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特開2024-95859動態管理システム、動態管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095859
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】動態管理システム、動態管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240704BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240704BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240704BHJP
   H04L 67/52 20220101ALI20240704BHJP
【FI】
G06Q50/26
G08B25/04 K
G08B21/02
H04L67/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212816
(22)【出願日】2022-12-29
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523003157
【氏名又は名称】尾北 ▲高▼博
(71)【出願人】
【識別番号】500321070
【氏名又は名称】株式会社システムトークス
(74)【代理人】
【識別番号】100194467
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 健文
(72)【発明者】
【氏名】尾北 ▲高▼博
(72)【発明者】
【氏名】板坂 太郎
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086CA25
5C086DA08
5C087AA25
5C087BB74
5C087DD03
5C087EE07
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG17
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】避難者が避難行動を起こしているか、まだ避難行動を起こしていないかをリアルタイムに把握できること。
【解決手段】動態管理システムは、避難元81、避難先82、及び避難元81と避難先82とをつなぐ避難経路83の各々に設置された複数のアクセスポイント5に対して通信可能に接続された動態管理システムである。動態管理システムは、複数のアクセスポイント5のうち、避難者が保持する通信デバイス6と通信したアクセスポイント5を特定する情報を受け付ける位置情報受付部121と、位置情報受付部121に入力された情報に基づいて、通信デバイス6が、避難元81、避難先82及び避難経路83のうちのいずれに位置するかを判定する避難者位置判定部122と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難元、避難先、及び前記避難元と前記避難先とをつなぐ避難経路の各々に設置された複数のアクセスポイントに対して通信可能に接続された動態管理システムであって、 前記複数のアクセスポイントのうち、避難者が保持する通信デバイスと通信したアクセスポイントを特定する情報を受け付ける位置情報受付部と、
前記位置情報受付部に入力された情報に基づいて、前記通信デバイスが、前記避難元、前記避難先及び前記避難経路のうちのいずれに位置するかを判定する避難者位置判定部と、
を備える、
動態管理システム。
【請求項2】
前記避難者の個人情報が登録された個人情報保管サーバと通信可能に接続されており、
前記通信デバイスを特定する識別情報に基づき、前記個人情報保管サーバに登録された前記個人情報を取得する取得部を更に備える、
請求項1に記載の動態管理システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記個人情報保管サーバからの前記個人情報の取得を前記避難者による同意があった場合にのみ許可するものであり、
前記動態管理システムは、前記通信デバイスから、前記同意があったことの信号を受け付け、同意があったこととして処理する同意受付部を更に備える、
請求項2に記載の動態管理システム。
【請求項4】
前記同意受付部は、前記通信デバイスのディスプレイに災害情報を表示するための情報を取得するスイッチが操作されることで送信される信号を、前記同意があった旨の信号とする、
請求項3に記載の動態管理システム。
【請求項5】
前記通信デバイスはRFIDタグを含み、
前記同意受付部は、RFIDリーダにより前記RFIDタグを読み取ると、前記同意があったことして処理する、
請求項3に記載の動態管理システム。
【請求項6】
