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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095844
(43)【公開日】2024-07-10
(54)【発明の名称】踏板、及びエスカレーター
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/12 20060101AFI20240703BHJP
   B66B 29/02 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B66B23/12 G
B66B29/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075006
(22)【出願日】2024-05-03
(62)【分割の表示】P 2019103441の分割
【原出願日】2019-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】305048990
【氏名又は名称】株式会社ワークス・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】大賀 信幸
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA11
3F321CB11
3F321CB13
3F321FA14
3F321GA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】利用者が乗るステップの左右の位置のうち、どちら側で停止して乗ればよいか、あるいはどちら側を歩行する利用者のために空けるかを、利用者が認識しやすい踏板、及びエスカレーターを提供する。
【解決手段】エスカレーターのステップの移動方向に対して交差する長手方向において、右側及び左側の一方を構成する第一領域と、他方を構成する第二領域とが形成されるものであり、第一領域及び第二領域のうち少なくとも一方に、所定の目印20が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレーターのステップを構成する踏板であって、
エスカレーターのステップの移動方向に対して交差する長手方向において、右側及び左側の一方を構成する第一領域と、他方を構成する第二領域とが形成されるものであり、
前記第一領域及び前記第二領域のうち少なくとも一方に、所定の目印が設けられていることを特徴とする踏板。
【請求項2】
前記踏板の上方となる上方面の領域の一部を窪ませた凹部が形成されており、
前記凹部の輪郭がなす形状により、前記目印が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の踏板。
【請求項3】
前記上方面には、外縁の一端から他端に至るように複数の筋状部が形成されており、
前記凹部が、前記筋状部の上方端の一部を切削することにより形成されているものであることを特徴とする請求項2に記載の踏板。
【請求項4】
前記目印が、着色により形成されているものであることを特徴とする請求項1に記載の踏板。
【請求項5】
前記目印が、停止することを示唆するものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の踏板。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかの踏板を備えることを特徴とするエスカレーター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏板、及びエスカレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公共施設や商業施設などの施設でエスカレーターが設置され、利用者の利便に供されている。一般的なエスカレーターとして、ひとつのステップに利用者二人が並んで乗れるステップ幅を有するエスカレーターが提供されている。例えば、下記特許文献には、ひとつのステップに利用者二人が乗ることができるエスカレーターが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-199588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エスカレーターを利用者が利用する際に、急いでいる利用者が空いている側のステップを歩行する慣習がある。具体的には、利用者二人が並んで乗れるエスカレーターにおいては、利用者はエスカレーターのステップの左側又は右側に停止して乗り、その反対側を空けるという習慣が発生している。
【0005】
