(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095869
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】検出システム
(51)【国際特許分類】
A63B 60/46 20150101AFI20240704BHJP
A63B 69/36 20060101ALI20240704BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A63B60/46
A63B69/36 Z
G01L5/00 101Z
G01L5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212832
(22)【出願日】2022-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】迫 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 和範
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 祐太
(72)【発明者】
【氏名】原田 勉
(72)【発明者】
【氏名】池野 考造
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA19
2F051AB07
(57)【要約】
【課題】インパクトの前後の棒状の打撃器具の握持部にかかる圧力を正確に検出することが可能な検出システムを提供する。
【解決手段】検出システムは、一方の端部側に打撃部を有し、他方の端部側に握持部を有する棒状の打撃器具と、打撃部から所定の位置以内に設けられた振動センサと、握持部に設けられた圧力センサと、握持部から所定の範囲に振動センサと圧力センサに電気的に接続されたセンサ制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部側に打撃部を有し、他方の端部側に握持部を有する棒状の打撃器具と、
前記打撃部から所定の位置以内に設けられた振動センサと、
前記握持部に設けられた圧力センサと、
前記握持部から所定の範囲に前記振動センサと前記圧力センサに電気的に接続されたセンサ制御部と、を有する、検出システム。
【請求項2】
請求項1の検出システムにおいて、
前記センサ制御部は、メモリを含み、
前記圧力センサによる圧力の測定値は、前記メモリに保存され、
前記圧力の測定値は、圧力の測定中は前記メモリに常時書き換えする、検出システム。
【請求項3】
請求項2の検出システムにおいて、
圧力を測定している状態で、前記振動センサの出力値が所定値以上になると、所定時間後に前記圧力の測定および前記メモリの書き換えを停止する、
検出システム。
【請求項4】
請求項1の検出システムにおいて、
前記センサ制御部は、前記圧力センサの信号を外部に出力する通信部を有する、検出システム。
【請求項5】
請求項4の検出システムにおいて、
前記通信部に入力された外部からの信号に基づいて、前記振動センサと前記圧力センサの動作を開始する、検出システム。
【請求項6】
請求項1の検出システムにおいて、
前記振動センサが配置される所定の位置は、前記打撃部の中心から30cm以内である、検出システム。
【請求項7】
請求項6の検出システムにおいて、
前記振動センサがピエゾ素子である、検出システム。
【請求項8】
請求項1の検出システムにおいて、
前記棒状の打撃器具はゴルフクラブであり、
前記打撃部は前記ゴルフクラブのヘッドであり、
前記握持部は前記ゴルフクラブのグリップである、検出システム。
【請求項9】
請求項1の検出システムにおいて、
前記棒状の打撃器具は、野球バットである、検出システム。
【請求項10】
請求項1の検出システムにおいて、
前記棒状の打撃器具は、ラケットである、検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブのスイング状態を計測するスイング計測システムがある。この種のスイング計測システムの提案として、特開2016-168196号公報がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイングの解析では、インパクトの前後のゴルフクラブ(棒状の打撃器具とも言う)のグリップ(握持部とも言う)にかかる圧力を正確に検出することも重要と考えられる。
【0005】
本開示の目的は、インパクトの前後の棒状の打撃器具の握持部にかかる圧力を正確に検出することが可能な検出システムを提供することにある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0008】
すなわち、検出システムは、
一方の端部側に打撃部を有し、他方の端部側に握持部を有する棒状の打撃器具と、
前記打撃部から所定の位置以内に設けられた振動センサと、
前記握持部に設けられた圧力センサと、