前記通信デバイスの位置をマップ上にプロットし、マッピング情報を取得するマッピング部と、
前記マッピング部により得られたマッピング情報に基づいて表示部に出力するモニタ出力部と、
を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の動態管理システム。
【請求項7】
避難元、避難先、及び前記避難元と前記避難先とをつなぐ避難経路の各々に設置された複数のアクセスポイントを用いて、動態管理を行う動態管理方法であって、
前記複数のアクセスポイントのうち、避難者が保持する通信デバイスと通信したアクセスポイントを特定する情報を取得するステップと、
前記ステップで取得した情報に基づいて、前記通信デバイスが、前記避難元、前記避難先及び前記避難経路のうちのいずれに位置するかを判定するステップと、
を含む、
動態管理方法。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセッサに、請求項7に記載の動態管理方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動態管理システム、動態管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、地震や台風等による災害が発生すると、家族や知人が無事でいるのか、どこの避難所にいるのか、といった情報を入手することが重要になる。しかし、災害時にはライフラインが寸断されるため、平時の方法で連絡をとることは困難である。
【0003】
そこで、災害発生時の安否確認を容易に行うことができる安否確認システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-158716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、安否確認をするよりも前に、的確な避難行動を開始してもらうことが重要である。的確な避難行動を開始してもらうためには、早めに避難行動を促すことが、一人でも多くの命を救う鍵となる。早めに避難行動を促すためには、災害発生時において、避難者が、避難行動を開始したかどうかを把握することが必要である。
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、緊急事態発生後の安否確認を行うことができるだけであり、災害発生時において、避難者が、避難行動を開始したかどうかを把握することは難しい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、避難者が避難行動を起こしているか、まだ避難行動を起こしていないかをリアルタイムに把握可能な動態管理システム、動態管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様の動態管理システムは、避難元、避難先、及び前記避難元と前記避難先とをつなぐ避難経路の各々に設置された複数のアクセスポイントに対して通信可能に接続された動態管理システムであって、前記複数のアクセスポイントのうち、避難者が保持する通信デバイスと通信したアクセスポイントを特定する情報を受け付ける位置情報受付部と、前記位置情報受付部に入力された情報に基づいて、前記通信デバイスが、前記避難元、前記避難先及び前記避難経路のうちのいずれに位置するかを判定する避難者位置判定部と、を備える。
【0009】
本発明に係る一態様の動態管理方法は、避難元、避難先、及び前記避難元と前記避難先とをつなぐ避難経路の各々に設置された複数のアクセスポイントを用いて、動態管理を行う動態管理方法であって、前記複数のアクセスポイントのうち、避難者が保持する通信デバイスと通信したアクセスポイントを特定する情報を取得するステップと、前記ステップで取得した情報に基づいて、前記通信デバイスが、前記避難元、前記避難先及び前記避難経路のうちのいずれに位置するかを判定するステップと、を含む。
【0010】
本発明に係る一態様のプログラムは、少なくとも1つのプロセッサに、上記動態管理方法の各ステップを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る上記態様の動態管理システム、動態管理方法及びプログラムは、避難者が避難行動を起こしているか、まだ避難行動を起こしていないかをリアルタイムに把握できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る動態管理システムを含むシステム全体の概略図である。
図2】実施形態に係る動態管理システムを含むシステム全体のブロック図である。
図3】実施形態に係る通信デバイスの模式平面図である。
図4】実施形態に係る動態管理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る動態管理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
