(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095866
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】スケートボード用ウィール、スケートボード用走行装置、スケートボード
(51)【国際特許分類】
A63C 17/02 20060101AFI20240704BHJP
A63C 17/14 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A63C17/02
A63C17/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212828
(22)【出願日】2022-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】520351392
【氏名又は名称】monoto design合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】須藤 正
(57)【要約】
【課題】 デッキに対し体が傾いても転倒しにくくする。
【課題を解決するための手段】デッキ12下面の前端部と後端部に各々装着された2つの前側トラック3と後側トラック4と、前側トラック3と後側トラック4の左右のアクスルシャフト15に回転自在に設けられた4つの前側ウィール16と17、後側ウィール18と19を備えたスケートボード1であって、各前側ウィール16と17、後側ウィール18と19とアスクルシャフト15の間に、前進回転を許容し、後進回転を制限するワンウエイクラッチ22を設けた。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケートボード用トラックのアクスルシャフトに回転自在に取着可能なスケートボード用ウィールであって、
スケートボード用ウィールのアスクルシャフト取り付け部に、前進回転を許容し、後進回転を制限するワンウエイクラッチを設けたこと、
を特徴とするスケートボード用ウィール。
【請求項2】
スケートボード用トラックと、スケートボード用トラックのアクスルシャフトに回転自在に軸支されたスケートボード用ウィールを備えたスケートボード用走行装置であって、
スケートボード用ウィールとアスクルシャフトの間に、前進回転を許容し、後進回転を制限するワンウエイクラッチを設けたこと、
を特徴とするスケートボード用走行装置。
【請求項3】
デッキ下面の前端部と後端部に各々装着された2つのスケートボード用トラックと、各スケートボード用トラックの左右のアクスルシャフトに回転自在に設けられた4つのスケートボード用ウィールを備えたスケートボードであって、
少なくとも一つのスケートボード用ウィールとアスクルシャフトの間に、前進回転を許容し、後進回転を制限するワンウエイクラッチを設けたこと、
を特徴とするスケートボード。
【請求項4】
スケートボードに、ユーザが進行可能な方向を示す方向識別手段を備えたこと、
を特徴とする請求項3に記載のスケートボード。
【請求項5】
デッキ上面の前端部または後端部に、足裏で踏んだときの触感でデッキに対する足の位置を認識可能とする突起部を設けたこと、
を特徴とする請求項3に記載のスケートボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスケートボード用ウィール、スケートボード用走行装置、スケートボードに係り、とくに初心者が乗りやすくできるスケートボード用ウィール、スケートボード用走行装置、スケートボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からアウトドアでの移動やスポーツ用の用具の一つにスケートボードがある。このスケートボードは、両足を開いて載れる大きさの板状のデッキと、デッキ下面の前後に装着された2つの走行装置を有する。各走行装置はデッキに装着されたスケートボード用トラック及びスケートボード用トラックの左右のアクスルシャフトに回転自在に軸支された2つのスケートボード用ウィールからなる。このスケートボードは、デッキの前端部に前足を進行方向前方に向けて載せ、後ろ足で地面を後方へ蹴って前方への推進力を得ることで、片足乗りでの高速移動が可能となっている。更に、蹴り側の後ろ足を地面から離してデッキの後端部に載せるとともに、前足と後ろ足を進行方向に対し横向きに変え、デッキの上に両足で立った状態で移動することもできる。
