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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095875
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】シリコーン成形体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20240704BHJP
   A01N 53/06 20060101ALI20240704BHJP
   A01P 5/00 20060101ALI20240704BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20240704BHJP
   C08K 7/26 20060101ALI20240704BHJP
   C08K 7/22 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
C08L83/04
A01N53/06 110
A01P5/00
A01N25/10
C08K7/26
C08K7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212841
(22)【出願日】2022-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】502316201
【氏名又は名称】有限会社岩本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】岩本 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】白崎 幸雄
【テーマコード(参考)】
4H011
4J002
【Fターム(参考)】
4H011AC02
4H011BA01
4H011BB15
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA01
4H011DC05
4H011DC10
4H011DF02
4H011DG14
4H011DH07
4J002CP031
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002EH117
4J002FA106
4J002FD016
4J002FD187
4J002FD206
4J002GC00
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】液剤の揮発(徐放)の持続期間を長期化できる、シリコーン成形体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】リコーン成形体1では、シリコーンゴム中に分散した多孔質物質に、液剤が含浸している。シリコーン成形体1の製造工程では、液剤、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤が混合される。この混合により、液剤が多孔質物質に含浸し、その多孔質物質が液状シリコーンゴム中に分散する。その後、硬化前シリコーンゴムが常温下で硬化することにより、液剤を含浸させた多孔質物質がシリコーンゴム中に分散しているシリコーン成形体1が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴム中に、液剤を含浸させた多孔質物質が分散している、シリコーン成形体。
【請求項2】
前記多孔質物質は、シラスバルーンである、請求項1に記載のシリコーン成形体。
【請求項3】
前記液剤は、前記シリコーンゴムおよび前記多孔質物質を合わせた100重量部に対して20重量部を超えて配合されている、請求項1または2に記載のシリコーン成形体。
【請求項4】
前記液剤は、前記シリコーンゴムおよび前記多孔質物質を合わせた100重量部に対して30重量部配合されている、請求項3に記載のシリコーン成形体。
【請求項5】
液剤、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を混合して、前記液状シリコーンゴム中に前記液剤が含浸した前記多孔質物質を分散させる分散工程と、
前記分散工程後、前記液状シリコーンゴムを硬化させる硬化工程と、を含む、シリコーン成形体の製造方法。
【請求項6】
前記多孔質物質は、シラスバルーンである、請求項5に記載のシリコーン成形体の製造方法。
【請求項7】
前記硬化工程において、前記液状シリコーンゴムを常温で硬化させる、請求項5に記載のシリコーン成形体の製造方法。
【請求項8】
前記分散工程において、前記液状シリコーンゴムおよび前記多孔質物質を合わせた100重量部に対して20重量部を超える量の前記液剤を混合する、請求項5~7のいずれか一項に記載のシリコーン成形体の製造方法。
【請求項9】
前記分散工程において、前記液状シリコーンゴムおよび前記多孔質物質を合わせた100重量部に対して30重量部の前記液剤を混合する、請求項8に記載のシリコーン成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン成形体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンゴムは、耐熱性、撥水性、耐候性、電気絶縁性およびガス透過率に優れていることから、日用品、化粧品、医療品、電子機器など、多種の製品に使用されている。
【0003】