前記握持部から所定の範囲に前記振動センサと前記圧力センサに電気的に接続されたセンサ制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる検出システムを説明する図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる検出システムの圧力検出方法を説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるデジタル方式のインパクト検出部を示す回路図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるアナログ方式のインパクト検出部を示す回路図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかるデータメモリ装置をセンサ駆動部に設けた場合の検出システムを示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかるデータメモリ装置をデータ処理および解析回路に設けた場合の検出システムを示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかるインパクト前後の波形を説明する波形図である。
【
図8】
図8は、
図5の検出システムの動作フローを示す図である。
【
図9】
図9は、
図8の動作フローに続く動作フローを示す図である。
【
図12】
図12は、変形例にかかる野球のバットを示す図である。
【
図14】
図14は、変形例にかかる圧力センサの回路例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
(実施形態)
図1は、実施形態にかかる検出システムを説明する図である。検出システム1は、棒状の打撃器具2に設けられている。棒状の打撃器具2は、ここでは、ゴルフクラブを一例として説明する。棒状の打撃器具2であるゴルフクラブは、大きく分けて、グリップ、シャフト、ヘッドの3つの部品(パーツ)から構成されている。つまり、ゴルフクラブである棒状の打撃器具2は、一方の端部側に打撃部(ヘッド)3と、他方の端部側に握持部(グリップ)4と、打撃部3と握持部4との間に設けられた柄(シャフト)5と、を有する。検出システム1は、ゴルフクラブのグリップ4にかかる圧力を検出する検出システムということができる。
【0012】
打撃部3は、ゴルフボールなどの球を打つ部分(フェイス部とも言う)30を有しており、ここでは、この打撃部3のフェイス部30に球が当たるインパクト点31があるものとする。インパクト点31は、プロ選手等の熟練者では、フェイス部30の内部のスイートスポットがインパクト点31である場合がおおい。一方、経験の浅い人などでは、フェイス部30の内部のスイートスポットから離れた部分がインパクト点31である場合もありえる。
【0013】
握持部4は、手で握る部分であり、測定対象である円柱状の握持部4の全体を覆うように矩形形状のシート状の圧力センサ40が設けられている。圧力センサ40は、握持部4を握る両手の圧力を検出することができるように構成されている。握持部4は、スイング時の打撃器具2の挙動におけるクラブ内での支点として動作する。シート状の圧力センサ40は、例えば、N行×M列(N,Mは正の整数)のような行列状に配置された複数の単位圧力センサ素子PEにより構成することができる。複数の単位圧力センサ素子PEは1フレームを構成していると見なすことができる。
【0014】
柄5には、センサ制御部6と、振動センサ7と、第1配線41と、第2配線42とが設けられている。センサ制御部6は、センサ制御回路6と言い変えることもできる。
【0015】
センサ制御部6は、圧力センサ40に第1配線41により電気的に接続され、圧力センサ40を駆動する電源および圧力センサ40へ圧力センス動作開始信号として起動信号を供給するとともに、圧力センサ40から検出された検出データを受け取ることが可能に構成されている。
【0016】
振動センサ7は、センサ制御部6に第2配線42により電気的に接続され、第2配線42を介して、センサ制御部6から供給される電源および圧力センス動作開始信号として起動信号を受けるように構成されている。振動センサ7は、例えば、ピエゾ(圧電)素子により構成することができる。振動センサ7は、インパクトによる打撃器具2の打撃部3の振動を検出することが可能に構成されている。振動センサ7の検出した振動情報は、例えば、振動検出信号として、第2配線42介してセンサ制御部6に伝達されるように構成されている。センサ制御部6は、振動検出信号からインパクト時に発生する振動電位を検出および解析して、インパクト時点を示すインパクト検出信号を生成することできる。
【0017】
センサ制御部6はその質量の影響がスイングに対して小さくなるように、スイングの支点となるグリップ4の近傍、たとえば、0~30cm程度に配置するのが好ましい。なお、ここでは、センサ制御部6はその質量が比較的大であり、振動センサ7はその質量が比較的小として考察している。
【0018】
振動センサ7は、インパクトを良好に検出し、また、インパクト時のセンサ制御部6の振動による影響を最小限とするため、以下の位置に配置するのが好ましい。
【0019】
(1)振動センサ7は、少なくともセンサ制御部6よりもクラブ先端側(つまり、打撃部3の側)に近い位置に配置するのが好ましい。厳密ではない目安的な指標のため起点をわかりやすい位置に変更して概念的に説明する。シャフト5の延長線上のクラブヘッド3の根本と振動センサ7(シャフト5に沿う方向における振動センサ7の中間部分)との間の長さをAとし、振動センサ7(シャフト5に沿う方向における振動センサ7の中間部分)とセンサ制御部6の振動センサ7からの最近点(センサ制御部6が矩形の形状ならセンサ制御部6のシャフト5上の位置で代用可)との間の長さをBとする。この場合、長さAは長さBより短い構成とされる(A<B)。または、長さAは、センサ制御部6からクラブ先端(シャフト5の延長線上のクラブヘッド3の根本)の間の長さの1/2以下とするのが良い。
