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  • 特開-ラベル 図1
  • 特開-ラベル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095849
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】ラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20240704BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G09F3/02 A
G09F3/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212792
(22)【出願日】2022-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】521327471
【氏名又は名称】株式会社 ネクアス
(74)【代理人】
【識別番号】110002804
【氏名又は名称】弁理士法人フェニックス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 雅和
(72)【発明者】
【氏名】船谷 和宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 賢一
(57)【要約】
【課題】 卵殻をフィラーとして有効活用し、剥がしやすく資源ゴミの分別を簡単にできるラベルを提供すること。
【解決手段】 卵殻粉粒を含有する熱可塑性樹脂製のシート基材の一方の表面には粘着層を形成して、かつ、他方の表面には印刷層を設け、
前記卵殻粉粒の突出部分により前記粘着層が隆起して凹凸を形成して構成するという技術的手段を採用した。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻粉粒を含有する熱可塑性樹脂製のシート基材の一方の表面には粘着層が形成され、かつ、他方の表面には印刷層が設けられており、
前記卵殻粉粒の突出部分により前記粘着層が隆起して凹凸が形成されて構成されていることを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記シート基材における前記卵殻粉粒の含有割合が、シート基材の全体の50~60重量%であることを特徴とする請求項1記載のラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルの改良、更に詳しくは、卵殻をフィラーとして有効活用し、剥がしやすく資源ゴミの分別を簡単にできるラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、資源のリサイクルの観点から、使用済みの容器等を廃棄する際には、プラスチック、紙、アルミ、スチールなどの材料ごとに分別して廃棄する必要がある。
【0003】
特に、異なる材料において被着物に貼着されたラベルを剥がす作業においては、その被着物にラベル表面に設けられた粘着剤が強固に固着して剥がしにくくなっていることがあり、無理に剥がすとラベルが破れて被着物に残片が残ってしまうおそれがあることから、剥がしやすさを目的とした種々のラベルが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3144682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、ラベルの分別作業を容易にするための対策について研究をしていたところ、ラベルの表面に凹凸を形成することができれば、ラベルの貼着力を低減させることができるであろうとの着想を得た。そして、全く新しい構造によって同作用を得られないかと思案した結果、ラベルのシート基材にフィラーを混入して表面に凹凸を形成して、貼着面に対する接触面積の量を調節するという解決策を思い付いた。
【0006】
そこで、本発明者は、食品加工工場等から大量に廃棄される卵殻(バイオマス材料)を有効活用するとともに、卵殻が天然素材であることから、廃棄時の環境への負荷が小さいことや、卵殻を粉砕して得られる粉粒が、人工的な球体とは異なる不規則な形状であるという材料特性にも着目し、その卵殻粉粒をラベルのシート基材のフィラーとして採用してみたところ、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0008】
即ち、本発明は、卵殻粉粒を含有する熱可塑性樹脂製のシート基材の一方の表面には粘着層を形成して、かつ、他方の表面には印刷層を設け、
前記卵殻粉粒の突出部分により前記粘着層が隆起して凹凸を形成して構成するという技術的手段を採用したことによって、ラベルを完成させた。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、前記シート基材における前記卵殻粉粒の含有割合を、シート基材の全体の50~60重量%にするという技術的手段を採用することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、卵殻という天然の素材をラベルのシート基材のフィラーとして利用したことにより、不規則な形状の粉砕粉粒によってラベルの表面にランダムな凹凸を形成することができ、この凹凸によって、貼着面に対する接着面積を減少して剥離作業を容易にすることができる。
【0011】
更にまた、卵殻は多孔性であるため、印刷層の顔料等や粘着層の粘着剤も表面に定着しやすく、かつ、抗菌消臭作用も有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態のラベルの全体構造を表わす説明断面図である。
図2】本発明の実施形態のラベルにおけるシート基材と粘着層との境界部分を表わす説明拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものはシート基材であり、符号2で指示するものは粘着層、符号3で指示するものは印刷層である。なお、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0014】
まず、前記シート基材1は、卵殻粉粒11を含有する熱可塑性樹脂製のシート材である。本実施形態では、熱可塑性樹脂材料として、ポリエチレン系樹脂を採用する。このポリエチレン系樹脂としては、エチレン成分単位が50質量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン1共重合体、エチレン-ブテン1共重合体、エチレン-ヘキセン1共重合体、エチレン-4メチルペンテン1共重合体、エチレン-オクテン1共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0015】