シリコーンゴムを使用した製品として、たとえば、蚊や蚤などの害虫が忌避する成分を含む液剤をシリコーンゴムに配合して、それを手首などに装着できるようにリング状に成形したものが販売されている。シリコーンゴムから液剤が徐放(徐々に揮発)することにより、害虫忌避効果が長く持続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-286203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリコーンゴムには、ミラブル型シリコーンゴム(固形シリコーンゴム)と液状シリコーンゴムとの2種類がある。
【0006】
ミラブル型シリコーンゴムは、粘土状であり、ミラブル型シリコーンゴムには、液剤を多少は練り込むことができる。しかし、液剤の配合量は、ミラブル型シリコーンゴム100重量部に対して数重量部が限界であり、それ以上の液剤をミラブル型シリコーンゴムに練り込むと、ミラブル型シリコーンゴムの硬化阻害が生じる。
【0007】
一方、液状シリコーンゴムは、ミラブル型シリコーンゴムと比較して、液剤が混ざりやすいという利点を有している。そのため、液状シリコーンゴム100重量部に対して、液剤を20重量部まで配合することができる。それ以上の量の液剤を液状シリコーンゴムに練り込んだ場合、液状シリコーンゴムの硬化阻害が生じたり、液状シリコーンゴムの硬化後に液剤のブリード(液剤が滲み出る現象)が生じたりする。
【0008】
ところが、液剤の配合量が液状シリコーンゴム100重量部に対して20重量部以下では、液剤の徐放による害虫忌避効果を蚊が最も活動する期間(4か月程度)以上に持続させることができないことが判った。
【0009】
本発明の目的は、液剤の揮発(徐放)の持続期間を長期化できる、シリコーン成形体およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係るシリコーン成形体は、シリコーンゴム中に、液剤を含浸させた多孔質物質が分散している。
【0011】
この構成によれば、シリコーンゴム中に分散した多孔質物質に、液剤が含浸している。これにより、シリコーンゴムに液剤が直に混ぜ込まれた構成と比較して、液剤のブリードが抑制されるので、液剤の配合量を多くすることができる。また、液剤が多孔質物質に保持され、その多孔質物質がシリコーンゴムに包み込まれるので、液剤の揮発(徐放)の速度を抑制することができる。それらの結果、シリコーンゴムに液剤が直に混ぜ込まれた構成と比較して、液剤の揮発の持続期間を長期化することができる。
【0012】
本発明の他の局面に係るシリコーン成形体の製造方法は、液剤、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を混合して、液状シリコーンゴム中に液剤が含浸した多孔質物質を分散させる分散工程と、分散工程後、液状シリコーンゴムを硬化させる硬化工程とを含む。
【0013】
この方法によれば、液剤を含浸させた多孔質物質がシリコーンゴム中に分散しているシリコーン成形体を得ることができる。
【0014】
硬化工程では、液状シリコーンゴムを常温で硬化させることが好ましい。
【0015】
これにより、液状シリコーンゴムの硬化時における液剤の蒸発を抑制することができる。その結果、液状シリコーンゴムの硬化後のシリコーン成形体における液剤の配合量を多く確保でき、液剤の揮発の持続期間をより長期化することができる。
【0016】
多孔質物質は、液剤が染み込む細孔を有する物質であればよいが、シラスバルーンであることが好ましい。
【0017】
シラスバルーンの採用により、たとえば、液剤を含浸させたシラスバルーンの比重を硬化前の液状シリコーンゴムの比重と同程度に合わせることができ、液状シリコーンゴム中におけるシラスバルーンの分散性を向上させることができる。
【0018】
液剤は、シリコーンゴムおよび多孔質物質を合わせた100重量部に対して20重量部を超えて配合されていることが好ましく、たとえば、シリコーンゴムおよび多孔質物質を合わせた100重量部に対して30重量部配合されていてもよい。
【0019】
シリコーンゴムおよび多孔質物質を合わせた100重量部に対して30重量部の液剤が配合されることにより、液剤が害虫忌避成分を含む場合に、液剤の徐放による害虫忌避効果を蚊が最も活動する期間以上に持続させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シリコーン成形体に多量の液剤の配合でき、かつ、シリコーン成形体からの液剤の揮発(徐放)の速度を抑制できるので、液剤の揮発の持続期間を長期化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るシリコーン成形体の斜視図である。
図2】シリコーン成形体の製造工程の流れを示す図である。
図3】シリコーン成形体の材料の調製工程の流れを示す図である。
図4】自動注入機の構成を示す斜視図である。
図5】他の形状のシリコーン成形体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
<シリコーン成形体>
図1は、本発明の一実施形態に係るシリコーン成形体1の斜視図である。
【0024】
シリコーン成形体1は、シリコーンゴムの成形体(成形品)である。シリコーン成形体1は、扁平な円柱状、具体的には、直径が20~50mmであり、厚さが3~15mmである円柱状に形成されている。シリコーン成形体1には、その中心軸線上を延びる円柱状の貫通孔2が貫通して形成されている。
【0025】
シリコーン成形体1には、蚊や蚤などの害虫に対する忌避効果が付与されている。害虫忌避効果を付与するため、シリコーンゴム中に、害虫が忌避する成分(たとえば、プロフルトリン)を含む液剤を含浸させた多孔質物質が分散している。シリコーン成形体1は、たとえば、メッシュ状の容器に収容されて、そのメッシュ状の容器が犬や猫の首輪などに取り付けられることにより、ペットの虫除けとして使用される。
【0026】
<シリコーン成形体の製造方法>
図2は、シリコーン成形体1の製造工程の流れを示す図である。
