す縞が現れる。当該縞は、ウェブシートが前記方法によって製造されたものであることを示す指標となる。
【0070】
次に、前記で得られたウェブシートを所望の大きさおよび形状となるように裁断することにより、化粧料含浸用担体を得ることができる。
【0071】
化粧料含浸用担体の大きさおよび形状は、当該化粧料含浸用担体の用途によって異なるので一概には決定することができないことから、当該化粧料含浸用担体の用途に応じて適宜調整することが好ましい。
【0072】
化粧料含浸用担体の一例として、例えば、平面形状が直径3~15cm程度の円形であり、厚さが0.5~5cm程度の円柱状の化粧料含浸用担体などが挙げられる。化粧料含浸用担体は、例えば、ファンデーションなどの化粧料を保持するための化粧料含浸用担体として好適に使用することができる。
【0073】
化粧料含浸用担体の密度は、当該化粧料含浸用担体の用途などによって異なることから一概には決定することができないが、好ましくは6~50kg/m3、より好ましくは6~30kg/m3である。
【0074】
なお、化粧料含浸用担体には、使用時におけるへたりを防止する観点から、複合繊維および合成繊維の双方の繊維が繊維長方向に並行するように積層されたウェブシートが用いられ、化粧料含浸用担体の厚さ方向に各繊維が繊維長方向に配列していることが好ましい。
【0075】
化粧料含浸用担体は、複合繊維が樹脂Xおよび当該樹脂Xよりも溶融温度が高い樹脂Yを含有し、構成繊維同士の接触部が複合繊維の樹脂Xによって一体化されている場合、繊維間に空隙が存在し、当該空隙が固定化されているので、ゴムラテックス弾性発泡体およびポリウレタンフォームと対比して、化粧料含浸体から化粧料を繊維間の空隙から効率よく外部に取り出すことができることから、使用後における化粧料の残存率を低減させることができる。
【0076】
また、化粧料含浸用担体を構成する構成繊維として樹脂Xがポリエステルまたはポリエステル系エラストマーであり、樹脂Yが熱可塑性ポリエステルである複合繊維が含まれ、当該複合繊維以外の他の繊維としてポリエステルの単繊維(フィラメント)が用いられているとき、耐光性が効果的に発現される。
【0077】
また、化粧料含浸用担体は、複合繊維が樹脂Xおよび当該樹脂Xよりも溶融温度が高い樹脂Yを含有し、構成繊維同士の接触部が複合繊維の樹脂Xによって一体化されている場合、化粧料に含まれている紫外線吸収剤の保持性(非吸着性)に優れており、さらに繰り返しの使用によるへたりが小さいことから、耐久性にも優れている。
【0078】
化粧料含浸用担体は、使用開始時に化粧料が大量に取れることを防止する観点から、密な繊維状表面層と疎な繊維状基材とを有し、当該密な繊維状表面層と当該疎な繊維状基材とが一体化されていることが好ましい。
【0079】
密な繊維状表面層と疎な繊維状基材とが一体化されている化粧料含浸用担体は、例えば、ウェブシートを押圧し、圧縮した状態でその押圧面を加熱し、ウェブシートの表面に密な繊維層を形成させた後、冷却し、除圧することにより、得ることができる。密な繊維状表面層の密度は、加熱温度、押圧時間および当該ウェブシートを押圧するときの押圧力を適宜調整することにより、制御することができる。ここで密な繊維状表面層と疎な繊維状基材との一体化は、疎な繊維状基材の表面に密な繊維状表面層を直接形成させることを意味する。
【0080】
ウェブシートを押圧し、圧縮した状態でその押圧面を加熱する際の加熱温度は、緻密な表面構造を形成させる観点から、150℃以上であることが好ましい。加熱時間および押圧力は、ウェブシートが所定の厚さを有するように適宜調整することができる。ウェブシートを押圧し、圧縮した状態でその押圧面を加熱する際に、例えば、ウェブシートを構成している樹脂の溶融温度以上の温度で数分間加熱することにより、密な繊維状表面層を形成させることができる。
【0081】
密な繊維状表面層の厚さは、化粧料含浸体の内部に取り込まれた化粧料が使用初期に一度に大量に取れることを抑制する観点から、50μm~5mm程度であることが好ましい。また、疎な繊維状基材の厚さは、化粧料含浸用担体の内部に取り込まれる化粧料の保持量を増加させる観点から、500μm~10cm程度であることが好ましく、5~20mmであることがより好ましい。
【0082】
化粧料含浸用担体では、当該化粧料含浸用担体の内部に取り込まれた化粧料が使用初期に一度に大量に取れることを抑制する観点から、密な繊維状表面層の密度が45~60kg/m3程度であり、疎な繊維状基材の密度が13~20kg/m3程度であることが好ましい。
【0083】
また、密な繊維状表面層の密度を疎な繊維状基材の密度で除した値(以下、「圧縮比」という)は、化粧料含浸用担体の内部に取り込まれた化粧料が使用初期に一度に大量に取れることを抑制する観点から、2~4であることが好ましく、2.5~3.5であることがより好ましい。
【0084】
化粧料含浸用担体の密な繊維状表面層の通気抵抗は、化粧料含浸用担体の内部に取り込まれた化粧料が使用初期に一度に大量に取れることを抑制する観点から、0.0125~0.0275kPa・s/mであることが好ましく、0.0145~0.0255kPa・s/mであることがより好ましい。
【0085】
本発明の化粧料含浸用担体は、当該化粧料含浸用担体に化粧料を保持させることにより、化粧料含浸体として好適に使用することができる。本発明の化粧料含浸体は、各種化粧品に好適に使用することができる。
【0086】