【0003】
ところで、スケートボードに前足で片足乗りして移動しようとするとき、スケートボードと体の重心の位置関係が適切でないと、バランスを崩してデッキから落ちてしまう。具体的には、
図1の左側の如くデッキ1に対し、ユーザUの体の重心がRで示す適切な範囲にあるとき、バランスが良好であり、円滑に移動できるが、
図1の右上の如く体が後ろに傾き重心が後ろにずれると、スケートボードを前足Fで前方へ蹴るようになってスケートボードが相対的に先に進んでしまい、バランスを崩して後方へ転倒する。
図1の右下の如く体が前のめりに傾き重心が前にずれると、スケートボードを前足Fで後方へ蹴るようになってスケートボードが相対的に後方へ進んでしまい、バランスを崩して前方に転倒する。
近年は、持ち運びの利便性から小型化が流行しており、左右のスケートボード用ウィール間隔が狭くなり、
図1の符号Rに示す如く重心の適切な範囲が狭くなる傾向にあることもあって、初心者ではバランスを崩して転倒し易い問題があった。
【0004】
また、スケートボードに片足乗りから、両足乗りに変えようとするとき、
図2に示す如く、前足Fでデッキ1を地面に押し付けながら進行方向前方から横向きに素早く変える必要があるが、初心者ではデッキ1に載せた前足Fの位置が一定せずバラバラで前足Fの位置わかりづらく、向きを変える際にバランスをとり易い前足Fの位置を習得するのに時間が掛かる問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した問題に鑑みなされたもので、デッキに対し体が傾いても転倒しにくいスケートボード用ウィール、スケートボード用走行装置、スケートボードを提供することを、その目的とする。
また、デッキに載せた足の位置を容易に把握できるようにすることを、目的とする。
また、デッキに載せた前足の向きを容易に変えることができるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
スケートボード用トラックのアクスルシャフトに回転自在に取着可能なスケートボード用ウィールであって、
スケートボード用ウィールのアスクルシャフト取り付け部に、前進回転を許容し、後進回転を制限するワンウエイクラッチを設けたこと、
を特徴としている。
請求項2記載の発明は、
スケートボード用トラックと、スケートボード用トラックのアクスルシャフトに回転自在に軸支されたスケートボード用ウィールを備えたスケートボード用走行装置であって、
スケートボード用ウィールとアスクルシャフトの間に、前進回転を許容し、後進回転を制限するワンウエイクラッチを設けたこと、
を特徴としている。
請求項3記載の発明は、
デッキ下面の前端部と後端部に各々装着された2つのスケートボード用トラックと、各スケートボード用トラックの左右のアクスルシャフトに回転自在に設けられた4つのスケートボード用ウィールを備えたスケートボードであって、
少なくとも一つのスケートボード用ウィールとアスクルシャフトの間に、前進回転を許容し、後進回転を制限するワンウエイクラッチを設けたこと、
を特徴としている。
請求項4記載の発明は、
スケートボードに、ユーザが進行可能な方向を示す方向識別手段を備えたこと、
を特徴としている。
請求項5記載の発明は、
デッキ上面の前端部または後端部に、足裏で踏んだときの触感でデッキに対する足の位置を認識可能とする突起部を設けたこと、
を特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スケートボード用ウィールとアスクルシャフトの間に、前進回転を許容し、後進回転を制限するワンウエイクラッチを設けることにより、スケートボードに片足乗りして前方へ移動している最中に体が前傾し、デッキを後方へ蹴っても、ワンウエイクラッチの設けられたウィールが後進回転せずにブレーキが掛かるので、デッキが後退せず、バランスを崩さずに済む。とくに、上り坂では、自然と前傾姿勢になり、従来はバランスを崩して転倒し易かったが、本発明によれば上り坂でもバランスを崩しにくくなり、転倒リスクが減少する。また、万一、スケートボードから足が離れても、スケートボードにブレーキが掛かるので、自由落下する恐れも少なくなる。
また、他の発明によれば、進行可能な方向を示す方向識別手段を備えたので、スタート時に誤って前後を逆に載って、進行できなくなる恐れがなくなる。
