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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095845
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】エアコン室外機用保護カバー
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/58 20110101AFI20240704BHJP
【FI】
F24F1/58
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205265
(22)【出願日】2022-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100121474
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 恵一
(72)【発明者】
【氏名】奥野 英二
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA01
3L054BB02
3L054BB03
(57)【要約】
【課題】強度及び施工性に優れたエアコン室外機用保護カバーを提供する。
【解決手段】このエアコン室外機用保護カバーは、エアコン室外機の周囲に配置される正面パネル部材、背面パネル部材、左側面パネル部材4、右側面パネル部材及び天面パネル部材からなる。各パネル部材は、棒状鋼材からなる縦桟と長尺状の平鋼材からなる横桟を交差させた格子状に形成されている。さらに正面パネル部材は2枚のパネルからなり、そのうちの下側正面パネル2bの両側部に自立用仮止め係合部として機能する係合溝27を設けるとともに、左側面パネル部材4に自立用仮止め被係合部として機能する係合突起45bを設ける。そして、両者を係合させたときに下側正面パネル2bと左側面パネル部材4とが自立可能な状態でL字状に仮止め保持されるようにする。この仮止め保持された自立状態のものに他のパネル部材を順次組み付けていく。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコン室外機の周囲に設置可能なエアコン室外機用保護カバーであって、
前記カバーは、少なくとも、前記エアコン室外機の正面側又は背面側に立設される第1パネル部材と、前記エアコン室外機の左側面側又は右側面側に立設される第2パネル部材とを備え、
前記第1及び第2パネル部材はいずれも2方向の桟が交差する格子状で、かつ、前記2方向の桟の少なくとも一方が長尺状の平鋼材で構成されており、
前記第1及び第2パネル部材には、それぞれ、両者を自立可能な状態で仮止め保持するための自立用仮止め係合部及び被係合部が設けられていることを特徴とするエアコン室外機用保護カバー。
【請求項2】
前記自立用仮止め係合部及び被係合部を係合させて前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とを自立させたときに、前記第1パネル部材又は前記第2パネル部材の一方の下框が地面に接地していることを特徴とする請求項1に記載のエアコン室外機用保護カバー。
【請求項3】
前記2方向の桟が縦桟及び横桟で構成されており、前記縦桟又は横桟の一方が長尺状の平鋼材で、他方が棒状鋼材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアコン室外機用保護カバー。
【請求項4】
前記第1及び第2パネル部材には、それぞれ、前記自立用仮止め係合部及び被係合部に加えて、さらに両者を本固定するために仮係止しておくための本固定用仮止め係止部及び被係止部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエアコン室外機用保護カバー。
【請求項5】
前記自立用仮止め係合部及び被係合部を係合させて前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とを自立させたときは、前記第1パネル部材又は前記第2パネル部材の一方の下框が地面に接地しているのに対し、前記本固定用仮止め係止部及び被係止部を係止させたときは、当該一方のパネル部材の下框が地面から離隔していることを特徴とする請求項4に記載のエアコン室外機用保護カバー。
【請求項6】
前記自立用仮止め係合部又は被係合部の一方が前記本固定用仮止め係止部又は被係止部を兼用していることを特徴とする請求項4に記載のエアコン室外機用保護カバー。
【請求項7】
前記カバーが高さ調整可能な脚部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のエアコン室外機用保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアコン室外機の周囲に設置されるエアコン室外機用保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エアコン室外機の周囲を覆うエアコン室外機用カバーが考案されている(例えば特許文献1及び2)。かかる従来のエアコン室外機用カバーは主に戸建住宅や集合住宅等の家庭用の小型室外機を対象としているものが多かった。
【0003】
一方、学校や大型施設に設置されるエアコン室外機は大型のものが多く、それに必要なカバーも必然的に大型のものが要求される。しかし、そのような大型のカバーは既製品が少ないため、工務店等の専門業者に設計・施工を依頼してネットフェンスでカバーを構築することも少なくなかった。
【0004】
また、学校等の施設ではエアコン室外機が運動場や広場に面していることも多く、ボール(例えば硬式野球の硬球等)が直撃したときの強い衝撃からそれを保護する必要があった。このため、それに用いるカバーにも相応の強度が要求された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3219089号公報
【特許文献2】登録実用新案第3195323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、工務店等に依頼すると、設計費用や設置費用が必要になる上、施工完了までに時間を要するという問題があった。
【0007】
また、ネットフェンスを利用してカバーを構築した場合、線材をメッシュ状に編み合わせたものであるため、ボール等が当たった衝撃でカバー自体が変形したり、破損したりするおそれがあり、カバー自体の強度は必ずしも十分ではなかった。
【0008】
他方、カバー自体の強度を上げようとすると、一般にカバー自体の重量も大きくなり、施工性に劣ることになる。特に、工務店等の施工業者に依頼するのではなく、自前でカバーを組み立てる場合、カバーを構成する個々のパネル自体の重量が大きいと、独力での組み立ては困難になる。
