IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リンテック21の特許一覧

<>
  • 特開-接着具 図1
  • 特開-接着具 図2
  • 特開-接着具 図3
  • 特開-接着具 図4
  • 特開-接着具 図5
  • 特開-接着具 図6
  • 特開-接着具 図7
  • 特開-接着具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095858
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】接着具
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20240704BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212815
(22)【出願日】2022-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】501359412
【氏名又は名称】株式会社リンテック21
(74)【代理人】
【識別番号】100144277
【弁理士】
【氏名又は名称】乙部 孝
(72)【発明者】
【氏名】富田 真次
(72)【発明者】
【氏名】田上 貴也
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 秀雄
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040PB20
4J040PB24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】強い接着力を維持しながら接着後に簡便に剥離できる接着具を提供する。
【解決手段】平面形状の基体3の一面及び他面に接着部材1、2を備える接着具10であって、少なくとも前記基体が前記基体の面内での外部からの回転駆動が可能な形態である。前記基体が略直線である端部Aを有し、前記接着部材の端部Bが前記端部Aに沿うか或いは前記端部Aの外へ出ており、前記接着部材の最外面に接着面を保護する剥離紙が付着され、その剥離紙が分割可能に加工されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状の基体の一面及び他面に接着部材を備える接着具であって、
少なくとも前記基体が前記基体の面内での外部からの回転駆動が可能な形態であることを特徴とする接着具。
【請求項2】
前記基体が略直線である端部Aを有し、前記接着部材の端部Bが前記端部Aにほぼ沿うか或いは前記端部Aの外へ出ていることを特徴とする請求項1に記載の接着具。
【請求項3】
前記接着部材の前記端部B以外の端部が製造時に前記基体の端部の外へ出ていないことを特徴とする請求項2に記載に記載の接着具。
【請求項4】
前記基体の平面形状が角型、楕円形、又は突起を有する円形であることを特徴とする請求項2に記載に記載の接着具。
【請求項5】
少なくとも前記基体に外部から駆動可能な溝又は孔が設けられることを特徴とする請求項2に記載に記載の接着具。
【請求項6】
前記接着部材の最外面に接着面を保護する剥離紙が付着され、その剥離紙が分割可能に加工されていることを特徴とする請求項2に記載の接着具。
【請求項7】
前記基体がABS樹脂又はPC樹脂で前記接着部材がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の接着具。
【請求項8】
前記接着部材がゲルであることを特徴とする請求項1に記載の接着具。
【請求項9】
前記請求項1乃至8の何れか1項に記載の接着具及びその接着具に適合する駆動部材を
組み合わせた接着具セット。
【請求項10】
前記請求項1乃至8の何れか1項に記載の接着具に適合した駆動部材を用いて前記接着具を回転し前記接着具を剥離する剥離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品と物品又は物品を床や壁に固定する接着具に関する。
【背景技術】
【0002】
接着材を使用するにあたって複数の接着材の間に基材層を入れて多層として接着材の使用を容易にすることが行われている。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示される接着具は基材層の両面に粘着剤層を備える両面接着シートである。この面接着シートの剥離を容易にするために粘着剤層にフィラーが含まれている。剥離が容易であることは接着力が低下することにつながっている。従来例においては接着力を低下させることなしに剥離を容易にする接着具を出願人は知悉していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022―130798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される接着具は、接着材である粘着剤層にフィラーを含めて剥離が容易になるように構成されるが、同時に接着力は低下するという問題があるので強い接着力と剥離容易性を両立されることが困難である。
【0006】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、強い接着力を維持しながら接着後に簡便に剥離できる接着具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の接着具は、平面形状の基体の一面及び他面に接着部材を備える接着具であって、
