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特開2024-95872γカーブ設定装置、γカーブ設定方法、および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095872
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】γカーブ設定装置、γカーブ設定方法、および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240704BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20240704BHJP
   H04N 5/202 20230101ALI20240704BHJP
【FI】
G09G5/00 520A
G09G5/00 550C
G09G5/00 550X
H04N5/66 A
H04N5/202
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212836
(22)【出願日】2022-12-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.会見日 令和4年10月14日 会見場所 東京都港区芝浦1丁目2番3号シーバンスS館 公開者 上杉 俊介 2.ウェブサイトの掲載日 令和4年10月25日 ウェブサイトのアドレス https://jp.sharp/aquos/products/ep1/ 公開者 シャープ株式会社 3.販売日 令和4年11月19日 販売した場所 別紙リストに記載の家電量販店 公開者 シャープ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】新妻 亮介
(72)【発明者】
【氏名】下田 裕紀
【テーマコード(参考)】
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
5C058BA35
5C182AA02
5C182AA03
5C182BA45
5C182CA12
5C182DA18
5C182DA52
5C182DA53
5C182DA62
(57)【要約】
【課題】環境の照度に起因する人の視認特性の変化に対応することができるγカーブ設定装置を実現する。
【解決手段】γカーブ設定装置(10)は、映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定する設定部(16)と、前記映像信号が表す画像が表示される環境の照度と、前記γカーブと、の関係を表すテーブル(T)を記憶する記憶部(14)と、を備え、前記設定部は、前記照度、および前記テーブルに基づいて、設定するγカーブを決定し、前記γカーブは、変換前の階調値に対する変換後の階調値を表わし、前記決定されたγカーブは、第1の階調値よりも低階調域において、勾配がリニアカーブより小さい領域を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定する設定部と、
前記映像信号が表す画像が表示される環境の照度と、前記γカーブと、の関係を表すテーブルを記憶する記憶部と、を備え、
前記設定部は、前記照度、および前記テーブルに基づいて、設定するγカーブを決定し、
前記γカーブは、変換前の階調値に対する変換後の階調値を表わし、
前記決定されたγカーブは、第1の階調値よりも低階調域において、勾配がリニアカーブより小さい領域を含む、γカーブ設定装置。
【請求項2】
前記照度が基準照度より小さい場合に設定される低照度側γカーブは、前記照度が前記基準照度より大きい場合に設定される高照度側γカーブと比べて、直線性が高い、請求項1に記載のγカーブ設定装置。
【請求項3】
前記低照度側γカーブは、前記高照度側γカーブと比べて、前記第1の階調値より低階調域での変換後の階調値が大きく、かつ、前記第1の階調値以上の第2の階調値より高階調域での変換後の階調値が小さい、請求項2に記載のγカーブ設定装置。
【請求項4】
前記設定部は、
前記映像信号が表す画像の最大階調値を取得し、
前記照度が前記基準照度より小さく、且つ、前記決定されたγカーブに基づいて前記最大階調値から変換される変換後最大階調値が基準値より大きい場合に、前記変換後最大階調値が前記基準値以下となるように、前記決定されたγカーブを調整する、請求項2に記載のγカーブ設定装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記決定前に設定されていたγカーブから前記決定されたγカーブへと設定されるγカーブを段階的に切り替える、請求項1に記載のγカーブ設定装置。
【請求項6】
前記映像信号は、映像のジャンルを識別するジャンル情報を有し、
前記テーブルは、前記映像のジャンルと、前記照度と、前記γカーブと、の関係を表し、
前記設定部は、前記映像のジャンル、前記照度、および前記テーブルに基づいて、設定するγカーブを決定する、請求項1に記載のγカーブ設定装置。
【請求項7】
前記環境の照度を検出する照度センサ、
を備える、請求項1に記載のγカーブ設定装置。
【請求項8】
映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定する、γカーブ設定方法であって、