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、強度及び施工性に優れたエアコン室外機用保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成したことを特徴する。
すなわち、本発明は、エアコン室外機の周囲に設置可能なエアコン室外機用保護カバーであって、
前記カバーは、少なくとも、前記エアコン室外機の正面側又は背面側に立設される第1パネル部材と、前記エアコン室外機の左側面側又は右側面側に立設される第2パネル部材とを備え、
前記第1及び第2パネル部材はいずれも2方向の桟が交差する格子状で、かつ、前記2方向の桟の少なくとも一方が長尺状の平鋼材で構成されており、
前記第1及び第2パネル部材には、それぞれ、両者を自立可能な状態で仮止め保持するための自立用仮止め係合部及び被係合部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
ここで、本発明に用いられる第1及び第2パネル部材は、ネットフェンスのように線材をメッシュ状に編み合わせたものではなく、格子を構成する2方向の桟のうちの少なくとも一方は長尺状の平鋼材で構成されているため、強度に優れているとともに、比較的重量が大きいものである。その典型例として、グレーチング用の素材である格子状鋼材を挙げることができる。このようなグレーチング用の格子状鋼材は一般に強度が高く、頑丈で、これをパネルとして用いてカバーを構成した場合は外的衝撃からの保護作用も高いが、他方でそれ自体の重量も大きいため(それによって覆われれる室外機の大きさにもよるが、例えば一面を構成するパネル一枚当たりの重量が約5~10kg)、一般に施工性に劣ることになる。
【0012】
しかし、本発明においては、第1及び第2パネル部材を自立可能な状態で仮止め保持するための自立用仮止め係合部及び被係合部が設けられているため、本固定する前にこれらを互いに係合させることにより第1及び第2パネル部材を仮止め状態で自立させることができる。このため、この状態のまま他のパネル部材を順次組み付けていくことができる。
【0013】
ここで、本発明の好適な実施態様の一つとして、前記自立用仮止め係合部及び被係合部を係合させて前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とを自立させたときに、前記第1パネル部材又は前記第2パネル部材の一方の下框が地面に接地しているように構成してもよい。
【0014】
また、本発明の好適な実施態様の一つとして、前記2方向の桟が縦桟及び横桟で構成されており、前記縦桟又は横桟の一方が長尺状の平鋼材で、他方が棒状鋼材で構成されていてもよい。
【0015】
また、本発明の好適な実施態様の一つとして、前記第1及び第2パネル部材には、前記自立用仮止め係合部及び被係合部に加えて、さらに両者を本固定するために仮係止しておくための本固定用仮止め係止部及び被係止部がそれぞれ設けられていてもよい。
【0016】
また、本発明の好適な実施態様の一つとして、前記自立用仮止め係合部及び被係合部を係合させて前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とを自立させたときは、前記第1パネル部材又は前記第2パネル部材の一方の下框が地面に接地しているのに対し、前記本固定用仮止め係止部及び被係止部を係止させたときは、当該一方のパネル部材の下框が地面から離隔しているように構成してもよい。
【0017】
さらに、本発明の好適な実施態様の一つとして、前記自立用仮止め係合部又は被係合部の一方が前記本固定用仮止め係止部又は被係止部を兼用しているように構成してもよい。
【0018】
さらに、本発明の好適な実施態様の一つとして、前記カバーが高さ調整可能な脚部を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1及び第2パネル部材は2方向の桟が交差する格子状で、かつ、そのうちの少なくとも一方が長尺状の平鋼材で構成されているため、強度が高く、外部からの強い衝撃に対してもエアコン室外機を有効に保護することができる。
【0020】
また、第1及び第2パネル部材を自立可能な状態で仮止め保持するための自立用仮止め係合部及び被係合部が設けられているため、本固定する前にこれらを係合させることにより第1及び第2パネル部材を仮止め状態で自立させることができる。そして、この状態のまま他のパネル部材を順次組み付けていけばよいため、組立て途中のパネル部材を手で支えながら他のパネル部材をそれに組み付けていくという煩雑な作業を行う必要がない。この結果、各パネル部材の重量が大きい場合であっても、保護カバーを容易に組み立てることができる。
【0021】
以上のとおり、本発明によれば、一方で強度が高く、外部からの強い衝撃に対してエアコン室外機を有効に保護することができるという利点を有しながら、他方で各パネル部材の重量に起因する施工性の低さないし組立て時の煩雑さを克服して、施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係るエアコン室外機用保護カバーの概略配置図。
図2】上記実施形態における正面パネル部材の斜視図であり、(A)は上側正面パネルの斜視図、(B)は下側正面パネルの斜視図。
図3】上記実施形態における背面パネル部材の斜視図であり、(A)は上側背面パネルの斜視図、(B)は下側背面パネルの斜視図。
図4】上記実施形態における左側面パネル部材及び右側面パネル部材の斜視図。
図5】上記実施形態における左側面パネル部材及び右側面パネル部材を図4とは異なる方向から見た斜視図。
図6】上記実施形態における天面パネル部材の斜視図。
図7】上記実施形態における左側面パネル部材と下側正面パネルとを仮止めする様子を示す図。
図8】上記実施形態における左側面パネル部材と上側正面パネル及び下側正面パネルとの対応関係を示す概略図。
図9】(A)は上記実施形態における高さ調整用アンカープレートの正面図、(B)は左側面図、(C)は平面図。
図10】上記実施形態に係る保護カバーの組立手順を説明するための図(左側面パネル部材と下側正面パネルとを仮止めした状態を示す)。
図11】上記実施形態に係る保護カバーの組立手順を説明するための図(次いでそれに右側面パネル部材を仮止めした状態を示す)。
図12】上記実施形態に係る保護カバーの組立手順を説明するための図(さらにそれに下側背面パネルを本固定した状態を示す)。
図13】上記実施形態に係る保護カバーの組立手順を説明するための図(さらにそれに上側背面パネルを本固定した状態を示す)。
図14】上記実施形態に係る保護カバーの組立手順を説明するための図(その状態で下側正面パネルを本固定した状態を示す)。
図15】上記実施形態に係る保護カバーの組立手順を説明するための図(さらにそれに上側正面パネルを本固定した状態を示す)。