【0020】
(2)振動センサ7は、より良好にインパクトを検出するためには、クラブ先端(あるいは、打撃部3のフェイス部の中心)から30cm以内の位置に配置するのがより好ましい。
【0021】
検出システム1は、例えば、センサ制御部6が圧力センサ40および振動センサ7へ圧力センス動作開始信号として起動信号を供給した後、つまり、検出システム1の起動後の通常時は、圧力センサ40は常に圧力を測定し続けており、センサ制御部6は圧力センサ40から圧力検出データを採取する。圧力検出データは圧力の測定値と言い変えることができる。また、振動センサ7も、常に振動を測定し続けており、センサ制御部6は振動センサ7から振動検出信号を採取する。
【0022】
センサ制御部6は振動センサ7からの振動検出信号からインパクト検出信号を生成するインパクト検出部を有する。センサ制御部6のインパクト検出部が振動センサ7からの振動検出信号に基づいてインパクト検出信号を生成すると、インパクト検出信号の発生時点を基準として、インパクト検出信号の発生時点から所定の時間後、例えば、0.5秒~1.0秒後に、センサ制御部6は圧力センサ40のセンス動作を停止するためのセンス動作停止信号を圧力センサ40へ発生する。これにより、圧力センサ40はセンス動作を停止することになる。
【0023】
検出システム1は、インパクトを検出して所定時間後に圧力検出データの採取を停止することで、スイング時の圧力検出データとして必要かつ、十分な圧力検出データのデータ量を記録することができるように構成されている。圧力センサ40の電圧測定の間隔は、例えば、数百Hz、最低でも200Hz程度以上が望ましい。ゴルフスイングの場合、インパクト時点の前の1.0~1.5秒からインパクト時点の後の0.5~1.0秒程度の間の圧力検出データがあれば十分であり、保存する圧力検出データのデータ量を必要かつ十分に抑えることができる。
【0024】
検出システム1は、さらに、打撃器具2とは異なる場所に配置されたデータ処理および解析回路8を含む。データ処理および解析回路8は、無線または有線により、センサ制御部6に電気的に接続され、保存された圧力検出データをセンサ制御部6から読み出して取得できるように構成されている。これにより、データ処理および解析回路8は、インパクト時点の前の1.0~1.5秒からインパクト時点の後の0.5~1.0秒程度の間に計測して保存された圧力検出データを信号処理および信号解析して、インパクト時の前後においてグリップ4にかかる圧力を正確に検出することできる。データ処理および解析回路8は、また、無線または有線を介して、センサ制御部6に、圧力センサ動作開始指令を送信することができる。センサ制御部6は、圧力センサ動作開始指令の受信に基づいて、圧力センス動作開始信号を圧力センサ40および振動センサ7へ送信するができる。
【0025】
図2は、実施形態にかかる検出システムの圧力検出方法を説明する図である。
図2に示すように、圧力検出方法は、ステップS1、S2a,S2b,S3,S4およびS5を含む。
【0026】
(ステップS1:圧力センサ動作開始指令)
まず、データ処理および解析回路8は、圧力センサ40および振動センサ7のセンサ動作を開始するために、圧力センサ動作開始指令をセンサ制御部6に送信する。なお、ステップS1aで示すように、センサ動作の開始はセンサ制御部6の操作でも可能である。
【0027】
(ステップS2a、S2b:圧力センサ動作開始)
センサ制御部6は、圧力センサ動作開始指令またはステップS1aの操作に基づいて、圧力センサ40に圧力センサ動作開始を指示し(S2a)、また、振動センサ7に振動センサ動作開始を指示する(S2b)。これにより、圧力センサ40は、常に圧力を測定し続ける。また、振動センサ7は、振動の監視を開始する。センサ制御部6は圧力センサ40から圧力検出データを採取して、採取した圧力検出データを、記憶装置としてのデータメモリ装置(例えば、内蔵データメモリ装置または外部データメモリ装置)に保存する。圧力の測定値である圧力検出データは、圧力センサ40による圧力の測定中はデータメモリ装置に常時書き込まれるようにされている。また、データメモリ装置の記憶容量に基づいて、たとえば、一番古い圧力検出データが一番新しい圧力検出データにより書き換えすることができるように構成されている。
【0028】
(ステップS3:インパクト検出)
振動センサ7により行われる振動の監視に基づいて、センサ制御部6は振動センサ7から振動検出信号を採取する。センサ制御部6のインパクト検出部は採取している振動検出信号からインパクト時に発生する振動センサ7の電位を検出すると、インパクト検出を示すインパクト検出信号を生成する。つまり、圧力センサ40が圧力を測定している状態で、振動センサ7の出力値である振動検出信号が所定値(上限しきい値)以上または所定値(下限しきい値)以下になると、インパクト検出部はインパクトを検出し、インパクト検出信号を生成する。
【0029】
(ステップS4:センス動作停止)