また、更に他の発明によれば、デッキ上面の前端部または後端部に足を載せると、突起部が足裏に当たる感触からデッキに対する足の位置を認識可能になるので、片足乗りから両足乗りに変える際などに、初心者でもバランスの取り易かった足の位置、取りにくかった足の位置の把握が容易となり、バランスの取り易い足の位置を短い時間で習熟できる。突起部を軸にすることでデッキに載せた前足の向きを容易に変えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来のスケートボードの問題点の説明図である。
【
図2】従来のスケートボードの他の問題点の説明図である。
【
図3】
図1は本発明の一実施例に係るスケートボードの平面図である(実施例1)。
【
図7】
図7は
図3中の走行装置のスケートボード用ウィール周りの分解斜視図である。
【
図8】
図8は
図3中の走行装置のスケートボード用ウィール周りの組み立て図である。
【
図9】
図8は
図3中の走行装置のスケートボード用ウィール周りの組み立て後の構成図である。
【
図10】
図7のワンウエイクラッチの2つの具体例を示す外観斜視図である。
【
図15】
図15はワンウエイクラッチの変形例を示す説明図である。
【
図16】
図16はワンウエイクラッチの更に他の変形例を示す説明図である。
【
図17】
図17はワンウエイクラッチの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の最良の形態を実施例に基づき説明する。
【実施例0010】
図3乃至
図10を参照して本発明の一実施例に係るスケートボードを説明する。
図3は本発明に係るスケートボードの平面図、
図4乃至
図8は
図3中の正面図、側面図、底面図、
図3中の走行装置のスケートボード用ウィール周りの分解斜視図、
図9は
図3中の走行装置のスケートボード用ウィール周りの組み立て後の構成図、
図10は
図7のワンウエイクラッチの2つの具体例を示す外観斜視図である。
図3乃至
図6において、11は片足乗り、両足乗りが可能なスケートボードであり、この内、12はユーザが片足または両足を載せるデッキである。デッキ12は両足を肩幅より少し広く開いて載せることのできる長さを有している。デッキ12は、多数の孔が開いたハニカム板構造であり、前部の横幅が広く、後部の横幅が狭い非対象性の形状になっていることから、デッキ12の進行可能方向が識別可能になっている。デッキ12の長手方向の両端部の内、幅広な方が進行可能な方向である。デッキ12の前後方向の非対称な形状が方向識別手段としての機能を有する。
【0011】
13と14はデッキ12の下面の前端部と後端部に装着されたスケートボード用トラックとしての前側トラックと後側トラックであり、各々、左右のアスクルシャフト15に前側ウィール16と17、後側ウィール18と19が回転自在に軸支されている。前側トラック13と前側トラック13に軸支された前側ウィール16、17は前側のスケートボード用走行装置を成し、後側トラック14と後側トラック14に軸支された後側ウィール18、19は後側のスケートボード用走行装置を成す。
【0012】
前側トラック13の左右のアスクルシャフト15と前側ウィール16、17の間と、後側トラック14の左右のアスクルシャフト15と後側ウィール18、19ト15の間に、前進回転を許容し、後進回転を制限するワンウエイクラッチ(
図7の符号22参照)が設けられている。この実施例では、ワンウエイクラッチは4つの前側ウィール16と17、18と19の各々の内径空間であるアクスルシャフト取り付け部(
図8、
図9の符号26参照)に内装されている。
【0013】
具体的には、例えば、前側トラック13の左のアスクルシャフト15と前側ウィール16の場合、
図9(1)に示す如く、前側ウィール16の内径空間であるアクスルシャフト取り付け部26の中にはベアリングスペーサ20を挟んでベアリング21とワンウエイクラッチ22が装着されている。そして、アスクルワッシャ23を嵌めたアクスルシャフト15が前側ウィール16に内装されたワンウエイクラッチ22、ベアリングスペーサ20、ベアリング21に嵌装され、更にアスクルワッシャー24を嵌めたあと、先端部にアスクルナット25が螺合されている(
