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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009585
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】下着
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/02 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
A41B9/02 F
A41B9/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111224
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】522277847
【氏名又は名称】株式会社brands
(74)【代理人】
【識別番号】100185476
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 桂輔
(72)【発明者】
【氏名】柳川 正義
【テーマコード(参考)】
3B128
【Fターム(参考)】
3B128EA02
3B128EB16
3B128EB17
3B128EC04
(57)【要約】
【課題】
痔患者の痔患部から漏出する血液や膿を十分に吸収し、簡便且つ経済的に痔患部の衛生的な状態を維持し、また、痔の症状悪化を防止することを可能とする下着を提供することを目的とする。
【解決手段】
外側パンツ部2と、外側パンツ部2内に縫着された内側パンツ部3と、内側パンツ部3の股部6上面に配置されるように縫着された厚み部材7と、厚み部材7の上面の横方向中央位置に縫着された、前方ポケット部14及び後方ポケット部15を設ける。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側パンツ部(2)と、
前記外側パンツ部(2)内に縫着され、少なくとも前身頃部(4)、後見頃部(5)、並びに前記前身頃部(4)及び後見頃部(5)の下部を接続する股部(6)を備える内側パンツ部(3)と、
前記股部(6)上面に配置されるように縫着された厚み部材(7)と、
前記厚み部材(7)の上面の横方向中央位置に縫着された前方ポケット部(14)及び後方ポケット部(15)を備えることを特徴とする下着(1)。
【請求項2】
外側パンツ部(2)と、
前記外側パンツ部(2)内に縫着され、少なくとも前身頃部(4)、後見頃部(5)、並びに前記前身頃部(4)及び後見頃部(5)の下部を接続する股部(6)を備える内側パンツ部(3)と、
前記股部(6)上面に配置されるように縫着された厚み部材(7)と、
前記厚み部材(7)の上面の横方向中央位置に縫着された中空棒状部材(8)を備えることを特徴とする下着(1)。
【請求項3】
前記厚み部材(7)は、その上面の中央付近位置の部位が上方に向かって隆起する隆起部(9)を備え、
前記前方ポケット部(14)及び後方ポケット部(15)が、前記隆起部(9)に縫着されていることを特徴とする請求項1に記載の下着(1)。
【請求項4】
前記厚み部材(7)は、その上面の中央付近位置の部位が上方に向かって隆起する隆起部(9)を備え、
前記中空棒状部材(8)が、前記隆起部(9)に縫着されていることを特徴とする請求項2に記載の下着(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着に関し、具体的には、痔瘻患者等に好適に利用される下着(パンツ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、痔患者用の下着に関する技術が存在する。
【0003】
特許文献1は、クロッチ部材を有する下着において、クロッチ部材はJIS L 1907の吸水率法の試験方法で吸水率が10%以上の繊維、不織布と、マチ部材はJIS L 1092のスプレー試験で撥水性が2点以上とAATCC 118の撥油性試験で撥油性が2級以上の繊維、不織布をクロッチ部材の肌面に固着したことを特徴とする水分制御痔用下着を開示している。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される下着は、マチ部材が撥水撥油性の素材で構成されることから、痔患部から漏出した膿や血液が吸収されたり、乾燥することが抑制される結果、マチ部材に膿や血液が付着した状態となり、したがって、これに接する痔患部が常に膿や血液に晒されるため不衛生であり、痔の症状を悪化させる危険がある。
【0005】
また、現在、市販されている男性の痔患者用の下着として、所謂、ボクサータイプパンツであって、その裏地が撥水加工されたものが存在する。しかしながら、このような下着は、単に裏地が撥水加工されているだけであることから、痔患部から漏出した膿や血液が下着に染み込んでしまうことを一定程度抑制することができるものの、漏出した膿や血液の大部分は、依然として下着裏地に付着した状態となり、不衛生であるし、また、膿や血液が下着下端部から下方に滴下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-299247