センサ制御部6は、インパクト検出信号の生成時点から所定時間の経過の後、例えば、0.5秒~1.0秒後、圧力センサ40のセンス動作を停止するためのセンス動作停止信号を圧力センサ40へ発生する。つまり、センサ制御部6は、圧力センス動作開始(S2a)からセンス動作停止(S4)の間おいて圧力センサ40から圧力検出データを採取し続けている。ここで、メモリ装置の記憶容量は、少なくとも、インパクト時点の前の1.0~1.5秒からインパクト時点の後の0.5~1.0秒程度の間に計測された圧力検出データを格納するのに十分な記憶容量とするのが好ましい。データメモリ装置に保存できる以上の圧力検出データがデータメモリ装置に書き込まれる時は、新しい圧力検出データで一番古い圧力検出データを上書き(書き換え)するように構成されている。言い換えると、圧力センサ40が圧力を測定している状態で、振動センサ7の出力値が所定値以上になると、所定時間(0.5~1.0秒程度)の後に、圧力センサ40による圧力の測定およびデータメモリ装置への圧力検出データの書き換えを停止するように構成されている。
【0030】
(ステップS5:圧力検出データの送信)
センサ制御部6は、データメモリ装置に保存された圧力検出データを読み出してデータ処理および解析回路8へ送信する。データ処理および解析回路8とセンサ制御部6との間の通信速度が十分に速い場合、ステップS5の処理は、ステップS2a、S3,S4の間、リアルタイムで実行することも可能である。
【0031】
この後、データ処理および解析回路8は送信された圧力検出データの信号処理および信号解析を行う。これにより、インパクト時の前後において棒状の打撃器具2の握持部4にかかる圧力を正確に検出および把握することができる。
【0032】
(インパクト検出部に回路構成例)
図3および
図4を用いて、センサ制御部6に設けたインパクト検出部の回路構成を説明する。
図3は、実施形態にかかるデジタル方式のインパクト検出部を示す回路図である。
図4は、実施形態にかかるアナログ方式のインパクト検出部を示す回路図である。
【0033】
(デジタル方式のインパクト検出部)
図3に示すように、インパクト検出部(インパクト検出回路)60は、振動センサ7の振動検出信号を受けるアナログデジタル変換回路ADCと、デジタル回路で構成された2つの比較演算回路35,36と、オア論理回路37とを含む。アナログデジタル変換回路ADCは、振動センサ7の振動検出信号としてアナログ電位Vaを受けて、対応するデジタル電圧値Vdを生成する。
【0034】
比較演算回路35は、デジタル電圧値Vdを受ける第1入力aと、上限しきい値VthHを受ける第2入力bと、出力cと、を有し、デジタル電圧値Vdが上限しきい値VthHと同一または以上の場合(a≧b)、例えば、ハイレベル(H)の出力信号を生成する。デジタル電圧値Vdが上限しきい値VthHより低い場合、比較演算回路35は、ロウレベル(L)の出力信号を生成する。
【0035】
比較演算回路36は、下限しきい値VthLを受ける第1入力aと、デジタル電圧値Vdを受ける第2入力bと、出力cと、を有し、デジタル電圧値Vdが下限しきい値VthLと同一または以下の場合(a≧b)、例えば、ハイレベル(H)の出力信号を出力cに生成する。デジタル電圧値Vdが下限しきい値VthLより高い場合、比較演算回路36は、ロウレベル(L)の出力信号を出力cに生成する。
【0036】
オア論理回路37は、比較演算回路35の出力cに接続された第1入力と、比較演算回路36の出力cに接続された第2入力と、出力とを有する。オア論理回路37は、比較演算回路35の出力cがハイレベルまたは比較演算回路36の出力cがハイレベルのとき、出力からハイレベルのインパクト検出信号IDSを生成する。これにより、インパクトが検出されることになる。一度、インパクトが検出されると、ハイレベルのインパクト検出信号は一定時間ホールドしても良い。
【0037】
センサ制御部6はハイレベルのインパクト検出信号に基づいて、センス動作停止信号を生成して、センス動作停止信号を圧力センサ40へ発生する。なお、比較演算回路35と比較演算回路36の一方のみを設ける回路構成としても、インパクトを検出することができる。
【0038】
(アナログ方式のインパクト検出部)
図4に示すように、インパクト検出部60は、2つのアナログ比較回路45,46と、オア論理回路47とを含む。
【0039】
アナログ比較回路45は、振動センサ7の振動検出信号としてアナログ電位Vaを受ける第1入力aと、上限しきい値電位VthHを受ける第2入力bと、出力cと、を有し、アナログ電位Vaが上限しきい値電位VthHと同一または以上の場合(a≧b)、例えば、ハイレベル(H)の出力信号を生成する。アナログ電位Vaが上限しきい値電位VthHより低い場合、アナログ比較回路45は、ロウレベル(L)の出力信号を生成する。
【0040】
アナログ比較回路46は、下限しきい値電位VthLを受ける第1入力aと、アナログ電位Vaを受ける第2入力bと、出力cと、を有し、アナログ電位Vaが下限しきい値電位VthLと同一または以下の場合(a≧b)、例えば、ハイレベル(H)の出力信号を出力cに生成する。アナログ電位Vaが下限しきい値電位VthLより高い場合、アナログ比較回路46は、ロウレベル(L)の出力信号を出力cに生成する。
【0041】
オア論理回路37は、アナログ比較回路45の出力cに接続された第1入力と、アナログ比較回路46の出力cに接続された第2入力と、出力とを有する。オア論理回路37は、アナログ比較回路45の出力cがハイレベルまたはアナログ比較回路46の出力cがハイレベルのとき、出力からハイレベルのインパクト検出信号IDSを生成する。これにより、インパクトが検出されることになる。一度、インパクトが検出されると、ハイレベルのインパクト検出信号は一定時間ホールドしても良い。
【0042】