図9(2)参照)。これにより、前側ウィール16はアスクルシャフト15に対し、前進方向への回転が自在で、後進方向への回転が制限されるように軸支されている。
図10に本実施例で使用されるワンウエイクラッチの2つの例を示す(
図10(1)はキー溝付きタイプ、
図10(2)はキー溝無しタイプ)。
【0014】
前側トラック13の右側のアスクルシャフト(図示せず)に軸支された前側ウィール17、後側トラック14の左側のアスクルシャフト(図示せず)に軸支された後側ウィール18、後側トラック14の右側のアスクルシャフト(図示せず)に軸支された後側ウィール19も、前側トラック13の左側のアスクルシャフト15に軸支された前側ウィール16と同様に構成されており、前側ウィール17、後側ウィール18と19のアスクルシャフト取り付け部26にワンウエイクラッチ22が内装されており、前進方向への回転が自在で、後進方向への回転が制限されるように軸支されている。
【0015】
ワンウエイクラッチ22はスケートボード11に乗ったユーザの体が前傾し、デッキ12を後方へ蹴っても、前側と後側ウィール16、17と18、19が後回転しないようにして、地面との間にブレーキ力が働くようにするためのものである。
なお、ワンウエイクラッチ22は、前側ウィール16、17にだけ設けるようにしたり、後側ウィール18、19にだけ設けるようにしたりしても良い。
【0016】
30はデッキ2の上面の前端部に足裏で踏んだときの触感でデッキに対する足の位置を認識可能とする突起部である。この突起部30は袋ナット形であり、デッキ12の前端部に場所を変えて開けられた場所変更手段としての多数の取り付け孔31の内、任意の一つの取り付け孔31に下から挿入したボルトの先端部の螺子に着脱自在に螺合してなる。
【0017】
この実施例では、突起部30はデッキ2の横幅の中央に設けられており、デッキ12の前端部に前足を載せると、足裏の内、突起部30が当たった感触の場所から、デッキ12に対する足の位置を認識することができる。前足を前進方向に向けている場合、突起部30に母指球が当たっていれば、左寄り、小指の付け根があたっていれば右寄り、踵が当たっていれば前寄り、という具合にして足の位置がわかる。突起部30を他の取り付け孔31に取り付けることにより、突起部30の位置を変更可能になっている。
また、デッキ12の前端部に設けられた突起部30はデッキ12の進行可能方向を示す方向識別手段としての機能を有し、デッキ12の進行可能方向が識別可能になっている。デッキ12の長手方向の両端部の内、突起部30がある側が進行可能な方向である。
また、デッキ12に載せた前足の向きを前向きから横向きに変える際に、突起部30を軸にすることで、容易に回転できる。
【0018】
なお、デッキ12の後端部側にだけ突起部30を設けることで、後足の位置を認識可能としたり、方向識別手段としての機能を発揮させたりすることができる。デッキ12の長手方向の両端部の内、突起部30がない側が進行可能な方向である。
また、突起部が方向識別手段としての機能を発揮させなくて良い場合、デッキ12の前端部と後端部の両方に突起部を設けて、デッキ12に対する両足の位置を認識可能としても良い。
【0019】
次に、
図11~
図14を参照して上記したスケートボード11の作用を説明する。
(1)片足乗り
まず、スタートするためユーザがスケートボード11を地面においたとき、デッキ12の長さ方向の両端部の内、幅の狭い方が前にあれば後端部が前に来ており、ワンウエイクラッチ20により、前方への移動はできない方向なので、逆向きに変え、幅の広い前端部を前にする。デッキ12の幅以外にも、突起部30の有る側が前端部なので、突起部30が前に来ているか、後ろに来ているかによっても、進行可能な向きを認識することができる。
【0020】
次に、前足を進行方向前方に向けてデッキ12の前端部に載せ、バランスを取りながら、後ろ足で地面を後方へ蹴って前方への推進力を得ることで、片足乗りで高速に移動する(
図11、
図12参照)。
ここで、デッキ12に載せた前足の位置が悪いと、バランスを崩してしまう。初心者の内は、毎回、デッキ12に載せる足の位置がバラバラになってしまい、バランスのとり易い位置に一定させるのが難しい。この実施例では、バランスをとり易かった足の位置を、突起部30が当たる足の位置から把握して覚え、突起部30に当たる位置が一定になるように練習することで、乗り易い足の位置を素早く習熟することができる。
【0021】