映像信号が表す画像が表示される環境の照度の情報を取得する工程と、
前記照度と、前記γカーブと、の関係を表すテーブル、および前記照度に基づいて、設定するγカーブを決定する工程と、
を含み、
前記γカーブは、変換前の階調値に対する変換後の階調値を表わし、
前記決定されたγカーブは、第1の階調値よりも低階調域において、勾配が1より小さい領域を含む、γカーブ設定方法。
【請求項9】
請求項1に記載のγカーブ設定装置と、
前記γカーブ設定装置によって設定されたγカーブに基づいて、前記映像信号を変換する映像信号変換部と、
前記変換された映像信号に基づいて、画像を表示する表示部と、
を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γカーブ設定装置、γカーブ設定方法、および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力される画像の輝度ヒストグラムに対応して生成されたγカーブを用いることで、画像の輝度を変換する技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、画像の輝度ヒストグラムに対応して、画像を調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-017200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、画像の見え方は、その画像自体のみならず、その画像を視聴する環境の明るさによっても変化する。例えば、明るい環境での視聴のために、コントラストを強調した画像を、暗い環境で視聴した場合、階調が見えにくくなることがある。また、この逆に、暗い環境での視聴のために、コントラストを強調せず、階調の変化をほぼリニアとした画像を、明るい環境で視聴した場合、外光等の影響でコントラストが悪化して見えることがある。
【0005】
しかし、前述の技術では、このような環境の明るさに起因する人の視認特性の変化に対応することは困難である。
【0006】
本発明の一態様は、環境の明るさに起因する人の視認特性の変化に対応することができるγカーブ設定装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るγカーブ設定装置は、映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定する設定部と、前記映像信号が表す画像が表示される環境の照度と、前記γカーブと、の関係を表すテーブルを記憶する記憶部と、を備え、前記設定部は、前記照度、および前記テーブルに基づいて、設定するγカーブを決定し、前記γカーブは、変換前の階調値に対する変換後の階調値を表わし、前記決定されたγカーブは、第1の階調値よりも低階調域において、勾配がリニアカーブより小さい領域を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、環境の照度に起因する人の視認特性の変化に対応することができるγカーブ設定装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る表示装置の構成を表すブロック図である。
図2】γカーブ設定方法S1の流れを表すフロー図である。
図3】γカーブ設定方法S2の流れを表すフロー図である。
図4】テーブルと画質モードの関係を表す図である。
図5】テーブルと照度の関係を表す図である。
図6】ジャンルによるγカーブの相違の一例を表す図である。
図7】中間γカーブの一例を表す図である。
図8】最大階調に応じたγカーブの調整の一例を表す図である。
図9】中間γカーブの一例を表す図である。
図10】最大階調に応じたγカーブの調整の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る表示装置10の構成を表すブロック図である。表示装置10は、映像信号処理部11,ドライバ12,ディスプレイ13,メモリ14,照度センサ15,γカーブ設定部16を有し、映像信号に基づく映像をディスプレイ13に表示する。この内、映像信号処理部11,メモリ14,照度センサ15,γカーブ設定部16は、γカーブを設定するγカーブ設定装置20として機能する。
【0011】
映像信号処理部11は、映像信号ISを処理して、ドライバ12に出力する。ドライバ12は、処理後の映像信号ISに基づいて、ディスプレイ13を駆動する駆動信号DSを生成する。ディスプレイ13は、駆動信号DSによって駆動され、映像信号ISが表す映像(例えば、動画、静止画)を表示する表示部、例えば、液晶表示装置、EL(エレクトロ・ルミネセント)表示装置である。
【0012】
映像信号処理部11は、γカーブ設定部16によって設定されるγカーブに基づいて、映像信号ISの階調値を変換する映像信号変換部として機能する。すなわち、映像信号処理部11に入力される映像信号ISは、γカーブに基づいて、階調値が変換されて出力される。階調値の変換は、映像信号ISによって生成される画像の視認性の向上等のため行われる。γカーブは、映像信号の階調値を変換するためのものであり、変換前の階調値に対する変換後の階調値の関係を表す一種のテーブルである。
【0013】