【0014】
動態管理システムは、通信デバイス6を保持する避難者が、避難先82に避難しているか、避難元81にいるか、又は避難中か、などのように避難者が現在いる場所を特定することができるシステムである。動態管理システムを含む全体のシステムは、図1に示すように、動態管理システム(本実施形態では動態管理装置1)と、個人情報保管サーバ4と、複数のアクセスポイント5と、通信デバイス6と、を備える。動態管理システム、個人情報保管サーバ4、複数のアクセスポイント5及び通信デバイス6は、図2に示すように、ネットワークN1を介して、有線又は無線により、通信可能に接続されている。
【0015】
動態管理システムは、通信デバイス6と通信したアクセスポイント5を特定する位置情報受付部121と、位置情報受付部121に入力された情報に基づいて通信デバイス6の位置を判定する避難者位置判定部122と、を備える。動態管理システムによれば、通信デバイス6の位置が、避難元81、避難先82又は避難経路83のうちのいずれに位置するかがわかるため、通信デバイス6を保持する避難者が、避難中か、避難が完了したか、あるいは避難先82に留まっているか、について把握しやすい。
【0016】
本明細書に係る動態管理システムを含むシステムは、管理エリアにおいて使用されることが好ましい。管理エリアとしては、例えば、学校、病院、工場、民間会社、老人ホーム、集合住宅、保育園、幼稚園等が挙げられる。動態管理システムは、気象庁、消防庁、デジタル庁、民間の情報提供サービス事業等による外部の情報提供システム(以下、「外部システム」から、災害情報等を受信し、これを通信デバイス6に送信し、通信デバイス6に対し、災害情報及び/又は避難情報、避難に関するメッセージ等を表示させることが好ましい。これによって、通信デバイス6を保持する避難者は、的確な避難行動をとりやすい。
【0017】
ここでいう「災害情報等」には、災害情報のほか、避難情報、リアルタイムハザードマップ情報のうちの1つ又は複数種が含まれる。災害情報は、災害に関する情報を意味し、例えば、避難情報、気象情報、緊急地震速報、津波情報等が挙げられる。避難情報は、避難に関する情報を意味し、例えば、早期注意情報(警戒レベル1)、大雨・洪水・高潮注意報(警戒レベル2)、高齢者等避難(警戒レベル3)、避難指示(警戒レベル4)、緊急安全確保(警戒レベル5)等が挙げられる。リアルタイムハザードマップとは、土砂災害予想区域図の一種であり、例えば、火山噴火の条件に応じた土砂移動現象の影響範囲等を想定した区域図を意味する。リアルタイムハザードマップに関する情報は、リアルタイムハザードマップに対する識別情報であればよい。
【0018】
本明細書において、「避難元81」とは、避難者が避難行動に移行する前にいる場所を意味する。避難元81としては、特に制限はないが、例えば、上述の管理エリアで挙げた場所が挙げられる。また、「避難先82」とは、避難者が避難行動に移した結果、避難者が集合する場所を意味する。避難先82は、避難元81又は避難者に応じて、定められていることが好ましい。避難先82としては、例えば、体育館、校舎、スポーツセンター、図書館、グラウンド、公園等が挙げられる。
【0019】
避難経路83は、避難元81と避難先82とをつなぐ経路である。避難経路83は、避難元81から避難先82までの最短経路であることが好ましい。また、避難経路83は、倒壊しやすい建築物(家屋、壁等)に隣接しないルートであることが好ましい。避難経路83は、避難元81又は避難者に応じて、定められていることが好ましい。
【0020】
以下の実施形態では、動態管理システムの機能の大部分が1つの筐体内に集約された動態管理装置1を例示して説明する。ただし、動態管理システムとしては、複数の機能が1つの筐体内に集約されていることは必須ではなく、例えば、動態管理システムの構成要素は、複数の筐体に分散して設けられてもよい。また、動態管理システムの一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0021】
(通信デバイス6)
【0022】
通信デバイス6は、避難者が保持するデバイスである。通信デバイス6は、動態管理装置1に対して、ネットワークN1を介して、無線により、通信可能に接続されている。通信デバイス6には、固有の識別IDが割り当てられており、所有者である避難者を識別することができる。識別IDとしては、例えば、MACアドレス、デバイスID(IMEI/MEID/ESN)等が挙げられる。
【0023】
本実施形態に係る通信デバイス6は、図3に示すように、カード型のデバイスである。これによって、避難者は通信デバイス6をカードケースに入れてネックストラップによって首に吊り下げたり、通信デバイス6を財布又はカバンに入れたりでき、保持しやすい通信デバイス6となる。ただし、通信デバイス6は、カード型のデバイスに限らず、例えば、避難者の所有するスマートフォン、タブレット端末、ノートPC、ウェアラブルデバイス等であってもよい。ウェアラブルデバイスとしては、例えば、スマートウォッチ(時計型)、スマートグラス(眼鏡型)、指輪型、リストバンド型、衣類型、イヤフォン型等が挙げられる。