図16】上記実施形態に係る保護カバーの組立手順を説明するための図(最後に天面パネル部材を組み付けた状態を示し、同保護カバーの組立てが完了した状態を示す)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0024】
〔1〕概要(全体的構成)
図1及び図16に示すとおり、本発明の実施形態に係るエアコン室外機用保護カバー1(以下、単に「保護カバー1」という。)は、エアコン室外機A(図1では2台のエアコン室外機が図示されているが、これはあくまで例示であり、ここでは両者を併せて「エアコン室外機A」という。)の底面を除いてその四囲及び上方を覆うべく直方体形状に構成されており、同室外機Aの正面側に配置される正面パネル部材2と、背面側に配置される背面パネル部材3と、左側面側に配置される左側面パネル部材4と、右側面側に配置される右側面パネル部材5と、その上方に配置される天面パネル部材6とを備えている。各パネル部材2~6は鋼材製で、そのいずれにも耐食性に優れた溶融亜鉛メッキが施されている。
【0025】
このうち、正面パネル部材2及び背面パネル部材3は、それぞれ、さらに2枚の要素パネルを備えている。具体的には、正面パネル部材2は上側正面パネル2aと下側正面パネル2bとを備えており(図2)、背面パネル部材3は上側背面パネル3aと下側背面パネル3bとを備えている(図3)。これら上側正面パネル2a及び下側正面パネル2b並びに上側背面パネル3a及び下側背面パネル3bはいずれも横長の矩形状(長方形状)に形成されているとともに、各パネル面は格子状に形成されており、格子の目の隙間を通してその表裏(保護カバー1として構築された場合は内外)を空気が通過できるように連通状態になっている。
【0026】
他方、図4及び図5に示すとおり、左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5はいずれも同一の構成からなり、縦長の矩形状(長方形状)に形成されているとともに、そのいずれにおいても両側部(正面寄りの側部及び背面寄りの側部)の下方には脚部4a・4a及び脚部5a・5aが設けられている。このため、左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5を立設させると、脚部4a・4aの間及び脚部5a・5aの間にそれぞれ大きな隙間(空間)ができるようになっている。そして、左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5についても、そのパネル面は格子状に形成されており、格子の目の隙間を通してその表裏(保護カバー1として構築された場合は内外)を空気が通過できるように連通状態になっている。
【0027】
さらに、図6に示すとおり、天面パネル部材6も横長の矩形状(長方形状)に形成されており、そのパネル面は格子状に形成されている。そして、格子の目の隙間を通してその表裏(保護カバー1として構築された場合は内外)を空気が通過できるように連通状態になっている。
【0028】
このように、正面パネル部材2(上側正面パネル2a及び下側正面パネル2b)、背面パネル部材3(上側背面パネル3a及び下側背面パネル3b)、左側面パネル部材4、右側面パネル部材5、及び天面パネル部材6はいずれも格子状に形成されており、十分な通気性を備えている点で共通する。本実施形態の保護カバー1は、このようなパネル部材2~6を組み付けることにより構成される。
以下、各パネル部材2~6の構成について詳述する。
【0029】
〔2〕正面パネル部材2
図2に示すとおり、正面パネル部材2を構成する上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bはいずれも横長の矩形状(長方形状)の鋼材製の枠体21a・21bと、該枠体21a・21bの内部で直交する鋼材製の複数の縦桟22a・22b及び横桟23a・23bとからなる。このうち、各縦桟22a・22bは棒状鋼材(直径5mm)からなり、各横桟23a・23bは長尺状の平鋼材(SS400 3mm×19mm)からなる。各横桟23a・23bは平鋼材の平らな面が正面パネル部材2の厚さ方向と平行となるように枠体21a・21bに取り付けられており、各縦桟22a・22bはこの平らな面と直交するように枠体21a・21bに取り付けられている。具体的には、本実施形態における上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bはグレーチング用の格子状鋼材で構成されており、縦桟22a・22bがいわゆるクロスバー、横桟23a・23bがメインバーと呼ばれるものに相当する。本実施形態における上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bの重量は比較的重く、いずれの重量も6.6kgである。
【0030】
上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bのうち、まず、上側正面パネル2aについて説明すると、図2(A)に示すとおり、上側正面パネル2aの両側部に位置する縦框24a・24aには、それぞれ、その中央部に切欠状の係合溝25aが形成されているとともに、その上端付近及び下端付近の2箇所にボルト孔26a・26aが形成されている。このうち、係合溝25aは、開口部が下方に位置し、溝内奥がその上方に位置するように縦框24aの側端部から切り欠かれた形状を有しており、後述するとおり、左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5の正面寄りの支柱部材41・51にそれぞれ設けられた係合突起45a・55aと係脱自在に係合できるようになっている(図4・8)。他方、各ボルト孔26aは、同じく左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5の正面寄りの支柱部材41・51にそれぞれ設けられたボルト孔44a及びボルト孔54aと合致する位置に設けられており、一方の縦框24aの各ボルト孔26aと左側面パネル部材4の正面寄りの各ボルト孔44a及び他方の縦框24aの各ボルト孔26aと右側面パネル部材5の正面寄りの各ボルト孔54aをそれぞれ位置合わせした上で図示しないボルト及びナットで締結することにより、上側正面パネル2aと左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5とを固定(本固定)することができるようになっている。
【0031】