メモリ(記憶部)14は、映像信号が表す画像が表示される環境(すなわち、ディスプレイ13周囲の環境)の照度と、γカーブと、の関係を表すテーブルTを記憶する。テーブルTは、照度値とγカーブとを連続的に対応させてもよいし、照度値とγカーブとを段階的に対応させてもよい。例えば、照度値を数段階(一例として、9段階)に区分し、区分された照度範囲それぞれにγカーブを対応させることができる。テーブルTは、γカーブ自体に替えて、γカーブを規定するパラメータを照度と対応させてもよい。この場合、照度からγカーブを規定するパラメータが特定され、さらに、このパラメータからγカーブが特定されることになる。
【0014】
照度センサ15は、ディスプレイ13周囲の照度を測定する測定器であり、映像信号ISが表す画像が表示される環境の照度を検出する照度センサとして機能する。なお、この照度は、厳密な意味での照度に限定されず、画像が表示される環境の明るさ一般を意味するものとする。
【0015】
γカーブ設定部16(設定部)は、照度センサ15が測定した照度(ディスプレイ13周囲の環境の明るさ)およびメモリ14に記憶されたテーブルに基づき、設定するγカーブを決定する。この結果、ディスプレイ13周囲の環境の照度に応じて、適切なγカーブを設定し、視聴者の視認性を向上することができる。なお、γカーブ設定部16は、CPU(Central Processing Unit)により構成できる。この場合、メモリ14は、このCPUを駆動させるためのプログラムを記憶することができる。
【0016】
ここで、照度に基づく、γカーブの決定の前に、γカーブが設定されていてもよい。例えば、表示装置10の起動時において初期γカーブを設定しておいて、その後、照度に応じて、γカーブを切り替えることができる。このようにすることで、表示装置10の起動時において、所望のγカーブに基づく画像を速やかに表示させることができる。
【0017】
(γカーブ設定方法S1)
γカーブ設定装置20によるγカーブの設定につき説明する。図2は、γカーブ設定装置20によるγカーブ設定方法の一例である、γカーブ設定方法S1の流れを表すフロー図である。以下、γカーブ設定方法S1を詳細に説明する。
【0018】
γカーブ設定装置20は、照度センサ15から照度値LUを取得し(ステップS11),取得した照度値LUおよびメモリ14に記憶されるテーブルTに基づいて、設定するγカーブを決定する(ステップS12)。
【0019】
γカーブ設定部16は、例えば、(1)照度が小さくなるにつれて、γカーブをリニアカーブ(後述の直線L)に近づけ、(2)照度が大きくなるにつれて、γカーブをリニアカーブから遠ざける。(2)には、照度が大きくなるにつれて、所定の階調値(第1の階調値)より低階調でのγカーブの勾配を大きくすることが挙げられる。なお、これらの詳細は、後述の第2、第3の実施形態において説明する。
【0020】
ここで、映像信号ISが表す画像の最大階調値M0を加味して、決定されたγカーブを調整してもよい。例えば、(1)照度が基準照度L1より大きく、且つ、決定されたγカーブに基づいて最大階調値M0から変換される変換後最大階調値M1が階調値V1より大きい場合に、変換後最大階調値M1が階調値V1以下となるように、決定されたγカーブを調整する。または、(2)照度が基準照度L2より小さく、且つ、決定されたγカーブに基づいて最大階調値M0から変換される変換後最大階調値M1が階調値V2より小さい場合に、変換後最大階調値M1が階調値V2以上となるように、決定されたγカーブを調整する。ここで、階調値V1、V2は、等しくてもよいし、異なっていてもよい。なお、これらの詳細は、後述の第2、第3の実施形態において説明する。
【0021】
ここで、γカーブ設定部16は、ステップS12で決定したγカーブをそのまま設定することも可能である(ステップS16)。この場合、決定前にγカーブ(1)が設定されていれば、γカーブ設定部16は、決定前に設定されていたγカーブ(1)から決定されたγカーブ(2)へと設定されるγカーブを切り替えることになる。γカーブ(1)は、初期γカーブでもよいし、ステップS16において前回設定されたγカーブでもよい。初期γカーブは、γカーブ設定装置20の起動の当初から設定されるγカーブであり、例えば、標準的な照度に対応するγカーブを用いることができる。標準的な照度は、そのγカーブの用途、例えば、(1)店頭等明るい場所での視聴、(2)比較的暗い場所での映画コンテンツの視聴によって異なってくる。
【0022】
ここでは、決定前に設定されていたγカーブ(1)と決定したγカーブ(2)とを比較して(ステップS13)、γカーブ(1)からγカーブ(2)への設定の切り替え(ステップS15)の前に、γカーブ(1)、(2)を比較して、γカーブ(1)、(2)の中間のγカーブへの設定の要否を判断している(ステップS13,S14)。切り替え前後のγカーブの相違が大きいと、γカーブの切り替えが視聴者に違和感を与え得ることを考慮したためである。
【0023】
γカーブ(1)、(2)自体を比較することに替えて、例えば、γカーブ(1)、(2)を規定するパラメータを比較してもよいし、γカーブ(1)、(2)の対応照度を比較してもよい。例えば、対応照度の差に基づいて、中間のγカーブの要否を判定することができる。
【0024】
ここでは、1の中間のγカーブを設定する場合を示しているが、(1または)複数の中間のγカーブを順次設定し、その後に、γカーブ(2)を設定してもよい。すなわち、γカーブ(1)からγカーブ(2)へと、設定されるγカーブを段階的に切り替えてもよい。