本発明の化粧料含浸用担体は、その表面から裏面に至る複数の貫通孔を有する。本発明の化粧料含浸用担体は、複数の貫通孔を有することから、化粧料を当該化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させることができるとともに、化粧料が当該化粧料含浸用担体に充填されている化粧料含浸体から当該化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができる。
【0087】
高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径(直径)は、高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、高粘度化粧料含浸体から高粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点および貫通孔で形成された意匠の視認性を向上させる観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、高粘度化粧料含浸体から高粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点から、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは2.5mm以下である。したがって、高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径は、好ましくは0.5~5mm、より好ましくは0.5~3mm、さらに好ましくは1~2.5mmである。
【0088】
低粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径(直径)は、低粘度化粧料を低粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、低粘度化粧料含浸体から低粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点および貫通孔で形成された意匠の視認性を向上させる観点から、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上であり、低粘度化粧料を低粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、低粘度化粧料含浸体から低粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点から、好ましくは0.6mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。したがって、低粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径は、好ましくは0.1~0.6mm、より好ましくは0.2~0.5mmである。
【0089】
貫通孔の開口部の形状は、円形であることが一般的であるが、本発明は、円形のみに限定されるものではなく、楕円形であってもよく、三角形であってもよく、四角形、六角形、星形などの多角形であってもよい。複数の貫通孔は、同一の開口部の形状を有するものであってもよく、異なる開口部の形状を有するものであってもよい。貫通孔の形状が円形以外の形状である場合、貫通孔の孔径は、当該貫通孔の形状の最も長い対角線の長さを意味する。
【0090】
複数の貫通孔は、同一の孔径を有するものであってもよく、異なる孔径を有するものであってもよい。
【0091】
高粘度化粧料含浸用担体において、当該高粘度化粧料含浸用担体の表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率は、高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、高粘度化粧料含浸体から高粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点および貫通孔で形成された意匠の視認性を向上させる観点から、好ましくは1~30%、より好ましくは3~25%、さらに好ましくは5~20%である。なお、高粘度化粧料含浸用担体の表面は、貫通孔が形成されている面である。
【0092】
例えば、高粘度化粧料含浸用担体の表面の直径が5cmである場合、当該高粘度化粧料含浸用担体の表面の面積は、約19.6cm2である。当該高粘度化粧料含浸用担体の表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率が20%であるとき、全貫通孔が占める面積は、約3.9cm2である。当該高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径が2mmであるとき、貫通孔1個の面積は、約0.03cm2である。したがって、当該高粘度化粧料含浸用担体の表面における貫通孔の数は、約130(3.9/0.03)個である。
【0093】
低粘度化粧料含浸用担体において、当該低粘度化粧料含浸用担体の表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率は、低粘度化粧料を低粘度化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、低粘度化粧料含浸体から低粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点および貫通孔で形成された意匠の視認性を向上させる観点から、好ましくは0.1~15%、より好ましくは0.2~13%、さらに好ましくは0.5~10%である。なお、低粘度化粧料含浸用担体の表面は、貫通孔が形成されている面である。