ここで、上側正面パネル2aにおける係合溝25aとボルト孔26aとの位置関係について説明すると、各係合溝25aをそれぞれ左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5における正面寄りの係合突起45a・55aに係合させたときに、上側正面パネル2aの各ボルト孔26aの位置と左側面パネル部材4における正面寄りの各ボルト孔44aの位置及び右側面パネル部材5における正面寄りの各ボルト孔54aの位置とがそれぞれ合致するという関係になっている。すなわち、各係合溝25aをそれぞれ左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5における正面寄りの係合突起45a・55aに係合させることにより、上側正面パネル2aの各ボルト孔26aと左側面パネル部材4における正面寄りの各ボルト孔44a及び右側面パネル部材5における正面寄りの各ボルト孔54aとの位置合わせも同時に行われるという関係になっている。この係合溝25aが本発明の「本固定用仮止め係止部」に相当し、左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5における正面寄りの係合突起45a・55aが本発明の「本固定用仮止め被係止部」に相当する。
【0032】
次に、下側正面パネル2bについて説明する。
下側正面パネル2bは上側正面パネル2aとほぼ同様の構成を有するが、係合溝の個数において相違する。具体的には、図2(B)に示すとおり、下側正面パネル2bの両側部に位置する縦框24b・24bには、それぞれ、その中央部及び上端付近の2箇所に前記係合溝25aと同一構成の係合溝25b・27が形成されている。この係合溝25b・27についても、後述するとおり、左側面パネル部材4の正面寄りの支柱部材41に設けられた係合突起45b及び右側面パネル部材5の正面寄りの支柱部材51に設けられた係合突起55bとそれぞれ係脱自在に係合できるようになっている。下側正面パネル2bのその他の構成は上側正面パネル2aとほぼ同様である。特に下側正面パネル2bの各縦框24bにボルト孔26bが2つ形成されている点、及び、これらのボルト孔26b・26bが左側面パネル部材4の正面寄りの支柱部材41に設けられたボルト孔44b・44b及び右側面パネル部材5の正面寄りの支柱部材51に設けられたボルト孔54b・54bと合致する位置に設けられている点、一方の縦框24bの各ボルト孔26bと左側面パネル部材4の正面寄りの各ボルト孔44b及び他方の縦框24bの各ボルト孔26bと右側面パネル部材5の正面寄りの各ボルト孔54bとをそれぞれ位置合わせした上で図示しないボルト及びナットで締結することにより下側正面パネル2bと左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5とを固定(本固定)することができる点は、上側正面パネル2aの場合と同様である。
【0033】
ここで、下側正面パネル2bに係合溝が2つ設けられている理由について説明すると、まず、下側正面パネル2bの各縦框24b・24bの中央部に設けられた係合溝25b・25bは、それぞれ、後述する左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5における正面寄りの係合突起45b・55bと係脱自在に係合できるようになっており、前述した上側正面パネル2aの係合溝25aと同様の機能を有するものである。すなわち、この係合溝25b・25bをそれぞれ左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5における正面寄りの係合突起45b・55bに係合させると、下側正面パネル2bのボルト孔26b・26bの位置と左側面パネル部材4における正面寄りのボルト孔44b・44b及び右側面パネル部材5における正面寄りのボルト孔54b・54bの位置とがそれぞれ合致するという関係になっており(図8)、この係合溝25b・25bをそれぞれ上記係合突起45b・55bに係合させることにより、下側正面パネル2bの各ボルト孔26b・26bと左側面パネル部材4の上記各ボルト孔44b・44b及び右側面パネル部材5の上記各ボルト孔54b・54bとの位置合わせも同時に行われるという関係になっている。
【0034】
また、この係合溝25b・25bをそれぞれ上記係合突起45b・55bに係合させると、下側正面パネル2bの下框28(枠体21bの下辺を構成する部分)が地面(保護カバー1を設置する設置面)から離隔して、その下方に大きな隙間が形成されるようになっている。下側正面パネル2bのボルト孔26b・26bと左側面パネル部材4の上記ボルト孔44b・44b及び右側面パネル部材5の上記ボルト孔54b・54bとをそれぞれ合致させてボルト固定(本固定)した場合も同様である。この係合溝25b・25bが本発明の「本固定用仮止め係止部」に相当し、左側面パネル部材4における正面寄りの係合突起45b及び右側面パネル部材5における正面寄りの係合突起55bが本発明の「本固定用仮止め被係止部」に相当する。
【0035】
他方、下側正面パネル2bの縦框24b・24bの上端付近に設けられた係合溝27・27も、左側面パネル部材4の正面寄りに設けられた係合突起45b及び右側面パネル部材5の正面寄りに設けられた係合突起55bと係脱自在に係合できるようになっている点では中央部に設けられた係合溝25b・25bと同様であるが、本固定用のものではない点で相違する。具体的には、図7及び図8に示すとおり、この下側正面パネル2bの縦框24b・24bの上端付近に設けられた係合溝27・27を左側面パネル部材4の正面寄りの係合突起45b又は右側面パネル部材5の正面寄りの係合突起55bに係合させると、下側正面パネル2bの下框28が地面に接地するようになっており、これにより、例えば、この係合溝27を左側面パネル部材4の正面寄りの係合突起45bに係合させることにより、下側正面パネル2bと左側面パネル部材4とがL字形に組み付けられて仮止め保持されるとともに、下側正面パネル2bの下框28と左側面パネル部材4の2本の脚部4a・4aとが接地することによりこの状態で自立させることができるようになっている。
【0036】
この点は、他方の縦框24bの係合溝27を右側面パネル部材5の正面寄りの係合突起55bに係合させた場合も同様である。すなわち、この係合溝27を右側面パネル部材5の正面寄りの係合突起55bに係合させることにより、下側正面パネル2bと右側面パネル部材5とがL字形に組み付けられて仮止め保持されるとともに、下側正面パネル2bの下框28と右側面パネル部材5の2本の脚部5a・5aとが接地することによりこの状態で自立させることができるようになっている。
【0037】
この係合溝27・27が本発明の「自立用仮止め係合部」に相当し、左側面パネル部材4における正面寄りの係合突起45b又は右側面パネル部材5における正面寄りの係合突起55bが本発明の「自立用仮止め被係合部」に相当する。本実施形態では、左側面パネル部材4の正面寄りの係合突起45b及び右側面パネル部材5の正面寄りの係合突起55bがそれぞれ「自立用仮止め被係合部」であると同時に「本固定用仮止め被係止部」でもあるように構成されており、この意味で本実施形態では「自立用仮止め被係合部」と「本固定用仮止め被係止部」とが兼用されるようになっている。
【0038】