センサ制御部6はハイレベルのインパクト検出信号に基づいて、センス動作停止信号を生成して、センス動作停止信号を圧力センサ40へ発生する。なお、アナログ比較回路45とアナログ比較回路46の一方のみを設ける回路構成としても、インパクトを検出することができる。
【0043】
(検出システムの具体的構成例)
次に、
図5,
図6を用いて検出システム1の具体的な構成例を説明する。
図5は、実施形態にかかるデータメモリ装置をセンサ駆動部に設けた場合の検出システムを示すブロック図である。
図6は、実施形態にかかるデータメモリ装置をデータ処理および解析回路に設けた場合の検出システムを示すブロック図である。
図5、
図6の説明において、
図2の説明と重複する部分は説明を省略す場合がある。
【0044】
(検出システムの構成例1)
図5に示すように、センサ制御部6は、インパクト検出部60、センサ駆動制御部(センサ駆動制御回路)61、データメモリ装置(メモリ)62、通信部(通信回路)63を含む。
【0045】
センサ駆動制御部61は、一定間隔で、圧力センサ40を駆動して圧力センサ40から圧力検出データDPを取り込み、その圧力検出データDPをデータメモリ装置62へ書き込むように構成されている。
【0046】
センサ駆動制御部61は、駆動タイマ回路TM1と、停止タイマ回路TM2と、を含む。駆動タイマ回路TM1は、一定の時間間隔、例えば、200Hz間隔で、圧力センサ40を駆動するための回路であり、データ処理および解析回路8から供給される圧力センサ動作開始指令CS1に基づいて圧力センサ40の動作を制御するセンサ駆動制御信号CS2の発生を開始する。圧力センサ40は、センサ駆動制御信号CS2に基づいて圧力の計測を開始する。センサ駆動制御部61は、駆動タイマ回路TM1の動作中、つまり、圧力センサ40の圧力の測定中は、圧力センサ40から圧力検出データDPを取り込み、その圧力検出データDPをデータメモリ装置62へ書き込まれて保存される。停止タイマ回路TM2は、インパクト検出部60の生成したインパクト検出信号IDSに基づいて発生された停止指令CS3を受け取り、停止指令CS3の受け取の後の一定期間の経過の後に、駆動タイマ回路TM1を停止させて、駆動タイマ回路TM1の動作を終了させるための回路である。停止タイマ回路TM2は、絶対時間でカウント、または、圧力検出データDPのフレーム数でカウントすることで、一定期間を計測できる。センサ駆動制御部61は、また、駆動タイマ回路TM1の動作の終了を報告する動作終了報告CS4を、データ処理および解析回路8へ送信する。動作終了報告CS4は、有線や無線の信号でだけでなく、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)の点灯、アラーム音など操作者が動作終了を認知できる方法ならどれでも可能である。
【0047】
インパクト検出部60は、
図3、
図4で説明したように、振動センサ7から出力される振動検出信号(電位)からインパクトを検出する回路であり、例えば、インパクト検出信号IDSのロウレベルからハイレベルへの変化に基づいて停止指令CS3を発生して、停止タイマ回路TM2へ供給する。インパクト検出部60は、余分な質量を支点であるグリップ4から遠い点に配置することを防止するため、センサ制御部6にあることが望ましいが、振動センサ7付近もしくは振動センサ7とセンサ制御部6の間の任意の場所に別回路として配置してもよい。
【0048】
データメモリ装置62は、センサ制御部6からの圧力検出データDPが書き込まれるように構成されている。データメモリ装置62に保持できる以上のフレーム数の圧力検出データDPが書き込まれた場合、新しい圧力検出データDPで一番古い圧力検出データDPを上書きするように構成されている。
【0049】
通信部(通信回路)63は、データ処理および解析回路8から供給された圧力センサ動作開始指令CS1をセンサ駆動制御部61へ供給し、また、センサ駆動制御部61から供給された動作終了報告CS4をデータ処理および解析回路8へ供給するように構成されている。つまり、センサ駆動制御部61は、通信部63に入力された外部からの信号である圧力センサ動作開始指令CS1に基づいて、振動センサ7と圧力センサ40の動作を開始するように構成されている。通信部63は、また、データ処理および解析回路8およびデータメモリ装置62に電気的に接続されており、データメモリ装置62に保存された圧力検出データDPを読み出してデータ処理および解析回路8へ送信するように構成されている。通信部63は、データメモリ装置62に保存された圧力検出データDPを読み出すためのデータ読み出し回路64を含む。データ読み出し回路64は、データ処理および解析回路8が動作終了報告CS4を受領した後、データ処理および解析回路8が送信するデータ読み出し指令CS5に従い、データメモリ装置62に記録された圧力検出データDPをデータメモリ装置62から読み出して、データ処理および解析回路8へ送信するように構成されている。言い換えると、通信部63は、圧力センサ40の信号である圧力検出データDPをセンサ制御部6の外部のデータ処理および解析回路8に出力する構成とされている。
【0050】
(検出システムの構成例2)
図6に示す検出システム1が
図5に示す検出システム1と異なる点は、
図6において、データメモリ装置62がデータ処理および解析回路8の内部に含まれている点と、通信部63の内部のデータ読み出し回路64が削除されている点と、である。この変更に伴い、センサ駆動制御部61は、駆動タイマ回路TM1の動作中、つまり、圧力センサ40の圧力の測定中は、圧力センサ40から圧力検出データDPを取り込み、その圧力検出データDPを、通信部63を介して、データ処理および解析回路8の内部のデータメモリ装置62へ送信してデータメモリ装置62に保存するように構成されている。通信部63からデータ処理および解析回路8への圧力検出データDPの送信は、各フレーム毎に送信するように構成してもよい。