【0094】
例えば、低粘度化粧料含浸用担体の表面の直径が5cmである場合、当該低粘度化粧料含浸用担体の表面の面積は、約19.6cm2である。当該低粘度化粧料含浸用担体の表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率が5%であるとき、全貫通孔が占める面積は、約0.98cm2である。貫通孔の孔径が0.5mmであるとき、貫通孔1個の面積は、約0.0020cm2である。したがって、低粘度化粧料含浸用担体の表面における貫通孔の数は、約490(0.98/0.0020)個である。
【0095】
化粧料含浸用担体の表面に設けられる貫通孔の数は、化粧料含浸用担体の表面の面積などによって異なることから一概には決定することができない。当該貫通孔の数は、通常、化粧料含浸用担体の表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率および貫通孔の孔径が前記した範囲内となるように調整することが好ましい。
【0096】
化粧料含浸用担体の表面における複数の貫通孔の配列は、任意である。当該貫通孔は、化粧料を化粧料含浸用担体に容易に多量に充填させるとともに、化粧料含浸体から化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点から、化粧料含浸用担体の中心部から複数の同心円を描くように形成されているか、または格子を描くように形成されていることが好ましい。また、当該貫通孔は、化粧料含浸用担体の表面上で文字、ロゴ、図形、模様などの意匠が描かれるように形成されていてもよい。
【0097】
高粘度化粧料含浸用担体の表面意匠の一実施態様を
図7に示す。
図7(a)~(e)は、それぞれ高粘度化粧料含浸用担体の表面意匠の一実施態様を示す概略平面図であるが、本発明は、当該実施態様のみに限定されるものではない。また、低粘度化粧料含浸用担体の表面意匠の一実施態様を
図8に示す。
図8(a)~(c)は、それぞれ低粘度化粧料含浸用担体の表面意匠の一実施態様を示す概略平面図であるが、本発明は、当該実施態様のみに限定されるものではない。
図7および8に示されるように、高粘度化粧料含浸用担体1および低粘度化粧料含浸用担体3は、それぞれ所望の意匠を形成する貫通孔2または貫通孔4を有する。
【0098】
化粧料含浸用担体の表面に貫通孔を形成させる方法としては、例えば、レーザー光線を化粧料含浸用担体の表面に照射することによって化粧料含浸用担体の表面から裏面に貫通する貫通孔を形成させる方法、トムソン型を用いて化粧料含浸用担体の表面に打ち抜き加工を施すことによって化粧料含浸用担体の表面から裏面に貫通する貫通孔を形成させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0099】
以上のようにして形成される本発明の化粧料含浸用担体は、化粧料を容易に多量に充填させることができる。
【0100】
本発明の化粧料含浸体は、本発明の化粧料含浸用担体に化粧料を含有するものである。本発明の化粧料含浸体は、本発明の化粧料含浸用担体が用いられているので、化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができる。
【0101】
本発明の化粧料含浸体は、高粘度化粧料含浸体または低粘度化粧料含浸体として用いることができる。高粘度化粧料含侵体は、高粘度化粧料を含有する化粧料含浸体を意味する。また、低粘度化粧料含侵体は、低粘度化粧料を含有する化粧料含侵体を意味する。本発明において、化粧料含浸体は、高粘度化粧料含浸体および低粘度化粧料含浸体の双方を含む概念のものである。
【0102】
化粧料含浸体に使用することができる化粧料としては、例えば、ファンデーション、コンシーラー、ハイライト、コントロールカラー、化粧下地、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、頬紅、おしろい、眉墨、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングリキッド、洗顔クリーム、洗顔フォーム、マッサージクリーム、コールドクリーム、バニシングクリーム、スキンクリーム、スキンジェル、乳液、化粧水、美容液、各種ローション、日焼け止め料、ボディクリーム、ボディオイル、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアリキッド、ヘアトニックなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの化粧料のなかでは、化粧料含浸体から化粧料を継続してほぼ均一に取り出す観点から、液状の化粧料が好ましい。
【0103】
高粘度化粧料含浸体に使用される高粘度化粧料の量は、高粘度化粧料含浸用担体の種類によって異なるので一概には決定することができないが、例えば、高粘度化粧料含浸用担体がリキッドファンデーションである場合、直径が5cmで、厚さが1.5cmである高粘度化粧料含浸体に、25℃における粘度が20000mPa・sであるリキッドファンデーションを10~20g程度の量で使用することができる。
【0104】
低粘度化粧料含浸体に使用される低粘度化粧料の量は、低粘度化粧料含浸用担体の種類によって異なるので一概には決定することができないが、例えば、低粘度化粧料含浸用担体がリキッドファンデーションである場合、直径が5cmで、厚さが1.5cmである低粘度化粧料含浸体に、25℃における粘度が10000mPa・sであるリキッドファンデーションを10~20g程度の量で使用することができる。
