(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095816
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】SHP2ホスファターゼ阻害剤並びにその作製方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20240703BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20240703BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240703BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240703BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240703BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240703BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C07D519/00 301
C07D519/00 CSP
A61K31/4985
A61K39/395 D
A61K39/395 C
A61K45/00
A61P7/00
A61P3/10
A61P25/00
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P17/00
A61P35/02
A61P15/00
A61P11/00
A61P1/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024065492
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2022518731の分割
【原出願日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】62/904,986
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】520363742
【氏名又は名称】リレー セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー エム. テイラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ レスカーボー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヤンヤン
(72)【発明者】
【氏名】リャン ガオデン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZC202
4C085AA13
4C085AA25
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB22
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC35
4C086ZC54
(57)【要約】
【課題】SHP2ホスファターゼ阻害剤並びにその作製方法及び使用方法を提供すること。
【解決手段】本開示は、一部において、(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンの結晶形態、その塩、及びそのバリアントに関する。本明細書で提供される開示の化合物又は結晶形態及び薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物、例えば、皮下、静脈内又は経口投与用に製剤化された組成物が企図される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月24日に出願された米国仮出願第62/904,986号の利益及び優先権を主張する。その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
Srcホモロジー領域2(SH2)含有タンパク質チロシンホスファターゼ2(SHP2)は、PTPN11遺伝子によってコードされるタンパク質チロシンホスファターゼである。SHP2は、2つのSrcホモロジー2(SH2)NH2末端ドメイン及びC末端タンパク質-チロシンホスファターゼドメインを含む。それは、様々な組織及び細胞型において遍在的に発現される。SHP2は、細胞の生物学的プロセスを調節するための多様なシグナル伝達経路において重要な役割を果たし、様々な成長因子及びサイトカインのシグナル伝達経路に関与する。単一のシグナル伝達経路内で、SHP2は、細胞内シグナル伝達プロセスにおいて正(シグナル増強)及び負(シグナル減少)の両方の役割を果たすことができる。SHP2は、その会合したシグナル伝達分子を脱リン酸化し、それによって局所的なシグナル伝達の流れを減衰させることによって機能すると考えられている。しかしながら、ほとんどのシグナル伝達経路(例えば、成長因子、サイトカイン及び細胞外マトリックス受容体)におけるSHP2作用の主な効果は、シグナル伝達を増強することである。例えば、SHP2は、ERK/MAPKシグナル伝達経路の正の調節因子であり、細胞増殖及び生存の調節において重要な役割を果たす。(SHP2ホスファターゼの総説については、例えば、K.S.Grossman et al.,Adv.Cancer Res.2010,106,53-89、及びそこに引用されている参考文献を参照のこと。)
【0003】
基底状態では、SHP2は通常、そのN末端SH2(N-SH2)ドメインとその触媒(PTP)ドメインとの間の分子内相互作用のために自己阻害され、触媒部位へのアクセスを遮断する。SH2ドメインと相互作用する活性化タンパク質は、この阻害を逆転させ、触媒部位への基質アクセスを可能にする立体構造変化を誘導する。SHP2の根本的な阻害に関与するN-SH2又はPTPドメイン残基に影響を及ぼすPTPN11遺伝子の変異は、SHP2タンパク質のより容易に活性化可能な形態をもたらし、これは、SHP2活性の非調節又は増加をもたらし得る。SHP2のそのような活性化変異体は、SHP2のほぼすべての変異形態がPTP活性の増加を示す、Noonan症候群などの発達障害に関連している。したがって、SHP2ホスファターゼ阻害剤化合物、並びにこれらの化合物を用いてがん及び他の障害を処置するための方法が必要とされている。
多形は、物質が2つ以上の結晶格子配置で結晶化する能力である。結晶化又は多形は、薬剤物質の固体状態特性の多くの局面に影響を及ぼし得る。結晶性の物質は、非晶質形態とはかなり異なり得、物質の異なる結晶修飾は、溶解度、溶解速度及び/又はバイオアベイラビリティを含む多くの点で互いにかなり異なり得る。一般に、所与の化合物が様々な結晶質の固体状態の形態を形成するかどうかを予測することは困難である。これらの結晶質の固体状態の形態の物理的特性を予測することはさらに困難である。さらに、特定の製剤、例えば皮下使用に適した製剤のための治療薬の結晶形態を有することが有利であり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】K.S.Grossman et al.,Adv.Cancer Res.2010,106,53-89
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示は、一般に、とりわけ、(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミン及びその塩に関する。さらに、本開示は、一般に、とりわけ、(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンの結晶形態及びその塩に関する。
【0006】
例えば、式(I):
【化1】
[式中、
mは1~9であり;
nは0~3であり;
Xは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、L-アスパラギン酸、マレイン酸、マロン酸、L-酒石酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸又はグルタル酸である]
の化合物、又はその溶媒和物が本明細書において提供される。
【0007】
本明細書で提供される開示の化合物又は結晶形態及び薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物、例えば、皮下、静脈内又は経口投与用に製剤化された組成物が企図される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】温度サイクル手順後の種々の溶媒中の化合物I-1のパターンAのX線回折パターンを示す。
【0009】
【
図1B】示差走査熱量測定(DSC)(緑色)及び熱重量分析(TGA)(青色)による化合物I-1のパターンAの特徴付けを示す。
【0010】
【
図2A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-2のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0011】
【
図2B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-2のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0012】
【
図2C】示差走査熱量測定(DSC)(緑色)及び熱重量分析(TGA)(青色)による化合物I-2のパターンS1-Iの特徴付けを示す。
【0013】
【
図3A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-3のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0014】
【
図3B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-3のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0015】
【
図4A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-4のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0016】
【
図4B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-4のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0017】
【
図5A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-5のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0018】
【
図5B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-5のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0019】
【
図6A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-6のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0020】
【
図6B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-6のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0021】
【
図7A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-7のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0022】
【
図7B】示差走査熱量測定(DSC)(緑色)及び熱重量分析(TGA)(青色)による化合物I-7のパターンS6-Iの特徴付けを示す。
【0023】
【
図7C】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-7のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0024】
【
図8A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-8のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0025】
【
図8B】示差走査熱量測定(DSC)(緑色)及び熱重量分析(TGA)(青色)による化合物I-8のパターンS7-Iの特徴付けを示す。
【0026】
【
図8C】示差走査熱量測定(DSC)(緑色)及び熱重量分析(TGA)(青色)による化合物I-8のパターンS7-II の特徴付けを示す。
【0027】
【
図9A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-9のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0028】
【
図9B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-9のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0029】
【
図10】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-10のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0030】
【
図11A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-11のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0031】
【
図11B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-11のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0032】
【
図12A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-12のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0033】
【
図12B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-12のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0034】
【
図12C】多形スクリーニング実験後の化合物I-12のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0035】
【
図12D】示差走査熱量測定(DSC)(緑色)及び熱重量分析(TGA)(青色)による化合物I-12のパターンAの特徴付けを示す。
【0036】
【
図12E】示差走査熱量測定(DSC)(緑色)及び熱重量分析(TGA)(青色)による12による化合物I-12のパターンS11-I*の特徴付けを示す。
【0037】
【
図13A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-13のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0038】
【
図13B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-13のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0039】
【
図14A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-14のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0040】
【
図14B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-14のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0041】
【
図15A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-15のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0042】
【
図15B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-15のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0043】
【
図16A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-16のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0044】
【
図16B】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-16のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0045】
【
図17A】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、化合物I-17のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0046】
【
図17B】示差走査熱量測定(DSC)(緑色)及び熱重量分析(TGA)(青色)による化合物I-17のパターンAの特徴付けを示す。
【0047】
【
図17C】化合物I-1のパターンAのX線回折パターンと比較した、再スラリー実験後の化合物I-17のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【0048】
【
図17D】多形スクリーニング実験後の化合物I-17のX線回折パターンの特徴付けを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細な説明
少なくとも部分的には、本開示は、(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミン及びその塩、その塩及びその結晶形態に関する。本開示はまた、(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミン及びその塩、その塩、及びその結晶形態、並びに薬学的に許容され得る担体を含む、医薬組成物を提供する。「結晶形態」という用語は、例えばX線粉末回折などの分析方法によって特徴付けることができる結晶形態又は修飾を指す。
【0050】