図6の他の構成および動作は、
図5の他の構成および動作と同じであるので、重複する説明は省略する。
【0051】
(インパクト前後の波形の説明)
次に、
図7を用いて、インパクト前後の波形の一例を説明する。
図7は、実施形態にかかるインパクト前後の波形を説明する波形図である。
図7には、上から下に順に、圧力センサ40の圧力検出データDPのグラフGA(縦軸は圧力P、横軸は時間T)と、振動センサ7の振動検出信号としてのアナログ電位VaのグラフGB(縦軸は電位V、横軸は時間T)と、インパクト検出部60の生成したインパクト検出信号IDSのグラフGC(縦軸はON/OFF、横軸は時間T)が描かれている。
図7において、TSEは圧力センサ40の圧力の測定の完了の時点を示している。
【0052】
グラフGAには、圧力検出データDPの一例として、左手小指の圧力検出データDPLkと左手親指の圧力検出データDPLoとが描かれている。
図1に示すように、圧力センサ40は円柱状のグリップ4の周囲を覆うように設けられているので、実際には3次元的な圧力検出データまたは2次元へ変換した平面的な圧力検出データ(圧力検出データの面分布)を得ることが、ここでは、簡素化のため、2本指の圧力検出データDPLk、DPLoを示す。
【0053】
グラフGBには、アナログ電位Vaと、上限しきい値電位VthHと、下限しきい値VthLとが描かれている。インパクトINPの時、アナログ電位Vaは、上限しきい値電位VthH以上、または、下限しきい値VthL以下となる。
【0054】
グラフGCには、インパクトINPの時に、インパクト検出信号IDSがロウレベルからハイレベルへ変化することが描かれている。これにより、正確にインパクトINPの時点を検出することができる。
【0055】
(検出システムの動作フロー1)
次に、
図5の検出システムの動作フローを
図8、
図9を用いて説明する。
図8は、
図5の検出システムの動作フローを示す図である。
図9は、
図8の動作フローに続く動作フローを示す図である。つまり、
図8の動作フローの下側の8Aと、
図9の動作フローの上側の8Aとは連続している。
【0056】
(ステップS10)
検出システム1は、動作開始待ちの状態であり、その他の処理を繰り返し実行している状態である。ここで、センサ駆動制御部61がデータ処理および解析回路8から供給される圧力センサ動作開始指令CS1を受けると、ステップS11へ移行する。
【0057】
(ステップS11)
次に、センサ駆動制御部61は、圧力センサ動作開始指令CS1の受領に基づいて、駆動タイマ回路TM1の動作を開始させる。駆動タイマ回路TM1は、圧力センサ40の動作を制御するセンサ駆動制御信号CS2の発生を開始する。駆動タイマ回路TM1は、また、一定の時間間隔で次フレーム開始指令の発行を行うように構成されている。また、センサ駆動制御部61は、振動センサ7に振動センサ動作開始を指示する。これにより、振動センサ7は振動の監視を開始する。
【0058】
(ステップS12)
次に、圧力センサ40は、センサ駆動制御信号CS2に基づいて駆動され、圧力の計測を開始する。
【0059】
(ステップS13)
次に、センサ駆動制御部61は、駆動タイマ回路TM1の動作中、つまり、圧力センサ40の圧力の測定中は、圧力センサ40からセンスデータである圧力検出データDPを取り込み、その圧力検出データDPをデータメモリ装置62へ書き込む。
【0060】
ここで、四角の点線で囲まれたステップS12,S13では、圧力センサ40から1フレーム分の圧力検出データDPのセンサ駆動制御部61への読み出しとその1フレーム分の圧力検出データDPのデータメモリ装置62への書き込みとが行われる。なお、ステップS12とステップS13とが連続的(シーケンシャル)に実行されるように示しているが、ステップS12とステップS13とは部分的にオーバーラップして実行されてもよい。また、1フレーム分の圧力検出データDPの取り込みをまとめて実行する場合、ステップS12とシーケンシャルに実行することは必須でなく、平行して次のフレームのセンサ駆動を実施することも可能である。
【0061】
(ステップS14)
次に、駆動タイマ回路TM1は、次フレーム開始待ちの状態となり、その後、一定に時間間隔が経過すると、次フレーム開始指令が発行されて、次フレームの圧力検出データDPの取り込みおよび書き込みが開始されることになる。
【0062】
(ステップS15)
ここで、センサ制御部6のインパクト検出部60は、振動センサ7から取得している振動検出信号に基づいてインパクトの有無を検出している。インパクトが検出されない場合(No)、ステップS12,S13へ移行して、次のフレームの圧力検出データDPの取り込みおよび書き込みを実行する。一方、インパクトが検出された場合(Yes)、ステップS16へ移行する。
【0063】
(ステップS16)
停止タイマ回路TM2は、インパクト検出部60の生成したインパクト検出信号IDSに基づいて発生された停止指令CS3を受け取り、停止タイマ回路TM2の動作が開始される。停止タイマ回路TM2は、停止指令CS3の受け取の後の一定期間の経過の後に、駆動タイマ回路TM1を停止させるための動作停止指令を生成して駆動タイマ回路TM1へ供給し、駆動タイマ回路TM1の動作を終了させることができる。