【0025】
このとき、中間のγカーブの数、設定する時間間隔は適宜に設定することができる。例えば、パラメータに基づくγカーブ(1)、(2)の相違の大きさに応じて、中間のγカーブの数を大きくすることができる。時間間隔は、一定としても良いし、中間のγカーブの数に応じて異ならせてもよい。
【0026】
(γカーブ設定方法S2)
図3は、γカーブ設定装置20によるγカーブ設定方法S2の流れを表すフロー図である。γカーブ設定方法S2は、γカーブ設定方法S1のステップS11~S16の前に、ステップS21~S23が追加されている。
【0027】
基本的には、映像信号ISは、映像のジャンルを識別するジャンル情報を有し、テーブルTは、映像のジャンルと、照度と、γカーブと、の関係を表し、γカーブ設定部16は、映像のジャンル、環境の照度、およびテーブルTに基づいて、設定するγカーブを決定する。
【0028】
より具体的には、映像信号ISは、映像のジャンルを識別するジャンル情報と映像コンテンツのフォーマットを識別するフォーマット情報を含み、テーブルTは、画質モード(映像のジャンルに対応する)、フォーマット、および環境の照度と、γカーブと、の関係を表わす。
【0029】
図4図5は、このテーブルTの一例を表す図である。テーブルTは、画質モード1~9に対応する複数のテーブルに区分される。ここでは、画質モード1~9は、スポーツ、映画、標準(例えば、ニュース)、…その他に区分され、さらに、映像コンテンツのフォーマット(SDR,HLG,PQ)に対応して3つに区分されている。この結果、テーブルは、テーブルi-j(1-1~1-3,2-1~2-3,…、9-1~9-3)の27に区分されている(1:1~9の整数、j:1~3の整数)。図5に示すように、各テーブルi-jは、照度値に応じて、設定テーブルi-j-1~i-j-9の9つに区分される。このように、テーブルTは、実質的に、映像のジャンル、フォーマット、および環境の照度と、γカーブと、の関係を表わしている。
【0030】
γカーブ設定部16は、映像信号ISからジャンル情報、およびフォーマット情報を取得する(ステップS21)。γカーブ設定部16は、ジャンル情報に対応する画質モードを決定し(ステップS22)、画質モードおよびフォーマットに対応するテーブルi-jを選択する(ステップS23)。例えば、ジャンルがスポーツで、フォーマットがSDRの場合、テーブル1-1が、ジャンルが映画でフォーマットがHLGの場合、テーブル2-2が選択される。
【0031】
図6は、テーブル1-1および2-2に対応するγカーブT1-1,T2-2の一例を表す。図6の横軸は、映像信号処理部11に入力される映像信号ISの階調値(変換前階調値)であり、縦軸は、映像信号処理部11から出力される映像信号ISの階調値(変換後階調値)である。また、直線Lは、勾配が1のγカーブ、すなわち、階調を変化させず、変換前後の階調値が一致するγカーブであり、γカーブの基準(リニアカーブ)として表されている。後述の図7図10でも、これらの点は同様である。
【0032】
その後、ジャンルおよびフォーマットに対応して選択されたテーブルi-jおよび照度に基づいて、パラメータi-j-1~i-j-9が選択され、γカーブが決定される(ステップS11、S12)。ステップS11以後は、説明済みなので、詳細な説明を省略する。
【0033】
γカーブ設定方法S2によれば、ユーザーが映像のジャンル等を意識することなく、γカーブが決定され、ジャンル及び視聴環境に最適な映像に調整される。例えば、「スポーツ」の放送を受信している場合、γカーブT1-1が設定され、鮮やかでダイナミックな映像が現れる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係るγカーブ設定装置20は、映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定するγカーブ設定部16と、映像信号が表す画像が表示される環境の照度(照度値LU)と、γカーブと、の関係を表すテーブルTを記憶するメモリ14(記憶部)と、を備え、γカーブ設定部16は、照度、およびテーブルTに基づいて、設定するγカーブを決定する。これにより、環境の明るさに起因する人の視認特性の変化に対応して、視認性の良好な画像を表示することが可能となる。
【0035】
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0036】
実施形態2では、初期γカーブが、「明るい環境下(例えば、明るい部屋、店頭)で映える鮮やかでコントラスト感のある」画質モードAである場合を想定する。この画質モードAは、図7のγカーブγaに示すような、いわゆるS字カーブのγカーブを用いて実現することができる。γカーブγaは、階調値がN1より小さい低階調域RL1および階調値がN2より大きい高階調域RH1において(N1<N2)、勾配が小さく(例えば、勾配が1より小さい領域を含む)、階調値がN1とN2の間の中間階調域RMにおいて勾配が比較的大きい(例えば、勾配が1(基準勾配)より大きい領域を含む)。すなわち、明るい環境下で視認し易いように、中間階調域でのコントラストが強調されている。階調値N1、N2、N3はそれぞれ、例えば、階調数の半分より小さい値、階調数の半分より大きい値、N1とN2の中間の値である。階調数が256の場合、階調値N1、N2は、例えば、127より小さな値、127より小さい値となる。なお、画質モードAは、アクティブモードと称してもよい。画質モードAは、一例であり、本実施形態は、種々の画質モードに適用できる。