1つの実施形態において、式(I):
【化2】
[式中、
mは1~9であり;
nは0~3であり;
Xは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、L-アスパラギン酸、マレイン酸、マロン酸、L-酒石酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸又はグルタル酸である]
の化合物。又はその溶媒和物が本明細書において提供される。
【0051】
いくつかの実施形態において、式(I):
【化3】
[式中、
mは1~9であり;
nは1~3であり;
Xは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、L-アスパラギン酸、マレイン酸、マロン酸、L-酒石酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸及びグルタル酸からなる群から選択される]
の化合物、又はその溶媒和物が本明細書において提供される。
【0052】
当業者であれば、「X」及び(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンとして示される酸部分がイオン結合して式(I)の化合物を形成することを理解するであろう。
【0053】
式(I)の化合物は、様々な物理的形態で存在し得ることが企図される。例えば、式(I)の化合物は、溶液、懸濁液又は固体形態であり得る。ある特定の実施形態において、式(I)の化合物は、固体形態である。式(I)の化合物が固体形態である場合、該化合物は、非晶質、結晶質、又はそれらの混合物であり得る。例示的な固体形態を以下により詳細に記載する。
【0054】
いくつかの実施形態では、式(I)は、水和物形態であり得る。いくつかの実施形態では、式(I)は、半水和物形態であり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、mは1である。いくつかの実施形態では、mは2である。いくつかの実施形態では、mは3である。いくつかの実施形態では、mは4である。いくつかの実施形態では、mは5である。いくつかの実施形態では、mは6である。いくつかの実施形態では、mは7である。いくつかの実施形態では、mは8である。いくつかの実施形態では、mは9である。
【0056】
いくつかの実施形態では、nは、0である。いくつかの実施形態では、nは、1である。いくつかの実施形態では、nは、2である。いくつかの実施形態では、nは、3である。いくつかの実施形態では、nは、0.5である。いくつかの実施形態では、nは、1.5である。いくつかの実施形態では、nは、2.5である。
【0057】
いくつかの実施形態では、Xは塩酸である。いくつかの実施形態では、Xは臭化水素酸である。いくつかの実施形態では、Xは硫酸である。いくつかの実施形態では、Xはメタンスルホン酸である。いくつかの実施形態では、Xはリン酸である。いくつかの実施形態において、Xは、p-トルエンスルホン酸である。いくつかの実施形態では、Xはベンゼンスルホン酸である。いくつかの実施形態では、Xはシュウ酸である。いくつかの実施形
態において、Xは、L-アスパラギン酸である。いくつかの実施形態では、Xはマレイン酸である。いくつかの実施形態では、Xはマロン酸である。いくつかの実施形態では、XはL-酒石酸である。いくつかの実施形態では、Xはフマル酸である。いくつかの実施形態では、Xはクエン酸である。いくつかの実施形態では、Xはコハク酸である。いくつかの実施形態では、Xはグルタル酸である。
【0058】
一態様では、(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンが本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、化合物I-1:
【化4】
又はその溶媒和物である。
【0059】
いくつかの実施形態において、化合物I-1は、非晶質固体である。他の実施形態では、化合物I-1は結晶質の固体である。例えば、化合物I-1の固体の結晶形態は、それぞれが約24.6 2θ、約19.9 2θ及び約16.0 2θからなる群から選択される、2θ度の少なくとも2つの特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とし得る。例えば、化合物I-1の固体の結晶形態は、それぞれが約24.6 2θ、約19.9 2θ、約16.0 2θ、約6.7 2θ、約12.8 2θ、約13.4 2θ及び約20.7 2θからなる群から選択される、2θ度の少なくとも2つの特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とし得る。いくつかの実施形態において、化合物I-1の固体の結晶形態は、それぞれが約24.6 2θ、約19.9 2θ、約16.0 2θ、約6.7 2θ、約12.8 2θ、約13.4 2θ及び約20.7 2θからなる群から選択される、2θ度の少なくとも3つの特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とし得る。いくつかの実施形態において、化合物I-1の固体の結晶形態は、それぞれが約24.6 2θ、約19.9 2θ、約16.0 2θ、約6.7 2θ、約12.8 2θ、約13.4 2θ及び約20.7 2θからなる群から選択される、2θ度の少なくとも4つの特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とし得る。別の態様によれば、化合物I-1は、
図1Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、化合物I-1の固体の結晶形態は、それぞれが表2に列挙されたピークからなる群から選択される、2θ度の少なくとも2つの特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とし得る。いくつかの実施形態では、化合物I-1の固体の結晶形態は、それぞれが表2に列挙されたピークからなる群から選択される、2θ度の少なくとも3つの特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とし得る。いくつかの実施形態では、化合物I-1の固体の結晶形態は、それぞれが表2に列挙されたピークからなる群から選択される、2θ度の少なくとも4つの特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とし得る。
【0060】
2θ度のピークの文脈における「約」という用語は、2θの測定値に±0.5の不確実性があることを意味し(2θで表される)、又は例えば、2θの測定値に±0.2の不確実性があることを意味する(2θで表される)。
【0061】
別の態様によれば、化合物I-1は、
図1Bに示されるものと実質的に同様の熱重量分析パターンを有する。さらに別の態様によれば、化合物I-1は、
図1Bに示されるものと実質的に同様の示差走査熱量測定パターンを有する。例えば、化合物I-1の検討される固体の結晶形態は、約196℃の開始、約197℃のピークを有する吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)プロファイルを特徴とし得る。化合物I-1は、これらの図の2つ以上との実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0062】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-2であり、化合物I-2は臭化水素酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-2は、モノ臭化水素酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-2は、ビス臭化水素酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-2は、トリス臭化水素酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物I-2は結晶質の固体である。いくつかの実施形態では、化合物I-2は結晶質の固体であり、パターンS1-Iである。別の態様によれば、化合物I-2は、
図2Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-2は、
図2Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-2は、
図2Cに示されるものと実質的に同様の熱重量分析パターンを有する。さらに別の態様によれば、化合物I-2は、
図2Cに示されるものと実質的に同様の示差走査熱量測定パターンを有する。化合物I-2は、これらの図の2つ以上との実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0063】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-3であり、化合物I-3は塩酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-3は、モノ塩酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-3は、ビス塩酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-3は、トリス塩酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-3は、固体である。別の態様によれば、化合物I-3は、
図3Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-3は、
図3Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-3は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0064】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-4であり、化合物I-4は硫酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-4は、固体である。別の態様によれば、化合物I-4は、
図4Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-4は、
図4Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-4は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0065】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-5であり、化合物I-5はメタンスルホン酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-5は、固体である。別の態様によれば、化合物I-5は、
図5Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-5は、
図5Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-5は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0066】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-6であり、化合物I-6はリン酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-6は、固体である。別の態様によれば、化合物I-6は、
図6Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-6は、
図6Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-6は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0067】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-7であり、化合物I-7はp-トルエンスルホン酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物I-7は結晶質の固体である。いくつかの実施形態では、化合物I-7は結晶質の固体であり、パターンS6-Iである。別の態様によれば、化合物I-7は、
図7Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-7は、
図7Bに示されるものと実質的に同様の熱重量分析パターンを有する。さらに別の態様によれば、化合物I-7は、
図7Bに示されるものと実質的に同様の示差走査熱量測定パターンを有する。化合物I-7は、これらの図の2つ以上との実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0068】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-8であり、化合物I-8はベンゼンスルホン酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物I-8は結晶質の固体である。いくつかの実施形態では、化合物I-8は結晶質の固体であり、パターンS7-Iである。いくつかの実施形態では、化合物I-8は結晶質の固体であり、パターンS7-IIである。別の態様によれば、化合物I-8は、
図8Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-8は、
図8Bに示されるものと実質的に同様の熱重量分析パターンを有する。さらに別の態様によれば、化合物I-8は、
図8Bに示されるものと実質的に同様の示差走査熱量測定パターンを有する。化合物I-8は、これらの図の2つ以上との実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0069】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-9であり、化合物I-9はシュウ酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-9は、固体である。別の態様によれば、化合物I-9は、
図9Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-9は、
図9Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-9は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0070】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-10であり、化合物I-10はL-アスパラギン酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-10は、固体である。いくつかの実施形態では、化合物I-10は結晶質の固体である。別の態様によれば、化合物I-10は、
図10に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。
【0071】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-11であり、化合物I-11はマレイン酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-11は、固体である。別の態様によれば、化合物I-11は、
図11Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-11は、
図11Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-11は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0072】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-12であり、化合物I-12はマロン酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-12は、固体である。いくつかの実施形態では、化合物I-12は結晶質の固体である。別の態様によれば、化合物I-12は、
図12Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-12は、
図12Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-12は、
図12Cに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-12は、
図12Dに示されるものと実質的に同様の熱重量分析パターンを有する。さらに別の態様によれば、化合物I-12は、
図12Dに示されるものと実質的に同様の示差走査熱量測定パターンを有する。化合物I-12は、これらの図の2つ以上との実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0073】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-13であり、化合物I-13はL-酒石酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-13は、固体である。別の態様によれば、化合物I-13は、
図13Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-13は、
図13Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-13は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0074】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-14であり、化合物I-14はフマル酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-14は、固体である。別の態様によれば、化合物I-14は、
図14Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-14は、
図14Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-14は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0075】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-15であり、化合物I-15はクエン酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-15は、固体である。別の態様によれば、化合物I-15は、