少なくとも前記基体が前記基体の面内での外部からの回転駆動が可能な形態であることを特徴とする接着具である。
【0008】
平面形状の基体の一面及び他面に接着部材を備える接着具であって、少なくとも前記基体が前記基体の面内での外部からの回転駆動が可能な形態であるので強い接着力を保つ接着具の回転による剥離作業の簡便化が図れる。
【0009】
請求項2に記載された発明は、前記基体が略直線である端部Aを有し、前記接着部材の端部Bが前記端部Aに沿うか或いは前記端部Aの外へ出ていることを特徴とする請求項1に記載の接着具である。
【0010】
端部Aを有し、前記接着部材の端部Bが前記端部Aにほぼ沿うか或いは前記端部Aの外へ出ているので、接着部材の端部Bも接着に使用することができ、る。
【0011】
請求項3に記載された発明は、前記接着部材の前記端部B以外の端部が製造時に前記基体の端部の外へ出ていないことを特徴とする請求項1に記載に記載の接着具である。
【0012】
前記接着部材の前記端部B以外の端部が製造時に前記基体の端部の外へ出ていないので使用時に圧力を受けた接着部材のはみ出しの防止を図れる。
【0013】
請求項4に記載された発明は、前記基体の平面形状が角型、楕円形、又は突起を有する円形であることを特徴とする請求項2に記載の接着具である。
【0014】
基体の平面形状が角型、楕円形、又は突起を有する円形であるので外部から手や、駆動部材による駆動が容易になる。
【0015】
請求項5に記載された発明は、前記基体に外部から駆動可能な溝又は孔が設けられることを特徴とする請求項2に記載に記載の接着具である。
【0016】
基体に外部から駆動可能な溝又は孔が設けられるので外部からの駆動用の治具による剥離作業の容易化が図れる。
【0017】
請求項6に記載された発明は、前記接着部材の最外面に接着面を保護する剥離紙が付着され、その剥離紙が分割可能に加工されていることを特徴とする請求項2に記載の接着具。
【0018】
接着部材の最外面に接着面を保護する剥離紙が付着され、その剥離紙が分割可能に加工されているので剥離紙を部分的に剥がすことで接着力の調整の容易化が図れる。
【0019】
請求項7に記載された発明は、前記基体がABS樹脂又はPC樹脂で前記接着部材がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の接着具である。
【0020】
前記基体がABS樹脂又はPC樹脂で前記接着部材がアクリル系樹脂なので基体と接着部材との接着力が高く基体を駆動する際の機械的外力に対して粘りがあり壊れ難い。
【0021】
請求項8に記載された発明は、前記接着部材がゲルであることを特徴とする請求項1に記載の接着具である。
【0022】
前記接着部材がゲルであるので、接着剤に粘弾性を求められる要求に応えることができる。
【0023】
請求項9に記載された発明は、前記請求項1乃至8の何れか1項に記載の接着具及びその接着具に適合する駆動部材を組み合わせた接着具セットである。
【0024】
前記請求項1乃至8の何れか1項に記載の接着具及びその接着具に適合する駆動部材を組み合わせた接着具セットなのでユーザの剥離作業の簡便化が図れる。
【0025】
請求項10に記載された発明は、前記請求項1乃至8の何れか1項に記載の接着具に適合した駆動部材を用いて前記接着具を回転し前記接着具を剥離する剥離方法である。
【0026】
前記請求項1乃至8の何れか1項に記載の接着具に適合した駆動部材を用いて前記接着具を回転し前記接着具を剥離する剥離方法なので、ユーザは駆動部材を用いて接着具の剥離作業の容易化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に掛かる接着具の(A)斜視図、(B)平面図、(C)側面図である。
図2】(A)圧力を受ける前、(B)圧力を受けた後の接着具の説明図である。
図3】(A)駆動部材を接着具へ嵌める様子、(B))駆動部材による回転剥離の説明図である。
図4】(A)楕円形の基体に長方形の接着部材を組み合わせた接着具の平面図、(B)側面図である。
図5】駆動用の孔を有する(A)駆動棒と孔を有する接着具、(B)、(C)駆動棒が孔に通された接着具の説明図である。
図6】中央部に駆動用の孔を有する接着具の(A)平面図、(B)L形レンチで接着具を駆動する様子の説明図である。
図7】(A)細い脚のTV受信機、(B)通常の接着具の使用状態、(C)接着具の側面を使用する場合の説明図である。
図8】(A)分割されていない剥離紙、(B)部分的に剥がした状態の剥離紙の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1(A)に示す本発明に係る六角形の接着具10は、基体3の一面となる下面及び他面となる上面に接着部材1,2が付着されて構成される。ここで、図1(B)で図の下部の略直線の端部Aは長さがほかの端部よりも長くなっている。また、接着部材2の端部Bを除いて外周が基体3の外周よりも内側に位置している。これは使用時に圧力により接着部材が外部へはみ出すのを防止するためである。図1(C)に示す側面図で基体の端部Aと接着部材の端部Bが前記端部Aにほぼ沿う様子が示されている。なお、接着部材の端部Bが端部Aの外へ出ていてもよい。この形状は後述する接着具の側面を接着に用いる接着具の組み合わせに役立つ。
【0029】
図2(A)に示す接着具の製造時には、基体3の外縁の内側に接着部材1,2が位置する。ここで、図2(B)に示すように圧力Pが加わると接着部材1,2は外側へ延びる。この延びが多いと駆動部材を用いた回転剥離の際に駆動部材に接着部材がからまり作業性が低下する恐れがある。そこで、この延びが邪魔をしないように製造時には予め接着部材1,2の外縁が基体3の外縁の内側になるように基体3と接着部材1,2の寸法及び位置を決める。