【0037】
この画質モードAの映像を暗い環境下で視聴した場合、視聴者は、比較的低い階調範囲、例えば、低階調域RL、中間階調域RMでの明暗の変化により敏感となる一方、高階調域RHでの明暗の変化を視認し難くなる傾向となる。この結果、中間階調域RMでのコントラストの変化が強調され過ぎて、派手に見える一方、低階調域RLおよび高階調域RHでは、階調の変化が感じられず、塗りつぶされたように見えることになる。このため、画質モードAに対応するγカーブγaをγカーブγb(低階調域RL、高階調域RH、および中間階調域RMでの勾配を近づけたγカーブ)へと切り替えることが好ましい。この結果、暗い環境下において、画像全体としてコントラストのバランスを確保することが可能となる。なお、変換前後のγカーブγa、γbは、低階調域RL1および高階調域RH1において、勾配が1(基準勾配)より小さい領域を含むことが好ましい。中間階調域RMに、勾配が1より大きい領域を含ませ、中間階調域RMでの階調の変化を強調するためである、
【0038】
すなわち、画質モードAの場合、γカーブ設定部16は、照度が小さくなるにつれて、γカーブをリニアカーブ(直線L)に近づける傾向となる。これは、照度が所定の基準照度より小さい場合に設定される低照度側γカーブ(例えば、γカーブγb)は、照度が所定の基準照度より大きい場合に設定される高照度側γカーブ(例えば、γカーブγa)と比べて、直線性が高いことを意味する。直線性が高い例として、図6に示されるような直線L(リニアカーブ、ここでは、勾配が1の直線)により近いことが挙げられる。さらに、低照度側γカーブ(例えば、γカーブγb)は、高照度側γカーブ(例えば、γカーブγb)と比べて、階調値N1(第1の階調値)より低階調域RL1での変換後の階調値が大きく、かつ、階調値N2(第1の階調値以上の第2の階調値)より高階調域での変換後の階調値が小さい。なお、ここでは、第1、第2の階調値をそれぞれ階調値N1,N2としたが、第1、第2の階調値を階調値N3としてもよい。
【0039】
図7に示すように、γカーブγa、γbの中間にγカーブγcが配置される。すなわち、γカーブγcは、γカーブγaからγカーブγbへとγカーブを切り替える場合の中間のγカーブとして機能する(図2のステップS15)。この結果、γカーブを徐々に変えることができ、γカーブを変更した際の違和感を減少することができる。
【0040】
既述のように、画質モードAの映像を暗い環境下で視聴した場合、高階調域での明暗の変化は視認され難くなる傾向となる。この結果、映像の最大階調値(例えば、映像信号の1フレームに含まれる最大の階調値)、特に、γカーブによって変換後の最大階調値を制限した方が良い場合があり得る。γカーブ設定部16は、例えば、映像信号ISが表す画像の最大階調値(例えば、映像信号の1フレームに含まれる最大の階調値)を取得し、照度値LUが所定の基準照度より小さく、且つ、決定されたγカーブに基づいて最大階調値から変換される変換後最大階調値が基準値より大きい場合に、変換後最大階調値が基準値以下となるように、決定されたγカーブを調整する。
【0041】
図8は、変換前最大階調値が240で、変換後最大階調値が基準値235を超えるγカーブγ0を表す。この場合、γカーブγ0からγカーブγ1へとγカーブを下げることで、変換後最大階調値を基準値235以下とする。この結果、高階調域での階調変化が視認されず、潰れて見えることを防止できる。なお、この基準値235は、画像信号の規格上の最大輝度255に近い値として選択されている。基準値は、235に限られず、規格上の最大輝度にある程度近い範囲で適宜に選択することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態に係るγカーブ設定装置20は、映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定するγカーブ設定部16と、映像信号が表す画像が表示される環境の照度(照度値LU)と、γカーブと、の関係を表すテーブルTを記憶するメモリ14(記憶部)と、を備え、γカーブ設定部16は、照度、およびテーブルTに基づいて、設定するγカーブを決定し、γカーブは、変換前の階調値に対する変換後の階調値を表わし、照度が基準照度より小さい場合に設定される低照度側γカーブ(例えば、γカーブγb)は、照度が基準照度より大きい場合に設定される高照度側γカーブ(例えば、γカーブγa)と比べて、直線性が高い。これにより、例えば、明るい環境下で鮮やかな画質モードの画像を照度に応じて調整して、暗い環境下に適合させることが可能となる。
【0043】
〔実施形態3〕
本発明の第3の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0044】