【0105】
本発明の化粧品は、本発明の化粧料含浸体を有するものである。本発明の化粧品は、前記化粧料含浸体を有するので、当該化粧料含浸体から化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができる。本発明の化粧品は、化粧料含浸体を収納する収納部を有し、本発明の化粧料含浸体が当該収納部に収納されているものであってもよい。前記化粧品としては、例えば、化粧用コンパクトなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【実施例0106】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0107】
製造例1
芯鞘型複合繊維〔芯成分:ポリエチレンテレフタレート、鞘成分:熱可塑性ポリエチレンテレフタレート、繊度:6デニール〕とポリエステル繊維(樹脂:ポリエチレンテレフタレート、繊度:3デニール)とを70:30の質量比で各繊維が並行となるように混紡したウェブを押圧した状態で鞘成分を加熱溶融させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を作製した。当該高粘度化粧料含浸用担体に切削加工を施すことにより、直径約5cm、厚さ約1cmの三次元立体構造を有する円柱状のサンプルA(密度:18.0kg/m3)を得た。
【0108】
前記で得られたサンプルAの平面を繊維が並行に走っている方向に延伸させると繊維が並行して並んでいることに基づく縞が観察されたが、当該方向と直角方向に延伸させても縞が観察されなかった。
【0109】
次に、前記で得られたサンプルAの平面および側面を光学顕微鏡で観察した。その結果、繊維密度は、サンプルAの平面よりも側面のほうが高いこと、および構成繊維同士の接触部で塊状(アメーバー状)の融着部が形成されていることが確認された。
【0110】
製造例2
芯鞘型複合繊維〔芯成分:ポリエチレンテレフタレート、鞘成分:熱可塑性ポリエチレンテレフタレート、繊度:6デニール〕とポリエステル繊維(樹脂:ポリエチレンテレフタレート、繊度:3デニール)とを70:30の質量比で各繊維が並行となるように混紡したウェブを押圧した状態で鞘成分を加熱溶融させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を作製した。当該高粘度化粧料含浸用担体に切削加工を施すことにより、直径約5cm、厚さ約1cmの三次元立体構造を有する円柱状のサンプルB(密度:24.0kg/m3)を得た。
【0111】
前記で得られたサンプルBの平面を繊維が並行に走っている方向に延伸させると繊維が並行して並んでいることに基づく縞が観察されたが、当該方向と直角方向に延伸させても縞が観察されなかった。また、製造例1で得られたサンプルAと同様に、構成繊維同士の接触部で塊状(アメーバー状)の融着部が形成されていることが確認された。
【0112】
製造例3
芯鞘型複合繊維〔芯成分:ポリエチレンテレフタレート、鞘成分:熱可塑性ポリエチレンテレフタレート、繊度:6デニール〕とポリエステル繊維(樹脂:ポリエチレンテレフタレート、繊度:3デニール)とを50:50の質量比で各繊維が並行となるように混紡したウェブ(厚さ:16mm)を用意した。
【0113】
前記ウェブをプレスラミネータ(熱プレス機)に挟み、当該プレスラミネータの一方表面のみを219℃に加熱し、前記ウェブを押圧した状態で鞘成分を72秒間加熱溶融させることによって一方表面に厚さが1.5mmの緻密層を形成させ、前記ウェブからなる密な繊維状表面層と前記ウェブからなる疎な繊維状基材とが一体化した高粘度化粧料含浸用担体を作製した。
【0114】
次に、前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体に切削加工を施すことにより、直径約5cm、厚さ約1cmの三次元立体構造を有する円柱状のサンプルC(密度:16.4kg/m3)を得た。
【0115】
前記で得られたサンプルCの平面を繊維が並行に走っている方向に延伸させると繊維が並行して並んでいることに基づく縞が観察されたが、当該方向と直角方向に延伸させても縞が観察されなかった。また、製造例1で得られたサンプルAと同様に、サンプルCには構成繊維同士の接触部で塊状(アメーバー状)の融着部が形成されていることが確認された。
【0116】
実施例1~7
製造例1で得られたサンプルAを用い、サンプルAの表面から裏面に至る貫通孔が表1に示す配列を有するようにトムソン型で貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率(以下、「面積比率」という)を表1に示す。
【0117】
実施例8
製造例1で得られたサンプルAを用い、サンプルAの表面から裏面に至る貫通孔として、孔径が1mmである貫通孔8個が中心部に形成され、孔径が1.5mmである貫通孔4個が孔径1mmの貫通孔の外周に同心円状に形成され、孔径が2mmである貫通孔15個が孔径1.5mmの貫通孔の外周に同心円状に形成されるようにトムソン型で各貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表1に示す。
【0118】
比較例1
製造例1で得られたサンプルAをそのままの状態で高粘度化粧料含浸用担体として用いた。
【0119】
【0120】
実施例9~15
製造例2で得られたサンプルBを用い、サンプルBの表面から裏面に至る貫通孔が表2に示す配列を有するようにトムソン型で貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表2に示す。