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、痔患者の痔患部から漏出する血液や膿、特に痔瘻患者の痔瘻患部から漏出する膿を十分に吸収し、簡便且つ経済的に痔患部の衛生的な状態を維持し、また、痔の症状悪化を防止することを可能とする下着を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の下着(1)は、外側パンツ部(2)と、前記外側パンツ部(2)内に縫着され、少なくとも前身頃部(4)、後見頃部(5)、並びに前記前身頃部(4)及び後見頃部(5)の下部を接続する股部(6)を備える内側パンツ部(3)と、前記股部(6)上面に配置されるように縫着された厚み部材(7)と、前記厚み部材(7)の上面の横方向中央位置に縫着された前方ポケット部(14)及び後方ポケット部(15)を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様の下着(1)は、 外側パンツ部(2)と、前記外側パンツ部(2)内に縫着され、少なくとも前身頃部(4)、後見頃部(5)、並びに前記前身頃部(4)及び後見頃部(5)の下部を接続する股部(6)を備える内側パンツ部(3)と、前記股部(6)上面に配置されるように縫着された厚み部材(7)と、前記厚み部材(7)の上面の横方向中央位置に縫着された中空棒状部材(8)を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様の下着(1)は、前記厚み部材(7)は、その上面の中央付近位置の部位が上方に向かって隆起する隆起部(9)を備え、前記前方ポケット部(14)及び後方ポケット部(15)が、前記隆起部(9)に縫着されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の態様の下着(1)は、前記厚み部材(7)は、その上面の中央付近位置の部位が上方に向かって隆起する隆起部(9)を備え、前記中空棒状部材(8)が、前記隆起部(9)に縫着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、下着が外側パンツ部と内側パンツ部の二重構造となっていることから、痔患部から漏出した膿や血液が下着から染み出て、ズボン等に膿や血液が付着してしまうのを防止することが可能となる。
また、二重構造の下着において、内側パンツ部を所謂、比較的に肌との密着性の高いブリーフタイプのパンツとした場合、後述する前方ポケット部及び後方ポケット部の間に配置したトイレットペーパー片を痔患部に安定的に当接することが可能となる。
また、内側パンツ部の股部に厚み部材を設けたことから、後述する前方ポケット部及び後方ポケット部の間に配置したトイレットペーパー片を、痔患部により安定的に当接することが可能となる。
また、厚み部材上面に前方ポケット部及び後方ポケット部を設けたことから、例えば、トイレットペーパー片を丸めて、丸めたトイレットペーパー片の両端をそれぞれ前方ポケット部及び後方ポケット部内に挿入して、丸めたトイレットペーパー片を前方ポケット部及び後方ポケット部の間に配置すれば、トイレットペーパー片が直接、痔患部に当接し、痔患部から漏出した膿や血液を該トイレットペーパー片が吸収し、その後必要に応じて、膿や血液を吸収したトイレットペーパー片を前方ポケット部及び後方ポケット部から取り出し、便器に流し、新たなトイレットペーパー片を丸めて、その両端をそれぞれ前方ポケット部及び後方ポケット部内に挿入することを繰り返せば、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持することができる。さらに、痔患部及び痔患部付近の下着内部が常に衛生的に維持されることから、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。さらに、小さなトイレットペーパー片を適宜交換すればよいため、経済的且つ簡便に、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持するとともに、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、下着が外側パンツ部と内側パンツ部の二重構造となっていることから、痔患部から漏出した膿や血液が下着から染み出て、ズボン等に膿や血液が付着してしまうのを防止することが可能となる。
また、二重構造の下着において、内側パンツ部を所謂、比較的に肌との密着性の高いブリーフタイプのパンツとした場合、後述する中空棒状部材を痔患部に安定的に当接することが可能となる。
また、内側パンツ部の股部に厚み部材を設けたことから、後述する中空棒状部材を、痔患部により安定的に当接することが可能となる。