図15Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-15は、
図15Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-15は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0076】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-16であり、化合物I-16はコハク酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-16は、固体である。別の態様によれば、化合物I-16は、
図16Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-17は、
図16Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。化合物I-16は、これらの図の2つとの実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0077】
別の実施形態では、式(I)の化合物は化合物I-17であり、化合物I-17はグルタル酸塩である。いくつかの実施形態において、化合物I-17は、固体である。いくつかの実施形態では、化合物I-17は結晶質の固体である。いくつかの実施形態では、化合物I-17は結晶質の固体であり、パターンS16-Iである。別の態様によれば、化合物I-17は、
図17Aに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-17は、
図17Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-17は、
図17Cに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。別の態様によれば、化合物I-17は、
図17Dに示されるものと実質的に同様の熱重量分析パターンを有する。さらに別の態様によれば、化合物I-17は、
図17Dに示されるものと実質的に同様の示差走査熱量測定パターンを有する。化合物I-17は、これらの図の2つ以上との実質的な類似性によって同時に特徴付けることができる。
【0078】
方法
いくつかの実施形態では、SHP2ホスファターゼ活性の阻害を必要とする対象におけるSHP2ホスファターゼ活性を阻害する方法であって、治療有効量の本明細書に開示される固体形態、本明細書に開示される化合物又は開示される医薬組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書に開示される。他の実施形態では、障害の処置を必要とする対象における障害を処置する方法であって、治療有効量の本明細書に開示される固体形態、本明細書に開示される化合物又は開示される医薬組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、治療有効量の抗体、抗体-薬物コンジュゲート、免疫調節剤、又はヒストンデアセチラーゼ阻害剤の投与をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、処置される障害は、Noonan症候群である。いくつかの実施形態において、処置される障害は、好中球減少症である。いくつかの実施形態において、処置される障害は、糖尿病である。いくつかの実施形態において、処置される障害は、神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態において、処置される障害は、メラノーマである。いくつかの実施形態において、処置される障害は、急性骨髄性白血病である。いくつかの実施形態において、処置される障害は、若年性白血病である。いくつかの実施形態において、処置される障害は、若年性骨髄単球性白血病である。いくつかの実施形態において、処置される障害は、乳がんである。いくつかの実施形態において、処置される障害は、肺がんである。いくつかの実施形態において、処置される障害は、結腸直腸がんである。
【0080】
開示される化合物又は組成物は、SHP2ホスファターゼ酵素の阻害から恩恵を受ける用途において有用であり得る。例えば、SHP2ホスファターゼの阻害は、がんの処置のための治療アプローチを提供し得る。(例えば、Y.-N.P.Chen et al.,in Nature,2016,doi:10.1038/nature18621;及びそこで引用されている参考文献を参照されたい。その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)SHP2ホスファターゼの阻害はまた、全身性エリテマトーデスの病因を改善することが見出されている。(例えば、J.Wang et al.,in J.Clin.Invest.2016,126,2077-2092;及びそこで引用されている参考文献を参照されたい。その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)
【0081】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、腫瘍細胞増殖を抑制するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、全身性エリテマトーデスの病因を改善するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、Noonan症候群(NS)、LEOPARD症候群(複数の黒子を伴うNoonan症候群)、糖尿病、神経芽腫、メラノーマ、若年性白血病、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、慢性骨髄単球性白血病、急性骨髄性白血病、HER2陽性乳がん、トリプルネガティブ乳がん、乳房の乳管癌腫、乳房の浸潤性乳管癌腫、非小細胞肺がん(肺の腺癌を含む)、結腸直腸がん(SW480、SW620、CACO2、HCT116、HT29結腸がん細胞株)、食道がん、胃がん、頭頸部扁平上皮癌腫(SCCHN)、及び好中球減少症(Kostmann’s症候群)を含む様々な他の障害の処置に有用であり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、他の処置及び/又はがん治療と組み合わせて使用することができる。例えば、本開示の化合物又は組成物は、抗体、抗体-薬物コンジュゲート、キナーゼ阻害剤、免疫調節剤、及びヒストンデアセチラーゼ阻害剤と組み合わせて使用することができるが、これらに限定されない。本開示の化合物又は組成物はまた、国際公開第2015/107495号及びそこで引用されている参考文献に開示されているような他の処置及び/又はがん治療と組み合わせて使用することもできる。その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0083】
例えば、本明細書に開示される化合物(又はそれらを含有する医薬組成物)は、単独で又は別の治療剤と組み合わせて、本明細書に記載される疾患の1つ又は複数の処置に使用することができる。例えば、式I、式II又は式IIIの化合物は、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる。BCR-ABL阻害剤:メシル酸イマチニブ;塩酸ニロチニブ;ニロチニブ;ダサチニブ;ボスチニブ;ポナチニブ;バフェチニブ;ダンセルチブ
;サラカチニブ;N-[2-[(1S,4R)-6-[[4-(シクロブチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリミジニル]アミノ]-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,4-イミン-9-イル]-2-オキソエチル]-アセトアミド。ALK阻害剤:クリゾチニブ;5-クロロ-N4-(2-(イソプロピルスルホニル)フェニル)-N2-(2-メトキシ-4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)フェニル)ピリミジン-2,4-ジアミン、セリチニブ、アレクチニブ、ブリガチニブ、エントレチニブ。BRAF阻害剤:ベムラフェニブ及びダブラフェニブ。FGFR阻害剤:インフィグラチニブ、ドビチニブ、エルダフィチニブ、BLU-554、AZD4547。FLT3阻害剤:リンゴ酸スニチニブ;ミドスタウリン;タヌチニブ(tanutinib);ソラフェニブ、レスタウルチニブ、キザルチニブ及びクレノラニブ。KRAS阻害剤:MRTX849、AMG510。MEK阻害剤-トラメチニブ、コンビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ。VEGF受容体阻害剤:ベバシズマブ、アキシチニブ、アフリベルセプト、(N-メチル-2-[[3-[(E)-2-ピリジン-2-イルエテニル)-1H-インダゾール-6-イル]スルファニル]ベンズアミド、ブリバニブアラニネート((S)-((R)-1-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-5-メチルピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イルオキシ)プロパン-2-イル)2-アミノプロパノエート、モテサニブ(N-(2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-LH-インドール-6-イル)-2-[(4-ピリジニルメチル)アミノ]-3-ピリジンカルボキサミド、パシレオチド、ソラフェニブ。チロシンキナーゼ阻害剤:塩酸エルロチニブ、リニファニブ、リンゴ酸スニチニブ、パゾパニブ。上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤:ゲフィチニブ、オシメルチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ。HER2受容体阻害剤:トラスツズマブ、ネラチニブ、ラパチニブ又はラパチニウム・ジトシラート。MET阻害剤:クリゾチニブ、カボザンチニブ。CD20抗体:リツキシマブ、トシツモマブ、オファツムマブ。DNA合成阻害剤:カペシタビン、ゲムシタビン・ハイドロクロライド、ネララビン、ヒドロキシカルバミド。抗腫瘍剤:オキサリプラチン。HER二量体化阻害剤:ペルツズマブ。ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)調節剤:フィルグラスチム。免疫調節剤:アフツズマブ、レナリドミド、サリドマイド。CD40阻害剤:ダセツズマブ。アポトーシス促進性受容体アゴニスト(PARA):デュラネルミン。熱ショックタンパク質(HSP)阻害剤:タネスピマイシン(17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)。ヘッジホッグ・アンタゴニスト:2-クロロ-N-[4-クロロ-3-(2-ピリジニル)フェニル]-4-(メチルスルホニル)-ベンズアミド。プロテアソーム阻害剤:ボルテゾミブ。PI3K阻害剤:4-[2-(lH-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-l-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン、2-メチル-2-[4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-l-イル]フェニル]プロピオシアノ、ブパルリシブ、タセリシブ、イデラリシブ、デュベリシブ、TGR 1202。ホスホリパーゼA2阻害剤:アナグレリド。BCL-2阻害剤:4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)-5,5-ジメチル-l-シクロヘキセン-l-イル]メチル]-l-ピペラジニル]-N-[4-[[(1R)-3-(4-モルホリニル)-1-[(フェニルチオ)メチル]プロピル]アミノ]-3-[(トリフルオロメチル)スルホニル]フェニル]スルホニル]ベンズアミド。マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤:XL-518。アロマターゼ阻害剤:エキセメスタン、レトロゾール、アナストロゾール、ファスロデックス、タモキシフェン。トポイソメラーゼI阻害剤:イリノテカン、塩酸トポテカン。トポイソメラーゼII阻害剤:エトポシド、テニポシド。mTOR阻害剤:テムシロリムス、リダフォロリムス、エベロリムス。骨破壊性骨吸収阻害剤:l-ヒドロキシ-2-イミダゾール-l-イル-ホスホノエチル)ホスホン酸一水和物。CD33抗体薬物コンジュゲート:ゲムツズマブオゾガマイシン。CD22抗体薬物コンジュゲート:イノツズマブオゾガマイシン。CD20抗体薬物コンジュゲート:イブリツモマブ・チウキセタン。ソマトスタインアナログ:オクトレオチド
。合成インターロイキン-11(IL-11):オプレルベキン。合成エリスロポエチン:ダルベポエチンα。核因子κB(RANK)阻害剤の受容体活性化因子:デノスマブ。トロンボポエチン模倣ペプチド:ロミプロスチム。細胞増殖刺激剤:パリフェルミン。抗インスリン様増殖因子-1受容体(IGF-1R)抗体:フィギツムマブ。抗CSl抗体:エロツズマブ。CD52抗体:アレムツズマブ。CTLA-4阻害剤:トレメリムマブ、イピリムマブ。PD1阻害剤:ニボルマブ;ペンブロリズマブ;イムノアドヘシン;ピジリズマブ;及びAMP-224。PDL1阻害剤:MSB0010718C;YW243.55.S70,MPDL3280A;MEDI-4736,MSB-0010718C、又はMDX-1105。LAG-3阻害剤:BMS-986016。GITRアゴニスト:GITR融合タンパク質及び抗GITR抗体。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDI):ボリノスタット(Voninostat)。抗CTLA4抗体:トレメリムマブ;及びイピリムマブ。アルキル化剤:テモゾロミド、ダクチノマイシン、メルファラン、アルトレタミン・カルムスチン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボプラチン、ロムスチン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ダカルバジン、アルトレタミン、イホスファミド、プロカルバジン、メクロレタミン、ムスチン及びメクロエタミン・ハイドロクロライド、ストレプトゾシン、チオテパ。生物学的応答修飾物質:バチルス・カルメット-ゲラン(bacilluscalmette-guerin)、デニロイキン・ディフチトックス(denileukin diftitox)。抗腫瘍抗生物質:ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ダウノルビシン・リポソーム、ミトキサントロン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC。抗微小管剤:エストラムスチン。カテプシンK阻害剤:オダナカチブ。エポチロンB類似体:イキサベピロン。TpoRアゴニスト:エルトロンボパグ。抗有糸分裂剤:ドセタキセル。副腎ステロイド阻害剤:アミノグルテチミド。抗アンドロゲン薬:ニルタミド、アンドロゲン受容体阻害剤:エンザルタミド、酢酸アビラテロン、オルテロネル、ガレテロン及びセビテロネル、ビカルタミド、フルタミド。アンドロゲン:フルオキシメステロン。CDK阻害剤:アルボシジブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、トリラシクリブ、アベマシクリブ。TRK阻害剤:エントレクチニブ、ラロトレクチニブ。RET阻害剤:BLU-667、LOXO-292。ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体アゴニスト:ロイプロリド又は酢酸ロイプロリド。タキサン抗新生物剤:カバジタキセル(1-ヒドロキシ,10-ジメトキシ-9-オキソ-5,20-エポキシタクス-1 l-エン-2a,4,13a-トリイル-4-アセテート-2-ベンゾエート-13-[(2R,3S)-3-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロパノエート)、ラロタキセル((2α,3ξ,4α,5β,7α,10β,13α)-4,10-ビス(アセチルオキシ)-13-({(2R,3S)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロパノイル}オキシ)-l-ヒドロキシ-9-オキソ-5,20-エポキシ-7,19-シクロタクス-l l-エン-2-イルベンゾエート)。5HTla受容体アゴニスト:キサリプロデン(SR57746、1-[2-(2-ナフチル)エチル]-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-l,2,3,6-テトラヒドロピリジンとしても公知。
【0084】
HPCワクチン:GlaxoSmithKlineから販売されているCervarix(登録商標)、Merckから販売されているGardasil(登録商標);
【0085】
鉄キレート剤:デフェラシノックス。代謝拮抗剤:クラリビン(2-クロロデオキシアデノシン)、5-フルオロウラシル、6-チオグアニン、ペメトレキセド、シタラビン、シタラビン・リポソーム、デシタビン、ヒドロキシ尿素、フルダラビン、フロクスウリジン、クラドリビン、メトトレキサート、ペントスタチン。ビスホスホネート:パミドロネート。脱メチル化剤:5-アザシチジン、デシタビン。
【0086】
植物アルカロイド:パクリタキセルタンパク質結合;ビンブラスチン、ビンクリスチン
、ビノレルビン、パクリタキセル。
【0087】