上記のように構成された上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bを上下に配置した上で、それぞれを左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5に組み付けることにより正面パネル部材2は構成される。
【0039】
〔3〕背面パネル部材3
図3に示すとおり、背面パネル部材3を構成する上側背面パネル3a及び下側背面パネル3bについてもそれぞれ上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bとほぼ同様に構成されている。両者の相違は、縦桟を構成する棒状鋼材の本数のみである。具体的には、本実施形態における上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bにおける縦桟22a・22bの本数はそれぞれ22本であるのに対し、上側背面パネル3a及び下側背面パネル3bにおける縦桟32a・32bの本数はそれぞれその半分の11本となっている。したがって、縦桟32a・32bの本数が少ない分、上側背面パネル3a及び下側背面パネル3bはそれぞれ上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bより重量がやや軽く、いずれの重量も5.7kgである。なお、上側背面パネル3a及び下側背面パネル3bにおける横桟33a・33b(長尺状の平鋼材)の本数は、いずれも上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bにおける横桟23a・23bの本数と同一である。
【0040】
その他、上側背面パネル3aについてはその両側部に位置する縦框34aの中央部に切欠状の係合溝35aが形成されている点、下側背面パネル3bについてはその両側部に位置する縦框34bの中央部及び上端付近の2箇所に前記係合溝25b・27と同一構成の係合溝35b・37がそれぞれ形成されている点は、上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bの場合と同様である。そして、上側背面パネル3aの縦框34aの中央部に設けられた係合溝35aが本発明の「本固定用仮止め係止部」に相当し、左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5の背面寄りの支柱部材41・51に設けられた係合突起45a・55aが本発明の「本固定用仮止め被係止部」に相当する点も上側正面パネル2aの場合と同様である。また、下側背面パネル3bの縦框34bの中央部に設けられた係合溝35bが本発明の「本固定用仮止め係止部」に相当し、左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5の背面寄りの支柱部材41・51に設けられた係合突起45b・55bが本発明の「本固定用仮止め被係止部」に相当する点も、下側正面パネル2bの場合と同様である。
【0041】
さらに、下側背面パネル3bの縦框34b・34bの上端付近に設けられた係合溝37・37を左側面パネル部材4の背面寄りの係合突起45b又は右側面パネル部材5の背面寄りの係合突起55bに係合させると、下側背面パネル3bの下框38が地面に接地するようになっている点、これにより、この係合溝37・37を左側面パネル部材4の背面寄りの係合突起45b又は右側面パネル部材5の背面寄りの係合突起55bに係合させることで下側背面パネル3bと左側面パネル部材4又は右側面パネル部材5とがL字形に組み付けられて仮止め保持される点、このとき下側背面パネル3bの下框38と左側面パネル部材4の2本の脚部4a・4a又は右側面パネル部材5の2本の脚部5a・5aとが接地することにより両者を自立させることができるようになっている点も、下側正面パネル2bの場合と同様である。したがって、下側背面パネル3bの縦框34bの上端付近に設けられた係合溝37が本発明の「自立用仮止め係合部」に相当し、左側面パネル部材4の背面寄りの支柱部材41に設けられた係合突起45b又は右側面パネル部材5の背面寄りの支柱部材51に設けられた係合突起55bが本発明の「自立用仮止め被係合部」に相当する点、及び、「自立用仮止め被係合部」と「本固定用仮止め被係止部」とが兼用されるようになっている点も、下側正面パネル2bの場合と同様である。
【0042】
〔4〕左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5
左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5は同一の構成を有するため、以下では主に左側面パネル部材4について説明する。
図4及び図5に示すとおり、左側面パネル部材4は、両側部に設けられた2本の支柱部材41・41と、これら2本の支柱部材41・41の間で縦方向(支柱部材41・41と平行な方向)に設けられた複数の縦桟42と、前記2本の支柱部材41・41の間に横方向(支柱部材41・41と直交する方向)に架け渡された複数の横桟43とを備える。各縦桟42は棒状鋼材(直径5mm)からなり、各横桟43は長尺状の平鋼材(SS400 3mm×19mm)からなる。他方、2本の支柱部材41・41はいずれもL形のアングル鋼材からなり、同一の構成を有する。各横桟43は、平鋼材の平らな面が左側面パネル部材4の厚さ方向と平行となるように各支柱部材41・41のアングル(山形)を形成する一方の面部にその端部が固定されており、各縦桟42はこの平らな面と直交するように配置されている。但し、支柱部材41の下方には横桟43が設けられておらず、このため、2本の支柱部材41・41の間には大きな隙間(空間)が形成されるようになっている。換言すれば、2本の支柱部材41・41の下端部は最下端の横桟43からさらに下方に突出するようになっており、この突出する部位が左側面パネル部材4の脚部4a・4aに相当する。
【0043】
この脚部4aには、高さ調整用のアンカープレート70が設けられている。図9に示すとおり、この高さ調整用のアンカープレート70は略L字形の鋼製プレートからなり、L字を形成する一方の面部には1つの長孔70aが、他方の面部には2つの長孔70b・70bが形成されている。このうち、1つの長孔70aが形成された方の面部は地面に接地される接地部となっており、この長孔70aを通してアンカーボルト(不図示)で地面に固定できるようになっている。他方、2つの長孔70b・70bが形成された方の面部は支柱部材41のアングル(山形)を形成する一方の面部に重ね合わされた上でボルト固定されるようになっている。具体的には、各支柱部材41・41の下端部には、アンカープレート70の2つの長孔70b・70bと対応する位置にそれぞれ丸孔70c・70cが2つ形成されており(図4・5参照)、各長孔70b・70bと各丸孔70c・70cの位置を調整した上でボルト固定することにより、各脚部4aの長さ(高さ)を調整できるようになっている。これにより、設置面が平坦でない場合にも容易に対応することができる。