【0024】
通信デバイス6は、ディスプレイ63と、情報受信ボタン64と、処理部65と、通信部61と、RFIDタグ62と、を備える。処理部65は、通信デバイス6における各種処理を実行する。避難者が情報受信ボタン64を押すことで、処理部65は、通信部61を介して、災害情報等を取得できる。処理部65は、取得した災害情報等を、ディスプレイ63に表示させることができる。
【0025】
また、処理部65は、ディスプレイ63に2次元コードを表示させることが好ましい。特定のメッセージを2次元コードに変換して表示することで、ディスプレイ63の表示領域には表示できない容量のメッセージを避難者に伝えることができる。また、電子メール及び/又はIPアドレスに依拠せず、メッセージを表示できるため、メッセージと個人情報とが紐づいた状態で漏洩することが低減でき、個人情報の漏洩の心配を軽減できる。2次元コードとしては、例えば、QRコード(登録商標)、DataMatrix、MaxiCode、PDF417、Aztec等が挙げられる。
【0026】
ディスプレイ63には、適切な避難行動を促すメッセージを表示させることが好ましい。処理部65は、外部システムから受信した災害情報等に基づいて、ディスプレイ63に対して、避難経路83上における適切な避難行動を促すメッセージを表示させることが好ましい。避難行動を促すメッセージとしては、例えば「アワテズニ 5フンイナイニ ソコカラデテヒナンシテ」「デタタテモノハヒサイハンテイチュウ。モドラナイデ」等が挙げられる。なお、メッセージは、平仮名、漢字を含んでもよいし、英語等の外国語で表示してもよい。
【0027】
通信部61は、通信インターフェイスを含む。通信部61は、外部システムからの情報を受信するために、例えば、ネットワークN1に対して、LTEの規格により通信可能であることが好ましい。通信部61は、LTEに限らず、例えば、3G、5G等の規格により通信してもよい。また、通信部61は、アクセスポイント5に対して、閉域網を構成することが好ましい。通信部61とアクセスポイント5とは、例えば、BLE通信で接続されることが好ましい。
【0028】
RFIDタグ62は、RFIDに用いられるタグである。なお、RFIDタグ62には、ICタグ、電子タグ、電子荷札等も含まれる。RFIDタグ62は、通信デバイス6に内蔵されている。RFIDタグ62は、RFIDリーダ2によって読み取られる。RFIDタグ62は、パッシブ型であってもよいし、アクティブ型であってもよい。
【0029】
RFIDリーダ2は、避難先82に設置されることが好ましい。RFIDリーダ2は、固定式、ハンディ式のいずれであってもよい。固定式のRFIDリーダ2としては、例えば、トンネル型、ゲート型、卓上型等が挙げられる。RFIDリーダ2は、動態管理システムに対し、有線又は無線により、通信可能に接続されている。
【0030】
通信デバイス6は、例えば、薄型リチウム電池が内蔵される。これにより、長期間にわたって、電力が供給される。
【0031】
(アクセスポイント5)
【0032】
アクセスポイント5は、図1に示すように、避難元81、避難先82、及び避難経路83の各々に、少なくとも1つずつ設置されている。避難経路83には、一定の間隔をおいて複数のアクセスポイント5が設置されていることが好ましい。複数のアクセスポイント5は、図1に示すように、IoTプラットフォーム7に接続されている。各アクセスポイント5には、固有の識別IDが割り当てられており、当該識別IDに対し、当該アクセスポイント5が設置されている場所を関連付けて、動態管理装置1の記憶部13に記録されている。アクセスポイント5が設置されている場所は、例えば、緯度及び経度によって特定される。
【0033】
各アクセスポイント5とIoTプラットフォーム7とは、Wi-Fi HaLow(登録商標)通信にて閉域網を構成することが好ましい。また、IoTプラットフォーム7と、動態管理装置1とは、例えば、LTE通信等によってインターネットを介して接続することが好ましい。これによって、通信デバイス6からIoTプラットフォーム7までは閉域網で接続できるため、セキュアな通信プロトコルを使わなくても、暗号化することなく、通信量の低いプロトコルでデータの送受信ができる。さらに、通信デバイス6からIoTプラットフォーム7までの通信量と、通信デバイス6のバッテリーの消費量とを、低減できる。そのうえ、インターネットを介して、動態管理装置1に接続する場合でも、IPアドレスに依拠しないので、サイバー攻撃に対しても強靭でセキュアな網を構成でき、全体最適を実現でき、クラウドコンピュータ内の個人情報保管サーバ4におけるファイヤーウォール等のセキュリティ対策に注力できる。