なお、熱可塑性樹脂材料については、ポリエチレン系樹脂に限らず、例えば、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂やエチレン-酢酸ビニル共重合体等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられ、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0016】
次に、本実施形態の卵殻粉粒11は、天然の卵殻を粉砕して形成する。本実施形態における卵殻粉粒11の平均粒子径(最頻径)は10~50μmであり、より好ましくは約25μmである。平均粒子径が小さすぎると、粒子同士の凝集力が高まり、熱可塑性樹脂材料への分散性が低下することがあり、逆に、平均粒子径が大きすぎると、シート基材1の表面の平坦性が低下して、厚みが不均一となったり、ムラや欠けが発生したりすることがある。
【0017】
この際、前記平均粒子径は、例えば、ふるい分け装置による粒度測定法や、または、JIS M-8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した値で定義することができる。
【0018】
また、シート基材1を形成する際に、適度な強度や成形加工性を備え、かつ、表面に適度な凹凸を形成する必要があることから、卵殻粉粒11の球形化の度合いは、ある程度低いことが好ましい。具体的には、その真円度の範囲が0.50以上0.95以下、より好ましくは0.60以上0.90以下であることが好ましい。
【0019】
そして、前記卵殻粉粒11の製造には、例えば、以下のような公知の製造方法を採用することができる。まず、卵液採取後の卵殻から卵殻膜を除去し、粉砕機を用いて粉砕する。具体的には、卵殻を熱水中で攪拌して卵殻膜を除去し、粗粉砕した後、再度洗浄し、真空下で20~200℃の温度で、または常圧下で100~400℃程度の温度で数分間乾燥した後、所望の粒子径に微粉砕することによって、卵殻から粉粒(粉末)を調製することができる。
【0020】
次に、本実施形態のシート基材1においては、卵殻粉粒11の含有割合は、シート基材1の全体の10~60重量%であり、より好ましくは、50~60重量%である。このような含有割合であると、十分な不燃性または十分な難燃性を得つつ、印刷適性やラミネート適性を向上させ、かつ、シートの折り曲げ部が割れるおそれを低減することができる。一般的には、卵殻粉粒を50質量%以上の高い割合で充填した成形品の場合は、卵殻粉粒が偏在し、機械特性の低下や外観不良が発生する問題があるが、本発明の場合は、ラベルという用途に特化していることにより、卵殻粉粒が最適な高さの凹凸を形成することに寄与している。
【0021】
なお、本実施形態のシート基材1には、必要に応じて、補助剤としてその他の添加剤を配合することも可能である。その他の添加剤としては、例えば、色剤、滑剤、カップリング剤、流動性改良材、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、発泡剤、可塑剤等を配合しても良い。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0022】
次に、シート基材1の製造方法について以下に説明する。本実施形態では、公知の押出成形による薄膜フィルムの製造方法を使用する。押出成形としては、インフレーション法やTダイ法などがあるが、成形容易性および仕上がりの良さからインフレーション法を採用する。
【0023】
本実施形態の製造工程においては、卵殻粉粒11を含有した熱可塑性樹脂からなるペレットを使用することができ、ペレットの形状は、例えば、円柱、球形、楕円球状等のものを使用することができる。また、ペレットの状態では、熱可塑性樹脂に対して卵殻粉粒が70重量%の高い含有量であり、フィルム状に成形されることで含有量が約55重量%に減少する。
【0024】
そして、シート基材1の厚みは、50μm~120μmの範囲内であることが好ましい。このような範囲内の厚さを有するシートであれば、十分な強度を付与できるとともに商品への貼付状態を良好に維持することができる。
【0025】
更に、シート基材1の一方の表面には粘着層2が形成される。粘着層2は前記基材シート1の表面に粘着剤を塗布する工程によって形成され、被着体への貼付を可能にするものである。粘着層2を構成する材料は、被着体に粘着可能なものであれば特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系粘着剤や、ニトリルゴムや天然ゴムなどのゴム系、シリコーン系などの公知の粘着剤を採用することができる。
【0026】
この粘着層2は、基材シート1の表面の全面に形成しても良いし、少なくとも一部に部分的に形成しても良い。また、粘着層2の厚みは、10~30μmの範囲内であることが好ましい。更にまた、粘着層2の外側に離型紙を設けて、使用時に剥離するように構成することができる。
【0027】
次いで、シート基材1の他方の表面には印刷層3が設けられている。この印刷層3は、文字、枠線、絵柄等の印刷によって形成される層である。この印刷層3は、基材シート1の表面の全面に形成しても良いし、少なくとも一部に部分的に形成しても良い。
【0028】
印刷層3を形成する印刷手段としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シール印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷手段を採用することができる。また、インクジェット方式、電子写真方式、液体トナー方式等の各種プリンタによる印字、ホットスタンプ、コールドスタンプ等の箔押し、転写箔、ホログラム等の公知の装飾を含むこともできる。
【0029】
また、印刷層3の形成には、印刷方法に合わせて、油性インク、酸化重合硬化型インク、紫外線硬化型インク、水性インク、粉体トナー、液体トナー(エレクトロインク)等の各種インクを使用することができる。
【0030】
このようにして、本実施形態のラベルを完成することができる。ラベルの外縁形状および切抜き形状は、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形や、円形、星形、雲形などの任意の形状にすることができる。
【0031】
そして、図2に示すように、前記卵殻粉粒11の突出部分により前記粘着層2が隆起して凹凸を形成して構成することができ、被着物の貼着面に対する接触面積を調節して、ラベルの貼着力を低減させることによって剥がしやすくし、分別作業を容易に行うことができる。
【0032】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、シート基材1の熱可塑性材料や、卵殻粉粒11の大きさや含有割合は使用に応じて調節することができ、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0033】
1 シート基材
11 卵殻粉粒
2 粘着層
3 印刷層
図1
図2