また、厚み部材上面に中空棒状部材を設けたことから、例えば、トイレットペーパー片を丸めて中空棒状部材内に挿入すれば、痔患部から漏出した膿や血液を該トイレットペーパー片が吸収し、その後必要に応じて、膿や血液を吸収したトイレットペーパー片を中空棒状部材から取り出し、便器に流し、新たなトイレットペーパー片を丸めて中空棒状部材に挿入することを繰り返せば、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持することができる。さらに、痔患部及び痔患部付近の下着内部が常に衛生的に維持されることから、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。さらに、小さなトイレットペーパー片を適宜交換すればよいため、経済的且つ簡便に、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持するとともに、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、厚み部材の上面に隆起部を設け、隆起部に前方ポケット部及び後方ポケット部を設けたことから、前方ポケット部及び後方ポケット部の間に配置したトイレットペーパー片を痔患部に、さらにより一層安定的に当接することが可能となる。また、これにより、より一層有効に、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持するとともに、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、厚み部材の上面に隆起部を設け、隆起部に中空棒状部材を設けたことから、中空棒状部材を痔患部に、さらにより一層安定的に当接することが可能となる。また、これにより、より一層有効に、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持するとともに、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の内側パンツ部の一例を示す正面図である。
図2】本発明の外側パンツ部の一例を示す正面図である。
図3】本発明の下着の一例を示す透視的正面図である。
図4】本発明の第一の形態の内側パンツ部の一例を示す模式的平面図である。
図5】本発明の第二の形態の内側パンツ部の一例を示す模式的平面図である。
図6】本発明の第一の形態の厚み部材の一例を示す平面図である。
図7】本発明の第二の形態の厚み部材の一例を示す平面図である。
図8】本発明の前方ポケット部(又は後方ポケット部)の一例を示す斜視図である。
図9】本発明の中空棒状部材の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
【0018】
本発明の下着1は、外側パンツ部2と外側パンツ部2内に縫着された内側パンツ部3から構成される二重構造の下着である。
一般に、男性の下半身用下着(パンツ)は、「ブリーフ」、「トランクス」及び「ボクサーパンツ」の三種類のものが存在する。
ブリーフは、体にフィットし、伸縮性のある素材で構成され、図1に示すように股下が短い形態である。
トランクスは、体にフィットせず、図2に示すように、股下がブリーフよりも長い形態である。
ボクサーパンツは、ブリーフ同様、体にフィットし、伸縮性のある素材で構成されるが、図2に示すように、トランクスのように股下が比較的に長い形態である。
【0019】
上述のように、下着1が外側パンツ部2と内側パンツ部3の二重構造となっていることから、痔患部から漏出した膿や血液が下着から染み出て、ズボン等に膿や血液が付着してしまうのを防止することが可能となる。
また、二重構造の下着1において、外側パンツ部2をトランクス型又はボクサーパンツ型とし、内側パンツ部3をブリーフ型とした場合、ブリーフの見た目を好まない者でも抵抗なく穿くことができる。
また、内側パンツ部3を、比較的に肌との密着性の高いブリーフ型とした場合には、前方ポケット部14及び後方ポケット部15間に配置したトイレットペーパー片、又は中空棒状部材8を痔患部に安定的に当接することが可能となる。
ここで、痔患部とは、通常、肛門及びその付近の体の部位を指すが、本発明において、「当接」とは、痔患部に接することのみならず、痔患部に近付けることをも意味する。
【0020】
本発明の外側パンツ部2は、特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、上述したトランクス又はボクサーパンツと同様の素材及び形態で構成することができ、また、内側パンツ部3は、特に限定されるものではないが、例えば、図1に示すように、ブリーフと同様の素材及び形態で構成することができる。
【0021】
外側パンツ部2は、例えば、前身頃10、図示しない後身頃11、腰ゴム部12及び裾部13から構成することができる。
外側パンツ部2は、特に限定されるものではないが、例えば、綿等の天然繊維若しくはポリエステル等の合成繊維、又は天然繊維及び合成繊維を混合した素材により構成することができる。