【0034】
(動態管理装置1)
【0035】
動態管理装置1(動態管理システム)は、例えば、パーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータを含んでいる。すなわち、動態管理装置1は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、動態管理装置1の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0036】
動態管理装置1は、図2に示すように、通信部11と、動態管理装置1の全体の処理を実行する処理部12と、記憶部13と、を備える。処理部12は、ストレージに記憶されるプログラムに従って、各種処理を実行するプロセッサにより実現される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)等が挙げられる。
【0037】
通信部11は、通信インターフェイスを含む。動態管理装置1は、通信部11を介して、データの送受信を行うことができる。通信部11は、ネットワークN1を介して、アクセスポイント5、個人情報保管サーバ4等と接続される。また、通信部11は、RFIDリーダ2、表示部3と接続されることが好ましい。
【0038】
記憶部13は、動態管理装置1で取り扱う情報を記憶する。記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等により実現される。
【0039】
処理部12は、位置情報受付部121と、避難者位置判定部122と、同意受付部123と、取得部124と、マッピング部125と、モニタ出力部126と、を備える。位置情報受付部121、避難者位置判定部122、同意受付部123、取得部124、マッピング部125及びモニタ出力部126は、動態管理装置1によって実現される機能を示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0040】
(位置情報受付部121)
【0041】
位置情報受付部121は、複数のアクセスポイント5のうちから通信デバイス6と通信したアクセスポイント5を特定する情報を受け付ける。本実施形態において、アクセスポイント5を特定する情報とは、通信デバイス6と通信したアクセスポイント5の識別IDを含む。すなわち、位置情報受付部121は、本実施形態では、通信デバイス6と通信したアクセスポイント5から、識別IDを受け付けることで、通信デバイス6と通信したアクセスポイント5を特定できる。
【0042】
(避難者位置判定部122)
【0043】
避難者位置判定部122は、位置情報受付部121に入力された情報に基づいて、通信デバイス6が、避難元81、避難先82及び避難経路83のうちのいずれに位置するかを判定する。例えば、避難元81に設置されたアクセスポイント5の識別IDが位置情報受付部121に入力されると、避難者位置判定部122は、通信デバイス6が避難元81に位置すると判定する。この結果、通信デバイス6を有する避難者は、まだ避難元81に留まっていることが把握できる。
【0044】
避難者位置判定部122は、通信デバイス6が避難経路83のアクセスポイント5と通信した場合、通信デバイス6が避難経路83のどの位置に位置しているかを判定することが好ましい。これによって、避難者のいる場所から避難先82までの距離、及び/又は避難先82への到着予定時刻等が把握できる。後述のモニタ出力部126により、リアルタイムハザードマップにマッピングすることで、避難者(動態)の避難状況の見える化を実現しやすい。
【0045】
(同意受付部123)
【0046】
同意受付部123は、個人情報の取得について避難者による同意があったことの信号を受け付け、避難者による同意があったこととして処理する。例えば、避難先82にいる場合において、通信デバイス6の情報受信ボタン64を押すと、これに応じた電気信号が同意受付部123に入力される。これをもって、同意受付部123は、個人情報の提供について同意があったとして処理してもよい。また、避難先82等に設置されたRFIDリーダ2に対して、通信デバイス6のRFIDタグ62を読み取らせる。これをもって、同意受付部123は、個人情報の提供について同意があったとして処理してもよい。なお、特定の場所において情報受信ボタン64を操作することで、同意されたこととみなされること、又はRFIDリーダ2に通信デバイス6を読み取らせる(例えば、かざす、タッチさせる、特定のゲートを通る、施設内に入る等)こと等で、同意されたこととみなされることについては、通信デバイス6の機能として、避難者に対して事前に説明をしておく必要がある。
【0047】
(取得部124)
【0048】
取得部124は、避難者が個人情報の取得を同意した場合に、個人情報保管サーバ4から個人情報を取得する。取得部124は、通信デバイス6の識別IDを参照し、個人情報保管サーバ4から個人情報を取得できる。取得部124は、通信デバイス6に対し、取得した個人情報を割り当てる。