【0064】
(ステップS17、S18)
駆動タイマ回路TM1の動作が終了するまでの間、圧力センサ40が駆動されて、次のフレームの圧力検出データDPの取り込みおよびデータメモリ装置62への書き込みを実行する。ここで、四角の点線で囲まれたステップS17,S18では、圧力センサ40から1フレーム分の圧力検出データDPのセンサ駆動制御部61への読み出しとその1フレーム分の圧力検出データDPのデータメモリ装置62への書き込みとが行われる。なお、ステップS17とステップS18とが連続的(シーケンシャル)に実行されるように示しているが、ステップS17とステップS18とは部分的にオーバーラップして実行されてもよい。また、1フレーム分の圧力検出データDPの取り込みをまとめて実行する場合、ステップS17とシーケンシャルに実行することは必須でなく、平行して次のフレームのセンサ駆動を実施することも可能である。尚、ステップS17、S18は、ステップS12、S13と同様の処理を行うステップであり、停止タイマ回路TM2が一定時間後に動作停止指令を出力するまで行われる。
【0065】
(ステップS19)
停止タイマ回路TM2が動作停止指令を生成したか否かが判断される。動作停止指令が生成されていない場合(No)、ステップS20へ移行する。動作停止指令が生成された場合(Yes)、ステップS21へ移行する。
【0066】
(ステップS20)
駆動タイマ回路TM1は、次フレーム開始待ちの状態となり、その後、一定に時間間隔が経過すると、次フレーム開始指令が発行されて、次フレームの圧力検出データDPの取り込みおよび書き込みが開始されることになる。そして、ステップS17,S18へ移行して、次のフレームの圧力検出データDPの取り込みおよび書き込みを実行する。
【0067】
(ステップS21)
駆動タイマ回路TM1は、停止タイマ回路TM2からの動作停止指令に基づいて、動作を停止する。これにより、圧力センサ40および振動センサ7はセンス動作を停止する。また、センサ駆動制御部61は、動作終了報告CS4を、データ処理および解析回路8へ送信する。
【0068】
(ステップS22)
データ処理および解析回路8は、動作終了報告CS4の受領に基づいて、センサ制御部6へデータ読み出し指令CS5を送信する。これにより、通信部63のデータ読み出し回路64は、データ処理および解析回路8が送信するデータ読み出し指令CS5に従い、データメモリ装置62に記録された圧力検出データDPをデータメモリ装置62から読み出して、データ処理および解析回路8へ送信する。これにより、動作フローが終了する。
【0069】
(検出システムの動作フロー2)
次に、
図6の検出システムの動作フローを
図10、
図11を用いて説明する。
図10は、
図6の検出システムの動作フローを示す図である。
図11は、
図10の動作フローに続く動作フローを示す図である。つまり、
図10の動作フローの下側の10Bと、
図11の動作フローの上側の10Bとは連続している。
【0070】
図10、
図11の動作フローが
図8、
図9の動作フローと異なる点は、ステップS13a、18aとが変更されている点と、
図11においてステップS21の後に
図9のステップS22が削除されている点と、である。
図10、
図11のその他の動作フローは、
図8、
図9のその他の動作フローと同じであるので、重複する説明は省略する。
【0071】
ステップS13a、18aでは、圧力センサ40からセンスデータである圧力検出データDPを取り込み、取り込んだ圧力検出データDPを、通信部63を介して、データ処理および解析回路8の内部のデータメモリ装置62へ送信してデータメモリ装置62に保存する。
【0072】
(棒状の打撃器具の変形例)
実施形態では、棒状の打撃器具2として、ゴルフクラブを一例として説明したが、棒状の打撃器具2は、
図12や
図13に示すように、野球のバット2aやテニスやバトミントンのラケット2bとしてもよい。
図12は、変形例にかかる野球のバットを示す図である。
図13は、変形例にかかるラケットを示す図である。
【0073】
図12、
図13に示すように、棒状の打撃器具2としての野球のバット2aやラケット2bは、一方の端部側に打撃部3と、他方の端部側に握持部4と、打撃部3と握持部4との間に設けられた柄5と、を有する。握持部4には、測定対象である柱状の握持部4の全体を覆うように圧力センサ40が設けられている。柄5には、センサ制御部6と、振動センサ7と、第1配線41と、第2配線42とが設けられている。センサ制御部6は、圧力センサ40に第1配線41により電気的に接続され、振動センサ7は、センサ制御部6に第2配線42により電気的に接続される。振動センサ7は打撃部3から所定の位置以内に設けられており、握持部4から所定の範囲に振動センサ7と圧力センサ40に電気的に接続されたセンサ制御部6とが設けられている。
【0074】
これにより、野球のバット2aやラケット2bは、実施形態で説明したゴルフクラブの例と同様に、インパクトの前後の棒状の打撃器具の握持部にかかる圧力を正確に検出することができる。
【0075】
(圧力センサの変形例)
図1のシート状の圧力センサ40の構成の変形例を、
図14、
図15を用いて説明する。
図14は、変形例にかかる圧力センサの回路例を示す図である。
図15は、
図14の圧力センサの構成例を示す図である。
図14、