ここで、ステップの左側及び右側のうち、いずれ側で停止して乗るか、歩行する利用者のためにいずれの側を空けておくかといった慣習は、地域によって異なる。そのため、その地域に不慣れな利用者が、エスカレーターを利用する際にどちら側で停止して乗るかといったことに戸惑う、あるいは間違えるといったことが発生している。エスカレーターの左右どちら側が停止又は歩行する側であるかを一目で認識することができれば、その地域に不慣れな利用者の戸惑いや間違いを低減することが期待できる。
【0006】
そこで本発明は、利用者が乗るステップの左右の位置のうち、どちら側で停止して乗ればよいか、あるいはどちら側を歩行する利用者のために空けるかを、利用者が認識しやすい踏板、及びエスカレーターの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決すべく提供される本発明の踏板は、エスカレーターのステップを構成する踏板であって、エスカレーターのステップの移動方向に対して交差する長手方向において、右側及び左側の一方を構成する第一領域と、他方を構成する第二領域とが形成されるものであり、前記第一領域及び前記第二領域のうち少なくとも一方に、所定の目印が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の踏板によれば、利用者が乗るステップの左右の位置のうち、どちら側で停止して乗ればよいか、あるいはどちら側を歩行する利用者のために空けるかを、利用者が目印を指標として認識しやすくなる。そのため、本発明の踏板は、地域に不慣れな利用者の戸惑いや間違いを低減させることができる。
【0009】
ここで、エスカレーターの踏板は、長手方向に交差する方向(移動方向)に複数の溝が形成されている。そのため、踏板に目印を設けるために塗料などを塗って着色した場合、溝に塗料が落ちてにじむことが想定される。また、塗料などを踏板に塗ると、次第に塗料が摩擦により剥がれていくことが想定される。
【0010】
そのため、本発明の踏板は、前記踏板の上方となる上方面の領域の一部を窪ませた凹部が形成されており、前記凹部の輪郭がなす形状により、前記目印が形成されているものとするとよい。
【0011】
上述の構成によれば、凹部により形成される陰影により目印を視認することができるとともに、塗料等が剥がれて目印の視認が困難になるといった懸念を回避することができる。
【0012】
また、本発明の踏板は、前記上方面には、外縁の一端から他端に至るように複数の筋状部が形成されており、前記凹部が、前記筋状部の上方端の一部を切削することにより形成されているものであってもよい。
【0013】
上述の構成によれば、凹部により形成される陰影により目印を視認することができるとともに、塗料等が剥がれて目印の視認が困難になるといった懸念を回避することができる。
【0014】
本発明の踏板は、前記目印が、着色により形成されているものであってもよい。
【0015】
上述の構成によれば、より柔軟に目印を構成し得る。
【0016】
本発明の踏板は、前記目印が、停止することを示唆するものであるとよい。
【0017】
上述の構成によれば、エスカレーターを停止して乗ることを促進することができる。
【0018】
本発明のエスカレーターは、上述したいずれかの踏板を備えることを特徴とするものである。
【0019】
本発明のエスカレーターによれば、利用者が乗るステップの左右の位置のうち、どちら側で停止して乗ればよいか、あるいはどちら側を歩行する利用者のために空けるかを、利用者が目印を指標として認識しやすくなる。そのため、本発明のエスカレーターは、地域に不慣れな利用者の戸惑いや間違いを低減させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、利用者が乗るステップの左右の位置のうち、どちら側で停止して乗ればよいか、あるいはどちら側を歩行する利用者のために空けるかを、利用者が認識しやすい踏板、及びエスカレーターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るエスカレーターを示している。
図2図1のエスカレーターのステップを示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る踏板を示す斜視図である。
図4図3の踏板を示す正面図である。
図5図3の踏板を示す平面図である。
図6図3の踏板の図5におけるA-A´線断面図である。
図7図3の踏板の右側面図である。
図8図3の踏板が複数配置されたエスカレーターを示す概念図である。
図9図3の踏板の目印の第二の例を示す平面図である。
図10図3の踏板の第三、及び第四の例を示す平面図である。
図11図3の踏板の第五、第六、第七の例を示す模式図である。
図12図3の踏板をエスカレーターに配置させた例を示す模式図である。
図13図1のエスカレーターを示す斜視図である。
図14図1のエスカレーターを示す平面図である。
図15図1のエスカレーターを示す右側面図である。