実施形態3では、初期γカーブが、「暗い環境下(例えば、暗い部屋、暗室)で視聴することを想定し調整されている映像調整(映画用)」画質モードBである場合を想定する。この画質モードBは、図9のγカーブγdに示すような、上に若干凸となるカーブのγカーブを用いて実現することができる。γカーブγdは、低階調域において勾配が比較的大きい。すなわち、暗い環境下で視認し易いように、階調値N4より小さい階調域において、γカーブγdの勾配が1(基準勾配、すなわち、リニアカーブの勾配)より大きく、階調の変化がやや強調されている。γカーブγdは, 全体としては、勾配1の直線L(リニアカーブ)に近く、変換前後での階調値の違いはそれほど大きくない。この結果、画質モードBでは、映像(コントラスト)を比較的忠実に再現しつつ、低階調(暗部)でのコントラストが強調される。なお、画質モードBは、映画用モードと称してもよい。画質モードBは、一例であり、本実施形態は、種々の画質モードに適用できる。
【0045】
この画質モードBの映像を明るい環境下で視聴した場合、視聴者は、照明の反射や外光の影響により、階調(コントラスト)の変化が小さく感じられ、特に、低階調域が黒く潰れて見える傾向となる。このため、画質モードBに対応するγカーブγdをγカーブγe(比較的低階調域の勾配をより大きくしたγカーブ)へと切り替えることが好ましい。この結果、明るい環境下において、画像全体としてコントラストのバランスを確保することが可能となる。
【0046】
すなわち、画質モードBの場合、γカーブ設定部16は、照度が大きくなるにつれて、γカーブを直線から遠ざける傾向となる。これは、照度が所定の基準照度より大きい場合に設定される高照度側γカーブ(例えば、γカーブγe)は、照度が所定の基準照度より小さい場合に設定される低照度側γカーブ(例えば、γカーブγd)と比べて、直線性が低いことを意味する。直線性が低い例として、図9に示されるような直線L(勾配が1の直線)からより遠いことが挙げられる。さらに、高照度側γカーブ(例えば、γカーブγe)は、低照度側γカーブ(例えば、γカーブγd)と比べて、例えば、階調値N5(所定の階調値)より低階調域での勾配が大きい。階調値N5は、例えば、階調数の半分より小さい値である。階調数が256の場合、階調値N5は、例えば、127より小さな値となる。
【0047】
また、画質モードBの場合、γカーブ設定部16は、例えば、映像信号ISが表す画像の平均階調値(例えば、映像信号の1フレームに含まれる階調値の平均)を取得し、平均階調値が第1の基準値より小さい場合に設定される、第1の高照度側γカーブは、平均階調値が前記第1の基準値より大きい場合に設定される、第2の高照度側γカーブと比べて、所定の階調値(例えば、階調値N4)より低階調域での勾配が大きい。これにより、明るい環境において、比較的暗い画像の暗部の階調変化を大きくして、視認性を向上できる。なお、第1、第2の高照度側γカーブは、照度LUが所定の基準照度より大きい場合に設定されるγカーブである。
【0048】
また、画質モードBの場合、γカーブ設定部16は、例えば、映像信号ISが表す画像の最大階調値(例えば、映像信号の1フレームに含まれる最大の階調値)を取得し、前記最大階調値が第2の基準値より小さい場合に設定される、第3の高照度側γカーブは、前記最大階調値が前記第2の基準値より大きい場合に設定される、第4の高照度側γカーブと比べて、第1の階調値(例えば、階調値N4)より低階調域での勾配が大きい。これにより、明るい環境において、最大輝度の比較的小さい画像の暗部の階調変化を大きくして、視認性を向上できる。なお、第3、第4の高照度側γカーブは、照度LUが所定の基準照度より大きい場合に設定されるγカーブである。
【0049】
図9に示すように、γカーブγd、γeの中間にγカーブγfが配置される。すなわち、γカーブγfは、γカーブγdからγカーブγeへとγカーブを切り替える場合の中間のγカーブとして機能する(図2のステップS15)。この結果、γカーブを徐々に変えることができ、γカーブを変更した際の違和感を減少することができる。
【0050】
既述のように、画質モードBの映像を明るい環境下で視聴した場合、コントラストの変化が小さく感じられ、特に、低階調域が黒く潰れて見える傾向となる。この結果、前記映像の最大階調値、特に、γカーブによって変換後の最大階調値を拡張した方が良い場合があり得る。すなわち、変換後の最大階調値を大きくすることによって、画像上でのコントラスト(階調)の変化を大きくすることができる。γカーブ設定部16は、例えば、照度値LUが所定の基準照度より大きく、且つ、決定されたγカーブに基づいて最大階調値から変換される変換後最大階調値が基準値より小さい場合に、変換後最大階調値が基準値以上となるように、決定されたγカーブを調整する。これにより、明るい環境において、画像の暗部の階調変化を大きくして、視認性を向上できる。
【0051】
図10は、変換前最大階調値が200で、変換後最大階調値が基準値235を下回るγカーブγ0を表す。この場合、γカーブγ0からγカーブγ1へとγカーブを上げることで、変換後最大階調値を基準値235以上とする。この結果、暗い映像をより明るくコントラスト感のある映像にすることができる。なお、この基準値235は、画像信号の規格上の最大輝度255に近い値として選択されている。基準値は、235に限られず、規格上の最大輝度にある程度近い範囲で適宜に選択することができる。
【0052】