レチノイド:アリトレチノイン(商品名パンレチン(登録商標)で販売されている)、トレチノイン(Vesanoid(登録商標)の商品名で販売されている、ATRAとしても知られる全トランス型レチノイン酸)、イソトレチノイン(13-シス-レチノイン酸、Accutane(登録商標)、Amnesteem(登録商標)、Claravis(登録商標)、Claras(登録商標)、Decutan(登録商標)、Isotane(登録商標)、Izotech(登録商標)、Oratane(登録商標)、Isotret(登録商標)、及びSotret(登録商標)の商品名で販売されている)、ベキサロテン(商品名Targetintin(登録商標)で販売されている)。糖質コルチコステロイド:ヒドロコルチゾン(コルチゾン、ヒドロコルチゾン・コハク酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン・リン酸ナトリウムとしても公知であり、Ala-Cort(登録商標)、ヒドロコルチゾン・リン酸塩、Solu-Cortef(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)及びLanacort(登録商標)の商標名で販売されている)、デキサメタゾン((8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17R)-9-フルオロ-11,17-ジヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13,16-トリメチル-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン)、プレドニゾロン(Delta-Cortel(登録商標)、Orapred(登録商標)、Pediapred(登録商標)及びPrelone(登録商標)の商標名で販売されている)、プレドニゾン(商品名Deltasone(登録商標)、Liquid Red(登録商標)、Meticorten(登録商標)及びOrasone(登録商標)で販売されている)、メチルプレドニゾロン(6-メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン・アセテート、メチルプレドニゾロン・コハク酸ナトリウムとしても知られ、Duralone(登録商標)、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、M-Prednisol(登録商標)及びSolu-Medrol(登録商標)の商標名で販売されている)。サイトカイン:インターロイキン-2(アルデスロイキン及びIL-2としても知られ、商品名Proleukin(登録商標)で販売されている)、インターロイキン-11(オプレルベキン(oprevelkin)としても知られ、Neumega(登録商標)の商品名で販売されている)、アルファ・インターフェロンα(IFN-αとしても知られ、Intron(登録商標)A及びRoferon-A(登録商標)の商品名で販売されている)。エストロゲン受容体下方調節剤:フルベストラント(Faslodex(登録商標)の商品名で販売されている)。抗エストロゲン薬:タモキシフェン(Novaldex(登録商標)の商品名で販売されている)。トレミフェン(Fareston(登録商標)の商品名で販売されている)。選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM):ラロキシフェン(Evista(登録商標)の商品名で販売されている)。黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト:ゴセレリン(商品名Zoladex(登録商標)で販売されている);
【0088】
プロゲステロン:メゲストロール(酢酸メゲストロールとしても知られ、Megace(登録商標)の商品名で販売されている);種々の細胞毒性剤:三酸化ヒ素(
【0089】
Trisenox(登録商標)の商品名で販売されている)、アスパラギナーゼ(L-アスパラギナーゼ、Erwinia L-アスパラギナーゼとしても公知であり、Elspar(登録商標)及びKidrolase(登録商標)の商品名で販売されている)。抗悪心薬:NK-1受容体アンタゴニスト:Casopitant(GlaxoSmithKlineによって商品名Rezonic(登録商標)及びZunrisa(登録商標)で販売されている);及び
【0090】
細胞保護剤:アミフォスチン(商品名Ethyol(登録商標)で販売されている)、
ロイコボリン(カルシウム・ロイコボリン、シトロボラム因子及びフォリン酸としても知られている)。免疫チェックポイント阻害剤:「免疫チェックポイント」という用語は、CD4及びCD8 T細胞の細胞表面上の分子の群を指す。免疫チェックポイント分子には、プログラム死1(PD-1)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、B7H1、B7H4、OX-40、CD 137、CD40及びLAG3が含まれるが、これらに限定されない。本開示の方法において有用な免疫チェックポイント阻害剤として作用することができる免疫療法剤には、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD 160、2B4及び/又はTGFRβの阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
本明細書中に記載される化合物は、ある特定の実施形態において、アロステリック阻害剤として機能し得、SHP2の自己阻害型立体配座を標的とすることによって、SHP2の活性化を阻止し得る。
【0092】
本明細書中に記載される化合物はまた、SHP2の破壊を触媒する薬剤への組み込みによってSHP2の機能を阻害することができる。例えば、化合物は、タンパク質分解標的化キメラ(PROTAC)に組み込むことができる。PROTACは二機能性分子であり、一方の部分はE3ユビキチンリガーゼに係合することができ、他方の部分は細胞タンパク質品質管理機構による分解を意味する標的タンパク質に結合する能力を有する。特異的E3リガーゼへの標的タンパク質の動員は、破壊(すなわち、ユビキチン化)及びその後のプロテアソームによる分解のためのそのタグ付けをもたらす。任意のE3リガーゼを使用することができる。E3リガーゼに係合するPROTACの部分は、原子の可変鎖からなるリンカーを介して標的タンパク質に係合するPROTACの部分に接続されている。したがって、E3リガーゼへのSHP2の動員は、SHP2タンパク質の破壊をもたらす。原子の可変鎖は、例えば、環、ヘテロ原子及び/又は反復ポリマ単位を含むことができる。それは剛性又は可撓性であり得る。これは、標準的な技術を使用して上記の2つの部分に取り付けることができる。
【0093】
本明細書に記載の化合物は、可変鎖の一端に連結することができ、可変鎖の他端はE3リガーゼに結合することができる。したがって、リガーゼへのSHP2の動員は、SHP2タンパク質の破壊をもたらす。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、抗体と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、キナーゼ阻害剤と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、免疫調節剤と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、開示される化合物は、処置を必要とする対象に、1日あたり、処置される対象の体重kgにつき、約0.0001mg~約100mg/kg、例えば約1.0~10mg/kgの範囲の投与量で投与することができる。しかしながら、さらなるバリエーションも本開示の範囲内である。
【0096】
開示される化合物は、単独で、又は希釈剤、充填剤、水溶液、さらには有機溶媒などの薬学的に許容され得る担体と組み合わせて投与することができる。本開示の化合物及び/又は組成物は、錠剤、粉末、ロゼンジ、シロップ、注射溶液などとして投与することができる。香味剤、結合剤、賦形剤などの追加の成分は、本開示の範囲内である。
【0097】
いくつかの実施形態において、本開示は、SHP2ホスファターゼによって引き起こされる、又はそれと関連する疾患状態及び/又は状態を処置する方法における、本明細書中に開示される化合物又はその薬学的に許容され得る塩から構成される医薬組成物及び/又は医薬の使用を提供する。例えば、処置を必要とする対象(例えば、がん(例えば、白血病、乳がん、肺がん及び/又は結腸直腸がん)を患う対象)を処置する方法(有効量の開示化合物、及び任意に有効量の本明細書に開示されるような追加の化合物(例えば、治療薬))が、本明細書で提供される。
【0098】
いくつかの実施形態において、処置方法は、i)そのような処置を必要とする対象を同定する工程(ii)本明細書中に開示される化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する工程;(iii)該化合物を治療有効量で投与して、そのような処置を必要とする対象の病状又は状態を処置、抑制及び/又は予防することを含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、処置方法は、i)そのような処置を必要とする対象を同定する工程(ii)本明細書中に開示される化合物又はその薬学的に許容され得る塩を含む組成物を提供する工程;(iii)該組成物を治療有効量で投与して、そのような処置を必要とする対象の病状又は状態を処置、抑制及び/又は予防することを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、対象は動物である。動物には、動物界のすべてのメンバーが含まれるが、ヒト、マウス、ラット、ネコ、サル、イヌ、ウマ及びブタに限定されない。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、マウス、ラット、ネコ、サル、イヌ、ウマ又はブタである。
【0101】
いくつかの実施形態では、SHP2ホスファターゼに関連する状態の処置、防止及び/又は抑制の方法は、i)そのような処置を必要とする対象を特定する工程;(ii)本明細書中に開示される化合物又はその薬学的に許容され得る塩;又は本明細書中に開示される化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩及び薬学的に許容され得る担体を含む組成物を提供する工程;及び(iii)該化合物又は組成物を治療有効量で投与して、そのような処置を必要とする対象におけるSHP2ホスファターゼに関連する病状又は状態を処置、予防及び/又は抑制することを含む。
【0102】
本開示の方法によれば、本開示の化合物は、例えば、対象におけるSHP2ホスファターゼ活性に関連する徴候を低減又は改善するために、治療有効量で対象に投与される。この量は、インビボで確立された滴定曲線の分析並びに本明細書に開示される方法及びアッセイを含む既知の手順に基づいて、当業者によって容易に決定される。
【0103】
いくつかの実施形態では、方法は、治療有効投与量の本開示の化合物の投与を含む。いくつかの実施形態では、治療有効投与量は、少なくとも約0.0001mg/kg体重、少なくとも約0.001mg/kg体重、少なくとも約0.01mg/kg体重、少なくとも約0.05mg/kg体重、少なくとも約0.1mg/kg体重、少なくとも約0.25mg/kg体重、少なくとも約0.3mg/kg体重、少なくとも約0.5mg/kg体重、少なくとも約0.75mg/kg体重、少なくとも約1mg/kg体重、少なくとも約2mg/kg体重、少なくとも約3mg/kg体重、少なくとも約4mg/kg体重、少なくとも約5mg/kg体重、少なくとも約6mg/kg体重、少なくとも約7mg/kg体重、少なくとも約8mg/kg体重、少なくとも約9mg/kg体重、少なくとも約10mg/kg体重、少なくとも約15mg/kg体重、少なくとも約20mg/kg体重、少なくとも約25mg/kg体重、少なくとも約30mg/kg体重、少なくとも約40mg/kg体重、少なくとも約50mg/kg体重、少なくとも約75mg/kg体重、少なくとも約100mg/kg体重、少なくとも約200mg/kg体重、少なくとも約250mg/kg体重、少なくとも約300mg/kg体重、少なくとも約3
50mg/kg体重、少なくとも約400mg/kg体重、少なくとも約450mg/kg体重、少なくとも約500mg/kg体重、少なくとも約550mg/kg体重、少なくとも約600mg/kg体重、少なくとも約650mg/kg体重、少なくとも約700mg/kg体重、少なくとも約750mg/kg体重、少なくとも約800mg/kg体重、少なくとも約900mg/kg体重、又は少なくとも約1000mg/kg体重である。本明細書に列挙される投与量のいずれも、上限又は下限の投与量範囲を構成し得、任意の他の投与量と組み合わせて、上限及び下限を含む投与量範囲を構成し得ることが認識されるであろう。
【0104】
いくつかの実施形態では、治療有効投与量は、約0.1 mg~約10mg/kg体重、約0.1 mg~約6mg/kg体重、約0.1 mg~約4mg/kg体重、又は約0.1 mg~約2mg/kg体重の範囲である。
【0105】
いくつかの実施形態では、治療有効投与量は、約1~500mg、約2~150mg、約2~120mg、約2~80mg、約2~40mg、約5~150mg、約5~120mg、約5~80mg、約10~150mg、約10~120mg、約10~80mg、約10~40mg、約20~150mg、約20~120mg、約20~80mg、約20~40mg、約40~150mg、約40~120mg又は約40~80mgの範囲である。
【0106】
いくつかの実施形態では、方法は、単回の投与量(dosage)又は投与(administration)を含む(例えば、単一の注入又は堆積として)。あるいは、本方法は、投与を必要とする対象に、1日1回、1日2回、1日3回又は1日4回、約2~約28日間、又は約7~約10日間、又は約7~約15日間又はそれ以上の期間、投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、長期投与を含む。さらに他の実施形態では、本方法は、数週間、数ヶ月、数年又は数十年にわたる投与を含む。さらに他の実施形態では、本方法は、数週間にわたる投与を含む。さらに他の実施形態では、本方法は、数ヶ月間にわたる投与を含む。さらに他の実施形態では、本方法は、数年間にわたる投与を含む。さらに他の実施形態では、本方法は、数十年にわたる投与を含む。
【0107】
投与される投与量は、活性成分の薬力学的特徴並びにその投与様式及び投与経路;有効成分の投与時間;レシピエントの年齢、性別、健康状態及び体重;徴候の性質及び程度;併用処置の種類、処置の頻度及び所望の効果;及び排泄速度などの既知の要因に応じて変化し得る。これらはすべて容易に決定され、投与量及び/又は投与レジメンを調整又は滴定するために当業者によって使用され得る。
【0108】
組成物に使用される正確な用量はまた投与経路にも依存し、施術者の判断及び各対象の状況に従って決定されるべきである。本開示の具体的な実施形態では、本開示の化合物の経口投与に適した用量範囲は、一般に約1mg/日~約1000mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約1mg/日~約800mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約1mg/日~約500mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約1mg/日~約250mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約1mg/日~約100mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約5mg/日~約50mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約5mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約10mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約20mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約30mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約40mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約50mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約60mg/日である。いくつかの実施形態において、経口用量は約70mg/日である。いくつかの実施形態において、経
口用量は約100mg/日である。本明細書に列挙される投与量のいずれも、上限又は下限の投与量範囲を構成し得、任意の他の投与量と組み合わせて、上限及び下限を含む投与量範囲を構成し得ることが認識されるであろう。
【0109】
組成物
本開示の別の態様は、薬学的に許容され得る担体と共に製剤化された本明細書に開示される化合物を含む、医薬組成物を提供する。特に、本開示は、1種以上の薬学的に許容され得る担体と共に製剤化された本明細書に開示される化合物を含む、医薬組成物を提供する。これらの製剤には、経口、局所、頬側、眼、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、又は静脈内)直腸、膣又はエアロゾル投与に適したものが含まれるが、任意の所与の場合の最も適した投与形態は、処置される状態の程度及び重症度並びに使用される特定の化合物の性質に依存する。例えば、開示される組成物は、単位用量として製剤化されてもよく、及び/又は経口、皮下若しくは静脈内投与のために製剤化されてもよい。
【0110】
本開示の例示的な医薬組成物は、外部、経腸又は非経口用途に適した有機又は無機担体又は賦形剤と混合して、活性成分として本開示の化合物の1つ又は複数を含有する医薬製剤の形態、例えば固体、半固体又は液体形態で使用され得る。活性成分は、例えば、錠剤、ペレット剤、カプセル剤、坐剤、液剤、乳剤、懸濁剤、及び使用に適した任意の他の形態のための通常の非毒性の薬学的に許容され得る担体と配合され得る。活性の目的化合物は、疾患のプロセス又は状態に所望の効果をもたらすのに十分な量で医薬組成物に含まれる。
【0111】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る組成物は、約0.01~約2.0重量%、例えば0.01~約1重量%又は約0.05~約0.5重量%の範囲の濃度で開示の化合物及び/又はその薬学的に許容され得る塩を含有することができる。組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、又はカプセルなどとして製剤化することができる。医薬組成物は水溶液として調製することができ、保存剤、緩衝剤、等張化剤、酸化防止剤、安定剤、粘度調整成分などの追加の成分を含有することができる。
【0112】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要活性成分を薬学的担体、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガムなどの従来の錠剤化成分、及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、本開示の化合物又はその非毒性の薬学的に許容され得る塩の均質な混合物を含有する固体予備製剤組成物を形成することができる。これらの予備製剤組成物を均質と称する場合、組成物が錠剤、丸剤及びカプセル剤などの等しく有効な単位剤形に容易に細分され得るように、有効成分が組成物全体にわたって均一に分散されることを意味する。
【0113】