図16図1のエスカレーターを示す底面図である。
図17図1のエスカレーターを示す正面図である。
図18図1のエスカレーターを示す背面図である。
図19図1に示すエスカレーターのデッキ板を示す斜視図である。
図20図1に示すエスカレーターのデッキ板を示す六面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るエスカレーター1及び踏板10について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に示すとおり、エスカレーター1は、無端状に連結された複数のステップ30を駆動させて利用者Pを移動させる装置である。ステップ30は、乗り場2(図1の例では下方側)から降り場3(図1の例では上方側)に向かって移動する。なお、以下の説明では、ステップ30の移動方向を、単に「移動方向X」と記載する場合がある。また、本実施形態では、上方に向かってステップ30が移動する場合(上り)を挙げて説明するが、エスカレーター1は、ステップ30が下方に向けて移動するもの(下り)であってもよい。
【0024】
図1に示すとおり、エスカレーター1には、複数のステップ30により階段形状が構成されている。図2に示すとおり、ステップ30は、乗客が足を乗せる踏板10と、階段形状の蹴上げに相当するライザ部22とを備えている。ステップ30は、踏板10及びライザ部20により、階段形状が形成されている。なお、複数のステップ30は、全て同様の構成を有している。ステップ30は、踏板10が階段形状の踏み部を形成しており、ライザ部20が階段形状の立ち上がり部を形成している。
【0025】
本実施形態のエスカレーター1は、ひとつのステップ30に利用者Pが二人乗ることができる(図8参照)。このように二人の利用者Pが乗ることができるエスカレーター1では、ステップ30の片側に利用者Pが停止して乗り、ステップ30の他方の側を急いでいる利用者Pが歩行する習慣があり、ステップ30の右側及び左側のうちいずれの側を歩行するかは、地域によって異なる(例えば関東ではステップ30の左側で利用者が停止して乗り、関西ではステップ30の右側で利用者が停止して乗るといった習慣がある)。
【0026】
図5に示すとおり、踏板10は、平面視において、ステップ30の移動方向Xに対して交差するような略長方形の形状を有する板状の部材である。図7には、踏板10の右側面図を示している。なお、踏板10の左側面図は、右側面図と対称となるため図示を省略している。図3図4の正面図に示すとおり、踏板10の上方面10aには、外縁の一端から他端に至る複数の筋状部12が、平行に並ぶように形成されている。なお、踏板10の背面図は、正面図と対称となるため省略している。図5に示すとおり、筋状部12は、長手方向Yに交差する方向(奥行き方向D)に沿うように形成されている。図6に示すとおり、筋状部12と筋状部12との間には、溝14が形成されている。
【0027】
上述のとおり、ひとつの踏板10(一段のステップ30)には、利用者Pが二人乗ることができる。すなわち、踏板10には、長手方向Yの両側において、利用者Pが乗る祭に右側及び左側のうちいずれかを形成する二つの領域が形成されている。図5に示すとおり、踏板10には、移動方向Xに対して左側を構成する第一領域R1と、右側を構成する第二領域R2とが形成されている。
【0028】
図3等に示すとおり、踏板10には、目印20が形成されている。本実施形態の目印20は、上方面10aに窪みを形成することにより設けられている。より具体的に説明すると、図6に示すとおり、踏板10には、複数の筋状部12のうち一部の筋状部12の上方端の一部を切削することにより、上方面10aの一部を窪ませた凹部16が設けられている。本実施形態の凹部16は、他の筋状部12に対して距離L分切削して窪ませたものとされている。踏板10には、凹部16の輪郭(上方面10aの窪み領域の輪郭)がなす形状により、所定の形状として視認される目印20が形成されている。具体的には、凹部16の輪郭近傍に陰影が形成されて、図形として視認可能となる。
【0029】
図5に示すとおり、本実施形態の踏板10は、目印20を移動方向Xに対して左側となる第一領域R1に設けたものとされている。また、本実施形態の目印20は、長手方向Yに延びるような略長方形の形状とされている。
【0030】
図8に示すとおり、複数の踏板10をエスカレーター1に配置させると、エスカレーター1の左側に利用者Pの歩行方向(ステップ30の移動方向X)に対して、視覚的に歩行を阻止するような印象を与える意匠を構成することができる。言い方を換えれば、踏板10は、利用者Pに停止して乗るべき位置が左側であることを示唆することができる。これにより、左側が停止して乗る位置であることを利用者Pが認識しやすくなる。
【0031】
なお、本実施形態の踏板10では、凹部16を設けることにより目印20を形成した例を示したが、本発明の踏板はこれに限定されない。例えば、本発明の踏板の目印は、上方面10aに塗料等により着色を施すことにより形成してもよい。