以上のように、本実施形態に係るγカーブ設定装置20は、映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定するγカーブ設定部16と、映像信号が表す画像が表示される環境の照度(照度値LU)と、γカーブと、の関係を表すテーブルTを記憶するメモリ14(記憶部)と、を備え、γカーブ設定部16は、照度、およびテーブルTに基づいて、設定するγカーブを決定し、γカーブは、変換前の階調値に対する変換後の階調値を表わし、照度が基準照度より大きい場合に設定される高照度側γカーブ(例えば、γカーブγe)は、照度が基準照度より小さい場合に設定される低照度側γカーブ(例えば、γカーブγd)と比べて、直線性が低い。これにより、例えば、暗い環境下で視認し易い画質モードの画像を照度に応じて調整して、明るい環境下に適合させることが可能となる。
【0053】
〔変形例〕
以上の実施形態では、γカーブで変換される前後の階調値は0~255の256階調である。これに対して、変換される前後の階調値は、他の階調数、例えば、512,1024としてもよい。
また、変換前後の階調を異ならせ、例えば、階調数M1(一例として、256階調)をM1より大きい階調数M2(一例として、1024階調)に変換してもよい。この逆に、階調数M3をM3より小さい階調数M4に変換してもよい。
【0054】
実施形態では、勾配が1の直線L(リニアカーブ)をγカーブの基準として、扱っていた。しかし、変換前後の階調数が異なる場合、γカーブの基準となる勾配(基準勾配)は1とは異なってくる。例えば、変換前が階調数N1、変換後が階調数N2の場合、勾配「N2/N1」の直線がγカーブの基準として機能することになり、勾配1を勾配「N2/N1」に置き換えて解釈すべきである。リニアカーブの勾配(基準勾配)は、γカーブによって変換される前後での映像信号の階調数の比(N2/N1)、すなわち、変換前の映像信号の階調数(N1)に対する、変換後の映像信号の階調数(N2)の比(N2/N1)によって規定される。本発明はこのように、変換前後の階調数N1,N2の大きさおよび相違に依らず適用されるものとする。
【0055】
〔まとめ〕
(1)
本発明の態様1に係るγカーブ設定装置は、映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定する設定部(γカーブ設定部16)と、前記映像信号が表す画像が表示される環境の照度(照度値LU)と、前記γカーブと、の関係を表すテーブル(T)を記憶する記憶部(メモリ14)と、を備え、前記設定部は、前記照度、および前記テーブルに基づいて、設定するγカーブを決定し、前記γカーブは、変換前の階調値に対する変換後の階調値を表わし、前記決定されたγカーブは、第1の階調値(階調値N1)よりも低階調域(RH1)において、勾配がリニアカーブより小さい領域を含む。これにより、環境の明るさの変化に起因する人の視認特性の変化に対応することができるγカーブ設定装置を実現することができる。また、低階調域において、勾配がリニアカーブの勾配(例えば、1)より小さい領域を含むことで、中階調域でのγカーブの勾配を比較的大きくして、中階調域での階調変化を強調することがより容易となる。
【0056】
本発明の態様2に係るγカーブ設定装置は、態様1において、前記照度が基準照度より小さい場合に設定される低照度側γカーブは、前記照度が前記基準照度より大きい場合に設定される高照度側γカーブと比べて、直線性が高い。これにより、暗い環境において、画像の再現性を向上できる。
【0057】
本発明の態様3に係るγカーブ設定装置は、態様2において、前記低照度側γカーブは、前記高照度側γカーブと比べて、前記第1の階調値より低階調域での変換後の階調値が大きく、かつ、前記第1の階調値以上の第2の階調値(階調値N2)より高階調域での変換後の階調値が小さい。これにより、暗い環境において、画像の明部の階調変化を大きくして、視認性を向上できる。
【0058】
本発明の態様4に係るγカーブ設定装置は、態様2または3において、前記設定部は、前記映像信号が表す画像の最大階調値を取得し、前記照度が前記基準照度より小さく、且つ、前記決定されたγカーブに基づいて前記最大階調値から変換される変換後最大階調値が基準値より大きい場合に、前記変換後最大階調値が前記基準値以下となるように、前記決定されたγカーブを調整する。これにより、暗い環境において、画像の明部の階調変化を大きくして、視認性を向上できる。
【0059】
本発明の態様5に係るγカーブ設定装置は、態様1~4のいずれかにおいて、前記設定部は、前記決定前に設定されていたγカーブから前記決定されたγカーブへと設定されるγカーブを段階的に切り替える。これにより、γカーブの切り替え時における視聴者の違和感を低減できる。
【0060】
本発明の態様6に係るγカーブ設定装置は、態様1~5のいずれかにおいて、前記映像信号は、映像のジャンルを識別するジャンル情報を有し、前記テーブルは、前記映像のジャンルと、前記照度と、前記γカーブと、の関係を表し、前記設定部は、前記映像のジャンル、前記照度、および前記テーブルに基づいて、設定するγカーブを決定する。これにより、映像のジャンルおよび照度に基づいて、適正なγカーブを設定できる。
【0061】
本発明の態様7に係るγカーブ設定装置は、態様1~6のいずれかにおいて、前記環境の照度を検出する照度センサ(15)、を備える。これにより、照度センサが検出した環境の照度に基づいて、γカーブを設定できる。
【0062】