薬学的に許容され得る担体は当業者に周知であり、例えば、アジュバント、希釈剤、賦形剤、充填剤、潤滑剤及びビヒクルが挙げられる。いくつかの実施形態では、担体は、希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルである。いくつかの実施形態では、担体は、希釈剤、アジュバント、又は賦形剤である。いくつかの実施形態では、担体は、希釈剤又はアジュバントである。いくつかの実施形態では、担体は、賦形剤である。多くの場合、薬学的に許容され得る担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下で非毒性である。薬学的に許容され得る担体の例としては、例えば、水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリマー、炭水化物及びその誘導体、油類、脂肪酸類、又はアルコール類が挙げられ得る。薬学的担体としての油類の非限定的な例としては、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物又は合成起源の油類が挙げられる。薬学的担体は、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、尿素などであってもよい。さらに、補助剤、安定剤、増粘剤
、潤滑剤及び着色剤を使用することができる。適切な薬学的担体の他の例は、例えば、Remington’s:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.(Allen,Loyd V.,Jr ed.,Pharmaceutical Press(2012));Modern Pharmaceutics,5th Ed.(Alexander T.Florence,Juergen Siepmann,CRC Press(2009));Handbook of Pharmaceutical Excipients,7th Ed.(Rowe,Raymond C.;Sheskey,Paul J.;Cook,Walter G.;Fenton,Marian E.eds.,Pharmaceutical Press(2012))に記載されている(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、インビボ投与に適した生物学的に適合性の形態で対象に投与するための医薬組成物に製剤化される。別の態様によれば、本開示は、薬学的に許容され得る希釈剤及び/又は担体と混合した開示化合物を含む、医薬組成物を提供する。薬学的に許容され得る担体は、組成物の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容され得る」。本明細書で使用される薬学的に許容され得る担体は、医薬製剤の材料として使用され、鎮痛剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、乳化剤、賦形剤、増量剤、流動促進剤、可溶化剤、安定剤、懸濁化剤、等張化剤、ビヒクル及び増粘剤として組み込まれる様々な有機又は無機材料から選択され得る。酸化防止剤、芳香剤、着色剤、風味改善剤、保存剤、及び甘味料などの薬学的添加剤もまた添加され得る。許容され得る薬学的担体の例としては、とりわけ、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、グリセリン、アラビアガム、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、粉末、生理食塩水、アルギン酸ナトリウム、スクロース、デンプン、タルク及び水が挙げられる。いくつかの実施形態では、「薬学的に許容され得る」という用語は、連邦政府若しくは州政府の規制機関によって承認されていること、又は動物、より具体的にはヒトでの使用のために米国薬局方若しくは他の一般に認識されている薬局方に記載されていることを意味する。
【0115】
界面活性剤(例えば、洗剤)もまた、製剤における使用に適している。界面活性剤の具体例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール又はソルビタンのポリオキシエチレン化エステル;レシチン又はカルボキシメチルセルロースナトリウム;又はアクリル誘導体、例えばメタクリレートなど、アニオン性界面活性剤、例えばアルカリ・ステアレート、特にステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム又はステアリン酸アンモニウム;ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸トリエタノールアミン;アルキル・サルフェート、特にラウリル硫酸ナトリウム及びアセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;又は脂肪酸類、特にヤシ油から誘導されるもの、カチオン性界面活性剤、例えば式N+R’R’’R’’’R’’’’Y-(式中、R基は同一又は異なる、任意にヒドロキシル化された炭化水素基であり、Y-は強酸のアニオン、例えばハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン及びスルホン酸アニオンである)の水溶性第四級アンモニウム塩;セチルトリメチルアンモニウムブロミドは、使用することができるカチオン性界面活性剤の1つであり、式N+R’R’’R’’’のアミン塩(式中、R基は同一又は異なる、任意にヒドロキシル化炭化水素基である);オクタデシルアミン・ハイドロクロライドは、使用することができるカチオン性界面活性剤のうちの1つであり、非イオン性界面活性剤、例えば任意にソルビタンのポリオキシエチレン化エステル、特にポリソルベート80、又はポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ポリエチレングリコールステアレート、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸又はエチレンオキシ
ドとプロピレンオキシドのコポリマー、両性界面活性剤、例えばベタインの置換ラウリル化合物が挙げられる。
【0116】
対象に投与する場合、開示される化合物及び薬学的に許容され得る担体は無菌であり得る。適切な薬学的担体はまた、賦形剤、例えばデンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、ポリエチレングリコール300、水、エタノール、ポリソルベート20などを含み得る。本組成物は、所望であれば、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤も含有し得る。
【0117】
本開示の医薬製剤は、薬学的分野で周知の方法によって調製される。任意に、1つ以上の補助成分(例えば、緩衝剤、香味剤、界面活性剤など)も添加される。担体の選択は、化合物の溶解度及び化学的性質、選択された投与経路及び標準的な製薬慣行によって決定される。
【0118】
さらに、本開示の化合物及び/又は組成物は、経口投与、舌下又は頬側投与を含む公知の手順によってヒト又は動物対象に投与される。いくつかの実施形態では、化合物及び/又は組成物は経口投与される。
【0119】
経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤等)では、対象組成物は、1種以上の薬学的に許容され得る担体、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、及び/又は以下のいずれかと混合される。(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸等の充填剤若しくは増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアラビアゴム等の結合剤;(3)グリセロール等の保水剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリカート及び炭酸ナトリウム;(5)パラフィン等の溶解遅延剤;(6)第四級アンモニウム化合物等の吸収加速剤;(7)例えば、アセチルアルコール及びグリセロールモノステアラート等の湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイトクレイ等の吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤、及びこれらの混合物;及び(10)着色剤と混合される。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、組成物はさらに緩衝剤を含んでもよい。このような賦形剤をラクトース(すなわち乳糖)として使用し、並びに高分子量ポリエチレングリコールなども使用することで、類似タイプの固体組成物もまた、ソフトゼラチンカプセル及びハードゼラチンカプセルの充填剤として使用することができる。
【0120】
経口投与の場合、本開示の化合物の製剤は、カプセル、錠剤、粉末、顆粒などの剤形で、又は懸濁液若しくは溶液として提供され得る。カプセル製剤は、ゼラチン、軟ゲル又は固体であり得る。錠剤及びカプセル製剤は、1種以上のアジュバント、結合剤、希釈剤、崩壊剤、賦形剤、充填剤、又は潤滑剤をさらに含有してもよく、これらはそれぞれ当技術分野で公知である。そのような例としては、ラクトース又はスクロースなどの炭水化物、無水第二リン酸カルシウム、コーンスターチ、マンニトール、キシリトール、セルロース又はそれらの誘導体、微結晶セルロース、ゼラチン、ステアレート、二酸化ケイ素、タルク、デンプングリコール酸ナトリウム、アカシア、香味剤、保存剤、緩衝剤、崩壊剤及び着色剤が挙げられる。経口投与される組成物は、1種以上の任意の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテーム又はサッカリンなどの甘味剤;香味剤、例えばペパーミント、ヒメコウジ又はサクランボの油;着色剤;保存剤を、医薬的に口当たりのよい製剤を提供するために含んでもよい。
【0121】
錠剤は、圧縮又は成形によって、任意に1種以上の補助成分と共に作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤を使用して調製され得る。成形された錠剤は、好適な機械内で湿らせた対象組成物と不活性液体希釈剤との混合物を成形することにより作製され得る。錠剤、並びに糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤などの他の固体剤形は、任意に、腸溶コーティング及び薬学的製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて刻み目を入れるか又は調製することができる。
【0122】
吸入又は吹送のための組成物は、薬学的に許容され得る水性若しくは有機溶媒又はそれらの混合物中の溶液及び懸濁液、並びに粉末を含む。経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容され得る、エマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる。対象組成物に加えて、液体剤形は、例えば水、又はエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油類(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、シクロデキストリン等のその他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤並びにこれらの混合物等の、当技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤を含んでもよい。
【0123】
懸濁液は、対象組成物に加えて、懸濁化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びにそれらの混合物を含んでもよい。
【0124】
直腸投与又は膣投与のための製剤は、坐剤として提供され得、これは、対象組成物を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス又はサリシレートを含む1種以上の適切な非刺激性賦形剤又は担体と混合することによって調製され得、室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、体腔で融解し、活性剤を放出する。
【0125】
対象組成物の経皮投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤が含まれる。活性成分は、滅菌条件下で薬学的に許容され得る担体と、及び必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤又は噴射剤と混合され得る。
【0126】
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、対象組成物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油類、蝋、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又は、これらの混合物等の賦形剤を含有し得る。
【0127】
粉末及びスプレーは、対象組成物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物などの賦形剤を含んでもよい。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素及びブタン及びプロパンなどの揮発性非置換炭化水素などの慣用的な噴射剤をさらに含んでもよい。
【0128】
あるいは、本開示の組成物及び化合物をエアロゾルによって投与してもよい。これは、化合物を含有する水性エアロゾル、リポソーム調製物又は固体粒子を調製することによって達成される。非水性(例えば、フルオロカーボン推進剤)懸濁液を使用することができ
る。音波ネブライザーは、対象組成物に含まれる化合物の分解をもたらし得る剪断に薬剤をさらすことを最小限に抑えるので、使用され得る。通常、水性エアロゾルは、対象組成物の水溶液又は懸濁液を従来の薬学的に許容され得る担体及び安定剤と共に製剤化することによって作製される。担体及び安定剤は、特定の対象組成物の要件によって異なるが、典型的には、非イオン性界面活性剤(Tween、Pluronics、又はポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害なタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝液、塩類、糖類又は糖アルコール類を含む。エアロゾルは、一般に、等張溶液から調製される。
【0129】
非経口投与に適した本開示の医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容され得る滅菌等張水溶液若しくは非水溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルジョン、又は使用直前に滅菌注射液若しくは分散液に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせた対象組成物を含み、これは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、又は懸濁剤若しくは増粘剤を含んでもよい。
【0130】
本開示の医薬組成物に使用され得る適切な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、並びにオレイン酸エチル及びシクロデキストリンなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング材料の使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。例えば、本明細書で提供される結晶形態は、特定の粒径を得るために粉砕することができ、少なくともいくつかの実施形態では、そのような結晶形態は、粉砕時に実質的に安定なままであり得る。
【0131】
例えば、本明細書では、開示される結晶形態の懸濁液を含む、皮下投与に適した組成物が提供される。皮下投与は、静脈内投与(典型的には医師の診察を必要とし、より有痛性及び侵襲性であり得る)よりも有利であり得る。結晶性化合物の典型的な用量は、患者に投与される場合、約1mg~約8mgの化合物であってよい。一実施形態では、例えば結晶形態を賦形剤及び/又は溶媒と混合することによって、開示された結晶形態から形成された薬学的に許容され得る組成物が本明細書に開示される。
【0132】
一実施形態では、約0.001mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約40mg/kg、約0.5mg/kg~約30mg/kg、約0.001mg/kg~約4mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約25mg/kg(対象体重)を送達するのに十分な投与量レベルでの皮下投与に適した開示された結晶形態を含む組成物が本明細書において提供され、毎日、1日1回以上、1日ごと、3日ごと若しくは4日ごと、毎週、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに投与される。ある特定の実施形態において、所望の投与量は、複数回投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回又は10回の投与)を使用して送達され得る。ある特定の実施形態において、投与は、毎週1回、2回、又は3回行われ得る。
【0133】
処置は、所望に応じて長期間又は短期間継続することができる。組成物は、例えば、1日あたり1~4回又はそれよりも多くの回数のレジメンで投与され得る。適切な処置期間は、例えば、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年間、又は無期限であり得る。処置期間は、所望の結果、例えば減量目標が達成されたときに終了することができる。処置レジメンは、体重の減少をもたらすのに十分な用量が投与される補正期を含むことができ、例えば体重増加に十分な低用量が投与される維持期が続くことができる。適切な維持用量は、本明細書で提供される用量範囲の下部に見られる可能性が高いが、補正用量及び維持用量は、本明細書の開示
に基づいて、過度の実験をすることなく当業者によって個々の対象に対して容易に確立することができる。維持用量は、食事及び運動、バイパス若しくはバンディング手術などの肥満学の手順、又は他の薬理学的薬剤を使用する処置を含む他の手段によって体重が以前に制御されている対象の体重を維持するために使用することができる。
【0134】
例えば、本明細書では、少なくとも検出可能な量の開示された結晶形態、例えば式(I)の化合物の結晶形態を含む薬剤物質が提供される。ある特定の実施形態において、企図される薬剤物質は、開示された結晶形態、例えば式(I)の化合物の結晶形態の、少なくとも約、例えば10%;少なくとも約、例えば50%;又は少なくとも約、例えば少なくとも約90%を含んでもよい。ある特定の実施形態において、企図される薬剤物質は、式(I)の化合物の実質的に純粋な結晶形態を含んでもよい。
【0135】
キット