【0121】
比較例2
製造例2で得られたサンプルBをそのままの状態で高粘度化粧料含浸用担体として用いた。
【0122】
【0123】
実施例16~22
製造例3で得られたサンプルCを用い、サンプルCの表面から裏面に至る貫通孔が表3に示す配列を有するようにトムソン型で貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表3に示す。
【0124】
比較例3
製造例3で得られたサンプルCをそのままの状態で高粘度化粧料含浸用担体として用いた。
【0125】
比較例4
ポリウレタン発泡体〔倉敷紡績(株)製、品番:301WH〕に切削加工を施すことにより、直径約5cm、厚さ約1cmのサンプルDを得た。前記で得られたサンプルDを高粘度化粧料含浸用担体として用いた。
【0126】
比較例5
比較例4で得られたサンプルDを用い、サンプルDの表面から裏面に至る貫通孔が表3に示す配列を有するようにトムソン型で貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表3に示す。
【0127】
比較例6
アクリロニトリル-ブタジエンゴム発泡体〔(株)タイキ製〕に切削加工を施すことにより、直径約5cm、厚さ約1cmのサンプルEを得た。前記で得られたサンプルEを高粘度化粧料含浸用担体として用いた。
【0128】
比較例7
比較例6で得られたサンプルEを用い、サンプルEの表面から裏面に至る貫通孔が表3に示す配列を有するようにトムソン型で貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表3に示す。
【0129】
【0130】
試験例1
実施例1~22および比較例1~7で得られた高粘度化粧料含浸用担体に高粘度化粧料を充填したときの高粘度化粧料の充填性および高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合(取れ量の均一性)を以下の方法に基づいて評価した。その結果を表4に示す。
【0131】
(1)高粘度化粧料の充填性
高粘度化粧料含浸用担体をインナーケースに入れ、当該高粘度化粧料含浸用担体に高粘度化粧料(25℃における粘度:20000mPa・s)17gを手動式クリーム充填機で充填することにより、高粘度化粧料含浸体を作製した。その際の高粘度化粧料の充填性を以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
〇:高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に容易に充填することができる。
△:高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に充填するのにやや時間がかかる。
×:高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に充填するのが困難である。
【0132】
(2)取れ量の均一性
前記「(1)高粘度化粧料の充填性」で得られた高粘度化粧料含浸用担体を製造後1時間静置した。前記高粘度化粧料含浸用担体をパフで擦り、パフに付着した化粧料を不織布に塗布する操作を1サイクルとし、当該操作を30回行なうごとに化粧料の取れ量を調べた。
【0133】
なお、表4に記載の「化粧料の取れ量」の欄には、前記操作を1~30回、31~60回、61~90回または91~120回繰り返して行なったときに回収された化粧料の取れ量(g)が記載されている。
【0134】
【0135】
次に、表4に示された結果に基づき、実施例1~6、実施例8および比較例1で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を
図1に、実施例9~14および比較例2で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を
図2に、実施例16~21で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を
図3に示す。
【0136】
図1に記載の(a)~(h)は、それぞれ順に、実施例1~6、実施例8および比較例1で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示す。
図2に記載の(a)~(g)は、それぞれ順に、実施例9~14および比較例2で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示す。また、
図3に記載の(a)~(f)は、それぞれ順に、実施例16~21で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示す。
【0137】
表4に示された結果から、各実施例で得られた高粘度化粧料含浸用担体は、いずれも、高粘度化粧料の充填性の評価が△または〇であることから、高粘度化粧料を容易に多量に充填させることができることがわかる。
【0138】
これに対して、各比較例で得られた高粘度化粧料含浸用担体は、いずれも、高粘度化粧料の充填性の評価が×であることから、高粘度化粧料を充填するのが困難であることがわかる。また、ポリウレタン発泡体が用いられている高粘度化粧料含浸用担体(比較例4および5)およびアクリロニトリル-ブタジエンゴム発泡体が用いられている高粘度化粧料含浸用担体(比較例6および7)は、高粘度化粧料の充填性の評価が×であることから、これらの発泡体を高粘度化粧料含浸用担体として用いた場合には、貫通孔の有無にかかわらず、充填性に劣ることがわかる。