【0044】
支柱部材41のアングル(山形)を形成する他方の面部、すなわち、横桟43の端部が固定される面部とは異なる面部には、複数のボルト孔44a・44bが上下方向に沿って並設されている(図4参照)。このボルト孔44a・44bは、正面パネル部材2又は背面パネル部材3を固定(本固定)するためのものである。本実施形態では、各支柱部材41の中央より上側の領域に2つのボルト孔44a・44aが、同中央より下側の領域に2つのボルト孔44b・44bがそれぞれ設けられている(したがって合計4つ)。2本の支柱部材41・41の構成は同一なため、ここでは正面パネル部材2が固定される側の支柱部材41(2本の支柱部材41・41のうち正面寄りの支柱部材41)について説明すると、支柱部材41の中央より上側の領域に設けられた2つのボルト孔44a・44aは、上側正面パネル2aに設けられた2つのボルト孔26a・26aに対応し、支柱部材41の中央より下側の領域に設けられた2つのボルト孔44b・44bは、下側正面パネルに設けられた2つのボルト孔26b・26bに対応する。これらのボルト孔44a・44aとボルト孔26a・26a及びボルト孔44b・44bとボルト孔26b・26bをそれぞれ合致させた上で図示しないボルト及びナットで締結することにより、左側面パネル部材4に上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bがそれぞれ固定(本固定)されることになり、これにより正面パネル部材2が構築されることになる。
【0045】
以上の点は、背面パネル部材3が固定される側の支柱部材41(2本の支柱部材41・41のうちの背面寄りの支柱部材41)と背面パネル部材3(上側背面パネル3a及び下側背面パネル3b)との関係についても同様である。すなわち、2本の支柱部材41・41のうちの背面寄りの支柱部材41の中央より上側の領域に設けられた2つのボルト孔44a・44aは、上側背面パネル3aに設けられた2つのボルト孔36a・36aに対応し、同支柱部材41の中央より下側の領域に設けられた2つのボルト孔44b・44bは、下側背面パネル3bに設けられた2つのボルト孔36b・36bに対応する。これらのボルト孔44a・44aとボルト孔36a・36a及びボルト孔44b・44bとボルト孔36b・36bをそれぞれ合致させた上で図示しないボルト及びナットで締結することにより、左側面パネル部材4に上側背面パネル3a及び下側背面パネル3bが固定(本固定)されることになり、これにより背面パネル部材3が構築されることになる。
【0046】
また、各支柱部材41・41のボルト孔44a・44bが形成された面部には、頭付きピンからなる係合突起45a・45bが突設されている。この係合突起45a・45bはそれぞれ正面パネル部材2に形成された切欠状の係合溝25a・25b・27又は背面パネル部材3に形成された切欠状の係合溝35a・35b・37と係合させるためのものであり、本実施形態では、支柱部材41の中央より上側の領域に係合突起45aが1つ、支柱部材の中央より下側の領域に係合突起45bが1つ、合計2つ設けられている。支柱部材41の中央より上側の領域に設けられた係合突起45aは同領域に設けられた2つのボルト孔44a・44aの間に位置し、支柱部材41の中央より下側の領域に設けられた係合突起45bは同領域に設けられた2つのボルト孔44b・44bの間に位置する。
【0047】
なお、本実施形態における左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5の重量はいずれも10.5kgである。
【0048】
〔5〕天面パネル部材6
図6に示すとおり、天面パネル部材6は、横長の矩形状(長方形状)の鋼材製の枠体61と、該枠体の内部で直交する鋼材製の複数の縦桟62及び横桟63とからなる(ここでの縦方向及び横方向は保護カバー1として組み付けられた状態での平面視に基づく)。このうち、各縦桟62は棒状鋼材(直径5mm)からなり、各横桟63は長尺状の平鋼材(SS400 3mm×19mm)からなる。各横桟63は平鋼材の平らな面が天面パネル部材6の厚さ方向と平行となるように枠体61に取り付けられており、各縦桟62はこの平らな面と直交するように枠体61に取り付けられている。本実施形態の天面パネル部材6もグレーチング用の格子状鋼材で構成されており、その重量は9.3kgである。
【0049】
この天面パネル部材6は図示しないボルト及びナットにより左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5にそれぞれ固定できるようになっている。
【0050】
〔6〕保護カバー1の組立手順
以上のように構成された各パネル部材2~6は以下の手順で組み立てられる。ここでは、先に左側面パネル部材4と下側正面パネル2bとを仮止め保持させて自立させるという手順で説明する。
【0051】
まず、図7に示すとおり、左側面パネル部材4と下側正面パネル2bとを垂直に立ち上げて、左側面パネル部材4の正面寄りの係合突起45bに下側正面パネル2bの係合溝27を係合させる。これにより、左側面パネル部材4と下側正面パネル2bとがL字形に組み付けられて仮止め保持されるとともに、下側正面パネル2bの下框28と左側面パネル部材4の2本の脚部4a・4aとが接地することにより両者を自立させることができる(図10)。
【0052】
この状態でさらに右側面パネル部材5を下側正面パネル2bに仮止めする(図11)。具体的には、右側面パネル部材5の正面寄りの係合突起55bに下側正面パネル2bの係合溝27を係合させることで両者を仮止め状態にする。これにより、左側面パネル部材4と下側正面パネル2bと右側面パネル部材5とが平面視でコの字状に組み付けられることになる。もちろん、この状態でも自立状態が保たれていることはいうまでもない。
【0053】
この状態で背面パネル部材3を本固定する。具体的には、まず、下側背面パネル3bの本固定用の係合溝35b・35bをそれぞれ左側面パネル部材4の背面寄りの係合突起45b及び右側面パネル部材5の背面寄りの係合突起55bに係合させる。これにより、下側背面パネル3bが左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5にそれぞれ仮係止されるとともに、下側背面パネル3bの各ボルト孔36bと左側面パネル部材4の背面寄りの各ボルト孔44b及び右側面パネル部材5の背面寄りの各ボルト孔54bとがそれぞれ位置合わせされることになり、それらを図示しないボルト及びナットで締結することにより、下側背面パネル3bと左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5とをそれぞれ固定(本固定)する(図12)。また、上側背面パネル3aについても、上側背面パネル3aに設けられた本固定用の係合溝35a・35aに左側面パネル部材4の背面寄りの係合突起45a及び右側面パネル部材5の背面寄りの係合突起55aをそれぞれ係合させることにより、上側背面パネル3aが左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5にそれぞれ仮係止されるとともに、上側背面パネル3aの各ボルト孔36aと左側面パネル部材4の背面寄りの各ボルト孔44a及び右側面パネル部材5の背面寄りの各ボルト孔54aとがそれぞれ位置合わせされることになり、それらを図示しないボルト及びナットで締結することにより、上側背面パネル3aと左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5とをそれぞれ固定(本固定)する(図13)。