【0027】
シリコーン成形体1の製造工程では、シリコーン成形体1の材料の調製が行われる(S1:調製工程)。シリコーン成形体1の調製に際しては、シリコーン成形体1の材料として、液状シリコーンゴム、多孔質物質および液剤が用意される。
【0028】
液状シリコーンゴムには、常温(室温)で硬化する2液型RTV(Room Temperature Vulcanizing)シリコーンゴムを好適に用いることができる。2液型RTVシリコーンゴムの一例として、信越化学工業株式会社製の品名「KE-1310ST」および「CAT-1310S」がそれぞれ主剤および硬化剤として挙げられる。また、2液型RTVシリコーンゴムの他の例として、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製の品名「ELASTOSIL(登録商標) M 8012」および「CATALYST T40」がそれぞれ主剤および硬化剤として挙げられる。
【0029】
多孔質物質には、シラスバルーンを好適に用いることができる。シラスバルーンの一例として、株式会社アクシーズケミカル製の品名「ウインライト(登録商標)」が挙げられる。
【0030】
液剤の一例として、住友化学株式会社製の品名「フェアリテール(登録商標)」が挙げられる。
【0031】
図3は、シリコーン成形体1の材料の調製工程の流れを示す図である。
【0032】
調製工程では、液剤が容器に入れられた後、その容器内の液剤に多孔質物質が加えられる(S11)。そして、容器内の液剤と多孔質物質とが撹拌により混合される(S12)。これにより、液剤が多孔質物質に含浸していき、ペースト状の混合材料が得られる。
【0033】
その後、ペースト状の混合材料に、液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤が加えられる(S13)。液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤の配合量は、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を合わせた100重量部に対して液剤が20重量部を超えるように、たとえば、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を合わせた100重量部に対して液剤が30重量部となるように設定される。
【0034】
そして、撹拌機、たとえば、自転公転攪拌機(たとえば、株式会社シンキー製の型式「ARE-500」)などの撹拌脱泡機を用いて、容器内のペースト状の混合材料ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤が撹拌される(S13)。これにより、液剤を含浸させた多孔質物質が分散した液状シリコーンゴム(以下、「硬化前シリコーンゴム」という。)が得られる。撹拌脱泡機が用いられる場合、撹拌脱泡機において、撹拌運転後に、硬化前の液状シリコーンゴムから気体を抜くための脱泡運転が行われることが好ましい。
【0035】
なお、容器内の液剤と多孔質物質とが撹拌により混合される工程が省略されて、容器内に液剤、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤が入れられて、攪拌機を用いて、容器内の液剤、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤が撹拌されてもよい。
【0036】
調製工程後は、図2に示されるように、注入工程(S2)が行われる。注入工程では、たとえば、図4に示される自動注入機11が用いられて、シリコーン成形体1用の成形型12に硬化前シリコーンゴムが自動的に注入される。
【0037】
自動注入機11は、ディスペンサ13と、ディスペンサ13が取り付けられたロボット14とを備えている。ディスペンサ13は、たとえば、スクリューディスペンサ(たとえば、日本ソセー工業株式会社製の「SSPシリーズ」)である。ロボット14は、成形型12を前後方向に移動させる機構と、ディスペンサ13を上下方向および左右方向に移動させる機構とを有している。
【0038】
成形型12には、シリコーン成形体1の形状に対応した凹部が行列状に整列して形成されている。ロボット14の動作により、ディスペンサ13のシリンジノズル15が成形型12の凹部上に配置され、シリンジノズル15の先端が成形型12に近づけられ、成形型12が前後方向に動かされるとともに、ディスペンサ13が左右方向に動かされながら、ディスペンサ13のスクリューが一定量だけ回転され、その回転量に応じた定量の硬化前シリコーンゴムがシリンジノズル15から吐出される。これにより、成形型12の凹部に対してシリンジノズル15が円を描きながら、シリンジノズル15から凹部に定量の硬化前シリコーンゴムが注入される。定量の硬化前シリコーンゴムが凹部に注入されると、ロボット14の動作により、シリンジノズル15の先端が成形型12から離され、その硬化前シリコーンゴムが注入された凹部と行方向に隣接する凹部上にシリンジノズル15が配置された後、シリンジノズル15の先端が成形型12に近づけられ、成形型12が前後方向に動かされるとともに、ディスペンサ13が左右方向に動かされながら、定量の硬化前シリコーンゴムがシリンジノズル15から吐出される。かかる動作が繰り返されることにより、1行目の各凹部に定量の硬化前シリコーンゴムが注入されると、同様にして、2行目以降の各凹部に定量の硬化前シリコーンゴムが注入される。
【0039】
成形型12のすべての凹部に定量の硬化前シリコーンゴムが注入されると、その硬化前シリコーンゴム注入済みの成形型12がロボット14から取り出される。そして、硬化前シリコーンゴム注入済みの成形型12が常温下に一定時間以上置かれることにより、注入型12の各凹部内の硬化前シリコーンゴムが硬化される(S3:硬化工程)。