【0049】
個人情報保管サーバ4は、図2に示すように、ネットワークN1を介して、動態管理装置1に対して通信可能に接続されている。個人情報保管サーバ4には、通信デバイス6の識別ID、避難者の氏名、住所、年齢、家族構成等が関連づけて登録されている。個人情報保管サーバ4は、避難者の同意がない限り、個人情報の開示を許可しない。
【0050】
取得部124は、同意受付部123が、避難者から個人情報の開示についての同意を受け付けると、個人情報保管サーバ4に対して、同意がある旨の情報を送信し、個人情報保管サーバ4は、同意がある旨の情報を受け付けることで、個人情報を送信することを許可する。これによって、取得部124は、通信デバイス6に対応する個人情報を取得できる。
【0051】
(マッピング部125)
【0052】
マッピング部125は、マップデータ(地図データ)に対して、通信デバイス6の現在の位置をプロットする。マッピング部125は、本実施形態では、避難者位置判定部122によって判定した通信デバイス6の位置情報を取得し、これをマップデータにプロットし、マッピング情報を取得する。マッピング部125は、マップデータとして、リアルタイムハザードマップを用いることが好ましい。
【0053】
(モニタ出力部126)
【0054】
モニタ出力部126は、マッピング部125によって取得したマッピング情報を、外部の表示部3に表示させる。表示部3としては、例えば、モニタ、ディスプレイ、プロジェクター、タブレット端末のディスプレイ、スマートフォンのディスプレイ、PCのディスプレイ等が挙げられる。
【0055】
(フローチャート)
【0056】
次に、フローチャートに基づいて、本実施形態に係る動態管理装置1の動作の一例を説明する。
【0057】
動態管理装置1を用いた管理方法(「動態管理方法」という場合がある)は、図4に示すように、位置取得ステップ(ST1、2、3)、位置判定ステップ(ST3)、表示ステップ(ST5、6)を順に実行する。
【0058】
位置取得ステップは、複数のアクセスポイント5のうちから通信デバイス6と通信したアクセスポイント5を特定する情報を取得する。通信デバイス6を持つ避難者は、避難先82から避難経路83に沿って避難すると、アクセスポイント5は通信デバイス6と通信を行い、動態管理装置1は、通信を行なったアクセスポイント5の識別IDを取得する(ST1、2)。この後、動態管理装置1は、識別IDに基づいて、通信デバイス6と通信したアクセスポイント5を特定する(ST3)。
【0059】
位置判定ステップは、位置取得ステップで取得した情報に基づいて、通信デバイス6が、避難元81、避難先82及び避難経路83のうちのいずれに位置するかを判定する。動態管理装置1は、通信デバイス6と通信したアクセスポイント5を特定すると、これに基づいて、通信デバイス6の位置を判定することができる。特に、避難経路83においては、通信デバイス6が、避難経路83中のどの位置にあるかを判定することが好ましい。
【0060】
表示ステップは、位置判定ステップで得た通信デバイス6の位置情報に基づき、避難者の位置をマップ上にプロットする。動態管理装置1は、通信デバイス6の位置情報を取得すると、これに基づき、例えば、リアルタイムハザードマップ上に避難者の位置をプロットし、マッピング情報を生成する。そして、動態管理装置1は、マッピング情報に基づいて、リアルタイムハザードマップと、避難者の位置とを表示部3上に表示させる。
【0061】
次に、通信デバイス6に対して、当該通信デバイス6を保持する避難者の個人情報を割り当てる際の動作の一例について、図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0062】
避難者が避難先82にいる場合において、避難者は、通信デバイス6をRFIDリーダ2にかざす。すると、RFIDリーダ2は、通信デバイス6に内蔵されたRFIDタグ62を読み取る(ST11)。すると、動態管理装置1は、個人情報保管サーバ4からの個人情報の取得について、避難者による同意があったと判断し、個人情報保管サーバ4から、通信デバイス6の識別IDに対応する個人情報を取得する(ST12、13)。その後、動態管理装置1は、通信デバイス6に対して、取得した個人情報を割り当てる(ST14)。
【0063】
本実施形態では、RFIDリーダ2によって、RFIDタグ62を読み取り、これをもって個人情報を提供することの同意としたが、通信デバイス6の情報受信ボタン64を押すことで、例えば、Bluetooth(登録商標)による通信が起動させ、これを動態管理装置1が受信したことをもって、個人情報の提供の同意としてもよい。
【0064】
(変形例)
【0065】
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0066】