【0139】
また、表4および
図1~3に示された結果から、実施例1~6、実施例8~14および実施例16~21で得られた高粘度化粧料含浸用担体を用いて得られた高粘度化粧料含浸体は、いずれも、高粘度化粧料の充填性の評価が〇であり、高粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができることがわかる。したがって、これらの実施例で得られた高粘度化粧料含浸体が用いられた化粧品は、高粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができることがわかる。
【0140】
なお、
図1(f)および(g)、
図2(c)ならびに
図3(a)によれば、前記操作を91~120回繰り返したとき、化粧料の取れ量が低下している。当該取れ量の低下は、高粘度化粧料の残存量が少なかったことに基づく。
【0141】
実施例23~27
製造例1で得られたサンプルAを用い、サンプルAの表面から裏面に至る貫通孔が表5に示す配列を有するようにトムソン型で貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表5に示す。
【0142】
比較例8
製造例1で得られたサンプルAをそのままの状態で高粘度化粧料含浸用担体として用いた。
【0143】
【0144】
実施例28~31
製造例2で得られたサンプルBを用い、サンプルBの表面から裏面に至る貫通孔が表6に示す配列を有するようにトムソン型で貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表6に示す。
【0145】
比較例9
製造例2で得られたサンプルBをそのままの状態で高粘度化粧料含浸用担体として用いた。
【0146】
【0147】
実施例32~35
製造例3で得られたサンプルCを用い、サンプルCの表面から裏面に至る貫通孔が表7に示す配列を有するようにトムソン型で貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表7に示す。
【0148】
【0149】
試験例2
実施例23~35および比較例8~9で得られた高粘度化粧料含浸用担体に高粘度化粧料を充填したときの高粘度化粧料の充填性および高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合を以下の方法に基づいて評価した。その結果を表8に示す。
【0150】
(1)高粘度化粧料の充填性
高粘度化粧料含浸用担体をインナーケースに入れ、当該高粘度化粧料含浸用担体に高粘度化粧料(25℃における粘度:50000mPa・s)17gを手動式クリーム充填機で充填することにより、高粘度化粧料含浸体を作製した。その際の高粘度化粧料の充填性を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0151】
〔評価基準〕
〇:高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に容易に充填することができる。
△:高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に充填するのにやや時間がかかる。
×:高粘度化粧料を高粘度化粧料含浸用担体に充填するのが困難である。
【0152】
(2)高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合
前記「(1)高粘度化粧料の充填性」で得られた高粘度化粧料含浸用担体を製造後1時間静置した。前記高粘度化粧料含浸用担体をパフで擦り、パフに付着した化粧料を不織布に塗布する操作を1サイクルとして当該操作を繰り返し、当該操作を30回行なうごとに化粧料の取れ量を調べた。
【0153】
なお、表8に記載の「化粧料の取れ量」の欄には、前記操作を1~30回、31~60回、61~90回または91~120回繰り返して行なったときに回収された化粧料の取れ量(g)が記載されている。
【0154】
【0155】
次に、表8に示された結果に基づき、実施例23~26および比較例8で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を
図4に、実施例28~30および比較例9で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を
図5に、実施例32~34で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を
図6に示す。
【0156】
図4に記載の(a)~(e)は、それぞれ順に、実施例23~26および比較例8で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示す。
図5に記載の(a)~(d)は、それぞれ順に、実施例28~30および比較例9で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示す。また、
図6に記載の(a)~(c)は、それぞれ順に、実施例32~34で得られた高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合の測定結果を示す。
【0157】
表8に示された結果から、各実施例で得られた高粘度化粧料含浸用担体は、いずれも、高粘度化粧料の充填性の評価が△または〇であることから、高粘度化粧料を容易に多量に充填させることができることがわかる。
【0158】