一実施形態では、企図される障害又は疾患を処置又は緩和するためのキットが提供される。例えば、開示されたキットは、例えば第1の容器に配置された開示された結晶性化合物、例えば式(I)の化合物の結晶形態を含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば第2の容器に配置された薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含んでもよい。そのような検討されるキットは、結晶形態からの患者への投与に適した医薬組成物の調製を記載する書面の説明書を含んでもよい。例えば、書面の説明書は、例えば、賦形剤と本明細書に開示される結晶性化合物とを混合することによって、患者投与のための薬学的に許容され得る形態を調製することを記載し得る。開示されたキットは、得られた組成物を患者に投与する方法を記載する書面の説明書をさらに含んでもよい。
【0136】
プロセス
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、例えば化合物I-1の開示された結晶形態を調製するためのプロセスであって、a)EtOH、ACN、MEK、EtOAc、IPAc、THF、MtBE、トルエン、1,4-ジオキサン及び水の少なくとも1つを含む溶媒中の化合物I-1の溶液を調製すること;b)溶液を加熱して化合物I-1を完全に溶解させること;c)溶液から固体が析出するように温度を調整すること;d)化合物I-1の結晶形態を単離することを含むプロセスが本明細書で企図される。
【0137】
いくつかの実施形態では、溶媒はEtOHである。いくつかの実施形態では、溶媒はCANを含む。いくつかの実施形態では、溶媒はEtOAcを含む。いくつかの実施形態では、溶媒はIPAcを含む。いくつかの実施形態では、溶媒はTHFを含む。いくつかの実施形態では、溶媒はMtBEを含む。いくつかの実施形態では、溶媒はトルエンを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、1,4-ジオキサンを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、EtOH及び水(9v/1v)を含む。いくつかの実施形態では、溶液を加熱することは、溶液を約50℃に加熱することを含む。いくつかの実施形態では、温度を調整することは、溶液を約5℃に冷却することを含む。
【0138】
式I-1の化合物を調製するためのプロセスが本明細書でさらに開示され、該プロセスは、式I-3の化合物をNaOHで中和し、それによって式I-1の化合物を形成する工程:
【化5】
を含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、開示されるプロセスは、式18の化合物をHClと反応させ、それによって式I-3の化合物を形成する工程:
【化6】
をさらに含む。
【0140】
他の実施形態では、開示されたプロセスは、式17の化合物を式9の化合物とカップリングさせ、それによって式18の化合物を形成する工程:
【化7】
をさらに含む。
【実施例0141】
本明細書に記載の化合物は、本明細書に含まれる教示及び当技術分野で公知の合成手順に基づいていくつかの方法で調製することができる。以下の非限定的な例は、開示された
開示を例示する。
【0142】
X線粉末回折(XRPD):XRPD分析をBruker D8 Advanceで行った。以下の方法を使用してXRPD上でサンプルを実行した:
- チューブ:Cu:K-Alpha(λ=1.54179Å)。
- 発電機:電圧:40kV;電流:40mA。
- スキャン範囲:3~40度;
- サンプル回転速度:15rpm。
- 走査速度:10度/分。
【0143】
示差走査熱量測定(DSC):DSC分析は、TA Instruments Q2000で行った。試験で使用したDSC法の詳細は以下の通りである:
- 30℃から250℃まで10℃/分で加熱
使用したサイクルDSC法:
- サイクル1:30℃から300℃まで10℃/分で加熱
- サイクル2:300℃から30℃まで10℃/分で冷却
- サイクル3:30℃から300℃まで10℃/分で加熱
【0144】
熱重量分析(TGA):TGAは、TA Instruments Q5000 IRで行った。特性評価に使用されるTGA法の詳細を以下に述べる。
- 30℃から300℃まで10℃/分で加熱
【0145】
動的蒸気収着(DVS):約10~20mgの試料を使用して、以下のパラメータで、0%~90%~0%の相対湿度(RH)サイクル下、25℃での水分の収着/脱着プロファイルを試験した。
- 平衡:dm/dt:0.01%/分。(最小:10分及び最大:180分)。
- 乾燥:0% RHで120分間。
- RH(%)測定工程:10%
- RH(%)測定工程範囲:0~90~0%
【表1A】
実施例1-(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミン(化合物I-1)の合成
工程1.化合物1の調製
【化8】
【0146】
75.0LのDCMを200Lエナメル質反応器に投入し、強マグネチックスターラーで撹拌した。15.0kgの化合物1を一度に添加した。0.931kgのI
2を一度に添加した。13.5kgの化合物2を25~35℃で滴下した。反応混合物を20~25°Cで8時間撹拌した。TLC分析(石油エーテル=1)は、化合物1(R
f=0.7)が消費され、1つの新たなスポットが観察されたことを示した。反応混合物にNa
2SO
3溶液(60.0LのH
2O中、6.00kgのNa
2SO
3)を添加し、混合物を25~30℃で0.5時間撹拌した。有機層を分離し、ブライン(40.0L)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4(10.0kg)で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下40℃で濃縮した。約90%のDCMを除去したら、石油エーテルを混合物に添加し、25~30℃で2時間撹拌した。混合物をフィルタにかけ、固体を乾燥オーブン内で、40℃で8時間乾燥させた。化合物3(20.0kg、収量:77%)が白色固体として得られ、これを
1H NMRで確認した。
1H NMR:(400 MHz CDCl
3)δ 7.66-7.62(m,1H),7.32-7.26(m,1H),7.19-7.15(m,1H),7.09-7.04(m,1H),5.57(s,1H),3.17-3.10(m,2H),2.96-2.91(m,2H),2.23-2.16(m,1H),2.04-1.89(m,1H)
工程2.化合物5の調製
【化9】
【0147】
60.0LのTHFを500Lエナメル質反応器に投入し、強マグネチックスターラーで撹拌した。20.0kgの化合物3を一度に添加した。60.0LのLDA(1.28当量)をN
2下、-5℃~5℃で滴下した。混合物をN
2下、-5℃~5℃で1時間撹拌した。40.0LのTHF中の20.0kgの化合物4をN
2下、-5℃~5℃で滴下した。混合物をN
2下、-5℃~5℃で1時間撹拌した。TLC分析(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)は、約10%の化合物3(R
f=0.7)が保持され、1つの新たなスポット(R
f=0.3)が観察されたことを示した。NH
4Cl飽和水溶液(250L)を500Lエナメル質反応器に投入し、強マグネチックスターラーで撹拌した。反応混合物を添加し、0.5時間攪拌した。有機層を分離し、NH
4Cl飽和水溶液(250L)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4(15.0kg)で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下40℃で濃縮した。約90%のTHFを除去したら、石油エーテル(50.0L)を添加し、混合物を25℃で1時間撹拌した。混合物をフィルタにかけ、白色固体を減圧下45℃で乾燥させた。化合物5(28.0kg、収量:72.5%)を白色固体として得た。
工程3.化合物6の調製
【化10】
【0148】
112LのDCM、41.0kgのPy及び28.0kgのH
2Oを500Lエナメル質反応器に投入し、強マグネチックスターラーで撹拌した。28.0kgの化合物5及び
2.20kgのTBABを一度に添加した。70.0kgのPy
.HBr
3 を10~20 °Cで分割して添加した。反応混合物を10~20℃で0.5時間攪拌した。TLC分析(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)は、化合物5(R
f=0.3)が消費され得ることを示し、1つの新たなスポット(R
f=0.3)が観察された。反応混合物に90.0LのH
2Oを添加し、混合物を1時間撹拌した。有機層を分離し、クエン酸溶液(100LのH
2O中、10.0kgのクエン酸)で洗浄した。有機層を飽和NaHCO
3(100L)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4(15.0kg)で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下45℃で濃縮した。化合物6を赤色油状物として得、これを次の工程で直接使用した。
工程4.化合物7の調製
【化11】
【0149】
化合物6(21.9kg)を80.0Lの2-MeTHFに溶解し、混合物を200Lエナメル反応器に投入し、強マグネチックスターラーで攪拌した。8.80kgのt-BuOKを25~40℃で分割して添加した。反応混合物を40℃で1時間攪拌した。TLC分析(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)は、化合物6が消費され、1つの新たなスポット(R
f=0.6)が観察されたことを示した。反応混合物を25℃に冷却した。80.0LnのH
2Oを20~25℃で混合物にゆっくり添加し、0.5時間撹拌した。有機層を分離し、Na
2SO
4(10.0kg)で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を45℃で減圧下で濃縮した。MTBE(30.0L)を、約90%の2-MeTHFが除去されたときに加えた。混合物を20℃で1時間撹拌した。混合物をフィルタにかけ、白色固体を得た。白色固体を45℃にて減圧乾燥した。化合物7(8.20kg)を白色固体として得、これを
1H NMRで確認した。
1H NMR:(400 MHz CDCl
3)δ 7.64-7.54(m,2H),7.09-6.99(m,2H),4.08(br s,2H),3.34-3.01(m,2H),1.92-1.84(m,2H),1.51(br d,J=16.0Hz,2H),1.42(s,9H).
工程5.化合物8の調製
【化12】
(工程5に開示される反応は、2つの並行バッチで行った。)
【0150】
16.0Lの2-MeTHFを50Lの反応物にさらに投入し、強マグネチックスターラーで撹拌した。4.10kgの化合物7、3.28kgの化合物7-1及び10.2kgのTi(OEt)
4を一度に添加した。反応混合物を75℃に加熱し、N
2下、75~80℃で40時間撹拌した。TLC分析(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)は、少量の化合物7(R
f=0.7)が保持され、1つの新たなスポット(R
f=0.5)が観察されたことを示した。反応混合物を0℃に冷却した。300gのLiBH
4をN
2下、0~10℃で少しずつ添加した。反応混合物をN
2下、0~10℃で0.5時間攪拌した。TLC分析(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)は、スポット(R
f=0.5)が消費
され、1つの新たなスポット(R
f=0.3)が観察されたことを示した。反応混合物にMeOH(4.00L)を25~30℃でゆっくり添加した。約80.0Lの混合物を得た。8.00kgのEDTEを混合物に添加し、1時間撹拌した。10.0Lの混合物をクエン酸(20.0L、10%水溶液)及び酢酸エチル(10.0L)に添加した。有機層を分離し、NaHCO
3(10.0L、10%水溶液)で洗浄した。8バッチの有機層を得て、Na
2SO
4(10.0kg)で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を45℃で減圧下で濃縮した。粗生成物にMTBE(20.0L)を添加し、混合物を1時間撹拌した。混合物をフィルタにかけ、ケークを得た。濾過ケークにDCM(40.0L)を添加し、シリカゲル(3.00kg)で濾過した。濾液を減圧下45℃で濃縮した。次いで、MTBE(15.0L)を粗生成物に添加し、1時間撹拌した。混合物をフィルタにかけ、白色固体を得た。白色固体を40℃にて減圧乾燥した。化合物8(5.40kg、収量:50%)が得られ、これをHPLC及び
1H NMRで確認した。
1H NMR:(400 MHz CDCl
3)δ 7.26-7.12(m,2H),6.86-6.83(m,1H),6.74(d,J=8.0Hz,1H),4.56(br d,J=8.0Hz,1H),4.01(br s,2H),3.61(br d,J=8.0Hz,1H),3.2-2.90(m,2H),2.03-1.57(m,4H),1.39(s,9H),1.18(s,9H).
工程6.化合物9の調製
【化13】
【0151】
6.00LのMeOHを50Lの反応物にさらに投入し、強マグネチックスターラーで撹拌した。5.40kgの化合物8を一度に添加した。HCl/MeOH(22.0L)を20~25 °Cで混合物にゆっくり添加した。混合物を20~25℃で4時間撹拌した。TLC分析(酢酸エチル=1)は、化合物8が消費され、1つの新たなスポット(R
f=0)が観察されたことを示した。反応混合物を減圧下45℃で濃縮した。次いで、MeOHの大部分が除去されたときにMTBE(20.0L)を添加した。混合物を0.5時間撹拌した。混合物をフィルタにかけ、白色固体を得た。白色固体を45℃にて減圧乾燥した。化合物9(3.30kg、収量:91%)を白色固体として得、これを
1H NMR、LCMS、HPLC及びSFCで確認した。
1H NMR:(400 MHz DMSO_d
6)δ 9.69-9.27(m,2H),9.03(br s,3H),7.76(d,J=8.0Hz,1H),7.43-7.29(m,1H),7.09-6.89(m,2H),4.73(br s,1H),3.44(br d,J=12.0Hz,1H),3.22(br d,J=12.0Hz,1H),3.16(s,1H),3.14-2.95(m,2H),2.42(dt,J=4.0,13.4Hz,1H),2.15(br d,J=12.0Hz,1H),2.08-1.94(m,1H),1.85(br d,J=12.0Hz,1H)
工程7.化合物11の調製
【化14】
【0152】
この手順を15バッチにわたって実施した。2-メチルテトラヒドロフラン(10.0L)中のn-BuLi(ヘキサン中2.5M、6.50L、1.21 eq)の溶液に、TMP(2.87kg、20.3mol、3.45L、1.51 eq)をN
2下、-30℃で0.5時間にわたって添加した。反応混合物を0℃から10℃に加温し、さらに0.5時間攪拌した。反応混合物を-75℃に冷却し、2-メチルテトラヒドロフラン(10.0L)中の化合物10の溶液(2.00kg、13.4mol、1.00 eq)を混合物に-75℃~-70℃で2時間にわたって滴加した。混合物を0.5時間撹拌した後、ギ酸エチル(1.52kg、20.5mol、1.65L、1.53 eq)を-70℃~-60℃に冷却し、次いで、-75℃で反応混合物に一度に注いだ。反応混合物をさらに0.5時間撹拌した。TLC分析(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)は、化合物1(R
f=0.80)が消費され、新たなスポット(R
f=0.50)が観察されたことを示した。酢酸(4.00L)を反応混合物に-75℃~-30℃で一度に注ぎ、25℃に加温し、0.5時間撹拌した。混合物を30.0Lの水に注ぎ、酢酸エチル(5.00L×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5.00L×3)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、次いでフィルタにかけた。濾液を減圧下で濃縮して、黒褐色の液体を得た。粗生成物はさらに精製することなく、次の工程で使用した。15バッチを並行して保持して、化合物11(52.5kg、粗製)を黒褐色液体として得、これを
1H NMRによって確認した。
1H NMR:400MHz,DMSO-d
6 10.12(s,1H),9.05(s,1H).
工程8.化合物12の調製
【化15】
【0153】
この手順を8バッチにわたって実施した。EtOAc(22.0L)及びEtOH(13.0L)中、化合物11(6.56 kg、37.1 mol、1.00eq)の溶液に、水(2.30L)中のNaHSO
3(1.54kg、14.8mol、0.40eq)を0 °Cで添加し、反応混合物を25℃で12時間撹拌した。TLC分析(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)は、化合物11(R
f=0.15)が消費され、新たなスポット(R
f=0)が観察されたことを示した。反応混合物を25°Cでフィルタにかけ、濾過ケークを減圧下で乾燥させて粗生成物を得た。粗生成物はさらに精製することなく、次の工程で使用した。8バッチを並行して調製して、化合物 12(35.6kg、粗製)を灰色固体として得、これを1
H NMRによって確認した。
1H NMR:400MHz,DMSO-d
6(注:定量試験のための
1H NMRスペクトルにおいて残留DMFが観察された。)8.63(s,1H),5.67(s,1H).
工程9.化合物13の調製
【化16】
【0154】
この手順を13バッチにわたって実施した。化合物12(3.0kg、10.7mol、1.00eq)のDMSO(30.0L)溶液に、N
2H
4.H
2O(1.26kg、21.4mol、1.22L、純度85.0%、2.00eq)を10℃で滴下し、反応混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物のHPLC分析により、化合物12(Rt=1.003分)が消費されたことが示された。反応混合物を100℃に加温し、100℃で12時間攪拌した。TLC分析(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)は、主要な新たなスポット(R
f=0.6)が検出されたことを示した。反応混合物のHPLCは、反応中間体(Rt=1.488分、Rt=1.662分)が消費され、新しいピーク(Rt=1.555分が観察されたことを示した。混合物を25℃に冷却し、酢酸エチル(10.0L)を反応混合物に注ぎ入れ、25℃で1時間撹拌した。混合物を水(60.0L)に注ぎ、celatomを通して濾過した。濾液をEtOAc(30.0L*2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30.0L×2)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけた。濾液を濃縮して粗残渣を得た。残渣をEtOAcによって研和した:石油エーテル=1:4(1.00L)、25℃で1時間。13バッチを並行して調製して、化合物13(5.5kg、純度約90%)を灰色固体として得、これを
1H NMRによって確認した。
1H NMR:400MHz,DMSO-d
6 14.30(s,1H),8.66(s,1H),8.49(s,1H).