外側パンツ部2は、好ましくは、その内面(肌側面)が、適宜の撥水加工が施されたものであることが望ましい。撥水加工は、特に限定されるものではないが、例えば、適宜の撥水剤を捺染すること等により行うことができる。これにより、万が一、内側パンツ部3から膿や血液が漏出した場合でも、外側パンツ部2が湿潤してしまうのを防止するとともに、下着1の上に穿いているズボン等に膿や血液が付着するのを防止することができる。
【0022】
内側パンツ部3は、特に限定されるものではないが、例えば、綿等の天然繊維若しくはポリエステル等の合成繊維、又は天然繊維及び合成繊維を混合した素材により構成することができる。
内側パンツ部3は、好ましくは、メッシュ(網目)状に構成されることが望ましい。上述の通り、内側パンツ部3をブリーフ型に構成した場合、ブリーフは、体にフィットする形態であるが、これをメッシュ状にすることにより、締め付け過ぎない穿き心地と良好な通気性を確保することが可能となる。
また、内側パンツ部3の内面(肌側面)及び外面が、適宜の撥水加工が施されたものであることが望ましい。撥水加工は、特に限定されるものではないが、例えば、適宜の撥水剤を捺染すること等により行うことができる。これにより、万が一、後述する厚み部材7から膿や血液が漏出した場合でも、内側パンツ部3が湿潤してしまうのを防止するとともに、内側パンツ部3の外側の外側パンツ部2に膿や血液が付着するのを防止することができる。
【0023】
外側パンツ部2と内側パンツ部3との縫着は、特に限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、内側パンツ部3の上縁部と外側パンツ部2の腰ゴム部12付近の内面(肌側面)とを縫着することにより行うことができる。
【0024】
内側パンツ部3は、図1図4及び図5に示すように、前身頃部4、後身頃部5、並びに前身頃部4及び後身頃部5の下部を接続する股部6を備える。図4及び図5中の内側パンツ部3内の2つの横長楕円形は、裾であって、下着1(内側パンツ部3)を着用した際に、それぞれ左右の脚が挿入される部位である。
なお、前身頃部4、後身頃部5及び股部6は、内側パンツ部3の部位の説明のために便宜的に用いる用語である。
【0025】
図4及び図5に示すように、内側パンツ部3の股部6の上面(肌側面)に配置されるように厚み部材7が縫着されている。具体的には、厚み部材7は、股部6の上面(肌側面)であって、下着1を穿いたときに、厚み部材7の中央付近が肛門の位置に配置されるように縫着される。厚み部材7と股部6との縫着は、特に限定されるものではないが、例えば、厚み部材7の下面と股部6の上面を縫着することにより行うこともできるし、又は厚み部材7の左端及び右端に下方に折り曲げ可能な縫着片を設け、折り曲げた縫着片と股部6の下面とを縫着することもできる。
厚み部材7は、特に限定されるものではないが、例えば、上述した外側パンツ部2及び内側パンツ部3と同様の素材、即ち、綿等の天然繊維若しくはポリエステル等の合成繊維、又は天然繊維及び合成繊維を混合した素材により構成することができる。
厚み部材7の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、上方から見て角丸長方形であって一定の厚みのあるシート状とすることができ、より具体的には、例えば、女性用の生理ナプキン類似の形状とすることができる。
厚み部材7を設けることにより、前方ポケット部14及び後方ポケット部15間に配置したトイレットペーパー片、又は中空棒状部材8を痔患部により安定的に当接することが可能となる。具体的には、痔患部は、肛門及びその周辺部位に存在するが、肛門及びその周辺の部位は、臀部から凹んだ位置に存在する。したがって、下着1が厚み部材7を備えていない場合、前方ポケット部14及び後方ポケット部15間に配置したトイレットペーパー片又は中空棒状部材8を痔患部により安定的に当接することが困難となる場合があるが、厚み部材7を前方ポケット部14及び後方ポケット部15間に配置したトイレットペーパー片又は中空棒状部材8と内側パンツ部3の間に介在させることにより、厚み部材7がスペーサーの役割を果たし、前方ポケット14部及び後方ポケット部15間に配置したトイレットペーパー片又は中空棒状部材8を痔患部に当接することが容易に可能となる。
【0026】
厚み部材7は、図4乃至図7において一点鎖線で示すように、好ましくは、その上面(肌側面)の中央付近位置の部位が上方に向かって隆起する隆起部9を備えている。
【0027】