これに対して、各比較例で得られた高粘度化粧料含浸用担体は、いずれも、高粘度化粧料の充填性の評価が×であることから、高粘度化粧料を充填するのが困難であることがわかる。
【0159】
また、表8および
図4~6に示された結果から、実施例23~26、実施例28~30および実施例32~34で得られた高粘度化粧料含浸用担体を用いて得られた高粘度化粧料含浸体は、いずれも、高粘度化粧料の充填性の評価が〇であり、高粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができることがわかる。したがって、これらの実施例で得られた高粘度化粧料含浸体が用いられた化粧品は、高粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができることがわかる。
【0160】
なお、
図4(a)および
図5(c)では、前記サイクルを91~120回繰り返したとき、化粧料の取れ量が低下している。当該取れ量の低下は、高粘度化粧料の残存量が少なかったことに基づく。
【0161】
実施例36~40
レーザー加工機(ユニバーサルレーザシステム社製、品番:VLS2.30)を用いてレーザー光線を製造例1で得られたサンプルAの表面に照射し表11に示す配列を有するように貫通孔を形成させることにより、高粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた高粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表9に示す。
【0162】
実施例36~40で得られた高粘度化粧料含浸用担体の表面意匠を
図7に示す。
図7に記載の(a)は、実施例36で得られた貫通孔2aを有する高粘度化粧料含浸用担体1aの表面意匠、(b)は、実施例37で得られた貫通孔2bを有する高粘度化粧料含浸用担体1bの表面意匠、(c)は、実施例38で得られた貫通孔2cを有する高粘度化粧料含浸用担体1cの表面意匠、(d)は、実施例39で得られた貫通孔2dを有する高粘度化粧料含浸用担体1dの表面意匠、(e)は、実施例40で得られた貫通孔2eを有する高粘度化粧料含浸用担体1eの表面意匠である。
【0163】
実施例36~40で得られた高粘度化粧料含浸用担体に高粘度化粧料を充填したときの化粧料の充填性および高粘度化粧料含浸体からの高粘度化粧料の取れ具合を試験例1と同様にして調べた。化粧料の充填性の評価結果を表9に記載する。
【0164】
【0165】
表9に示された結果から、各実施例で得られた高粘度化粧料含浸用担体は、いずれも、高粘度化粧料の充填性の評価が〇であることから、高粘度化粧料を容易に多量に充填させることができることがわかる。また、高粘度化粧料の取れ具合は、実施例1と同様に優れていることが確認された。
【0166】
以上の結果から、高粘度化粧料含浸用担体は、孔径を好ましくは0.5~5mm、より好ましくは0.5~3mm、さらに好ましくは1~2.5mm、表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率を好ましくは1~30%、より好ましくは3~25%、さらに好ましくは5~20%に設定した場合、空隙率が向上するので、高粘度化粧料の充填性が向上することがわかる。
【0167】
したがって、高粘度化粧料含浸用担体の孔径および表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率がそれぞれ前記範囲を具備するように設定することにより、所定回数(例えば30回)ごとの高粘度化粧料の取れ量が均一となることから、所望の高粘度化粧料の取れ量となるように適宜調整することができることがわかる。
【0168】
実施例41~54
レーザー加工機(ユニバーサルレーザシステム社製、品番:VLS2.30)を用いてレーザー光線を製造例1で得られたサンプルAの表面に照射し、表10に示す配列を有するように貫通孔を形成させることにより、低粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた低粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表10に示す。
【0169】
なお、実施例42、実施例45および実施例48で得られた低粘度化粧料含浸用担体は、それぞれ、
図8(a)~(c)に示される表面意匠を有する。
【0170】
比較例10
レーザー加工機(ユニバーサルレーザシステム社製、品番:VLS2.30)を用いてレーザー光線を比較例4で得られたサンプルDの表面に照射し、表10に示す配列を有するように貫通孔を形成させることにより、低粘度化粧料含浸用担体を得た。前記で得られた低粘度化粧料含浸用担体の貫通孔の孔径および面積比率を表10に示す。
【0171】
【0172】
試験例3
実施例41~54および比較例10で得られた低粘度化粧料含浸用担体の表面意匠の視認性、貫通孔の形状および当該低粘度化粧料含浸用担体に低粘度化粧料を充填したときの低粘度化粧料の充填性を以下の方法に基づいて評価した。その結果を表11に示す。
【0173】
(1)意匠の視認性
低粘度化粧料含浸用担体の表面意匠を肉眼で観察し、以下の評価基準に基づいて意匠の視認性を評価した。
【0174】
〔評価基準〕
〇:意匠を直ちに視認することができる。
△:意匠を視認するのに時間がかかる。
×:意匠をまったく視認することができない。
【0175】
(2)貫通孔の形状
レーザー光線を照射した直後に低粘度化粧料含浸用担体の表面意匠を肉眼で観察し、以下の評価基準に基づいて貫通孔の形状を評価した。
〔評価基準〕