工程10.化合物14の調製
【化17】
【0155】
この手順を2バッチで行った。DMF(12.5L)中、化合物13(2.50kg、14.1mol、1.00eq)の溶液に、NIS(4.12kg、18.3mol、1.30eq)及びTFA(160g、1.41mol、104mL、0.10eq)を25℃で添加した。混合物を80℃に加熱し、80℃で14時間撹拌した。TLC分析(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)は、化合物13(R
f=0.3)が消費され、新たなスポット(R
f=0.4)が観察されたことを示した。HPLC分析はまた、化合物13(Rt=1.487分)が消費され、新たなピーク(Rt=2.080分)が観察されたことを示した。反応混合物を5% Na
2SO
3氷水(10.0L)に注ぎ、0℃~5℃で1時間撹拌し、次いで、水(30.0L)で希釈し、フィルタにかけ、濾過ケークを水(5.00L)で洗浄し、乾燥させて粗生成物を得た。粗生成物をH
2Oで研和した:ACN=2:1(15.0L)。2バッチを並行して保持して、化合物14(6.2kg、純度100%)を灰色固体として得、これを
1H NMR及びLCMSによって確認した。
1H NMR:400MHz,DMSO-d
6 14.66(s,1H),8.66(s,1H).
工程11.化合物15の調製
【化18】
【0156】
DCM(30.0L)中、化合物14(6.38kg、22.8mol、1.00eq)の溶液に、0℃でTsOH.H
2O(433g、2.27mol、0.10eq)を加え、次いで、DHP(3.83kg、45.5mol、4.16L、2.00eq)を混合物に0℃で滴下した。混合物を25℃で2時間撹拌した。TLC分析(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)は、化合物14(R
f=0.6)が消費され、新たなスポット(R
f=0.7)が観察されたことを示した。HPLC分析はまた、化合物14(Rt=2.059分)が消費され、新たなピーク(Rt=2.927分)が観察されたことを示した。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液(30.0L)に注ぎ入れ、有機層をブライン(30.0L)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけて、濃縮した。残渣をMTBE(10.0L)によって研和し、混合物を25℃で2時間撹拌し、フィルタにかけ、濾過ケークをMTBE(3.0L)で洗浄し、乾燥させると、化合物15(5.1kg、純度97.9%)が灰色固体として得られ、これを
1H NMR及びLCMSによって確認した。
1H NMR:400 MHz,CDCl
3 8.56(s,1H),5.98(dd,J=10.5,2.5Hz,1H),4.27-4.10(m,1H),3.83-3.65(m,1H),2.70-2.64(m,1H),2.19-2.18(m,1H),2.01-1.97(m,1H),1.81-1.78(m,2H),1.66-1.63(m,1H).
工程12.化合物17の調製
【化19】
【0157】
窒素下の50Lのジャケット付き反応器に、化合物15(2000g、5.206モル)、化合物16(700g、5.206モル)、K
3PO
4(3320g、15.64モル)、キサントホス(151g、262.41mmol)、Pd
2(dba)
3(119g、130.16mmol)及びトルエン(20L)を添加した。反応が完了するまで、反応混合物を80℃~85℃で15時間攪拌した。反応混合物を20℃~30℃に冷却し、H
2O(10kg)で2回洗浄した。有機層を、2kgのシリカチオール及び8kgのシリカゲルカラムに通した(溶離液EA)。THF:ヘプタン=1:3での濃縮及び結晶化により、湿ケークが得られた。湿ケークを真空下、45℃~50℃で20~24時間乾燥させて、1.25kgの化合物17を得た。
工程13.化合物18の調製
【化20】
【0158】
窒素下、5Lのジャケット付き反応器に、化合物17(217g、586mmol)、化合物9(192g、704mmol)、K
2CO
3324g、2.35mol)、DMSO(900mL)を添加した。反応が完了するまで、反応混合物を60℃~65℃で3~4時間撹拌した。反応混合物を20℃~30℃に冷却した。DMSO(900mL)を添加し、次いで、H
2O(1800g)を滴下した。反応混合物を20℃~30℃で2~5時間撹拌した。得られたスラリーをフィルタにかけ、湿ケークをH
2O(1200g)で洗浄した。ケークを真空下、45℃~50℃で36~40時間乾燥させて、化合物18を得た。
工程14.化合物I-3の調製
【化21】
【0159】
窒素下、5Lのジャケット付き反応器に、化合物18(292g、532mmol)及びMeOH(900mL)を周囲温度で添加した。反応混合物を0℃~5
oCに冷却し、4M HCl(2660mL)を添加し、混合物を25℃~30
oCで20時間撹拌した。混合物を濃縮し、第2の部分の4M HCl(1300mL)を0℃~5
oCで添加した。混合物を25℃~30
oCで5~12時間撹拌し、約1500mLまで濃縮し、次いで、1500mLのMTBEを滴下して希釈した。混合物を12~20時間撹拌し、フィルタにかけ、200mLのMTBEで洗浄した。得られた湿ケークを(1V)で洗浄し、45℃~55℃で24~36時間乾燥させて、295gの化合物I-3を得た。
工程15.化合物I-3の調製
【化22】
【0160】
窒素下の500mLのジャケット付き反応器に、化合物I-3(37g、66.5mmol)及びH2O(250mL)を0℃~5℃で添加した。反応混合物を0℃~5℃で0.5~1時間撹拌した。混合物を220mLの1M NaOH溶液で希釈し、0℃~5℃で1~2時間撹拌した。次いで、2-MeTHF(800mL)を添加し、混合物を0.5~1時間撹拌した。有機層を分離し、水(500mL*2)で洗浄した。有機層を45℃未満での蒸留によって濃縮し、次いで、MeOHで希釈した。0.35gの化合物I-1種結晶を添加し、混合物を25℃~30℃で2~5時間撹拌した。500mLの水を滴下し、混合物を25℃~30℃で5~12時間撹拌した。固体を濾過によって回収し、水で洗浄し、湿ケークを真空下、60℃~70℃で48時間~60時間乾燥させて、化合物I-1を得た。
実施例2-(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミン(化合物I-1)の多形分析
【0161】
化合物I-1((R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンとも呼ばれる)の多形分析を、温度サイクル法によって12種の異なる溶媒中で行った。系を25℃に冷却したときに懸濁固体が観察されなかった場合、溶液を蒸発させた。操作手順の詳細を以下に列挙した。
【0162】
約50mgの化合物I-1を2.0mLガラスバイアルに秤量し、次いで、0.5~1.0mLの選択された溶媒を添加した。次いで、バイアルを置き、600r/分の速度で撹拌し、次いで、以下の温度プログラムに従って加熱又は冷却した:1時間かけて50℃に加熱し、次いで、50℃で1時間保持し、次いで、3時間かけて5℃に冷却し、次いで、5℃で1時間保持する。この温度プログラムを合計約24時間にわたって4回再サイクルした。次いで、系を25℃でさらに1時間撹拌した。懸濁液を生じた試料については、系を8000r/分で5分間遠心分離した。母液を除去し、湿った固体を真空オーブン内で50℃で3時間乾燥させた。次いで、得られた乾燥固体をXRPDによって特徴付けた。新しいXRPDパターンが同定された場合、新しいXRPDパターンを有する乾燥固体を、PLM、DSC及びTGAによっても特徴付けた。透明な溶液の場合、次いでバイアルを25℃の換気フードに入れて、残留溶媒を蒸発させた。4日間の蒸発後、いくらかの固体が沈殿した。次いで、固体を真空オーブン内で30℃で21.5時間乾燥させた。次いで、得られた乾燥固体をXRPDによって特徴付けた。新しいXRPDパターンが同定された場合、新しいXRPDパターンを有する乾燥固体を、PLM、DSC及びTGAによっても特徴付けた。
【0163】
試験した溶媒の概要を表1に見出すことができる。
【表1】
【0164】
化合物I-1の初期材料は結晶形態であったが、結晶化度は非常に低かった。多形スクリーニング実験の後、得られた固体はすべて同じXRPDパターンを示し、このパターンをパターンAと命名した。次いで、化合物I-1のパターンAをPLM、DSC、TGA及び
1H-NMRによって特徴付けた。
図1BのパターンAのDSCスキャンは、196.2℃の開始時に単一の吸熱ピークを示した(エンタルピー:75.0J/g)。TGAスキャン(
図1B)は、30℃から200℃で1.08%の重量減少を示した。要約すると、パターンAは化合物I-1の純粋な結晶形態である。
【0165】
化合物I-1のパターンAのXRPDを
図1Aに示す。化合物I-1のパターンAのTGA及びDSC分析を
図1Bに示す。
【0166】
以下の表2は、化合物I-1のパターンAについて観察されたX線回折ピークを示し、各値は2θ度単位である。
【表2-1】
【表2-2】
実施例3-(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2
H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンの塩形態の調製
【0167】
化合物I-1の塩を同定するために、塩実験を、3つの選択された溶媒(ACN、アセトン及びEtOAc)において16個の異なる対イオン(酸)を用いて行った。系を25℃に冷却したときに固体が得られなかった場合、溶液を蒸発法に供した。操作手順の詳細を以下に列挙した。
【0168】
固体酸との塩形成のために、約50mgの化合物I-1と1.1e.q.のそれぞれの固体酸とを2.0mLガラスバイアルに秤量した。次いで、選択した溶媒1.0mLを、API及び酸を含むバイアルに添加した。
【0169】
液体酸との塩形成のために、約50mgの化合物I-1出発物を2.0mLガラスバイアルに秤量し、760μLの選択された溶媒を添加した。その後、1.1e.q.のそれぞれの酸溶液(242μL、0.5mmol/mL)を、API及び溶媒を含むバイアルに添加した。
【0170】
別に、約50mgの化合物I-1を2.0mLガラスバイアルに秤量し、次いで、1.0mLの選択された溶媒を対照系として添加した。
【0171】
次いで、すべてのバイアルを600r/分の速度で撹拌し、次いで、以下の温度プログラムに従って加熱及び冷却した:1時間で50℃に加熱し、次いで、50℃で1時間保持し、次いで、3時間で5℃に冷却し、次いで、5℃で1時間保持する。この温度プログラムを合計約24時間にわたって4回再サイクルした。次いで、系を25℃でさらに40時間撹拌した。懸濁液を生じた試料については、系を8000r/分で5分間遠心分離し、次いで母液を除去した。湿った固体を真空オーブン内で30℃で17~21.5時間乾燥させた。次いで、得られた乾燥固体をXRPDによって特徴付けた。新しいXRPDパターンが同定された場合、新しいXRPDパターンを有する乾燥固体を、PLM、DSC及びTGAによっても特徴付けた。透明な溶液の場合、次いでバイアルを25℃の換気フードに入れて、残留溶媒を蒸発させた。蒸発後、固体が生成した場合、次いで、得られた固体をXRPDによって特徴付けた。新しいXRPDパターンが同定された場合、新しいXRPDパターンを有する乾燥固体を、PLM、DSC及びTGAによっても特徴付けた。
【0172】
塩の結果を表3に列挙する。
【0173】
塩形成実験では、臭化水素酸(パターンS1-I)、p-トルエンスルホン酸(パターンS6-I)、ベンゼンスルホン酸(パターンS7-I及びS7-II)及びグルタル酸(パターンS16-I)を含む4つの異なる対イオンにより5つの新しいXRPDパターンが見出された。得られた固体の大部分は、非晶質又は結晶質であり、結晶化度は低かった。結果から、グルタル酸との塩は、すべての系の中で高い結晶化度を示すことがわかった。
【表3】
【0174】
化合物I-2のパターンS1-IのXRPDを
図2Aに示す。化合物I-2のパターンS1-IのTGA及びDSC分析を
図2Cに示す。
【0175】
化合物I-7のパターンS6-IのXRPDを
図7Aに示す。化合物I-7のパターンS6-IのTGA及びDSC分析を
図7Bに示す。
【0176】
化合物I-8のパターンS7-I及びS7-IIのXRPDを
図8Aに示す。化合物I-8のパターンS7-IのTGA及びDSC分析を
図8Bに示す。化合物I-8のパターンS7-IのTGA及びDSC分析を
図8Cに示す。
【0177】
化合物I-17のパターンS16-IのXRPDを
図17Aに示す。化合物I-17のパターンS16-IのTGA及びDSC分析を
図17Bに示す。
実施例4-(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンの塩形態の補助調製
【0178】
実施例3から得られた非晶質固体を、より多くの溶媒(EtOH、THF又は水中95%IPA)中で再スラリー化して、より多くの結晶性の塩を見つけようと試みた。操作手
順の詳細を以下に列挙した。
【0179】
非晶質固体を、2.0mLバイアルにおいて、500μLの選択した溶媒(EtOH、THF又は水中95%IPA)中で再スラリー化した。すべてのスラリーを700r/分の速度で撹拌し、次いで、以下の温度プログラムに従って加熱及び冷却した:1時間で50℃に加熱し、次いで、50℃で1時間保持し、次いで、3時間で5℃に冷却し、次いで、5℃で1時間保持する。この温度プログラムを約48時間の合計時間にわたって8回再サイクルした。懸濁液を生じた試料については、系を8000r/分で5分間遠心分離し、母液を除去し、湿った固体を真空オーブン内で60℃で4時間乾燥させた。次いで、得られた乾燥固体をXRPDによって特徴付けた。新しいXRPDパターンが同定された場合、新しいXRPDパターンを有する乾燥固体を、PLM、DSC及びTGAによっても特徴付けた。透明な溶液の場合、次いでバイアルを25℃の換気フードに入れて、残留溶媒を蒸発させた。蒸発後、固体が生成した場合、次いで、得られた固体をXRPDによって特徴付けた。新しいXRPDパターンが同定された場合、新しいXRPDパターンを有する乾燥固体を、PLM、DSC及びTGAによっても特徴付けた。
【0180】
【0181】