図4及び図6に示すように、本発明の第一の形態では、厚み部材7の上面(肌側面)の横方向中央位置に、前方ポケット部14及び後方ポケット部15が縫着されている。前方ポケット部14及び後方ポケット部15を設けたことから、例えば、図4及び図6において破線で示すトイレットペーパー片を丸めて、その両端をそれぞれ前方ポケット部14及び後方ポケット部15内に挿入すれば、丸めたトイレットペーパー片が痔患部に直接当接し、痔患部から漏出した膿や血液を該トイレットペーパー片が吸収し、その後必要に応じて、膿や血液を吸収したトイレットペーパー片を前方ポケット部14及び後方ポケット部15から取り出し、便器に流し、新たなトイレットペーパー片を丸めて前方ポケット部14及び後方ポケット部15に挿入することを繰り返せば、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持することができる。ここで、前方ポケット部14及び後方ポケット部15の間にトイレットペーパー片を配置させ、トイレットペーパー片のみを直接、痔患部に当接させることができるため、厚み部材7、内側パンツ部3等を始め下着1は、直接痔患部に触れることがないので、下着1を極めて衛生的に維持することが可能となる。さらに、痔患部及び痔患部付近の下着内部が常に衛生的に維持されることから、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。さらに、小さなトイレットペーパー片を適宜交換すればよいため、経済的且つ簡便に、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持するとともに、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。
【0028】
前方ポケット部14及び後方ポケット部15は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂や高分子化合物等の素材、若しくはこれらの混合物等、又は外側パンツ部2及び内側パンツ部3と同様の綿等の天然繊維若しくはポリエステル等の合成繊維又は天然繊維及び合成繊維を混合した素材により構成することができる。
【0029】
図8に示すように、前方ポケット部14及び後方ポケット部15は、少なくとも一方端が開口した袋状、管状又は有底筒状に形成することにより構成するができる。このような前方ポケット部14及び後方ポケット部15は、厚み部材7の上面横方向中央位置に、両者の開口部が対向するように、前後方向に所定間隔を隔てて配置される。このような形状及び配置とすることにより、前方ポケット部14及び後方ポケット部15内へのトイレットペーパー片の両端部の出し入れを行うことができる。なお、図8では、前方ポケット部14及び後方ポケット部15を模式的に、円柱状に表しているが、このような形状に限定されるものではなく、例えば、扁平した形状に設けることも可能である。
【0030】
前方ポケット部14及び後方ポケット部15は、例えば、前方ポケット部14の前方端と後方ポケット部15の後方端の間の長さが9~13cm、より好ましくは10~12cmとなるように配置することが望ましい。我が国のトイレットペーパーの規定寸法は幅が11cmであることから、トイレットペーパー片を長さ方向に丸めると長さ11cmの棒状のトイレットペーパー片となるため、前方ポケット部14と後方ポケット部15の間の長さを上述の好ましい範囲に設定すると、丸めたトイレットペーパー片を適切に前方ポケット部14及び後方ポケット部15の間に収容することが可能となる。
また、前方ポケット部14及び後方ポケット部15は、上述した両者間の長さの略中央付近が下着1を着用した際に肛門付近の位置となる位置に設けることが望ましい。これにより、前方ポケット部14及び後方ポケット部15間に配置したトイレットペーパー片をより確実に痔患部に当接することが可能となる。
【0031】
前方ポケット部14及び後方ポケット部15は、例えば、袋状、管状又は筒状の直径(内径)を1~3cm、より好ましくは1.5~2.5cmとすることが望ましい。過不足なく膿や血液を吸収するという観点から、丸めたトイレットペーパー片は、例えば、直径1.5cm程度の棒状とすることが望ましく、この場合、前方ポケット部14及び後方ポケット部15のそれぞれの直径を上述の好ましい範囲に設定すると、丸めたトイレットペーパー片の両端を容易に前方ポケット部14及び後方ポケット部15内に出し入れすることが可能となる。
なお、ここでは、前方ポケット部14及び後方ポケット部15における袋状、管状及び筒状の直径(内径)に言及したが、袋状、管状及び筒状の横断面は、正円に限定されるものではなく、例えば、楕円形状でもよい。この場合は、当該横断面の内寸が、略上述した寸法となるよう構成することが望ましい。
【0032】
本発明の好ましい態様において、厚み部材7が隆起部9を備える場合、前方ポケット部14及び後方ポケット部15は、隆起部9に縫着することが望ましい。これにより、臀部から凹んだ位置に存在する痔患部に、前方ポケット部14及び後方ポケット部15間に配置したトイレットペーパー片をより一層確実に当接することが可能となる。
【0033】