【0030】
基体の形状は、外部から駆動容易な形態で基体部材から無駄なく切り分けるために平面充填のものが好ましい。平面充填の形状は一種類のみの形状の場合は、平面視で六角形、三角形、四角形から選ばれる。スパナを駆動部材として選ぶ場合は6角形が好ましいが、四角形でもよい。基体の形状が角型以外では楕円形、又は突起を有する円形であれば外部からの回転駆動が容易になる。
【0031】
接着部材は通常シート状で提供されるのでこれを切断するには、切断面が直線になることが望ましく、その場合、図4(A)に示すように楕円形の基体33に対して直線で構成される長方形の接着部材31,32を組み合わせることになる。基体33と接着部材の製造工程が別工程の場合は、それぞれの形状には自由度が大きい。
【0032】
接着部材はシート状のものや塗布するものでよい。またその材料は接着性を有するウレタン系、スチレン系、オレフィン系、ブチルゴム、アクリルゴム系などが候補となる。用途に応じて粘弾性を示すゲルも好適である。
【0033】
基体の材料は用いる接着部材と高い接着力を有する材料が好ましい。木製、金属、合成樹脂などが候補となるが接着部材との接着力と加工性及び費用及び外部からの駆動に耐える強靭性を勘案して決められる。接着部材の材料としてアクリル系樹脂を選択する場合は接着力及び加工性の点で相性の良いアクリル樹脂が好ましいが、駆動の観点からはABSやPC樹脂が好適である。
【0034】
外部から基体を駆動するにはスパナやレンチを用いることが好適である。基体が六角形の場合はスパナを駆動に用いる。図3に接着具を回転駆動により外す際の様子を示す。図3(A)に示すのは駆動部材8を外形が六角の接着具10へ矢印aの方向へ進め接着具10へ駆動部材8を嵌める。図3(B)に示すようにレンチを矢印bの方向に動かし接着具を取り外すことが容易にできる。
【0035】
基体の平面形状が角型以外では楕円形、又は突起を有する円形であれば外部から接着具を回転させることができる。図4(A)に外径が楕円の場合を示す。画鋲代わりに用いる小さなものは手による駆動が可能である。この図の場合も端部Aと接着部材の端部Bの面を合わせることで接着部材の端部Bを用いた作業が可能になる。接着時の圧力による接着部材の延びが端部B以外には基体32の内側に収まるように接着部材31,32と基体33の寸法を決める
【0036】
図5に示すのは、基体の外形への駆動でなく、基体を駆動可能にするために駆動用の孔91を設ける場合である。孔は91図5(B)に示す様に基体を貫通しても、途中までの穴でも良く、外力が加えやすい溝などでもよい。孔91に駆動棒9を通した様子を図5(B)、(C)に示す
【0037】
また、図6(A)に示すのは基体の中央部へ孔45を設け図5(B)に示すように駆動部材であるLレンチ42を孔45挿入して駆動することもできる。これは後述する接着具の側面を使う場合、端部Bを使うときに有効である。
【0038】
図7に脚の細いTV受信機を固定する場合について説明する。図7(A)のTV受信機20の脚21は底面積が小さいため、図7(B)に示すようにTV台とTVの脚先を接着具で接着しても脚先の面積が小さいため十分な接着力を得ることができない。そこで図7(C)に示すように足の側面に接着具を2個接着し、この2個の接着具の側面に出ている接着部材の端部BをTVの脚先へ接着された接着具へ接着することで脚先を十分にTV台へ接着することができる。このために図1(C),図4(A)に示す端部Bを有する接着具が有効になる。また、これを駆動する場合に、図6(B)に示すLレンチが有効である。
【0039】
図9(B)はTVスタンドの脚の先に接着具を付着した様子を示す。今回開発した接着具10は接着力が強いのでTVスタンドの脚先に取り付けることで地震対策を講じることが可能になる。TVの大きさに合わせて用いる接着具の大きさや個数を選ぶことが好適である。
【0040】
図8(A)に示す本発明に係る接着具10は、基体3の下に一面1となる下面及び他面2となる上面に接着部材が付着されて構成される。また、図6(B)には接着部材の最外面の接着面を保護して接着具の取り扱いを容易にする剥離紙4が付着されている様子を示す。この剥離紙4に部分的に分割可能になる切れ目を入れることで、使用状態において剥離紙を部分的にとりさることで接着力を調節することができる。
【0041】
本願発明は、強力に接着した接着具を回転剥離により剥離作業の簡便化を図るものである。そこで、その接着具に適合する駆動部材を組み合わせた接着具セットも本願発明に含まれる。
【0042】
上記に説明した接着具をこの接着具に適合した駆動部材を用いて接着具を回転し前記接着具を剥離する剥離方法は本願発明の具体的な適用となる。
【0043】
本願発明の接着具を用いることで外観を損なうことなく什器や装置の床への固定が可能となり、また壁に穴を開けることなく物品を壁に固定することができる。
【符号の説明】
【0044】
1、2 接着部材
3 基体
4、5剥離紙
8 スパナ
9 駆動棒
10 接着具
20 TV受信機
21 TVの脚
31,32 接着部材
33 基体
40 接着具
41,42 接着部材
43 基体
45 駆動用孔
46 Lレンチ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-12-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8