図15は、圧力センサ40を、フレキシブルプリント基板上FPC(Flexible Printed Circuit)に形成されたアクティブマトリックス方式で駆動されるN行×M列の薄膜MOSトランジスタ(M1)と、フレキシブルプリント基板上FPCの上に配置される感圧導電性シートCPSとにより実現した場合の構成例を記載している。ここで、感圧導電性シートCPSは、圧力によりその抵抗値が可変にされるシートである。
【0076】
圧力センサ40は、
図14に代表例として示すように、4つの単位圧力センサ素子PEと、2本のゲート線(Gn,Gn+1)と、2本の信号線(Sn,Sn+1)と、ゲート線(Gn,Gn+1)を駆動するゲート駆動回路GDと、信号線(Sn,Sn+1)の電位を測定するアナログデジタル変換回路ADCと、を有する。
【0077】
4つの単位圧力センサ素子PEは、1つの単位圧力センサ素子PEが1つのゲート線と1つの信号線に接続される様に、2本のゲート線(Gn,Gn+1)と2本の信号線(Sn,Sn+1)とに電気的に接続されている。1つ単位圧力センサ素子PEのおのおのは、1つのゲート線に電気的に接続されたゲートGEと1つの信号線に電気的に接続されたソースドレイン経路とを有する薄膜MOSトランジスタM1と、電源電位Vddのような第1参照電位と電源電位Vddより低くい接地電位GNDのような第2参照電位との間に直列に接続された抵抗素子R1と可変抵抗素子R2と、を有する。抵抗素子R1と可変抵抗素子R2との共通接続ノードn1は、MOSトランジスタM1のソースドレイン経路に電気的に接続されている。
【0078】
ゲート駆動回路GDは、ゲート線Gn,Gn+1に電気的に接続され、
図14に示される様に、ゲート線Gn,Gn+1を順次アクティブ状態(選択状態)にするように構成されている。例えば、ゲート線Gnがアクティブ状態にされると、ゲート線GnにゲートGEが接続された2つの単位圧力センサ素子PEの2つのMOSトランジスタM1がオン状態にされて、信号線Sn,Sn+1に各共通接続ノードn1の電位が転送され、アナログデジタル変換回路ADCが信号線(Sn,Sn+1)の電位を測定する。次に、ゲート線Gn+1がアクティブ状態にされて、ゲート線Gn+1にゲートGEが接続された2つの単位圧力センサ素子PEの2つのMOSトランジスタM1がオン状態にされる。そして、信号線Sn,Sn+1に各共通接続ノードn1の電位が転送され、アナログデジタル変換回路ADCが信号線(Sn,Sn+1)の電位を測定する。以上の様にして、圧力センサ40の1フレーム分の圧力検出データ(DP)が読み出される。
【0079】
図15に断面図で示すように、圧力センサ40は、フレキシブルプリント基板上FPCと、フレキシブルプリント基板上FPCの上に配置される感圧導電性シートCPSとにより構成される。
【0080】
フレキシブルプリント基板上FPCは、ポリイミド樹脂により構成された樹脂基板POと、樹脂基板POの上に形成された薄膜MOSトランジスタM1と、保護絶縁膜ILと、を含む。薄膜MOSトランジスタM1は、樹脂基板POの上に形成された半導体層SMLと、半導体層SMLの上に形成されたゲート絶縁膜GEIと、ゲート絶縁膜GEIの上に形成されたゲート電極GEと、半導体層SMLに接続されたソース電極SEとドレイン電極DEと、により構成される。保護絶縁膜ILは、薄膜MOSトランジスタM1と樹脂基板POとの上を覆うように形成されている。
【0081】
感圧導電性シートCPSは、ドレイン電極DEに電気的に接続された画素電極PELと、画素電極PELと所望の距離を隔てて形成された複数の共通電極COEと、画素電極PELと複数の共通電極COEとを覆うように形成された伝導性感圧層CPLとから構成される。伝導性感圧層CPLは可変抵抗素子R2を構成し、画素電極PELは共通接続ノードn1を構成し、複数の共通電極COEは接地電位GNDに電気的に接続されている。感圧導電性シートCPSの表面SFに、手や指等により圧力が加えられると、伝導性感圧層CPLの抵抗値が変動する。この伝導性感圧層CPLの抵抗値の変動が可変抵抗素子R2として利用される。つまり、手や指等により圧力が加えられると、可変抵抗素子R2の抵抗値によって変化するので、共通接続ノードn1の電位が変化する。これを利用して、
図14に示す単位圧力センサ素子PEを含む圧力センサ40が構成される。
【0082】
本開示の実施の形態として上述した検出システムを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての検出システムも、本開示の要旨を包含する限り、本開示の範囲に属する。
【0083】
本開示の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本開示の範囲に属するものと了解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本開示の要旨を備えている限り、本開示の範囲に含まれる。
【0084】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【0085】
上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の開示を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1:検出システム
2:棒状の打撃器具
3:打撃部(ヘッド)
4:握持部(グリップ)
5:柄(シャフト)
6:センサ制御部
7:振動センサ
8:データ処理および解析回路
40:圧力センサ
62:データメモリ装置(メモリ)