【0054】
次いで、仮止め状態にあった正面パネル部材2を本固定する(図14)。具体的には、仮止めされていた下側正面パネル2bを上方に持ち上げて、下側正面パネル2bの本固定用の係合溝25b・25bをそれぞれ左側面パネル部材4の正面寄りの係合突起45b及び右側面パネル部材5の正面寄りの係合突起55bに係合させる。これにより、下側正面パネル2bが左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5にそれぞれ仮係止されるとともに、下側正面パネル2bの各ボルト孔26bと左側面パネル部材4の正面寄りの各ボルト孔44b及び右側面パネル部材5の正面寄りの各ボルト孔54bとがそれぞれ位置合わせされることになり、それらを図示しないボルト及びナットで締結することにより、下側正面パネル2bと左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5とをそれぞれ固定する。このとき、それまで接地していた下側正面パネル2bの下框28は地面から離隔して、下方に大きな隙間が形成されることになる。本実施形態では、この下側正面パネル2bの下方に形成された隙間の高さは、左側面パネル部材4、右側面パネル部材5及び背面パネル部材3(下側背面パネル3b)の下方に形成された隙間の高さと同一となっている。
【0055】
この状態でさらに上側正面パネル2aを本固定する(図15)。具体的には、上側正面パネル2aの本固定用の係合溝25a・25aをそれぞれ左側面パネル部材4の正面寄りの係合突起45a及び右側面パネル部材5の正面寄りの係合突起55aに係合させることにより、上側正面パネル2aの各ボルト孔26aと左側面パネル部材4の正面寄りの各ボルト孔44a及び右側面パネル部材5の正面寄りの各ボルト孔54aとがそれぞれ位置合わせされることになり、それらを図示しないボルト及びナットで締結することにより、上側正面パネル2aと左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5とをそれぞれ固定する。
【0056】
次いで、天面パネル部材6をその上に被せて、天面パネル部材6と左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5とをそれぞれボルト固定する。これにより、保護カバー1の組み付けが完了することになる(図16)。
【0057】
なお、左側面パネル部材4及び右側面パネル部材5の各脚部4a・5aは、高さ調整を行った上で地面にアンカーボルト等(不図示)で固定される。これは適宜の段階で行えばよい。また、エアコン室外機Aへの配管の接続は、保護カバー1に形成された各種隙間(格子の目の隙間あるいは各パネル部材の下方に形成された隙間)を通して行われることになる。
【0058】
以上の組立手順はあくまで一例であり、上記手順に代えて、先に右側面パネル部材5と下側正面パネル2bとを仮止め保持させて自立状態にする手順で組み立ててもよいし、先に左側面パネル部材4又は右側面パネル部材5と下側背面パネル3bとを仮止め保持させて自立状態にする手順で組み立ててもよい。本実施形態では、下側正面パネル2b及び下側背面パネル3bのいずれにも自立用仮止め係合部として機能する係合溝27・37と本固定用仮止め係止部として機能する係合溝25b・35bとが設けられているため、下側正面パネル2b又は下側背面パネル3bのうちのいずれか一方を左側面パネル部材4又は右側面パネル部材5に仮止めして自立させることができる。
【0059】
〔7〕本実施形態の作用効果
以上のとおり、本実施形態の保護カバー1によれば、各パネル部材2~6がグレーチング用の格子状鋼材で構成されているため、一方で強度が高く、頑丈で、外部からの強い衝撃に対してもエアコン室外機Aを有効に保護することができるという利点を有しながら、他方で各パネル部材2~6の重さに起因する施工性の低さないし組立て時の煩雑さを克服して保護カバー1を容易に組み立てることができる。すなわち、本実施形態では、下側正面パネル2b又は下側背面パネル3bと左側面パネル部材4又は右側面パネル部材5とを自立可能な状態で仮止め保持させることができるので、この状態のまま他のパネル部材を順次組み付けていくことができる。このため、組立て途中のパネル部材が倒れないように手で支えながら他のパネル部材をそれに組み付けていくという煩雑な作業を行う必要がなく、各パネル部材の重量が大きいにもかかわらず、保護カバーを容易に組み立てることができる。
【0060】
〔8〕変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、正面パネル部材2が上側正面パネル2a及び下側正面パネル2bという2枚の要素パネルによって構成され、背面パネル部材3が上側背面パネル3a及び下側背面パネル3bという2枚の要素パネルによって構成されていたが、それぞれ1枚のパネルから構成されていてもよく、また、3枚以上の要素パネルから構成されていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、正面パネル部材2及び背面パネル部材3がそれぞれ2枚の要素パネルによって構成されていたが、左側面パネル部材4又は右側面パネル部材5がそれぞれ2枚以上の要素パネルによって構成されていてもよい。また、天面パネル部材6についても2枚以上の要素パネルによって構成されていてもよい。
【0062】
上記実施形態では、正面パネル部材2及び背面パネル部材3がそれぞれ上下で分割された2枚の要素パネルによって構成されていたが、それに代えて左右で2枚以上に分割された要素パネルで構成されていてもよい。また、左側面パネル部材4又は右側面パネル部材5についても、上下のみならず左右で2枚以上に分割された要素パネルで構成されていてもよい。
【0063】
上記実施形態では、各パネル部材が互いに直交する縦桟と横桟とで格子状に形成されていたが、斜めに交差する2方向の桟によって格子状に形成されていてもよい。また、上記実施形態では、一方の桟(縦桟)が棒状鋼材からなり、他方の桟(横桟)が長尺状の平鋼材からなっていたが、必ずしもこのような構成に限定されず、いずれか一方の桟が長尺状の平鋼材で構成されていればよい。