〇:貫通孔内に残滓がなく、良好な形状の貫通孔が見られる。
△:貫通孔内に残滓がわずかに存在し、一部の貫通孔がわずかに閉塞している。
×:ほとんどの貫通孔が残滓によって閉塞されている。
【0176】
(3)低粘度化粧料の充填性
低粘度化粧料含浸用担体をインナーケースに入れ、当該低粘度化粧料含浸用担体に低粘度化粧料(25℃における粘度:5000mPa・s)17g、低粘度化粧料(25℃における粘度:10000mPa・s)17gまたは低粘度化粧料(25℃における粘度:19000mPa・s)17gを手動式クリーム充填機で充填することにより、低粘度化粧料含浸体を作製した。その際の低粘度化粧料の充填性を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0177】
〔評価基準〕
〇:低粘度化粧料を低粘度化粧料含浸用担体に容易に充填することができる。
△:低粘度化粧料を低粘度化粧料含浸用担体に充填するのにやや時間がかかる。
×:低粘度化粧料を低粘度化粧料含浸用担体に充填するのが困難である。
【0178】
(4)取れ量の均一性
前記「(3)低粘度化粧料の充填性」で得られた低粘度化粧料含浸用担体(25℃における粘度:10000mPa・s)を製造した後1時間静置した。前記低粘度化粧料含浸用担体をパフで擦り、パフに付着した低粘度化粧料を不織布に塗布する操作を1サイクルとして当該操作を繰り返し、当該操作を30回行なうごとに低粘度化粧料の取れ量(g)を調べた。より具体的には、前記「(2)取れ量の均一性」と同様に、前記操作を1~30回、31~60回、61~90回または91~120回繰り返して行なったときに回収された低粘度化粧料の取れ量(g)を調べた。その際の低粘度化粧料の取れ量の均一性を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0179】
〔評価基準〕
〇:低粘度化粧料の取れ量が均一である。より具体的には、前記操作を1~30回、31~60回、61~90回または91~120回繰り返して行なったときに回収された低粘度化粧料の取れ量が1.0g以上5.0g以下の範囲内にある。
△:低粘度化粧料の取れ量がほぼ均一である。より具体的には、前記操作を1~30回、31~60回、61~90回または91~120回繰り返して行なったときに回収された低粘度化粧料の取れ量が0.5g以上1.0g未満であるかまたは5.0gを超え6.0g以下である。
×:低粘度化粧料の取れ量が不均一である。より具体的には、前記操作を1~30回、31~60回、61~90回または91~120回繰り返して行なったときに回収された低粘度化粧料の取れ量が0.5g未満であるかまたは6.0gを超える。
【0180】
【0181】
表11に示された結果から、各実施例で得られた低粘度化粧料含浸用担体は、いずれも視認性の評価が〇または△であることから、意匠の視認性に優れることがわかる。また、各実施例で得られた低粘度化粧料含浸用担体は、貫通孔の形状の評価が〇または△であることから、低粘度化粧料を充填しやすく、低粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができることがわかる。これに対して、比較例10で得られた低粘度化粧料含浸用担体は、貫通孔の形状の評価が×であることから、低粘度化粧料を充填することが困難であり、低粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことが困難であることがわかる。
【0182】
また、表11に示された結果から、各実施例で得られた低粘度化粧料含浸用担体は、いずれも低粘度化粧料の充填性の評価が〇であることから、低粘度化粧料を容易に多量に充填させることができることがわかる。これに対して、比較例10で得られた低粘度化粧料含浸用担体は、低粘度化粧料の充填性の評価が×であるものがあることから、低粘度化粧料を充填するのが困難であるか、低粘度化粧料を充填することができないことがわかる。
【0183】
以上の結果から、低粘度化粧料含浸用担体は、孔径を好ましくは0.1~0.6mm、より好ましくは0.2~0.5mm、表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率を好ましくは0.1~15%、より好ましくは0.2~13%、さらに好ましくは0.5~10%に設定した場合、低粘度化粧料含浸用担体の表面意匠の視認性および低粘度化粧料の充填性が向上し、低粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができることがわかる。なかでも、複合繊維で三次元立体構造を構成し、孔径および表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率がそれぞれ前記範囲を具備するように設定した場合、低粘度化粧料含浸用担体の表面意匠の視認性および低粘度化粧料の充填性が向上し、低粘度化粧料を継続してほぼ均一に取り出すことができることがわかる。
【0184】
また、低粘度化粧料含浸用担体の孔径および表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率がそれぞれ前記範囲を具備するように設定した場合、所定回数ごとの低粘度化粧料の取れ量が均一となることから、所望の低粘度化粧料の取れ量となるように適宜調整することができることがわかる。なかでも、複合繊維で三次元立体構造を構成し、孔径および表面の面積に占める全貫通孔の面積の比率がそれぞれ前記範囲を具備するように設定した場合、所望の低粘度化粧料の取れ量となるように適宜調整することができることがわかる。