【0032】
次いで、踏板10に形成される目印20の他の例について説明する。上述の実施形態の踏板10では、停止して乗るべきことを示唆する目印20を左側の第一領域R1に設けた例を示したが(図9(a)参照)、図9(b)に示すとおり、停止して乗るべきことを示唆する目印120を右側の第二領域R2に設けてもよい。
【0033】
また、上述の実施形態では、第一領域R1に目印20を設けて第二領域R2に目印20を設けないものとした例を示したが、本発明の踏板はこれに限定されない。例えば、図10(a)に示すとおり、本発明の踏板は、第一領域R1及び第二領域R2の双方(左側及び右側)に目印が設けられたものであってもよい。その場合、図10(a)に示すとおり、第一領域R1及び第二領域R2の一方には停止して乗るべきことを示唆する目印121aとして、他方には歩行を許容することを示唆する目印121bが設けられることが望ましい。
【0034】
また、本発明の踏板は、例えば図10(b)に示すとおり、第一領域R1及び第二領域R2のうち一方(図10(b)の例では第二領域R2)に歩行を許容することを示唆する目印122が設けられたものであってもよい。
【0035】
さらに、本発明の踏板は、第一領域R1及び第二領域R2のうち一方に、複数の目印は設けられたものであってもよい。例えば、図11(a)に示すとおり、踏板10は、第一領域R1に、複数の図形を含む目印123としてもよい。また、本発明の踏板に設けられる目印は、略長方形、円形、星型等、いかなる形状であってもよい。さらに、図11(b)及び(c)に示すとおり、本発明の踏板は、文字として視認可能な目印(例えば、「止」の文字として視認可能な目印124や「STOP」の文字として視認可能な目印125)が設けられたものであってもよい。
【0036】
図13及び図14には、本発明の実施形態に係る踏板10を備えるエスカレーター1を示している。図13及び図14では実線で示されている部分(エスカレーター1の部分)は、踏板10を示しており、その他の部分を破線で示している。図13等に示すとおり、エスカレーター1には、全ての踏板10に目印20が設けられている。図15には、エスカレーター1の右側面図を示している。なお、エスカレーター1は、左右対称であり、左側面図は右側面図と対称となるため図示を省略している。
【0037】
なお、本発明のエスカレーターは、全ての踏板に目印が設けられたものであってもよいし(図12(a)参照)、複数の踏板のうち一部の踏板に目印が設けられたものであってもよい。例えば、図12(b)に示すとおり、本発明のエスカレーターは、目印が設けられていない踏板に対して目印が設けられた踏板が所定の間隔で配置されているものであってもよい。
【0038】
また、目印は、塗料を塗ったり、窪みを形成することで設けられる形態について説明したが、いわゆるプロジェクションマッピングのように光を投影することにより踏板に表示されてもよい。このとき、光源は、エスカレーターの手すり部分に設けられるとよい。そのようにすれば、エスカレーターの手すりが、エスカレーターの踏板と同期して移動するため、踏板に表示された目印の形が容易に維持される。
【0039】
なお、踏板には、図19および図20に示すようなエスカレーター用のデッキ板も含んでもよい。図19は、エスカレーターのデッキ板を示す斜視図であり、図20は、エスカレーターのデッキ板を示す六面図であり、図20(A)は正面図、図20(B)は左側面図、図20(C)は平面図、図20(D)は右側面図、図20(E)は背面図、図20(F)は底面図である。
【0040】
デッキ板に目印を設けた場合、エスカレーターの上りと下りを変更して可動した場合であっても、エスカレーターの搭乗者にとって同一方向にのみ目印を表示することができる。すなわち、上りのエスカレーターにおいては、下側のデッキ板のみが搭乗時に搭乗者に視認され、下りのエスカレーターにおいては、上側のデッキ板のみが搭乗時に搭乗者に視認される。これにより、下側のデッキ板と上側のデッキ板で異なる側に目印を設けることにより、エスカレーターの搭乗者にとって同一方向にのみ目印を表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、公共施設や商業施設等に設置されるエスカレーターとして、好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 エスカレーター
10 踏板
12 筋状部
16 凹部
20 目印
30 ステップ
120 目印
121a 目印
121b 目印
122 目印
123 目印
124 目印
125 目印
X 移動方向
Y 長手方向
R1 第一領域
R2 第二領域

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20