【0040】
注入型12の各凹部内の硬化前シリコーンゴムが硬化した後、たとえば、その硬化したシリコーンゴムと凹部との間にエアガンからエアが吹き付けられることにより、硬化したシリコーンゴム、つまりシリコーン成形体1が凹部から浮き上がり、その浮き上がったシリコン成形体1が作業者の手指で凹部から取り出される(S4:離型工程)。
【0041】
<作用効果>
以上のように、シリコーン成形体1では、シリコーンゴム中に分散した多孔質物質に、液剤が含浸している。これにより、シリコーンゴムに液剤が直に混ぜ込まれた構成と比較して、液剤のブリードが抑制されるので、液剤の配合量を多くすることができる。また、液剤が多孔質物質に保持され、その多孔質物質がシリコーンゴムに包み込まれるので、液剤の揮発(徐放)の速度を抑制することができる。それらの結果、シリコーン成形体1では、シリコーンゴムに液剤が直に混ぜ込まれた構成と比較して、液剤の揮発の持続期間を長期化することができる。
【0042】
シリコーン成形体1の製造工程では、液剤、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤が混合される。この混合により、液剤が多孔質物質に含浸し、その多孔質物質が液状シリコーンゴム中に分散する。その後、硬化前シリコーンゴムが常温下で硬化することにより、液剤を含浸させた多孔質物質がシリコーンゴム中に分散しているシリコーン成形体1が得られる。
【0043】
硬化前シリコーンゴムを常温下で硬化させることにより、その硬化時における液剤の蒸発を抑制することができる。その結果、硬化前シリコーンゴムの硬化後のシリコーン成形体1における液剤の配合量を多く確保でき、液剤の揮発の持続期間をより長期化することができる。
【0044】
多孔質物質には、シラスバルーンが好適に採用される。シラスバルーンの採用により、たとえば、液剤を含浸させたシラスバルーンの比重を硬化前の液状シリコーンゴムの比重と同程度に合わせることができ、液状シリコーンゴム中におけるシラスバルーンの分散性を向上させることができる。
【0045】
液剤の配合量は、たとえば、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を合わせた100重量部に対して30重量部に設定される。この配合により、シリコーン成形体1からの液剤の徐放による害虫忌避効果を蚊が最も活動する期間以上に持続させることができる。
【0046】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することも可能である。
【0047】
たとえば、前述の実施形態では、シリコーン成形体1は、扁平な円柱状に形成され、その中央に円柱状の貫通孔2が貫通して形成されている。これに限らず、図5に示されるシリコーン成形体21の形状が採用されてもよい。シリコーン成形体21は、扁平な四角柱状に形成され、その中央に円柱状の貫通孔2が貫通して形成されていてもよい。図5に示される形状のシリコーン成形体21は、シリコーン成形体1と同様な方法で得られてもよいが、硬化前シリコーンゴムをシート状に成形して硬化させ、その硬化後のシリコーンゴムをトムソン型で打ち抜くことにより得ることもできる。
【0048】
また、硬化前シリコーンゴムを常温下で硬化させるとしたが、液剤の揮発が促進されない程度に加熱されてもよい。
【0049】
シリコーン成形体1中の多孔質物質に含浸させる液剤として、害虫忌避成分を含む液剤を例にとったが、液剤は、害虫忌避成分を含まない液剤、たとえば、芳香剤(フレグランス)や香水であってもよい。
【0050】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【実施例0051】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0052】
<実施例1>
信越化学工業株式会社製の品名「KE-1310ST」および「CAT-1310S」をそれぞれ液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤に用い、株式会社アクシーズケミカル製の品名「ウインライト(登録商標)」のシラスバルーンを多孔質物質に用い、住友化学株式会社製の品名「フェアリテール(登録商標)」を液剤に用いた。液剤の配合量は、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を合わせた100重量部に対して30重量部とした。また、液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤と多孔質物質との配合比は、液状シリコーンゴム:多孔質物質=0.8:0.2とした。
【0053】
株式会社シンキー製の型式「ARE-500」を用いて、それらの材料を撹拌および脱泡させた。撹拌運転では、撹拌時間を60秒間とし、自転回転数を1000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:1.02とした。脱泡運転では、脱泡時間を40秒間とし自転回転数を2000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:32とした。
【0054】
そして、硬化前シリコーンゴムの注型後、恒温槽にて、定温(50℃)で60~90分間硬化させた。
【0055】
こうして得られたシリコーン成形体では、液剤のブリードは生じなかった。
【0056】
<実施例2>