また、体Bが前のめりに傾き重心が前にずれると、スケートボード11を前足で後方へ蹴るようになってしまう。この実施例では、デッキ2を後方へ蹴っても、ワンウエイクラッチ12の介装された前側ウィール16、17、後側ウィール18、19が後回転せずに大きなブレーキが掛かるので、デッキ12が後退せず、
図12の符号R’に示す如く重心の適切な範囲が前方に拡大するので、バランスを崩さずに済む。
とくに、上り坂では、自然と前傾姿勢になり、従来はバランスを崩して転倒し易かったが、本実施例によれば、
図13の符号R’に示す如く重心の適切な範囲が前方に拡大するので、上り坂でもバランスを崩しにくくなり、転倒リスクが減少する。また、万一、スケートボード11から足が離れても、スケートボード11にブレーキが掛かるので、自由落下する恐れも少なくなる。
【0022】
(2)両足乗り
スケートボード11に片足乗りの状態から、蹴り側の後ろ足を地面から離してデッキ12の後端部に載せるとともに、前足と後ろ足を進行方向に対し横向きに変え、デッキ12の上に両足で立った状態となることで、両足乗りで移動することできる(
図14参照)。前足の向きを変える際、デッキ12に載せた前足の向きを前向きから横向きに変える際に、突起部30を軸にすることで、容易に回転できる。
スケートボード11に片足乗りから、両足乗りに変えようとするとき、前足でデッキ12を地面に押し付けながら進行方向前方から横向きに素早く変える必要があるが、初心者ではデッキ12に載せた前足の位置が一定せずバラバラで前足の位置がわかりづらく、向きを変える際にバランスをとり易い前足の位置を習得するのが難しい。
【0023】
この実施例では、片足乗りから両足乗りに向きを変えるのに、バランスをとり易かった前足の位置を、突起部30が当たる足の位置から把握して覚え、突起部30に当たる位置が一定になるように練習することで、乗り易い足の位置を素早く習熟することができる。
【0024】
本実施例によれば、スケートボード11に進行可能な方向を示す方向表示手段を備えたので、スタート時に誤ってデッキ12の前後を逆に載って、進行できなくなる恐れがなくなる。
また、スケートボード11に片足乗りして前方へ移動している最中に体が前傾し、デッキ12を後方へ蹴っても、アクスルシャフト15とワンウエイクラッチ20の間に介装された各ウィール16~19が後回転せずにブレーキが掛かるので、デッキ12が後退せず、バランスを崩さずに済む。とくに、上り坂では、自然と前傾姿勢になり、従来はバランスを崩して転倒し易かったが、本発明によれば上り坂でもバランスを崩しにくくなり、転倒リスクが減少する。また、万一、スケートボード11から足が離れても、スケートボード11にブレーキが掛かるので、自由落下する恐れも少なくなる。
【0025】
また、デッキ12上面の前端部に設けた突起部30により、足を載せると、突起部30が足裏に当たる感触からデッキ12に対する足の位置を認識可能になるので、スタート時や片足乗りから両足乗りに変える際などに、初心者でもバランスの取り易かった前足の位置、取りにくかった前足の位置を把握し、バランスのとり易い位置からのずれを認識して、ずれが小さくなるように練習することで、短い時間で正しい足の位置を習熟できる。
また、前足の向きを変える際に、突起部30を軸にして回転できるので、円滑に片足乗りから両足乗りに変えられる。
【0026】
なお、上記した実施例では、前後左右の4つのウィールすべてにワンウエイクラッチを装備したが、前側トラックの左右のウィールだけとしたり、後側トラックの左右のウィールだけとしたり、更には、前側トラックの左右のいずれか一方だけに装備したり、後側トラックの左右のいずれか一方だけに装備しても良い。更に、4つのウィールの内、左側の前後2つのだけとしたり、右側の前後2つだけとしたり、対角方向の前後2つだけとしたり、4つの内、1つだけとしても良い。
いずれの場合でも、各ワンウエイクラッチは、前進回転を許容し、後進回転を制限するようにすればよい。
【0027】
また、ワンウエイクラッチは、ホイールの内径空間の軸方向に、スペーサを挟んでベアリングと対にして、ベアリングを外側、ワンウエイクラッチを内側に装備するようにしたが、逆に、ワンウエイクラッチを外側、ベアリングを内側に装備しても良く、あるいは、ベアリングもワンウエイクラッチに置き換えて、スペーサを挟んで外側と内側の両方に2つのワンウエイクラッチを対にして装備するようにしても良い。
【0028】