図5及び図7に示すように、本発明の第二の形態では、厚み部材7の上面(肌側面)の横方向中央位置に、その長さ方向が前後方向を向くように中空棒状部材8が縫着されている。中空棒状部材8を設けたことから、例えば、トイレットペーパー片を丸めて中空棒状部材8内に挿入すれば、痔患部から漏出した膿や血液を該トイレットペーパー片が吸収し、その後必要に応じて、膿や血液を吸収したトイレットペーパー片を中空棒状部材8から取り出し、便器に流し、新たなトイレットペーパー片を丸めて中空棒状部材8に挿入することを繰り返せば、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持することができる。ここで、中空棒状部材8内に収容されたトイレットペーパー片は、中空棒状部材8内にしっかりと把持されるため、トイレットペーパー片の位置がズレてしまうことなく安定して痔患部に当接することが可能となる。さらに、痔患部及び痔患部付近の下着内部が常に衛生的に維持されることから、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。さらに、小さなトイレットペーパー片を適宜交換すればよいため、経済的且つ簡便に、痔患部及び痔患部付近の下着内部を常に衛生的に維持するとともに、痔の症状の悪化を防止することが可能となる。
【0034】
中空棒状部材8は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂や高分子化合物等の素材、又はこれらの混合物等で構成することができる。中空棒状部材8は、痔患部及び痔患部付近に当接するものであるが、これらの素材を用いることにより、中空棒状部材8が痔患部から漏出した膿や血液を吸収し、乾燥した後、中空棒状部材8が当接する痔患部及び痔患部付近の肌に張り付いてしまうことを有効に防止して、中空棒状部材8の表面並びに痔患部及び痔患部付近の肌をさらさらに保つことが可能となり、したがって、痔患部及び痔患部付近の良好な衛生状態を維持し、痔患部の症状悪化を防止することが可能となる。
【0035】
図9に示すように、中空棒状部材8は、シート状の素材を管状又は有底筒状に形成することにより構成するができる。このような形状とすることにより、中空棒状部材8内へのトイレットペーパー片の出し入れを行うことができる。中空棒状部材8を有底筒状にする場合は、通常、中空棒状部材8の前方部が開口し、後方部が底部を有し閉じた状態となる。なお、図9では、中空棒状部材8を模式的に、円柱状に表しているが、このような形状に限定されるものではなく、例えば、扁平した形状に設けることも可能である。
また、好ましくは、中空棒状部材8は、メッシュ(網目)状とすることが望ましい。中空棒状部材8をメッシュ状とすることにより、中空棒状部材8内に収容したトイレットペーパー片に、痔患部から漏出した膿や血液をより有効に吸収させることが可能となる。
中空棒状部材8は、その前後方向の中間部位であって、例えば、その中間部位の略上半分を切り欠いた形状とすることも可能である。中空棒状部材8の前後方向の中間部位の上側の部位は、痔患部及びその周辺に当接する部位である。そして、当該部位を切り欠くことによって、当該部位から、中空棒状部材8内に収容した丸めたトイレットペーパー片の部位が露出する。これにより、トイレットペーパー片が直接痔患部に当接するとともに、下着1のいずれの部位も痔患部には触れないため、下着1を極めて衛生的に維持することが可能となる。
【0036】
中空棒状部材8は、例えば、長さを9~13cm、より好ましくは10~12cmとすることが望ましい。我が国のトイレットペーパーの規定寸法は幅が11cmであることから、トイレットペーパー片を長さ方向に丸めると長さ11cmの棒状のトイレットペーパー片となるため、中空棒状部材8の長さを上述の好ましい範囲に設定すると、丸めたトイレットペーパー片を適切に中空棒状部材8内に収容することが可能となる。
【0037】
中空棒状部材8は、例えば、管状又は筒状の直径(内径)を1~3cm、より好ましくは1.5~2.5cmとすることが望ましい。過不足なく膿や血液を吸収するという観点から、丸めたトイレットペーパー片は、例えば、直径1.5cm程度の棒状とすることが望ましく、この場合、中空棒状部材8の直径を上述の好ましい範囲に設定すると、丸めたトイレットペーパー片を容易に中空棒状部材8内に出し入れすることが可能となる。
なお、ここでは、中空棒状部材8における管状及び筒状の直径(内径)に言及したが、管状及び筒状の横断面は、正円に限定されるものではなく、例えば、楕円形状でもよい。この場合は、当該横断面の内寸が、略上述した寸法となるよう構成することが望ましい。
【0038】
本発明の好ましい態様において、厚み部材7が隆起部9を備える場合、中空棒状部材8は、隆起部9に縫着することが望ましい。これにより、臀部から凹んだ位置に存在する痔患部に、中空棒状部材8をより一層確実に当接することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 下着
2 外側パンツ部
3 内側パンツ部
4 前身頃部
5 後身頃部
6 股部
7 厚み部材
8 中空棒状部材
9 隆起部
10 前身頃
11 後身頃
12 腰ゴム部
13 裾部
14 前方ポケット部
15 後方ポケット部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9