信越化学工業株式会社製の品名「KE-1310ST」および「CAT-1310S」をそれぞれ液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤に用い、株式会社アクシーズケミカル製の品名「ウインライト(登録商標)」のシラスバルーンを多孔質物質に用い、住友化学株式会社製の品名「フェアリテール(登録商標)」を液剤に用いた。液剤の配合量は、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を合わせた100重量部に対して30重量部とした。また、液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤と多孔質物質との配合比は、液状シリコーンゴム:多孔質物質=0.75:0.25とした。
【0057】
株式会社シンキー製の型式「ARE-500」を用いて、それらの材料を撹拌および脱泡させた。撹拌運転では、撹拌時間を60秒間とし、自転回転数を1000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:1.02とした。脱泡運転では、脱泡時間を40秒間とし自転回転数を2000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:32とした。
【0058】
そして、硬化前シリコーンゴムの注型後、恒温槽にて、定温(50℃)で60~90分間硬化させた。
【0059】
こうして得られたシリコーン成形体では、液剤のブリードは生じなかった。
【0060】
<比較例1>
多孔質物質を用いず、信越化学工業株式会社製の品名「KE-1310ST」および「CAT-1310S」をそれぞれ液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤に用い、住友化学株式会社製の品名「フェアリテール(登録商標)」を液剤に用いた。液剤の配合量は、液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を合わせた100重量部に対して30重量部とした。
【0061】
株式会社シンキー製の型式「ARE-500」を用いて、それらの材料を撹拌および脱泡させた。撹拌運転では、撹拌時間を60秒間とし、自転回転数を1000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:1.02とした。脱泡運転では、脱泡時間を40秒間とし自転回転数を2000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:32とした。
【0062】
そして、硬化前シリコーンゴムの注型後、恒温槽にて、定温(50℃)で60~90分間硬化させた。
【0063】
こうして得られたシリコーン成形体では、液剤のブリードを生じた。
【0064】
<比較例2>
信越化学工業株式会社製の品名「KE-1310ST」および「CAT-1310S」をそれぞれ液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤に用い、株式会社アクシーズケミカル製の品名「ウインライト(登録商標)」のシラスバルーンを多孔質物質に用い、住友化学株式会社製の品名「フェアリテール(登録商標)」を液剤に用いた。液剤の配合量は、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を合わせた100重量部に対して30重量部とした。また、液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤と多孔質物質との配合比は、液状シリコーンゴム:多孔質物質=0.95:0.05とした。
【0065】
株式会社シンキー製の型式「ARE-500」を用いて、それらの材料を撹拌および脱泡させた。撹拌運転では、撹拌時間を60秒間とし、自転回転数を1000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:1.02とした。脱泡運転では、脱泡時間を40秒間とし自転回転数を2000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:32とした。
【0066】
そして、硬化前シリコーンゴムの注型後、恒温槽にて、定温(50℃)で60~90分間硬化させた。
【0067】
こうして得られたシリコーン成形体では、液剤のブリードを生じた。
【0068】
<比較例3>
信越化学工業株式会社製の品名「KE-1310ST」および「CAT-1310S」をそれぞれ液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤に用い、株式会社アクシーズケミカル製の品名「ウインライト(登録商標)」のシラスバルーンを多孔質物質に用い、住友化学株式会社製の品名「フェアリテール(登録商標)」を液剤に用いた。液剤の配合量は、多孔質物質ならびに液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤を合わせた100重量部に対して30重量部とした。また、液状シリコーンゴムの主剤および硬化剤と多孔質物質との配合比は、液状シリコーンゴム:多孔質物質=0.9:0.1とした。
【0069】
株式会社シンキー製の型式「ARE-500」を用いて、それらの材料を撹拌および脱泡させた。撹拌運転では、撹拌時間を60秒間とし、自転回転数を1000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:1.02とした。脱泡運転では、脱泡時間を40秒間とし自転回転数を2000rpmとし、自転公転比を自転:公転=1:32とした。
【0070】
そして、硬化前シリコーンゴムの注型後、恒温槽にて、定温(50℃)で60~90分間硬化させた。
【0071】
こうして得られたシリコーン成形体では、液剤のブリードを生じた。
【符号の説明】
【0072】
1,21:シリコーン成形体
図1
図2
図3
図4
図5