また、アスクルシャフトとウィールの間に設けるワンウエイクラッチは、例えば
図15乃至
図17に示す如く、ラチェットタイプに置き換えても良い。
図15のワンウエイクラッチ22Aは、内側のキー溝付のラチェット歯車40と外側の筒型リング41の間に、制御ローラ42が介装されるとともにリング状の側面板(図示せず)が左右両側から嵌着されることにより、一体化されている。例えば前側ウィール16について説明すると、アスクルシャフト15に
図9のワンウエイクラッチ22に代えて、ワンウエイクラッチ22Aのラチェット歯車40がキー43により結合され、筒型リング41が前側ウィール16の内径空間に篏合される。アスクルシャフト15とラチェット歯車40が固定され、筒型リング41と前側ウィール16が固定される。
【0029】
ラチェット歯車40の傾斜の緩い第1斜面44、傾斜の急な第2斜面45と筒型リング41の内面の隙間は、筒型リング41の前進回転方向(
図15の反時計方向)に見たとき制御ローラ42の径に比して少し広いが、後進回転方向(
図15の時計方向)に見たとき制御ローラ42の径より狭くなっている。このため、前側ウィール16が前進回転しようとするときは、筒型リング41の前進回転に引きずられて制御ローラ42はラチェット歯車40の傾斜の急な第2斜面44へ移動し当接するが、隙間が広いので回転に干渉せず、前側ウィール16は前進回転可能である(
図15(1)参照)。反対に前側ウィール16が後進回転しようとするときは、筒型リング41の後進回転に引きずられて制御ローラ42はラチェット歯車40の傾斜の緩い第1斜面43を時計方向へ移動するが、隙間が狭いので筒型リング41の内面に食い込み、筒型リング41の回転が干渉されて、前側ウィール16の後進回転が拘束される(
図15(2)参照)。これにより、前進回転を許容し、後進回転を拘束するワンウエイクラッチ機能が発揮される。
【0030】
図16のワンウエイクラッチ22Bは、アスクルシャフトとウィールの間に介装されるタイプであり、内側のキー溝付のラチェット歯車50と外側のウィールの内径側に180度反対な2か所に設けられて、ラチェット歯車50に対して軸芯に向かう方向からずれた斜め方向に突出したバネ性を有する爪51、52からなる。例えば前側ウィール16について説明すると、アスクルシャフト15に
図9のワンウエイクラッチ22に代えて、ワンウエイクラッチ22Bのラチェット歯車50がキー53により結合されて固定される。
【0031】
前側ウィール16が前進回転しようとするときは、爪51、52が撓んで先端部がラチェット歯車50の山を通過するので回転に干渉せず、前側ウィール16は前進回転可能である(
図16(1)参照)。反対に前側ウィール16が後進回転しようとするときは、爪51、52の先端がラチェット歯車50の斜面に食い込み、回転が干渉されて、前側ウィール16の後進回転が拘束される(
図16(2)参照)。これにより、前進回転を許容し、後進回転を拘束するワンウエイクラッチ機能が発揮される。
【0032】
図17のワンウエイクラッチ22Cは、アスクルシャフトとウィールの間に介装されるタイプであり、内側のキー溝付のラチェット歯車60と外側のウィールの内径側に180度反対な2か所に設けられて、ラチェット歯車60に対して軸芯に向かう方向からずれた斜め方向に突出して設けられた剛性を有する爪61、62と、爪61、62の先端近くと前側ウィール16の内径側の間に介装された圧縮コイルバネ63、64とからなる。爪61、62の基端側は、前側ウィール16の内径側に回動自在に軸支されている。例えば前側ウィール16について説明すると、アスクルシャフト15に
図9のワンウエイクラッチ22に代えて、ワンウエイクラッチ22Cのラチェット歯車60がキー65により結合されて固定される。
【0033】
前側ウィール16が前進回転しようとするときは、爪61、62の先端がラチェット歯車60の歯山に押されて圧縮コイルバネ63、64に抗して時計方向へ回動するので回転に干渉せず、前側ウィール16は前進回転可能である(
図17(1)参照)。反対に前側ウィール16が後進回転しようとするときは、爪61、62が圧縮コイルバネ63、64の押圧力の働きで反時計方向へ付勢されてラチェット歯車50の歯山間に食い込み、回転が干渉されて、前側ウィール16の後進回転が拘束される(
図17(2)参照)。これにより、前進回転を許容し、後進回転を拘束するワンウエイクラッチ機能が発揮される。