【0064】
上記実施形態では、各パネル部材がグレーチング用の格子状鋼材で構成されていたが、必ずしもグレーチング用の格子状鋼材で構成されている必要はなく、2方向の桟のうちの少なくとも一方が長尺状の平鋼材で構成されていれば、それ以外の素材を用いてもよい。
【0065】
上記実施形態では、下側正面パネル2b及び下側背面パネル3bの両方に自立用仮止め係合部として機能する係合溝27・37と本固定用仮止め係止部として機能する係合溝25b・35bとが設けられていたが、下側正面パネル2b又は下側背面パネル3bのいずれか一方にのみ自立用仮止め係合部及び本固定用仮止め係止部を設けてもよい。
【0066】
上記実施形態では、自立用仮止め係合部を係合溝で構成し、自立用仮止め被係合部を係合突起で構成したが、前者を係合突起で構成し、後者を係合溝で構成してもよい。また、自立用仮止め係合部及び被係合部は必ずしも係合溝と係合突起の組合せに限定されるものではなく、互いに係合関係にあるものであればよい。
【0067】
上記実施形態では、本固定用仮止め係止部を係合溝で構成し、本固定用仮止め被係止部を係合突起で構成したが、前者を係合突起で構成し、後者を係合溝で構成してもよい。また、本固定用仮止め係止部及び被係止部は必ずしも係合溝と係合突起の組合せに限定されるものではなく、互いに係止関係にあるものであればよい。
【0068】
上記実施形態では、自立用仮止め被係合部と本固定用仮止め被係止部とが共通の係合突起として兼用されるように構成されていたが、必ずしも兼用するように構成されている必要はなく、両者を別々に構成してもよい。また、自立用仮止め被係合部と本固定用仮止め被係止部とを兼用することに代えて、自立用仮止め係合部と本固定用仮止め係止部とを兼用するように構成してもよい。
【0069】
上記実施形態では、保護カバー1の四隅に位置する各脚部4a・5aがアンカープレート70とそこに形成された長孔70bとによって高さ調整可能に構成されていたが、そもそも各脚部を高さ調整可能にすることは必須ではなく、また、高さ調整可能にする場合であっても、かかる構成に限定されるものではない。さらに、すべての脚部を高さ調整可能に構成する必要はない。
【0070】
上記実施形態では、各パネル部材がボルトとナットとで固定(本固定)されて組み付けられるようになっていたが、各パネル部材を固定(本固定)するための手段はボルトとナットとに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
1…エアコン室外機用保護カバー、2…正面パネル部材、2a…上側正面パネル、2b…下側正面パネル、3…背面パネル部材、3a…上側背面パネル、3b…下側背面パネル、4…左側面パネル部材、4a…脚部、5…右側面パネル部材、5a…脚部、6…天面パネル部材、21a…上側正面パネルの枠体、21b…下側正面パネルの枠体、22a…上側正面パネルの縦桟、22b…下側正面パネルの縦桟、23a…上側正面パネルの横桟、23b…下側正面パネルの横桟、24a…上側正面パネルの縦框、24b…下側正面パネルの縦框、25a…上側正面パネルの係合溝(本固定用仮止め係止部)、25b…下側正面パネルの係合溝(本固定用仮止め係止部)、26a…上側正面パネルのボルト孔、26b…下側正面パネルのボルト孔、27…下側正面パネルの係合溝(自立用仮止め係合部)、28…下側正面パネルの下框、31a…上側背面パネルの枠体、31b…下側背面パネルの枠体、32a…上側背面パネルの縦桟、32b…下側背面パネルの縦桟、33a…上側背面パネルの横桟、33b…下側背面パネルの横桟、34a…上側背面パネルの縦框、34b…下側背面パネルの縦框、35a…上側背面パネルの係合溝(本固定用仮止め係止部)、35b…下側背面パネルの係合溝(本固定用仮止め係止部)、36a…上側背面パネルのボルト孔、36b…下側背面パネルのボルト孔、37…下側背面パネルの係合溝(自立用仮止め係合部)、38…下側背面パネルの下框、41…左側面パネル部材の支柱部材、42…左側面パネル部材の縦桟、43…左側面パネル部材の横桟、44a…左側面パネル部材のボルト孔(上段)、44b…左側面パネル部材のボルト孔(下段)、45a…左側面パネル部材の係合突起(本固定用仮止め被係止部)、45b…左側面パネル部材の係合突起(自立用仮止め被係合部及び本固定用仮止め被係止部)、51…右側面パネル部材の支柱部材、52…右側面パネル部材の縦桟、53…右側面パネル部材の横桟、54a…右側面パネル部材のボルト孔(上段)、54b…右側面パネル部材のボルト孔(下段)、55a…右側面パネル部材の係合突起(本固定用仮止め被係止部)、55b…右側面パネル部材の係合突起(自立用仮止め被係合部及び本固定用仮止め被係止部)、61…天面パネル部材の枠体、62…天面パネル部材の縦桟、63…天面パネル部材の横桟、70…高さ調整用アンカープレート、70a…長孔、70b…長孔、70c…丸孔、A…エアコン室外機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコン室外機の周囲に設置可能なエアコン室外機用保護カバーであって、
前記カバーは、少なくとも、前記エアコン室外機の正面側又は背面側に立設される第1パネル部材と、前記エアコン室外機の左側面側又は右側面側に立設される第2パネル部材とを備え、
前記第1及び第2パネル部材はいずれも2方向の桟が交差する格子状で、かつ、前記2方向の桟の少なくとも一方が長尺状の平鋼材で構成されており、
前記第1及び第2パネル部材には、それぞれ、両者を自立可能な状態で仮止め保持するための自立用仮止め係合部及び被係合部が設けられており、
前記第1及び第2パネル部材には、それぞれ、前記自立用仮止め係合部及び被係合部に加えて、さらに両者を本固定するために仮係止しておくための本固定用仮止め係止部及び被係止部が設けられており、
前記自立用仮止め係合部及び被係合部を係合させて前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とを自立させたときは、前記第1パネル部材又は前記第2パネル部材の一方の下框が地面に接地しているのに対し、前記本固定用仮止め係止部及び被係止部を係止させたときは、当該一方のパネル部材の下框が地面から離隔していることを特徴とするエアコン室外機用保護カバー。
【請求項2】
前記2方向の桟が縦桟及び横桟で構成されており、前記縦桟又は横桟の一方が長尺状の平鋼材で、他方が棒状鋼材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアコン室外機用保護カバー。
【請求項3】
前記自立用仮止め係合部又は被係合部の一方が前記本固定用仮止め係止部又は被係止部を兼用していることを特徴とする請求項に記載のエアコン室外機用保護カバー。
【請求項4】
前記カバーが高さ調整可能な脚部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のエアコン室外機用保護カバー。