通信デバイス6のRFIDタグ62を用いて、電子錠の機能を付与してもよい。例えば、避難先82にRFIDリーダ2を設置し、避難者がRFIDリーダ2に読み取らせることで、予め登録された通信デバイス6であるか否かが判定できる。そして、動態管理システムは、予め登録された通信デバイス6であると判定すると、避難先82の出入り口の扉等の開錠を実行する。また、同様に、開錠時において、通信デバイス6をRFIDリーダ2に読み取らせることで、施錠することもできる。
【0067】
通信デバイス6のディスプレイ63には、避難行動を促すメッセージを表示させることができたが、例えば、動態管理システムによって、通信デバイス6の位置から避難先82までの移動時間を算出し、避難先82に到着するまでのリードタイムを通信デバイス6のディスプレイ63に表示させてもよい。また、リードタイムの表示は、数値による表示であってもよいし、図及び/又はグラフで表示してもよい。リードタイムの表示は、カウントダウンによる表示が好ましい。
【0068】
RFID
【0069】
上記実施形態に係る動態管理方法は、位置取得ステップ、位置判定ステップ及び表示ステップを含んでいたが、表示ステップはなくてもよい。
【0070】
(まとめ)
【0071】
以上説明したように、第1の態様に係る動態管理システムは、避難元81、避難先82、及び避難元81と避難先82とをつなぐ避難経路83の各々に設置された複数のアクセスポイント5に対して通信可能に接続された動態管理システムである。動態管理システムは、複数のアクセスポイント5のうち、避難者が保持する通信デバイス6と通信したアクセスポイント5を特定する情報を受け付ける位置情報受付部121と、位置情報受付部121に入力された情報に基づいて、通信デバイス6が、避難元81、避難先82及び避難経路83のうちのいずれに位置するかを判定する避難者位置判定部122と、を備える。この態様によれば、通信デバイス6が、避難元81、避難先82及び避難経路83のうちのいずれに位置するかを判定することができるため、通信デバイス6を保持する避難者が避難行動を起こしているか、まだ避難行動を起こしていないかをリアルタイムに把握できる。
【0072】
また、第2の態様に係る動態管理システムでは、第1の態様において、避難者の個人情報が登録された個人情報保管サーバ4と通信可能に接続されており、通信デバイス6を特定する識別情報に基づき、個人情報保管サーバ4に登録された個人情報を取得する取得部124を更に備える。この態様によれば、通信デバイス6と個人情報とを紐付けて登録することができ、例えば、避難行動を起こしていない避難者を把握できる。
【0073】
また、第3の態様に係る動態管理システムでは、第2の態様において、取得部124は、個人情報保管サーバ4からの個人情報の取得を避難者による同意があった場合にのみ許可するものであり、動態管理システムは、通信デバイス6から、同意があったことの信号を受け付け、同意があったこととして処理する同意受付部123を更に備える。この態様によれば、個人情報の漏洩のリスクをできる限り軽減できる。
【0074】
また、第4の態様に係る動態管理システムでは、第3の態様において、同意受付部123は、通信デバイス6のディスプレイ63に災害情報を表示するための情報を取得するスイッチが操作されることで送信される信号を、同意があった旨の信号とする。この態様によれば、避難者のスイッチを操作する行為をもって、個人情報の提供の同意とみなすことができるため、最小限の動作で、個人情報を取得できる。
【0075】
また、第5の態様に係る動態管理システムでは、第3の態様において、通信デバイス6はRFIDタグ62を含み、同意受付部123は、RFIDリーダ2によりRFIDタグ62を読み取ると、同意があったことして処理する。この態様によれば、避難者が通信デバイス6をRFIDリーダ2に読み取らせる行為をもって、個人情報の提供の同意とみなすことができるため、最小限の動作で、個人情報を取得できる。
【0076】
また、第6の態様に係る動態管理システムでは、第1から5のいずれかの態様において、通信デバイス6の位置をマップ上にプロットし、マッピング情報を取得するマッピング部125と、マッピング部125により得られたマッピング情報に基づいて表示部3に出力するモニタ出力部126と、を備える。この態様によれば、マップ上に避難者の現在の位置をプロットできるため、避難者について、見える化によるリアルタイムな管理を実現できる。
【符号の説明】
【0077】
1 動態管理装置(動態管理システム)
121 位置情報受付部
122 避難者位置判定部
123 同意受付部
124 取得部
125 マッピング部
126 モニタ出力部
2 RFIDリーダ
3 表示部
4 個人情報保管サーバ
5 アクセスポイント
6 通信デバイス
62 RFIDタグ
81 避難元
82 避難先
83 避難経路


図1
図2
図3
図4
図5