本発明の態様8に係るγカーブ設定方法は、映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定する、γカーブ設定方法であって、映像信号が表す画像が表示される環境の照度の情報を取得する工程と、前記照度と、前記γカーブと、の関係を表すテーブル、および前記照度に基づいて、設定するγカーブを決定する工程と、を含み、前記γカーブは、変換前の階調値に対する変換後の階調値を表わし、前記照度が基準照度より小さい場合に設定される低照度側γカーブは、前記照度が前記基準照度より大きい場合に設定される高照度側γカーブと比べて、直線性が高い。これにより、環境の明るさに起因する人の視認特性の変化に対応することができるγカーブ設定方法を実現することができる。
【0063】
本発明の態様9に係る表示装置は、態様1~7いずれかのγカーブ設定装置と、前記γカーブ設定装置によって設定されたγカーブに基づいて、前記映像信号を変換する映像信号変換部と、前記変換された映像信号に基づいて、画像を表示する表示部と、を備える。これにより、環境の明るさに起因する人の視認特性の変化に対応することができる表示装置を実現することができる。
【0064】
(2)
本発明の態様10に係るγカーブ設定装置は、映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定する設定部(γカーブ設定部16)と、前記映像信号が表す画像が表示される環境の照度(照度値LU)と、前記γカーブと、の関係を表すテーブル(T)を記憶する記憶部(メモリ14)と、を備え、前記設定部は、前記照度、および前記テーブルに基づいて、設定するγカーブを決定する。これにより、環境の明るさに起因する人の視認特性の変化に対応することができるγカーブ設定装置を実現することができる。
【0065】
本発明の態様11に係るγカーブ設定装置は、態様10において、前記γカーブは、変換前の階調値に対する変換後の階調値を表わし、前記設定部は、前記照度が小さくなるにつれて、前記γカーブをリニアカーブ(直線)に近づける。これにより、暗い環境において、暗部の階調変化に忠実な画像を表示できる。
【0066】
本発明の態様12に係るγカーブ設定装置は、態様10、または11において、前記設定部は、前記映像信号が表す画像の最大階調値を取得し、前記照度が第1の基準照度より小さく、且つ、前記決定されたγカーブに基づいて前記最大階調値から変換される変換後最大階調値が第1の階調値より大きい場合に、前記変換後最大階調値が前記第1の階調値以下となるように、前記決定されたγカーブを調整する。これにより、暗い環境において、画像の明部の階調変化を大きくして、視認性を向上できる。
【0067】
本発明の態様13に係るγカーブ設定装置は、態様10~12のいずれかにおいて、前記設定部は、前記映像信号が表す画像の最大階調値を取得し、前記照度が第2の基準照度より大きく、且つ、前記決定されたγカーブに基づいて前記最大階調値から変換される変換後最大階調値が第2の階調値より小さい場合に、前記変換後最大階調値が前記第2の階調値以上となるように、前記決定されたγカーブを調整する。これにより、明るい環境において、画像全体の階調変化を大きくして、視認性を向上できる。
【0068】
本発明の態様14に係るγカーブ設定装置は、態様10~13のいずれかにおいて、前記設定部は、前記決定前に設定されていたγカーブから前記決定されたγカーブへと、設定されるγカーブを段階的に切り替える。これにより、γカーブの切り替え時における視聴者の違和感を低減できる。
【0069】
本発明の態様15に係るγカーブ設定装置は、態様10~14のいずれかにおいて、前記映像信号は、映像のジャンルを識別するジャンル情報を有し、前記テーブルは、前記映像のジャンルと、前記照度と、前記γカーブと、の関係を表し、前記設定部は、前記映像のジャンル、前記照度、および前記テーブルに基づいて、設定するγカーブを決定する。これにより、映像のジャンルおよび照度に基づいて、適正なγカーブを設定できる。
【0070】
本発明の態様16に係るγカーブ設定装置は、態様10~15のいずれかにおいて、前記環境の照度を検出する照度センサ、を備える。これにより、照度センサが検出した環境の照度に基づいて、γカーブを設定できる。
【0071】
本発明の態様17に係るγカーブ設定方法は、映像信号の階調値を変換するためのγカーブを設定する、γカーブ設定方法であって、映像信号が表す画像が表示される環境の基準照度の情報を取得する工程と、前記照度と、前記γカーブと、の関係を表すテーブル、および前記照度に基づいて、設定するγカーブを決定する工程と、を含む。これにより、環境の明るさに起因する人の視認特性の変化に対応することができるγカーブ設定方法を実現することができる。
【0072】
本発明の態様18に係る表示装置は、映像信号が表す画像が表示される環境の照度を検出する照度センサと、前記検出された照度に基づいて、γカーブを設定する、態様10~16いずれかのγカーブ設定装置と、前記γカーブ設定装置によって設定されたγカーブに基づいて、前記映像信号を変換する映像信号変換部と、前記変換された映像信号に基づいて、画像を表示する表示部と、を備える。これにより、環境の明るさに起因する人の視認特性の変化に対応することができる表示装置を実現することができる。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 表示装置
11 映像信号処理部
12 ドライバ
13 ディスプレイ
14 メモリ
15 照度センサ
16 γカーブ設定部
20 γカーブ設定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10