再スラリー実験では、臭化水素酸(パターンS1-II)(
図2B参照)、スルホン酸(パターンS3-I)(
図4B参照)、シュウ酸(パターンS8-I及びS8-II)(
図9B参照)及びマロン酸(パターンS11-I)(
図12B参照)を含む4つの異なる対イオンによる5つのさらなる新しいXRPDパターンが見出された。パターンS11-Iのみが比較的高い結晶化度を示し、他のものについては結晶化度が低い。
【0182】
調製されたp-トルエン硫酸及びグルタル酸の結晶化度が幾分低いことを考慮して、エタノール及び95% IPAに5%の水を加えた溶媒中で再スラリー実験を行った。
【0183】
約30mgのp-トルエン硫酸及びグルタル酸を、0.5mLのEtOH又は5%の水を含む95% IPAにそれぞれ懸濁した。懸濁液を25℃で18時間、500r/分の速度で撹拌した。次いで、固体を少し取り出し、60℃の真空オーブン中で5時間乾燥させた後、XRPDによって特徴付けた。
【0184】
得られた固体のXRPD結果に示すように(化合物I-7については
図7C及び化合物I-17については
図17C)、生成物の結晶化度は再スラリー実験後に向上した。
実施例5-(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンヒドログルタレート(化合物I-17)及び(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンヒドロマロネート(化合物I-12)の多形調査
【0185】
(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミングルタレート及びマロン酸塩の多形調査を、温度サイクル法によって12種の異なる溶媒中で行った。系を25℃に冷却したときに懸濁液が観察されなかった場合、溶液を蒸発させた。操作手順の詳細を以下に列挙した。
【0186】
約50mgの(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミングルタル酸又はマロン酸を2.0mLガラスバイアルに秤量し、次いで、0.5mLの選択した溶媒を添加した。試料を700r/分の速度で撹拌し、次いで、以下の温度プログラムに従って加熱又は冷却した:1時間で50℃に加熱し、次いで、50℃で1時間保持し、次いで、3時間で5℃に冷却し、次いで、5℃で1時間保持する。この温度プログラムを合計約48時間にわたって8回再サイクルした。懸濁液を生じた試料については、系を8000r/分で5分間遠心分離した。母液を除去し、湿った固体を真空オーブン内で30℃で17時間乾燥させた。次いで、得られた乾燥固体をXRPDによって特徴付けた。透明な溶液の場合、次いでバイアルを25℃の換気フードに入れて、残留溶媒を蒸発させた。
【0187】
(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンの初期グルタル酸は結晶形態であり、この形態をパターンS16-Iと命名した。多形スクリーニング実験の後、得られた固体はすべて、初期グルタル酸塩と同じXRPDパターンを示した。
【表5】
【0188】
(R)-1’-(3-(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピラジン-6-イル)-3H-スピロ[ベンゾフラン-2,4’-ピペリジン]-3-アミンの初期マロン酸も結晶形態であり、この形態をパターンS11-Iと命名した。多形スクリーニング実験の後、得られた固体はすべて、初期マロン酸塩と同じXRPDパターンを示した。
【表6】
【0189】
マロン酸塩系については、エタノール系からのXRPDパターンが初期マロン酸塩とのいくらかの差を示すことが観察された(パターンS11-I)。このパターンを一時的にパターンS11-I*と命名した。パターンS11-I*は、PLM、DSC、TGA及び1H-NMRによってさらに特徴付けられた。
【0190】
図12EのパターンS11-I*のDSCスキャンは、166.16℃で開始する大きな吸熱ピーク(247.4J/g)を示した。一方、TGAスキャンは、35℃から14
0℃で0.99%の重量減少を示した。一方、パターンS11-I*の1H-NMR結果によれば、最終生成物中にほとんど残留エタノールが観察されなかった(約0.45%)。パターンS11-I*は、溶媒和物ではなくマロン酸塩の多形であるはずであることが示された。S11-IとS11-I*との差は、好ましい配向効果に起因し得る。
参照による組み込み
【0191】
以下に列挙される項目を含む本明細書で言及されるすべての刊行物及び特許は、あたかも各個々の刊行物又は特許が具体的かつ個別に参照により組み込まれているかのように、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書におけるいかなる定義をも含む本出願が優先する。
同等物
【0192】
本開示の具体的な実施形態を説明したが、上記の明細書は例示的なものであり、限定的なものではない。本明細書を検討することにより、本開示の多くのバリエーションが当業者に明らかになるであろう。本開示の全範囲は、特許請求の範囲、その均等物の全範囲、及び明細書、並びにそのようなバリエーションを参照することによって決定されるべきである。
【0193】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対のことが示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本開示によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
化合物I-1:
【化23】
の固体形態、又はその溶媒和物。
(項目2)
前記固体形態が非晶質である、項目1に記載の固体形態。
(項目3)
前記固体形態が結晶質である、項目1に記載の固体形態。
(項目4)
それぞれが約24.6、約19.9、及び約16.0の2θからなる群から選択される、2θ度の少なくとも2つの特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、項目3に記載の固体形態。
(項目5)
それぞれが約24.6 2θ、約19.9 2θ、約16.0 2θ、約6.7 2θ、約12.8 2θ、約13.4 2θ及び約20.7 2θからなる群から選択される、2θ度の少なくとも2つの特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、項目3に記載の固体形態。
(項目6)
前記固体形態が、
図1Aに示されるものと実質的に同様のXRPDパターンによって特徴付けられるか、又は約24.6、約19.9、約16.0、約6.7、約12.8、約13.4及び約20.7の2θ度のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、項目3に記載の固体形態。
(項目7)
約196℃の開始、約197℃のピークを有する吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)プロファイルを特徴とする、項目3から6のいずれか一項に記載の固体形態。
(項目8)
式(I)
【化24】
[式中、
mは1~9であり;
nは1~3であり;
Xは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、L-アスパラギン酸、マレイン酸、マロン酸、L-酒石酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸及びグルタル酸からなる群から選択される]
の化合物、又はその溶媒和物。
(項目9)
前記化合物が、化合物I-2、化合物I-3、化合物I-4、化合物I-5、化合物I-6、化合物I-7、化合物I-8、化合物I-9、化合物I-10、化合物I-11、化合物I-12、化合物I-13、化合物I-14、化合物I-15、化合物I-16及び化合物I-17からなる群から選択される、項目8に記載の化合物。
(項目10)
前記化合物が固体形態である、項目8又は9に記載の化合物。
(項目11)
前記化合物が非晶質である、項目8又は9に記載の化合物。
(項目12)
前記化合物が結晶質である、項目8又は9に記載の化合物。
(項目13)
前記化合物が化合物I-2であり、
図2A又は
図2Bに示されるものと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする、項目12に記載の化合物。
(項目14)
前記化合物が化合物I-4であり、
図4Bに示されるものと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする、項目12に記載の化合物。
(項目15)
前記化合物が化合物I-8であり、
図8Aに示されるものと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする、項目12に記載の化合物。
(項目16)
前記化合物が化合物I-12であり、
図12Bに示されるものと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする、項目12に記載の化合物。
(項目17)
前記化合物が化合物I-17であり、
図17A、
図17C又は
図17Dに示されるものと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする、項目12に記載の化合物。
(項目18)
項目1から7のいずれか一項に記載の固体形態又は項目8から17のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容され得る担体とを含む、医薬組成物。
(項目19)
SHP2ホスファターゼ活性の阻害を必要とする対象におけるSHP2ホスファターゼ活性を阻害する方法であって、治療有効量の項目1から7のいずれか一項に記載の固体形
態、項目8から17のいずれか一項に記載の化合物、又は項目18に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目20)
治療有効量の抗体、抗体-薬物コンジュゲート、免疫調節剤又はヒストンデアセチラーゼ阻害剤を投与することをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記対象がヒトである、項目19又は20に記載の方法。
(項目22)
障害の処置を必要とする対象における障害を処置する方法であって、治療有効量の項目1から7のいずれか一項に記載の固体形態、項目8から17のいずれか一項に記載の化合物、又は項目18に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目23)
治療有効量の抗体、抗体-薬物コンジュゲート、免疫調節剤又はヒストンデアセチラーゼ阻害剤を投与することをさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記障害がNoonan症候群である、項目22又は23に記載の方法。
(項目25)
前記障害が好中球減少症である、項目22又は23に記載の方法。
(項目26)
前記障害が糖尿病である、項目22又は23に記載の方法。
(項目27)
前記障害が神経芽細胞腫である、項目22又は23に記載の方法。
(項目28)
前記障害がメラノーマである、項目22又は23に記載の方法。
(項目29)
前記障害が急性骨髄性白血病である、項目22又は23に記載の方法。
(項目30)
前記障害が若年性白血病である、項目22又は23に記載の方法。
(項目31)
前記障害が若年性骨髄単球性白血病である、項目22又は23に記載の方法。
(項目32)
前記障害が乳がんである、項目22又は23に記載の方法。
(項目33)
前記障害が肺がんである、項目22又は23に記載の方法。
(項目34)
前記障害が結腸直腸がんである、項目22又は23に記載の方法。
(項目35)
項目1に記載の固体形態又は項目1から7のいずれか一項に記載の化合物を含む、キット。
(項目36)
前記固体形態又は前記化合物からの患者への投与に適した医薬組成物の調製を記載する書面の説明書をさらに含む、項目35に記載のキット。
(項目37)
得られた前記組成物を前記患者に投与する方法を記載する書面の説明書をさらに含む、項目36に記載のキット。
(項目38)
薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、項目35に記載のキット。
(項目39)
項目3に記載の結晶形態を調製するためのプロセスであって、a)EtOH、ACN、MEK、EtOAc、IPAc、THF、MtBE、トルエン、1,4-ジオキサン及び
水の少なくとも1つを含む溶媒中の化合物I-1の溶液を調製すること;b)前記溶液を加熱して前記化合物I-1を完全に溶解させること;c)前記溶液から固体が析出するように温度を調整すること;d)化合物I-1の前記結晶形態を単離することを含む、プロセス。
(項目40)
前記溶媒がEtOHである、項目39に記載のプロセス。
(項目41)
前記溶媒がACNを含む、項目39に記載のプロセス。
(項目42)
前記溶媒がEtOAcを含む、項目39に記載のプロセス。
(項目43)
前記溶媒がIPAcを含む、項目39に記載のプロセス。
(項目44)
前記溶媒がTHFを含む、項目39に記載のプロセス。
(項目45)
前記溶媒がMtBEを含む、項目39に記載のプロセス。
(項目46)
前記溶媒がトルエンを含む、項目39に記載のプロセス。
(項目47)
前記溶媒が1,4ジオキサンを含む、項目39に記載のプロセス。
(項目48)
前記溶媒が、EtOH及び水(9v/1v)を含む、項目39に記載のプロセス。
(項目49)
前記溶液を加熱することが、前記溶液を約50℃に加熱することを含む、項目39に記載のプロセス。
(項目50)
前記温度を調整することが、前記溶液を約5℃に冷却することを含む、項目39に記載のプロセス。
(項目51)
式I-1の化合物を調製するためのプロセスであって、式I-3の化合物をNaOHで中和し、それによって式I-1の化合物を形成する工程:
【化25】
を含む、プロセス。
(項目52)
式18の化合物をHClと反応させ、それによって式I-3の化合物を形成する工程:
【化26】
をさらに含む、項目51に記載のプロセス。
(項目53)
式17の化合物を式9の化合物とカップリングさせ、それにより式18の化合物を形成する工程:
【化27】
をさらに含む、項目51又は52に記載のプロセス。